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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】製品払出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/08 20060101AFI20240207BHJP
   B29C 51/26 20060101ALI20240207BHJP
   B65G 25/08 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B65G43/08 Z
B29C51/26
B65G25/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020008998
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021116138
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】304050369
【氏名又は名称】株式会社浅野研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 秀和
(72)【発明者】
【氏名】東嶋 法男
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-293774(JP,A)
【文献】特開平09-124129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/08
B29C 51/26
B65G 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と上端部との間に高低差を有した立体状の製品を順次、平坦状の一時保管部に、鉛直方向に複数積み重ねて載置して単体状にまとめた製品群を、その側方から水平方向に押し出して、該一時保管部の平面から外部に移動させる製品払出装置の制御方法において、
前記水平方向に移動可能な押出部材を、前記製品群と当接可能に設けた押出部と、前記押出部材の移動を制御する制御部と、を備え、
移動中の前記押出部材が前記製品群に当接すると同時に、前記製品群の押出しが開始される位置を、第1の位置x1とし、前記押出部材の移動開始後以降、前記製品群への当接を間近に控えて、前記製品群の押出しが開始されようとする押出し直前の位置で、前記第1の位置x1よりΔx(0<x)だけ手前の位置を、第2の位置x2とし、前記外部に向けた前記押出部材の移動で、前記押出部材が減速しているときの加速度を、負の加速度とし、前記押出部材が増速しているときの加速度を、正の加速度とすると、
前記制御部は、移動している前記押出部材に対し、
前記第2の位置x2で、負の加速度で減速させ、
前記第1の位置x1になると、正の加速度で増速させている一方で、
前記第1の位置x1と前記第2の位置x2の間では、前記押出部材の動きを、閾値として設定された押出し前速さより小さく抑えた条件の下で、負の加速度から正の加速度に変化させていること、
前記製品は、前記底部側の断面積が前記上端部の断面積より小さい形状で形成されたものであること、
前記製品群では、前記製品は前記底部を下向きの姿勢で積み重ねられ、前記押出部材をなす面で前記製品群の全体を押すと共に、前記製品群のうち、最下に位置する前記製品の前記底部に対し、前記一時保管部の前記平面との間で作用する摩擦力を利用しながら、転倒しない態様で、前記製品群を押し出すこと、
を特徴とする製品払出装置の制御方法。
【請求項2】
底部と上端部との間に高低差を有した立体状の製品を順次、平坦状の一時保管部に、鉛直方向に複数積み重ねて載置して単体状にまとめた製品群を、その側方から水平方向に押し出して、該一時保管部の平面から外部に移動させる製品払出装置の制御方法において、
前記水平方向に移動可能な押出部材を、前記製品群と当接可能に設けた押出部と、前記押出部材の移動を制御する制御部と、を備え、
移動中の前記押出部材が前記製品群に当接すると同時に、前記製品群の押出しが開始される位置を、第1の位置x1とし、前記押出部材の移動開始後以降、前記製品群への当接を間近に控えて、前記製品群の押出しが開始されようとする押出し直前の位置で、前記第1の位置x1よりΔx(0<x)だけ手前の位置を、第2の位置x2とし、前記外部に向けた前記押出部材の移動で、前記押出部材が減速しているときの加速度を、負の加速度とし、前記押出部材が増速しているときの加速度を、正の加速度とすると、
前記制御部は、移動している前記押出部材に対し、
前記第2の位置x2で、負の加速度で減速させ、
前記第1の位置x1になると、正の加速度で増速させている一方で、
前記第1の位置x1と前記第2の位置x2の間では、前記押出部材の動きを、閾値として設定された押出し前速さより小さく抑えた条件の下で、負の加速度から正の加速度に変化させていること、
前記押出部材の移動に伴う動力源は、サーボモータであること、
前記制御部は、前記第1の位置x1と前記第2の位置x2との間で、前記押出部材に掛かる正の加速度を、前記押出部材の移動と共に、徐々に増大させながら、前記押出部材を移動させて前記製品群を押し出すこと、
を特徴とする製品払出装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する製品払出装置の制御方法において、
