IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コーセーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240207BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240207BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20240207BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20240207BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240207BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/89
A61K8/92
A61Q1/08
A61Q1/10
A61Q1/12
A61Q17/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019221746
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021091620
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【弁理士】
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 聡美
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-001153(JP,A)
【文献】特開2010-254670(JP,A)
【文献】特開2011-063570(JP,A)
【文献】特開2019-014706(JP,A)
【文献】特開平07-196449(JP,A)
【文献】特開2007-169240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105353(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(F);
(A)炭素数C3~6かつ水酸基を2~5個有する多価アルコールと炭素数C14~22の飽和脂肪酸とのエステルである、25℃で固体の非イオン界面活性剤を1種又は2種以上、
(B)デキストリン脂肪酸エステル
(C)融点50~100℃の油脂またはロウを0.5~25質量%
(D)揮発性炭化水素油及び揮発性シリコーンから選ばれる1種または2種以上
(E)シリコーン系皮膜形成剤
(F)粉体を3~30質量%
を含有し、
前記成分(A)の含有量が、0.5~5質量%であり、
前記成分(B)の含有量が、1~5質量%であり、
前記成分(A)、(B)、(C)の質量比率(C)/((A)+(B))が、1/7~8.5である水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記(A)の多価アルコールが、グリセリン、ソルビタンから選ばれる請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(D)の含有量が、1~15質量%であり、前記成分(E)の含有量が、1~15質量%であり、前記成分(D)に対する、前記成分(C)、(E)の質量合計比率((C)+(E))/(D)が、0.2~8である請求項1または2記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
前記水中油型乳化化粧料が、ケラチン繊維用である請求項1~3の何れかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
さらに炭素数C14~22の遊離飽和脂肪酸の含有量が、0質量%以上0.3質量%以下である請求項1~4の何れかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
さらに成分(G)水添アビエチン酸系皮膜形成剤、またはイソブテン系皮膜形成剤を含有する請求項1~5の何れかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の水中油型乳化化粧料の製造方法であって、前記成分(A)~(F)を少なくとも含む、油層及び水層を溶解または分散し、1気圧5~40℃で乳化する工程を含む、水中油型乳化化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌や毛への付着性と均一分散性、乳化性と経時安定性のいずれにも優れる水中油型乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化化粧料はみずみずしい使用感でありながら、適度なエモリエント効果を発揮するため、様々な製品に応用されている。特にメイクアップ化粧料においては、塗布時のみずみずしい使用感、ならびに水でも簡単に除去できる易水洗性の観点から支持を得られている剤型である。
【0003】
しかし、水中油型乳化化粧料は、体内から分泌される汗や涙、皮脂となじみやすく、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性において課題があった。また、特に水中油型の粉体含有化粧料においては、粉体の伸び広がりが使用感を左右し、使用中に水が蒸発し転相する際に伸び広がりの変化が生じやすく、なめらかな使用感や均一分散性による均一な塗布膜、肌や毛に十分な付着性を付与することが難しい傾向があった。さらに、粉体を高配合する際に、乳化剤として飽和脂肪酸が使用されるが、乳化界面が強固であるため、経時で粘度が上昇しやすい傾向があり、なめらかな使用感と、伸び広がりの良さや均一分散性にも悪い影響することがあった。さらに固形油を内油相に配合すると、顕著にその影響が強くなることがあった。
【0004】
なかでも毛に塗布するケラチン繊維用水中油型乳化化粧料においては、物理的な動きに化粧膜が剥がれない、またはカール力等の形状保持のための化粧膜保持性や、涙や皮脂等でにじまない耐水性や耐油性に由来する化粧持続性が高く求められてきた。
具体的には、例えば特許文献1のように、水中油型乳化型睫用化粧料に、耐水性、耐油性や形状保持能力を付与するために、ワックスと皮膜形成ポリマーの混合物を含んでなるマスカラ組成物の技術や、カール力を付与するためにワックスの微小分散物を配合する技術が検討されてきた。また、例えば特許文献2のように、外相に水と水溶性高分子とを含有し、内油相に揮発性油分と油溶性樹脂を含有させることにより、通常の洗顔料で落としやすいにもかかわらず、耐水性、耐汗性、耐皮脂性、耐油性等の化粧もちに優れ、使用性(なめらかさ)に優れた水中油型メーキャップ化粧料の技術が検討されてきた。また、例えば特許文献3のように、なめらかな伸び広がりを有し、仕上がった化粧膜の均一性に優れ、ロングラッシュ効果、ボリュームアップ効果、カールキープ効果に優れ、更に化粧持ちにも優れる睫毛用化粧料の技術があるが、乳化剤にステアリン酸とリン脂質を併用し、ジメチコノール、水不溶性皮膜形成剤ポリマー、融点60~110℃の固形油を配合する技術が検討されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-255619号公報
