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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】キャピラリ接続具
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20240207BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G01N30/60 P
G01N30/02 A
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2020562797
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 AU2019050061
(87)【国際公開番号】W WO2019144199
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】2018900263
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2018904542
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520280830
【氏名又は名称】イオン・オプティックス・リサーチ・プロプライエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Ion Opticks Research Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・イアン・ウェブ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーロッド・ジョン・サンドウ
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/032832(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0017534(US,A1)
【文献】特表2011-508890(JP,A)
【文献】特表2015-505939(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0126021(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0198567(US,A1)
【文献】特開昭57-137791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/60
G01N 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャピラリと流体導管との間の流体接続を提供するコネクタ接続具であって、
前記コネクタ接続具は、
前記キャピラリの一端部を受けるキャピラリホルダを含み、
前記キャピラリは、内側キャピラリチューブを含み、前記キャピラリの受けられた端部の前記内側キャピラリチューブは適合性材料のスリーブ内に位置し、
前記コネクタ接続具はまた、
前記キャピラリホルダから延び、前記キャピラリの前記一端部が前記キャピラリホルダに受けられるように通過する開口端部を有する、変形可能部分を含み、
前記変形可能部分は、前記キャピラリホルダ内の前記スリーブの前記適合性材料が変形して前記内側キャピラリチューブを前記コネクタ接続具に連結させて前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するために、前記キャピラリの前記一端部が前記キャピラリホルダに受けられるときに変形するように構成され、
前記コネクタ接続具はまた、
前記キャピラリホルダと流体連通し、前記流体導管の一端部で導管接続具を受けるように構成される受容部分と、を含み、
前記コネクタ接続具は、前記キャピラリと前記流体導管との間にシールされた流体接続を提供するように構成される、コネクタ接続具。
【請求項2】
前記受容部分が、前記導管接続具の係合成分と補完的な係合成分を含み、
前記補完的な係合成分は、前記導管接続具と前記コネクタ接続具との間にシールされた係合が生じるように前記導管接続具を前記受容部分で受容して保持する、
請求項1に記載のコネクタ接続具。
【請求項3】
前記受容部分の前記係合成分が、補完的な前記導管接続具の外側ねじ部と係合するように構成される内側ねじ部を含む、
請求項2に記載のコネクタ接続具。
【請求項4】
前記キャピラリホルダは、前記キャピラリの一端部を受けるキャピラリリセスであり、前記キャピラリは内側キャピラリチューブを前記適合性材料のスリーブ内に含み、
前記変形可能部分は、前記キャピラリリセス内で受けられる前記キャピラリの適合性材料が変形して前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するために変形するように構成され、
接続経路は、前記キャピラリリセスと前記受容部分とを接続して、前記キャピラリと前記流体導管とを流体接続するように構成され、
前記接続経路は、前記キャピラリリセスの端面と前記受容部分の接続面との間に延びる、
請求項1-3のいずれか1つに記載のコネクタ接続具。
【請求項5】
前記変形可能部分は、前記キャピラリリセスで受けられる前記キャピラリの適合性材料が前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するために変形するようクリンプするために構成されるクリンプ可能部分を含む、
請求項4に記載のコネクタ接続具。
【請求項6】
前記接続経路が前記内側キャピラリチューブを受けるように構成される、
請求項4又は5に記載のコネクタ接続具。
【請求項7】
前記接続経路が前記内側キャピラリチューブよりも狭い穴を有する、
請求項4又は5に記載のコネクタ接続具。
【請求項8】
前記キャピラリホルダが前記キャピラリの一端部を受けるとき、前記内側キャピラリチューブも前記適合性材料のスリーブによって受けられるように、前記コネクタ接続具が前記適合性材料のスリーブを含む、
請求項1-3のいずれか1つに記載のコネクタ接続具。
【請求項9】
前記変形可能部分は、前記キャピラリホルダ内で受けられる前記適合性材料のスリーブの前記適合性材料が前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するために変形するようクリンプするために構成されるクリンプ可能部分を含む、
請求項1-3および8のいずれか1つに記載のコネクタ接続具。
【請求項10】
前記キャピラリホルダが前記適合性材料のスリーブを受けて位置決めするように構成されるスリーブ部を含む、
請求項8又は9に記載のコネクタ接続具。
【請求項11】
前記スリーブ部は前記キャピラリホルダの残りの部分よりも大きい直径を有する、
請求項10に記載のコネクタ接続具。
【請求項12】
前記スリーブ部で受けられて配置された前記適合性材料のスリーブが、前記受容部分の端部に適合性のある接触面を提供し、
前記適合性材料のスリーブは、前記受容部分によって受けられる導管接続具が前記適合性のある接触面と接触するように構成される、
請求項10または11に記載のコネクタ接続具。
【請求項13】
前記受容部分が、前記適合性材料のスリーブを前記キャピラリホルダに挿入することによって形成される適合性のある接触面を有するように構成されたシールリセスを含み、
前記シールリセスは、前記導管接続具の先端が適合性のある接触面と当接するように前記導管接続具の先端を中に挿入するように構成される、
請求項1-3および8-11のいずれか1つに記載のコネクタ接続具。
【請求項14】
キャピラリアセンブリであって、
前記キャピラリアセンブリは、
請求項1~13のいずれか1つに記載のコネクタ接続具と、
内側キャピラリチューブを含むキャピラリと、を含み、
前記キャピラリの一端部は前記キャピラリホルダ内に受けられ、適合性材料のスリーブ内に位置決めされ、
前記変形可能部分は、前記適合性材料が変形して前記内側キャピラリチューブを前記コネクタ接続具に連結させ前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するように、変形する、
キャピラリアセンブリ。
【請求項15】
前記キャピラリが前記内側キャピラリチューブを前記適合性材料のスリーブ内に含み、
前記コネクタ接続具は請求項4~7のいずれか1つに記載のコネクタ接続具であり、
前記キャピラリの一端部がキャピラリリセス内に受けられ、前記変形可能部分は前記適合性材料が変形して前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するように変形する、
請求項14に記載のキャピラリアセンブリ。
【請求項16】
前記コネクタ接続具は請求項5に記載のコネクタ接続具であり、
クリンプ可能部分は前記適合性材料が変形して前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するようにクリンプされる、
請求項15に記載のキャピラリアセンブリ。
【請求項17】
前記コネクタ接続具は請求項6に記載のコネクタ接続具であり、
前記内側キャピラリチューブの端部が接続経路内で受けられる、
請求項15又は16に記載のキャピラリアセンブリ。
【請求項18】
前記接続経路が前記キャピラリリセスの前記端面と前記受容部分の前記接続面との間で延び、
前記接続経路内に受けられる前記内側キャピラリチューブがその中を前記受容部分の前記接続面まで延びる、
請求項17に記載のキャピラリアセンブリ。
【請求項19】
前記キャピラリがクロマトグラフィカラムの一部を形成する、
請求項14~18のいずれか1つに記載のキャピラリアセンブリ。
【請求項20】
請求項14~19のいずれか1つに記載のキャピラリアセンブリを組立てる方法であって、
前記方法は、
前記キャピラリの一端部を前記キャピラリホルダ内に挿入するステップと、
前記適合性材料が変形し、前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するように前記変形可能部分を変形させるステップとを含む、
方法。
【請求項21】
前記コネクタ接続具は請求項4~7のいずれか1つに記載のコネクタ接続具であり、
前記キャピラリの一端部を前記キャピラリリセス内に挿入するステップと、
前記適合性材料が変形し前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するように前記変形可能部分を変形させるステップとを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コネクタ接続具は請求項5に記載のコネクタ接続具であり、
前記変形可能部分を変形させるステップは、
前記適合性材料が変形し前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するようにクリンプ可能な部分をクリンプするステップを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コネクタ接続具は請求項6に記載のコネクタ接続具であり、
変形可能部分を変形させる前に、前記内側キャピラリチューブを前記適合性材料のスリーブに対して移動させ、前記内側キャピラリチューブの端部を接続経路内に挿入するステップを含む、
請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
ダミー部品が前記受容部分の前記接続面に当接し前記接続経路と交差して延在するように前記ダミー部品を前記受容部分に挿入するステップと、
前記内側キャピラリチューブを前記適合性材料のスリーブに対して移動させ、前記内側キャピラリチューブが前記ダミー部品と前記受容部分の前記接続面で接触するまで前記内側キャピラリチューブの端部を前記接続経路内に挿入するステップを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コネクタ接続具は請求項8~13のいずれか1つに記載のコネクタ接続具であり、
前記適合性材料のスリーブを前記キャピラリホルダ内に挿入するステップと、
前記内側キャピラリチューブが前記適合性材料のスリーブ内に位置するように前記キャピラリの一端部を前記キャピラリホルダ内に挿入するステップと、
前記適合性材料が変形して前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するように前記変形可能部分を変形させるステップと、を含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記コネクタ接続具は請求項9に記載のコネクタ接続具であり、
前記変形可能部分を変形させるステップは、
前記適合性材料が変形し前記内側キャピラリチューブと前記コネクタ接続具との間にシールを生成するようにクリンプ可能な部分をクリンプするステップを含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コネクタ接続具は請求項10~12のいずれか1つに記載の、または請求項10または11に従属するときの請求項13に記載のコネクタ接続具であり、
前記適合性材料のスリーブを前記キャピラリホルダ内に挿入するステップは、
前記適合性材料のスリーブを、スリーブ部に位置するように第一の方向に沿って挿入するステップを含み、
前記キャピラリの端部は、前記第一の方向に対向する第二の方向に沿って前記キャピラリホルダ内に挿入される、
請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記変形可能部分を変形させる前に、
前記内側キャピラリチューブを前記適合性材料のスリーブの前記受容部分から遠位の一端部に挿入し、前記受容部分の近位の一端部から外に出るように前記キャピラリを前記キャピラリホルダ内に挿入するステップと、
前記内側キャピラリチューブの端部が、前記受容部分に近位の端部と整列する、又は前記受容部分に近位の端部の近傍の位置において前記適合性材料のスリーブ内に配置されるように、前記内側キャピラリチューブを前記適合性材料のスリーブに対して移動させるステップと、を含む、
請求項25~27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
ダミー部品を前記受容部分に挿入し、前記ダミー部品が前記適合性材料のスリーブに当接するまで前記ダミー部品が前記内側キャピラリチューブを移動させる、
