(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20240207BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D9/00 Z
(21)【出願番号】P 2023215582
(22)【出願日】2023-12-21
【審査請求日】2024-01-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523481023
【氏名又は名称】永野 こずえ
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【氏名又は名称】寒川 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100229116
【氏名又は名称】日笠 竜斗
(72)【発明者】
【氏名】永野 こずえ
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-235750(JP,A)
【文献】特開2004-218243(JP,A)
【文献】特開平11-313185(JP,A)
【文献】特開2007-321387(JP,A)
【文献】特開2014-167224(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0316250(US,A1)
【文献】特表2017-533364(JP,A)
【文献】特開2017-222750(JP,A)
【文献】特開2018-32565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/02
E03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式便器と、前記洋式便器に備えられる白色の樹脂製の便座とを有するトイレ装置において、
前記便座の表面に、ブラックライトの照射により青の蛍光を発する蛍光無機顔料が塗布または練り込まれたブラックライト発光部が形成されるとともに、前記便座の近傍にブラックライトを照射するブラックライト照射手段が配置され、前記ブラックライト照射手段によるブラックライト照射によって前記ブラックライト発光部を発光させることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記ブラックライト発光部が、前記便座に備えられる白色の樹脂製の蓋体の全体または一部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記洋式便器の利用者の前記洋式便器への接近および離脱を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段が検知した洋式便器の利用者の接近及び離脱の情報に基づきブラックライトを点滅させる点滅手段とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トイレ装置に関し、より詳細には、ブラックライトの照射によって発光するブラックライト発光部を有する便座を備えた洋式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間、睡眠中に尿意を催すなどしてトイレに立ったときに、明るさのため眠気から覚醒することがある。一旦覚醒してしまうと、たとえば、入眠障害のある者など寝つきの悪い人は再び眠りにつくのに相当な時間がかかり、睡眠時間が大幅に削られ、睡眠不足の原因となっていた。
【0003】
このような問題を解消するためのものとしては、洋式便器を樹脂で形成し、便器の表面部に、紫外線により発光する蛍光塗料を含有させた蛍光塗料含有樹脂をコア層とし、このコア層の表面を透明樹脂で被覆してなる構造の洋式便器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の洋式便座には以下のような問題がある。
【0006】
上記特許文献1には、「上記コア層を構成する樹脂中に含有される蛍光塗料は、紫外線を当てたときに光を放つ蛍光物質を含んだ塗料であり、例えば赤、緑、青の蛍光を発する物質が選択使用される([0016])」との記載があり、赤の蛍光を発する蛍光塗料を含有させた蛍光塗料含有樹脂からなるコア層を有する樹脂製便器が開示されている。しかし、蛍光塗料が発する赤の蛍光は、神経を興奮させ眠りから覚醒させてしまうため、トイレ利用者を覚醒させないとの目的を達することができない。
【0007】
また、波長が10~400nmの不可視光線は紫外線と呼ばれるが、紫外線は波長が短くなればなるほど透過力が小さくなって紫外線が通過する物質の表面のごく近傍で吸収されてしまう。そのため、上記特許文献1に開示されている蛍光塗料含有樹脂を含有したコア層の表面を透明樹脂からなるスキン層で被覆するとの構成では、照射する紫外線の波長が短くなればなるほど紫外線はスキン層に吸収されてしまい、便器の表面部から紫外線を照射しても便器の表面部を十分に発光させることができない。
【0008】
