(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】給湯方法、給湯システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/174 20220101AFI20240207BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240207BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240207BHJP
F24H 15/156 20220101ALI20240207BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20240207BHJP
F24H 15/223 20220101ALI20240207BHJP
F24H 15/315 20220101ALI20240207BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20240207BHJP
F24H 15/421 20220101ALI20240207BHJP
【FI】
F24H15/174
F24H1/00 A
F24H1/18 G
F24H15/156
F24H15/219
F24H15/223
F24H15/315
F24H15/36
F24H15/421
(21)【出願番号】P 2020187143
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 秀人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 和樹
(72)【発明者】
【氏名】辰己 敏也
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091613(JP,A)
【文献】特開2016-044888(JP,A)
【文献】特開2004-233024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱タンク内の熱を給水と熱交換する第1の給湯ユニットと、前記第1の給湯ユニットを通じて流入する温水の温度に応じて前記温水を第2の給湯ユニットで加熱する給湯方法であって、
給湯開始時または設定タイミングに、前記蓄熱タンク内の上層に貯められた第1の熱媒の温度を検出する処理と、
前記第2の給湯ユニット内の第2の熱媒の温度を検出する処理と、
前記第1の熱媒の温度が第1の閾値以上であり、かつ前記第2の熱媒の温度が第2の閾値未満の場合、前記第2の給湯ユニットを動作させて、少なくとも前記第2の熱媒を加熱する第1の暖機モードを実行する処理と、
前記第1の熱媒の温度が前記第1の閾値を下回ったときに、前記第2の給湯ユニットで第2の暖機モードを実行する処理と、
を含むことを特徴とする給湯方法。
【請求項2】
前記第1の暖機モードは、
前記第2の給湯ユニットで前記第2の熱媒と前記温水を熱交換させない指示情報を通知する処理と、
前記第2の給湯ユニットを燃焼させて、第1の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱する処理と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の給湯方法。
【請求項3】
前記第2の暖機モードは、
前記第2の給湯ユニットを燃焼させて第2の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱する処理と、
前記第1の給湯ユニットから流入した前記温水の一部を前記第2の給湯ユニットの熱交換部側に流して、前記第2の給湯ユニットの熱交換管路内を加熱する処理と、
を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯方法。
【請求項4】
さらに、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する処理と、
前記温水の温度が給湯設定温度未満の場合、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて前記第2の熱媒を加熱する処理と、
混合手段を切替えて前記温水の一部または全部を前記第2の熱媒と熱交換させて前記給湯設定温度で出湯させる処理と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載の給湯方法。
【請求項5】
さらに、前記第2の給湯ユニットが前記温水を加熱処理していない場合、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する処理と、
記憶部に格納された前記第2の熱媒の閾値データベースから前記第2の閾値を読み出す工程と、
検出した前記温水温度と給湯設定温度に基づいて前記閾値データベースから前記第2の閾値を抽出して前記第2の熱媒の検出温度と対比する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載の給湯方法。
【請求項6】
熱源から熱を回収した第1の熱媒を貯める蓄熱タンクと、
前記蓄熱タンク内の熱を給水と熱交換して給湯する第1の給湯ユニットと、
前記第1の給湯ユニットから給湯路を通じて流入する温水を給湯設定温度で出湯する第2の給湯ユニットと、
給湯開始時または設定タイミングに、前記蓄熱タンク内の上層側に貯められた第1の熱媒の温度を検出する第1の温度センサーと、
前記第2の給湯ユニット内の第2の熱媒の温度を検出する第2の温度センサーと、
前記第1の熱媒の温度が第1の閾値以上であり、かつ前記第2の熱媒の温度が第2の閾値未満の場合、前記第2の給湯ユニットを動作させて、少なくとも前記第2の熱媒を加熱する第1の暖機モードを実行するとともに、前記第1の熱媒の温度が前記第1の閾値を下回ったときに、前記第2の給湯ユニットで第2の暖機モードを実行する制御部と、
を備えることを特徴とする給湯システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の暖機モードの実行により、前記第2の給湯ユニットで前記第2の熱媒と温水を熱交換させない指示情報を通知するとともに、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて、第1の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱させることを特徴とする請求項6に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記温水と前記第2の熱媒を熱交換させる熱交換部を備え、
前記制御部は、前記第2の暖機モードの実行により、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて第2の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱するとともに、前記第1の給湯ユニットから流入した湯の一部を前記熱交換部側に流して、前記第2の給湯ユニットの熱交換管路内を加熱することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記給湯路を通じて前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する第3の温度センサーと、
前記熱交換部で前記第2の熱媒と熱交換した前記温水と、前記熱交換部をバイパスした前記温水とを混合して温水の温度を調整する温度調整部と、
を備え、
前記制御部は、前記温水の温度が前記給湯設定温度未満の場合、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて前記第2の熱媒を加熱するとともに、前記温度調整部の混合比率を切替えて前記給湯設定温度で出湯させる、
ことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかの請求項に記載の給湯システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記温度調整部を通じて前記熱交換部で熱交換前の前記温水が給湯されており、前記第2の熱媒の温度が前記第1の設定温度以上の場合、前記第2の給湯ユニットの燃焼を停止させることを特徴とする請求項9に記載の給湯システム。
【請求項11】
前記給湯路を通じて前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する第3の温度センサーと、
前記第2の熱媒の温度に対して前記温水温度および前記給湯設定温度に関連付けて登録された前記第2の閾値を含む閾値データベースを記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、検出した前記温水温度と前記給湯設定温度に基づいて前記閾値データベースから前記第2の閾値を抽出して前記第2の熱媒の検出温度と対比することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかの請求項に記載の給湯システム。
【請求項12】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
給湯開始時または設定タイミングに、第1の給湯ユニットの蓄熱タンク内の上層側に貯められた第1の熱媒の検出温度を取得する機能と、
第2の給湯ユニット内の第2の熱媒の検出温度を取得する機能と、
前記第1の熱媒の温度が第1の閾値以上であり、かつ前記第2の熱媒の温度が第2の閾値未満の場合、前記第2の給湯ユニットを動作させて、少なくとも前記第2の熱媒を加熱する第1の暖機モードを実行させる機能と、
前記第1の熱媒の温度が前記第1の閾値を下回ったときに、前記第2の給湯ユニットで第2の暖機モードを実行させる機能と、
を前記コンピュータで実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
前記第1の暖機モードは、
前記第2の給湯ユニットで前記第2の熱媒と前記温水を熱交換させない指示情報を通知する機能と、