請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャピラリと流体導管との間の流体接続を提供するための接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィは、流体混合物の成分を、次に分析及び/又は識別するために分離する分析技法である。クロマトグラフィシステムにおいて、成分と計器部品との間で液体及び気体が接続ラインを通して搬送される。多くの高速液体クロマトグラフィ(HPLC)及び超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)のシステムのほとんどにおいて適用される高圧のため、流体流路の中、及びそれに沿った成分の高圧シールが必要である。
【0003】
HPLC及びUHPLCにおいて、通常、液体はよく制御された流量(例えば、毎分ナノリットルからミリリットルのレンジ)で、且つ、液体の圧縮性が影響しはじめるほどの高圧(通常20-100MPa、200-1000バール、で、現在はさらに200MPa、2000バールまで)で提供されなければならない。HPLC又はUHPLCシステムにおける液体分離のためには、分離される混合物を含むサンプル流体を含む移動相(mobile phase)が、(クロマトグラフィカラム(column)などの)固定相(stationary phase)の中を通され、サンプル流体の異なる混合物が分離され、次に識別可能となる。固定相の材料は、通常数ミクロンの直径を有する粒子などの繊細に分けられた固体又はゲルである。
【0004】
例えば溶媒などの移動相は、固定相材料のカラムの中へ通常高圧下でポンプで送られ、分析されるサンプル(例えば、化学又は生物学的混合物)がカラムに注入される。サンプルが液体のカラムを通過するとき、それぞれが充填媒体に対する異なる親和性を有する異なる混合物は、異なる速度でカラム内を移動する。固定相に対して高い親和性を有する混合物は、低い親和性を有する混合物よりも、カラム内をより低速で移動し、この速度差により、カラムを通過するとき混合物が互いに分離される結果となる。
【0005】
分離された混合物を含む移動相はカラムから出て、例えば分光光度計の吸光又は質量分析計測により分子を識別する検出器を通る。溶出時間又は体積に対する検出器の測定値をクロマトグラムと呼ばれる二次元プロットとして作成可能であり、クロマトグラムから混合物が識別できる。各混合物につき、クロマトグラムは別の曲線又は「ピーク」を示す。カラムによる混合物の効果的な分離は、明確な最大変曲点及び狭いベース幅を有した、良く定義されたピークをもたらす測定を提供するから好都合であり、高い分解能及び混合物内組成物の信頼できる識別が可能となる。
【0006】
望ましいレンジの圧力を保持しつつ、バンド広帯化(band broadening)の原因を最小化又は回避することが望ましい。広いピークは、混合物内の少量の成分が大量の成分によって隠れてしまい、識別されずに終わるおそれがあるから望ましくない。したがって、サンプル作業の際の持越し(すなわち、一時的にトラップされたサンプルが後に開放されること)を最小化又は回避することが望ましい。また、成分間の接続が、キャピラリを含む流体導管の間に存在し得るデッドボリュームを低減又は排除するように構成されることが望ましい。デッドボリュームは、クロマトグラフィシステムの性能に悪影響を及ぼす可能性があるからである。デッドボリュームは、クロマトグラフィのピーク広帯化に大きく影響し得て、その結果、混合物内の個々の成分の識別、定量、又は純化にエラーが起こり得る。
【0007】
キャピラリチューブ用の接続具は、望ましい性能を提供できるように高い信頼性で組み立てることが困難であり得る。特に、キャピラリチューブの端部は、そこに接続具を取り付けるとき、誤って損傷又は破壊し得る。したがって、持越し及びデッドボリュームを最小化しつつ、より高い信頼性での組立てが可能な代替の接続具を提供することが望まれる。
【0008】
したがって、上述の課題に対処する、又は少なくとも有用な代替品を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、キャピラリと流体導管との間の流体接続を提供するコネクタを提供し、
前記コネクタは、
キャピラリの一端部を受けるキャピラリホルダを含み、
キャピラリは、内側キャピラリチューブを含み、キャピラリの受けられた端部の内側キャピラリチューブは適合性材料(compliant material)のスリーブ内に位置し、
コネクタはまた、
キャピラリホルダ内のスリーブの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するために変形するように構成される変形可能部分と、
流体導管の一端部で接続具を受けるように構成される受容部分と、を含み、
キャピラリホルダ及び受容部分が接続されることで、キャピラリと流体導管とが流体接続するようにコネクタが構成される。
【0010】
本発明のコネクタは、クロマトグラフィシステムにおけるキャピラリと流体導管との間の接続を提供するために特に有用であり得るが、そのようなシステムでの使用に限定されない。本発明のコネクタは、キャピラリを流体導管に接続することが望まれる他の応用でも有用かもしれない。コネクタは、ガス及び超臨界流体クロマトグラフィにおけるキャピラリ接続に有用かもしれない。
【0011】
第一の態様において、本発明は、キャピラリと流体導管との間の流体接続を提供するコネクタを提供し、
該コネクタは、
キャピラリの一端部を受けるキャピラリリセスを含み、
該キャピラリは、適合性材料のスリーブ内の内側キャピラリチューブを含み、
コネクタはまた、
キャピラリリセス内で受けられるキャピラリの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するために変形するように構成される変形可能部分と、
流体導管の一端部の接続具を受けるように構成される受容部分と、
キャピラリリセスと受容部分とを接続して、キャピラリと流体導管とが流体接続するように構成される接続経路と、を含む。
【0012】
本発明のコネクタの変形可能部分は、キャピラリリセスで受けられるキャピラリの適合性材料が内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形するようクリンプ(crimp)するために構成されるクリンプ可能部分を含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、接続経路は、内側キャピラリチューブを受けるように構成される。接続経路は、内側キャピラリチューブ及び適合性材料のスリーブの一部を受けるように構成されてもよい。別のいくつかの実施形態において、接続経路は、内側キャピラリチューブよりも狭い穴を有する。
【0014】
第二の態様において、コネクタは、接続経路を必要としないかもしれない。加えて、第二の態様において、キャピラリではなく、コネクタが適合性材料のスリーブを含んでもよい。この第二の態様において、キャピラリホルダは、適合性材料のスリーブを受け、キャピラリホルダがキャピラリの一端部を受けるとき、内側キャピラリチューブも適合性材料のスリーブによって受けられるように構成される。変形可能部分は、クリンプするために構成されるクリンプ可能部分を含んでもよく、キャピラリホルダで受けられる適合性材料は、内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するために変形する。
【0015】
第二の態様のいくつかの実施形態において、キャピラリホルダは、適合性材料のスリーブを受けて位置決めするよう構成されるスリーブ部を含む。
【0016】
一旦、コネクタの変形可能部分が変形し内側キャピラリチューブとコネクタの間のシールを形成すると、コネクタはキャピラリの端部に固定されキャピラリアセンブリを形成する。したがって、本発明はキャピラリアセンブリをさらに提供し、
キャピラリアセンブリは、
本発明に係るコネクタと、
内側キャピラリチューブを含むキャピラリと、を含み、
キャピラリの一端部はキャピラリホルダ内に受けられ、適合性材料のスリーブ内に位置決めされ、
変形可能部分は、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形する。
例えば、本発明の第一の態様は、キャピラリアセンブリを提供し、
キャピラリアセンブリは、
内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブ内に含むキャピラリと、
本発明に係るコネクタと、を含み、
キャピラリの一端部は、キャピラリリセスによって受けられ、変形可能部分は、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形する。
【0017】
キャピラリアセンブリのいくつかの実施形態は、
内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブ内に含むキャピラリと、
コネクタと、を含み、
コネクタの変形可能部分は、クリンプするように構成されるクリンプ可能な部分であり、
キャピラリの一端部は、キャピラリリセスなどのキャピラリホルダによって受けられ、
クリンプ可能な部分は、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタの間にシールを生成するようにクリンプされる。
【0018】
内側キャピラリチューブを受けるように接続経路が構成されるコネクタを使用する実施形態において、キャピラリアセンブリが提供されてもよく、内側キャピラリチューブの一端部は接続経路によって受けられる。このキャピラリアセンブリのいくつかの実施形態において、接続経路はキャピラリリセスの端面と受容部分の接続面との間で延び、接続経路内に受けられる内側キャピラリチューブは、その中を接続面まで延びる。
【0019】
いくつかの実施形態において、接続経路は内側キャピラリチューブ及び適合性材料のスリーブの一部を受けるように構成され、キャピラリアセンブリにおいて、内側キャピラリチューブの端部及び適合性材料のスリーブの一部は接続経路内に受けられる。接続経路内に受けられる適合性材料のスリーブの一部は、キャピラリリセス内に位置する適合性材料のスリーブの第二の部分と比較して、より小さい直径を有してもよい。接続経路内に受けられる内側キャピラリチューブは、その中を接続面まで延びてもよい。接続経路内に受けられる適合性材料のスリーブの部分は、その中を接続面まで延びてもよい。
【0020】
上述のとおり、本発明はクロマトグラフィシステムにおいてキャピラリと流体導管との間の流体接続を提供するために特に有用であり得る。キャピラリアセンブリのいくつかの実施形態において、キャピラリは、クロマトグラフィカラムの一部を形成する。これらの実施形態において、内側キャピラリチューブには、通常は数ミクロンの直径を有する小さい粒子などの繊細に分けられた固体又はゲルである固定相材料が詰められてもよい。
【0021】
本発明に係るキャピラリアセンブリの組立方法も提供され、
該方法は、
キャピラリの一端部をキャピラリホルダ内に挿入するステップと、
適合性材料が変形し内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形可能部分を変形させるステップとを含む。
本発明の第一の態様に係るキャピラリアセンブリの組立方法が提供され、
該方法は、
キャピラリの一端部をキャピラリリセス内に挿入するステップと、
適合性材料が変形し内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形可能部分を変形させるステップとを含む
【0022】
変形可能部分がクリンプ可能な部分を含むコネクタを使用する実施形態では、変形可能部分を変形させるステップは、適合性材料が変形し内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するようにクリンプ可能な部分をクリンプするステップを含んでもよい。
【0023】
接続経路が内側キャピラリチューブを受けるように構成されるコネクタを使用する実施形態では、該方法は、(変形可能部分を変形させる前に)内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させ、内側キャピラリチューブの端部を接続経路内に挿入させるステップを含んでもよい。いくつかの実施形態において、接続経路はキャピラリリセスの端面と受容部分の接続面との間を延び、
該方法は、
ダミー部品が接続面に当接し接続経路を横切って延びるようにダミー部品を受容部分に挿入するステップと、
内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させ、内側キャピラリチューブがダミー部品と接続面で接触するまで内側キャピラリチューブの端部を接続経路内に挿入するステップを含む。
【0024】
接続経路が内側キャピラリチューブ及び適合性材料のスリーブの一部を受けるように構成される第一の態様の実施形態において、該方法は、適合性材料のスリーブの第二の部分がキャピラリリセスの端面に当接するように適合性材料のスリーブの一部を接続経路内に挿入するステップを含んでもよい。
【0025】
コネクタが、第二の態様によるものである実施形態において、
該方法は、
適合性材料のスリーブをキャピラリホルダ内に挿入するステップと、
内側キャピラリチューブが適合性材料のスリーブ内に位置するようにキャピラリの一端部をキャピラリホルダ内に挿入するステップと、
適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形可能部分を変形させるステップと、を含んでもよい。
キャピラリホルダがスリーブ部を含む実施形態において、適合性材料のスリーブをキャピラリホルダに挿入するステップは、適合性材料のスリーブを、スリーブ部に位置するように第一の方向に沿って挿入するステップを含んでもよく、キャピラリの端部は、第一の方向に対向する第二の方向に沿ってキャピラリホルダ内に挿入される。
【0026】
いくつかの実施形態において、
該方法は、変形可能部分を変形させる前に、
内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブの受容部分から遠位の一端部に挿入し、受容部分の近位の一端部から外に出るようにキャピラリをキャピラリホルダ内に挿入するステップと、
内側キャピラリチューブの端部が、受容部分に近位の端部と整列する、又は受容部分に近位の端部の近傍の位置において適合性材料のスリーブ内に配置されるように、内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させるステップと、を含む。
該方法は、ダミー部品が適合性材料のスリーブに当接するまでダミー部品が内側キャピラリチューブを移動させるように、ダミー部品を受容部分内に挿入するステップを含んでもよい。
【0027】
本発明の様々な実施形態が、例示のみのため下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明に係るコネクタの一実施形態の模式的断面図である。
