(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
A61L 2/02 20060101AFI20240206BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20240206BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20240206BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20240206BHJP
B62D 1/183 20060101ALI20240206BHJP
B62D 1/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61L2/02
A61L2/10
A61L2/18
A61L2/20
B62D1/183
B62D1/06
(21)【出願番号】P 2023534213
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2021082360
(87)【国際公開番号】W WO2022122349
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】102020007463.4
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】シャット,トーステン
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-078704(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109200305(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/02
A61L 2/10
A61L 2/18
A61L 2/20
B62D 1/183
B62D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドライバが操舵命令を入力するために手で把持可能なワンピース又はマルチピースの把持面(5)を有する、手で把持し且つ操舵命令を入力するための手動操作可能な操舵入力ユニット(4)を備える、車両(1)を操舵するための操舵装置(3)と、前記把持面(5)を消毒するための消毒装置(8)と、を備えた車両(1)において、
前記操舵入力ユニット(4)は、車両ドライバが前記操舵入力ユニット(4)を把持可能である使用位置と、車両ドライバが前記操舵入力ユニット(4)を把持不可能である非使用位置との間において、変位可能に前記車両(1)に配置されており、
前記消毒装置(8)は、前記車両(1)に配置されている少なくとも1つの消毒ボックス(9)を有し、
前記消毒ボックス(9)は、前記把持面(5)を消毒するための少なくとも1つの消毒機器(11)を有するか、又は含み、
前記操舵入力ユニット(4)は、少なくとも前記把持面(5)の領域が、前記使用位置では前記消毒ボックス(9)外に配置されており、前記非使用位置では前記消毒ボックス(9)内に配置されて
おり、
前記消毒ボックス(9)のボックス内部空間(10)は、車室(12)から離隔されており、
前記消毒機器(11)は、第1の消毒部材(18)、流体ジェット、消毒液、液体または気体の殺菌剤、及び紫外線光の少なくともいずれかを作用させることにより、または、乾燥させることにより、前記把持面(5)を消毒する
ことを特徴とする、車両(1)。
【請求項2】
前記操舵入力ユニット(4)は、前記使用位置では
前記車室(12)内に突き出ており、
前記消毒ボックス(9)は、前記操舵入力ユニット(4)が前記使用位置と前記非使用位置との間において変位可能である開放状態と、前記非使用位置に変位された前記操舵入力ユニット(4)が前記車室(12)から離隔されている閉鎖状態との間で変位可能である
ことを特徴とする、請求項1記載の車両(1)。
【請求項3】
前記消毒装置(8)は、前記消毒機器(11
)と前記把持面(5)との間での相対運動を生じさせるように
、少なくとも前記消毒機器(11)及び前記把持面(5)のいずれか一方を移動可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項1
または請求項
2記載の車両(1)。
【請求項4】
前記消毒機器(11)は、前記把持面(5)に消毒液を作用させるように構成されているか、又
