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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20240207BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20240207BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A45D40/20 G
A45D40/00 T
B65D83/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020032013
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132909
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】石田 行一
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-046154(JP,A)
【文献】特開2005-199510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0064822(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103653685(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/20
A45D 40/00
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する収容領域、及び、前記収容領域に収容された化粧料が露出する開口を有する先筒と、
前記先筒の前記収容領域を囲むように前記先筒に埋め込まれているパイプ材と、
を備え、
前記パイプ材は、前記先筒よりも気体透過性が低い気体不透過性材料によって構成されており、
前記先筒は、樹脂材料によって構成されており、
前記先筒は、前記パイプ材の外側に位置する第1樹脂部と、前記パイプ材の内側に位置する第2樹脂部とを含み、
前記第2樹脂部は拡径部を有し、前記拡径部には前記パイプ材の後端部が入り込んでいる
化粧料容器。
【請求項2】
前記先筒に相対回転可能に係合する容器本体と、
前記容器本体の内部に配置されており、外周に雄螺子が形成された押棒と、
前記容器本体の内部に配置されており、前記押棒の前記雄螺子と螺合する雌螺子が内周に形成された筒状の雌螺子部材と、
を備え、
前記容器本体が前記先筒に対して相対回転すると、前記雄螺子及び前記雌螺子の螺合作用が働いて前記雌螺子部材に対して前記押棒が移動することにより、前記押棒によって前記化粧料が前記開口から押し出される、
請求項1に記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記先筒の前記収容領域に、前記化粧料の前記開口との反対側に位置するピストンを備え、
前記押棒は、前記ピストンを介して前記化粧料を押し出す、
請求項2に記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記第2樹脂部は、前記第1樹脂部よりも気体透過性が低い樹脂材料によって構成されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内部に化粧料が収容される化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧料を収容する化粧料容器としては種々のものが知られている。特開2003-204823号公報には、化粧料としての棒状物を繰り出す棒状物繰り出し具が記載されている。棒状物繰り出し具は、アイライナー等の棒状物を繰り出す。棒状物繰り出し具は、筒状の先軸と、有底筒状の後軸とを備え、先軸は後軸に相対回転可能に連結されている。化粧料は先軸の内部に収容されている。
【0003】
後軸の内部には、先軸の内部の棒状物を押し出す雄螺子付きのピストンロッドと、ピストンロッドの雄螺子が螺合する雌螺子を内面に有する筒状のドライバと、先軸に対するピストンロッドの回転を抑制する回り止めリングとが設けられる。先軸と後軸とが一方向に相対回転すると、後軸と共にドライバが同期回転し、ドライバの雌螺子とピストンロッドの雄螺子との螺合作用が働いてピストンロッドがドライバに対して前進する。ピストンロッドの前進に伴って、先軸の先端に形成された開口から棒状物が吐出され、棒状物が使用に供される。また、先軸と後軸とが上記一方向の反対方向に相対回転すると、上記の螺合作用が働いてピストンロッドは後退する。
