(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】腕時計及び腕時計型表示装置
(51)【国際特許分類】
G04G 9/00 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
G04G9/00 301C
G04G9/00 303C
G04G9/00 304Z
G04G9/00 302D
G04G9/00 302B
G04G9/00 305
(21)【出願番号】P 2022560717
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2021039217
(87)【国際公開番号】W WO2022097512
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2020184729
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504384561
【氏名又は名称】有限会社ナオトフカサワデザイン
(73)【特許権者】
【識別番号】511058958
【氏名又は名称】有限会社tha
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】深澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇吾
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0227281(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0103985(US,A1)
【文献】特開2017-176988(JP,A)
【文献】特許第6783003(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体の腕時計本体と、
前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く
下面を除く5面それぞれの全域に渡って形成された
5つの表示部と、
前記
5つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部とを備え
る腕時計
であって、
前記5つの表示部のうち、前記腕時計本体の下面とは反対側の上面に形成される表示部を上面表示部、前記腕時計本体の4つの側面に形成される表示部を4つの側面表示部としたとき、
前記5つの表示部における表示モードが、複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、前記複数の針のうち少なくとも最も長い針が、前記上面表示部から前記4つの側面表示部のうち1つの側面表示部にかけて延伸し、かつ、前記1つの側面表示部にかけて延伸する針のうち前記上面表示部に表示される部分と、前記1つの側面表示部に表示される部分とが連動して回転するように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することを特徴とする腕時計。
【請求項2】
直方体の腕時計本体と、
前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く
下面を除く5面それぞれの全域に渡って形成された
5つの表示部と、
前記
5つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部とを備え
る腕時計
であって、
前記5つの表示部のうち、前記腕時計本体の下面とは反対側の上面に形成される表示部を上面表示部、前記腕時計本体の4つの側面に形成される表示部を4つの側面表示部とし、前記4つの側面表示部のうち、使用時に使用者から見て奥側に位置する側面表示部を第1側面表示部、前記使用者の手の甲の側に位置する側面表示部を第2側面表示部、前記第1側面表示部と反対側に位置する側面表示部を第3側面表示部、前記第2側面表示部と反対側に位置する側面表示部を第4側面表示部としたとき、
前記5つの表示部における表示モードが、複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、前記使用者から見てあたかも、前記腕時計本体の内部が透けて見えるように、かつ、前記アナログ時計表示モードにおける時刻を表す数値の表示が、少なくとも前記第3側面表示部においては左右正表示され、少なくとも前記第1側面表示部においては左右逆表示されるように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することを特徴とする腕時計。
【請求項3】
直方体の腕時計本体と、
前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く
下面を除く5面それぞれの全域に渡って形成された
5つの表示部と、
前記
5つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部とを備え
る腕時計
であって、
前記5つの表示部における表示モードが、複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、使用時に使用者から見てあたかも、前記腕時計本体の内部が透けて見えるように、かつ、前記複数の針が、前記腕時計本体の内部に位置している状態で回転するように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することを特徴とする腕時計。
【請求項4】
直方体の腕時計本体と、
前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く
下面を除く5面それぞれの全域に渡って形成された
5つの表示部と、
前記
5つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部とを備え
る腕時計
であって、
前記5つの表示部のうち、前記腕時計本体の下面とは反対側の上面に形成される表示部を上面表示部とし、前記腕時計本体の4つの側面に形成される表示部を4つの側面表示部としたとき、
前記5つの表示部における表示モードが、複数の数字の組み合わせで時刻を表示するデジタル時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、前記複数の数字のうち少なくとも一部が前記上面表示部から前記4つの側面表示部にまでせり出したり、一旦せり出した部分が前記上面表示部に戻ったりするように、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することを特徴とする腕時計。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれかに記載の腕時計において、
前記表示制御部は、前記
5つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように前記
5つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することを特徴とする腕時計。
【請求項6】
請求項
1~5のいずれかに記載の腕時計において、
前記腕時計本体の前記5面は、前記5つの表示部に何も表示させないときは全域にわたって無模様であることを特徴とする腕時計。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートからなり、
前記5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートは、それぞれが前記腕時計本体の前記5面に対して貼り付けられていることを特徴とする腕時計。
【請求項8】
請求項
1~6のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートからなり、
当該1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートは、前記腕時計本体の外形形状に沿うように折り曲げられて前記腕時計本体に貼り付けられていることを特徴とする腕時計。
【請求項9】
請求項
7又は8に記載の腕時計において、
前記腕時計本体の前記5面には、前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートに電力及び電気信号を供給するための第1電極群が露出して設けられており、
前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの裏面には、前記第1電極群からの前記電力及び電気信号を受けるための第2電極群が前記第1電極群に対応する位置に設けられているとともに前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの各画素の点灯状態を制御するための電気信号を供給する駆動回路が設けられており、
前記第1電極群及び前記第2電極群はそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする腕時計。
【請求項10】
請求項
7~9のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部の間に存在する隙間は、黒色部材で埋められており、前記隙間が視認できないように構成されていることを特徴とする腕時計。
【請求項11】
請求項
1~10のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、当該5つの表示部の全体を覆うように保護部材が塗布及び硬化されていることを特徴とする腕時計。
【請求項12】
請求項
1~11のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、タッチパネルからなることを特徴とする腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計及び腕時計型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来にない新しい価値をもった腕時計が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
図33は、従来の腕時計900を説明するために示す図である。なお、
図33に示す腕時計900は、特許文献2における
図13に記載されている腕時計である。
図33において、
図33(a)は表示時における腕時計900の斜視図であり、
図33(b)は非表示時における腕時計900の斜視図である。腕時計900は、
図33に示すように、非表示時には時計表示はおろか何も表示がなされないため、腕時計でありながら、非表示時には時刻表示の存在を意識させることのない腕時計となり、腕時計に新しい価値を提供したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】意匠登録第1158328号公報
【文献】特開2007-206577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人間社会において、新しい時代には新しい価値をもった商品が求められ、腕時計の分野においても例外ではない。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来にない新しい価値をもった腕時計及び腕時計型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の腕時計は、直方体の腕時計本体と、前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