図2図2は、図1に図示されたコネクタにキャピラリが配置された状態の模式的断面図である。
図3a図3aは、本発明に係る別の実施形態の側面図である。
図3b図3bは、本発明に係る別の実施形態の端面図である。
図4図4は、図3a及び3bに図示されたコネクタの斜視図である。
図5図5は、図2に図示されたコネクタに接続具が配置された模式的断面図である。
図6図6は、図2に図示されたコネクタの接続経路の拡大図である。
図7図7は、本発明に係るコネクタの接続経路の別の実施形態の拡大図である。
図8図8は、本発明に係るコネクタの接続経路のさらに別の実施形態の拡大図である。
図9図9は、図3a、3b、及び4に図示されたタイプのコネクタを接続具と共に示す斜視図である。
図10図10は、本発明のコネクタの一実施形態を使用して接続具と流体接続しているクロマトグラフィカラムを示す。
図11図11は、本発明の第二の態様に係るコネクタの実施形態の側面図である。
図11a図11aは、本発明の第二の態様に係るコネクタの実施形態の側面図である。
図11b図11bは、本発明の第二の態様に係るコネクタの実施形態の背面図である。
図11c図11cは、本発明の第二の態様に係るコネクタの実施形態の平面図である。
図11d図11dは、本発明の第二の態様に係るコネクタの実施形態の背面斜視図である。
図12図12は、コネクタにキャピラリが配置された状態の模式的断面図である
図13図13は、図12に図示されたコネクタに接続具が配置された模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
下記の詳細な説明において、詳細な説明の一部を形成する添付図面が参照される。詳細な説明において説明され、図面によって図示され、クレームによって定義される例示的な実施形態は、限定的であることを意図しない。開示される事項の精神又はスコープから逸脱することなく、別の実施形態が利用可能であり、また、別の変更が可能である。概してここで説明され、図示される本開示の態様は、多様な異なる構成に変更、交換、組合せ、分割、及び設計が可能であり、それらの全てが本開示において考慮される。
【0030】
ここで使われるにあたり、単数表現は、単数のみを指示すると明確に記載がない限り、単数及び複数の両方を含む。
【0031】
「約」の文言、及び「約」の文言の有無にかかわらず「範囲」の一般的な使用に関しては、そこで示される数値に限定されるという意味ではなく、示される範囲に実質的に含まれる範囲を参照することを意図しており、その範囲は本発明のスコープから逸脱しない。ここで使われるにあたり、「約」の文言は、それが使用される状況に応じてある程度変更できることを当業者は理解する。その文言が使用される状況に応じても当業者にとって明確ではない場合、「約」は数値のプラス又はマイナス10%以内を意味する。
【0032】
加えて、ここで寸法が記述されるとき、その数値に通常の製造許容公差の加除が適用されることは明らかである。当業者が理解するとおり、製造許容公差は、製造部品の理想的な部品プロフィールに対して望ましい平均値及び標準偏差値を達成するように決定されてもよい。
【0033】
本発明は、キャピラリと流体導管との間の流体接続を提供するコネクタを提供し、
該コネクタは、
キャピラリの一端部を受けるキャピラリホルダを含み、
該キャピラリは、内側キャピラリチューブを含み、キャピラリの受けられた端部の内側キャピラリチューブは適合性材料のスリーブ内に位置し、
コネクタはまた、
キャピラリホルダ内のスリーブの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するために変形するように構成される変形可能部分と、
流体導管の一端部の接続具を受けるように構成される受容部分と、を含み、
キャピラリホルダ及び受容部分とが接続されることで、キャピラリと流体導管とが流体接続するように構成される。
【0034】
内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形可能部分を変形させることにより、コネクタはキャピラリの端部に固定され、それによりキャピラリアセンブリが形成される。本発明のキャピラリアセンブリにおいて、キャピラリ端部の片方又は両方にコネクタがあってもよい。
【0035】
第一の態様において、本発明は、キャピラリと流体導管との間の流体接続を提供するコネクタを提供し、
該コネクタは、
キャピラリの一端部を受けるキャピラリリセスを含み、
該キャピラリは、適合性材料のスリーブ内に内側キャピラリチューブを含み、
コネクタはまた、キャピラリリセス内で受けられるキャピラリの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するために変形するように構成される変形可能部分と、
流体導管の端部の接続具を受けるように構成される受容部分と、
キャピラリリセスと受容部分とを接続して、キャピラリと流体導管とを流体接続するように構成される接続経路と、を含む。
【0036】
上述のとおり、第二の態様において、コネクタは接続経路を必要としなくてもよい。加えて、第二の態様において、キャピラリではなくコネクタが適合性材料のスリーブを含んでもよい。キャピラリホルダは、適合性材料のスリーブ受け、キャピラリホルダがキャピラリの一端部を受けるとき、内側キャピラリチューブも適合性材料のスリーブによって受けられるように構成されてもよい。この態様において、キャピラリホルダ内に受けられるスリーブの適合性材料は、内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形される。
【0037】
ここで使われる「流体」という文言は、液体及び気体、及びそれらの混合物を含むことを意図しており、エマルジョン、分散体、及び微細に分離された粒子が液体に懸濁しているスラリーを含む。流体導管及び内側キャピラリチューブに沿って搬送される流体の性質はコネクタが使用される特定の応用それぞれに依存する。
【0038】
ここで使われるにあたり「キャピラリ」とは、微細な内部直径を有するチューブを指す。本発明において、キャピラリは内側キャピラリチューブを含む。本発明の第一の態様の実施形態などのいくつかの実施形態において、キャピラリは内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブ内に含む。本発明のコネクタは、約0.0001から5ミリメートルの外径、望ましくは約0.35から約0.38ミリメートルなどの、0.25から0.5ミリメートルの外径を有する内側キャピラリチューブを有するキャピラリと共に使用してもよい。内側キャピラリチューブの内腔(すなわちチューブの穴)は、例えば約75ミクロンの、約0.025から約0.1ミリメートルなどの、0.01から約0.2ミリメートルの直径を有してもよい。
【0039】
流体導管は、周囲に適合性材料のスリーブを備えた、又は備えない内側キャピラリチューブを含み得る別のキャピラリでもよい。
【0040】
内側キャピラリチューブは、セラミックガラス、ボロシリケートガラス、クラッド溶融シリカ、溶融シリカガラス、アルミノシリケートガラス、ガラスライニングステンレス、クォーツ、又は、ステンレス、チタン、ニッケル、金、又は白金などの金属でもよい。例えば、いくつかの実施形態において、内側キャピラリチューブは、溶融シリカ、ポリイミド被覆溶融シリカ、アルミ被覆溶融シリカ、又はボロシリケートガラスでもよい。
【0041】
内側キャピラリチューブがポリイミド被覆溶融シリカであるときなどで、内側キャピラリチューブが被覆を含むとき、被覆の厚みは、例えば約0.01ミリメートルなどの、約0.001ミリメートルから約0.5ミリメートルでもよい。被覆の外径は、内側キャピラリチューブの下地チューブの外径よりも約5%などの、約0.1%から約50%大きくてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、キャピラリは下地のチューブ(例えば溶融シリカ)、下地のチューブの被覆(例えばポリイミド)、及び適合性材料のスリーブを含んでもよい。
【0042】
内側キャピラリチューブは、硬くても柔らかくてもよい。しかし、適合性材料のスリーブは本発明のコネクタの内側キャピラリチューブ及び変形可能部分よりも高い適合性がある。特に、変形可能部分及び適合性材料のスリーブは、コネクタの変形可能部分が変形するとき適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するものの、キャピラリを通る流体の流れに許容不可な危害を及ぼすほどに内側キャピラリチューブがつぶれる又は著しく変形しないように選択された内側キャピラリチューブ用に構成されてもよい。適合性材料の変形は弾性及び/又は塑性変形でもよい。
【0043】
適合性材料のスリーブが不在の場合に変形可能部分を内側キャピラリチューブ上に変形させることは、キャピラリを通る流体の流れに許容不可な危害を及ぼす結果となり得る。例えば、内側キャピラリチューブがクロマトグラフィカラムの一部を形成するとき、高圧シールを形成するために必要な変形は内側キャピラリチューブを押しつぶすかもしれない。本発明において、スリーブによって提供される適合性材料の中間層が、変形された変形可能部分によって働く負荷を分散させ、適切なシールが形成され得る。したがって、適合性材料は内側キャピラリチューブを保護し得て、キャピラリの性能が適切なレベルに維持される。適合性材料の厚みは、変形可能部分の変形の領域で低減され得るが、適合性材料の1つの層は内側キャピラリチューブと、変形された変形可能部分の一部との間に残る。適合性材料を変形することにより適合性材料が内側キャピラリチューブとコネクタとの間からなくなってしまい、変形された変形可能部分の一部が内側キャピラリチューブに直接接触することはない。したがって、本発明において、変形可能部分は、キャピラリホルダ内のスリーブの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間に挟まれる適合性材料のシールを生成するために変形するように構成されてもよい。
【0044】
適合性材料はポリマを含んでもよい。適合性材料は、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン、ポリビニルクロライド、ポリプロピレン、及びポリスチレンのうちの1つ又はそれ以上を含んでもよい。適合性材料は、ポリイミド、フロロポリマ、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、及びそれらの混合物から成るグループの内から選択されるポリマを含んでもよい。いくつかの実施形態において、適合性材料は、ポリアリルエーテルケトンを含んでもよく、ポリアリルエーテルケトンは、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びポリエーテルケトンケトン(PEKK)から成るグループから選択されてもよい。いくつかの実施形態において、適合性材料がPEEKを含むことが特に望ましいかもしれない。
【0045】
コネクタは、生体適合性及び/又は不活性な金属又は合金、又は生体適合性及び/又は不活性な材料(例えば生体適合性及び/又は不活性な金属)で被覆された金属又は合金を含んでもよい。生体適合性及び/又は不活性な材料については下にさらに説明される。コネクタは、ステンレス、チタン、ニッケル、金、又は白金を含んでもよい。コネクタが生体適合性及び/又は不活性な材料で被覆された金属又は合金を含む場合、被覆は、下地の金属又は合金を露出させることなく変形可能部分が変形できるものでもよい。すなわち、変形可能部分の変形は、その効果に著しい影響が及ぶほど被覆を損傷してはいけない。
【0046】
クロマトグラフィにおいて使用されるとき、内側キャピラリチューブと接続具との継ぎ目で、材料は導電性であってイオン化のためのエレクトロスプレー電圧の付加が可能であり、デッドボリュームを最小に維持することが望ましい。すなわち、内側キャピラリチューブの端部は導電性材料によって囲まれてもよく、及び/又は導電性材料で作られた接続経路と流体接続していてもよい。適合性材料のスリーブが内側キャピラリチューブの端部の周りにある実施形態において、適合性材料は、導電性でもよい。ここで使われるにあたり、導電性材料は電気を導電できる材料のことである。接続電圧は通常1キロボルト以上である。したがって、導電性材料は、1キロボルト以上の電圧がかけられるとき導電性を有する材料でもよい。
【0047】
適切な導電性適合性材料は10オーム以下、又は約10オーム以下の導電性を有してもよい。適切な導電性適合性材料は、約10オームセンチメートルから約10オームセンチメートルの体積抵抗率(specific volume resistance)を有してもよい(ドイツ規格協会による欧州規格、DIN EN61340-2-3、導電ゴム、摂氏23度、湿度12%の条件で測定)。適切な導電性適合性材料は、約10オームから約10オームの表面抵抗率(specific surface resistance)を有してもよい(DIN EN61340-2-3、20ミリメートル厚サンプル、導電ゴム、摂氏23度、湿度12%の条件で測定)。導電性材料は、上述のポリマなどの、適切なポリマにカーボンナノチューブを混ぜたものでもよい。いくつかの実施形態において、適合性材料は導電性PEEKである。例えば、いくつかの実施形態において、適合性材料はエンズィンガー社(Ensinger GmbH)のTECAPEEK ELS nano blackである。
【0048】
内側キャピラリチューブと接続具の継ぎ目の材料が導電性ではない場合、コネクタの上流側で導電性接続が提供されてもよい。例えば、導電性接続は受容部分によって受けられる接続具の上流側でもよい。導電性接続は、接続具に接続した流体導管と一つ又はそれ以上の別の流体導管との継ぎ目にあってもよい。例えば、導電性接続は接続具に接続した流体導管のTジャンクションにあってもよい。導電性接続は、流体導管に沿って提供される特定の接続でもよい。いくつかの実施形態において、導電性接続は、クロマトグラフィ装置などの、流体導管の接続具の逆の端部、又は流体導管の上流側に提供されてもよい。
【0049】
本発明のコネクタは、単一部品から製造されてもよい。通常、本発明の第一の態様のコネクタは、単一部品として製造される。本発明のコネクタは単一部品であり得るから、キャピラリを流体導管に接続する他の接続具と比較して、より簡単な構造を有し得て、したがって、より経済的に製造可能である。したがって、いくつかの実施形態において、本発明のコネクタは好都合に、一回使用の使い捨て部品として使用可能である。特に、本発明のキャピラリアセンブリは、使い捨て、又は一回のみの使用部品であり得る。
【0050】
第二の態様などのいくつかの実施形態において、キャピラリではなくコネクタが適合性材料のスリーブを含んでもよい。いくつかの実施形態において、適合性材料のスリーブはコネクタの別の部品として提供される。コネクタの残りの部分は単一部品から製造されることが望ましい。