は
前記消毒機器(11)は、前記把持面(5)を機械式に消毒するための
前記第1の消毒部材(18)と、消毒液を前記第1の消毒部材(18)に
接触させるための第2の消毒部材(24)と、を有する
ことを特徴とする、請求項1~請求項
3のいずれか一項記載の車両(1)。
【請求項5】
前記消毒装置(8)は、前記把持面(5)に
液体、ペースト、またはクリームであるケア製品を適用するため
のケア装置(28)を有する
ことを特徴とする、請求項1~請求項
4のいずれか一項記載の車両(1)。
【請求項6】
。
前記消毒ボックス(9)は、前記消毒ボックス(9)内に配置された前記操舵入力ユニット(4)の領域を
前記車室(12)内の温度に適合可能に温度調整するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1~請求項
5のいずれか一項記載の車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段の特徴を備えた車両に関する。
【0002】
様々な理由から、車両においては、操舵(ステアリング)入力ユニットの把持面を消毒、特に殺菌する必要がある。例えば、病気の蔓延若しくは感染に関して、衛生の必要性が高まっていると考えられる。同様に、例えばフリート又はカーシェアリングでの異なるドライバによる車両の利用は、操舵入力ユニットにおける把持面の消毒の必要性を高めていると考えられる。
【0003】
冒頭で述べたような車両は、例えば下記特許文献1から公知であって、車両を操舵するための操舵装置を備えており、この操舵装置は、手で把持し、且つ操舵命令を入力するための、例えばステアリングホイールの形態の手動操作可能な操舵入力ユニットを有しており、操舵入力ユニットは、車両ドライバが操舵命令を入力するために手で把持可能なワンピース又はマルチピースの把持面を有している。更に、冒頭で述べたような車両には、把持面を消毒するための消毒装置が備えられている。公知の車両では、消毒装置が、例えばダッシュボードに収容されたケーシングを含み、このケーシング内には消毒装置の消毒ヘッドが収容されている。消毒プロセスに関して、この消毒ヘッドを、ケーシングから展開させることができるか、又は引き出すことができ、それによって、消毒ヘッドは消毒動作のために、ステアリングホイールとして構成されている操舵入力ユニットの周囲部分を取り囲む。ステアリングホイールシャフトを中心にステアリングホイールを回転運動させることによって、把持面と消毒ヘッドとの間で相対運動が達成されることで、ステアリングホイールの全周にわたり把持面を消毒することができる。消毒ヘッドには、その都度取り囲まれるステアリングホイールの周囲区分に流体を作用させるための手段が備えられており、流体は、消毒剤及び/又は殺菌剤を含む。
【0004】
更に、捉えた周囲部分を機械式に消毒するための消毒面、及び/又は病原菌並びに微生物を死滅させるための電磁放射を送出する放射源を消毒ヘッドに設けることができる。公知の車両では、ステアリングホイールを消毒できるようにするために、ステアリングホイールは、各ドライバによって調整された実際の使用位置から、消毒ヘッドがステアリングホイールの各周囲部分を取り囲むことができる基本位置まで移動させなければならない。従って、消毒プロセスを実行するためには、異なる複数のデバイスの比較的複雑な同期が必要になる。
【0005】
下記特許文献2から、手で把持し、且つ操舵命令を入力するための手動操作可能な操舵入力ユニット、特にステアリングホイールを有する車両が公知である。ステアリングホイールは、可動且つ折り畳み可能なステアリングホイール支持アームに枢着されており、これによって、ステアリングホイールを、操舵命令の入力が可能である出された状態の使用位置と、格納された状態の非使用位置との間において移動させることができる。非使用位置では、ステアリングホイールは、ステアリングホイール支持アームと共に、アームレストに配置されている収容空間に収容されている。
【0006】
下記特許文献3には、ステアリングホイールリムを備えた、温度調整可能なステアリングホイールが記載されており、少なくともステアリングホイールリムを加熱又は冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第10 2013 002 539 A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2019 114 717 A1号明細書