[2]本発明の腕時計においては、前記表示制御部は、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することが好ましい。
【0008】
なお、ここでいう「連動」には、少なくとも2つの表示部に表示される画像が、当該少なくとも2つの表示部に跨ってシームレスに動くような場合も含まれる。また、少なくとも2つの表示部が所定の規則に基づいて又はランダムに次々と点灯状態を変えて行くような場合も含まれる。例えば、少なくとも2つの表示部のうちある1つの表示部が赤色で光るような表示がなされ、続いて、他の表示部が同じ色または異なった色で光るような表示がなされるというように、それぞれの表示部が所定の規則に基づいて、順次、独立して表示を行うといったことも含まれる。
【0009】
[3]本発明の腕時計においては、前記少なくとも2つの表示部は、前記上面及び前記4つの側面から構成される5面のそれぞれの全域に渡って形成された5つの表示部であることが好ましい。すなわち、本発明の腕時計時計は、直方体の腕時計本体と、前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く下面を除く5面それぞれの全域にわたって形成された5つの表示部と、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、を備えることが好ましい。
【0010】
[4]本発明の腕時計においては、前記腕時計本体の前記5面は、前記5つの表示部に何も表示させないときは全域にわたって無模様であることが好ましい。
【0011】
[5]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部は、5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートからなり、前記5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートは、それぞれが前記腕時計本体の前記5面に対して貼り付けられていることが好ましい。
【0012】
[6]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部は、1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートからなり、当該1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートは、前記腕時計本体の外形形状に沿うように折り曲げられて前記腕時計本体に貼り付けられていることが好ましい。
【0013】
[7]本発明の腕時計においては、前記腕時計本体の前記5面には、前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートに電力及び電気信号を供給するための第1電極群が露出して設けられており、前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの裏面には、前記第1電極群からの前記電力及び電気信号を受けるための第2電極群が前記第1電極群に対応する位置に設けられているとともに前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの各画素の点灯状態を制御するための電気信号を供給する駆動回路が設けられており、前記第1電極群及び前記第2電極群はそれぞれ電気的に接続されていることが好ましい。
【0014】
[8]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部の間に存在する隙間は、黒色部材で埋められており、前記隙間が視認できないように構成されていることが好ましい。
【0015】
[9]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部は、当該5つの表示部の全体を覆うように保護部材が塗布及び硬化されていることが好ましい。
【0016】
[10]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部のうち、前記腕時計本体の下面とは反対側の上面に形成される表示部を上面表示部、前記腕時計本体の4つの側面に形成される表示部を4つの側面表示部としたとき、前記5つの表示部における表示モードが、複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、前記複数の針のうち少なくとも最も長い針が、前記上面表示部から前記4つの側面表示部のうち1つの側面表示部にかけて延伸し、かつ、前記1つの側面表示部にかけて延伸する針のうち前記上面表示部に表示される部分と、前記1つの側面表示部に表示される部分とが連動して回転するように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0017】
[11]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部のうち、前記腕時計本体の下面とは反対側の上面に形成される表示部を上面表示部、前記腕時計本体の4つの側面に形成される表示部を4つの側面表示部とし、前記4つの側面表示部のうち、使用時に使用者から見て奥側に位置する側面表示部を第1側面表示部、前記使用者の手の甲の側に位置する側面表示部を第2側面表示部、前記第1側面表示部と反対側に位置する側面表示部を第3側面表示部、前記第2側面表示部と反対側に位置する側面表示部を第4側面表示部としたとき、前記5つの表示部における表示モードが、複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、前記使用者から見てあたかも、前記腕時計本体の内部が透けて見えるように、かつ、前記アナログ時計表示モードにおける時刻を表す数値の表示が、少なくとも前記第3側面表示部においては左右正表示され、少なくとも前記第1側面表示部においては左右逆表示されるように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0018】
[12]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部における表示モードが、複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、使用時に使用者から見てあたかも、前記腕時計本体の内部が透けて見えるように、かつ、前記複数の針が、前記腕時計本体の内部に位置している状態で回転するように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0019】
[13]本発明の腕時計においては、前記表示制御部は、前記使用者から見てあたかも、前記腕時計本体の内部が透けて見えるように、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0020】
[14]本発明の腕時計においては、前記5つの表示部のうち、前記腕時計本体の下面とは反対側の上面に形成される表示部を上面表示部とし、前記腕時計本体の4つの側面に形成される表示部を4つの側面表示部としたとき、前記5つの表示部における表示モードが、複数の数字の組み合わせで時刻を表示するデジタル時計表示モードである場合においては、前記表示制御部は、前記複数の数字のうち少なくとも一部が前記上面表示部から前記4つの側面表示部にまでせり出したり、一旦せり出した部分が前記上面表示部に戻ったりするように、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0021】
[15] 本発明の腕時計においては、前記5つの表示部は、タッチパネルからなことが好ましい。
【0022】
[16] 本発明の腕時計においては、前記表示制御部は、使用者が前記タッチパネル面上を指でスワイプ動作したとき当該スワイプ動作に応じて画像が切り替わっていくように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0023】
[17]本発明の腕時計型表示装置は、直方体の腕時計型表示装置本体と、前記腕時計型表示装置本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
[18]本発明の腕時計型表示装置においては、前記表示制御部は、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することが好ましい。
【0025】
[19]本発明の腕時計型表示装置においては、前記少なくとも2つの表示部は、前記上面及び前記4つの側面から構成される5面のそれぞれの全域に渡って形成された5つの表示部であることが好ましい。
【0026】
なお、本発明の腕時計型表示装置においても、上記本発明の腕時計が有する各特徴を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の腕時計及び本発明の腕時計型表示装置計によれば、後述する実施形態からも分かるように、直方体の腕時計本体の上面に加えて側面をも利用して種々の態様で各種の画像の表示を行うことが可能となる。このため、本発明の腕時計及び本発明の腕時計型表示装置計によれば、従来にない新しい価値をもった腕時計及び腕時計型表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係る腕時計1を使用者の左腕に装着した状態を示す図である。
【
図2】使用者の腕に
図1に示すように装着されている腕時計1を拡大して示す図であり、実施形態に係る腕時計1の第1表示態様を説明するために示す図である。
【
図3】実施形態に係る腕時計1の腕時計本体100及び当該腕時計本体100の下面を除く5面に形成された表示部200を説明するために示す図である。
【
図4】実施形態に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。
【
図5】隣接する有機EL表示シート間に生じる隙間の対処について説明するために示す図である。
【
図6】腕時計1の全体を覆うように保護部材290が塗布及び硬化されている状態を説明するために示す図である。
【
図7】第1表示態様の変形例1を説明するために示す図である。
【
図8】実施形態に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。
【
図9】実施形態に係る腕時計1の第3表示態様について説明するために示す図である。
【
図10】実施形態に係る腕時計1の第4表示態様について説明するために示す図である。
【
図11】実施形態に係る腕時計1の第5表示態様について説明するために示す図である。
【
図12】実施形態に係る腕時計1の第6表示態様について説明するために示す図である。
【
図13】実施形態に係る腕時計1の第7表示態様を説明するために示す図である。
【
図14】実施形態に係る腕時計1の第8表示態様を説明するために示す図である。
【
図15】実施形態に係る腕時計1の第9表示態様を説明するために示す図である。
【
図16】5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなる場合を説明するために示す図である。
【
図17】実施形態に係る腕時計1の第2表示態様において、使用者が腕をより強く曲げて腕時計1を見た場合について説明するために示す図である。
【
図18】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第10表示態様)を説明するために示す図である。
