(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)を治療するための試薬及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240206BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240206BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240206BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240206BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240206BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20240206BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240206BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20240206BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240206BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240206BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240206BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
A61K31/7088
A61K48/00
A61K31/7105
A61K31/711
A61K35/76
A61K35/761
A61P11/04
A61P27/02
A61P43/00 105
A61P21/04
(21)【出願番号】P 2023023159
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2019532105の分割
【原出願日】2017-12-14
【審査請求日】2023-03-01
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521375829
【氏名又は名称】ベニテック アイピー ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストリングス-ウフォムバー,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】スーイ,デイヴィッド
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】AGING,2013年,Vol.5, No.6,p.412-426
【文献】Human molecular genetics,2010年,19(6),1058-1065
【文献】Journal of Neuromuscular diseases,2014年,Vol.1,p.S222, PS2-220/#515
【文献】Molecular Therapy,2016年03月,Vol.24, Supplement 1,p.S199, 501
【文献】French P.,BENITEC FEATURED AT CHI’S “DISCOVERY ON TARGET” CONFERENCE,BENITEC BIOPHARMA ASX ANNOUNCEMENT,2015年09月23日,https://blt.live.irmau.com/irm/PDF/1609_0
【文献】Cold Spring Harb Perspect Biol,2010年,Vol.2,a003640
【文献】Cell Reports,2013年,Vol.5,p.1704-1713
【文献】Advanced Drug Delivery Reviews,2009年,Vol.61,p.650-664
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PABPN1の転写物を標的とする低分子ヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸を含むDNA特異的RNA干渉(ddRNAi)構築物であって、前記shmiRが、
少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
プライマリーマイクロRNA(pri-miRNA)骨格と、
を含み、
前記エフェクター配列が、配列番号9に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して相補的である、
前記ddRNAi構築物。
【請求項2】
前記shmiRが、配列番号31に記載のエフェクター配列及び配列番号30に記載のエフェクター相補配列を含む、請求項1記載のddRNAi構築物。
【請求項3】
(a) 前記shmiRが、5'→3'方向に、
(i) 前記pri-miRNA骨格の5'隣接配列、
前記エフェクター相補配列、
前記ステムループ配列、
前記エフェクター配列、及び
前記pri-miRNA骨格の3'隣接配列;又は、
(ii) 前記pri-miRNA骨格の5'隣接配列、
前記エフェクター配列、
前記ステムループ配列、
前記エフェクター相補配列、及び
前記pri-miRNA骨格の3'隣接配列
を含み、
(b) 前記ステムループ配列が、配列番号40に記載の配列であり、
(c) 前記pri-miRNA骨格が、pri-miR-30a骨格であり、且つ/又は、
(d) 前記pri-miRNA骨格が、配列番号41に記載の5'隣接配列及び配列番号42に記載の3'隣接配列を含む、
請求項1記載のddRNAi構築物。
【請求項4】
前記shmiRが、配列番号51に記載の配列を含み、且つ/又は、
前記shmiRをコードする前記DNA配列が、配列番号64に記載されるものである、
請求項3記載のddRNAi構築物。
【請求項5】
PABPN1の転写物を標的とする更なるshmiRをコードするDNA配列を含む少なくとも1種の更なる核酸を含み、
前記更なるshmiRが、
少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
pri-miRNA骨格と、
を含み、
前記エフェクター配列が、配列番号1~8又は10~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して相補的である、
請求項1記載のddRNAi構築物。
【請求項6】
(a) 前記ddRNAi構築物内の前記更なる核酸が、配列番号1、2、4、7、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して相補的である、エフェクター配列を含むshmiRをコードし、
(b) 前記ddRNAi構築物が、
(i) 配列番号31に記載のエフェクター配列及び配列番号30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
(ii) 配列番号15に記載のエフェクター配列及び配列番号14に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR2)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号17に記載のエフェクター配列及び配列番号16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号21に記載のエフェクター配列及び配列番号20に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR5)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号27に記載のエフェクター配列及び配列番号26に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR9)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号33に記載のエフェクター配列及び配列番号32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、及び
配列番号39に記載のエフェクター配列及び配列番号38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸
から成る群より選択される更なる核酸と、
を含み、
且つ/又は、
(c) 前記ddRNAi構築物が、
(i) 配列番号64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
(ii) 配列番号56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、及び
配列番号68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
から成る群より選択される更なる核酸と、
を含む、
請求項5記載のddRNAi構築物。
【請求項7】
(a) 前記ddRNAi構築物内の前記更なる核酸が、配列番号2、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して相補的である、エフェクター配列を含むshmiRをコードし、
(b) 前記ddRNAi構築物が、
(i) 配列番号31に記載のエフェクター配列及び配列番号30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
(ii) 配列番号17に記載のエフェクター配列及び配列番号16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号33に記載のエフェクター配列及び配列番号32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、及び
配列番号39に記載のエフェクター配列及び配列番号38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
から成る群より選択される更なる核酸と、
を含み、
且つ/又は
(c) 前記ddRNAi構築物が、
(i) 配列番号64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
(ii) 配列番号57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
配列番号65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、及び
配列番号68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むか又はそれから成る核酸、
から成る群より選択される更なる核酸と、
を含む、
請求項6記載のddRNAi構築物。
【請求項8】
前記ddRNAi構築物が、
(a)配列番号31に記載のエフェクター配列及び配列番号30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
(b)配列番号39に記載のエフェクター配列及び配列番号38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
を含む、請求項6記載のddRNAi構築物。
【請求項9】
前記ddRNAi構築物が、
(a)配列番号64(shmiR13)に記載の前記DNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
(b)配列番号68(shmiR17)に記載の前記DNA配列を含むか又はそれから成る核酸と、
を含む、請求項8記載のddRNAi構築物。
【請求項10】
shmiRをコードする前記DNA配列が、プロモーターに機能的に連結される、請求項1記載のddRNAi構築物。
【請求項11】
前記プロモーターが、筋特異的プロモーターである、請求項10記載のddRNAi構築物。
【請求項12】
(a) 請求項1~11のいずれか1項記載のddRNAi構築物と、
(b) 前記ddRNAi構築物によりコードされる前記shmiRによって標的とされないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物であって、前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列が、コドン最適化されたものである、前記PABPN1構築物と、
を含む、組成物。
【請求項13】
前記機能性PABPN1タンパク質が、配列番号74に記載されるものであり、
前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列が、配列番号73に記載されるものであり、且つ/又は
前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列が、前記PABPN1構築物内に含まれ、且つ前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列の上流に位置するプロモーターに機能的に連結される、
請求項12記載の組成物。
【請求項14】
(a) 前記プロモーターが、筋特異的プロモーターであり、且つ/又は
(b) 前記shmiRをコードする前記DNA配列及び前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列が、同一のプロモーターに機能的に連結される、
請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記ddRNAi構築物と前記PABPN1構築物とが、単一のDNA構築物で含まれる、請求項12記載の組成物。
【請求項16】
前記DNA構築物が、5'→3'方向に、前記ddRNAi構築物と前記PABPN1構築物とを含むか、又は
前記DNA構築物が、5'→3'方向に、前記PABPN1構築物と前記ddRNAi構築物とを含む、
請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記DNA構築物が、発現ベクター内に含まれる、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
前記発現ベクターが、プラスミド又はミニサークルであるか、又は
前記発現ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルス(AdV)ベクター及びレンチウイルス(LV)ベクターから成る群より選択されるウイルスベクターである、
請求項17記載の組成物。
【請求項19】
(a) 前記ddRNAi構築物を含む第1の発現ベクターと、
(b) 前記PABPN1構築物を含む第2の発現ベクターと、
を含む、請求項12記載の組成物。
【請求項20】
前記発現ベクターが、プラスミド又はミニサークルであるか、又は、
前記発現ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルス(AdV)ベクター及びレンチウイルス(LV)ベクターから成る群より選択されるウイルスベクターである、
請求項19記載の組成物。
【請求項21】
1種又は複数種の薬学的に許容される担体を含む、請求項12記載の組成物。
【請求項22】
対象において眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)の原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害するための、請求項12記載の組成物。
【請求項23】
眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)を患うか、又はOPMDに罹患しやすい対象においてOPMDを治療又は予防するための、請求項12記載の組成物。
【請求項24】
対象において眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)を治療又は予防するための医薬の調製における、請求項12記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月14日出願の米国仮番号62/434,312に対する優先権を主張するものであり、その完全な内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)を治療するためのRNA干渉(RNAi)試薬、そのRNA干渉(RNAi)試薬を含む組成物、及び、OPMDを患うまたはOPMDに罹患しやすい個体を治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
OPMDは、常染色体優性遺伝、緩徐進行性、遅発性の筋変性疾患である。この疾患は主として、進行性の眼瞼下垂(eyelid drooping)(眼瞼下垂(ptosis))及び嚥下困難(swallowing difficulties)(嚥下困難(dysphagia))を特徴とする。咽頭筋及び輪状咽頭筋はOPMDに特異的な標的である。疾患進行の後期に四肢近位の筋力低下が引き続いて起こる傾向がある。この疾患の原因となる変異は、ポリ(A)結合タンパク質核1(PABPN1)遺伝子のコード領域内における(GCN)nトリヌクレオチド反復の異常伸長である。この伸長によりPABPN1タンパク質のN末端に伸長ポリアラニントラクトがもたらされるが、正常なタンパク質には10個のアラニンが存在し、変異形態(expPABPN1)では11~18個のアラニンに増加する。この疾患の主たる病理学的特徴はexpPABPN1の核凝集である。伸長PABPN1のミスフォールディングにより、罹患細胞の細胞核内における不溶性ポリマー状線維凝集体の蓄積がもたらされる。PABPN1は凝集しやすいタンパク質であり、OPMDにおける変異アラニン伸長PABPN1の凝集率は、野生型正常タンパク質の凝集率よりも高い。しかしながら、OPMDにおける核凝集が病理学的作用、または細胞防御機構の結果としての保護的役割を有するかどうかについては、依然としてはっきりとしていない。
【0004】
OPMDに対する治療薬、薬理学または別のものは現時点において提供されていない。重度罹患者に対して対症性の外科的処置を行うことにより部分的に、眼瞼下垂を矯正して嚥下をまずまずに改善することは可能である。例えば、輪状咽頭筋切開術は、現時点においてこれらの患者の嚥下改善に利用できる唯一実行可能な処置である。しかしながら、この手術は、咽頭筋組織の進行性の悪化を矯正するものではなく、多くの場合、嚥下困難及び窒息の後、死に至る。
【0005】
それゆえ、OPMDを患う及び/またはOPMDに罹患しやすい患者におけるOPMDを治療するための治療薬に対する要望は依然として存在している。
【0006】
本明細書に含まれる文献、行為、物質、デバイス、論文などに関するいずれの記載も、これら事項のいずれかまたはその全てが先行技術基準の一部を形成すること、または、本開示に関連する分野における共通一般知識が添付の特許請求の範囲のそれぞれの優先日以前に既に存在していたことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
本開示は部分的に、OPMDを治療するための治療薬が現時点において存在していないという本発明者らの認識に基づいている。それゆえ、本開示は、OPMDの原因となるPABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするRNAi試薬を提供する。本発明者らは、OPMDの原因となる変異PABPN1タンパク質(すなわち、伸長ポリアラニントラクトを含むようなPABPN1タンパク質)へとさもなければ翻訳され得る転写変異体を含むPABPN1 mRNA転写物の転写後抑制にこれらのRNAi試薬が有効であることを示している。例えば、本開示の例示的なRNAi試薬がPABPN1タンパク質のインビトロ発現を阻害または抑制することが示されている。更に、本開示は、本開示のRNAi試薬が標的としないmRNA転写物を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質を発現させるための試薬(以下「PABPN1置換試薬」)を提供する。本発明者らは、本開示のRNAi試薬と共に発現させる場合、PABPN1置換試薬が、RNAi試薬に対する耐性を有し機能性PABPN1タンパク質へと翻訳されることが可能なPABPN1転写物を生成可能であることを示している。本発明者らによるこれらの知見は、OPMDの治療に治療適用を有し得る試薬を提供する。
【0008】
それゆえ、本開示は、低分子ヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸を提供し、上記shmiRは、
少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列、
エフェクター相補配列、
ステムループ配列、及び、
プライマリーマイクロRNA(pri-miRNA)骨格、
を含み、
エフェクター配列は、配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である。エフェクター配列は30ヌクレオチド長未満であることが好ましい。例えば、好適なエフェクター配列は17~29ヌクレオチド長の範囲であってもよい。エフェクター配列は20ヌクレオチド長であることが好ましい。エフェクター配列が21ヌクレオチド長であり、エフェクター相補配列が20ヌクレオチド長であることがより好ましい。
【0009】
エフェクター配列は、エフェクター配列が実質的に相補的である配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して4塩基対のミスマッチを含んでいてもよい。別の例では、エフェクター配列は、エフェクター配列が実質的に相補的である配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して3塩基対のミスマッチを含む。別の例では、エフェクター配列は、エフェクター配列が実質的に相補的である配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して2塩基対のミスマッチを含む。別の例では、エフェクター配列は、エフェクター配列が実質的に相補的である配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して1塩基対のミスマッチを含む。更に別の例では、エフェクター配列は、配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的である。ミスマッチが存在する場合、それらミスマッチが、shmiRのシード領域、すなわち、エフェクター配列のヌクレオチド2~8に相当する領域内に位置していないことが好ましい。
【0010】
配列番号:1に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR2」と呼ぶ)。
【0011】
配列番号:2に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR3」と呼ぶ)。
【0012】
配列番号:3に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR4」と呼ぶ)。
【0013】
配列番号:4に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR5」と呼ぶ)。
【0014】
配列番号:5に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR6」と呼ぶ)。
【0015】
配列番号:6に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR7」と呼ぶ)。
【0016】
配列番号:7に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR9」と呼ぶ)。
【0017】
配列番号:8に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR11」と呼ぶ)。
【0018】
配列番号:9に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR13」と呼ぶ)。
【0019】
配列番号:10に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR14」と呼ぶ)。
【0020】
配列番号:11に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR15」と呼ぶ)。
【0021】
配列番号:12に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR16」と呼ぶ)。
【0022】
配列番号:13に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む例示的なshmiRについて本明細書に記載する(以下「shmiR17」と呼ぶ)。
【0023】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、
(i)エフェクター配列が配列番号:14に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:14に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR2)、
(i)エフェクター配列が配列番号:16に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:16に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR3)、
(i)エフェクター配列が配列番号:18に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:18に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR4)、
(i)エフェクター配列が配列番号:20に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:20に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR5)、
(i)エフェクター配列が配列番号:22に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:22に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR6)、
(i)エフェクター配列が配列番号:24に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:24に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR7)、
(i)エフェクター配列が配列番号:26に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:26に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR9)、
(i)エフェクター配列が配列番号:28に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:28に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR11)、
(i)エフェクター配列が配列番号:30に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:30に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR13)、
(i)エフェクター配列が配列番号:32に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:32に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR14)、
(i)エフェクター配列が配列番号:34に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:34に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR15)、
(i)エフェクター配列が配列番号:36に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:36に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR16)、及び、
(i)エフェクター配列が配列番号:38に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:38に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR17)、
からなる群から選択されるshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。
【0024】
別の例では、本明細書に記載の核酸は、
配列番号:15に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:15に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR2)、
配列番号:17に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:17に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR3)、
配列番号:19に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:19に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR4)、
配列番号:21に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:21に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR5)、
配列番号:23に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:23に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR6)、
配列番号:25に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:25に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR7)、
配列番号:27に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:27に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR9)、
配列番号:29に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:29に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR11)、
配列番号:31に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:31に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR13)、
配列番号:33に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:33に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR14)、
配列番号:35に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:35に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR15)、
配列番号:37に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:37に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR16)、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:39に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR17)、
からなる群から選択されるshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。
【0025】
例えば、本明細書に記載の核酸がコードするshmiRは、同種のエフェクター配列とエフェクター相補配列が二本鎖領域を形成可能である場合、対応するエフェクター配列に対して1、2、3または4つのミスマッチを含むエフェクター相補配列を含んでいてもよい。
【0026】
別の例では、本明細書に記載の核酸は、
配列番号:15に記載のエフェクター配列及び配列番号:14に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR2)、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)、
配列番号:19に記載のエフェクター配列及び配列番号:18に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR4)、
配列番号:21に記載のエフェクター配列及び配列番号:20に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR5)、
配列番号:23に記載のエフェクター配列及び配列番号:22に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR6)、
配列番号:25に記載のエフェクター配列及び配列番号:24に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR7)、
配列番号:27に記載のエフェクター配列及び配列番号:26に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR9)、
配列番号:29に記載のエフェクター配列及び配列番号:28に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR11)、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)、
配列番号:35に記載のエフェクター配列及び配列番号:34に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR15)、
配列番号:37に記載のエフェクター配列及び配列番号:36に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR16)、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)、
からなる群から選択されるshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。
【0027】
本開示の核酸がコードするshmiRは、5´→3´方向に、
pri-miRNA骨格の5´隣接配列、
エフェクター相補配列、
ステムループ配列、
エフェクター配列、及び、
pri-miRNA骨格の3´隣接配列、
を含んでいてもよい。
【0028】
本開示の核酸がコードするshmiRは、5´→3´方向に、
pri-miRNA骨格の5´隣接配列、
エフェクター配列、
ステムループ配列、
エフェクター相補配列、及び、
pri-miRNA骨格の3´隣接配列、
を含んでいてもよい。
【0029】
好適なループ配列を当該技術分野において周知のループ配列から選択してもよい。しかしながら、例示的なステムループ配列については配列番号:40に記載している。
【0030】
本開示の核酸に用いる好適なプライマリーマイクロRNA(pri-miRNAまたはpri-R)骨格を当該技術分野において周知のプライマリーマイクロRNA骨格から選択してもよい。例えば、pri-miRNA骨格を、pri-miR-30a骨格、pri-miR-155骨格、pri-miR-21骨格及びpri-miR-136骨格から選択してもよい。しかしながら、pri-miRNA骨格はpri-miR-30a骨格であることが好ましい。pri-miRNA骨格がpri-miR-30a骨格である例によれば、pri-miRNA骨格の5´隣接配列は配列番号:41に記載されており、pri-miRNA骨格の3´隣接配列は配列番号:42に記載されている。
【0031】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:56~68のいずれか1つに記載の配列から選択されるDNA配列を含む。この例によれば、本開示の核酸がコードするshmiRは、配列番号:43~55のいずれか1つに記載の配列を含んでいてもよい。
【0032】
本開示による核酸を、OPMDを治療するためのその他の治療薬、例えば、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物を標的とするその他のRNAi薬剤などと組み合わせてもよい、またはそれらと共に使用してもよいということを当業者は理解する。それゆえ、本開示は、OPMDを治療するための1種または複数種のその他のRNAi薬剤と組み合わせて、本明細書に記載のshmiRをコードするDNA配列を含む核酸を提供する。1つの例では、複数種の核酸は、
(a)本明細書に記載の少なくとも1種の核酸、及び、
(b)
(i)本明細書に記載の核酸による核酸、または、
(ii)少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshmiRまたは低分子ヘアピンRNA(shRNA)をコードするDNA配列を含む核酸(エフェクター配列は、眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)の原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物に対して実質的に相補的である)、
から選択される少なくとも1種の更なる核酸、
を含み、
(a)の核酸がコードするshmiRと(b)の核酸がコードするshmiRまたはshRNAは、異なるエフェクター配列を含む、
ように提供される。
【0033】
1つの例では、(b)(ii)のshmiRまたはshRNAのエフェクター配列は、配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である。配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的な(b)(ii)のshmiRまたはshRNAのエフェクター配列は、30ヌクレオチド長未満であることが好ましい。例えば、shmiRまたはshRNAの好適なエフェクター配列は17~29ヌクレオチド長の範囲であってもよい。
【0034】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR2をコードするDNA配列を含む。
【0035】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含む。
【0036】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR4をコードするDNA配列を含む。
【0037】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR5をコードするDNA配列を含む。
【0038】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR6をコードするDNA配列を含む。
【0039】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR7をコードするDNA配列を含む。