【文献】独国特許出願公表第11 2015 002 234 T5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述のような車両について、特に把持面の効率的な消毒の点で優れている、改善された実施形態又は少なくとも1つの別の実施形態を提供することであり、更に、複雑性を低減することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、有利な実施形態に関する。
【0010】
本発明は、車両ドライバが操舵入力ユニットを把持可能である、出された使用位置と、車両ドライバが操舵入力ユニットを把持不可能な、格納された非使用位置との間において変位可能に車両に配置されているように、操舵入力ユニットが変位可能に構成されているという一般的な着想を基礎とする。更に、把持面を消毒するための少なくとも1つの消毒機器を有するか、又は含む少なくとも1つの消毒ボックスが車両に配置されることが提案される。更に、操舵入力ユニットと消毒ボックスとの変位可能性は、少なくとも把持面の領域が使用位置において、消毒ボックス外に配置されており、その一方で、非使用位置において、消毒ボックス内に配置されているように操舵入力ユニットが調整される。消毒ボックス内の非使用位置における操舵入力ユニットの収容又は位置決めによって、各消毒機器の構成にとって多様で有利な可能性がもたらされる。また、把持面全体が消毒ボックス内に配置されているので、例えば、液体の消毒剤を使用することができ、その際、消毒剤が車室に到達して、車室が汚れることはない。更に、本発明は、自律走行用に構成されている車両では、車室内に配置されている使用位置から、車室外に配置されている非使用位置まで変位できる操舵入力ユニットが既に設けられていることが多いという認識を利用する。例えば、操舵入力ユニットをダッシュボード内に完全に収容することができる。いずれにしても、その種の車両においても、車両ドライバは各非使用位置において操舵入力ユニットをもはや把持できないことが意図されている。その種の車両において、操舵入力ユニットの収容空間がいずれにしてもその種の非使用位置のために設けられている場合には、ここで提案する本発明を実現するために、このいずれにせよ設けられている収容空間を消毒ボックスとして構成することができるか、若しくは利用することができる。従って、ここでは相乗効果を利用することができ、これによって、ここで提案する消毒装置を備えた車両の複雑性が低減される。
【0011】
この場合、特に、把持面がプッシュボタン、スイッチ、ロッカスイッチなどを含むことができる。
【0012】
車両は、基本的に、あらゆる任意の車両、即ち特に陸上車両、水上車両(船舶)又は航空機であってもよい。好ましくは、車両は道路車両であり、特に乗用車である。
【0013】
好適には、操舵入力ユニットは、使用位置では車室内に突き出ている。有利な実施形態では、消毒ボックスは、操舵入力ユニットが使用位置と非使用位置との間において変位可能である開放状態と、非使用位置に変位された操舵入力ユニットが車室から離隔されている閉鎖状態との間で変位可能であってもよい。ボックス内部空間を車室からこのように離隔させることによって、操舵入力ユニットにおける把持面の消毒をボックス内部空間において行うことができ、その際に、車室との不利な相互作用は生じない。従って、特に、液体の消毒剤及び気体の消毒剤を使用することができ、また照射を行うことができる。
【0014】
操舵入力ユニットの変位は基本的に、任意の適切なやり方で行うことができる。例えば、操舵入力ユニットの線形の移動も考えられる。同様に、操舵入力ユニットの旋回又は折り畳みを一回以上行うことも考えられる。
【0015】
消毒ボックスを開放状態と閉鎖状態との間で変位できるようにするために、例えば、消毒ボックスが相互に相対的に変位可能なボックス下部部品及びボックス上部部品を有するように、消毒ボックスをツーピースで構成することが考えられる。同様に、消毒ボックスに、車室内部への開口部を備えるようにすることも考えられ、この開口部を介して、操舵入力ユニットを消毒ボックス内に格納することができるか、又は消毒ボックスから出すことができる。この場合、消毒ボックスは、この開口部を閉鎖するためのカバーを更に備えることができる。特に、このカバーを、閉鎖状態では、ダッシュボードと面一になるように嵌合させることができる。
【0016】
