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特許7431513熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240207BHJP
   C08K 9/10 20060101ALI20240207BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20240207BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K9/10
B32B7/027
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019101908
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020196774
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】柴田 敏博
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-342762(JP,A)
【文献】特開平11-158387(JP,A)
【文献】特開平10-140021(JP,A)
【文献】特開2000-178833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのいずれかより選ばれる熱可塑性樹脂(A)と、飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂のいずれかより選ばれ、30~45℃の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体(B)とが、(A)/(B)=14/86~4/96(質量比)の割合で溶融ブレンドされてなる熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性重合体(B)のガラス転移温度以上、融点未満の温度域で外部応力を適用することにより、前記応力に順応した形状に変形自在であり、前記ガラス転移温度未満の温度域で変形された形状に固定される機能を備えてなる熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性重合体(B)は、-20~70℃の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体を二種以上含有し、且つ、前記二種以上の熱可塑性重合体は互いに相溶性を有し、30~45℃の温度域に単一のガラス転移温度を有する重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性重合体(B)は、前記熱可塑性樹脂(A)とは化学構造が異なる重合体から選ばれる請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
可逆熱変色性材料が分散状態に含有されてなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂成形体。
【請求項6】
支持体上に、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂層を設けてなる熱可塑性樹脂積層体。
【請求項7】
請求項5記載の熱可塑性樹脂成形体又は請求項6記載の熱可塑性樹脂積層体を備えてなる玩具又は装飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体に関する。更に詳細には、熱可塑性樹脂と、ガラス転移温度を有する熱可塑性重合体が所定の割合で溶融ブレンドされ、前記ガラス転移温度を境にして形状の変形と固定が可能な熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂(A)と、ガラス転移温度が-20℃以上70℃以下の範囲にある熱可塑性重合体(B)の一種又は二種以上が、(A)/(B)=95/5~20/80(重量比)の割合で溶融ブレンドされてなる熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた温度依存性変形-賦形性成形体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた温度依存性変形-賦形性成形体は、前記ガラス転移温度以上の適正温度域で外部応力を加えることにより任意形状に変形自在であり、ガラス転移温度未満の温度域で変形された形状が固定される機能を備えてなり、適宜形状への変形-賦形が必要に応じて簡易に成しえるものであるが、前記変形された形状はガラス転移温度より十分に低い温度域では安定的に保持されるが、ガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度域では変形された形状が保持され難く、変形された形状を保持した状態で使用できる温度域に制限があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-1545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、熱可塑性樹脂と、特定の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体が所定の割合で溶融ブレンドされた熱可塑性樹脂組成物であって、生活環境温度域、或いは日常的な熱又は冷熱の適用により、簡易に形状の変形及び固定が可能であり、更に、変形及び固定された形状が、ガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度域で保持可能であり、且つ、融着性が抑制された熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのいずれかより選ばれる熱可塑性樹脂(A)と、飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂のいずれかより選ばれ、30~45℃の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体(B)とが、(A)/(B)=14/86~4/96(質量比)の割合で溶融ブレンドされてなる熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性重合体(B)のガラス転移温度以上、融点未満の温度域で外部応力を適用することにより、前記応力に順応した形状に変形自在であり、前記ガラス転移温度未満の温度域で変形された形状に固定される機能を備えてなる熱可塑性樹脂組成物を要件とする。
更には、前記熱可塑性重合体(B)は、-20~70℃の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体を二種以上含有し、且つ、前記二種以上の熱可塑性重合体は互いに相溶性を有し、30~45℃の温度域に単一のガラス転移温度を有する重合体であること、前記熱可塑性重合体(B)は、前記熱可塑性樹脂(A)とは化学構造が異なる重合体から選ばれること、可逆熱変色性材料が分散状態に含有されてなることを要件とする。
更には、前記熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂成形体であること、支持体上に、前記熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂層を設けてなる熱可塑性樹脂積層体であること、前記熱可塑性樹脂成形体又は前記熱可塑性樹脂積層体を備えてなる玩具又は装飾品を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、熱可塑性樹脂と、特定の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体が所定の割合で溶融ブレンドされた熱可塑性樹脂組成物であって、生活環境温度域、或いは日常的な熱又は冷熱の適用により、簡易に形状の変形及び固定が可能であり、更に、変形及び固定された形状が、ガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度域で保持可能であり、且つ、融着性が抑制されることにより、玩具分野、工業分野、文具分野、装飾分野、デザイン分野等、変形自在性が要求される多様な分野に適用可能な熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図3】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図4】本発明の熱可塑性樹脂積層体の一実施例の縦断面図である。
図5】本発明の可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の一実施例の縦断面図である。
図6】本発明の可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の他の実施例の縦断面図である。
図7】本発明の可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の他の実施例の縦断面図である。
図8】本発明の可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の参考例の縦断面図である。
図9】本発明の可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の他の実施例の縦断面図である。
図10】本発明の可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の他の実施例の縦断面図である。
図11】本発明の可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の他の実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、熱可塑性樹脂(A)と、30~45℃の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体である。
前記熱可塑性重合体(B)は、ガラス転移温度未満の温度域では弾性率が高く剛性的性状を示しているが、ガラス転移温度以上の温度域では弾性率が低く粘弾性的性状に変化する。本来剛性的な熱可塑性重合体(B)の剛性と弾性率は温度上昇に伴って低下し、ガラス転移温度以上の温度域では外部応力の適用による任意形状への変形自在性が得られる。外部応力を適用して任意形状への変形を保持したままガラス転移温度未満の温度域まで冷却されると、前記熱可塑性重合体(B)の弾性率は再び高くなり剛性的性状を示し、変形された形状に固定され、外部応力の適用を止めても変形された形状で保持される。
前記熱可塑性樹脂組成物の温度変化に伴う弾性率の変化において、熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性重合体(B)がガラス転移温度以上の温度域で粘弾性的性状に転移した際にも、その性状が変化せず、更には融着性を適宜に抑制するため、前記熱可塑性樹脂組成物同士の密着時のくっつき等によるトラブルの回避に寄与する。
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性重合体(B)をブレンドする割合は、(A)/(B)=19/81~1/99(質量比)が有効であり、好ましくは14/86~4/96、より好ましくは12/88~6/94である。