【文献】特開平7-267817号公報
【文献】特開2014-1153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、付着性や化粧持続性の改善は見られるが、ステアリン酸を用いた乳化では、著しく増粘し、なめらかな使用感に改善の余地が見られた。
また、特許文献2のように、油溶性樹脂と揮発性油分を配合し、なおかつ、ステアリン酸を用いて水中油型化粧料を製造する場合、加温条件下でステアリン酸が溶解した状態で中和を行う必要があり、温度管理が不十分な場合には、ワックスや樹脂が析出して不均一になることや、加温製造時の揮発性油の蒸発を抑制できず十分な化粧持続性が発揮されないという課題があった。
また、なめらかな使用感を検討した特許文献3記載の技術においては、乳化力の観点からステアリン酸の配合量は必要であり、常温乳化性がないため、製造時の揮発油の蒸発により安定配合が難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記実情に鑑み、鋭意検討をおこなった結果、特定の25℃で固体の非イオン界面活性剤とデキストリン脂肪酸エステル、融点50~90℃の油脂またはロウ、揮発性炭化水素油及び揮発性シリコーン、シリコーン系皮膜形成剤、粉体を含有する水中油型乳化化粧料が、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌や毛への付着性と均一分散性、乳化性と経時安定性のいずれにも優れることを見出し本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は、以下の技術を包含するものである。
[1] 次の成分(A)~(F);
(A)炭素数C3~6かつ水酸基を2~5個有する多価アルコールと炭素数C14~22の飽和脂肪酸とのエステルである、25℃で固体の非イオン界面活性剤を1種又は2種以上、(B)デキストリン脂肪酸エステル
(C)融点50~100℃の油脂またはロウを0.5~25質量%
(D)揮発性炭化水素油及び揮発性シリコーンから選ばれる1種または2種以上
(E)シリコーン系皮膜形成剤
(F)粉体を3~30質量%
を含有する水中油型乳化化粧料。
[2]前記(A)の多価アルコールが、グリセリン、ソルビタンから選ばれる[1]記載の水中油型乳化化粧料。
[3]前記成分(A)、(B)、(C)の質量比率(C)/((A)+(B))が、1~10である[1]または[2]記載の水中油型乳化化粧料。
[4]前記水中油型乳化化粧料が、ケラチン繊維用である[1]~[3]の何れかに記載の水中油型乳化化粧料。
[5]さらに炭素数C14~22の遊離飽和脂肪酸を0.3質量%以下含有する[1]~[4]の何れかに記載の水中油型乳化化粧料。
[6]さらに成分(G)水添アビエチン酸系皮膜形成剤、またはイソブテン系皮膜形成剤を含有する[1]~[5]の何れかに記載の水中油型乳化化粧料。
[7][1]~[6]の何れかに記載の水中油型乳化化粧料が、油層、水層を溶解または分散し、1気圧5~40℃で乳化する水中油型乳化化粧料の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中油型乳化化粧料は、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌や毛への付着性と均一分散性、乳化性と経時安定性のいずれにも優れる水中油型乳化粧料を提供するものである。さらに、好ましくは、炭素数C14~22の遊離飽和脂肪酸を極力含まないことを特徴とする水中油型乳化化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味し、特に記載がない場合の「%」は「質量%」を指すものとする。なお、本発明記載の平均粒子径は、電子顕微鏡による画像解析法により得られた、メジアン径D50の値である。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)は、炭素数C3~6かつ水酸基を2~5個有する多価アルコールと炭素数C14~22の飽和脂肪酸とを反応させて得られるエステルであり、その反応方法は特に限定しない。さらに、25℃で固体の非イオン界面活性剤である。炭素数C14~22の飽和脂肪酸の由来は特に限定されず、脂肪酸の構造も、直鎖、分岐、ヒドロキシ基を有する脂肪酸等は特に限定されない。さらに母体となる炭素数C3~6かつ水酸基を2~5個有する多価アルコールは、具体的に好ましくは、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、プロピレングリコール、グルコシド等の単糖から選ばれる多価アルコールとのエステル等があげられる。さらに好ましくはグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソルビタンが挙げられる。これらのエステルから選ばれる1種または2種以上を含有することが、なめらかな使用感と乳化性および経時安定性の観点から優れている。本発明において固体とは、1気圧25℃において応力の存在しない環境で変形せず流動性を示さないものをいう。更に、エステル化されていない水酸基が残っているエステルが好ましく、その水酸基は、飽和脂肪酸由来でも、多価アルコール由来でもよい。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)は、必要に応じ、1種又は2種以上を使用することができる。具体的には、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸トリグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸メチルグルコシド、ステアリン酸エチルグルコシド、ステアリン酸プロピルグルコシド、また、ポリオキシエチレン鎖を有していてもよく、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビットモノステアレート、POE-モノステアレート、POE-ジステアレート、POE-ステアリルエーテル、POE-硬化ひまし油、POE-ひまし油等が挙げられる。