(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための治療剤を含む徐放性医薬組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 9/127 20060101AFI20240207BHJP
A61K 31/277 20060101ALI20240207BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20240207BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20240207BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240207BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20240207BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240207BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240207BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240207BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20240207BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240207BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240207BHJP
C12N 9/99 20060101ALI20240207BHJP
C12N 9/64 20060101ALN20240207BHJP
【FI】
A61K9/127
A61K31/277
A61K31/427
A61K31/495
A61K31/496
A61K31/55
A61K45/00
A61K47/04
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/28
A61P19/02
A61P19/08
A61P19/10 ZNA
A61P29/00 101
A61P35/00
C12N9/99
C12N9/64 Z
(21)【出願番号】P 2021525745
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 US2019061143
(87)【国際公開番号】W WO2020102323
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-04
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507317971
【氏名又は名称】タイワン リポソーム カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514090142
【氏名又は名称】ティーエルシー バイオファーマシューティカルズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホン,キールン
(72)【発明者】
【氏名】カオ,ハオ-ウェン
(72)【発明者】
【氏名】リン,イ-ユ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウェイウェイ
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/175223(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/133121(WO,A1)
【文献】特開2017-095512(JP,A)
【文献】国際公開第2017/066726(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/127
A61K 31/00 - 47/69
A61P 1/00 - 43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)二重層膜を含む少なくとも1つのリポソームであって、前記二重層膜が少なくとも1つの脂質を含む、リポソーム;
(b)捕捉剤;および
(c)カテプシンK阻害剤
を含み、前記脂質に対する前記カテプシンK阻害剤のモル比
が0.1以上であ
り、
前記カテプシンK阻害剤は、バリカチブ、オダナカチブ、L-006235、ONO-5334、MIV-711、レラカチブおよびそれらの組合せからなる群から実質的に選択され、
前記捕捉剤は、前記カテプシンK阻害剤を多原子イオン勾配によりリポソーム内部の水性空間に捕捉するための捕捉剤である、医薬組成物。
【請求項2】
前記リポソームの平均粒子径
が50nm~500nmである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記二重層膜がコレステロールをさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記二重層膜中の前記コレステロールのモルパーセント
が20
~55%である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記捕捉剤が、スクロースオクタ硫酸トリエチルアンモニウム、硫酸アンモニウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記スクロースオクタ硫酸トリエチルアンモニウムの濃度
