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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】コンピュータ、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240206BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240206BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q50/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023025402
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2021067038の分割
【原出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2023056044
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2023-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】脇田 直弥
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祐一
(72)【発明者】
【氏名】小西 克尚
(72)【発明者】
【氏名】佐野 慎
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 俊志
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 光弘
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-018668(JP,A)
【文献】特開2004-038810(JP,A)
【文献】特開2020-046846(JP,A)
【文献】特開2003-016146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨を製造する複数のファブリケータとネットワーク経由で通信するコンピュータであって、
鉄骨を注文する注文者からの鉄骨の注文を示す注文情報を、前記複数のファブリケータそれぞれの所在地によらず、前記複数のファブリケータに送信する注文情報送信部、
を備えるコンピュータ。
【請求項2】
鉄骨を製造する複数のファブリケータとネットワーク経由で通信するコンピュータの制御方法であって、
前記コンピュータが、鉄骨を注文する注文者からの鉄骨の注文を示す注文情報を、前記複数のファブリケータそれぞれの所在地によらず、前記複数のファブリケータに送信する注文情報送信ステップ、
を備える制御方法。
【請求項3】
鉄骨を製造する複数のファブリケータとネットワーク経由で通信するコンピュータに、 前記コンピュータが、鉄骨を注文する注文者からの鉄骨の注文を示す注文情報を、前記複数のファブリケータそれぞれの所在地によらず、前記複数のファブリケータに送信する注文情報送信ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゼネコンなどの建設会社は、建築に用いる鉄骨を調達するにあたって、ファブリケータに鉄骨の製造を依頼する。鉄骨の製造の依頼は、通常、見積もりのために正式図面ができる前になされるため、ファブリケータは依頼内容に基づいて予め将来の製造スケジュールを確保しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-174064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建築プロジェクトの遅延等によって製造スケジュールの変更が頻繁に生じるため、ファブリケータには繁忙期と閑散期とが生じやすい。また、建設会社は、地場コミュニティのファブリケータが製造スケジュールを確保できない場合に、依頼先のファブリケータを探すことが困難である。
本発明の目的は、鉄骨の注文者とファブリケータとを仲介することができるコンピュータ、制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、サーバは、鉄骨を注文する注文者及び鉄骨を製造する複数のファブリケータと、ネットワーク経由で通信するサーバであって、前記注文者から鉄骨の注文を示す注文情報を受信する注文情報受信部と、前記注文情報を前記複数のファブリケータに送信する注文情報送信部と、前記注文情報が示す前記注文を受けることを示す受注情報を、前記複数のファブリケータの一部である複数の候補ファブリケータから受信する受注情報受信部と、前記複数の候補ファブリケータそれぞれを示す複数の候補ファブリケータ情報の少なくとも一部を前記注文者に提示する候補提示部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、鉄骨の注文者とファブリケータとを仲介することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る鉄骨注文システムを示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る鉄骨注文システムによる仲介の流れを示す概略シーケンス図である。
図3】第1の実施形態に係るサーバの構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る注文情報入力画面の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る相見積画面の例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図7】第1の実施形態に係るサーバの動作を示す第1のフローチャートである。
図8】第1の実施形態に係るサーバの動作を示す第2のフローチャートである。
図9】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《鉄骨注文システム1の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1を示す概略図である。