前記押出部材は一旦、前記第1の位置x1と前記第2の位置x2との間で停止すること、
を特徴とする製品払出装置の制御方法。
【請求項4】
求項2に記載する製品払出装置の制御方法において、
前記製品は、前記底部側の断面積が前記上端部の断面積より小さい形状で形成されたものであること、
を特徴とする製品払出装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載する製品払出装置の制御方法において、
前記押出部材の移動に伴う動力源は、サーボモータであること、
を特徴とする製品払出装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載する製品払出装置の制御方法において、
当該製品払出装置は、樹脂製シートを加工して樹脂製品を製造する樹脂加工装置と共に設けられること、
を特徴とする製品払出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置で製品を連続的に製造し、一時保管部に、加工後の製品を順次鉛直方向に積み重ねてまとめられた単体状の製品群を、この一時保管部から外部に向けて払い出す製品払出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の中には、例えば、お椀型形状に成形された食べ物容器や、逆さ円柱状に成形されたテイクアウト用飲み物容器等、底側の断面積が上方側の断面積より小さくしてなる立体形状の樹脂製品がある。このような樹脂製品は、シート加熱成形装置とシートトリミング装置により、自動運転下で、次々と連続的に製造される。シート加熱成形装置は、シート捲回ロールより断続的に供給される長尺状のシートに対し、加熱を行い、金型により、シート面内の一部を成形した状態にある半成形品を製造する。シートトリミング装置は、シート加熱成形装置から送出される半成形品から、後に製品となる成形品要部を取り出すのにあたり、半成形品のうち、成形品要部の周囲にある成形品不要部のトリミングを行う。シートトリミング装置には、製品払出装置が設けられている。
【0003】
樹脂製品は、製品払出装置の一時保管部で、加工中、順次製品を、設定された数になるまで鉛直方向に積み重ね合わせてまとめられ、単体状の製品群として、一時保管部に載置される。製品群を載置した一時保管部は、製品払出装置に具備した昇降機構により、直結する搬送コンベアや製品検査台等、搬出部の高さに合わせて移動する。一時保管部と搬出部とが、段差なく同レベルになった状態で、製品群は、製品払出装置にある払出部により、当該製品群の側部を搬出部に向けて、等速度運動による低速で水平に押し出すことで、一時保管部から搬出部に移動する。このようにして、製品群にある各樹脂製品は、搬送コンベア等を介して次工程の処理に移行される。
【0004】
なお、このような従来の製品払出装置は、公然実施されている技術であるので、先行技術文献を開示しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の製品払出装置では、製品群の転倒を招かないよう、速度を十分に抑えた等速度で払出部を動かして、製品群を搬出部に移動させていたため、製品群を搬出部に払出しするのに、時間がより長くかかっていた。特に近年、樹脂製品の製造工程全体でタクトタイムの短縮化が進む中、より短いサイクルタイムで製品群を払出すことができる技術の開発が、要望されていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、一時保管部の平面上に、底部と上端部との間に高低差を有した立体状の製品を複数、鉛直方向に積み重ねて単体状にまとめて載置された製品群を、その側部から水平方向に押し出して外部に払い出すにあたり、転倒を防ぎながらも、より短い時間で、製品群を外部に払い出すことができる製品払出装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る製品払出装置の制御方法は、以下の構成を有する。
(1)底部と上端部との間に高低差を有した立体状の製品を順次、平坦状の一時保管部に、鉛直方向に複数積み重ねて載置して単体状にまとめた製品群を、その側方から水平方向に押し出して、該一時保管部の平面から外部に移動させる製品払出装置の制御方法において、前記水平方向に移動可能な押出部材を、前記製品群と当接可能に設けた押出部と、前記押出部材の移動を制御する制御部と、を備え、移動中の前記押出部材が前記製品群に当接すると同時に、前記製品群の押出しが開始される位置を、第1の位置x1とし、前記押出部材の移動開始後以降、前記製品群への当接を間近に控えて、前記製品群の押出しが開始されようとする押出し直前の位置で、前記第1の位置x1よりΔx(0<x)だけ手前の位置を、第2の位置x2とし、前記外部に向けた前記押出部材の移動で、前記押出部材が減速しているときの加速度を、負の加速度とし、前記押出部材が増速しているときの加速度を、正の加速度とすると、前記制御部は、移動している前記押出部材に対し、前記第2の位置x2で、負の加速度で減速させ、前記第1の位置x1になると、正の加速度で増速させている一方で、前記第1の位置x1と前記第2の位置x2の間では、前記押出部材の動きを、閾値として設定された押出し前速さより小さく抑えた条件の下で、負の加速度から正の加速度に