が10~200mMである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記硫酸アンモニウムの濃度
が100~600mMである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記カテプシンK阻害剤が
、50%より高いカプセル化効率で前記リポソーム中にカプセル化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための治療剤であって、
請求項1に記載の医薬組成物の治療有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む、治療剤。
【請求項10】
前記カテプシンK阻害剤の半減期が、遊離カテプシンK阻害剤の半減期と比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも7.5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍延長される、請求項
9に記載の治療剤。
【請求項11】
前記医薬組成物が、少なくとも3日に1回、少なくとも1週間に1回、少なくとも2週間に1回、または少なくとも1ヶ月に1回投与される、請求項
9に記載の治療剤。
【請求項12】
前記医薬組成物が注射によって投与される、請求項
9に記載の治療剤。
【請求項13】
前記注射が、関節内(intraarticular)、皮下(subcutaneous)、皮下(subdermal)、皮内(intradermal)または筋肉内(intramuscular)経路を含む、請求項
12に記載の治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月14日に出願された、米国特許出願第62/767,25
4号の利益を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、少なくとも1つの捕捉剤を使用して、高い薬物対脂質比(drug to lipid rat
io)および高いカプセル化効率を有する、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療
するための徐放性医薬組成物に関する。医薬組成物の高い薬物対脂質比、高い薬物カプセ
ル化効率、および徐放性プロファイルは、薬物投与の頻度を減少させ、患者のコンプライ
アンスを増加させ、治療結果を改善する。
【背景技術】
【0003】
骨リモデリングは、破骨細胞および骨芽細胞、ならびに骨細胞、炎症性細胞およびメデ
ィエーターが関与する連続的かつ協調的な相互作用によって決定される生理学的過程であ
る。骨芽細胞活性と破骨細胞活性との間のバランスが骨の恒常性を維持している。破骨細
胞の機能障害は骨吸収を増加させ、様々な骨および関節疾患、例えば、骨粗鬆症、大理石
骨病、関節リウマチ、変形性関節症、骨腫瘍およびページェット病を引き起こす。
【0004】
破骨細胞で高レベルで発現されるシステインプロテアーゼであるカテプシンK(配列番
号:1)は、ヒドロキシアパタイトおよびタンパク質、特にI型コラーゲンで構成される
骨マトリックスの分解において重要な役割を果たす。カテプシンKはヒト関節軟骨のII
型コラーゲンの切断にも関与している。最近の研究では、カテプシンK阻害剤を1日1ま
たは2回経口投与すると、骨量減少および軟骨変性の双方が予防されることが示されてい
る。カテプシンK阻害剤の治療濃度を維持し、骨密度の低下および軟骨損失による疾患を
治療するための投与頻度を最小限にすることが非常に望ましい。
【0005】
薬物送達システムとしてのリポソームは、種々の薬物に対し徐放性製剤を開発するため
に広く使用されている。リポソームへの薬物充填(loading)は受動的に(薬物はリポソー
ム形成の間にカプセル化される)または遠隔/能動的に(リポソーム形成の間に膜貫通p
H勾配またはイオン勾配を作製し、続いてリポソーム形成の後に勾配から生成される駆動
力によって薬物を充填する)のいずれかで達成され得る(米国特許第5,192,549
号および同第5,939,096号)。リポソームへの薬物充填の一般的な方法は文献に
おいて十分に実証されているが、少数の治療剤しか、高いカプセル化効率でリポソームに
充填されなかった。以下に制限されないが、治療剤の物理的および化学的特性、例えば、
親水性/疎水性特性、解離定数、溶解度および分配係数、脂質組成、捕捉剤、反応溶媒、
および粒子径などの、様々な因子がリポソーム薬の薬物対脂質比およびカプセル化効率に
影響を及ぼし得る(Proc Natl Acad Sci U S A.2014;
111(6):2283-2288およびDrug Metab Dispos. 20
15; 43(8):1236-45)。
【0006】
カテプシンK阻害剤の投薬頻度を減少させ、治療結果を改善するために、高い薬物対脂
質比および高い薬物カプセル化効率を有する徐放性製剤に対する満たされない必要性が依
然として存在する。本発明は、この必要性および他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
一実施形態では、(a)二重層膜を有する少なくとも1つのリポソームであって、前記
二重層膜が少なくとも1つの脂質を含む、リポソーム;(b)捕捉剤;および(c)骨密
度の低下(reduced bone density)または軟骨損失(cartilage loss)による疾患を治療する
ための治療剤を含み、前記脂質に対する前記治療剤のモル比(molar ratio of the therap
