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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】アオリ開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/027 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B62D33/027 Y
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022000336
(22)【出願日】2022-01-05
(65)【公開番号】P2023100018
(43)【公開日】2023-07-18
【審査請求日】2023-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515315082
【氏名又は名称】有限会社ビー・コマース
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】吉見 美智王
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182376(JP,A)
【文献】特開2002-249081(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202670(JP,U)
【文献】登録実用新案第3207225(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックのアオリを開閉させるアオリ開閉装置であって、
前記トラックの台枠に対してフレームを介して回動可能に連結した基端部を有するとともに、前記アオリを閉鎖位置に向けて回動させる第1方向及び前記アオリを開放位置に向けて回動させる第2方向に移動可能な先端部を有する第1リンク機構と、
前記第1リンク機構の前記先端部に回動可能に連結した後端部とこの後端部から離間した先端部を有する中間リンクと、
前記アオリに先端部を回動可能に連結した駆動アームと、
前記駆動アームの基端部を回動可能に連結した先端部と前記中間リンクの中間部を回動可能に連結した後端部を有する連結リンクと、
前記第1リンク機構の前記基端部より前記アオリ側で前記フレームに対して回動可能に連結した基端部を有するとともに、前記中間リンクの前記先端部に回動可能に設けた直動軸を含むチェビシェフのリンクを構成した第2リンク機構と、
前記直動軸に回動可能に連結され、前記駆動アームの前記基端部から前記先端部側に離間した中間部に回動可能に連結した先端部を有するガイドリンクと、
を有し、
前記第1リンク機構は、
パワーリンクと、第1起倒リンクと、第2起倒リンクと、を有し、
前記パワーリンクは、前記フレームに対して回動可能に連結した基端部を有し、
前記第1起倒リンクは、後端部が前記パワーリンクの先端部に対して回動可能に連結され、
前記第2起倒リンクは、中間部が前記第1起倒リンクの先端部に対して回動可能に連結されるとともに、前記アオリを閉鎖位置に向けて回動させる第1方向及び前記アオリを開放位置に向けて回動させる第2方向に移動可能な先端部を有する、
アオリ開閉装置。
【請求項2】
前記フレームに対して回動可能に連結した基端部を有するとともに、前記ガイドリンクの後端部に回動可能に連結した先端部を有する補助リンクをさらに有する、
請求項1のアオリ開閉装置。
【請求項3】
前記第1リンク機構は、当該第1リンク機構の前記先端部を前記第1方向に向けて押引圧する力を発生させる少なくとも1つの制振器を備える、
請求項1又は請求項2のアオリ開閉装置。
【請求項4】
前記第1リンク機構の前記先端部を前記第1方向及び前記第2方向に移動させる駆動力を発生する駆動部をさらに有する、
請求項1-3のいずれか1項のアオリ開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラックの荷台に設けたアオリを開閉させるためのアオリ開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の開閉装置は、トラックの荷台に設けたアオリを開閉するアクチュエータを備える。この開閉装置は、電動アクチュエータとアオリをリンク機構によって接続した構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3529225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される開閉装置は、アオリの閉鎖時において、膨出部17が基部5近傍に位置するよう収容されている。そのため、当該開閉装置は、アオリの閉鎖時においては、コンパクトな構造を呈する。しかしながら、アオリ開放時において、当該開閉装置は、先端18を中心として駆動アーム15が前方(あおり扉3の反対方向)に回動する。これに伴い、両端がそれぞれ駆動アーム15の一端と膨出部17の挟角部21とに連結する規制部材22は、回転軸16を中心に回動する。この際、膨出部17の挟角部21は、規制部材22の回動に合わせて大きく下方へ移動するよう構成されている。そのため、当該開閉装置を用いてアオリを開放する際には、膨出部17は大きく下方へ移動することとなる(特許文献1図5参照)。ここで、トラックシャーシの両側には、排気ガス浄化装置、エアタンク、燃料タンク、安全装置、冷凍機、補助機器等が隙間なく装着されている。そのため、特許文献1に開示されるような、膨出部17が大きく下方へ移動するような開閉装置の場合、アオリ開閉時に膨出部17や他の部材が、排気ガス浄化装置等に接触してしまい、これらが破損してしまう可能性がある。
このように、トラックのボディ下部、トラックシャーシのような、スペースのない(小さい)空間にアオリ開閉装置を装着することは、技術的に非常に困難である。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、リンク機構を用いてアオリを滑らかに開閉動作させることができる小型で高出力、メンテナンスフリーのアオリ開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアオリ開閉装置は、トラックのアオリを開閉させる装置であって、トラックのアオリ付きボディ(ウイング、平ボディ等)に対して回動可能に連結した基端部を有するとともに、アオリを閉鎖位置に向けて回動させる第1方向及びアオリを開放位置に向けて回動させる第2方向に移動可能な先端部を有する第1リンク機構と、第1リンク機構の先端部に回動可能に連結した後端部とこの後端部から離間した先端部を有する中間リンクと、アオリに先端部を回動可能に連結した駆動アームと、駆動アームの基端部を回動可能に連結した先端部と中間リンクの中間部を回動可能に連結した後端部を有する連結リンクと、第1リンク機構の基端部よりアオリ側でフレームに対して回動可能に連結した基端部を有するとともに、中間リンクの先端部に回動可能に設けた直動軸を含むチェビシェフのリンクを構成した第2リンク機構と、直動軸に回動可能に連結され、駆動アームの基端部から先端部側に離間した中間部に回動可能に連結した先端部を有するガイドリンクと、を有する。
【0007】
チェビシェフのリンクを構成した第2リンク機構の直動軸は、中間リンクの先端部及びガイドリンクとともに直線的に移動する。中間リンクの後端部は、アオリを開閉する第1及び第2方向に移動する第1リンク機構の先端部に回動可能に連結されている。このため、第1リンク機構の先端部が第1及び第2方向に移動すると、中間リンクの後端部も第1及び第2方向に移動する。中間リンクが移動する際には、第1リンク機構の構造によらず、中間リンクの先端部がチェビシェフのリンクによって直線的に移動し、ガイドリンクを直線的に移動する。ガイドリンクの直線的な移動は、アオリを開閉する方向に駆動アームの中間部を直線的に押し引きする。
【0008】
一方、第1リンク機構の先端部には、中間リンクを介して連結リンクの後端部が回動可能に連結されている。そして、連結リンクの先端部は、駆動アームの基端部が回動可能に連結されている。中間リンク及び連結リンクを介して伝達される第1リンク機構の駆動力は、駆動アームの基端部に伝えられて、駆動アームを回動させ、駆動アームを起倒する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアオリ開閉装置によると、リンク機構を用いて小型、高出力、メンテナンスフリーの装置でアオリを滑らかに開閉動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るアオリ開閉装置を備えた大型トラックの(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、及び(d)背面図である。
図2図2は、図1の大型トラックの左前方に設けたアオリ開閉装置を大型トラックの後方斜め右下から見た斜視図である。
図3図3は、図2のアオリ開閉装置を別の角度から見た斜視図である。
図4図4は、図2のアオリ開閉装置の第1リンク機構を示す斜視図である。
図5図5は、図2のアオリ開閉装置の第2リンク機構の回動リンク、ガイドリンク、及びカムを示す斜視図である。
図6図6は、図2のアオリ開閉装置をフレームに取り付けるための取付機構を示す斜視図である。
図7図7は、図2のアオリ開閉装置の駆動アームの取外し機構を示す斜視図である。
図8図8は、図7の取外し機構の両穴ボルトを(a)軸部の先端側から見た斜視図、及び(b)頭部側から見た斜視図である。
図9図9は、図2のアオリ開閉装置の送信側の制御系を示すブロック図である。
図10図10は、図2のアオリ開閉装置の受信側の制御系を示すブロック図である。
図11図11は、アオリを開放位置に配置した第1の状態におけるアオリ開閉装置を示す斜視図である。
図12図12は、アオリを開放位置から閉塞位置に向けて45°傾けて配置した第2の状態におけるアオリ開閉装置を示す斜視図である。
図13図13は、アオリを開放位置と閉塞位置の間で水平に配置した第3の状態におけるアオリ開閉装置を示す斜視図である。
図14図14は、アオリを水平状態から閉塞位置に向けて45°傾けて配置した第4の状態におけるアオリ開閉装置を示す斜視図である。
図15図15は、アオリを閉塞位置に配置した第5の状態におけるアオリ開閉装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るアオリ開閉装置100は、例えば、大型トラック1(以下、単に、トラック1と称する)に取り付けて使用することができる。アオリ開閉装置100は、小型トラック、中型トラック、セミトレーラ、フルトレーラなどに取り付けて使用することもできる。図1を用いた以下の説明では、トラック1を正面から見て、上下、前後、左右の各方向を規定する。
【0012】
[トラック1の構造]
まず、図1(a)~(d)を参照して、トラック1の構造について説明する。
トラック1は、3軸10輪のタイヤ2が取り付けられたトラックシャーシ3と、このトラックシャーシ3に搭載された荷台4と、を備える。
【0013】
荷台4は、荷室の床の周囲を保持する後述する矩形枠状の台枠12(図2、3参照)と、後述するヒンジ11(図2、3参照)を介して台枠12に回動自在に取り付けた4枚のアオリ10と、各アオリ10を荷室の周囲を囲む閉鎖位置(図1に示す位置)に起立させて固定するための複数本の柱5と、閉鎖位置に配置した4枚のアオリ10の上方空間を開放可能に覆う左右2つのウィング6L、6Rと、左右2枚のリア扉7L、7Rと、を備える。
【0014】
4枚のアオリ10は、それぞれ、トラック1の前後に長い略矩形板状に形成されている。荷台4は、その左側に前後に並んだ2枚のアオリ10を備え、その右側に前後に並んだ2枚のアオリ10を備える。各アオリ10を荷室の側面を囲む閉鎖位置に起立させた状態(図1の状態)で各アオリ10の前後に延びた下端縁が、複数のヒンジ11を介して台枠12に対して回動可能に取り付けられている。各アオリ10は、荷室の側面を開放する開放位置に配置した状態(ここでは図示せず)で、複数のヒンジ11を介して台枠12から垂下された状態となる。
【0015】
また、トラック1は、4枚のアオリ10をそれぞれ開閉駆動するための4台のアオリ開閉装置100を備える。アオリ開閉装置100は、アオリ10を鉛直上方に起立した閉鎖位置と鉛直下方に垂下した開放位置の間で回動させる。本実施形態では、4台のアオリ開閉装置100をトラック1に取り付けた場合について説明するが、必ずしも全てのアオリ10にアオリ開閉装置100を取り付ける必要はない。また、1つのアオリ10に複数のアオリ開閉装置100を取り付けてもよい。
【0016】
[アオリ開閉装置100の構造及びフレーム13の構造]
次に、図2図5を参照して、アオリ開閉装置100の構造及びその取付構造について説明する。
【0017】
上述した左右4台のアオリ開閉装置100は、同じ構造を有する。よって、ここでは、トラック1の左前方のアオリ10に取り付けたアオリ開閉装置100に着目してその構造を説明する。なお、以下の説明では、このアオリ開閉装置100をトラック1の左側(図示矢印X方向)から見て、上下、前後、左右の各方向を規定する。また、図2以降の各図において、アオリ開閉装置100の前方から後方に向う方向(トラック1の左から右に向う方向)を矢印Xで示し、アオリ開閉装置100の左から右に向う方向(トラック1の前方から後方に向う方向)を矢印Yで示し、アオリ開閉装置100の下方から上方に向う方向を矢印Zで示す。さらに、以下の説明では、アオリ開閉装置100を、単に、開閉装置100と称する。
【0018】
図2では、開閉装置100の各部の構造を見易くするため、アオリ10を閉鎖位置と開放位置のちょうど中間の水平な姿勢(以下、水平位置とする)に配置した状態を図示してある。図3は、アオリ10を閉鎖位置に配置した状態の開閉装置100を図2とは違う角度から見た斜視図である。なお、図2及び図3では、開閉装置100以外の構造物については、その一部のみを部分的に図示している。例えば、図2及び図3において、アオリ10、ヒンジ11、及び台枠12は、その連結部分及び開閉装置100との連結部分の周辺部のみを部分的に図示してある。
【0019】