変化させていること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する製品払出装置の制御方法において、前記押出部材は一旦、前記第1の位置x1と前記第2の位置x2との間で停止すること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する製品払出装置の制御方法において、前記製品は、前記底部側の断面積が前記上端部の断面積より小さい形状で形成されたものであること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する製品払出装置の制御方法において、前記押出部材の移動に伴う動力源は、サーボモータであること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する製品払出装置の制御方法において、当該製品払出装置は、樹脂製シートを加工して樹脂製品を製造する樹脂加工装置と共に設けられること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成を有する本発明の製品払出装置の制御方法の作用・効果について説明する。
(1)底部と上端部との間に高低差を有した立体状の製品を順次、平坦状の一時保管部に、鉛直方向に複数積み重ねて載置して単体状にまとめた製品群を、その側方から水平方向に押し出して、該一時保管部の平面から外部に移動させる製品払出装置の制御方法において、水平方向に移動可能な押出部材を、製品群と当接可能に設けた押出部と、押出部材の移動を制御する制御部と、を備え、移動中の押出部材が製品群に当接すると同時に、製品群の押出しが開始される位置を、第1の位置x1とし、押出部材の移動開始後以降、製品群への当接を間近に控えて、製品群の押出しが開始されようとする押出し直前の位置で、第1の位置x1よりΔx(0<x)だけ手前の位置を、第2の位置x2とし、外部に向けた押出部材の移動で、押出部材が減速しているときの加速度を、負の加速度とし、押出部材が増速しているときの加速度を、正の加速度とすると、制御部は、移動している押出部材に対し、第2の位置x2で、負の加速度で減速させ、第1の位置x1になると、正の加速度で増速させている一方で、第1の位置x1と第2の位置x2の間では、押出部材の動きを、閾値として設定された押出し前速さより小さく抑えた条件の下で、負の加速度から正の加速度に変化させていること、を特徴とする。
【0009】
この特徴により、押出部材の移動ストロークが、本発明に係る製品払出装置の押出部材の移動距離と同じ距離で設定された従来の製品払出装置に比して、製品を外部に払出すのに要する時間を、より短くすることができる。しかも、第1の位置x1では、押出部材は、押出し前速さより小さく抑えた条件の下、負の加速度から変化した正の加速度で、比較的緩やかな立ち上りで、ゆっくりと移動させることができる。そのため、製品群の転倒を防止することができている。
【0010】
従って、本発明に係る本発明の製品払出装置の制御方法によれば、製品群を、その側部から水平方向に押し出して外部に払い出すとき、転倒を防ぎながらも、より短い時間で、製品群を外部に払い出すことができる、という優れた効果を奏する。
【0011】
(2)に記載する製品払出装置の制御方法において、押出部材は一旦、第1の位置x1と第2の位置x2との間で停止すること、を特徴とする。この特徴により、製品群との衝突時に、押出部材の移動に伴う慣性力が、より小さく抑えられているため、慣性力による製品群の転倒を、より効果的に防止することができる。
【0012】
(3)に記載する製品払出装置の制御方法において、製品は、底部側の断面積が上端部の断面積より小さい形状で形成されたものであること、を特徴とする。この特徴により、製品群が、一時保管部の平面上に、このような形状の製品を複数、鉛直方向に積み重ねて単体状にまとめられたものであっても、製品群は、押出部材により、転倒を抑えた状態で、外部に払出すことができている。
【0013】
(4)に記載する製品払出装置の制御方法において、押出部材の移動に伴う動力源は、サーボモータであること、を特徴とする。この特徴により、例えば、製品の形状・重量等の仕様や、製品群をなす製品の積立段数、本発明に係る製品払出装置と併設した加工装置で製造する製品の加工条件等、製品群の外部への払出しに関係する諸条件に合わせて、最適的な状態で、押出部材の動作制御を行うことができる。
【0014】
(5)に記載する製品払出装置の制御方法において、当該製品払出装置は、樹脂製シートを加工して樹脂製品を製造する樹脂加工装置と共に設けられること、を特徴とする。この特徴により、製品が、例えば、お椀型形状に成形された食べ物容器や、逆さ円柱状に成形されたテイクアウト用飲み物容器等の樹脂製品で、製品群が、一例として、数十~数百g程度の重量と比較的軽く、鉛直方向に延びた背高であっても、本発明に係る製品払出装置は、製品群を転倒させず、素早く外部に払出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る製品払出装置の制御方法を用いた製品払出装置を、樹脂加工装置と共に設置した様子を示す図であり、製品払出装置の正面図として、要部だけを概略的に示す図である。
図2図1中、A矢視側から見た製品払出装置の側面図として、要部だけを概略的に示す図である。
