(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240206BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240206BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023043140
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】定野 凌也
(72)【発明者】
【氏名】片桐 圭紀
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-041377(JP,A)
【文献】特開2019-149854(JP,A)
【文献】特開2021-168009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0300170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に設けられている走行用の電池の残量が不足したときの前記電気自動車の位置を示す位置情報
と、電気自動車への充電を行うための既存の充電設備の位置を示す施設位置情報及び前記既存の充電設備の種別を示す種別情報とを取得する取得部と、
電気自動車への充電を行うための充電設備の種別を受け付ける受付部と、
複数のエリアそれぞれにおける、前記取得部が取得した位置情報の数を算出する
とともに、前記取得部が取得した前記施設位置情報及び種別情報に基づいて、前記複数のエリアそれぞれにおける、前記受付部が受け付けた種別に対応する既存の充電設備の数を算出する算出部と、
前記複数のエリアのうち、算出された前記位置情報の数
が相対的に多く、前記受付部が受け付けた種別に対応する既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを、前記充電設備を設置する候補のエリアである設置候補エリアとして特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記設置候補エリアを示す情報を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
電気自動車に設けられている走行用の電池の残量が不足したときの前記電気自動車の位置を示す位置情報
と、複数のエリアそれぞれにおける道路の交通状況を示す道路交通情報とを取得する取得部と、
前記複数のエリアそれぞれにおける、前記取得部が取得した位置情報の数を算出する算出部と、
前記複数のエリアそれぞれに対して取得した前記道路交通情報に基づいて、前記電気自動車の電池残量が不足する確率が相対的に高いエリアを特定し、特定したエリアと、算出された前記位置情報の数とに基づいて、前記複数のエリアの中から電気自動車への充電を行うための充電設備を設置する候補のエリアである設置候補エリアを特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記設置候補エリアを示す情報を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、既存の充電設備の位置を示す施設位置情報を取得し、
前記算出部は、前記取得部が取得した施設位置情報に基づいて、前記複数のエリアそれぞれにおける既存の充電設備の数を算出し、
前記特定部は、前記複数のエリアそれぞれにおける既存の充電設備の数に基づいて、前記設置候補エリアを特定する、
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記複数のエリアのうち、算出された前記位置情報の数が相対的に多く、かつ、算出された既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを前記設置候補エリアとして特定する、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、走行充電可能な道路を含む前記既存の充電設備の位置を示す施設位置情報を取得する、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
電気自動車に設けられている走行用の電池の残量が不足したときの前記電気自動車の位置を示す位置情報
と、電気自動車への充電を行うための既存の充電設備の位置を示す施設位置情報及び前記既存の充電設備の種別を示す種別情報とを取得するステップと、
電気自動車への充電を行うための充電設備の種別を受け付けるステップと、
複数のエリアそれぞれにおける、取得した位置情報の数を算出する
とともに、取得した前記施設位置情報及び種別情報に基づいて、前記複数のエリアそれぞれにおける、受け付けた種別に対応する既存の充電設備の数を算出するステップと、
前記複数のエリアのうち、算出した前記位置情報の数
が相対的に多く、受け付けた種別に対応する既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを、前記充電設備を設置する候補のエリアである設置候補エリア
として特定するステップと、