eutic agent to the lipid)が約0.1以上である、徐放性医薬組成物が提供される。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するた
めの方法であって、本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工
程を有する方法が提供される。
【0009】
また、骨密度の低下による疾患の治療的および/または予防的処置のための薬剤の製造
における、本明細書に記載の医薬組成物の使用が提供される。
【0010】
さらに、本明細書に記載の徐放性医薬組成物の治療有効量を含む、骨密度の低下または
軟骨損失による疾患を治療するための薬剤が提供される。
【0011】
本特許で使用される用語「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、「本発明
(this invention)」、および「本発明(the present invention)」は、本特許および以下
の特許請求の範囲の主題のすべてを広く指すことを意図している。これらの用語を含む記
述は、本明細書に記載される主題を限定するものではなく、以下の特許請求の範囲の意味
または範囲を限定するものでもないと理解されるべきである。この特許によってカバーさ
れる本発明の実施形態は、この概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される
。この概要は本発明の様々な態様の高レベルの概要であり、以下の詳細な説明のセクショ
ンでさらに説明される概念のいくつかを紹介する。この概要は、請求項に規定される主題
の重要なまたは必須の特徴を特定することを意図するものではなく、請求項に規定される
主題の範囲を決定するために単独で使用されることを意図するものでもない。主題は、明
細書全体、任意のまたはすべての図面、および各請求項の適切な部分を参照することによ
って理解されるべきである。
【0012】
本発明の本質および利点は明細書および図面の残りの部分を参照することにより一層理
解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、遊離L-006235およびリポソームL-006235の関節内注射後のラットにおける血漿L-006235濃度を示す線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
上記および本開示全体を通して使用される、下記用語は、本明細書中で特記しない限り
、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で明確に示されない限り、複数形を
含む。
【0015】
本明細書中のすべての数字は「約」によって修飾されたものとして理解され得る。本明
細書中で使用される、「約」という用語は、特定の値の±10%の範囲を指す。
【0016】
本明細書中で使用される、「有効量」は、骨量の低下/増加、軟骨下骨または軟骨の喪
失、関節痛または関節腫脹などの、骨吸収(bone resorption)および骨密度の低下(reduce
d bone density)による疾患の症状および徴候を減少させるための、本明細書に記載の医
薬組成物の用量をいう。「有効量」および「治療有効量」という用語は互換的に使用され
る。
【0017】
本明細書で使用される「治療する(treating)」、「治療される(treated)」、または「
治療(treatment)」という用語は、予防的な(preventative)(例えば、予防的な(prophyla
ctic))、緩和的な(palliative)、および治癒的な(curative)方法、使用、または結果を
含む。「治療(treatment)」または「治療(treatments)」という用語は、組成物または薬
剤を指すこともできる。本出願全体を通して、治療とは、骨密度を増加させるまたは軟骨
損失を軽減し、これにより骨密度の低下もしくは軟骨損失による疾患の1つ以上の症状も
しくは徴候を軽減するもしくは遅延させる方法、または当技術分野で公知の技術によって
検出される際の骨密度の低下もしくは軟骨損失による疾患の完全な改善を意味する。当該
分野で認識される方法(Art recognized methods)が、骨密度の低下または軟骨損失による
疾患およびその症状を検出するために利用可能である。これらには、いくつか例を挙げる
と、臨床検査、画像化(例えば、骨密度測定、X線、二重エネルギーX線吸収測定、磁気
共鳴画像化、コンピュータ断層撮影、超音波および核画像化)、体液(例えば、血清、尿
または滑液)中のバイオマーカーの測定(例えば、C反応性タンパク質(配列番号:2)
、抗環状シトルリン化ペプチド、血清アルカリホスファターゼ(配列番号:3)、クレア
チンキナーゼBBイソ酵素(配列番号:4または5)、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ、
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(配列番号:6)、I型コラーゲンのC末端テロ
ペプチド(配列番号:7または8)、II型コラーゲンのC末端テロペプチド(配列番号
:9)、I型コラーゲンのN末端テロペプチド、コラーゲンIIAのN末端プロペプチド
および血清ヒアルロン酸の検出)、または生検/組織病理学的評価(例えば、軟骨と軟骨
下骨の染色)を含むが、これらに限定されない。例えば、骨ミネラルデンシトメトリーに
よって測定した場合、骨密度の少なくとも1%の増加がある場合、または処置前の対象ま