【0040】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR9をコードするDNA配列を含む。
【0041】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR11をコードするDNA配列を含む。
【0042】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含む。
【0043】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含む。
【0044】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR15をコードするDNA配列を含む。
【0045】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR16をコードするDNA配列を含む。
【0046】
1つの例では、複数種の核酸のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含む。
【0047】
本開示による複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiR、すなわち、shmiR2~7、shmiR9、shmiR11、及びshmiR13~17をコードする最大10種の核酸、例えば、2種の核酸、3種の核酸、4種の核酸、5種の核酸、6種の核酸、7種の核酸、8種の核酸、9種の核酸または10種の核酸を含んでいてもよい。1つの例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の2種の核酸を含む。別の例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の3種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の4種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の5種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の6種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の7種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の8種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の9種の核酸を含む。1つの例では、複数種のRNAは、それぞれが本明細書に記載のshmiRをコードする本開示の10種の核酸を含む。本明細書に記載する例のいずれかによれば、複数種のうちの1種または複数種の核酸は、本明細書に記載のshRNAをコードしてもよい。
【0048】
1つの例では、本開示の複数種の核酸は、本明細書に記載のshmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14及びshmiR17からなる群から選択されるshmiRをコードするDNA配列をそれぞれが含む少なくとも2種の核酸を含む。
【0049】
1つの例示的な本開示の複数種の核酸は、本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含む1種の核酸及び本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含む別の核酸を含む。
【0050】
別の例示的な本開示の複数種の核酸は、本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含む1種の核酸及び本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含む別の核酸を含む。
【0051】
複数種の核酸を提供する例によれば、核酸のうちの2種以上は同一ポリヌクレオチドの別々の部位を形成してもよい。別の例では、複数種の核酸のうちの2種以上はそれぞれ、異なるポリヌクレオチドの部位を形成する。
【0052】
本開示による核酸またはそれぞれの核酸は、1つまたは複数の転写ターミネーター配列を含むかまたはそれらと機能的に連結してもよい。例えば、核酸またはそれぞれの核酸は、shmiRをコードする配列の3´末端に転写ターミネーター配列を含んでいてもよい。このような配列はプロモーターの選択に依存するが、当業者に周知である。しかしながら、本開示の核酸または複数種の核酸に使用するプロモーター及び転写ターミネーター配列の好適な選択肢について本明細書に記載する。
【0053】
代替的にまたは加えて、本開示による核酸またはそれぞれの核酸は、転写イニシエーター配列を含むかまたはそれらと機能的に連結してもよい。例えば、核酸またはそれぞれの核酸は、shmiRをコードする配列の5´末端に転写イニシエーター配列を含んでいてもよい。このような配列は当業者に周知である。
【0054】
代替的にまたは加えて、本開示による核酸またはそれぞれの核酸は、例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内への核酸(複数可)のクローニングを促進するための1つまたは複数の制限部位を含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の核酸は、本開示のshmiRをコードする配列の上流及び/または下流に制限部位を含んでいてもよい。好適な制限酵素認識配列は当業者に周知である。
【0055】
本開示による核酸または本明細書に記載の複数種の核酸はまた、本開示の核酸(複数可)がコードする1種または複数種のshmiRを発現可能なDNA特異的RNA干渉(ddRNAi)構築物の形態で提供され得るかまたはその構築物内に含まれ得る。
【0056】
1つの例では、ddRNAi構築物は、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物を標的とする少なくとも2種のshmiR(そのそれぞれは互いに異なる)をddRNAi構築物がコードするように、本開示の少なくとも2種の核酸を含む。
【0057】
1つの例では、ddRNAi構築物内における少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:1、2、4、7、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。それゆえ、この例によるddRNAi構築物は、本明細書に記載のshmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14及びshmiR17から選択される2種のshmiRをコードする。
【0058】
本開示のddRNAi構築物の1つの例は、
配列番号:15に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:15に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:14に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR2)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:17に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:17に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:16に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:21に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:21に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:20に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR5)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:27に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:27に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:26に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR9)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:31に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:30に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:33に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:32に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:39に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:38に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される少なくとも2種の核酸を含む。
【0059】
1つの例では、ddRNAi構築物は、
配列番号:56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される少なくとも2種の核酸を含む。
【0060】
1つの例では、ddRNAi構築物内における少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:2、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。それゆえ、この例によるddRNAi構築物は、本明細書に記載のshmiR3、shmiR13、shmiR14及びshmiR17から選択される2種のshmiRをコードする。
【0061】
本開示のddRNAi構築物の1つの例は、
配列番号:17に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:17に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:16に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:31に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:30に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:33に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:32に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:39に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:38に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される少なくとも2種の核酸を含む。
【0062】
1つの例では、ddRNAi構築物は、
配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される少なくとも2種の核酸を含む。
【0063】
本開示の1つの例示的なddRNAi構築物は、
(a)配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含む。
【0064】
この例によるddRNAi構築物は、
(a)配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含んでいてもよい。
【0065】
本開示の別の例示的なddRNAi構築物は、
(a)配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含む。
【0066】
この例によるddRNAi構築物は、
(a)配列番号:57(shmiR3)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:65(shmiR14)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含んでいてもよい。
【0067】
1つの例では、本明細書に記載のddRNAi構築物は、本開示のshmiRをコードする核酸またはそれぞれの核酸に機能的に連結する単一のプロモーターを含む。別の例では、本開示のshmiRをコードするそれぞれの核酸は別々のプロモーターに機能的に連結する。例えば、プロモーター(複数可)は、shmiR(複数可)をコードする対応する核酸(複数可)の上流に配置される。
【0068】
ddRNAi構築物が複数のプロモーターを含む例によれば、それらプロモーターは同一であるかまたは異なっていてもよい。採用され得る例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。採用され得るその他のプロモーターは、例えば、U6プロモーター及びH1プロモーターなどのRNA pol IIIプロモーターである。例示的なU6プロモーターは、U6-1プロモーター、U6-8プロモーター及びU6-9プロモーターである。
【0069】
本明細書に記載の複数種の核酸はまた、本開示の核酸(複数可)がコードする1種または複数種のshmiRをそれぞれが発現可能な複数種のddRNAi構築物の形態で提供され得るかまたはその構築物内に含まれ得る。例えば、複数種の核酸のそれぞれの核酸は、別々のddRNAi構築物の形態で提供され得るかまたはその構築物内に含まれ得る。
【0070】
1つの例では、複数種のddRNAi構築物は、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物を標的とする少なくとも2種のshmiR(そのそれぞれは互いに異なる)をddRNAi構築物が集合的にコードするように、本明細書に記載の複数種の核酸のうちの核酸をそれぞれが含む少なくとも2種のddRNAi構築物を含む。
【0071】
1つの例では、少なくとも2種のddRNAi構築物のそれぞれは、配列番号:1、2、4、7、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。それゆえ、この例による複数種のddRNAi構築物は集合的に、本明細書に記載のshmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14及びshmiR17から選択される2種のshmiRをコードする。
【0072】
本開示の複数種のddRNAi構築物の1つの例は、
配列番号:15に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:15に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:14に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR2)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:17に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:17に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:16に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:21に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:21に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:20に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR5)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:27に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:27に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:26に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR9)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:31に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:31に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:30に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:33に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:33に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:32に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:39に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:38に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
からなる群から選択される少なくとも2種のddRNAi構築物を含む。
【0073】
1つの例では、複数種のddRNAi構築物は、
配列番号:56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
からなる群から選択される少なくともddRNAi構築物を含む。
【0074】
1つの例では、少なくとも2種のddRNAi構築物のそれぞれは、配列番号:2、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。それゆえ、この例による複数種のddRNAi構築物は集合的に、本明細書に記載のshmiR3、shmiR13、shmiR14及びshmiR17から選択される2種のshmiRをコードする。
【0075】
本開示の複数種のddRNAi構築物の1つの例は、
配列番号:17に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:17に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:16に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:31に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:31に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:30に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:33に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:33に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:32に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:39に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:38に記載のエフェクター相補配列、を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
からなる群から選択される少なくとも2種のddRNAi構築物を含む。
【0076】
1つの例では、少なくとも2種のddRNAi構築物は、
配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
からなる群から選択される。
【0077】
1つの例示的な本開示の複数種のddRNAi構築物は、
(a)配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
(b)配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
を含む。
【0078】
この例による複数種のddRNAi構築物は、
(a)配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
(b)配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
を含んでいてもよい。
【0079】
別の例示的な本開示の複数種のddRNAi構築物は、
(a)配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
(b)配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
を含む。
【0080】
この例による複数種のddRNAi構築物は、
(a)配列番号:57(shmiR3)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、及び、
(b)配列番号:65(shmiR14)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸、を含むddRNAi構築物、
を含んでいてもよい。
【0081】
本明細書に記載の複数種のddRNAi構築物のそれぞれのddRNAi構築物は、ddRNAi構築物内に含まれる、shmiRをコードする核酸またはそれぞれの核酸に機能的に連結する単一のプロモーターを含む。複数種のddRNAi構築物のddRNAi構築物がshmiRをコードする2種以上の核酸を含む場合、それぞれの核酸は、同一のプロモーターに機能的に連結するかまたは別々のプロモーターに機能的に連結してもよい。複数種のddRNAi構築物について説明した上の例のそれぞれでは、プロモーター(複数可)は、shmiR(複数可)をコードする対応する核酸(複数可)の上流に配置される。
【0082】
採用され得る例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。採用され得るその他のプロモーターは、例えば、U6プロモーター及びH1プロモーターなどのRNA pol IIIプロモーターである。例示的なU6プロモーターは、U6-1プロモーター、U6-8プロモーター及びU6-9プロモーターである。複数種のddRNAi構築物の対応するddRNAi構築物内に含まれるプロモーターは同一であるかまたは異なっていてもよい。
【0083】
本開示はまた、
(a)本明細書に記載のddRNAi構築物、及び、
(b)ddRNAi構築物がコードするshmiR(複数可)が標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物、
を含むDNA構築物を提供する。機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、そのmRNA転写物がddRNAi構築物のshmiRによって標的とされないようにコドン最適化されることが好ましい。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質は、例えば、配列番号:74に記載の配列を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質である。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は配列番号:73に記載されている。
【0084】
DNA構築物は1つまたは複数のプロモーターを含んでいてもよい。本開示のDNA構築物に使用する例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。
【0085】
1つの例によれば、DNA構築物はPABPN1構築物とddRNAi構築物に機能的に連結するプロモーターを含み、そのプロモーターはPABPN1構築物とddRNAi構築物の上流に配置される。
【0086】
1つの例では、DNA構築物は、5´→3´方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、Spc512、
(b)ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物、及び、
(c)本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物、
を含む。
【0087】
別の例では、DNA構築物は、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、Spc512、
(b)ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物、及び、
(c)本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物、
を含む。
【0088】
別の例では、PABPN1構築物とddRNAi構築物はそれぞれ、DNA構築物内における別々のプロモーターに機能的に連結する。例えば、PABPN1構築物と機能的に連結するプロモーターは、PABPN1構築物内に含まれる、機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列に機能的に連結する。ddRNAi構築物と機能的に連結するプロモーターまたはそれぞれのプロモーターは、ddRNAi構築物内に含まれる、本開示のshmiRをコードする1種または複数種の核酸と機能的に連結する。本開示のDNA構築物に使用する例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。
【0089】
この例による1種のDNA構築物は、5´→3´方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物の上流に配置されるCK8プロモーター、及び、
(b)筋特異的プロモーター、例えば、ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物の上流に配置されるSpc512プロモーター、
を含む。
【0090】
この例による別のDNA構築物は、5´→3´方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物の上流に配置されるCK8プロモーター、及び、 (b)筋特異的プロモーター、例えば、ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物の上流に配置されるSpc512プロモーター、
を含む。
【0091】
本開示のDNA構築物内に含まれる、shmiR13とshmiR17をコードする例示的なddRNAi構築物は、配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:31に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:39に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。例えば、DNA構築物のこの例によるddRNAi構築物は、配列番号:64に記載のDNA配列(shmiR13)を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:68に記載のDNA配列(shmiR17)を含むかまたはそれからなる核酸、を含んでいてもよい。
【0092】
本開示のDNA構築物内に含まれる、shmiR3とshmiR14をコードする例示的なddRNAi構築物は、配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:17に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:33に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:34に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。例えば、DNA構築物のこの例によるddRNAi構築物は、配列番号:57に記載のDNA配列(shmiR3)を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:65に記載のDNA配列(shmiR14)を含むかまたはそれからなる核酸、を含んでいてもよい。
【0093】
本開示はまた、本開示のddRNAi構築物もしくは本開示の複数種のddRNAi構築物または本開示のDNA構築物を含む発現ベクターを提供する。
【0094】
本開示はまた、そのそれぞれが本開示のddRNAi構築物を含む複数種の発現ベクターを提供する。例えば、複数種の発現ベクターのうちの1種または複数種は、本明細書で開示する複数種のddRNAi構築物を含む。別の例では、複数種の発現ベクターのそれぞれの発現ベクターは、本明細書で開示する複数種のddRNAi構築物を含む。更なる例では、複数種の発現ベクターのそれぞれの発現ベクターは、本明細書に記載の単一のddRNAi構築物を含む。本パラグラフ中における上記様式のいずれかでは、複数種の発現ベクターは、本開示による複数種のshmiRを集合的に発現し得る。
【0095】
本開示はまた、
(a)本開示の1種または複数種のddRNAi構築物を含む発現ベクター、及び、
(b)ddRNAi構築物がコードするshmiR(複数可)が標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物を含む発現ベクター、
を含む複数種の発現ベクターを提供する。
【0096】
機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、そのmRNA転写物がddRNAi構築物のshmiRによって標的とされないようにコドン最適化されることが好ましい。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質は、例えば、配列番号:74に記載の配列を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質である。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は配列番号:73に記載されている。
【0097】
1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、PABPN1構築物内に含まれ機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列の上流に配置されるプロモーターに機能的に連結してもよい。別の例では、PABPN1構築物を含む発現ベクターは、PABPN1構築物の上流にあり機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列と機能的に連結するプロモーターを含む。本開示の発現ベクター(複数可)に使用する例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。
【0098】
1つの例では、発現ベクターまたはそれぞれの発現ベクターはプラスミドまたはミニサークルである。
【0099】
1つの例では、プラスミド、ミニサークル、発現ベクターまたはddRNAi構築物は、カチオン性DNA結合ポリマー、例えば、ポリエチレンイミンと複合体を形成する。
【0100】
別の例では、発現ベクターまたはそれぞれの発現ベクターはウイルスベクターである。例えば、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター(AdV)及びレンチウイルス(LV)ベクターからなる群から選択される。
【0101】
本開示はまた、本明細書に記載のddRNAi構築物及び/または複数種のddRNAi構築物及び/または発現ベクター及び/または複数種の発現ベクターを含む組成物を提供する。1つの例では、組成物はまた、1種または複数種の薬学的に許容される担体及び/または希釈剤を含んでいてもよい。
【0102】
本開示はまた、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の対象における発現を阻害するための方法を提供し、上記方法は、本明細書に記載の核酸、複数種の核酸、ddRNAi構築物、複数種のddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、複数種の発現ベクター、または組成物を対象に投与することを含む。
【0103】
本開示はまた、OPMDを患う対象においてそれを治療するための方法を提供し、その方法は、本明細書に記載の核酸、複数種の核酸、ddRNAi構築物、複数種のddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、複数種の発現ベクター、または組成物を対象に投与することを含む。本方法は、複数種の発現ベクターを共に、同時にまたは連続で対象に投与することを含んでいてもよい。
【0104】
本開示はまた、
(a)OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1種または複数種の薬剤(上記薬剤(複数可)は、本明細書に記載の核酸、複数種の核酸、ddRNAi構築物、複数種のddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、複数種の発現ベクター、または組成物から選択される)、及び、
(b)(a)の薬剤により発現されるshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクター、
を含むキットを提供する。
【0105】
機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、そのmRNA転写物が、(a)の薬剤がコードするshmiRによって標的とされないように、コドン最適化されることが好ましい。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質は、例えば、配列番号:74に記載の配列を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質である。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は配列番号:73に記載されている。
【0106】
機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、(b)の発現ベクター内に含まれ機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列の上流に配置されるプロモーターに機能的に連結してもよい。(b)の発現ベクターに使用する例示的なプロモーターは、例えば、Spc512プロモーターまたはCK8プロモーターなどの筋特異的プロモーターである。
【0107】
本開示はまた、別々の構成成分としてパッケージ化された本明細書に記載の複数種の発現ベクターを含むキットを提供する。
【0108】
本開示はまた、本開示の方法に使用するための取扱説明書と共にパッケージ化された、本明細書に記載の核酸、複数種の核酸、ddRNAi構築物、複数種のddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、複数種の発現ベクター、または組成物を含むキットを提供する。
【0109】
1つの例では、本明細書に記載のキットは、本明細書に記載の方法に従ってOPMDを治療するのに使用される。
【0110】
本開示はまた、例えば、対象におけるOPMDを治療するための薬剤の調製における、及び/または、本明細書で開示する方法における、本明細書に記載の核酸、複数種の核酸、ddRNAi構築物、複数種のddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、複数種の発現ベクター及び/または組成物の使用を提供する。
【0111】
本開示はまた、治療に使用するための、本明細書に記載の核酸、複数種の核酸、ddRNAi構築物、複数種のddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、複数種の発現ベクター及び/または組成物を提供する。例えば、核酸、複数種の核酸、ddRNAi構築物、複数種のddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、複数種の発現ベクター及び/または組成物は、OPMDを患うまたはOPMDに罹患しやすい対象におけるOPMDの治療に使用するもの、及び/または、本明細書で開示する方法に使用するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1】5´隣接領域、siRNAセンス鎖、ステム/ループ接合部配列、siRNAアンチセンス鎖及び3´隣接領域を含む代表的なshmiR構築物の予測二次構造を示す図である。
【
図2】shmiR2~17と呼ばれるshmiRのアンチセンス配列及びセンス配列を有するshmiRのHEK293細胞におけるwtPABPN1阻害活性をpsilencer対照と比較して示す図である。このグラフは、shmiR11を除く全てのshmiRがwtPABPN1ルシフェラーゼレポーター由来のルシフェラーゼ発現のレベルを下方制御したことを示している。
【
図3】shmiR2~17と呼ばれるshmiRのアンチセンス配列及びセンス配列を有するshmiRのHEK293細胞におけるoptPABPN1阻害活性をpsilencer対照と比較して示す図である。このグラフは、optPABPN1ルシフェラーゼレポーター由来の発現の下方制御がなかったことを示している。
【
図4】
図4(A)は、shmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14、shmiR16またはshmiR17をコードするプラスミドをトランスフェクションしたHEK293T細胞で発現したFLAGタグ付きwtPABPN1タンパク質のレベルをHsp90タンパク質と比較して示すウェスタンブロットである。これは、選択したshmiRの全てがwtPABPN1の発現をノックダウンしたことを示している。
図4(B)は、HEK293細胞におけるFLAGタグ付きwtPABPN1タンパク質の阻害率をpsilencer対照と比較して示す図である。このグラフは、選択したshmiRの全てがwtPABPN1の発現を阻害率>90%(
図4(A)のウェスタンブロットの濃度測定解析により確認した)でノックダウンしたことを示している。
【
図5】
図5(A)は、shmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14、shmiR16またはshmiR17をコードするshmiRプラスミドをトランスフェクションしたHEK293T細胞で発現したFLAGタグ付きコドン最適化PABPN1タンパク質のレベルをHsp90タンパク質と比較して示すウェスタンブロットである。これは、どのshmiRもコドン最適化PABPN1構築物の発現産物の阻害をもたらさなかったことを示している。
図5(B)は、HEK293細胞におけるFLAGタグ付きコドン最適化PABPN1タンパク質の阻害率をpsilencer対照と比較して示す図である。このグラフは、どのshmiRもコドン最適化PABPN1構築物の発現産物の阻害をもたらさなかった(
図5(A)のウェスタンブロットの濃度測定解析により確認した)ことを示している。
【
図6】HEK293T細胞における、shmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14、shmiR16またはshmiR17による内在性wtPABPN1発現の阻害率(qPCR解析により確認した)を示す図である。このグラフは、shmiRがwtPABPN1の発現を16.4%~49.1%の範囲の阻害率(平均35.5%)で下方制御したことを示している。
