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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/021 20120101AFI20240207BHJP
【FI】
F16H57/021
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019124723
(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2021011879
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】沖村 隆行
(72)【発明者】
【氏名】中村 江児
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-307215(JP,A)
【文献】特開2001-349386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/021
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心に回転可能な回転体と、
前記回転体の径方向に互いに間隔をあけて配列され、前記回転体を回転可能に保持する第一軸受及び第二軸受と、
前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、
を備え、
前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、
前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、
外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、
を備える減速機。
【請求項2】
軸線を中心に回転可能な回転体と、
前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、
前記第一軸受の第一作用線との交点を前記第一軸受よりも前記回転体の径方向内側で有する第二作用線を有し前記交点よりも前記回転体の径方向内側に位置する第二軸受と、
前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、
を備え、
前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、
前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、
外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、
を備える減速機。
【請求項3】
第一支持部、前記第一支持部に対して軸方向及び径方向に間隔をあけて配された第二支持部、及び前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部を有し、軸線を中心に回転可能な回転体と、
前記第一支持部によって前記軸方向の一方側から支持され、前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、
前記第一軸受に対して前記回転体の径方向内側に間隔をあけて配され、前記第二支持部によって前記軸方向の他方側から支持され、前記回転体を回転可能に保持する第二軸受と、
前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部、及び前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部を有する固定部材と、
を備える回転体保持機構と、
外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、
を備える減速機。
【請求項4】
軸線を中心に回転可能な回転体と、
前記回転体を回転可能に保持し第一作用線を有する第一軸受と、
前記回転体を回転可能に保持し第二作用線を有する第二軸受と、
前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、
を備え、
前記第一軸受よりも前記回転体の径方向内側に位置する前記第一作用線と前記第二軸受よりも前記回転体の径方向外側に位置する前記第二作用線とが交差し、
前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、
前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、
外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、
を備える減速機。
【請求項5】
軸線を中心に回転可能な回転体と、
前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、
前記回転体を回転可能に保持する第二軸受と、
前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、