成分(A)の市販品としては、例えば、ステアリン酸グリセリルのポエムV-100(理研ビタミン社製)、ニッコールMGS-ASEV(日本サーファクタント工業社製)、セスキステアリン酸ソルビタンのNIKKOLSS-15V(日本サーファクタント工業社製)、モノパルミチン酸ソルビタンのNIKKOL SP-10V日本サーファクタント工業社製)、POE-硬化ひまし油のHCOシリーズ(日本サーファクタント工業社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、下限として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%、更に好ましくは0.3質量%であり、上限として、好ましくは5質量%、より好ましくは3質量%、更に好ましくは2質量%である。この範囲であれば、乳化性と経時安定性が担保され、なめらかな使用感と均一分散性が得られる点において好ましい。また、(A)を含む乳化剤全体の平均として、酸価(「油脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数」[JIS K 0070、または医薬部外品原料規格 一般試験法 酸価測定法])が、上限として100以下であると、経時安定性において増粘しにくく、なめらかな使用感を維持しやすいため、好ましく、50以下でより好ましく、30以下で更に好ましい。また、(A)のエステル価(「試料1g中に含まれるエステルを完全にけん化するのに必要とする水酸化カリウムのmg数」、エステル価=(けん化価-酸価)[JIS K 0070、または医薬部外品原料規格 一般試験法 エステル価測定法])の平均が、下限として40以上が好ましく、60以上がより好ましく、100以上が更に好ましく、上限として、250以下が好ましく、200以下が好ましい。この範囲であると、エステル化されている水酸基とされていない水酸基の比率が最適となり、乳化性と経時安定性が担保され、なめらかな使用感と均一分散性が得られる点において好ましい。さらに、(A)以外の乳化剤としては、粉体含有の水中油型化粧料において一般的に使用される炭素数C14~22の飽和脂肪酸が多量に併用されると、経時安定性において増粘する傾向があり、なめらかさな使用感が低下するため好ましくない。下限として、化粧料中に追加配合されないことが好ましく、上限として、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。また、炭素数C14~22の直鎖高級アルコールにおいても飽和脂肪酸と同様であり、多く配合すると好ましくなく、下限として、化粧料中に追加配合されないことが好ましく、上限として1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
【0014】
本発明に用いられる成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルは、通常化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等が挙げられ、これらの成分(B)は必要に応じ、1種又は2種以上を用いることができる。成分(B)としては、特に(C)との相溶性・均一分散性の観点から、パルミチン酸デキストリンを用いることが好ましい。成分(B)の市販品としては、レオパールKL、レオパールTL(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。本発明において(C)油脂およびロウ等の固形油への結晶阻害作用により、結晶の大きさが均一に小さく揃う効果と、粉体を配合した場合に分散性を向上させる均一分散性の向上と乳化補助剤としての効果を発揮するものである。
【0015】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、下限として、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上、更に好ましくは1.3質量%以上であり、上限として、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、(C)の油脂またはロウの結晶阻害および粉体の分散剤および乳化補助剤としての効果が発揮されるため好ましい。また、成分(A)と成分(B)の質量割合(A)/(B)が、0.1~10の範囲であることが乳化性を維持しやすく、なめらかな使用感のため好ましく、0.1~5の範囲がより好ましく、0.1~3の範囲が更に好ましい。
【0016】
本発明に用いられる成分(C)の油脂またはロウは、通常の化粧料に用いられるものであればいずれのものも用いることができ、植物性でも動物性でもよい。具体的には水添ホホバ油、水添パーム油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モクロウ、ヒマワリワックス、ライスワックス等の油脂またはロウ類が挙げられ、極性の高い固体油であるため、肌や毛への付着性と化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性において優れている。
なお、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、ワセリン等の炭化水素系固体油を併用配合してもよいが、極性の高い固体油の質量割合が高いほうが好ましい。
【0017】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、下限として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、上限として、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。この範囲であれば、肌や毛への付着性が付与され化粧もちも持続されるため好ましい。また、1種または2種以上を組わせて配合してもよい。
【0018】
本発明における成分(A)、(B)、(C)の含有質量割合(C)/((A)+(B))は、下限として、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、上限として、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。この範囲であれば、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌や毛への付着性と均一分散性のいずれにも優れる点で好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(D)の揮発性とは、1気圧における沸点が300℃以下のものをいう。揮発性炭化水素油及び揮発性シリコーンから選ばれる1種または2種以上は、通常の化粧料に用いられるものであればいずれのものも用いることができる。具体的にはイソドデカン、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、揮発性ジメチコン、メチルトリメチコン、環状シリコーンが挙げられる。本発明において、成分(C)や(E)等の固形分を希釈分散する効果があり、塗布後に蒸発するため、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性を付与する効果がある。
