(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240207BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
E06B9/17 W
E06B9/58 A
(21)【出願番号】P 2023131803
(22)【出願日】2023-08-14
【審査請求日】2023-08-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】712000981
【氏名又は名称】有限会社やまもと
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】山本 國男
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実公平6-16130(JP,Y2)
【文献】実開昭58-181893(JP,U)
【文献】中国実用新案第213292161(CN,U)
【文献】特開平4-193106(JP,A)
【文献】実用新案登録第2538327(JP,Y2)
【文献】実用新案登録第2592859(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラットを一方向に延びるガイドレールへと誘導するための誘導経路を形成する一対の誘導板を備え
、
前記誘導経路が、スラットが送出される方向に向かうに従って幅が狭くなる第1の区間と、該第1の区間の下側に位置する第2の区間と、により少なくとも構成されているシャッター装置であって、
前記一対の誘導板に、それぞれ、
樹脂製のボールが先端に設けられたボールプランジャーと、
一端側が前記誘導板に固定された円筒部材と、
前記円筒部材の他端側に固定され、前記ボールプランジャーが取り付けられるナットと、が設けられ、
前記ボールプランジャーが、一部を除いて前記円筒部材の内側に配置され、
前記ボールの先端部が、前記誘導板に形成された孔から前記第2の区間の上端部に露出し、
前記ボールが、スラット(両端面を除く)に接触できるシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スラットのずれによって生じるシャッターケースの摩耗を防止するシャッター装置が記載されている。
このシャッター装置は、スラットと、スラットを巻き取るシャッター軸と、シャッター軸を支えるシャッターケースブラケットと、シャッターケースブラケットに固定された第1の板状部材と、中心をシャッター軸が通り、横ずれしたスラットを支える第2の板状部材と、第2の板状部材を第1の板状部材に対して回転可能に支持するベアリングと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、シャッター装置は、経年変化により変形したスラットがガイド口やガイドレールに引っかかり、開閉動作が重くなる等の不具合が生じる場合がある。
本発明は、経年変化による影響を低減し、円滑な動作を維持できるシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、スラットを一方向に延びるガイドレールへと誘導するための誘導経路を形成する一対の誘導板を備え、前記誘導経路が、スラットが送出される方向に向かうに従って幅が狭くなる第1の区間と、該第1の区間の下側に位置する第2の区間と、により少なくとも構成されているシャッター装置であって、前記一対の誘導板に、それぞれ、樹脂製のボールが先端に設けられたボールプランジャーと、一端側が前記誘導板に固定された円筒部材と、前記円筒部材の他端側に固定され、前記ボールプランジャーが取り付けられるナットと、が設けられ、前記ボールプランジャーが、一部を除いて前記円筒部材の内側に配置され、前記ボールの先端部が、前記誘導板に形成された孔から前記第2の区間の上端部に露出し、前記ボールが、スラット(両端面を除く)に接触できるシャッター装置である。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、経年変化による影響を低減し、円滑な動作を維持できるシャッター装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)、(B)は、それぞれ、本発明の一実施の形態に係るシャッター装置を側面視した説明図及び屋内側から見た説明図である。
【
図2】同シャッター装置が備えるガイドレールを水平面で切断した断面を示す説明図である。
【
図3】(A)は、スラットの先端位置が上下の中間位置にある半開状態を示す図であって、同シャッター装置が備えるガイド部のX-X断面を示す説明図であり、(B)は、
図1(A)に示した右側のガイド部を屋内側から見た説明図である。
【
図4】
図3(A)に示したガイド部を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0015】
本発明の一実施の形態に係るシャッター装置10は、
図1(A)及び
図1(B)に示すように、スラット12、一対のガイドレール14a、14b、シャフト16、一対のガイド部20及びシャッターケース22を備えている。
【0016】
スラット12は、開閉方向と交差する方向が長手となる板状の部材である。
【0017】
一対のガイドレール(ガイドの一例)14a、14bは、それぞれ、スラット12の左右両側に配置され、上下方向、すなわち一方向に延びる棒状のガイドである。
ガイドレール14a及びガイドレール14bは実質的に同一であるため、以下、ガイドレール14bについてのみ説明し、ガイドレール14aについての説明は割愛する場合がある。
ガイドレール14bには、
図2に示すように、スラット12の端部が通る案内溝が形成されており、スラット12は、スラット12の端部がこの案内溝を通ることにより案内される。案内溝の幅の寸法はL1である。
【0018】
シャフト16(
図1(A)参照)は、スプリング(不図示)の中心に挿入され、連結されたスラット12を巻き取るための円柱状の軸である。シャフト16の両端には、プーリー(不図示)が設けられている。
【0019】
一対のガイド部20は、
図1(A)、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、それぞれ、ガイドレール14a、14bの上側に配置され、送出されるスラット12をガイドレール14a、14bへ向うように誘導する誘導経路を形成することにより、スラット12を案内できる。
【0020】
ここで、誘導経路は、