図3図1中、B矢視側から見た製品払出装置の平面図として、要部だけを概略的に示す図である。
図4】樹脂加工装置によって製造された製品を、製品払出装置で一時保管部の製品載置板上に載置している様子を示す説明図であり、待避位置で押出板が待機している様子を示す第1工程図である。
図5図4に続き、一時保管部の製品載置板上に載置した製品群を、押出板により、搬出台の製品受入板に向けて払い出す様子を示す説明図であり、押出完了位置に向けて押出板が移動している様子を示す第2工程図である。
図6】製品載置板上から製品受入板上に移動している製品群の状態を、模式的に示す説明図である。
図7】移動する押出板に対し、変位した位置と移動中の速さとの関係を示すチャート図であり、(a)は実施形態で実施例に係る製品払出装置の制御方法による押出板の動きを示したチャート図、(b)は従来技術で比較例に係る製品払出装置の制御方法による押出板の動きを示したチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る製品払出装置の制御方法を具体化した実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る製品払出装置は、製品を製造する他の加工装置と共に設けられる。製品払出装置は、その一時保管部の平面内に、他の加工装置で連続的に加工した製品を、順次鉛直方向に積み重ねて単体状にまとめられた製品群を、この一時保管部から外部に向けて払い出す装置である。加工装置は、本実施形態では、樹脂製シートを加工して樹脂製品を製造する樹脂加工装置であり、製品は、底部と上端部との間に高低差を有した立体状の樹脂製品である。
【0018】
はじめに、樹脂加工装置の概要について、簡単に説明する。図1は、実施形態に係る製品払出装置の制御方法を用いた製品払出装置を、樹脂加工装置と共に設置した様子を示す図であり、製品払出装置の正面図として、要部だけを概略的に示す図である。なお、本実施形態では、図1に示すように、製品払出装置1は、樹脂加工装置100と独立して設備されているが、樹脂加工装置100の一部として、構成されていても良く、製品払出装置1と樹脂加工装置100との構成上の関係は、特に限定するものではない。
【0019】
樹脂加工装置100は、参照する図4及び図6で例示する製品81のように、例えば、お椀型形状に成形された食べ物容器や、逆さ円柱状に成形されたテイクアウト用飲み物容器等、底部82の断面積S1が上端側83の断面積S2より小さくしてなる立体形状で樹脂製の製品81を製造する装置である。樹脂加工装置100は、シート加熱成形部とシートトリミング部とからなり、自動運転下で、連続的に製品81を次々と製造する。シート加熱成形部は、シート捲回ロールより断続的に供給される長尺状のシートに対し、加熱を行い、金型により、シート面内の一部を成形した状態にある半成形品を製造する。シートは、例えば、厚さ200~500μm程度で、ポリプロピレン(PP:polypropylene)等の一般的な熱可塑性の樹脂製シートである。
【0020】
シートトリミング部は、シート加熱成形部から送出される半成形品から、後に製品となる成形品要部を取り出すのにあたり、半成形品のうち、成形品要部の周囲にある成形品不要部のトリミングを行う。かくして、製品81は、樹脂加工装置100によって製造される。製品81一つの重さは、概ね数~十数gである。
【0021】
製品払出装置1は、樹脂加工装置100のシートトリミング部と搬出台60(外部)との間に、設置されている。搬出台60は、例えば、製品81の品質を検査する検品台や、次工程で出荷等の処理に向けて製品81を搬送コンベア上に載せるため搬送台等である。製品払出装置1は、シートトリミング部でトリミングを終えた状態の製品81に対し、複数の製品81を鉛直方向に積み重ねて単体状にまとめた製品群80の態様で、搬出台60へと移動させるために、設置されている。
【0022】
次に、製品払出装置1について、説明する。図2が、図1中、A矢視側から見た製品払出装置の側面図として、要部だけを概略的に示す図である。図3は、図1中、B矢視側から見た製品払出装置の平面図として、要部だけを概略的に示す図である。図4は、樹脂加工装置によって製造された製品を、製品払出装置で一時保管部の製品載置板上に載置している様子を示す説明図であり、待避位置で押出板が待機している様子を示す第1工程図である。図5は、図4に続き、一時保管部の製品載置板上に載置した製品群を、押出板により、搬出台の製品受入板に向けて払い出す様子を示す説明図であり、押出完了位置に向けて押出板が移動している様子を示す第2工程図である。図6は、製品載置板上から製品受入板上に移動している製品群の状態を、模式的に示す説明図である。
【0023】
製品払出装置1は、図1に示すように、大別して、押出部10と、一時保管部30と、制御部50とを備えている。制御部50は、種々の電気制御を行うほか、ACサーボモータ(エンコーダ内蔵)の駆動制御に必要なコントローラとサーボドライバを有し、押出部10にある第1サーボモータ17(サーボモータ)と、一時保管部30にある第2サーボモータ39に対し、それぞれ電気的に接続されている。また、制御部50は、記憶部を有しており、記憶部には、第1サーボモータ17と第2サーボモータ39の動作制御に必要なパラメータ設定値の保存や、閾値として設定される押出し前速さVc等、設定する数値が記憶される。また、移動させる押出板11の開始位置(図5中、待避位置M)や停止位置(図5中、押出完了位置N)に対応させて、第1サーボモータ17に行う駆動制御や、昇降させる製品載置板31の上端位置HPや下端位置LPに対応させて、第2サーボモータ39に行う駆動制御、樹脂加工装置100の動作に連動した駆動制御、押出部10と一時保管部30の動作制御等を行うのに必要なプログラムが格納されている。