第1の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱するように前記第2の給湯ユニットを燃焼させる機能と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記第2の暖機モードは、
第2の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱するように前記第2の給湯ユニットを燃焼させる機能と、
前記第1の給湯ユニットから流入した前記温水の一部を前記第2の給湯ユニットの熱交換部側に流す機能と、
を含むことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
さらに、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の検出温度を取得する機能と、
前記温水の温度が給湯設定温度未満の場合、前記第2の熱媒を加熱するように前記第2の給湯ユニットを燃焼させる機能と、
前記温水の一部または全部を前記熱交換部側に流入させるように混合手段を切替え、前記第2の熱媒との熱交換により前記給湯設定温度で出湯させる機能と、
を含むことを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれかの請求項に記載のプログラム。
【請求項16】
さらに、前記第2の給湯ユニットが前記温水を加熱処理していない場合、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の検出温度を読み込む機能と、
記憶部に格納された前記第2の熱媒の閾値データベースから前記第2の閾値を読み出す機能と、
検出した前記温水温度と給湯設定温度に基づいて前記閾値データベースから前記第2の閾値を抽出して前記第2の熱媒の検出温度と対比する機能と、
を含むことを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれかの請求項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源から回収して貯めた熱エネルギーを給湯加熱に利用する熱利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
熱源で発生する排熱で加熱した熱媒を蓄熱タンクに溜めて蓄熱し、この蓄熱と給水とを熱交換により加熱して給湯することが行われている。そして給湯により蓄熱タンク内の熱が消費されていき、蓄熱タンク内の熱のみでは給湯設定温度での給湯ができなくなると、蓄熱により加熱された温水を給湯機などにより加熱して、要求された温度で出湯するものがある。
このような給湯システムに関し、放熱循環路に設置したセンサーにて測定される湯水の温度が設定温度よりも低い場合、バーナー燃焼装置を働かせてバーナー加熱式熱交換器にて湯水を設定温度にまで昇温させるものがある(たとえば、特許文献1)。
また給湯開始時、貯湯タンクの温水温度が設定温度未満の場合、給湯開始時から給湯停止に至るまで補助熱源器の下限能力を超えない低レベルの温度に調整して補助熱源器による追加加熱を行うことが知られている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-238333号公報
【文献】特開2003-148804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、給湯システムでは、第1の加熱手段である蓄熱タンク内の蓄熱状態を監視しており、その蓄熱量が減ったことを契機に給湯機などの第2の加熱手段の燃焼を開始させているが、給湯流量の多少や外気温度の高低などの影響により、蓄熱量が不足状態となったときに第2の加熱手段の燃焼処理が間に合わなくなるおそれがある。そのため、給湯システムでは、蓄熱タンク内の熱媒の温度が給湯要求に対する設定温度、すなわち給湯設定温度で給湯できない状態になる前に第2の加熱手段側の燃焼を開始させる処理を採用するものがある。
しかしながら、給湯システムでは、蓄熱タンク内の蓄熱状態のみを第2の加熱手段の動作開始処理の契機とすると、蓄熱の消費タイミングに対して第2の加熱手段の燃焼開始が早すぎる場合がある。第2の加熱手段の燃焼開始が早いと第2の加熱手段内部の温度が高くなりすぎるほか、第2の加熱手段側の熱を利用した加熱処理が開始されるまでの時間が長くなるために、放熱によるエネルギーロスなどが発生するおそれがある。また、第2の加熱手段側では、高温状態を維持して加熱処理を開始するまで待機していたにも関わらず給湯停止となった場合、エネルギーロスが大きくなる。また、給湯システムでは、蓄熱タンク内の蓄熱状態の監視条件を変更して蓄熱の消費タイミングを早くするなどの調整制御を行うとしても、給湯設定温度や流量などの条件が一定ではないため、第2の加熱手段の燃焼開始タイミングに対応させるには処理が複雑化するという課題がある。
【0005】
本発明の発明者は、第2の加熱手段内の温度状態に応じた暖機処理を行うことで、第2の加熱手段での加熱処理が必要になる前に、第2の加熱手段内の温度を設定状態に維持させることで、蓄熱タンク内の蓄熱の消費タイミングに対応した第2の加熱手段による加熱処理が行えるとの知見を得た。
【0006】
斯かる課題について、特許文献1または特許文献2に開示された構成では問題を解決することはできないものである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、外気温度などの条件に関わらず、第1の加熱手段の単独での給湯から第2の加熱手段による加熱処理への移行に際し、給湯温度を安定化させることにある。
また本発明の他の目的は、第2の加熱手段側でのエネルギーロスの軽減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の給湯方法の一側面は、蓄熱タンク内の熱を給水と熱交換する第1の給湯ユニットと、前記第1の給湯ユニットを通じて流入する温水の温度に応じて前記温水を第2の給湯ユニットで加熱する給湯方法であって、給湯開始時または設定タイミングに、前記蓄熱タンク内の上層に貯められた第1の熱媒の温度を検出する処理と、前記第2の給湯ユニット内の第2の熱媒の温度を検出する処理と、前記第1の熱媒の温度が第1の閾値以上であり、かつ前記第2の熱媒の温度が第2の閾値未満の場合、前記第2の給湯ユニットを動作させて、少なくとも前記第2の熱媒を加熱する第1の暖機モードを実行する処理と、前記第1の熱媒の温度が前記第1の閾値を下回ったときに、前記第2の給湯ユニットで第2の暖機モードを実行する処理とを含む。
【0009】
上記給湯方法において、前記第1の暖機モードは、前記第2の給湯ユニットで前記第2の熱媒と前記温水を熱交換させない指示情報を通知する処理と、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて、第1の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱する処理とを含んでよい。
上記給湯方法において、前記第2の暖機モードは、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて第2の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱する処理と、前記第1の給湯ユニットから流入した前記温水の一部を前記第2の給湯ユニットの熱交換部側に流して、前記第2の給湯ユニットの熱交換管路内を加熱する処理とを含んでよい。
上記給湯方法において、さらに、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する処理と、前記温水の温度が給湯設定温度未満の場合、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて前記第2の熱媒を加熱する処理と、混合手段を切替えて前記温水の一部または全部を前記第2の熱媒と熱交換させて前記給湯設定温度で出湯させる処理とを含んでよい。
上記給湯方法において、さらに、前記第2の給湯ユニットが前記温水を加熱処理していない場合、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する処理と、記憶部に格納された前記第2の熱媒の閾値データベースから前記第2の閾値を読み出す工程と、検出した前記温水温度と給湯設定温度に基づいて前記閾値データベースから前記第2の閾値を抽出して前記第2の熱媒の検出温度と対比する工程とを含んでよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の給湯システムの一側面は、熱源から熱を回収した第1の熱媒を貯める蓄熱タンクと、前記蓄熱タンク内の熱を給水と熱交換して給湯する第1の給湯ユニットと、前記第1の給湯ユニットから給湯路を通じて流入する温水を給湯設定温度で出湯する第2の給湯ユニットと、給湯開始時または設定タイミングに、前記蓄熱タンク内の上層側に貯められた第1の熱媒の温度を検出する第1の温度センサーと、前記第2の給湯ユニット内の第2の熱媒の温度を検出する第2の温度センサーと、前記第1の熱媒の温度が第1の閾値以上であり、かつ前記第2の熱媒の温度が第2の閾値未満の場合、前記第2の給湯ユニットを動作させて、少なくとも前記第2の熱媒を加熱する第1の暖機モードを実行するとともに、前記第1の熱媒の温度が前記第1の閾値を下回ったときに、前記第2の給湯ユニットで第2の暖機モードを実行する制御部とを備える。
【0011】
上記給湯システムにおいて、前記制御部は、前記第1の暖機モードの実行により、前記第2の給湯ユニットで前記第2の熱媒と温水を熱交換させない指示情報を通知するとともに、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて、第1の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱させてよい。
上記給湯システムにおいて、前記温水と前記第2の熱媒を熱交換させる熱交換部を備え、前記制御部は、前記第2の暖機モードの実行により、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて第2の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱するとともに、前記第1の給湯ユニットから流入した湯の一部を前記熱交換部側に流して、前記第2の給湯ユニットの熱交換管路内を加熱してよい。