【0004】
先軸の内部には、内筒が設けられており、棒状物は内筒の内側に収容されている。内筒は、先軸の内部において移動可能とされている。内筒は前進するピストンロッドに圧入され、このときピストンロッドが内筒に入り込む。ピストンロッドが後退するときには、ピストンロッドと共に内筒及び棒状物も後退する。内筒の材料としては、POM(ポリアセタール)又はPC(ポリカーボネート)等が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-204823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、先筒の内部に収容される化粧料は、気密を確保することが求められる。化粧料の中には、粘度が低いもの、及び細径のものが存在し、特にこれらの化粧料では気密の確保が求められる。近年、揮発性が高い化粧料が用いられることが多くなっている。従って、気密を確保して化粧料の揮発を抑制することが求められる。
【0007】
本開示は、気密を確保して化粧料の揮発を抑制することができる化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る化粧料容器は、化粧料を収容する収容領域、及び、収容領域に収容された化粧料が露出する開口を有する先筒と、先筒の収容領域を囲むように先筒に埋め込まれているパイプ材と、を備え、パイプ材は、先筒よりも気体透過性が低い気体不透過性材料によって構成されており、先筒は、樹脂材料によって構成されており、先筒は、パイプ材の外側に位置する第1樹脂部と、パイプ材の内側に位置する第2樹脂部とを含み、第2樹脂部は拡径部を有し、拡径部にはパイプ材の後端部が入り込んでいる
【0009】
この化粧料容器では、化粧料を収容する収容領域を備えた先筒にパイプ材が埋め込まれている。パイプ材は、化粧料が収容される収容領域を囲むように先筒に埋め込まれている。パイプ材の材料は、先筒よりも気体透過性が低い気体不透過性材料である。従って、パイプ材に気体を通しにくくすることができるので、パイプ材の内側に位置する化粧料の収容領域への気体の透過を抑制することができる。よって、先筒に埋め込まれると共に収容領域を囲むように配置されたパイプ材によって気密を確保することができると共に、収容領域に収容された化粧料の揮発を抑制することができる。
【0010】
前述した化粧料容器は、先筒に相対回転可能に係合する容器本体と、容器本体の内部に配置されており、外周に雄螺子が形成された押棒と、容器本体の内部に配置されており、押棒の雄螺子と螺合する雌螺子が内周に形成された筒状の雌螺子部材と、を備え、容器本体が先筒に対して相対回転すると、雄螺子及び雌螺子の螺合作用が働いて雌螺子部材に対して押棒が移動することにより、押棒によって化粧料が開口から押し出されてもよい。この場合、容器本体と先筒との相対回転により、雄螺子と雌螺子の螺合作用が働いて押棒が移動し、当該押棒によって化粧料が繰り出される。よって、化粧料を繰り出す繰出機構を備える化粧料容器であっても、気体不透過性材料によって構成されたパイプ材によって気密を確保すると共に化粧料の揮発を抑制することができる。
【0011】
前述した化粧料容器は、先筒の収容領域に、化粧料の開口との反対側に位置するピストンを備え、押棒は、ピストンを介して化粧料を押し出してもよい。この場合、押棒はピストンを介して化粧料を押し出すので、押棒に化粧料が付着することを回避することができる。また、化粧料の開口との反対側に位置するピストンにより、開口の反対側における気密を確保することができるので、化粧料の揮発をより確実に抑制することができる。
【0012】
イプ材の内側に第2樹脂部が設けられるので、化粧料はパイプ材ではなく第2樹脂部に接触する。従って、パイプ材と化粧料との間に第2樹脂部が介在することにより、第2樹脂部によって化粧料を保護することができる。第2樹脂部は、第1樹脂部よりも気体透過性が低い樹脂材料によって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、気密を確保して化粧料の揮発を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る化粧料容器を示す側面図である。
図2図1の化粧料容器からキャップを外した状態を示す側面図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4図3の化粧料容器からキャップを外して押棒を前進限まで移動させた状態を示す断面図である。