たは対照対象と比較して、対象における骨密度の低下または軟骨損失による疾患の1つ以
上の症状の約1%の低下がある場合、開示される方法は治療であると考えられる。したが
って、低下は、約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、1
00%、またはその間の任意の量であり得る。
【0018】
本明細書中で使用される「骨密度の低下または軟骨損失による疾患(disease due to re
duced bone density or cartilage loss)」という用語は、以下に制限されないが、骨粗
鬆症、大理石骨病、関節リウマチ、変形性関節症、骨腫瘍、骨折、およびページェット病
などの、既知または未知の、様々な病因および原因の骨吸収(bone resorption)または軟
骨の分解(cartilage degradation)による様々なタイプおよびサブタイプの骨および関節
疾患を包含する。
【0019】
「対象(subject)」という用語は、骨密度の低下もしくは軟骨損失による疾患を有する
かもしくは発症するリスクのある脊椎動物、または骨密度を増加させるおよび/または軟
骨を修復するための治療を必要とすると考えられる脊椎動物を指すことができる。対象に
は、霊長類などの哺乳動物、より好ましくはヒトなどのすべての温血動物が含まれる。非
ヒト霊長類も同様に対象である。対象という用語は、ネコ、イヌなどの飼いならされた動
物、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)および実験動物(例えば、マ
ウス、ウサギ、ラット、アレチネズミ、モルモットなど)を含む。したがって、獣医学的
使用および医学的製剤が、本明細書中に包含される。
【0020】
リポソーム
本明細書中で使用される用語「リポソーム(liposome)」、「リポソームの(liposomal)
」および関連する用語は、小胞を形成する1つ以上の二重層膜によって外部媒体から隔離
された内部水性空間を特徴とする。特定の実施形態において、リポソームの内部水性空間
は、トリグリセリドなどの、中性脂質、非水相(油相)、水-油エマルジョンまたは非水
相を含む他の混合物を実質的に含まない。リポソームの非限定的な例には、50~500
nm、50~450nm、50~400nm、50~350nm、50~300nm、5
0~250nm、50~200nm、100~500nm、100~450nm、100
~400nm、100~350nm、100~300nm、100~250nmまたは1
00~200nmの平均直径範囲を有する小さな単ラメラ小胞(SUV)、大きな単ラメ
ラ小胞(LUV)、および多ラメラ小胞(MLV)が含まれる。
【0021】
リポソームの二重層膜は、典型的には少なくとも1つの脂質、すなわち、空間的に分離
された疎水性および親水性ドメインを含む合成または天然起源の両親媒性分子によって形
成される。脂質の例としては、リン脂質、ジグリセリド、ジ脂肪族(dialiphatic)糖脂
質等のジ脂肪族鎖脂質(dialiphatic chain lipids)、スフィンゴミエリンおよびスフィン
ゴ糖脂質のような単一脂質、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定
されない。本開示によるリン脂質の例としては、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ
-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホス
ホコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(
DPPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
(PSPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジ
ルコリン(POPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(
DSPC)、1,2-ジオレオイル1-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)
、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリ
セロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(ナトリウム塩)(DMPG)、1
,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)
(ナトリウム塩)(DPPG)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ
-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(ナトリウム塩)(PSPG)、1,2
-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(ナ
トリウム塩)(DSPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1
’-rac-グリセロール)(DOPG)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-
3-ホスホ-L-セリン(ナトリウム塩)(DMPS)、1,2-ジパルミトイル-sn
-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(ナトリウム塩)(DPPS)、1,2-ジステア
ロイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(ナトリウム塩)(DSPS)、1,
2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、1,2-ジ
ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(ナトリウム塩)(DMPA)、1,
2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(ナトリウム塩)(DPPA)
、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(ナトリウム塩)(DS
PA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(ナトリウム塩)(
DOPA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(
DPPE)、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール)-1,2-ジパルミ
トイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(PEG-DPPE)、1-パル
ミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)
、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)
、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール)-1,2-ジステアロイル-s
n-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(PEG-DSPE)、1,2-ジオレオイ
ル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジパルミトイ
ル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール)(アンモニウム塩)(
DPPI)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホイノシトール(アン
モニウム塩)(DSPI)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1
’-ミオ-イノシトール)(アンモニウム塩)(DOPI)、カルジオリピン、L-α-
ホスファチジルコリン(EPC)、およびL-α-ホスファチジルエタノールアミン(E
PE)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、脂質は、1つ
以上の上記脂質の脂質混合物、または1つ以上の上記脂質と1つ以上の上記に列挙されて
いない他の脂質、膜安定化剤もしくは酸化防止剤との混合物である。
【0022】
いくつかの実施形態では、二重層膜中の脂質のモルパーセントは、約80、79、78
、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、
64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、5
1、50、49、48、47、46、45以下、またはそれらの間の任意の値もしくは値
の範囲(例えば、約45~80%、約45~75%、約45~70%、約45~65%、
約50~80%、約50~75%、約50~70%、約50~65%)である。
【0023】
いくつかの実施形態では、脂質二重層の脂質は、第1の脂質と第2の脂質との混合物で
ある。いくつかの実施形態では、第1の脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、HSP
C、DOPC、POPC、DSPC、DPPC、DMPC、PSPCおよびそれらの組み
合わせから実質的に構成される群より選択され、第2の脂質は、ホスファチジルエタノー
ルアミン、ホスファチジルグリセロール、PEG-DSPE、DPPG、DOPGおよび
それらの組み合わせから実質的に構成される群より選択される。他の実施形態では、二重
層膜中の第1の脂質のモルパーセントは、約79.9、79.5、79.1、79、78
、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、
64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、5
1、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38
、37、36、35、34、33、32、31、30以下、またはそれらの間の任意の値
もしくは値の範囲(例えば、約30~79.9%、約30~79.5%、約30~79.
1%、約30~70%、約35~65%または約40~60%)であり、二重層膜中の第
2の脂質のモルパーセントは、約0.1または0.5以上25、24、23以下またはそ
の間の任意の値もしくは値の範囲(例えば、約約0.1~25%、約0.1~24%、約
0.1~23%、約0.5~25%、約0.5~24%、約0.5~23%、約0.7~
25%、約0.7~24%または約0.7~23%)である。
【0024】
リポソームの二重層膜は、約55モルパーセント未満のステロイド、好ましくはコレス