【0051】
いくつかの実施形態において、コネクタ(及びキャピラリなどのその他の部品)は、生体適合性の、及び/又は不活性材料で作られることが望ましい。いくつかの実施形態において、材料は「生体不活性」(bioinert)でもよい。すなわち、選択された材料は、生物学的又は生化学的な物質との生体適合性と、極端なpH値などの激しい化学的環境に対する不活性とを組み合わせてもよい。生体適合性とは、たんぱく質又は遺伝子のような大きな分子などの生物学的物質と調和して存在できる能力を指し得る。それはまた、生物学的システムにおいて有害な効果を有さない性質を指し得る。不活性材料は、理想的には1から14のpHの全範囲などの極端なpH値に対して不活性である。すなわち、強いイオン化の化学的環境が存在しても、不活性材料は劣化しない、又は少なくとも実質的に劣化しない。したがって、不活性材料は意義を有するほどのイオン量を生成しないことが望ましい。意義を有するほどのイオン量とは、例えばモノクローナル抗体、たんぱく質など、又はクロマトグラフィカラムもしくは質量分光装置などのクロマトグラフィシステムの部品を痛める、又は悪影響を及ぼす量のことである。
【0052】
適合性材料はコネクタのために選択される材料よりも、より生体不活性であり得るから、内側キャピラリチューブの端部周辺の材料は適合性材料であることが望ましいかもしれない。
【0053】
キャピラリの端部がコネクタのキャピラリホルダ内で受けられるとき、適合性材料のスリーブは、スリーブがキャピラリホルダの内面に接触してキャピラリホルダを満たすように位置してもよい。いくつかの実施形態において、キャピラリホルダは、コネクタの一端部にある円筒形の穴であり、コネクタの受容部分まで延びる。キャピラリホルダは、適合性材料のスリーブを受け、位置決めをするように構成されるスリーブ部を含んでもよい。スリーブ部はキャピラリホルダの残りの部分よりも大きい直径を有する部分でもよい。
【0054】
適合性材料のスリーブは、受容部分を介してスリーブ部に挿入されてもよい。一旦スリーブ部にスリーブが配置されると、スリーブは、キャピラリホルダの第一の部分に端面、及び受容部分の端部に適合性のある接触面を提供し得る。したがって、適合性材料のスリーブは、スリーブ部に配置されるとき、変形可能部分が変形した後、受容部分によって受けられる接続具が適合性のある接触面と接触し、流体導管とスリーブ内の経路との間に十分な流体接続があるように構成される。
【0055】
適合性材料のスリーブがリセス内に受けられるとき、適合性材料のスリーブがキャピラリホルダの全ての壁、又はホルダのスリーブ部に接触しない場合、変形可能部分の変形のあと、適合性材料が変形し、キャピラリがホルダ又はスリーブ部を満たし、優れたシールを形成することが望ましい。
【0056】
したがって、変形可能部分の変形前に、適合性材料のスリーブの外寸がキャピラリホルダの内寸とぴったりとマッチすることが望ましいかもしれない。適合性材料のスリーブとキャピラリホルダ又は少なくともホルダのスリーブ部との間に小さい隙間があり、適合性材料又は内側キャピラリチューブを損傷することなくスリーブがホルダに受けられることが望ましいかもしれない。そのような実施形態において、スリーブの長手方向に延びる適合性材料のスリーブとキャピラリホルダの壁との間の隙間は、例えば約0.01ミリメートルから約0.05ミリメートルなど、約0.001ミリメートルから約0.5ミリメートル、でもよい。いくつかの実施形態において、キャピラリホルダは、キャピラリが容易に受けられる範囲で、挿入時に若干の圧力ばめが起こり、適合性材料のスリーブにいくらかの変形があるようなサイズでもよい。
【0057】
通常、発明の第一の態様において、キャピラリの端部がコネクタのキャピラリリセス内で受けられるとき、キャピラリはリセスを実質的に満たし、リセスの内面に接触する。キャピラリがリセス内に受けられるときに、キャピラリリセスの全ての壁に接触しない場合、変形可能部分の変形の後、適合性材料が変形してキャピラリがリセスを満たして優れたシールを形成することが望ましい。さらに、変形可能部分の変形による適合性材料の変形は、適合性材料がキャピラリリセスの端面に対して付勢され、接続経路とのインターフェース(又はその領域)において内側キャピラリチューブの周囲のシールをさらに向上させるものでもよい。キャピラリリセスと接続経路のインターフェースの周りにしっかりとした接触があり、デッドボリューム発生のリスクが最小化されることが特に望ましい。
【0058】
したがって、変形可能部分の変形前に、適合性材料のスリーブの外寸がキャピラリリセスの内寸とぴったりとマッチすることが望ましいかもしれない。キャピラリとキャピラリリセスとの間に小さい隙間があり、適合性材料又は内側キャピラリチューブを損傷することなくキャピラリがリセスに受けられることが望ましいかもしれない。そのような実施形態において、キャピラリの長手方向に延びる適合性材料のスリーブとキャピラリリセスの壁との間の隙間は、例えば約0.01ミリメートルから約0.05ミリメートルなど、約0.001ミリメートルから約0.5ミリメートル、でもよい。いくつかの実施形態において、キャピラリリセスは、キャピラリがリセスによって容易に受けられる範囲で、挿入時に若干の圧力ばめが起こり、適合性材料のスリーブにいくらかの変形があるようなサイズでもよい。そのような実施形態において、キャピラリの端部は、コネクタのキャピラリリセスによって受けられ得て、リセスの全内面を満たして接触する。
【0059】
適合性材料のスリーブは、内側キャピラリチューブに塗布されるシース(sheath)やコーティングなど、内側キャピラリチューブとは離れていてもよい。適合性材料のスリーブの厚みは、約0.58ミリメートルなど、約0.1ミリメートルから約5ミリメートルでもよい。適合性材料のスリーブの外径は、内側キャピラリチューブの外径よりも、例えば約433%の、約400%から約500%など、約50%から約1000%大きくてもよい。
【0060】
適合性材料のスリーブは、変形可能部分の変形によって変形され内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを形成し得るに十分の長さを有するべきである。いくつかの実施形態において、適合性材料のスリーブは、キャピラリの全長、又は実質的に全長に沿って延びる。代わりに、適合性材料のスリーブは、キャピラリの一部のみに沿って延びてもよい。適合性材料のスリーブは、カプセルホルダの全長、又は長さの一部のみに沿って延びてもよい。本発明の第一の態様において、しばしば適合性材料のスリーブは、少なくともキャピラリリセスによって受けられる長さだけキャピラリに沿って延びる。しかし、いくつかの実施形態において、適合性材料のスリーブは、キャピラリリセスよりも短い。いくつかの実施形態において、適合性材料のスリーブは、キャピラリリセス内に位置し、キャピラリリセスの端面に当接する、又は端面に接近してデッドボリュームを最小化することが理想的である。
【0061】
いくつかの実施形態において、変形可能部分が変形する前に、内側キャピラリチューブが適合性材料のスリーブに沿って移動され得て、適合性材料のスリーブの端部を超えて延ばされ得ることが望ましい。特に、第一の態様において、接続経路は、内側キャピラリチューブを受けるように構成されてもよい。すなわち、内側キャピラリチューブの端部は、シールを生成するように変形可能部分を変形する前に接続経路に挿入され得る。通常、接続経路は、内側キャピラリチューブの端部が接続経路内で、内側キャピラリチューブの周りの潜在的なデッドボリュームを最小化するために最低限の寸法誤差で受けられることが可能なように構成される。
【0062】
したがって、キャピラリアセンブリのいくつかの実施形態において、内側キャピラリチューブの一部はコネクタの接続経路内へ延びる。これらの実施形態のいくつかにおいて、内側キャピラリチューブは、接続経路に沿った中間点まで延びる。いくつかの他の実施形態において、内側キャピラリチューブは接続経路の全長に沿って延びる。いくつかの実施形態において、接続経路はキャピラリリセスの端面と受容部分の接続面との間に延び、接続経路によって受けられる内側キャピラリチューブはその中を接続面まで延びる。キャピラリリセスの端面は接続経路の一端部がそこに形成される面であることは明らかである。同様に、受容部分の接続面は接続経路のもう一方の端部がそこに形成される面である。
【0063】
そのような実施形態において、接続経路の寸法が内側キャピラリチューブとぴったりとマッチし、接続経路と内側キャピラリチューブの間の領域のデッドボリュームを最小化又は排除することが望ましいかもしれない。加えて、接続経路の寸法は、望む内側キャピラリチューブが、チューブに損傷なく接続経路に挿入可能であるように選択される。
【0064】
いくつかの実施形態において、接続経路は内側キャピラリチューブ及び適合性材料のスリーブの一部を受けるように構成されてもよい。接続経路及び受けられる適合性材料のスリーブの一部は、接続経路と内側キャピラリチューブとの壁の間に適合性材料によって優れたシールが形成されデッドボリュームを最小化するように互いに構成されてもよい。適合性材料のスリーブの受けられる部分は接続経路を通って内側キャピラリチューブと同じポイントまで延びてもよい。代わりに、スリーブの受けられる部分及び内側キャピラリチューブは接続経路を通る異なるポイントで終わってもよい。通常、デッドボリュームを最小化するため、受けられる部分とキャピラリが異なるポイントで終わる場合、受けられる部分は内側キャピラリチューブよりも奥まで接続経路内へ延びる。
【0065】
いくつかの実施形態において、適合性材料のスリーブは接続面を少しだけ超えて延び、接続具との優れたシールの形成を促進可能な適合性な接続面を形成する。
【0066】
代わりに、接続経路は内側キャピラリチューブよりも狭い穴を有してもよい。内側キャピラリチューブはキャピラリリセスの端面と当接してデッドボリュームを最小化することが理想的である。加えて、接続経路の容積は、それによってできるデッドボリュームを最小化するために可能な限り小さいことが望ましい。接続経路の長さ、及び/又は直径が容積を最小化するために選択可能であることは明らかである。接続経路は、約1ミリメートルなど、約0.1ミリメートルから約5ミリメートルの長さを有してもよい。接続経路の穴(すなわち直径)は、約0.025ミリメートルなど、約0.01ミリメートルから約0.4ミリメートルでもよい。接続経路は、使用中にあってはならない詰まるリスクがない範囲で最小直径を有してもよい
【0067】
望ましく精密な穴を備えた接続経路はレーザードリルで製造されてもよい。
【0068】
流体導管の内径は接続経路よりも小さくてもよい。代わりに、接続経路は流体導管よりも狭くてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、コネクタはコネクタによって係合されるキャピラリ及び流体導管の端部が同軸に配置されるように構成される。キャピラリ及び流体導管が互いにオフセットする場合、そのオフセットは、コネクタの性能及びキャピラリと流体導管との間の流体連通を許容範囲以上に悪化させてはならない。
【0070】
いくつかの実施形態において、コネクタは、接続経路、及びコネクタによって係合されるキャピラリと流体導管の端部が同軸に配置されるように構成される。しかし、いくつかの実施形態において、接続経路、及びコネクタによって係合されるキャピラリと流体導管の端部の1つ又は複数の軸が、他の軸の1つ又は両方からオフセットすることが許されるかもしれない。上述のとおり、そのオフセットは、コネクタの性能及びキャピラリと流体導管との間の流体連通を許容範囲以上に悪化させてはならない。
【0071】
上述のとおり、変形可能部分は変形し、キャピラリホルダ内に受けられるスリーブの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように構成される。変形可能部分は、キャピラリホルダのサイズ及び/又は形状が変化するように変形可能である。キャピラリホルダのサイズ及び/又は形状を変えることにより、適合性材料のスリーブは変形してホルダの壁に対して付勢され、内側キャピラリチューブに押し付けられて内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールが生成される。内側キャピラリチューブの端部に優れたシールがあり、デッドボリュームが生まれるリスクを最小化することが特に望ましい。
【0072】
形成されるシールは、クロマトグラフィの応用において通常遭遇するような高い流体圧力に耐えられてもよい。シールは、少なくとも約100MPaなど、少なくとも約50MPaの圧力に耐えられてもよい。シールは、約138MPa(約20000psi)など、最大約345MPa(約50000psi)の圧力に耐えられてもよい。さらに、シールは、最大約117MPa(約17000psi)の圧力など、最大約138MPa(約20000psi)の圧力で最大1000サイクル、又は最大10000サイクルなどの繰り返しに耐えられてもよい。
【0073】
本発明の第一の態様において、本発明のコネクタの変形可能部分は、変形し、キャピラリリセスによって受けられるキャピラリの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように構成される。変形可能部分は、キャピラリリセスのサイズ及び/又は形状が変化するように変形可能である。キャピラリリセスのサイズ及び/又は形状を変えることにより、適合性材料のスリーブは変形し、キャピラリリセスの面に対して、特に端面及び端面に近い領域において、付勢され、内側キャピラリチューブに押し付けられて内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールが生成される。変形の結果、適合性材料はキャピラリリセスの端面に対して付勢され得て、接続経路とのインターフェースにおいて(又はその領域において)内側キャピラリチューブの周りのシールをさらに向上させる。デッドボリュームが生まれるリスクを最小化するために、キャピラリリセスと接続経路のインターフェースの周りにしっかりとした接触があることが特に望ましい。
【0074】
通常、変形可能部分の変形は、キャピラリリセスなどのキャピラリホルダの容積を低減させる。したがって、いくつかの実施形態において、変形可能部分は、圧縮し、キャピラリホルダ内に受けられる適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように構成される圧縮可能部分である。いくつかの実施形態において、変形可能部分は、クリンピングし、キャピラリホルダ内に受けられる適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように構成されるクリンプ可能部分である。第一の態様のいくつかの実施形態において、変形可能部分は、クリンピングし、キャピラリリセス内に受けられるキャピラリの適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように構成されるクリンプ可能部分である。クリンピングによって生じる径方向圧縮によって、コネクタが適合性材料のスリーブに圧縮され、キャピラリリセスの面に対して付勢されるように変形され内側キャピラリチューブに押し付けられ得て、内側キャピラリチューブとコネクタとの間のシールが形成される。