図5図4の化粧料容器のパイプ材、先筒の第1樹脂部及び第2樹脂部を拡大させた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら、本開示に係る化粧料容器の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る化粧料容器の側面図である。図2は、図1の化粧料容器からキャップを外した状態を示す側面図である。図3は、図1のA-A線断面図である。図1図3に示されるように、本実施形態に係る化粧料容器100は、軸線方向Lに沿って延びる棒状を呈する。
【0017】
化粧料容器100は、キャップ1と、容器本体2とを外観構成として備える。化粧料容器100は、例えば、キャップ1の内部に位置する先筒3に収容された化粧料Mを使用者の操作によって繰り出す(押し出す)ペンシルである。先筒3は、繰り出された化粧料Mが突出する開口3bを有する。
【0018】
例えば、キャップ1は先筒3に装着される。キャップ1の内部には、容器本体2に軸線方向Lに係合する先筒3が収容される。容器本体2は、先筒3の後側に連結されると共に先筒3に相対回転可能に係合する。先筒3は、一例として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)によって構成されている。
【0019】
本開示において、「軸線方向」とは、化粧料容器の先筒の軸線が延びる当該軸線の延在方向を示しており、「軸線方向」は、例えば、化粧料容器の長手方向と一致する。以下では、容器本体2から観てキャップ1が設けられる方向を「前」とし、キャップ1から観て容器本体2が設けられる方向を「後」として説明する。但し、これらの方向は、説明の便宜のためのものであって、方向を限定するものではない。
【0020】
化粧料Mは、例えば、リップライナー、リップスティック、リップグロス、アイブロウ、アイライナー、美容スティック又はコンシーラーである。化粧料Mは、非常に柔らかい(例えば、半固形状、軟固形状、軟質状、ゼリー状、ムース状又はこれらを含む練り物等の)棒状物であってもよい。化粧料Mは、化粧用揮発性オイルを含んでいてもよい。更に、化粧料Mは、外径が1.5cm以下の細径棒状物、外径が1.5mm以上且つ3.0mm以下である一般棒状物、又は外径が4.0mm以上である太径棒状物であってもよい。また、化粧料Mの長手方向に直交する平面で化粧料Mを切断したときの断面形状は、円形状、楕円形状又は多角形状であってもよく、特に限定されない。
【0021】
キャップ1は、化粧料容器100の外方に露出する外キャップ11と、外キャップ11とは別体とされており外キャップ11の内部に位置する内キャップ12とを含んでいる。内キャップ12は、例えば、先筒3が挿入された状態で先筒3の開口3bを塞ぎ込む。一例として、外キャップ11はABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂によって構成されている。内キャップ12は、例えば、弾性材料によって構成されており、一例として、TPEE(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)によって構成されている。
【0022】
容器本体2の内部には、内部に雌螺子4bを有する筒状の雌螺子部材4と、雌螺子部材4の雌螺子4bと螺合する雄螺子5bを有する押棒5と、押棒5及び化粧料Mの間に介在し押棒5の前進に伴って化粧料Mを前側に押し出すピストン6と、雌螺子部材4の後方に位置する筒状のラチェット部材7とが設けられる。
【0023】
雌螺子4bと雄螺子5bは、例えば、化粧料容器100の螺合部Tを構成し、螺合部Tの螺合作用によって押棒5が前進する。雌螺子部材4は、例えば、POM(ポリアセタール)によって構成されている。雌螺子部材4は、雌螺子4bを有する筒部4cを備える。筒部4cよりも後側には、押棒5が挿入される挿入領域4fが形成されている。例えば、挿入領域4fの内径は、筒部4cの雌螺子4bが設けられている部分の内径よりも大きい。
【0024】
雌螺子部材4は、筒部4cの外周面において軸線方向Lに延びる複数の凸部4dを有する。例えば、雌螺子部材4の周方向に沿って複数の凸部4dが配置されている。凸部4dは、筒部4cが後側から先筒3の内部に挿入された状態において、先筒3に周方向に係合する部位である。
【0025】
押棒5は、棒状を呈する。押棒5は、例えば、POMによって構成されている。押棒5は、雄螺子5bと、雄螺子5bの後側に位置しており雌螺子部材4及びラチェット部材7の内側に入り込む挿入部5cと、ラチェット部材7の後端に対向する鍔部5dとを備える。雄螺子5bは、例えば、押棒5の前端から押棒5の後側まで設けられる。挿入部5cの外径は雄螺子5bの外径よりも大きく、鍔部5dの外径は挿入部5cの外径よりも大きい。鍔部5dは、容器本体2の内面に形成された凹部2dに周方向に係合する。これにより、押棒5は、容器本体2に軸線方向移動可能且つ同期回転可能に係合する。