【0024】
はじめに、一時保管部30について、具体的に説明する。一時保管部30は、樹脂加工装置100で製造された製品81を載置面31aに載せる平坦状の製品載置板31を有し、製品載置板31は、上端位置HPと下端位置LPとの間を、鉛直方向VTに移動可能に配設されている。一時保管部30は、製品載置板31と、載置板支持部32と、チェーン連結部33と、動力伝達チェーン34と、第1スプロケット35と、第2スプロケット36と、プーリ37と、動力伝達ベルト38と、第2サーボモータ39と、ガイドシャフト41等を有する。第2サーボモータ39の出力軸部とプーリ37の間には、動力伝達ベルト38が掛けられており、第2サーボモータ39の回転が、動力伝達ベルト38を介してプーリ37に伝達される。第2スプロケット36は、プーリ37と同軸上に配置され、プーリ37の回転により従動するようになっている。
【0025】
第1スプロケット35は、上端位置HPに対応した位置に設けられ、第2スプロケット36は、下端位置LPに対応した位置に設けられている。動力伝達チェーン34は、第1スプロケット35と第2スプロケット36に掛けられている。チェーン連結部33は、動力伝達チェーン34の一部分で接続されている。載置板支持部32は、製品載置板31の下側に取付けられて製品載置板31を支え、チェーン連結部33と接続されている。
【0026】
第1スプロケット35と第2スプロケット36の回転に伴った動力伝達チェーン34の送出により、チェーン連結部33は、第1スプロケット35と第2スプロケット36の間を移動する。かくして、駆動源である第2サーボモータ39の回転によって、載置板支持部32は、図2に示すように、上端位置HPと下端位置LPとの間を鉛直方向VTに、ガイドシャフト41に沿って移動できるようになっている。
【0027】
次に、押出部10について、説明する。押出部10は、水平方向HZに移動可能な平板状の押出板11(押出部材)を有し、押出板11は、製品群80と当接可能な状態で配設されている。押出板11の移動に伴う動力源は、第1サーボモータ17である。第1サーボモータ17が、制御部50で駆動制御されることにより、押出板11の移動が、制御されている。
【0028】
具体的に説明する。押出部10は、押出板11と、押出板支持部12と、動力変換部14と、動力伝達ベルト16と、プーリ15と、ボールネジ14と、第1サーボモータ17と、ガイドシャフト18等からなる。
【0029】
押出板11は、その押出面11aを、製品載置板31の載置面31aと直角にして、下端位置LPにある製品載置板31の載置面31aと、所定距離だけ間隙を設けた状態で、配置されている。その所定距離は、一例として、載置面31aに載せた製品81一つの高さの1/2~2/3に相当する距離である。押出板11は、押出板支持部12に取付けられている。押出板支持部12は、自転運動を伴うボールネジ14の回転を遮断した構造で、ボールネジ14の先端側に固定して連結されている。ボールネジ14のユニットは、製品払出装置1の本体に固定されている。
【0030】
ボールネジ14と動力変換部14とは、そのネジ部で互いに噛合った状態で取り付けられている。動力変換部14は、ボールネジ14の自転運動により、水平方向HZに動かないよう設置されたボールネジ14と、相対的に移動可能に設けられている。プーリ15は、ボールネジ14と同軸上に配置され、ボールネジ14は、プーリ15から伝達される回転により、自転運動を行う。プーリ15と、第1サーボモータ17の出力軸部との間には、動力伝達ベルト16が、掛けられており、第1サーボモータ17の回転が、動力伝達ベルト16を介してプーリ15に伝達される。かくして、駆動源である第1サーボモータ17の回転により、載置板支持部32は、図4及び図5に示すように、待避位置Mと押出完了位置Nとの間を水平方向HZに、ガイドシャフト18に沿って移動できるようになっている。
【0031】
本実施形態に係る製品払出装置1の動作について、説明する。図1及び図4に示すように、樹脂加工装置100で加工を終えた製品81は、製品払出装置1に向けて、上端位置HPで待機している製品載置板31上方まで搬送され、打ち抜かれる。この製品81は、製品載置板31の載置面31aに積み立てられて載せられる。樹脂加工装置100で加工中、製品81は、連続して次々と製品載置板31上に運ばれ、製品載置板31の載置面31a上には、複数の製品81が、鉛直方向に積み重ねられて単体状にまとめられ、製品群80が構成される。
【0032】
このとき、積み上げ途中下にある製品群80では、その高さは、製品81の積み重ねによって高くなる。製品払出装置1に搬送されてくる製品81が、先に置かれた製品81の上に、常に同じ高さから積層されるよう、制御部50は、載置板支持部32の高さ方向(鉛直方向VT)の位置を制御している。載置板支持部32に載せた製品81が、製品群80として、設定された数を満たして積み重ねられている状態になっても、載置板支持部32の配置位置は、下端位置LPよりも少し高い位置となっている。製品群80をなす製品81の積立段数は、製品81の種類や形状等の仕様や、樹脂加工装置100における製品81の加工条件等、諸条件によって異なるが、例えば、数~数十である。また、単位あたりの製品群80の重量は、例えば、数十~数百g程度である。
