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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】段差解消用スロープ装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/00 20060101AFI20240207BHJP
   E04G 27/00 20060101ALI20240207BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
E04F11/00 100
E04G27/00
E04F15/00 S
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019175205
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021050574
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】市川 令子
(72)【発明者】
【氏名】秋田 晴貴
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3192248(JP,U)
【文献】特開2004-270239(JP,A)
【文献】特開2013-028943(JP,A)
【文献】特開2004-060208(JP,A)
【文献】特開2019-124027(JP,A)
【文献】特開2005-207145(JP,A)
【文献】実開平6-47505(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
E04G 27/00
E04F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路における下段面と上段面の段差を解消するスロープ装置であり、
下段面に設置される固定体(1)と、該固定体に回動自在に枢結されることにより上向き回動したとき上段面に向けてスロープを形成する可動板(3)と、前記可動板と固定体を相互に伸縮自在に連結する連結機構(4)により構成され、
前記連結機構(4)は、可動板と固定体にそれぞれ枢結されることにより可動板を回動したとき相互に伸縮方向に移動する外装部材(12a)から成る第1移動部材(12)と前記外装部材(12a)に摺動自在に挿入されたロッド部材(13a)から成る第2移動部材(13)を備えた伸縮装置と、第1移動部材と第2移動部材の間に設けられたワンウエイ制御装置(14)により構成されており、
前記ワンウエイ制御装置(14)は、伸長方向に関して外装部材(12a)とロッド部材(13a)の相互移動を許すが、収縮方向に関して外装部材(12a)とロッド部材(13a)の相互移動を不能とするように係脱自在に係止するロック手段(23)を設けると共に、前記ロック手段(23)の係止を解除させるロック解除手段(24)を設けており
前記ロック手段(23)は、前記ロッド部材(13a)の外周面に軸線と直交する方向に周設されると共に前記伸縮方向に交互に配置された凹溝(26)と凸条(27)から成る凹凸手段(25)と、前記外装部材(12a)に設けられると共に前記ロッド部材(13a)を移動自在に挿通する係止孔(28a)を備えた板部材から成るロック部材(28)により構成され、
前記ロック部材(28)を構成する板部材は、伸縮移動方向に移動不能となるように外装部材に固定された固定片(28b)を中心として、前記ロッド部材(13a)の軸線に対して斜交姿勢(P1)と直交姿勢(P2)の間で姿勢を変更するように揺動自在とされ、常時はスプリング(30)により付勢された状態で斜交姿勢(P1)を保持し、前記固定片(28b)の反対側に設けたロック解除手段(24)を構成する操作手段(24a)によりスプリング(30)に抗して押動したとき直交姿勢(P2)とされるように構成され、
前記ロック部材(28)の係止孔(28a)は、前記固定片(28b)と操作手段(24a)を結ぶ方向の直径d1とこれに直交する方向の直径d2がd1>d2となるように形成されており、
前記板部材から成るロック部材(28)を複数枚重ねた状態でロッド部材(13a)に外挿することにより、斜交姿勢(P1)とされた複数のロック部材(28,28)の係止孔(28a)の縁部により断面L形の連続面を形成し、該縁部により前記凹凸手段(25)に係止する歯手段(29)を構成して成ることを特徴とする段差解消用スロープ装置。
【請求項2】
前記係止孔(28a)を設けた板部材から成るロック部材(28)を複数枚重ねた状態でロッド部材(13a)に外挿することにより、斜交姿勢(P1)とされた隣り合うロック部材(28,28)の相互において、一方のロック部材の係止孔の内周面(29a)と、他方のロック部材の係止孔の周囲面(29b)により、断面L形の連続面を形成すると共に、前記内周面(29a)により前記歯手段(29)を構成しており、