上述したように、開閉装置100は、トラック1の荷台4(図2及び図3では図示省略)の台枠12に取り付けることができる。開閉装置100は、後述する取付機構200(図6)によって台枠12の左右方向の所望する位置に取り付けることができる。つまり、開閉装置100は、以下に説明するフレーム13の台枠12に対する取り付け位置を変えることで、台枠12に沿った左右の所望する位置に取り付けることができる。
【0020】
開閉装置100は、フレーム13を介して台枠12に取り付けられる。フレーム13は、図2及び図3に示すように、メインフレーム14、サブフレーム15、アクチュエータマウント16L、16R、及びパワーリンクマウント17L、17Rを含む。図2及び図3では、左側のアクチュエータマウント16Lが他の部材の後ろに隠れて見えていない。フレーム13の各構成部材14、15、16L、16R、17は、例えば金属板或いは樹脂等により形成することができる。フレーム13の各構成部材14、15、16L、16R、17を金属板により形成する場合には、各構成部材を溶接等により互いに接合することができる。
【0021】
開閉装置100のフレーム13を取り付ける部分の台枠12は、開閉装置100の左右方向(トラック1の前後方向)に延設されている。台枠12は、XZ平面で切断した断面がコ字状に形成されている。台枠12は、略水平な天板部12a、天板部12aの前方の端縁から略鉛直下方に延出した前板部12b、及び前板部12bの下端縁から後方に向けて略水平に延出した底板部12cを一体に有する。
【0022】
フレーム13のメインフレーム14は、開閉装置100の前後方向(トラック1の左右方向)に延設され、その長手方向の前方の一端が、後述する取付機構200を介して、台枠12に固定されている。メインフレーム14は、YZ平面で切断した断面がコ字状に形成されている。
【0023】
メインフレーム14は、XY平面に沿って略水平に延設された天板部14a、XZ平面に沿って天板部14aの左端縁から鉛直下方に延出した側板部14b、及びXZ平面に沿って天板部14aの右端縁から鉛直下方に延出した側板部14cを一体に有する。また、メインフレーム14は、天板部14aと側板部14b、14cの前端をつなげた略矩形の前板部14dを一体に有する。前板部14dは、YZ平面に沿って配置されている。
【0024】
メインフレーム14は、台枠12の天板部12aの下面にメインフレーム14の前端近くの天板部14aの上面を接触させ、且つ台枠12の前板部12bの内面(後方の面)にメインフレーム14の前板部14dの外面(前方の面)を接触させた状態で、後述する取付機構200を介して、台枠12に固定されている。
【0025】
サブフレーム15は、メインフレーム14の天板部14aの下面に固設されている。サブフレーム15は、メインフレーム14と同様に、YZ平面で切断した断面がコ字状に形成されている。サブフレーム15は、メインフレーム14の天板部14aの下面に接触した天板部15a、及び天板部15aの左右の端縁から鉛直下方に延出した側板部15b、15cを一体に有する。
【0026】
サブフレーム15の天板部15aは、メインフレーム14の天板部14aより左右方向の幅が狭く形成されている。サブフレーム15の側板部15b、15cは、それぞれ、メインフレーム14の側板部14b、14cから内側に離間した位置に配置されている。
【0027】
アクチュエータマウント16L、16Rは、矩形の板を断面ハット形に折り曲げた形状を有し、サブフレーム15の前端近くで左右の側板部15b、15cの内面にそれぞれ固定されている。アクチュエータマウント16L、16Rは、それぞれ、サブフレーム15の側板部15b、15cの内側に離間した位置で側板部15b、15cと略平行に配置した天板部16aを有する。アクチュエータマウント16L、16Rの天板部16aは、それぞれ、軸孔16bを有する。2つのアクチュエータマウント16L、16Rの軸孔16bは、Y方向に並んで同軸に設けられている。
【0028】
パワーリンクマウント17L、17Rは、サブフレーム15の後端近くで天板部15aの下面に固定されている。パワーリンクマウント17L、17Rは、それぞれ、YZ平面で切断した断面がL字状に形成されている。パワーリンクマウント17Lは、サブフレーム15の天板部15aの下面に接触した天板部17La、及び天板部17Laの一方の端縁から鉛直下方に延出した側板部17bを一体に有する。また、パワーリンクマウント17Rは、サブフレーム15の天板部15aの下面に接触した天板部17Ra、及び天板部17Raの一方左右の端縁から鉛直下方に延出した側板部17cを一体に有する
【0029】
パワーリンクマウント17Lの天板部17La及びパワーリンクマウント17Rの天板部17Raは、サブフレーム15の天板部15aより左右方向の幅がさらに狭く形成されている。パワーリンクマウント17Lの側板部17b及びパワーリンクマウント17Rの側板部17cは、それぞれ、サブフレーム15の側板部15b、15cから内側に離間した位置に配置されている。また、パワーリンクマウント17Lの側板部17b及びパワーリンクマウント17Rの側板部17cは、それぞれ、パワーリンク32の基端部を回動可能に取り付けるための図示しない軸孔を有する。これらの軸孔は、Y方向に並んで同軸に設けられている。
【0030】
開閉装置100は、メインフレーム14の左右方向の中心を通るXZ平面(以下、この架空の面を開閉装置100の中心面と称する)に対し、左右対称な構造を有する。開閉装置100は、アクチェータ20、第1リンク機構30、第2リンク機構40、カム50、連結リンク38、ガイドリンク48、及び駆動アーム60を有する。
【0031】
アクチェータ20は、作動ロッド22、及び駆動部24を有する。第1リンク機構30は、パワーリンク32、第1起倒リンク34、及び第2起倒リンク36を有する。第2リンク機構40は、第1揺動リンク42、第2揺動リンク44、及び回動リンク46を有する。この他に、開閉装置100は、第1補助リンク72、第2補助リンク74(特許請求の範囲における補助リンクの一例)、及び8つの緩衝・収縮・反発装置82L、82R、84L、84R、86L、86R、88L、88Rを有する。
【0032】
アクチェータ20の作動ロッド22、駆動部24、及び駆動アーム60は、それぞれ単体で左右方向の中央に配置されている。開閉装置100のそれ以外の構成部材32、34、36、38、42、44、46、48、50、72、74、82L、82R、84L、84R、86L、86R、88L、88Rは、中心面の左右に分かれた2つの部材をそれぞれ連結し或いは独立して備える。
【0033】
アクチェータ20の基端部は、フレーム13のアクチュエータマウント16L、16Rの軸孔16bに挿通配置可能な回動軸21を備える。アクチェータ20の基端部は、左側のアクチュエータマウント16Lの天板部16aと右側のアクチュエータマウント16Rの天板部16aの間に配置される。アクチェータ20は、回動軸21の左右両端をアクチュエータマウント16L、16Rの軸孔16bに挿通することにより、フレーム13に対して回動可能に取り付けられている。すなわち、アクチェータ20は、Y方向に延びた回動軸21を中心に、XZ平面と平行な中心面に沿って回動可能に設けられている。アクチェータ20は、その基端部から先端部に向けて後方やや下向きに傾斜した姿勢でアクチュエータマウント16L、16Rに取り付けられている。アクチェータ20は、駆動部24によって付勢されて、作動ロッド22を概ね前後方向に伸縮させる。
【0034】
図4に示すように、第1リンク機構30のパワーリンク32は、中心面の左右に互いに離間してXZ平面に沿って延設された同じ形状の左右2枚のリンク板32L、32R、及び左右のリンク板32L、32Rを連結して固定した連結板32Jを一体に有する。連結板32Jは、2枚のリンク板32L、32Rの少なくとも一部を連結していればよく、アオリ10を閉鎖位置と開放位置の間で回動させた際に、パワーリンク32が回動する全範囲において、周辺の部材に干渉することの無い位置に配置されている。
【0035】
パワーリンク32は、左右2つのリンク板32L、32Rの長手方向の基端部(図4で示す上端)をフレーム13のパワーリンクマウント17Lの側板部17b及びパワーリンクマウント17Rの側板部17cの外側に重ねて配置される。左右2つのリンク板32L、32Rの基端部には、それぞれ、フランジ付の回動軸31が固設されている。2つの回動軸31は、リンク板32L、32Rから中心面に向けてY方向の内側に突設され、同軸に配置されている。
【0036】
左側のリンク板32Lに固設した回動軸31は、パワーリンクマウント17Lの左側の側板部17bに設けた軸孔に回動可能に挿通配置される。また、右側のリンク板32Rに固設した回動軸31は、パワーリンクマウント17Rの右側の側板部17cに設けた軸孔に回動可能に挿通配置される。すなわち、パワーリンク32は、Y方向に延びた2本の回動軸31を中心に、パワーリンクマウント17L及び17Rに対して、中心面に沿って回動可能に取り付けられている。
【0037】
フランジ付の回動軸31は、それぞれ、各リンク板32L、32Rの中心面側の内面にフランジ面を接触させることにより、各リンク板32L、32Rに対して直交する方向に固定されている。回動軸31のリンク板32L、32Rに対する固定は、例えば溶接による固定であり、溶接の代わりに圧入やCリングなどを用いてもよい。或いは、回動軸31にネジを設けてリンク板32L、32Rの軸孔に締結固定するものであってもよい。回動軸31のリンク板32L、32Rに対する固定は、これらの方法に限定されるものではなく、いかなる方法を採用してもよく、できるだけ剛性の高いものが望ましい。以下に説明する他の回動軸についても同様の固定方法を採用することができる。
【0038】
フランジ面をリンク板32L、32Rの内面に接触させて固定することにより、パワーリンク32の回動の途中で、回動軸31に不所望な抉り力が作用した場合であっても、回動軸31が各リンク板32L、32Rに対して傾くことを防止することができ、パワーリンク32を中心面と平行な面に沿って回動させることができる。回動軸31のフランジ部分は、パワーリンクマウント17Lの側板部17b、パワーリンクマウント17Rの側板部17cとリンク板32L、32Rの間のスペーサとして機能する。
【0039】
また、パワーリンク32の連結板32Jは、連結板32Jを設けない場合(左右のリンク板32L、32Rが分離している場合)と比較して、パワーリンク32の剛性を高めるように機能する。このため、パワーリンク32に負荷がかかった場合に、パワーリンク32に生じる歪みを抑制することができ、パワーリンク32を中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0040】
パワーリンク32の中間部には、アクチェータ20の作動ロッド22の先端が回動可能に連結されている。パワーリンク32の左側のリンク板32Lの中間部には、フランジ付のスリーブ91が取り付けられている。パワーリンク32の右側のリンク板32Rの中間部には、フランジ付のスリーブ91が取り付けられている。各リンク板32L、32Rに固設したスリーブ91は、その中心軸がY方向に同軸に並ぶように配置されている。
【0041】
アクチェータ20の作動ロッド22の先端には、パワーリンク32の2つのスリーブ91に回動可能に挿通配置されるY方向に延びた回動軸23が設けられている。作動ロッド22の先端は、パワーリンク32の中間部で2枚のリンク板32L、32Rの間に配置される。作動ロッド22の先端から左右外側に突出した回動軸23の左右端は、それぞれ、2枚のリンク板32L、32Rの内側から各スリーブ91内に挿通配置される。
【0042】
駆動部24を付勢してアクチェータ20の作動ロッド22を伸ばすと、パワーリンク32が回動軸31を中心に図示反時計周り方向に回動する。駆動部24を逆方向に付勢してアクチュエータ20の作動ロッド22を縮めると、パワーリンク32が回動軸31を中心に図示時計周り方向に回動する。なお、パワーリンク32が回動軸31を中心に回動する際には、アクチュエータ20も回動軸21を中心にわずかに回動する。
【0043】
パワーリンク32の中間部に設けたフランジ付のスリーブ91は、各リンク板32L、32Rの中心面側の内面にフランジ面を接触させることにより、各リンク板32L、32Rに対して直交する方向にその中心軸が延びるように各リンク板32L、32Rに固定されている。スリーブ91のリンク板32L、32Rに対する固定は、例えば溶接による固定であり、溶接の代わりに圧入やCリングなどを用いてもよい。或いは、スリーブ91にネジを設けてリンク板32L、32Rに締結固定するものであってもよい。スリーブ91のリンク板32L、32Rに対する固定は、これらの方法に限定されるものではなく、いかなる方法を採用してもよく、できるだけ剛性の高いものが望ましい。以下に説明する他のスリーブについても同様の固定方法を採用することができる。
【0044】
フランジ面をリンク板32L、32Rの内面に接触させて固定することにより、パワーリンク32の回動の途中で、回動軸23に不所望な抉り力が作用した場合であっても、各スリーブ91が各リンク板32L、32Rに対して傾くことを防止することができ、パワーリンク32を中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0045】
第1起倒リンク34は、中心面の左右に互いに離間してXZ平面に沿って延設した同じ形状の左右2枚のリンク板34L、34R、及び左右のリンク板34L、34Rを連結固定した連結板34Jを一体に有する。連結板34Jは、2枚のリンク板34L、34Rの少なくとも一部を連結していればよく、第1起倒リンク34が回動する全範囲で、周辺の部材に干渉することの無い位置に配置されている。
【0046】
左右2つのリンク板34L、34Rの後端部(図4で示す右端)には、それぞれ、フランジ付のスリーブ92(右側のみ図示)が固定されている。各リンク板34L、34Rの後端部に固設した2つのスリーブ92は、その中心軸がY方向に同軸に並ぶように設けられている。第1起倒リンク34の左右のリンク板34L、34Rの後端部は、パワーリンク32の回動の先端近くで2枚のリンク板32L、32Rの外側に重ねて配置される。
【0047】