消毒ボックスには、単一の消毒機器を備えさせることができるか、又は複数の消毒機器を備えさせることができる。以下では、その種の消毒機器に関する複数の異なる実施形態を説明し、それらの実施形態は代替的に使用することができ、また任意の組み合わせで累積的に使用することができる。
【0017】
例えば、その種の消毒機器は、把持面を機械式に消毒するために構成することができる。このために、消毒機器は、ブラシ、フィンガ、起毛、又はスポンジのような弾性の消毒部材を有することができる。同様に、流体ジェットを用いた湿式又は乾式の機械的式の消毒、即ち液体ジェット又は気体ジェットを用いた消毒を実現することができ、これに応じて、各流体は、例えば、上昇された圧力でもって把持面に当てられる。これによって、特に、残滓などを把持面から非常に効率的に除去することができる。
【0018】
好適には、同一又は他の消毒装置は、各消毒機器と把持面との間での相対運動を生じさせるために構成することができる。このことは、特に、把持面を機械式に消毒するための消毒機器との組み合わせにおいて有利である。例えば、位置固定された操舵入力ユニットに対して、消毒ボックスを相対的に移動させることができる。揺動運動、振動、若しくは双方向の直線運動又は回転運動が考えられる。付加的又は代替的に、操舵入力ユニットもその種の相対運動を生じさせるように制御できることは自明である。更には、例えばブラシ、フィンガ、起毛のような消毒部材を把持面に対して相対的に移動させるために、機械式に消毒を行う消毒機器の消毒部材にガス流を当てることが考えられる。また、機械式の消毒のための流体ジェットを生じさせるノズルが、把持面に沿って変位することも考えられる。
【0019】
別の実施形態では、少なくとも1つのその種の消毒機器は、消毒液を用いて把持面を化学式に消毒するために、把持面に消毒液を作用させるように構成することができる。消毒液は、特に脂肪分解成分及び/又は殺菌成分を含むことができる。更に、少なくとも1つのその種の消毒機器は、把持面を機械式に消毒するための第1の消毒部材と、消毒液を第1の消毒部材に作用させるための第2の消毒部材と、を有することができる。この実施形態では、消毒液は直接的には把持面に作用せず、間接的に作用する。このために、把持面を機械式に消毒するために用いられる第1の消毒部材、即ち例えばスポンジ、ブラシ、フィンガ、又は起毛に消毒液が作用し、その結果、機械式の消毒が最終的に湿式に行われ、それには化学的消毒も含まれる。それと同時に、これによって、第1の消毒部材が一緒に消毒される。
【0020】
別の実施形態では、少なくとも1つのその種の消毒機器は、把持面に紫外線光を作用させるように構成することができる。特に、UVA光及び/又はUVB光及び/又はUVC光を作用させることが考えられる。
【0021】
これに関連して、例えば把持面のコーティングの形態として、例えば酸化チタン、特に二酸化チタン(TiO2)のような光触媒が把持面に備えられている実施形態が特に有利である。紫外線光は、把持面に光触媒による自浄作用を生じさせることに適した波長を有することができる。この措置によって、把持面のマイクロバクテリアの効率的な消毒を実現することができる。酸化チタンとの組み合わせでは、適切な波長は、390nmの範囲であると考えられる。
【0022】
別の有利な実施形態では、少なくとも1つのその種の消毒機器が、把持面に液体の殺菌剤又は気体の殺菌剤を作用させるように構成されていることが提案される。殺菌によって、特に、把持面上の細菌、菌類、またウイルスを死滅させることができる。好ましくは、殺菌用のこの種の消毒機器は、機械式及び/又は化学的消毒のための消毒機器と組み合わされて使用されるが、時間的に先ず機械式又は化学的消毒が行われた後に初めて使用される。
【0023】
別の有利な実施形態では、少なくとも1つのその種の消毒機器が、把持面を乾燥させるように構成されているので、消毒機器を乾燥装置と称することができる。例えば、把持面の領域において操舵装置を直接的に加熱するために、その種の消毒機器をヒータとして構成することができる。このことは、例えば、赤外線を用いて行うことができる。同様に、消毒機器が、把持面を乾燥させるために、温度調整された空気流を生じさせ、その空気流を把持面に作用させることが考えられる。
【0024】