【0075】
変形可能部分はキャピラリホルダ、例えばキャピラリリセス、の長さの一部に沿って、又は全長に沿って延びてもよい。いくつかの実施形態において、キャピラリホルダ、例えばキャピラリリセス、は変形可能部分の全長に沿ってコネクタの中間領域内まで延びる。
【0076】
シールを生成させるために変形可能部分全体を変形させることは必要ないかもしれない。代わりに、有効なシールを形成するために、変形可能部分の一部のみの変形でよいかもしれない。例えば、有効なシールを形成するために、変形可能部分は、約3ミリメートルなど、例えば約2ミリメートルから約3ミリメートルなどの、約0.5ミリメートルから約10ミリメートルに沿ってのみ変形が必要かもしれない。変形可能部分は、有効なシールを形成するために、変形可能部分の長さの約40%などの、約6%から約90%に沿ってのみ変形が必要かもしれない。いくつかの実施形態において、変形可能部分の長さは、例えば約2から約3ミリメートルの、約4ミリメートル以下など、約5ミリメートル以下でもよい。
【0077】
変形可能部分がクリンプ可能な部分である実施形態において、クリンプ可能部分は、約3ミリメートルなど、例えば約2ミリメートルから約3ミリメートルなどの、約0.5ミリメートルから約10ミリメートルに沿ってのみクリンピングが必要かもしれない。いくつかの実施形態において、クリンプ可能部分の長さは、例えば約2ミリメートルから約3ミリメートルの、約4ミリメートル以下など、約5ミリメートル以下でもよい。
【0078】
変形可能部分の壁の厚みは、約0.5ミリメートルから約0.7ミリメートルなど、約0.1ミリメートルから約5ミリメートルでもよい。いくつかの実施形態において、変形可能部分の外径は、適合性材料のスリーブの外径又はキャピラリホルダの直径よりも約31%など、約1から約100%大きい。したがって、第一の態様のいくつかの実施形態において、変形可能部分の外径は、キャピラリの適合性材料のスリーブの外径又はキャピラリリセスの直径よりも約31%など、約1から約100%大きい。上述のとおり、適合性材料のスリーブの外寸は、例えばキャピラリリセスなどのキャピラリホルダの内寸とぴったりとマッチすることが望ましい。
【0079】
クリンピングなどで変形させることは、変形可能部分の変形部分の外径を、例えば約9%から約10%の、約7%から約15%など、約2%から約25%小さくしてもよい。
【0080】
変形後、シールは、20キログラムまでの荷重がかけられたとしてもキャピラリをコネクタから引き抜くことができないものでもよい。いくつかの実施形態において、シールは、キャピラリがコネクタから引き抜かれるまえに内側キャピラリチューブが壊れてしまうようなものでもよい。
【0081】
本発明のキャピラリアセンブリの実施形態では、約138MPa(約20000psi)などの、最大約345MPa(約50000psi)の圧力に耐えられてもよい。さらに、本発明のキャピラリアセンブリの実施形態は、最大約117MPa(約17000psi)の圧力など、最大約138MPa(約20000psi)の圧力で最大1000サイクル、又は最大10000サイクルの繰り返しに耐えられてもよい。キャピラリアセンブリの実施形態は、最低100MPaなどの、最低50MPaの圧力に耐えられてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、シールは、キャピラリの通常使用で遭遇する圧力において漏れがないようなものでもよい。例えば、キャピラリがクロマトグラフィシステムの一部を形成する実施形態において、本発明のキャピラリアセンブリは、最大約117MPa(約17000psi)の圧力など、最大約138MPa(約20000psi)の圧力に漏れることなく耐えられてもよい。上述のとおり、いくつかの実施形態において、キャピラリはクロマトグラフィカラムの一部を形成してもよい。いくつかの実施形態において、クロマトグラフィカラムの最大動作圧力は、例えば、約117MPa(約17000psi)の、最大約120MPaの圧力など、最大約138MPa(約20000psi)でもよい。
【0083】
コネクタの受容部分は、接続具とコネクタとの間にシール係合が構成されることが理想的である。このシール係合は、キャピラリと流体導管との間に有効な流体接続を可能にするものでなければならない。加えて、シール係合は、流体導管とキャピラリとの間のデッドボリュームを最小化又は回避するようなものであることが望ましい。
【0084】
シール係合は、受容部分によって受けられる接続具が、例えば、約117MPa(約17000psi)の、最大約120MPaの圧力など、最大約138MPa(約20000psi)の圧力に、流体導管内で、顕著な漏れがなく耐えられるようなものでもよい。さらに、いくつかの実施形態は、最大約117MPa(約17000psi)の圧力など、最大約138MPa(約20000psi)の圧力で最大1000サイクル、又は最大10000サイクルなどの繰り返しに耐えられてもよい。
【0085】
シール係合は、接続具及び流体導管の通常使用で遭遇する圧力において漏れがないようなものでもよい。例えば、接続具及び流体導管がクロマトグラフィシステムの一部を形成する実施形態において、本発明の接続具と流体導管との間のシール係合は、最大約117MPa(約17000psi)の圧力など、最大約120MPaの圧力など、最大約138MPa(約20000psi)の圧力に漏れることなく耐えられるものでもよい。
【0086】
受容部分は、業界で知られる様々な流体導管用接続具、特にクロマトグラフィシステムの流体導管用接続具の分野で知られているもの、を受けるように構成されてもよい。受容部分の形状及び構成は、通常、コネクタと接続具の間の係合を最適化するように選択される。したがって、受容部分は、雄接続具と補完的に構成される雌リセスと考えられ得る。いくつかの実施形態において、流体導管は、別のキャピラリであり、接続具はキャピラリ用の市販の接続具でもよい。
【0087】
本発明の実施形態は、先端にシール要素を備えた接続具を受けるために特に適している。例えば、Thermo Scientific(登録商標)の、Viper(登録商標)又はnanoViper(登録商標)、又はIDEX Health&Scienceの、Marvel X(登録商標)、又はMarvel Xact(登録商標)などのキャピラリ用の市販接続具でもよい。接続具及び流体導管は、その内容がここで参照され援用される米国特許出願番号2014/0145437に説明されるもののような、キャピラリを接続するためのコネクタユニットでもよい。
【0088】
コネクタが、接続具の先端にシール要素を備えた接続具を受けるように構成されるとき、受容部分は、シール要素の少なくとも一部が適合性材料のスリーブによって形成され、内側キャピラリチューブの端部が中に配置される経路の周りにシールを形成する適合性のある接触面に接触するように構成されてもよい。コネクタが接続具の先端にシール要素を備えた接続具を受けるように構成される第一の態様の実施形態において、受容部分は、シール要素の少なくとも一部が接続面と接触し、接続経路の周りにシールを形成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、シール要素は、流体導管の外側に提供される環状のシール要素である。いくつかの実施形態において、シール要素は、キャピラリ端部の面においてキャピラリから突き出るセクションを含んでもよい。
【0089】
受容部分は、接続具の先端が中に挿入されるシールリセスを含んでもよい。いくつかの実施形態において、受容部分は、シール要素が流体導管の端部と共にシールリセス内に挿入可能であり、軸方向に力を加えることが可能であり、シール要素の塑性変形又は弾性変形の結果として、接続面の領域において接続具のシールが得られるようなものであって、デッドボリュームの形成は最小化又は回避される。接続具の取外しの際、シール要素もキャピラリと共にシールリセスから比較的容易に引き抜かれ得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、シールリセスの接続面は、適合性材料のスリーブをキャピラリホルダ内に挿入することにより形成される。したがって、シールリセスの接続面は適合性のある接続面である。受容部分は、シール要素を任意で含む接続具が、シールリセス内に挿入可能であり、軸方向に力を加えることが可能であり、適合性のある接続面の塑性変形又は弾性変形の結果として、内側キャピラリチューブが配置される経路の周りにおいて接続具のシールが得られるようなものであって、デッドボリュームの形成は最小化又は回避される。
【0091】
いくつかの実施形態において、接続具の先端は、シールリセスの容積を、可能な限り完全に満たし、デッドボリュームの形成は最小化又は回避される。接続具は受容部分によって受けられてもよく、シール要素が受容部分の面に対しておしつけられ、シール要素が、接続面の周囲において接続面及び/又はシールリセスの壁に対して変形する。
【0092】
受容部分は、接続具の係合成分と補完的な、係合成分を含み得る。補完的な係合成分は、接続具を受容部分で受け、接続具とコネクタとの間にシール係合するように維持するために使用可能である。上述のとおり、このシール係合は、キャピラリと流体導管との間の効果的な流体接続を可能にするはずである。いくつかの実施形態において、係合成分は、内側ねじ部でもよい。すなわち、しばしば受容部分は、接続具の外側ねじ部と補完的に係合するように構成される内側ねじ部を含む。そのような実施形態において、接続具は受容部分に螺合されてもよい。接続具が先端にシール要素を有する実施形態において、接続具は、シール要素が受容部分の面に接触して変形し、シール係合が生じるまで、受容部分内に螺合されてもよい。受容部分が適合性のある接触面を有する実施形態において、接続具は、先端が受容部分の適合性材料に接触して変形するまで、及び/又は適合性材料を変形させるまで、受容部分内に螺合され、シール係合が生じてもよい。
【0093】
コネクタの受容部分は、望む接続具を使用可能とするために、補完的なねじ部の代わりの、又はそれに追加の係合成分を含んでもよい。
【0094】
上述のとおり、本発明のコネクタ及びキャピラリアセンブリはクロマトグラフィシステムにおいて使用可能である。いくつかの実施形態において、キャピラリはクロマトグラフィカラムの一部を形成する。キャピラリを利用した様々な構成のクロマトグラフィカラムが当業者に知られている。本開示に鑑みて、様々なカラム構成が本発明のコネクタ及びキャピラリアセンブリと共に使用可能であることは当業者には明らかである。
【0095】
クロマトグラフィカラムは、順相又は逆相のイオン交換クロマトグラフィカラムである。カラムの固定相は、表面処理されたシリカビーズ又はコーティングされたポリマビーズであってもよい。カラムの固定相はオクタデシル炭素鎖(C18)結合シリカ(USPクラス:L1)、C8結合シリカ(USPクラス:L7)、純シリカ(USPクラスL3)、シアノ結合シリカ(USPクラス:L10)、及びフェニル結合シリカ(USPクラス:L11)を含んでもよい。固定相は、例えば1.6ミクロンの、1.3から5ミクロンの粒子サイズを含んでもよい。カラムは、例えば120オングストロームの、80-400オングストロームの穴サイズを有してもよい。
【0096】
クロマトグラフィカラムは最高摂氏65度の温度で作動可能である(低pH)。いくつかの実施形態において、クロマトグラフィカラムは、1から8の範囲のpH値でペーハー安定性を有してもよい。
【0097】
クロマトグラフィカラムは、例えば長さ約250ミリメートルなど、長さ約150から約750ミリメートルであってもよい。
【0098】
キャピラリアセンブリのいくつかの実施形態において、キャピラリは、統合エレクトロスプレーエミッタを含むクロマトグラフィカラムの一部を形成する。エレクトロスプレーイオン化は、質量分光計で使用されるエレクトロスプレーを使ってイオンを生成する技術であり、液体に高電圧をかけて高電荷の液滴を作り、蒸発の際、サンプル溶液に含まれる試料を代表するイオンが生成される。
【0099】
キャピラリカラムは、その全長が固定相で完全に満たされるか、又は固定相がキャピラリの一部のみ、通常先端付近のみ、を占めるか、いずれかで準備され得る。後者の場合、キャピラリカラムはしばしばフリットで満たされる。ここで使われるにあたり、「フリット」の用語は、マトリックス材料を参照し、圧力駆動の液体クロマトグラフィを実施するために分離カラム内に固定相材料を保持するために使われる固体、又は多孔性もしくは微多孔性材料であってもよい。
【0100】
固定相材料の選択及び体積は、サンプルの複雑さ及び体積、及び分離の目標に応じて異なり得る。
【0101】
フリットを使うキャピラリカラムの充填には異なる方法がある。1つの方法は、ドライパッキング法と呼ばれるものである。この方法によれば、ガラス、シリカ、ポリマ粉体、又は金属粉体などのドライパッキング材料がキャピラリカラムの一端部に押し込められる。粒体材料は、漏斗を通してチューブに入れられるとき、高速で振動される。第二の方法は、スラリーパッキング法であり、パッキング材料の懸濁を含む液体が圧力下でチューブの近位端から入れられ、スラリーがチューブの遠位端のフリットに到達するまでポンプが使われる。フリットは、モバイル相としても知られる液体から粒体のパッキング材料をフィルタする役割を果たす。したがって、モバイル相はフリットを通過し、チューブから出るが、固体のパッキング粒子はフリットのうしろに残る。スラリーパッキングは、モバイル相の高い流量及びその結果として流入粒子の高いインパクト速度を生むために、普通、高圧(6.9MPa以上、1000psi以上)の使用を要する。この高い速度が緊密にパックされたベッドを形成する。
【0102】
いくつかの実施形態において、キャピラリは、本発明のコネクタがキャピラリの端部に(変形可能部分の変形によって)固定される前に充填されてもよい。別のいくつかの実施形態において、コネクタは、カラムの充填の前にキャピラリの端部に固定されてもよく、コネクタは、充填工程を容易にするために使われ得る。
【0103】
図1は、本発明に係るコネクタ10の一実施形態の模式的断面図であり、図2は、キャピラリ20を本来の場所に含む状態のコネクタ10のこの実施形態の模式的断面図である。したがって、図2は、本発明に係るキャピラリアセンブリ50を図示する。図2において、キャピラリ20の内側キャピラリチューブ21は、断面として示されていない。コネクタ10の図示される実施形態は、クロマトグラフィシステムにおいての利用に適したものである。
