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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】半導体レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02315 20210101AFI20240207BHJP
   H01S 5/02208 20210101ALI20240207BHJP
   H01S 5/02253 20210101ALI20240207BHJP
   H01S 5/0239 20210101ALI20240207BHJP
【FI】
H01S5/02315
H01S5/02208
H01S5/02253
H01S5/0239
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019189535
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021064736
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発/次々世代加工に向けた新規光源・要素技術開発/高効率加工用GaN系高出力・高ビーム品質半導体レーザーの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀雄
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-224494(JP,A)
【文献】特開平09-269439(JP,A)
【文献】特開2014-017451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する光源と、
前記光源が載置される主面、及び、前記主面と背向する背面を有する基台と、
前記基台に支持され、前記光源が出射したレーザ光が透過する光学系と、を備え、
前記基台における前記光学系を支持する支持位置と前記背面との距離は、前記主面と前記背面との距離よりも大きく、
前記基台は、
第1方向側から前記光源を支持し、かつ、前記第1方向とは反対側の第2方向側のみから前記光学系を支持し、
前記支持位置で前記光学系の上面と接触して前記光学系を支持し、
前記光源が出射したレーザ光の出射方向に延在するアーム部を有し、
前記支持位置は、前記アーム部の端部であり、
前記アーム部は、前記主面を平面視した場合に、前記光源に対して前記光源が出射したレーザ光の出射方向と直交した方向に配置されている
半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記アーム部は、前記主面の法線方向に延在し、さらに、前記端部が、前記光源が出射したレーザ光の出射方向に延在し、
前記支持位置は、前記端部の下面である
請求項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記光源は、青色光を発する
請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記光学系は、前記光源が出射したレーザ光の速軸方向をコリメートする速軸コリメータレンズを備える
請求項1~のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記光学系は、前記光源が出射したレーザ光の速軸方向と遅軸方向とを入れ替える90°像回転光学系を有する
請求項1~のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
さらに、前記光源が出射したレーザ光の一部を透過し、且つ、他部を反射することで前記光源との間で当該レーザ光を共振させるハーフミラーを備える
請求項1~のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記光源は、それぞれがレーザ光を出射する複数の増幅部を有する半導体発光素子アレイである
請求項1~のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
さらに、前記複数の増幅部のそれぞれが出射したレーザ光が入射され、入射された前記複数の増幅部のそれぞれが出射したレーザ光が1つの光路を通過するように出射する波長分散素子を備える
請求項に記載の半導体レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を出射する半導体レーザ素子とレーザ光の配光等を制御するレンズ等の光学部材とを備える半導体レーザ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている半導体レーザ装置は、レーザ光を出射する半導体レーザアレイと、集光レンズと、ヒートシンクと、を備える。集光レンズとレンズホルダとは、ヒートシンクに接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-232064号公報
