(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】流体機器連結具及び流体機器連結構造
(51)【国際特許分類】
F16L 23/04 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
F16L23/04
(21)【出願番号】P 2021100728
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2023-10-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591056097
【氏名又は名称】淀川ヒューテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 洋輝
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3219049(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0008663(US,A1)
【文献】特表2013-540953(JP,A)
【文献】特開2017-190869(JP,A)
【文献】特開2009-103303(JP,A)
【文献】特開2018-091482(JP,A)
【文献】特開2006-242378(JP,A)
【文献】登録実用新案第3226054(JP,U)
【文献】中国実用新案第210686525(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体機器どうしの接続部を連結する流体機器連結具であって、
少なくとも一部が円弧状に湾曲した凹みと、前記凹みの内面に連続する第1端縁と第2端縁を有し、前記第1端縁と前記第2端縁との間に前記接続部が挿入可能な開口部が形成された連結片と、
前記第1端縁側から前記第2端縁側に向けて出没可能に配備され、前記第1端縁から突出した状態で前記開口部を塞ぐ封止片と、
を含
み、
前記封止片は、前記連結片にスライド可能に配備される、
流体機器連結具。
【請求項2】
前記封止片は、前記第1端縁側から最も突出した状態で先端が前記第2端縁側に届かない、
請求項1に記載の流体機器連結具。
【請求項3】
前記封止片は、前記第1端縁側から最も突出した状態で先端が前記第2端縁側に届く、
請求項
1に記載の流体機器連結具。
【請求項4】
流体機器どうしの接続部を連結する流体機器連結具であって、
少なくとも一部が円弧状に湾曲した凹みと、前記凹みの内面に連続する第1端縁と第2端縁を有し、前記第1端縁と前記第2端縁との間に前記接続部が挿入可能な開口部が形成された連結片と、
前記第1端縁側から前記第2端縁側に向けて出没可能に配備され、前記第1端縁から突出した状態で前記開口部を塞ぐ封止片と、
を含
み、
前記封止片は、前記第1端縁側から最も突出した状態で先端が前記第2端縁側に届かない、
流体機器連結具。
【請求項5】
前記連結片と前記封止片は、前記封止片を前記第1端縁側から突出した状態で前記連結片に対して位置決めするロック機構を有する、
請求項1
乃至請求項
4の何れか1項に記載の流体機器連結具。
【請求項6】
前記流体機器は、先端に継手が形成されており、一対の前記流体機器を前記継手間に環状のシール部材を介在させた状態で突き合わせて前記接続部が構成され、
前記連結片は、前記凹みに前記継手及び前記シール部材が嵌まる溝が形成されている、
請求項1乃至請求項5の何れか
1項に記載の流体機器連結具。
【請求項7】
前記封止片は、前記連結片が、前記流体機器の前記接続部に正しく装着された状態で前記開口部に対して出没可能である、
請求項1乃至請求項6の何れか
1項に記載の流体機器連結具。
【請求項8】
流体機器どうしの接続部に、請求項1乃至請求項7の何れか
1項に記載の流体機器連結具を装着してなる、
流体機器連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管やポンプなどの流体機器どうしを連結する流体機器連結具及びその連結構造に関するものであり、より具体的には、シール性能を低下させることなく、省スペースで良好な作業性を実現できる流体機器連結具及びその連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体などのエレクトロニクス分野、医薬分野、バイオテクノロジー分野等における製造、洗浄、組立等の装置では、チューブ、継手等の配管や、バルブ、ポンプ等の各種機器(以下、まとめて「流体機器」という)が配設されており、原料用流体、洗浄用流体、薬液、燃料用流体等の流体を流通させている。流体機器どうしの連結には、流体機器連結具(以下、適宜「連結具」という)が採用されている。
【0003】