鉄骨注文システム1は、建築会社や商社などの鉄骨の注文者と、鉄骨を製造するファブリケータとの小ロットの鉄骨の取引の仲介を行う。小ロットの鉄骨とは、300トン未満の鉄骨をいう。鉄骨注文システム1は、サーバ100と、複数の注文者端末200Aと、複数のファブリケータ端末200Bとを備える。サーバ100は、プラットフォーマによって運営される。注文者端末200Aは、注文者が保有し、注文者によって操作される端末装置200である。ファブリケータ端末200Bは、ファブリケータが保有し、ファブリケータによって操作される端末装置200である。サーバ100は、ネットワーク経由で注文者端末200A及びファブリケータ端末200Bと通信する。鉄骨注文システム1は、所在地によらず、注文者及びファブリケータの登録を受け付ける。つまり、鉄骨注文システム1は、全国のファブリケータ及び全国の注文者を対象に仲介を行う。
【0009】
《仲介手順の概略》
図2は、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1による仲介の流れを示す概略シーケンス図である。
注文者は、注文者端末200Aを操作し、サーバ100に鉄骨の注文情報を送信する(ステップS1)。注文情報には、少なくとも鉄骨の数量計算に用いる図面と見積条件とが含まれる。初回の注文情報の送信は、通常、建築物の依頼者との金額交渉に用いる見積書を作成するために、建築物の依頼を受注する前に行われる。したがって、初回の注文情報に含まれる図面は、通常、概算図面である。
【0010】
サーバ100は、注文情報を受信すると、注文情報に含まれる図面と見積条件とに基づいて鉄骨の数量と単価を計算し、注文情報に係る鉄骨の料金を示す見積情報を生成する(ステップS2)。サーバ100は、生成した見積情報を注文者端末200Aに送信する(ステップS3)。つまり、概算図面に基づく見積情報の作成はサーバ100によってなされるため、ファブリケータは概算図面に基づく見積情報の作成を行わなくてよい。注文者は、契約するファブリケータを決定することなく見積情報を得ることができるため、ファブリケータの選択の自由を確保することができる。また、注文情報に含まれる図面が概算図面である場合、サーバ100は、当該注文情報をファブリケータに提示しない。これにより、ファブリケータは事前に不確定なスケジュールを確保しておく必要がない。
【0011】
注文者は、図面を更新するたびに、注文者端末200Aを操作して注文情報を更新し、サーバ100に送信する(ステップS4)。サーバ100は、受信した注文情報に基づいて見積情報を生成し(ステップS5)、注文者端末200Aに送信する(ステップS6)。なお、サーバ100は、注文者端末200Aへ見積情報を送信するたびに、注文者に対して見積情報の生成に係る手数料を課金する。その後、注文者が依頼者から建築物の依頼を受注し、正式図面が完成すると、注文者は、注文者端末200Aを操作し、正式図面を含む注文情報をサーバ100に送信する(ステップS7)。
【0012】
サーバ100は、注文情報を受信すると、注文情報に含まれる図面と見積条件とに基づいて鉄骨の数量と単価を計算し、注文情報に係る鉄骨の料金を示す見積情報を生成する(ステップS8)。次に、サーバ100は、受信した注文情報及び生成した見積情報を、予め登録されたファブリケータに提示する(ステップS9)。ファブリケータは、鉄骨注文システム1に登録するために年会費を支払う必要がある。ファブリケータは、ファブリケータ端末200Bを操作し、サーバ100にアクセスすることで、注文情報及び見積情報を閲覧することができる。
【0013】
ファブリケータは、提示された注文情報及び見積情報に基づいて当該注文の受注を希望するか否かを決定する。ファブリケータは、受注しない場合、当該見積情報に対するアクションをせず放置する。他方、ファブリケータは、受注を希望する場合、ファブリケータ端末200Bを操作し、提示された見積情報に含まれる単価をファブリケータが希望する単価に修正し(ステップS10)、修正された見積情報を含む受注情報をサーバ100に送信する(ステップS11)。つまり、ファブリケータは、図面から鉄骨の数量を計算する必要がなく、鉄骨の単価を修正するだけで見積情報を生成することができる。したがって、ファブリケータは、当該注文情報に対する受注を逸したとしても、発生する作業が少ないため、鉄骨注文システム1の利用に対するデメリットが少ない。なお、小ロットの鉄骨の取引においては、材料費に対する人件費等の割合が大きくなるため、鉄骨の単価はファブリケータによってばらつきが生じやすい。
【0014】
サーバ100は、複数のファブリケータ(候補ファブリケータ)から受注情報を受信すると、受注情報を受信したファブリケータの中から、評価がよいファブリケータ、建築現場に所在地が近いファブリケータ及び見積額が安いファブリケータを、注文者に推薦するファブリケータとして抽出する(ステップS12)。サーバ100は、抽出したファブリケータの受注情報を、当該ファブリケータの評価とともに注文者端末200Aに提示する(ステップS13)。
【0015】
注文者は、提示された情報に基づいて鉄骨を注文するファブリケータ(契約ファブリケータ)を決定する。注文者は、注文者端末200Aを操作し、注文先に決定したファブリケータをサーバ100に通知する(ステップS14)。サーバ100は、注文先に決定されたファブリケータのファブリケータ端末200Bに注文の確定を通知する(ステップS15)。このときサーバ100は、注文者及びファブリケータに対して、プラットフォーマが提供する保証契約を提示し、当該保証契約を締結するか否かの入力を受け付ける。サーバ100は、注文先の決定に伴い、発注者に仲介手数料を課金する。
【0016】
ファブリケータは、正式図面の完成後に注文を受注できるため、概算図面時点で受注する場合と比較して、受注から鉄骨の製造開始までの期間を短くすることができる。したがって、ファブリケータは、スケジュールの揺らぎを抑えることができる。またファブリケータは、閑散期に、すぐに着手可能な鉄骨の製造注文を受け入れることができる。
その後、ファブリケータによる鉄骨の納品が完了すると、サーバ100はファブリケータ端末200Bから必要に応じて料金の精算情報を受信し(ステップS16)、精算情報を注文者端末200Aに送信する(ステップS17)。これにより、注文者とファブリケータとの間で鉄骨の商取引が成立する。なお、鉄骨の所有権は、ファブリケータと注文者との間で直接的に受け渡され、サーバ100を運営するプラットフォーマは、ファブリケータから鉄骨の所有権を譲り受けない。取引の完結後、サーバ100は、注文者端末200Aからファブリケータの評価を示す個別評価情報を受信し、またファブリケータ端末200Bから注文者の評価を示す個別評価情報を受信する(ステップS18)。これにより、サーバ100は、注文者及びファブリケータの評価情報を更新する。