熱可塑性樹脂(A)の割合が19質量%を超えると、熱可塑性重合体(B)のガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度以上の温度域で熱可塑性重合体(B)の弾性率の低下が抑制されず、前記温度域で変形された形状を保持し難くなる。一方、熱可塑性樹脂(A)の割合が1質量%未満では、粘性が高すぎるため融着性を生じ、前記熱可塑性樹脂組成物同士を密接させて放置すると、くっつき等のトラブルを生じ易くなる。
前記割合の熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性重合体(B)のガラス転移温度(Tg)以上の温度域における熱可塑性重合体(B)の弾性率の低下を抑制するため、前記した形状の変形及び固定機能により任意形状に変形され、ガラス転移温度未満の温度域で固定された後、外部応力を適用しない限りガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度域、具体的には(Tg+10)℃以下、好ましくは(Tg+7)℃以下、より好ましくは(Tg+5)℃以下の温度域で、前記変形された形状を保持させることができる。
また、前記変形された形状は、ガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度域において1分以上、好ましくは2分以上、より好ましくは3分以上保持されていることが実用性を満たす。
【0010】
前記熱可塑性樹脂(A)としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,9、ナイロン6,12、6-6,6共重合ナイロン、6-12共重合ナイロン、6-6,6-12共重合ナイロン、6,9-12共重合ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド-ポリエステルブロック共重合樹脂、ポリアミド-ポリエ-テルブロック共重合樹脂等のポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン-ポリエーテルブロック共重合樹脂等のポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合樹脂等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン-エチレンプロピレンゴムブレンド共重合体樹脂、ポリプロピレン-エチレンプロピレンジエンゴムブレンド共重合樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン等のポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル-ポリエステルブロック共重合体樹脂、ポリエステル-ポリエーテルブロック共重合体樹脂等のポリエステル系熱可塑性エラストマー、アクリロニトリル-ブタジエンゴム-ポリ塩化ビニルブレンド共重合体樹脂等のポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、エチレン-酢酸ビニル系共重合体等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂(A)は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
前記熱可塑性重合体(B)としては、飽和ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂(未硬化物)、炭化水素樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、スチレン樹脂、アクリル-スチレン共重合樹脂等が挙げられる。
【0012】
前記熱可塑性重合体(B)としては、30~45℃の温度域にガラス転移温度を有する熱可塑性重合体を一種単独で用いることができるが、-20~70℃の温度域にガラス転移温度を有し、且つ、互いに相溶性を有する二種以上の熱可塑性重合体を組み合わせて用いることもできる。互いに相溶性を有する複数の熱可塑性重合体は単一のガラス転移温度を示し、更に、各熱可塑性重合体の配合割合に依存したガラス転移温度を示すため、30~45℃の温度域にガラス転移温度を有するように配合割合を調整して、熱可塑性重合体(B)として用いることができる。
【0013】
前記熱可塑性樹脂組成物の剛性的性状及び粘弾性的性状を長期間不変的に保持し、前記した形状の変形及び固定機能を持続させるためには、熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド系、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリブタジエン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、又はエチレン-酢酸ビニル系共重合体等から選ばれる熱可塑性エラストマーと、熱可塑性重合体(B)として飽和ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、又はスチレン樹脂等から選ばれる非晶性熱可塑性重合体との組み合わせが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性重合体(B)の組み合わせにおいて、前記した形状の変形、固定及び保持機能をより効果的に発現させることができることから、互いに化学構造が異なる樹脂の組み合わせがより好ましい。化学構造が同一の樹脂同士、即ち、同質の樹脂同士の組み合わせでは均質な相溶体を形成し、熱可塑性重合体(B)のガラス転移温度以上の温度域における粘弾性的性状が、熱可塑性樹脂(A)により適正にコントロールされることなく発現されるので、ガラス転移温度未満の温度域における固定機能や、ガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度域における変形した形状の保持機能が相対的に低下することになり、また、前記熱可塑性樹脂組成物を密着させて放置した時に融着し易くなる。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記熱可塑性重合体(B)が30~45℃、好ましくは30~43℃、より好ましくは32~41℃の温度域にガラス転移温度を有することで、生活環境温度域、或いは日常的な熱又は冷熱を適用して、簡易に形状の変形及び固定が可能となる。また、前記熱可塑性重合体(B)は、ガラス転移温度以上の温度域で適宜の冶具乃至手指等を使って任意形状へ変形され、ガラス転移温度未満の温度域で前記変形された形状が固定され、更に、ガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度域で保持されるものであり、従来より公知の各種加熱又は冷却手段や、適宜の応力変形手段を適用することにより、任意形状への変形、固定及び保持を簡易に繰り返し行うことができる。
前記加熱又は冷却手段としては、温水等の熱媒体によるもの、通電抵抗発熱体(ニクロム線、正特性抵抗発熱体等)を熱源とする温風装置、ボックス型加熱装置、冷凍庫、冷蔵庫、氷片、各種蓄冷剤、ペルチェ素子等を冷熱源とする冷風装置、ボックス型冷却装置等が挙げられる。
また、前記応力変形手段としては鏝乃至適宜の賦形治具、各種形状の賦形治具等が挙げられ、目的に応じて適宜使用できる。
【0015】
尚、特例として、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度が30~45℃に存在する系では、熱可塑性重合体(B)のみがガラス転移温度を有する系に対して、両者のブレンドにより熱可塑性重合体(B)のガラス転移温度より10~20℃低い温度域にあっても変形自在性を与えることができる。
【0016】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、任意形状へ変形及び固定した後、熱又は冷熱の適用により、外部応力を適用しなくても適宜の原形に復帰する形状記憶性を発現させることもできる。
前記熱可塑性樹脂組成物を軟化点乃至融点近傍まで加熱し、任意形状に成形し冷却して初期形状となし、次いで熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点未満の温度域に加熱して外部応力の適用により別の任意形状に変形し、ガラス転移温度未満に冷却して前記形状を固定することで、ガラス転移温度未満の温度域では変形した形状を保持することができる。更に、再び前記熱可塑性樹脂組成物を加熱してガラス転移温度を超える温度、具体的には(Tg+10)℃を超える温度になると、外部応力を適用しなくても初期形状へと自発的に形状回復する。この自発的に形状回復する性質が形状記憶性である。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、所望により可逆熱変色性材料を含有させて、可逆熱変色性と形状の変形自在性を有する可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物とすることができる。前記可逆熱変色性材料としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物及びこれをマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、又は前記可逆熱変色性組成物を熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散した可逆熱変色性樹脂粒子等が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境にしてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、比較的小さいヒステリシス特性(ΔH=1~7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を使用することができる(図1参照)。
【0018】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8~70℃)を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と、逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t以下の温度域での発色状態、または完全消色温度t以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t~消色開始温度tの間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を使用することができる(図2参照)。
【0019】
以下に各(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物及びフルオラン化合物が好ましい。
前記フタリド化合物としては、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物及びその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピル-1H-インドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロロアミノ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-N-メチルアニリノ-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等が挙げられる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0020】