【0033】
製品81が、製品群80を満たした数まで積み重ねられると、製品群80を払出すための第1工程が行われる。第1工程では、図4に示すように、制御部50が、樹脂加工装置100側からの出力信号を検出して、第2サーボモータ39を駆動させることにより、製品載置板31を、下端位置LPまで移動させる。これにより、製品載置板31の載置面31aが、製品受入板61の載置面61aと同じ高さとなり、載置面31aと載置面61aとが一つの水平面になる。押出板11は、第1工程の間、上端位置HPと下端位置LPとの間で昇降する製品載置板31との接触を回避した待避位置Mで、待避したままとなっている。
【0034】
製品載置板31が下端位置LPに到達後、制御部50は、第1サーボモータ17を駆動させて、第1工程に続く第2工程が行われる。第2工程は、図4及び図6に示すように、製品載置板31の載置面31a上にある製品群80を、その側方から水平方向HZに押し出して、製品受入板61の載置面61a上に移動させる。第2工程は、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法によって行われる。
【0035】
次に、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法について、説明する。本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法では、制御部50は、移動している押出板11に対し、第2の位置x2で、負の加速度で減速させ、第1の位置x1になると、正の加速度で増速させている。その一方で、制御部50は、第1の位置x1と第2の位置x2の間では、押出板11の動きを、閾値として設定された押出し前速さVcより小さく抑えた条件の下で、負の加速度から正の加速度に変化させている。本実施形態では、押出板11は一旦、第1の位置x1と第2の位置x2との間で停止する。押出板11の移動ストロークは、水平方向HZに対し、待避位置Mと押出完了位置Nとの間の移動距離xであるが、第1の位置x1と第2の位置x2との差であるΔxは、例えば、移動距離xの10%以下、好ましくは5%以下に相当する距離である。
【0036】
なお、移動中の押出板11が、製品載置板31の載置面31aに載せた製品群80に当接すると同時に、製品群80の押出しが開始される位置を、第1の位置x1とする。また、押出板11の移動開始後以降、製品群80への当接を間近に控えて、製品群80の押出しが開始されようとする押出し直前の位置で、第1の位置x1よりΔx(0<x)だけ手前の位置を、第2の位置x2とする。また、搬出台60に向けた押出板11の移動で、押出板11が減速しているときの加速度を、負の加速度とし、押出板11が増速しているときの加速度を、正の加速度とする。
【0037】
具体的に、実施形態で実施例に係る製品払出装置の制御方法を、従来技術による比較例に係る製品払出装置の制御方法を対比して、説明する。図7は、移動する押出板に対し、変位した位置と移動中の速さとの関係を示すチャート図であり、(a)は実施形態で実施例に係る製品払出装置の制御方法による押出板の動きを示したチャート図、(b)は従来技術で比較例に係る製品払出装置の制御方法による押出板の動きを示したチャート図である。
【0038】
製品載置板31の載置面31aに積み立てた製品群80を、押出板(製品払出装置1の押出板11に相当)による押し出しで、製品受入板61の載置面61aに払出すにあたり、比較例として、従来技術に係る製品払出装置の制御方法で押出板を動作させる場合を、図7(b)を用いて説明する。図7(b)に示すように、比較例では、停止状態にあった押出板は、待避位置(参照する待避位置Mと同じ位置)から、比較的小さな正の加速度で動き始め、速さV2の等速度運動で移動し続けていた。この押出板は、載置面の押出完了位置(参照する押出完了位置Nと同じ位置)の近傍で、比較的小さな負の加速度で、速さV2から減速して、押出完了位置で停止していた。
【0039】
一方、実施形態で実施例に係る製品払出装置1の制御方法では、制御部50は、第1サーボモータ17を駆動させることで、図5及び図7(a)に示すように、停止状態にあった押出板11は、待避位置Mから、比較例の場合より大きい正の加速度で動き始める。押出板11は、製品載置板31の載置面31aに沿って水平方向HZの押出完了位置N側に移動し始めると、載置面31a上にある第1の位置x1で製品群80と当接し、当接したままの状態で、移動を続ける。
【0040】
このとき、押出板11が、第1の位置x1より待避位置M側にΔxだけ手前にある第2の位置x2を通るのに合わせて、制御部50は、第1サーボモータ17を制御して、第2の位置x2で一旦、押出板11の動きを停止させる。停止は、例えば、数msec.程の時間である。押出板11が、第2の位置x2を通過後、減速中にある押出板11の動きによる慣性力が、その大きさのまま、このあと接触しようとする製品群80に伝達されるのを防ぐため、押出板11の停止が行われる。
【0041】