テロールをさらに含む。特定の実施形態では、二重層膜中のコレステロールのモルパーセ
ントは、約20~55%、約20~50%、約20~45%、約25~55%、約25~
50%、約25~45%、約30~55%、約30~50%、または約30~45%であ
る。
【0025】
具体的な一実施形態では、二重層膜中の脂質およびコレステロールのモルパーセントは
、約45~80%:20~55%または50~75%:25~50%である。他の具体的
な実施形態では、二重層膜中の第1の脂質、第2の脂質およびコレステロールのモルパー
セントは、約30~79.9%:0.1%~25%:20~55%、30~75%:0.
1~25%:20~50%または35~70%:0.5~25%:20~45%であり、
第1の脂質はHSPCであり、第2の脂質はDSPE-PEG2000である。
【0026】
リモート充填(Remote Loading)
本明細書で使用される「リモート充填(remote loading)」という用語は、多原子イオン
勾配(polyatomic ion-gradient)によって、薬物を外部媒体からリポソームの二重層膜を
横切って内部水性空間に移動させる手順を含む薬物充填方法である。このような勾配は、
少なくとも1つの多原子イオンを捕捉剤としてリポソームの内部水性空間にカプセル化し
、カラム分離、透析または遠心分離などの公知の技術によって、リポソームの外部媒体を
より低い多原子イオン濃度の外部媒体、例えば、純水、スクロース溶液および生理食塩水
に置き換えることによって生成される。多原子イオン勾配は、リポソームの内部水性空間
と外部媒体との間に生成され、治療剤をリポソームの内部水性空間に捕捉する。捕捉剤と
しての具体的な多原子イオンとしては、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、モ
リブデン酸塩、炭酸塩および硝酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な捕
捉剤としては、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、ス
クロースオクタ硫酸アンモニウム(ammonium sucrose octasulfate)、スクロースオクタ硫
酸トリエチルアンモニウム(triethylammonium sucrose octasulfate)、および硫酸デキス
トラン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
一実施形態では、スクロースオクタ硫酸トリエチルアンモニウムの濃度は、約10~約
200mM、約50~約150mMまたは約60~約100mMである。他の実施形態で
は、硫酸アンモニウムの濃度は、約100~約600mM、約150~約500mMまた
は約200~約400mMである。
【0028】
本発明によれば、捕捉剤をカプセル化するリポソームは、現在知られているかまたは後
に開発される技術のいずれかによって調製することができる。例えば、MLVリポソーム
は、捕捉剤を含む所定の脂質組成物の水和脂質フィルム、噴霧乾燥粉末または凍結乾燥ケ
ーキによって直接形成することができる;SUVリポソームおよびLUVリポソームは、
超音波処理、均質化、マイクロ流動化(microfluidization)または押出によってMLVリ
ポソームからサイズ調整する(sized)ことができる。
【0029】
医薬組成物
本発明は(a)二重層膜を有する少なくとも1つのリポソーム;(b)捕捉剤;および
(c)骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための治療剤を含み、前記二重
層膜が少なくとも1つの脂質を含み、前記脂質に対する前記治療剤のモル比が約0.1以
上である、徐放性医薬組成物に関する。
【0030】
一実施形態では、徐放性医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、
希釈剤、活性成分のための媒体、防腐剤、凍結保護剤またはそれらの組み合わせをさらに
含む。具体的な一実施形態では、二重層膜の重量パーセントは約0.1~15%であり;
捕捉剤の重量パーセントは約0.1~12%であり;薬学的に許容される賦形剤(スクロ
ース、ヒスチジン、塩化ナトリウムおよび超純水など)、希釈剤、活性成分のための媒体
、防腐剤、凍結保護剤またはそれらの組み合わせの重量パーセントは約75.0~99.
9%である。
【0031】
特定の実施形態において、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための治
療剤は、カテプシンK阻害剤である。カテプシンK阻害剤の非限定的な例としては、バリ
カチブ(balicatib)(C23H33N5O2)、オダナカチブ(odanacatib)(C25H2
7F4N3O3S)、L-006235(C24H30N6O2S)、ONO-5334
(C21H34N4O4S)、MIV-711およびレラカチブ(relacatib)(C27H
32N4O6S)がある。他の実施形態では、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を
治療するための治療剤は、非水溶性または疎水性である。医薬組成物の徐放性プロファイ
ルは、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための治療剤の半減期、治療濃
度および作用期間を延長し、したがって、治療効力を持続させ、治療剤の投薬頻度を減少
させる。
【0032】
一態様では、医薬組成物の徐放性プロファイルは、高い薬物カプセル化効率による。医