特定した前記設置候補エリアを示す情報を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
電気自動車に設けられている走行用の電池の残量が不足したときの前記電気自動車の位置を示す位置情報
と、複数のエリアそれぞれにおける道路の交通状況を示す道路交通情報とを取得するステップと、
複数のエリアそれぞれにおける、取得した位置情報の数を算出するステップと、
前記複数のエリアそれぞれに対して取得した前記道路交通情報に基づいて、前記電気自動車の電池残量が不足する確率が相対的に高いエリアを特定し、特定したエリアと、算出した前記位置情報の数に基づいて、前記複数のエリアの中から電気自動車への充電を行うための充電設備を設置する候補のエリアである設置候補エリアを特定するステップと、
特定した前記設置候補エリアを示す情報を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の普及に伴い、電気自動車への充電を行うための充電設備の設置が進んでいる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電設備を新たに設置する際に、需要が高いエリアに設置することが求められているが、設置を検討する検討者にとって、需要が高いエリアを特定するのが煩雑であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、充電設備の需要が高いエリアを提示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、電気自動車に設けられている走行用の電池の残量が不足したときの前記電気自動車の位置を示す位置情報を取得する取得部と、複数のエリアそれぞれにおける、前記取得部が取得した位置情報の数を算出する算出部と、算出された前記位置情報の数に基づいて、前記複数のエリアの中から電気自動車への充電を行うための充電設備を設置する候補のエリアである設置候補エリアを特定する特定部と、前記特定部が特定した前記設置候補エリアを示す情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記取得部は、既存の充電設備の位置を示す施設位置情報を取得し、前記算出部は、前記取得部が取得した施設位置情報に基づいて、前記複数のエリアそれぞれにおける既存の充電設備の数を算出し、前記特定部は、前記複数のエリアそれぞれにおける既存の充電設備の数に基づいて、前記設置候補エリアを特定してもよい。
【0008】
前記特定部は、前記複数のエリアのうち、算出された前記位置情報の数が相対的に多く、かつ、算出された既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを前記設置候補エリアとして特定してもよい。
前記取得部は、走行充電可能な道路を含む前記既存の充電設備の位置を示す施設位置情報を取得してもよい。
【0009】
前記取得部は、複数のエリアそれぞれにおける道路の交通状況を示す道路交通情報を取得し、前記特定部は、前記複数のエリアそれぞれに対して取得した前記道路交通情報に基づいて、前記電気自動車の電池残量が不足する確率が相対的に高いエリアを特定し、特定したエリアにさらに基づいて前記設置候補エリアを特定してもよい。
【0010】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、電気自動車に設けられている走行用の電池の残量が不足したときの前記電気自動車の位置を示す位置情報を取得するステップと、複数のエリアそれぞれにおける、取得した位置情報の数を算出するステップと、算出した前記位置情報の数に基づいて、前記複数のエリアの中から電気自動車への充電を行うための充電設備を設置する候補のエリアである設置候補エリアを特定するステップと、特定した前記設置候補エリアを示す情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充電設備の需要が高いエリアを提示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】情報処理装置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明する図である。情報処理装置1は、電気自動車への充電を行うための充電設備の設置場所の検討を支援するコンピュータである。
【0014】
情報処理装置1は、例えば、電気自動車において走行用に用いられている走行用電池の残量が不足していることを示す電欠情報を複数の電気自動車から取得する(
図1における(1))。電欠情報には、走行用電池の蓄電量が満充電時における蓄電量に対して所定割合未満となり、電気自動車が電欠状態になったときの電気自動車の位置を示す位置情報を含んでいる。
【0015】
情報処理装置1は、取得した複数の電欠情報それぞれに含まれる位置情報に基づいて、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を算出する(
図1における(2))。情報処理装置1は、複数のエリアのうち、算出した電欠情報の数が相対的に多いエリアを、電気自動車への充電を行うための充電設備の設置候補エリアとして特定する(