【0026】
ピストン6は、先筒3の内部における化粧料Mの後側に設けられる。一例として、ピストン6は、TPEEによって構成されている。例えば、ピストン6は、前端において後方に窪む第1凹部6bと、後端において前方に窪む第2凹部6cとを有する。ピストン6は、押棒5に押されて前進し、化粧料Mを先筒3の開口3bから突出させる。
【0027】
ラチェット部材7は、例えば、その軸線方向Lの中央部分にスリット7bが形成されたバネ部7cを有する円筒状を呈する。ラチェット部材7は、雌螺子部材4が係合する前側筒部7dと、バネ部7cと、容器本体2が係合する後側筒部7fとを備える。前側筒部7dは、ラチェット部材7の外周面において軸線方向Lに延びる複数の突条7gを有し、複数の突条7gがラチェット部材7の周方向に沿って並ぶように配置されている。突条7gは、容器本体2の内面に形成されたローレット2bに周方向に係合する部位である。
【0028】
ラチェット部材7は、例えば、雌螺子部材4とラチェット機構Rを構成する。ラチェット機構Rによって、例えば、先筒3と容器本体2との相対回転は一方向(例えば時計回り)のみ許容され、当該一方向の反対方向(例えば反時計回り)への相対回転は規制される。
【0029】
バネ部7cは、軸線方向Lに伸縮可能とされた樹脂バネを構成する部位である。バネ部7cは、本体部7hと、本体部7hの周面に沿うと共に本体部7hの内外を連通するスリット7bとを有する。後側筒部7fは、ラチェット部材7の外周面において軸線方向Lに延びる複数の突条7jを有する。突条7jは、前述した突条7gと同様、容器本体2の内面に周方向に係合する部位である。
【0030】
以上の化粧料容器100の使用手順について説明する。まず、先筒3からキャップ1を外し、容器本体2及び先筒3を一方向に相対回転する。容器本体2及び先筒3を一方向に相対回転すると、容器本体2、押棒5及びラチェット部材7が同期回転し、先筒3及び雌螺子部材4が同期回転することにより、螺合部Tの螺合作用が働いて雌螺子部材4に対して押棒5が前進する。
【0031】
図4に示されるように、押棒5の前進に伴って押棒5は先筒3の内部の化粧料Mを前方に押し出し、化粧料Mの繰り出しが行われる。本実施形態では、容器本体2、先筒3、雌螺子部材4、押棒5及びラチェット部材7が化粧料容器100の繰出機構として機能する。先筒3から前方に突出した化粧料Mが被塗布部(例えば使用者の皮膚)に塗布されることによって、化粧料Mが使用に供される。図4は、押棒5が前進限まで移動した状態を示している。
【0032】
押棒5が前進限に達すると、例えば、押棒5の鍔部5dがラチェット部材7の後端に接触すると共に、ピストン6が先筒3の開口3bに接近する。また、ラチェット機構Rにより、当該一方向の反対方向への容器本体2及び先筒3の相対回転は規制される。従って、本実施形態では、押棒5は化粧料Mが使用されるまでには後退しない。
【0033】
次に、図5を参照しながら先筒3の詳細について説明する。図5は、図4の先筒3を拡大した断面図である。図5に示されるように、化粧料容器100は、先筒3に埋め込まれたパイプ材8を備える。本開示において「埋め込まれる」とは、あるものが他のものに完全に囲まれて外部から視認できなくなっている場合、及び、あるものが他のものの内面に固定されていることによって外部から視認できなくなっている場合の双方を含む。すなわち、「埋め込まれる」は、あるものが他のものの内面に固定されていて当該内面において露出している状態を含む。パイプ材8は、例えば、円筒状を呈する。先筒3は、化粧料Mが突出する開口3bと、化粧料Mを収容する収容領域3cとを有する。
【0034】
収容領域3cは、例えば、円筒状とされており、収容領域3cの内部には、化粧料M、ピストン6、及び押棒5の雄螺子5bが設けられる。先筒3は、先筒3の径方向外側に位置する第1樹脂部3Aと、第1樹脂部3Aの径方向内側に位置すると共に収容領域3cを画成する第2樹脂部3Bとを含む。
【0035】
第1樹脂部3Aは先筒3の外面を構成している。第1樹脂部3Aは、開口3bに向かうに従って徐々に先筒3が縮径するように傾斜するテーパ面3dと、キャップ1(外キャップ11)が装着される凸部3fと、凸部3fの後方に位置する鍔部3gと、鍔部3gの後側に位置する挿入部3hとを有する。
【0036】