流体機器には、他の流体機器と連結するために、先端に継手の設けられた継手付き配管が設けられたものがある。この種の流体機器では、環状のシール部材を介在させた状態で継手どうしを突き合わせて接続部とし、当該接続部に連結具を装着することで流体機器どうしを連結している。連結具は、たとえば、特許文献1では、ヒンジ接続された半円弧状の一対の連結片から構成され、連結片どうしを開いた状態で接続部を挟み込み、連結片を閉じることで連結を完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連結具は、接続部へ装着する際に、一方の連結片に対し、ヒンジ軸を中心として他方の連結片を開く必要があり、この状態で、連結具を接続部に接近させる(特許文献1の
図4(b))。しかしながら、流体機器どうしの距離が近い状況、或いは、接続部に手が届き難い場合など、設備にスペースが確保できない場合には、連結具を取り付けることが難しい。
【0006】
本発明の目的は、シール性能を低下させることなく、省スペースで良好な作業性を実現できる流体機器連結具及び流体機器連結構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流体機器連結具は、
流体機器どうしの接続部を連結する流体機器連結具であって、
少なくとも一部が円弧状に湾曲した凹みと、前記凹みの内面に連続する第1端縁と第2端縁を有し、前記第1端縁と前記第2端縁との間に前記接続部が挿入可能な開口部が形成された連結片と、
前記第1端縁側から前記第2端縁側に向けて出没可能に配備され、前記第1端縁から突出した状態で前記開口部を塞ぐ封止片と、
を含む。
【0008】
前記封止片は、前記連結片にスライド可能に配備することができる。
【0009】
前記連結片と前記封止片は、前記封止片を前記第1端縁側から突出した状態で前記連結片に対して位置決めするロック機構を有することができる。
【0010】
前記封止片は、前記第1端縁側から最も突出した状態で先端が前記第2端縁側に届く構成にすることができる。
【0011】
前記封止片は、前記第1端縁側から最も突出した状態で先端が前記第2端縁側に届かない構成であってもよい。
【0012】
前記流体機器は、先端に継手が形成されており、一対の前記流体機器を前記継手間に環状のシール部材を介在させた状態で突き合わせて前記接続部が構成され、
前記連結片は、前記凹みに前記継手及び前記シール部材が嵌まる溝が形成された構成にすることができる。
【0013】
前記封止片は、前記連結片が、前記流体機器の前記接続部に正しく装着された状態で前記開口部に対して出没可能とすることができる。
【0014】
また、本発明の流体機器連結構造は、
流体機器どうしの接続部に、上記構成の流体機器連結具を装着してなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の流体機器連結具は、封止片を第1端縁側に後退させた状態で、開口部に接続部を挿入する。そして、封止片を第2端縁側に突出させることで、開口部は少なくとも一部が塞がれ、連結具を接続部から脱落不能に装着できる。これにより、流体機器どうしの接続部を連結具で連結した流体機器連結構造を提供できる。
【0016】
本発明の流体機器連結具は、連結片どうしを開く必要はなく、開口部を直接接続部に接近させて挿入し、封止片を突出させるだけで接続部に装着できる。従って、設備にスペースが確保できない場合であっても容易に連結具を接続部に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る流体機器連結具の正面側斜視図であり、(a)は開状態、(b)は閉状態を示している。
【
図2】
図2は、連結具の背面側斜視図であり、(a)は開状態、(b)は閉状態を示している。
【
図3】
図3は、連結具の正面側を下方から見た斜視図であり、(a)は開状態、(b)は閉状態を示している。
【
図4】
図4は、連結具の背面側を下方から見た斜視図であり、(a)は開状態、(b)は閉状態を示している。
【
図5】
図5は、連結具の左側面図であり、(a)は開状態、(b)は閉状態を示している。
【
図6】
図6は、連結具を分解して示す正面側斜視図である。
【
図7】
図7は、連結具を分解して示す背面側斜視図である。
【
図8】
図8は、連結具の分解図であって、正面側を下方から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、連結具の分解図であって、背面側を下方から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、流体機器と連結具の連結手順を示す説明図である。
【
図12】
図12は、流体機器の接続部に連結具を装着した状態を示しており、(a)正面側斜視図、(b)左側面図、(c)背面側斜視図である。