別の実施形態では、消毒装置が、把持面にケア製品を適用するための少なくとも1つのケア装置を含むことができる。把持面は、車両のグレードに応じて、木製、革製、人口皮製、又は一般的にプラスチック製であると考えられる。消毒は、把持面に多かれ少なかれ相応の負荷を掛ける。例えば液体、ペースト又はクリームであってよいケア製品を使用することによって、把持面の品質を持続的に維持することができる。ケア装置は、ケア製品を適用するための相応のケア部材を備えることができる。ここでは、例えばブラシ、フィンガ、起毛、又はスポンジのような把持面に直接的に接触することができる弾性のケア部材が考えられる。ここでもまた、操舵入力ユニットと消毒ボックス若しくは少なくとも各ケア装置又はケア部材との間の相対運動と組み合わせて、ケア製品の適用をサポートすることが考えられる。
【0025】
別の有利な実施形態では、消毒ボックスが、消毒ボックス内に配置された操舵入力ユニットの領域を温度調整するように構成されている。例えば、少なくとも把持面の領域においては、操舵入力ユニットを、車室内の温度に適合させることができる。このために、把持面の冷却及び/又は加熱が考えられる。このことは、車両が停止しているとき、また車両が自律走行している間にも行うことができる。ボックス内部空間での操舵入力ユニットのその種の温度調整のために、消毒ボックスは、例えば、空調システムのダクトシステム、特にHVACシステムに接続することができ、ここでHVACとは、Heating、Ventilation、及びAir Conditioningを表す。従って、この車両空調システム又はHVACシステムの温度調整された空気流を、消毒ボックスを通過するように案内することができ、これによって、少なくとも把持面の領域においては、操舵入力ユニットに温度調整された空気流が作用する。
【0026】
消毒ボックスの内部空間は、少なくとも把持面の領域において、実質的に、操舵入力ユニットの対応パーツ(メス型)のように形成することができる。特に、把持面の機械式の消毒のために設けられている把持部材を、この対応パーツに沿って配置することができる。
【0027】
更には、消毒機器は、把持面の汚れを識別するセンサ系を備えることができる。センサ系は、把持面に直接的に配置されているセンサであってもよい。同様に、車両の適切な箇所に配置されており、且つ把持面をセンシングする光学センサも考えられる。更に、消毒機器は、消毒プロセスを自動的に実施することができる制御部を備えることができる。ここで、制御部は、例えば、把持面を消毒することが可能な自律走行モード又は他の車両状態を識別するために、車両制御部に接続することができる。
【0028】
本発明の更に重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面に基づく対応する説明から明らかになる。
【0029】
上記に挙げた特徴、及び以下において更に説明する特徴は、それぞれ示された組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、他の組み合わせにおいても又は単独でも使用可能であると解されたい。上記に挙げた、また以下において更に説明する、上位のユニットの別個に記載されている構成部材、例えば機器、装置又はアセンブリは、それらが図面において異なるように示されている場合であっても、それらのユニットの別個の構成部材若しくは組み合わせを成すか、又はそれらのユニットの統合された領域若しくは部分であってもよい。
【0030】
本発明の好適な実施形態を図面に図示し、下記においてより詳細に説明するが、同一の参照符号は、同一若しくは類似の、又は機能的に同一の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】操舵入力ユニットが使用位置に変位されている、操舵装置及び消毒装置を備えた車両の非常に簡略化された回路図的な模式図を示す。
【
図2】操舵入力ユニットが非使用位置に変位されている、
図1と同様の図を示す。
【
図3】消毒機器を備えた消毒ボックスの非常に簡略化された断面図を示す。
【
図4】
図3に示される消毒装置とは異なる消毒機器を備えた消毒ボックスの非常に簡略化された断面図を示す。
【
図5】
図3及び
図4に示される消毒装置とは異なる消毒機器を備えた消毒ボックスの非常に簡略化された断面図を示す。
【
図6】
図3~
図5に示される消毒装置とは異なる消毒機器を備えた消毒ボックスの非常に簡略化された断面図を示す。
【
図7】
図3~
図6に示される消毒装置とは異なる消毒機器を備えた消毒ボックスの非常に簡略化された断面図を示す。
【
図8】ある位置における操舵入力ユニットの領域における車両の簡略化された等角投影図を示す。
【
図9】
図8に示される位置とは異なる位置における操舵入力ユニットの領域における車両の簡略化された等角投影図を示す。
【
図10】
図8及び