また、紫外線は、波長が短くなるのに伴い、皮膚、目、免疫系への急性若しくは慢性の疾患を引き起こす可能性が増大するため、波長が315nmないし400nmであって波長が長い紫外線であるUV-A(以下「ブラックライト」という。)よりも波長が短い紫外線であるUV-BやUV-Cは人体に及ぼす悪影響が大きい。
【0009】
波長が280nm~315nmの紫外線であるUV-Bは皮膚が赤くなり痛むいわゆる「サンバーン」と呼ばれる皮膚疾患を引き起こし、波長が200nm~280nmの紫外線であるUV-CはUB-Bよりもさらに「サンバーン」を引き起こし、UV-BとUV-Cは皮膚がん発現のリスクを伴う。また、UV-BやUV-Cは、眼に対して危険であり、雪眼炎や紫外眼炎、白内障等の疾病を引き起こす。そのため、紫外線のうち波長の短いUV-BやUV-Cは、安全性が求められる眠りを妨げられないトイレ装置には適しない。
【0010】
ところで、睡眠時間の短さは睡眠障害と総称されており万病の元である。不眠症者は、睡眠から一旦覚醒すると自ら睡眠をとることが困難である。日本人のうち一般成人が何らかの不眠症状を有しており、そのうち約10%が慢性不眠症である。他方、日本のGDPは2023年6月期で実質558.6兆円、名目589兆円である。そこで、一般成人の日本人に占める割合が30~40%であると仮定すると、一般成人のGDPへの貢献度は約176.6兆円から235.8兆円(実質)または176.9兆円~235.8兆円(名目)である。したがって、日本人の一般成人の約10%を占める慢性不眠症者が不眠のために仕事に集中できないことは経済的に大きな損失である。
【0011】
本発明は、不眠症が大きな経済的損失をもたらしている現状と、特許文献1に開示されている従来技術の問題点とを鑑み、かつ、青色には鎮静作用が高く興奮した神経を休める作用があり青色は体内時計をコントロールして眠りやすい状態を作る等最も安眠効果があるとの知見に基づいてなされたものであって、夜間のトイレ利用者の眠気を覚醒させることなく便器の位置を的確に把握させることができ、かつ、ブラックライトを使用することにより安全なトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るトイレ装置は、洋式便器と、前記洋式便器に備えられる白色の樹脂製の便座とを有するトイレ装置において、前記便座の表面に、ブラックライトの照射により青の蛍光を発する蛍光無機顔料が塗布または練り込まれたブラックライト発光部が形成されるとともに、前記便座の近傍にブラックライトを照射するブラックライト照射手段が配置され、前記ブラックライト照射手段によるブラックライト照射によって前記ブラックライト発光部を発光させることを特徴とする。
【0013】
この発明では、ブラックライトにより発光する蛍光無機顔料が塗布または練り込まれたブラックライト発光部が便座の表面に形成され、このブラックライト発光部にブラックライトを照射することによってブラックライト発光部を発光させるので、夜間などの暗い状況であっても、トイレ利用者は便器の位置を把握することができる。
【0014】
そして、この発明では、便器の表面部に紫外線により発光する蛍光塗料を含有させた蛍光塗料含有樹脂をコア層とし、このコア層の表面を透明樹脂で被覆するのではなく、白色の樹脂製の表面にブラックライト(UV-A)により青色の蛍光を発する蛍光無機顔料を塗布または練り込んでいるので、波長が短いUV-BやUV-Cの紫外線を照射しなくても、紫外線のうち波長が長いブラックライト(UV-A)を照射することによって樹脂製の便座の表面に形成されているブラックライト発光部を発光させることができる。
【0015】
そして、この発明では、紫外線のうち波長が280nm~315nmである紫外線UV-Bや波長が200nm~280nmである紫外線UV-Cではなく、これらより波長が長い315nm~400nmであるブラックライト(UV-A)により蛍光無機顔料を発光させるので、皮膚、目、免疫系への急性若しくは慢性の疾患をひきおこす危険性がない。
【0016】
さらに、この発明では、ブラックライト発光部が青色の蛍光を発する蛍光無機顔料が塗布また練り込まれた白色の樹脂であるので、ブラックライトの照射により、ブラックライト発光部は単なる青色ではなく、沈静効果が高い優しい青白色に発光する。そのため、トイレ利用者の睡眠を覚醒させない高い効果を奏する。
【0017】
そして、本発明は好適な実施態様として、前記便座に備えられる白色の樹脂製の蓋体の全体または一部にブラックライト発光部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明では、便座および蓋体の全体または一部にブラックライト発光部が形成されるので、ブラックライト照射手段の位置を調整してブラックライト照射手段からブラックライト発光部までの距離を調整することで、ブラックライト発光部による発光の程度を調整することができる。
【0019】
そして、この発明では、便座に備えられる白色の樹脂製の蓋体にブラックライト発光部を形成しているので、便座が蓋体で覆われている場合であっても、トイレ利用者は便器の位置を把握することができる。
【0020】
