(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】操作要素の状況に応じた表示方法及び車両
(51)【国際特許分類】
E05F 15/689 20150101AFI20240206BHJP
E05F 15/40 20150101ALI20240206BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240206BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
E05F15/689
E05F15/40
H04N7/18 D
B60J1/00 A
(21)【出願番号】P 2023530026
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2021079274
(87)【国際公開番号】W WO2022106150
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】102020007067.1
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ゲン,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】シュトックマン,アリス
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-141188(JP,A)
【文献】特開2013-049968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/689
E05F 15/40
H04N 7/18
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両
の運転席に座る人が操作可能なタッチ感応表示面(10)上に前記車両の機能に対する操作要素を状況に応じて表示するための方法において、
前記操作要素は前記車両のウインドウレギュレーター(7)のロック要素(12)として形成されており
、
車内の座席(3、4、5)に座っている子供が検出され、前記座席(3、4,5)に割り当てられているウインドウレギュレーター(7)が操作された場合、
車内の異なる人が操作可能なウインドウレギュレーター(7、9)で同じ窓に対して相反する操作が行われた場合
、または
前記ウインドウレギュレーター(7、9)で行われている操作が一般的な操作の仕方から逸脱している場合に、
前記操作要素の表示が、常に実行され、
子供が検出された場合、前記ロック要素(12)に加えて、前記表示を誘発する前記ウインドウレギュレーター(7)の操作要素(13)も表示されることを特徴とする方法。
【請求項2】
車両の運転席に座る人が操作可能なタッチ感応表示面(10)上に前記車両の機能に対する操作要素を状況に応じて表示するための方法において、
前記操作要素は前記車両のウインドウレギュレーター(7)のロック要素(12)として形成されており、
車内の座席(3、4、5)に座っている子供が検出され、前記座席(3、4,5)に割り当てられているウインドウレギュレーター(7)が操作された場合、
車内の異なる人が操作可能なウインドウレギュレーター(7、9)で同じ窓に対して相反する操作が行われた場合、または
前記ウインドウレギュレーター(7、9)で行われている操作が一般的な操作の仕方から逸脱している場合に、前記操作要素の表示が、常に実行され、
前記ロック要素(12)に加えて、前記ロック要素(12)の表示を誘発する前記ウインドウレギュレーター(7)を操作する人(15)の画像が車内カメラ(11)によって記録され、表示されることを特徴とする方法。
【請求項3】
登録プロファイ
ルまたは取り付けられているチャイルドシートに基づいてカメラベースで検知されることによって、少なくとも一人
以上の子供の存在が検出されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記一般的な操作の仕方は、前記個々のウインドウレギュレーター(7、9)の過去の操作記録に基づいて規定されるか、または学習されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記一般的な操作の中で行われるよりも多い数の操作が所定の時間内に行われる場合は、常に、前記一般的な操作の仕方からの逸脱が検知されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項6】
前記一般的な操作の仕方は、車両の外部サーバーで保