キャップ1が先筒3に装着された状態において、鍔部3gよりも前側の部分がキャップ1に収容されると共に鍔部3gが化粧料容器100の外方に露出する。挿入部3hの外径は鍔部3gの外径よりも小さく、挿入部3hは容器本体2の内部に入り込んで容器本体2に軸線方向Lに係合する。これにより、先筒3は容器本体2に対して軸線方向移動不能且つ相対回転可能に係合する。
【0037】
第1樹脂部3A及び第2樹脂部3Bは、例えば、2色成形により一体成形されている。一例として、第1樹脂部3Aの材料と、第2樹脂部3Bの材料とは互いに異なっている。第1樹脂部3A及び第2樹脂部3Bの材料は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)又はPP(ポリプロピレン)である。例えば、第1樹脂部3Aは第2樹脂部3Bよりも流動性が高い樹脂材料によって構成されており、第2樹脂部3Bは第1樹脂部3Aよりも気体透過性が低い(ガスバリア性が高い)樹脂材料によって構成されている。
【0038】
本開示において、「気体透過性」とは、あるものに対する気体の透過のしやすさを示しており、気体透過率又はガス透過率とも称される。気体透過性は、例えば、窒素透過率及び酸素透過率を含んでいる。「ガスバリア性」は、あるものに対する気体の透過のしにくさを示す指標であり、気体不透過性とも称される。
【0039】
パイプ材8は、第1樹脂部3A及び第2樹脂部3Bよりも気体透過性が低い(ガスバリア性が高い)材料によって構成されている。パイプ材8は、例えば、樹脂よりも気体透過性が低い気体不透過性材料によって構成されている。「気体不透過性材料」とは、あるもの(例えば先筒3)よりも気体不透過性が高い(ガスバリア性が高い)材料を示している。
【0040】
パイプ材8は、例えば、金属又はガラスによって構成されている。一例として、パイプ材8の材料は、ステンレス鋼材(SUS)、鉄、真鍮又はアルミニウムであってもよい。パイプ材8は、例えば、第1樹脂部3Aと第2樹脂部3Bとの間に介在しており、先筒3の収容領域3cよりも先筒3の径方向外側に埋め込まれている。パイプ材8は、径方向外側から収容領域3cを囲むように先筒3に埋め込まれている。
【0041】
第2樹脂部3Bは、例えば、後端に拡径部3jを有し、拡径部3jにはパイプ材8の後端部8bが突出している。なお、「後端部」とは後端を含む一定の領域を示しており、「前端部」とは前端を含む一定の領域を示している。拡径部3jは、第1樹脂部3Aの凸部3f及び鍔部3gの径方向内側に設けられる。第2樹脂部3Bの材料が第1樹脂部3Aよりもガスバリア性が高い材料によって構成されている場合、第2樹脂部3Bの拡径部3jによって収容領域3cの後側の気密性を高めることができる。
【0042】
第2樹脂部3Bの前端部3k、及びパイプ材8の前端部8cは、第1樹脂部3Aの径方向内側に位置している。すなわち、前端部3k及び前端部8cは、先筒3の開口3bよりも後方に位置する。例えば、前端部8cよりも前端部3kの方が開口3b側に突出している。前端部3kは、後方に向かうに従って先筒3が拡径するように傾斜するテーパ部3mを有し、テーパ部3mの開口3bとの反対側(後側)の面に前端部8cが接触する。なお、押棒5が前進限に達しても、ピストン6がパイプ材8及び第2樹脂部3Bの径方向内側の収容領域3cにとどまるので、収容領域3cの前側の気密性を高めることができる。
【0043】
次に、本実施形態に係る化粧料容器100の作用効果について詳細に説明する。化粧料容器100では、化粧料Mを収容する収容領域3cを備えた先筒3にパイプ材8が埋め込まれている。パイプ材8は、化粧料Mが収容される収容領域3cを囲むように先筒3に埋め込まれている。パイプ材8の材料は、先筒3よりも気体透過性が低い気体不透過性材料である。従って、パイプ材8に気体を通しにくくすることができるので、パイプ材8の内側に位置する化粧料Mの収容領域3cへの気体の透過を抑制することができる。よって、先筒3に埋め込まれると共に収容領域3cを囲むように配置されたパイプ材8によって気密を確保することができると共に、収容領域3cに収容された化粧料Mの揮発を抑制することができる。
【0044】
本実施形態に係る化粧料容器100は、図3及び図4に示されるように、先筒3に相対回転可能に係合する容器本体2と、容器本体2の内部に配置されており、外側に雄螺子5bが形成された押棒5と、容器本体2の内部に配置されており、押棒5の雄螺子5bと螺合する雌螺子4bが内周に形成された筒状の雌螺子部材4と、を備える。容器本体2に対して先筒3が相対回転すると、雄螺子5b及び雌螺子4b(螺合部T)の螺合作用が働いて雌螺子部材4に対して押棒5が移動することにより、押棒5によって化粧料Mが開口3bから押し出される。すなわち、容器本体2と先筒3との相対回転により、雄螺子5bと雌螺子4bとの螺合作用が働いて押棒5が移動し、押棒5によって化粧料Mが繰り出される。よって、化粧料Mを繰り出す繰出機構を備える化粧料容器100であっても、気体不透過性材料によって構成されたパイプ材8によって気密を確保すると共に化粧料Mの揮発を抑制することができる。