前記(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
前記電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物があり、これらの中でも活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
活性プロトンを有する化合物群としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、好ましくは芳香族カルボン酸及びその誘導体、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びその誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、無機酸類等が挙げられる。
偽酸性化合物群としては、例えば、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、前記カルボン酸の金属塩、前記酸性リン酸エステルの金属塩、前記スルホン酸の金属塩、芳香族及び脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸-スルホン酸無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、ハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、例えば、硼酸塩類、硼酸エステル類、無機塩類等が挙げられる。
これらの中でも、有効な熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物はモノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、更にビス型、トリス型フェノール等、及びフェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、少なくともベンゼン環を2以上有するものが好ましい。また、これら化合物は置換基を有していてもよく、置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等が挙げられる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等が挙げられる。
【0021】
以下にこれらの化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、4-エチルフェノール、4-n-プロピルフェノール、4-n-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、4-n-ペンチルフェノール、4-tert-ペンチルフェノール、4-n-オクチルフェノール、4-tert-オクチルフェノール、4-n-ノニルフェノール、4-n-ドデシルフェノール、3-n-ペンタデシルフェノール、4-n-ステアリルフェノール、1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、4-クロロフェノール、4-ブロモフェノール、4-トリフルオロメチルフェノール、4-メチルチオフェノール、4-ニトロフェノール、2-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、2-ベンジルフェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、4-クミルフェノール、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、4-シクロヘキシルフェノール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、3-ヒドロキシベンジルアルコール、4-ヒドロキシベンジルアルコール、4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、3-メトキシフェノール、4-エトキシフェノール、4-n-プロポキシフェノール、4-n-ブトキシフェノール、4-n-ヘプチルオキシフェノール、4-(2-メトキシエチル)フェノール、α-ナフトール、β-ナフトール、2,3-ジメチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4-ジクロロフェノール、2,4-ジフルオロフェノール、チモール、3-メチル-4-メチルチオフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、2-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、2,6-ジフェニルフェノール、3-ベンジルビフェニル-2-オール、3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル等が挙げられる。
【0022】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物としては、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-n-ヘキシルレゾルシン、4-n-オクチルレゾルシン、4-tert-オクチルレゾルシン、4-ベンゾイルレゾルシン、4-ニトロレゾルシン、β-レゾルシン酸メチル、β-レゾルシン酸ベンジル、2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、カテコール、4-tert-ブチルカテコール、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0023】
更にビス型フェノールの化合物としては、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、ジフェノール酸、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、3,3-エチレンオキシジフェノール、1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、2,2′-ビフェノール、4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-(2-プロぺニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン等が挙げられる。
【0024】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物としては、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等が挙げられる。
【0025】
更に、トリス型フェノールの化合物としては、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等が挙げられる。
【0026】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物としては、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,4,4-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
2,2′-ビス〔4,4-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
3,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)カテコール、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
ビス〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕、
〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔α-メチル-(4-ヒドロキシフェニル)ベンジル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチルカテコール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス〔3-(α,α-ビス(2,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5ーシクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等が挙げられる。
【0027】
カルボン酸及びその誘導体としては、3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸及びその亜鉛塩、4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸及びその亜鉛塩、4-ヒドロキシフェニル安息香酸、4-クロロ安息香酸亜鉛、4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸亜鉛、3,5-ジスチレン化サリチル酸、N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、N-フェニルアミノカルボニル-バリン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸等が挙げられる。
【0028】
前記酸性リン酸エステル化合物としては、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等が挙げられる。
【0029】
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0030】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0031】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられる。
具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
【0032】
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0033】
更に、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0034】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0035】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0036】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0037】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等が挙げられる。