存または評価されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
安全に関連する警
告が表示されない場合にのみ、前記ロック要素(12)は、前記操作可能な表示面(10)の最上位に表示されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項8】
前記操作要素(13)が追加的に表示されている場合、前記ウインドウレギュレーター(7)による窓の制御よりも
、前記追加的表示
による窓の制御に優先権が認められることを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
タッチ感応表示面と、前記車両の前席領域および後席の電動式ウインドウレギュレーター(7、9)と、請求項1
または2に記載の方法を実行するために取り付けられている制御部とを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に詳しく定義されている種類の操作要素の状況に応じた表示方法に関する。
【0002】
実際に、今日ではほとんどの車両が多数のパラメータを制御できるようになっている。これにより、車両の個々の機能を適切に制御することが可能となり、車両を運転している人の好みや習慣に合わせて、多くの設定を調整することができる。このとき、これらの多数の機能を制御可能にするため、多くはタッチ感応画面が用いられ、これはタッチスクリーンとして形成され、個々の機能は多数の異なるメニューの中で提供される。ここでの欠点は、サブメニュー内の該当する機能を呼び出すために、まず必要な機能を探し出す必要があること、あるいは個々の機能のためにしばしば複数のメニューにわたりスクロールする必要があることである。このことは、比較的多くの労力と時間を要する。特に走行中に機能を選択する場合、このことは、車両を運転している人の意識を比較的長い時間にわたって大きく逸らしてしまうため、交通安全性に関して重大な欠点となる。
【0003】
このことから、特許文献1は、車両機能の操作において使用者を支援するための方法を説明しており、そこでは、状況に応じてさまざまな操作要素がメニュー構成内の上方に移動するか、または直接スタート画面上に表示されるため、メニューおよびサブメニューをスクロールする問題がなくなり、そのような問題によって誘発される交通安全性への潜在的影響も最小化される。
特許文献2では、子供の監視用カメラを装備した車両が開示されている。カメラで生成された画像データをプロセッサーが処理し、輪郭や子供の典型的な動き、またはその他の特徴によって子供の存在が特定される。
特許文献3は、表示要素を介して再現可能な車両アプリケーションの遠隔操作機能を開示している。この表示要素は、車両の電子装置のさまざまなアプリケーションに割り当てられている1つまたは複数の双方向のグラフィック要素を含むことができる。グラフィック要素をタッチすることにより、該当するアプリケーションが作動する。
特許文献4から、車両を使用する人が操作可能なタッチ感応表示面上に車両の機能に対する操作要素を状況制御的に表示するための方法が周知であり、この操作要素は車両のウインドウレギュレーターのロック要素として形成されており、その要素の表示は、常に、車内の座席に座っている子供が検出されて初めて実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/066197号
【文献】米国特許出願公開第2010/0182137号明細書
【文献】米国特許出願公開第2020/0254875号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015006075号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、請求項1の前段部による操作要素の状況に応じた表示方法を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づき、この課題は、請求項1の特徴を持つ方法によって解決される。本発明に基づく方法の有利な実施形態および発展形態は、これに依拠している従属請求項から明らかである。さらに、請求項10には、本方法を実行するために形成されている制御部を備えた車両が提示されている。
【0007】