【
図19】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第11表示態様)を説明するために示す図である。
【
図20】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第12表示態様)を説明するために示す図である。
【
図21】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第13表示態様)を説明するために示す図である。
【
図22】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第14表示態様)を説明するために示す図である。
【
図23】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第15表示態様)を説明するために示す図である。
【
図24】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第16表示態様)を説明するために示す図である。
【
図25】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第16表示態様)を説明するために示す図である。
【
図26】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第17表示態様)を説明するために示す図である。
【
図27】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第18表示態様)を説明するために示す図である。
【
図28】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第19表示態様)を説明するために示す図である。
【
図29】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第20表示態様)を説明するために示す図である。
【
図30】実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第20表示態様)を説明するために示す図である。
【
図31】5つの表示部210~214が3枚の有機EL表示シートからなる場合を説明するために示す図である。
【
図32】表示部200が少なくとも2つの表示部からなる場合の一例を示す図である。
【
図33】従来の腕時計900を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の各実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る腕時計1を使用者の左腕に装着した状態を示す図である。なお、
図1において矢印Aは、左腕の手首に装着されている腕時計1を使用者が見る際の視線の方向を示している。すなわち、左腕の手首に装着されている腕時計1を使用者が見る際においては、使用者は腕の肘を当該使用者の身体(腹又は胸側)に少し曲げるようにした状態で腕時計1を見ることが一般的であり、このときの視線の方向を示している。
図1においては、矢印Aは水平面上での方向が描かれているが、実際の視線の方向は、使用者の目から斜め下方向に向くこととなるのが一般的である。
【0030】
図2は、使用者の腕に
図1に示すように装着されている腕時計1を拡大して示す図である。
図2(a)は使用者の腕に装着されている腕時計1を
図1の矢印A方向に沿って見た場合の拡大図であり、
図2(b)は使用者の腕に装着されている腕時計1を
図1の矢印B方向(矢印Aとはほぼ反対方向)に沿って見た場合の拡大図である。なお、
図2においては、腕時計1には、時針と分針とで時刻を表すアナログ時計表示モードによる時刻表示がなされている状態が示されている。また、当該
図2は実施形態に係る腕時計1の第1表示態様を説明するために示す図でもある。第1表示態様については後述する。
【0031】
図3は、実施形態に係る腕時計1の腕時計本体100及び当該腕時計本体100の下面を除く5面に形成された表示部200を説明するために示す図である。
図3(a)は腕時計本体100の斜視図であり、
図3(b)は腕時計1の表示部200を5つの表示部210~214に展開して示す平面図である。
【0032】
図1、
図2及び
図3を参照して実施形態に係る腕時計1の構成について説明する。実施形態に係る腕時計1は、直方体の腕時計本体100と、腕時計本体100の表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く下面を除く5面(上面及び4つの側面)の全域にわたって形成された5つの表示部210~214と、腕時計1を使用者の腕に装着するためのベルト300と、5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する表示制御部450(表示制御部450については
図4により後述する。)と、を備えている。なお、本発明において、「全域にわたって形成され」とは、使用者から見て全域にわたって形成されているように見えればそれで足り、厳密な意味で全域にわたって形成されていなくてもよい。
【0033】
腕時計本体100は、
図3(a)に示すように、所定の厚みtを有する直方体をなしており、下面とは反対側の上面110及び4つの側面(第1側面111、第2側面112、第3側面113及び第4側面114)の5面には、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、5つの表示部210~214が形成されている。なお、5つの表示部210~214において、腕時計本体100の上面110に形成される表示部を上面表示部210とし、腕時計本体100の第1側面111に形成される表示部を第1側面表示部211とし、時計本体100の第2側面112に形成される表示部を第2側面表示部212とし、腕時計本体100の第3側面113に形成される表示部を第3側面表示部213とし、腕時計本体100の第4側面114に形成される表示部を第4側面表示部214とする。
【0034】
5つの表示部210~214は、5枚の有機EL(Electro Luminescence)表示シートからなる。すなわち、上面表示部210は上面用有機EL表示シートからなり、第1側面表示部211は第1側面用有機EL表示シートからなり、第2側面表示部212は第2側面用有機EL表示シートからなり、第3側面表示部213は第3側面用有機EL表示シートからなり、第4側面表示部214は第4側面用有機EL表示シートからなる。
【0035】
以下の説明において、5つの表示部210~214を、それぞれ対応する有機EL表示シートとして説明する場合には、各有機EL表示シートを上面用有機EL表示シート210、第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213、第4側面用有機EL表示シート214というように、5つの表示部210~214と同じ符号を用いることとする。
【0036】
なお、上面用有機EL表示シート210、第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213及び第4側面用有機EL表示シート214をまとめて説明する場合には、「各有機EL表示シート210~214」というように表記する場合もある。また、第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213及び第4側面用有機EL表示シート214をまとめて説明する場合には、「各側面有機EL表示シート211~214」というように表記する場合もある。
【0037】
これら各有機EL表示シート210~214は、1枚ずつ腕時計本体100の上面110と4つの側面(第1側面111、第2側面112、第3側面113及び第4側面114)に貼り付けられる。これにより、
図1及び
図2に示すような腕時計1が構成される。なお、
図1及び
図2においては、アナログ時刻表示がなされている状態が示されているが、何も表示されていない場合には、表示部200の全域にわたって無模様となる。ここでの無模様とは、アナログ時計表示だけでなく、デジタル時計表示及び各種の表示が行われていないことを意味している。
【0038】
この場合、5枚の有機EL表示シート(各有機EL表示シート210~214)を1枚ずつ腕時計本体100に貼り付けて表示部200を構成しているが、このようにすることにより、腕時計1の角部(上面用有機EL表示シート210と各側面用有機EL表示シート211~214とにより形成される角部)を直角とすることができるとともに、各有機EL表示シート210~214の平面度を高くすることができるため、見た目にすっきりしたものとなる。
【0039】
また、腕時計本体100の5面、すなわち、上面110と4つの側面(第1側面111、第2側面112、第3側面113及び第4側面114)には、各有機EL表示シート210~214に電力及び電気信号を供給するための第1電極群120が露出して設けられている。一方、各有機EL表示シート210~214のそれぞれの裏面には、第1電極群120からの電力及び電気信号を受けるための第2電極群220が第1電極群120に対応する位置に設けられている。そして、腕時計本体100の第1電極群120と各有機EL表示シート210~214の第2電極群220とは、それぞれ対応する電極同士が電気的に接続されている。また、各有機EL表示シート210~214の裏面には、各有機EL表示シートの各画素の点灯状態を制御するための電気信号を供給する駆動回路が設けられている。なお、
図3においては、当該駆動回路については図示が省略されている。
【0040】
図4は、実施形態に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。なお、
図4に示す機能ブロック図は、実施形態に係る腕時計1が有する種々の機能のうち、主に表示を行うために必要な機能ブロックが示されている。
【0041】
腕時計本体100の側においては、5つの表示部210~214(各有機EL表示シート210~214)にどのような表示を行わせるかをユーザーが選択することができるユーザーインターフェースとしての表示画像選択部410と、各有機EL表示シート210~214に表示させる画像を記憶している画像データ記憶部420、各有機EL表示シート210~214に表示させる画像が連動又関連した画像となるように各有機EL表示シート210~214間での同期をとるための同期信号を発生する同期信号発生部430と、現在の時刻データを発生する時刻データ発生部440と、各有機EL表示シート210~214のそれぞれの表示を制御する表示制御部450と、を有している。なお、各有機EL表示シート210~214に表示させる画像は、画像データ記憶部420に記憶している画像のほか、図示しない画像データ生成部により生成された画像であってもよいし、外部から通信を介して受信した画像であってもよい。例えば、使用者のスマートフォンからの画像、契約している映像配信会社からの画像であってもよい。
【0042】
一方、表示部200の側においては、上面用有機EL表示シート210の駆動回路510、第1側面用有機EL表示シート211の駆動回路511、第2側面用有機EL表示シート212の駆動回路512、第3側面用有機EL表示シート213の駆動回路513及び第4側面用有機EL表示シート214の駆動回路514を有する。
【0043】
なお、
図4においては、図示は省略されているが、腕時計本体100側においては、
図4に示す各機能ブロックに電力を供給するための電源部も設けられており、電源部からの電力及び表示制御部450からの各種信号などは、腕時計本体100側に設けられている第1電極群120(