パワーリンク32の各リンク板32L、32Rの先端部には、連結シャフト33を挿通するための軸孔93が設けられている。そして、第1起倒リンク34の後端部は、2つのスリーブ92及び2つの軸孔93に挿通した連結シャフト33を介して、パワーリンク32の先端部に対して回動可能に連結される。第1起倒リンク34は、パワーリンク32の回動軸31を中心とした揺動により、概ね前後方向に移動される。
【0048】
第1起倒リンク34の後端部に設けたフランジ付のスリーブ92は、第1起倒リンク34の各リンク板34L、34Rの中心面側の内面にフランジ面を接触させることにより、各リンク板34L、34Rに対して直交する方向にその中心軸が延びるように各リンク板34L、34Rに固定されている。このため、パワーリンク32の回動の途中で、連結シャフト33に不所望な抉り力が作用した場合であっても、スリーブ92が各リンク板34L、34Rに対して傾くことを防止することができ、第1起倒リンク34を中心面と平行な面に沿ってパワーリンク32に対して回動させることができる。各スリーブ92のフランジ部分は、パワーリンク32の左右のリンク板32L、32Rと第1起倒リンク34の左右のリンク板34L、34Rの間のスペーサとして機能する。
【0049】
また、第1起倒リンク34の連結板34Jは、第1起倒リンク34の剛性を高めるように機能する。このため、第1起倒リンク34に負荷がかかった場合に、第1起倒リンク34に生じる歪みを抑制することができ、第1起倒リンク34を中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0050】
第1起倒リンク34の左右のリンク板34L、34Rの先端部(図4で示す左端近く)には、第2起倒リンク36の中間部が回動可能に連結されている。各リンク板34L、34Rの先端部には、フランジ付の回動軸35がそれぞれ固設されている。左右2枚のリンク板34L、34Rに固設した2つの回動軸35は、Y方向に並んで同軸に配置されている。2つの回動軸35は、それぞれ、左右のリンク板34L、34Rの先端部から外側に突出している。
【0051】
第2起倒リンク36は、第1起倒リンク34の先端部に重なる中間部で第1起倒リンク34の先端部を外側から挟む位置に配置した同じ形状の左右2枚のリンク板36L、36R、及び左右のリンク板36L、36Rを連結固定した連結板36Jを一体に有する。連結板36Jは、2枚のリンク板36L、36Rの少なくとも一部を連結していればよく、第2起倒リンク36が回動する全範囲で、周辺の部材に干渉することの無い位置に配置されている。
【0052】
左右のリンク板36L、36Rは、それぞれ、その中間部に、第1起倒リンク34の先端部に設けた回動軸35を回動可能に受け入れる軸孔94を有する。2つの軸孔94は、その中心軸がY方向に並ぶように同軸に設けられている。第1起倒リンク34の先端部に設けた2つの回動軸35を、それぞれ、左右のリンク板36L、36Rの軸孔94に挿通配置することにより、第2起倒リンク36の中間部が、回動軸35を中心にXZ平面に沿って回動可能に取り付けられる。
【0053】
第1起倒リンク34の先端部に設けたフランジ付の回動軸35は、各リンク板34L、34Rの外面にフランジ面を接触させることにより、各リンク板34L、34Rに対して直交する方向に延びるように各リンク板34L、34Rに固定されている。このため、回動軸35に不所望な抉り力が作用した場合であっても、回動軸35が各リンク板34L、34Rに対して傾くことを防止することができ、第2起倒リンク36を第1起倒リンク34に対して中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0054】
また、第2起倒リンク36の連結板36Jは、第2起倒リンク36の剛性を高めるように機能する。このため、第2起倒リンク36に負荷がかかった場合に、第2起倒リンク36に生じる歪みを抑制することができ、第2起倒リンク36を中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0055】
パワーリンク32と第2起倒リンク36の間には、上述した第1起倒リンク34の他に、第1補助リンク72が取り付けられている。第1補助リンク72は、第1起倒リンク34の上方に配置され、第1起倒リンク34と略平行に取り付けられている。第1補助リンク72は、中心面の左右に互いに離間してXZ平面に沿って延設した同じ形状の左右2枚のリンク板72L、72Rを有する。
【0056】
第1補助リンク72は、上述したパワーリンク32、第1起倒リンク34、及び第2起倒リンク36と異なり、2枚のリンク板72L、72Rを一体に連結した連結板を有していない。その代わりに、各リンク板72L、72Rは、その長手方向に沿った一方の縁(図示上端縁)に補強リブ72aを一体に備えている。各リンク板72L、72Rの補強リブ72aは、各リンク板72L、72Rの一方の縁を内側に略直角に折り曲げた形状を有し、中心面に向けて互いに近付く方向に突設されている。
【0057】
第1補助リンク72の左右2枚のリンク板72L、72Rの後端部(パワーリンク32側の端部)は、パワーリンク32の先端部とスリーブ91の間の中間部で2枚のリンク板32L、32Rの外側に重なる位置に配置されている。第1補助リンク72の2枚のリンク板72L、72Rの後端部近くには、それぞれ、中心軸がY方向に同軸に並ぶようにフランジ付のスリーブ95が固設されている。
【0058】
一方、パワーリンク32の左右2枚のリンク板32L、32Rは、その先端部とスリーブ91の間の中間部に、第1補助リンク72のスリーブ95とそれぞれ同軸に重なる軸孔96(図4に左側のみ図示)を有する。そして、パワーリンク32の2つの軸孔96及び第1補助リンク72の2つのスリーブ95に挿通した連結シャフト71(図3参照)を介して、第1補助リンク72の後端部がパワーリンク32の中間部に対して回動可能に連結されている。
【0059】
第1補助リンク72の後端部に設けたフランジ付のスリーブ95は、第1補助リンク72の各リンク板72L、72Rの中心面側の内面にフランジ面を接触させることにより、各リンク板72L、72Rに対して直交するY方向にその中心軸が延びるように各リンク板72L、72Rに固定されている。このため、パワーリンク32の回動の途中で、連結シャフト71に不所望な抉り力が作用した場合であっても、スリーブ95の中心軸が各リンク板72L、72Rに対して傾くことを防止することができ、第1補助リンク72をパワーリンク32に対して中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0060】
また、第1補助リンク72の2つのスリーブ95は、左右のリンク板72L、72Rのリブ72aの突出高さを超える軸方向の長さを有する。このため、第1補助リンク72の回動の途中で、リブ72aがパワーリンク32に干渉することがない。つまり、第1補助リンク72の2つのスリーブ95は、パワーリンク32の左右のリンク板32L、32Rと第1補助リンク72の左右のリンク板72L、72Rの間のスペーサとして機能する。
【0061】
また、第1補助リンク72の各リンク板72L、72Rの補強リブ72aは、各リンク板72L、72Rの剛性を高めるように機能する。このため、各リンク板72L、72Rに負荷がかかった場合に、各リンク板72L、72Rに生じる歪みを抑制することができ、第1補助リンク72の各リンク板72L、72Rをパワーリンク32に対して中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0062】
第1補助リンク72の各リンク板72L、72Rの先端部(第2起倒リンク36側の端部近く)は、第2起倒リンク36の2枚のリンク板36L、36Rの後端部(図4で示す上端)の内側に重ねて配置される。第2起倒リンク36の2枚のリンク板36L、36Rの後端部には、それぞれ、フランジ付の回動軸73がY方向に並んで同軸に取り付けられている。2つの回動軸73は、それぞれ、リンク板36L、36Rの先端部から第1補助リンク72の各リンク板72L、72Rに向けて内側へ突出している。
【0063】
一方、第1補助リンク72の左右2枚のリンク板72L、72Rの先端部には、それぞれ、第2起倒リンク36に設けた回動軸73を回動可能に受け入れる軸孔97が設けられている。すなわち、第1補助リンク72の先端部は、2つの回動軸73を介して、第2起倒リンク36の後端部に回動可能に連結されている。
【0064】
フランジ付の回動軸73は、第2起倒リンク36の各リンク板36L、36Rの内面にフランジ面を接触させることにより、各リンク板36L、36Rと直交するY方向に延びるように各リンク板36L、36Rに固定されている。このため、回動軸73に不所望な抉り力が作用した場合であっても、回動軸73が各リンク板36L、36Rに対して傾くことを防止することができ、第2起倒リンク36を第1補助リンク72に対してXZ平面に沿って回動させることができる。各回動軸73のフランジ部分は、第1補助リンク72の左右のリンク板72L、72Rと第2起倒リンク36の左右のリンク板36L、36Rの間のスペーサとして機能する。
【0065】
上記のようにパワーリンク32と第2起倒リンク36の間に連結された第1補助リンク72は、パワーリンク32の動きを第2起倒リンク36に伝える第1起倒リンク34に作用する応力の一部を受けて第1リンク機構30の滑らかな動きを補助する。パワーリンク32が回動軸31を中心に揺動すると、第1起倒リンク34と第1補助リンク72が前後にずれながら移動し、第2起倒リンク36がスイングする。このため、アクチェータ20による駆動力は、パワーリンク32、第1起倒リンク34、第1補助リンク72、及び第2起倒リンク36を介して、第2起倒リンク36の先端部(第1リンク機構30の先端部)に伝えられる。
【0066】
連結リンク38は、後述するカム50を間に挟んで、第2起倒リンク36の先端部に連結される。連結リンク38については、後に詳述する。
【0067】
図2及び図3に示すように、第2リンク機構40の第1揺動リンク42は、中心面の左右に分かれて配置した2つの揺動リンク42L、42Rを含む。第1揺動リンク42の左右2つの揺動リンク42L、42Rは、それぞれ、アクチェーターマウント16L、16Rよりわずかに後方の位置でフレーム13に対して揺動可能に取り付けられている。
【0068】
ここでは、中心面の左側に配置した揺動リンク42Lを左前揺動リンク42Lと称し、中心面の右側に配置した揺動リンク42Rを右前揺動リンク42Rと称する。左前揺動リンク42L及び右前揺動リンク42Rは、中心面に対して左右対称な構造を有し、両者を一体に連結した連結板などを有しておらず、互いに独立している。
【0069】
右前揺動リンク42Rは、フレーム13と後述する回動リンク46の右側のリンク板46Rの長手方向の一端を連結した長尺なリンク板42R-1、リンク板42R-1の基端部(図示上端)の外側(右側)に離間してリンク板42R-1と略平行に配置した比較的短い補強板42R-2、及びリンク板42R-1と補強板42R-2を連結して一体化した連結板42R-3を有する。右前揺動リンク42Rの基端部近くには、回動軸41を挿通するための図示しないフランジ付のスリーブが取り付けられている。
【0070】
右前揺動リンク42Rのリンク板42R-1及び補強板42R-2は、Y方向に並んで同軸に配置した図示しない取付孔をそれぞれ有する。フランジ付のスリーブは、リンク板42R-1の内面にフランジ面を接触させた状態で、リンク板42R-1及び補強板42R-2の取付孔に取り付けられる。このため、フランジ付のスリーブは、その中心軸がY方向と平行になる。
【0071】
右前揺動リンク42Rは、フランジ付のスリーブを設けた側の基端部をメインフレーム14の右側の側板部14cとサブフレーム15の右側の側板部15cの間に挿し込んだ状態でフレーム13に取り付けられる。つまり、右前揺動リンク42Rは、リンク板42R-1の基端部がサブフレーム15の側板部15cの外側の面(右側の面)に対向し、補強板42R-2がメインフレーム14の側板部14cの内側の面(左側の面)に対向するように配置される。
【0072】
メインフレーム14の右側の側板部14cは、回動軸41の右端を回動可能に受け入れる軸孔101を有する。サブフレーム15の右側の側板部15cは、回動軸41の左端を回動可能に受け入れる図示しない軸孔を有する。メインフレーム14の側板部14cの軸孔101及びサブフレーム15の側板部15cの軸孔は、Y方向に並んで同軸に配置されている。
【0073】
右前揺動リンク42Rは、フランジ付のスリーブに挿通した回動軸41を介して、フレーム13(メインフレーム14及びサブフレーム15)に対して揺動可能に取り付けられる。つまり、フランジ付のスリーブに挿通配置した回動軸41の左端をサブフレーム15の側板部15cに設けた軸孔に挿通し、回動軸41の右端をメインフレーム14の側板部14cに設けた軸孔101に挿通する。これにより、右前揺動リンク42Rは、回動軸41を中心にして、フレーム13に対して中心面と平行な面に沿って揺動可能となる。
【0074】
右前揺動リンク42Rの基端部に設けたフランジ付のスリーブは、リンク板42R-1の内面(左面)にフランジ面を接触させることにより、リンク板42R-1に対して直交する方向にその中心軸が延びるようにリンク板42R-1に固定されている。このため、右前揺動リンク42Rの揺動の途中で、回動軸41に不所望な抉り力が作用した場合であっても、フランジ付のスリーブが右前揺動リンク42Rに対して傾くことを防止することができ、右前揺動リンク42Rをフレーム13に対して中心面と平行な面に沿って揺動させることができる。
【0075】
また、右前揺動リンク42Rの補強板42R-2及び連結板42R-3は、右前揺動リンク42Rの基端部の剛性を高めるように機能する。フランジ付のスリーブも、右前揺動リンク42Rの基端部の剛性を高めるように機能する。このため、リンク板42R-1に負荷がかかった場合に、右前揺動リンク42Rの基端部近くに生じる歪みを抑制することができ、右前揺動リンク42Rをフレーム13に対して中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0076】