図9に示される位置とは異なる位置における操舵入力ユニットの領域における車両の簡略化された等角投影図を示す。
【
図11】
図8~
図10に示される操舵入力ユニットとは別の操舵入力ユニットでの、
図8と同様の図を示す。
【
図12】
図8~
図10に示される操舵入力ユニットとは別の操舵入力ユニットでの、
図9と同様の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1及び
図2によれば、ダッシュボード2を通る簡略化された横断面として表されている車両1は、車両1を操舵するための操舵装置3を含み、操舵装置3は、車両ドライバが操舵命令を手動で操舵装置3に入力することができる手動操作可能な操舵入力ユニット4を有する。このために、車両ドライバは、操舵入力ユニット4を手で把持することができる。操舵入力ユニット4は、操舵装置3に操舵命令を入力するために車両ドライバが手で把持することができるワンピース又はマルチピースの把持面5を有する。
図1及び
図2の例では、操舵入力ユニット4は、ステアリングホイールとして構成されており、その円周にわたり延びるワンピースの把持面5を有している。
図8及び
図9においては、2つのグリップ部材6を2つ有しているが、その他の点ではステアリングホイールと同様に操作可能である別の操舵入力ユニット4が単に例示的に示されている。この場合は、把持面5は、マルチピースであり、2つのグリップ部材6に分けられている。更に、
図11~
図13は、2つの操舵ロッド7によって形成されている操舵入力ユニット4を単に例示的に示している。ここでもまた、把持面5は、マルチピースであり、2つの操舵ロッド7に分けられている。
【0033】
図1及び
図2によれば、車両1には、把持面5を消毒するための消毒装置8が更に備えられている。消毒装置8は、車両1又はダッシュボード2に配置されている消毒ボックス9を有し、この消毒ボックス9は、ボックス内部空間10を包囲し、また
図3~
図7を参照してより詳細に説明する少なくとも1つの消毒機器11を有しているか、又は含んでいる。
図11~
図13の例では、消毒装置8は、車室12の底部構造において車両シートの近傍に配置されている2つの消毒ボックスを有している。
【0034】
操舵入力ユニット4は、車両ドライバが操舵入力ユニット4を把持可能な、
図1に示す使用位置と、車両ドライバが操舵入力ユニット4を把持不可能な、
図2に示す非使用位置との間で変位可能である。
図1によれば、使用位置において、操舵入力ユニット4は、消毒ボックス9外に位置しており、車室12内に突き出ている。
図2によれば、非使用位置において、操舵入力ユニット4は、消毒ボックス9内に位置している。このために、操舵入力ユニット4を残りの操舵装置3に接続する操舵シャフト13を、折り重ね可能又は折り畳み可能又は伸縮可能又は他の適切な方式で変位可能に構成されているとよい。
【0035】
好適には、消毒ボックス9は、そのボックス内部空間10において、各操舵入力ユニット4に対応する部品(メス型)として設計されている。このことは、例えば、その都度使用される消毒機器11を用いて行うことができる。更に好適には、消毒ボックス9を、開放状態と閉鎖状態との間で変位可能とすることができる。
図1~
図7、
図10、及び
図13では、それぞれ閉鎖状態が示されており、その一方で、
図8、
図9、
図11、及び
図12は開放状態が示されている。開放状態では、操舵入力ユニット4が、使用位置と非使用位置との間で変位可能である。閉鎖状態では、操舵入力ユニット4が、非使用位置に変位されている場合、車室12から離隔されている。これについて、
図3~
図7の例では、消毒ボックス9は、開放状態及び閉鎖状態を実現するために相互に相対的に変位可能である上部部品14及び下部部品15を有するようにツーピースで設計されている。これに対して、
図8~
図10及び
図11~
図13の例では、消毒ボックス9が開口部16を有し、この開口部16を通って、操舵入力ユニット4は車室12とボックス内部空間10との間で変位可能である。この場合、好適には、消毒ボックス9には、閉鎖状態を生じさせるために、この開口部16を閉鎖するためのカバー17が更に備えられている。
図10の例では、カバー17が、閉鎖状態においてダッシュボード2と面一に配置されている。
図11~
図13の例では、カバー17が、各操舵ロッド7の端面側の端部によって形成される。
【0036】
少なくとも1つの消毒機器11は、把持面5を機械式に消毒するように構成することができる。これに関して、消毒機器11は、