【0038】
また、前記(ハ)成分として下記一般式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【化1】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は-(CHOCOR又は-(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1~3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
【化2】
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10~24のアルキル基、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0039】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【化3】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
【0040】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【化4】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
前記化合物として具体的には、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0041】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【化5】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
前記化合物として具体的には、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0042】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【化6】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
前記化合物として具体的には、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0043】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【化7】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物として具体的には、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0044】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【化8】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数3~18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、メチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物として具体的には、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0045】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【化9】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物として具体的には、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0046】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(10)で示される化合物を用いることもできる。
【化10】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物として具体的には、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
【0047】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(11)で示される化合物を用いることもできる。
【化11】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基又は炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
前記化合物として具体的には、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0048】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(12)で示される化合物を用いることもできる。
【化12】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子を示し、nは1~3の整数を示す。)
前記化合物として具体的には、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0049】
また、特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報等に記載された、没食子酸エステルを用いた加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、又は前記可逆熱変色性組成物を熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散した可逆熱変色性樹脂粒子等を適用することもできる(図3参照)。
【0050】
前記可逆熱変色性組成物は、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
【0051】
前記可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を形成したり、熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散させて可逆熱変色性樹脂粒子を形成することもできる。
前記可逆熱変色性組成物はマイクロカプセルに内包して使用することが好ましく、これは、マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、更に、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1~1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内であることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができ、より好ましくは、内包物/壁膜=6/1~1/1(質量比)である。
【0052】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子は、平均粒子径0.01~50μm、好ましくは0.1~30μm、より好ましくは0.5~20μmの範囲が実用性を満たす。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、インキ、塗料、或いは樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠け易くなる。一方、平均粒子径が0.01μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
尚、平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製、製品名:Multisizer 4e〕を用いて、コールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
更に、前記ソフトウェア又はコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にして、キャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製、製品名:LA-300〕を用いて、体積基準の粒子径及び平均粒子径を測定しても良い。
【0053】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、可撓性、持久性等を付与して、汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、注型成形、溶融紡糸等の各種成形手段により、任意形象の立体造形物、フィルム、シート、板状物、フィラメント、棒状物、パイプ等の形態の熱可塑性樹脂成形体を得ることができる。更に、前記熱可塑性樹脂組成物中に可逆熱変色性材料を含有させた可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を、前記成形手段により成形して、可逆熱変色性と形状の変形自在性を有する可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体を得ることもできる。
前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体において、可逆熱変色性材料は0.1~30質量%、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~10質量%の範囲で熱可塑性樹脂組成物中に配合される。配合割合が30質量%を超えると、変色濃度の顕著な向上は認められ難く、樹脂中への分散に際して、分散安定性や加工適性に欠け易くなる。一方、0.1質量%未満では好適な変色性及び濃度が得られ難く、変色機能を十分に満たすことができ難い。
【0054】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂層を支持体上に設けることにより、熱可塑性樹脂積層体を得ることもできる。
図4に示す通り、熱可塑性樹脂積層体(1)は、支持体(2)上に、前記熱可塑性樹脂組成物をバインダー樹脂と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散させて調製した印刷インキや塗料等の液状組成物を、スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の塗布手段により熱可塑性樹脂層(3)として設けてなる。
【0055】
前記バインダー樹脂としては、汎用の樹脂、例えば、アイオノマー樹脂、イソブチレン-無水マレイン酸系共重合樹脂、アクリロニトリル-アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン-スチレン共重合樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン-ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
【0056】
前記ビヒクル中には必要に応じて各種添加剤を添加することができ、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
【0057】