前記ロッド部材(13a)の凹凸手段(25)は、前記歯手段(29)を構成する係止孔(28a)の内周面(29a)に面接触状態で当接する緩傾斜面(25a)と、前記係止孔(28a)の周囲面(29b)に当接自在な急傾斜面(25b)を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の段差解消用スロープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の通路における下段面と上段面の段差を解消するためのスロープ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通路における下段面と上段面の段差を解消するため、下段面に設置される固定体と、該固定体に回動自在に枢結されることにより上向き回動したとき上段面に向けてスロープを形成する可動板と、前記可動板と固定体を相互に連結する連結機構により構成されたスロープ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3154296号公報
【文献】特開2005-207145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスロープ装置の多くは、可動板と固定体の間に設けた連結機構がネジ手段により構成されている。
【0005】
特許文献1の場合、ネジ手段は、ボルト部材によるジャッキアップ装置が構成されており、ボルト部材に螺合されたナット部材の軸方向移動を介して可動板を上下動させるように構成されている。
【0006】
特許文献2の場合、ネジ手段は、ターンバックル装置により構成されており、雌ネジ部材を回転してターンバックル装置を伸縮することにより可動板を上下動させるように構成されている。
【0007】
しかしながら、このようなネジ手段は、ボルト部材や雌ネジ部材を手作業で回転することにより可動板を上下動させる構成であり、このような回転のための作業を固定体と可動板の間の狭小なスペースの中で行わなければならないので、作業が煩雑である。
【0008】
しかも、回転作業を要するネジ手段の場合、可動板を迅速に所望の上昇位置と下降位置まで移動させることができないため、幅広の通路における段差個所に複数個のスロープ装置を並設するような場合、作業時間が長時間となる問題がある。
【0009】
本発明は、可動板の上動及び下動を簡単かつ迅速に行うことができ、しかも、上動させた使用時において可動板が受ける荷重を好適に支持することができる段差解消用スロープ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明のスロープ装置が手段として構成したところは、通路における下段面と上段面の段差を解消するスロープ装置であり、下段面に設置される固定体と、該固定体に回動自在に枢結されることにより上向き回動したとき上段面に向けてスロープを形成する可動板と、前記可動板と固定体を相互に伸縮自在に連結する連結機構により構成され、前記連結機構は、可動板と固定体にそれぞれ枢結されることにより可動板を回動したとき相互に伸縮方向に移動する外装部材から成る第1移動部材と前記外装部材に摺動自在に挿入されたロッド部材から成る第2移動部材を備えた伸縮装置と、第1移動部材と第2移動部材の間に設けられたワンウエイ制御装置により構成されており、前記ワンウエイ制御装置は、伸長方向に関して外装部材とロッド部材の相互移動を許すが、収縮方向に関して外装部材とロッド部材の相互移動を不能とするように係脱自在に係止するロック手段を設けると共に、前記ロック手段の係止を解除させるロック解除手段を設けており、前記ロック手段は、前記ロッド部材の外周面に軸線と直交する方向に周設されると共に前記伸縮方向に交互に配置された凹溝と凸条から成る凹凸手段と、前記外装部材に設けられると共に前記ロッド部材を移動自在に挿通する係止孔を備えた板部材から成るロック部材により構成され、前記ロック部材を構成する板部材は、伸縮移動方向に移動不能となるように外装部材に固定された固定片を中心として、前記ロッド部材の軸線に対して斜交姿勢と直交姿勢の間で姿勢を変更するように揺動自在とされ、常時はスプリングにより付勢された状態で斜交姿勢を保持し、前記固定片の反対側に設けたロック解除手段を構成する操作手段によりスプリングに抗して押動したとき直交姿勢とされるように構成され、前記ロック部材(28)の係止孔(28a)は、前記固定片(28b)と操作手段(24a)を結ぶ方向の直径d1とこれに直交する方向の直径d2がd1>d2となるように形成されており、前記板部材から成るロック部材を複数枚重ねた状態でロッド部材に外挿することにより、斜交姿勢とされた複数のロック部材の係止孔の縁部により断面L形の連続面を形成し、該縁部により前記凹凸手段に係止する歯手段を構成して成る点にある。
【0011】