図3(a)参照。)と、各有機EL表示シート210~214側にそれぞれ設けられている第2電極群220(
図3(c)参照。)とを介して供給される。
【0044】
表示制御部450は、使用者が表示画像選択部410から選択した内容に基づいて画像データ記憶部420に記憶されている画像を読み出して、読み出した画像を各有機EL表示シート210~214に表示させるための制御を行う。このとき、各有機EL表示シート210~214のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように各有機EL表示シート210~214それぞれの表示を制御する。
【0045】
このように、表示制御部450は、画像データ記憶部420から読み出した画像を各有機EL表示シート210~214に表示させるための制御を行うが、実施形態1に係る腕時計1の起動時においては、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面を表示させるための制御を行う。表示画像選択画面が腕時計1に表示されることにより、使用者は表示された表示画像選択画面から表示させたい内容を選択することができる。そして、表示制御部450は、使用者が選択した表示モードに基づいて表示を制御する。なお、表示画像選択は、腕時計と連携している使用者のスマートフォンの選択画面から行うようにしてもよい。
【0046】
例えば、使用者が表示画像選択部410からアナログ時刻表示を選択した場合には、実施形態1に係る腕時計1の5つの表示部210~214は、アナログ時計表示モードとなり、表示制御部450は、時刻データ発生部440から現在の時刻データを読み出して、
図2に示すように、各有機EL表示シート210~214において時針と分針による現在時刻を表示させるように各有機EL表示シート210~214の各駆動回路510~514を制御する。なお、表示画像の選択は、腕時計と連携している使用者のスマートフォンの選択画面から行うようにしてもよい。アナログ時刻表示モードにおける具体的な時刻の表示の仕方などについては後述する。
【0047】
ところで、
図3において説明したように、各有機EL表示シート210~214は、腕時計本体100の表面を構成する6面のうち、下面を除く5面それぞれに貼り付けられている。すなわち、上面有機EL表示シート210は腕時計本体100の上面110に貼り付けられ、第1側面用有機EL表示シート211は腕時計本体100の第1側面111に貼り付けられ、第2側面用有機EL表示シート212は腕時計本体100の第2側面112に貼り付けられ、第3側面用有機EL表示シート213は腕時計本体100の第3側面113に貼り付けられ、第4側面用有機EL表示シート214は腕時計本体100の第4側面114に貼り付けられている。このように、各有機EL表示シート210~214が腕時計本体100のそれぞれ対応する面に貼り付けられると、腕時計本体100の角部においては、隣接する有機EL表示シート間には、有機EL表示シートの厚みに相当する隙間が生じる場合がある。
【0048】
図5は、隣接する有機EL表示シート間に生じる隙間の対処について説明するために示す図である。
図5は上面用有機EL表示シート210と第3側面用有機EL表示シート213との間に生じる隙間を例にとって示す図である。
【0049】
図5に示すように、腕時計本体100の角部においては、隣接する有機EL表示シート間(この場合、上面用有機EL表示シート210と第3側面用有機EL表示シート213との間)には、黒色部材280が埋設されている。なお、黒色部材としては、例えば、シリコーンゴムなどを黒色としたものを用いることができる。このように、隣接する有機EL表示シート間の隙間を黒色部材280で埋めることにより、隣接する有機EL表示シート間の隙間が目立たなくなり、腕時計1の外観がすっきりして、見た目によいものとなる。
【0050】
なお、
図5においては、上面用有機EL表示シート210と第3側面用有機EL表示シート213との間のみが示されているが、5つの表示部210~214の間、すなわち、第1側面用有機EL表示シート211と第2側面用有機EL表示シート212との間、第2側面用有機EL表示シート212と第3側面用有機EL表示シート213との間、第3側面用有機EL表示シート213と第4側面用有機EL表示シート214との間、第4側面用有機EL表示シート214と第1側面用有機EL表示シート211との間、及び、上面用有機EL表示シート210と各側面用有機EL表示シート211~214との間の隙間も同様に黒色部材280で埋められている。
【0051】
これにより、腕時計本体100の角部、すなわち、隣接する有機EL表示シート間に黒色部材280が埋設された状態となる。そして、隣接する有機EL表示シート間に黒色部材280が埋設された状態の各有機EL表示シート210~214の表面には、当該各有機EL表示シート210~214の全体を覆うように保護部材290(
図6参照。)が塗布及び硬化されている。
【0052】
図6は、腕時計1の全体を覆うように保護部材290が塗布及び硬化されている状態を説明するために示すである。なお、
図6は、
図2(a)のa-a矢視断面図であり、腕時計本体100の内部に存在する表示制御部450などの構成要素(
図4の機能ブロック図参照。)は図示を省略する。
図6に示すように、腕時計1の5つの表示部、すなわち、上面用有機EL表示シート210及び各第1側面用有機EL表示シート211~214全体を覆うように透明の保護部材290が塗布及び硬化されている。
【0053】
ここで、保護部材290としては、防水性、耐食性及び耐熱性を有するシリコーン樹脂などを好ましく用いることができる。このように、腕時計1の5つの表示部、すなわち、上面用有機EL表示シート210及び各第1側面用有機EL表示シート211~214全体を覆うように透明の保護部材290が塗布及び硬化されていることにより、防水性、耐食性及び耐熱性を有するとともにものとなり、また、破損し難くなることから、信頼性の高い腕時計とすることができる。
【0054】
続いて、実施形態に係る腕時計1の具体的な表示態様について説明する。実施形態に係る腕時計1は使用者の左右いずれかの腕に装着することが可能であるが、ここでは、
図1に示すように、実施形態に係る腕時計1を使用者の左腕の手首に装着した場合について説明する。
【0055】
[第1表示態様]
第1表示態様について説明する。使用者は、表示画像選択部410からアナログ時計表示を選択したとする。これにより、5つの表示部210~214は複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードによる表示を行い、腕時計1の5つの表示部210~214には、現在の時刻が表示される。ここで、「複数の針」というのは、時針、分針及び秒針を例示できるが、第1表示態様においては、時針と分針により時刻表示を行う場合について説明する。
【0056】
例えば、
図2に示すように、現在の時刻として、1時43分が表示されているとする。第1表示態様においては、時針230は上面表示部210において時刻を表す数値「1」と「2」の間を指しており、分針240は、上面表示部210から第4側面表示部214にかけて延伸している。具体的には、時針は上面表示部210上での表示にとどまっているが、分針240は、上面表示部210において「8」と「9」の間を通り、上面表示部210と第4側面表示部214とによって形成される角部P1で折れ曲がって、第4側面表示部214にまで延伸している。
【0057】
ここで、上面表示部210から第4側面表示部214にかけて延伸させて表示する針は、時針230及び分針240のいずれでもよいが、針の長さの長い方を、上面表示部210から第4側面表示部214にかけて延伸させて表示することが好ましい。時針の長さと分針の長さとを比べた場合、一般的には、分針が時針よりも長い。このため、ここでは、上面表示部210から第4側面表示部214にかけて延伸させて表示する針は分針としている。
【0058】
なお、
図2においては、時刻を表す数値「1」から「12」は、上面表示部210に表示されており、時針230は、上面表示部210上に表示されるため、時間単位の時刻は、時針230の位置から直感的に知ることができる。一方、分針240は、上面表示部210から第4側面表示部214にかけて延伸するように表示されている。このため、分針240の先端部Peからでは、分単位の時刻は正確には分かりにくい。分針240の先端部Peがどの位置を指し示しているかを分かりやすくするために、各側面表示部211~214には、上面表示部210に表示される「1」から「12」の数字に対応する位置に何らかの印(例えば丸印M)を表示させることが好ましい(
図2参照。)。このような丸印Mを表示させることにより、分針240の先端部Peが指し示している位置から、現材の時刻における分単位の時刻が読み取りやすくなる。
【0059】
時針230及び分針240をこのように表示させるための表示制御は、表示制御部450によって行われる。すなわち、表示制御部450は、実施形態に係る腕時計1においては、分針240が上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面にかけて延伸し、かつ、上面表示部210に表示される分針241と、4つの側面のうち少なくも1つの側面に表示される分針242とが連動して回転するように、5つの表示部210~214、すなわち、各有機EL表示シート210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0060】
この場合の分針240の具体的な表示制御は、上面表示部210に表示される分針241、すなわち、回転軸部Poと角部P1との間に表示される分針241(上面表示分針241という。)と、第4側面表示部214に表示される分針、すなわち、角部P1と分針240の先端部Peとの間に表示される分針242(側面表示分針242という。)とが連動して回転するように、上面用有機EL表示シート210の駆動回路510と第4側面用有機EL表示シート214の駆動回路514とを、同期信号発生部430からの同期信号に基づいて制御する。一方、時針230を表示するための表示制御は、時針230が上面表示部210上で回転軸部Poを中心として回転して行くように上面有機EL表示シート210の駆動回路510を駆動する。
【0061】
ここでは、分針240が第4側面表示部214上に表示されている場合を説明したが、時刻が刻々と変化することによって、上面表示分針241は、上面用有機EL表示シート210上をいわゆる時計回り方向に回転して行くように表示され、側面表示分針242は、上面表示分針241と連動して各側面表示部211~214上をいわゆる時計回り方向に回転して行くように表示される。
【0062】
なお、腕時計本体100に形成される上面表示部210が円形ではないために、分針240を各側面表示部211~214にかけて延伸して表示させるには、分針240の位置に応じて、分針240の長さ(回転軸部Poから角部P1までの長さ)を異ならせる必要がある。例えば、分針240が、第4側面表示部214の「9」に位置する場合と、「11」に位置する場合とでは、上面表示分針241の長さを異ならせるように表示制御する必要がある。
【0063】
このような表示制御は、予め、分針240の位置に応じて上面表示分針241の長さを設定しておき、表示制御部450においては、分針240の位置に応じて設定された上面表示分針241の長さに基づいて上面表示分針241を表示させる。表示制御部450がこのような表示制御を行うことによって、分針240が上面表示部210のどの位置にあっても、回転軸部Poから先端部Peまでを1本の分針として表示させることができる。