【0020】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、下限として、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、上限として、好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。この範囲であれば、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性を付与しながら乳化性と経時安定性にも優れるため好ましい。
【0021】
本発明は更に、成分(E)シリコーン系皮膜形成剤を配合することにより、肌から分泌される汗や皮脂に強い化粧膜となり、より化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性を高める効果を奏する。本発明に用いられる成分(E)シリコーン系皮膜剤は、通常の化粧料に用いられるものであればいずれのものも用いることができる。具体的には、トリメチルシロキシケイ酸、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、ジメチコノール等が挙げられ、好ましくはポリメチルシルセスキオキサン、なかでもT単位を有するものがより好ましく、好ましくはジメチコノール、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸が柔軟な膜を形成し、まばたき、顔の動き等の衝撃に強く形状保持しやすくなる化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性において優れる。
【0022】
本発明における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、下限として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、上限として、好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。この範囲であれば、肌や毛への付着性が付与され、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性があるため好ましい。また、1種または2種以上を組わせて配合してもよい。さらに、質量割合比が((C)+(E))/(D)が、上限として、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上、下限として、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは3.5以下である。この範囲であると、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性が高く、なおかつ、伸び広がりの良さから、なめらかな使用感や均一分散性が向上するため好ましい。
【0023】
なお、本発明において成分(F)として、粉体を配合することが好ましく、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、無水ケイ酸被覆雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン・酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン・無水ケイ酸被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上を複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。より好ましくは、微粒子金属酸化物や着色剤が好ましく、着色剤は、金属酸化物や有機色素、カーボンブラック等が好ましい。
【0024】
本発明は前記成分を含む油層と水層をそれぞれ均一に溶解または分散し、常温で乳化する工程が好ましい。常温とは、特に限定しないが、1気圧5~50℃の加熱しない状態における室温範囲内が好ましい。常温での乳化により、工程中の温度管理不良による成分(C)の析出や、成分(D)の揮発を防ぐことができ、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌や毛への付着性と均一分散性のいずれをも維持することができる。
【0025】
成分(E)以外の皮膜形成剤としては、化粧料一般に用いられている皮膜形成剤であれば特に制限されないが、具体的には成分(G)として、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、水添アビエチン酸グリセリル等の水添アビエチン酸系皮膜形成剤、油溶性のポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレン等のイソブテン系皮膜形成剤、成分(H)として、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、(アクリレーツ/VA)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー、ポリ酢酸ビニル、(スチレン/ビニルピロリドン)コポリマー等の水系溶媒に分散されたエマルションポリマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。成分(G)と成分(H)の皮膜形成剤は、化粧膜保持性がありつつ、付着性をより高める効果に優れ、(E)と(C)のつなぎの役割を果たすことができ、それによって均一分散性を向上させることができる。
【0026】
本発明の水中油型化粧料に用いられる水は、特に限定されず、例えば、精製水、蒸留水、温泉水、海洋深層水、ラベンダー花水等、種々の水をあげることができ、必要に応じて、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、本発明における水の含有量は、特に限定されないが、30~80質量%であることが好ましく、50~70質量%であることがより好ましい。この範囲であれば、本発明の水中油型乳化化粧料の効果を引き出すことができる点から、より好ましい。
【0027】
本発明の水中油型乳化化粧料は、前記の成分(A)~(H)の他に、さらに、通常化粧料に使用される成分、例えば成分(A)、(B)以外の界面活性剤または分散剤成分、(C)、(D)以外の油性成分、(F)以外の粉体成分、繊維、成分(E)、(G)、(H)以外の皮膜形成性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有することができる。
【0028】
成分(A)、(B)以外の界面活性剤または分散剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型、リン脂質等が挙げられる。これらの界面活性剤は、必要に応じ、1種又は2種以上を使用することができる。