【
図13】
図13は、流体機器の接続部に連結具を装着し封止片を閉状態とした(a)正面側斜視図、(b)左側面図、(c)背面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る流体機器連結具10及び流体機器連結構造40について、図面を参照しながら説明を行なう。
【0019】
図1乃至
図5は、連結具10を様々な角度から見た斜視図等、
図6乃至
図10は、連結具10を分解して示す斜視図等である。なお、
図1乃至
図5では、封止片30が後退した開状態を(a)、封止片30が突出した閉状態を(b)として並べて示している。
【0020】
連結具10は、図に示すように、円弧状に湾曲した凹み21を有する連結片20と、連結片20に出没可能に取り付けられる封止片30から構成される。封止片30は、たとえば、連結片20にスライド可能に取り付けられる。
【0021】
連結片20及び封止片30は、フッ素樹脂材料などの熱溶融性、耐腐食性、耐薬剤安定性等にすぐれる材料から形成することができる。この種のフッ素樹脂材料として、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適であり、その他、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオライド三元共重合体等を例示できる。また、その他材料として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を例示できる。
【0022】
具体的実施形態として、連結片20は、少なくとも一部が円弧状に湾曲した凹み21を有している。連結片20は、当該凹み21に連続する第1端縁22と第2端縁23とを有し、第1端縁22と第2端縁23との間には、径方向に開いた開口部24が形成されている。
【0023】
連結片20は、凹み21の奥底側が円弧状(半円形)に湾曲し、円弧先端から第1端縁22及び第2端縁23が略平行に延びた略C字状の形態とすることができる。連結片20の凹み21自体の内面形状は略U字状となっている。
【0024】
連結片20の凹み21は、
図3及び
図4に最もよく表わされるように、溝21aと当該溝21aの両側から内向きに突設された溝壁21b,21bを含んでいる。溝21aは、後述する流体機器50の接続部55(後述の
図11乃至
図13)が嵌まる円弧形状であり、接続部55のシール部材54の外径と略同じ曲率半径とし、溝21aの幅を接続部55の幅(2つの継手51,51とシール部材54の重なり厚さ)に略一致させている。また、溝壁21b,21bは、接続部55に続く後述の胴部52が嵌まる円弧形状であり、胴部52の外径と略同じ曲率半径としている。連結片20は、溝壁21b,21bで接続部55の継手51を挟持し、流体機器50,50どうしを連結した状態で保持する。
【0025】
連結片20には、流体機器50の接続部55が挿入される開口部24が形成されている。開口部24の開口幅は、接続部55に合わせて決定される。具体的には、第1端縁22と第2端縁23の溝21aどうしの間隔を接続部55のシール部材54(
図11)の外径、溝壁21bの曲率半径を接続部55の胴部52の直径と略一致させている。
【0026】
連結片20の外周面及び/又は側面には、封止片30を出没可能に支持する機構が設けられている。出没の形態は、たとえば、スライドとすることができる。連結片20側のスライド構造として、本実施形態では、連結片20の外周屈曲部分にガイドレール25を設けている。ガイドレール25は、
図2、
図4、
図6、
図7等に示されるように、所定幅で連結片20の円周方向に沿って湾曲するレール面25aを有する。ガイドレール25は、連結片20の外周面とレール面25aとの間にレール溝25bが凹設されている。また、レール面25aは、円周方向基端と先端に封止片30のスライド範囲を規制する規制突起25c,25cが形成されている。
【0027】
連結片20の側面には、スライド構造として、さらに、封止片30をスライド可能に案内するガイド溝26が、連結片20の屈曲部の頂部近傍から第1端縁22に向けて円弧状に凹設されている。
【0028】
ガイド溝26は、ガイドレール25よりも連結片20の内径側に設けられているため、ガイド溝26の曲率半径は、ガイドレール25の曲率半径よりも小さい。この構成により後述する連結片20と封止片30のロック機構が実現される。
【0029】
その他、連結片20には、正面側に品番や商品名、サイズなどが付される銘板27を設けることができる。
【0030】
上記した連結片20に取り付けられる封止片30は、連結片20の第1端縁22側から第2端縁23側に向けて出没可能に配置され、連結片20を流体機器50の接続部55に装着した状態で開口部24の一部又は全部を塞いで、連結具10の脱落を防止する。
