IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマシンフィルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図1
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図2
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図3
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図4
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図5
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図6
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図7
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図8
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図9
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図10
  • 特許-測定ユニット及びフィルタ装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】測定ユニット及びフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20240207BHJP
   B01D 35/00 20060101ALI20240207BHJP
   B01D 35/30 20060101ALI20240207BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20240207BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240207BHJP
   G01L 13/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G01D11/24 K
B01D35/00
B01D35/30
G01D11/30 S
G01K1/14 L
G01L13/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019201240
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2021076404
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 順基
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-329177(JP,A)
【文献】特開2011-64545(JP,A)
【文献】特開2008-159036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 1/00-21/02
B01D 35/00-35/30
G01K 1/14
G01L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略柱形状のケースと、
前記ケースに設けられ、ICタグと通信可能なアンテナを有するアンテナ部と、
前記ケースに設けられたセンサと、
を備え、
前記アンテナ部は、前記ケースの一方の端である第1端面の近傍に設けられており、
前記センサは、前記ケースの内部であって、前記アンテナ部よりも前記ケースの奥側に設けられており、
前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記アンテナ部と前記センサとが重なり、
前記ケースには、前記第1端面に開口する第1穴と、前記第1端面と反対側の端面である第2端面に開口する第2穴と、両端が前記第1穴と前記第2穴とに開口する第3孔と、前記第2穴に開口する第4穴と、が設けられており、
前記第1穴には、前記アンテナが前記第1穴の開口部から露出するように前記アンテナ部が設けられ、
前記第3孔には、一端が前記アンテナ部に接続されたアンテナ線が設けられ、
前記第4穴には、前記センサ及び前記センサが接続される第1基板の少なくとも一方が設けられていることを特徴とする測定ユニット。
【請求項2】
前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記第3孔と前記第4穴とは重ならず、
前記アンテナ部は、略板状であり、前記アンテナである配線パターンが一方の面に形成されてい
ことを特徴とする請求項1に記載の測定ユニット。
【請求項3】
前記第2穴の開口部を覆うカバーを備え、
前記第2穴には、第2基板が設けられており、
前記アンテナ線は、他端が前記第2基板に設けられており、
前記第4穴には、前記第1基板が設けられており、
前記カバーを貫通して、前記第1基板及び前記第2基板に電源を供給する電源ケーブルが設けられている
ことを特徴とする請求項に記載の測定ユニット。
【請求項4】
前記ケースには、前記第1穴に開口する第5穴と、前記ケースの側面と前記第5穴の底面近傍とに両端が開口する第6孔と、が設けられており、
前記アンテナ部は、直径が前記第1穴の内径と略同一であり、
前記アンテナ部には、厚さ方向に貫通する孔が設けられており、
前記第5穴には、前記第5穴の内部を摺動可能なスプールであって、前記第5穴を第1の空間と第2の空間とに分割するスプールと、前記第1の空間から前記第2の空間に向かう方向の力を前記スプールに付勢する弾性部材と、が設けられており、
前記スプールの前記第5穴の底面と対向する面には、磁石が設けられており、
前記第4穴には、前記第1基板が設けられており、
前記第1基板には、前記ケースの中心軸に沿って見たときに前記磁石と重なる位置に前記センサである磁界検出素子が設けられている
ことを特徴とする請求項又はに記載の測定ユニット。
【請求項5】
前記ケースには、前記第1穴に開口する第5穴と、前記第5穴に開口する第6穴と、前記ケースの側面と前記第6穴とを連通する第7孔と、両端が前記第4穴と前記第5穴とに開口する第8孔と、が設けられており、
前記アンテナ部は、直径が前記第1穴の内径と略同一であり、
前記アンテナ部には、厚さ方向に貫通する孔が設けられており、
前記第5穴の底面には、前記センサである歪みゲージが設けられており、
前記第8孔には、一端が前記歪みゲージに接続されたケーブルが設けられている
ことを特徴とする請求項又はに記載の測定ユニット。
【請求項6】
前記第4穴の底面は、前記第1穴の底面又は前記第1端面と隣接しており、
前記第4穴の底面近傍には、前記センサである温度検出素子が設けられている
ことを特徴とする請求項又はに記載の測定ユニット。
【請求項7】
前記アンテナは、平面視略円環形状であり、
前記ケースには、前記第1端面と反対側の端面である第2端面に開口する第10穴と、両端が前記第10穴と前記第1端面とに開口する第11孔と、が設けられており、
前記アンテナ部は、弾性変形が可能な材料で形成されており、内部に前記アンテナ部が設けられているカバーを有し、
前記カバーは、前記アンテナの中空部に挿入される突出部を有し、
前記突出部が前記第11孔に設けられることで、前記カバーが前記第1端面に設けられ、かつ前記アンテナ部が前記第1端面に隣接して設けられ、
前記突出部には、厚さ方向に貫通し、前記ケースの外部と前記第10穴とを連通する孔が設けられており、
前記第10穴には、前記センサ及び前記センサが接続される第1基板の少なくとも一方が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の測定ユニット。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の測定ユニットと、
上端が開口している略有底筒形状のフィルタケースと、
前記フィルタケースの上端を覆うように、前記ケースに設けられるヘッドと、
前記フィルタケース及び前記ヘッドにより形成される内部空間に設けられるフィルタエレメントであって、略筒状の濾材と、前記濾材の上端面を覆うように設けられた上プレートと、を有するフィルタエレメントと、
を備え、
前記ICタグは、前記上プレートに設けられており、
前記測定ユニットは、前記アンテナ部が前記フィルタケース、前記フィルタエレメント及び前記ヘッドにより形成される空間に露出するように前記ヘッドに設けられている
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項9】
前記上プレートには、前記濾材が下側に当接する板状部と、前記板状部に設けられた凸部と、を有し、
前記凸部の内部には、前記ICタグが設けられ、
前記凸部は、前記板状部から上側に突出し、かつ、前記フィルタエレメントの中心軸に沿って見たときに前記板状部の外側に突出し、