を備え、
前記第一軸受の第一作用線と前記第二軸受の第二作用線との交差位置が前記第一軸受よりも前記回転体の径方向内側に位置し、
前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、
前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、
外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、
を備える減速機。
【請求項6】
軸線を中心に回転可能な回転体と、
前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、
前記回転体を回転可能に保持し前記第一軸受と前記回転体の軸方向で重なる位置に配置された第二軸受と、
前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、
を備え、
前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、
前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、
外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、
を備える減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転体(伝動歯車)がその軸方向に間隔をあけて配列された二つの軸受によって回転可能に保持された回転体保持機構が開示されている。また、特許文献1には、回転体保持機構の他に偏心揺動型の減速機構(減速ユニット)を含む減速機(歯車伝動装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-101366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の回転体保持機構では、二つの軸受が回転体の軸方向に配列されているため、回転体の軸方向における回転体保持機構の寸法(厚さ寸法)が大きい、という問題がある。
【0005】
本発明は、厚さ寸法を小さく抑えることができる回転体保持機構を含む減速機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る減速機は、軸線を中心に回転可能な回転体と、前記回転体の径方向に互いに間隔をあけて配列され、前記回転体を回転可能に保持する第一軸受及び第二軸受と、前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、を備え、前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、を備える
【0007】
このように構成することで、回転体を保持する二つの軸受(第一軸受及び第二軸受)が回転体の軸方向に配列される場合と比較して、回転体の軸方向における回転体保持機構の寸法(厚さ寸法)を小さく抑えることができる。これにより、減速機の薄型化を図ることができる。
また、このように構成することで、第一軸受及び第二軸受によって回転体を安定に回転可能に保持できる。
また、このように構成することで、確実に第一軸受及び第二軸受に互いに逆向きの予圧をかけることができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る減速機は、軸線を中心に回転可能な回転体と、前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、前記第一軸受の第一作用線との交点を前記第一軸受よりも前記回転体の径方向内側で有する第二作用線を有し前記交点よりも前記回転体の径方向内側に位置する第二軸受と、前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、を備え、前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、を備える
【0009】
このように構成することで、回転体の軸方向における第一軸受及び第二軸受の相互の位置ずれを小さく抑える又は無くすことができる。したがって、回転体の軸方向における回転体保持機構の寸法(厚さ寸法)を小さく抑えることができる。これにより、減速機の薄型化を図ることができる。
また、このように構成することで、第一軸受及び第二軸受によって回転体を安定に回転可能に保持できる。
また、このように構成することで、確実に第一軸受及び第二軸受に互いに逆向きの予圧をかけることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る減速機は、第一支持部、前記第一支持部に対して軸方向及び径方向に間隔をあけて配された第二支持部、及び前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部を有し、軸線を中心に回転可能な回転体と、前記第一支持部によって前記軸方向の一方側から支持され、前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、前記第一軸受に対して前記回転体の径方向内側に間隔をあけて配され、前記第二支持部によって前記軸方向の他方側から支持され、前記回転体を回転可能に保持する第二軸受と、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部、及び前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部を有する固定部材と、を備える回転体保持機構と、外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、を備える