左前揺動リンク42Lは、中心面の左側で、フレーム13と後述する回動リンク46の左側のリンク板46Lの長手方向の一端を連結している。左前揺動リンク42Lは、上述したように、右前揺動リンク42Rと左右対称な構造を有し、右前揺動リンク42Rと同様に機能する。よって、ここでは、左前揺動リンク42Lの詳細な説明を省略する。なお、第2リンク機構40の他の構成要素、すなわち、この後で説明する第2揺動リンク44、回動リンク46、及びガイドリンク48も、中心面の左右両側に独立して同じ構成を有するため、以下の説明では、中心面の右側に配置した構成要素について代表して説明し、左側の構成要素の詳細な説明を省略する。
【0077】
第2揺動リンク44は、中心面の左右に互いに離間してXZ平面に沿って延設した同じ形状の左右2枚のリンク板44L、44Rを有する。第2揺動リンク44は、左右のリンク板44L、44Rを連結して固定した連結板を備えておらず、左右2枚のリンク板44L、44Rは互いに独立している。ここでは、中心面の左側に配置したリンク板44Lを左後リンク板44Lと称し、中心面の右側に配置したリンク板44Rを右後リンク板44Rと称する。
【0078】
右後リンク板44Rは、上述した右前揺動リンク42Rの基端部をフレーム13に揺動可能に取り付けた位置より後方に離間した位置で、その基端部がフレーム13に対して揺動可能に取り付けられている。右後リンク板44Rの基端部には、図示しないフランジ付のスリーブが固設されている。このスリーブは、フランジ面を右後リンク板44Rの内面に接触させた状態で右後リンク板44Rに固設されており、その中心軸がY方向に延びている。
【0079】
右後リンク板44Rは、右前揺動リンク42Rのリンク板42R-1の外側(右側)に非接触状態で重ねて配置され、リンク板42R-1と交差する方向に延びている。右後リンク板44Rは、フレーム13と後述する回動リンク46の右側のリンク板46Rの他端を回動可能に連結している。
【0080】
右後リンク板44Rの基端部は、後述する第2補助リンク74の右側のリンク板74Rの基端部とともに、メインフレーム14の右側の側板部14cとサブフレーム15の右側の側板部15cの間に挿入配置されている。第2補助リンク74の右側のリンク板74Rは、右後リンク板44Rとメインフレーム14の右側の側板部14cの間に基端部が配置される長尺なリンク板部とこのリンク板部の基端部の内側に離間対向した補強板部を一体に有する。この補強板部は、右後リンク板44Rとサブフレーム15の右側の側板部15cの間に配置されている。そして、右後リンク板44Rの基端部は、第2補助リンク74の右側のリンク板74Rのリンク板部と補強板部の間に配置されている。
【0081】
第2補助リンク74のリンク板74Rの基端部にも、回動軸43を挿通配置するための図示しない2つのフランジ付のスリーブが取り付けられている。すなわち、右側のリンク板74Rのリンク板部の基端部及び補強板部の基端部にそれぞれフランジ付のスリーブが取り付けられている。リンク板部に取り付けたスリーブは、フランジ面をリンク板部の外面に接触させた状態で中心軸がY方向に延びるように固定されている。一方、補強板部に取り付けたスリーブは、フランジ面を補強板部の内面に接触させた状態で中心軸がY方向に延びるように固定されている。2つのスリーブは、Y方向に同軸に配置されている。なお、第2補助リンク74の右側のリンク板74Rの長尺なリンク板部の先端部は、後述するガイドリンク48の右ガイドリンク48Rの外側のリンク板48R-1の後端部に回動可能に連結されている。
【0082】
メインフレーム14の右側の側板部14cには、回動軸43の右端を回動可能に受け入れる軸孔102が設けられている。サブフレーム15の右側の側板部15cには、回動軸43の左端を回動可能に受け入れる図示しない軸孔が設けられている。メインフレーム14の側板部14cの軸孔102及びサブフレーム15の側板部15cの軸孔は、Y方向に並んで同軸に配置されている。
【0083】
そして、メインフレーム14の側板部14cとサブフレーム15の側板部15cの間に右後リンク板44Rの基端部と第2補助リンク74の基端部を上述したように挿入配置した状態で、サブフレーム15の側板部15cに設けた軸孔、右後リンク板44Rの基端部に設けたスリーブ、リンク板74Rの基端部に設けた2つのスリーブ、及びメインフレーム14の側板部14cに設けた軸孔102に回動軸43を挿通配置する。これにより、右後リンク板44Rの基端部及び補助リンク74のリンク板74Rの基端部がフレーム13に対して回動軸43を中心に揺動可能に取り付けられる。
【0084】
上述したように右後リンク板44Rの基端部に固設したスリーブは、フランジ面を右後リンク板44Rの内面に接触させた状態で右後リンク板44Rに固定されている。また、第2補助リンク74のリンク板74Rのリンク板部の基端部に固設したスリーブは、フランジ面をリンク板部の外面に接触させた状態でリンク板部に固定されている。また、第2補助リンク74のリンク板74Rの補強板部に固設したスリーブは、フランジ面を補強板部の内面に接触させた状態で補強板部に固定されている。さらに、第2補助リンク74の右側のリンク板74Rのリンク板部の基端部の外面は、メインフレーム14の側板部14cの内面に接触している。
【0085】
このため、右後リンク板44R及び第2補助リンク74のリンク板74Rの揺動の途中で、回動軸43に不所望な抉り力が作用した場合であっても、3つのスリーブが右後リンク板44R又はリンク板74Rに対して傾くことを防止することができ、且つ第2補助リンク74のリンク板74Rのリンク板部がメインフレーム14の側板部14cの内面に摺接しながら回動するため、右後リンク板44R及び第2補助リンク74のリンク板74Rを中心面と平行な面に沿って揺動させることができる。
【0086】
回動リンク46は、中心面の左右に互いに離間してXZ平面に沿って延設した同じ形状の左右2枚のリンク板46L、46Rを有する。回動リンク46は、左右のリンク板46L、46Rを連結して固定した連結板を備えておらず、左右2枚のリンク板46L、46Rは互いに独立している。
【0087】
回動リンク46の右側のリンク板46Rは、その一端が右前揺動リンク42Rの長尺なリンク板42R-1の先端部の外側(右側)に重ねて配置され、その他端が右後リンク板44Rの先端部の内側(左側)に重ねて配置されている。回動リンク46のリンク板46Rの一端には、右前揺動リンク42Rのリンク板42R-1の先端部に固設したフランジ付の回動軸103を回動可能に挿通配置するための軸孔が設けられている。回動リンク46のリンク板46Rの他端には、フランジ付の回動軸104(図5)が固設されている。回動リンク46のリンク板46Rの他端に設けた回動軸104は、右後リンク板46Rの先端部に向けて外側(右側)に突出しており、右後リンク板46Rの先端部に設けた軸孔に挿通配置されている。
【0088】
回動リンク46のリンク板46Rは、その一端に設けた軸孔にリンク板42R-1に設けた回動軸103を挿通配置し、且つその他端に設けた回動軸104を右後リンク板44Rに設けた軸孔に挿通配置することにより、右前揺動リンク42Rのリンク板42R-1の先端部と右後リンク板44Rの先端部を回動可能に連結している。
【0089】
右前揺動リンク42Rのリンク板42R-1の先端部に設けたフランジ付の回動軸103は、リンク板42R-1の外面にフランジ面を接触させることにより、リンク板42R-1と直交するY方向に延びるようにリンク板42R-1に固定されている。また、回動リンク46のリンク板46Rの他端に設けたフランジ付の回動軸104は、リンク板46Rの外面にフランジ面を接触させることにより、リンク板46Rと直交するY方向に延びるようにリンク板46Rに固定されている。このため、回動軸103、104に不所望な抉り力が作用した場合であっても、回動軸103がリンク板42R-1に対して傾くことを防止することができ、且つ回動軸104がリンク板46Rに対して傾くことを防止することができ、リンク板46RをXZ平面に沿って後述するカムシャフト51(特許請求の範囲における直動軸の一例)を中心に回動させることができる。
【0090】
回動リンク46のリンク板46Rの他端に設けた回動軸104のフランジ部分は、回動リンク46のリンク板46Rの他端と右後リンク板44Rの先端部の間のスペーサとして機能する。右前揺動リンク42Rのリンク板42R-1の先端部に設けた回動軸103のフランジ部分は、回動リンク46のリンク板46Rの一端と右前揺動リンク42Rのリンク板42R-1の先端部の間のスペーサとして機能する。
【0091】
図5に示すように、回動リンク46のリンク板46Rは、右前揺動リンク42Rの先端部を回動可能に連結した一端と右後リンク板44Rの先端部を回動可能に連結した他端の間の中間部に、フランジ付のスリーブ105を固設している。スリーブ105は、その中心軸がY方向に延びるようにリンク板46Rに固設され、後述するカムシャフト51が回動可能に挿通配置される。
【0092】
このフランジ付のスリーブ105は、リンク板46Rの外面(右面)にフランジ面を接触させることにより、その中心軸がリンク板46Rと直交するY方向に延びるようにリンク板46Rに固定されている。これにより、回動リンク46に不所望な抉り力(横方向の力)が作用した場合であっても、スリーブ105がリンク板46Rに対して傾くことを防止することができる。 また、カムシャフト51に負荷される歪みに対しては、カム50の連結板50Jがこれを補助する役割を果たす。
スリーブ105のフランジ部分は、リンク板46Rの中間部と後述する右ガイドリンク48Rの内側のリンク板48R-2の後端部の間のスペーサとして機能する。
【0093】
右前揺動リンク42Rと右後リンク板44Rがフレーム13に対して中心面と平行に揺動すると、回動リンク46のリンク板46Rがカムシャフト51を中心に回動しながら、カムシャフト51が開閉装置100の前後方向に移動する。アオリ10が閉鎖位置に向けて回動して、右前揺動リンク42Rと右後リンク板44Rが図示時計回り方向に揺動すると、回動リンク46のリンク板46Rが図示時計回り方向に回動する。逆に、アオリ10が開放位置に向けて回動して、右前揺動リンク42Rと右後リンク板44Rが図示反時計回り方向に揺動すると、回動リンク46のリンク板46Rが図示反時計回り方向に回動する。
【0094】
右前揺動リンク42R、右後リンク板44R、及び回動リンク46の右側のリンク板46Rは、回転運動を擬似直線運動に変えるチェビシェフのリンクを構成するように、それぞれの長さやレイアウトが決められており、カムシャフト51をフレーム13と略平行に移動させることができる。このチェビシェフのリンクは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置へ回動させる方向にカムシャフト51を移動させる際に、カムシャフト51を後方から前方に向う方向に直線的に移動させる。このため、後述するアームブラケット62に対する押引圧力を後方から前方に向けて直線的に加えることができ、駆動アーム60を効率よく動かすことができる。
【0095】
図5に示すように、ガイドリンク48は、中心面の左右に分かれて配置した左ガイドリンク48L及び右ガイドリンク48Rを含む。左ガイドリンク48L及び右ガイドリンク48Rは、中心面に対して左右対称な構造を有し、両者を一体に連結した連結板などを有しておらず、互いに独立している。左ガイドリンク48L及び右ガイドリンク48Rは、それぞれ、1枚の長尺な金属板を2か所でコ字状に折り曲げることにより形成されており、開閉装置100の前後方向に延設されている。
【0096】
右ガイドリンク48Rは、比較的長い外側のリンク板48R-1、リンク板48R-1の内側(左側)に離間してリンク板48R-1と略平行に配置した比較的短い内側のリンク板48R-2、及び2つのリンク板48R-1、48R-2の前端を連結した連結板48R-3を一体に有する。内側のリンク板48R-2の後端は、外側のリンク板48R-1の後端より前方で終端している。
【0097】
外側のリンク板48R-1は、連結板48R-3から離間した側の後端部に、上述した第2補助リンク74の右側のリンク板74Rの先端部に設けたフランジ付の回動軸75(図2、3)を回動可能に受け入れる軸孔106を備える。右ガイドリンク48Rのリンク板48R-1の後端部は、第2補助リンク74のリンク板74Rの先端部の外側(右側)に重ねて配置される。第2補助リンク74のリンク板74Rの先端部に設けた回動軸75は、外側(右側)に突出して設けられている。第2補助リンク74の先端部の回動軸75を右ガイドリンク48Rのリンク板48R-1の軸孔106に挿通配置することにより、ガイドリンク48Rの後端部が第2補助リンク74のリンク板74Rの先端部に対して回動可能に連結される。
【0098】
第2補助リンク74のリンク板74Rの先端部に設けたフランジ付の回動軸75は、リンク板74Rの外面にフランジ面を接触させることにより、リンク板74Rと直交するY方向に延びるようにリンク板74Rに固定されている。このため、回動軸75に不所望な抉り力が作用した場合であっても、回動軸75がリンク板74Rに対して傾くことを防止することができ、回動軸75を中心に右ガイドリンク48Rをリンク板74Rに対してXZ平面に沿って回動させることができる。回動軸75のフランジ部分は、リンク板74Rの先端部と右ガイドリンク48Rのリンク板48R-1の後端部の間のスペーサとして機能する。
【0099】
右ガイドリンク48Rの内側のリンク板48R-2及び連結板48R-3は、右ガイドリンク48Rの剛性を高めるように機能する。このため、右ガイドリンク48Rに負荷がかかった場合に、右ガイドリンク48Rに生じる歪みを抑制することができ、回動軸75を中心に右ガイドリンク48Rを中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0100】
外側のリンク板48R-1の中間部には、上述したカムシャフト51を回動可能に受け入れる軸孔107が設けられている。内側のリンク板48R-2は、連結板48R-3から離間した後端部に、カムシャフト51を回動可能に受け入れる図示しない軸孔を有する。外側のリンク板48R-1に設けた軸孔107と内側のリンク板48R-2に設けた軸孔は、Y方向に並んで同軸に配置されている。
【0101】
右ガイドリンク48Rは、上述した回動リンク46の右側のリンク板46Rをリンク板48R-1とリンク板48R-2の間に挟み、且つ回動リンク46のリンク板46Rの中間部に設けたスリーブ105とリンク板48R-1、48R-2に設けた軸孔がY方向に同軸に並ぶように配置される。同軸に並んだ2つの軸孔、及びスリーブ105にカムシャフト51を挿通配置することにより、カムシャフト51を中心に回動リンク46のリンク板46Rと右ガイドリンク48Rが回動可能に連結される。