前記ヘッドには、前記凸部の周方向の位置決めを行う突起が形成され、
前記測定ユニットは、前記突起の近傍に設けられ、
前記フィルタエレメントが前記ケースの内部に挿入された状態では、前記ICタグと前記アンテナ部とが隣接する
ことを特徴とする請求項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記ICタグは、略中空円板形状であり、
前記ICタグの内径は、前記濾材の内径より大きく、
前記ICタグは、前記濾材と前記上プレートとを接着する接着剤により前記上プレートに設けられている
ことを特徴とする請求項に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ユニット及びフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルタエレメントのうちの、濾材の上端面を覆うように設けられた上プレートの内部にICタグが設けられており、フィルタエレメントが挿入されるケースを覆う蓋体にアンテナが設けられているフィルタ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-115879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、模造品が取り付けられることを防止したり、稼働時間等を管理したりするため、フィルタエレメントにICタグを取り付けたいという要求がある。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、アンテナ組立体を単独で蓋体に取り付ける必要があるため、差圧センサ等の測定部をフィルタ装置に設ける場合には、測定部とアンテナ組立体の2つの部材を蓋体に取り付けなければならず、取付ミスが発生したり、コストが増大したりするという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、1つの部材を取り付けるだけで測定部及びアンテナをフィルタ装置に設けることができる測定ユニット及びフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る測定ユニットは、例えば、略柱形状のケースと、前記ケースに設けられ、ICタグと通信可能なアンテナを有するアンテナ部と、前記ケースに設けられたセンサと、を備え、前記アンテナ部は、前記ケースの一方の端である第1端面の近傍に設けられており、前記センサは、前記ケースの内部であって、前記アンテナ部よりも前記ケースの奥側に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る測定ユニットによれば、ICタグと通信可能なアンテナを有するアンテナ部が、ケースの一方の端である第1端面の近傍に設けられており、センサは、ケースの内部であって、アンテナ部よりもケースの奥側に設けられている。これにより、1つの部材を取り付けるだけで、測定部及びアンテナをフィルタ装置に設けることができる。
【0008】
ここで、前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記アンテナ部と前記センサとが重なってもよい。これにより、測定ユニットを小型化することができる。
【0009】
ここで、前記ケースには、前記第1端面に開口する第1穴と、前記第1端面と反対側の端面である第2端面に開口する第2穴と、両端が前記第1穴と前記第2穴とに開口する第3孔と、前記第2穴に開口する第4穴と、が設けられており、前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記第3孔と前記第4穴とは重ならず、前記アンテナ部は、略板状であり、前記アンテナである配線パターンが一方の面に形成されており、前記第1穴には、前記アンテナが前記第1穴の開口部から露出するように前記アンテナ部が設けられ、前記第3孔には、一端が前記アンテナ部に接続されたアンテナ線が設けられ、前記第4穴には、前記センサ及び前記センサが接続される第1基板の少なくとも一方が設けられていてもよい。これにより、アンテナ部及びアンテナ線と測定部(センサ又は第1基板)とを異なる位置に設けることができ、アンテナと測定部との機能を両立させることができる。
【0010】
ここで、前記第2穴の開口部を覆うカバーを備え、前記第2穴には、第2基板が設けられており、前記アンテナ線は、他端が前記第2基板に設けられており、前記第4穴には、前記第1基板が設けられており、前記カバーを貫通して、前記第1基板及び前記第2基板に電源を共有する電源ケーブルが設けられていてもよい。これにより、1組の電源ケーブルで2つの基板に電源を供給することができ、省スペース化が可能となる。
【0011】
ここで、前記ケースには、前記第1穴に開口する第5穴と、前記ケースの側面と前記第5穴の底面近傍とに両端が開口する第6孔と、が設けられており、前記アンテナ部は、直径が前記第1穴の内径と略同一であり、前記アンテナ部には、厚さ方向に貫通する孔が設けられており、前記第5穴には、前記第5穴の内部を摺動可能なスプールであって、前記第5穴を第1の空間と第2の空間とに分割するスプールと、前記第5穴を第1の空間と第2の空間とに分割するスプールと、前記第1の空間から前記第2の空間に向かう方向の力を前記スプールに付勢する弾性部材と、が設けられており、前記スプールの前記第5穴の底面と対向する面には、磁石が設けられており、前記第4穴には、前記第1基板が設けられており、前記第1基板には、前記ケースの中心軸に沿って見たときに前記磁石と重なる位置に前記センサである磁界検出素子が設けられていてもよい。これにより、1つの測定ユニットの内部に差圧検出部及びアンテナ部を設けることができる。
【0012】
ここで、前記ケースには、前記第1穴に開口する第5穴と、前記第5穴に開口する第6穴と、前記ケースの側面と前記第6穴とを連通する第7孔と、両端が前記第4穴と前記第5穴とに開口する第8孔と、が設けられており、前記アンテナ部は、直径が前記第1穴の内径と略同一であり、前記アンテナ部には、厚さ方向に貫通する孔が設けられており、前記第5穴の底面には、前記センサである歪みゲージが設けられており、前記第8孔には、一端が前記歪みゲージに接続されたケーブルが設けられていてもよい。これにより、1つの測定ユニットの内部に圧力検出部及びアンテナ部を設けることができる。
【0013】
ここで、前記第4穴の底面は、前記第1穴の底面又は前記第1端面と隣接しており、前記第4穴の底面近傍には、前記センサである温度検出素子が設けられていてもよい。これにより、1つの測定ユニットの内部に温度検出部及びアンテナ部を設けることができる。
【0014】
ここで、前記アンテナは、平面視略円環形状であり、前記ケースには、前記第1端面と反対側の端面である第2端面に開口する第10穴と、両端が前記第10穴と前記第1端面とに開口する第11孔と、が設けられており、前記アンテナ部は、弾性変形が可能な材料で形成されており、内部に前記アンテナ部が設けられているカバーを有し、前記カバーは、前記アンテナの中空部に挿入される突出部を有し、前記突出部が前記第11孔に設けられることで、前記カバーが前記第1端面に設けられ、かつ前記アンテナ部が前記第1端面に隣接して設けられ、前記突出部には、厚さ方向に貫通し、前記ケースの外部と前記第10穴とを連通する孔が設けられており、前記第10穴には、前記センサ及び前記センサが接続される第1基板の少なくとも一方が設けられていてもよい。これにより、アンテナ部及びアンテナ線とセンサとを異なる位置に設けることができ、アンテナと測定部との機能を両立させることができる。また、アンテナがカバーにより覆われて液体に接触しないため、ICタグが読み取りやすくなる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、測定ユニットと、上端が開口している略有底筒形状のフィルタケースと、前記フィルタケースの上端を覆うように、前記ケースに設けられるヘッドと、前記フィルタケース及び前記ヘッドにより形成される内部空間に設けられるフィルタエレメントであって、略筒状の濾材と、前記濾材の上端面を覆うように設けられた上プレートと、を有するフィルタエレメントと、を備え、前記ICタグは、前記上プレートに設けられており、前記測定ユニットは、前記アンテナ部が前記フィルタケース、前記フィルタエレメント及び前記ヘッドにより形成される空間に露出するように前記ヘッドに設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るフィルタ装置によれば、略有底筒形状のフィルタケースの上端の開口部を覆うように、ケースにヘッドが設けられており、フィルタケース及びヘッドにより形成される内部空間にフィルタエレメントが設けられている。フィルタエレメントの上プレートには、ICタグが設けられており、ヘッドには、アンテナ部がフィルタケース、フィルタエレメント及びヘッドにより形成される空間に露出するように測定ユニットが設けられている。これにより、測定ユニットを取り付けるだけで、フィルタ装置の測定(圧力、温度等)と、ICタグの読み取りとが同時に可能となる。また、アンテナがフィルタケース、フィルタエレメント及びヘッドにより形成される空間に露出するため、ヘッドが金属製であったとしてもICタグの記録情報を正確に読み取ることができる。