【0017】
このように、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、注文の受注から製作開始までの期間が短いため、ファブリケータは閑散期の発生を抑えることができる。また鉄骨注文システム1によれば、注文者は全国のファブリケータの中から注文先のファブリケータを容易に選定することができる。
【0018】
《サーバ100の構成》
以下、鉄骨注文システム1の詳細な構成について説明する。
図3は、第1の実施形態に係るサーバ100の構成を示すブロック図である。サーバ100は、登録受付部101、ユーザデータベース102、支払確認部103、設定部104、請求部105、注文情報受信部106、算出部107、概算見積送信部108、注文情報送信部109、受注情報受信部110、候補提示部111、候補選択部112、契約提示部113、通知部114、精算処理部115、評価受付部116を備える。
【0019】
登録受付部101は、注文者端末200A及びファブリケータ端末200Bから鉄骨注文システム1の利用登録を受け付ける。例えば、登録受付部101は、法人名、所在地、担当者名、注文者かファブリケータかの区分、口座情報、メールアドレス、パスワードを含む利用登録情報の入力を受け付ける。登録受付部101は、入力された利用登録情報をユーザデータベース102に記録する。口座情報は、クレジットカード、銀行、決済サービスなどの口座を示すものであってよい。なお、登録受付部101は、利用登録情報の入力画面などに、鉄骨注文システム1の利用ルールを表示させる。利用ルールは、例えば鉄骨の精算のルールや、問題解決のルールなどが挙げられる。鉄骨の精算のルールは、例えば、概算見積に係る鉄骨数量と実績数量の誤差が所定値を超える場合に精算を受け付け、誤差が所定値を超えない場合に精算を受け付けないことなどが挙げられる。
【0020】
ユーザデータベース102は、利用登録情報と、当該利用登録情報に係る利用者の登録状態と、評価情報と、入金状態とを関連付けて記憶する。登録状態は、未登録及び登録の何れかの値をとる。例えば、サーバ100を運営するプラットフォーマは利用者の登録時に当該利用者の調査を行い、当該利用者を評価し、評価結果示す評価情報をユーザデータベース102に記録する。評価情報は、例えば5段階評価を示す数値によって表されてよい。また評価情報は、利用者の特徴を説明する文字列を含んでいてもよい。入金状態は、利用者による年会費の入金がなされているか否かを示す。なお、注文者は、利用登録情報の入力の後、プラットフォーマによって確認がなされることによって登録される。他方、ファブリケータは、利用登録情報の入力の後、プラットフォーマによる確認がなされ、かつ年会費が支払われることによって登録となる。注文者は年会費の支払いを行わないため、注文者に係る入金状態はNULLであってよい。
【0021】
請求部105は、鉄骨注文システム1の利用者に利用料金を請求する。
具体的には、請求部105は、利用登録情報がユーザデータベース102に登録されたファブリケータに、年会費を請求する。また、請求部105は、概算見積送信部108が注文者に概算見積情報を送信したときに、当該注文者に概算見積書の作成手数料を請求する。また、請求部105は、注文者が鉄骨の注文するファブリケータを決定したときに、当該注文者に紹介手数料を請求する。また、請求部105は、ユーザが契約提示部113によって提示された保証契約を締結したときに、ユーザに保証料を請求する。
請求部105は、例えば、ユーザデータベース102に記録された口座情報に基づいて課金情報を生成し、請求処理を実行する。
【0022】
支払確認部103は、ファブリケータによる年会費の支払いがなされたか否かを判定する。すなわち、支払確認部103は、利用登録情報が示す口座情報が示す口座からの入金の有無を判定する。支払確認部103は、入金の判定結果に基づいてユーザデータベース102が記憶する入金状態を更新する。支払確認部103は、ファブリケータによる年会費の支払いがなされていない場合に、ユーザデータベース102の登録状態を未登録に書き換える。
【0023】
設定部104は、注文者端末200Aからのアクセスに応じて、注文者端末200Aに鉄骨の注文情報の入力画面を表示させる。図4は、第1の実施形態に係る注文情報入力画面の一例を示す図である。入力画面には、プロジェクト名、建設地の所在地、工期、建方開始日、受注条件、見積条件、図面、及び当該図面が概算図面であるか正式図面であるかの区分を入力するための入力フォームが含まれる。見積条件は、例えば作図条件、材料条件、加工条件、防錆条件、評価管理条件、現場対応条件、書類条件などを含む。作図条件の例としては、工作図の作成の要否、合番図の作成の要否、仮設図面の作成の要否などが挙げられる。材料条件の例としては、鉄骨部材の種類、材料調達の要否、メーカー指定の有無などが挙げられる。加工条件の例としては、機械加工の有無、埋込金物の有無、曲げ加工の有無などが挙げられる。防錆条件の例としては、下地処理の種類、下塗りの有無、特殊塗装の有無などが挙げられる。評価管理条件の例としては、各種立合検査の要否などが挙げられる。現場対応条件の例としては、合番の要否、鳶作業の要否、鍛冶作業の要否などが挙げられる。書類条件の例としては、各種要領書、計画書、報告書の要否などが挙げられる。見積条件は、例えばチェックボックスやプルダウンメニューによって選択可能に表示されてよい。受注条件は、鉄骨の作成を受注可能なファブリケータの条件を示す。受注条件は、例えばファブリケータのグレードや評価などを表す。また見積条件は、チャットボット等による対話型の入力システムによって入力されてよい。
図面は、ビットマップデータやベクタデータで表された二次元の図面であってもよいし、CAD(Computer Aided Design)データやBIM(Building Information Modeling)データによって表された三次元の図面であってもよい。
【0024】
注文情報受信部106は、注文者端末200Aによって入力された注文情報を受信する。なお、注文情報受信部106は、注文情報に含まれる概算図面であるか正式図面であるかの区分が正式図面であることを示す場合、注文が確定されたものとして扱う。つまり、注文情報受信部106は、注文者から注文情報の確定を受け付ける確定部の一例である。
【0025】
算出部107は、注文情報に含まれる図面及び見積条件に基づいて、鉄骨の種類別の数量及び単価を算出する。例えば、算出部107は、以下の手順で鉄骨の種類別の数量及び単価を算出する。