図1における(3))。情報処理装置1は、特定した設置候補エリアを示す設置候補エリア情報を、情報処理装置1を使用するユーザである、充電設備の設置場所の検討を行う検討者が使用するユーザ端末2に出力する(
図1における(4))。
【0016】
電欠情報の数が相対的に多いエリアは、充電設備の需要が高いと想定される。したがって、情報処理装置1は、ユーザに対して充電設備の需要が高いエリアを提示することができる。
【0017】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の機能構成について説明する。
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0018】
通信部11は、携帯電話回線、インターネット、無線LAN等の通信ネットワークを介して外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、取得部131、受付部132、算出部133、特定部134、及び出力部135として機能させるプログラムを記憶する。
【0019】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、受付部132、算出部133、特定部134、及び出力部135として機能する。
【0020】
取得部131は、電気自動車から電欠情報を取得する。ここで「電欠情報」とは、電気自動車の電池残量が不足していることを示す情報である。電欠情報は、電気自動車において走行用に設けられている走行用電池の残量が、走行用電池の満充電時の充電量に対して所定割合未満となったときの電気自動車の位置を示す車両位置情報を含んでいる。
【0021】
例えば、取得部131は、通信部11を介して、複数の電気自動車のそれぞれから電欠情報を取得する。取得部131は、電欠情報を受信すると、受信した電欠情報に含まれる車両位置情報を電欠位置情報として記憶部12に記憶させる。例えば、取得部131は、電欠情報を受信すると、電欠位置情報と、電欠情報を受信した時刻とを関連付けて記憶部12に記憶させる。取得部131は、複数の電気自動車のそれぞれから電欠情報を取得したが、これに限らず、ロードサービスを提供する事業者が管理する外部装置に記憶されている複数の電気自動車それぞれの電欠情報を取得してもよい。
【0022】
なお、取得部131は、電欠車両の位置情報を含む電欠情報を取得したが、これに限らない。例えば、取得部131は、電欠車両のユーザが所持する携帯端末にインストールされているロードサービス用のアプリケーション等から、位置情報を含まず、電欠車両のユーザを識別するユーザIDを含む電欠情報を取得してもよい。そして、取得部131は、ユーザIDに予め関連付けられている電欠車両の車両識別情報を取得し、当該車両識別情報に基づいて、電欠車両にアクセスし、電欠情報を取得した時点における電欠車両の位置情報を取得してもよい。
【0023】
また、取得部131は、既存の充電設備の位置を示す施設位置情報を取得する。例えば、取得部131は、地図情報から既存の充電設備の位置を示す施設位置情報を取得したり、ユーザ端末2から施設位置情報を取得したりする。既存の充電設備には、通常の速度で充電を行うことができる普通充電スタンド、急速充電を行うことができる急速充電スタンド、店舗等の施設に設置され、施設を利用することで充電を行うことができる施設内充電スタンド、及び電気自動車が走行中に充電を行うことができる道路である充電可能道路が含まれている。
【0024】
取得部131は、施設位置情報とともに、充電設備が、普通充電スタンド、急速充電スタンド、施設内充電スタンド、又は充電可能道路であるかを示す種別情報を取得する。取得部131は、充電設備において一度に充電可能な電気自動車の台数を示す情報を取得する。また、取得部131は、施設位置情報とともに、充電設備の利用可能時間を示す利用時間情報を取得する。取得部131は、取得した施設位置情報と種別情報と充電可能台数と利用可能時間を関連付けて既存充電設備情報として記憶部12に記憶させる。
【0025】
図3は、既存充電設備情報の一例を示す図である。
図3に示すように、施設位置情報に対して充電設備の種別を示す種別情報と、充電可能台数と、利用可能時間とが関連付けられていることが確認できる。
【0026】
受付部132は、ユーザ端末2から、充電設備の設置候補エリアの取得要求を受け付ける。例えば、受付部132は、ユーザ端末2に、設置候補エリアの選定を行う選定エリアの指定を受け付けるとともに、選定エリアにおける設置候補エリアの取得要求を受け付ける受付画面を表示させる。受付部132は、ユーザ端末2から、選定エリアの指定を受け付けるとともに、設置候補エリアの取得要求を受け付ける。ここで、選定エリアには、メッシュ状に区切った複数のエリアが含まれており、複数のエリアの中から設置候補エリアが特定されるものとする。なお、受付部132は、メッシュ状に区切った複数のエリアの中から設置候補エリアの指定を受け付けるものとするが、これに限らず、県、市、町等の行政区域の指定を受け付けてもよい。
【0027】