本発明の実施形態において、前記ロック手段は、前記係止孔を設けた板部材から成るロック部材を複数枚重ねた状態でロッド部材に外挿することにより、斜交姿勢とされた隣り合うロック部材の相互において、一方のロック部材の係止孔の内周面と、他方のロック部材の係止孔の周囲面により、断面L形の連続面を形成すると共に、前記内周面により前記歯手段を構成しており、その際、前記ロッド部材の凹凸手段は、前記歯手段を構成する係止孔の内周面に面接触状態で当接する緩傾斜面と、前記係止孔の周囲面に当接自在な急傾斜面を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、可動板の上動及び下動を簡単かつ迅速に行うことができ、しかも、上動させた使用時において可動板が受ける荷重を好適に支持することができる段差解消用スロープ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の1実施形態に係るスロープ装置を示す斜視図である。
図2】本発明の1実施形態に係るスロープ装置の側面を示しており、(A)は不使用時におけるスロープ装置の全体を示す側面図、(B)は使用に際して可動板の掛止め具を外した状態を部分的に拡大して示す側面図である。
図3】使用時におけるスロープ装置の側面を示しており、(A)は低段差を解消した状態を示す側面図、(B)は高段差を解消した状態を示す側面図である。
図4】連結機構の第1実施形態に関して、伸縮装置とワンウエイ制御装置を分解状態で示す斜視図である。
図5】連結機構の第1実施形態に関して、(A)はワンウエイ制御装置の断面図、(B)は伸縮装置の収縮状態を示す側面図、(C)は伸縮装置を伸長させるときの状態を示す側面図、(D)はロック手段のロック状態を示す断面図である。
図6】連結機構の第1実施形態に関して、(A)は伸縮装置の伸長状態を示す側面図、(B)は伸縮装置を収縮させるときの状態を示す側面図、(C)はロック手段のロック解除状態を示す側面図である。
図7】連結機構の第2実施形態を示しており、(A)はロック手段のロック状態を示す断面図、(B)は歯手段と凹凸手段の拡大断面図、(C)はロック手段のロック解除状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0017】
(全体構成)
図1ないし図3に示すように、スロープ装置は、通路における下段面Lと上段面Hの段差を解消するために使用されるものであり、下段面Lに設置される固定体1と、該固定体1に枢軸2を介して回動自在に枢結されることにより上向き回動したとき上段面Hに向けてスロープを形成する可動板3と、前記可動板3と固定体1を相互に伸縮自在に連結する連結機構4により構成されている。
【0018】
図示実施形態の場合、固定体1は、基端部にスロープの導入面となるガイド傾斜面を有する座板1aを設け、該座板1aの両側から一対のフレーム1b、1bを延設し、両フレームの間に設けられた底板(図示せず)の先端部(上段面Hに臨む部位)に位置して受金具5を固設している。
【0019】
可動板3は、先端部に敷板6を延設しており、上動することにより段差を解消するスロープを形成したとき、敷板6を上段面Hに載置するように構成されている。図2に示すように、不使用時において、可動板3は、下動することにより最下位の位置に下降され、図示実施例の場合、先端部の下面を受金具5に当接させることにより、固定体1とほぼ平行となる位置に下降され、この位置で可動板3と固定体1を相互に掛止め具7により係脱自在に係止することができる。この状態で、スロープ装置は扁平な盤状とされ、複数個のスロープ装置をコンパクトに積層することにより保管・運搬を可能とする
【0020】
掛止め具7は、可動板3の側部下面に固設された支持金具8に一端部を回動自在かつ摺動自在に挿着された門形の金属杆から成り、他端部を固定体1のフレーム1bに設けた係止孔9に挿入することにより、可動板3を固定体1に掛け止め係止する。スロープ装置の使用に際して、可動板3を上動させるときは、図2(B)に示すように、掛止め具7は、他端部を係止孔9から脱出させて回動し、該他端部を支持金具8の保持孔10に挿入させた状態で保持される。
【0021】
これにより、可動板3は、枢軸2の廻りに回動自在とされ、上動することにより、図3に示すように、所望の傾斜姿勢とされ、段差を解消したスロープを形成する。この際、可動板3の両側には、引出し自在かつ格納自在なハンドル11が設けられており、ユーザがハンドル11を握持して持ち上げるだけで、可動板3を上動することができるように構成されている。
【0022】
前記連結機構4は、可動板3と固定体1にそれぞれ枢結されることにより可動板3を回動したとき相互に伸縮方向に移動する第1移動部材12と第2移動部材13から成る伸縮装置と、第1移動部材12と第2移動部材13の間に設けられたワンウエイ制御装置15により構成されている。
【0023】
図4に示すように、第1移動部材12と第2移動部材13は、相互に摺動自在に嵌挿される外装部材12aとロッド部材13aにより構成されている。図示実施形態の場合、可動板3の支持金具8に第1移動部材12の基端部が回動自在に枢着され、固定体1の受金具5に第2移動部材13の基端部が回動自在に枢着されている。しかしながら、その配置を反対とすることも可能であり、第1移動部材12を固定体1の受金具5に枢着し、第2移動部材13を可動板3の支持金具8に枢着しても良い。