【0104】
コネクタ10は、別の流体導管の一端部にある接続具(図示せず)を受けるように構成される受容部分11を含む。コネクタ10のこの模式的な図示において、受容部分11の(接続具を受容部分でうけ、そこに保持するための)係合成分は省略されている。受容部分11のサイズ、形状、及び構成、特に受容部分11の内寸は流体導管の接続具のサイズ、形状、及び構成によって決まる。
【0105】
図1に示される実施形態は、Thermo Scientific(登録商標)の、Viper(登録商標)又はnanoViper(登録商標)、又は米国特許公開番号2014/0145437号に説明されるコネクタユニットなどの、シール要素を端部に備えた先端を有する接続具と共に使用されるように構成されたコネクタ10の実施形態である。したがって、受容部分11は、接続面13と当接するように接続具の先端が挿入可能で、コネクタ10と流体導管との間に適切なシールが生じるようなシールリセス12を画定する。接続面13は、接続経路14の一端部を取り囲む環状の面である。通常、受容部分11は、流体導管が接続経路14及びキャピラリホルダ100(この実施形態においては、キャピラリリセス15である)と同軸に配置され、キャピラリ20(図2に図示)がキャピラリリセス15内で受けられるとき、内側キャピラリチューブ21が接続経路14及び流体導管と整列するように構成される。シールリセス12及びキャピラリリセス15の両方は、コネクタ10の中間領域18内へ延びる。
【0106】
図2は、キャピラリリセス15によって受けられる適合性材料のスリーブ22及び内側キャピラリチューブ21を含むキャピラリ20を示す。キャピラリ20には適合性材料のスリーブ22が備えられ、スリーブ22は少なくともキャピラリリセス15の長さに沿って延びる。例えば、スリーブ22は、実質的に内側キャピラリチューブ21の全長に沿って提供されてもよい。しかし、流体導管の接続具(図示せず)と内側キャピラリチューブ21との間のデッドボリュームを最小化又は実質的に回避するために、内側キャピラリチューブ21は、接続経路14に少なくとも部分的に、そして望ましくはその全長に沿って(図2に示されるように)、延びる。適合性材料のスリーブ22はキャピラリリセス15の端面16に当接するように配置される。端面16は、キャピラリリセス15と接する接続経路14の端部を取り囲む環状の面である。
【0107】
コネクタ10は、変形可能部分17を含む。図示されたこの実施形態において、変形可能部分17は、クリンプ可能部分17であり、下記の説明において、そのように呼ばれる。クリンプ可能部分17は、キャピラリ20を取り囲むクリンプ可能なスリーブである。クリンプ可能部分17の壁厚み及びキャピラリリセス15の寸法は、クリンプ可能部分17がクリンプされていないとき、キャピラリリセス15がキャピラリ20を収納できるが、クリンプ可能部分17がクリンプされるとき、適合性材料のスリーブ22が変形し、内側キャピラリチューブ21とコネクタ10との間に適合性材料のスリーブ22によってシールが形成されるように選択される。
【0108】
シールを生成するためにクリンプ可能部分17全体をクリンプすることは不要かもしれない。代わりに、有効なシールを生成するためには、クリンプ可能部分17の一部のみをクリンプすることで十分かもしれない。例えば、有効なシールを生成するためには、クリンプ可能部分17は2から3ミリメートルの長さのみに沿ってクリンプされることが必要かもしれない。クリンプ可能部分17のクリンプによる適合性材料の変形により、適合性材料がキャピラリリセス15の端面16に対して付勢され、内側キャピラリチューブ21の周囲のシールをさらに向上させるかもしれない。
【0109】
図3a及び3bは、本発明に係るコネクタ10の一実施形態の側面図及び端面図を示す。コネクタ10は、Thermo Scientific(登録商標)の、Viper(登録商標)又はnanoViper(登録商標)、又は米国特許公開番号2014/0145437号に説明されるコネクタユニットなどのシール要素を端部に備えた先端を有する接続具と共に使用されるように構成される。図3a及び3bにおいて、見えない部分は破線で示される。
【0110】
コネクタ10の全長は、例えば約23.3ミリメートルの、例えば約15ミリメートルから約50ミリメートルの、約5ミリメートルから約100ミリメートルでもよい。受容部分11の寸法Aは、例えば約6.76ミリメートルの、約4ミリメートルから約12ミリメートルでもよい。寸法Bは、例えば約3.04ミリメートルの、約1ミリメートルから約10ミリメートルでもよい。角度Eは、例えば約19.49度の、約10度から約90度でもよい。
【0111】
コネクタ10のこの実施形態の受容部分11は、内側ねじ部111を含む。内側ねじ部111は、流体導管の接続具(図示せず)が、接続具の補完的な外側ねじ部を使って位置固定され得るように構成される。内側ねじ部111の長さ(寸法J)は、例えば約6.21ミリメートルの、約3から約12ミリメートルでもよい。コネクタ10のこの実施形態は、環状の接続面13を備えたシールリセス12を含み、寸法Fが例えば約1.7ミリメートルの、約0.4ミリメートルから約6.5ミリメートルでもよく、寸法Kが例えば1.95ミリメートルの、約0ミリメートルから約10ミリメートルでもよい。
【0112】
この実施形態の接続経路14は、コネクタ10の中間領域18内に位置する。加えて、シールリセス12、及び(この実施形態においてキャピラリリセス15である)キャピラリホルダ100の両方は、コネクタ10の中間領域18内に延びる。接続経路14はキャピラリリセス15を受容部分11のシールリセス12に接続する。接続経路14は例えば約0.37ミリメートルなどの、例えば約0.35ミリメートルから0.4ミリメートルの、約0.0001から5ミリメートルの穴径(寸法M)を有してもよい。接続経路14のサイズ及び形状は内側キャピラリチューブ21のサイズ及び形状に基づいて選択される。通常、接続経路14は、選択された内側キャピラリチューブ21が接続経路14内で最小許容誤差で受けられ、内側キャピラリチューブ21の周りのデッドボリュームを最小化することが可能なように構成される。接続経路14は、例えば約1ミリメートルの、約0.1から約20ミリメートルの長さ(寸法L)を有してもよい。
【0113】
中間領域18は、例えば約5.5ミリメートルの、約1ミリメートルから約30ミリメートルの長さ(寸法C)を有してもよい。中間領域18の直径は、その長さに沿って変化し得る。寸法Gは、約4ミリメートルなどの、例えば約3ミリメートルから約6ミリメートルの、約2ミリメートルから20ミリメートルでもよい。キャピラリリセス15は、端面16で終わり、例えば約10.8ミリメートルの、約3ミリメートルから約50ミリメートルの、長さ(寸法N)を有してもよい。キャピラリリセス15の直径(寸法I)は、約1.59ミリメートルなどの、例えば約1.5ミリメートルから約1.65ミリメートルの、約0.25ミリメートルから約6.3ミリメートルでもよい。
【0114】
図示されるこの実施形態において、変形可能部分17は、クリンプ可能部分17であり、下記の説明においてそのように呼ばれる。クリンプ可能部分17の直径(寸法H)は約0.5ミリメートルから約20ミリメートルでもよい。通常、クリンプ可能部分17の直径は、キャピラリリセス15の直径よりも約30%から約32%大きい。
【0115】
コネクタ10のこの実施形態において、受容部分11は、図3bに示されるように六角形の断面を有するグリップ可能部分112を含む。グリップ可能部分は、ツールを使用して係合できるように六角形断面を備えて構成される。グリップ可能部分112の他の実施形態において、様々な代替の断面形状が使用可能である。グリップ可能部分112の断面形状及び表面仕上げは、その部分のグリップを容易にし、流体導管の接続具が容易にコネクタ10に螺合できる、又はコネクタ10から外せるように選択されてもよい。六角形の断面の実施形態において、寸法Oは、例えば約6ミリメートルの、約2ミリメートルから約20ミリメートルでもよい。
【0116】
図4は、図3a及び3bに図示される実施形態のコネクタ10を含むキャピラリアセンブリ50の斜視図である。図4において、コネクタ10内の、内側キャピラリチューブ21及び適合性材料のスリーブ22を含むキャピラリ20の位置が示される。図4において、内側キャピラリチューブ21がキャピラリリセス15(すなわち、キャピラリホルダ100)を通る経路に沿って接続経路14内へ延びることがわかる。図4の矢印は、クリンプ可能部分17がクリンプされるとき発生する径方向の圧縮を表す。
【0117】
図5は、図1及び2を参照して上に説明されたコネクタ10及びキャピラリアセンブリ50の模式的断面図であり、流体導管34の接続具30が受容部分11によって受けられる。この図において、接続具30及び流体導管34は、輪郭で示される。接続具30は、端部32を備えた先端31を含み、シール部分(図示せず)が先端に形成される。端部32が接続面13と当接するように先端がシールリセス12によって受けられるとき、接続具の端部と接続面13との間にデッドボリュームがほとんどない又は全くないシールが形成され得て、流体導管34とコネクタ10との間にデッドボリュームがほとんどない又は全くない。また、デッドボリュームを最小化するために内側キャピラリチューブ21がキャピラリホルダ100(キャピラリリセス15)及び接続経路14を通って延び、接続面13で止まる。理想的には、流体導管34及び内側キャピラリチューブ21は接続面13で接触する。接続経路14内に位置することにより、内側キャピラリチューブ21の端部は接続具30との接触により損傷したりつぶされたりすることから保護され、キャピラリ20と流体導管34との間にデッドボリュームがほとんどない又は全くない信頼できる接続が形成され得る。
【0118】
接続経路14内全長に延びる内側キャピラリチューブ21の配置が図6にさらに詳細に示される。図6は、接続経路14内を延び、接続面13と整列する内側キャピラリチューブ21の配置を図示する。上述のとおり、キャピラリ20の適合性材料のスリーブ22はキャピラリホルダ100(キャピラリリセス15)内に置かれ、通常、キャピラリリセス15の端面16に当接する。
【0119】
いくつかの代替の実施形態において、キャピラリチューブ21の端部は、接続経路14の一部のみに沿って延びてもよい。そのような実施形態において、内側キャピラリチューブ21の端部と流体導管34との間に小さいデッドボリュームが生じる。しかし、デッドボリュームのサイズは、クロマトグラフィシステムの性能を過度に悪化させるものであってはいけない。上述のとおり、デッドボリュームは最小化又は回避することが望ましい。
【0120】
図7は、別の実施形態の接続経路14の拡大図である。接続経路14は内側キャピラリチューブ21よりも小さい穴径を有し、適合性材料のスリーブ22と同様に内側キャピラリチューブ21もキャピラリホルダ100(キャピラリリセス15)の端面16に当接する。そのような実施形態において、接続経路14は内側キャピラリチューブ21の直径の約5%から約10%でもよい。例えば、接続経路14の直径は、約25ミクロンなどの、例えば、35ミクロン以下の、約50ミクロン以下でもよい。接続経路14のこれらの実施形態が小さいデッドボリュームを画定することは明らかである。しかし、デッドボリュームは、クロマトグラフィシステムの性能に悪い影響をおよぼすものであってはいけない。上述のとおり、デッドボリュームは最小化することが望ましい。
【0121】
図8は、別の実施形態の接続経路14の拡大図である。接続経路14は、内側キャピラリチューブ21の穴径よりも大きい穴径を有する。この実施形態において、適合性材料のスリーブ22の端部はスリーブの第一の部分221が接続経路14によって受けられるように構成される。適合性材料のスリーブ22は、第一の部分221が接続経路14によって受けられるとき、キャピラリホルダ100(キャピラリリセス15)の端面16に当接する面222を備えた相欠きのエッジ(rebated edge)を有する。そのような実施形態において、接続経路14は、例えば約0.79ミリメートルなどの、例えば約0.5から約1.3ミリメートルの、約0.0001から5ミリメートルの穴径を有してもよい。接続経路14のサイズ及び形状は、内側キャピラリチューブ21及びスリーブの第一の部分221のサイズ及び形状に基づいて選択される。接続経路14は、内側キャピラリチューブ21及び第一の部分221が、デッドボリュームを最小化するために最低限の寸法誤差で接続経路14内で受けられることが可能となるように構成されてもよい。
【0122】
図示される実施形態において、適合性材料のスリーブ22の第一の部分221は、接続面13まで接続経路14内を延びる。したがって、図示される実施形態において、適合性材料のスリーブ22の第一の部分221は接続面13と整列する適合性のある接続面223を提供する。加えて、内側キャピラリチューブ21もデッドボリュームを最小化するために接続面まで延びる。いくつかの実施形態において、適合性材料のスリーブ22の第一の部分221は、シールリセス12内へ少しの長さ延びてもよく、接続具30が接続面13と接触するまえに接続具30と接触し得る適合性のある接続面223が提供される。適合性のある接続面223は、接続具30からの接触により変形し得て、キャピラリ20と導管34との間に、デッドボリュームが減った、又は無くなった向上した接続が得られる。いくつかの実施形態において、第一の部分221は、約0.02ミリメートルなど、例えば約0.2ミリメートルまでの、1ミリメートルまで接続面13を超えて延びてもよい。通常、内側キャピラリチューブ21は接続面13又は適合性のある接続面223を超えて延びることはなく、内側キャピラリチューブが接続具30によって損傷するリスクが抑えられる。
【0123】
いくつかの代替の実施形態において、キャピラリチューブ21の端部、及び/又は第一の部分221は接続経路14に部分的にのみ沿って延びてもよい。そのような実施形態において、内側キャピラリチューブ21の端部と流体導管34との間に小さいデッドボリュームが生じる。しかし、デッドボリュームのサイズは、クロマトグラフィシステムの性能を過度に悪化させるものであってはいけない。上述のとおり、デッドボリュームは最小化又は回避することが望ましい。
【0124】
図9は、図3a、3b、及び4に図示されるタイプのコネクタ10を含むキャピラリアセンブリ50を示す。図9はまた、コネクタ10の受容部分11に受けられるように配置された接続具30を示す。コネクタ10は内側ねじ部111を含む。内側ねじ部111は、流体導管34の接続具30が接続具30の補完的な外側ねじ部33によって固定され得るように構成される。図示されるこの流体導管34は、UHPLCデバイス(図示せず)のキャピラリである。
【0125】
接続具30は、端部32を備えた先端31を含み、シール部321が端部32にある。