算出部107は、図面から詳細部分を推定し、推定された詳細部分に基づいて鉄骨の種類別の数量を算出する。算出部107は、例えば図面及び見積条件に含まれる材料条件を入力とし、種類別の数量を出力とするモデルによって、鉄骨の種類別の数量を算出する。算出部107は、決定した鉄骨の種類別の数量に基づいて鉄骨の溶接量を推定する。算出部107は、推定した溶接量と1ピースあたりの鉄骨の重量と加工条件とから鉄骨の加工難度を推定する。算出部107は、鉄骨の市況価格と加工難度と見積条件とに基づいて鉄骨の種類別の単価を算出する。
概算見積送信部108は、算出部107が算出した鉄骨の種類別の数量及び単価に基づく概算見積情報を生成し、注文情報を送信した注文者端末200Aに送信する。
【0026】
注文情報送信部109は、注文情報に含まれる図面の区分が正式図面である場合に、当該注文情報、及び算出部107が算出した鉄骨の種類別の数量及び単価を示す概算見積情報を、ユーザデータベース102が記憶するファブリケータ宛に送信する。概算見積情報は、例えばCSVデータによって表される。例えば、注文情報送信部109は、ファブリケータのメールアドレスに注文情報を添付した電子メールを送信してもよいし、注文情報の閲覧画面へアクセスするためのURLが記載された電子メールをファブリケータのメールアドレスに送信してもよい。また、注文情報送信部109は、ファブリケータ端末200Bがサーバ100にアクセスしたときに、注文情報の閲覧画面をファブリケータ端末200Bに送信してもよい。
【0027】
受注情報受信部110は、ファブリケータ端末200Bから注文情報が示す鉄骨の注文の受注を希望する受注情報を受信する。受注情報には、正式見積情報が含まれる。正式見積情報は、注文情報送信部109が送信した概算見積情報のうち単価部分をファブリケータにて書き換えたデータである。つまり、正式見積情報は、算出部107が算出した単価を補正するための単価補正情報の一例である。また正式見積情報は、鉄骨の受注価格を示す受注価格情報の一例である。なお、受注情報は必ずしもすべてのファブリケータから受信されない。例えば繁忙期のために受注できないファブリケータは受注情報を送信しない。以下、受注情報を送信したファブリケータを候補ファブリケータともいう。
【0028】
候補提示部111は、受注情報受信部110が受信した受注情報が一定数に達したときに、又は注文情報を受信してから一定期間が経過したときに、受信した複数の受注情報と、ユーザデータベース102が記憶する情報とに基づいて、複数の候補ファブリケータの中から3つの推薦ファブリケータを抽出する。例えば、候補提示部111は、以下の手順で推薦ファブリケータを抽出する。
候補提示部111は、受注情報に含まれる正式見積情報が示す受注価格、ファブリケータの所在地から建築現場までの距離、及びファブリケータの評価のそれぞれをスコアに変換する。スコアは受注価格が安いほど高く、所在地から建築現場までの距離が短いほど高く、ファブリケータの評価が高いほど高い値である。スコアは例えば候補ファブリケータを母集団とする標準偏差によって求めてよい。候補提示部111は、スコアの合計値が所定の閾値以上である候補ファブリケータ、またはスコアが上位の所定数以内の候補ファブリケータの中から、受注価格のスコアが最も高いもの、距離のスコアが最も高いもの、及び評価のスコアが最も高いものを、それぞれ推薦ファブリケータとして抽出する。
つまり、候補提示部111は、複数の候補ファブリケータ情報のうち、他の候補ファブリケータより所在地が建築現場に近い候補ファブリケータに係る候補ファブリケータ情報、他の候補ファブリケータよりも受注価格が安い候補ファブリケータに係る候補ファブリケータ情報、及び他の候補ファブリケータよりも評価が高い候補ファブリケータに係る候補ファブリケータ情報を、抽出する。
【0029】
候補提示部111は、抽出した推薦ファブリケータに係る受注情報及び評価情報を、比較可能に提示する相見積画面を注文者端末200Aに送信する。図5は、第1の実施形態に係る相見積画面の例を示す図である。図5に示すように、相見積画面には、3つの推薦ファブリケータの所在地、評価及び受注価格が並べて表示される。また受注価格は、項目ごとに3つの推薦ファブリケータが提示する単価及び金額が並べて表示される。
【0030】
候補選択部112は、注文者端末200Aから、3つの推薦ファブリケータのうち鉄骨を注文する契約ファブリケータの選択を受け付ける。注文者端末200Aは、図5に示す相見積画面において、所望のファブリケータに関連付けられた発注ボタンを押下することで、契約ファブリケータを選択する。
【0031】
通知部114は、各候補ファブリケータに、鉄骨の注文の受注の可否を通知する。具体的には、通知部114は、候補提示部111が3つの推薦ファブリケータを抽出したときに、抽出されなかった候補ファブリケータに、注文を受注できない旨を通知する。また通知部114は、候補選択部112が契約ファブリケータの選択を受け付けたときに、選択されなかった推薦ファブリケータに、注文を受注できない旨を通知する。また通知部114は、候補選択部112が契約ファブリケータの選択を受け付けたときに、推薦ファブリケータに、注文を受注した旨を通知する。
【0032】
契約提示部113は、候補選択部112によって契約ファブリケータが選択された場合に、注文者及び契約ファブリケータに、注文に関する保証契約情報を提示する。保証契約は、注文者または契約ファブリケータであるユーザとプラットフォーマとの間で締結される契約であって、ユーザ間で債務の支払いがなされないときにプラットフォーマが支払いの義務を負う契約である。契約提示部113は、ユーザから提示した補償契約情報が示す保証契約を締結するか否かを受け付ける。
【0033】
精算処理部115は、ファブリケータ端末200Bから製作した鉄骨の実績数量を示す実績情報を受信する。精算処理部115は、実績情報が示す実績数量と算出部107が算出した数量との誤差が所定値を超える場合に、ファブリケータ端末200Bから精算後の料金を示す精算情報の入力を受け付ける。他方、精算処理部115は、実績情報が示す実績数量と算出部107が算出した数量との誤差が所定値を超えない場合に精算情報を受け付けない。
【0034】
評価受付部116は、注文者から契約ファブリケータの評価を示す個別評価情報の入力を受け付ける。また評価受付部116は、契約ファブリケータから注文者の評価を示す個別評価情報の入力を受け付ける。個別評価情報は、例えば5段階評価を示す数値によって表されてよい。また評価情報は、利用者の特徴を説明する文字列を含んでいてもよい。 評価受付部116は、受信した個別評価情報に基づいてユーザデータベース102が記憶する評価情報を更新する。例えば、評価受付部116は、個別評価情報が示す数値の平均値を求めることで評価情報を更新する。また例えば、評価受付部116は、個別評価情報に含まれる文字列を、評価情報に係る文字列に追記する。