本方法では、操作可能なタッチ感応表示面において、車両の機能に関する操作要素の状況に応じた表示が行われるようになっている。ここでは、本発明に基づき、操作要素が車両のウインドウレギュレーターのロック要素として形成されている。その表示は、常に、座席に座っている子供が検出され、その座席に割り当てられているウインドウレギュレーターが操作された場合、車内の異なる人が操作可能なウインドウレギュレーターで同じ窓に対して相反する操作が行われた場合、および/またはウインドウレギュレーターで行われている操作が一般的な操作の仕方と異なっている場合に初めて実行される。ウインドウレギュレーターのロック要素は、ロックボタンとも称することができ、車内の上述した状況に応じて最上位に表示される。これにより、一方ではハードウェア仕様としてのロックボタンを節減することができるため、取付けスペース、取付け労力および費用が削減される。また他方では、特殊な状況評価およびこれらの状況に対する表示の適合によって、車両を利用している人、例えば車両を運転している人が、迅速かつ効率的にロックボタンを使用できるようになっている。
【0008】
この場合、状況は、該当する窓を故意に、または誤って操作した子供が後席または助手席にいるかどうかであってよい。このケースでは、窓が相応に素早くロックされて、例えば物または子供自身が車両から転がり落ちるのを防止することが重要である。本発明に基づく方法により、そのような状況が発生すると、操作可能なタッチ感応表示面の最上位にすぐさまロックボタンが表示されるため、高価で複雑なハードウェアスイッチの場合に匹敵する、極めて迅速かつ効率的な介入が可能になる。
【0009】
そのような素早い介入が有用な、または少なくとも望ましいもう1つの状況は、異なるウインドウレギュレーターによって1つの同じ窓に対して相反する操作が行われる場合である。例えば、後席または助手席領域にいる人が、その座席に割り当てられている窓を開けると、車両を運転している人がその窓を再び閉め、後席または助手席領域にいる人がさらにまたその窓を開けようとし、車両を運転している人が再びその窓を閉めようとすることが起こり得る。そのような状況においても、車両を運転している人は、例えば安全上の理由からどうしても窓を閉めておきたいと考えていることを前提とする必要がある。そのような状況においても、本発明に基づく方法に従って、ロックボタンを操作画面、例えば中央のタッチスクリーンの最上位に表示することにより、例えば車両を運転している人に、ウインドウレギュレーターのロックによって状況を解消するための可能性を提供するのは有用である。
【0010】
もう1つの重要な可能性は、ウインドウレギュレーターで行われている操作が一般的な操作の仕方とは異なる場合である。例えば、短時間の換気などで一回だけ開閉を行うことは非常に有用なことであり、一般的に行われる操作の仕方である。常に開閉を繰り返したり、窓の動作を頻繁に止めたり再開したりするなど、ウインドウレギュレーターをいじり回すことは、一般的な操作とは見なされない。さらに、ここには、前述したような異なる人達による相反する操作の状況も含まれるであろう。そのような状況においても、タッチスクリーンを介して相応にロックボタンを提供することにより、その状況に介入し、必要または希望に応じて該当するウインドウレギュレーターをロックする可能性を車両を運転している人などに与えることができる。
【0011】
例えば後席領域のウインドウレギュレーターの望ましくない操作が特に同乗者や子供によって行われる場合、車両を運転している人に代わって、助手席に座っている人が例えばセンターコンソールに配置されているタッチディスプレイで操作を行うことも可能であり、前席領域にいる2人の大人が、必要に応じて簡単かつ効率的に表示面の最上位に配置されているロック要素を介してそれぞれ該当するウインドウレギュレーターを迅速かつ簡単に停止することができる。
【0012】
本発明に基づく方法の非常に好都合な発展形態によれば、少なくとも1人の子供の存在が検出されるように設けることができ、この場合、その子供は、登録プロファイルおよび/または取り付けられているチャイルドシートに基づいてカメラベースで検知される。
【0013】
これらのオプションは、子供の存在を相応に検知し、従って本発明に基づく方法の第1のケースに対して、例えば助手席または特に後席に子供がいることを確定することができるため、特に簡単かつ効率的である。次に、子供の座席に割り当てられているウインドウレギュレーターが操作された場合は、このウインドウレギュレーターのロック要素が直ちにタッチスクリーン上に表示され、子供の監視者、例えば車両を運転している人が必要と判断した場合、その人にはこの状況に介入する可能性が与えられる。このことは、さまざまなメニューやサブメニューをスクロールして機能を探し出す必要なしに、簡単かつ効率的に行うことができる。
【0014】