【0029】
成分(C)、(D)以外の油性成分としては、化粧料に使用できるものであれば特に制限されず、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0030】
具体的には、スクワラン、ワセリン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。これらの油性成分は必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。
【0031】
また本発明における成分(C)、(D)以外の油性成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、さらに10質量%以下であることが更により好ましい。この範囲であれば、化粧持続性の効果をより高めることができるため、より好ましい。
【0032】
水性成分は、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール等のグリコール類、エチルヘキシルグリセリン、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
【0033】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤等が挙げられる。また、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメチコジエチルベンジルマロネート、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾルテトラメチルブチルフェノール、4-tert-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン、オクトクリレン、オクチルトリアゾン等を用いることができる。酸化防止剤としては、例えばα-トコフェロール、アスコルビン酸等、ビタミン類、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0034】
本発明の水中油型乳化化粧料は、連続相を水とするものであり、剤型は特に限定されないが、ファンデーション、下地、BBクリーム、マスカラ、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料や乳液、クリーム、日中用美容液、日焼け止め等のスキンケア化粧料等が挙げられる。なかでも、な粉を含有するメイクアップ化粧料や日焼け止め化粧料において、効果を発揮しやすい。さらに、睫毛用化粧料、またはアイライナー、アイブロウ等の化粧膜保持性を重要とする目周りのメイクアップ化粧料、または、毛につけるケラチン繊維用化粧料がさらに効果を発揮しやすいが、これに限定されるものではない。また、性状としては液状、ゲル状、クリーム状等が挙げられるが、使用時になめらかな使用感を有するものであれば、いずれの性状にも限定されない。
【実施例
【0035】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0036】
実施例1~12および比較例1~7:水中油型睫毛用化粧料
下記表1及び2に示す処方の水中油型睫毛用化粧料を調製し、a.化粧膜保持性(睫毛用化粧料の場合:カール持続効果)、b.にじみにくさ(化粧持続性)、c.なめらかな使用感、d.付着性(睫毛用化粧料の場合:ボリューム感)、e.均一分散性(睫毛用化粧料の場合:セパレート効果)、f.乳化性と経時安定性について下記の方法により評価した。その結果も併せて表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
*1:ポエムV-100(理研ビタミン社製)
*2:NIKKOL SP-10V(日本サーファクタント工業社製)
*3:HCO-60(日本サーファクタント工業社製)
*4:シュガーワックス S-10E(第一工業製薬社製)
*5:DKエステルS-160(第一工業製薬社製)
*6:EMALEX CS-5(日本エマルジョン社製)
*7:レオドールTW-O 120V(花王社製)
*8:レオドール AO-15V(花王社製)
*9:レオパールKL2(千葉製粉社製)
*10:レオパールTT2(千葉製粉社製)
*11:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*12:XF-49-C4996(固形分15質量%水添ポリイソブテン分散物:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*13:COVACRYL MS11 WP(センシエント社製)
*14:アキュリン33A(ROHMGMBH社製)
【0039】
【表2】
【0040】
(製造方法)
A.成分(1)~(18)を110℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(19)~(25)を加え、均一に分散する。
C.成分(26)~(31)を均一に分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dを容器に充填して製品とする。
【0041】
評価方法)
下記の評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
a.化粧膜保持性
b.化粧持続性
c.なめらかな使用感
d.付着性
e.均一分散性
f.15~40℃での乳化性と経時安定性
【0042】
評価項目a~eついては、各試料について専門パネル10名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。また、評価項目化粧膜保持性(睫毛用化粧料の場合:カール持続効果)については、各試料を睫毛に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、6時間後に塗布直後に比べカール力が低下したかどうかを評価した。評価項目b.にじみにくさ(化粧持続性)については、各試料を睫毛に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、6時間後に塗布部位周辺ににじみが観察されるかどうかを評価した。評価項目c.なめらかな使用感については各試料を睫毛に塗布する際に抵抗が少なく伸び広げやすいかどうかを評価した。評価項目d.付着性(睫毛用化粧料の場合:ボリューム感)については、各試料を睫毛に塗布する際にバルクが睫毛に付着し太くなるかどうかを目視で評価した。評価項目e.均一分散性(睫毛用化粧料の場合:セパレート効果)については、各試料を睫毛に塗布する際に睫毛同士が接着せず、均一な膜となっているかどうかを目視で評価した。
【0043】
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0044】