【0035】
《端末装置200の構成》
図6は、第1の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。注文者端末200A及びファブリケータ端末200Bは、サーバ100と通信する端末装置200である。端末装置200は、受信部201、表示制御部202、入力部203、送信部204を備える。受信部201は、サーバ100からデータを受信する。表示制御部202は、受信部201がサーバ100から受信した情報をLCDパネルやタッチパネルなどの表示装置に表示させる。入力部203は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置を介して、ユーザによる入力操作を受け付ける。送信部204は、入力部203に入力されたデータをサーバ100に送信する。
【0036】
《鉄骨注文システム1の動作》
図7は、第1の実施形態に係るサーバ100の動作を示す第1のフローチャートである。図8は、第1の実施形態に係るサーバ100の動作を示す第2のフローチャートである。注文者が注文者端末200Aを操作し、サーバ100にアクセスすると、設定部104は、注文情報の入力画面データを生成し、注文者端末200Aに送信する(ステップS101)。注文者端末200Aの受信部201がサーバ100から注文情報の入力画面データを受信すると、表示制御部202は表示装置に図4に示すような注文情報の入力画面を表示させる。注文者端末200Aの入力部203は注文者から注文情報の入力を受け付ける。注文者の操作によって入力画面の見積依頼ボタンが押下されると、注文者端末200Aの送信部204は注文情報をサーバ100に送信する。
【0037】
サーバ100の注文情報受信部106は、注文情報を受信すると(ステップS102)、注文情報に含まれる概算図面であるか正式図面であるかの区分が正式図面であることを示すか否かを判定する(ステップS103)。
【0038】
区分が概算図面を示す場合(ステップS103:NO)、算出部107は、ステップS102で受信した注文情報に含まれる図面及び見積条件に基づいて、鉄骨の種類別の数量及び単価を算出する(ステップS104)。概算見積送信部108は、ステップS104で算出した鉄骨の種類別の数量及び単価に基づく概算見積情報を生成する(ステップS105)。概算見積送信部108は、生成した概算見積情報を、注文者端末200Aに送信する(ステップS106)。このとき、請求部105は、ユーザデータベース102から注文者の口座情報を読み出し、当該口座情報に基づいて見積情報の生成に係る手数料の請求処理を行う(ステップS107)。
【0039】
注文者端末200Aの受信部201がサーバ100から概算見積情報を受信すると、表示制御部202は受信した概算見積情報を表示装置に表示させる。これにより、注文者は、ファブリケータを選定することなく鉄骨の概算見積を得ることができる。なお、注文情報の区分が概算図面を示す場合、サーバ100は、ファブリケータ端末200Bに注文情報を提示しない。
【0040】
他方、注文情報の区分が正式図面を示す場合(ステップS103:YES)、算出部107は、ステップS102で受信した注文情報に含まれる図面及び見積条件に基づいて、鉄骨の種類別の数量及び単価を算出する(ステップS108)。注文情報送信部109は、ステップS108で算出した鉄骨の種類別の数量及び単価に基づく概算見積情報を生成する(ステップS109)。注文情報送信部109は、生成した概算見積情報と、ステップS102で受信した注文情報と、注文者の評価情報とを、ユーザデータベース102において登録状態が登録を示し、かつ注文情報に含まれる受注条件を満たすファブリケータに送信する(ステップS110)。このとき、注文情報送信部109は、さらに正式図面に基づいて生成された工作図を、注文情報とともにファブリケータに送信してもよい。例えば、サーバ100は、プラットフォーマが作成した工作図のアップロードを受け付け、アップロードされた工作図をファブリケータに送信する。これにより、ファブリケータは、受注の確約のない案件について工作図を作成する必要がなくなる。
【0041】
ファブリケータ端末200Bの受信部201が、概算見積情報、注文情報及び評価情報を受信すると、表示制御部202は、受信した概算見積情報、注文情報及び評価情報を表示装置に表示させる。ファブリケータは、表示された情報に基づいて、注文情報が示す鉄骨の注文の受注を希望するか否かを判断する。ファブリケータは、受注を希望する場合、概算見積情報が示す単価を修正することで正式見積情報を生成する。ファブリケータ端末200Bの送信部204は、正式見積情報を含む受注情報をサーバ100に送信する。
【0042】
サーバ100がステップS110で注文情報を複数のファブリケータ端末200Bに送信すると、受注情報受信部110は、ファブリケータ端末200Bからの受注情報の受信を待機する(ステップS111)。受注情報受信部110は、受信した受注情報が一定数に達したか否かを判定する(ステップS112)。受注情報が一定数に達していない場合(ステップS112:NO)、受注情報受信部110は、ステップS110で注文情報を送信した日付から一定期間が経過しているか否かを判定する(ステップS113)。注文情報の送信から一定期間が経過していない場合(ステップS113:NO)、ステップS111に戻り注文情報の受信を待機する。
【0043】
他方、受信した受注情報が一定数に達した場合(ステップS112:YES)、または注文情報を送信した日付から一定期間が経過した場合(ステップS113:YES)、候補提示部111は、受信した複数の受注情報と、ユーザデータベース102が記憶する情報とに基づいて、受注情報に係る候補ファブリケータごとに、受注価格、所在地から建築現場までの距離、及び評価のスコアを算出する(ステップS114)。候補提示部111は、算出したスコアに基づいて、スコアの合計値が所定の閾値以上である候補ファブリケータを抽出する(ステップS115)。候補提示部111は、抽出した候補ファブリケータの中から、受注価格のスコアが最も高いもの、距離のスコアが最も高いもの、及び評価のスコアが最も高いものを、それぞれ推薦ファブリケータとして抽出する(ステップS116)。候補提示部111は、ステップS116で抽出した推薦ファブリケータに係る受注情報及び評価情報に基づいて相見積画面データを生成し、注文者端末200Aに送信する(ステップS117)。
【0044】