【0064】
このように、第1表示態様においては、時針230及び分針240が上面表示部210で表示されるだけではなく、分針240が上面表示部210から各側面表示部211~214のうちの1つの側面表示部にかけて延伸した状態で表示される。このように、実施形態に係る腕時計1は、第1表示態様のような表示が可能となるため、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0065】
[第1表示態様の変形例1]
上述の第1表示態様では、時刻を表す「1」から「12」の数字は、上面表示部210に表示させる場合を例示したが、
図7に示すように、各側面表示部211~214に表示させるようにしてもよい。すなわち、表示制御部450は、「11」、「12」、「1」を第1側面表示部211に表示させ、「2」、「3」、「4」を第2側面表示部212に表示させ、「5」、「6」、「7」を第3側面表示部213に表示させ、「8」、「9」、「10」を第4側面表示部214に表示させるように各有機EL表示シート211~214の駆動回路を制御する。この場合、上面表示部210においては、各側面表示部211~214に表示される「1」から「12」の数字に対応する位置に丸印Mを表示させることが好ましい。
【0066】
また、時針230は
図2に示した第1表示態様と同様に、上面表示部210に表示させ、分針240各側面表示部211~214のうち1つの側面にかけて延伸するように表示させる。なお、上面表示部210と各側面表示部の両方にそれぞれ「1」から「12」の数字を表示させるようにしてもよい。
【0067】
第1表示態様の変形例1による表示を行うことによっても、実施形態に係る腕時計1は、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0068】
[第2表示態様]
図8は、実施形態に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。実施形態に係る腕時計1の第2表示態様も前述した第1表示態様と同様に、5つの表示部210~214をアナログ時計表示モードに設定した場合である。なお、第2表示態様においては、前述の第1表示態様の変形例1(
図7参照。)と同様に、時刻を表す「1」から「12」の数値は、各側面用有機EL表示シート211~214に表示させるものとする。また、実施形態に係る腕時計1の第2表示態様においては、表示制御部450は、使用者から見てあたかも、腕時計本体100の内部が透けて見えるように、かつ、アナログ時計表示モードにおける時刻表示が、腕時計本体100の第3側面表示部213及び第4側面表示部214においては左右正表示され、第1側面表示部211及び第2側面表示部212においては左右逆表示されるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0069】
ここで、腕時計本体100の内部が透けて見えるように各有機EL表示シート210~214のそれぞれを表示制御するというのは、腕時計本体100があたかも透明容器であるかのように表示制御するものであり、具体的には、腕時計本体100内部の側面(第1側面111の内側の側面111a及び第2側面112の内側の側面112a)を使用者がそれぞれ目視でき、かつ、腕時計本体100の内部底面115aが使用者から見て目視できるように表示制御するということである。なお、この場合の「透明容器」というのは、無色透明の容器であってもよく、光透過性を有する有色透明の容器であってもよい。
【0070】
このような表示制御を行うことにより、使用者から見てあたかも、腕時計本体100の内部が透けて見えるようになる。すなわち、腕時計本体100が透明容器であるかのように見えるようになる。特に、使用者から本来は見えない第1側面表示部211及び第2側面表示部212に表示されている「11」、「12」、「1」及び「1」、「3」、「4」は、使用者から見て個々の数字が左右逆表示で表示されているため、使用者はあたかも腕時計本体100が透明容器であって、腕時計本体100の内部が透けて見えるような感覚を持つこととなる。
【0071】
また、第2表示態様においては、時針230及び分針240は、使用者から見てあたかも透明に見える上面表示部210上に表示される。なお、分針240はこの場合、上面表示部210上のみに表示されている場合が示されているが、第1表示態様と同様に、各側面表示部211~214の1つの側面表示部にかけて延伸にして表示されるようにしてもよい。
【0072】
このように、第2表示態様においては、使用者から見てあたかも、腕時計本体100の内部が透けて見えるとともに、アナログ時計表示モードにおける時刻を表す数値の表示が、第3側面表示部213及び第4側面表示部214においては左右正表示され、上面表示部210における、第1側面表示部211及び前記第2側面表示部212に対応する領域においては左右逆表示されるため、実施形態に係る腕時計1は、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。なお、第1側面表示部211及び前記第2側面表示部212は、使用者から見えないため、アナログ時計表示モードにおける時刻を表す数値その他の表示をさせないことにしてもよいが、使用者以外の人が当該腕時計を見たとき違和感を抱かないように、第3側面表示部213及び第4側面表示部214の場合と同様に時刻を表す数値の表示を左右正表示させるようにしてもよい。
【0073】
[第3表示態様]
図9は、実施形態に係る腕時計1の第3表示態様について説明するために示す図である。実施形態に係る腕時計1の第3表示態様も前述した第1表示態様及び第2表示態様と同様に、5つの表示部210~214をアナログ時計表示モードとした場合である。
【0074】
実施形態に係る腕時計1の第3表示態様においても、第2表示態様と同様に、表示制御部450は、使用者から見てあたかも、腕時計本体100の内部が透けて見えるような表示制御、すなわち、腕時計本体100があたかも透明容器であるかのような表示制御を行う。但し、第3表示態様においては、表示制御部450は、時針230及び分針240が、腕時計本体100の内部に位置している状態で回転するように表示制御を行う。
【0075】
ここで、使用時に使用者から見てあたかも、腕時計本体100の内部が透けて見えるようにするための表示制御は、第2表示態様と同様、腕時計本体100内部の側面(第1側面111の内側の側面111a及び第2側面112の内側の側面112a)を使用者がそれぞれ目視でき、かつ、腕時計本体100の内部底面115aが使用者から見て目視できるように表示制御することで実現できる。このとき、第2表示態様と同様に、使用者から本来は見えない第1側面表示部211及び第2側面表示部212に表示されている「11」、「12」、「1」及び「1」、「3」、「4」は、使用者から見て個々の数字が左右逆表示されるように表示制御する。
【0076】
また、第3表示態様は、腕時計本体100の内部が透けて見えるような表示させることに加えて、時針230及び分針240が、腕時計本体100の内部に位置している状態で回転するように表示させる。ここで、時針230及び分針240が、腕時計本体100の内部に位置している状態で回転するように表示させるというのは、時針230及び分針240の回転軸部Poが腕時計本体100の厚みt方向のほぼ中間位置に存在し、かつ、時針230及び分針240が腕時計本体100内部に収まるように表示させた状態で、時針230及び分針240を回転させるように表示することである。
【0077】
表示制御部450がこのような表示制御を行うことによって、上述の第2表示態様と同様、使用者から見て、腕時計本体100の内部の第1側面111の内側の側面111a及び第2側面112の内側の側面112aがそれぞれ目視でき、かつ、腕時計本体100の内部底面115aが目視できる。さらに、第3表示態様においては、使用者からは、時針230及び分針240が腕時計本体100の内部に位置している状態で回転するように見える。
【0078】
このように、第3表示態様においては、使用者から見てあたかも、腕時計本体の内部が透けて見えるとともに、時針及び分針が腕時計本体の内部に位置している状態で回転するように見えるため、実施形態に係る腕時計1は、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0079】
[第4表示態様]
図10は、実施形態に係る腕時計1における第4表示態様について説明するために示す図である。上述した第1~第3表示態様においては、5つの表示部210~214をアナログ時計表示モードに設定した場合の各表示態様について説明したが、第4表示態様は、5つの表示部210~214をデジタル時計表示モードに設定した場合である。なお、ここでのデジタル時計表示モードというのは、時刻を時針と分針で表すのではなく、時刻を数値により表示する表示モードであるとする。また、第4表示態様においては、時刻だけではなく、日付、曜日、その他の情報などの表示を行うものとする。このような表示を行わせるには、使用者は、例えば、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「デジタル時計表示」を選択することで、5つの表示部210~214をデジタル時計表示モードに設定することができる。
【0080】
5つの表示部210~214をデジタル時計表示モードに設定することによって、例えば、
図10に示すように、上面表示部210においては、例えば、10時25分34秒といった現在の時刻を「10:25:34」というように表示する他に、2020年10月1日といった本日の日付を「20.10.01」というように表示するとともに、本日の曜日を「Thursday」というように表示する。さらには、その他の情報として、例えば、本日の天気予報を天気マークなどによって各側面表示部211~214(
図10の例においては第4側面表示部214)に表示する。なお、これらの各種情報は各表示部上を流れるように表示することもできる。一例として、曜日を流れるように表示させて、曜日に続けて次々と各種の情報を表示させるようにすることも可能である。
【0081】
このように、第4表示態様においては、デジタル時計表示を含む各種の情報を画像として5つの表示部211~214を使用して表示させることができるとともに、一部の情報(画像)又はすべての情報(画像)を流れるように表示させることができるため、実施形態に係る腕時計1は、従来にない新しい価値をもった腕時計とすることができる。
【0082】
[第5表示態様]
上述した第1表示態様から第4表示態様においては、5つの表示部210~214を、時計表示モード(アナログ時刻表示モード又はデジタル時計表示モード)として使用した場合について説明したが、実施形態に係る腕時計1は、時計表示モード以外にも種々の表示モードの設定が可能である。第5表示態においては、時刻表示モード以外の表示モード(その他表示モードとする。)を設定した場合について説明する。
【0083】
図11は、実施形態に係る腕時計1の第5表示態様について説明するために示す図である。第5表示態様は、
図11に示すように、使用者から見てあたかも透明容器に液体が入っていて、その液体が透明容器内で増減を繰り返すような表示がされるものである。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「模様1」を選択する。これにより、実施形態に係る腕時計1においては、
図11に示すような第5表示態様による表示がなされる。
【0084】