【文献】特開2000-137139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体レーザアレイ等の光源から光を出射させると、当該光源は、発熱する。また、光源、及び、当該光源が載置される基台等は、光源が発した熱により膨張する。これにより、光源から光を出射させると、集光レンズ等の光学系を通過する当該光の位置は、所望の位置からずれる。そのため、光源から出射させる光量に応じて、言い換えると、光源から光を出射させるために当該光源に投入する電力量に応じて、半導体レーザ装置から出射される光(例えば、レーザ光)の光軸が所望の位置からずれる問題がある。
【0006】
本開示は、出射するレーザ光の光軸が所望の位置からずれることが抑制された半導体レーザ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る半導体レーザ装置は、レーザ光を出射する光源と、前記光源が載置される主面、及び、前記主面と背向する背面を有する基台と、前記基台に支持され、前記光源が出射したレーザ光が透過する光学系と、を備え、前記基台における前記光学系を支持する支持位置と前記背面との距離は、前記主面と前記背面との距離よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る半導体レーザ装置によれば、出射するレーザ光の光軸が所望の位置からずれることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る半導体レーザ装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る半導体レーザ装置が備える光源モジュールを示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る半導体レーザ装置が備える光源モジュールを示す分解斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る半導体レーザ装置が備える光源モジュールを示す分解斜視図である。
図5図5は、図3のV-V線における、実施の形態に係る半導体レーザ装置が備える光源モジュールの一部を拡大して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本開示は、特許請求の範囲だけによって限定される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、実質的に同一の構成に対する重複説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0012】
また、以下の実施の形態において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではない。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0013】
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、Z軸方向を鉛直方向とし、Z軸に垂直な方向(XY平面に平行な方向)を水平方向としている。また、以下で説明する実施の形態において、Z軸正方向を上方と記載し、Z軸負方向を下方と記載する場合がある。また、以下で説明する実施の形態において、光源は、Y軸正方向に向けて光を出射するとして説明する。以下で説明する実施の形態において、Y軸正方向側を光出射側と記載する場合がある。
【0014】
また、以下で説明する実施の形態において、「上面視」とは、光源が載置される基台の主面の法線方向から当該面側を見たときのことをいう。
【0015】
(実施の形態)
[概要]
図1は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置100の概略構成を示す図である。
【0016】
半導体レーザ装置100は、レーザ光を出射するレーザ装置である。半導体レーザ装置100は、例えば、対象物をレーザ加工する加工機器の光源として利用される。
【0017】
半導体レーザ装置100は、光源モジュール200と、遅軸コリメータレンズ160と、集光レンズ210と、波長分散素子140と、ハーフミラー150と、集光レンズ211と、光ファイバ220と、を備える。
【0018】
光源モジュール200は、光(出射光300)を出射する光源である。本実施の形態では、光源モジュール200は、それぞれが出射光300を出射する複数の増幅部111を有する半導体発光素子アレイである光源110を備える。出射光300は、例えば、レーザ光である。
【0019】
また、光源モジュール200は、光源110が出射した出射光300が透過する光学系130を備える。
【0020】