上記給湯システムにおいて、前記給湯路を通じて前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する第3の温度センサーと、前記熱交換部で前記第2の熱媒と熱交換した前記温水と、前記熱交換部をバイパスした前記温水とを混合して温水の温度を調整する温度調整部とを備え、前記制御部は、前記温水の温度が前記給湯設定温度未満の場合、前記第2の給湯ユニットを燃焼させて前記第2の熱媒を加熱するとともに、前記温度調整部の混合比率を切替えて前記給湯設定温度で出湯させてよい。
上記給湯システムにおいて、前記制御部は、前記温度調整部から前記熱交換部で熱交換前の前記温水が給湯されており、前記第2の熱媒の温度が前記第1の設定温度以上の場合、前記第2の給湯ユニットの燃焼を停止させよい。
上記給湯システムにおいて、前記給湯路を通じて前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の温度を検出する第3の温度センサーと、前記第2の熱媒の温度に対して前記温水温度および前記給湯設定温度に関連付けて登録された前記第2の閾値を含む閾値データベースを記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、検出した前記温水温度と前記給湯設定温度に基づいて前記閾値データベースから前記第2の閾値を抽出して前記第2の熱媒の検出温度と対比してよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面は、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、給湯開始時または設定タイミングに、第1の給湯ユニットの蓄熱タンク内の上層側に貯められた第1の熱媒の検出温度を取得する機能と、第2の給湯ユニット内の第2の熱媒の検出温度を取得する機能と、前記第1の熱媒の温度が第1の閾値以上であり、かつ前記第2の熱媒の温度が第2の閾値未満の場合、前記第2の給湯ユニットを動作させて、少なくとも前記第2の熱媒を加熱する第1の暖機モードを実行させる機能と、前記第1の熱媒の温度が前記第1の閾値を下回ったときに、前記第2の給湯ユニットで第2の暖機モードを実行させる機能を前記コンピュータで実行させる。
【0013】
上記プログラムにおいて、前記第1の暖機モードは、前記第2の給湯ユニットで前記第2の熱媒と前記温水を熱交換させない指示情報を通知する機能と、第1の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱するように前記第2の給湯ユニットを燃焼させる機能とを含んでよい。
上記プログラムにおいて、前記第2の暖機モードは、第2の設定温度になるまで前記第2の熱媒を加熱するように前記第2の給湯ユニットを燃焼させる機能と、前記第1の給湯ユニットから流入した前記温水の一部を前記第2の給湯ユニットの熱交換部側に流す機能とを含んでよい。
上記プログラムにおいて、さらに、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の検出温度を取得する機能と、前記温水の温度が給湯設定温度未満の場合、前記第2の熱媒を加熱するように前記第2の給湯ユニットを燃焼させる機能と、前記温水の一部または全部を前記熱交換部側に流入させるように混合手段を切替え、前記第2の熱媒との熱交換により前記給湯設定温度で出湯させる機能とを含んでよい。
上記プログラムにおいて、さらに、前記第2の給湯ユニットが前記温水を加熱処理していない場合、前記第2の給湯ユニット内に流入した前記温水の検出温度を読み込む機能と、記憶部に格納された前記第2の熱媒の閾値データベースから前記第2の閾値を読み出す機能と、検出した前記温水温度と給湯設定温度に基づいて前記閾値データベースから前記第2の閾値を抽出して前記第2の熱媒の検出温度と対比する機能とを含んでよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のいずれかのような効果が得られる。
(1) 第2の加熱手段を多段階で暖機処理することで、第2の加熱手段の加熱処理における給湯温度の安定化が図れる。
(2) 第1の加熱手段である蓄熱タンク内の蓄熱状態の監視に加え、第2の加熱手段側の温度状態を監視し、それらの監視結果に応じて第2の加熱手段側の内部温度を制御することで、蓄熱タンク内の蓄熱の消費タイミングに対応した第2の加熱手段による加熱処理が行える。
(3) 予め低温での第2の加熱手段の暖機を行い、加熱処理への移行直前に高温での暖機を行うことで、給湯要求が停止した場合でも、第2の加熱手段側のエネルギーロスの低減が図れる。
(4) 外気温度や季節などの給湯システムの設置環境や時期条件に関わらずに第2の加熱手段による加熱制御が安定化できるので、利便性の向上が図れる。
(5) 第2の加熱手段内の熱媒の温度に応じて、暖機処理の実行が判断されるので、無駄な暖機処理によるエネルギーロスを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る給湯処理の一例を示すフローチャートである。
【
図2】第1の暖機処理における給湯システムの動作状態例を示す図である。
【
図3】第2の暖機処理における給湯システムの動作状態例を示す図である。
【
図4】第2の実施形態に係る給湯システムの構成例を示す図である。
【
図5】蓄熱単独モードによる給湯システムの動作状態例を示す図である。
【
図6】加熱処理モードによる給湯システムの動作状態例を示す図である。
【
図7】BB単独モードによる給湯システムの動作状態例を示す図である。
【
図8】給湯システムの制御部の構成例を示す図である。
【
図9】蓄熱タンクの上層側の構成例を示す図である。
【
図10】ベースシフト閾値の設定温度条件の一例を示す図である。
【
図11】各部の検出温度の変化状態および給湯モードの設定例を示す図である。
【
図12】給湯ユニット(4-1)の給湯モードの遷移例を示すフローチャートである。
【
図13】給湯ユニット(4-2)の給湯モードの遷移例を示すフローチャートである。
【
図14】給湯ユニット(4-1)側の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】給湯ユニット(4-2)側の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係る給湯処理の工程例を示している。
図1に示す工程は、本開示の給湯処理方法、プログラムの一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この給湯処理は、蓄熱タンク8に貯めた熱を利用して給湯する給湯ユニット4-1と、給湯ユニット4-1から流入した温水を通過させ、または給湯設定温度に加熱する給湯ユニット4-2を含む給湯システム2の動作処理の一例である。この給湯ユニット4-1は、本開示の第1の給湯ユニットの一例である。また給湯ユニット4-2は、本開示の第2の給湯ユニットの一例である。この給湯処理には、たとえば
図1に示すように、給湯開始工程(S101)、蓄熱タンク8内の熱媒HM1の温度が第1の閾値以上かを判断する工程(S102)、給湯ユニット4-2内の熱媒HM2の温度が第2の閾値未満かを判断する工程(S103)、給湯ユニット4-2を第1の暖機処理する工程(S104)、給湯ユニット4-2を第2の暖機処理する工程(S105)、給湯処理(S106)を含んでいる。
【0017】
給湯開始工程(S101): 給湯システム2は、たとえば図示しない給湯栓の開操作やリモコン装置60(
図8)に対する入力操作を契機とし、または給湯ユニット4-1に接続した給水管路14-1への給水Wの流入を契機に給湯開始モードに移行する。給湯システム2では、制御部6または給湯ユニット4-1、給湯ユニット4-2に設置された図示しない給湯制御ユニットが、給湯開始を契機に給水Wの流量や水温などを計測するとともに、給湯設定温度での給湯処理を行うための運転制御を行う。
蓄熱タンク8内の熱媒HM1の温度が第1の閾値以上かを判断する工程(S102): 給湯システム2は、給湯ユニット4-1の蓄熱タンク8内に設置した温度センサー12-1により、熱媒HM1の検出温度T1を計測する。蓄熱タンク8は、本開示の蓄熱タンクの一例である。熱媒HM1は、本開示の第1の熱媒の一例である。そして給湯システム2では、その検出温度T1が第1の閾値以上であることを判断する。この第1の閾値は、たとえば蓄熱タンク8内に貯められた熱媒HM1のみで給湯設定温度の温水HWが生成できる温度が設定される。
給湯処理では、温度センサー12-1で計測した熱媒HM1の温度が第1の閾値以上の場合(S102のYES)、S103に移行し、第1の閾値に達しない場合(S102のNO)、S105に移行する。
【0018】
給湯ユニット4-2内の熱媒HM2の温度が第2の閾値未満かを判断する工程(S103): 給湯システム2は、たとえば給湯ユニット4-2内に設置した温度センサー12-2で検出した熱媒温度T2または、温度センサー12-3で検出した熱媒温度T3のいずれか一方または両方の温度に基づいて、熱媒HM2の温度を判断する。熱媒HM2は、本開示の第2の熱媒の一例である。給湯システム2では、熱媒HM2の温度が第2の閾値未満か否かを判断する。この第2の閾値は、給湯運転時に熱媒HM2に対して維持させる最低温度の一例である。
給湯ユニット4-2を第1の暖機処理する工程(S104): 給湯システム2では、給湯ユニット4-2内の熱媒HM2の熱媒温度T2、T3が第2の閾値未満の場合(S103のYES)、給湯ユニット4-2に対して第1の暖機処理を行う。第1の暖機処理では、給湯ユニット4-2の燃焼処理を開始して熱媒HM2を加熱する。給湯システム2では、たとえば給湯ユニット4-2内の熱媒HM2の温度が第2の閾値を越えるように加熱処理をすればよい。
そして給湯システム2では、蓄熱タンク8内の熱媒HM1の検出温度T1の監視を継続させる。
【0019】