図4に示すように、第1の区間S1と、第1の区間S1及びガイドレール14bの間に位置する第2の区間S2と、により少なくとも構成されている。
第1の区間S1は、ガイド部20の上端部に位置し、スラット12が送出される方向(矢印A方向)に向かうに従って、徐々にスラット12の厚さ方向の幅L2が狭くなっている。
第2の区間S2は、第1の区間S1の下側に隣接した区間、すなわち、第1の区間S1とガイドレール14bとの間に位置する区間である。第2の区間S2のスラット12の厚さ方向の幅は実質的に一定となっている。
【0021】
ガイド部20は、一対の誘導板202及び一対のボールプランジャー204を有している。
一対の誘導板(誘導部の一例)202は、互いに間隔を空けて対向して配置された板状の部材である。
各誘導板202の上端部は、側面視して、上端が外側に開くように湾曲し、第1の区間S1を形成する。誘導板202の上端部を除く部分は、前述の誘導経路の少なくとも第2の区間S2を形成する。
誘導板202は、ガイドレール14bに一体的に設けられていてもよい。
【0022】
一対のボールプランジャー(摩擦低減部の一例)204は、それぞれ誘導板202に対向して設けられ、第2の区間S2にて接触したスラット12との間に生じる摩擦を低減できる。
ボールプランジャー204は、外周にねじが形成された本体205と、本体205の先端に設けられたボール206と、を有し、このボール206が誘導経路の第2の区間S2の上端部(第1の区間の側の端部)に露出するように配置されることにより、移動中に誘導経路の幅方向に振れたスラット12が接触する。
ボール206の材質は、樹脂であることが好ましい。
【0023】
ボールプランジャー204は、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、円筒部材210及びナット212を介して誘導板202に固定されている。
円筒部材210は、一端側が誘導板202の第2の区間S2を形成する平面に固定され、他端側にナット212が固定されている。
ナット212には、ボールプランジャー204の本体205がねじ込まれ、ボールプランジャー204は、一部を除いてナット212及び円筒部材210の内側に配置されるとともに、ボール206の先端部が、誘導板202に形成された孔から第2の区間S2へと露出する。
【0024】
ただし、ボールプランジャー204は、円筒部材210及びナット212を用いて誘導板202に取り付けられることに限定されるものではなく、ボール206の先端部が第2の区間S2に露出するように取り付けられていればよい。
【0025】
なお、ボールプランジャー204に代えて、誘導板202にそれぞれ回転可能に支持されたころであってもよい。このころは、スラット12の送出方向と交差する回転軸回りに回転し、スラット12はころに接触することにより円滑に移動できる。
【0026】
シャッターケース22は、スラット12を格納するためのケースである。シャッターケース22の内部には、シャフト16、スプリング(不図示)、プーリー(不図示)及びガイド部20が収められている。
シャッターケース22は、両側面を構成する板状のブラケット222を有している。このブラケット222には、ガイド部20及び支持部224が固定されており、支持部224にてシャフト16の端部が支持される。
【0027】
次に、シャッター装置10の動作について説明する。
【0028】
スラット12がシャッターケース22から送出される場合には、シャフト16の回転に伴ってスラット12が下降する。ガイド部20の誘導経路に到達したスラット12は、誘導板202に沿って誘導され、ガイドレール14a、14bの案内溝へと進入する。
【0029】
スラット12がシャフト16から送出されるに従って、シャフト16に巻き取られてロール状となっているスラット12の全体の半径r(シャフト16の中心Cから下方へと向う最外周のスラット12までの距離)が徐々に小さくなっていくため、送出されるスラット12の移動経路が移動方向と交差する方向(
図3に示す矢印B1の方向)に振れていく。大きく振れたスラット12は、第2の区間S2(
図4参照)にて、矢印B1の側(平面視してシャフト16の側)にあるボールプランジャー204のボール206に接触する。
スラット12とボールプランジャー204との間に生じる摩擦はボール206の作用により低減されるため、スラット12は、円滑に下降する。
【0030】
一方、スラット12が巻き取られる場合には、シャフト16が逆方向に回転し、ガイドレール14a、14bの案内溝から出たスラット12は、誘導経路を通って上昇する。
【0031】
スラット12がシャフト16から巻き取られるに従って、シャフト16に巻き取られロール状となっているスラット12の全体の半径r(シャフト16の中心Cから巻き取られた最外周のスラット12までの距離)が徐々に大きくなっていくため、巻き取られるスラット12の移動経路が移動方向と交差する方向(
図3に示す矢印B2の方向)に振れていく。大きく振れたスラット12は、第2の区間S2(
図4参照)にて、矢印B2の側にあるボールプランジャー204のボール206に接触する。
スラット12とボールプランジャー204との間に生じる摩擦はボール206の作用により低減されるため、スラット12は、円滑に上昇する。
【0032】
本実施の形態に係るシャッター装置10によれば、経年変化によりスラット12が変形した場合であっても、ボールプランジャー204によって、スラット12とガイド部20との間で生じる摩擦が低減され、円滑な開閉動作が維持される。
すなわち、シャッター装置10によれば、経年変化による影響を低減し、円滑な動作を維持できる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0034】
10 シャッター装置
12 スラット
14a、14b ガイドレール
16 シャフト
20 ガイド部
22 シャッターケース
202 誘導板
204 ボールプランジャー
206 ボール
210 円筒部材
212 ナット
222 ブラケット
224 支持部
【要約】
【課題】経年変化による影響を低減し、円滑な動作を維持できるシャッター装置を提供する。
【解決手段】シャッター装置10は、スラット12を案内するガイド部20を備え、ガイド部20が、送出されるスラット12を一方向に延びるガイドレール14a、14bへと誘導するための誘導経路を形成する誘導部202と、誘導部202に設けられ、接触したスラット12との間に生じる摩擦を低減できる摩擦低減部204と、を有している。
【選択図】
図1