光学系130から出射された出射光300は、遅軸コリメータレンズ(SAC/Slow Axis Collimator Lens)160によって出射光300の遅軸方向がコリメートされ、集光レンズ210に入射される。
【0021】
集光レンズ210は、入射された出射光300の速軸方向をコリメートする速軸コリメータレンズ(FAC/Fast Axis Collimator Lens)である。集光レンズ210は、入射された出射光300の速軸方向をコリメートして波長分散素子140に入射させる。本実施の形態では、光源110は、Z軸方向を速軸方向とし、X軸方向を遅軸方向とするように、出射光300を出射する。
【0022】
波長分散素子140は、複数の増幅部111のそれぞれが出射した出射光300が入射され、入射された複数の増幅部111のそれぞれが出射した出射光300が1つの光路を通過するように出射する光学素子である。つまり、波長分散素子140は、複数の増幅部111のそれぞれが出射した出射光300を合波する合波器である。波長分散素子140には、例えば、出射光300が入射される表面に回折格子が形成されている。複数の増幅部111のそれぞれから出射された出射光300は、例えば、波長分散素子140の表面に形成された回折格子に入射されることで、1つの光路を通過するように波長分散素子140から出射される。1つの光路を通過するように波長分散素子140から出射された光は、ハーフミラー150に入射される。波長分散素子140は、複数の出射光300を透過して合波する透過型の波長分散素子でもよいし、複数の出射光300を反射して合波する反射型の波長分散素子でもよい。
【0023】
ハーフミラー150は、光源110が出射した出射光300の一部を透過し、且つ、他部を反射することで光源110との間で出射光300を共振させるハーフミラーである。ハーフミラー150で反射された反射光310は、光源110に戻り、さらに、光源110(具体的には、光源110における出射光300の光出射面に背向する面)で反射され、ハーフミラー150に戻る。ハーフミラー150に戻った反射光310は、さらに、一部が反射されて光源110に戻る。これにより、光源110とハーフミラー150との間で光の共振が発生する。これにより、半導体レーザ装置100は、レーザ光320を出射する。このように、半導体レーザ装置100は、光源110とハーフミラー150との間で出射光300を共振させる外部共振器型の半導体レーザ装置である。ハーフミラー150からは、光源110とハーフミラー150とによる外部共振器によって生成されたレーザ光320が出射される。ハーフミラー150から出射されたレーザ光320は、集光レンズ211に入射される。
【0024】
なお、半導体レーザ装置100は、外部共振器(より具体的には、ハーフミラー150)を備えず、単体でレーザ光を出射する光源110を備えてもよい。
【0025】
集光レンズ211は、レーザ光320を光ファイバ220に入射するためのカップリングレンズである。集光レンズ211から出射されたレーザ光320は、光ファイバ220の一端に入射され、光ファイバ220の他端から出射される。
【0026】
[光源モジュール]
続いて、光源モジュール200の構成について、詳細に説明する。
【0027】
図2は、実施の形態に係る半導体レーザ装置100が備える光源モジュール200を示す斜視図である。図3は、実施の形態に係る半導体レーザ装置100が備える光源モジュール200を示す分解斜視図である。図4は、実施の形態に係る半導体レーザ装置100が備える光源モジュール200を示す分解斜視図である。
【0028】
なお、図3には、光学系130が基台(下部基台)122に取り付けられている状態を示している。一方、図4には、光学系130が基台に取り付けられていない状態を示している。
【0029】
光源モジュール200は、出射光300を出射するモジュールである。
【0030】
光源モジュール200は、光源110と、サブマウント230と、基台122と、絶縁シート260と、上部基台121と、ねじ190と、ヒートシンク250と、光学系130と、を備える。
【0031】
光源110は、出射光300を出射する光源である。なお、光源110が出射する出射光300の波長は、任意に設定されてよい。本実施の形態では、光源110は、青色光を出射する。青色光は、例えば、中心波長が430nm以上470nm以下の光である。光源110は、ハーフミラー150とともに外部共振器を構成する。これにより、光源110からは、出射光300としてレーザ光が出射される。
【0032】
本実施の形態では、光源110は、3つの増幅部111を有し、それぞれの増幅部から出射光300を出射する半導体発光素子アレイである。
【0033】