【
図7】shmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14、shmiR16またはshmiR17による阻害に応じた、C2C12細胞における内在性PABPN1発現の阻害率(qPCR解析により確認した)を示す図である。このグラフは、shmiR16(約43%の阻害率)を除く個々のshmiRの全てが、pSilencer対照と比較して、C2C12細胞におけるPABPN1の発現を約80%の平均阻害率で下方制御したことを示している。
【
図8】C2C12細胞における、個々のshmiR13、shmiR17、shmiR3及びshmiR14、ならびに、shmiR13とshmiR17の組み合わせ(shmiR13/17)及びshmiR3とshmiR14の組み合わせ(shmiR3/14)のshmiRによるPABPN1発現の阻害率(qPCR解析により確認した)を示す図である。このグラフは、shmiR13/17共トランスフェクションが、それぞれ個々のshmiR13とshmiR17における92.5%と76.7%と比較して84.4%のPABPN1発現の阻害率をもたらし、shmiR3/14共トランスフェクションが、それぞれ個々のshmiR3とshmiR14における76.2%と80.4%と比較して79.0%の阻害率をもたらしたことを示している。
【
図9】ARPE-19細胞における、個々のshmiR13、shmiR17、shmiR3及びshmiR14、ならびに、shmiR13とshmiR17の組み合わせ(shmiR13/17)及びshmiR3とshmiR14の組み合わせ(shmiR3/14)によるPABPN1発現の阻害率(qPCR解析により確認した)を示す図である。このグラフは、ARPE-19細胞におけるPABPN1発現の阻害率が48時間と72時間の間で1.14倍上昇したことを示している。
【
図10】
図10(A)は、shmiR13、shmiR14及びshmiR17をトランスフェクションしたC2C12細胞内で発現したshmiRの総数を測定するqPCRにより得られた標準曲線を示す図である。
図10(B)は、shmiR3をトランスフェクションしたC2C12細胞内で発現したshmiRの総数を測定するqPCRにより得られた非線形標準曲線を示す図である。
【
図11】shmiR3、shmiR13、shmiR14及びshmiR17を発現するshmiRベクターを形質導入したC2C12細胞における上記shmiRの発現のレベルを示す図である。
【
図12】
図12(A)は、内在性PABPN1の遺伝子サイレンシングと、wtPABPN1を標的とする2種のshmiRをpAAV2ベクター骨格におけるコドン最適化PABPN1転写物の3´非翻訳領域にサブクローニングすることにより作製したコドン最適化PABPN1への置換を同時に行うための構築物を示す概略図である。
図12(B)は、内在性PABPN1の遺伝子サイレンシングと、wtPABPN1を標的とする2種のshmiRをoptPABPN1の上流にある配列にサブクローニングすることにより作製したコドン最適化PABPN1への置換を同時に行うための構築物を示す概略図である。
【
図13】AAV9-eGFP注射後のマウス四肢におけるインビボ蛍光を示す図である。
【
図14】内在性PABPN1の遺伝子サイレンシングと、wtPABPN1を標的とする2種のshmiR(shmiR17及びshmiR13)をpAAV2ベクター骨格におけるコドン最適化PABPN1転写物の3´非翻訳領域にサブクローニングすることにより作製したコドン最適化PABPN1への置換を同時に行うために設計されたSR-構築物を示す概略図である。
【
図15】サイレンシング置換構築物(以下「SR-構築物」)で治療したA17マウスにおけるPABPN1の阻害率を示し、高用量と低用量の両方においてPABPN1の強力な阻害が達成されていることを示す図である。
【
図16】高用量及び低用量のSR-構築物で治療したA17マウスにおけるコドン最適化PABPN1の発現のレベルを野生型PABPN1(変異形態を含む)と比較して示す図である。
【
図17】(i)生理食塩水で治療したA17マウス、(ii)生理食塩水で治療したFvBマウス、(iii)高用量及び低用量のSR-構築物で治療したA17マウス由来の前脛骨筋(TA)の切片内における、PABPN1とラミニンを検出するための免疫蛍光組織化学を示す図である。PABPN1陽性核内封入体(INI)の数は、SR-構築物(高用量と低用量の両方)で治療したマウス由来の筋肉において有意に減少している。
【
図18】(i)生理食塩水で治療したA17マウス、(ii)生理食塩水で治療したFvBマウス、(iii)高用量及び低用量のSR-構築物で治療したA17マウス由来の前脛骨筋(TA)の切片内における、INIを含有する核のレベル(パーセンテージで表す)を示す図である。このグラフは、SR-構築物(高用量と低用量の両方)による治療が、生理食塩水を注射したA17の筋肉と比較してINIの量を約10%に低下させることを示している。
【
図19】(i)生理食塩水で治療したA17マウス、(ii)生理食塩水で治療したFvBマウス、(iii)高用量及び低用量のSR-構築物で治療したA17マウスから切除した前脛骨筋(TA)の重量を示す図である。このグラフは、SR-構築物(高用量と低用量の両方)による治療が、筋肉量をFvB動物の野生型レベル付近に回復させることを示している。全ての筋肉測定は14週目または20週目の屠殺日に実施した。
【
図20】(i)生理食塩水で治療したA17マウス、(ii)生理食塩水で治療したFvBマウス、(iii)高用量及び低用量のSR-構築物で治療したA17マウスから切除した前脛骨筋(TA)の最大等尺力を示す図である。このグラフは、SR-構築物(高用量と低用量の両方)を用いた治療により、FvB野生型動物と比較した際にA17マウスに認められたおおよそ66%の筋力低下の差が回復したことを示している。全ての筋肉測定は14週目または20週目の屠殺日に実施した。統計値は、A17生理食塩水マウスと比較した対応のないt検定で示している。
*p<0.05、
**p<0.01。
【0113】
主な配列表
配列番号:1: PABPN1 mRNA領域2と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:2: PABPN1 mRNA領域3と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:3: PABPN1 mRNA領域4と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:4: PABPN1 mRNA領域5と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:5: PABPN1 mRNA領域6と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:6: PABPN1 mRNA領域7と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:7: PABPN1 mRNA領域9と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:8: PABPN1 mRNA領域11と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:9: PABPN1 mRNA領域13と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:10: PABPN1 mRNA領域14と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:11: PABPN1 mRNA領域15と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:12: PABPN1 mRNA領域16と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:13: PABPN1 mRNA領域17と呼ばれる、PABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域のRNA配列。
配列番号:14: shmiR2と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。配列番号:15: shmiR2と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:16: shmiR3と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。配列番号:17: shmiR3と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:18: shmiR4と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。配列番号:19: shmiR4と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:20: shmiR5と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。配列番号:21: shmiR5と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:22: shmiR6と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。配列番号:23: shmiR6と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:24: shmiR7と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。配列番号:25: shmiR7と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:26: shmiR9と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。配列番号:27: shmiR9と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:28: shmiR11と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。
配列番号:29: shmiR11と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:30: shmiR13と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。
配列番号:31: shmiR13と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:32: shmiR14と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。
配列番号:33: shmiR14と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:34: shmiR15と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。
配列番号:35: shmiR15と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:36: shmiR16と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。
配列番号:37: shmiR16と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:38: shmiR17と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター相補配列。
配列番号:39: shmiR17と呼ばれるshmiRのRNAエフェクター配列。
配列番号:40: shmiRのRNAステムループ配列
配列番号:41: pri-miRNA骨格の5´隣接配列。
配列番号:42: pri-miRNA骨格の3´隣接配列。
配列番号:43: shmiR2と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:44: shmiR3と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:45: shmiR4と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:46: shmiR5と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:47: shmiR6と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:48: shmiR7と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:49: shmiR9と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:50: shmiR11と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:51: shmiR13と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:52: shmiR14と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:53: shmiR15と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:54: shmiR16と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:55: shmiR17と呼ばれるshmiRのRNA配列。
配列番号:56: shmiR2と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:57: shmiR3と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:58: shmiR4と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:59: shmiR5と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:60: shmiR6と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:61: shmiR7と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:62: shmiR9と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:63: shmiR11と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:64: shmiR13と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:65: shmiR14と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:66: shmiR15と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:67: shmiR16と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:68: shmiR17と呼ばれるshmiRをコードするDNA配列。
配列番号:69: 筋特異的CK8プロモーターの制御下でshmiR3及びshmiR14を、Spc512の制御下でコドン最適化PABPN1をコードする二重構築物1型のDNA配列
配列番号:70: 筋特異的CK8プロモーターの制御下でshmiR17及びshmiR13を、Spc512の制御下でコドン最適化PABPN1をコードする二重構築物1型のDNA配列
配列番号:71: Spc512の制御下でcoPABPN1ならびにshmiR3及びshmiR14と呼ばれるshmiRをコードする二重構築物2型のDNA配列。
配列番号:72: Spc512の制御下でcoPABPN1ならびにshmiR17及びshmiR13と呼ばれるshmiRをコードする二重構築物2型のDNA配列。
配列番号:73 ヒトコドン最適化PABPN1 cDNA配列のDNA配列。
配列番号:74 コドン最適化ヒトPABPN1タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号:75 FLAGタグを有する野生型ヒトPABPN1タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号:76 FLAGタグを有するコドン最適化ヒトPABPN1タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号:77 wtPABPN1-Fwdと呼ばれるプライマーのDNA配列。
配列番号:78 wtPABPN1-Revと呼ばれるプライマーのDNA配列
配列番号:79 wtPABPN1-Probeと呼ばれるプローブのDNA配列
配列番号:80 optPABPN1-Fwdと呼ばれるプライマーのDNA配列
配列番号:81 optPABPN1-Revと呼ばれるプライマーのDNA配列
配列番号:82 optPABPN1-Probeと呼ばれるプローブのDNA配列
配列番号:83 shmiR3-FWDと呼ばれるプライマーのDNA配列
配列番号:84 shmiR13-FWDと呼ばれるプライマーのDNA配列
配列番号:85 shmiR14-FWDと呼ばれるプライマーのDNA配列
配列番号:86 shmiR17-FWDと呼ばれるプライマーのDNA配列
【発明を実施するための形態】
【0114】
一般
本明細書の全体にわたり、特に明記しない限り、または、文脈上特に必要としない限り、単一の工程、物質の特性、組成物、工程の群、または、物質の特性もしくは組成物の群への言及は、これら工程、物質の特性、組成物、工程の群、または、物質の特性もしくは組成物の群のうちの1つ及び複数(すなわち、1つまたは複数)を包含すると解釈されるべきである。
【0115】
本開示において具体的に記載されている変形形態及び変更以外の変形形態及び変更を本開示が実施可能であることを当業者は理解する。本開示が全てのこのような変形形態及び変更を含むことを理解すべきである。本開示はまた、本明細書において個別にまたは集合的に言及または示す全ての工程、特性、組成物及び化合物、ならびに、上記工程または特性の全ての組み合わせまたは任意の2つ以上を含む。
【0116】
本開示は本明細書に記載の特定の例の範囲内に限定されず、それらは例示目的に過ぎないことを意味する。機能的に同等な生成物、組成物及び方法が本開示の範囲内であることは明らかである。
【0117】
本明細書における本開示のいずれの例も、特に明記しない限り、本開示の任意のその他の例に準用されると解釈されるべきである。
【0118】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学及び生化学の)に一般に理解される意味と同一の意味を有すると解釈されるべきである。
【0119】
特に明記しない限り、本開示に利用する組換えDNA技術、組換えタンパク質技術、細胞培養技術及び免疫学的技術は、当業者に周知の標準的な方法である。このような技術については、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984),J.Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989),T.A.Brown(editor),Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991),D.M.Glover and B.D.Hames(editors),DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes 1-4,IRL Press(1995 and 1996),and F.M.Ausubel et al.(editors),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988,現在までの全ての改定版を含む),Ed Harlow and David Lane(editors)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)、及びJ.E.Coligan et al.(editors)Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(現在までの全ての改定版を含む)などの出典における文献全体にわたり記載及び説明されている。
【0120】
本明細書の全体にわたり、文脈上特に必要としない限り、用語「含む(comprise)」、または、「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形形態は、明示した工程、要素もしくは整数、または、工程、要素もしくは整数の群を包含するが、任意のその他の工程、要素もしくは整数、または、要素もしくは整数の群を除外しないことを意味するものと理解されるべきである。
【0121】
用語「及び/または」、例えば、「X及び/またはY」は、「X及びY」または「XまたはY」のいずれかのことを意味するものと理解されるべきであり、両方の意味またはいずれかの意味の明瞭な裏付けを提供するものと解釈されるべきである。
【0122】
選択した定義
「RNA」とは、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子のことを意味する。「リボヌクレオチド」とは、β-D-リボフラノース部分の2´位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドのことを意味する。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離されたRNA、例えば、部分的に精製されたRNA、実質的に純粋なRNA、合成RNA、組換え生成されたRNAなどに加えて、天然RNAとは1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換及び/または変異が異なる変異RNAを含む。このような変異としては、siRNAの末端(複数可)または内部、例えば、RNAの1つまたは複数のヌクレオチドなどへの非ヌクレオチド物質の付加を挙げることができる。本開示のRNA分子内のヌクレオチドはまた、非標準的なヌクレオチド、例えば、非天然ヌクレオチド、化学合成ヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドなどを含んでいてもよい。これらの変異RNAをアナログまたは天然RNAのアナログと呼ぶ場合もある。
【0123】
用語「RNA干渉」すなわち「RNAi」とは一般的に、細胞の細胞質内における二本鎖RNA(dsRNA)分子により開始される、遺伝子発現のRNA依存性サイレンシングのことを意味する。dsRNA分子は、標的核酸配列の転写産物を抑制または阻害することにより、遺伝子をサイレンシングするかまたはその遺伝子の発現を抑制する。
【0124】
本明細書で使用する場合、用語「二本鎖RNA」すなわち「dsRNA」とは、二本鎖構造を有し、互いに長さが類似したエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むRNA分子のことを意味する。エフェクター配列とエフェクター相補配列は、単一のRNA鎖内にあるかまたは別々のRNA鎖内にあってもよい。「エフェクター配列」(「ガイド鎖」と呼ぶ場合が多い)は標的配列に対して実質的に相補的であり、本明細書のケースにおいては、PABPN1 mRNA転写物の領域である。「エフェクター配列」はまた、「アンチセンス配列」と呼ばれることもある。「エフェクター相補配列」は、エフェクター配列にアニールして二本鎖を形成可能なように、エフェクター配列に対して十分に相補的である。これに関連すると、エフェクター相補配列は標的配列の領域に対して実質的に相同である。当業者には明らかであるが、用語「エフェクター相補配列」はまた、「エフェクター配列の相補体」またはセンス配列と呼ばれることもある。
【0125】
本明細書で使用する場合、用語「二本鎖」とは、ワトソンクリック型塩基対またはヌクレオチド配列間の相補的または実質的に相補的な安定二本鎖を可能とする任意のその他の様式のいずれかで互いに塩基対を形成する、2本の相補的もしくは実質的に相補的な核酸(例えば、RNA)内の領域、または、一本鎖核酸(例えば、RNA)の2つの相補的もしくは実質的に相補的な領域のことを意味する。二本鎖領域内において100%の相補性は必要とされず、実質的な相補性が許容されるということを当業者は理解する。実質的な相補性としては79%以上の相補性を挙げてもよい。例えば、19塩基対からなる二本鎖領域内における単一のミスマッチ(すなわち、18塩基対及び1つのミスマッチ)は94.7%の相補性となり、その二本鎖領域を実質的に相補的とする。別の例では、19塩基対からなる二本鎖領域内における2つのミスマッチ(すなわち、17塩基対及び2つのミスマッチ)は89.5%の相補性となり、その二本鎖領域を実質的に相補的とする。更に別の例では、19塩基対からなる二本鎖領域内における3つのミスマッチ(すなわち、16塩基対及び3つのミスマッチ)は84.2%の相補性となり、その二本鎖領域を実質的に相補的とする、などである。
【0126】
ステムループと呼ばれる少なくとも2ヌクレオチド配列で連結したエフェクター配列とエフェクター相補配列からなる二本鎖領域を有するようなヘアピン構造またはステムループ構造としてdsRNAを提供してもよい。ヘアピン構造またはステムループ構造としてdsRNAを提供する場合、そのdsRNAを「ヘアピンRNA」、「低分子ヘアピンRNAi薬剤」または「shRNA」と呼ぶ場合もある。ヘアピン構造またはステムループ構造で提供されるまたはそれらの構造を生じるその他のdsRNA分子としては、プライマリーmiRNA転写物(pri-miRNA)及びマイクロRNA前駆体(pre-miRNA)が挙げられる。pre-miRNA shRNAは、ステムループ構造を形成するプライマリーmiRNA転写物の領域を認識して切断する酵素DroshaとPashaの作用により、pri-miRNAから自然に生成され得る。代替的に、pri-miRNA転写物を遺伝子操作して天然ステムループ構造を人工/組換えステムループ構造に置換することができる。つまり、天然ステムループ構造を欠くpri-miRNA骨格配列に人工/組換えステムループ構造を挿入またはクローニングすることができる。pri-miRNAの一部として発現するように遺伝子操作されたステムループ配列の場合、Drosha及びPashaは人工shRNAを認識して切断する。この手法を用いて生成されたdsRNA分子は、「shmiRNA」、「shmiR」または「マイクロRNAフレームワークshRNA」として周知である。
【0127】
本明細書で使用する場合、配列に関する用語「相補的」とは、ワトソンクリック型塩基対による配列の相補性のことを意味し、それにより、グアニン(G)はシトシン(C)と対をなし、アデニン(A)はウラシル(U)またはチミン(T)の一方と対をなす。ある配列が別の配列の全長に対して相補的であってもよく、または、別の配列の特定の部分または長さに対して相補的であってもよい。UがRNA内に存在していてもよくTがDNA内に存在していてもよいということを当業者は理解する。それゆえ、RNA配列またはDNA配列のいずれか内のAは、RNA配列内のUまたはDNA配列内のTと対をなすことができる。
【0128】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に相補的」は、核酸配列間、例えば、エフェクター配列とエフェクター相補配列の間またはエフェクター配列と標的配列の間に安定かつ特異的な結合が生じるような、十分な程度の相補性または正確なペアリングがあることを示すために使用される。核酸の配列がその標的または相補体に対して100%相補的である必要がないということを理解されたい。この用語は、オーバーハングを除く別の配列に対して相補的な配列を包含する。一部の例では、配列は、1~2つのミスマッチを除きその他の配列に対して相補的である。一部の例では、配列は、1つのミスマッチを除き相補的である。一部の例では、配列は、2つのミスマッチを除き相補的である。その他の例では、配列は、3つのミスマッチを除き相補的である。更にその他の例では、配列は、4つのミスマッチを除き相補的である。
【0129】
本開示のshRNAまたはshmiRの文脈で使用される用語「コードされる」は、DNAテンプレートから転写可能なshRNAまたはshmiRのことを意味するものと理解すべきである。それゆえ、本開示のshRNAまたはshmiRをコード(encodes または codes for)する核酸は、対応するshRNAまたはshmiRを転写するためのテンプレートとして機能するDNA配列を含む。
【0130】
用語「DNA特異的RNAi構築物」すなわち「ddRNAi構築物」とは、RNAiを誘導するshRNA分子またはshmiR分子(shmiRが好ましい)を転写時に生成する、DNA配列を含む核酸のことを意味する。ddRNAi構築物は、少なくとも2ヌクレオチドのステムループで連結した二本鎖領域を有するヘアピン構造、すなわち、shRNAまたはshmiRへと自己アニール可能な単一のRNAとして、複数のshRNAまたはshmiRを有する単一のRNAとして、または、それぞれが単一のshRNAまたはshmiRのそれぞれにフォールディング可能な複数のRNA転写物として、転写される核酸を含んでいてもよい。1種または複数種の別のDNA配列を含むより大きな「DNA構築物」内におけるddRNAi構築物を提供してもよい。例えば、DNA配列のmRNA転写物がddRNAi構築物のshmiRによって標的とされないようにコドン最適化された、機能性PABPN1タンパク質をコードする更なるDNA配列、を含むDNA構築物内におけるddRNAi構築物を提供してもよい。ddRNAi構築物、及び/または、そのddRNAi構築物を含むDNA構築物は、発現ベクター内にあってもよく、例えば、プロモーターに機能的に連結する。
【0131】
本明細書で使用する場合、用語「機能的に連結する」または「機能的な連結」(またはその類似用語)とは、コード核酸配列が、調節配列、例えば、プロモーターにコード配列の発現を促進するような様式で連結するまたはと共同することを意味する。調節配列としては、技術分野において認知されているプロモーター、エンハンサー及びその他の発現制御エレメントが挙げられ、コード配列の発現を誘導するために選択される。
【0132】
「ベクター」は、核酸を細胞内に導入するための媒介物を意味するものと理解される。ベクターとしては、プラスミド、ファージミド、ウイルス、細菌、及び、ウイルス源または細菌源に由来する媒介物が挙げられるがこれらに限定されない。「プラスミド」は環状の二本鎖DNA分子である。本開示に使用するための有用なタイプのベクターはウイルスベクターであり、修飾を行い1つまたは複数のウイルス遺伝子またはその一部を欠損可能なウイルスゲノム内に非相同DNA配列が挿入されている。特定のベクター(例えば、宿主細胞内において機能する複製起点を有するベクター)は宿主細胞内において自律複製可能である。その他のベクターを宿主細胞のゲノム内に安定的に組み込むことにより、宿主ゲノムと共に複製することができる。本明細書で使用する場合、用語「発現ベクター」は、本開示のRNA分子を発現可能なベクターを意味するものと理解される。
【0133】
「機能性PABPN1タンパク質」は、野生型PABPN1タンパク質の機能特性、例えば、哺乳動物細胞内におけるmRNAポリアデニル化及び/またはイントロンスプライシングの部位を制御する機能を有するPABPN1タンパク質を意味するものと理解すべきである。それゆえ、「機能性PABPN1タンパク質」は、対象内で発現するまたは存在する場合にOPMDの原因とはならないPABPN1タンパク質であると理解される。1つの例では、本明細書における「機能性PABPN1タンパク質」への言及は、ヒト野生型PABPN1タンパク質への言及である。ヒト野生型PABPN1タンパク質の配列はNCBI RefSeq NP_004634に記載されている。それゆえ、機能性ヒトPABPN1タンパク質は、NCBI RefSeq NP_004634に記載のヒトPABPN1タンパク質のインビボ機能特性を有し得る。
【0134】
本明細書で使用する場合、用語「治療すること」、「治療する」または「治療」及びその変形形態とは、治療する個体または細胞の自然経過を臨床病理学の経過中に変化させることを目的とした臨床介入のことを意味する。治療の望ましい効果としては、疾患進行の速度を低下させること、病態を緩和または軽減すること、及び、寛解または優れた予後が挙げられる。当然ながら、OPMDの治療は、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の対象内における発現を抑制または阻害すること、及び/または、正常な長さのポリアラニン残基を有するPABPN1タンパク質を対象内において発現させることを含む。OPMDの治療は、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の対象内における発現を抑制または阻害すること、及び、正常な長さのポリアラニン残基を有するPABPN1タンパク質を対象内において発現させることを含むことが好ましい。例えば、上記治療結果のうちの1つまたは複数が達成される場合、個体は成功裏に「治療される」。
【0135】
「治療有効量」は、OPMD症状における測定可能な改善、例えば、対象における眼瞼下垂、嚥下困難及び筋力低下が挙げられるがこれらに限定されないOPMDの1種または複数種の症状における測定可能な改善などを達成するのに必要な少なくとも最低限の濃度または量のことである。本明細書における治療有効量は、患者の病態、年齢、性別及び体重、ならびに、個体における所望の反応を誘導するshmiR、そのshmiRをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物の機能、及び/または、対象において機能性PABPN1タンパク質を発現する発現ベクターの機能などの因子に応じて様々であり得る。治療有効量はまた、単独でまたは機能性PABPN1タンパク質の対象における発現の治療上の有益な作用と組み合わせて検討する場合、shmiR、そのshmiRをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物の任意の毒性または有害作用よりも、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害、抑制または低下させるためのshmiR、そのshmiRをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物の治療上の有益な作用がまさる治療有効量のことである。
【0136】
本明細書で使用する場合、「対象」または「患者」は、OPMDを患うまたは遺伝的にOPMDに罹患しやすい、すなわち、OPMDの原因となるPABPN1遺伝子変異を有する、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。「非ヒト動物」は、霊長類、家畜(例えば、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ロバ)、伴侶動物(例えば、イヌ及びネコなどのペット)、臨床試験用動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエ、C.elegans、ゼブラフィッシュ)、パフォーマンス動物(例えば、競走馬、ラクダ、グレーハウンド)、または、捕獲野生動物であってもよい。1つの例では、対象または患者は哺乳動物である。1つの例では、対象または患者はヒトである。
【0137】
用語「発現抑制」、「発現の抑制」またはその類似用語とは、標的遺伝子、例えば、PABPN1遺伝子由来のタンパク質及び/またはmRNA産物のレベルにおける欠如または観察可能な低下のことを意味する。低下は完全である必要はないが、本開示のshmiR、そのshmiRをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物によってRNAiが影響を受けた結果として、検出可能または観察可能な変化をもたらすのに十分な部分的な低下であり得る。shmiR、そのshmiRをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物を欠く細胞を基準として、標的核酸由来のmRNA及び/またはタンパク質産物のレベルにおける低下を測定することにより、低下を測定することができ、その低下は、わずか1%、5%または10%ほどの阻害であってもよく、または、完全、すなわち、100%の阻害であってもよい。細胞または生体における外部の特性、すなわち、定量的及び/または定性的な表現型を検査することによって低下の効果を測定してもよく、本開示のshmiR、そのshmiRをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物を投与した後の細胞または生体内における、expPABPN1の核凝集の量の存在または変化を検出することも含んでいてもよい。
【0138】
RNAi用試薬
1つの例では、本開示は、低分子ヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸を提供し、上記shmiRは、
少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列、
エフェクター相補配列、
ステムループ配列、及び、
プライマリーマイクロRNA(pri-miRNA)骨格、
を含み、
エフェクター配列は、配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である。エフェクター配列は30ヌクレオチド長未満であることが好ましい。例えば、好適なエフェクター配列は17~29ヌクレオチド長の範囲であってもよい。特に好ましい例では、エフェクター配列は21ヌクレオチド長である。エフェクター配列が21ヌクレオチド長であり、エフェクター相補配列が20ヌクレオチド長であることがより好ましい。
【0139】
1つの例では、shmiRは、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0140】
1つの例では、shmiRは、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0141】
1つの例では、shmiRは、配列番号:3に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:3に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:3に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:3に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:3に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:3に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0142】
1つの例では、shmiRは、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0143】