【0024】
(伸縮装置及びワンウエイ制御装置の第1実施形態)
図4ないし図6は、伸縮装置及びワンウエイ制御装置15の第1実施形態を示している。
【0025】
前記伸縮装置の第1移動部材12を構成する外装部材12aは、前記支持金具8に枢軸15を介して枢着される角筒部16の両側にガイドスロット17を形成し、先端部に幅広状の皿部18を設け、該皿部18の正面壁に前記ロッド部材13bを角筒部16に案内して挿入させる挿入孔19を設けると共に、皿部18の底壁に固定用孔20を開設している。
【0026】
前記第2移動部材13を構成するロッド部材13aは、前記受金具5に枢軸21を介して枢着されるロッドから成り、前記挿入孔19を介して角筒部16に摺動自在に挿入され、先端部に挿通されたガイドピン22を前記ガイドスロット17に摺動自在に内嵌させられる。
【0027】
これによりロッド部材13aと外装部材12aが相互に伸縮移動自在に組み合わされ、このような構成とされた伸縮装置により、可動板3と固定体1が相互に連結される。従って、伸縮装置は、可動板3を上動したとき伸長され、下動したとき収縮される。
【0028】
前記ワンウエイ制御装置15は、伸長方向に関して第1移動部材12と第2移動部材13の相互移動を許すが、収縮方向に関して第1移動部材12と第2移動部材13の相互移動を不能とするように係脱自在に係止するロック手段23と、該ロック手段23の係止を解除させるロック解除手段24を設けている。
【0029】
このため、上述のようにハンドル11を握持して可動板3を引き上げるときは、ロック手段23が働かないので、第1移動部材12と第2移動部材13を伸長させながら可動板3の上動を可能とする。従って、可動板3は、所望の傾斜角度となる位置まで一挙に上動させることができる。
【0030】
しかしながら、可動板3を上動した位置から下動させようとすると、ロック手段23が働き、第1移動部材12と第2移動部材13を収縮不能な状態にロックすることにより、可動板3を下動不能に支持する。従って、スロープ装置の使用時、つまり、可動板3を上動させ、図3に示すような段差解消のためのスロープを形成した状態において、往来する作業者や車両から可動板3が受ける荷重は、収縮不能にロックされた伸縮装置により堅固に支持される。
【0031】
第1実施形態において、ワンウエイ制御装置15のロック手段23は、ロッド部材13aの外周面に形成されると共に伸縮移動方向に交互に配置された凹溝26と凸条27から成る多数の凹凸手段25と、該凹凸手段25に係脱自在に係止する歯手段29を備えたロック部材28と、前記歯手段29を凹凸手段25に係止させる方向にロック部材28を弾発付勢するスプリング30により構成されており、前記ロック解除手段24は、歯手段29を凹凸手段25から離脱させる方向にロック部材28をスプリング30に抗して移動させる摘み片から成る操作手段24aにより構成されている。
この際、前記凹凸手段25を構成する凹溝26及び凸条27は、螺旋状に延びるものではなく、図示のように、ロッド部材13aの外周面に対して、該ロッド部材の軸線と直交する周方向に周設されている。
【0032】
図示実施形態の場合、前記ロック部材28は、外装部材12aの皿部18に内装されると共に、前記ロッド部材13aを移動自在に挿通する係止孔28aを備えた板部材により構成されており、該板部材から成るロック部材28を複数枚重ねた状態でロッド部材13aに外挿されている。そして、伸縮移動方向に移動不能となるように皿部18の固定用孔20に固定された固定片28bを中心として、前記ロッド部材13aの軸線に対して斜交姿勢P1と直交姿勢P2の間で姿勢を変更するように揺動自在とされ、常時はスプリング30により付勢された状態で可動板3に向かう斜交姿勢P1を保持しており、このとき、係止孔28aの縁部により形成された歯手段29が凹凸手段25に係止するように構成されている。従って、図5(D)に示すように、重ねられた複数のロック部材28が斜交姿勢P1とされることにより、複数のロック部材28の係止孔28aの縁部により断面L形の連続面を形成した状態で歯手段29を凹凸手段25に係止させられる。
【0033】
前記ロック解除手段24を構成する操作手段24aは、ロック部材28の前記固定部20の反対側に位置して設けられた摘み片により形成されており、ユーザの指先で操作手段24aを押動することにより、ロック部材28を直交姿勢P2としたとき、前記歯手段29が凹凸手段25から離脱するように構成されている。
【0034】
図5(A)に示すように、ロック部材28の係止孔28aは、固定片28aと操作手段24aを結ぶ方向の直径d1と、これに直交する直径d2をd1>d2とする楕円形ないし長円形に形成されており、これにより、固定片28aを支点としてロック部材28を揺動させ直交姿勢P2としたとき、歯手段29が凹凸手段25から確実に離脱させられるように構成している。
【0035】
(作用)