【0017】
ここで、前記上プレートには、前記濾材が下側に当接する板状部と、前記板状部に設けられた凸部と、を有し、前記凸部の内部には、前記ICタグが設けられ、前記凸部は、前記板状部から上側に突出し、かつ、前記フィルタエレメントの中心軸に沿って見たときに前記板状部の外側に突出し、前記ヘッドには、前記凸部の周方向の位置決めを行う突起が形成され、前記測定ユニットは、前記突起の近傍に設けられ、前記フィルタエレメントが前記ケースの内部に挿入された状態では、前記ICタグと前記アンテナ部とが隣接してもよい。これにより、ICタグとアンテナとを極力近くに配置することができ、飛距離(検知距離)が短いICタグ(例えば、HF帯)を用いたとしてもICタグの記録情報を正確に読み取ることができる。
【0018】
ここで、前記ICタグは、略中空円板形状であり、前記ICタグの内径は、前記濾材の内径より大きく、前記ICタグは、前記濾材と前記上プレートとを接着する接着剤により前記上プレートに設けられていてもよい。これにより、ICタグとアンテナとの位置合わせが不要となり、リターンフィルタの組み立てが容易となる。また、本実施の形態では、ICタグとアンテナとの位置合わせが不要であるため、測定ユニットを様々な位置に設けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、1つの部材を取り付けるだけで測定部とアンテナ組立体とをフィルタ装置に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態であるリターンフィルタ1の概略を示す断面図である。
図2】リターンフィルタ1のプレート24及び筒状部31を斜め上方から見たときの斜視図であり、一部を拡大表示した図である。
図3】本発明の一実施形態である測定ユニット2の概略を示す断面図である。
図4】測定ユニット2を先端側から見たときの概略を示す図である。
図5】本発明の一実施形態である測定ユニット3の概略を示す断面図である。
図6】圧力検出部80の概略を示す断面図である
図7】隔膜部82の平面図である。
図8】本発明の一実施形態である測定ユニット4の概略を示す断面図である。
図9】本発明の一実施形態である測定ユニット5の概略を示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態であるリターンフィルタ6の断面図であり、一部を拡大表示した図である。
図11】フィルタエレメント20Aの平面図であり、プレート24Aを部分的に切断した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。以下の実施の形態では、作動油を貯留するタンクに設けられたリターンフィルタを例に説明するが、本発明のフィルタ装置はリターンフィルタに限られず、例えば燃料フィルタに用いることができる。また、本実施の形態では、濾過対象の液体として作動油を例に説明するが、濾過対象の液体は作動油に限られない。
【0022】
<第1の実施の形態>
図1は、リターンフィルタ1の概略を示す断面図である。図1では断面を示すハッチングを一部省略する。
【0023】
リターンフィルタ1は、主として、測定ユニット2と、フィルタケース10と、フィルタエレメント20と、ヘッド30と、ICタグ40と、を有する。ICタグ40は、アンテナ51a(後に詳述)と通信可能であり、アンテナ51aから受信した電波を用いて、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする小型の電子部品である。
【0024】
フィルタケース10は、耐腐食性の高い金属(例えば、ステンレス)により形成される。フィルタケース10は、タンクの上面から下側(-z側)に突出するようにタンクの内部に設けられる。
【0025】
フィルタケース10は、有底略筒形状であり、上端面が開口している。フィルタケース10は、内部が空洞であり、内部にはフィルタエレメント20等が設けられる。
【0026】
フィルタケース10は、底面11を有する。底面11を貫通するように、流出部12が設けられる。流出部12は、フィルタエレメント20の内部の空間(空間S2)とフィルタケース10の外部の空間とを連通する。
【0027】
流出部12は、主として、略有底円筒形状の円筒部12aと、背圧バルブ12bと、を有する。
【0028】
円筒部12aは、全体として略有底円筒形状であり、第1円筒部12cと、第2円筒部12dと、底面12eと、を有する。第2円筒部12dは、第1円筒部12cの下側に設けられる。第1円筒部12cには、流出孔12fが形成され、第2円筒部12dには、流出孔12gが形成される。流出孔12f、12gは、それぞれ、第1円筒部12cと、第2円筒部12dを貫通するように第1円筒部12cと、第2円筒部12dの側面に形成されている。
【0029】
背圧バルブ12bは、円筒部12aの内部に設けられる。背圧バルブ12bは、主として、略板状の弁体12hと、底面12eと弁体12hとの間に設けられた弾性部材12iと、を有する。弾性部材12iは、第1円筒部12cと第2円筒部12dとの間に設けられた弁座12jに弁体12hを押圧する。
【0030】
フィルタケース10は、上端近傍に設けられた取付部材13を有する。フィルタケース10は、取付部材13を介してタンク100に設けられる。また、取付部材13は、フィルタケース10と筒状部31(後に詳述)とを一体化する。
【0031】
フィルタケース10の側面には、図示しない流入部が設けられる。流入部は、フィルタケース10の内部かつフィルタエレメント20の外部の空間(空間S1)に作動油を流入させる。
【0032】
フィルタエレメント20は、有底略筒形状の部材であり、フィルタケース10及びヘッド30により形成される内部空間に設けられる。フィルタエレメント20は、主として、濾材21と、内筒23と、プレート24と、プレート25と、ICタグ40とを有する。
【0033】
濾材21は、両端に開口を有する略円筒形状の部材である。濾材21は、合成樹脂や紙等を用いた濾紙をひだ折りにし、ひだ折りにした濾紙の両端を連結して円筒状にすることによって形成される。濾材21の内側には、略全域に作動油が通過する孔が形成された内筒23が設けられる。なお、濾材21の外側に、略全域に作動油が通過する孔が形成された外筒が設けられていてもよい。
【0034】
濾材21の上側の端には、樹脂製のプレート24が設けられる。プレート24は濾材21及び内筒23の上端面を覆う。プレート24と濾材21との間には接着剤45が塗布され、プレート24と濾材21とは接着剤45により接着される。接着剤45は、塗布時には液体であるが、時間経過と共に固まることでプレート24と濾材21を接着する。ここで、接着剤45は、樹脂、ゴム、エラストマーを主材料とする様々な種類の有機接着剤を用いることができる。
【0035】
プレート24は、主として、濾材21が下側に当接するように、濾材21の上端面に沿って設けられた略円板形状の板状部24aと、板状部24aの外周縁に設けられた筒状部24bと、板状部24aの内周縁に設けられた筒状部24cと、板状部24aに設けられた凸部24dと、を有する。筒状部24bは、板状部24aから下向き(-z方向)に突出する。筒状部24cは、板状部24aから上向き(+z方向)に突出する。
【0036】
凸部24dは、板状部24aから上向きに突出する。また、凸部24dは、フィルタエレメント20の中心軸ax1に沿って見たとき(z方向に沿って見たとき)に、板状部24aの外側に突出する。
【0037】
ICタグ40は樹脂によりコーティングされている。また、ICタグ40は、作動油に接しないようにプレート24に設けられる。本実施の形態では、凸部24dの内部にICタグ40が設けられる。
【0038】
濾材21の下側の端には、プレート25が設けられる。プレート25は濾材21及び内筒23の下端面を覆う略中空円板形状の部材である。プレート25の上側の面には、濾材21が挿入される凹部25aが形成される。凹部25aと濾材21との間には接着剤45が塗布されており、凹部25aと濾材21とは接着剤45により接着される。
【0039】
プレート25の略中央に形成された孔25bには、流出部12が挿入される。孔25bと流出部12とは、シール部材(例えば、Oリング)46によりシールされる。
【0040】
ヘッド30は、タンクの外側に設けられる。ヘッド30は、フィルタケース10の上端面の開口部を覆うように、フィルタケース10(ここでは、取付部材13)及びプレート24(ここでは、筒状部24c)に設けられる。
【0041】