【0015】
このように構成することで、回転体を保持する二つの軸受(第一軸受及び第二軸受)が回転体の軸方向に配列される場合と比較して、回転体の軸方向における回転体保持機構の寸法(厚さ寸法)を小さく抑えることができる。これにより、減速機の薄型化を図ることができる。
また、このように構成することで、第一軸受及び第二軸受によって回転体を安定に回転可能に保持できる。
また、このように構成することで、確実に第一軸受及び第二軸受に互いに逆向きの予圧をかけることができる。
【0018】
本発明の他の態様に係る減速機は、軸線を中心に回転可能な回転体と、前記回転体を回転可能に保持し第一作用線を有する第一軸受と、前記回転体を回転可能に保持し第二作用線を有する第二軸受と、前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、を備え、前記第一軸受よりも前記回転体の径方向内側に位置する前記第一作用線と前記第二軸受よりも前記回転体の径方向外側に位置する前記第二作用線とが交差し、前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、を備える
【0019】
このように構成することで、回転体の軸方向における第一軸受及び第二軸受の相互の位置ずれを小さく抑える又は無くすことができる。したがって、回転体の軸方向における回転体保持機構の寸法(厚さ寸法)を小さく抑えることができる。これにより、減速機の薄型化を図ることができる。
また、このように構成することで、第一軸受及び第二軸受によって回転体を安定に回転可能に保持できる。
また、このように構成することで、確実に第一軸受及び第二軸受に互いに逆向きの予圧をかけることができる。
【0020】
本発明の他の態様に係る減速機は、軸線を中心に回転可能な回転体と、前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、前記回転体を回転可能に保持する第二軸受と、前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、を備え、前記第一軸受の第一作用線と前記第二軸受の第二作用線との交差位置が前記第一軸受よりも前記回転体の径方向内側に位置し、前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、を備える
【0021】
このように構成することで、回転体の軸方向における第一軸受及び第二軸受の相互の位置ずれを小さく抑える又は無くすことができる。したがって、回転体の軸方向における回転体保持機構の寸法(厚さ寸法)を小さく抑えることができる。これにより、減速機の薄型化を図ることができる。
また、このように構成することで、第一軸受及び第二軸受によって回転体を安定に回転可能に保持できる。
また、このように構成することで、確実に第一軸受及び第二軸受に互いに逆向きの予圧をかけることができる。
【0022】
本発明の他の態様に係る減速機は、軸線を中心に回転可能な回転体と、前記回転体を回転可能に保持する第一軸受と、前記回転体を回転可能に保持し前記第一軸受と前記回転体の軸方向で重なる位置に配置された第二軸受と、前記回転体の軸方向において前記回転体との間に前記第一軸受及び前記第二軸受を挟んで前記回転体を回転可能に支持する固定部材と、を備え、前記回転体が、前記第一軸受を前記軸方向の一方側から支持する第一支持部と、前記第一支持部に対して前記回転体の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の他方側から支持する第二支持部と、前記軸方向に延びて前記第一支持部及び前記第二支持部を一体に接続する第一接続部と、を備え、前記固定部材が、前記第一軸受を前記軸方向の他方側から支持して前記第一支持部との間に挟む第三支持部と、前記第三支持部に対して前記軸方向及び前記径方向に間隔をあけて配され前記第二軸受を前記軸方向の一方側から支持して前記第二支持部との間に挟む第四支持部と、前記軸方向に延びて前記第三支持部及び前記第四支持部を一体に接続する第二接続部と、を備える回転体保持機構と、外筒、前記外筒の内側に配されて前記外筒に対して相対的に回転可能とされたキャリア、及び、前記回転体の回転に伴って回転する入力軸を有し、前記入力軸の回転に基づいて前記入力軸の回転速度よりも遅い速度で前記外筒及び前記キャリアを相対的に回転させる減速機構と、を備える
【0023】
このように構成することで、回転体を保持する二つの軸受(第一軸受及び第二軸受)が回転体の軸方向に配列される場合と比較して、回転体の軸方向における回転体保持機構の寸法(厚さ寸法)を小さく抑えることができる。これにより、減速機の薄型化を図ることができる。