(4段階判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3点を超える5点以下:良好
△ :1点を超える3点以下:やや不良
× :1点以下 :不良
【0045】
評価項目f.乳化性と経時安定性については、製造方法D.において各相が均一に分散されバルクに色ムラが見られないかどうかを目視で観察し、下記判断基準により判定した。
【0046】
(4段階判定基準)
◎ :油相と水相が均一に分散し、色ムラが見られない。
○ :油相と水相が分散しているが、やや色ムラが見られる。
△ :油相と水相が分散しているが、かなり色ムラが見られる。
× :油相と水相が分散しない。
【0047】
表1、2の結果から明らかなように、本発明の実施例1~12の水中油型化粧料は、比較例1~6の水中油型化粧料に比べ、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌や毛への付着性と均一分散性の全てにおいて優れたものであった。成分(A)の代わりにポリオキシエチレンコレステリルエーテルを用いた比較例1では、常温での乳化が不安定であり、経時での分離が見られ経時安定性において満足のいくものではなかった。成分(B)を含まない比較例2では、ワックスの結晶が阻害されず均一分散性において満足のいくものではなかった。成分(A)を含まず、飽和脂肪酸であるステアリン酸と高級アルコールであるベヘニルアルコールを用いた比較例3は、バルクの粘度が高く、なめらかな使用感および均一分散性において満足のいくものではなかった。成分(C)を含まない比較例4では、付着性において満足のいくものではなかった。また付着力が弱いため化粧膜保持性においても満足のいくものではなかった。成分(D)を含まない比較例5では、化粧膜保持性およびなめらかな使用感、均一分散性において満足のいくものが得られなかった。成分(E)を含まない比較例6は、化粧膜保持性およびにじみにくさ、なめらかな使用感において満足のいくものが得られなかった。成分(C)を多く含む比較例7では、付着性は高いが、なめらかな使用感、均一分散性において満足のいくものが得られなかった。
【0048】
実施例13:水中油型睫毛用化粧料2
(成分) (%)
(1)セテアリルグルコシド *15 1
(2)パルミチン酸デキストリン *16 1.5
(3)キャンデリラワックス 7
(4)フィッシャートロプシュワックス 1
(5)トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸 *17 5
(6)イソドデカン 8
(7)ワセリン 0.1
(8)スクワラン 0.1
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(10)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1
(11)水添アビエチン酸グリセリル 0.2
(12)レシチン 0.1
(13)パンテノール 0.1
(14)ツバキ種子油 0.1
(15)黒酸化鉄 7
(16)マイカ 1
(17)ポリメチルシルセスキオキサン粉末 2
(18)精製水 残量
(19)ポリビニルアルコール 1
(20)水溶性コラーゲン 0.1
(21)コレステロール 0.1
(22)エタノール 0.5
(23)1,3-BG 1
(24)カルボマー 2
(25)トリエタノールアミン 1.2
(26)EDTA 0.1
(27)デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
(28)無水ケイ酸 2
(29)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(30)フェノキシエタノール 0.3
(31)(アクリレーツ/VA)コポリマーエマルション *18 25
(32)(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー*19 5
(33)レーヨン繊維 1
(34)ナイロン繊維 0.5
(35)ポリプロピレン繊維 1
*15:MONTANOV68MB(SEPPIC社製)
*16:レオパールTL2(千葉製粉社製)
*17:XS66-B8226(50%シクロペンタシロキサン溶液)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*18:ビニゾール2140L(大同化成工業社製)
*19:ダイトゾール5000SJ(大同化成工業社製)
【0049】
(製造方法)
A.成分(1)~(5)を110℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(6)~(17)を加え、均一に分散する。
C.成分(18)~(32)を均一に分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dに成分(33)~(35)を加え、均一に分散する。
F.Eを容器に充填して製品とする。
【0050】
実施例13の水中油型睫毛用化粧料は、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、付着性、均一分散性、乳化性と経時安定性の全てにおいて優れたものであった。
【0051】
実施例14:水中油型目周り用下地化粧料
(成分) (%)
(1)セスキステアリン酸ソルビタン *20 2
(2)(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン *10 2
(3)合成ワックス 1
(4)ライスワックス 5
(5)ヒマワリワックス 1
(6)(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー
*21 1
(7)シクロメチコン(5員環) 1
(8)セスキオレイン酸ソルビタン 0.9
(9)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1
(10)ミネラルオイル 0.5
(11)ステアロイルグルタミン酸2Na処理黄酸化鉄 0.1
(12)ステアロイルグルタミン酸2Na処理赤酸化鉄 0.1
(13)雲母チタン 1
(14)ラウロイルリシン *22 0.3
(15)精製水 残量
(16)ポリビニルアルコール 0.2
(17)1,3-BG 1
(18)クオタ二ウム-18ヘクトライト 2
(19)EDTA 0.1
(20)デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
(21)無水ケイ酸 2
(22)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(23)フェノキシエタノール 0.3
(24)ポリビニルアルコール *23 0.5
(25)ポリ酢酸ビニル *23 5
(26)クロロフェネシン 0.3
(27)レモン果実エキス 0.1
(28)マリツカ花エキス 0.1