【0102】
カムシャフト51は、この他に、後述するカム50(特許請求の範囲における中間リンクの一例)の右カム部分50Rの外カム板50R-1の一端及び内カム板50R-2の一端を回動可能に連結する。このため、右ガイドリンク48Rは、回動リンク46の右側のリンク板46R及びカム50の右カム部分50Rとともに、上述したカムシャフト51の前後方向の移動により、開閉装置100の前後方向に移動する。
【0103】
右ガイドリンク48Rは、前端部にフランジ付のスリーブ108を備える。右ガイドリンク48Rの外側のリンク板48R-1の先端部には、スリーブ108を取り付けるための取付孔109が設けられている。右ガイドリンク48Rの内側のリンク板48R-2は、その先端部に、取付孔109と同軸にY方向に並んだ図示しない取付孔を備える。スリーブ108は、2つの取付孔に挿通配置されて、その中心軸がY方向に延びるように右ガイドリンク48Rの先端部に固設される。スリーブ108は、そのフランジ面が右ガイドリンク48Rの内側のリンク板48R-2の内面(左面)に接触するように取り付けられる。
【0104】
右ガイドリンク48Rは、上述したように、外側のリンク板48R-1、内側のリンク板48R-2、及び連結板48R-3をコ字状につなげた形状を有するため、剛性が高く、第1揺動リンク42の右前揺動リンク42R、第2揺動リンク44の右後リンク板44R、及び回動リンク46の右側のリンク板46Rの動作時に発生する横方向(左右方向)の応力を吸収して、第2リンク機構40の全体的な動きを滑らかにするように機能する。
【0105】
また、上述した右前揺動リンク42Rの補強板42R-2及び連結板42R-3も、右前揺動リンク42Rの基端部の剛性を高めることができ、右前揺動リンク42R、右後リンク板44R、及びリンク板46Rの動作時に発生する応力を吸収して、第2リンク機構40の動きを滑らかにするように機能する。
【0106】
図5に示すように、カム50は、中心面の左右に分かれて配置した左カム部分50L及び右カム部分50Rを備える。また、カム50は、左カム部分50Lと右カム部分50Rを一体に連結して固定した連結板50Jを備える。左カム部分50L及び右カム部分50Rは、中心面に対して左右対称な構造を有する。よって、ここでは、右カム部分50Rについて詳細に説明し、左カム部分50Lの詳細な説明を省略する。
【0107】
右カム部分50Rは、L字状の外カム板50R-1、直線状の内カム板50R-2、及び外カム板50R-1の他端と内カム板50R-2の中間部を一体に連結した連結部分50R-3を備える。外カム板50R-1及び内カム板50R-2は、Y方向に互いに離間して、それぞれXZ平面と平行に配置される。連結部分50R-3は、外カム板50R-1の他端から内側に屈曲して延出した板片と内カム板50R-2の中間部の端縁から外側に屈曲して延出した板片を重ねてネジにより締結固定した構造を有する。しかし、外カム板50R-1、内カム板50R-2、及び連結部分50R-3は、例えば、1枚の金属板をコ字状に屈曲させて形成することもできる。
【0108】
連結板50Jは、左カム部分50Lの内カム板50L-2と右カム部分50Rの内カム板50R-2を連結固定している。連結板50Jは、左カム部分50Lの内カム板50L-2と右カム部分50Rの内カム板50R-2の少なくとも一部を連結していればよく、アオリ10を閉鎖位置と開放位置の間で回動させた際に、カム50が移動する全範囲において、周辺の部材に干渉することの無い位置に配置されている。
【0109】
右カム部分50Rは、外カム板50R-1の一端(図示上端)を右ガイドリンク48Rの外側のリンク板48R-1の中間部と回動リンク46の右側のリンク板46Rの中間部の間に配置し、内カム板50R-2の一端(図示上端)を右ガイドリンク48Rの内側のリンク板48R-2の後端部の内面(左面)に対向させて配置する。そして、右ガイドリンク48Rの外側のリンク板48R-1の中間部に設けた軸孔107、内側のリンク板48R-2の後端部に設けた図示しない軸孔、回動リンク46の右側のリンク板46Rの中間部に設けたスリーブ105、右カム部分50Rの外カム板50R-1の一端に設けた図示しない軸孔、及び内カム板50R-2の一端に設けた図示しない軸孔をY方向に同軸に並べて配置し、カムシャフト51を挿通配置する。これにより、右カム部分50Rがカムシャフト51を中心に回動可能に取り付けられる。
【0110】
右カム部分50Rの内カム板50R-2の他端(図示下端)の近くには、上述した第2起倒リンク36の先端部を回動可能に連結するための連結シャフト37-1を挿通配置するための軸孔111が設けられている。また、右カム部分50Rの内カム板50R-2は、上記の軸孔111に対して内カム板50R-2の一端側に離間した位置に、後述する連結リンク38の右側のリンク板38Rの後端部を回動可能に連結するための連結シャフト37-2を挿通配置するための軸孔112を備える。
【0111】
図4に示すように、第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rの先端部には、フランジ付のスリーブ113Rが固設されている。第2起倒リンク36の左側のリンク板36Lの先端部には、フランジ付のスリーブ113Lが固設されている。右側のスリーブ113Rは、そのフランジ面をリンク板36Rの内面(左面)に接触させた状態でリンク板36Rに取り付けられている。左側のスリーブ113Lは、そのフランジ面をリンク板36Lの内面(右面)に接触させた状態でリンク板36Lに取り付けられている。左右のスリーブ113L、113Rは、Y方向に並んで同軸に配置されている。
【0112】
右カム部分50Rの内カム板50R-2の他端は、第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rの先端部の内側(左側)に重ねて配置される。左カム部分50Lの内カム板50L-2の他端は、第2起倒リンク36の左側のリンク板36Lの先端部の内側(右側)に重ねて配置される。そして、右カム部分50Rの内カム板50R-2の軸孔111、左カム部分50Lの内カム板50L-2の軸孔111、第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rの先端部に設けたスリーブ113R、及び第2起倒リンク36の左側のリンク板36Lの先端部に設けたスリーブ113LをY方向に同軸に配置して、連結シャフト37-1を挿通配置することにより、カム50の他端が第2起倒リンク36の先端部に対して連結シャフト37-1を中心に回動可能に連結される。
【0113】
第2起倒リンク36の左側のリンク板36Lの先端部に設けたスリーブ113Lは、上述したように、そのフランジ面をリンク板36Lの内面(右面)に接触させた状態で、その中心軸がリンク板36Lと直交するY方向に延びるようにリンク板36Lに固設されている。第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rの先端部に設けたスリーブ113Rは、上述したように、そのフランジ面をリンク板36Rの内面(左面)に接触させた状態で、その中心軸がリンク板36Rと直交するY方向に延びるようにリンク板36Rに固設されている。
【0114】
このため、連結シャフト37-1に不所望な抉り力が作用した場合であっても、スリーブ113L、113Rがリンク板36L、36Rに対して傾くことを防止することができ、連結シャフト37-1を中心にカム50を第2起倒リンク36に対してXZ平面に沿って回動させることができる。スリーブ113L、113Rのフランジ部分は、第2起倒リンク36のリンク板36L、36Rとカム50の内カム板50L-2、50R-2の間のスペーサとして機能する。
【0115】
カム50は、上述したように、左カム部分50Lと右カム部分50Rを連結した連結板50Jを備える。また、カム50の左カム部分50Lは、内カム板50L-2の剛性を高めるため、外カム板50L-1及び連結部分50L-3を備える。また、カム50の連結板50Jは、カムシャフト51の剛性を高め変形防止のために設けられ、外カム板50R-1及び連結部分50R-3を備える。このため、カム50に応力が加わった際に、カム50に生じる歪みを抑制することができ、カム50を中心面と平行に回動させることができる。
【0116】
連結リンク38は、中心面の左右に互いに離間してXZ平面に沿って延設した同じ形状の左右2枚のリンク板38L、38R、及び2枚のリンク板38L、38Rを一体に連結して固定した連結板38Jを有する。連結板38Jは、2枚のリンク板38L、38Rの少なくとも一部を連結していればよく、連結リンク38が回動する全範囲で、周辺の部材に干渉することの無い位置に配置されている。
【0117】
左右のリンク板38L、38Rは、それぞれ、その後端部(カム50側の端部)に図示しないフランジ付のスリーブを備える。左右2つのスリーブは、Y方向に同軸に並んで配置されている。連結リンク38の右側のリンク板38Rは右カム部分50Rの内カム板50R-2の内側(左側)に重ねて配置され、連結リンク38の左側のリンク板38Lは左カム部分50Lの内カム板50L-2の内側(右側)に重ねて配置される。そして、連結リンク38の左右のリンク板38L、38Rに設けたスリーブ、及びカム50の左右のカム部分50L、50Rの内カム板50L-2、50R-2の軸孔112に連結シャフト37-2が挿通配置される。これにより、連結リンク38の後端部が、連結シャフト37-2を中心にXZ平面に沿って回動可能にカム50に取り付けられる。
【0118】
連結リンク38の各リンク板38L、38Rの後端部に設けたフランジ付のスリーブは、それぞれ、リンク板38L、38Rの外面にフランジ面を接触させることにより、各リンク板38L、38Rに対して直交する方向に中心軸が延びるように各リンク板38L、38Rに固定されている。このため、連結シャフト37-2に不所望な抉り力が作用した場合であっても、連結シャフト37-2が各リンク板38L、38Rに対して傾くことを防止することができ、連結リンク38をカム50に対して中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0119】
また、連結リンク38の連結板38Jは、連結リンク38の剛性を高めるように機能する。このため、連結リンク38に負荷がかかった場合に、連結リンク38に生じる歪みを抑制することができ、連結リンク38を中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0120】
連結リンク38の左右のリンク板38L、38Rの先端部には、連結シャフト39を回動可能に挿通配置するための図示しないフランジ付のスリーブが固設されている。各リンク板38L、38Rに設けた2つのスリーブは、その中心軸がY方向に同軸になるように並んで設けられている。
【0121】
駆動アーム60は、その基端部に、アームブラケット62を備えている。アームブラケット62は、必ずしも駆動アーム60と別体に設ける必要はなく、駆動アーム60の基端部にアームブラケット62と同様に機能する構造物を一体に設けてもよい。駆動アーム60の先端部は、アオリ10を閉鎖位置に配置した状態での外側の面(前方の面)に回動可能に連結される。駆動アーム60の連結機構については、後に取外し機構300の説明をする際に詳述する。
【0122】
アームブラケット62は、2枚の金属板を固定して形成されている。アームブラケット62は、駆動アーム60の基端部の内面(図3の状態で後方の面)に接触する取付板部62a、及び取付板部62aの左右端から同じ方向(駆動アーム60の内面から離れる方向)に延出した左右の側板部62b、62cを備える。アームブラケット62は、XZ平面に沿った断面がコ字状に形成されており、2つの側板部62b、62cは、XZ平面と平行に配置される。
【0123】
アームブラケット62の左右の側板部62b、62cは、その後端部(連結リンク38側の端部)に、それぞれ、連結シャフト39を挿通配置するための軸孔114L、114Rを備える。各側板部62b、62cに設けた軸孔114L、114Rは、Y方向に同軸に並んで設けられている。
【0124】
アームブラケット62の右側の側板部62cの後端部は連結リンク38の右側のリンク板38Rの先端部の外側(右側)に重ねて配置され、アームブラケット62の左側の側板部62bの後端部は連結リンク38の左側のリンク板38Lの先端部の外側(左側)に重ねて配置される。
【0125】
そして、アームブラケット62の左右の側板部62b、62cの後端部に設けた軸孔114L、114Rと連結リンク38の各リンク板38L、38Rの先端部に設けた2つのスリーブをY方向に並べて同軸に配置し、連結シャフト39を挿通配置する。これにより、アームブラケット62の後端部が連結リンク38の先端部に対して回動可能に連結される。
【0126】
連結リンク38の先端部に設けた2つのスリーブは、そのフランジ面を左右のリンク板38L、38Rの外面に接触させた状態で各リンク板38L、38Rに固設されている。このため、連結シャフト39に不所望な抉り力が作用した場合であっても、各スリーブの中心軸が連結リンク38の左右のリンク板38L、38Rに対して傾くことを防止することができ、アームブラケット62を連結リンク38に対して中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0127】
連結リンク38の左側のリンク板38Lの先端部に固設したスリーブのフランジ部分は、アームブラケット62の左側の側板部62bと連結リンク38の左側のリンク板38Lの間のスペーサとして機能する。連結リンク38の右側のリンク板38Rの先端部に固設したスリーブのフランジ部分は、アームブラケット62の右側の側板部62cと連結リンク38の右側のリンク板38Rの間のスペーサとして機能する。
【0128】
アームブラケット62の左右の側板部62b、62cの先端部には、Y方向に同軸に並んだ図示しない軸孔が設けられている。アームブラケット62の左側の側板部62bの先端部は左ガイドリンク48Lの内側のリンク板48L-2の先端部の内側(右側)に重ねて配置され、アームブラケット62の右側の側板部62cの先端部は右ガイドリンク48Rの内側のリンク板48R-2の先端部の内側(左側)に重ねて配置される。