また、このように構成することで、第一軸受及び第二軸受によって回転体を安定に回転可能に保持できる。
また、このように構成することで、確実に第一軸受及び第二軸受に互いに逆向きの予圧をかけることができる。
【発明の効果】
【0024】
上述の回転体保持機構及び減速機では、これらの厚さ寸法を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る減速機を示す断面図である。
図2図1の減速機の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1~2を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る減速機1は、入力された回転数よりも低い回転数を出力する減速機構2と、減速機構2に回転を伝達するための回転体31を回転可能に保持する回転体保持機構3と、を備える。
【0027】
減速機構2は、外筒21と、外筒21の内側に配されるキャリア22と、回転体31の回転に伴って回転する入力軸23と、を有する。
外筒21は、軸線C1を中心とする円筒状に形成されている。キャリア22は、外筒21に対して軸線C1を中心に相対的に回転可能となっている。具体的に、外筒21とキャリア22との相対的な回転は、外筒21の内周とキャリア22の外周との間に設けられた軸受B1によって許容されている。入力軸23は、外筒21の軸線C1に平行する方向を軸として、キャリア22に対して回転可能に取り付けられている。減速機構2は、入力軸23の回転に基づいて入力軸23の回転速度よりも遅い速度で外筒21及びキャリア22を相対的に回転させる。減速機構2は、例えば偏心揺動型の減速機構2であってよい。
【0028】
入力軸23には、後述する回転体31の第二歯車部31kに噛み合う入力歯車24が設けられている。入力歯車24は、例えばかさ歯車などであってよいが、本実施形態では平歯車である。
本実施形態の減速機1は、上記したキャリア22の中央部を貫通する中空筒25をさらに備える。中空筒25の軸線は、図示例のように外筒21(キャリア22)の軸線C1と一致してよいが、例えば軸線C1に対してずれて位置したり傾斜したりしてもよい。中空筒25は例えばキャリア22に固定されてよい。
【0029】
回転体保持機構3は、軸線C2を中心に回転可能な回転体31と、回転体31を回転可能に保持する第一軸受32及び第二軸受33と、を備える。本実施形態の回転体保持機構3は、第一、第二軸受32,33を介して回転体31を回転可能に支持する固定部材34をさらに備える。
【0030】
図1,2に示すように、回転体31は、第一軸受32を回転体31の軸方向から支持する第一支持部31a、第二軸受33を回転体31の軸方向から支持する第二支持部31b、及び、第一支持部31a及び第二支持部31bを一体に接続する第一接続部31cを有する。
第一、第二支持部31a,31bは、例えば第一、第二軸受32,33を軸方向において同じ側から支持してよい。本実施形態において、第一、第二支持部31a,31bは、第一、第二軸受32,33を軸方向において互いに反対側から支持する。すなわち、第一支持部31aは、第一軸受32を回転体31の軸方向の一方側(図1,2において上側)から支持する。第二支持部31bは、第一支持部31aに対して回転体31の軸方向及び径方向内側に間隔をあけて配され、第二軸受33を回転体31の軸方向の他方側(図1,2において下側)から支持する。第一接続部31cは、回転体31の軸方向に延びて第一支持部31a及び第二支持部31bを一体に接続する。
以下の説明では、第一支持部31aを第一軸方向支持部31a、第二支持部31bを第二軸方向支持部31bと呼ぶことがある。
【0031】
また、回転体31は、第一軸受32を回転体31の径方向から支持する第一径方向支持部31d、及び、第二軸受33を回転体31の径方向から支持する第二径方向支持部31eをさらに有する。第一径方向支持部31dは、回転体31の径方向において第一軸受32を内側から支持する。第二径方向支持部31eは、回転体31の径方向において第二軸受33を内側から支持する。
【0032】
具体的に、本実施形態の回転体31は、筒状に形成された軸部31fと、軸部31fの外周から径方向に一体に張り出す鍔部31gと、軸部31fの外周に取り付けられた止め輪31h(スナップリング)と、を有する。鍔部31gは、円環の板状に形成されている。止め輪31hは、鍔部31gに対して軸部31fの軸方向に間隔をあけた位置に配される。軸部31fの外周から径方向に突出する止め輪31hの突出長さは、鍔部31gの突出長さよりも小さい。
また、本実施形態の回転体31は、鍔部31gのうち軸方向において止め輪31h側に向く面から突出する円環突起31iをさらに有する。円環突起31iは、軸部31fに対して径方向外側に間隔をあけて位置する。また、円環突起31iは、径方向に突出する止め輪31hの先端よりも径方向外側に間隔をあけて位置する。
【0033】