前記熱可塑性樹脂積層体にあっても、熱可塑性樹脂層は前記した形状の変形、固定及び保持機能を発現させることができるので、応力変形性支持体と組み合わせることにより、支持体自体も同調した形状の変形、固定及び保持機能を示す。
前記応力変形性支持体としては、柔軟性を有するものであれば特に限定されるものではなく、材質としては、紙、合成紙、編布及び不織布等の布帛、合成皮革、レザー、軟質プラスチック、エラストマー、ゴム等が挙げられ、シート状、フィルム状等の平面状形態のものが好ましい。また、無色透明、或いは非熱変色性着色剤により着色された着色透明又は着色不透明の支持体を適用することができる。
【0058】
また、前記熱可塑性樹脂積層体は図5に示す通り、支持体(2)上に、前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物をバインダー樹脂と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散させて調製した印刷インキや塗料等の液状組成物を、前記印刷又は塗布方法により可逆熱変色性熱可塑性樹脂層(5)として設けてなる可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体(4)とすることもできる。
また、前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体(4)は図6に示す通り、熱可塑性樹脂成形体(6)上に、前記可逆熱変色性材料をバインダー樹脂と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散させて調製した印刷インキや塗料等の液状組成物を、前記印刷又は塗布方法により可逆熱変色層(7)として設けてなる構成とすることもできる。
【0059】
前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物又は可逆熱変色性材料を含む液状組成物に使用されるバインダー樹脂としては、可逆熱変色性材料の発色、消色、変色等に影響を及ぼさなければ特に限定されるものではなく、前記熱可塑性樹脂を含む液状組成物に使用したバインダー樹脂と同一のものを用いることもできる。
前記可逆熱変色層において、可逆熱変色性材料はバインダー樹脂中に0.5~40質量%、好ましくは1~30質量%の範囲で配合される。配合割合が40質量%を超えると、変色濃度の顕著な向上は認められ難く、樹脂中への分散に際して分散安定性や加工適性に欠け易くなり、更に消色状態において残色を生じ易い。一方、0.5質量%未満では好適な変色性及び濃度が得られ難く、変色機能を十分に満たすことができ難い。
【0060】
前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体(4)は図7に示す通り、熱可塑性樹脂成形体(6)と可逆熱変色層(7)の間に非熱変色性着色剤を含有した非熱変色層(8)を設けてなる構成の他、図8に示す通り、支持体(2)と可逆熱変色性熱可塑性樹脂層(5)の間に非熱変色層(8)を設けてなる構成とすることにより、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈し、前記積層体の色変化を多彩にすることができる。また、非熱変色層として非熱変色性着色剤を用いた文字、図柄等の像を配し、可逆熱変色層又は可逆熱変色性熱可塑性樹脂層によりこれらの像を隠顕させる構成となしてもよい。
また、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体(4)として、図9に示す通り、熱可塑性樹脂成形体(6)上に可逆熱変色性材料と非熱変色性着色剤を含んでなる可逆熱変色層(9)を設けてなる構成の他、図10に示す通り、非熱変色性着色剤を含んでなる熱可塑性樹脂成形体(10)上に可逆熱変色層(7)を設けてなる構成や、図11に示す通り、支持体(2)上に可逆熱変色性材料と非熱変色性着色剤を含んでなる可逆熱変色性熱可塑性樹脂層(11)を設けてなる構成とすることもできる。
【0061】
前記熱可塑性樹脂成形体、熱可塑性樹脂積層体、可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体、及び可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体は、前記した変形方法において、任意形状への変曲を、実質的に原形寸法を変化させることなく簡易に変形させることができる。また、引き延ばし或いは加圧等により原形寸法を変化させて変形を行うこともできる。
【0062】
前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体及び積層体は可逆熱変色性と形状の変形自在性を有しており、生活環境温度域、或いは日常的な熱又は冷熱の適用により、可逆的な色変化を呈すると共に、ガラス転移温度(Tg)を境にして簡易に形状の変形及び固定が可能であるため玩具又は装飾品として好適である。
尚、前記可逆熱変色性材料の変色温度を、(Tg±5)℃以内、好ましくは(Tg±3)℃以内、より好ましくは前記ガラス転移温度と同一に設定することにより、色変化と形状変形を同調させることができ、より一層効果的である。
例えば、比較的小さいヒステリシス特性(ΔH=1~7℃)を有する可逆熱変色性材料の完全消色温度tと、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が同一(t=Tg)である場合、次のように使用することができる。
前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体又は積層体を完全発色温度t以下に冷却して、完全に発色させる。続いて、前記成形体又は積層体を完全消色温度t(=ガラス転移温度)以上に加熱すると、消色すると共に変形自在性を発現し、任意形状への変形が可能となることから、前記成形体又は積層体の形状変形が可能となったことが、発色状態から消色状態への色変化によって判別できる。
また、比較的小さいヒステリシス特性(ΔH=1~7℃)を有する可逆熱変色性材料の完全発色温度tと、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が同一(t=Tg)である場合、次のように使用することができる。
前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体又は積層体を完全消色温度t以上に加熱すると消色し、変形自在性を発現するため任意形状への変形が可能となる。前記成形体又は積層体に外部応力を適用して任意形状へ変形させ、外部応力を適用したままガラス転移温度(=完全発色温度t)未満に冷却すると、発色すると共に変形させた形状に固定されることから、前記成形体又は積層体の変形させた形状が固定されたことが、消色状態から発色状態への色変化によって判別できる。
また、大きなヒステリシス特性(ΔH=8~70℃)を示し、色彩記憶性を有する可逆熱変色性材料の完全消色温度tと、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が同一(t=Tg)である場合、次のように使用することができる。
前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体又は積層体を完全発色温度t以下に冷却して、完全に発色させる。続いて、前記成形体又は積層体を完全消色温度t(=ガラス転移温度)以上に加熱すると、消色すると共に変形自在性を発現し、任意形状への変形が可能となることから、前記成形体又は積層体の形状変形が可能となったことが、発色状態から消色状態への色変化によって判別できる。続いて、前記成形体又は積層体に外部応力を適用して任意形状に変形し、ガラス転移温度未満に冷却すると、完全発色温度tを超える温度域では変形させた形状は消色状態を呈し、一方、完全発色温度t以下の温度域では変形させた形状は発色状態を呈することから、完全発色温度tを境にして変形させた形状を、消色状態又は発色状態のいずれかを選択して保持することができる。
【0063】
前記熱可塑性樹脂組成物及び可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物には、従来より汎用の光安定剤を適宜配合し、耐光性を付与することができる。前記光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
また、従来より汎用の各種可塑剤を1~30質量%の範囲で配合して、変形可能温度を低下させたり、柔軟性を付与することができる。前記可塑剤としては、フタル酸系、脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸エステル系、エポキシ系、フェノール系、トリメリット酸系可塑剤等が挙げられる。
更に、加工性、物性等を改善するために、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、タルク、その他着色顔料等を添加することもできる。
【0064】
また、前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体において可逆熱変色層及び可逆熱変色性熱可塑性樹脂層上には、透明性樹脂を用いた透明性保護層を設けて耐擦過性を付与したり、前記光安定剤を分散状態に固着した光安定剤層を設けて耐光性を付与することができる。
【0065】
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体又は積層体を備えた製品として具体的には、以下のものを例示することができる。
(1)玩具類
人形又は動物形象玩具、人形又は動物形象玩具用毛髪、人形の家や家具、衣類、帽子、鞄、及び靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、及び乗物、動物、植物、建築物、及び食品等を模した玩具等、
(2)衣類
Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、及びスキーウェア等の被服、靴や靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、及び風呂敷等の布製身の回り品、手袋、ネクタイ、帽子、スカーフ、及びマフラー等、
(3)屋内装飾品
絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、カーペット、ラグ、椅子張り地、シート、マット、額縁、造花、及び写真立て等、
(4)家具
布団、枕、マットレス等の寝具、照明器具、及び冷暖房器具等、
(5)装飾品
指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、アクセサリー、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ、時計、及び眼鏡等、
(6)文房具類
筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、及び粘着テープ等、
(7)日用品
口紅、アイシャドー、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、及び歯ブラシ等、
(8)台所用品
コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等、
(9)その他