給湯ユニット4-2を第2の暖機処理する工程(S105): 給湯システム2では、蓄熱タンク8内の熱媒HM1の温度が第1の閾値未満になった場合(S102のNO)、給湯ユニット4-2を利用した加熱処理へ移行準備のために、給湯ユニット4-2の内部を設定温度になるように暖機する。加熱処理は、給湯ユニット4-1内の蓄熱のみで給湯が出来ない場合や、または蓄熱の消費量を減らす運転モードに移行したときに、給湯ユニット4-1から流入した温水HWを給湯ユニット4-2で給湯設定温度まで加熱する処理である。
第2の暖機処理は、第1の暖機処理よりも高い温度が設定される。
給湯処理(S106): 給湯システム2では、たとえば第2の暖機処理を行っているときや第2の暖機処理が完了した後に、給湯ユニット4-1内の熱媒HM1の蓄熱が消費されていき、単独での給湯が出来ない状態となった場合、給湯ユニット4-2を利用した加熱処理や、さらに給湯ユニット4-2のみで給水Wを加熱し、給湯設定温度まで加熱する処理を行う。
【0020】
<第1の暖機処理について>
図2は、第1の暖機処理を実行する給湯システムの構成例を示している。
図2に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この給湯システム2では、たとえば
図2に示すように、給湯路14-3を介して給湯ユニット4-1と給湯ユニット4-2が連結され、給湯ユニット4-1から給湯ユニット4-2に対して給湯設定温度の温水HWが流される。またこの給湯システム2では、蓄熱タンク8内の蓄熱状態により、給湯路14-3内に給湯設定温度未満の温水LHWや加熱されていない給水Wを流す場合もある。
熱源装置10は、給湯ユニット4-1の蓄熱タンク8の上部側に接続され、加熱された熱媒HM1を供給する。
蓄熱タンク8は、たとえば開放式のタンクであり、熱源装置10で発生した熱が熱媒HM1を通じて回収されてタンク内部に貯められている。蓄熱タンク8の上層部側の所定位置に温度センサー12-1が設置されている。蓄熱タンク8には、たとえば温度センサー12-1よりも上層側と底部側面側に、熱媒循環路14-2が接続されている。この熱媒循環路14-2は、熱交換器16に接続されており、熱交換器16では給水管路14-1に流れる低温の給水Wと熱媒HM1の熱とが熱交換される。給水管路14-1には、たとえば水道水などが流入し、給水圧力によって管路内を給水Wが流れる。熱媒循環路14-2には、蓄熱タンク8に戻る管路上に循環ポンプ18が設置され、この循環ポンプ18は蓄熱タンク8と熱媒循環路14-2との間で熱媒HM1を循環させる。
【0021】
給湯ユニット4-2には、たとえば給湯路14-3と接続した給水管路14-4、その下流にあるバイパス管路14-5、出湯管路14-6のほか、給水管路14-4に接続され、熱交換器28側に温水HWを流して熱交換させる熱交換管路14-7を備える。
給湯ユニット4-2には、たとえば温水HW又は冷水を加熱するための熱源部として、熱媒HM2を循環させる熱媒循環路14-8と、熱媒循環路14-8内に熱媒HM2を循環させる循環ポンプ26や、熱媒HM2を加熱するバーナー24、一時的に熱媒HM2を貯める熱媒タンク30を備えている。
第1の暖機処理において、給湯ユニット4-2では、混合弁22の開度を調整して、給水管路14-4を通じて供給された温水HWがバイパス管路14-5を通じて出湯管路14-6から出湯可能となっている。
給湯ユニット4-2は、第1の暖機処理として、熱媒HM2が所定流量になるように循環ポンプ26を回転させるとともに、バーナー24の燃焼を開始して、熱媒HM2の温度を上昇させる。
なお、給湯システム2では、たとえば第1の暖機処理を行っている間に、蓄熱タンク8内の温度が第1の閾値未満となった場合には、第1の暖機処理を終了し、第2の暖機処理に移行する。
【0022】
<第2の暖機処理について>
図3は、第2の暖機処理を実行する給湯システムの構成例を示している。
図3に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
給湯システム2では、第1の暖機処理の後、蓄熱タンク8内の蓄熱状態の変化に応じて、給湯ユニット4-2に対し、第2の暖機モードを実行する。すなわち、この給湯システム2では、たとえば制御部6の指示に基づいて、熱媒HM2が所定流量になるように循環ポンプ26を回転させるとともに、バーナー24の燃焼を開始して、熱媒HM2の温度を上昇させ、熱媒循環路14-8の内部を所定の温度に加熱させる。また制御部6の指示に基づいて、流入した温水HWの一部が熱交換器28を通過して流されるように混合弁22の開度を調整し、熱媒HM2やこの供給された温水HWによって熱交換器28や熱交換管路14-7の内部を所定温度に加熱させる。
【0023】
<第1の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が期待できる。
(1) 給湯ユニット4-1のみでの給湯が可能であって、給湯ユニット4-2内の熱媒HM2の温度が低すぎる場合、熱媒HM2の温度状態を安定化させるために、暖機処理を行うことで、給湯ユニット4-2の利用開始時に、給湯加熱処理の安定化や、給湯設定温度になるまでの迅速性が図れる。
(2) 給湯ユニット4-1内の蓄熱タンク8内の蓄熱状態が低下したのに応じて、給湯ユニット4-2内の熱媒循環路14-8内部を加熱させることで、給湯加熱処理の安定化や、給湯設定温度になるまでの迅速性が図れる。
(3) 給湯ユニット4-1内の蓄熱タンク8内の蓄熱状態の変化に応じて、給湯ユニット4-2の内部を段階的に暖機していくことで、給湯処理モードの遷移に対する応答性を高めるとともに、給湯停止時のエネルギーロスの低減が図れる。
(4) 給湯ユニット4-2内の熱媒温度T2、T3に応じて、第1の暖機処理を行い、熱媒HM2の温度を所定温度に維持させることで、外気温度が低い場合や、季節ごとに給湯システム2の運転制御を切替える必要がなく、利便性が高められる。
【0024】
〔第2の実施形態〕
図4は、第2の実施形態に係る給湯システムの構成例を示している。
図4に示す構成は一例であり、本発明がこの構成に限定されない。また、
図4において、
図2または
図3と同一部分には同一の符号を付している。
この給湯システム40は、たとえば
図4に示すように、給湯ユニット4-1、給湯ユニット4-2を備えるとともに、給湯ユニット4-1の熱源ユニットである熱源装置42を備える。
【0025】
<給湯ユニット4-1の構成について>
給湯ユニット4-1は、熱源装置42の熱を回収した熱媒HM1が貯められる蓄熱タンク8を備える。蓄熱タンク8には、熱源装置42との間で熱媒循環路14-11を備えており、タンク下層側にある低温の熱媒HM1が熱源装置42側に流され、熱交換によって高温となった熱媒HM1がタンクの上層側に戻される。これにより、蓄熱タンク8には、下層側から上層側に向けて低温から高温の階層状態で蓄熱されている。
また、給湯ユニット4-1には、温水HWの生成側の構成として、給水管路14-1を通じて流入した給水Wを、熱交換器16側に流す熱交換管路14-9と、熱交換器16をバイパスして給湯路14-3側に流すバイパス管路14-10を備える。給水管路14-1には、給水Wの流入温度を検出する温度センサー12-4や、給水流量を検出する流量センサー44が設置されている。これらの検出温度T4や検出流量は給湯制御に利用される。熱交換管路14-9では、給水管路14-1から流入した給水Wの一部または全部が熱交換器16で熱交換され、給湯路14-3側に流される。給湯路14-3には、熱交換管路14-9とバイパス管路14-10が混合弁20を介して接続されている。混合弁20では、熱交換管路14-9とバイパス管路14-10に対する開度が設定されることで、熱交換により加熱された温水HWとバイパスした給水Wとの混合比率が調整される。熱交換管路14-9には、熱交換器16よりも下流側に熱交換後の温水HWの温度を検出するための温度センサー12-5が設置されている。また、給湯路14-3には、混合弁20を通して給水Wと混合された後の温水HWの温度を検出する温度センサー12-6を備える。
【0026】
蓄熱タンク8には、たとえばタンク上層側の高温の熱媒HM1を取出して熱交換器16側に流し、給水Wとの熱交換によって冷却された低温の熱媒HM1をタンクの底部側に戻す熱媒循環路14-2を備える。熱媒循環路14-2には、熱媒HM1を循環させるための駆動源として、循環ポンプ18を備える。給湯ユニット4-1では、循環ポンプ18を駆動することにより、熱媒HM1が熱媒循環路14-2を通じて熱交換器16に流れて熱媒HM1と給水Wが熱交換することで、給水Wから温水HWが生成される。生成された温水HWは、給湯路14-3を通じて給湯ユニット4-2に出湯される。
【0027】
さらに蓄熱タンク8には、たとえば上層の熱媒温度を検出する温度センサー12-1のほか、中層および下層に熱媒温度を検出する複数の温度センサー12-12、12-13、12-14が設置されている。
熱媒循環路14-2には、蓄熱タンク8の上層から流入した直後の熱媒温度を検出する温度センサー12-15が設置されている。
そのほか、給湯ユニット4-1には、少なくとも熱媒HM1側の温度状態の監視処理や熱媒HM1との熱交換による温水HWの生成処理を制御する制御部48-1を備える。この制御部48-1は、たとえば各温度センサー12-1、12-4、12-5、12-6、12-12、12-13、12-14、12-15、循環ポンプ18、流量センサー44、混合弁20と有線または無線などによって接続されている。
【0028】
<給湯ユニット4-2について>
給湯ユニット4-2は、流入した給湯ユニット4-1で生成された温水HWまたは給湯ユニット4-1を通過した給水Wを、給湯設定温度まで加熱し、または加熱処理を行わずにそのまま給湯負荷側に向けて出湯する。
給湯ユニット4-2には、たとえば温水の生成側の構成として、給湯路14-3に連結した給水管路14-4を通じて流入した温水HWまたは給水Wを、熱交換器28に流す熱交換管路14-7と、熱交換器28をバイパスして出湯管路14-6側に流すバイパス管路14-5を備える。給水管路14-4には、温水HWまたは給水Wの流入温度を検出する温度センサー12-7や、流量センサー45が設置されている。給湯時、給湯ユニット4-1から給湯路14-3を通じて流れる温水HWまたは給水Wの流量は流量センサー45で検出される。これらの給水温度T7や検出流量は給湯制御に利用される。熱交換管路14-7では、給水管路14-4から流入した温水HWや給水Wの一部または全部が熱交換器28で熱交換され、出湯管路14-6側に流される。出湯管路14-6には、熱交換管路14-7とバイパス管路14-5が混合弁22を介して接続されている。混合弁22では、熱交換管路14-7とバイパス管路14-5に対する開度が設定されることで、熱交換により加熱された温水HWとバイパスした給水Wとの混合比率が調整される。