本発明に基づく極めて好ましい発展形態によれば、一般的な操作の仕方が個々のウインドウレギュレーターの過去の操作記録に基づいて規定されるか、または学習されるようになっている。つまり、そのような記録により、「標準的な」操作の基準が形成される。このとき、このアイデアの極めて好ましい発展形態によれば、一般的な操作の中でこれまで一般的に行われていたよりも多い数の操作が所定の時間内に行われる場合は、常に、一般的な操作の仕方からの逸脱が検知されるようになっている。すなわち、数秒の間に窓が上下に動かされたり、この動作が所定の時間内に何度も繰り替えされたりすると、それは一般的な操作ではないと示すことができる。一方で、このシステムは、さまざまな操作プロファイルを検知し、それらを時間の経過と共に学習することで、例えば窓が何度も開閉されるという操作の仕方が一般的なケースに相当するようになってしまうこともあり得る。そのなると、このケースでは、逸脱した操作が検知されなくなり、それに応じてロックボタンも最上位に表示されなくなるであろう。
【0015】
もう1つの好ましい実施形態では、一般的な操作の仕方がバックエンドサーバー、つまり自動車メーカーなどによって運営される車両の外部サーバーに保存されるようになっている。この値は多くの個々のユーザーのデータから判定され計算されるため、多数の車両について比較的一般に有効なプロファイルを提供することができ、従ってこれらのプロファイルを上述のような方式で、それぞれ個々のユーザーに関するユーザープロファイル内の固有情報によってさらに発展させることが可能である。このシステムは、一般的/標準的な操作の仕方を基準にして学習するため、それに応じて、できる限り信頼性の高い値を迅速に検知することが可能である。バックエンドサーバーの使用により、高度な演算性能と、選択的な人工知能の利用も簡単に可能となる。
【0016】
本発明に基づく方法の極めて好ましい発展形態では、さらに、安全に関連する警告および/またはリアビューカメラまたはフロントカメラの画像またはASIL(自動安全水準、Automotive Safety Integrity Level)に準じたその他の関連する表示が表示されない場合にのみ、ロック要素が操作可能な表示面の最上位に表示されるように設けられている。そのような安全に関連するデータや、例えばリアビューカメラのカメラ画像といった車両の利用に直接必要なデータ、あるいは安全に関連する警告は、いかなる場合でもロック要素の表示よりも優先されるため、そのような種類の警告や画像は決してロック要素で隠されることはなく、場合によっては認識できなかったり、駐車時などの危険な状況で突然見えなくなったりするようなことはない。
【0017】
本発明に基づく方法の更に非常に好ましい実施形態では、少なくとも子供が検出された場合、ロック要素に加えて、表示を誘発するウインドウレギュレーターの操作要素も表示されるように設けることができる。これにより、ウインドウレギュレーターの操作を停止して、いわゆる状況を凍結するだけではなく、さらに表示面を介してこのウインドウレギュレーターを相応に制御することにより、例えば誤って子供が開けた後席の窓を作動途中で停止するだけではなく、これに続けて迅速かつ容易に再び閉められるようにすることができる。
【0018】
別の非常に好ましい実施形態では、操作要素の追加的表示に伴って、ウインドウレギュレーターによる窓の制御よりも、この追加的表示に優先権が認められるように設けられている。すなわち、表示された操作要素による制御はより高い優先順位を持ち、疑わしい場合はウインドウレギュレーターによる入力を直ちに「オーバーライド」する。これにより、そのような状況においては、いかなる場合も操作要素が表示面上で優先されるため、例えばウインドウレギュレーターが持続的に操作されても、後席の窓はタッチスクリーンを操作する人によって確実に制御されることになる。
【0019】
更に、本発明に基づく方法の有利な発展形態では、ロック要素、ならびに任意の操作要素に加えて、表示を誘発するウインドウレギュレーターを操作する人の画像が車内カメラによって記録され、表示されるようにすることもできる。好ましくは、この画像は後席に座っている人であってよい。従って、車両を操作している人、例えば車両を運転している人は、どの人がスイッチを操作しているのか分かるため、例えばこの人に名前で呼びかけ、必要に応じて、この人がなぜウインドウレギュレーターを操作したのか確認することもできる。この人が例えば気分が悪いような場合は、表示されるカメラ画像でそのことを確認することができ、例えばウインドウレギュレーターのロックを止めて、この人に外気を供給することができる。さらに、必要に応じて車両を停止したり、適切にその人に話しかけたりすることもできる。そのために後ろを振り向く必要がないため、仮に従来技術によってそのような状況になった場合に比べ、交通状況から目を逸らす度合いは、はるかに少なくなる。