1つの例では、shmiRは、配列番号:5に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:5に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:5に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:5に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:5に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:5に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0144】
1つの例では、shmiRは、配列番号:6に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:6に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:6に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:6に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:6に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:6に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0145】
1つの例では、shmiRは、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0146】
1つの例では、shmiRは、配列番号:8に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:8に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:8に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:8に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:8に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:8に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0147】
1つの例では、shmiRは、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0148】
1つの例では、shmiRは、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0149】
1つの例では、shmiRは、配列番号:11に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:11に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:11に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:11に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:11に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:11に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0150】
1つの例では、shmiRは、配列番号:12に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:12に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:12に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:12に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:12に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:12に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0151】
1つの例では、shmiRは、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して4つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して3つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して2つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなりそれと比較して1つのミスマッチ塩基を含有するRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であってもよい。例えば、エフェクター配列は、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して100%相補的であってもよい。
【0152】
本開示のshmiRのエフェクター配列が本明細書に記載のPABPN1 miRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり、そのPABPN1 miRNA転写物と比較して1、2、3または4つのミスマッチ塩基(複数可)を含有する例によれば、それらミスマッチ(複数可)が、shmiRのシード領域、すなわち、エフェクター配列のヌクレオチド2~8に相当する領域内に位置していないことが好ましい。
【0153】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:14に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:14に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:15に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:15に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:15に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:14に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR2」と呼ぶ。
【0154】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:16に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:16に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:17に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:17に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:17に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:16に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR3」と呼ぶ。
【0155】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:18に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:18に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:19に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:19に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:19に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:18に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR4」と呼ぶ。
【0156】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:20に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:20に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:21に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:21に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:21に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:20に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR5」と呼ぶ。
【0157】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:22に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:22に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:23に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:23に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:23に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:22に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR6」と呼ぶ。
【0158】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:24に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:24に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:25に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:25に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:25に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:24に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR7」と呼ぶ。
【0159】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:26に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:26に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:27に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:27に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:27に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:26に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR9」と呼ぶ。
【0160】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:28に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:28に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:29に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:29に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:29に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:28に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR11」と呼ぶ。
【0161】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:30に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:30に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:31に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:31に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:31に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:30に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR13」と呼ぶ。
【0162】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:32に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:32に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:33に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:33に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:33に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:32に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR14」と呼ぶ。
【0163】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:34に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:34に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:35に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:35に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:35に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:34に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR15」と呼ぶ。
【0164】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:36に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:36に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:37に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:37に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:37に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:36に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR16」と呼ぶ。
【0165】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号:38に記載の配列と二本鎖を形成可能である場合、1、2、3または4塩基のミスマッチを有すること以外は配列番号:38に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター配列、及び、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的な配列を含むエフェクター相補配列、を含むshmiRをコードするDNA配列を含んでいてもよい。例えば、核酸がコードするshmiRは、配列番号:39に記載のエフェクター配列、及び、配列番号:39に記載の配列に対して実質的に相補的でありその配列と二本鎖を形成可能なエフェクター相補配列を含んでいてもよい。配列番号:39に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列は、配列番号:38に記載の配列であってもよい。この例によるshmiRを以下「shmiR17」と呼ぶ。
【0166】
本明細書に記載の例のいずれかでは、本開示の核酸がコードするshmiRは、5´→3´方向に、
pri-miRNA骨格の5´隣接配列、
エフェクター相補配列、
ステムループ配列、
エフェクター配列、及び、
pri-miRNA骨格の3´隣接配列、
を含んでいてもよい。
【0167】
本明細書に記載の例のいずれかでは、本開示の核酸がコードするshmiRは、5´→3´方向に、
pri-miRNA骨格の5´隣接配列、
エフェクター配列、
ステムループ配列、
エフェクター相補配列、及び、
pri-miRNA骨格の3´隣接配列、
を含んでいてもよい。
【0168】
好適なループ配列を当該技術分野において周知のループ配列から選択してもよい。しかしながら、例示的なステムループ配列については配列番号:40に記載している。
【0169】
本開示の核酸に用いる好適なプライマリーマイクロRNA(pri-miRNAまたはpri-R)骨格を当該技術分野において周知のプライマリーマイクロRNA骨格から選択してもよい。例えば、pri-miRNA骨格を、pri-miR-30a骨格、pri-miR-155骨格、pri-miR-21骨格及びpri-miR-136骨格から選択してもよい。しかしながら、pri-miRNA骨格はpri-miR-30a骨格であることが好ましい。pri-miRNA骨格がpri-miR-30a骨格である例によれば、pri-miRNA骨格の5´隣接配列は配列番号:41に記載されており、pri-miRNA骨格の3´隣接配列は配列番号:42に記載されている。それゆえ、本開示のshmiR(例えば、本明細書に記載のshmiR-1~shmiR-16)をコードする核酸は、配列番号:41に記載の配列をコードするDNA配列及び配列番号:42に記載の配列をコードするDNA配列を含んでいてもよい。
【0170】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:56~68のいずれか1つに記載の配列から選択されるDNA配列を含んでいてもよい。
【0171】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:56に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:43に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR2)をコードする。
【0172】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:57に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:44に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR3)をコードする。
【0173】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:58に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:45に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR4)をコードする。
【0174】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:59に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:46に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR5)をコードする。
【0175】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:60に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:47に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR6)をコードする。
【0176】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:61に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:48に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR7)をコードする。
【0177】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:62に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:49に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR9)をコードする。
【0178】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:63に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:50に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR11)をコードする。
【0179】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:64に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:51に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR13)をコードする。
【0180】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:65に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:52に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR14)をコードする。
【0181】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:66に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:53に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR15)をコードする。
【0182】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:67に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:54に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR16)をコードする。
【0183】
1つの例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号:68に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:55に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiR(shmiR17)をコードする。
【0184】
本開示の例示的な核酸は、本明細書に記載のshmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14及びshmiR17から選択されるshmiRをコードする。本明細書に記載のshmiR3、shmiR13、shmiR14及びshmiR17から選択されるshmiRをコードする本開示の核酸が特に好ましい。
【0185】
本開示による核酸を、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物の領域に対して実質的に相補的な少なくとも17連続ヌクレオチドのエフェクター配列を含むshRNAまたはshmiRをコードするDNA配列を含む1種または複数種のその他の核酸と組み合わせてもよい、またはそれらと共に使用してもよいということを当業者は理解する。1つの例では、複数種の核酸は、
(a)本明細書に記載の少なくとも1種の核酸、及び、
(b)
(i)本明細書に記載のshmiRをコードするDNA配列を含む核酸、または、
(ii)本明細書に記載のshmiRの同種のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含む低分子ヘアピンRNA(shRNA)をコードするDNA配列を含む核酸、
から選択される少なくとも1種の更なる核酸、
を含み、
(a)の核酸がコードするshmiRと(b)の核酸がコードするshmiRまたはshRNAは、異なるエフェクター配列を含む、
ように提供される。
【0186】
それゆえ、1つの例では、本開示の複数種の核酸は、本明細書に記載のshmiRをコードする2種またはそれ以上の核酸、例えば、本明細書に記載のshmiRをコードする2、3、4、5、6、7、8、9または10種の核酸などを含んでいてもよい。
【0187】
別の例では、本開示の複数種の核酸は、本明細書に記載のshmiRをコードする少なくとも1種の核酸、及び、本明細書に記載のshmiRの同種のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAをコードするDNA配列を含む少なくとも1種の核酸を含む。例えば、shmiR2のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA2」と呼ぶ。例えば、shmiR3のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA3」と呼ぶ。例えば、shmiR4のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA4」と呼ぶ。例えば、shmiR5のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA5」と呼ぶ。例えば、shmiR6のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA6」と呼ぶ。例えば、shmiR7のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA7」と呼ぶ。例えば、shmiR9のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA9」と呼ぶ。例えば、shmiR11のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA11」と呼ぶ。例えば、shmiR13のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA13」と呼ぶ。例えば、shmiR14のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA14」と呼ぶ。例えば、shmiR15のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA15」と呼ぶ。例えば、shmiR16のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA16」と呼ぶ。例えば、shmiR17のエフェクター配列とエフェクター相補配列を含むshRNAを以下「shRNA17」と呼ぶ。
【0188】
本明細書に記載の複数種の核酸における1種または複数種の核酸がshRNAをコードするいずれかの例によれば、shRNAは、同種のエフェクター配列とエフェクター相補配列の間に位置するループ配列またはステムループ配列を含んでいてもよい。好適なループ配列を当該技術分野において周知のループ配列から選択してもよい。代替的に、好適なステムループを新規に開発してもよい。1つの例では、shRNAをコードする本明細書に記載の複数種の核酸は、エフェクター配列とエフェクター相補配列をそれぞれコードするDNA配列間に位置するステムループをコードするDNA配列を含んでいてもよい。
【0189】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR2をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR2をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:56に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:43に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0190】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR3をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR3をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:57に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:44に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0191】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR4をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR4をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:58に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:45に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:58(shmiR4)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0192】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR5をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR5をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:59に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:46に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0193】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR6をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR6をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:60に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:47に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:60(shmiR6)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0194】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR7をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR7をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:61に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:48に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:61(shmiR7)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0195】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR9をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR9をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:62に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:49に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0196】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR11をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR11をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:63に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:50に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:63(shmiR11)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0197】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR13をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR13をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:64に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:51に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR14~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0198】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR14をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR14をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:65に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:52に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13、もしくは、shmiR15~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0199】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR15をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR15をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:66に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:53に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:66(shmiR15)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR14、もしくは、shmiR16~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0200】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR16をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR16をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:67に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:54に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:67(shmiR16)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR15、もしくは、shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0201】
1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、shmiR17をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。shmiR17をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、配列番号:68に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり、配列番号:55に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸、及び、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードする本開示の少なくとも1種のその他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載の複数種の核酸は、(i)配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR16、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。
【0202】
本明細書に記載の複数種の核酸のいずれかの例によれば、複数種の核酸は、核酸のうちの少なくとも1種が本開示のshmiRをコードする場合、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする2種またはそれ以上の核酸、例えば、本明細書に記載のshmiRをコードする2、3、4、5、6、7、8、9または10種の核酸などを含んでいてもよい。
【0203】