押出板11の停止にあたり、制御部50は、待避位置Mから正の加速度で押出板11の移動を開始した後、押出板11に掛かる加速度を、正から負に変えて、一旦停止位置Kよりも待避位置M側寄りにある第2の位置x2を通過するとき、移動している押出板11に対し、負の加速度で減速させる動作制御を、第1サーボモータ17に行う。
【0042】
次に、制御部50は、特に一旦停止位置Kから第1の位置x1の間、押出板11に掛かる正の加速度を一時的に抑えることにより、押出板11を、停止した状態から比較的緩やかな立ち上りで、ゆっくりと押し出す動作制御を、第1サーボモータ17に行う。このとき、製品群80は、押出板11による押圧力F1で、製品載置板31の載置面31a上に載せられた状態で移動し始めたばかりであるが、制御部50は、押出板11に掛かる正の加速度を抑制した状態の下で、押出板11は、比較的緩やかな立ち上りでゆっくりと移動する。これにより、押出板11による製品群80への押圧力F1は、小さく抑制できている。その一方で、この製品群80の移動に伴って、載置面31aや載置面61aと、製品群80との間には、摩擦力F2が作用する。
【0043】
製品81は、底部82の断面積S1を上端側83の断面積S2より小さい立体状に形成されたものである。これらの製品81を複数積層した製品群80は、鉛直方向VTに延びた背高になっていることから、まさに動き出すときの静止摩擦力や、動き出してからの動摩擦力といった摩擦力F2は、製品群80のうち、最下段の製品81の底部82と、載置面31aや載置面61aとの間に生じる。製品群80は、その側部を、平板状の押出板11により、載置面31aや載置面61aより高い位置からより小さく抑制した押圧力F1で押されているため、押圧力F1は、製品群80に分散して作用する。そのため、製品群80は、押し出されようとする時に摩擦力F2(静止摩擦力)を受けながらも、製品群80に対し、押圧力F1による回転モーメントは生じ難く、製品群80の転倒を抑制することができている。
【0044】
次に、制御部50は、押出板11に掛かる正の加速度を、第1の位置x1の通過後に増大させ、比較例の速さV2より大きい速さV1になったところで、速さV1の等速で押出板11を、製品載置板31から搬出台60の製品受入板61へと移動させる。そして、この押出板11が、製品受入板61の載置面61aにある押出完了位置Nの近傍に差し掛かったところで、制御部50は、第1サーボモータ17により、速さV1で移動している押出板11を、負の加速度で減速させて停止させる。かくして、押出板11は、押出完了位置Nで完全に停止するため、製品載置板31の載置面31aに積み立てられていた製品群80は、製品払出装置1の押出板11による押し出しで、製品受入板61の載置面61aに払出される。
【0045】
次に、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法の作用・効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法では、底部82と上端部83との間に高低差を有した立体状の製品81を順次、製品載置板31の載置面31a上に、鉛直方向VTに複数積み重ねて載置して単体状にまとめた製品群80を、その側方から水平方向HZに押し出して、一時保管部30にある製品載置板31の載置面31aから、搬出台60にある製品受入板61の載置面61aに移動させる製品払出装置の制御方法において、水平方向HZに移動可能な押出板11を、製品群80と当接可能に設けた押出部10と、製品群80と当接可能な押出板11が、水平方向HZに移動可能に設けられた押出部10と、押出板11の移動を制御する制御部50と、を備え、移動中の押出板11が製品群80に当接すると同時に、製品群80の押出しが開始される位置を、第1の位置x1とし、押出板11の移動開始後以降、製品群80への当接を間近に控えて、製品群80の押出しが開始されようとする押出し直前の位置で、第1の位置x1よりΔx(0<x)だけ手前の位置を、第2の位置x2とし、搬出台60に向けた押出板11の移動で、押出板11が減速しているときの加速度を、負の加速度とし、押出板11が増速しているときの加速度を、正の加速度とすると、制御部50は、移動している押出板11に対し、第2の位置x2で、負の加速度で減速させ、第1の位置x1になると、正の加速度で増速させている一方で、第1の位置x1と第2の位置x2の間では、押出板11の動きを、閾値として設定された押出し前速さVcより小さく抑えた条件の下で、負の加速度から正の加速度に変化させていること、を特徴とする。
【0047】
この特徴により、押出板の移動ストロークが、押出板11の移動距離xと同じ距離で設定された従来の製品払出装置に比して、樹脂加工装置100で加工を終えた製品81を、搬出台60に払出すのに要する時間を、より短くすることができる。しかも、第1の位置x1では、押出板11は、押出し前速さVcより小さく抑えた条件の下、すなわち本実施形態では、押出し前速さVc=0の条件の下、負の加速度から変化して、正の加速度を抑制した状態の下で、比較的緩やかな立ち上りでゆっくりと移動している。そのため、製品群80の転倒を防止することができている。ひいては、従来の製品払出装置を用いていた場合に比べ、製品81の製造工程全体のタクトタイムを、より短くすることができ、製品81の生産性向上に貢献することできる。
【0048】
従って、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法によれば、製品群80を、その側部から水平方向HZに押し出して搬出台60に移すにあたり、転倒を抑えながらも、より短い時間で、製品群80を搬出台60に移動させることができる、という優れた効果を奏する。