【0020】
すでに言及したように、タッチ感応表示面、車両の前席領域および後席の電動式ウインドウレギュレーター、ならびに制御部を備える車両は、本方法の好ましい使用目的として指定することができ、この制御部は、1つまたは複数の説明されている変形例に従って本方法を相応に実行するために取り付けられている。
【0021】
本発明に基づく方法および車両のさらなる有利な実施形態は、以下に図を使って詳しく示されている実施形態からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】タッチ感応表示面に表示される可能性のある種類の表示を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、上から見た車室内が示されている。進行方向Fの前方、いわゆる車両の前席領域には、車両を運転する人に割り当てられる座席1が示されている。模式的なステアリングホイール2がそれを示している。その隣には符号3で示された、いわゆる助手席がある。進行方向Fの後方、いわゆる車両の後席には、車両を運転する人の後ろに、符号4とその隣の符号5で示された座席、ならびにその間にある補助座席6が模式的に示されている。このとき、座席3、4、5のそれぞれには、専用のウインドウレギュレーター7が割り当てられており、これはハードウェアスイッチの形が一般的であるが、基本的にタッチ感応画面のような形で実現されていてもよい。車両を運転する人の座席1の横には、通常、車内の個々の窓を操作するウインドウレギュレーター9を含むコントロールパネル8がある。
【0024】
更に、車室内には、タッチ感応式に操作可能な表示面10、例えばタッチスクリーンがセンターコンソール領域に配置されている。この他に車室内には、ここでは中央に示されている、符号11の車内カメラが装備されている。
【0025】
実際には、自動ウインドウレギュレーター機能、すなわち車両の前席領域と後席にウインドウレギュレーター7を備える車両の場合、少なくとも座席1に座っている車両を運転する人が、他の座席のウインドウレギュレーター7、ここでは特に車両後席の座席4および5の領域にあるウインドウレギュレーター7を停止できることは有用であり、車両の機能として必要である。これにより、同乗している子供は車両から物を投げたり、車両から転げ落ちたりすることはなく、ウインドウレギュレーター7を何度も上げ下げして玩具として使用することもできない。ハードウェア形式のロックボタンを省略できるようにするため、そのような操作要素を、ウインドウレギュレーターのロック要素12として車両のソフトウェアに統合することもできる。従って、車両を利用している人は、タッチスクリーン10を介してこの機能を操作することができる。この場合、通常、すべての機能をソフトウェアの最上位に収容することはできないため、車両の特定の機能をオン/オフに切り替えるためにサブメニューをスクロールする必要が頻繁に生じ、相応に手間がかかるので、このことは、例えば子供が窓から落ちそうになっている状況ではいかなる場合でも目的にかなっていない。この理由から、ロック要素12は、この種のロック要素の使用が必要と思われる場合は必ず、状況制御的にタッチスクリーン10上に表示される。
【0026】
図2には、タッチスクリーン10の部分が拡大図で示されている。タッチスクリーンには、符号12で示されたウインドウレギュレーター7のロック要素が表示されている。この場合、以下に記載する場面が発生して、それによって例えば座席1に座っている人がロックボタン12によって迅速に介入する必要があると思われる状況が生じた場合、この表示は必ず上位に表示される。
【0027】
ここでの第1の状況は、例えば子供が後席の座席4または5に座っており、これらの座席4、5に割り当てられているウインドウレギュレーター7を操作することが考えられる。これにより、タッチスクリーン10にはロック要素12が表示されるので、例えば座席1または座席3に座っている人がウインドウレギュレーター7の操作、したがって窓の開閉を直接および直ちに中断することができる。このとき、例えば車内カメラ11によって、あるいは該当する登録プロファイルによって、例えば車両後席の座席4および/または5のいずれかの座席の使用またはチャイルドシートの検知によっても子供を検知することができる。
【0028】