カレンダー、ラベル、カード、記録材、及び偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、コースター、楽器、カイロ、蓄冷剤、財布等の袋物、傘、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、及び教習具等。
【実施例
【0066】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例中の部は質量部を示す。
【0067】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料aの調製
(イ)成分として3,3-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド1.0部と、(ロ)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部と、(ハ)成分としてステアリン酸ネオペンチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル分散液を調製した。前記マイクロカプセル分散液から遠心分離法により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料aを単離した。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料aは、完全発色温度t:13℃、完全消色温度t:33℃、ヒステリシス幅ΔH:17℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0068】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料bの調製
(イ)成分として3,3-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド1.0部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-デカン5.0部と、(ハ)成分として9-ヘプタデカノン25.0部とセチルアルコール25.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル分散液を調製した。前記マイクロカプセル分散液から遠心分離法により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料bを単離した。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料bは、完全発色温度t:26℃、完全消色温度t:33℃、ヒステリシス幅ΔH:4℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0069】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料cの調製
(イ)成分として3,3-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド1.0部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン5.0部と、(ハ)成分としてミリスチン酸ミリスチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル分散液を調製した。前記マイクロカプセル分散液から遠心分離法により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料cを単離した。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料cは、完全発色温度t:30℃、完全消色温度t:41℃、ヒステリシス幅ΔH:7℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0070】
実施例1
熱可塑性樹脂組成物の調製
熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド系熱可塑性エラストマー〔アルケマ(株)製、商品名:ペバックス5533〕1.0部と、熱可塑性重合体(B)として飽和ポリエステル樹脂〔三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターTP-249と、同SP-170の混合物〕99.0部とを、エクストルーダーにて180℃で溶融混合して、熱可塑性樹脂組成物を調製した。
【0071】
実施例2
可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物の調製
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料a4.0部と、熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド系熱可塑性エラストマー〔アルケマ(株)製、商品名:ペバックス5533〕1.0部と、熱可塑性重合体(B)として飽和ポリエステル樹脂〔三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターTP-249と、同SP-170の混合物〕95.0部とを、エクストルーダーにて180℃で溶融混合して、可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を調製した。
【0072】
以下の表1に、実施例1乃至の熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑樹脂組成物の組成を示す。尚、実施例3乃至の各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物は、実施例2と同様の方法により調製した。
表中の組成の数値は質量部を示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表中の材料の内容を注番号に沿って説明する。
(1)アルケマ(株)製、商品名:ペバックス5533
(2)ダイセル・エボニック(株)製、商品名:ダイアミドN1901
(3)材料名:イソフタル酸35モル%変性ポリブチレンテレフタレート
(4)材料名:ポリヘキサメチレンテレフタレート
(5)東洋紡(株)製、商品名:ペルプレンP-40H
(6)三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターTP-249
(7)三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターSP-170
(8)三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターTP-217
(9)三菱ケミカル(株)製、商品名:ダイヤナールBR-117
(10)デンカ(株)製、商品名:デンカサクノールSN-10
【0075】
以下の表2に、実施例1乃至における熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性重合体(B)の配合割合を示す。
【0076】
【表2】
【0077】
比較例1
熱可塑性樹脂組成物の調製
熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド系熱可塑性エラストマー〔アルケマ(株)製、商品名:ペバックス5533〕0.5部と、熱可塑性重合体(B)として飽和ポリエステル樹脂〔三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターTP-249と、同SP-170の混合物〕99.5部とを、エクストルーダーにて180℃で溶融混合して、熱可塑性樹脂組成物を調製した。
【0078】
比較例2
可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物の調製
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料a4.0部と、熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド系熱可塑性エラストマー〔アルケマ(株)製、商品名:ペバックス5533〕0.5部と、熱可塑性重合体(B)として飽和ポリエステル樹脂〔三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターTP-249と、同SP-170の混合物〕95.5部とを、エクストルーダーにて180℃で溶融混合して、可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を調製した。
【0079】
以下の表3に、比較例1乃至の熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物の組成を示す。尚、比較例3乃至の各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物は、比較例2と同様の方法により調製した。
表中の組成の数値は質量部を示す。
【0080】
【表3】
【0081】
表中の材料の内容を注番号に沿って説明する。
(11)アルケマ(株)製、商品名:ペバックス5533
(12)三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターTP-249
(13)三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスターSP-170
【0082】
以下の表4に、比較例1乃至における熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性重合体(B)の配合割合を示す。
【0083】
【表4】
【0084】
ガラス転移温度測定用試料の調製
JIS K 7121で規定されたプラスチックの転移温度測定方法に従って、実施例1乃至及び比較例1乃至の、各熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を、各辺の長さが0.5mm以下となるよう切断して試験片とし、前記各試験片約10mgをアルミニウム製容器に入れ蓋をして密封し、ガラス転移温度測定用試料をそれぞれ調製した。
【0085】
融着性試験用試料の調製
実施例1乃至及び比較例1乃至の、各熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機にて180℃のシリンダー温度で直径3cm、厚さ5mmの丸板状に成形して、融着性試験用試料をそれぞれ2枚ずつ調製した。
【0086】
形状保持性試験用試料の調製
実施例1乃至及び比較例1乃至の、各熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を、押出成形機にて180℃のシリンダー温度で、直径3mm、長さ30cmの棒状に成形して、形状保持性試験用試料をそれぞれ調製した。
【0087】
ガラス転移温度測定
JIS K 7121で規定されたプラスチックの転移温度測定方法に従って、示差走査熱量測定(DSC)装置〔METTLER TOLEDO(株)製、製品名:FP900サーモシステム(FP-85)〕を用いて、前記各熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度を測定した。