【0031】
封止片30は、基端側にユーザーが親指等で操作する操作部31を有する。操作部31には、滑り止めのための凹凸を設けることができる。
【0032】
図示の実施形態では、封止片30は枠形態に形成されている。具体的実施形態として、封止片30は、操作部31から先端側に向けて幅広間隔に設けられた左右枠32,32を有し、左右枠32,32の先端は先端枠33で連繋されている。封止片30の先端枠33は、図示の実施形態では、
図1乃至
図5の各(a)に示すように、封止片30が最も後退した状態で第1端縁22と面一又は第1端縁22よりも飛び出ない位置となり、封止片30が最も突出した状態では、
図1乃至
図5の各(b)に示すように、先端枠33は、開口部24の略中央或いは図示しないが中央よりも第2端縁23側に届く又は接近する位置となる長さに左右枠32,32を形成する。
【0033】
本実施形態では、左右枠32,32は、
図1等に示すように連結片20の外側にはみ出している。そして、はみ出した左右枠32,32は、封止片30を突出させたときに、後述の
図13に示すように、接続部55のフランジ53の外周面に沿って移動し、フランジ53に当接して連結具10の脱落を防止するようにしている。
【0034】
操作部31の裏面側には、連結片20のガイドレール25にスライド可能に係合するスライド構造が設けられている。図示のスライド構造は、ガイドレール25に嵌まるスライド溝34であり、スライド溝34はガイドレール25のレール面25aにスライドする溝底を有し、ガイドレール25のレール溝25bに嵌まる内向きに張り出たスライド突起34aを有する。
【0035】
また、封止片30は、左右枠32,32の内側面が連結片20の側面を挟む間隔に形成されており、左右枠32,32の内側面には、連結片20のガイド溝26に嵌まるスライド条35が突設されている。
【0036】
然して、連結片20に封止片30を取り付けて連結具10が構成される。本実施形態では、封止片30は、スライド溝34を連結片20のガイドレール25に嵌める。ガイドレール25は、レール面25aの内周側にレール溝25bを有する構成であるから、封止片30は、スライド溝34の溝底をレール面25aに当て、また、スライド突起34aがレール溝25bに嵌まってガイドレール25を抱えるように装着できる。これにより、封止片30は、連結片20にスライド可能且つ脱落不能に取り付けることができる。
【0037】
また、封止片30のスライド条35は、連結片20のガイド溝26に嵌める。
【0038】
封止片30は、操作部31の設けられた基端側でスライド溝34が連結片20のガイドレール25に嵌まるスライド構造であり、先端側は左右枠32,32のスライド条35が連結片20のガイド溝26に嵌まるスライド構造である。これら2つのスライド構造により、封止片30は全体として連結片20から径方向に離れることなくスライド可能に取り付けられる。
【0039】
上記構成の連結具10により連結される流体機器50は、
図11に示すように、先端に継手51が形成され、内部に流体が流通可能な配管の如き形態であり、継手51,51間に環状のシール部材54を介在させた状態で、
図11中矢印A方向に突き合わせて接続部55が構成される。継手51の後部には、筒状の胴部52を挟んでフランジ53が形成されている。フランジ53は、継手51,51をシール部材54に押し付ける際に治具(図示せず)により押圧される部材である。なお、接続部55の構成は一例であり、その他の構造であっても構わない。
【0040】
連結具10は、
図1乃至
図5の各(a)及び
図11に示すように封止片30を後退させて、開口部24を開放した状態で流体機器50の接続部55に接近させる(
図11の矢印B)。なお、封止片30は、ガイドレール25の規制突起25cに当たって後退位置が規制されているから、ガイドレール25から封止片30が抜け落ちることはない。連結具10自体は、先行技術のように連結片どうしを開いた状態で接続部55に接近させる必要はないから、設備にスペースが確保できない場合であっても容易に流体機器50にアクセスすることができる。また、連結具10は封止片30が後退している状態で連結片20に対して摩擦等により動きにくい状態となっているから、開口部24が塞がれることなく、連結具10を片手で掴んで流体機器50の接続部55に近づけることができる。とくに、片手で治具を操作して接続部55のフランジ53,53を押さえ付けたまま作業する場合には、片手で掴んで装着できる本発明の連結具10は、操作性にすぐれる。
【0041】
そして、連結具10は、
図12に示すように接続部55に開口部24を嵌める。これにより、接続部55(継手51とシール部材54)は連結片20の溝21a内に収容され、両側の継手51,51が溝壁21b,21bの内面で挟持されて。接続部55は、連結片20により離脱不能に連結される。