鍔部31gは、前述した第一軸方向支持部31aを構成する。止め輪31hは、前述した第二軸方向支持部31bを構成する。円環突起31iは、前述した第一径方向支持部31dを構成する。軸部31fは、前述した第一接続部31c及び第二径方向支持部31eを構成する。第一接続部31c及び第二径方向支持部31eは、軸部31fの同一の部位によって構成されている。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の回転体31は、鍔部31gの径方向外側の先端部に設けられた第一歯車部31jと、軸部31fの外周に設けられた第二歯車部31kと、を有する。
第一歯車部31jは、回転体31を回転させるための動力を回転体31に伝達する回転体31の部位である。第一歯車部31jは、例えば平歯車などであってよいが、本実施形態ではかさ歯車(ベベルギヤ)である。
【0035】
第二歯車部31kは、減速機構2の入力歯車24に噛み合い、回転体31の回転を減速機構2の入力軸23に伝達する回転体31の部位である。第二歯車部31kは、例えばかさ歯車などであってよいが、本実施形態では平歯車である。第二歯車部31kは、軸部31fの軸方向において止め輪31h(第二軸方向支持部31b)との間に鍔部31g(第一軸方向支持部31a)が位置する軸部31fの部位に設けられている。
【0036】
上記した回転体31の軸線C2は、例えば前述した外筒21(キャリア22)の軸線C1に対してずれて位置したり、傾斜したりしてよい。本実施形態において、回転体31の軸線C2は、外筒21(キャリア22)の軸線C1に対して平行し一致する。また、図示例においては、前述した中空筒25の一部が非接触で回転体31の軸部31fに挿入されているが、これに限ることはない。
【0037】
第一軸受32及び第二軸受33は、それぞれ回転体31の軸線C2を中心とした円環状に形成されている。第一軸受32と第二軸受33とは、回転体31の径方向に互いに間隔をあけて配列されている。本実施形態では、第二軸受33が第一軸受32の径方向内側に間隔をあけて配される。すなわち、第一軸受32と第二軸受33とは、回転体31の径方向から見て互いに重なり合う(オーバーラップする)ように配されている。言い換えれば、第二軸受33は第一軸受32と回転体31の軸方向で重なる位置に配置される。本実施形態では、第一軸受32と第二軸受33とは、回転体31の径方向から見てその一部が重なり合うように配されている。すなわち、第一軸受32と第二軸受33とは、互いに回転体31の軸方向に若干ずれて位置している。
【0038】
本実施形態の第一、第二軸受32,33は、それぞれアンギュラ玉軸受である。図1,2に示すように第一、第二軸受32,33は、それぞれ内輪32a,33aと転動体(玉)32b,33bとの接触点、及び、外輪32c,33cと転動体(玉)32b,33bとの接触点を結ぶ直線(以下、作用線32f,33fと呼ぶ)が接触角をもち、回転体31に作用する径方向の荷重と軸方向の荷重とを受け止める。以下の説明では、第一軸受32の作用線32fを第一作用線32fと呼び、第二軸受33の作用線33fを第二作用線33fと呼ぶ。第一、第二作用線32f,33fはいずれも回転体31の軸線C2に対して傾斜する。
【0039】
図1に示すように、第二作用線33fは、第一軸受32よりも回転体31の径方向内側かつ第二軸受33よりも回転体31の径方向外側で第一作用線32fと交差する。言い換えれば、第一軸受32よりも回転体31の径方向内側に位置する第一作用線32fと第二軸受33よりも回転体31の径方向外側に位置する第二作用線33fとが交差する。すなわち、第一作用線32fと第二作用線33fとの交点Pは、第一軸受32よりも回転体31の径方向内側かつ第二軸受33よりも回転体31の径方向外側に位置する。言い換えれば、第一軸受32よりも径方向内側に位置する第二軸受33は、第一作用線32fと第二作用線33fとの交点Pよりもさらに回転体31の径方向内側に位置する。また、第一軸受32の第一作用線32fと第二軸受33の第二作用線33fとの交差位置(交点P)が第一軸受32よりも径方向内側に位置する。これにより、回転体31の軸方向における第一、第二軸受32,33の相互の位置ずれを小さく抑えることができる。
【0040】
第一、第二作用線32f,33fは、例えば回転体31の軸線C2に対して互いに同じ向きに傾斜してもよいが、本実施形態では回転体31の軸線C2に対して互いに逆向きに傾斜する。このため、第一、第二作用線32f,33fが同じ向きに傾斜する場合と比較して、第一、第二軸受32,33の相互の位置ずれをさらに小さく抑えることができる、あるいは、当該位置ずれを無くすことができる。
【0041】
図2に示すように、第一軸受32の内輪32aは、回転体31の第一軸方向支持部31a(鍔部31g)によって回転体31の軸方向の一方側(図1,2において上側)から支持され、第一径方向支持部31d(円環突起31i)によって回転体31の径方向内側から支持される。一方、第二軸受33の内輪33aは、回転体31の第二軸方向支持部31b(止め輪31h)によって回転体31の軸方向の他方側(図1,2において下側)から支持され、第二径方向支持部31e(軸部31f)によって回転体31の径方向内側から支持される。図示例では、第二軸受33の内輪33aと第二軸方向支持部31bとの間にスペーサ33mが設けられているが、これに限ることはない。
【0042】