【0129】
そして、アームブラケット62の左右の側板部62b、62cの先端部に設けた2つの軸孔と左右のガイドリンク48L、48Rの先端部に設けた2つのスリーブ108をY方向に同軸に並べて配置し、連結シャフト49を挿通配置する。これにより、アームブラケット62の先端部がガイドリンク48の先端部に対して回動可能に連結される。
【0130】
左右のガイドリンク48L、48Rの先端部に設けたフランジ付のスリーブ108は、上述したようにそのフランジ面を内側のリンク板48L-2、48R-2の内面に接触させた状態で左右のガイドリンク48L、48Rに固設されている。このため、連結シャフト49に不所望な抉り力が作用した場合であっても、スリーブ108の中心軸がガイドリンク48L、48Rに対して傾くことを防止することができ、アームブラケット62をガイドリンク48に対して中心面と平行な面に沿って回動させることができる。
【0131】
左ガイドリンク48Lの先端部に設けたスリーブ108のフランジ部分は、左ガイドリンク48Lの内側のリンク板48L-2とアームブラケット62の左側の側板部62bの間のスペーサとして機能する。右ガイドリンク48Rの先端部に設けたスリーブ108のフランジ部分は、右ガイドリンク48Rの内側のリンク板48R-2とアームブラケット62の右側の側板部62cの間のスペーサとして機能する。
【0132】
図2及び図3に示すように、制振器82L、82R、84L、84R、86L、86R、88L、88Rは、それぞれ、その両端に制振器マウント80を備えている。制振器マウント80は、ここでは詳細な構造を図示しないが、各制振器の端部から制振器の伸縮方向と直交する方向に突設した軸部、軸部の先端に同軸に設けた軸部より大径のフランジ部、及びフランジ部の軸部と反対側から同軸に突設した軸部より小径の取付ボスを備える。制振器マウント80は、制振器の中心軸に対して回動可能である。制振器マウント80の軸部の長さは、区々であり、その取り付け位置に合った長さのものを選択して使用することができる。軸部を持たない制振器マウント80もある。
【0133】
なお、8つの制振器82L、82R、84L、84R、86L、86R、88L、88Rは、開閉装置100の中心面に対して左右対称となる位置関係で取り付けられる。よって、ここでは、中心面の右側に配置した4つの制振器82R、84R、86R、88Rについて説明し、中心面の左側に配置した4つの制振器82L、84L、86L、88Lの詳細な説明を省略する。
【0134】
制振器82Rは、サブフレーム15の右側の側板部15cの後端部と第2補助リンク74の右側のリンク板74Rの基端部の近くの中間部との間に取り付けられている。制振器82Rの一端(図示右端)に取り付けた制振器マウント80は、側板部15cの外側(右側)に配置され、側板部15cの外面に向けてY方向の内側に突出し、先端の取付ボスが側板部15cの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の内面が側板部15cの外面に接触されて固定されている。制振器82Rの他端(図示左端)に取り付けた制振器マウント80は、リンク板74Rの内側(左側)に配置され、リンク板74Rの内面に向けてY方向の外側に突出し、先端の取付ボスがリンク板74Rの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の外面がリンク板74Rの内面に接触されて固定されている。
【0135】
制振器82Rは、第2補助リンク74のリンク板74Rを前方に押引圧する伸び方向の力を発生する。言い換えると、第2補助リンク74のリンク板74Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる間の全ての回動位置で、制振器82Rから回動軸43を中心とした図示時計回り方向の押引圧力を受け続ける。つまり、制振器82Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる際に、第1補助リンク74の前方への揺動を補助するように機能する。また、制振器82Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置に向けて駆動させる初期の動作時に、アオリ10の振動を抑制する機能を持つ。
【0136】
制振器84Rは、パワーリンク32の右側のリンク板32Rの回動軸31と回動軸23の間の中間部とサブフレーム15の右側の側板部15cの回動軸41の下方に離間した部分との間に取り付けられている。制振器84Rの一端(図示右端)に取り付けた制振器マウント80は、リンク板32Rの外側(右側)に配置され、リンク板32Rの外面に向けてY方向の内側に突出し、先端の取付ボスがリンク板32Rの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の内面がリンク板32Rの外面に接触されて固定されている。制振器84Rの他端(図示左端)に取り付けた制振器マウント80は、側板部15cの内側(左側)に配置され、側板部15cの内面に向けてY方向の外側に突出し、先端の取付ボスが側板部15cの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の外面が側板部15cの内面に接触されて固定されている。
【0137】
制振器84Rは、パワーリンク32のリンク板32Rを前方に引っ張る縮み方向の力を発生する。言い換えると、パワーリンク32の右側のリンク板32Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる間の全ての回動位置で、制振器84Rから回動軸31を中心とした図示時計回り方向の引っ張り力を受け続ける。つまり、制振器84Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる際に、パワーリンク32の前方への揺動を補助するように機能する。
【0138】
制振器86Rは、第1補助リンク72の右側のリンク板72Rのスリーブ95の取付位置より後端側の部分と第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rの軸孔97と軸孔94の間に取り付けられている。制振器86Rの一端(図示右端)に取り付けた制振器マウント80は、リンク板72Rの外側(右側)に配置され、リンク板72Rの外面に向けてY方向の内側に突出し、先端の取付ボスがリンク板72Rの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の内面がリンク板72Rの外面に接触されて固定されている。制振器86Rの他端(図示左端)に取り付けた制振器マウント80は、リンク板36Rの外側(右側)に配置され、リンク板36Rの外面に向けてY方向の内側に突出し、先端の取付ボスがリンク板36Rの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の内面がリンク板36Rの外面に接触されて固定されている。
【0139】
制振器86Rは、第2起倒リンク36のリンク板36Rを前方に押引圧する伸び方向の力を発生する。言い換えると、第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる間の全ての回動位置で、制振器86Rから回動軸73を中心とした図示時計回り方向の押引圧力を受け続ける。つまり、制振器86Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる際に、第2起倒リンク36の前方への揺動を補助するように機能する。また、制振器86Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置に向けて駆動させる初期の動作時に発生する振動を抑制する機能を持つ。
【0140】
制振器88Rは、第1起倒リンク34の右側のリンク板34Rのスリーブ92の取付位置より後端側の部分と第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rの軸孔94とスリーブ113Rの間に取り付けられている。制振器88Rの一端(図示右端)に取り付けた制振器マウント80は、リンク板34Rの外側(右側)に配置され、リンク板34Rの外面に向けてY方向の内側に突出し、先端の取付ボスがリンク板34Rの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の内面がリンク板34Rの外面に接触されて固定されている。制振器88Rの他端(図示左端)に取り付けた制振器マウント80は、リンク板36Rの外側(右側)に配置され、リンク板36Rの外面に向けてY方向の内側に突出し、先端の取付ボスがリンク板36Rの図示しない取付孔に嵌合されて、フランジ部の内面がリンク板36Rの外面に接触されて固定されている。
【0141】
制振器88Rは、制振器86Rと同様に、第2起倒リンク36のリンク板36Rを前方に押引圧する伸び方向の力を発生する。言い換えると、第2起倒リンク36の右側のリンク板36Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる間の全ての回動位置で、制振器88Rから回動軸73を中心とした図示時計回り方向の押引圧力を受け続ける。つまり、制振器88Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置まで回動させる際に、第2起倒リンク36の前方への揺動を補助するように機能する。また、制振器88Rは、アオリ10を開放位置から閉鎖位置に向けて駆動させる初期の動作時に発生する振動を抑制する機能を持つ。
【0142】
[フレーム13を台枠12に取り付けるための取付機構200]
開閉装置100のフレーム13を台枠12に取り付けるための取付機構200について、図2及び図3とともに図6を参照して説明する。取付機構200は、図6に示すように、取付ブラケット202、スライダ204、及びスライドガイド206を備える。
【0143】
取付ブラケット202は、台枠12の底板部12cの上面に接触して配置されるY方向に長い略矩形の底板部202a、底板部202aの左端(図6で右端)から上方に立設されてメインフレーム14の左側の側板部14bの内面(右面)に重ねて配置される略矩形の側板部202b、及び底板部202aの右端(図6で左端)から上方に立設されてメインフレーム14の右側の側板部14cの内面(左面)に重ねて配置される略矩形の側板部202cを一体に有する。底板部202aのX方向の幅は、側板部202b、202cのX方向の幅より長い。
【0144】
底板部202aは、XY平面と平行に配置される。底板部202aは、その後端縁の近くに、Y方向に延びたスリット201を有する。スリット201は、底板部202aのY方向の略全長にわたって底板部202aを貫通して設けられている。左右の側板部202b、202cは、XZ平面と平行に配置される。左右の側板部202b、202cは、それぞれ、図示しない複数本のネジを螺合するための複数のネジ孔203を有する。
【0145】
メインフレーム14の側板部14b、14cは、それぞれ、その前方の端部近くに、上述した取付ブラケット202の複数のネジ孔203にそれぞれ同軸に重なる複数の挿通孔14eを有する。メインフレーム14の側板部14b、14cの外側から側板部14b、14cの各挿通孔14eにネジを挿通して取付ブラケット202の各ネジ孔203に螺合することにより、取付ブラケット202の左右の側板部202b、202cがメインフレーム14の左右の側板部14b、14cの内面にそれぞれ締結固定され、取付ブラケット202がフレーム13に取り付けられる。
【0146】
台枠12の底板部12cは、その後端縁の近くに、Y方向に所定のピッチで並んだ複数の挿通孔12d(図2)を有する。複数の挿通孔12dは、取付ブラケット202のスリット201に重なる位置で底板部12cを貫通して設けられている。複数の挿通孔12dは、後述するスライダ204に固設したナット204cのピッチに合わせて設ければよく、台枠12の左右方向の全長にわたって設けてもよく、台枠12の左右方向の一部に設けてもよい。
【0147】
スライダ204は、取付ブラケット202の底板部202aの上面に接触して配置されるT字状のスライド板部204aを有する。スライド板部204aは、スリット201に重なる位置でXY平面と平行に配置される。スライド板部204aの前端縁は、上方に略直角に折り曲げられており、後述するスライドガイド206の前端縁に係合する係合突片204bを構成している。係合突片204bは、YZ平面と平行に配置される。
【0148】
スライド板部204aは、その後端側のY方向の両端近くの上面に、図示しないボルトを螺合するための2つのナット204cを固設している。各ナット204cは、スライド板部204aを貫通して設けた図示しない挿通孔と同軸に固定されている。同軸に配置されたナット204cとスライド板部204aの挿通孔は、取付ブラケット202のスリット201に対向する位置に設けられている。
【0149】
スライドガイド206は、Y方向に延びた長尺な板状に形成されており、2つのナット204cより前方で、スライダ204の上に重ねて配置される。スライドガイド206は、スライダ204を超えるY方向の長さを有する。スライドガイド206のスライダ204を超えた長手方向の両端の下面側には、矩形板状のスペーサ205がそれぞれ固設されている。2つのスペーサ205の厚みは、スライダ204の厚みよりわずかに厚くされている。スライドガイド206の両端は、スペーサ205を介して取付ブラケット202の底板部202aに固定されている。
【0150】
スライドガイド206は、その両端に設けたスペーサ205を間に挟んで取付ブラケット202の底板部202aの上面側に取り付けられているため、スライダ204は、取付ブラケット202の底板部202aとスライドガイド206の間に挟まれた状態で、Y方向にスライド移動可能となっている。スライダ204がY方向にスライド移動する際には、スライダ204の前端縁に設けた係合片204bがスライドガイド206の前端縁に摺接し、スライドガイド206がスライダ204の移動をガイドする。
【0151】