算出部133は、取得部131が取得した複数の電欠情報それぞれに含まれる位置情報に基づいて、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を算出する。また、算出部133は、取得部131が取得した施設位置情報に基づいて、複数のエリアそれぞれにおける既存の充電設備の数を算出する。
【0028】
例えば、算出部133は、受付部132が選定エリアの指定と、設置候補エリアの取得要求を受け付けると、取得部131が取得し、記憶部12に記憶されている電欠位置情報を参照し、選定エリアに含まれる複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を算出する。同様に、算出部133は、受付部132が選定エリアの指定と、設置候補エリアの取得要求を受け付けると、取得部131が取得し、記憶部12に記憶されている施設位置情報を参照し、選定エリアに含まれる複数のエリアそれぞれにおける既存の充電設備の数を算出する。
【0029】
特定部134は、選定エリアに含まれる複数のエリアそれぞれに対して算出された電欠情報の数と、既存の充電設備の数とに基づいて、複数のエリアの中から、電気自動車への充電を行うための充電設備の設置候補エリアを特定する。例えば、特定部134は、選定エリアに含まれる複数のエリアのうち、算出された電欠情報の数が相対的に多い一以上のエリアを充電設備の設置候補エリアとして特定する。具体的には、特定部134は、複数のエリアのうち、算出された電欠情報の数が相対的に多く、かつ、算出された既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを、充電設備の設置候補エリアとして特定する。
【0030】
ここで、特定部134は、複数のエリアそれぞれにおける、時間帯別の電欠情報の数と、時間帯別の利用可能な既存の充電設備との数に基づいて、設置候補エリアを特定してもよい。この場合、算出部133は、複数のエリアそれぞれに対し、時間帯別の電欠情報の数を算出するとともに、時間帯別の利用可能な既存の充電設備の数を利用可能設備数として算出する。特定部134は、算出された電欠情報の数が相対的に多い一以上のエリアのそれぞれにおいて、算出された電欠情報の数が所定の閾値以上である時間帯を特定する。特定部134は、特定した時間帯における利用可能設備数が相対的に少ない一以上のエリアを、充電設備の設置候補エリアとして特定する。このようにすることで、電気自動車が電欠になりやすい時間帯において利用可能な既存の充電設備が少ないエリアを設置候補エリアとすることができる。
【0031】
また、特定部134は、既存の充電設備における時間帯別の利用状況としての利用台数や、既存の充電設備における平均充電時間を特定してもよい。そして、特定部134は、特定した既存の充電設備における時間帯別の利用状況や平均時間に基づいて、既存の充電設備が足りないか、既存の充電設備が認知されていないかを判定してもよい。例えば、特定部134は、時間帯別の利用台数又は平均充電時間が第1の閾値を超える場合に、既存の充電設備が足りないと判定し、時間帯別の利用台数又は平均充電時間が第1の閾値よりも低い第2の閾値未満である場合に、既存の充電設備が認知されていないと判定する。そして、算出部133は、既存の充電設備が足りないと判定したことに応じて、当該既存の充電設備に対応するエリアを、充電設備の設置候補エリアとして特定してもよい。
【0032】
また、特定部134は、既存の充電設備における故障情報に基づいて、設置候補エリアを特定してもよい。この場合、取得部131は、既存の充電設備における故障頻度及び故障原因を示す故障情報を取得し、取得した施設位置情報と関連付けて記憶部12に記憶させる。故障原因には、設備を利用しすぎたことを起因とした消耗による故障、充電プラグを抜き忘れて車両が発進した、といった人為的ミスによる故障といった原因が含まれる。
【0033】
特定部134は、算出された電欠情報の数が相対的に多い一以上のエリアそれぞれにおける、既存の充電設備の故障情報が示す故障頻度及び故障原因の少なくともいずれかに基づいて、当該一以上のエリアの中から、設置候補エリアを特定する。例えば、特定部134は、既存の充電設備の故障情報が示す故障頻度及び故障原因に基づいて、利用回数が多いかを特定し、利用回数が多い充電設備が設置されているエリアを、設置候補エリアとして特定してもよい。
【0034】
なお、特定部134は、電欠情報の数と、既存の充電設備の数とに基づいて、複数のエリアの中から、電気自動車への充電を行うための充電設備の設置候補エリアを特定したが、これに限らない。例えば、渋滞する頻度が高い道路が含まれるエリアでは、渋滞に伴い当該エリアに電気自動車が留まり、電気自動車が電欠となる確率が高くなる。
【0035】
これに対し、取得部131は、選定エリアに含まれる複数のエリアそれぞれにおける道路の交通状況を示す道路交通情報を取得してもよい。そして、特定部134は、複数のエリアそれぞれに対して取得した道路交通情報に基づいて、電気自動車の電池残量が不足する確率が相対的に高いエリアを特定し、特定したエリアにさらに基づいて設置候補エリアを特定してもよい。例えば、特定部134は、算出された電欠情報の数が相対的に多い一以上のエリアのうち、道路交通情報に基づいて相対的に渋滞が発生するエリアを、設置候補エリアとして特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、渋滞が発生し、電欠する電気自動車が発生する確率が高いエリアを設置候補エリアとしてユーザに提示することができる。