ヘッド30は、耐腐食性の高い金属(例えば、ステンレス)により形成される。ヘッド30は、主として、筒状部31と、カバー32と、取付部33と、を有する。筒状部31は、略円筒形状であり、フィルタケース10(ここでは、取付部材13)に固定される。カバー32は、略板状の部材であり、筒状部31の上側(+z側)に、筒状部31の中空部を覆うように設けられる。カバー32は、筒状部31に対して着脱可能である。
【0042】
筒状部31の内径は、プレート24(板状部24a及び筒状部24b)の外径より大きい。筒状部31の側面には、当該側面を貫通する孔31aが形成される。孔31aに測定ユニット2を挿入して固定することで、筒状部31に測定ユニット2が設けられる。本実施の形態では、測定ユニット2の外周面に設けられた雄ねじ部50q(図3参照)と、孔31aに形成された雌ねじ部(図示省略)とを螺合することにより、測定ユニット2が孔31aに設けられる。測定ユニット2は、アンテナ51aを含む。したがって、ヘッド30にアンテナ51aを容易に取り付けることができる。なお、図1では、測定ユニット2の内部構造の詳細な図示を省略している。
【0043】
カバー32には取付部33が設けられる。取付部33は、略筒状の部材であり、カバー32の下側(-z側)に突出する。取付部33の下側には、バルブ47が設けられる。通常はバルブ47が閉じているが、濾材21が目詰まりしてフィルタケース10内の圧力が高くなると、バルブ47が開き、空間S1から空間S2に作動油を流すことで、リターンフィルタ1の破損を防止する。バルブ47は既に公知であるため、説明を省略する。
【0044】
取付部33は筒状部24cに挿入され、バルブ47は空間S2に挿入される。取付部33と筒状部24cとは、シール部材(例えば、Oリング)48によりシールされる。
【0045】
ヘッド30には、空気及び作動油の流路34が設けられている。流路34は、取付部33に形成された孔、カバー32に形成された孔、及び筒状部31に形成された孔により構成されており、タンク100に形成された孔100aを介してタンク100の内部空間と空間S2とを連通する。
【0046】
また、ヘッド30には、空間S2と孔31aとを連通する孔35が設けられている。孔35は、取付部33に形成された孔、カバー32に形成された孔、及び筒状部31に形成された孔により構成されており、一端が孔31aの側面に開口する。孔35は測定ユニット2に設けられた孔50f(図3参照、後に詳述)と連通しており、測定ユニット2の内部の空間S4(図3参照、後に詳述)と空間S2とを連通する。
【0047】
図2は、プレート24及び筒状部31を斜め上方から見たときの斜視図であり、一部を拡大表示した図である。
【0048】
凸部24dの内部には、略円筒形状のICタグ40が設けられている。ICタグ40が液体と接しないようにすることで、ICタグ40の故障を防止する。
【0049】
筒状部31の側面を貫通する孔31aには、測定ユニット2が挿入されている。孔31aの内周面側の開口からアンテナ51a(後に詳述)が露出する。
【0050】
筒状部31の側面には、2本の突起31bが形成される。突起31bは、筒状部31の内周面に、径方向内側に突出するように形成される。突起31bは、孔31aの近傍、ここでは孔31aの両側に形成される。つまり、測定ユニット2は、突起31bの近傍に設けられる。
【0051】
突起31bは、凸部24dの周方向の位置決めを行う。凸部24dは、2本の突起31bの間に配置される。そのため、ICタグ40とアンテナ51aとが隣接して設けられ、ICタグ40とアンテナ51aとが極力近くに配置され、これによりセンシングを確実に行うことができる。
【0052】
特に、凸部24dは、側面視において板状部24aから上側に突出し、平面視において板状部24aの外側に突出しているため、フィルタエレメント20がフィルタケース10の内部に挿入された状態では、ICタグ40とアンテナ51aとの距離が近くなり、ICタグ40の端面とアンテナ51aとが対向する。したがって、ICタグ40とアンテナ51aとが極力近くに配置され、これにより安価なICタグ40を使用したとしてもセンシングをより確実に行うことができる。
【0053】
次に、測定ユニット2について説明する。図3は、測定ユニット2の概略を示す断面図である。図3では断面を示すハッチングを一部省略する。
【0054】
測定ユニット2は、主として、ケース50と、アンテナ部51と、差圧検出部60と、を有する。差圧検出部60は、主として、検出ユニット61と、スプール62と、磁石63と、弾性部材64と、を有する。
【0055】
ケース50は、略円柱形状であり、アンテナ51a(後に詳述)及び磁界検出素子61c(本発明のセンサに相当)が設けられる。
【0056】
また、ケース50には、穴50a(本発明の第1穴に相当)と、穴50b(本発明の第2穴に相当)と、孔50c(本発明の第3孔に相当)と、穴50d(本発明の第4穴に相当)と、穴50e(本発明の第5穴に相当)と、孔50f(本発明の第6孔に相当)が設けられている。ケース50の両端はそれぞれ端面50m、50nである。穴50aは端面50mに開口し、穴50bは端面50nに開口する。孔50cは、両端が穴50aと穴50bとに開口する。穴50dは、穴50bに開口し、穴50eは穴50aに開口する。孔50fは、ケース50を径方向に貫通しており、両端が穴50eの底面近傍及びケース50の外周面に開口している。穴50a、穴50b、孔50c、穴50d、穴50e及び孔50fは、それぞれ略円筒形状である。
【0057】
穴50aには、アンテナ部51が設けられている。アンテナ部51は、略板状であり、直径が穴50aの内径と略同一である。アンテナ部51には、厚さ方向に貫通する孔51dが設けられており、孔51dを介して穴50eと穴50aとが連通する。
【0058】
穴50aの底面には凹部50gが設けられており、凹部50gにはシール部材(ここでは、Oリング)53が設けられている。また、穴50aの側面には凹部50hが設けられており、凹部50hにはリテーナリング52が設けられている。シール部材53は弾性を有し、シール部材53がアンテナ部51をリテーナリング52側に押圧することで、アンテナ部51が穴50aの内部に設けられる。
【0059】
図4は、測定ユニット2を先端側(端面50m側)から見たときの概略を示す図である。アンテナ部51の端面50m側の面には、アンテナ51aが設けられている。アンテナ51aは、アンテナ部51の一方の面に形成された配線パターン(アンテナコイルパターン)であり、その両端がアンテナ端子51b、51cである。アンテナ端子51b、51cには、それぞれ、アンテナ線54(図3参照)が接続される。
【0060】
アンテナ部51は、穴50aの開口部からアンテナ51aが露出するように、穴50aの内部に設けられている。これにより、測定ユニット2をヘッド30に設けたときに、アンテナ51aがフィルタケース10、フィルタエレメント20及びヘッド30により形成される空間に露出する。
【0061】
図3の説明に戻る。ケース50には2つの孔50cが隣接して設けられており、孔50cにはそれぞれアンテナ線54が設けられている。穴50bには、ICタグリーダ基板である基板55(本発明の第2基板に相当)が設けられている。アンテナ線54は、一端がアンテナ部51に設けられており、他端は基板55に設けられている。
【0062】
孔50cの内部には、アンテナ線54を覆うように充填剤58が設けられており、その外側には絶縁パイプ59が設けられている。また、絶縁パイプ59を覆うように充填剤58が設けられている。充填剤58は、例えば、高分子化合物を主成分とする接着剤である。このように、孔50cの内部を充填剤58で充填することで、液体が孔50cから穴50dに漏れないようにする。
【0063】
なお、本実施の形態では、アンテナ線54とは別に絶縁パイプ59を設けたが、アンテナ線54が絶縁機能を有していれば絶縁パイプ59は不要である。この場合、アンテナ線54を覆うように充填剤58で孔50cを充填すればよい。
【0064】
基板55には、図示しないICチップ等が実装されている。ICタグ40からの電波を受信すると、アンテナ線54を介して基板55において受信信号を生成し、信号線71を介して測定ユニット2の外部に信号を出力する。
【0065】
穴50dには、検出ユニット61が設けられている。ケースの中心軸ax2に沿って見たときに、孔50cと穴50dとは重ならないように配置されている。
【0066】
検出ユニット61は、略円筒形状であり、周囲に雄ねじ部61aが形成される。雄ねじ部61aを穴50dに形成された雌ねじ部50rに螺合させることで、検出ユニット61が穴50dの内部に設けられ、検出ユニット61の高さ(中心軸ax2に沿った方向の位置)が調整可能である。
【0067】
検出ユニット61の先端側(端面50m側)には、基板61b(本発明の第1基板に相当)が設けられている。また、基板61bには、磁界検出素子61cが設けられている。言い換えれば、穴50dに基板61b及び磁界検出素子61cが設けられている。磁界検出素子61cは、磁石63により形成される磁界の変化を検出する。磁界検出素子61cは、リードスイッチ、ホール素子等を用いることができる。リードスイッチ及びホール素子はすでに公知であるため、説明を省略する。