図1,2に示すように、固定部材34は、回転体31の軸方向において回転体31との間に第一軸受32及び第二軸受33をそれぞれ挟んで回転体31を回転可能に支持する。
本実施形態の固定部材34は、第一軸受32を回転体31の軸方向の他方側(図1,2において下側)から支持して第一軸方向支持部31aとの間に挟む第三軸方向支持部(第三支持部)34aを有する。また、固定部材34は、第二軸受33を回転体31の軸方向の一方側(図1,2において上側)から支持して第二軸方向支持部31bとの間に挟む第四軸方向支持部(第四支持部)34bを有する。第四軸方向支持部34bは、第三軸方向支持部34aに対して回転体31の軸方向及び径方向内側に間隔をあけて配される。さらに、固定部材34は、回転体31の軸方向に延びて第三軸方向支持部34a及び第四軸方向支持部34bを一体に接続する第二接続部34cを有する。これにより、軸方向において第一軸受32を挟む回転体31及び固定部材34の部位(第一、第三軸方向支持部31a,34a)の配列が、軸方向において第二軸受33を挟む回転体31及び固定部材34の部位(第二、第四軸方向支持部31b,34b)の配列と逆向きとなる。
【0043】
また、固定部材34は、回転体31の径方向において回転体31との間に第一軸受32及び第二軸受33を挟んで回転体31を回転可能に支持する。
本実施形態の固定部材34は、第一径方向支持部31dとの間に第一軸受32を回転体31の径方向から挟む第三径方向支持部34dを有する。さらに、固定部材34は、第二径方向支持部31eとの間に第二軸受33を回転体31の径方向から挟む第四径方向支持部34eを有する。第三、第四径方向支持部34d,34eは、それぞれ第一、第二軸受32,33を回転体31の径方向外側から支持する。このため、径方向において第一軸受32を挟む回転体31及び固定部材34の部位(第一、第三径方向支持部31d,34d)の配列は、径方向において第二軸受33を挟む回転体31及び固定部材34の部位(第二、第四径方向支持部31e,34e)の配列と同じ向きとなる。
【0044】
具体的に、固定部材34の第三軸方向支持部34aは、回転体31の軸方向を厚さ方向とする平面視円環の板状に形成され、回転体31の軸方向において第一軸方向支持部31a(鍔部31g)及び第一径方向支持部31d(円環突起31i)に対向する。
第三径方向支持部34dは、第一径方向支持部31dよりも径方向外側に位置する第三軸方向支持部34aの外縁から第一軸方向支持部31aに向けて回転体31の軸方向に延びる。第三径方向支持部34dの延長方向の先端は、第一軸方向支持部31a(鍔部31g)に接触しない。
【0045】
第四径方向支持部34eは、第一径方向支持部31dよりも径方向内側に位置する第三軸方向支持部34aの内縁から第一軸方向支持部31aに向けて回転体31の軸方向に延びる。第四径方向支持部34eは、第一径方向支持部31dよりも径方向内側に位置し、第一径方向支持部31dに接触しない。
第四軸方向支持部34bは、第四径方向支持部34eの延長方向の先端から径方向内側に延び、回転体31の軸方向において第二軸方向支持部31b(止め輪31h)に対向する。これにより、軸方向において固定部材34の第四軸方向支持部34bから回転体31の第二軸方向支持部31bに向かう方向(図1,2において下方向)が、固定部材34の第三軸方向支持部34aから回転体31の第一軸方向支持部31aに向かう方向(図1,2において上方向)と逆向きになる。
【0046】
固定部材34は、その各部が回転体31の各部に対して上記した位置関係に保持されるように、台座41によって支持される。台座41は、回転体31の鍔部31gとの間に固定部材34を挟む位置に配される。本実施形態の台座41は、上記した減速機構2や回転体保持機構3などを収容するケース4の一部を構成する。
【0047】
図1に示すように、本実施形態の減速機1は、電動モータ等の回転駆動源(不図示)の回転を回転体保持機構3の回転体31及び減速機構2の入力軸23(以下、第二入力軸23とも呼ぶ。)に順番に伝えるための、第一入力軸5及び第一伝動歯車6をさらに備える。
第一入力軸5は、軸受B2を介してケース4に対して回転可能に支持される。第一入力軸5の軸線C3は、例えば回転体31の軸線C2に平行してもよいが、本実施形態では交差する。具体的に、第一入力軸5の軸線C3は回転体31の軸線C2に直交する。第一入力軸5には回転駆動源が連結される。
第一伝動歯車6は、第一入力軸5に設けられ、第一入力軸5と共に回転する。第一伝動歯車6は、回転体31の第一歯車部31jに噛み合う。本実施形態における第一伝動歯車6は、かさ歯車である。ただし、第一入力軸5の軸線C3が回転体31の軸線C2に平行する場合、第一伝動歯車6は例えば平歯車などであってよい。すなわち、第一伝動歯車6の態様は第一入力軸5の軸線C3と回転体31の軸線C2との関係に応じて適宜選択されてよい。
【0048】
以上のように構成される本実施形態の減速機1では、第一入力軸5及び第一伝動歯車6の回転に応じて第二伝動歯車としての回転体31が回転する。また、回転体31の回転に応じて減速機構2の第二入力軸23が回転する。これにより、減速機構2の外筒21とキャリア22とが、第二入力軸23の回転速度よりも遅い速度で相対的に回転する。
【0049】