【0029】
給湯ユニット4-2には、熱交換器28を通じて温水HWや給水Wと熱交換するための加熱処理部43が構成されている。この加熱処理部43には、たとえば第2の熱媒HM2を流す熱媒循環路14-8、熱媒HM2を熱交換器46により加熱するバーナー24、循環ポンプ26、開放式タンクである熱媒タンク30や熱交換器46よりも上流側の温度を検出する温度センサー12-2や、加熱後であって温水HWや給水Wとの熱交換前の温度を検出する温度センサー12-3を備える。バーナー24は、ガス燃料の燃焼により燃焼熱を生じさせ、熱交換器46に燃焼排気を流す熱源の一例である。
なお、給湯ユニット4-2の熱媒HM2を加熱するための熱源は、燃焼熱に限られず、電熱や太陽熱であってもよい。
【0030】
そのほか熱媒循環路14-8には、熱媒タンク30が備えられており、循環する熱媒HM2を熱媒タンク30内に流入させ滞留させることで、熱媒HM2の循環圧力が制御される。
さらに給湯ユニット4-2には、少なくとも熱媒HM2の温度状態の監視処理や熱媒HM2との熱交換による温水HWの生成処理を制御する制御部48-2を備える。この制御部48-2は、たとえば各温度センサー12-2、12-3、12-7、12-8、12-9、バーナー24、循環ポンプ26、流量センサー45、混合弁22と有線または無線などによって接続されている。
【0031】
<熱源装置42について>
熱源装置42には、熱媒HM1に回収させる熱エネルギーの供給元として、熱源50を備える。この熱源50は、たとえば反応熱などが生じる燃料電池ユニット、燃焼排気を発生させるエンジン発電機のほか太陽熱や地熱などの自然エネルギーの回収手段が含まれる。熱源50には、熱供給路52が接続されており、熱源50から供給される熱媒HM3を熱交換器54側に流す。熱媒循環路14-11には、たとえば蓄熱タンク8から熱媒HM1を圧送するための循環ポンプ56が接続されるほか、熱媒HM1の熱交換前後の温度を検出するための温度センサー12-10、12-11を備えている。そして熱供給路52は、熱交換器54で熱交換された排気などを外気などに排出する。熱源装置42では、熱媒循環路14-11を流れる熱媒HM1が熱源50から供給される熱媒HM3の熱エネルギーと熱交換して加熱される。
【0032】
<給湯システム40による給湯動作制御について>
給湯ユニット4-1では、たとえば温水HWの生成処理として、給湯設定温度より高い温度になるように給水Wと熱媒HM1の熱交換を行う。そして温水HWは、熱交換管路14-9を通じて混合弁20側に流される。そして混合弁20では、熱交換管路14-9側とバイパス管路14-10側の開度比率に応じた混合比で温水HWに給水Wが混合される。
【0033】
(1) 蓄熱単独モード
給湯ユニット4-1には、たとえば
図5に示すように、温水HWの生成処理の1つとして、単独で給水Wを加熱し、給湯ユニット4-2による加熱処理を行わずに給湯設定温度で温水HWを出湯させる蓄熱単独モードが設定されている。この蓄熱単独モードでは、蓄熱タンク8が給湯設定温度の温水HWを生成するのに必要な熱量を熱媒HM1による蓄熱というかたちで貯めており、熱媒HM1と給水Wとを熱交換して加熱された温水HWのみ、またはその加熱された温水HWと給水Wの混合水により給湯設定温度の温水HWを出湯させることができる。このとき、給湯ユニット4-2は、たとえば給湯ユニット4-1から流入した温水HWと熱媒HM2とを熱交換させないように混合弁22の開度を出湯管路14-6側に全開に設定すればよい。
制御部48-1(
図4)は、たとえば蓄熱タンク8の上層の検出温度T1が温度センサー12-4で検出した給水Wの検出温度T4(
図4)を超えているか(T1>T4)を判定し、T1>T4であれば、熱交換器16の出口側に設置した温度センサー12-5で検出した温水HWの検出温度T5(
図4)が給湯設定温度以上になるように循環ポンプ18の回転数制御を行う。さらに、制御部48-1は、給湯路14-3において、温度センサー12-6で検出した温水HWの出湯温度T6(
図4)が給湯設定温度になるように混合弁20の開度を設定する。
【0034】
(2) 加熱処理モード
加熱処理モードは、蓄熱タンク8内の熱を利用して給水Wを給湯設定温度未満まで加熱したのち、その温水HWを給湯設定温度になるように、給湯ユニット4-2側で加熱する処理の一例である。給湯システム40では、たとえば
図6に示すように、蓄熱単独モードで給湯を継続中や給湯開始時に行う蓄熱状態の監視処理において、蓄熱タンク8の上層温度を検出する温度センサー12-1の検出温度T1が閾値温度を下回った場合、給湯ユニット4-1が貯めた熱量不足と判断し、給湯ユニット4-2を動作させて加熱処理モードを実行する。この時、バーナー24の燃焼熱量は熱交換後の熱媒HM2が所定温度になるように調整される。これにより、熱媒HM1の熱量不足をバーナー24による加熱で増加した熱媒HM2の熱量により補填する。
【0035】
制御部48-2(
図4)は、温度センサー12-7の給水温度T7(
図4)が給湯設定温度を下回った場合には、給湯路14-3から給湯ユニット4-2の熱交換器28に給湯要求温度未満の温水LHWを流入させ、熱媒HM2と温水LHWの熱交換を行って、温水LHWを加熱し温水HWを生成する。熱交換後の温水HWは混合弁22に流される。そして、混合弁22では、熱交換管路14-7側とバイパス管路14-5側の開度比率に応じた混合比で、熱交換後の温水HWに熱交換前の温水LHWを混合する。制御部48-2(
図4)は、たとえば熱交換後の温水HWの検出温度T8(
図4)が給湯設定温度より高ければ、給湯設定温度になるように混合弁22の開度比率を設定し、出湯させる。
【0036】
(3) BB単独モード
給湯システム40には、たとえば
図7に示すように、温水HWの生成処理の1つとして、流入した給水Wを給湯ユニット4-1で加熱せずに給湯ユニット4-2側に流し、給湯ユニット4-2が単独で給水Wを加熱して給湯設定温度で温水HWを出湯させるBB単独モードが設定されている。このBB単独モードでは、たとえば給湯ユニット4-1の蓄熱タンク8内の熱エネルギーが消費されたことで、蓄熱タンク8から閾値以上の熱媒HM1が無くなり、または無くなる可能性が生じた場合、蓄熱タンク8内の熱エネルギーを利用した温水HWの生成を停止させる。給湯ユニット4-2では、バーナー24で加熱により得た熱媒HM2の熱エネルギーを利用して温水HWを生成する。このとき制御部48-2(
図4)は、たとえば給水管路14-4を通じて流入した給水Wの給水温度T7(
図4)に基づいて、混合弁22の開度制御やバーナー24の燃焼制御、循環ポンプ26の回転数制御などを行なえばよい。
【0037】
さらに、この給湯システム40では、給湯ユニット4-1と給湯ユニット4-2を用いた給湯動作として、以下のような制御処理を行う。斯かる制御処理は、蓄熱タンク8内の蓄熱状態や給湯ユニット4-2内の熱媒HM2の温度状態などの条件に応じて、制御モードを切替えることで、要求された給湯設定温度での給湯処理を継続させる。
【0038】
(4) ベースシフトモード
このベースシフトモードは、本開示の第1の暖機処理の一例であり、たとえば
図2に示すように、給湯ユニット4-1が蓄熱単独モードで給湯運転しているタイミングで実行する処理の一例である。
給湯ユニット4-2では、たとえば給湯開始時に、熱媒循環路14-8内の熱媒HM2の温度情報を取得し、その温度が設定された閾値(
図1の第2の閾値)に達しているか否かを判断する。そして、制御部48-2(
図4)では、熱媒HM2の温度が閾値未満の場合には、バーナー24の燃焼を開始させるとともに循環ポンプ26を駆動し、熱媒HM2を熱交換器46(
図4)でバーナー24の燃焼排気と熱交換させて、その温度が閾値になるまで加熱させる。
【0039】
このベースシフトモードは、所謂アンダーシュートなどの発生を防止する制御である。たとえば外気温度や給湯ユニット4-2の設置環境などの条件により熱媒HM2の温度は低下する。熱媒HM2の温度が低下したまま加熱処理モードなどに移行すると、熱媒HM2が温水HWを給湯設定温度に加熱するために必要な設定温度に到達するまでの時間が長くなり、一時的に給湯温度が低下し、アンダーショートが起こる。
【0040】
(5) プリヒートモード
プリヒートモードは、本開示の第2の暖機処理の一例であり、たとえば
図3に示すように、給湯ユニット4-1が蓄熱単独モードで給湯運転を継続した結果、蓄熱タンク8内の熱エネルギーが消費されていき、温度センサー12-1の検出温度T1が閾値(
図1の第1の閾値)未満となったときに、給湯設定温度未満の温水LHWに対する加熱処理の開始前に先行して給湯ユニット4-2内の熱交換部である熱交換器28、熱交換管路14-7、および熱媒循環路14-8内の温度を所定値まで暖機する処理である。
【0041】
<制御部の構成例について>
図8は、給湯システムの制御部の構成例を示している。
図8に示す構成は一例である。
この制御部6には通信機能を備えるコンピュータで構成される制御部48-1、48-2、およびリモコン装置60のリモコン制御部62が含まれる。
制御部48-1は、給湯ユニット4-1の制御手段であり、プロセッサ64-1、メモリ部66-1、システム通信部68-1、入出力部(I/O)70-1を備え、給湯ユニット4-1の給湯制御を行う。
プロセッサ64-1は、メモリ部66-1にあるOS(Operating System)や給湯制御プログラムの演算処理を実行する。そしてプロセッサ64-1は、システム通信部68-1を介して制御部48-2やリモコン制御部62と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。
メモリ部66-1は、記憶領域であるROM(Read-Only Memory)やプログラムなどの演算領域であるRAM(Random-Access Memory)などが含まれる。このメモリ部66-1はデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。メモリ部66-1には、たとえば給湯処理に利用するデータベース(DB)の一例として、閾値DBを備える。この閾値DBには、たとえば蓄熱タンク8内の熱媒HM1の検出温度に対する給湯処理の設定情報や混合弁20の開度情報などの閾値が含まれる。