【0068】
穴50eの内部には、スプール62、磁石63及び弾性部材64が設けられている。ケースの中心軸ax2に沿って見たときに、孔50cと穴50eとは重ならないように配置されている。
【0069】
スプール62は、穴50eの内部を摺動可能に設けられている。スプール62は、穴50eを空間S4と空間S5とに分割する。空間S4は、孔50fを介して空間S1と連通する。空間S5は、穴50aを介して空間S2と連通する。
【0070】
弾性部材64は、例えばコイルばねであり、一端がスプール62に設けられ、他端が穴50eの端面50m側に設けられたEリング65に設けられる。弾性部材64は、スプール62に、空間S5から空間S4に向かう方向の力を付勢する。
【0071】
なお、本実施の形態では、弾性部材64をスプール62よりも端面50m側に設けたが、弾性部材64をスプール62よりも端面50n側に設けてもよい。この場合には、弾性部材64は、スプール62に、空間S4から空間S5に向かう方向の力を付勢する。
【0072】
磁石63は、スプール62の穴50eの底面と対向する面、すなわちスプール62の端面50n側の面に設けられている。磁界検出素子61cは、ケース50の中心軸ax2に沿って見たときに磁石63と重なる位置に設けられている。
【0073】
濾材21の目詰まり等が発生せず、空間S1(空間S4)と空間S2(空間S5)との圧力差が閾値以下の場合には、弾性部材64の付勢力により、スプール62は、磁界検出素子61cに近い位置にある。
【0074】
濾材21の目詰まり等により空間S1(空間S4)の圧力が高くなると、弾性部材64の付勢力に抗して、スプール62が端面50m側に移動する。これに伴い、磁石63も端面50m側に移動して、磁石63が磁界検出素子61cから遠ざかる。磁界検出素子61cは、この磁石63の移動による磁束密度の変化を検出する。
【0075】
磁界検出素子61cの検出結果は、一端が基板61bに設けられた信号線74を介して測定ユニット2の外部に出力される。信号線74に隣接して、信号線71及び電源ケーブル72、73が設けられている。
【0076】
信号線71、74及び電源ケーブル72、73は、穴50bを覆うカバー56を貫通する。電源ケーブル72、73は、基板61b及び基板55に電源を供給するものであり、基板61b及び基板55に接続されている(図示省略)。これにより、1組の電源ケーブル72、73で2つの基板(基板61b及び基板55)に電源を供給することができ、省スペース化が可能となる。
【0077】
次に、このように構成されたリターンフィルタ1の機能について説明する。図1の二点鎖線矢印は、作動油の流れを示す。
【0078】
作業機械の内燃機関(エンジン)の動作が停止している場合には、フィルタケース10内に作動油が含まれていない。したがって、図1に示すように背圧バルブ12bは閉状態にある。
【0079】
エンジンのアイドリング時は作動油の流量が少ないため、背圧バルブ12bは閉状態にある。したがって、流入部からフィルタケース10内に作動油が流入して油面が上昇する。
【0080】
作業機械のエンジンが稼動すると、作動油の流量が多くなり、フィルタケース10の内部が作動油で満たされてフィルタケース10の内部の圧力が十分に高くなる。その結果、弾性部材12iの付勢力に抗して作動油が弁体12hを押し下げる。
【0081】
空間S1に流入した作動油は、濾材21の外側から内側へ向って流れ、濾材21により作動油中の塵埃等が除去される。濾過後の作動油は空間S2に流出する。その後、濾過後の作動油は、流出部12からタンク内部に流出する。アイドリング時には、濾過後の作動油は流出孔12fから流出し、エンジン稼働時には、濾過後の作動油は流出孔12f及び流出孔12gから流出する。
【0082】
なお、作業機械のエンジンが停止すると、作動油の流量が減り、背圧バルブ12bが閉じる。そして、作業機械が停止してから一定時間が経過すると、流路34を通って空気がフィルタケース10内部に流入することで、カバー32を筒状部31から取り外すことなく、油面が底面11より下がる。
【0083】
図3に示すように、高圧側(空間S1)の圧力が低い状態では、弾性部材64の付勢力により、スプール62は穴50eの奥側(高圧側、端面50n側)に押されており、磁石63が穴50eの底面に一番近い位置にある。
【0084】
濾材21の目詰まり等により空間S1の圧力が高くなると、弾性部材64の付勢力に抗して、スプール62が先端側(低圧側、端面50m側)に移動する。検出ユニット61は磁石63の移動による磁界の変化を検出し、検出結果を外部機器に送信する。検出結果が空間S1と空間S2との差圧が一定以上、すなわち濾材21の目詰まりが所定量を超えて発生している場合には、外部機器は、フィルタエレメント20の交換を促す表示を行う。
【0085】
また、濾材21の目詰まりは、フィルタエレメント20の稼働時間と略比例するため、ICタグ40でフィルタエレメント20の稼働時間を測定し、アンテナ51aがICタグ40の読み取りを行い、この読取結果を測定ユニット2から外部機器に送信することもできる。フィルタエレメント20の稼働時間が一定時間を経過したら、外部機器は、フィルタエレメント20の交換を促す表示を行う。交換後のフィルタエレメント20には、交換前のフィルタエレメント20と異なるICタグ40が設けられており、ICタグ40を読み取ることで交換後のフィルタエレメント20についても稼働時間の測定を行う。また、交換後のフィルタエレメントとしてICタグ40が設けられていない模造品等が使用された場合には、勿論ICタグ40が読み取れないため、外部機器はエラー表示をしたり、フィルタ装置を動作不可としたりすることができる。また例えば、交換後のフィルタエレメント20に設けられたICタグ40を読み取ることで、外部機器は、所定のフィルタエレメント以外のフィルタエレメントが設けられていることを判定することも可能である。
【0086】
本実施の形態によれば、測定ユニット2が差圧検出部60及びアンテナ部51を含むため、測定ユニット2をリターンフィルタ1に取り付けるだけで、差圧検出部60及びアンテナ51aをリターンフィルタ1に設けることができる。また、ケース50及び差圧検出部60の構成は従来の差圧検出装置と変わらないため、従来の差圧検出装置を測定ユニット2に変えることで、空間S1と空間S2との差圧の検出のみならず、フィルタエレメント20に設けられたICタグ40の読み取りも可能となる。特に、差圧検出部60とアンテナ部51とが異なる位置に配置されているため、差圧検出部60の機能及びアンテナ部51の機能がそれぞれ制限されない。
【0087】
また、本実施の形態によれば、測定ユニット2の先端側(端面50m側)の開口部からアンテナ51aが露出するようにしたため、測定ユニット2を孔31aに設けることで、アンテナ51aが孔31aの内周面側の開口から露出し、ヘッド30が金属製であったとしてもICタグ40の記録情報を正確に読み取ることができる。さらに、ICタグ40とアンテナ51aとが隣接するため、ICタグ40とアンテナ51aとを極力近くに配置することができ、飛距離(検知距離)が短いICタグ(例えば、HF帯)を用いたとしてもICタグ40の記録情報を正確に読み取ることができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51と磁界検出素子61cが重なるため、測定ユニット2を小型化することができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、プレート24を樹脂により形成したが、プレート24の材質は樹脂に限られない。プレート24は耐腐食性の高い材料であればよく、例えばステンレス等の金属であってもよい。プレート24を金属で形成する場合には、ICタグ40の端面をプレート24から露出させるか、プレート24にICタグ40が露出する開口を形成し、当該開口を樹脂等で塞ぐことが望ましい。
【0090】
なお、本実施の形態では、測定ユニット2に基板55及び基板61bを設けたが、基板55は必須ではない。基板55を設けない場合には、アンテナ線54は、穴50bの内部で略U字形状に曲げられ、アンテナ部51に設けられていない方の端が基板61bに設けられる。
【0091】
また、本実施の形態では、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51(アンテナ51a)と磁界検出素子61cとが重なるが、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51と磁界検出素子61cとが重ならなくてもよい。例えば、アンテナ部51を小さくし、中心軸ax2に沿って見たときに穴50aと穴50eとが重ならないようにし、穴50eの底面が端面50mに開口していてもよい。ただし、測定ユニット2を小型化するためには、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51と温度検出素子92が重なることが望ましい。
【0092】