通知部114は、ステップS116で抽出されなかった候補ファブリケータのファブリケータ端末200Bに、注文を受注できない旨を通知する(ステップS118)。なお、ステップS118以降に受注情報受信部110が新たに受注情報を受信した場合、通知部114はその内容によらず、受注情報の送信元のファブリケータ端末200Bに注文を受注できない旨を通知する。
【0045】
注文者端末200Aの受信部201が相見積画面データを受信すると、表示制御部202は図5に示すような相見積画面を表示装置に表示させる。これにより、注文者は、受注価格、所在地から建築現場までの距離、及び評価のそれぞれの観点からファブリケータを選定することができる。注文者が、図5に示す発注ボタンのうち、選定したファブリケータに関連付けられたものを押下すると、送信部204は選定されたファブリケータの情報を含む選定情報をサーバ100に送信する。
【0046】
候補選択部112は、注文者端末200Aから選定情報を受信する(ステップS119)。通知部114は、契約ファブリケータのファブリケータ端末200Bに選定情報が示す選定結果を通知する(ステップS120)。つまり、通知部114は、選定情報が示す契約ファブリケータに注文を受注した旨を通知する。つまり、契約ファブリケータは、鉄骨の注文を受ける受注者の一例である。他方、通知部114は、ステップS116で抽出した推薦ファブリケータのうち、契約ファブリケータに選定されなかったものに注文を受注できない旨を通知する。
【0047】
契約提示部113は、注文者端末200A及び契約ファブリケータのファブリケータ端末200Bに、保証契約情報を送信する(ステップS121)。注文者端末200A及びファブリケータ端末200Bの受信部201が保証契約情報を受信すると、表示制御部202は受信した保証契約情報を表示装置に表示させる。注文者及びファブリケータは、プラットフォーマと保証契約を締結するか否かを判断し、判断結果をサーバ100に送信する。契約提示部113は、注文者端末200A及びファブリケータ端末200Bから保証契約を締結するか否かを示す保証諾否情報を受信する(ステップS122)。請求部105は、各保証諾否情報が保証契約を締結することを示すか否かを判定する(ステップS123)。保証契約を締結することを示す場合(ステップS123:YES)、請求部105は、補償契約を締結するユーザの口座情報に基づいてユーザへの保証料の請求処理を実行する(ステップS124)。なお、契約提示部113は、契約ファブリケータに対し、注文に係る鉄骨を配送する配送業者の情報を提示し、プラットフォーマに配送業者の手配を依頼するか否かの入力を受け付けてもよい。通常、配送業者の手配はファブリケータが行うため、これによってファブリケータの手間を省くことができる。
また、請求部105は、注文者の口座情報に基づいて、注文者への紹介手数料の請求処理を実行する(ステップS125)。なお、請求部105は、注文者に加えて、又は注文者に代えて、契約ファブリケータに手数料の請求処理を実行してもよい。また、請求部105は、契約ファブリケータから配送業者の手配の依頼を受け付けた場合に、契約ファブリケータに配送手数料の請求処理を実行してもよい。
【0048】
その後、契約ファブリケータは注文者との契約に基づいて鉄骨を製作し、注文者に納品する。なお、注文者は、契約ファブリケータから鉄骨が納入されたときに、サーバ100に契約ファブリケータが製作した鉄骨が不適合品であるか否かを示す情報を送信してよい。サーバ100が鉄骨が不適合品であるとの情報を受信した場合、プラットフォーマは納入された鉄骨の調査を行う。鉄骨が不適合品であり、かつ保証契約を締結している場合、プラットフォーマは保証契約に従って保証債務を履行する。すべての鉄骨の納品が完了すると、契約ファブリケータは、鉄骨の実績数量を積算する。ファブリケータ端末200Bの入力部203は実績数量の入力を受け付け、送信部204は入力された実績数量を示す実績情報をサーバ100に送信する。
【0049】
サーバ100の精算処理部115は、ファブリケータ端末200Bから実績情報を受信する(ステップS126)。精算処理部115は、実績情報が示す実績数量と算出部107が算出した計算数量との誤差が所定値を超えるか否かを判定する(ステップS127)。実績数量と計算数量との誤差が所定値を超える場合(ステップS127:YES)、精算処理部115は、ステップS111で受信した正式見積情報と誤差とに基づいて精算情報を生成し、注文者端末200Aに送信する(ステップS128)。他方、実績数量と計算数量との誤差が所定値を超えない場合(ステップS127:NO)、精算処理部115は、鉄骨の精算をしない旨をファブリケータ端末200Bに通知する(ステップS129)。
【0050】
評価受付部116は、注文者から契約ファブリケータの評価を示す個別評価情報の入力を受け付ける。また評価受付部116は、契約ファブリケータから注文者の評価を示す個別評価情報の入力を受け付ける(ステップS130)。評価受付部116は、受信した個別評価情報に基づいてユーザデータベース102が記憶する注文者及び契約ファブリケータの評価情報を更新する(ステップS131)。
【0051】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、注文者から注文情報を受信して複数のファブリケータに送信する。またサーバ100は、複数のファブリケータの少なくとも一部である複数の候補ファブリケータから受信し、候補ファブリケータの情報を注文者に提示する。これにより、注文者は、鉄骨注文システム1に登録された全国のファブリケータから鉄骨を注文可能なファブリケータを知ることができる。またファブリケータは、鉄骨注文システム1に登録された全国の注文者から鉄骨の注文を受けることができる。つまり、鉄骨注文システム1によれば、ファブリケータは閑散期において鉄骨の注文を受けることができ、注文者は、容易に依頼先のファブリケータを探すことができる。
【0052】
また第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、複数の候補ファブリケータから受信した複数の候補ファブリケータ情報のうち、他の候補ファブリケータより所在地が建築現場に近いもの、他の候補ファブリケータよりも受注価格が安いもの、及び他の候補ファブリケータよりも評価が高いものを注文者に提示する。これにより、注文者は、価格、場所及び評価の異なる視点に基づいてファブリケータを選定することができる。
【0053】