*20:NIKKOL SS-15V(日本サーファクタント工業社製)
*21:KP-561P(信越化学工業社製)
*22:アミホープLL(味の素社製)
*23:ビニブラン GV-5651(ポリ酢酸ビニル:ポリビニルアルコール=10:1)40質量%固形分(日信化学工業社製)
【0052】
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を110℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(7)~(14)を加え、均一に分散する。
C.成分(15)~(28)を均一に分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dを容器に充填して製品とする。
【0053】
実施例14の水中油型目周り用下地化粧料は、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、付着性、分散性、乳化性と経時安定性の全てにおいて優れたものであった。
【0054】
実施例15:水中油型アイカラー
(成分) (%)
(1)ステアリン酸グリセリル 0.5
(2)パルミチン酸デキストリン *16 1
(3)キャンデリラロウ 5
(4)(エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー 1.5
(5)ワセリン 2
(6)ポリメチルシルセスキオキサン *11 2
(7)ジメチコン *24 5
(8)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(9)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1
(10)*10処理酸化チタン 0.5
(11)赤色226号 0.2
(12)トリエトキシカプリリルシラン処理ベンガラ 0.1
(13)トリエトキシカプリリルシラン処理黄酸化鉄 0.09
(14)トリエトキシカプリリルシラン処理黒酸化鉄 0.01
(15)ホウケイ酸(Ca/Al) *25 3
(16)精製水 残量
(17)(アクリル酸ジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー*26

(18)1,3-BG 1
(19)キサンタンガム 5
(20)シリカ 3
(22)トリエタノールアミン 1.2
(23)EDTA 0.1
(24)デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
(25)フェノキシエタノール 0.3
(26)ヒアルロン酸 0.1
*24:KF-96L-2CS(信越化学工業社製)
*25:マイクログラスメタシャイン MT1080RS(日本板ガラス社製)
*26:ARISTOFLEX AVC(クラリアント・ジャパン社製)
【0055】
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を110℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(7)~(15)を加え、均一に分散する。
C.成分(16)~(26)を均一に分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dを容器に充填して製品とする。
【0056】
実施例14の水中油型アイカラーは、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌への付着性と均一分散性の全てにおいて優れたものであった。
【0057】
実施例16:水中油型チークカラー
(成分) (%)
(1)PEG-60水添ヒマシ油 *3 0.5
(2)パルミチン酸デキストリン *9 1
(3)カルナバワックス 5
(4)パラフィン *27 1.5
(5)(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー
*28 2
(6)ジメチコン(1.5cs) 3
(7)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(8)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1
(9)酸化チタン被覆合成金雲母 *29 0.5
(10)赤色202号 0.2
(11)グンジョウ 0.1
(12)合成金雲母 1
(13)ナイロン-12 *30 0.01
(14)精製水 残量
(15)結晶セルロース *31 0.5
(16)1,3-BG 1
(17)水酸化Na 0.1
(18)EDTA 0.1
(19)フェノキシエタノール 0.3
(20)トコフェロール 0.1
*27:PARACERA 256(パラメルト社製)
*28:KP-562P(信越化学工業社製)
*29:HELIOS R100R(トピー工業社製)
*30:オルガソール2002EXD(アルケマ社製)
*31:レオクリスタ C-2SP(第一工業製薬社製)
【0058】
(製造方法)
A.成分(1)~(5)を110℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(7)~(13)を加え、均一に分散する。
C.成分(14)~(20)を均一に分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dを容器に充填して製品とする。
【0059】
実施例16の水中油型チークカラーは、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌への付着性、均一分散性、乳化性と経時安定性の全てにおいて優れたものであった。
【0060】
実施例17:水中油型アイライナー
(成分) (%)
(1)セスキステアリン酸ソルビタン *19 0.5
(2)パルミチン酸デキストリン *9 1
(3)キャンデリラワックス 5
(4)ミツロウ 3
(5)マイクロクリスタリンワックス 1
(6)トリメチルシロキシケイ酸 2
(7)イソドデカン 10
(8)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(9)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1
(10)黒酸化チタン 0.5
(11)黒酸化鉄被覆マイカ *31 10
(12)パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理黒酸化鉄 5
(13)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)コポリマー
*32 2
(14)ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム
*33 0.5
(15)精製水 残量