【0042】
この状態から、
図1乃至
図5の各(b)及び
図13に示すように、ユーザーは親指で封止片30の操作部31を押し込み、封止片30を開口部24に突出させる。封止片30は、上記したスライド構造により連結片20に対して
図5(b)、
図13(b)に矢印αで示す方向にスライドし、先端枠33及び左右枠32,32の一部が開口部24に臨出する。これにより、
図13(b)に最もよく示されるように、開口部24は少なくとも一部が封止片30によって塞がれる。開口部24の開口幅が接続部55の径よりも小さくなることで、連結具10は、接続部55から脱落不能となり、流体機器50,50どうしが連結された連結構造40を得ることができる。また、封止片30は、左右枠32,32が
図13に示すように、接続部55のフランジ53の外周面に沿ってスライドし、フランジ53を押し付けるように開口部24を塞ぐから、この構成によっても連結具10の脱落は阻止される。
【0043】
封止片30は、操作部31を親指でスライドさせるだけの操作で済むから、作業性にすぐれる。
【0044】
なお、封止片30は、ガイドレール25の規制突起25cに当たって突出位置が規制されているから、押し込んだときにガイドレール25から封止片30が抜け落ちることはない。
【0045】
本実施形態では、連結片20のガイド溝26は、ガイドレール25よりも連結片20の内径側に設けている。すなわち、ガイド溝26の曲率半径は、レール面25aの曲率半径よりも小さい。このため、封止片30を開口部24側に向けてスライドさせると、操作部31は、ガイド溝26を摺動するスライド条35と、ガイドレール25のレール面25aを摺動するスライド溝34は、異なる曲率半径上で移動することになる。その結果、スライド条35はガイド溝26の外径側に押し付けられ、スライド溝34は内径側に位置するレール面25aに押し付けられ、封止片30は連結片20に対して突出状態で位置決めされるロック機構が構成できる。
【0046】
上記したロック機構により、封止片30は連結片20に対して突出状態で位置決めされるから、流体機器50が振動等を受けても封止片30は後退せず、連結具10の脱落を防止できる。
【0047】
本実施形態では、操作部31を押し込むことで、封止片30はフランジ53の外周面に沿ってスライドする構成としている。この場合、連結具10は、連結片20の凹み21に接続部55が完全に嵌まっていない等、接続部55に正しく装着できていなければ、封止片30は、操作部31を押し込んでも、左右枠32,32の内面が接続部55、本実施形態ではフランジ53の外周面に当たり、封止片30が外径方向に押し出される。その結果、封止片30のスライド条35がガイド溝26の外径側に押し付けられて、左右枠32,32が突っ張り、封止片30の移動が阻止される。また、さらに開口部24の嵌まりが浅いと、封止片30を押し出したときに封止片30の先端枠33がフランジ53に当たり、封止片30の移動が阻止される。すなわち、本実施形態では、封止片30は、連結片20が、流体機器50の接続部55に正しく装着された状態でのみ開口部24に対して出没可能な構成としている。故に、封止片30をスライドできた場合には、連結具10が接続部55に正しく装着されていることの確認にもなる。
【0048】
本発明の連結具10は、上記したとおり、連結片20の開口部24に対して出没可能な封止片30を設けたことで、片手で操作でき、省スペースでも良好な作業性を実現できる。また、連結具10は、接続部55から脱落することなく、接続部55を挟持した状態で保持できるから、シール性にもすぐれ、接続部55からの流体の漏洩等を防止できる。
【0049】
本発明の連結具10を接続部55から取り外すには、上記取付け時とは逆の手順で封止片30を後退方向に引き、連結片20の開口部24を全開にして接続部55から抜き取ればよい。
【0050】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0051】
たとえば、連結片20、封止片30の形状は上記実施形態に限定されるものではない。とくに、実施形態では封止片30は枠形態としているが、円弧状の平板等であっても構わない。
【0052】
また、上記実施形態では、封止片30は最も突出した状態で第2端縁23に届いていないが、封止片30を周方向に長く形成して、封止片30の先端が第2端縁23に届く構成としてもよい。この場合、封止片30の先端に爪又は凹みを設け、他方、第2端縁23にこれと係合する凹み又は爪を設け、封止片30が突出した状態で第2端縁23と係合させて位置決めし、ロック機構とすることもできる。
【符号の説明】
【0053】
10 流体機器連結具
20 連結片
21 凹み
22 第1端縁
23 第2端縁
24 開口部
30 封止片
40 流体機器連結構造
50 流体機器
55 接続部