薬組成物のカプセル化効率は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、7
5%、80%、85%または90%である。
【0033】
他の態様では、医薬組成物の徐放性プロファイルは、より高い治療剤対脂質モル比(hig
her therapeutic agent to lipid molar ratio)による。具体的な一実施形態において、
1つ以上の脂質に対する骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための治療剤
のモル比(molar ratio of the therapeutic agent for treating a disease due to redu
ced bone density or cartilage loss to the one or more lipids)は、約0.1以上、
または約0.1以上約20未満、約15未満、約10未満、約5未満、約4未満、約3未
満、約2未満もしくは約1.5未満である。
【0034】
さらなる他の態様では、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための治療
剤の半減期が、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療するための遊離治療剤(fre
e therapeutic agent for treating a disease due to reduced bone density or cartil
age loss)の半減期と比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも7.5倍
、少なくとも10倍、または少なくとも20倍、延長される。
【0035】
本発明はまた、本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に
投与することを含み、それにより、対象における骨密度の低下または軟骨損失による疾患
の症状および/または徴候を軽減する、骨密度の低下または軟骨損失による疾患を治療す
る方法を提供する。
【0036】
医薬組成物は、関節内(intraarticular)、皮下(subcutaneous)、皮下(subdermal)、皮
内(intradermal)、経皮(transdermal)または筋肉内(intramuscular)経路などの、注射に
適するように製剤化される。本医薬組成物はまた、経皮パッチとして投与されるように製
剤化される。
【0037】
本発明の医薬組成物の投与量は、実施形態に応じて当業者が決定することができる。単
位用量または複数用量形態が包含され、各々は、特定の臨床設定において利点を提供する
。本発明によれば、投与されるべき医薬組成物の実際の量は、治療される対象の年齢、体
重、状態、および任意の既存の医学的状態に従って、ならびに医療専門家の裁量により変
化することができる。
【0038】
一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、骨密度の低下または軟骨損失に
よる疾患を治療するための治療剤の有意に延長された放出プロファイル(significant ext
ended-release profile)を示す。例えば、本発明の医薬組成物は、ラットにおけるL-0
06235の半減期を56.6時間に延長し、これは、経口投与によるラットにおけるL
-006235の半減期(3.4時間)(J Med Chem 2005 1:48(
24):7520-34)と比較して16.6倍長い。これらの医薬組成物は、1日1回
から2回を、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週1回、
2週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1
回、または6ヶ月に1回に投与頻度を減少させるように開発される。
【実施例】
【0039】
本発明の実施形態を以下の実施例によって説明するが、下記実施例はその範囲に限定を
課すものとして決して解釈されるべきではない。それどころか、本明細書の説明を読んだ
後、本発明の概念から逸脱することなく当業者にそれ自体を示唆し得る、様々な他の実施
形態、修飾、およびそれらの同等物の対象となり得ることが明確に理解されるべきである
。以下の実施例に記載される研究の間、特記しない限り、従来の手順に従った。
【0040】
実施例1 リポソームL-006235製剤の調製
空のリポソームを、脂質フィルム水和-押出法(lipid film hydration-extrusion meth
od)によって調製した。二重層膜成分である、HSPC、コレステロール、およびDSP
E-PEG2000(モルパーセント 59.5/39.6/0.9)を、有機溶媒、例
えば、クロロホルムおよびジクロロメタン、に溶解した。ロータリーエバポレーター中で
真空下で有機溶媒を除去することによって、薄い脂質フィルムを形成した。乾燥脂質フィ
ルムを300mM 硫酸アンモニウムを含む水溶液中で60℃で30分間水和し、硫酸ア
ンモニウムが水性コアにカプセル化された空のリポソームを形成した。スクロースオクタ
硫酸トリエチルアンモニウムなどの、他の捕捉剤も使用した。液体窒素と60℃の水との
間の5回の凍結融解サイクルの後、空のリポソームを、続いて、0.2μmの孔径を有す
るポリカーボネートフィルター膜に通して10回押し出した。カプセル化されていない捕
捉剤を、9.4%スクロース溶液または0.9% NaCl溶液に対する透析法またはダ