なお、光源110は、単体でレーザ光を出射する半導体レーザ素子でもよい。この場合、半導体レーザ装置100は、ハーフミラー150等の外部共振器を構成するための構成要素を備えなくてもよい。また、光源モジュール200は、1箇所から出射光300を出射する、言い換えると、増幅部111を1つ有する光源を1つ備えてもよいし、当該光源を複数備えてもよい。また、光源110が備える増幅部111の数は、1以上であればよく、3以上でもよいし、2でもよい。
【0034】
なお、光源110に採用される材料は、特に限定されない。光源110は、例えば、窒化ガリウム系の半導体素子である。
【0035】
光源110は、図示しない外部商用電源等から電力が供給されることで、出射光300が出射される。
【0036】
本実施の形態では、光源110は、サブマウント230を介して基台122に載置されている。
【0037】
サブマウント230は、光源110が載置され、基台122に載置される部材である。サブマウント230は、光源110の放熱性を高める役割を担う。また、サブマウント230は、光源110と基台122との熱膨張率の差により光源110が破壊されることを抑制する。サブマウント230に採用される材料は、特に限定されない。サブマウント230に採用される材料は、例えば、セラミック材料等である。
【0038】
基台122は、主面123(上面)に光源110が載置される台である。本実施の形態では、基台122の主面123において、光源110が載置される部分は、他部よりも低くなっている、つまり、他部よりも下方に位置している。光源110は、上部基台121と基台122とに挟まれるように、基台122に支持されている。
【0039】
なお、光源110と上部基台121とは、接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0040】
また、上部基台121及び基台122に採用される材料は、特に限定されない。上部基台121及び基台122に採用される材料は、例えば、金属材料でもよいし、樹脂材料でもよいし、セラミック材料でもよい。
【0041】
また、上部基台121及び基台122の形状は、それぞれ特に限定されない。
【0042】
上部基台121と基台122とは、例えば、ねじ190と、基台122に形成された孔191とが嵌合すること互いに固定されている。具体的には、基台122には、孔191が設けられている。また、上部基台121には、孔191に対応する位置に貫通孔が設けられている。当該貫通孔には、ねじ190が配置されている。ねじ190は、孔191と螺合されている。
【0043】
これにより、上部基台121と基台122とは、固定されている。
【0044】
基台122は、本体部243と、アーム部240と、を有する。具体的には、基台122は、主面123、及び、主面123と背向する面である背面124を有する本体部243を備える。また、基台122は、光源110が出射した出射光300の出射方向に延在するアーム部240を有する。
【0045】
アーム部240は、光学系130を支持するための基台122の一部である。アーム部240は、基台122(より具体的には、本体部243)の主面123の法線方向に延在し、さらに、光源110の出射光300の出射方向に延在した、X軸方向から見てL字状となっている。
【0046】
また、アーム部240は、上面視で出射光300の光軸方向(本実施の形態では、Y軸方向)に直交する方向における光源110の両側に配置されている。アーム部240は、主面123と接続されている一端とは反対側の端部241で光学系130と接続されている。例えば、アーム部240は、端部241で光学系130と樹脂又ははんだ等の接着剤等により接着されている。光学系130は、ねじ等によりアーム部240に固定されていてもよい。
【0047】
絶縁シート260は、上部基台121と基台122とを電気的に絶縁するシートである。絶縁シート260は、電気的な絶縁性を有していればよく、任意の材料が採用されてよい。また、絶縁シート260には、孔191の位置に応じて貫通孔が形成されている。
【0048】
光学系130は、光源110が出射した出射光300が透過する光学部材である。光学系130は、例えば、光源110が出射した出射光300の配光を制御する部材である。
【0049】
光学系130は、速軸コリメータレンズ132と、90°像回転光学系133と、タブ131と、を備える。
【0050】
速軸コリメータレンズ132は、光源110が出射した出射光300の速軸方向をコリメートするコリメータレンズである。本実施の形態では、速軸コリメータレンズ132及び集光レンズ210の2つのレンズを用いて、出射光300の速軸方向をコリメートする。なお、半導体レーザ装置100は、集光レンズ210を備えなくてもよい。
【0051】
90°像回転光学系133は、光源110が出射した出射光300の速軸方向と遅軸方向とを入れ替える光学部材である。具体的には、90°像回転光学系133は、速軸コリメータレンズ132によりコリメートされた出射光300を当該出射光300の光軸周りに90°回転させる90°像回転光学系(BT/Beam Twister)である。
【0052】