また、本実施の形態では、フィルタ装置の一例であるリターンフィルタ1に測定ユニット2を設けたが、測定ユニット2が設けられるのはリターンフィルタ1に限られない。例えば、測定ユニット2を、濾材を有する様々なフィルタ装置に設けてもよい。フィルタ装置には、例えば、エアブリーザも含まれる。エアブリーザは、同心円状に設けられた2つの濾材を有し、測定ユニット2がエアブリーザに設けられると、差圧検出部60は内側の濾材の内部の圧力と大気圧との差圧を測定する。
【0093】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、測定ユニットに圧力計を設ける形態である。以下、第2の実施の形態にかかる測定ユニット3について説明する。測定ユニット3は、測定ユニット2と同様、リターンフィルタ1に設けるものである。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0094】
図5は、測定ユニット3の概略を示す断面図である。図5では断面を示すハッチングを一部省略する。
【0095】
測定ユニット3は、主として、ケース50Aと、アンテナ部51と、圧力検出部80と、を有する。圧力検出部80は、主として、検出ユニット81と、隔膜部82と、固定部材83と、取付部材84と、を有する。
【0096】
ケース50Aは、略円柱形状であり、アンテナ51a及び歪みゲージ82c(後に詳述、本発明のセンサに相当)が設けられる。
【0097】
また、ケース50Aには、穴50aと、穴50bと、孔50cと、穴50dと、穴50jと、孔50k(本発明の第7孔に相当)と、孔50l(本発明の第8孔に相当)とが設けられている。孔50kは、ケース50Aを径方向に貫通しており、両端が穴50jの底面近傍及びケース50Aの外周面に開口している。穴50jは、穴50aに開口する。孔50lは、両端が穴50d及び穴50jに開口している。
【0098】
ケースの中心軸ax2に沿って見たときに、孔50cと穴50jとは重ならないように配置されており、孔50cと孔50lとは重ならないように配置されている。
【0099】
穴50dには、検出ユニット81が設けられている。検出ユニット81は、略円筒形状であり、周囲に雄ねじ部81aが形成される。雄ねじ部81aを穴50dに形成された雌ねじ部50rに螺合させることで、検出ユニット81が穴50dの内部に設けられ、検出ユニット81の高さ(中心軸ax2に沿った方向の位置)が調整可能である。検出ユニット81の先端側(端面50m側)には、基板81b(本発明の第1基板に相当)が設けられている。言い換えれば、穴50dに基板81bが設けられている。
【0100】
穴50jは、一端が穴50aに開口する穴50ja(本発明の第5穴に相当)と、穴50jaの奥側(端面50n側)に設けられ、一端が穴50jaに開口する穴50jb(本発明の第6穴に相当)とを有する。穴50jaの内部には、主として、隔膜部82と、固定部材83と、取付部材84とが設けられる。
【0101】
隔膜部82は、穴50jaの底面に設けられている。固定部材83は、略円柱形状の部材であり、隔膜部82と当接する。取付部材84は、略円柱形状の部材であり、固定部材83と当接する。固定部材83の外周面に形成された雄ねじ部を穴50jaの内周面に形成された雌ねじ部50rに螺合させることで、隔膜部82及び固定部材83が穴50jaの内部に設けられ、隔膜部82及び固定部材83の高さが調整可能である。取付部材84が隔膜部82及び固定部材83を押し上げることで、固定部材83が隔膜部82に押し付けられ、隔膜部82が穴50jaの底面に押し付けられる。
【0102】
固定部材83は、穴50jaの中心軸ax3に略沿った孔83aを有し、孔83aは、固定部材83を貫通するように設けられている。また、取付部材84は、中心軸ax3に略沿った孔84aを有し、孔84aは、取付部材84を貫通するように設けられている。これにより、隔膜部82の先端側(端面50m側)の端面が孔83a、孔84a、孔51d及び穴50aを介して空間S2(図1参照)と連通し、濾過後の液体が隔膜部82の先端側の端面に導かれる。隔膜部82については、後に詳述する。
【0103】
穴50jbは、一端が穴50jaの底面に開口する。孔50kの一端が穴50jbに開口するため、隔膜部82の奥側(端面50n側)の端面が測定ユニット3の外部空間と連通する。
【0104】
中心軸ax2、ax3に沿って見たときに、孔83a及び孔84aは、穴50jbと重なる位置に設けられる。したがって、大気圧に対する空間S2の圧力に応じて隔膜部82を微小量だけ変形させることができる。
【0105】
孔50lは、穴50jと略平行な孔であり、一端が穴50jaに開口し、他端が穴50dに開口する。中心軸ax2に沿って見たときに、穴50jと孔50lとは重ならない。孔50lの内部にはケーブル85a、85bが設けられており、ケーブル85a、85bは歪みゲージ82c(後に詳述)で発生した電気信号を検出ユニット81(基板81b)に伝達する。
【0106】
図6は、圧力検出部80の概略を示す断面図である。図6では、断面を示すハッチングを一部省略する。図7は、隔膜部82の平面図である。図7では、隔膜部82の要部を透視している。
【0107】
隔膜部82は、略円板形状であり、穴50jaの底面と固定部材83とにより狭持される。隔膜部82は、主として、板82a、82bと、歪みゲージ82cと、環状部材82dと、を有する。
【0108】
板82a、82bは、金属製(例えば、ステンレス鋼)であり、歪みゲージ82c及び環状部材82dを両側から挟むように設けられている。ここで、板状部材とは、折り曲げ、巻取り等が困難な程度の厚さ(例えば、金属板なら略0.1mm以上)を有するものであり、折り曲げや巻取りが可能なシート及びフィルムより厚いものをいう。本実施の形態では、板82a、82bの厚さは略0.2mm~略0.3mmである。これにより、液体から圧力を受けたときに微小量の変形が可能であり、かつ、隔膜部82の強度を保つことができる。
【0109】
歪みゲージ82cは、板82a又は板82b(本実施の形態では、板82a)に設けられる。歪みゲージ82cは、内部に金属線が設けられており、測定対象物(ここでは、板82a又は板82b)の伸び縮みに従って金属線が伸び縮みし、金属線の電気抵抗の変化を測定することで測定対象物の伸び縮み(ひずみ)を求めるものである。金属線には、ケーブル85a、85bが接続されている。歪みゲージ82cの直径は、穴50ja及び孔83aの直径以下であることが望ましい。
【0110】
歪みゲージ82cは、環状部材82dの中空部に設けられている。環状部材82dは、略円環形状の板状部材であり、厚さが歪みゲージ82cよりも厚い。したがって、板82aと板82bとの間隔が歪みゲージ82cの厚さより広く、歪みゲージ82cのつぶれを防ぐことができ、歪みゲージ82cが板82a及び板82bの変形量を正確に検出することができる。
【0111】
環状部材82dは、ケーブル85a、85bが通る切り欠き82eが、環状部材82dの径方向に沿って形成されている。ケーブル85a、85bは、切り欠き82e及び板82aに形成された孔82fを介して隔膜部82の外部に導かれる。
【0112】
板82aと板82bとの間には、充填部材82gが充填されている。歪みゲージ82cの厚さは環状部材82dの厚さ(板82aと板82bとの間隔)より薄いが、板82aと板82bとの間に充填部材82gが充填されていることにより、歪みゲージ82cが、板82aの歪みだけでなく、板82bの歪みも検出することができる。充填部材82gは、高分子物質(一般的には分子量が10000以上のもの)により構成される高分子材料であり、樹脂、ゴム等が含まれる。
【0113】
ケース50Aには、穴50jbを囲むように溝50oが設けられている。また、固定部材83には、隔膜部82と当接する面83bに、孔83aを囲むように溝83cが設けられている。溝11c及び溝83cには、弾性変形可能な環状パッキン86(例えば、Oリング)が設けられている。また、固定部材83の側面83dには溝83eが設けられており、溝83eには弾性変形可能な環状パッキン87(例えば、Oリング)が設けられている。環状パッキン86、87により、隔膜部82の周囲から液体が漏れないようにする。
【0114】
図5の説明に戻る。歪みゲージ82cの検出結果は、ケーブル85a、85bにより基板81bに伝えられ、一端が基板81bに設けられた信号線74を介して測定ユニット2の外部に出力される。
【0115】
本実施の形態によれば、測定ユニット3が圧力検出部80及びアンテナ部51を含むため、測定ユニット2をリターンフィルタ1に取り付けるだけで、圧力検出部80及びアンテナ51aをリターンフィルタに設けることができる。また、ケース50A及び圧力検出部80の構成は従来の差圧検出装置と変わらないため、従来の差圧検出装置を測定ユニット3に変えることで、圧力の検知のみならず、フィルタエレメント20に設けられたICタグ40の読み取りも可能となる。
【0116】