図3によれば、例えば、把持面5と直接的に接触することで把持面5を機械式に消毒する、弾性の消毒部材18を有することができる。
図3及び
図4によれば、この消毒部材18は、例えば、スポンジであってもよい。
図5~
図7によれば、この消毒部材18は、多数のブラシ又はフィンガ又は起毛であってもよい。
【0037】
図3によれば、消毒装置8は、各消毒機器11又は各消毒部材18と把持面5との間に、両向き矢印によって示唆されている相対運動19を生じさせるように構成することができる。例えば、相対運動19を生じさせるために、消毒ボックス9全体を動かすことができる。付加的又は代替的に、操舵入力ユニット4を相応に動かすことも考えられる。
【0038】
図3の例では、消毒機器11は更に、把持面5に消毒液を作用させることができるように構成することができる。
図3には、消毒液を供給するための相応の供給管と、消毒液を排出するための排出管21とが示されている。更に、消毒機器11は、把持面5に液体または気体の殺菌剤を作用させるように設計することもできる。例えば、この殺菌剤も同様に、供給管20を介して供給することができ、また必要に応じて排出管21を介して排出することができる。更に、この消毒機器又は別の消毒機器11は、把持面5を乾燥させるように構成することができる。例えば、把持面5を乾燥させるために、乾燥及び/又は加熱された空気流を、別の供給管22を介してボックス内部空間10に供給することができる。排気は、相応の排出管23を介して排出させることができる。
【0039】
図4によれば、機械式に消毒するために設けられた第1の消毒部材18が第2の消毒部材24を用いて消毒液を作用させるように、各消毒機器11を設計することも考えられ、このことは、好適には、操舵入力ユニット4を消毒ボックス9内に移送する前に行われる。それによって、機械式の消毒プロセスを湿式に、即ち消毒液と組み合わせて実施することができる。
【0040】
図5~
図7によれば、把持面5の機械式の消毒のために、フィンガ状又は起毛状の消毒部材18を使用することができる。把持面5に対するこれらの消毒部材18の相対運動は、
図6によれば、供給管25を介して、特にパルス状に圧縮空気が供給されることによっても実現することができ、この場合、圧縮空気を、排出管26を介して再び排出することができる。
【0041】
図7によれば、この消毒機器又は別の消毒機器11は、把持面5に紫外線光を作用させるように構成することができる。例えば、消毒ボックス9のボックス内部空間10に面した内面の適切な位置において、把持面5への紫外線光照射を実現する、相応の紫外線光源27を配置することができる。特に、
図7によれば、ボックス内部空間10全体に紫外線光を作用させることができるので、それと同時に消毒部材18への紫外線照射も行うことができる。紫外線光を用いることで、様々なマイクロバクテリア汚染物質を死滅させることができる。
【0042】
オプションとして、把持面5は、例えば相応のコーティングの形態で、光触媒を備えることができる。ここで、紫外線光は、把持面5での光触媒による自浄が行われるように設計することができ、従って、それに適した波長を有することができる。酸化チタンを光触媒として用いる場合、例えば、390nmの波長が適していると考えられる。
【0043】
消毒装置8は、更にケア装置28を有することができ、このケア装置28を用いて、把持面5にケア製品を適用することができる。
図4によれば、このために、基本的には同様にノズルなどを使用することができ、これらは、消毒液を供給することにも適している。ここで、好適には、別個のシステムが使用される。例えば、把持面5を消毒及び殺菌した後、並びに把持面5を乾燥させた後、ケア製品を塗布することが考えられる。それに続いて、操舵入力ユニット4をその使用位置に変位させた後に、消毒部材18の自浄を実施することができ、例えば、消毒部材18からケア製品を再び取り除くことができる。
【0044】
図1及び
図2によれば、消毒ボックス9は、ボックス内部空間10に配置されている操舵入力ユニット4の温度調整を行うように構成することができる。例えば、このために、消毒ボックス9は、空調システム29に接続することができる。例えば、消毒ボックス9を空調システム29のダクトシステム30に組み込むことができるので、ダクトシステム30を流れる温度調整された空気が、ボックス内部空間9に流れる。従って、操舵入力ユニット4を所望の温度に温度調整することができ、即ち特に冷却又は加熱することができる。