【0036】
また、算出した電欠車両の台数が多いエリアの中には、特定のユーザの電気自動車が自宅付近等において走行用の電池の残量が不足することで、電欠車両として計数され、結果として算出した電欠車両の台数が多くなるエリアが存在することがある。これに対し、特定部134は、異なる電欠車両に対応する電欠情報の数に基づいて設置候補エリアを特定してもよい。この場合、取得部131は、電気自動車を識別するための車両IDと、車両位置情報(電欠位置情報)とを含む電欠情報を取得し、取得した車両IDと、電欠位置情報とを関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0037】
算出部133は、車両IDに基づいて、エリア内において同一の電欠車両に対応する複数の電欠位置情報を一つの電欠位置情報として、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を算出する。特定部134は、同一の電欠車両による電欠の重複を排除して算出された、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数に基づいて、複数のエリアの中から設置候補エリアを特定してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、特定のユーザが電欠することにより電欠車両の台数が多くなるエリアが設置候補エリアとして特定されることを抑制することができる。
【0038】
また、電気自動車の走行用電池に充電する場合には時間がかかることから、電気自動車のドライバーが充電中に退屈してしまうという問題がある。これに対し、取得部131は、店舗の施設情報を取得してもよい。一般的に電気自動車に対する一度の充電は30分程度で終了することが多いことから、取得部131は、例えば喫茶店や飲食店等の短時間の利用に適した種別の店舗を示す施設情報を取得してもよい。
【0039】
そして、特定部134は、電気自動車の電池残量が不足する確率が相対的に高いエリアのうち、取得した施設情報が示す店舗等の数が相対的に多いエリアを設置候補エリアとして特定してもよい。このようにすることで、設置候補エリアに新たに充電設備を設置した場合に、電気自動車のドライバーが充電中に退屈をしのぐために店舗を利用することができる。したがって、情報処理装置1は、店舗等が少ないエリアに比べて需要が高いエリアを設置候補エリアとしてユーザに提示することができる。
【0040】
また、上述したように充電設備には様々な種別があることから、既存の充電設備が設置されているエリアであっても、既存の充電設備と異なる種別の充電設備を設置する場合には、需要が見込める場合がある。これに対し、受付部132は、ユーザ端末2から、設置候補エリアの取得要求を受け付ける際に、設置を検討する充電設備の種別を受け付けてもよい。
【0041】
この場合、算出部133は、複数のエリアそれぞれにおける既存の充電設備の数を、充電設備の種別ごとに算出してもよい。そして、特定部134は、複数のエリアのうち、算出された電欠情報の数が相対的に多く、かつ、受付部132が受け付けた種別に対応する既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを、充電設備の設置候補エリアとして特定してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、受付部132が受け付けた種別の充電設備の設置場所として適したエリアをユーザに提示することができる。
【0042】
また、エリアにおいて充電設備が多い場合であっても、これらの充電設備が小規模であり、充電可能台数が限られることがある。このため、既存の充電設備が多く設置されているエリアであっても、需要が見込める場合がある。これに対し、算出部133は、複数のエリアそれぞれにおける一以上の既存の充電設備それぞれの充電可能台数の合計数を算出してもよい。そして、特定部134は、複数のエリアのうち、算出された電欠情報の数が相対的に多く、かつ、充電可能台数が相対的に少ない一以上のエリアを、充電設備の設置候補エリアとして特定してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、充電設備が相対的に多く設置されているものの、充電可能台数が限られるエリアを設置候補エリアとしてユーザに提示することができる。
【0043】
出力部135は、特定部134が特定した設置候補エリアを示す情報を出力する。例えば、出力部135は、選定エリアを示す地図であって、特定部134が特定した設置候補エリアに対し、設置候補エリアであることを示す情報を示した地図を含む画面をユーザ端末2に送信し、当該画面をユーザ端末2に表示させる。
【0044】