なお、本実施の形態では、測定ユニット3に基板55及び基板81bを設けたが、基板55と基板81bのどちらか一方を備えていればよい。基板55を設けない場合には、アンテナ線54は、穴50bの内部で略U字形状に曲げられ、アンテナ部51に設けられていない方の端を基板81bに設ければよい。また、基板81bを設けない場合には、ケーブル85a、85bの歪みゲージ82cに設けられていない側の端を基板55に設ければよい。
【0117】
また、本実施の形態では、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51(アンテナ51a)と隔膜部82(歪みゲージ82c)とが重なるが、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51と隔膜部82とが重ならなくてもよい。例えば、アンテナ部51を小さくし、中心軸ax2に沿って見たときに穴50aと穴50jとが重ならないようにし、穴50jの底面が端面50mに開口していてもよい。ただし、測定ユニット3を小型化するためには、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51と隔膜部82が重なることが望ましい。
【0118】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態は、測定ユニットに温度検出素子を設ける形態である。以下、第3の実施の形態にかかる測定ユニット4について説明する。測定ユニット4は、測定ユニット2と同様、リターンフィルタ1に設けるものである。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0119】
図8は、測定ユニット4の概略を示す断面図である。図8では断面を示すハッチングを一部省略する。
【0120】
測定ユニット4は、主として、ケース50Bと、アンテナ部51と、温度検出部90と、を有する。温度検出部90は、主として、検出ユニット91と、温度検出素子92と、ケーブル93と、を有する。
【0121】
ケース50Bは、略円柱形状であり、アンテナ51a及び温度検出素子92(本発明のセンサに相当)が設けられる。
【0122】
また、ケース50Bには、穴50aと、穴50bと、孔50cと、穴50p(本発明の第4穴に相当)と、が設けられている。穴50pは、穴50bに開口する。ケースの中心軸ax2に沿って見たときに、孔50cと穴50pとは重ならないように配置されている。
【0123】
穴50pは、穴50bに開口する穴50paと、穴50paの奥側(端面50m側)に設けられ、穴50paに開口する穴50pbと、を有する。穴50pa及び穴50pbは、中心軸が略一致し、当該中心軸ax4は中心軸ax2と略平行である。
【0124】
穴50paには、検出ユニット91が設けられている。検出ユニット91は、略円筒形状であり、周囲に雄ねじ部91aが形成される。雄ねじ部91aを穴50paに形成された雌ねじ部に螺合させることで、検出ユニット91が穴50paの内部に設けられ、検出ユニット91の高さが調整可能である。検出ユニット91の先端側(端面50m側)には、基板91bが設けられている。言い換えれば、穴50dに基板91b(本発明の第1基板に相当)が設けられている。
【0125】
穴50pbの底面は、穴50aの底面に隣接している。穴50pbの底面近傍には、温度検出素子92が設けられている。温度検出素子92は、穴50aに流入する液体の温度を測定する。なお、温度検出素子92として、NTCサーミスタ、PTCサーミスタ等のサーミスタや各種熱電対を用いることができる。
【0126】
穴50pには、ケーブル93が設けられている。ケーブル93は、一端が温度検出素子92に設けられており、他端が基板91bに設けられている。ケーブル93は温度検出素子92で発生した電気信号を検出ユニット91に伝達する。そして、一端が基板91bに設けられた信号線74を介して温度検出素子92の検出結果が測定ユニット2の外部に出力される。
【0127】
本実施の形態によれば、測定ユニット4が温度検出部90及びアンテナ部51を含むため、測定ユニット4をリターンフィルタ1に取り付けるだけで、温度検出部90及びアンテナ51aをリターンフィルタに設けることができる。また、ケース50B及び温度検出部90の構成は従来の差圧検出装置と変わらないため、従来の差圧検出装置を測定ユニット4に変えることで、圧力の検知のみならず、フィルタエレメント20に設けられたICタグ40の読み取りも可能となる。
【0128】
なお、本実施の形態では、穴50aの直径が大きく、中心軸ax2に沿って見たときに穴50aと穴50pが重なるが、中心軸ax2に沿って見たときに穴50aと穴50pが重ならないようにケース50Bに穴50a及び穴50pを設けてもよい。つまり、本実施の形態では、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51(アンテナ51a)と温度検出素子92が重なるが、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51と温度検出素子92とが重ならなくてもよい。このときには、穴50pの底面が端面50mに隣接していることが望ましい。ただし、測定ユニット4を小型化するためには、中心軸ax2に沿って見たときにアンテナ部51と温度検出素子92が重なることが望ましい。
【0129】
また、本実施の形態では、測定ユニット4に基板55及び基板91bを設けたが、基板55と基板91bのどちらか一方を備えていればよい。基板55を設けない場合には、アンテナ線54は、穴50bの内部で略U字形状に曲げられ、アンテナ部51に設けられていない方の端を基板91bに設ければよい。また、基板91bを設けない場合には、ケーブル93の温度検出素子92に設けられていない側の端を基板55に設ければよい。
【0130】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態は、測定ユニットに設けられた差圧検出部の構造が異なる形態である。以下、第4の実施の形態にかかる測定ユニット5について説明する。測定ユニット5は、測定ユニット2と同様、リターンフィルタ1に設けるものである。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0131】
図9は、測定ユニット5の概略を示す断面図である。図5では断面を示すハッチングを一部省略する。また、図9では、ケーブル類の図示を一部省略する。
【0132】
測定ユニット5は、主として、ケース50Cと、アンテナ部51Aと、基板55と、カバー57と、差圧検出部60Aと、を有する。
【0133】
ケース50Cは、略筒状であり、孔50s、穴50t、孔50u、孔50v及び穴50wを有する。穴50wは、穴50tに開口する。孔50sは、一端が穴50wの底面に開口し、他端が端面50mに開口し、穴50tと測定ユニット5の外部空間とを連通する。孔50vは、ケース50Cを径方向に貫通しており、両端が穴50w及びケース50Cの外周面に開口している。
【0134】
穴50tには、基板55が設けられており、穴50t、50wには、差圧検出部60Aが設けられている。
【0135】
アンテナ部51Aは、略円環形状であり、ケース50Cの先端に設けられている。ここで、ケース50Cの端面50n側を根元側とし、根元側の反対側であるケース50Cの端面50m側を先端側とする。
【0136】
アンテナ部51Aは、主として、アンテナ(例えば、アンテナコイルパターン)50eと、カバー57と、を有する。アンテナ51eは、平面視略円板形状を有する板状の部材であり、ICタグ40との通信が可能である。アンテナ部51Aには、図示しないアンテナ線の一端が設けられている。このアンテナ線は、孔50uの内部に設けられており、アンテナ線の他端は、基板55に設けられている。
【0137】
基板55は、穴50tの内部に設けられており、図示しないICチップ等が実装されている。ICタグ40からの電波を受信すると、基板55は、受信信号を生成し、図示しない信号線を介して信号を出力する。
【0138】
孔50uの内部には、アンテナ線を覆うように充填剤58が設けられている。充填剤58は、例えば、高分子化合物を主成分とする接着剤である。このように、孔50uの内部を充填剤58で充填することで、燃料がケース50Cから漏れないようにする。
【0139】
カバー57は、弾性変形が可能な材料で形成されており、内部にアンテナ51eが設けられる略有底筒状の挿入部57aを有する。また、カバー57は、挿入部57aの中心に、穴57dの内部に挿入される突出部57bを有する。
【0140】
挿入部57aの上端は開口しており、突出部57bを孔50sに挿入することで、挿入部57aの上端がケース50Cにより覆われる。これにより、アンテナ51eが端面50mに隣接して配置され、かつ、アンテナ51eに作動油が触れないようにすることができる。また、突出部57bと穴57dとの間にシール部材(例えば、Oリング)53Aが設けられているため、アンテナ部51Aがケース50Cの先端に固定される。
【0141】