(16)(イソブチレン/マレイン酸Na)コポリマー *34 2
(17)エタノール 1
(18)(ビニルピロリドン/VA)コポリマー溶液 *35 1
(19)シリカ *36 3
(20)ポリビニルアルコール 1
(21)アルギニン 1.2
(22)EDTA 0.1
(23)1,2-ペンタンジオール 0.1
(24)フェノキシエタノール 0.3
*31:COLORONA MICA BLACK(メルクパフォーマンスマテリアルズ社製)
*32:KSP-100(信越化学工業社製)
*33:オーロラフレークブルー 0.01(角八魚鱗箔社製)
*34:ポリスターOM(日油社製)
*35:アコーンKS(大阪有機化学工業社製)
*36:シリカマイクロビード P―1505(日記触媒化成社製)
【0061】
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を110℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(7)~(14)を加え、均一に分散する。
C.成分(15)~(24)を均一に分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dを容器に充填して製品とする。
【0062】
実施例17の水中油型アイライナーは、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌への付着性、均一分散性、乳化性と経時安定性の全てにおいて優れたものであった。
【0063】
実施例18:水中油型ファンデーション
(成分) (%)
(1)PEG-60水添ヒマシ油 *3 2
(2)ミリスチン酸デキストリン *37 1.5
(3)ミツロウ 0.5
(4)メトキシメイ皮酸オクチル 7
(5)ビスエチルへキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン*38

(6)揮発性ジメチコン(2CS) 5
(7)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(8)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1
(9)イソノナン酸イソトリデシル 1
(10)トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸*39 1
(11)ジカプリン酸プロピレングリコール 1
(12)パルミチン酸オクチル 1
(13)リン脂質0.5%処理タルク 0.5
(14)酸化ポリエチレン処理黒酸化鉄 0.5
(15)酸化ポリエチレン処理ベンガラ 1.3
(16)酸化ポリエチレン処理黄酸化鉄 0.7
(17)酸化ポリエチレン処理酸化チタン(アルミナ処理、平均粒子径0.27μm)

(18)酸化ポリエチレン処理酸化鉄被覆酸化チタン
(酸化鉄1%処理、シリカ2%処理、平均粒子径0.4μm) 3
(19)球状酢酸セルロース(平均粒子径8μm) 1
(20)精製水 残量
(21)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
*40 2
(22)エタノール 1
(23)トリプロピレングリコール 3
(24)トリエタノールアミン 1
(25)(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー *41
0.5
(26)シロキクラゲ多糖体 0.5
(27)フェノキシエタノール 0.3
(28)フェニルベンズイミダゾールスルホン酸塩 *42 1
*37:レオパールMKL2(千葉製粉社製)
*38:TINOSORB S(BASF社製)
*39:XS66-B8636(50%ジメチコン溶液)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*40:SIMULGEL EG QD(セピック社製)
*41:アデカノールGT-700(アデカ社製)
*42:EUSOLEX 232(メルクパフォーマンスマテリアルズ社製)
【0064】
(製造方法)
A.成分(1)~(5)を90℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(6)~(18)を分散後加え、均一に分散する。
C.成分(19)~(28)を均一に溶解・分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dを容器に充填して製品とする。
【0065】
実施例18の水中油型ファンデーションは、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌への付着性、均一分散性、乳化性と経時安定性の全てにおいて優れたものであった。
【0066】
実施例19:水中油型日焼け止め
(成分) (%)
(1)PEG-60水添ヒマシ油 *3 1
(2)パルミチン酸デキストリン *9 1
(3)ライスワックス 6
(4)トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸*39 2
(5)ジメチコン 10
(6)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(7)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1
(8)メトキシケイ皮酸オクチル 4
(9)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸へキシル*43 1
(10)ジカプリン酸プロピレングリコール 1
(11)デシルテトラデカノール *44 2
(12)2-エチルヘキサン酸セチル 1
(13)ジメチコン(5%)処理酸化亜鉛 8
(14)ステアロイルグルタミン酸2Na(3%)処理酸化チタン 1
(15)窒化ホウ素 0.5
(16)セルロース粉末 1
(17)精製水 残量
(18)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
*45 2
(19)エタノール 1
(20)1,3-ブチレングリコール 3
(21)トリエタノールアミン 1
(22)アスコルビン酸グルコシド 2
(23)クエン酸 0.02
*43:UVINUL A PLUS GRANULAR(BASF社製)
*44:リソノール24SP(高級アルコール工業社製)
【0067】
(製造方法)
A.成分(1)~(4)を110℃まで加熱し、均一に混合する。
B.Aに成分(5)~(16)を加え、均一に分散する。
C.成分(17)~(23)を均一に分散する。
D.BにCを加え40℃以下で乳化する。
E.Dを容器に充填して製品とする。
【0068】
実施例18の水中油型ファンデーションは、なめらかな使用感を有しながら、化粧膜保持性、にじみにくさ等の化粧持続性、肌への付着性、均一分散性、乳化性と経時安定性の全てにおいて優れたものであった。