詳細には、前記ガラス転移温度測定用試料を測定装置にセットし、装置が安定するまで-20℃で保持した後、-20℃から70℃まで毎分20℃の昇温速度で加熱(1st heating)して、70℃で5分間保持した。次いで、70℃から-20℃まで毎分20℃の冷却速度で急冷して、-20℃で5分間保持した。再び、-20℃から70℃まで毎分20℃の昇温速度で加熱(2nd heating)して、DSC曲線を得た。2nd heatingより得られたDSC曲線からガラス転移温度を求めた。
【0088】
融着性試験
前記ガラス転移温度測定より得られた各熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を試験温度として設定し、前記試験温度下において、前記融着性試験用試料を2枚積層した時の密着度合いから融着性を確認した。
詳細には、前記試験温度に設定した恒温槽に前記各融着性試験用試料を2枚重ねて入れ、更に1kgの重りを乗せ1分間放置した後、恒温槽から取り出し、2枚の融着性試験用試料の密着度合い及び剥離のし易さから、下記基準で評価した。
A:2枚の融着性試験試料が互いに密着していたが、容易に剥がすことができた。
B:2枚の融着性試験試料が互いに密着していたが、剥がすことができた。
C:2枚の融着性試験試料が互いに強固に密着しており、剥がすことができなかった。
【0089】
形状保持性試験
前記形状保持性試験用試料を変形させる温度(変形温度)、及び変形した形状に固定する温度(固定温度)は、前記ガラス転移温度測定より得られた各熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を基準として設定した。前記形状保持性試験用試料の変形させた形状が、ガラス転移温度近傍、或いはガラス転移温度を超える温度、具体的には(Tg-10)℃、(Tg-5)℃、(Tg)℃、(Tg+5)℃、(Tg+7)℃、(Tg+10)℃の6水準の試験温度において保持される時間を計測した。
詳細には、前記形状保持性試験用試料を、変形温度として(Tg+20)℃の温度に設定した恒温槽に入れ、10分間加熱して恒温槽から取り出し、直径5cmの円筒に巻き付けてコイル状に変形させ、直ちに、固定温度として(Tg-30)℃の温度に設定した恒温槽に入れ、30分間冷却して形状を固定させた。次に、コイル状に変形させた前記形状保持性試験用試料を、前記各試験温度に設定した恒温槽に入れ加熱して、一定時間経過毎に形状を目視にて確認し、変形させた形状が同一形状で保持されていた時間を計測した。
尚、試験温度が(Tg-10)℃、(Tg-5)℃の場合は5分、(Tg)℃、(Tg+5)℃、(Tg+7)℃の場合は1分、(Tg+10)℃の場合は30秒経過毎に、前記形状保持性試験用試料の形状を目視で確認して時間を計測した。
【0090】
以下の表5に、実施例1乃至の熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度測定、融着性試験、形状保持性試験の結果を示す。
【0091】
【表5】
【0092】
以下の表6に、比較例1乃至の熱可塑性樹脂組成物及び各可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度測定、融着性試験、形状保持性試験の結果を示す。
【0093】
【表6】
【0094】
応用例1
熱可塑性樹脂積層体の作製(図4参照)
実施例1の熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):33℃〕10.0部を、ウレタン系エマルジョン82.0部と、消泡剤0.5部と、増粘剤2.0部と、レベリング剤0.5部と、架橋剤5.0部とからなるビヒクル中に均一混合して、熱可塑性液状組成物(熱可塑性印刷用インキ)を調製した。
支持体として白色ポリプロピレン合成紙(厚さ:60μm)上に、前記熱可塑性印刷用インキを、スクリーン版を用いてベタ印刷を施し、乾燥して硬化させて熱可塑性樹脂層を設け、シート状の熱可塑性樹脂積層体を作製した。
前記積層体を40℃の温水に浸漬させて加温し、温水中で外部応力を適用して円筒状に変形させた。その後、外部応力による変形を保持したまま温水から取り出したところ、33℃未満の温度域では円筒状に固定され、外部応力を除去しても変形させた形状が保持された。また、前記成形体は外部応力を適用されない限り、43℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0095】
応用例2
熱可塑性樹脂組成物を用いた可逆熱変色性熱可塑性表示体の作製(図6参照)
実施例1の熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):33℃〕を、押出成形機にて180℃の設定温度で厚さ3mmのシート状に成形して、熱可塑性樹脂成形体を調製した。
また、(イ)成分として1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン2.0部と、(ロ)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部と、(ハ)成分としてステアリン酸ネオペンチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル分散液を調製した。前記マイクロカプセル分散液から遠心分離法により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料dを単離した。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料dは、完全発色温度t:13℃、完全消色温度t:33℃、ヒステリシス幅ΔH:17℃であり、温度変化により桃色から無色に可逆的に変化した。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料d30.0部を、ウレタン系エマルジョン62.0部と、消泡剤0.5部と、増粘剤2.0部と、レベリング剤0.5部と、架橋剤5.0部とからなるビヒクル中に均一混合して、可逆熱変色性液状組成物(可逆熱変色性印刷用インキ)を調製した。
支持体として前記熱可塑性樹脂成形体上に、前記可逆熱変色性印刷用インキを用いて、スクリーン版でベタ印刷を施し、乾燥して硬化させて可逆熱変色層を設けた。更にその上面に、透明ポリエステルフィルム(厚さ:16μm)でラミネート処理して、シート状の可逆熱変色性熱可塑性表示体を作製した。前記表示体は13℃以下に冷却して、可逆熱変色層を桃色に発色させた。
前記表示体において、完全消色温度tとガラス転移温度を同一にすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、35℃の温水に浸漬させて加温すると、桃色から無色に変化すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記可逆熱変色層の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記表示体に外部応力を適用してシート状から円筒状に変形させ、外部応力による変形を保持したまま温水から取り出したところ、33℃未満の温度域では円筒状に固定され、外部応力を除去しても変形させた形状が保持された。更に、前記表示体は13℃を超える温度域では無色のままであったが、13℃以下に冷却すると無色から青色に変化した。また、前記表示体は外部応力を適用されない限り、43℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0096】
応用例3
可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を用いた人形玩具の作製
実施例2の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):33℃〕を、ブロー成形機にて180℃の設定温度で腕の形に成形して、人形玩具に腕として組み込んだ。前記人形玩具は13℃以下に冷却して、腕を青色に発色させた。
前記人形玩具において、完全消色温度tとガラス転移温度を同一にすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、前記腕を35℃の温水に浸漬させて加温すると、青色から無色に変化すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記腕の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記腕に外部応力を適用して所望の形状に変形させ、外部応力による変形を保持したまま温水から取り出したところ、33℃未満の温度域では変形させた形状に固定され、外部応力を除去しても変形させた形状が保持された。更に、前記腕は13℃を超える温度域では無色のままであったが、13℃以下に冷却すると無色から青色に変化した。また、前記腕は外部応力を適用されない限り、43℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0097】
応用例4
可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を用いた毛髪を備えた人形玩具の作製
実施例3の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):33℃〕と、桃色の非熱変色性着色剤とを溶融混合し、溶融紡糸装置にて200℃の設定温度で延伸処理して、人形玩具用毛髪として長さ15cm、直径1.5mmのストレート状の可逆熱変色性熱可塑性樹脂フィラメントを調製した。
前記フィラメントを常法により人形の頭部に植毛し、胴体部と組み合わせて、可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を用いた毛髪を備えた人形玩具を作製した。前記人形玩具は13℃以下に冷却して、毛髪を、可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物の青色と非熱変色性着色剤の桃色とが混色となった紫色に発色させた。
前記人形玩具において、完全消色温度tとガラス転移温度を同一にすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、前記毛髪を35℃の温水に浸漬させて加温すると、紫色から桃色に変化すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記毛髪の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記毛髪を外径5mmの円筒状のヘアーカーラーに巻き付けて温水から取り出したところ、33℃未満の温度域ではヘアーカーラーの外形に沿ってカールした形状に固定され、ヘアーカーラーを外しても変形させた形状が保持された。更に、前記毛髪は13℃を超える温度域では桃色のままであったが、13℃以下に冷却すると桃色から紫色に変化した。また、前記毛髪は外部応力を適用されない限り、43℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0098】
応用例5
可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体を用いた装飾品の作製
実施例4の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):33℃〕を、押出成形機にて180℃の設定温度で厚さ5mmのシート状に成形して、得られたシート状の成形体を長さ5cm、幅5mmの短冊状に裁断して、装飾品に取り付けた。前記装飾品は26℃以下に冷却して、成形体を青色に発色させた。