また、本発明は他の好適な実施態様として、前記洋式便器の利用者の前記洋式便器への接近および離脱を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段が検知した洋式便器の利用者の接近及び離脱の情報に基づきブラックライトを点滅させる点滅手段とを備えていることを特徴とする。
【0021】
この発明では、トイレ装置が、トイレ利用者の便器への接近及び離脱を検知する人体検知手段を備え、ブラックライト点滅手段が前記人体検知手段の検知した洋式便器の利用者の接近及び離脱の情報に基づき蓋体及び便座をブラックライトで照射するので、トイレ利用者がトイレを利用する度毎にブラックライトを点滅させる必要がなく、トイレ利用者の眠気が覚醒されることがないトイレ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、紫外線のうち波長が長い紫外線ブラックライト(UV-A)を照射するので、皮膚、目、免疫系への急性若しくは慢性の疾患をひきおこすことがなく、便座に形成されたブラックライト発光部が発光する。したがって、夜間などの暗い状況であっても、トイレ利用者は便器の位置を把握することができる。また、ブラックライト発光部の素材は白色の樹脂であり、これには青色を発光する蛍光無機顔料が塗布または練り込まれているので、ブラックライト発光部は沈静効果が高い優しい青白色を発光することになり、トイレ利用者の眠気を覚醒させるおそれの少ないトイレ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るトイレ装置の外観構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】同トイレ装置の便座の表面部の拡大断面図であり、
図2(a)は便座表面に蛍光無機顔料を塗布した状態を示しており、
図2(b)は便座を構成する樹脂に蛍光無機顔料を練り込んだ状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るトイレ装置1の外観の一例を示している。本発明に係るトイレ装置1は、夜間のトイレ利用時などに利用者を覚醒させることなく用便を済ませることができるようにしたトイレ装置であって、トイレ室T内に配設される洋式便器2と、洋式便器2に備えられる白色の樹脂製の便座3と、ブラックライトを照射するブラックライト照射手段4とを主要部として備えている。
【0025】
洋式便器2は、小便、大便などの排泄物を水たまりに受け止めて、洗浄水とともに排泄物を配水管に排出する腰掛便器であって、周知のとおり、陶器製または樹脂製の成形品で構成される。
【0026】
便座3は、洋式便器2に腰掛けるための部材であって、洋式便器2に交換可能に取り付けられている。本実施形態では、洋式便器2の上部に着脱可能に配置されている。そして、便座3の上部には洋式便器2の蓋を構成する蓋体6が着脱・交換可能に配置されている。
【0027】
便座3は、蓋体6とともに跳ね上げ可能に洋式便器2に装着されるもので、本実施形態では、図示のように、中央部が開口したO字状の形態とされている。便座3は、例えばABS樹脂のような合成樹脂(より詳細には白色の合成樹脂)で構成され、内部に空間が形成された中空構造とされている。そして、内部空間には、トイレ利用者の洋式便器2への接近および離脱を検知する図示しない人体検知手段(たとえば、人感センサ)が備えられている。また、便座3の座面を暖めるヒータなどが備えられている。図中の符合7は、ヒータや図示しないシャワートイレ(温水洗浄便座)機構等の遠隔操作のリモコンを示している。
【0028】
また、本実施形態に示すトイレ装置1では、便座3の上面3aと側周面3bとにブラックライトにより青色に発光する蛍光無機顔料が塗布されたブラックライト発光部8が形成されている。
図2(a)は、便座3の上面3aの断面を拡大して示しており、図示のように、便座3の表面(図示例では上面3a)を形成する樹脂板の上に蛍光無機顔料が塗布された層(ブラックライト発光部8)が形成されている。
【0029】
ここで、ブラックライト発光部8を形成する蛍光無機顔料には、ブラックライトの照射によって青色に発光する蛍光無機顔料が用いられる。これは、後述するように、蛍光無機顔料の発光によって、トイレ利用者が覚醒するのを抑制するためである。
【0030】
なお、本実施形態では、便座3として、中央部が開口したO字状の部材を用いた場合を示したが、便座3の形状は特に限定されたものではなく、たとえば、U字状に形成されてもよい。また、本実施形態では、便座3の上面3aと側周面3bの全面にブラックライト発光部8を形成した場合を示したが、ブラックライト発光部8は、便座3の上面3aと側周面3bの一部に部分的形成されてもよい。また、ブラックライト発光部8は便座3の下面(洋式便器2と対面する面)に形成されてもよい。
【0031】
蓋体6は便座3および洋式便器2の上部開口部を閉じる蓋であって、便座3とは独立して跳ね上げ操作ができるように構成されている。この蓋体6は、上述した便座3と同様に、たとえばABS樹脂のような合成樹脂で構成されている。より詳細には、蓋体6は、薄い(たとえば、厚さ数mm程度の)樹脂製の板状体で構成されており、図示例では、蓋体6を閉じたときに便座3の側周面3bを囲繞する下向きの周壁部6aを備えた形態とされている。