【0126】
キャピラリ20の一端部はコネクタ10のクリンプ可能部分17内でクリンプされ、適合性材料のスリーブ22は変形し、内側キャピラリチューブ21とコネクタ10との間にシールを生成し、キャピラリアセンブリ50を形成する。適合性材料のスリーブ22がコネクタ10の端部を超えて延びるように見えるが、内側キャピラリチューブ21の全長に沿って延びることはない。内側キャピラリチューブ21はクロマトグラフィカラム40(部分のみ図示)の一部を形成する。
【0127】
図10は、接続具30に接続するキャピラリアセンブリ50を示す。図示されるキャピラリアセンブリ50は、クロマトグラフィカラム40及びコネクタ10を含む。図10に示されるコネクタ10は、図3a、3b、4、及び9に示されるものと同じタイプである。この図に示される接続具30は、図9に示される接続具30と同じタイプである。
【0128】
コネクタ10を使い、流体導管34と内側キャピラリチューブ21との間に流体接続が提供される。内側キャピラリチューブ21はクロマトグラフィカラム40の一部を形成する。クロマトグラフィカラム40は、カラム40のコネクタ10と反対の端部に統合エレクトロスプレーエミッタ42を含む。
【0129】
図10に示されるコネクタ10の拡大図において、コネクタ10内の接続具30の位置がわかるようにコネクタ10の断面図が提供される。接続具30は、補完的な外側ねじ部33を使ってコネクタ10に螺合され、先端31はシールリセス12内に挿入される。シール部321は、接続具30の先端31の一端部32にあり、シール部321は、接続具30をコネクタ10に螺合させることによる軸方向の負荷の結果としてシールリセス12の壁に対して変形し得る。理想的には、接続具30及びキャピラリ20はコネクタ10によって受けられ、内側キャピラリチューブ21及び接続具30の端部32が当接し、デッドボリューム無しで(又は最低限で)流体接続を提供する。
【0130】
図11は、本発明の第二の態様に係るコネクタ10の実施形態の側面図である。コネクタ10は、Thermo Scientific(登録商標)の、Viper(登録商標)又はnanoViper(登録商標)、又は米国特許公開番号2014/0145437号に説明されるコネクタユニットなどのシール要素を端部に備えた先端を有する接続具と共に使用されるように構成される。図11において、見えない部分は破線で示される。
【0131】
コネクタ10は、第一の部分101、及びテーパ領域102を備えたスリーブ部103を含むキャピラリホルダ100を有する。スリーブ部103は適合性材料のスリーブ(図示せず)を受けるように構成される。スリーブ部103は受容部分11内へ延びる。すなわち、コネクタ10は、接続経路を含まない。
【0132】
図示されるこの実施形態において、変形可能部分17は、クリンプ可能部分17であり、下記の説明においてそのように呼ばれる。キャピラリホルダ100は、クリンプ可能部分17の全長に沿って中間領域18内まで延びる。適合性材料のスリーブが配置されると、スリーブはスリーブ部103の端部にシールリセスを画定する。シールリセスは、接続具の先端が挿入され得る部分であり、適合性材料のスリーブの接続面に当接し、コネクタ10と流体導管との間に適切なシールが生まれる。通常、中間領域18内のスリーブ部103の部分は、スリーブが本来の場所に配置されるとシールリセスを形成する。デッドボリュームを最小化するために、シールリセスの寸法は接続具の先端の寸法とほぼ等しいことが望ましい。したがって、スリーブ部103の部分が、クリンプ可能部分17内ではなく中間領域18内にある状態でシールリセスを形成することが有益であり、リセスの寸法が変わるリスクが最小化される。
【0133】
コネクタ10のこの実施形態において、受容部分11は六角形の断面を有するグリップ可能部分112を含む。グリップ可能部分は、ツールを使用して係合できるように六角形断面を備えて構成される。グリップ可能部分112の他の実施形態において、様々な代替の断面形状が使用可能である。グリップ可能部分112の断面形状及び表面仕上げは、その部分のグリップを容易にし、流体導管の接続具が容易にコネクタ10に螺合できる、又はコネクタ10から外せるように選択されてもよい。コネクタ10のこの実施形態の受容部分11はまた、内側ねじ部111を含む。内側ねじ部111は、流体導管の接続具(図示せず)が接続具30の補完的な外側ねじ部によって固定され得るように構成される。
【0134】
図11a、11b、11c、及び11dは本発明の第二の態様に係るコネクタ10の別の実施形態を示す。図11aはコネクタ10の側面図、図11bは背面図、図11cは平面図、そして図11dは背面斜視図である。図11の実施形態と同様に、コネクタ10のこの実施形態は、Thermo Scientific(登録商標)の、Viper(登録商標)又はnanoViper(登録商標)、又は米国特許公開番号2014/0145437号に説明されるコネクタユニットなどのシール要素を端部に備えた先端を有する接続具と共に使用されるように構成される。図11a-11dにおいて、見えない部分は破線で示される。
【0135】
コネクタ10の全長は、例えば約17.71ミリメートルの、例えば約15ミリメートルから約50ミリメートルの、約5ミリメートルから約100ミリメートルでもよい。寸法Bは、例えば約9.55ミリメートルの、約5ミリメートルから約22ミリメートルでもよい。寸法Cは、例えば約11.32ミリメートルの、約5ミリメートルから約26ミリメートルでもよい。角度Dは、例えば約19.49度の、約10度から約90度でもよい。
【0136】
コネクタ10のこの実施形態の受容部分11は、内側ねじ部111を含む。内側ねじ部111は流体導管の接続具(図示せず)が接続具の補完的な外側ねじ部を使って位置に固定され得るように構成される。内側ねじ部111の長さ(寸法A)は、例えば約6.21ミリメートルの、約3ミリメートルから約12ミリメートルでもよい。コネクタ10のこの実施形態は、寸法Hが例えば約1.7(±0.050)ミリメートルの、約0.4から約6.5ミリメートルでもよいシールリセス12を含む。
【0137】
コネクタ10は、直径(寸法M)が、約0.85(±0.050)ミリメートルなどの、例えば約0.5ミリメートルから約1.65ミリメートルの、0.20ミリメートルから約6.3ミリメートルの、第一の部分101を含むキャピラリホルダ100を有する。第一の部分101の長さ(寸法L)は、例えば約3.03ミリメートルの、約1.5ミリメートルから約6ミリメートルでもよい。キャピラリホルダ100はまた、テーパ領域102を備えたスリーブ部103を含む。スリーブ部103の直径(寸法I)は、約1.6(±0.050)ミリメートルなどの、例えば約0.5ミリメートルから約1.8ミリメートルの、約0.25から約6.3ミリメートルでもよい。スリーブ部103は、適合性材料のスリーブ(図示せず)を受けるように構成される。テーパ領域102及びスリーブ部103からの移行部は両方、約45度などの、約30度から約60度であり得る面取り(J)である。キャピラリホルダ100の寸法は、部分的に内側キャピラリチューブの寸法、及びスリーブ部103内に受けられる適合性材料のスリーブに加えて補助的な適合性材料のスリーブを含むか否かによって決まることは明らかである。
【0138】
寸法Fは、例えば約14.3ミリメートルの、約6.5ミリメートルから約29ミリメートルでもよい。寸法Gは、例えば約14.68ミリメートルの、約7ミリメートルから約30ミリメートルでもよい。
【0139】
この実施形態のシールリセス12は、コネクタ10の中間領域18内を延びる。中間領域18は、約1.2ミリメートルなどの、例えば約0.75ミリメートルから約5ミリメートルの、0.5ミリメートルから約30ミリメートルの長さ(寸法S)を有してもよい。中間領域18の直径(寸法R)は、約4ミリメートルなどの、例えば約3ミリメートルから約6ミリメートルの、約2ミリメートルから20ミリメートルでもよい。
【0140】
第一の部分101、スリーブ部103、及びシールリセス12それぞれの直径の許容誤差は±0.050ミリメートルである(寸法K)。
【0141】
図示されるこの実施形態において、変形可能部分17は、クリンプ可能部分17であり、下記の説明においてそのように呼ばれる。クリンプ可能部分17の直径(寸法P)は、約2.59ミリメートルなどの、約0.5ミリメートルから約20ミリメートルでもよい。通常、クリンプ可能部分17の直径は、スリーブ部103の直径よりも約62%大きいなど、約30%から約100%大きい。変形可能部分17の長さ(寸法Q)は、約6.7ミリメートルなどの、約3ミリメートルから約20ミリメートルでもよい。
【0142】
コネクタ10のこの実施形態において、受容部分11は、図11b及び11dに示されるように六角形の断面を有するグリップ可能部分112を含む。グリップ可能部分112は、ツールを使用して係合できるように六角形断面を備えて構成される。グリップ可能部分112の他の実施形態において、様々な代替の断面形状が使用可能である。グリップ可能部分112の断面形状及び表面仕上げは、その部分のグリップを容易にし、流体導管の接続具が容易にコネクタ10に螺合できる、又はコネクタ10から外せるように選択されてもよい。六角形の断面の実施形態において、寸法Oは、例えば約6ミリメートルの、約2ミリメートルから約20ミリメートルでもよい。
【0143】
受容部分は、中間領域18からグリップ可能部分112へ、例えば約18.21度の、約15度から約25度などの、約10度から約60度の角度(角度T)で延びてもよい。中間領域18とグリップ可能部分112との距離(寸法U)は、例えば約4.33ミリメートルの、約2ミリメートルから約15ミリメートルでもよい。受容部分11から中間領域18までの長さ(寸法V)は、例えば約9.8ミリメートルの、約5ミリメートルから約22ミリメートルでもよい。
【0144】
図12は、キャピラリ20を本来の場所に含む第二の態様に係るコネクタ10の別の実施形態の模式的断面図である。したがって、図12は、本発明に係るキャピラリアセンブリ50を図示する。コネクタ10の図示される実施形態は、クロマトグラフィシステムにおいての利用に適したものである。コネクタ10のこの模式図において、(接続具を受容部分で受け、そこに保持するための)受容部分11の係合成分は省略されている。
【0145】
コネクタ10は、別の流体導管(図示せず、図13を参照)の一端部にある接続具を受けるように構成される受容部分11を含む。受容部分11のサイズ、形状、及び構成、特に受容部分11の内寸は流体導管の接続具のサイズ、形状、及び構成によって決まる。
【0146】
図12に示される実施形態は、Thermo Scientific(登録商標)の、Viper(登録商標)又はnanoViper(登録商標)、又は米国特許公開番号2014/0145437号に説明されるコネクタユニットなどのシール要素を端部に備えた先端を有する接続具と共に使用されるように構成され得るコネクタ10の実施形態である。
【0147】
コネクタ10は、変形可能部分17を含む。図示されたこの実施形態において、変形可能部分17は、クリンプ可能部分17であり、下記の説明においてそのように呼ばれる。クリンプ可能部分17は、キャピラリ20の端部において内側キャピラリチューブ21を取り囲むクリンプ可能なスリーブである。クリンプ可能部分17の壁厚み及びキャピラリホルダ100、特にスリーブ部103の寸法は、クリンプ可能部分17がクリンプされていないときキャピラリホルダがキャピラリ20を収納できるが、クリンプ可能部分17がクリンプされるとき適合性材料のスリーブ22は変形し、内側キャピラリチューブ21とコネクタ10との間に適合性材料のスリーブ22によってシールが形成されるように選択される。
【0148】
シールを生成するためにクリンプ可能部分17全体をクリンプすることは不要かもしれない。代わりに、有効なシールを生成するためには、クリンプ可能部分17の一部のみをクリンプすることで十分かもしれない。例えば、有効なシールを生成するためには、クリンプ可能部分17は2から3ミリメートルの長さのみに沿ったクリンピングが必要かもしれない。そのようなクリンピングは通常、適合性材料のスリーブ22を囲むクリンプ可能部分の領域に集中することは明らかである。
【0149】
スリーブ部103内に位置する適合性材料のスリーブ22は適合性のある接続面223及び端面225を提供する。したがって、第二の態様のこの実施形態において、適合性材料のスリーブ22は、図1に示される実施形態の接続経路14、端面15、及び接続面13の代わりをする。図12に示されるとおり、適合性のある接続面223はスリーブ22の受容部分11に近位の端部にあり、端面225は、スリーブ22の受容部分11の遠位の端部にある。
【0150】
受容部分11及びスリーブ部103内の適合性材料のスリーブ22は、適合性材料のスリーブの接続面223に当接するように接続具の先端が挿入され得るシールリセス12を画定し、コネクタ10と流体導管との間に適切なシールが得られる。通常、受容部分11は流体導管がスリーブ22及びキャピラリホルダ100と同軸であり、キャピラリホルダ100内に受けられるキャピラリ20、特に内側キャピラリチューブ21が流体導管と整列するように構成される。シールリセス12はスリーブ部103の中間領域18内に延びる部分から形成されるが、それはまたクリンプ可能部分17内にも延びる。図11に関して上述のとおり、スリーブ部103の部分が、クリンプ可能部分17内ではなく中間領域18内にある状態でシールリセスを形成することが有益であり、リセスの寸法が変わるリスクが最小化される。
【0151】
図12は、内側キャピラリチューブ21及びキャピラリホルダ100によって受けられる補助的な適合性材料のスリーブ25を含むキャピラリ20を示す。キャピラリ20の内側キャピラリチューブ21は断面図として示されていない。キャピラリ20には、補助的な適合性材料のスリーブ25が提供され得て、スリーブ25は少なくとも第一の部分101の長さに沿って延びる。補助的な適合性材料のスリーブ25は、適合性材料のスリーブ22よりも小さい直径を有し、第一の部分101の穴はそれに伴ってスリーブ部103よりも小さい。補助的な適合性材料のスリーブ25は、例えば約0.79ミリメートルの、約0.5ミリメートルから約1.6ミリメートルなどの、約0.4ミリメートルから約5ミリメートルの外径を有してもよい。スリーブ部103はテーパ領域102を含む。適合性材料のスリーブには補完的なテーパ部224が提供される。スリーブ部103端部及び適合性材料のスリーブ22の補完的な構造は、内側キャピラリチューブ22及び流体導管と同軸となるようにスリーブ22を中心に寄せることを推進し得る。キャピラリアセンブリ50の組立において、適切なスリーブ22の位置決めを補助するために様々な代替の補完的構造が選択可能である。
【0152】