1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする2種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする3種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする4種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする5種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする6種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする7種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする8種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする9種の核酸を含む。1つの例では、複数種の核酸は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする10種の核酸を含む。
【0204】
本明細書に記載の複数種の核酸の1つの例では、核酸のうちの1種は、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸、例えば、shmiR2について本明細書に記載する。
【0205】
本明細書に記載の複数種の核酸の1つの例では、核酸のうちの1種は、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸、例えば、shmiR3について本明細書に記載する。
【0206】
本明細書に記載の複数種の核酸の1つの例では、核酸のうちの1種は、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸、例えば、shmiR5について本明細書に記載する。
【0207】
本明細書に記載の複数種の核酸の1つの例では、核酸のうちの1種は、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸、例えば、shmiR9について本明細書に記載する。
【0208】
本明細書に記載の複数種の核酸の1つの例では、核酸のうちの1種は、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸、例えば、shmiR13について本明細書に記載する。
【0209】
本明細書に記載の複数種の核酸の1つの例では、核酸のうちの1種は、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸、例えば、shmiR14について本明細書に記載する。
【0210】
本明細書に記載の複数種の核酸の1つの例では、核酸のうちの1種は、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸、例えば、shmiR17について本明細書に記載する。
【0211】
例示的な本開示の複数種の核酸は、本開示のshmiRをコードするDNA配列をそれぞれが含む少なくとも2種の核酸を含み、それぞれのshmiRは異なるエフェクター配列を含む。
【0212】
1つの例では、少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:1、2、4、7、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号:1、2、4、7、9、10及び13に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする例示的な本開示の核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0213】
1つの例では、少なくとも2種の核酸は、
配列番号:15に記載のエフェクター配列及び配列番号:14に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:21に記載のエフェクター配列及び配列番号:20に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:27に記載のエフェクター配列及び配列番号:26に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される。
【0214】
1つの例では、少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:2、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号:2、9、10及び13に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする例示的な本開示の核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0215】
1つの例では、少なくとも2種の核酸は、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される。
【0216】
1つの例では、複数種の核酸は、配列番号:10に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び、配列番号:13に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、複数種の核酸は、
(a)配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含んでいてもよい。
【0217】
例示的な本開示の複数種の核酸は、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。
【0218】
1つの例では、複数種の核酸は、配列番号:2に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び、配列番号:9に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、複数種の核酸は、
(a)配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:65(shmiR14)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含んでいてもよい。
【0219】
例示的な本開示の複数種の核酸は、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。
【0220】
複数種の核酸を提供する例によれば、核酸のうちの2種以上は同一ポリヌクレオチドの別々の部位を形成してもよい。別の例では、複数種の核酸のうちの2種以上はそれぞれ、異なるポリヌクレオチドの部位を形成する。別の例では、本明細書に記載の複数種の核酸は、複数の構成成分、例えば、複数の組成物として提供される。例えば、複数種の核酸のそれぞれは、別々に提供されてもよい。代替的に、本開示の3種またはそれ以上の核酸を提供する1つの例では、核酸のうちの少なくとも1種は別々に提供され、複数種のうちの2種またはそれ以上は共に提供されてもよい。
【0221】
一部の例では、本開示による核酸またはそれぞれの核酸は、例えば、shmiRまたはshRNAの転写を促進するための別のエレメントを含むかまたはそれらと機能的に連結してもよい。例えば、核酸またはそれぞれの核酸は、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする配列に機能的に連結するプロモーターを含んでいてもよい。その他のエレメント、例えば、転写ターミネーター及び転写イニシエーターは、当該技術分野において周知及び/または本明細書に記載されている。
【0222】
代替的にまたは加えて、本開示による核酸またはそれぞれの核酸は、例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内への核酸(複数可)のクローニングを促進するための1つまたは複数の制限部位を含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の核酸は、本開示のshmiRまたはshRNAをコードする配列の上流及び/または下流に制限部位を含んでいてもよい。好適な制限酵素認識配列は当業者に周知である。しかしながら、1つの例では、本開示の核酸(複数可)は、5´末端、すなわち、shmiRまたはshRNAをコードする配列の上流にBamH1制限部位(GGATCC)を、3´末端、すなわち、shmiRまたはshRNAをコードする配列の下流にEcoR1制限部位(GAATTC)を含んでいてもよい。
【0223】
ddRNAi構築物
1つの例では、本開示の核酸またはそれぞれの核酸は、DNA特異的RNAi(ddRNAi)構築物の形態で提供されるかまたはその構築物内に含まれる。それゆえ、1つの例では、本開示は、本明細書に記載の核酸を含むddRNAi構築物を提供する。別の例では、本開示は、本明細書に記載の複数種の核酸を含むddRNAi構築物を提供する。更に別の例では、本開示は、本明細書に記載の複数種の核酸のうちの核酸をそれぞれが含む複数種のddRNAi構築物(すなわち、複数種のうちの核酸の全てが複数種のddRNAi構築物内において示されるように)を提供する。OPMDの原因となるPABPN1のmRNA転写物を標的とするエフェクター配列を含むshmiRまたはshRNAをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0224】
1つの例では、ddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する本開示の核酸を含む。
【0225】
ddRNAi構築物が本明細書に記載の複数種の核酸を含む例によれば、核酸のうちのそれぞれはプロモーターに機能的に連結してもよい。1つの例では、ddRNAi構築物内における核酸は同一のプロモーターに機能的に連結してもよい。1つの例では、ddRNAi構築物内における核酸は異なるプロモーターに機能的に連結してもよい。
【0226】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR2をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:1に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:56に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:43に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、及び、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0227】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR3をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:2に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR3をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:57に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:44に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、または、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0228】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR4をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:3に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR4をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:58に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:45に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:58(shmiR4)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、または、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0229】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR5をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:4に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR5をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:59に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:46に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、または、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0230】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR6をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:5に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR6をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:60に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:47に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:60(shmiR6)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、または、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0231】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR7をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:6に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR7をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:61に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:48に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:61(shmiR7)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、または、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0232】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR9をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:7に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR9をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:62に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:49に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR7、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR7、shmiR11、または、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0233】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR11をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:8に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR11をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:63に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:50に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR7、shmiR9、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:63(shmiR11)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、もしくは、shmiR13~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR7、shmiR9、または、shmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0234】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR13をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:9に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR13をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:64に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:51に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR14~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR14~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、または、shmiR14~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0235】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR14をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:10に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR14をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:65に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:52に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13、もしくは、shmiR15~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13、もしくは、shmiR15~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13、または、shmiR15~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0236】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR15をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:11に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR15をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:66に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:53に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR14、もしくは、shmiR16~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:66(shmiR15)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR14、もしくは、shmiR16~shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR14、または、shmiR16~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0237】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR16をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:12に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR16をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:67に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:54に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR15、もしくは、shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:67(shmiR16)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR15、もしくは、shmiR17、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR15、または、shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0238】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、shmiR17をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号:13に記載の配列を含むかまたはそれからなるRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR17をコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:68に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなり配列番号:55に記載の配列を含むかまたはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的とするshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む本開示の1種または複数種の更なる核酸、例えば、本明細書に記載のshmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR16、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸などを含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、(i)配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくは、shmiR13~shmiR16、または、これらいずれかの対応するshRNAのうちの1つをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含んでいてもよい。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、または、shmiR13~shmiR16と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は本明細書に記載されており、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0239】
本明細書に記載の複数種の核酸を含むddRNAi構築物のいずれかの例によれば、ddRNAi構築物は、核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードする場合、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする2種またはそれ以上の核酸、例えば、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする2、3、4、5、6、7、8、9または10種の核酸などを含んでいてもよい。
【0240】
1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする2種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする3種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする4種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする5種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする6種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする7種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする8種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする9種の核酸を含む。1つの例では、ddRNAi構築物は、その核酸のうちの少なくとも1種が本明細書に記載のshmiRをコードするという条件において、本明細書に記載のshmiRまたはshRNAをコードする10種の核酸を含む。
【0241】
例示的な本開示のddRNAi構築物は、本開示のshmiRをコードするDNA配列をそれぞれが含む少なくとも2種の核酸を含み、それぞれのshmiRは異なるエフェクター配列を含む。1つの例では、ddRNAi構築物内における少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:1、2、4、7、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号:1、2、4、7、9、10及び13に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする例示的な本開示の核酸は本明細書に記載されており、ddRNAi構築物について記載する本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0242】
1つの例では、ddRNAi構築物は、
配列番号:15に記載のエフェクター配列及び配列番号:14に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:21に記載のエフェクター配列及び配列番号:20に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:27に記載のエフェクター配列及び配列番号:26に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される少なくとも2種の核酸を含む。
【0243】
1つの例では、ddRNAi構築物内における少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:2、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号:2、9、10及び13に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする例示的な本開示の核酸は本明細書に記載されており、ddRNAi構築物について記載する本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0244】
1つの例では、ddRNAi構築物は、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される少なくとも2種の核酸を含む。
【0245】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、配列番号:10に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び、配列番号:13に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、
(a)配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含んでいてもよい。
【0246】
例示的な本開示のddRNAi構築物は、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。
【0247】
1つの例では、ddRNAi構築物は、配列番号:2に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び、配列番号:9に記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、
(a)配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
(b)配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、例えば、配列番号:65(shmiR14)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸、
を含んでいてもよい。
【0248】
例示的な本開示のddRNAi構築物は、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。
【0249】
本開示のddRNAi構築物について記載する上記の例のそれぞれでは、そのddRNAi構築物内に含まれる核酸またはそれぞれの核酸はプロモーターに機能的に連結してもよい。例えば、本明細書に記載のddRNAi構築物は、例えば、ddRNAi構築物由来の1種または複数種のshmiR及び/またはshRNAの発現を駆動するための、ddRNAi構築物内に含まれる核酸またはそれぞれの核酸に機能的に連結する単一のプロモーターを含んでいてもよい。
【0250】
別の例では、ddRNAi構築物内に含まれる本開示のshmiRまたはshRNAをコードするそれぞれの核酸は、別々のプロモーターに機能的に連結する。
【0251】
複数のプロモーターが存在する例によれば、それらプロモーターは同一であるかまたは異なっていてもよい。例えば、構築物は、それぞれのコピーが本開示の異なる核酸に機能的に連結するように、同一プロモーターの複数のコピーを含んでいてもよい。別の例では、本開示の核酸に機能的に連結するそれぞれのプロモーターは異なる。例えば、2種のshmiRをコードするddRNAi構築物内において、それらshmiRをコードする2種の核酸はそれぞれ、異なるプロモーターに機能的に連結する。同様に、ddRNAi構築物が1種のshmiR及び1種のshRNAをコードする例では、shmiR及びshRNAをコードする対応する核酸はそれぞれ、異なるプロモーターに機能的に連結する。
【0252】
1つの例では、プロモーターは構成的プロモーターである。プロモーターに言及する場合の用語「構成的」とは、特定の刺激(例えば、熱ショック、化学物質、光など)の不在下で、機能的に連結する核酸配列の転写をプロモーターが誘導可能であることを意味する。一般的に、構成的プロモーターは、実質的に全ての細胞及び全ての組織内において、コード配列の発現を誘導することができる。本開示の核酸(複数可)からshmiRまたはshRNAを転写するために使用するプロモーターとしては、RNAポリメラーゼIIが制御するユビキチン、CMV、β-アクチン、ヒストン H4、EF-1αまたはpgk遺伝子用のプロモーター、または、RNAポリメラーゼIが制御するプロモーターエレメントが挙げられる。
【0253】
1つの例では、Pol IIプロモーター、例えば、CMV、SV40、U1、β-アクチンまたはハイブリッドPol IIプロモーターなどを使用する。その他の好適なPol IIプロモーターは当該技術分野において周知であり、本開示のこの例に従い使用してもよい。酵素Drosha及びPashaの作用により1つまたは複数のshmiRへとプロセシングされるpri-miRNAを発現する本開示のddRNAi構築物には、例えば、Pol IIプロモーターシステムが好ましい場合がある。単一のプロモーターの制御下で複数種のshRNAまたはshmiRをコードする配列を含む本開示のddRNAi構築物には、Pol IIプロモーターシステムもまた好ましい場合がある。組織特異性が望まれる場合において、Pol IIプロモーターシステムはまた好ましい場合がある。
【0254】
別の例では、RNAポリメラーゼIIIが制御するプロモーターを使用するが、例えば、U6プロモーター(U6-1、U6-8、U6-9)、H1プロモーター、7SLプロモーター、ヒトYプロモーター(hY1、hY3、hY4(Maraia,et al.,Nucleic Acids Res 22(15):3045-52(1994)を参照のこと)及びhY5(Maraia,et al.,Nucleic Acids Res 24(18):3552-59(1994)を参照のこと))、ヒトMRP-7-2プロモーター、アデノウイルスVA1プロモーター、ヒトtRNAプロモーター、または、5sリボソームRNAプロモーターなどである。
【0255】
本開示のddRNAi構築物に使用するための好適なプロモーターについては、米国特許番号8,008,468及び米国特許番号8,129,510に記載されている。
【0256】
1つの例では、プロモーターはRNA pol IIIプロモーターである。例えば、プロモーターはU6プロモーター(例えば、U6-1プロモーター、U6-8プロモーターまたはU6-9プロモーター)である。別の例では、プロモーターはH1プロモーターである。
【0257】
本明細書に記載の複数種のshmiRをコードする、または、本明細書に記載の1種または複数種のshmiR及びshRNAをコードする本開示のddRNAi構築物に関し、ddRNAi構築物内における核酸のそれぞれは、U6プロモーター、例えば、別々のU6プロモーターに機能的に連結する。
【0258】
1つの例では、構築物内におけるプロモーターはU6プロモーターである。例えば、プロモーターはU6-1プロモーターである。例えば、プロモーターはU6-8プロモーターである。例えば、プロモーターはU6-9プロモーターである。
【0259】
一部の例では、様々な強さのプロモーターを使用する。例えば、2種またはそれ以上の強力なプロモーター(Pol IIIタイプのプロモーターなど)を使用して、例えば、転写に必要な市販のヌクレオチドまたはその他の細胞成分のプールを減らすことにより、細胞に負荷をかけてもよい。加えてまたは代替的に、いくつかの強力なプロモーターを使用することにより、RNAi薬剤、例えば、shmiRまたはshRNAの細胞内における有毒レベルの発現が生じる場合がある。それゆえ、一部の例では、複数種プロモーターddRNAi構築物内におけるプロモーターのうちの1種または複数種は構築物内におけるその他のプロモーターよりも弱く、または、構築物内における全てのプロモーターはshmiRまたはshRNAを最大比率未満で発現し得る。様々な分子技術を用いてプロモーターを修飾して、または別の方法、例えば、様々な調節エレメントを修飾することにより、より弱いレベルまたはより強いレベルの転写を達成してもよい。転写の低下を達成するための1つの方法は、プロモーター活性を制御することが知られているプロモーター内の配列エレメントを修飾することである。例えば、近位配列エレメント(PSE)は、ヒトU6プロモーターの活性に影響を与えることが知られている(Domitrovich,et al.,Nucleic Acids Res 31:2344-2352(2003)を参照のこと)。ヒトU6-1プロモーター、ヒトU6-8プロモーターまたはヒトU6-9プロモーターなどの強力なプロモーター内に存在するPSEエレメントを、ヒトU6-7プロモーターなどの弱いプロモーターに由来するエレメントに置換することにより、ハイブリッドU6-1プロモーター、ハイブリッドU6-8プロモーターまたはハイブリッドU6-9プロモーターの活性を低下させる。本出願に記載の例にこの手法を用いているが、この効果を達成するためのその他の手法は当該技術分野において周知である。
【0260】
本開示の一部の例において有用なプロモーターは組織特異的または細胞特異的であってもよい。プロモーターに適用する場合の用語「組織特異的」とは、目的の核酸の選択的転写を特定タイプの組織(例えば、眼または筋肉の組織)へと誘導することができるプロモーターのことを意味する(異なるタイプの組織(例えば、肝臓)における目的の同一ヌクレオチド配列の発現は相対的に欠如している)。プロモーターに適用する場合の用語「細胞特異的」とは、目的の核酸の選択的転写を特定タイプの細胞へと誘導することができるプロモーターのことを意味する(同一組織内の異なるタイプの細胞における目的の同一ヌクレオチド配列の発現は相対的に欠如している)。1つの例によれば、Spc512またはCK8などの筋特異的プロモーターを使用する。しかしながら、その他の筋特異的プロモーターは当該技術分野において周知であり、本開示のddRNAi構築物に使用されると考えられる。
【0261】
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は、本明細書に記載の核酸がコードするshmiRまたはshRNAの発現を増加させるための1種または複数種のエンハンサーを追加的に含んでいてもよい。本開示の例に使用するのに適切なエンハンサーとしては、Apo E HCRエンハンサー、CMVエンハンサー(Xia et al,Nucleic Acids Res 31-17(2003))、及び当業者に周知のその他のエンハンサーが挙げられる。本開示のddRNAi構築物に使用するための好適なエンハンサーについては、米国特許番号8,008,468に記載されている。
【0262】
更なる例では、本開示のddRNAi構築物は、本開示のshmiRまたはshRNAをコードする核酸に連結する転写ターミネーターを含んでいてもよい。本明細書に記載の複数種の核酸を含む、すなわち、複数種のshmiR及び/またはshRNAをコードするddRNAi構築物に関し、それぞれの核酸に連結するターミネーターは同一であるかまたは異なっていてもよい。例えば、RNA pol IIIプロモーターを使用する本開示のddRNAi構築物内において、ターミネーターは、4以上、5以上または6以上のT残基の連続ストレッチであってもよい。しかしながら、別々のプロモーターを使用する場合、ターミネーターは異なっていてもよく、そのターミネーターを誘導する遺伝子由来のプロモーターと対をなす。このようなターミネーターとしては、SV40ポリA遺伝子、AdV VA1遺伝子、5SリボソームRNA遺伝子、及び、ヒトt-RNA用のターミネーターが挙げられるがこれらに限定されない。プロモーターとターミネーターのその他の組み合わせは当該技術分野において周知であり、本開示のddRNAi構築物に使用されると考えられる。