【0049】
また、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法では、押出板11は一旦、第1の位置x1と第2の位置x2との間で停止すること、を特徴とする。この特徴により、製品群80との衝突時に、押出板11の移動に伴う慣性力が、より小さく抑えられているため、慣性力による製品群80の転倒を、より効果的に防止することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法では、製品81は、底部82側の断面積S1が上端部83の断面積S2より小さい形状で形成されたものであること、を特徴とする。この特徴により、製品群80が、製品載置板31の載置面31a上に、このような形状の製品81を複数、鉛直方向に積み重ねて単体状にまとめられたものであっても、製品群80は、押出板11により、転倒を抑えた状態で、搬出台60に払出すことができている。すなわち、押出板11による製品群80の払出しには、製品群80のうち、最下段の製品81の底部82と、載置面31aや載置面61aとの間に、摩擦力F2が生じる。また、たとえ摩擦力F2が作用しても、底部82側の断面積S1が上端部83の断面積S2より小さいため、製品載置板31の載置面31a上に載せられた製品群80は、不安定な状態にある。しかしながら、押出板11は、製品載置板31の載置面31a上に、不安定な姿勢で載せられている製品群80を、転倒させないよう、制御された動作で、製品群80を製品受入板61の載置面61aに押出すことができている。従って、製品群80は、押出板11により、転倒を抑えた状態で、搬出台60に払出すことができる。
【0051】
また、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法では、押出板11の移動に伴う動力源は、第1サーボモータ17であること、を特徴とする。この特徴により、製品81の形状・重量等の仕様や、製品群80をなす製品81の積立段数、樹脂加工装置100における製品81の加工条件等、製品群80の搬出台60への払出しに関係する諸条件に合わせて、最適的な状態で、押出板11の動作制御を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態に係る製品払出装置1の制御方法では、当該製品払出装置1は、樹脂製シートを加工して製品81を製造する樹脂加工装置100と共に設けられること、を特徴とする。この特徴により、製品81が、例えば、お椀型形状に成形された食べ物容器や、逆さ円柱状に成形されたテイクアウト用飲み物容器等の樹脂製品で、製品群80が、一例として、数十~数百g程度の重量と比較的軽く、鉛直方向VTに延びた背高であっても、製品払出装置1は、製品群80を転倒させず、素早く搬出台60に払出すことができる。
【0053】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0054】
(1)例えば、実施形態では、製品払出装置1において、樹脂加工装置100で製造された製品81を、上端位置HPに配置した製品載置板31の載置面31aに積み立てて、製品群80を載置面31aに載せた製品載置板31を下端位置LPまで降ろした。その後、押出板11により、製品群80を載置面31aから製品受入板61の載置面61aに払出した。
【0055】
しかしながら、製品払出装置では、製品群が、その側方から水平方向に押し出して、一時保管部の平面から外部に移動させるものでれば良く、製品群を、一時保管部の平面に配置するまでの製品の供給形態は、一例に挙げた実施形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
【0056】
(2)実施形態では、製品払出装置1を、樹脂製シートを加工して製品81を製造する樹脂加工装置100と共に設けた。しかしながら、本発明の製品払出装置は、樹脂加工装置に限らず、底部と上端部との間に高低差を有した立体状の製品を製造する加工装置と共に設けられていれば、加工装置は何でも良い。
【0057】
(3)実施形態では、製品払出装置1を、樹脂加工装置100と独立した別体の装置として設けた。しかしながら、本発明の製品払出装置は、樹脂加工装置100を構成する一部として、樹脂加工装置100内に組み込まれたものであっても良い。また、同様に、樹脂加工装置に限らず、底部と上端部との間に高低差を有した立体状の製品を製造する加工装置についても、本発明の製品払出装置は、加工装置を構成する一部として、加工装置内に組み込まれたものであっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 製品払出装置
10 押出部
11 押出板(押出部材)
30 一時保管部
31 製品載置板(一時保管部)
31a 載置面(一時保管部の平面)
16 第1サーボモータ(サーボモータ)
50 制御部
60 搬出台(外部)
80 製品群
81 製品
82 底部
S1 (底部側の)断面積
83 上端部
S2 (上端部の)断面積
100 樹脂加工装置
HZ 水平方向
VT 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7