台枠12の底板部12cの下方から底板部12cの挿通孔12dと取付ブラケット202の底板部202aのスリット201を介してボルトを挿通し、スライダ204のスライド板部204aに固設した各ナット204cに螺合することにより、取付ブラケット202の底板部202aが台枠12の底板部12cとスライダ204のスライド板部204aの間で挟持され、取付ブラケット202が台枠12に固定される。
【0152】
台枠12に対する取り付けブラケット202の左右方向の取付位置は、ボルトを挿通する台枠12の底板部12cの挿通孔12dを選択するとともに、スライダ204の取付ブラケット202に対する左右方向の固定位置を調整することにより、所望する位置に設定することができる。
【0153】
図6では、フレーム13を台枠12の底板部12cに固定する取付機構200について説明したが、本実施形態の取付機構は、この取付機構200の他に、図示しない別の取付機構を備えている。別の取付機構は、フレーム13のメインフレーム14の前板部14dを台枠12の前板部12bに固定する。
【0154】
すなわち、図示しない別の取付機構は、上述した取付ブラケット202を備えておらず、代わりに、メインフレームの前板部14dにスリット201を設け、スリット201に対向する台枠12の前板部12bにスリット201に重なる複数の挿通孔12eを設けた構造を有する。つまり、台枠12の前板部12bの挿通孔12e及びメインフレーム14の前板部14dのスリット201を介して台枠12の前板部12bの前方から図示しないボルトを挿通し、スライダ204のナット204cに螺合することにより、メインフレーム14の前板部14dが台枠12の前板部12bに固定される。
【0155】
本実施形態では、取付方向の異なる2つの取付機構を用いて開閉装置100のフレーム13を台枠12に固定した場合について説明したが、少なくとも一方の取付機構によってフレーム13を台枠12に固定すればよい。
【0156】
[駆動アーム60の取外し機構300]
次に、図7及び図8を参照して、駆動アーム60の取外し機構300について説明する。取外し機構300は、開閉装置100に動作不具合を生じた場合などに、駆動アーム60を取り外すことにより、手動によるアオリ10の開閉を可能にするためのエマージェンシー機構である。
【0157】
図7に示すように、駆動アーム60の基端部(図示下方の端部)は、複数本(本実施形態では4本)のネジ302によって、アームブラケット62の取付板部62aに対して着脱可能に締結固定されている。取付板部62aは、4本のネジ302を螺合するための4つのネジ孔62dを有する。駆動アーム60は、その基端部に、取付板部62aの4つのネジ孔62dにそれぞれ同軸に重なる4つの挿通孔63を有する。
【0158】
4本のネジ302を駆動アーム60の前方から挿通孔63に挿通し、アームブラケット62のネジ孔62dに螺合することにより、駆動アーム60の基端部をアームブラケット62の取付板部62aに締結固定することができる。逆に、4本のネジ302を取り外すことにより、駆動アーム60の基端部をアームブラケット62と分離することができる。
【0159】
アームブラケット62は、アオリ10を閉鎖位置に配置した図7に示す状態で、台枠12の下方に配置され、ネジ302に対して開閉装置100の前方からアクセス可能となっている。また、アームブラケット62は、アオリ10を閉塞位置から開放位置へ回動させることにより、図7に示す位置から下方に移動し、その後、後方に移動する。つまり、アオリ10を閉鎖位置と開放位置の間のどの位置に配置した状態であっても、開閉装置100の外側からネジ302に対するアクセスが可能となっている。このため、取外し機構300のネジ302は、アオリ10が動作不具合によって途中で停止した状態であっても、或いはアオリ10が開放位置に配置された状態であっても、取り外すことができる。
【0160】
駆動アーム60の先端部(アオリ10側の端部)には、先端部をアオリ10の外面(アオリ10を閉鎖位置に配置した図7の状態での前方の面)に回動可能に連結するための連結軸64が固設されている。連結軸64は、駆動アーム60の長手方向と直交するY方向に延設されている。
【0161】
アオリ10の所定位置には、以下に説明するアオリブラケット65が取り付けられている。図7ではアオリ10の一部を図示してあるが、アオリブラケット65は、アオリ10の下端から図示しない上端に向けてアオリの高さの1/3程度の位置に取り付けられている。
【0162】
駆動アーム60の先端部に設けた連結軸64をアオリブラケット65に連結することで、アオリ10が駆動アーム60の先端に対して回動可能に取り付けられる。よって、アオリ10は、開閉機構100を動作させることによって、駆動アーム60を介して、その開放位置と閉鎖位置の間で開閉駆動が可能となる。
【0163】
アオリブラケット65は、アオリ10の外面側に配置される外側プレート66、アオリ10を間に挟んで外側プレート66に対向してアオリ10の内面側に配置される内側プレート67、及び複数本(本実施形態では6本)の取付スリーブ68a、68b(以下、総称して取付スリーブ68とする場合もある)を有する。
【0164】
外側プレート66は、略同じ形状の2枚の金属板を接合材により貼り合わせて形成されている。外側の金属板の一部を前方に膨出させて、内側の金属板との間に軸受部66aを形成している。軸受部66aには、駆動アーム60の連結軸64のY方向の両端を回動可能に挿通配置してある。このため、外側プレート66は、駆動アーム60の先端に設けた連結軸64を中心に回動可能となっている。また、外側プレート66は、2枚の金属板をX方向に貫通した複数(本実施形態では6つ)の挿通孔66bを有する。
【0165】
内側プレート67は、外側プレート66より一回り大きい略矩形の金属板からなり、6本の取付スリーブ68(68a、68b)の一端を固設している。取付スリーブ68は、その内周面に、両穴ボルト69を螺合するためのネジがきられている。各取付スリーブ68は、内側プレート67から前方に向けて内側プレート67と垂直に立設されている。各取付スリーブ68は、外側プレート66の6つの挿通孔66bのそれぞれに対向する位置に設けられている。内側プレート67は、各取付スリーブ68に対してX方向に同軸に重なる図示しない6つの貫通孔を有する。
【0166】
図示上方の2つの取付スリーブ68a及び図示下方の2つの取付スリーブ68aは、略円筒形に形成されており、内側プレート67から離れた他端は平らに形成されている。一方、図示下方の2つの取付スリーブ68aの上方に配置した2つの取付スリーブ68bは、その他端に、取付スリーブ68bより小径の円筒状のノックを突設している。
【0167】
アオリ10は、外板部10-1と内板部10-2を互いに離間させて平行に配置して内部を空洞にした中空構造を有する。アオリ10は、外板部10-1の内面(後方の面)と内板部10-2の内面(前方の面)をつないだ複数のリブ板部10-3を有する。アオリ10の外板部10-1、内板部10-2、及び複数のリブ板部10-3は、アルミニウム合金により形成されているが、その他金属板及び、樹脂、FRP,ガラス製板等も用いられることもある。
【0168】
アオリ10の内板部10-2は、内側プレート67から突設した6本の取付スリーブ68a、68bを挿通する図示しない6つの挿通孔を有する。内板部10-2に設けた6つの挿通孔は、取付スリーブ68の外径よりわずかに大きい内径を有する。内側プレート67は、6本の取付スリーブ68を内板部10-2の6つの挿通孔に挿通配置した状態で、アオリ10の内板部10-2に対して複数の図示しないリベット、タッピング等により固定される。
【0169】
アオリ10の外板部10-1は、各取付スリーブ68と同軸に配置した6つの挿通孔10-4、10-5を有する。各挿通孔10-4、10-5は、外板部10-1を貫通して設けられている。他端にノックを有していない取付スリーブ68aと同軸に配置した4つの挿通孔10-4は、両穴ボルト69を挿通可能な大きさに形成されている。他端にノックを有している取付スリーブ68bと同軸に配置した2つの挿通孔10-5は、取付スリーブ68bのノックを嵌合可能な大きさに形成されている。
【0170】
内側プレート67の前面(各取付スリーブ68の一端)から各取付スリーブ68の他端までの長さは、アオリ10の内板部10-2の外面(後方の面)から外板部10-1の内面までの長さと同じ長さに形成されている。このため、内側プレート67をアオリ10の内板部10-2に固定する際に、内板部10-2に設けた図示しない挿通孔に取付スリーブ68を挿通すると、2つの取付スリーブ68bのノックが外板部10-1の挿通孔10-5に嵌合し、全ての取付スリーブ68の他端がアオリ10の外板部10-1の内面(後方の面)に当接する。
【0171】
駆動アーム60の先端部をアオリ10に連結する場合、駆動アーム60の先端部に回動可能に連結したアオリブラケット65の外側プレート66をアオリ10の外板部10-1の外面(前方の面)に重ねて接触させる。このとき、外側プレート66の6つの挿通孔66bをアオリ10の外板部10-1の6つの挿通孔10-4、10-5に同軸に重ねて、外側プレート66の外側から6本の両穴ボルト69を挿通する。そして、各両穴ボルト69を6つの取付スリーブ68に螺合し、外側プレート66を締結固定する。
【0172】
両穴ボルト69は、図8に示すように、軸方向の両端に、それぞれ六角穴69a、69bを備えている。このため、両穴ボルト69は、その頭部側の六角穴69aに工具を嵌めて回転させることができるとともに、軸部の先端に設けた六角穴69bに工具を嵌めて回転させることができる。言い換えると、アオリブラケット65の外側プレート66は、アオリ10の外側からアクセスして取り外すことができるとともに、アオリ10の内側からアクセスして取り外すことができる。
【0173】
つまり、駆動アーム60の先端部は、アオリ10の回動位置によらず、アオリ10から分離することができる。例えば、アオリ10が図7に示す閉鎖位置に配置された状態では、6本の両穴ボルト69の頭部側の六角穴69aに工具を嵌めて回転させることにより締結を解除することができる。或いは、アオリ10が開放位置に配置された状態では、内側プレート67の図示しない貫通穴を介して両穴ボルト69の軸部先端側の六角穴69bに工具を嵌めて回転させることにより締結を解除することができる。
【0174】
[アオリ開閉装置100の制御系]
図9及び図10に示すように、開閉装置100の動作を制御する制御系は、コントローラ400(送信機)(図9)と受信機500(図10)を含む。コントローラ400は、トラック1の運転手や作業員が無線により開閉装置100のアクチェータ20を遠隔操作するためのものであり、受信機500は、トラック1に取り付けられている。ここで説明する制御系は、上述した実施形態で説明した大型トラック1に限らず、小型トラック、中型トラック、セミトレーラ、フルトレーラなど、複数種類のトラックに適用可能な構造を有する。
【0175】
図9に示すように、コントローラ400は、図示しない筐体を有し、筐体の表面に、電源スイッチ401、車両セレクタ402、複数の作動切替スイッチ403、及び駆動スイッチ404を備える。また、コントローラ400は、筐体の表面に、液晶ディスプレイ406と電源ランプ407を備える。筐体内には、制御装置410、バッテリー420、及び送信装置430が配置されている。電源スイッチ401、車両セレクタ402、作動切替スイッチ403、及び駆動スイッチ404は、制御装置410に接続されている。
【0176】
車両セレクタ402は、トラック1の種類を切り替えるためのスイッチであり、このスイッチを押すごとに、”トラック・セミトレーラ”と”フルトレーラ”に交互に切り替わる。車両セレクタ402によって”トラック・セミトレーラ”に切り替えた状態で、2つのウイング6L、6Rとトラックの4つのアオリ10又はセミトレーラの6つのアオリ10の動作制御が可能となる。車両セレクタ402によって”フルトレーラ”に切り替えた状態で、トラクタ側のウイングとアオリの動作制御ができなくなり、フルトレ側のウイングとアオリの動作制御が可能となる。
【0177】
作動切替スイッチ403は、左右のウイング6L、6Rを選択するための2つのスイッチ、トラック用の左右4つのアオリ10を選択するための4つのスイッチ、セミトレーラ用の左右の中央の2つのアオリ10を選択するための2つのスイッチ、及び全てのアオリ10を選択するためのスイッチを含む。
【0178】
駆動スイッチ404は、作動切替スイッチ403により選択したウイング又はアオリを作動させるためのスイッチであり、選択されているウィング又はアオリを開閉動作させる。駆動スイッチ404により、ウイング又はアオリを回動の途中で停止させることもできる。
【0179】
例えば、トラック1の左側前方のアオリ10だけを動作させる場合、作業員は、コントローラ400の電源スイッチ401を押し、車両セレクタ402によって”トラック・セミトレーラ”を選択し、左側前方のアオリ10用に割り当てられた作動切替スイッチ403を押し、その後、駆動スイッチ404を押して当該アオリ10を開閉動作させる。作動切替スイッチの選択により、車両片側のアオリ10を同時開閉させることもできる。
【0180】
液晶ディスプレイ406は、車両セレクタ402を介して選択された車種を表示し、作動切替スイッチ403によって選択されたウィング又はアオリを表示し、駆動スイッチ404による開閉状態を表示することができる。電源ランプ407は、電源スイッチ401のON/OFF状態を点灯/消灯により表示する。
【0181】
制御装置410は、車両セレクタ402、作動切替スイッチ403、及び駆動スイッチ404を介して入力された信号を送信装置430へ出力する。送信装置430は、制御装置410から出力された信号をアンテナ431を介して無線信号として送信する。
【0182】
図10に示すように、受信機500は、コントローラ400の送信装置430から送信された無線信号をアンテナ501を介して受信する受信装置510を有する。受信装置510は、受信した信号を識別し、該当するウイングの図示しないアクチュエータを駆動するドライバ512L、512R、又は左右6つのアオリ10の各アクチェータ20のドライバ513L、513R、514L、514R、515L、515Rに制御信号を出力する。
【0183】