イアフィルトレーション法(diafiltration method)によって除去して、空のリポソームの
内側水相と外側水相との間に多原子イオン勾配を作製した。
【0041】
3.0mg/mLのL-006235(DC Chemicals, Chinaから
市販されている)、空のリポソーム(6.0mMの脂質を含む)、および50mMのヒス
チジン緩衝液(pH 6.5)を含む反応混合物を、60℃で15分間インキュベートし
た。この反応混合物のカプセル化されていないL-006235を、SephadexT
M G-50ファインゲル(GE Healthcare, USA)または9.4%ス
クロース溶液に対する透析袋(Spectrum Labs)によって分離して、リポソ
ームL-006235製剤を得た。リポソームL-006235製剤の薬物対脂質モル比
(D/L)を計算するために、HPLCを用いてリポソームL-006235製剤のカプ
セル化L-006235の濃度を測定し、紫外/可視(UV/Vis)分光光度計を用い
てリポソームL-006235製剤の脂質の濃度を測定した。
【0042】
カプセル化効率は、L-006235の濃度を空のリポソームの脂質濃度で割ることに
よって計算された、反応混合物の公称D/Lで、リポソームL-006235製剤の薬物
対脂質モル比(D/L)を割ることによって計算した。粒度分布は動的光散乱装置(Ze
tasizer Nano-ZS90, Malvern, USA)により測定した。
【0043】
捕捉剤として300mM硫酸アンモニウムを使用した場合、リポソームL-00623
5製剤は、最終D/Lが1.00であり、カプセル化効率が93.4%であり、リポソー
ムの平均直径は193.7nmであった。
【0044】
実施例2 各種リポソームカテプシンK阻害剤製剤の調製
本実施例で使用したカテプシンK阻害剤としては、L-006235およびバリカチブ
(MedChem Express, USA)であった。空のリポソームを、以下の捕
捉剤を用いて、実施例1に従って調製した:(1)300mMの硫酸アンモニウムおよび
(2)75mMのスクロースオクタ硫酸トリエチルアンモニウム。リポソームL-006
235製剤の充填手順は、実施例1に基づいた。リポソームバリカチブ製剤は以下のよう
にして調製した:2mg/mLのバリカチブ、空のリポソームおよび50mM ヒスチジ
ン緩衝液(pH 6.5)を含有する反応混合物を60℃で15分間インキュベートした
。カプセル化されていない薬物を、SephadexTM G-50ファインゲル(GE
Healthcare, USA)によって除去して、リポソームバリカチブ製剤を得
た。本実施例におけるリポソーム製剤のD/L比を、実施例1の工程に従って計算した。
表1に、L-006235およびバリカチブの充填プロファイルを示す。
【0045】
【0046】
実施例3 リポソームL-006235製剤の薬物動態(PK)研究
7~8週齢の雌Sprague-Dawleyラットを用いて、リポソームL-006
235製剤のインビボPK評価を行った。ラットを、12時間の明/12時間の暗日周期
で操作される保持室に収容し、水および食物を自由に摂取させた。
【0047】
ラットを2群(各群n=4)に分けた。第1群のラットには、それぞれ、最終濃度10
.0mg/mLで、0.06N HClを含有する9.4%スクロース溶液にL-006
235を溶解することによって調製された、遊離L-006235 2.5mg/kgを
関節内注射で投与し、第2群のラットには、それぞれ、最終濃度18.1mg/mLで実
施例1に従って調製された、リポソームL-006235製剤5.0mg/kgを関節内
注射で投与した。血液サンプルを、注射してから5、15、30分、1、2、4、8、2
4、48、72、96および168時間後に集めた。血漿サンプルを遠心分離によって得
、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(liquid chromatography-tandem mass spe
ctrometry)を用いて分析した。血漿濃度対時間曲線を、PKSolver(Comput
Methods Programs Biomed.2010;99(3):306-
314)の非コンパートメント分析モデル(noncompartmental analysis model)を用いて
分析した。2つのL-006235製剤のPKパラメータを表2に要約する。
【0048】
表2の結果から、リポソームL-006235製剤の用量正規化(dose normalized)C
max(Cmax/D)が遊離L-006235製剤の40.5%であり、リポソームL
-006235製剤の半減期(t1/2)(56.6時間)が遊離L-006235製剤
の半減期(4.5時間)よりも大幅に長かったことが示される。リポソームL-0062
35製剤の曲線下の用量正規化面積(dose-normalized area under the curve)(AUC0
-t/D)から、100%のL-006235が注射してから24時間後に放出されたこ
とを示す、遊離L-006235製剤のAUC0-t/Dと比較して、注射してから16
8時間後にリポソームL-006235製剤から89.7%のL-006235が放出さ
れたことを示す。
【0049】
【0050】
さらに、
図1から、血漿L-006235が遊離L-006235注射の24時間後に
は検出不可能であったのに対して、血漿L-006235がリポソームL-006235
製剤を投与してから168時間まで検出されたことが示される。これらの結果は、特許請
求の範囲に規定された医薬組成物がカテプシンK阻害剤の放出を持続させたという結論を
支持する。