また第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、注文者から注文を受けるファブリケータが満たすべき受注条件の設定を受け付け、複数のファブリケータのうち受注条件を満たすファブリケータに注文情報を送信する。これにより、鉄骨注文システム1は、注文者の要求を満たすファブリケータを提示することができ、また受注条件を満たさないファブリケータに無駄な作業を発生させない。
【0054】
また第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、注文情報含まれる図面に基づいて鉄骨の数量及び単価を算出する。これにより、サーバ100は概算見積情報を自動的に生成することができる。
【0055】
また第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、注文情報が鉄骨の見積条件を示す見積条件情報を含み、サーバ100は、見積条件情報を用いて数量及び単価を算出する。これにより、鉄骨注文システム1は、情報の漏れによって鉄骨の数量及び単価の概算が実際とかけ離れたものとなることを防ぐことができる。
【0056】
また第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、ファブリケータ端末200Bから自動算出した鉄骨の数量に基づく精算を受け付ける。これにより、見積に係る数量が実績と異なる場合にも、ファブリケータに損失が生じないようにすることができる。またサーバ100は、自動算出した鉄骨の数量と実績数量との誤差が所定値を超える場合に精算を受け付け、誤差が所定値を超えない場合に精算を受け付けない。これにより、鉄骨注文システム1は、細かな誤差に基づく清算の発生による注文者の手間が生じることを防止することができる。
【0057】
第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1は、ファブリケータ端末200Bから自動算出された単価を補正した正式見積情報を含む受注情報を受信する。これにより、ファブリケータは、図面に基づいて鉄骨の数量を計算する必要がなく、単価を補正することで容易に見積情報を生成することができる。
【0058】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、注文情報に含まれる図面が正式図面情報である場合に、注文情報を複数のファブリケータに送信し、図面が概算図面情報である場合に注文情報をファブリケータに送信しない。これにより、ファブリケータは鉄骨作成の受注前に不確定なスケジュールを確保しておく必要がない。
【0059】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、図面情報に基づいて鉄骨の溶接量を求め、鉄骨の加工難度を推定し、加工難度に基づいて鉄骨の単価を算出する。これにより、サーバ100は鉄骨の種類に応じて適切に単価を算出することができる。
【0060】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、数量及び単価を自動算出した場合に、注文者に手数料を請求する。またサーバ100は、ファブリケータから年会費の支払いを受け付け、年会費を支払った複数のファブリケータに、注文情報を送信する。これにより、鉄骨注文システム1は、プラットフォーマの収益を適切に創出することができる。
【0061】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、注文者から注文情報の確定を受け付け、注文者によって確定された注文情報をファブリケータ端末200Bに送信する。これにより、ファブリケータは構想段階や企画段階ではなく、設計が完了した段階で注文情報を取得することができる。設計が完了した段階で鉄骨の注文を受注することで、受注から鉄骨の生産開始までの期間を短くすることができる。つまりファブリケータは、閑散期に、直ぐに生産に着手できる鉄骨の注文を受けることができる。
【0062】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は注文者からファブリケータの評価を受け付け、ファブリケータから注文者の評価を受け付ける。またサーバ100は、注文者に、候補ファブリケータ情報と共に評価情報を提示する。これにより、注文者は過去の評価を参照しながらファブリケータを選定することができる。
【0063】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、候補ファブリケータ情報とともに、当該候補ファブリケータ情報が示すファブリケータから送信された見積情報を提示する。これにより、注文者は提示された見積情報を参照しながらファブリケータを選定することができる。特に、第1の実施形態によれば、サーバ100は、複数の候補ファブリケータ別の見積情報を比較可能に提示する。これにより、注文者は候補ファブリケータの相見積を実現することができる。
【0064】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、注文者から、複数の候補ファブリケータのうち鉄骨を注文する契約ファブリケータの選択を受け付けたときに、保証契約情報を提示し、前記保証契約を締結するか否かを受け付ける。これにより、注文者及びファブリケータは、信用リスクを回避することができる。
【0065】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1によれば、サーバ100は、複数の候補ファブリケータのうち、候補ファブリケータ情報が注文者に提示されなかったものに、注文者に選定されなかったことを通知する。これにより、候補ファブリケータ情報を注文者に提示されなかったファブリケータは、受注できなかったことをすぐに知ることができ、受注成立の待ち時間を短くすることができる。
【0066】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1は、300トンよりも少ない小ロットの鉄骨の取引を扱う。小ロットの鉄骨は、材料費に対する人件費等の割合が大きくなるため、鉄骨の単価はファブリケータによってばらつきが生じやすい。したがって、鉄骨注文システム1は、小ロットの鉄骨の取引を扱うことで、注文者に様々なファブリケータの選択肢を提示することができる。
【0067】
また、第1の実施形態に係る鉄骨注文システム1のサーバ100を運営する主体は、鉄骨の所有権を譲り受けない。これにより、プラットフォーマは在庫リスクを負うことを防ぐことができる。