以上のように、光学系130は、出射光300の速軸方向をコリメートする速軸コリメータレンズ132と、速軸コリメータレンズ132によりコリメートされた出射光300を出射光300の光軸周りに90°回転させる90°像回転光学系とを有するBTU(Beam Twisted Lens Unit)を備える。例えば、BTUとしては、特開2000-137139号公報に開示されている光学的光束変換器が例示される。
【0053】
例えば、速軸コリメータレンズ132と90°像回転光学系133とは、透光性を有するガラス又は樹脂等により一体的に形成される。
【0054】
なお、本実施の形態では、半導体レーザ装置100は、光学系130として1つのBTUを備えるが、半導体レーザ装置100が備える光学系130の形状又は数等は、特に限定されない。
【0055】
タブ131は、BTU(速軸コリメータレンズ132及び90°像回転光学系133)を基台122に支持するために支持部材である。具体的には、タブ131と基台122が有するアーム部240とは、接着剤等により接着されている。
【0056】
タブ131に採用される材料は、特に限定されない。タブ131に用いられる材料は、例えば、金属でもよいし、樹脂でもよいし、ガラスでもよい。
【0057】
なお、タブ131とBTUとは、一体的に形成されていてもよい。
【0058】
ヒートシンク250は、基台122が載置され、基台122の熱を放熱させるための台である。ヒートシンク250に採用される材料は、特に限定されない。ヒートシンク250に採用される材料は、例えば、金属でもよいし、セラミックでもよい。また、ヒートシンク250には、水等の液体を通過させるための流路が設けられていてもよい。当該流路に水等の液体を流すことで、ヒートシンク250の放熱性は、向上され得る。
【0059】
[光学系の配置]
続いて、半導体レーザ装置100における光学系130と光源110との位置関係について説明する。
【0060】
図5は、図3のV-V線における、実施の形態に係る半導体レーザ装置100が備える光源モジュール200の一部を拡大して示す部分断面図である。
【0061】
上記したように、光学系130は、基台122に支持されている。
【0062】
ここで、基台122における光学系130を支持する支持位置と、基台122における主面123と背向する背面124との距離L1は、主面123と背面124との距離L2(言い換えると、基台122(より具体的には、本体部243)の厚さ)よりも大きい。本実施の形態では、支持位置は、アーム部240の端部241である。より具体的には、支持位置は、アーム部240の下面242である。光学系130は、例えば、アーム部240の端部241に接着剤によって接着されている。或いは、光学系130は、例えば、アーム部240の下面242に接着剤によって接着されている。
【0063】
このように、本実施の形態では、基台122(より具体的には、基台122が有するアーム部240)は、支持位置で光学系130の上面134(本実施の形態では、タブ131の上面)と接触して光学系130を支持する。
【0064】
光源110に出射光300を出射させることで、つまり、光源110に電力を供給することで、光源110は、熱を発する。これにより、光源110及び基台122は、光源110が発した熱により膨張する。光源110及び基台122の膨張によって、距離L1は増大し、且つ、光源110における光出射位置112は、主面123に対してZ軸方向に移動される。
【0065】
また、基台122の膨張によって、距離L2は増大する。また、光学系130は、光源110及び基台122の膨張率に対しては小さい膨張率でわずかに膨張する。
【0066】
従来の半導体レーザ装置では、例えば、光学系130は、基台122によって光源110よりも下側で支持されている。言い換えると、従来の半導体レーザ装置100では、距離L1よりも距離L2の方が大きい。そのため、基台122及び光源110が膨張すると、距離L2の方が距離L1よりも大きく増大する。さらに、光源110の膨張によって、主面123に対して光源110の光出射位置112は、主面123から離れる方向に移動する。そのため、光源110から出射させる出射光300の光量に応じて、言い換えると、光源110から出射光300を出射させるために光源110に投入する電力量に応じて、半導体レーザ装置100から出射される光(レーザ光320)の光軸が所望の位置からずれる(言い換えると、傾く)問題がある。
【0067】
ここで、本実施の形態に係る半導体レーザ装置100は、光学系130の支持位置が背面124(より具体的には、背面124に接触して配置されているヒートシンク250)から主面123よりも離れている。そのために、基台122の膨張によって、距離L1の方が距離L2よりも大きく増大する。また、光源110の膨張によって、主面123に対して光源110の光出射位置112は、主面123から離れる方向(本実施の形態では、Z軸正方向)に移動する。また、光学系130は、光源110及び基台122の膨張率に対しては小さい膨張率でわずかに膨張することで、光出射側から見た場合(言い換えると、出射光300が入射される側から見た場合、又は、本実施の形態では、XZ平面から見た場合)の中心位置の速軸コリメータレンズ132の位置)が支持位置に対してZ軸負方向側にわずかに移動する。つまり、距離L3が増大される。