【0263】
加えて、RNA pol IIプロモーターとターミネーターにおいて一般に行うように、プロモーターとターミネーターを組み合わせて対にしてもよい。
【0264】
1つの例では、複数種の核酸を含むddRNAi構築物内におけるそれぞれの核酸用に用いるプロモーターとターミネーターの組み合わせは、構成要素間のDNA組換え事象の可能性を低下させるために異なっている。
【0265】
1つの例示的な本開示のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、例示的な本開示のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する配列番号:64に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、プロモーターに機能的に連結する配列番号:68に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。1つの例では、shmiRをコードするddRNAi構築物内におけるそれぞれの核酸は、別々のプロモーターに機能的に連結する。別の例では、shmiRをコードするddRNAi構築物内におけるそれぞれの核酸は、同一のプロモーターに機能的に連結する。例えば、プロモーターまたはそれぞれのプロモーターはU6プロモーター、例えば、U6-1プロモーター、U6-8プロモーターまたはU6-9プロモーターであってもよい。例えば、プロモーターまたはそれぞれのプロモーターは筋特異的プロモーター、例えば、Spc512プロモーターまたはCK8プロモーターであってもよい。
【0266】
shmiR13及びshmiR17をコードするddRNAi構築物内における核酸が同一のSpc512プロモーターに機能的に連結する例によれば、そのddRNAi構築物は配列番号:72に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる。shmiR13及びshmiR17をコードするddRNAi構築物内における核酸が同一のCK8プロモーターに機能的に連結する例によれば、そのddRNAi構築物は配列番号:70に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる。
【0267】
別の例示的な本開示のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、例示的な本開示のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する配列番号:57に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、プロモーターに機能的に連結する配列番号:65に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。1つの例では、shmiRをコードするddRNAi構築物内におけるそれぞれの核酸は、別々のプロモーターに機能的に連結する。別の例では、shmiRをコードするddRNAi構築物内におけるそれぞれの核酸は、同一のプロモーターに機能的に連結する。例えば、プロモーターまたはそれぞれのプロモーターはU6プロモーター、例えば、U6-1プロモーター、U6-8プロモーターまたはU6-9プロモーターであってもよい。例えば、プロモーターまたはそれぞれのプロモーターは筋特異的プロモーター、例えば、Spc512プロモーターまたはCK8プロモーターであってもよい。
【0268】
shmiR3及びshmiR14をコードするddRNAi構築物内における核酸が同一のSpc512プロモーターに機能的に連結する例によれば、そのddRNAi構築物は配列番号:71に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる。shmiR3及びshmiR14をコードするddRNAi構築物内における核酸が同一のCK8プロモーターに機能的に連結する例によれば、そのddRNAi構築物は配列番号:69に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる。
【0269】
複数種のddRNAi構築物も提供する。例えば、複数種のddRNAi構築物内において、本明細書に記載のshmiRをコードする複数種の核酸を提供してもよく、それぞれのddRNAi構築物は、本明細書に記載の複数種の核酸のうちの1種または複数種を含む。shmiRをコードする核酸の組み合わせについて説明してきたが、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。1つの例では、本明細書に記載の複数種の核酸内におけるそれぞれの核酸は、その独自のddRNAi構築物内において提供される。
【0270】
複数種のddRNAi構築物を提供するいずれかの例によれば、それぞれのddRNAi構築物はまた、ddRNAi構築物内に含まれるshmiR(複数可)をコードする核酸(複数可)に機能的に連結する1種または複数種のプロモーターを含んでいてもよい。1つの例では、それぞれのddRNAi構築物は、shmiRをコードする単一の核酸、及び、その核酸に機能的に連結するプロモーターを含む。複数種のddRNAi構築物のうちの1種または複数種が、shmiRをコードする2種またはそれ以上の核酸を含む例によれば、1種または複数種のddRNAi構築物内におけるそれぞれの核酸は別々のプロモーターに機能的に連結する。複数種のddRNAi構築物のうちの1種または複数種が、shmiRをコードする2種またはそれ以上の核酸を含む別の例では、2種またはそれ以上の核酸はddRNAi構築物内における同一のプロモーターに機能的に連結する。
【0271】
1つの例示的な本開示の複数種のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及び、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。例えば、例示的な本開示の複数種のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する配列番号:64に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及び、プロモーターに機能的に連結する配列番号:68に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。1つの例では、プロモーターはU6プロモーターであり、例えば、U6-1プロモーター、U6-8プロモーターまたはU6-9プロモーターから選択される。別の例では、プロモーターは筋特異的プロモーター、例えば、Spc512プロモーターまたはCK8プロモーターである。
【0272】
別の例示的な本開示の複数種のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及び、プロモーターに機能的に連結する本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。例えば、例示的な本開示の複数種のddRNAi構築物は、プロモーターに機能的に連結する配列番号:57に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及び、プロモーターに機能的に連結する配列番号:65に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。1つの例では、プロモーターはU6プロモーターであり、例えば、U6-1プロモーター、U6-8プロモーターまたはU6-9プロモーターから選択される。別の例では、プロモーターは筋特異的プロモーター、例えば、Spc512プロモーターまたはCK8プロモーターである。
【0273】
加えて、ddRNAi構築物またはそれぞれのddRNAi構築物は、プロモーター、shmiRまたはshRNAをコードする核酸、及び/または、その他の調節エレメントが容易に除去または置換されるように戦略的に配置された、1つまたは複数のマルチクローニング部位及び/または固有制限部位を含んでいてもよい。ddRNAi構築物またはそれぞれのddRNAi構築物は、戦略的に配置された制限部位及び/または相補的な付着末端を用いて、より小さなオリゴヌクレオチド成分から構築することができる。本開示による1つの手法に用いる基本ベクターは、全ての部位が固有である(このことは絶対条件ではないが)マルチリンカーを有するプラスミドを含む。結果として、それぞれのプロモーターがddRNAi構築物の指定の固有部位間に挿入されて、1つまたは複数のプロモーター(それらの全ては変更可能な配置を有し得る)を有する基本カセットがもたらされる。更に結果として、アニールされたプライマーペアが個々のプロモーターのそれぞれの下流の固有部位に挿入されて、単一、二重または多重発現カセット構築物がもたらされる。単一、二重または多重発現カセットインサートに隣接する2つの固有制限酵素部位(同一のまたは異なる部位)を使用して、例えば、AdV骨格またはAAV骨格へとインサートを移動させてもよい。
【0274】
ddRNAi構築物またはそれぞれのddRNAi構築物の作製については、限定するわけではないが、PCR、オリゴヌクレオチド合成、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製及びDNA塩基配列決定法の標準的な技術を含む当該技術分野において周知の任意の好適な遺伝子工学技術を使用して実施することができる。構築物またはそれぞれの構築物がウイルス性構築物である場合、その構築物は、例えば、ddRNAi構築物をウイルス粒子にパッケージングするのに必要な配列、及び/または、ddRNAi構築物を標的細胞ゲノム内に組み込むことを可能とする配列を含む。一部の例では、ウイルス性構築物またはそれぞれのウイルス性構築物は追加で、ウイルスの複製及び増殖を可能とする遺伝子を含有するが、このような遺伝子はトランスで供給される。加えて、ウイルス性構築物またはそれぞれのウイルス性構築物は、未変性形態で組み込まれたまたは修飾された、あらゆる周知の生物のゲノム由来の遺伝子または遺伝子配列を含有し得る。例えば、ウイルス性構築物は、細菌内における構築物の複製に有用な配列を含んでいてもよい。
【0275】
構築物またはそれぞれの構築物はまた、別の遺伝子エレメントを含有していてもよい。構築物内に含まれ得るエレメントのタイプはいかなる様式においても限定されず、当業者により選択可能である。例えば、別の遺伝子エレメントとしては、レポーター遺伝子、例えば、GFPまたはRFPなどの蛍光マーカータンパク質用の1種または複数種の遺伝子など、容易にアッセイされる酵素、例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼまたは分泌型アルカリホスファターゼなど、または、イムノアッセイが容易に利用可能なタンパク質、例えば、ホルモンまたはサイトカインなどを挙げてもよい。
【0276】
本開示の実施形態に有用となり得るその他の遺伝子エレメントとしては、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素、ヒグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ、薬剤抵抗性などの選択的増殖の利点を細胞に付与するタンパク質をコードする遺伝子エレメント、または、栄養要求株には存在が確認できない生合成能をもたらすタンパク質をコードする遺伝子エレメントの遺伝子が挙げられる。レポーター遺伝子が構築物またはそれぞれの構築物内に含まれる場合、内部リボソーム導入部位(IRES)配列が含まれ得る。1つの例では、別の遺伝子エレメントは独立したプロモーター/エンハンサーと機能的に連結し、それらに制御される。加えて、細菌内における構築物増殖のための好適な複製起点を使用してもよい。複製起点の配列は通常、ddRNAi構築物及びその他の遺伝子配列から分離されている。このような複製起点は当該技術分野において周知であり、pUC、ColE1、2-micronまたはSV40複製起点が挙げられる。
【0277】
発現ベクター
1つの例では、本開示のddRNAi構築物は発現ベクター内に含まれる。
【0278】
1つの例では、発現ベクターはプラスミド、例えば、当該技術分野において周知のプラスミドである。1つの例では、好適なプラスミド発現ベクターはpAAVベクター、例えば、自己相補的なpAAV(pscAAV)プラスミドベクターまたは一本鎖pAAV(pssAAV)プラスミドベクターである。本明細書に記載するとおり、プラスミドは、本開示の1種または複数種のshmiRの発現を駆動するための1種または複数種のプロモーター(その好適な例については記載している)を含んでいてもよい。
【0279】
1つの例では、発現ベクターはミニサークルDNAである。ミニサークルDNAについては米国特許公開番号2004/0214329に記載されている。ミニサークルDNAは、持続的に高レベルの核酸転写に有用である。環状ベクターは発現サイレンシング細菌配列を欠くことを特徴としている。例えば、ミニサークルベクターは、それらが複製起点を欠き、細菌プラスミド内に通常は存在する薬剤選択マーカー、例えば、β-ラクタマーゼ、tetなどを欠くという点で細菌プラスミドベクターとは異なる。その結果、ミニサークルDNAのサイズはより小さくなり、より効率的な導入が可能となる。
【0280】
1つの例では、発現ベクターはウイルスベクターである。
【0281】
任意の適切なウイルスをベースにしたウイルスベクターを使用して、本開示のddRNAiを導入してもよい。加えて、ハイブリッドウイルスシステムを使用してもよい。ウイルス導入システムの選択は、様々なパラメータ、例えば、導入の標的となる組織、そのシステムの形質導入効率、病原性、免疫学的懸念及び毒性懸念などに依存する。
【0282】
遺伝子治療に用いる一般に使用される部類のウイルスシステムは、それらのゲノムが宿主細胞のクロマチンに組み込まれる(オンコレトロウイルス及びレンチウイルス)か、または、主に染色体外エピソームとして細胞核内に残存する(アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス及びヘルペスウイルス)かに応じ、2つのグループに分類することができる。1つの例では、本開示のウイルスベクターは宿主細胞のクロマチンに組み込まれる。別の例では、本開示のウイルスベクターは染色体外エピソームとして宿主細胞の核内に残存する。
【0283】
1つの例では、ウイルスベクターはアデノウイルス(AdV)ベクターである。アデノウイルスは、26~48Kbpの線状ゲノムを有する中型の二本鎖非エンベロープDNAウイルスである。アデノウイルスは、非分裂細胞と分裂細胞の両方における受容体を介した結合、及び核を貫通する内部移行により標的細胞に侵入する。アデノウイルスは生存及び複製において宿主細胞に非常に依存しており、脊椎動物細胞の核内において宿主の複製機構を利用して自己複製することができる。
【0284】
1つの例では、ウイルスベクターはパルボウイルス科由来である。パルボウイルスは、約5000ヌクレオチド長のゲノムを有する小型の一本鎖非エンベロープDNAウイルスのファミリーである。ファミリーメンバー内に含まれるのはアデノ随伴ウイルス(AAV)である。1つの例では、本開示のウイルスベクターはAAVである。AAVは、増殖性感染周期を開始及び維持するのに、通常は別のウイルス(一般的にはアデノウイルスまたはヘルペスウイルス)との重感染を必要とする依存性パルボウイルスである。このようなヘルパーウイルスの不在下においてもなお、AAVは、非分裂細胞と分裂細胞の両方における受容体を介した結合、及び核を貫通する内部移行により標的細胞に感染または形質導入する能力を有する。ヘルパーウイルス不在下におけるAAV感染では子孫ウイルスが産生されないため、形質導入の度合いはウイルスに感染した最初の細胞のみに限定される。AAVを本開示の望ましいベクターとするのはこの特徴である。更に、レトロウイルス、アデノウイルス及び単純ヘルペスウイルスとは異なり、AAVはヒトへの病原性及び毒性を欠いていると考えられる(Kay,et al.,Nature.424:251(2003))。ゲノムは通常2種の遺伝子のみをコードしているため、導入媒介物としてのAAVが4.5一本鎖キロベース(kb)のパッケージング容量に制限されるということは驚くべきことではない。しかしながら、このサイズ制限が遺伝子置換療法用に導入可能な遺伝子を限定し得るとはいえ、shmiR及びshRNAなどのより短い配列のパッケージング及び発現に悪影響を及ぼすことはない。
【0285】
本開示のddRNAi構築物に有用な別のウイルス導入システムは、レトロウイルス科のウイルスをベースにしたシステムである。レトロウイルスは、2つの固有の特性を特徴とする一本鎖RNA動物ウイルスを含む。第一に、レトロウイルスのゲノムは二倍体であり、RNAの2つのコピーからなる。第二に、このRNAは、ビリオン関連逆転写酵素によって二本鎖DNAに転写される。この二本鎖DNAすなわちプロウイルスは、その後、宿主ゲノム内に組み込まれ、宿主ゲノムの安定的に組み込まれた構成要素として親細胞から子孫細胞へと受け継がれ得る。
【0286】
一部の例では、ウイルスベクターはレンチウイルスである。レンチウイルスベクターは多くの場合、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV-G)で偽型化されており、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、visan-maedi(ヒツジにおいて脳炎(ビスナ)または肺炎を引き起こす)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)(ウマにおいて自己免疫性溶血性貧血及び脳症を引き起こす)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)(ネコにおいて免疫不全を引き起こす)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)(ウシにおいてリンパ節症及びリンパ球増加症を引き起こす)、及び、サル免疫不全ウイルス(SIV)(非ヒト霊長類において免疫不全及び脳症を引き起こす)から誘導されている。HIVをベースにしたベクターは通常、親ゲノムの<5%を保持し、ゲノムの<25%はパッケージング構築物内に組み込まれており、それにより、世代が複製能のあるHIVに戻る可能性が最小限となる。下流の長末端反復配列における調節エレメントの欠失を含む自己不活性化ベクターの開発により、ベクターの動員に必要なパッケージングシグナルの転写が排除されることになり、バイオセーフティが更に増している。レンチウイルスベクターの使用における主な利点の1つは、導入細胞の細胞分裂後であったとしても、ほとんどの組織型または細胞型において遺伝子導入が持続的であるという点である。
【0287】
本開示の核酸及びddRNAi構築物由来のshmiR及び/またはshRNAを発現させるために使用するレンチウイルスベース構築物は、レンチウイルスの5´及び3´長末端反復配列(LTR)に由来する配列を含む。1つの例では、ウイルス性構築物はレンチウイルス由来の不活性化または自己不活性化3´LTRを含む。当該技術分野において周知の任意の方法を用い、自己不活性化により3´LTRを作製してもよい。例えば、3´LTRのU3エレメントは、そのエンハンサー配列、例えば、TATAボックス、Sp1部位及びNF-κ B部位の欠失を含む。自己不活性化3´LTRの結果として、宿主ゲノムに組み込まれたプロウイルスは不活性化5´LTRを含む。LTR配列は、あらゆる種に由来する任意のレンチウイルス由来のLTR配列であってもよい。レンチウイルスベース構築物はまた、MMLV遺伝子もしくはMSCV遺伝子、RSV遺伝子、または、哺乳動物遺伝子用の配列を組み込んでいてもよい。加えて、レンチウイルス5´LTR由来のU3配列を、ウイルス性構築物内のプロモーター配列に置換してもよい。こうすることで、パッケージング細胞株から回収したウイルスの力価は上昇し得る。エンハンサー配列も含ませてもよい。
【0288】
当業者に周知のその他のウイルスシステムまたは非ウイルスシステムを使用して本発明のddRNAiまたは核酸を目的の細胞に導入してもよく、それらシステムとしては、遺伝子欠失アデノウイルストランスポゾンベクター(Yant,et al.,Nature Biotech.20:999-1004(2002)を参照のこと)、シンドビスウイルスまたはセムリキ森林ウイルスから誘導したシステム(Perri,et al,J.Virol.74(20):9802-07(2002)を参照のこと)、ニューカッスル病ウイルスまたはセンダイウイルスから誘導したシステムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0289】
本開示のshmiR構築物またはddRNAi構築物の試験
細胞培養モデル
OPMDの細胞培養モデルとして有用な細胞株の1つの例は、正常Ala10-ヒトPABPN1-FLAG(Ala10)または変異Ala17-ヒトPABPN1-FLAG(Ala17)(後者はOPMDの特徴)を発現するベクターをトランスフェクションしたHEK293T細胞株(HEK293T、ATCC,Manassas,USA)である。
【0290】
OPMDの細胞培養モデルとして有用な細胞株の更なる例は、例えば、実施例5に記載のC2C12マウス筋細胞及びARPE-19ヒト網膜細胞である。
【0291】
OPMDの細胞培養モデルとして有用な細胞株の別の例は、正常Ala10-ヒトPABPN1-FLAG(Ala10)または変異Ala17-ヒトPABPN1-FLAG(Ala17)のいずれかを発現するように安定的にトランスフェクションされた初代マウス筋芽細胞(IM2)細胞株である。変異Ala17-ヒトPABPN1-FLAG(Ala17)を安定的に発現する例示的なIM2由来細胞株はH2kB-D7e細胞株である。H2kB-D7e細胞株についてはまた、Raz et al.,(2011)American Journal of Pathology,179(4):1988-2000に記載されている。
【0292】
OPMDの細胞培養モデルに好適なその他の細胞株は当該技術分野において周知であり、例えば、Fan et al.,(2001)Human Molecular Genetics,10:2341-2351,Bao et al.,(2002)The Journal of Biological Chemistry,277:12263-12269,及びAbu-Baker et al.,(2003)Human Molecular Genetics,12:2609-2623に記載されている。
【0293】
本明細書において例示しているとおり、shmiRをコードする核酸、または、その核酸を含むddRNAi構築物もしくは発現ベクターを細胞に投与してから、PABPN1遺伝子がコードするRNAまたはタンパク質の発現のレベルを測定することにより、本開示のshmiRの活性を測定する。例えば、PABPN1に特異的な1種または複数種のプローブまたはプライマーを使用して、ストリンジェントな条件下、RT-PCR、定量PCR、半定量PCRまたはin-situハイブリダイゼーションのうちのいずれか1つまたは複数により、細胞内のPABPN1遺伝子発現をアッセイすることができる。PABPN1に特異的な1種または複数種のプローブまたはプライマーを使用したPCR、または、PABPN1タンパク質の検出に使用可能なELISAのいずれかにより、PABPN1 mRNAまたはDNAもアッセイすることができる。
【0294】
PABPN1発現を検出するためのRT-PCR、定量PCRまたは半定量PCR技術に使用可能なポリヌクレオチドは周知であり、市販(Thermo Fisher)されている。しかしながら、PCRベースの検出法に有用なポリヌクレオチドについては、当該技術分野において周知の方法及び/またはソフトウェアを使用しPABPN1について入手可能な配列情報をベースにして設計することができる。1つの例では、当該技術分野において周知の標準的な方法を用いRT-PCRを使用して、PABPN1 mRNAの有無を検出してもよい。1つの例では、ウェスタンブロット法、ELISA、もしくは、当該技術分野において利用可能なその他の標準的な定量もしくは半定量技術、または、このような技術の組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数を使用して、PABPN1ポリペプチドまたはタンパク質の有無または相対量を検出してもよい。PABPN1の抗体認識に依存する技術が考えられ、本明細書、例えば、実施例4に記載されている。1つの例では、PABPN1ポリペプチドの抗体捕捉法と捕捉したPABPN1ポリペプチドの電気泳動分離法の組み合わせを含む技術、例えば、Isonostic(商標)Assay(Target Discovery,Inc.)を使用して、PABPN1ポリペプチドの有無または相対存在度を検出してもよい。PABPN1タンパク質用の抗体は市販されている。
【0295】
トランスフェクション効率または形質導入効率及び試料回収率における差異を正規化するための様々な方法は当該技術分野において周知である。
【0296】
本開示のRNAの不在下でPABPN1がコードするmRNA発現またはタンパク質のレベル、または、PABPN1タンパク質の核凝集の量と比較して、PABPN1がコードするmRNAまたはタンパク質の発現を抑制する、または、PABPN1タンパク質の核凝集の存在を抑制する本開示の核酸、ddRNAi構築物または発現ベクターは、治療適用、例えば、内在性PABPN1の発現を抑制して、内在性PABPN1の一部または全てを本明細書に記載のOPMDの原因とはならないPABPN1タンパク質に置換することによるOPMDの治療に有用であると考えられる。
【0297】
動物モデル
OPMDの研究に利用可能な小型動物モデルにはいくつかあり、その例については、Uyama et al.,(2005)Acta Myologica,24(2):84-88及びChartier and Simonelig(2013)Drug Discovery Today:technologies,10:e103-107に記載されている。例示的な動物モデルは、Davies et al.,(2005)Nature Medicine,11:672-677及びTrollet et al.,(2010)Human Molecular Genetics,19(11):2191-2207に以前記載されたA17.1トランスジェニックマウスモデルである。
【0298】
上記動物モデルのいずれかを使用して、本開示のshmiRまたはddRNAi構築物が、PABPN1遺伝子によりコードされるRNAまたはタンパク質の発現をノックダウン、抑制または阻害する効果を確認してもよい。
【0299】
細胞モデルに関しPABPN1遺伝子発現をアッセイするための方法について本明細書で説明してきたが、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0300】
機能性PABPN1を補充するための薬剤
1つの例では、本開示は、機能性PABPN1タンパク質を、例えば、細胞または動物に補充するための薬剤を提供する。機能性PABPN1タンパク質はOPMDの原因とはならず、本開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)が標的とするmRNA転写物によりコードされない。
【0301】
1つの例では、機能性PABPN1タンパク質を細胞または動物に補充するための薬剤は、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸、例えば、DNAまたはcDNAなどである。例えば、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸は、コドン最適化(例えば、野生型PABPN1核酸と比較して1つまたは複数の変性塩基またはゆらぎ塩基を含有するが同一アミノ酸をコードすることにより、機能性PABPN1タンパク質をコードする対応するmRNA配列が本開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって認識されないようになる)されてもよい。例えば、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、野生型PABPN1核酸と比較して、本開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)が標的とする領域内に1つまたは複数の変性塩基またはゆらぎ塩基を含んでいてもよい。1つの例では、1つまたは複数の変性塩基またはゆらぎ塩基は、本開示のshmiRまたはshRNAのエフェクター配列のシード領域内に存在する。
【0302】
1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸は、その対応するmRNA配列が本開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって認識されないようにコドン最適化される。コドン最適化核酸配列がコードする機能性PABPN1タンパク質は、配列番号:74に記載のアミノ酸配列、すなわち、野生型ヒトPABPN1タンパク質のアミノ酸配列を含むことが好ましい。機能性PABPN1タンパク質をコードするのに使用可能な多数のヌクレオチド配列の組み合わせが存在しており、ヌクレオチド配列の選択は最終的に、shmiR(複数可)またはshRNA(複数可)のエフェクター配列(すなわち、コドン最適化核酸がshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって認識されないように)に依存することを当業者は理解する。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質を補充するための薬剤は、配列番号:73に記載の配列を含む核酸である。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸はまたコザック配列を含んでいてもよい。
【0303】
1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、機能性PABPN1タンパク質の発現に好適なプロモーターに機能的に連結する。眼または筋肉の組織内における機能性PABPN1タンパク質の発現に好適なプロモーターが特に好適であり得る。機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸と共に使用するのに好適な1つの例示的なプロモーターはSpc512プロモーターである。機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸と共に使用するのに好適な別の例示的なプロモーターはCK8プロモーターである。しかしながら、当該技術分野において周知の任意の好適なプロモーターを使用してもよい。例えば、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸と共に使用するその他の好適なプロモーターについてはUS20110212529A1に記載されている。
【0304】
本明細書に記載するとおり、本開示の一部の例において有用なプロモーターは組織特異的または細胞特異的であってもよい。
【0305】
1つの例では、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、機能性PABPN1タンパク質及びその対応するmRNA転写物の発現を増加させるための1種または複数種のエンハンサーを追加的に含んでいてもよい。本開示のこの例に使用するのに適切なエンハンサーは当業者に周知である。
【0306】
機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸は発現ベクター内に含まれていてもよい。例示的な発現ベクターについて本開示の核酸及びddRNAi構築物との関係から説明してきたが、この例に準用されると解釈されるべきである。
【0307】
それゆえ、1つの例では、機能性PABPN1タンパク質を細胞または動物に補充するための薬剤は、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクターであってもよい。例えば、本開示の発現ベクターは、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸及びその核酸を発現させるためのプロモーター、例えば、Spc512プロモーターまたはCK8プロモーターを含んでいてもよい。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸はまたコザック配列を含んでいてもよい。
【0308】
1つの例では、本明細書に記載の機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸はプラスミド発現ベクター内に含まれていてもよい。好適なプラスミド発現ベクターについては本明細書で説明しており、当該技術分野において周知である。1つの例では、好適なプラスミド発現ベクターはpAAVベクター、例えば、pscAAVプラスミドベクターまたはpssAAVプラスミドベクターである。
【0309】
1つの例では、発現ベクターはミニサークルDNAである。ミニサークルDNAベクターについては本明細書で説明している。
【0310】
1つの例では、発現ベクターはウイルスベクターである。例えば、任意の適切なウイルスをベースにしたウイルスベクターを使用して、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を導入してもよい。加えて、ハイブリッドウイルスシステムを使用してもよい。ウイルス導入システムの選択は、様々なパラメータ、例えば、導入の標的となる組織、そのシステムの形質導入効率、病原性、免疫学的懸念及び毒性懸念などに依存する。
【0311】
遺伝物質を細胞または動物に導入するための例示的なウイルスシステムについて本開示のRNA及びddRNAi構築物との関係から説明してきたが、この例に準用されると解釈されるべきである。
【0312】
1つの例では、ウイルスベクターはAAVである。
【0313】
1つの例では、ウイルスベクターはAdVベクターである。
【0314】
1つの例では、ウイルスベクターはレンチウイルスである。
【0315】
当業者に周知のその他のウイルスシステムまたは非ウイルスシステムを使用して本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を目的の細胞に導入してもよく、それらシステムとしては、遺伝子欠失アデノウイルストランスポゾンベクター(Yant,et al.,Nature Biotech.20:999-1004(2002)を参照のこと)、シンドビスウイルスまたはセムリキ森林ウイルスから誘導したシステム(Perri,et al,J.Virol.74(20):9802-07(2002)を参照のこと)、ニューカッスル病ウイルスまたはセンダイウイルスから誘導したシステムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0316】
本明細書に記載の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を本開示の核酸、ddRNAi構築物または発現ベクターと共に提供する例によれば、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、核酸またはddRNAi構築物と同一の発現ベクター内に含まれていてもよい。それゆえ、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸及び本開示の核酸またはddRNAi構築物を、例えば、発現ベクター内の単一のDNA構築物として提供してもよい。
【0317】
本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸と本開示の核酸またはddRNAi構築物を共に提供する代替例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸と核酸またはddRNAi構築物は、異なる発現ベクター内に含まれていてもよい。機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸と核酸またはddRNAi構築物が異なる発現ベクター内に含まれる場合、それぞれの発現ベクターは、同一タイプのベクターまたは異なるタイプのベクターであってもよい。
【0318】
機能性PABPN1用の試験
細胞培養モデル
OPMDの例示的な細胞培養モデルについて、実施例、例えば、実施例4及び5を含む本明細書に記載している。内在性PABPN1を標的とする本開示のshmiRをコードする1種または複数種の核酸の存在下で、本開示の薬剤が機能性PABPN1タンパク質を補充する能力を評価するために、OPMDのこのような細胞培養モデルを使用してもよい。
【0319】
PABPN1タンパク質の有無または相対量を検出するための例示的な方法についても説明してきたが、この例に準用される。例えば、ウェスタンブロット法、ELISA、もしくは、当該技術分野において利用可能なその他の標準的な定量もしくは半定量技術、または、このような技術の組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数を使用して、PABPN1タンパク質の有無または相対量を検出してもよい。PABPN1の抗体認識に依存する技術が考えられ、本明細書に記載されている。変異PABPN1タンパク質及び機能性PABPN1タンパク質を適切なタンパク質タグ、例えば、mycタグまたはFLAGタグと共に発現させて、市販されている適切な抗体を使用した変異PABPN1タンパク質及び機能性PABPN1タンパク質の特異的な検出を容易にしてもよい。例えば、変異ヒトPABPN1タンパク質をFLAGタグと共に発現させてもよい。この方法では、細胞内における変異PABPN1タンパク質と機能性PABPN1タンパク質の両方の有無または相対量を個別に検出してから、その細胞に、本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)及び本開示の機能性PABPN1タンパク質を補充するための薬剤(本明細書に記載するとおり、別々にまたは共に提供され得る)をトランスフェクションまたは形質導入してもよい。
【0320】
1つの例では、PABPN1ポリペプチドの抗体捕捉法と捕捉したPABPN1ポリペプチドの電気泳動分離法の組み合わせを含む技術、例えば、Isonostic(商標)Assay(Target Discovery,Inc.)を使用して、PABPN1ポリペプチドの有無または相対存在度を検出してもよい。PABPN1タンパク質用の抗体は市販されている。
【0321】
本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)(本開示の1種または複数種のshmiR(複数可)を発現する)の存在下で、OPMDの原因とはならないPABPN1タンパク質を細胞内で発現する本開示の薬剤は、OPMDを治療するのに有用であると考えられる。
【0322】
動物モデル
OPMDを研究するための例示的な動物モデルについて説明してきた。
【0323】
上記動物モデルのいずれかを使用して、本開示の薬剤が、本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)(本開示の1種または複数種のshmiR(複数可)を発現する)の存在下で、機能性PABPN1タンパク質をインビボで補充する効果を確認してもよい。
【0324】
細胞モデルに関しPABPN1発現をアッセイするための方法について説明してきたが、本開示のこの例に準用されると解釈されるべきである。
【0325】
1つの例では、組織学的解析及び形態学的解析を使用して、本開示の薬剤が、本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)(本開示の1種または複数種のshmiR(複数可)を発現する)の存在下で、機能性PABPN1タンパク質をインビボで補充する効果を確認してもよい。本開示の薬剤が機能性PABPN1タンパク質をインビボで補充する効果を確認するために使用され得る更なるアッセイについては、Trollet et al.,(2010)Human Molecular Genetics,19(11):2191-2207に記載されている。