図5(B)は、可動板3が下降されており、第1移動部材12と第2移動部材13が収縮された状態を示している。この状態から、可動板3を上動方向に持ち上げると、図5(C)に示すように、第1移動部材12と第2移動部材13は、相互に伸長することにより、可動板3の上動を可能にする。両移動部材12、13の相互離反方向の移動は、凹凸手段25が歯手段29を押動し、斜交姿勢P1とされたロック部材28をスプリング30に抗して小刻みに揺動させながら歯手段29を凹凸手段25から退避させることにより実行される。従って、可動板3を所望の位置まで一挙に上動させることができる。
【0036】
図5(D)に示すように、可動板3の上動を停止した状態で、可動板3の下動方向、つまり、第1移動部材12と第2移動部材13を収縮させる方向に関しては、スプリング30により斜交姿勢P1を保持されたロック部材28の歯手段29がロッド部材13aの凹凸手段25に噛合するので、これによりロックが働き、収縮移動を阻止する。このため、可動板3は、下動不能な状態として支持される。
【0037】
可動板3を上動された位置から、下動させるときは、ロック部材28の操作手段24aを指先等で押動することにより、図6(A)に示す斜交姿勢P1とされたロック部材28を図6(B)に示す直交姿勢P2とするように起立移動させれば良く、これにより、図6(C)に示すように、歯手段29が凹凸手段25から離脱するので、第1移動部材12と第2移動部材13を相互に収縮方向に移動させることが可能である。従って、ロック部材28の直交姿勢P2を保持した状態で、可動板3は、所望の位置まで一挙に下動させることができる。
【0038】
(ワンウエイ制御装置の第2実施形態)
図7は、ワンウエイ制御装置15の第2実施形態を示しており、特に、ロック手段23における凹凸手段25と歯手段29について、第1実施形態と相違する構成が採用されている。従って、その他の構成は、第1実施形態について上述したところと同様であるから、上述の説明を援用することにより説明を省略する。
【0039】
ロック部材28は、第1実施形態について図示した構成と同様に、係止孔28aを設けた板部材から成るロック部材28が複数枚重ねられた状態で、皿部18に内装され、固定片28bを固定用孔20に係止固定されており、係止孔28aにロッド部材13aが挿通されている。
【0040】
スプリング30により固定片28bを支点として斜交姿勢P1とされたロック部材28は、図7(B)に示すように、隣り合うロック部材28、28の相互において、一方のロック部材の係止孔28aの内周面29aと、他方のロック部材の係止孔28aの周囲面29bにより、断面L形の連続面を形成し、前記内周面29aにより前記歯手段29を構成している。
【0041】
これに対して、ロッド部材13aの凹凸手段25は、前記歯手段29を構成する係止孔28aの内周面29aに面接触状態で当接する緩傾斜面25aと、前記係止孔28aの周囲面29bに当接自在な急傾斜面25bを備えている。
【0042】
第2実施形態において、第1移動部材12と第2移動部材13の伸長方向の移動、つまり、ロッド部材13aの図示のM1方向の移動は、凹凸手段25の急傾斜面25bが周囲面29bを押動し、斜交姿勢P1とされたロック部材28をスプリング30に抗して小刻みに揺動させながら周囲面29bを急傾斜面25bから退避させることにより行われる。
【0043】
これに対して、第1移動部材12と第2移動部材13の収縮方向の移動、つまり、ロッド部材13aの図示のM2方向の移動は、スプリング30により斜交姿勢P1を保持されたロック部材28の歯手段29(係止孔28aの内周面29a)がロッド部材13aの凹凸手段25の緩傾斜面25aを受け止めるので、これによりロックが働き、収縮方向の移動を阻止する。
【0044】
尚、第1移動部材12と第2移動部材13を収縮方向に移動させるときは、ロック部材28の操作手段24aを指先等で押動することにより、ロック部材28を図7(C)に示すようにスプリング30に抗して起立移動させ直交姿勢P2とすれば良く、これにより、係止孔28aの全周が凹凸手段25から離脱するので、第1移動部材12と第2移動部材13を収縮方向に移動させることができる。
【符号の説明】
【0045】
L 下段面
H 上段面
1 固定体
1a 座板
1b フレーム
2 枢軸
3 可動板
4 連結機構
5 受金具
6 敷板
7 掛止め具
8 支持金具
9 係止孔
10 保持孔
11 ハンドル
12 第1移動部材
12a 外装部材
13 第2移動部材
13a ロッド部材
14 ワンウエイ制御装置
15 枢軸
16 角筒部
17 ガイドスロット
18 皿部
19 挿入孔
20 固定用孔
21 枢軸
22 ガイドピン
23 ロック手段
24 ロック解除手段
24a 操作手段
25 凹凸手段
25a 緩傾斜面
25b 急傾斜面
26 凹溝
27 凸条
28 ロック部材
28a 係止孔
28b 固定片
29 歯手段
29a 内周面
29b 周囲面
30 スプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7