【0045】
本実施形態に係る化粧料容器100は、先筒3の収容領域3cに、化粧料Mの開口3bとの反対側に位置するピストン6を備え、押棒5は、ピストン6を介して化粧料Mを押し出す。よって、押棒5はピストン6を介して化粧料Mを押し出すので、押棒5に化粧料Mが付着することを回避することができる。また、化粧料Mの開口3bとの反対側に位置するピストン6により、開口3bの反対側における気密を確保することができる。具体的には、キャップ1が先筒3に装着されている状態において、ピストン6、パイプ材8及びキャップ1(内キャップ12)によって化粧料Mの気密が確保される。従って、化粧料Mの揮発をより確実に抑制することができる。
【0046】
本実施形態に係る化粧料容器100において、先筒3は、樹脂材料によって構成されており、先筒3は、パイプ材8の外側に位置する第1樹脂部3Aと、パイプ材8の内側に位置する第2樹脂部3Bとを含む。よって、パイプ材8の内側に第2樹脂部3Bが設けられるので、化粧料Mはパイプ材8ではなく第2樹脂部3Bに接触する。従って、パイプ材8と化粧料Mとの間に第2樹脂部3Bが介在することにより、第2樹脂部3Bによって化粧料Mを保護することができる。
【0047】
以上、本開示に係る化粧料容器の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において更に変形してもよい。すなわち、化粧料容器を構成する各部品の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0048】
例えば、前述の実施形態では、パイプ材8が金属又はガラスによって構成されている例を説明した。しかしながら、先筒3に埋め込まれるパイプ材の材料は金属又はガラス以外のものであってもよい。例えば、パイプ材は、先筒3よりもガスバリア性が高い樹脂材料によって構成されていてもよい。
【0049】
また、前述の実施形態では、第1樹脂部3Aと第2樹脂部3Bとの間にパイプ材8が介在するようにパイプ材8が先筒3に埋め込まれている例について説明した。しかしながら、化粧料容器は、パイプ材8に代えて、第2樹脂部3Bの内面に露出するパイプ材を備えていてもよい。この場合、当該パイプ材は、第2樹脂部3Bの内面に固定された態様で先筒3に埋め込まれる。
【0050】
また、前述の実施形態では、第1樹脂部3Aの材料と第2樹脂部3Bの材料とが互いに異なる例について説明した。しかしながら、第1樹脂部3Aの材料と第2樹脂部3Bの材料とが互いに同一であってもよい。また、前述の実施形態では、第1樹脂部3A及び第2樹脂部3Bが2色成形により一体成形されている例について説明した。しかしながら、第1樹脂部及び第2樹脂部は、2色成形により一体成形されたものでなくてもよく、例えば、第1樹脂部と第2樹脂部とが物理的に固定されて一体となっていてもよい。更に、先筒は、第1樹脂部及び第2樹脂部のいずれかを有しないものであってもよい。
【0051】
また、前述の実施形態では、ピストン6を備える化粧料容器100について説明した。しかしながら、ピストン6を有しない化粧料容器であってもよい。また、前述の実施形態では、容器本体2と先筒3とが相対回転することによって化粧料Mを繰り出す繰出機構(容器本体2、先筒3、雌螺子部材4、押棒5及びラチェット部材7)を備える化粧料容器100について例示した。しかしながら、化粧料容器の繰出機構の構成は、この例に限られず適宜変更可能である。更に、化粧料容器は、化粧料を繰り出す繰出機構を有しなくてもよく、例えば、繰出機構に代えて、ノック式等の押出機構を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…キャップ、2b…ローレット、2d…凹部、3…先筒、3A…第1樹脂部、3b…開口、3B…第2樹脂部、3c…収容領域、3d…テーパ面、3f…凸部、3g…鍔部、3h…挿入部、3j…拡径部、3k…前端部、3m…テーパ部、4…雌螺子部材、4b…雌螺子、4c…筒部、4d…凸部、4f…挿入領域、5…押棒、5b…雄螺子、5c…挿入部、5d…鍔部、6…ピストン、6b…第1凹部、6c…第2凹部、7…ラチェット部材、7b…スリット、7c…バネ部、7d…前側筒部、7f…後側筒部、7g…突条、7h…本体部、7j…突条、8…パイプ材、8b…後端部、8c…前端部、11…外キャップ、12…内キャップ、100…化粧料容器、L…軸線方向、M…化粧料、R…ラチェット機構、T…螺合部。
図1
図2
図3
図4
図5