図示される実施形態において、キャピラリ20は補助的な適合性材料のスリーブ25がない端部を有し、内側キャピラリチューブ21は適合性材料のスリーブ22内に挿入可能である。適合性材料のスリーブ25は、シールを生成するためにクリンプ可能部分17がクリンプされるとき、内側キャピラリチューブを損傷から保護し得る。いくつかの実施形態において、補助的な適合性材料のスリーブ25が内側キャピラリチューブ21とコネクタ10との間のシールに貢献し得る。
【0153】
補助的な適合性材料のスリーブ25は、内側キャピラリチューブ21の実質的に全長に沿って提供されてもよい。そのような実施形態において、適合性材料のスリーブ22は、適切なサイズの経路を有することにより、内側キャピラリチューブ21及び補助的な適合性材料のスリーブ25の両方を受けるように構成されてもよい。しかし、図示される実施形態において、クリンプ可能部分17がクリンプされるとき、補助的な適合性材料のスリーブ25の端部が適合性材料のスリーブ22の端面225に当接することが理想的である。
【0154】
流体導管の接続具(図示せず)と内側キャピラリチューブ21との間のデッドボリュームを最小化、又は実質的に回避するために、内側キャピラリチューブ21は適合性材料のスリーブ22の長さに少なくとも部分的に沿って、望ましくは全長に沿って(図12に示されるように)延びる。
【0155】
図13は、図12を参照して上に説明されたキャピラリアセンブリ50の模式的断面図であり、流体導管34の接続具30が受容部分11によって受けられる。この図において、接続具30及び流体導管34は輪郭が示される。接続具30は、端部32を備えた先端31を含み、先端においてシール部(図示せず)が形成される。端部32が適合性のある接続面223に当接するように先端31がシールリセス12によって受けられるとき、デッドボリュームがほとんどない又は全くないシールが接続具30の端部と適合性のある接続面223との間に形成され得て、流体導管34とコネクタ10との間にデッドボリュームがほとんどない又は全くない。スリーブ22の適合性材料は、先端31の端部32とスリーブ22との間に優れたシールが形成されることを促進するかもしれない。さらに、デッドボリュームを最小化するために、内側キャピラリチューブ21はキャピラリホルダ100及び適合性材料のスリーブ22を通って延び、適合性のある接続面223で止まる。理想的には、流体導管34及び内側キャピラリチューブ21は適合性のある接続面223で接触する。適合性材料のスリーブ22内に位置することにより、内側キャピラリチューブ21の端部は接続具との接触により損傷したりつぶされたりすることから保護され、キャピラリ20と流体導管34との間にデッドボリュームがほとんどない又は全くない信頼できる接続が形成され得る。
【0156】
内側キャピラリチューブ21は、適合性材料のスリーブ22に沿う中間位置まで延びてもよいが、適度に端部に近い位置であって、クリンプ可能部分17をクリンプすることが適合性材料のスリーブ22が変形してチューブ21の前で閉塞することはない。すなわち、内側キャピラリチューブ21はスリーブ22の経路内に位置し、スリーブ22の変形はチューブ21のブロックや、流体接続に有害な制限を生むことの原因とはならない。
【0157】
本発明に係るキャピラリアセンブリの組立方法も提供される。該方法は、キャピラリの一端部をキャピラリホルダ内に挿入するステップと、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形可能部分を変形させるステップとを含む。発明の第一の態様において、該方法は、キャピラリの一端部をキャピラリリセス内に挿入するステップと、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形可能部分を変形させるステップとを含む。
【0158】
図1、3a、及び3bに示されるように、本発明のいくつかの実施形態において、変形可能部分はクリンプ可能部分を含む。変形可能部分がクリンプ可能部分を含むコネクタを使用する実施形態において、変形可能部分の変形は、クリンプ可能部分をクリンプするステップを含んでもよく、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成する。クリンピングは、電気接続の準備に使われるクリンパなどの従来のクリンパ(クリンピングツール)を使用して実施され得る。クリンピングは手動のクリンパで行われてもよい。
【0159】
第一の態様において、キャピラリは、適合性材料のスリーブ内に内側キャピラリチューブを含む。第一の態様のキャピラリアセンブリの組立中、キャピラリはしばしばキャピラリリセスに挿入され、キャピラリは少なくともキャピラリリセスの端面に接触する。例えば、キャピラリはキャピラリリセスに挿入され得て、適合性材料のスリーブの端面がリセスの端面に接触してもよい。
【0160】
接続経路が内側キャピラリチューブを受けるように構成される実施形態において、キャピラリアセンブリの組立方法は、変形可能部分の変形の前に内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させるステップを含んでもよく、内側キャピラリチューブの端部が接続経路に挿入される。
【0161】
接続経路が内側キャピラリチューブ及び適合性材料のスリーブの一部を受けるように構成される実施形態において、該方法は、適合性材料のスリーブの一部を接続経路に挿入し、適合性材料のスリーブの第二の部分を端面に当接させるステップを含んでもよい。内側キャピラリチューブは次に適合性材料のスリーブに対して移動し、内側キャピラリチューブの端部が適合性材料のスリーブの第一の部分の端部と整列する、又は近くなってもよい。
【0162】
接続経路がキャピラリリセスの端面と受容部分の接続面との間に延びる実施形態において、該方法は、受容部分にダミー部品を挿入し、ダミー部品が接続面に当接して接続経路を横切って延びるようにするステップと、内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させ、内側キャピラリチューブの端部を内側キャピラリチューブが接触面でダミー部品と接触するまで接続経路に挿入するステップとを含んでもよい。接続経路が内側キャピラリチューブ及び適合性材料のスリーブの第一の部分を受けるように構成される実施形態において、ダミー部品は適合性材料のスリーブの第一の部分の端部を接触面と整列させるように使用できる。
【0163】
内側キャピラリチューブの端部が接続経路の中間位置内に挿入される実施形態においても、該方法は、ダミー部品を使って内側キャピラリチューブの端部の接続経路への深すぎる挿入を回避することを含んでもよい。内側キャピラリチューブが、接続経路に深く挿入されすぎて端部の一部が受容部分の接続面を超えて延びることは望ましくない。受容部分内に延びる内側キャピラリチューブの部分は、接続具が受容部分によって受けられるときにつぶれたり損傷したりし得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明のキャピラリアセンブリの組立方法は、変形可能部分の変形の前に、受容部分にダミー部品を挿入し、ダミー部品が接続面に当接して接続経路を横切って延びるようにするステップと、内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させて内側キャピラリチューブの端部を接続経路に挿入するステップとを含む。
【0164】
ダミー部品が使われて内側キャピラリチューブを接続経路内に配置する補助をするとき、ダミー部品は、接続具が受容部分によって受けられるように除去される。ダミー部品は、変形可能部分の変形の前、又は後に除去されてもよい。しばしばダミー部品は、変形工程中に内側キャピラリチューブが受容部分内に延びないように、変形可能部分の変形後に除去される。
【0165】
ダミー部品は、受容部分内の空間を占めるように構成されるプラスチックのねじ接続具でもよい。すなわち、ダミー部品の形状及びサイズは接続具の外寸に対応してもよい。概して、ダミー部品は、受容部分の接続面と当接し、接続経路の端部を覆う平面を提供する。いくつかの実施形態において、ダミー部品は、受容部分が受けることを意図したタイプの接続具でもよい。ダミー部品として使用される接続具は、流体導管によって占められる接続具の部分をブロックする、又は充填するように変更されてもよい。
【0166】
いくつかの実施形態において、キャピラリアセンブリの組立方法は、接続具が受けられるように受容部分に接続具を挿入するステップと、内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させ、内側キャピラリチューブの端部を内側キャピラリチューブが接続具と接触するまで接続経路に挿入するステップとを含んでもよい。
【0167】
内側キャピラリチューブの端部が接続経路に沿った中間位置内に挿入される場合も、キャピラリアセンブリの組立方法は、内側キャピラリチューブの端部を接続経路に沿って位置決めする前に接続具を受容部分に挿入し、内側キャピラリチューブの端部の接続経路への挿入が深すぎないようにするステップを含んでもよい。上述のとおり、受容部分内に延びる内側キャピラリチューブの部分は、接続具が受容部分によって受けられるときにつぶれたり損傷したりし得るから、内側キャピラリチューブが、接続経路に深く挿入されすぎて端部の一部が受容部分の接続面を超えて延びることは望ましくない。
【0168】
本発明の第二の態様において、キャピラリアセンブリの組立方法は、適合性材料のスリーブをキャピラリホルダ内に挿入するステップと、キャピラリの一端部を内側キャピラリチューブが適合性材料のスリーブ内に位置するようにキャピラリホルダ内に挿入するステップと、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するように変形可能部分を変形するステップとを含んでもよい。変形可能部分を変形するステップは、適合性材料が変形して内側キャピラリチューブとコネクタとの間にシールを生成するようにクリンプ可能部分をクリンプするステップを含んでもよい。クリンピングは上に説明された方法で実施されてもよい。
【0169】
キャピラリ及び適合性材料のスリーブはキャピラリホルダに同時に挿入されてもよい。例えば、両方の成分が同時にキャピラリホルダに挿入され得るように、いずれの成分も挿入される前に内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブ内に置いてもよい。
【0170】
ダミー部品は、受容部分に挿入され、変形可能部分の変形前に適合性材料のスリーブ及び/又は内側キャピラリチューブがキャピラリホルダに沿って適切に配置可能とされてもよい。例えば、適合性材料のスリーブ及び/又は内側キャピラリチューブはダミー部品と当接するまでキャピラリホルダに挿入されてもよい。
【0171】
キャピラリホルダがスリーブ部を含む実施形態において、該方法は、スリーブ部に配置されるように適合性材料のスリーブを第一の方向に沿って挿入するステップを含んでもよく、キャピラリの端部はキャピラリホルダ内に、第一の方向と逆の第二の方向に沿って挿入される。したがって、発明の第二の態様において、キャピラリアセンブリの組立中、キャピラリは、補助的な適合性材料のスリーブが少なくとも(主要)適合性材料のスリーブの端面に接触するようにキャピラリホルダに挿入されてもよい。例えば、キャピラリは、補助的な適合性材料のスリーブの端部の面が適合性材料のスリーブの端面に接触し得るようにキャピラリホルダに挿入されてもよい。
【0172】
変形可能部分の変形まえに、該方法は、内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブの受容部分から遠位の一端部に挿入し、受容部分に近位の端部から出るようにキャピラリをキャピラリホルダ内に挿入するステップと、内側キャピラリチューブを適合性材料のスリーブに対して移動させ、内側キャピラリチューブの端部が受容部分から近位の端部と整列する、又は受容部分から近位の端部の近傍の位置で適合性材料のスリーブ内に配置されるようにするステップとを含んでもよい。受容部分から近位の端部に適切に近い位置とは、シールを生成するために変形可能部分が変形するとき、流体導管と内側キャピラリチューブとの流体接続が、適合性材料のスリーブの変形により許容範囲以上に悪化することがない位置である。
【0173】
いくつかの実施形態において、ダミー部品は、受容部分から近位の端部と整列する、又は受容部分から近位の端部の近傍の位置で適合性材料のスリーブ内に配置されるように内側キャピラリチューブを位置決めするために使用されてもよい。該方法は、ダミー部品が適合性材料のスリーブに当接するまでダミー部品が内側キャピラリチューブを移動させるように、ダミー部品を受容部分に挿入するステップを含んでもよい。
【0174】
ダミー部品が使われて内側キャピラリチューブの接続経路内での位置決めを補助するとき、ダミー部品は後に除去され、接続具の受容部分による受け入れが可能となる。ダミー部品は、変形可能部分の変形の前、又は後に除去されてもよい。しばしばダミー部品は、変形工程中に内側キャピラリチューブが受容部分内に延びないように変形可能部分の変形後に除去される。加えて、特定の実施形態の適合性材料のスリーブは受容部分の端部の接続面を画定するから、変形可能部分の変形中、ダミー部品をそこに保持しておき、シールリセスなどの受容部分の端部が変形せず接続具を受けるために望ましい形状を保つようにすることが望ましいかもしれない。
【0175】
上述のとおり、ダミー部品は、受容部分内の空間を占めるように構成されるプラスチックのねじ接続具でもよい。すなわち、ダミー部品の形状及びサイズは接続具の外寸に対応してもよい。概して、ダミー部品は、受容部分の接続面と当接し、接続経路の端部を覆う平面を提供する。いくつかの実施形態において、ダミー部品は、受容部分が受けることを意図したタイプの接続具でもよい。ダミー部品として使用される接続具は、流体導管によって占められる接続具の部分をブロックする、又は充填するように変更されてもよい。
【0176】
この明細書における先行文献(又は、そこから導出される情報)、又は周知技術への参照は、先行文献(又は、そこから導出される情報)、又は周知技術が、本明細書が関連する分野における一般周知技術の一部を形成することを認知、容認、もしくは示唆するものではないし、そのように解釈されるべきではない。
【0177】
この明細書及び下の特許請求の範囲全体にわたり、「含む」という文言、及びその派生語は、参照されるステップや数値など以外のステップや数値などを除外することを意図しないと理解されたい。
【0178】
添付の図面を参照して実施形態が説明された。しかし、添付の特許請求の範囲に記載されるように、説明された実施形態の構想や範囲から逸脱することなく、実施形態を変更することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11a
図11b
図11c
図11d
図12
図13