システム通信部68-1は、制御部48-2、リモコン制御部62側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。
I/O70-1には給湯ユニット4-1にある温度センサー12-1などの各種温度センサー、流量センサー44から検出信号を受け、混合弁20や循環ポンプ18の制御信号を出力する。
【0042】
制御部48-2は、給湯ユニット4-2の制御手段であり、プロセッサ64-2、メモリ部66-2、システム通信部68-2、I/O70-2を備える。
プロセッサ64-2は、メモリ部66-2にあるOSや給湯制御プログラムの演算処理を実行する。そしてプロセッサ64-2は、システム通信部68-2を介して制御部48-1やリモコン制御部62と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。
メモリ部66-2にはROMやRAMが含まれる。このメモリ部66-2にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。ROMには、たとえば加熱処理部43内の熱媒HM2の温度条件、給湯流量に対し、第1の暖機処理であるベースシフトモードを実行するときの熱媒HM2の閾値温度やバーナー24の燃焼制御情報、ベースシフトモードにて加熱した熱媒HM2の上限温度などの閾値情報が格納される。
システム通信部68-2は、制御部48-1、リモコン制御部62側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。
I/O70-2には給湯ユニット4-2にある温度センサー12-2などの各種温度センサー、流量センサー45から検出信号を受け、混合弁22、バーナー24、循環ポンプ26に対する制御信号を生成し、出力する。
【0043】
リモコン制御部62は給湯ユニット4-1、給湯ユニット4-2と独立したリモコン装置60に備えられ、制御部48-1、48-2とコンピュータ通信により連携する。
【0044】
<蓄熱タンク8の温度センサー12-1の設置位置について>
図9は、
図4のIX部を拡大して示している。
温度センサー12-1は、たとえば
図9に示すように、蓄熱タンク8の上層側に設置されている。この温度センサー12-1の設置位置は、たとえばバーナー24を利用した加熱処理部43の加熱能力や加熱速度に基づいて決めてよい。給湯システム40では、温度センサー12-1の検出温度T1を蓄熱タンク8内の蓄熱状態の判断基準に利用しており、かつ給湯システム40の給湯モードの切替え基準となっている。すなわち、蓄熱タンク8は、上方にいくほど熱媒HM1の温度が高くなるように階層状態で蓄熱することから、この温度センサー12-1の設置高さと同程度の高さに貯められている熱媒HM1は同程度の温度状態であると想定できる。そして、給湯システム40では、温度センサー12-1よりも上層にある熱媒HM1が検出温度T1よりも高い状態であって、温度センサー12-1よりも高い位置の容積分が検出温度T1以上で給湯可能な蓄熱量であると判断できる。図中、破線72は上層側の熱媒HM1と、下層側の低温の熱媒LHM1の分水嶺の仮想線を示している。
【0045】
この給湯システム40では、給湯ユニット4-1で単独給湯が可能な蓄熱状態のときに給湯ユニット4-2内部の熱媒HM2の温度を所定温度に維持させるベースシフトモードを行うとともに、温度センサー12-1の検出温度T1に基づいて単独給湯が出来なくなる前に給湯ユニット4-2内の熱交換部側を暖機するプリヒートモードを実行する。これにより、給湯システム40は、外気温度が低い場所や季節であっても給湯ユニット4-2側の熱媒HM2の加熱時間が短くでき、かつ安定的な温度状態となるので、温度センサー12-1の設置位置を高くしてプリヒートモード開始を遅らせることができるほか、容積の小さい蓄熱タンクを利用することができる。
【0046】
図10は、ベースシフト閾値の給湯設定温度条件例を示すグラフである。
図10に示す設定値や温度変化の傾向などは一例である。
ベースシフト閾値は、本発明の第2の閾値の一例であり、少なくとも給湯ユニット4-2のメモリ部66-2にデータベースとして格納されている。このベースシフト閾値のデータには、給湯システム40がベースシフトモードを実行するときに用いる閾値情報が含まれる。ベースシフト閾値は、たとえば
図10に示すように、給湯設定温度、もしくは給湯ユニット4-2による加熱処理において加熱する設定温度ごとに、給湯流量L〔L/min〕対する熱媒HM2の閾値温度〔℃〕の関係で示されている。これにより制御部48-2は、たとえばこの閾値データベースを読み込んで、各閾値情報および熱媒HM2の温度からベースシフトモードへの移行要否判断を行い、ベースシフトモードへ移行した場合はバーナー24の燃焼処理を実行する。また、このベースシフト閾値の設定温度は、本発明の第1の設定温度の一例であって、ベースシフトモードにおいて熱媒HM2を加熱する設定温度となる。
【0047】
制御部48-2は、たとえば給湯ユニット4-2に流入する給湯流量がL0からL1の範囲であって、熱媒HM2の温度がTX1未満の場合、給湯設定温度に関わらず、熱媒HM2の温度がTX1以上になるように燃焼制御を行う。また、制御部48-2は、給湯流量がL1を基準とし、それ以上の給湯流量である場合には、給湯設定温度に応じて設定された閾値温度に基づいてベースシフトモードへの移行および燃焼制御を行う。
給湯設定温度がTS1〔℃〕以下の場合、熱媒HM2の閾値温度は、たとえば給湯流量がL1以上からL5の値に対して、TX1〔℃〕からTX4〔℃〕の間で比例的に増加するように設定されている。また、給湯流量L5以上の場合には、熱媒HM2の閾値温度は、TX4となっている。
給湯設定温度が(TS2-TS3)〔℃〕の場合、熱媒HM2の閾値温度は、たとえば給湯流量がL1-L2の間で急激にTX1〔℃〕からTX2〔℃〕に変化し、さらに、給湯流量L2からL4の間は緩やかな上昇であって、熱媒HM2の閾値温度がTX2からTX5に変化する。給湯流量L4以上の場合には、熱媒HM2の閾値温度は、TX5となっている。
給湯設定温度が(TS4-TS5)〔℃〕の場合、熱媒HM2の閾値温度は、たとえば給湯流量がL1-L2の間で急激にTX1〔℃〕からTX3(>TX2)〔℃〕に変化し、さらに、給湯流量L2からL3の間は緩やかな上昇であって、熱媒HM2の閾値温度がTX3からTX6に変化する。給湯流量L3以上の場合には、熱媒HM2の閾値温度は、TX6となっている。
このように、ベースシフトモードを実行する場合には、給湯設定温度が高くなるほど給湯要求の給湯流量Lの変化による熱媒HM2の閾値温度の変化が大きくなる。
【0048】
図10に示すベースシフト閾値は、たとえば複数の異なる給湯流量の給湯要求条件で出湯させたときの蓄熱タンク8内の蓄熱量の減少傾向や給湯ユニット4-1から給湯設定温度で出湯可能な時間情報の組み合せと、給湯ユニット4-2の熱媒HM2の加熱速度などとの相関関係を割り出して設定すればよい。そのほか、給湯システム40の内、給湯ユニット4-2の設置環境などの状況に応じて、ベースシフト閾値の算出処理や調整処理を行ってもよい。
【0049】
図11のA、B、C、D、Eは給湯処理における温度変化の状態を表しており、
図11のFは、給湯運転モードの動作タイミングを表している。
図11のAは、蓄熱タンク8内に設置した温度センサー12-1の検出温度T1(実線)と、蓄熱タンク8の上層側から熱交換器16側に向けて循環する熱媒HM1の検出温度T15(破線)を表している。給湯システム40では、たとえば
図11のFに示すように、給湯が開始すると給湯ユニット4-1による蓄熱単独運転モードで動作する。このとき、給湯ユニット4-1では、熱媒HM1が給水Wと熱交換することで蓄熱が消費されていき、所定のタイミングで蓄熱タンク8の温度センサー12-1の位置における熱媒HM1の検出温度T1が徐々に低下していく。このとき熱媒循環路14-2には、タンク上層の高温の熱媒HM1が流れるため、温度センサー12-15の検出温度T15は温度変化が無く、または微小な変化となっている。給湯処理が継続すると、温度センサー12-1の検出温度T1がさらに低下していき、その低下に連動して、温度センサー12-15の検出温度T15も低下していく。
そして、給湯システム40では、検出温度T1が閾値以下となると、給湯ユニット4-2に対してプリヒートモード(
図11のF)による暖機処理を開始させた後、さらに後述する給湯ユニット4-1の出湯温度T6の低下に応じて給湯ユニット4-2を加熱処理モードに移行する。そして、給湯システム40は、熱媒HM1の蓄熱量がさらに減少していくと、熱媒HM1と給水Wとの熱交換を停止させ、給湯ユニット4-2のみで加熱処理させるBB単独モード(
図11のF)に移行させる。
【0050】
給湯ユニット4-1の出湯温度T6は、たとえば
図11のBに示すように、蓄熱単独運転モード(
図11のF)において、出湯開始から急激に増加して給湯設定温度まで上昇したのち、その給湯設定温度で維持される。給湯ユニット4-1では、たとえば給水Wの検出温度T4と熱媒HM1の検出温度T15、流量センサー44の検出流量に基づいて、混合弁20の開度を調整し、給湯設定温度での出湯を実現する。給湯システム40では、熱媒HM1での熱交換によって給湯設定温度での出湯が可能な内にプリヒートモードを開始していく。そしてさらに給湯処理が継続すると、給湯ユニット4-1では、出湯温度T6が低下していき、熱媒HM1の熱交換のみで給湯設定温度の出湯が出来なくなり、給湯ユニット4-2により給湯設定温度まで温水を加熱する加熱処理モードに移行する。このとき給湯ユニット4-1では、たとえば加熱処理モードが実行されると、蓄熱タンク8内の蓄熱を継続的に、かつ有効利用するため、混合弁20の開度を調整して、熱媒HM1との熱交換後の温水HWに対して給水Wの混入量を多くし、出湯温度T6を低く調整してもよい。
そして給湯ユニット4-1は、蓄熱タンク8内の蓄熱量がさらに減少して、BB単独モードが開始されると、熱交換器16側に給水Wを流入させず、そのまま給湯ユニット4-2側に流すため、出湯温度T6が給水Wの温度と同等になる。