ここで、出力部135は、設置候補エリアを示す情報をユーザ端末2に表示させる場合に、当該エリアに関する情報を表示させてもよい。例えば、出力部135は、設置候補エリアにおける既存の充電施設に電力を提供する電力事業者情報、当該充電施設の種別(急速充電又は普通充電)と、当該充電施設を利用した場合における利用料金、支払方法を示す情報を表示させてもよい。このようにすることで、ユーザ端末2のユーザは、設置候補エリアに充電施設を設置する場合における利用料金や支払方法等、充電施設を設置した場合の運営方法について検討することができる。
【0045】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1に係る処理の流れについて説明する。
図4は、情報処理装置1に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
まず、取得部131は、既存の充電設備の位置を示す施設位置情報を取得するとともに、所定期間にわたって、複数の電気自動車のそれぞれから電欠情報を取得する(S1)。取得部131は、取得した施設位置情報と、電欠情報に含まれる位置情報とを記憶部12に記憶させる。
【0047】
続いて、受付部132は、ユーザ端末2から、設置候補エリアの選定を行う選定エリアの指定を受け付けるとともに(S2)、設置候補エリアの取得要求を受け付ける(S3)。
続いて、算出部133は、選定エリアに含まれる複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数と、既存の充電設備の数とを算出する(S4)。
【0048】
続いて、特定部134は、算出された電欠情報の数が相対的に多く、かつ、算出された既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを設置候補エリアとして特定する(S5)。
続いて、出力部135は、特定された設置候補エリアを示す設置候補エリア情報を出力する(S6)。
【0049】
[変形例1]
上述の実施形態では、算出部133が、取得部131が取得した複数の電欠情報それぞれに含まれる位置情報に基づいて、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を算出するとともに、取得部131が取得した複数の施設位置情報に基づいて、複数のエリアそれぞれにおける充電設備の数を算出したが、これに限らない。
【0050】
例えば、取得部131は、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を示す情報と、複数のエリアそれぞれにおける充電設備の数を示す情報とを取得してもよい。そして、特定部134が、取得部が取得した、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を示す情報と、複数のエリアそれぞれにおける充電設備の数を示す情報とに基づいて、電欠情報の数が相対的に多く、かつ、既存の充電設備の数が相対的に少ない一以上のエリアを設置候補エリアとして特定してもよい。
【0051】
[変形例2]
また、算出部133は、取得部131が取得した複数の電欠情報それぞれに含まれる位置情報に基づいて、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を算出したが、これに限らない。算出部133は、複数のエリアそれぞれにおける、取得部131が取得した位置情報の数を算出してもよい。そして、特定部134は、算出された位置情報の数に基づいて、複数のエリアの中から設置候補エリアを特定してもよい。
【0052】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、電気自動車において走行用に設けられている電池の残量が所定割合未満となったときの電気自動車の位置を示す位置情報を含み、電気自動車の電池残量が不足していることを示す電欠情報を取得し、取得した複数の電欠情報それぞれに含まれる位置情報に基づいて、複数のエリアそれぞれにおける電欠情報の数を算出し、複数のエリアのうち、算出された電欠情報の数が相対的に多い一以上のエリアを、電気自動車への充電を行うための充電設備の設置候補エリアとして特定し、特定した設置候補エリアを示す情報を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、充電設備の需要が高いエリアを提示することができる。
【0053】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0055】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 受付部
133 算出部
134 特定部
135 出力部
2 ユーザ端末
【要約】
【課題】充電設備の需要が高いエリアを提示する。
【解決手段】情報処理装置1は、電気自動車に設けられている走行用の電池の残量が不足したときの電気自動車の位置を示す位置情報を取得する取得部131と、複数のエリアそれぞれにおける、取得部131が取得した複数の位置情報の数を算出する算出部133と、複数のエリアのうち、算出された位置情報の数に基づいて、前記複数のエリアの中から電気自動車への充電を行うための充電設備を設置する候補のエリアである設置候補エリアとして特定する特定部134と、特定部134が特定した設置候補エリアを示す情報を出力する出力部135と、を有する。
【選択図】
図2