第5表示態様においては、使用者から見てあたかも、腕時計本体100が透明容器のように見えるとともに、当該透明容器内に液体(灰色で示されている。)が入っていているかのように見える。そして、透明容器に入っている液体は、当該透明容器内で揺れ動きながら増減を繰り返すといった動作を行う。透明容器内で液体がこのような動作を行うことによって、使用者は、液体の動きを見ているだけで楽しさや不思議さを感じるものとなり、飽きがこないものとなる。なお、液体の色が徐々に変化して行くような表示制御を行ってもよい。
【0085】
このように、第5表示態様においては、使用者から見てあたかも透明容器に液体が入っていて、その液体が透明容器内で増減を繰り返すような表示がなされるため、実施形態に係る腕時計1は、本来は腕時計でありながら、時刻を表示する以外の表示も可能となることから、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0086】
[第6表示態様]
図12は、実施形態に係る腕時計1における第6表示態様について説明するために示す図である。第6表示態様も第5表示態様と同様に、時刻表示モード以外の種々の表示モードを設定した場合の表示態様である。この場合、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「模様2」を選択したとする。これにより、
図12に示すような表示が開始されるものとする。
【0087】
第6表示態様は、
図12に示すように、5つの表示部210~214に格子状の模様を表示させる。そして、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、格子によって形成される升目の大きさを変化させるような表示を行う。このとき、升目の大きさの変化は、連続的に徐々に変化させるようにしてもよく、大・中・小というに段階的に変化させるようにしてもよい。また、格子模様の全体を例えば、図示の右から左方向に移動させるように表示させてもよい。
【0088】
このように、第6表示態様においては、5つの表示面の全体に所定の模様を表示させて、当該模様の大きさを変化させるとともに流しながら表示させることができるため、実施形態に係る腕時計1は、本来は腕時計でありながら、時刻を表示する以外の表示も可能となることから、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。実施形態に係る腕時計1は、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0089】
[第7表示態様]
図13は、実施形態に係る腕時計1の第7表示態様を説明するために示す図である。第7表示態様も第5表示態様及び第6表示態様と同様に、時刻表示モード以外の種々の表示モードを設定した場合の表示態様である。この場合、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「模様3」を選択したとする。これにより、
図13に示すような表示が開始されるものとする。
【0090】
第7表示態様は、
図13に示すように、使用者から見てあたかも、多数の水玉のような模様が、5つの表示部210~214を流れて行くように表示されるものである。この場合、例えば、第3側面表示部213で多数の水玉が湧き出るように発生して、発生した個々の水玉が徐々に大きく成長しながら上面表示部210、第4側面表示部214、第2側面表示部212、第1側面表示部211を流れて行くように表示制御する。使用者は、水玉の動きを見ているだけで楽しさや不思議さを感じるものとなり、飽きがこないものとなる。なお、水玉の色を個々の水玉ごとに変えたり、成長するに従って色を変化させたりするような表示制御を行ってもよい。
【0091】
このように、第7表示態様においては、5つの表示部の全体に水玉のような模様を表示させて、当該模様の大きさを変化させたり色を変えたりしながら流れて行くように表示させることができるため、実施形態に係る腕時計1は、本来は腕時計でありながら、時刻を表示する以外の表示も可能となることから、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0092】
[第8表示態様]
図14は、実施形態に係る腕時計1の第8表示態様を説明するために示す図である。第8表示態様も第5表示態様から第7表示態様と同様に、時刻表示モード以外の種々の表示モードを設定した場合の表示態様である。この場合、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「模様4」を選択したとする。これにより、
図13に示すような表示が開始されるものとする。
【0093】
第8表示態様は、
図14に示すように、使用者から見てあたかも、直方体の腕時計1が複数のブロックに分割されるように表示制御するものであり。例えば、直方体の腕時計1が
図14に示すように4つのブロックに分割されたかのように表示させたのち、4つのブロックがそれぞれさらに細分化されるように表示させたりして、その後、元の状態(分割前の状態)に戻るというように表示制御する。この場合、個々のブロックの色を変えたり、所定の領域ごとに色を変えたりするような表示制御を行ってもよい。
【0094】
以上説明したように、第8表示態様においては、使用者から見てあたかも、直方体の腕時計1が複数のブロックに分割されるように表示させることができるため、実施形態に係る腕時計1は、本来は腕時計でありながら、時刻を表示する以外の表示も可能となることから、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0095】
[第9表示態様]
図15は、実施形態に係る腕時計1の第9表示態様を説明するために示す図である。第9表示態様も第5表示態様から第8表示態様と同様に、時刻表示モード以外の種々の表示モードを設定した場合の表示態様である。但し、第5表示態様から第8表示態様は、模様を表示させるための表示モードであったが、第9表示態様は、実施形態に係る腕時計1に複合的な画像を表示させるための表示モードとした場合である。ここで、複合的な画像というのは、時刻画像、一か月ごとのカレンダー画像、写真など様々な画像を、5つの表示部210~214に連動又は関連するように表示させることである。この場合、使用者が表示画像選択画面から、例えば、「複合」を選択する。これにより、
図15に示すような表示がなされるものとする。この場合、腕時計1の上面表示部210だけでなく、各側面表示部211~214にも様々な画像を表示できることから、多種の複合的な画像を表示することができる。
【0096】
このように、第9表示態様においては、5つの表示部の全体を使って多種の複合的な画像を表示させることができるため、実施形態に係る腕時計1は、本来は腕時計でありながら、時刻を表示する以外の表示も可能となることから、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。
【0097】
以上、実施形態に係る腕時計1の表示態様として、第1表示態様から第9表示態様について説明したが、これらは一例であって、種々の表示を行わせることができる。例えば、直方体型の腕時計1を水槽に見立てて魚を泳がせるような表示を行ったり、模式化した花が蕾の状態から開花するまでを速回しで表示させたりするといった表示も可能となる。
【0098】
以上説明したように、実施形態に係る腕時計1によれば、直方体の腕時計本体100の5つの表示部210~214(上面表示部210及び各側面表示部211~214)において様々な態様で画像の表示を行うことが可能となる。また、5つの表示部210~214で画像の表示を行う際には、5つの表示部210~214のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように5つの表示部のそれぞれの表示を制御するため、腕時計1に様々な使い途を与えることとなり、従来にない新しい価値をもった腕時計を提供することが可能となる。
【0099】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0100】
(1)上記実施形態において、5つの表示部210~214をアナログ時計表示モードとした表示態様(第1表示態様から第3表示態様)においては、秒針については言及しなかったが、時針及び分針に加えて秒針を表示させることもできる。
【0101】
すなわち、本発明は、複数の針で時刻を表示するアナログ時計表示モードである場合においては、表示制御部450は、複数の針のうち少なくとも最も長い針が、上面表示部210から4つの側面表示部(各側面表示部211~214)のうち1つの側面表示部にかけて延伸し、かつ、1つの側面表示部にかけて延伸する針のうち上面表示部210に表示される部分と、1つの側面表示部に表示される部分とが連動して回転するように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御する。
【0102】
ここで、複数の針が、時針及び分針である場合には、一般的には、分針の方が時針よりも長いため、前述の第1表示態様で説明したように、分針230が上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面表示部にかけて延伸するように表示する。
【0103】
また、複数の針が、時針、分針及び秒針である場合において、それぞれの針の長さが、時針<分針<秒針である場合(ここで、「<」は不等号を表す。)には、秒針のみが上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面表示部にかけて延伸するように表示する。なお、上述したとように、複数の針のうち「少なくとも最も長い針」としているので、最も長い秒針だけでなく、2番目に長い分針も上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面表示部にかけて延伸するように表示してもよい。
【0104】
また、複数の針が、時針、分針及び秒針である場合において、それぞれの針の長さが、時針<秒針<分針である場合には、分針のみが上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面表示部にかけて延伸するように表示する。この場合も、複数の針のうち「少なくとも最も長い針」としているので、最も長い分針だけなく、2番目に長い秒針も上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面表示部にかけて延伸するように表示してもよい。
【0105】
また、複数の針が、時針、分針及び秒針である場合において、それぞれの針の長さが、時針<分針=秒針である場合には、分針及び秒針が上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面表示部にかけて延伸するように表示する。このようにすることにより、「少なくとも最も長い針」が上面表示部210から各側面表示部211~214のうち1つの側面表示部にかけて延伸するように表示されることとなる。
【0106】
(2)上記実施形態における各表示態様においては、腕時計1の5つの表示部210~214に何らかの表示(アナログ時計表示、デジタル時計表示及び各種の模様表示)を行う場合について説明したが、5つの表示部210~214に何も表示させない無表示モードの設定も可能である。この無表示モードにおいては、5つの表示部の全域にわたって無模様となる。このように、無表示モードの設定を可能とすることにより、腕時計でありながら、無表示モードにおいては時刻表示の存在を意識させることのない腕時計となり、腕時計に新しい価値を持たせることができる。
【0107】