穴50t、50wには、取付部材66が設けられている。取付部材66は、根元側(基板55側)に設けられた穴66aと、先端側(アンテナ部51A側)に設けられた穴66cと、を有する。穴66aには、差圧検出部60Aの検出ユニット61が設けられている。
【0142】
差圧検出部60Aは、主として、検出ユニット61と、スプール62と、磁石63と、弾性部材64と、を有する。
【0143】
検出ユニット61の周囲に形成された雄ねじ部61aを穴66aに形成された雌ねじ部66bに螺合させることで、検出ユニット61が穴66aの内部に設けられ、検出ユニット61の高さ(中心軸ax2に沿った方向の位置)が調整可能である。
【0144】
検出ユニット61の先端側には、基板61bが設けられている。また、基板61bには、磁界検出素子61cが設けられている。言い換えれば、取付部材66を介して、穴50tに基板61b及び磁界検出素子61cが設けられている。
【0145】
スプール62は、穴50wの内部に設けられた筒状部の摺動部材67の内周面67aに沿って摺動する。
【0146】
弾性部材64は、例えばコイルばねであり、一端がスプール62に設けられ、他端が穴50wの底面に設けられる。弾性部材64は、スプール62を押し上げる方向の力をスプール62に付勢する。
【0147】
穴50wの底面とスプール62との間の空間は、カバー57の孔57cを介して、空間S1(図1参照)と連通する。スプール62と穴66cとの間の空間は、孔50vを介して、空間S2(図1参照)と連通する。
【0148】
磁石63は、スプール62の穴50wの底面と対向する面、すなわちスプール62の検出ユニット61側の面に設けられている。磁界検出素子61cは、ケース50Cの中心軸ax2に沿って見たときに磁石63と重なる位置に設けられている。
【0149】
濾材21の目詰まり等により空間S2(図1参照)の圧力が高くなると、弾性部材64の付勢力に抗して、スプール62が図9における下側に移動する。これに伴い、磁石63も図9における下側に移動して、磁石63が磁界検出素子61cから遠ざかる。磁界検出素子61cは、この磁石63の移動による磁束密度の変化を検出する。
【0150】
本実施の形態によれば、測定ユニット5が差圧検出部60A及びアンテナ部51Aを含むため、測定ユニット5をリターンフィルタ1に取り付けるだけで、差圧検出部60A及びアンテナをリターンフィルタ1に設けることができる。また、ケース50C及び差圧検出部60Aの構成は従来の差圧検出装置と変わらないため、従来の差圧検出装置を測定ユニット5に変えることで、空間S1と空間S2との差圧の検出のみならず、フィルタエレメント20に設けられたICタグ40の読み取りも可能となる。
【0151】
また、本実施の形態によれば、アンテナ部51Aがカバー57により覆われ、アンテナ部51Aが作動油に接触しないため、ICタグ40が読み取りやすくなる。
【0152】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態は、フィルタエレメントが略板状のICタグを有する形態である。以下、第5の実施の形態にかかるリターンフィルタ6について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0153】
第4の実施の形態にかかるリターンフィルタ6と本実施の形態にかかるリターンフィルタ1との差異は、ICタグの形状及び蓋体の形状のみである。図10は、リターンフィルタ6の断面図であり、一部を拡大表示した図である。図10では断面を示すハッチングを一部省略する。また、図10では、測定ユニット2の内部構造の詳細な図示を省略している。
【0154】
リターンフィルタ6は、タンクの内部に設けられるものであり、主として、フィルタケース10と、フィルタエレメント20Aと、ヘッド30Aと、ICタグ40Aと、測定ユニット2と、を有する。
【0155】
フィルタエレメント20Aは、主として、濾材21と、内筒23と、プレート24Aと、プレート25(図11では図示省略)と、ICタグ40Aとを有する。プレート24とプレート24Aとの差異は凸部24dの有無であり、プレート24Aは凸部24dを有しない。
【0156】
濾材21とプレート24Aとの間には接着剤45が封入されており、濾材21とプレート24Aとは接着剤45により接着されている。また、接着剤45により、ICタグ40Aがプレート24A(ここでは、板状部24a)に設けられる。
【0157】
図11は、フィルタエレメント20Aの平面図であり、プレート24Aを部分的に切断した図である。
【0158】
ICタグ40Aは、略中空円板形状であり、ICタグ40Aの内径は、濾材21の内径より大きい。したがって、濾材21とプレート24とを接着する接着剤45の内部にICタグ40Aが設けられる。
【0159】
図10の説明に戻る。筒状部31Aの側面を貫通する孔31aには、測定ユニット2が挿入されている。孔31aの内周面側の開口からアンテナ51aが露出する。筒状部31Aは、突起31bが設けられていない点で筒状部31と異なる。
【0160】
本実施の形態によれば、ICタグ40Aが略中空円板形状であるため、ICタグ40Aとアンテナ51aとの位置合わせが不要であり、リターンフィルタ6の組み立てが容易である。
【0161】
なお、本実施の形態では、測定ユニット2が筒状部31Aに設けられていたが、測定ユニット2が設けられるのは筒状部31Aに限られない。例えば、測定ユニット2がカバー32に設けられていてもよい。本実施の形態では、ICタグ40Aとアンテナ51aとの位置合わせが不要であるため、測定ユニット2を様々な位置に設けることができる。ただし、測定ユニット2をカバー32に設ける場合には、ICタグ40Aとアンテナ51aとを対向させるため、測定ユニット2の中心軸ax2が中心軸ax1と略平行であることが望ましい。
【0162】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0163】
また、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略円筒形状」とは、厳密に円筒形状の場合には限られず、例えば円筒形状と同一視できる場合を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0164】
また、「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0165】
1、6 :リターンフィルタ
2、3、4、5:測定ユニット
10 :フィルタケース
11 :底面
11c :溝
12 :流出部
12a :円筒部
12b :背圧バルブ
12c :第1円筒部
12d :第2円筒部
12e :底面
12f :流出孔
12g :流出孔
12h :弁体
12i :弾性部材
12j :弁座
13 :取付部材
20、20A :フィルタエレメント
21 :濾材
23 :内筒
24、24A、25:プレート
24a :板状部
24b、24c:筒状部
24d :凸部
25a :凹部
25b :孔
30、30A :ヘッド
31 :筒状部
31A :筒状部
31a :孔
31b :突起
32 :カバー
33 :取付部
34 :流路
35 :孔
40、40A :ICタグ
45 :接着剤
46、48 :シール部材
47 :バルブ
50、50A、50B、50C:ケース
50a、50b、50d、50e、50j、50ja、50jb、50p、50pa、50pb、50t、50w:穴
50c、50f、50k、50l、50s、50u、50v:孔
50g :凹部
50h :凹部
50m、50n:端面
50o :溝
50q :雄ねじ部
50r :雌ねじ部
51、51A :アンテナ部
51a、51e:アンテナ
51b、51c:アンテナ端子
51d :孔
52 :リテーナリング
53 :シール部材
54 :アンテナ線
55 :基板
56、57 :カバー
57a :挿入部
57b :突出部
57c :孔
57d :穴
58 :充填剤
59 :絶縁パイプ
60、60A :差圧検出部
61 :検出ユニット
61a :雄ねじ部
61b :基板
61c :磁界検出素子
62 :スプール
63 :磁石
64 :弾性部材
65 :Eリング
66 :取付部材
66a :穴
66b :雌ねじ部
66c :穴
67 :摺動部材
67a :内周面
71 :信号線
72、73 :電源ケーブル
74 :信号線
80 :圧力検出部
81 :検出ユニット
81a :雄ねじ部
81b :基板
82 :隔膜部
82a、82b:板
82c :歪みゲージ
82d :環状部材
82e :切り欠き
82f :孔
82g :充填部材
83 :固定部材
83a :孔
83b :面
83c :溝
83d :側面
83e :溝
84 :取付部材
84a :孔
85a、85b:ケーブル
86、87 :環状パッキン
90 :温度検出部
91 :検出ユニット
91a :雄ねじ部
91b :基板
92 :温度検出素子
93 :ケーブル
100 :タンク
100a :孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11