このように、上述の回転体保持機構3及び減速機1では、回転体31を回転可能に保持する第一軸受32及び第二軸受33が、回転体31の径方向に互いに間隔をあけて配列される。言い換えれば、第二軸受33が、第一軸受32と回転体31の軸方向で重なる位置に配される。このため、第一、第二軸受32,33が回転体31の軸方向に配列される場合と比較して、回転体31の軸方向における回転体保持機構3及びこれを含む減速機1の寸法(厚さ寸法)を小さく抑えることができる。すなわち、減速機1の薄型化を図ることができる。
【0050】
また、上述の回転体保持機構3及び減速機1では、第一軸受32の第一作用線32fと第二軸受33の第二作用線33fとが、第一軸受32よりも回転体31の径方向内側かつ第二軸受33よりも回転体31の径方向外側で交差する。このため、回転体31の軸方向における第一、第二軸受32,33の相互の位置ずれを小さく抑える又は無くすことができる。したがって、回転体31の軸方向における回転体保持機構3及びこれを含む減速機1の厚さ寸法を小さく抑えることができる。
【0051】
また、上述の回転体保持機構3及び減速機1は、第一、第二軸受32,33を回転体31との間に挟んで回転体31を回転可能に支持する固定部材34を備える。これにより、第一、第二軸受32,33によって回転体31を安定に回転可能に保持できる。
また、軸方向において第一軸受32を挟む回転体31及び固定部材34の部位(第一、第三軸方向支持部31a,34a)の配列が、軸方向において第二軸受33を挟む回転体31及び固定部材34の部位(第二、第四軸方向支持部31b,34b)の配列と逆向きである。このため、軸方向において第一軸受32及び第二軸受33に互いに逆向きの予圧をかけることができる。これにより、回転体31を軸方向において高い精度で位置決めすることができる。特に本実施形態では、第一伝動歯車6に対する回転体31(第一歯車部31j)の位置を高い精度で位置決めすることができる。
【0052】
また、回転体31は、第一軸受32を回転体31の軸方向の一方側から支持する第一軸方向支持部31aを有する。また、回転体31は、第一軸方向支持部31aに対して回転体31の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され第二軸受33を回転体31の軸方向の他方側から支持する第二軸方向支持部31bを有する。そして、第一軸方向支持部31a及び第二軸方向支持部31bは第一接続部31cによって一体に接続されている。一方、固定部材34は、第一軸受32を回転体31の軸方向の他方側から支持して第一軸方向支持部31aとの間に挟む第三軸方向支持部34aを有する。また、固定部材34は、第三軸方向支持部34aに対して回転体31の軸方向及び径方向に間隔をあけて配され第二軸受33を回転体31の軸方向の一方側から支持して第二軸方向支持部31bとの間に挟む第四軸方向支持部34bを有する。そして、第三軸方向支持部34a及び第四軸方向支持部34bは、第二接続部34cによって一体に接続されている。これにより、確実に第一軸受32及び第二軸受33に互いに逆向きの予圧を掛けることができる。
【0053】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0054】
本発明の減速機において、減速機構2の入力軸23(第二入力軸23)は、例えば回転体31と一体であってもよい。
【0055】
本発明の回転体保持機構において、第一軸受32及び第二軸受33は、例えば回転体31の軸線C2に直交する同一平面上に位置してもよい。例えば、第一、第二軸受32,33の転動体の中心が軸線C2に直交する同一平面上に位置してもよい。言い換えれば、回転体31の軸方向における第一軸受32及び第二軸受33の位置が、互いに一致してもよい。
【0056】
本発明の回転体保持機構において、第一軸受32や第二軸受33は、アンギュラ玉軸受に限ることはなく、例えばアンギュラころ軸受や円錐ころ軸受、深溝玉軸受などであってもよい。
【0057】
本発明の回転体保持機構において、第一軸受32を挟む回転体31及び固定部材34の部位の配列と、第二軸受33を挟む回転体31及び固定部材34の部位とは、例えば互いに同じ向きに配列されてもよい。
【0058】
本発明の回転体保持機構において、回転体31を回転可能に保持する軸受の数は、例えば三つ以上であってもよい。複数の軸受は、回転体31の径方向において互いに間隔をあけて配列されればよい。
【0059】
本発明に係る回転体保持機構は、減速機1に適用されることに限らず、任意の機械や装置に適用されてよい。
【符号の説明】
【0060】
1…減速機、2…減速機構、3…回転体保持機構、21…外筒、22…キャリア、23…第二入力軸(入力軸)、31…回転体、31a…第一軸方向支持部(第一支持部)、31b…第二軸方向支持部(第二支持部)、31c…第一接続部、31d…第一径方向支持部、31e…第二径方向支持部、32…第一軸受、32f…第一作用線、33…第二軸受、33f…第二作用線、34…固定部材、34a…第三軸方向支持部(第三支持部)、34b…第四軸方向支持部(第四支持部)、34c…第二接続部、34d…第三径方向支持部、34e…第四径方向支持部、C2…回転体31の軸線
図1
図2