【0051】
図11のC、D、Eは、給湯ユニット4-2側の温度変化を表している。
給湯ユニット4-2からの出湯温度T9は、たとえば
図11のCに示すように、給湯が開始されると、配管内部に滞留していた低温の水が出湯管路14-6側に流され低温を示し、給湯ユニット4-1で加熱された温水HWが流入すると、徐々に温度が上がり給湯設定温度となる。そして給湯システム40では、給湯ユニット4-2に対してプリヒートモードを実行させた後に、給湯ユニット4-1によって給湯設定温度未満まで加熱された温水LHWへの加熱処理、BB単独処理に移行させても、出湯温度T9の温度変化が無く、または微小な範囲内に留めることができる。
【0052】
給湯ユニット4-2に対する給水温度T7は、たとえば
図11のDに示すように、給湯ユニット4-1の給湯路14-3を通じて供給される温水HW、温水LHW、または給水Wを検出している。給水温度T7は、蓄熱単独モードが実行されているときは給湯設定温度が検出されているが、加熱処理モードに移行すると急激に温度が低下していく。
【0053】
給湯ユニット4-2の熱媒HM2の熱媒温度T3は、たとえば
図11のEに示すように、熱媒温度T3がベースシフト閾値よりも低い場合、蓄熱単独運転モードで給湯が開始されるのに合せて、ベースシフトモードが実行され、バーナー24の燃焼排気との熱交換により温度が上昇していく。給湯ユニット4-2の制御部48-2は、閾値データベースに基づいて、熱媒HM2が閾値温度になるようにバーナー24の燃焼量や循環ポンプ26の回転制御を行う。さらに給湯ユニット4-2では、プリヒートモードが実行されると、所定の熱媒温度T3になるようにバーナー24を燃焼させて熱媒HM2を加熱していく。給湯ユニット4-2では、加熱処理モードおよびBB単独モードにおいても、熱媒温度T3を維持するように燃焼制御していく。
【0054】
<給湯ユニット4-1の給湯処理について>
図12は、給湯ユニット4-1の運転モードの遷移例を示している。
図12に示す工程は、本開示の給湯処理方法、プログラムの一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
給湯ユニット4-1は、たとえば
図12に示すように、蓄熱タンク8内に高温の熱媒HM1が貯められている満蓄状態のときに給湯栓などが開栓されると、給水Wが流入して流量がONとなり(S201)、給湯システム40の出湯が開始される。
給湯システム40は、給湯ユニット4-1に対して蓄熱単独モードでの動作を指示する(S202)。また給湯システム40は、給湯開始後に、給湯要求と給湯ユニット4-1による給湯能力の監視として、必要熱媒流量QAを算出し、給湯ユニット4-1の限界熱媒流量QPとの対比を行う(S203)。この必要熱媒流量QAは、給湯ユニット4-1のみで給湯設定温度の温水HWを出湯するために必要な熱媒循環流量である。この必要熱媒流量QAは、たとえば給湯設定温度情報、給水Wの検出温度T4、蓄熱タンク8内の温度センサー12-1の検出温度T1、給湯ユニット4-1側の給湯能力として、たとえば24号で給湯できることなどの条件により算出される。すなわち、この必要熱媒流量QAは、たとえば蓄熱単独モードでの給湯が継続されて蓄熱量の減少である熱媒HM1の温度が低下していく場合や、入水温度が低温である場合、もしくは給湯設定温度が高温である場合に増加する。
限界熱媒流量QPは、給湯ユニット4-1による出湯可能な給湯能力の一例であり、たとえば熱媒循環路14-2内に熱媒HM1を流す循環ポンプ18の最大流量である、20(L/min)などが設定される。この処理では、給湯要求に対して給湯ユニット4-1が蓄熱単独モードで給湯可能か否かを監視している。
【0055】
給湯システム40は、算出した必要熱媒流量QAが限界熱媒流量QPよりも小さい場合(S203のNO)、蓄熱タンク8内に単独での給湯が可能な蓄熱能力があるとして、蓄熱単独モードで給湯を行う。このとき、給湯システム40は、たとえば蓄熱タンク8内の温度T1の検出温度に基づいて、給湯ユニット4-2側に対してベースシフトモード制御などを行えばよい。
また給湯システム40は、必要熱媒流量QAが限界熱媒流量QPよりも大きくなった場合(S203のYES)、給湯ユニット4-2に対してバーナー24の燃焼許可を含む熱交換指示を出力する(S204)。
【0056】
給湯システム40は、給湯ユニット4-1による単独での給湯能力が不足し始めたと判断すると、熱媒循環路14-2内に流れる熱媒HM1の加熱能力について監視処理として、必要熱媒流量QBを算出し、限界熱媒流量QPとの対比を行う(S205)。この必要熱媒流量QBは、熱媒循環路14-2内に流れる熱媒HM1によって、給湯設定温度の温水HWを出湯するために必要な熱媒循環流量である。この必要熱媒流量QBは、たとえば給湯設定温度情報、給水Wの検出温度T4、蓄熱タンク8から出湯直後であり、給水Wとの熱交換前の温度センサー12-15による検出温度T15、給湯ユニット4-1側の給湯能力として、たとえば24号で給湯できることなどの条件により算出される。
給湯システム40は、算出した必要熱媒流量QBが限界熱媒流量QPよりも小さい場合(S205のNO)、蓄熱タンク8内に単独での給湯が可能な蓄熱能力があるとして、蓄熱単独モードで給湯を行う。給湯システム40は、必要熱媒流量QBが限界熱媒流量QPよりも大きくなった場合(S205のYES)、給湯ユニット4-2に対して加熱処理モードに移行する指示を出力する(S206)。
【0057】
また、給湯システム40は、給湯ユニット4-1に対する給水Wの温度T4と蓄熱タンク8から出湯した熱媒HM1の温度を監視する(S207)。そして給湯システム40は、熱媒HM1の温度T15が給水の温度T4+所定温度として5℃より低くなった場合(S207のYES)、給湯ユニット4-2によるBB単独モードに移行させる(S208)。
【0058】
<給湯ユニット4-2の給湯処理について>
図13は、給湯ユニット4-2の給湯モードの遷移例を示している。
図13に示す処理内容、処理手順は一例である。
給湯ユニット4-2は、たとえば
図13に示すように、給湯ユニット4-1の蓄熱タンク8内に高温の熱媒HM1が貯められている満蓄状態のときに給湯栓などが開栓されると、給水Wが流入して流量がONとなり(S301)、出湯が開始される。給湯ユニット4-2は、満蓄状態の給湯ユニット4-1による蓄熱単独モードが実行されていることから、ベースシフトモードが設定され(S302)、熱媒HM2の温度を監視し、その温度条件に応じて、HM2を含む給湯ユニット4-2の暖機処理を行う。
給湯ユニット4-2は、熱媒循環路14-8内の熱媒HM2の温度が設定条件に達した場合、燃焼を停止させる(S303)。なお、給湯ユニット4-2は、たとえば給湯ユニット4-1の単独運転中に暖機処理を継続し、熱媒循環路14-8内の熱媒HM2の温度が低下した場合、再び燃焼を開始させて暖機を行えばよい。
【0059】
給湯ユニット4-2は、バーナー24の燃焼許可を含む熱交換指示があるまで(S304のNO)でベースシフトモードを継続させ、熱交換指示があれば(S304のYES)、プリヒートモードに移行する(S305)。プリヒートモードでは、給湯ユニット4-1による単独給湯中であって給湯ユニット4-2による加熱処理が開始される前に、熱媒HM2を含む加熱処理部43の内部に対して第2の暖機処理を行う。
【0060】
給湯ユニット4-2は、給湯ユニット4-1から給湯路14-3を通じて流入する温水LHWまたは給水Wの温度を監視し(S306)、この温度が給湯設定温度-所定温度(ここでは、2℃)よりも低くなるまで待機する(S306のNO)。そして、給湯ユニット4-2は、流入する温水LHWまたは給水Wの温度が給湯設定温度-2℃よりも低い場合(S306のYES)、熱媒HM2との熱交換により加熱する出湯処理に移行する(S307)。この給湯ユニット4-2の出湯処理(S307)には、給湯ユニット4-1内の熱媒HM1の蓄熱状態に応じて、加熱処理やBB単独運転処理が含まれる。
【0061】
<給湯ユニット4-1側の給湯制御について>
図14は、給湯ユニット4-1側の給湯制御処理を示している。
図14に示す処理内容および処理手順は一例である。
給湯ユニット4-1の制御部48-1は、給湯要求の有無の判断として、流量がONになったか否かを判断する(S401)。流量のONは、流量センサー44による給水流量の検出で判断されればよい。流量がONとなった場合(S401のYES)、制御部48-1は、蓄熱単独モードか否かを判断する(S402)。蓄熱単独モードでの給湯運転は、たとえば蓄熱タンク8の温度センサー12-1の検出温度T1が閾値以上である場合に判断される。
また、制御部48-1は、流量がONとなっていない場合(S401のNO)には、給湯要求が発生するまで待機する。
【0062】
蓄熱単独モードで給湯運転が行われている場合(S402のYES)、制御部48-1は、給湯設定温度で出湯できるように、混合弁20の開度を設定する(S403)とともに、熱媒HM1を循環させる循環ポンプ18の運転制御を行う(S404)。そして制御部48-1は、給湯ユニット4-2の制御部48-2に対して「熱交換の指示なし」の指示情報を出力する(S405)。「熱交換の指示なし」の指示情報は、給湯ユニット4-2に対してベースシフトモードを実行して、加熱処理部43内の熱媒HM2を設定温度以上になるように暖機させるものである。具体的指示内容は、混合弁22の開度を制御して温水HWが熱交換管路14-7側に流入して熱交換させないようにすること、熱媒HM2が設定温度以上になるようにバーナー24を制御して燃焼処理を行うこと及び循環ポンプ26を制御して回転数を調整することなどの動作指示が含まれる。
【0063】
制御部48-1は、蓄熱単独モードでの給湯運転ではないと判断した場合(S402のNO)、プリヒートモードが設定されているか否かを判断する(S406)。プリヒートモード設定は、たとえば温度センサー12-1の検出温度T1が給湯設定温度よりも高く設定された閾値未満となった場合に判断される。プリヒートモードが設定されると(S406のYES)、制御部48-1は、給湯設定温度で出湯できるように混合弁20の開度を設定する(S407)とともに、循環ポンプ18の運転制御を行う(S408)。