前記装飾品において、完全消色温度tとガラス転移温度を同一にすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、前記成形体を35℃の温水に浸漬させて加温すると、青色から無色に変化すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記成形体の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記成形体に外部応力を適用して長軸方向に波形に折り畳んで変形させ、外部応力による変形を保持したまま温水から取り出したところ、33℃未満の温度域では蛇腹状に固定され、外部応力を除去しても変形させた形状が保持された。更に、前記成形体は26℃を超える温度域では無色のままであったが、26℃以下に冷却すると無色から青色に変化した。また、前記成形体は外部応力を適用されない限り、43℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0099】
参考
可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の作製(図8参照)
比較の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):33℃〕10.0部を、ウレタン系エマルジョン82.0部と、消泡剤0.5部と、増粘剤2.0部と、レベリング剤0.5部と、架橋剤5.0部とからなるビヒクル中に均一混合して、可逆熱変色性熱可塑性液状組成物(可逆熱変色性熱可塑性印刷用インキ)を調製した。更に、黄色の非熱変色性着色剤0.5部を、ウレタン系エマルジョン91.5部と、消泡剤0.5部と、増粘剤2.0部と、レベリング剤0.5部と、架橋剤5.0部とからなるビヒクル中に均一混合して、非熱変色性液状組成物(非熱変色性印刷用インキ)を調製した。
支持体として透明ポリエステルフィルム(厚さ:25μm)上に、前記非熱変色性印刷用インキを用いて、スクリーン版で星柄の印刷を施し、乾燥して硬化させて非熱変色層を設けた。更にその上面に、前記可逆熱変色性熱可塑性印刷用インキを用いて、スクリーン版でベタ印刷を施し、乾燥して硬化させて可逆熱変色性熱可塑性樹脂層を設け、シート状の可逆的熱変色性熱可塑性樹脂積層体を作製した。前記積層体は13℃以下に冷却して、可逆熱変色性熱可塑性樹脂層の青色と非熱変色層の黄色とが混色となった緑色に発色させた。
前記積層体において、完全消色温度tとガラス転移温度を同一にすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、35℃の温水に浸漬させて加温すると、緑色が消色して黄色の星柄が出現すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂層の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記積層体に外部応力を適用して半分に折り畳んで変形させ、外部応力による変形を保持したまま温水から取り出したところ、33℃未満の温度域では半分に折り畳んだ形状に固定され、外部応力を除去しても変形させた形状が保持された。前記積層体は13℃を超える温度域では黄色の星柄が出現したままであったが、13℃以下に冷却すると黄色の星柄から緑色のベタ柄に変化した。また、前記積層体は外部応力を適用されない限り、43℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0100】
応用例
可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体の作製
実施例の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):41℃〕を、射出成形機にて180℃の設定温度で直径3mmの棒状に成形して、可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体を作製した。前記成形体は13℃以下に冷却して青色に発色させた。
前記成形体において、完全消色温度tとガラス転移温度を同一にすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、43℃の温水に浸漬させて加温すると、青色から無色に変化すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記成形体の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記成形体に外部応力を適用して星形に折り曲げて変形させ、外部応力による変形を保持したまま温水から取り出したところ、41℃未満の温度域では星形に固定され、外部応力を除去しても変形させた形状が保持された。更に、前記成形体は30℃を超える温度域では無色のままであったが、30℃以下に冷却すると無色から青色に変化した。また、前記成形体は外部応力を適用されない限り、51℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0101】
応用例
可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体の作製(図11参照)
実施例の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):35℃〕10.0部と、桃色の非熱変色性着色剤0.5部とを、ウレタン系エマルジョン81.5部と、消泡剤0.5部と、増粘剤2.0部と、レベリング剤0.5部と、架橋剤5.0部とからなるビヒクル中に均一混合して可逆熱変色性熱可塑性液状組成物(可逆熱変色性熱可塑性印刷用インキ)を調製した。
支持体として布帛上に、前記可逆熱変色性熱可塑性印刷用インキを用いて、スクリーン版でベタ印刷を施し、乾燥して硬化させて可逆熱変色性熱可塑性樹脂層を設け、更に長さ30cm、幅1cmの短冊状に裁断し、可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体を作製した。前記積層体は13℃以下に冷却して、可逆熱変色性熱可塑性樹脂層を、可逆熱変色性熱可塑性組成物の青色と非熱変色性着色剤の桃色とが混色となった紫色に発色させた。
前記積層体において、完全消色温度tを(Tg-2)℃に等しくすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、36℃の温水に浸漬させて加温すると、紫色から桃色に変化すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記可逆熱変色性熱可塑性樹脂層の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記積層体を直径3cmの円筒にコイル状に巻き付けたまま温水から取り出したところ、35℃未満の温度域ではコイル状に固定され、円筒を外しても変形させた形状が保持された。更に、前記積層体は13℃を超える温度域では桃色のままであったが、13℃以下の冷水に浸漬させて冷却すると桃色から紫色に変化した。また、前記積層体は外部応力を適用されない限り、45℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0102】
応用例
可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を用いた毛髪を備えた動物形象玩具の作製
実施例の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):30℃〕と、黄色の非熱変色性着色剤とを溶融混合し、溶融紡糸装置にて200℃の設定温度で延伸処理して、動物形象玩具用毛髪として長さ5cm、直径0.3mmの可逆熱変色性熱可塑性樹脂フィラメントを調製した。
前記フィラメントを常法により馬の形態をした動物形象玩具の尾部に植毛し、可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物を用いた毛髪を備えた動物形象玩具を作製した。前記動物形象玩具は30℃以下に冷却して、毛髪を、可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物の青色と非熱変色性着色剤の黄色とが混色となった緑色に発色させた。
前記毛髪は、35℃の温水に浸漬させて加温すると変形自在性を発現したが、緑色のままであった。そこで、43℃の温水に浸漬させて加温すると緑色から黄色に色変化すると共に変形自在性を発現し、温水中で前記毛髪を手指に巻き付けて波形状に変形させた。前記動物形象玩具において、完全発色温度tとガラス転移温度を同一にすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、前記毛髪を、波形状に変形させたまま30℃の未満に冷却すると、黄色から緑色に変化すると共に波形状に固定されるため、変形させた形状が固定されることが、前記毛髪の消色状態から発色状態への色変化によって判別できた。また、前記毛髪は外部応力を適用されない限り、40℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【0103】
応用例
可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体の作製
実施例の可逆熱変色性熱可塑性樹脂組成物〔ガラス転移温度(Tg):36℃〕を、射出成形機にて180℃の設定温度で直径2cmの球状に成形して、可逆熱変色性熱可塑性樹脂成形体を作製した。前記成形体は13℃以下に冷却して青色に発色させた。
前記成形体において、完全消色温度tを(Tg-3)℃に等しくすることにより色変化と形状変形を同調させることができ、38℃の温水に浸漬させて加温すると、青色から無色に変化すると共に変形自在性を発現したため、形状変形が可能となったことが、前記成形体の発色状態から消色状態への色変化によって判別できた。次に、温水中で前記成形体の上下又は左右両側から2枚のアルミニウム板で挟んで平面状に変形させ、外部応力による変形を保持したまま温水から取り出したところ、36℃未満の温度域では平面状に固定され、外部応力を除去しても変形させた形状が保持された。更に、前記成形体は13℃を超える温度域では無色のままであったが、13℃以下に冷却すると無色から青色に変化した。また、前記成形体は外部応力を適用されない限り、46℃以下の温度域で変形させた形状を保持させることができた。
尚、前記した形状の変形及び固定は、前記ガラス転移温度を境にして発現させることができ、形状の変形は繰り返し可能であった。
【符号の説明】
【0104】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
完全消色温度
消色開始温度
発色開始温度
完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 熱可塑性樹脂積層体
2 支持体
3 熱可塑性樹脂層
4 可逆熱変色性熱可塑性樹脂積層体
5 可逆熱変色性熱可塑性樹脂層
6 熱可塑性樹脂成形体
7 可逆熱変色層
8 非熱変色層
9 可逆熱変色性材料と非熱変色性着色剤を含んでなる可逆熱変色層
10 非熱変色性着色剤を含んでなる熱可塑性樹脂成形体
11 可逆熱変色性材料と非熱変色性着色剤を含んでなる可逆熱変色性熱可塑性樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11