【0068】
以上のように、光源110、基台122、及び、光学系130が膨張する前において距離L1よりも距離L2の方が大きいことで、光源110、基台122、及び、光学系130が膨張しても、例えば、基台122に熱膨張率等が適切な材料が選択されることで、距離L2の増大量と主面123に対する光源110の光出射位置112の変化量との和を、距離L1の増大量と距離L3の変化量との差と近づけることができる。また、距離L1は、設計の自由度があるために、現物の動きを確認して、上記の差が0になるような寸法にすることが可能である。
【0069】
そのため、半導体レーザ装置100によれば、従来の半導体レーザ装置よりも、光源110から出射させる光量に応じて、言い換えると、光源110から光を出射させるために当該光源110に投入する電力量に応じて、半導体レーザ装置100から出射される光(レーザ光320)の光軸が所望の位置からずれる(言い換えると、傾く)ことを抑制できる。
【0070】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態に係る半導体レーザ装置100は、レーザ光(出射光300)を出射する光源110と、光源110が載置される主面123、及び、主面123と背向する背面124を有する基台122と、基台122に支持され、光源110が出射した出射光300が透過する光学系130と、を備える。基台122における光学系130を支持する支持位置と背面124との距離L1は、主面123と背面124との距離L2よりも大きい。
【0071】
光源110は、出射光300としてレーザ光又はハーフミラーとの間で外部共振される光を出射する。光源110で増幅された光の広がり角は、速軸方向と遅軸方向とで異なる。光源110から出射される出射光300の速軸方向の光の広がり角が遅軸方向よりも大きいため、例えば、光源110の近傍に光学系130(より具体的には、速軸コリメータレンズ132)が配置される。また、光源110と光学系130とは、互いの位置関係を固定するために、同じ部材(本実施の形態では、基台122)に固定される。従来、光源110と光学系130とは、同じ部材に固定されたとしても、光源110が発熱することにより光源110、光学系130、及び、当該部材が熱膨張することで、相対位置が変化する問題がある。そこで、半導体レーザ装置100のように、光源110、基台122、及び、光学系130が膨張する前において距離L1よりも距離L2の方が大きいことで、光源110、基台122、及び、光学系130が膨張しても、距離L2の増大量と主面123に対する光源110の光出射位置112の変化量との和と、距離L1の増大量と距離L3の変化量との差との差分を小さくすることができる。そのため、半導体レーザ装置100によれば、従来の半導体レーザ装置よりも、光源110から出射させる光量に応じて、言い換えると、光源110から光を出射させるために当該光源110に投入する電力量に応じて、半導体レーザ装置100から出射される光(出射光300及びレーザ光320)の光軸が所望の位置からずれることを抑制できる。
【0072】
また、例えば、基台122は、支持位置で光学系130の上面134と接触して光学系130を支持する。
【0073】
これによれば、基台122の熱膨張による、距離L2の増大量と主面123に対する光源110の光出射位置112の変化量との和と、距離L1との差を小さくすることができる。そのため、このような構成によれば、半導体レーザ装置100が出射する出射光300の光軸が所望の位置からずれることは、さらに抑制される。
【0074】
また、例えば、基台122は、光源110が出射した出射光300の出射方向に延在するアーム部240を有する。この場合、基台122における光学系130の支持位置は、アーム部240の端部241である。より具体的には、基台122における光学系130の支持位置は、アーム部240の長手方向の端部241である。
【0075】
これによれば、光源110が載置される基台122の部分(本体部243)の形状によらず、光学系130をアーム部240によって基台122が支持できる。
【0076】
また、例えば、アーム部240は、主面123の法線方向に延在し、さらに、端部241が、光源110が出射した出射光300の出射方向に延在している。この場合、例えば、支持位置は、端部241の下面242である。
【0077】