【0326】
ddRNAi用の単一のDNA構築物及び機能性PABPN1の補充
本開示はまた、本明細書に記載の機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸及び本開示の1種または複数種のddRNAi構築物(複数可)を含む単一のDNA構築物を提供する。機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸及び本開示のddRNAi構築物を含む例示的なDNA構築物については実施例7に記載されている。1つの例では、DNA構築物は、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸と組み合わせて、本明細書に記載の単一のddRNAi構築物を含んでいてもよい。別の例では、DNA構築物は、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸と組み合わせて、複数種のddRNAi構築物を含んでいてもよい。DNA構築物のそれぞれの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、そのmRNA転写物がddRNAi構築物(複数可)のshmiR(複数可)によって標的とされないようにコドン最適化される。
【0327】
1つの例では、機能性PABPN1タンパク質は、例えば、配列番号:74に記載の配列を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質である。機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列はddRNAi構築物がコードするshmiR(複数可)に応じて様々であり得るということを理解されたい。つまり、修飾されるPABPN1 mRNA転写物内における特定のコドンはddRNAi構築物がコードするshmiR(複数可)のエフェクター配列(複数可)に応じて様々であり得る。1つの例では、機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は配列番号:73に記載されている。
【0328】
DNA構築物はまた、例えば、ddRNAi構築物がコードする機能性PABPN1タンパク質及び/またはshmiRの発現を駆動するための1種または複数種のプロモーターを含んでいてもよい。本開示の一部の例において有用なプロモーターは組織特異的または細胞特異的であってもよい。本開示のDNA構築物に使用する例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。しかしながら、当該技術分野において周知の任意の好適なプロモーターは、本明細書に記載のDNA構築物(例えば、US20110212529A1に記載されているようなもの)に使用されると考えられる。
【0329】
DNA構築物は、発現ベクターの形態で提供されてもよく、または、発現ベクター内に含まれていてもよい。好適な発現ベクターについては本明細書で説明しており、当該技術分野において周知である。
【0330】
1つの例では、発現ベクターはウイルスベクターである。例えば、任意の適切なウイルスをベースにしたウイルスベクターを使用して、本開示の単一のDNA構築物を導入してもよい。加えて、ハイブリッドウイルスシステムを使用してもよい。ウイルス導入システムの選択は、様々なパラメータ、例えば、導入の標的となる組織、そのシステムの形質導入効率、病原性、免疫学的懸念及び毒性懸念などに依存する。
【0331】
別の例では、好適なプラスミド発現ベクターはpAAVベクター、例えば、pscAAVプラスミドベクターまたはpssAAVプラスミドベクターである。遺伝物質を細胞または動物に導入するためのその他の例示的なウイルスシステムについて本開示のddRNAi構築物との関係から説明してきたが、この例に準用されると解釈されるべきである。
【0332】
1つの例では、5´→3´方向に、筋特異的プロモーター、例えば、Spc512プロモーター、本明細書に記載のddRNAi構築物及び本明細書に記載のPABPN1構築物を含む、pAAV発現ベクターの形態のDNA構築物を提供し、例えば、ddRNAi構築物は、機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸の3´非翻訳領域(UTR)に位置する。この例によるDNA構築物は
図12Aに図示されている。
【0333】
この例による例示的なDNA構築物は、5´→3´方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、Spc512、
(b)ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物、及び、
(c)本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物、
を含むpAAV発現ベクターである。
【0334】
この例によれば、DNA構築物は、配列番号:72に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなっていてもよい。
【0335】
この例による別の例示的なDNA構築物は、5´→3´方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、Spc512、
(b)ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物、及び、
(c)本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物、
を含むpAAV発現ベクターである。
【0336】
この例によれば、DNA構築物は、配列番号:71に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなっていてもよい。
【0337】
別の例では、5´→3´方向に、第1の筋特異的プロモーター、例えば、CK8プロモーター、本明細書に記載のPABPN1構築物、第2の筋特異的プロモーター、例えば、Spc512プロモーター、及び本明細書に記載のddRNAi構築物を含む、pAAV発現ベクターの形態のDNA構築物を提供し、第1の筋特異的プロモーターと第2の筋特異的プロモーターはそれぞれ、PABPN1構築物とddRNAi構築物に機能的に連結する。この例によるDNA構築物は
図12Bに図示されている。例えば、PABPN1構築物と機能的に連結するプロモーターは、PABPN1構築物内に含まれる、機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列に機能的に連結し、ddRNAi構築物と機能的に連結するプロモーターは、本開示のshmiRをコードする1種または複数種の核酸と機能的に連結する。この例によるDNA構築物は
図12Aに図示されている。
【0338】
この例による例示的なDNA構築物は、5´→3´方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、本明細書に記載のshmiR17をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR13をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物の上流に配置されるCK8プロモーター、及び、
(b)筋特異的プロモーター、例えば、ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物の上流に配置されるSpc512プロモーター、
を含むpAAV発現ベクターである。
【0339】
この例によれば、DNA構築物は、配列番号:70に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなっていてもよい。
【0340】
この例による別の例示的なDNA構築物は、5´→3´方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、本明細書に記載のshmiR3をコードするDNA配列を含む核酸及び本明細書に記載のshmiR14をコードするDNA配列を含む核酸を含む本開示のddRNAi構築物の上流に配置されるCK8プロモーター、及び、 (b)筋特異的プロモーター、例えば、ddRNAi構築物がコードするshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む本明細書に記載のPABPN1構築物の上流に配置されるSpc512プロモーター、
を含むpAAV発現ベクターである。
【0341】
この例によれば、DNA構築物は、配列番号:69に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなっていてもよい。
【0342】
本開示のDNA構築物内に含まれる、shmiR13とshmiR17をコードする例示的なddRNAi構築物は、配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:31に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:39に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、DNA構築物のこの例によるddRNAi構築物は、配列番号:64に記載のDNA配列(shmiR13)を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:68に記載のDNA配列(shmiR17)を含むかまたはそれからなる核酸、を含んでいてもよい。
【0343】
本開示のDNA構築物内に含まれる、shmiR3とshmiR14をコードする例示的なddRNAi構築物は、配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:17に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:33に記載の配列に対して実質的に相補的なエフェクター相補配列、例えば、配列番号:34に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸を含む。例えば、DNA構築物のこの例によるddRNAi構築物は、配列番号:57に記載のDNA配列(shmiR3)を含むかまたはそれからなる核酸、及び、配列番号:65に記載のDNA配列(shmiR14)を含むかまたはそれからなる核酸、を含んでいてもよい。
【0344】
特定の例について説明してきたが、本開示によるDNA構築物が、1種または複数種のshmiRをコードする本明細書に記載の任意のddRNAi構築物を含み得るということを理解されたい。例えば、実施例1~5に記載のshmiRをコードするddRNAi構築物は、本開示のDNA構築物内に含ませるのに特に好適であり得る。
【0345】
組成物及び担体
一部の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)を組成物内に提供する。一部の例では、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸を組成物内に提供する。一部の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)を、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸と共に組成物内に提供する。一部の例では、1種または複数種の核酸(複数可)またはddRNAi構築物(複数可)及び機能性PABPN1タンパク質をコードする核酸を、組成物内における同一の発現ベクター内に提供する。
【0346】
本明細書に記載するとおり、発現ベクターは、本開示のddRNAi構築物を単独で、または、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸と組み合わせて含んでいてもよい。本明細書において発現ベクター及び/またはその発現ベクターを含む組成物に言及する場合、それらは、(i)本開示のddRNAi構築物を含む発現ベクターまたはその発現ベクターを含む組成物、(ii)本開示のddRNAi構築物と本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸の両方を含む発現ベクターまたはその発現ベクターを含む組成物、または、(iii)本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクターまたはその発現ベクターを含む組成物、を包含すると理解される。
【0347】
それゆえ、本開示の組成物は、(i)本開示のddRNAi構築物を含む発現ベクター、及び、(ii)本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクター、を含んでいてもよい。代替的に、本開示の組成物は、本開示のddRNAi構築物を含む単一の発現ベクター、及び、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸、を含んでいてもよい。
【0348】
更に別の例では、本開示のddRNAi構築物を含む発現ベクターは1種の組成物内に含まれていてもよく、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクターは、例えば、共にパッケージ化される別の組成物内に提供されてもよい。
【0349】
本開示の組成物はまた、1種または複数種の薬学的に許容される担体または希釈剤を含んでいてもよい。例えば、組成物は、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)を対象の筋肉に投与した後に対象の筋肉に導入するのに好適な担体を含んでいてもよい。
【0350】
一部の例では、担体は、脂質ベース担体、カチオン性脂質もしくはリポソーム核酸複合体、リポソーム、ミセル、ビロゾーム、脂質ナノ粒子、またはこれらの混合物である。
【0351】
一部の例では、担体は、カチオン性ポリマー-核酸複合体を形成するような生分解性ポリマーベースの担体である。例えば、担体は、本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)を筋細胞または眼の組織に導入するのに好適なカチオン性ポリマー微粒子であってもよい。組成物を細胞に導入するためのカチオン性ポリマーの使用は当該技術分野において周知であり、例えば、Judge et al.Nature 25:457-462(2005)に記載されている(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。例示的なカチオン性ポリマーベースの担体は、ポリエチレンイミンなどのカチオン性DNA結合ポリマーである。本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)と複合体を形成するのに好適であり、それらを導入するのに好適なその他のカチオン性ポリマーとしては、ポリ(L-リジン)(PLL)、キトサン、PAMAMデンドリマー、及び、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(pDMAEMA)が挙げられる。その他のポリマーとしてはポリβ-アミノエステルが挙げられる。これらは当該技術分野において周知のその他の好適なカチオン性ポリマーであり、Mastrobattista and Hennink,Nature Materials,11:10-12(2012),WO/2003/097107及びWO/2006/041617に記載されている(それらの完全な内容は参照により本明細書に組み込まれる)。非経口の皮下注射、静脈注射及び吸入を含む様々な送達経路用に、このような担体製剤が開発されている。
【0352】
更なる例では、担体は、シクロデキストリンベースの担体、例えば、シクロデキストリンポリマー-核酸複合体などである。
【0353】
更なる例では、担体は、タンパク質ベースの担体、例えば、カチオン性ペプチド-核酸複合体などである。
【0354】
別の例では、担体は脂質ナノ粒子である。例示的なナノ粒子については、例えば、US7514099に記載されている。
【0355】
一部の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)は、カチオン性脂質/コレステロール/PEG-C-DMA/DSPC(例えば、40/48/2/10の比率)、カチオン性脂質/コレステロール/PEG-DMG/DSPC(例えば、40/48/2/10の比率)、または、カチオン性脂質/コレステロール/PEG-DMG(例えば、60/38/2の比率)を含む脂質ナノ粒子組成物と配合される。一部の例では、カチオン性脂質は、DMA中のOctyl CL、DMA中のDL、L-278、DLinKC2DMAまたはMC3である。
【0356】
別の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)は、WO2010/021865、WO2010/080724、WO2010/042877、WO2010/105209またはWO2011/022460に記載のカチオン性脂質製剤のうちのいずれかと配合される。
【0357】
別の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)は、例えば、核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)の導入を容易にするために、別の化合物にコンジュゲートされるかまたはその化合物と複合体を形成する。このようなコンジュゲートの非限定例(例えば、CDM-LBA、CDM-Pip-LBA、CDM-PEG、CDM-NAGなど)については、US2008/0152661及びUS2004/0162260に記載されている。
【0358】
別の例では、ポリエチレングリコール(PEG)は、本開示のRNAもしくはddRNAiまたは発現ベクターに共有結合する。結合したPEGは、任意の分子量、例えば、約100~約50,000ダルトン(Da)であってもよい。
【0359】
更にその他の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)は、例えば、WO96/10391、WO96/10390またはWO96/10392に開示されている、ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG修飾リポソーム、すなわち、血中滞留性リポソームまたはステルスリポソーム)を含有する表面修飾リポソームを含む担体と配合される。
【0360】
一部の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)はまた、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、例えば、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-GAL)誘導体またはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-トリ-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-トリGAL)誘導体などと配合するかまたはそれらと複合体を形成してもよい。
【0361】
その他の例では、本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)は、米国特許出願公開番号2001/0007666に記載されているような膜破壊剤と複合体を形成する。
【0362】
その他の担体としては、シクロデキストリン(例えば、Gonzalez et al.,1999,Bioconjugate Chem.,10,1068-1074;またはWO03/46185を参照のこと)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)及びPLCA微粒子(例えば、US2002130430を参照のこと)が挙げられる。
【0363】
本開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)の生物学的安定性を高める物質、及び/または、組成物が選択的に筋細胞に局在する能力及び/または筋細胞を貫通する能力を高める物質を、組成物が含むことが望ましい。薬学的に許容される担体(例えば、生理食塩水)を用いて本開示の治療用組成物を投与してもよく、その担体は、投与方法及び投与経路ならびに標準的な薬学的手法に基づいて選択される。当業者は、本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)または発現ベクター(複数可)を含む医薬組成物を容易に製剤化することができる。一部の例では、等張製剤を使用する。一般的に、等張性用の添加剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを挙げることができる。一部の例では、リン酸緩衝食塩水などの等張液が好ましい。安定化剤としてはゼラチン及びアルブミンが挙げられる。一部の例では、血管収縮剤を製剤に加える。本開示による組成物は滅菌かつ発熱物質フリーで提供される。医薬品製剤に使用する好適な医薬品担体に加えて医薬必需品については、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(以前はRemington’s Pharmaceutical Sciences),Mack Publishing Co.,(この分野における標準的な参考書)、及びUSP/NFに記載されている。
【0364】
とりわけ、炎症反応などの毒性を最小化しつつ細胞導入を最大化するために、医薬組成物の容量、濃度及び配合に加えて投与レジメンを調節してもよい(例えば、比較的大きな容量(5、10、20、50mlまたはそれ以上)で相対的に低濃度の活性成分に加え、必要に応じ、コルチコステロイドなどの抗炎症化合物を含有させて利用してもよい)。
【0365】
任意の好適な経路による投与用に本開示の組成物を製剤化してもよい。例えば、投与経路としては、筋肉内、腹腔内、皮膚内、皮下、静脈内、動脈内、眼内及び経口に加え、経皮もしくは吸入、または座薬が挙げられるがこれらに限定されない。例示的な投与経路としては、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、経口、腹腔内、皮膚内、動脈内及び皮下注射が挙げられる。1つの例では、本開示の組成物はIM投与用に製剤化される。このような組成物は薬剤用途に有用であり、好適な滅菌非発熱性溶媒、例えば、緩衝生理食塩水中で、注射用に、非経口投与用、例えば、IM投与用、静脈内投与用(静脈内注射を含む)、SC投与用、及び腹腔内投与用に容易に製剤化できる。一部の投与経路、例えば、IM、IV注射または注入などにより、筋組織への送達、及び、本開示のPABPN1をコードするddRNAi構築物及び/またはコドン最適化核酸のトランスフェクション、ならびに、そこにおけるRNA及び/またはコドン最適化核酸の発現、を効果的に達成することができる。
【0366】
治療方法
1つの例では、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質を含む内在性PABPN1タンパク質の対象における発現を阻害するために、本明細書に記載の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、またはそれらを含む組成物(複数可)を使用する。
【0367】
1つの例では、本明細書に記載の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、またはそれらを含む組成物(複数可)を使用して、OPMDを患う対象におけるOPMDを治療してもよい。同様に、本明細書に記載の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、またはそれらを含む組成物(複数可)を使用して、OPMDを患うまたはOPMDに罹患しやすい対象におけるOPMDの1種または複数種の症状の発現または進行を予防してもよい。
【0368】
上記の例のそれぞれにおいて、本開示の発現ベクター及び/または組成物は、本開示のddRNAi構築物と本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸の両方を含んでいてもよい。それゆえ、発現ベクターまたは組成物の投与は、(i)OPMDの原因となる伸長ポリアラニントラクトを含むPABPN1タンパク質を含む内在性PABPN1の発現を阻害、抑制またはノックダウンすること、及び、(ii)内在性PABPN1の発現を阻害、抑制またはノックダウンするshmiRまたはshRNAが標的としない機能性PABPN1タンパク質の発現をもたらすこと、に有効となり得る。それゆえ、本開示の組成物は、それを投与した細胞または動物におけるPABPN1タンパク質の機能、例えば、RNAの転写後プロセシングを回復させることができる。
【0369】
別の例では、OPMDの治療は、(i)OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1種または複数種の薬剤と、(ii)本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物を別々に対象に投与することを含んでいてもよい。本明細書に記載するとおり、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1種または複数種の薬剤は、本明細書に記載の核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、もしくはそれらを含む組成物、または、それらの任意の1種または複数種のうちの複数種であってもよい。構成成分(i)と(ii)を共に、同時にまたは連続で対象に投与してもよい。
【0370】
例えば、OPMDの治療は、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を対象に投与することを含んでいてもよく、その対象は以前に、OPMDの原因となるがコドン最適化核酸の発現を阻害しないPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1種または複数種の薬剤を投与されている。例えば、対象は以前に、本明細書に記載の核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、もしくはそれらを含む組成物、または、それらの任意の1種または複数種のうちの複数種を投与されていてもよい。
【0371】
上述したとおり、投与経路としては、筋肉内、腹腔内、皮膚内、皮下、静脈内、動脈内、眼内及び経口に加え、経皮もしくは吸入、または座薬が挙げられるがこれらに限定されない。例示的な投与経路としては、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、経口、腹腔内、皮膚内、動脈内及び皮下注射が挙げられる。一部の投与経路、例えば、IM、IV注射または注入などにより、筋組織への送達、及び、本開示のPABPN1をコードするddRNAi構築物及び/またはコドン最適化核酸のトランスフェクション、ならびに、そこにおけるshmiRまたはshRNA及び/またはコドン最適化核酸の発現、を効果的に達成することができる。
【0372】
当業者は、OPMDを患う対象を治療するのに必要となり得る、有効で非毒性量の本明細書に記載の核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、もしくはそれらを含む組成物、または、それらの任意の1種または複数種のうちの複数種を通常の実験で決定することができ得る。任意の個々の患者における治療有効投与濃度は、使用する組成物、患者の年齢、体重、全身健康、性別及び栄養、投与期間、投与経路、本明細書に記載の核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、もしくはそれらを含む組成物、または、それらの任意の1種または複数種のうちの複数種の滞留率、治療期間に加え、内科医学において周知のその他の関連因子を含む様々な因子によって決まる。
【0373】
本開示の核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、またはそれらを含む組成物が、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を抑制または阻害する効果、及び、PABPN1機能を回復させるのに十分な量でOPMDの原因とはならない機能性PABPN1タンパク質を発現する効果は、治療した対象における筋収縮特性及び/または嚥下困難を評価することにより確認することができる。嚥下能力及び筋収縮特性を試験するための方法は当技術分野において周知である。例えば、ビデオ透視検査、UGI内視鏡検査または食道マノメトリー及びインピーダンス検査を使用して嚥下困難を評価してもよい。OPMDの臨床像を評価するためのその他の方法については、Ruegg et al,.(2005)Swiss Medical Weekly,135:574-586に記載されている。
【0374】
キット
本開示はまた、本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、またはそれらを含む組成物をキットの形態で提供する。キットは容器を含んでいてもよい。キットは通常、本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、またはそれらを含む組成物を、それまたはそれらを投与するための取扱説明書と共に含有する。一部の例では、キットは、本開示の2種以上の核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、またはそれらを含む組成物を含有する。1つの例では、キットは、(i)本開示の1種または複数種の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、またはそれらを含む組成物を含む、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を抑制または阻害するための第1のキット構成成分、及び、(ii)第2のキット構成成分としての、本開示の機能性PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクター、またはその発現ベクターを含む組成物、を含む。第1のキット構成成分と第2のキット構成成分はキット内に共にパッケージ化されてもよい。
表1-PABPN1内における標的領域
【実施例】
【0375】
実施例1-PABPN1を標的とするshmiRの設計
一般に利用可能なsiRNA設計アルゴリズム(Ambion、Promega、Invitrogen、Origene及びMWGを含む)を使用して、siRNA構築物の設計に対する潜在的な標的を示す配列をPABPN1 mRNA配列から同定したが、選択した配列は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ及びマウス種に保存されていた。5´隣接領域(配列番号:41)、siRNAセンス鎖配列(エフェクター相補配列)、ステム/ループ接合部配列(配列番号:40)、siRNAアンチセンス鎖(エフェクター配列)及び3´隣接領域(配列番号:42)を含む低分子ヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードする配列を作製するために、候補siRNAをコードする配列をpre-miR30aスキャフォールドに組み込んだ。代表的なshmiRの予測二次構造を
図1に示す。設計したshmiR用のPABPN1 mRNA転写物の標的領域を表1に示し、対応するshmiRエフェクター配列(アンチセンス鎖)を表2に示す。
【0376】
実施例2-デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイにおけるshmiRの活性
本開示のshmiRがPABPN1転写物の発現をノックダウンする効果を試験するために、HEK293細胞を用いてデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイを実施した。
【0377】
pGL3ルシフェラーゼレポーターベクターを構築した。野生型PABPN1またはコドン最適化PABPN1(wtPABPN1またはoptPABPN1)のいずれかの完全コード配列をpGL3コントロールベクター(Promega,Madison,WI)に挿入することによりルシフェラーゼレポーターを作製した。FseI制限酵素部位及びXbaI制限酵素部位を使用して、インサートをルシフェラーゼレポーター遺伝子の3´UTRにサブクローニングした。U6 pol IIIプロモーターが駆動するshmiR配列(表3に列挙している)を標的とするPABPN1を含有する構築物をDNA2.0(Newark,CA)において合成し、pSilencerプラスミド骨格にサブクローニングした。
【0378】
HEK293細胞株をATCC(Manassas,VA)から購入した。10%ウシ胎児血清、2mMのグルタミン、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含有するDMEM培地を用いて、加湿インキュベーター内、5%CO2下37℃でHEK293細胞を培養した。簡潔に説明すると、トランスフェクションの1日前に、HEK293細胞をウェルあたり2×104個の細胞の密度で96ウェル培養プレートに播種した。
【0379】
製造業者の取扱説明書に従いFugene 6(Promega,Madison,WI)を使用して、PABPN1 shmiR発現構築物と、それらの対応するアンチセンスまたはセンスルシフェラーゼレポーター構築物とRenillaコントロールレポーター構築物をHEK293細胞に共トランスフェクションした。0.3uLのFugene 6を使用して、トランスフェクションのそれぞれのウェルに、100ngのPABPN1 shmiRの1種と、10ngの対応するルシフェラーゼレポーター構築物と1ngのRenillaコントロールレポーター構築物(トランスフェクションコントロールとしての役割を果たす)を共トランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞溶解液を回収し、Dual Luciferase Reporter Assay System(Promega,Madison,WI)を使用して解析を行った。それぞれのウェルのfirefly/Renilla活性比率を求め、非標的化siRNA、pSilencer対照(Thermo Fisher,USA)に正規化することによりshmiRの阻害効率を計算した。psilencer対照と比較した、shmiRのそれぞれにおけるセンス鎖及びアンチセンス鎖のHEK293細胞におけるwtPABPN1レポーター構築物またはoptPABPN1レポーター構築物の阻害率を
図2及び
図3に示す。
【0380】
図2及び
図3から明らかなように、表2に示す例示的なshmiRのうちの1種(shmiR11)を除く全てがwtPABPN1ルシフェラーゼレポーターベクターから発現されるルシフェラーゼのレベルを下方制御した(
図2)が、coPABPN1(
図3)レポーター由来の発現を下方制御しなかった。特に、shmiR-3、shmiR-4、shmiR-13、shmiR-14、shmiR-16及びshmiR-17が、PABPN1標的mRNA配列に対して強力な阻害活性(陰性対照として無関係なshRNAで処理した細胞と比較して、70%超のルシフェラーゼ活性の阻害と定義)を有する一方で、パッセンジャー鎖が認識する標的配列を含有するそれらの同種レポーターに対して弱い活性(35%未満の阻害)を有することが示された。
【0381】
実施例3-PABPN1タンパク質発現のインビトロ下方制御
上記のルシフェラーゼ活性アッセイを用いて測定したPABPN1発現の下方制御に基づいて、更なる解析用に、shmiR2、3、5、9、13、14、16及び17を選択した。それらがインビトロでPABPN1を下方制御する能力を検査するために、実施例2に記載のU6プロモーターが駆動するプラスミドを含有するshmiRを2種の別の発現プラスミドと共に使用した。一方はFLAGタグ付きヒトwtPABPN1(wt-PABPN1-FLAG、配列番号:75)をコードし、もう一方は、FLAGタグと共にヒトPABPN1をコードするコドン最適化配列(co-PABPN1-FLAG、配列番号:76)を含む。
【0382】
細胞
20mMのHEPES、2mMのグルタミン、10%ウシ胎児血清(FBS)、1×Penstrepを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)内で、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293T、ATCC,Manassas,USA)を増殖させた。
【0383】
処理
簡潔に説明すると、HEK293T細胞を1×106個の細胞/ウェルで播種し、翌日、野生型ヒトPABPN1(wt-PABPN1-FLAG)(配列番号:75)を発現するプラスミド(100ng/ウェル)またはコドン最適化PABPN1(co-PABPN1-FLAG)(配列番号:76)を発現するプラスミド(100 ng/ウェル)と共にまたはそれ無しで、上記shmiRプラスミドのうちの1種(300ng/ウェル)をトランスフェクションした。対照として、HEK293T細胞に非標的化siRNA配列を発現するpSilencer対照プラスミド(Thermo Fisher,USA)をトランスフェクションした。完全DMEM培地内でHEK293T細胞を37℃で72時間インキュベートし、その後、細胞を回収し、ウェスタンブロットで細胞溶解液を解析した。
【0384】
ウェスタンブロット解析
NaCl 0.15M、0.1%SDS、50mMのトリス(pH8)、2mMのEDTA、及びプロテアーゼ阻害薬カクテル(Complete,Roche Diagnostics)を含む10%Triton-X-100を含有するRIPA緩衝液中で細胞をインキュベートすることにより細胞溶解液を調製した。
【0385】
4~12%Bis-Tris gel(Invitrogen)上でタンパク質を分離し、iBlot 2ドライブロッティングシステム(Life Technologies)を使用してニトロセルロース膜に転写した。iBind Western System(Invitrogen)を使用し、ブロットをブロッキングして一次抗体及び二次抗体をプローブした。一次抗体(抗flag(GenScript)及び抗Hsp90(Sigma))を1:500希釈で使用する一方で、二次APコンジュゲート抗体(抗マウス及び抗ウサギ、Sigma)を1:6000希釈で使用した。DDAO色素を使用してバンドを検出し、FLA-3000スキャナー(Fuji)を使用して画像化した。
【0386】
得られたブロット及びImageJを使用して得た対照と比較したPABPN1発現阻害率の定量について
図4及び
図5に示す。
図4から明らかなように、実施例3で選択したshmiRの全ては>90%の阻害率で野生型PABPN1の発現をノックダウンし、試験した8種のshmiRのうちの7種は野生型PABPN1タンパク質の発現を>95%のレベルで阻害した。それに対し、shmiRはコドン最適化PABPN1構築物の発現を阻害しなかった(
図5)。
【0387】
実施例4-HEK293T細胞におけるPABPN1のshmiR標的化遺伝子サイレンシング
本実施例では、PABPN1 shmiRプラスミドがPABPN1の内在性発現をインビトロでノックダウンする能力を明らかにする。
【0388】
細胞
20mMのHEPES、2mMのグルタミン、10%ウシ胎児血清(FBS)、1×Penstrepを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)内で、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293T、ATCC,Manassas,USA)を増殖させた。
【0389】
処理
簡潔に説明すると、HEK293T細胞を1×106個の細胞/ウェルで播種し、翌日、実施例2に記載のshmiRプラスミドのうちの1種(300ng/ウェル)をトランスフェクションした。対照として、HEK293T細胞に非標的化siRNA配列を発現するpsilencerプラスミド(Thermo Fisher,USA)をトランスフェクションした。完全DMEM培地内でHEK293T細胞を37℃で72時間インキュベートし、その後、細胞を回収し、RNAを抽出、逆転写してから、qPCRで解析した。