(3)上記実施形態における各表示態様においては、表示内容の色については言及していないが、いわゆるカラー表示を行うことは勿論可能である。例えば、アナログ時計表示を行う場合においては、時針と分針とを異なる色で表示させたり、1時、2時などの正時となると色が変わるように表示させたりすることも可能である。
【0108】
(4)上記実施形態においては、5つの表示部210~214が5枚の有機EL表示シート(上面用有機EL表示シート210、第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213、第4側面用有機EL表示シート214)からなる場合を例示したが、5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなるものであってもよい。
【0109】
図16は、5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなる場合を説明するために示す図である。5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなる場合は、有機EL表示シートを、
図16に示すような形状とする。この場合、1枚の有機EL表示シートは、中央に存在する上面用有機EL表示シート210から第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213、第4側面用有機EL表示シート214が四方に延出して存在する形状となる。このような形状を有する1枚の有機EL表示シートを、腕時計本体100(
図3(a)参照。)の外形形状に沿うように
図16に示す破線に沿って折り曲げて腕時計本体100に貼り付ける。
【0110】
これにより、上記実施形態に係る腕時計1と同様の構成とすることができる。なお、5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなる場合には、折り曲げ部(
図16の破線で示す部分)には隙間が形成されないため、当該折り曲げ部においては、
図5において説明した黒色部材で埋める必要がなくなる。一方、各側面表示部の角部となる部分には、有機EL表示シートの厚みに相当する隙間が形成される場合があるため、当該隙間に黒色部材を埋めることが好ましい。すなわち、
図16に示す1枚の有機EL表示シートおいて、第1側面用有機EL表示シート211と第2側面用有機EL表示シート212との間、第2側面用有機EL表示シート212と第3側面用有機EL表示シート213との間、第3側面用有機EL表示シート213と第4側面用有機EL表示シート214との間、第4側面用有機EL表示シート214と第1側面用有機EL表示シート211との間においては、有機EL表示シートの厚みに相当する隙間が形成される場合があるため、当該隙間に黒色部材を埋めることが好ましい。
【0111】
なお、5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなる場合には、上面と各側面とに表示させる画像を連動させたり、関連付けて表示させたりすることが容易となり、有機EL表示シートの駆動を単純化することができる。従って、腕時計本体100の側から有機EL表示シートの側への電力の供給および電気信号の供給は、1枚の有機EL表示シートに対して行えばよいため、腕時計本体100の側及び1枚の有機EL表示シートの側にはそれぞれ対応する一箇所に電極群を設ければよい。
【0112】
(5)上記実施形態においては、使用者が腕の肘を当該使用者の身体(腹又は胸側)に少し曲げるようにした状態で腕時計1を見た場合について説明したが、使用者が腕をより強く曲げて腕時計1を見る場合もある。
図17は、実施形態に係る腕時計1の第2表示態様において、使用者が腕をより強く曲げて腕時計1を見た場合について説明するために示す図である。
【0113】
上記実施形態において説明した第2表示形態(
図8参照。)においては、表示制御部450は、アナログ時計表示モードにおける時刻表示が、第3側面表示部213及び第4側面表示部214においては左右正表示されるように第3側面表示部213及び第4側面表示部214を表示制御し、使用者から見てあたかも第1側面表示部211及び第2側面表示部212において左右逆表示されるように上面表示部210を表示制御したが、これは、使用者から見て、第3側面表示部213及び第4側面表示部214が当該使用者の目に入る位置に存在するからである。
【0114】
しかし、使用者が腕をより強く曲げて腕時計1を見た場合には、使用者からは
図17に示すように、第2側面表示部212及び第3側面表示部213が当該使用者の目に入ることとなる。従って、この場合は、表示制御部450は、第2側面表示部212及び第3側面表示部213においては左右正表示されるように第2側面表示部212及び第3側面表示部213を表示制御し、使用者から見てあたかも第1側面表示部211及び第4側面表示部214において左右逆表示されるように上面表示部210を表示制御することが好ましい。
【0115】
(6)上述の実施形態においては、第1表示態様から第9表示態様について説明したが、他の表示態様での表示も可能である。
【0116】
[第10表示態様]
図18は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第10表示態様)を説明するために示す図である。第10表示態様は、第5表示態様(
図11参照。)に似た表示態様であるが、
図18に示すように、使用者から見てあたかも腕時計1の中に液体250が入っていて、しかも、液体250が揺れているように見え、さらには、上面表示部210上に現在時刻252が表示される表示態様である。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0117】
[第11表示態様]
図19は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第11表示態様)を説明するために示す図である。第11表示態様は、
図19に示すように、腕時計1にリボン254が巻き付けられた様子が表示された表示態様である。第11表示態様においては、時間の経過とともにリボン254が巻き付けられたり、巻き付けられたリボン254がほどけたりしていく様子が表示されていてもよい。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0118】
[第12表示態様]
図20は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第12表示態様)を説明するために示す図である。第12表示態様は、
図20に示すように、第11表示態様の表示に加え、上面表示部210上に現在時刻252が表示される表示態様である。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0119】
[第13表示態様]
図21は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第13表示態様)を説明するために示す図である。第13表示態様は、
図21に示すように、腕時計1の上面から底面にかけて細かな粒子256がしみ込んでいく様子が表示された表示態様である。第13表示態様においては、定期的に表面の色が変わって別の色の細かな粒子がしみ込んでいくような表示態様であってもよい。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0120】
[第14表示態様]
図22は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第14表示態様)を説明するために示す図である。第14表示態様は、
図22に示すように、映像のフレームを構成する複数の画像258が現在(上面)から過去(底面)へと堆積している様子が表示された表示態様である。そして、時間の経過とともに上面表示部210には複数の画像258のうちより過去の画像が表示されるようになっている。また、4つの側面表示部211~214には堆積した複数の画像258の端面260が表示されるようになっている。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0121】
[第15表示態様]
図23は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第15表示態様)を説明するために示す図である。第15表示態様は、
図23に示すように、初期状態として直方体の中で小さな球262が分散してランダムに動いている様子が表示され、その後、時間の経過とともに、小さな球262が上面に集まってきて現在時刻252が表れる様子が表示された表示態様である。小さな球262は、例えば、時間の経過に応じて動いてもよいし、手の動きに応じて動いてもよい。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0122】
[第16表示態様]
図24及び
図25は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第16表示態様)を説明するために示す図である。第16表示態様は、
図24及び
図25に示すように、初期状態としては上面表示部210に現在時刻252が表示されているが、例えば腕が動くことにより腕時計に加速度が加わると、それをきっかけにして、当該現在時刻252がぷるんぷるんと動いて側面までせり出すような表示態様である。
図25には、現在時刻が上面表示部210に加えて側面表示部211~214のうちの1以上の側面表示部へとせり出す一連の動きが示されている。
図25に示すように、現在時刻を構成する4つの数字は、上面表示部210のみならず4つの側面までせり出しながらその表示態様を、
図25のaからhへと変化させている。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0123】
[第17表示態様]
図26は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第17表示態様)を説明するために示す図である。第17表示態様は、
図26に示すように、初期状態としては上面表示部210に現在時刻252が表示されているが、例えば腕が動くことにより腕時計に加速度が加わると、その動きをきっかけとして、腕時計1の内部で疑似腕時計フレーム264がぷるんぷるんと振動するように見える表示態様(錯視的な表示態様)である。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0124】
[第18表示態様]
図27は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第18表示態様)を説明するために示す図である。第18表示態様は、
図27に示すように各表示面(上面表示部210及び4つの側面表示部211~214)毎に流れ方向266の異なった流れが発生していて、当該流れが、例えば、1秒ごとに、
図27の上の図及び下の図に示すように変化していくような表示態様である。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0125】
[第19表示態様]
図28は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第19表示態様)を説明するために示す図である。第19表示態様は、
図28に示すように、時間軸上の圧力変化を表す模様268が側面表示部211~214に表示されるような表示態様である。第19表示態様は、
図28の上の図に示すように、時間軸上の圧力変化を表す模様268として、使用者の心拍を表す模様が4つの側面表示部211~214上及び上面表示部210上を例えば反時計回りに動いていくような、いわゆる心拍計としての表示態様であってもよい。また、