これによれば、基台122の熱膨張によって、光学系130の中心位置(例えば、出射光300が入射される側から見た場合の速軸コリメータレンズ132の位置)が支持位置である下面242に対してZ軸負方向側にわずかに移動する。そのため、基台122の熱膨張による、距離L2の増大量と主面123に対する光源110の光出射位置112の変化量との和と、距離L1との差を小さくすることができる。これにより、このような構成によれば、半導体レーザ装置100が出射する出射光300の光軸が所望の位置からずれることは、さらに抑制される。
【0078】
また、例えば、光源110は、青色光を発する。
【0079】
例えば、青色光を出射する半導体光源は、赤色光又は近赤外光を出射する半導体光源よりも、半導体光源に投入する電力量に対する発熱量が多い。そのため、半導体レーザ装置100に青色光を出射する光源110(半導体光源)が採用されることで、効果的に半導体レーザ装置100が出射する出射光300の光軸が所望の位置からずれることを抑制できる。
【0080】
また、例えば、光学系130は、光源110が出射した出射光300の速軸方向をコリメートする速軸コリメータレンズ132を備える。
【0081】
これによれば、光源110が出射する出射光300の速軸方向の広がりが、抑制される。
【0082】
また、例えば、光学系130は、光源110が出射した出射光300の速軸方向と遅軸方向とを入れ替える90°像回転光学系133を有する。
【0083】
これによれば、例えば、光源110から出射された出射光300の速軸方向を主面123の法線方向から、当該法線方向及び出射光300の光軸に直交する方向に変換できる。そのため、半導体レーザ装置100に配置される速軸コリメータレンズ132及び遅軸コリメータレンズ160の配置とサイズ等の形状との選択の自由度が向上され得る。
【0084】
また、例えば、半導体レーザ装置100は、さらに、光源110が出射した出射光300の一部を透過し、且つ、他部を反射することで光源110との間で当該光(反射光310)を共振させるハーフミラー150を備える。
【0085】
これによれば、半導体レーザ装置100は、光源110とハーフミラー150とで構成される外部共振器型の半導体レーザ装置として採用され得る。半導体レーザ装置100が外部共振器型の半導体レーザ装置であることで、例えば、光源110から出射された複数の出射光300を合波して出力できる。そのため、このような構成によれば、半導体レーザ装置100から出射されるレーザ光320の光量を大きくすることができる。
【0086】
また、例えば、光源110は、それぞれが出射光300を出射する複数の増幅部111を有する半導体発光素子アレイである。
【0087】
これにより、例えば、それぞれの出射光300を合波することで、半導体レーザ装置100から出射されるレーザ光320の光量を大きくすることができる。
【0088】
また、例えば、半導体レーザ装置100は、さらに、複数の増幅部111のそれぞれが出射した出射光300が入射され、入射された複数の増幅部111のそれぞれが出射した出射光300が1つの光路を通過するように出射する波長分散素子140を備える。つまり、半導体レーザ装置100は、複数の出射光300を合波する合波器である波長分散素子140を備える。
【0089】
これによれば、波長分散素子140によってそれぞれの出射光300を合波することで、半導体レーザ装置100から出射されるレーザ光320の光量を大きくすることができる。
【0090】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態に係る半導体レーザ装置について、実施の形態及び各変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び各変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したもの、又は、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0091】
例えば、半導体レーザ装置は、上部基台と下部基台との間に電気的絶縁性を有する絶縁シートを備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示の半導体レーザ装置は、例えば、レーザ加工に用いられる加工装置の光源として利用される。
【符号の説明】
【0093】
100 半導体レーザ装置
110 光源(半導体発光素子アレイ)
111 増幅部
112 光出射位置
121 上部基台
122 基台(下部基台)
123 主面
124 背面
130 光学系
131 タブ
132 速軸コリメータレンズ
133 90°像回転光学系
134 上面
140 波長分散素子
150 ハーフミラー
160 遅軸コリメータレンズ
190 ねじ
191 孔
200 光源モジュール
210、211 集光レンズ
220 光ファイバ
230 サブマウント
240 アーム部
241 端部
242 下面(支持位置)
243 本体部
250 ヒートシンク
260 絶縁シート
300 出射光
310 反射光
320 レーザ光
L1、L2、L3 距離
図1
図2
図3
図4
図5