制御部48-1は、給湯ユニット4-2の制御部48-2に対して「熱交換の指示あり」の指示情報を出力する(S409)。この「熱交換の指示あり」の指示情報には、たとえば給湯ユニット4-2に対してプリヒートモードを実行して、加熱処理部43内の熱媒HM2を設定温度以上に加熱するとともに、混合弁22の開度を変更し、温水HWの一部を熱交換管路14-7に流入させることで、熱交換部を暖機させる指示が含まれる。
【0064】
制御部48-1は、プリヒートモードでの給湯運転ではないと判断した場合(S406のNO)、加熱処理モードが設定されているか否かを判断する(S410)。加熱処理モード設定は、たとえば温度センサー12-1の検出温度T1が閾値温度未満となっており、蓄熱タンク8内の熱媒HM1のみで給湯設定温度の熱交換ができない場合に判断される。加熱処理モードが設定される(S410のYES)と、制御部48-1は、混合弁20の開度を中間位置で固定させる(S411)とともに、循環ポンプ18の運転制御を行う(S412)。
制御部48-1は、給湯ユニット4-2の制御部48-2に対して「熱交換の指示あり」の指示情報を出力する(S413)。この「熱交換の指示あり」の指示情報には、たとえば給湯ユニット4-2に対して加熱処理モードを実行し、給湯ユニット4-1から流入した温水LHWの温度に応じてバーナー24の燃焼制御や循環ポンプ26の回転数を制御することで、温水LHWを加熱し、給湯設定温度になるように制御させる指示が含まれる。
【0065】
制御部48-1は、加熱処理モードでの給湯運転ではないと判断した場合(S410のNO)、BB単独モードが設定される(S414)。BB単独モードが設定されると(S414)、制御部48-1は、混合弁20の開度を中間位置で固定させる(S415)とともに、循環ポンプ18を停止させる(S416)。
制御部48-1は、給湯ユニット4-2の制御部48-2に対して「熱交換の指示あり」の指示情報を出力する(S417)。この「熱交換の指示あり」の指示情報には、たとえば給湯ユニット4-2のみで給湯設定温度の温水HWを出湯させる指示が含まれる。
【0066】
<給湯ユニット4-2側の給湯制御について>
図15は、給湯ユニット4-2側の給湯制御処理を示している。
図15に示す処理内容および処理手順は一例である。
給湯ユニット4-2では、たとえば
図15に示すように、給湯ユニット4-1から温水HW、温水LHWまたは給水Wが流入すると、運転処理が開始される。
給湯ユニット4-2の制御部48-2は、給湯要求の有無の判断として、流量がONになったか否かを判断する(S501)。流量のONは、流量センサー45による給水流量の検出で判断されればよい。流量がONとなった場合(S501のYES)、制御部48-2は、「熱交換の指示あり」の指示情報を受けているか否かを判断する(S502)。「熱交換あり」の指示情報ではなく(S502のNO)、「熱交換の指示なし」の指示情報を受けた場合には、ベースシフトモードを実行するか否かの判断に移行する。このとき給湯ユニット4-2では、流量ONによって温水HWが流入しているにもかかわらず、その温水HWに対する熱交換が不要であることから、制御部48-2は、蓄熱単独モードで給湯されているものと判断すればよい。
制御部48-2は、バーナー24で熱媒HM2が加熱される熱交換器46よりも上流にある温度センサー12-2の熱媒温度T2が閾値TXよりも高い温度か否かを判断する(S503)とともに、熱交換器46よりも下流側の熱媒温度T3が閾値TXよりも低いか否かを判断する(S504)。給湯ユニット4-2の制御部48-2は、メモリ部66-2からベースシフト閾値のデータベースを読み出し、給湯設定温度や給湯流量の情報に基づいて閾値TXを設定すればよい。この熱媒HM2の温度判断により、熱媒温度T2、T3のどちらかが閾値TX未満の場合(S503のNO、S504のYES)、ベースシフトモード制御を開始する(S505)。そして、制御部48-2は、熱媒温度T2、T3のいずれもが閾値TXよりも高い温度となり熱媒HM2が暖機されると(S506のYES)、ベースシフトモード制御を停止させる(S507)。
【0067】
また、制御部48-2は、「熱交換の指示あり」の指示情報を受けた場合(S502のYES)、バーナー24の燃焼制御を行う(S508)。この燃焼制御では、たとえば、給湯ユニット4-2に流入する温水HW、温水LHWまたは給水Wの給水温度T7に応じて、プリヒートモードか、加熱処理モードか、もしくはBB単独モードかを判断し、バーナー24の燃焼量や循環ポンプ26の動作制御を行う。
制御部48-2は、たとえば給水温度T7が、給湯設定温度-TL〔℃〕未満か否かを判断する(S509)。この温度TLは、給湯ユニット4-2に設定された給湯運転モードの設定、もしくは給湯ユニット4-1の給湯能力(蓄熱状態)を判断するための閾値であり、1または運転モードの種類に応じて、複数の値が設定されてもよい。
制御部48-2は、給水温度T7が、給湯設定温度-TL〔℃〕」未満の場合(S509のYES)、給湯設定温度が出せるように、混合弁22を操作して熱交換部側に流す流量と、熱交換部をバイパスさせる温水HWの流量を調整すればよい(S510)。
【0068】
<第2の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、以下のいずれかの効果が得られる。
(1) 第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(2) 給湯ユニット4-1による単独給湯中に、給湯ユニット4-2内でベースシフトモードによる暖機処理を行って熱媒HM2を所定温度以上に維持させることで、加熱処理モードの開始時に、加熱処理部43側の温水LHWを加熱するために必要な時間が不足して、給湯温度が一時的に低下するのを防止できる。
(3) ベースシフトモードによって熱媒HM2を暖機して温度を安定化させるとともに、プリヒートモードによって蓄熱タンク8内の熱媒HM1によって単独給湯ができなくなる前に先行して加熱処理部43を動作させて、熱交換部内を暖機することで、季節や給湯システム40の設置環境による影響を抑えて、設定温度での給湯を維持することができる。
(4) ベースシフトモードとプリヒートモードによる2段階の暖機処理により、運転モードの切替えに対するバーナー24による熱媒HM2の加熱処理が迅速化できるので、小さい容積のタンクを利用する場合でも蓄熱状態を判断する温度センサー12-1の設置位置を変更させることで設定温度での給湯を維持することができ、装置の利便性や信頼性が向上する。
(5) ベースシフトモードにより暖機して熱媒HM2の温度が安定化できることで、蓄熱タンク8内の熱媒HM1によって蓄熱量が消費されてしまう前のプリヒート時間を短縮できる。そして、プリヒート時間が短縮することで、加熱処理までの熱媒HM2の加熱時間を短縮できるほか、給湯要求が途中で停止しても、プリヒートモードにおける総燃焼量の減少により、燃料ガスや熱エネルギーの無駄を減少できる。
〔変形例〕
【0069】
以上説明した実施形態について、その変形例を以下に列挙する。
【0070】
(1) 上記実施形態では、ベースシフトモードを実行するための判断基準として、給湯ユニット4-2内の熱媒HM2の温度を利用する場合を示したがこれに限らない。給湯システム2、40では、たとえば給湯ユニット4-2が設置された位置の外気温度を計測し、この外気温度に応じてベースシフトを実行させてもよい。
【0071】
(2) 上記実施形態では、ベースシフトモードの実行処理が給湯ユニット4-1による給湯運転の開始を契機としているが、これに限らない。給湯ユニット4-2は、熱媒HM2の温度が閾値未満となったことを契機に暖機を行うためにベースシフトモードを実行してもよい。また、給湯ユニット4-2は、熱媒HM2の暖機処理による燃焼の無駄を防止するために、たとえば給湯システム2、40に対して給湯要求するユーザによる給湯需要のトレンドデーターを把握しておき、給湯需要が多い時間帯や曜日などでベースシフトモードの実行頻度を増加させてもよい。
【0072】
(3) 給湯システム2、40は、たとえば給湯ユニット4-1の単独給湯が開始されたことを契機に熱媒HM2の検出温度によりベースシフトモードの実行判断を行っているが、これに限らない。給湯システム2、40は、たとえば直近の運転履歴においてベースシフトモードを行ったか否かの蓄積データを参照して、今回の給湯要求時に熱媒HM2に暖機が必要か否かを予測してもよい。さらに、給湯システム2、40は、一定時間内に給湯処理を行ったことのログを記憶しておき、その直近の給湯処理においてベースシフトモードを行った場合や、加熱処理モード、BB単独モードを行っている場合には、熱媒HM2の温度が高くなっているものと判断して、ベースシフトモードの実行判断を省略してもよい。
【0073】
上記実施形態では、ベースシフト閾値のデータベースに設定された温度条件は、給湯ユニット4-2のベースシフトモードを開始する第2の閾値であるとともに燃焼制御の設定温度である第1の設定温度とする場合を示したが、これに限らない。給湯システム2、40では、ベースシフトモードの移行を判断するための熱媒HM2の第2の閾値と、熱媒HM2を加熱するための燃焼制御に対する第1の設定温度を異なる値に設定してもよい。
【0074】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の給湯システムでは、蓄熱を利用した給湯時に、第2の加熱手段側の熱媒の暖機と熱交換器内部を暖機する処理を組み合せることで、第2の加熱手段による加熱処理の開始時に、給湯温度が低下するのを防止でき、有用である。
【符号の説明】
【0076】
2、40 給湯システム
4-1 給湯ユニット
4-2 給湯ユニット
6 制御部
8 蓄熱タンク
10 熱源装置
12-1~12-15 温度センサー
14-1、14-4 給水管路
14-2、14-8、14-11 熱媒循環路
14-3 給湯路
14-5、14-10 バイパス管路
14-6 出湯管路
14-7、14-9 熱交換管路
16、28、54 熱交換器
18、26、56 循環ポンプ
20、22 混合弁
24 バーナー
30 熱媒タンク
42 熱源装置
43 加熱処理部
44、45 流量センサー
46 熱交換器
48-1、48-2 制御部
50 熱源
52 熱供給路
60 リモコン装置
62 リモコン制御部
64-1、64-2 プロセッサ
66-1、66-2 メモリ部
68-1、68-2 システム通信部
70-1、70-2 I/O
72 破線