図28の下の図に示すように、時間軸上の圧力変化を表す模様268として、再生中の音楽の音圧を表す模様が4つの側面表示部211~214上を例えば反時計周りに動いていくとともに、再生中の音楽に関する情報や音楽再生に係るプレーヤーを操作するためのアイコン270が上面表示部210上に表示された、いわゆる音楽のビジュアライザーとしての表示をしたりする表示態様であってもよい。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0126】
[第20表示態様]
図29及び
図30は、実施形態に係る腕時計1の他の表示態様(第20表示態様)を説明するために示す図である。第20表示態様は、スワイプ動作によって表示が切り替わる表示態様である。例えば、
図29の上の図に示すように、初期状態として、上面表示部210、第1側面表示部211、第2側面表示部212及び第3側面表示部213の4つの表示部に第1の画像G1が表示され、残りの第4側面表示部214に第2の画像G2が表示されている。その後、
図29の下の図に示すように、第1の画像G1と第2の画像G2との境界のうち任意の部分Pを指でスワイプすることにより、その第1の画像G1と第2の画像G2との境界、及び、第2の画像G2と図示されていない第3の画像G3との境界が引っ張られて移動するような表示をする。その後、任意の部分Pをさらに指でスワイプするとともに当該スワイプ動作を終了すると、
図30に示すように、第1の画像G1と第2の画像G2との境界、及び、第2の画像G2と第3の画像G3との境界があたかも何かに吸着して止まるような表示をする表示態様である。
【0127】
なお、スワイプ動作によって表示が切り替わる表示例としては、例えば、アナログ/デジタルの表示切り替え、時計/カレンダーの表示切り替え、ロック解除などを例示できるが、これら以外にも種々の表示切り替えが可能である。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0128】
なお、第20表示態様を実現する場合、5つの表示部210~214として、5枚の有機EL表示シートそれぞれの表面にタッチパッドが配設されたタッチパネルを用いる。タッチパッドは黒色部材280の表面に配設されていてもよい。
【0129】
(7)上記実施形態においては、5つの表示部210~214の間(隣接する有機EL表示シートの間)に形成される隙間に黒色部材を埋設することによって、隙間を目立たなくした場合を例示したが、有機EL表示シートは、厚みが薄いものであるため、各有機EL表示シートの隣接部などには隙間が目立つほどに形成されない場合もある。このような場合には、各有機EL表示シートの隣接部などには黒色部材を埋設させなくてもよい。なお、黒色部材を埋設しない場合であっても、表示部の全体を覆うように保護部材を塗布及び硬化させることが好ましい。
【0130】
(8)上記実施形態においては、5つの表示部210~214が5枚の有機EL表示シートからなる場合(
図3(b)参照。)を例示し、また、上記実施形態の変形例として、5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなる場合(
図16参照。)を例示したが、これに限られるものではない。すなわち、5つの表示部210~214が2枚から4枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。例えば、
図31に示すように、5つの表示部210~214が3枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。
図31においては、第1側面表示部211と上面表示部210と第3側面表示部213とが繋がった1枚の有機EL表示シートからなっており、第2側面表示部212及び第4側面表示部214がそれぞれ1枚ずつに切り離された2枚の有機EL表示シートからなっている。これにより、5つの表示部210~214は3枚の有機EL表示シートからなる。
【0131】
なお、5つの表示部210~214が、3枚の有機EL表示シートからなる例としては、これに限られるものではなく、図示は省略するが、例えば、第2側面表示部212と上面表示部210と第4側面表示部214とが繋がった1枚の有機EL表示シートからなっており、第1側面表示部212及び第3側面表示部214がそれぞれ1枚ずつに切り離された2枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。これにより、5つの表示部210~214は3枚の有機EL表示シートからなる。
【0132】
また、図示は省略するが、5つの表示部210~214が、2枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。例えば、第1側面表示部211~第4側面表示部214が繋がった1枚の有機EL表示シートからなり、上面表示部210だけが切り離された1枚の有機EL表示シートからなっている。これにより、5つの表示部210~214は2枚の有機EL表示シートからなる。
【0133】
同様に、図示は省略するが、5つの表示部210~214が、4枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。例えば、第1側面表示部211と上面表示部210とが繋がった1枚の有機EL表示シートからなり、第2側面表示部212、第3側面表示部213及び第4側面表示部214がそれぞれ1枚ずつに切り離された3枚の有機EL表示シートからなっている。これにより、5つの表示部210~214は4枚の有機EL表示シートからなる。
【0134】
(9)上記実施形態においては、腕時計は5つの表示部を有するものとして説明したが、5つの表示部を有するものでなくてもよい。すなわち、本発明の腕時計は、直方体の腕時計本体100と、腕時計本体100の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、を備えるものであってもよい。すなわち、上記実施形態に係る腕時計1においては、少なくとも2つの表示部は、上面及び4つの側面から構成される5面のそれぞれの全域に渡って形成された5つの表示部としているが、5つの表示部ではなく、少なくとも2つの表示部を有するものであってもよい。
【0135】
図32は、表示部20が少なくとも2つの表示部からなる場合の一例を示す図である。
図32においては、少なくとも2つの表示部として、2~4つの表示部を有している腕時計の表示部200を展開して示している。
図32において、
図32(a)及び
図32(b)は2つの表示部を有する場合であり、
図32(c)~
図32(f)は3つの表示部を有する場合であり、
図32(g)~
図32(i)は4つの表示部を有する場合である。なお、
図32の各図に示すように、2~4つの表示部を有する腕時計にあっては、有機EL表示シートからなる表示部を有しない面が存在するが、有機EL表示シートからなる表示部を有しない面にも保護部材を塗布及び硬化させるようにしてもよい。
【0136】
また、
図32の各図に示すように、2~4つの表示部を有している場合においても、各表示部は、複数枚の有機EL表示シートからなっていてもよく、1枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。すなわち、
図32(a)及び
図32(h)は、各表示部がそれぞれ2枚の有機EL表示シートからなっている場合であり、
図32(c)及び
図32(e)は、各表示部がそれぞれ3枚の有機EL表示シートからなっている場合であり、
図32(g)は、各表示部が4枚の有機EL表示シートからなっている場合である。また、
図32(b)、
図32(d)、
図32(f)及び
図32(i)は、各表示部が1枚の有機EL表示シートからなっている場合である。
【0137】
なお、
図31及び
図32においては、上面表示部210が正方形となっているものもあるが、前述の実施形態の説明で用いた
図3などで示したように長方形であってもよい。逆に、前述の実施形態においては、上面表示部210が長方形となっているが、上面表示部210は正方形であってもよい。
【0138】
(10)上述の実施形態においては、表示部200(5つの表示部210~214)は有機EL表示シートからなる場合を例示したが、マイクロLED(Light Emitting Diode)表示シートからなるものであってもよい。
【0139】
(11)上述の実施形態においては、本発明を腕時計1とした場合について説明したが、腕時計だけではなく、腕時計型表示装置とすることもできる。腕時計型表示装置とした場合においても、直方体の腕時計型表示装置本体と、腕時計型表示装置本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、を備える。また、表示制御部は、少なくとも2つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することが好ましい。このような腕時計型表示装置において、少なくとも2つの表示部は、上面及び4つの側面から構成される5面のそれぞれの全域に渡って形成された5つの表示部であることが好ましい。なお、このような腕時計型表示装置においては、表示制御部450が行う表示制御は、腕時計には特に必要としない腕時計型表示装置特有の表示制御を行うように設定すればよい。
【0140】
このように、本発明の腕時計型表示装置によれば、直方体の腕時計型表示装置本体の上面に加えて側面をも利用して種々の画像を種々の態様で表示することが可能となる。このため、本発明の腕時計型表示装置によれば、従来にない新しい価値を有した腕時計型表示装置を提供することが可能となる。なお、本発明の腕時計型表示装置においても、本発明の腕時計と同様の変形実施が可能となる。
【符号の説明】
【0141】
1・・・腕時計、100・・腕時計本体、110・・・腕時計本体100の上面、111・・・腕時計本体100の第1側面、112・・・腕時計本体100の第2側面、113・・・腕時計本体100の第3側面、114・・・腕時計本体100の第4側面、120・・・第1電極群、200・・・表示部、210・・・上面表示部(上面用有機EL表示シート)、211・・・第1側面表示部(第1側面用有機EL表示シート)、212・・・第2側面表示部(第2側面用有機EL表示シート)、213・・・第3側面表示部(第3側面用有機EL表示シート)、214・・・第4側面表示部(第4側面用有機EL表示シート)、210~214・・・5つの表示部、211~214・・・4つの側面表示部(各側面表示部)、220・・・第2電極群、230・・・時針、240・・・分針、241・・・上面表示分針部、242・・・側面表示分針部、250・・・液体、252・・・現在時刻、254・・・リボン、256・・・細かな粒子、258・・・複数の画像、260・・・端面、262・・・小さな球、264・・・疑似腕時計フレ-ム、266・・・流れの方向、268・・・模様、270・・・アイコン、272・・・スワイプの方向、280・・・黒色部材、290・・・保護部材、300・・・ベルト、410・・・表示画像選択部、420・・・画像データ記憶部、430・・・同期信号発生部、440・・・時刻データ発生部、450・・・表示制御部、510・・・上面用有機EL表示シートの駆動回路、511・・・第1側面用有機EL表示シートの駆動回路、512・・・第2側面用有機EL表示シートの駆動回路、513・・・第3側面用有機EL表示シートの駆動回路、514・・・第4側面用有機EL表示シートの駆動回路、G1・・・第1の画像、G2・・・第2の画像、P・・・任意の部分、Po・・・回転軸部、P1・・・角部、Pe・・・分針の先端