【0068】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態に係るサーバ100は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、サーバ100の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することでサーバ100として機能するものであってもよい。
【0069】
上述した実施形態に係るサーバ100は、注文情報に含まれる図面に基づいて自動的に鉄骨の数量及び単価を算出するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るサーバ100は、プラットフォーマから図面に基づいて手作業で算出された鉄骨の数量及び単価の入力を受け付けてもよい。また、上述した実施形態に係るサーバ100は、受注情報に基づいて自動的に推薦ファブリケータを抽出するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るサーバ100は、受信した受注情報をプラットフォーマに提示し、プラットフォーマから推薦ファブリケータの選択を受け付けてもよい。
【0070】
上述した実施形態に係るサーバ100は、複数の候補ファブリケータのうち、所在地、受注価格、及び評価の観点から3つの候補ファブリケータを抽出するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るサーバ100は、所在地、受注価格、及び評価のうち2つの観点に基づいて2つの候補ファブリケータを抽出してもよい。また他の実施形態に係るサーバは、他の基準に基づいて推薦ファブリケータを抽出してもよい。
また他の実施形態に係るサーバ100は、すべての候補ファブリケータに係る候補ファブリケータ情報を注文者端末200Aに提示してもよい。このとき、注文者端末200Aは、受信したすべての候補ファブリケータ情報を表示してもよいし、注文者端末200Aにて受注価格、所在地から建築現場までの距離、及び評価のそれぞれの観点から候補ファブリケータ情報を抽出し、またはソートして表示してもよい。
【0071】
上述した実施形態に係るサーバ100は、注文者から受注条件の設定を受け付けるが、これに限られない。例えば他の実施形態に係るサーバ100は、予め受注条件を定めておいてもよい。例えば、サーバ100は、評価情報が5段階評価の3ポイント以上のファブリケータにのみ、注文情報を送信してもよい。
【0072】
上述した実施形態に係るサーバ100は、受注情報が一定数に達した場合または注文情報を送信した日付から一定期間が経過した場合に、候補ファブリケータの抽出を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るサーバ100は、注文者から推薦ファブリケータの提示要求を受け付けた場合に、候補ファブリケータの抽出を行ってもよい。また他の実施形態に係るサーバ100は、注文者から予め受注締切日の指定を受け付け、当該受注締切日が満了した時点で候補ファブリケータの抽出を行ってもよい。
【0073】
上述した実施形態に係るファブリケータ端末200Bは、正式見積情報を含む受注情報をサーバ100に送信するが、これに限られない。例えば他の実施形態に係るファブリケータ端末200Bは、概算見積情報と正式見積情報との差分を示す補正情報をサーバ100に送信してもよい。この場合、サーバ100は補正情報と概算見積情報とに基づいて正式見積情報を生成し、生成した正式見積情報を注文者端末200Aに送信する。
【0074】
〈コンピュータ構成〉
図9は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ50は、プロセッサ51、メインメモリ53、ストレージ55、インタフェース57を備える。
上述のサーバ100及び端末装置200は、それぞれコンピュータ50に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ55に記憶されている。プロセッサ51は、プログラムをストレージ55から読み出してメインメモリ53に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ51は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ53に確保する。プロセッサ51の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0075】
プログラムは、コンピュータ50に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ50は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ51によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0076】
ストレージ55の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ55は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース57または通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ53に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ55は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0077】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ55に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…鉄骨注文システム 100…サーバ 101…登録受付部 102…ユーザデータベース 103…支払確認部 104…設定部 105…請求部 106…注文情報受信部 107…算出部 108…概算見積送信部 109…注文情報送信部 110…受注情報受信部 111…候補提示部 112…候補選択部 113…契約提示部 114…通知部 115…精算処理部 116…評価受付部 200…端末装置 200A…注文者端末 200B…ファブリケータ端末 201…受信部 202…表示制御部 203…入力部 204…送信部 50…コンピュータ 51…プロセッサ 53…メインメモリ 55…ストレージ 57…インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9