【0032】
ブラックライト照射手段4は、目に見えないブラックライト(UV-A)を照射する照明装置であって、便座3の近傍位置において、便座3のブラックライト発光部8にブラックライトを照射可能な位置、たとえば、トイレ室Tの天井や壁面などの適所に配置される。そして、ブラックライト発光部8による発光の程度はブラックライト照射手段4とブラックライト発光部8との距離によって決定されるから、ブラックライト照射手段4が設置される位置を調整することによりブラックライト発光部8の発光する発光を所望の程度とすることができる。
【0033】
なお、ブラックライト照射手段4は、トイレ室の照明とは独立して操作が可能とされており、たとえば、トイレ室T内の照明(たとえば、昼光色、昼白色などに点灯する蛍光灯やLED照明)は消灯したままで、ブラックライト照射手段4のみを点灯させることができるようになっている。
【0034】
次に、このように構成されたトイレ装置1の使用方法について説明する。なお、以下の説明は、トイレ装置1が設置されたトイレ室Tや、利用者が就寝する寝室からトイレ室に至る通路が暗い状況(たとえば夜間)であり、トイレ装置1の利用者は暗い通路を通ってトイレ室Tに到達するものとする。
【0035】
たとえば、夜間就寝中に尿意を催すなどしてトイレに立ったときに、トイレ室Tに到達したトイレ利用者は、トイレ室Tの照明を点灯させることなく、ブラックライト照射手段4を点灯させる。これにより、トイレ装置1の便座3に向かってブラックライト照射手段4からブラックライトが照射され、ブラックライトが照射された便座3が青白色に発光する。
【0036】
また、本実施形態では、便座3には、トイレ利用者の洋式便器2への接近および離脱を検知する人体検知手段が備えられているので、トイレ利用者がブラックライト照射手段4を点灯させなくても、便座3に設けられている人体検知手段がトイレ利用者の接近を感知すると、ブラックライト照射手段4を点灯させるように構成することができる。これにより、便座3に向かってブラックライト照射手段4からのブラックライトが照射され、ブラックライトが照射された便座3が青白色に発光する。
【0037】
なお、この場合、用便を済ませたトイレ利用者の洋式便器2からの離脱を人体検知手段が検知すると、離脱を検知したタイミング(たとえば、離脱検知と同時または離脱検知後所定時間経過後)でブラックライト照射手段4を消灯させるように構成することができる。このように、トイレ装置1に、人体検知手段によるトイレ利用者の接近および離脱の情報に基づきブラックライトを点滅させる点滅手段を備えさせることで、ブラックライトの点滅(点灯/消灯)を自動化することもできる。
【0038】
このように、本実施形態が示すトイレ装置1では、暗闇でブラックライト照射手段4を点灯することで、蛍光灯などの照明が点灯していない暗いトイレ室T内において、洋式便器2の便座3が青白く発光するので、トイレ利用者は、この青白い光を頼りに洋式便器2の位置を確実に把握することができる。また、このときのブラックライト発光部8は刺激の少ない青白色に発光するので、ブラックライト発光部8の発光によってトイレ利用者の眠気が覚める(覚醒する)ことがない。そのため、トイレ利用者が夜中のトイレ利用で目がさめてしまうおそれが抑制され、トイレ利用に伴う睡眠不足を解消することができる。
【0039】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0040】
たとえば、上述した実施形態では、便座3が蓋体6を備える場合を示したが、蓋体6は省略することが可能である。すなわち、トイレ装置1は、洋式便器2と便座3のみで構成することも可能である。そうすることで、便座3へのブラックライトの照射が容易になり、ブラックライト照射手段4の配設位置の自由度を高めることができる。
【0041】
また、上述した実施形態では、人体検知手段を便座3に内蔵させた場合を示したが、人体検知手段は、トイレ利用者の洋式便器への接近および離脱を検知できる場所であれば、便座3以外の箇所、たとえば、リモコン7に内蔵させたり、あるいは、トイレ室Tの天井に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 トイレ装置
2 洋式便器
3 便座
4 ブラックライト照射手段
6 蓋体
7 リモコン
8 ブラックライト発光部
T トイレ室
【要約】
【課題】夜間のトイレ利用者の眠りを覚醒させることなく、便器の位置を的確に把握させることができるトイレ装置を提供する。
【解決手段】洋式便器2と、洋式便器2に備えられる白色の樹脂製便座3とを有するトイレ装置1において、便座3の表面に、ブラックライトの照射により青色の蛍光を発する蛍光無機顔料が塗布または練り込まれたブラックライト発光部8を形成する。また、便座3の近傍には、ブラックライトを照射するブラックライト照射手段4を配置する。夜間のトイレ利用に際しては、ブラックライト照射手段4のみを点灯させ、暗いトイレ室内において便座3のブラックライト発光部8を青く発光させることで、トイレ利用者を覚醒させることなく、洋式便器2の位置をトイレ利用者に把握させる。
【選択図】
図1