この他に、左右のウイング6L、6Rのドライバ512L、512Rには、それぞれ、ウイングの開閉状態を検知するリミットスイッチ516L、516R、及びスイッチボックス517L、517Rが接続されている。スイッチボックス517L、517Rには、車体側バッテリーが接続されており、車両搭載スイッチによるウイング6L、6Rの開閉を可能にしている。
【0184】
また、受信装置510には、左アオリ上部発光体518Lと右アオリ上部発光体518Rが接続されている。左アオリ上部発光体518Lと右アオリ上部発光体518Rは、受信装置510からの制御信号を受けると、左アオリ上部発光体518L内及び右アオリ上部発光体518R内に備えられる発光体を点滅させる。
【0185】
[アオリ開閉装置100の動作及び各部の機能]
次に、図11図15を参照して、開閉装置100の動作を説明する。なお、以下の説明では、開閉装置100を右側から見て、各部材の回動方向(時計回り方向、反時計回り方向)を規定する。
【0186】
図11は、アオリ10を開放位置に配置した状態の開閉装置100の斜視図であり、図12は、アオリ10を開放位置から閉鎖位置に向けて45°回動させた状態の開閉装置100の斜視図であり、図13は、アオリ10を開放位置と閉鎖位置の間の水平位置に配置した状態の開閉装置100の斜視図であり、図14は、アオリ10を水平位置から閉鎖位置に向けて45°回動させた状態の開閉装置100の斜視図であり、図15は、アオリ10を閉鎖位置に配置した状態の開閉装置100の斜視図である。ここでは、図11の状態を第1の状態とし、図12の状態を第2の状態とし、図13の状態を第3の状態とし、図14の状態を第4の状態とし、図15の状態を第5の状態とする。
【0187】
第1の状態からアクチェータ20を動作させて作動ロッド22を縮め始めると、第1リンク機構30のパワーリンク32が時計回り方向への揺動を始める。このとき、制振器84L、84Rによってパワーリンク32を前方に引っ張る縮み方向の力が作用しており、制振器84L、84Rがパワーリンク32の時計回り方向の揺動を補助する。また、第1の状態では、制振器84L、84Rが最も伸びた状態にあり、且つ制振器82L、82R、86L、86R、88L、88Rが最も縮んだ状態にあるため、第1の状態からパワーリンク32の揺動を開始する際には、アクチェータ20のわずかな駆動力によって開閉機構100を動かすことができる。
【0188】
第1の状態からパワーリンク32が時計回り方向に揺動を始めると、第1起倒リンク34と第1補助リンク72がパワーリンク32の回動軸31を中心に時計回り方向に揺動する。第1起倒リンク34の後端部に設けた連結シャフト33は、第1補助リンク72の後端部に設けた連結シャフト71より回動軸31から遠い位置でパワーリンク32を通っている。このため、第2、第3の状態として示すように、パワーリンク32の揺動により、第1起倒リンク34と第1補助リンク72の間隔が徐々に拡がりながら、第1起倒リンク34と第1補助リンク72が前方へ押し出される。
【0189】
このため、第1起倒リンク34の先端部及び第1補助リンク72の先端部に連結された第2起倒リンク36は、第1補助リンク72の先端部を連結した回動軸73を中心に時計回り方向にわずかに回動しながら、第1起倒リンク34及び第1補助リンク72の移動とともに前方へ押し出される。このとき、制振器86L、86Rと制振器88L、88Rによって、第2起倒リンク36を前方に押し出す伸び方向の補助力が第2起倒リンク36に作用する。
【0190】
つまり、パワーリンク32、第1起倒リンク34、第2起倒リンク36、及び第1補助リンク72を含む変形のZ形の第1リンク機構30により、アクチェータ20の駆動力が分散されることなく第2起倒リンク36の先端に集められる。そして、連結シャフト37-1を介して第2起倒リンク36の先端部に連結されたカム50に対し、カム50を前方に押し出す方向(特許請求の範囲における第1方向)の力が与えられる。
【0191】
カム50は、カムシャフト51を介して、第2リンク機構40の回動リンク46及びガイドリンク48に連結されている。このため、第2起倒リンク36を介してカム50の後端部に前方に向う押し出し力が作用すると、カム50のわずかな回動を伴って、回動リンク46及びガイドリンク48にも前方に向う押し出し力が作用する。
【0192】
一方、回動リンク46は、第2リンク機構40の第1揺動リンク42及び第2揺動リンク44とともにチェビシェフのリンクを構成しているため、回動リンク46の回動の中心を通るカムシャフト51は、第2リンク機構40の揺動の途中で、後方から前方に向けてX方向に略平行線上に移動するように設計されている。具体的には、カムシャフト51は、第1の状態から第3の状態の間で、後方から前方に向けてX方向に略平行線上に移動する。
【0193】
また、ガイドリンク48の後端部には、回動軸75を介して第2補助リンク74の先端部が回動可能に連結されているため、カムシャフト51の前方への移動時には、ガイドリンク48がカムシャフト51を中心に回動しながら前方へ移動する。つまり、ガイドリンク48は、第1の状態から第3の状態までカムシャフト51を前方に移動する際に、カムシャフト51を中心に時計回り方向に回動する。
【0194】
アオリ10を先端部に接続した駆動アーム60の基端部に固設したアームブラケット62は、連結リンク38及び連結シャフト39を介してカム50に接続した後端部、及び連結シャフト49を介してガイドリンク48の先端部に接続した先端部を有する。カム50が前方に移動すると、連結リンク38も前方に移動し、アームブラケット62の後端部も前方に移動する。また、このとき、ガイドリンク48の上述した回動により、アームブラケット62の先端部が上方に押し上げられる。つまり、アームブラケット62は、この場合、前方に移動しつつ時計回り方向に回動する。
【0195】
アームブラケット62のこのような回動は、第1の状態から第2の状態を経て、ガイドリンク48が略水平な状態に配置される第3の状態まで続く。そして、第3の状態から第5の状態まで、ガイドリンク48は、水平な姿勢を保ったまま、上斜め前方へ移動する。このとき、カムシャフト51も上斜め前方へ移動する。
【0196】
一方、連結リンク38は、第3の状態でガイドリンク48が水平な姿勢に配置されてから、さらに前方に移動される。そして、今度は、連結シャフト49を中心にアームブラケット62が時計回り方向にさらに回動する。これにより、第4の状態及び第5の状態として示すように、アームブラケット62の回動によって、駆動アーム60が起立され、アオリ10が閉鎖位置へ回動される。
【0197】
以上の動作をアームブラケット62の動きに着目してみると、第2の状態のときに、第2起倒リンク36の先端部に設けた連結シャフト37-1と連結リンク38の後端部に設けた連結シャフト37-2とアームブラケット62の後端部に設けた連結シャフト39がX方向に略一直線に並んでいるのがわかる。この状態で、第2起倒リンク36の先端部から前方に作用する押引圧力が、駆動アーム60の延出方向に沿って作用し、アオリ10を押引圧する力を最も効率良く伝えることができる。つまり、第2の状態のときに、アクチェータ20の駆動力を効果的にアオリ10に作用させることができ、アオリ10の滑らかな動きを実現している。
【0198】
また、第4の状態から第5の状態のときに、連結リンク38を介してアームブラケット62の後端部に作用する押引圧力が、駆動アーム60の延出方向と概ね直交する方向に作用する。このため、第4の状態の前後で、アームブラケット62を比較的小さな力で回動させることができる。つまり、第4の状態のときに、アクチェータ20の駆動力を効果的にアオリ10に作用させることができ、アオリ10の滑らかな動きを実現している。
【0199】
逆に、第5の状態から第1の状態まで開閉装置100を動作させる場合、アクチェータ20の作動ロッド22を伸ばしてパワーリンク32を反時計回り方向に揺動させる。このとき、アオリ10が閉塞位置から開放位置に向けて回動を開始すると、アオリ10の自重により開閉機構100の動作が補助される。このため、上述した第1の状態から第5の状態へのアオリ10の閉塞動作と比較して、アオリ10を開放させる動作の方が開閉装置100の動作不良を生じ難い。
【0200】
第5の状態から第4の状態に至る間、開閉装置100の動きは少なく、アオリ10の開閉角度が緩やかになる。また、第2の状態から第1の状態に至る間、パワーリンク32、第1起倒リンク34、第2起倒リンク36、及び第1補助リンク72が後方へ折り畳まれるように動作するため、リンク全体の可動域が減少し、アオリ10をゆっくり回動させることができる。
【0201】
また、アオリ10が開放位置へ配置される直前の状態では、アクチェータ20の回動軸21とパワーリンク32の回動軸31がX方向に並ぶため、リンク全体としての可動領域が小さくなる。
【0202】
なお、本実施形態では、以下の動きがポイントになるものである。
即ち、装置の駆動動力伝達経路は、サブフレーム後部に取り付けられたパワーリンクマウント17L、17Rの軸孔に取り付けられたパワーリンク32は、アクチュエータ20の伸縮によって、第1補助リンク72、第1起倒リンク34を略平行移動させ、第2起倒リンク36を支点に前後移動しながら揺動すること。
フレーム13に接続された第1揺動リンク42と第2揺動リンク44に接続する回動リンク46中間軸孔に、カム50のカムシャフト51に、ガイドリンク48、連結板50Jを接続し、カム50下部軸孔に第2揺動リンク44の下部軸孔を接続すること。
ガイドリンク48前部、連結リンク38前部軸孔に駆動アームブラケット62を接続、駆動アーム60の下部と、駆動アームブラケット62を接続、駆動アーム60上部にアオリブラケット66を接続しアオリ10に固定する。これによってアオリ10が閉鎖位置より開放位置まで回動できること。
【0203】
以上のように、上述した本実施形態のアオリ開閉装置100は、アクチェータ20の駆動力を伝える駆動系リンクと、駆動系リンクの動きをサポートするガイド系リンクを明確に分け、第2起倒リンク36の先端部に駆動力を集中させて、力が分散しないようにしたため、アオリ10を滑らかに開閉動作させることができる。特に、本実施形態の開閉装置100は、機械装置としてのリンク機構を用いてアクチェータ20の駆動力をアオリ10に伝える構造を採用したため、耐久性が高く、メンテナンスも容易である。
【0204】
また、本実施形態の開閉装置100は、駆動系のZ形の第1のリンク機構30とチェビシェフのリンクを構成するガイド系の第2のリンク機構40を用いたため、アオリ10を先端に接続した駆動アーム60の基端部を装置の後方へ引き込むように格納することができ、装置の全高を低く抑えることができ、あらゆる車種のトラックに取り付けることができる。
【0205】
また、本実施形態の開閉装置100は、各リンクの間の連結手段として、フランジ付の回動軸、フランジ付のスリーブ、或いはフランジ付の連結シャフトを使用しているため、リンク機構の各部材の連結部の強度を増すことができ、滑らかな動きを実現できる。また、これらのフランジは、各リンクと面で接することができるため、歪みがなく、平面的にこれらと接地することができる。これにより、リンク機構の各部材の連結部の強度を増すことができる。
【0206】
また、本実施形態によると、ガイドリンク48の左右のガイドリンク48L、48Rが、それぞれ、1枚の金属板をコ字状に折り曲げた形状を有し、高い機械強度を有する。また、カム50の左右のカム部分50L、50Rが、それぞれ、金属板をコ字状に配置した形状を有し、且つ左右のカム部分50L、50Rを連結した連結板50Jを備えるため、高い機械強度を有する。このため、カムシャフト51を介して連結した回動リンク46の回動軌道を安定させることができ、第2リンク機構40の第1及び第2揺動リンク42、44、及び回動リンク46の動作時に発生する振動を抑制することができる。
【0207】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0208】
例えば、上述した実施形態では、アクチェータ20によって開閉装置100を動作させる場合について説明したが、これに限らず、アクチェータ20を備えていない手動による開閉装置に本発明を適用することもできる。
【0209】
また、上述した実施形態では、荷台4の左右に設けたアオリ10を開閉駆動する開閉装置100について説明したが、これに限らず、荷台の後方にアオリを備えたトラックであれば、本実施形態の開閉装置100を後方のアオリに取り付けてもよい。
【0210】
また、上述した実施形態では、アオリ10を閉鎖位置と開放位置の間で約180度回動させる開閉機構100について説明したが、180度未満の角度でアオリ10を回動させる開閉装置に本発明を適用することもできる。
【0211】
また、上述した実施形態では、トラック1の荷台4の台枠12に対して開閉装置100を着脱可能に取り付けるフレーム13を備えた場合について説明したが、フレーム13は本発明に必須の構成ではなく、省略することもできる。フレーム13を省略する場合、取付機構200を台枠12に対して直接取り付ける構造とすればよい。
【0212】
この他に、本発明は、例えば、トラック以外の車両、船舶、航空機、鉄道車両などの他の輸送手段にも適用可能である。また、本発明は、移動しないコンテナの扉、マンホール、タンク上部蓋などを0から180度開閉させる装置などにも適用可能である。
【0213】
なお、アクチェータ20は、1台ではなく、複数台の設置も可能である。
【符号の説明】
【0214】
1…トラック、 4…荷台、 10…アオリ、 11…ヒンジ、 12…台枠、 13…フレーム、 14…メインフレーム、 15…サブフレーム、 16L、16R…シリンダマウント、 17L、17R…パワーリンクマウント、 20…アクチェータ、 22…シリンダロッド、 24…モータ、 30…第1リンク機構、 32…パワーリンク、 34…第1起倒リンク、 36…第2起倒リンク、 38…連結リンク、 40…第2リンク機構、 42…第1揺動リンク、 44…第2揺動リンク、 46…回動リンク、 48…ガイドリンク、 50…カム、 51…カムシャフト、 60…駆動アーム、 72…第1補助リンク、 74…第2補助リンク、 82L、82R、84L、84R、86L、86R、88L、88R…ダンパー、 100…アオリ開閉装置、 200…取付機構、 300…取外し機構、 400…コントローラ、 500…受信機。
図1
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