【0390】
qPCR解析
上記のshmiRによるmRNAレベルにおけるPABPN1の阻害レベルを定量するために、抽出したRNA試料に対してqPCR解析を実施した。
【0391】
コドン最適化PABPN1を野生型PABPN1と区別するために、TaqMan Primers and Probesを設計して野生型PABPN1またはコドン最適化PABPN1を特異的に増幅させた。GenScript TaqManプライマー設計ツール(https://www.genscript.com/ssl-bin/app/primer)を使用してプライマーを設計した。
【0392】
定量RT-PCRに使用した得られたプライマーの配列を以下に示す。
wtPABPN1-Fwd 5´-ATGGTGCAACAGCAGAAGAG-3´(配列番号:77)
wtPABPN1-Rev 5´-CTTTGGGATGGCCACTAAAT-3´(配列番号:78)
wtPABPN1-Probe 5´-CGGTTGACTGAACCACAGCCATG-3´(配列番号:79)
optPABPN1-Fwd 5´-ACCGACAGAGGCTTCCCTA-3´(配列番号:80)
optPABPN1-Rev 5´-TTCTGCTGCTGTTGTAGTTGG-3´(配列番号:81)
optPABPN1-Probe 5´-TGGTCCGGGCTCTGTACCTAGCC-3´(配列番号:82)
【0393】
製造業者の取扱説明書に従いTrizol(Invitrogen)を使用して細胞溶解液からトータルRNAを抽出した。ND-1000 NanoDrop分光光度計(NanoDrop Technologies)を使用してRNA試料を定量した。製造業者の取扱説明書に従いMultiscribe逆転写酵素(ABI)を使用してRNA(100ng)を逆転写した。10ulの総反応容量のTaqman qPCRマスターミックスを用いた定量PCR反応にcDNAを使用した。PCR反応は以下:50℃で2分間、95℃で10分間、続いて、95℃で15秒間、60℃で1分間を40サイクル、のとおりに実施した。
【0394】
それぞれのmRNAの発現レベルをGAPDHに正規化した。標準曲線で測定した総コピーに従い発現レベルを計算し、pSilencer対照と比較した阻害率に変換した。
【0395】
例示的なshmiRにより得られたHEK293細胞における野生型PABPN1発現の阻害率を
図6に示す。
図6に示すとおり、shmiRは、PABPN1の発現を16.4%~49.1%の範囲(平均35.5%)の阻害率で下方制御した。
【0396】
実施例5-C2C12マウス筋細胞及びARPE-19ヒト網膜細胞におけるPABPN1のshmiR標的化遺伝子サイレンシング
qPCRで測定したHEK293細胞におけるPABPN1発現に対する例示的なshmiRによる低阻害率がPABPN1の遺伝子発現における細胞株の差異によるものかどうかを確認するために、OPMDに関連する解析用の別の細胞株、すなわち、C2C12マウス筋細胞及びARPE-19ヒト網膜細胞を選択した。
【0397】
細胞
20mMのHEPES、2mMのグルタミン、10%ウシ胎児血清(FBS)、1×Penstrepを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)内で、C2C12マウス筋細胞を増殖させた。
【0398】
ダルベッコ改変イーグル培地/Ham’s Nutrient Mixture F-12(DMEM/F12)、10%ウシ胎児血清(FBS)、1×Penstrep内で、ARPE-19ヒト網膜細胞を増殖させた。
【0399】
処理
簡潔に説明すると、Neonエレクトロポレーションシステム(パルス電圧:1650、パルス幅:10、パルス数:3)を使用して2×105個のC2C12細胞にエレクトロポレーションした。上記の単一のshmiRと2種のshmiRの組み合わせの両方(2μg/ウェル)を解析した。対照として、C2C12細胞に非標的化siRNA配列を発現するpSilencerプラスミド(Thermo Fisher,USA)をエレクトロポレーションした。完全DMEM培地内でC2C12細胞を37℃で24時間インキュベートし、その後、非トランスフェクト細胞の増殖を遅らせるために50ug/mLのヒグロマイシンを加え、続いて、エレクトロポレーションの48時間後に、更に100ug/mLを加えた。72時間時点で細胞を回収し、qPCR用にトータルRNAを抽出した。
【0400】
以下の条件:パルス電圧:1350、パルス幅:20、パルス数:2、を用いて、Neonエレクトロポレーションシステムにより5×106個のARPE-19細胞にエレクトロポレーションした。24時間時点で50ug/mLのヒグロマイシンを加え更なる添加を行わないこと以外はC2C12細胞について上に記載したように細胞を処理した。RNA抽出及びqPCR解析用に、48時間と72時間の両方の時点でARPE-19細胞を回収した。
【0401】
qPCR解析
実施例3で選択したshmiRによる阻害に応じた内在性PABPN1の発現を測定するのに使用したwtPABPN1プライマー及びプローブを用いて、実施例4のHEK293細胞用に記載したとおりに逆転写酵素qPCRを実施した。C2C12細胞におけるshmiR3、13、14、17について3連で、shmiR2、5、9、16について2連で、qPCRを実施した。ARPE-19細胞の2つの時点(48時間及び72時間)における単一の測定値を使用した。
【0402】
図7に示すとおり、shmiR16(約43%の阻害率)を除く個々のshmiRの全てが、pSilencer対照と比較して、C2C12細胞におけるPABPN1の発現を約80%の平均阻害率で下方制御した。
【0403】
最も効果的なshmiR(PABPN1の阻害率で評価した)を、それらshmiRが組み合わされてPABPN1の発現を阻害する能力を解析するために選択した。shmiR13/17の組み合わせ及びshmiR3/14の組み合わせを細胞に共エレクトロポレーションし、個々のshmiRについて上記のとおりqPCRでPABPN1の発現を測定した。
【0404】
図8は、これらの組み合わせのshmiRがC2C12細胞におけるPABPN1の発現に対する効果を示したことを示している。shmiR13/17の共トランスフェクションは、個々のshmiR13とshmiR17それぞれの92.5%と76.7%と比較して、84.4%のPABPN1発現の阻害率をもたらした。shmiR3/14の共トランスフェクションは、個々のshmiR3とshmiR14それぞれの76.2%と80.4%と比較して、79.0%の阻害率をもたらした。
【0405】
上と同じshmiRの組み合わせについて、それらshmiRがヒト細胞株、すなわち、ARPE-19細胞においてPABPN1発現を阻害する能力を試験した。上記のとおりに細胞を処理したが、48時間及び72時間時点においてqPCRで測定した得られたPABPN1発現の阻害について
図9に示している。72時間後、shmiR13/17の共トランスフェクションは、個々のshmiR13とshmiR17それぞれの83.9%と89.8%と比較して、87.9%のPABPN1発現の阻害率をもたらした。shmiR3/14の共トランスフェクションは、個々のshmiR3とshmiR14の82.2%と81.6%と比較して、87.4%の阻害率をもたらした。平均して、ARPE-19細胞におけるPABPN1発現の阻害率が48時間と72時間の間で1.14倍上昇した。
【0406】
実施例6-qPCRによるshmiR発現の測定
上記の最も効果的なshmiRをトランスフェクションしたC2C12細胞において発現したshmiRの総数を測定するためにmiScriptアッセイを開発した。
【0407】
Qiagen’s miScript PCR system(Valencia,CA)を使用して、U6 shmiR発現構築物によるshmiR3、13、14及び17の産生を測定した。Qiagen’s miScript II RT kitを使用して、それぞれのRT-qPCR解析用に、50ngのトータルRNAをcDNAに変換した。その後、以下に記載のカスタムフォワードプライマーを含むQiagen miScript SYBR green PCR kitを使用して、shRNAの定量PCRを実施した。
shmiR3-FWD 5´-TTCATCTGCTTCTCTACCTCG-3´(配列番号:83)
shmiR13-FWD 5´-AGGGGAATACCATGATGTCGC-3´(配列番号:84)
shmiR14-FWD 5´-CTCATATTCATCTGCTTCTCT-3´(配列番号:85)
shmiR17-FWD 5´-ATTCATCTGCTTCTCTACCTC-3´(配列番号:86)
【0408】
Qiagen miScript SYBR green PCR kitにはリバースプライマーが提供されていた。以下のリアルタイムPCR条件:初期変性95℃で15分間、続いて、94℃で15秒間、55℃で30秒間及び70℃で30秒間を40サイクル、を使用した。
【0409】
既知量の選択shmiRを増幅することによりこれらのアッセイの標準曲線を生成したが、
図10にそれらを示している。shmiR3(
図10B)は非線形標準曲線を生成したが、使用したqPCR緩衝液によって異なった。
【0410】
333個のC2C12細胞における10ngのトータルRNAの推定量に基づいて細胞あたりのRNAのコピー数を計算した。個々に発現する際の、shmiR3、shmiR13、shmiR14及びshmiR17のそれぞれにおける細胞あたりのshmiRのコピーを測定した。
図11に示すとおり、shmiRベクターを形質導入したC2C12細胞における個々のshRNA発現レベルは、shmiR3、13、14及び17それぞれにおいて細胞あたり51,663、13,826、11,576、及び14,791のコピーと推定された。
【0411】
実施例7-内在性PABPN1の遺伝子サイレンシングとコドン最適化PABPN1への置換を同時に行うためのベクターの作製
内在性野生型PABPN1(wtPABPN1)の遺伝子サイレンシングとコドン最適化PABPN1(coPABPN1)への置換を同時に誘導するために、optPABPN1配列と共に、選択したshmiRのうちの1種または複数種を発現する一本鎖アデノ随伴ウイルス2型(ssAAV2)プラスミドを作製する。2種の代替構築物を
図12A及び
図12Bに示す。
【0412】
wtPABPN1を標的とする2種のshmiRをpAAV2ベクター骨格におけるoptPABPN1転写物の3´非翻訳領域にサブクローニングすることにより、第1の構築物、2型(
図12A)を作製した。単一の転写物におけるoptPABPN1との2種のshmiRの両方の発現は、筋特異的プロモーターSpc512により駆動される。wtPABPN1を標的とする2種のshmiRをoptPABPN1転写物の上流にある配列にサブクローニングすることにより、第2の構築物、1型(
図12B)を作製した。この構築物においては、2種の転写物が発現しており、第1の転写物がCK8プロモーターの制御下で2種のshmiRをコードし、第2の転写物がSpc512プロモーター下でoptPABPN1をコードしている。
【0413】
組換え偽型化AAVベクターストックを作製する。簡潔に説明すると、10%FBSを補足したダルベッコ改変イーグル培地内の細胞工場でHEK293T細胞を培養し、5%CO2下37℃でインキュベートする。製造業者の取扱説明書に従い、本実施例に記載のpAAV-shmiRウイルスプラスミド、ならびに、pAAVhelper及びpAAVrepcap8プラスミドまたはpAAVhelper及びpAAVrepcap9プラスミドを、リン酸カルシウムと複合体を形成させる。その後、HEK293T細胞においてpAAVhelper及びpAAVrepcap8またはpAAVrepcap9と組み合わせたpAAV-shmiRプラスミドのそれぞれに対して3連トランスフェクションを実施する。HEK293T細胞を5%CO2下37℃で72時間の間培養し、その後、細胞を溶解し、それぞれのウイルスプラスミド用のssAAV shmiR発現粒子をイオジキサノール(Sigma-Aldrich)で精製し、密度勾配超遠心分離に続き塩化セシウム超遠心分離を行う。定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)によりベクターゲノムの数を定量した。
【0414】
実施例8-OPMDのマウスモデルにおけるインビボ有効性試験
動物
OPMDの最も一般的なマウスモデル、A17マウスモデルで前臨床有効性試験を実施した。ウシ伸長(17アラニン残基)PABPN1を過剰発現させることにより、FvBバックグラウンドを用いてこのマウスモデルを作製した。骨格筋におけるこの変異PABPN1の発現をヒトαアクチン筋特異的プロモーター(HSA1)の制御下に置いた。両方の内在性マウスPABPN1対立遺伝子は機能的であり、正常なマウスPABPN1を発現する。それゆえ、マウスの表現型は、正常タンパク質よりも変異PABPN1の過剰発現に起因していた。最も重要なことに、A17マウスは、核内封入体(INI)の存在、線維症及び筋力低下を含むOPMDの臨床的徴候の多くを示す。インビボマウス有効性試験では、容易に扱うことが可能及び/またはマウスから容易に切除可能な最も大きな筋肉の1つである前脛骨筋(TA)への投薬及び解析に焦点を合わせたため、表現型改善を観察することがより容易となった。
【0415】
治療
局所筋肉注射による組換え発現構築物の投与用に、アデノ随伴ウイルス血清型9(AAV9)カプシドを選択した。AAV9に加え、AAV8、AAVRh74を含む多数の異なる血清型のAAVカプシドを試験した。Spc512合成筋肉プロモーターの制御下で蛍光タンパク質GFPを発現した組換えAAV9構築物(AAV9-eGFP)を使用して、筋肉の形質導入を評価した。両方の性別のマウスのそれぞれのTA筋に50μlの一本鎖ベクターを2e11総ベクターゲノムの用量で注射した。20日後、マウスを屠殺し、注射した四肢に対してインビボイメージングによる検査を行った。
【0416】
結果
図13に示すとおり、TA筋にAAV9-eGFP構築物を直接注射することにより、相当量の局所蛍光が四肢に検出されることになり、両方のベクターが筋細胞への形質導入に有効であり直接注射後に導入遺伝子発現がもたらされることを示唆している。
【0417】
実施例9-内在性PABPN1の遺伝子サイレンシングとコドン最適化PABPN1への置換を同時に行うための単一の「サイレンシング置換構築物」の作製
optPABPN1配列と共にshmiR17及びshmiR13(例えば、表3及び表4に記載されている)を発現する一本鎖アデノ随伴ウイルス2型(ssAAV2)プラスミドを作製した。
【0418】
shmiR17及びshmiR13(表4に記載されている)をコードするDNA配列をpAAV2ベクター骨格におけるoptPABPN1転写物の3´非翻訳領域にサブクローニングすることにより、サイレンシング置換構築物(以下「SR-構築物」)を作製した(pAAV-shmiRウイルスプラスミド)。単一の転写物におけるoptPABPN1と2種のshmiRの両方の発現は、筋特異的プロモーターSpc512により駆動される。SR-構築物の概略図を
図14に示す。
【0419】
その後、組換え偽型化AAVベクターストックを作製した。簡潔に説明すると、10%FBSを補足したダルベッコ改変イーグル培地内の細胞工場でHEK293T細胞を培養し、5%CO2下37℃でインキュベートした。製造業者の取扱説明書に従い、pAAV-shmiRウイルスプラスミド、ならびに、pAAVhelper及びpAAVrepcap8プラスミドまたはpAAVhelper及びpAAVrepcap9またはpAAVhelper及びpAAVRH74プラスミドを、リン酸カルシウムと複合体を形成させた。その後、HEK293T細胞においてpAAVhelper及び以下のカプシド;pAAVrepcap8、pAAVrepcap9またはpAAVRH74のうちの1つと組み合わせたpAAV-shmiRプラスミドに対して3連トランスフェクションを実施した。それから、HEK293T細胞を5%CO2下37℃で72時間の間培養し、その後、細胞を溶解し、ssAAV shmiR発現粒子をイオジキサノール(Sigma-Aldrich)で精製し、密度勾配超遠心分離に続き塩化セシウム超遠心分離を行った。定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)によりベクターゲノムの数を定量した。
【0420】
実施例10-単一ベクターの「サイレンシング置換」手法を用いたインビボ有効性試験 治療
OPMDの関連疾患モデルにおける実施例9に記載のSR-構築物のインビボ有効性を試験するために、10~12週齢のA17マウスのTA筋にSR-構築物を高用量及び低用量の筋肉注射で個別に投与した。低用量は筋肉あたり1×1010個のベクターゲノムに設定した。高用量は筋肉あたり6×1010個のベクターゲノムに設定した。FVB野生型マウスも健康な比較群に含まれるが、生理食塩水を注射した週齢が同じA17マウスを未治療群とした。SR-構築物の用量の違いが疾患に及ぼす影響を試験することに加え、治療後14週または20週のいずれかの時点で独立したコホートのマウスを屠殺し、異なる時点に関連する有効性を評価した。屠殺時にTA筋を採取してRNA及びタンパク質を抽出した。
【0421】
qPCR解析
PABPN1レベルのノックダウンを確認するために、TA筋から単離したRNAをQPCR解析で評価した。使用したQPCRプライマーは野生型PABPN1転写物と変異PABPN1転写物を識別不能であったが、コドン最適化PABPN1種に対応する配列を認識または増幅しなかった。高用量と低用量の両方のSR-構築物において強力なノックダウンが認められ、それぞれ88.3%と68.3%のPABPN1転写物抑制がもたらされた(
図15)。これらの組織を用いた別の解析では、個別の投与ベクターレベルに一致した比率のshmiR導入遺伝子の存在が示された。
【0422】
同様に、コドン最適化PABPN1配列を選択的に増幅して正常野生型PABPN1配列と変異PABPN1配列を識別することが可能な一対のプライマーを使用するQPCR解析を用いて、コドン最適化PABPN1部分の発現を確認した。
【0423】
これらのQPCR解析では、SR-構築物を投与された動物が、FvBマウスにおける正常PABPN1レベルの90.9%と13.7%(平均)のコドン最適化PABPN1レベルをそれぞれ高用量と低用量で発現したことが示された(
図16)。
【0424】
まとめると、A17マウスモデルにおいて単一の転写物が、PABPN1(変異形態を含む)のレベルをノックダウンする能力を有する機能性shmiRを産生可能であることが解析により確認された。同様に、これらのベクターは、PABPN1機能を回復させるための置換により、適切なレベルのコドン最適化PABPN1を同時に産生する。
【0425】
核内封入体(INI)
核内封入体(INI)の残存に対する動物におけるSR-構築物の影響について、14週目に試験を行った。
図17から明らかなように、A17マウスにおける全TA筋細胞のほぼ35%が、INIを示す緑色の点状染色を示した。Red Laminin(筋細胞の細胞外マトリックスにおいて豊富なタンパク質)とBlue DAPIの対比染色剤を使用して、細胞形状と核をそれぞれはっきりとさせた(
図18)。高用量と低用量の両方のSR-構築物で治療した一連の連続切片にわたり、INIの有意な抑制が認められた。
【0426】
筋肉量
動物の筋肉量の回復に対するSR-構築物の影響についても、20週目に試験を行った。
【0427】
A17マウス由来のTA筋細胞の重量は、それらマウスのFvB野生型同等種由来の同様の筋肉と比較しておおよそ25%軽かった。試験した両方の用量において、SR-構築物は、ほぼFvB野生型動物レベルへの筋肉量の有意な回復を示した(
図19)。
【0428】
筋力
最後に、動物の筋力の回復に対するSR-構築物の影響について、20週目に最大力測定による評価を行った。
【0429】
150mHzの周波数を較正点として用いると、A17マウスの最大力は、それらマウスの野生型FvB同等種と比較しておおよそ30%低かった(それぞれ1050nm対1500nm)。SR-構築物を用いた治療により、FVB野生型動物と比較した際にA17マウスに認められたおおよそ66%の筋力低下の差が回復し、最大力に適度な増加がもたらされた(
図20)。
図20の統計値は、A17生理食塩水マウスと比較した対応のないt検定で示している(
*p<0.05、
**p<0.01)。
【0430】
まとめると、このインビボ試験により本明細書で提供するデータは、SR-構築物を用いた治療がA17モデルシステムにおけるOPMD疾患の生理学的特徴に対して影響を及ぼすことを示している。
【0431】
本開示の広範で一般的な範囲を逸脱することなく、上記の実施形態に対して多数の変形形態及び/または修正を行うことができるということを当業者は理解する。そのため、本実施形態は、あらゆる点において、限定するものではなく例示と捉えられるものである。
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)低分子ヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸であって、前記shmiRは、
少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
プライマリーマイクロRNA(pri-miRNA)骨格と、
を含み、
前記エフェクター配列は、配列番号:1~13のいずれか1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である、
前記核酸。
(2)前記shmiRは、
配列番号:15に記載のエフェクター配列及び配列番号:14に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:19に記載のエフェクター配列及び配列番号:18に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:21に記載のエフェクター配列及び配列番号:20に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:23に記載のエフェクター配列及び配列番号:22に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:25に記載のエフェクター配列及び配列番号:24に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:27に記載のエフェクター配列及び配列番号:26に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:29に記載のエフェクター配列及び配列番号:28に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:35に記載のエフェクター配列及び配列番号:34に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
配列番号:37に記載のエフェクター配列及び配列番号:36に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR、
からなる群から選択される、
(1)に記載の核酸。
(3)前記shmiRは、5´→3´方向に、
前記pri-miRNA骨格の5´隣接配列と、
前記エフェクター相補配列と、
前記ステムループ配列と、
前記エフェクター配列と、
前記pri-miRNA骨格の3´隣接配列と、
を含む、
(1)または(2)に記載の核酸。
(4)前記ステムループ配列は配列番号:40に記載の配列である、(1)から(3)のいずれか1に記載の核酸。
(5)前記pri-miRNA骨格はpri-miR-30a骨格である、(1)から(4)のいずれか1に記載の核酸。
(6)前記pri-miRNA骨格の前記5´隣接配列は配列番号:41に記載されており、前記pri-miRNA骨格の前記3´隣接配列は配列番号:42に記載されている、(3)から(5)のいずれか1に記載の核酸。
(7)前記shmiRは、配列番号:43~55のいずれか1つに記載の配列を含む、(1)から(6)のいずれか1に記載の核酸。
(8)前記shmiRをコードする前記DNA配列は、配列番号:56~68のいずれか1つに記載されている、(1)から(7)のいずれか1に記載の核酸。
(9)(a)(1)から(8)のいずれか1に記載の少なくとも1種の核酸と、
(b)
(i)(1)から(8)のいずれか1に記載の核酸、または、
(ii)少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshmiRまたは低分子ヘアピンRNA(shRNA)をコードするDNA配列を含む核酸であって、前記エフェクター配列は、眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)の原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物に対して実質的に相補的である、前記核酸、
から選択される少なくとも1種の更なる核酸と、
を含み、
(a)の前記核酸がコードする前記shmiRと(b)の前記核酸がコードする前記shmiRまたはshRNAは、異なるエフェクター配列を含む、
複数種の核酸。
(10)(1)から(8)のいずれか1に記載の核酸または(9)に記載の複数種の核酸を含むDNA特異的RNA干渉(ddRNAi)構築物。
(11)(1)から(8)のいずれか1に記載の少なくとも2種の核酸を含む(10)に記載のddRNAi構築物であって、前記核酸のそれぞれは異なるshmiRをコードする、前記ddRNAi構築物。
(12)前記少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:1、2、4、7、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする、(11)に記載のddRNAi構築物。
(13)前記少なくとも2種の核酸は、
配列番号:15に記載のエフェクター配列及び配列番号:14に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR2)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:21に記載のエフェクター配列及び配列番号:20に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR5)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:27に記載のエフェクター配列及び配列番号:26に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR9)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される、
(11)または(12)に記載のddRNAi構築物。
(14)前記少なくとも2種の核酸は、
配列番号:56(shmiR2)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、配列番号:59(shmiR5)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、配列番号:62(shmiR9)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される、
(13)に記載のddRNAi構築物。
(15)前記少なくとも2種の核酸のそれぞれは、配列番号:2、9、10及び13のうちの1つに記載のRNA転写物内における対応する長さの領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列を含むshmiRをコードする、(11)から(14)のいずれか1に記載のddRNAi構築物。
(16)前記少なくとも2種の核酸は、
配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される、
(11)から(15)のいずれか1に記載のddRNAi構築物。
(17)前記少なくとも2種の核酸は、
配列番号:57(shmiR3)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、配列番号:64(shmiR13)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
配列番号:65(shmiR14)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、及び、
配列番号:68(shmiR17)に記載のDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸、
からなる群から選択される、
(16)に記載のddRNAi構築物。
(18)前記ddRNAi構築物は、
(a)配列番号:31に記載のエフェクター配列及び配列番号:30に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR13)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
(b)配列番号:39に記載のエフェクター配列及び配列番号:38に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR17)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
を含む、
(11)から(17)のいずれか1に記載のddRNAi構築物。
(19)前記ddRNAi構築物は、
(a)配列番号:64(shmiR13)に記載の前記DNA配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
(b)配列番号:68(shmiR17)に記載の前記DNA配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
を含む、
(18)に記載のddRNAi構築物。
(20)前記ddRNAi構築物は、
(a)配列番号:17に記載のエフェクター配列及び配列番号:16に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR3)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
(b)配列番号:33に記載のエフェクター配列及び配列番号:32に記載のエフェクター相補配列を含むshmiR(shmiR14)をコードするDNA配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
を含む、
(11)から(17)のいずれか1に記載のddRNAi構築物。
(21)前記ddRNAi構築物は、
(a)配列番号:57(shmiR3)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
(b)配列番号:65(shmiR14)に記載の配列を含むかまたはそれからなる核酸と、
を含む、
(20)に記載のddRNAi構築物。
(22)shmiRをコードする前記核酸またはそれぞれの核酸の上流にあるRNA pol IIIプロモーターを含む、(10)から(21)のいずれか1に記載のddRNAi構築物。
(23)前記RNA pol IIIプロモーターまたはそれぞれのRNA pol IIIプロモーターは、U6プロモーター及びH1プロモーターから選択される、(22)に記載のddRNAi構築物。
(24)前記RNA pol IIIプロモーターまたはそれぞれのRNA pol IIIプロモーターは、U6-9プロモーター、U6-1プロモーター及びU6-8プロモーターから選択されるU6プロモーターである、(22)または(23)に記載のddRNAi構築物。
(25)(a)(10)から(24)のいずれか1に記載のddRNAi構築物と、
(b)前記ddRNAi構築物がコードする前記shmiR(複数可)が標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物と、
を含む、
DNA構築物。
(26)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は、そのmRNA転写物が前記ddRNAi構築物の前記shmiRによって標的とされないようにコドン最適化される、(25)に記載のDNA構築物。
(27)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は配列番号:73に記載されている、(25)または(26)に記載のDNA構築物。
(28)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は、前記PABPN1構築物内に含まれるプロモーターに機能的に連結し、前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列の上流に配置される、(25)から(27)のいずれか1に記載のDNA構築物。
(29)前記PABPN1構築物内に含まれる前記プロモーターは筋特異的プロモーターである、(28)に記載のDNA構築物。
(30)前記DNA構築物は、5´→3´方向に、前記ddRNAi構築物と、前記PABPN1構築物と、を含む、(25)から(29)のいずれか1に記載のDNA構築物。(31)前記DNA構築物は、5´→3´方向に、前記PABPN1構築物と、前記ddRNAi構築物と、を含む、(25)から(29)のいずれか1に記載のDNA構築物。(32)(1)から(9)のいずれか1に記載の核酸、(10)から(24)のいずれか1に記載のddRNAi構築物、または、(25)から(31)のいずれか1に記載のDNA構築物、を含む、発現ベクター。
(33)(a)(10)から(24)のいずれか1に記載のddRNAi構築物を含む発現ベクターと、
(b)前記ddRNAi構築物がコードする前記shmiR(複数可)が標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物を含む発現ベクターと、
を含む、
複数種の発現ベクター。
(34)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は、そのmRNA転写物が前記ddRNAi構築物の前記shmiRによって標的とされないようにコドン最適化される、(33)に記載の複数種の発現ベクター。
(35)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は配列番号:73に記載されている、(33)または(34)に記載の複数種の発現ベクター。
(36)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は、前記PABPN1構築物内に含まれるプロモーターに機能的に連結し、前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列の上流に配置される、(33)から(35)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクター。
(37)前記PABPN1構築物内に含まれる前記プロモーターは筋特異的プロモーターである、(36)に記載の複数種の発現ベクター。
(38)前記発現ベクターまたはそれぞれの発現ベクターは、プラスミドまたはミニサークルである、(32)に記載の発現ベクターまたは(33)から(37)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクター。
(39)前記発現ベクターまたはそれぞれの発現ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルス(AdV)ベクター及びレンチウイルス(LV)ベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである、(32)に記載の発現ベクターまたは(33)から(37)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクター。
(40)(1)から(9)のいずれか1に記載の核酸、(10)から(24)のいずれか1に記載のddRNAi構築物、(25)から(31)のいずれか1に記載のDNA構築物、(32)、(38)または(39)のいずれか1に記載の発現ベクター、または、(33)から(39)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクター、を含む、組成物。
(41)1種または複数種の薬学的に許容される担体を更に含む、(40)に記載の組成物。
(42)眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)の原因となるPABPN1タンパク質の対象における発現を阻害するための方法であって、前記方法は、(1)から(9)のいずれか1に記載の核酸、(10)から(24)のいずれか1に記載のddRNAi構築物、(25)から(31)のいずれか1に記載のDNA構築物、(32)、(38)または(39)のいずれか1に記載の発現ベクター、(33)から(39)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクター、または、(40)または(41)に記載の組成物を前記対象に投与すること、を含む、前記方法。
(43)眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)を患う対象においてそれを治療するための方法であって、前記方法は、(1)から(9)のいずれか1に記載の核酸、(10)から(24)のいずれか1に記載のddRNAi構築物、(25)から(31)のいずれか1に記載のDNA構築物、(32)、(38)または(39)のいずれか1に記載の発現ベクター、(33)から(39)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクター、または、(40)または(41)に記載の組成物を前記対象に投与すること、を含む、前記方法。(44)前記方法は、(33)から(39)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクターを共に、同時にまたは連続で前記対象に投与すること、を含む、(42)または(43)に記載の方法。
(45)(a)OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1種または複数種の薬剤であって、前記薬剤(複数可)は、(i)(1)から(9)のいずれか1に記載の核酸、(ii)(10)から(24)のいずれか1に記載のddRNAi構築物、(iii)(32)、(38)または(39)のいずれか1に記載の発現ベクター、または、(iv)(40)または(41)に記載の組成物から選択される、前記薬剤と、
(b)(a)の前記薬剤により発現されるshmiRが標的としないmRNA転写物を有する機能性PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターと、
を含む、
キット。
(46)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は、そのmRNA転写物が、(a)の前記薬剤がコードする前記shmiRによって標的とされないように、コドン最適化される、(45)に記載のキット。
(47)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は配列番号:73に記載されている、(45)または(46)に記載のキット。
(48)前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列は、前記発現ベクター内に含まれるプロモーターに機能的に連結し、前記機能性PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列の上流に配置される、(45)から(47)のいずれか1に記載のキット。
(49)(33)から(39)のいずれか1に記載の複数種の発現ベクターを含む(45)から(48)のいずれか1に記載のキットであって、前記複数種の発現ベクター内の(a)及び(b)は、前記キットの構成成分(a)及び(b)として提供される、前記キット。
(50)(42)から(44)のいずれか1に記載の方法によりOPMDを治療するために使用する際の、(45)から(49)のいずれか1に記載のキット。
【0432】
【配列表】