ロック要素12を介して、この座席4または5に割り当てられているウインドウレギュレーター7を単純にロックすることに加え、タッチスクリーン10での窓の操作を相応に提供することも有用であり、そのために、ここでは符号13で示されている操作要素が、例えば仮想スライドスイッチの形で表示されるため、介入する人はウインドウレギュレーター7の機能を停止できるだけではなく、窓を開閉することもできる。座席1にいる人は、基本的に、このことを操作フィールド8および各窓用に配置されているウインドウレギュレーターを介しても行うことができるであろう。しかし、そのためには、どの窓が開けられているかを確認する必要があるため、操作要素13は、特にロック要素12と組み合わせて、より簡単かつ効率的な形の介入を可能にする。このとき、当然ながら、操作要素13の操作は、それぞれのウインドウレギュレーター7の操作よりも優先されるため、ここでウインドウレギュレーター7による介入および場合によっては操作がアクティブに行われても、それらにオーバーライドすることができる。
【0029】
更に、タッチスクリーン10では、さらに
図2の符号14で示された領域に車内カメラ11の画像を表示することができ、このカメラは、座席またはその座席にいる人15を表示し、その人はこの座席4、5に割り当てられているウインドウレギュレーター7を操作している。これにより、車両を運転する人などが、該当する人15、例えば子供に名前で呼びかけることができ、その際、仮に2人の子供がいたとすると、どちらが窓を開けたかを確認するために、後ろを振り向かずに済む。
【0030】
タッチスクリーン10の最上位にロック要素11を表示させるさらなる場面は、相反する要求の検知であってよい。このことは、ウインドウレギュレーター7と、同一の窓に割り当てられているウインドウレギュレーター9とが交互に操作され、それによって窓が上がったり下がったりすることを意味している。このとき、そのような対立の可能性は、ウインドウレギュレーター7、9によって誘発されたすべての作動を周期的に記録することによって検知できる。このとき、記録されるのは、座席1にいる人がいつ窓を上または下に動かしたか、座席3、4または5の同乗者のいずれかがこの座席および窓に割り当てられているウインドウレギュレーター7で同様に窓を上または下に動かしたかどうかである。このことが該当する場合、特に時間的制限を設けることができ、その範囲内でこの動作が行われると、個々の人の相反する要求が検知され、少なくともロック要素12の表示と、また特に操作要素13およびタッチスクリーン10の領域14における画像データの表示も行うことができる。
【0031】
さらに、一般的な操作の仕方を基準値として設定すること、および/または実際に収集された記録データから検出することも可能である。例えばいつもより頻繁に窓の素早い上下動作が繰り返されることによって、または異なる要求がウインドウレギュレーター7および9によって入力され、そのことが反対方向の動きを発生させることによって、この基準値から逸脱した場合は、ロック要素12が同様にタッチスクリーン10上に提供されてよい。このとき、そのようなデータや窓の作動イベントに対して事前に定義された時間要素も、例えば車両バックエンドなどの車両の外部サーバーに保存することができる。所定の時間の範囲内で、例えば後席のウインドウレギュレーター7に対する逆制御が前席領域のいずれかのウインドウレギュレーター9によって検知されると、それに応じた措置が講じられ、ロック要素12をタッチスクリーン10の最上位に表示させることができる。
【0032】
従って、タッチスクリーン10のロック要素12は、説明したような特に関連のある状況において、ウインドウレギュレーターを停止するために直接的な相互干渉の可能性を提供するので、例えば後席または助手席3のウインドウレギュレーター7を前述の理由から停止したい人は、ソフトウェアの深いメニューにアクセスする必要なく、直接この機能を作動させることができる。
【0033】
このとき、車両バックエンドの使用によって、さまざまなユーザーのデータを収集して、平均的な「標準の」基準値を導き出すことができる。さらに、例えばウインドウレギュレーターのユーザー固有の操作を経時的に機械学習で認識させて保存することにより、ユーザープロファイルに応じて、一般に有効なこのプロファイルを自動的に発展させることができるので、ユーザープロファイルは時間の経過と共にユーザーの実際の行動により適合するようになる。車両に比べて高度なバックエンドの演算性能により、ここでは、例えば人工知能(AI)を使用してデータを評価することも可能になる。
【0034】
すなわち、ロック要素12を、好ましくはそのような状況において表示させることができる。このとき、例えばパーキングカメラの画像、重要な警告メッセージなど、その他の重要な機能をタッチスクリーンに表示する必要がある場合は、表示を省略することができる。これらは重ね合わされないため、これらの情報が失われることはない。