(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】電子機器およびその制御方法、プログラム、並びに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 23/53 20230101AFI20240207BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240207BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240207BHJP
G03B 7/091 20210101ALI20240207BHJP
G03B 13/06 20210101ALI20240207BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240207BHJP
G03B 17/20 20210101ALI20240207BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240207BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20240207BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20240207BHJP
【FI】
H04N23/53
H04N23/60
H04N23/63
G03B7/091
G03B13/06
G03B17/02
G03B17/20
G06F3/01 510
G06F3/0346 423
G06F3/038 310A
(21)【出願番号】P 2019223003
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 一基
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086063(JP,A)
【文献】特開2017-120272(JP,A)
【文献】特開平05-191686(JP,A)
【文献】特開平05-241063(JP,A)
【文献】特開平09-253050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/53 -23/63
G03B 7/091
G03B 13/06
G03B 17/02
G03B 17/20
G06F 3/01
G06F 3/0346
G06F 3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファインダーに対する物体の接近を検知可能な接近検知手段と、
前記ファインダー内に配置されている表示部に対する視線の位置を検出する視線検出手段と、
前記接近検知手段により物体が接近したことが検知されると前記視線検出手段を駆動させ、前記接近検知手段の駆動を停止するように制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記視線検出手段の検出結果に基づき、前記接近検知手段の駆動を停止した状態から駆動させ、前記接近検知手段を駆動するとともに前記視線検出手段の駆動を停止するように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記視線検出手段の検出結果は、瞳孔のデフォーカス量であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記視線検出手段の検出結果は、角膜反射像の輝度であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記視線検出手段の検出結果は、
前記角膜反射像の
複数の輝点の間隔であることを特徴とする請求項
3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記
複数の輝点の間隔が縮小方向に変化すると前記接近検知手段の駆動を停止した状態から駆動させるように制御することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、所定時間の前記
複数の輝点の間隔の変化量に応じて、
前記複数の輝点の間隔による判定閾値を変更することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記
複数の輝点の間隔の変化量が閾値以下の場合は
前記複数の輝点の間隔の判定閾値を小さくし、前記
複数の輝点の間隔の変化量が閾値を超える場合は
前記複数の輝点の間隔の判定閾値を大きくし、前記
複数の輝点の間隔が閾値以下の場合に前記視線検出手段の駆動を停止させ、前記接近検知手段を駆動させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御手段は、前記視線検出手段の検出結果に基づき、前記物体の接近を検知可能であるか否かを判定し、
前記制御手段は、前記視線検出手段により角膜反射像および瞳孔の少なくともいずれかが検出されなくなった場合に前記視線検出手段の検出結果に基づき物体の接近を検知できないと判定することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御手段は、前記接近検知手段により物体が接近したことが検知されるとファインダー内に配置されている表示部の表示をオンし、ファインダー外に配置されている表示部の表示をオフし、
前記接近検知手段により物体が接近したことが検知されなくなるとファインダー内に配置されている表示部の表示をオフし、ファインダー外に配置されている表示部の表示をオンするように制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
ファインダーに対する物体の接近を検知可能な接近検知手段と、
前記ファインダー内に配置されている表示部に対する視線の位置を検出する視線検出手段と、を有する電子機器の制御方法であって、
前記接近検知手段により物体が接近したことが検知されると前記視線検出手段を駆動させ、前記接近検知手段の駆動を停止するように制御する制御ステップを有し、
前記制御ステップでは、前記視線検出手段の検出結果に基づき、前記接近検知手段の駆動を停止した状態から駆動させ、前記接近検知手段を駆動するとともに前記視線検出手段の駆動を停止するように制御することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から9のいずれか1項に記載された電子機器の制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から9のいずれか1項に記載された電子機器の制御手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接近検知と視線検出を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの視線を検出し、視線に応じた入力を受け付ける技術がある。特許文献1には、背面ディスプレイにユーザの視線があるか否かを判定し、視線の有無によって、接眼検知部の駆動/停止を制御することで省電化する方法が記載されている。特許文献2には、光学ファインダーと撮影された画像を確認するディスプレイを有し、接眼検知または視線検出がなされた場合にディスプレイを非表示にすることで省電化する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-120272号公報
【文献】特開2003-198889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2において、接眼検知用のセンサと視線検出用のセンサが近接配置されている場合、それぞれのセンサから照射される光(センサ光)が互いに影響を及ぼし合い誤検出などを招くおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、接近検知用のセンサ光と視線検出用のセンサ光が互いに影響を及ぼし合わないようにする技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の電子機器は、ファインダーに対する物体の接近を検知可能な接近検知手段と、前記ファインダー内に配置されている表示部に対する視線の位置を検出する視線検出手段と、前記接近検知手段により物体が接近したことが検知されると前記視線検出手段を駆動させ、前記接近検知手段の駆動を停止するように制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記視線検出手段の検出結果に基づき、前記接近検知手段の駆動を停止した状態から駆動させ、前記接近検知手段を駆動するとともに前記視線検出手段の駆動を停止するように制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接近検知用のセンサ光と視線検出用のセンサ光が互いに影響を及ぼし合わないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態1、2の装置構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態1の接眼検知処理と視線検出処理の排他的な制御を示すフローチャート。
【
図4】赤外光を投光した人物の眼球像を例示する図。
【
図5】実施形態2の接眼検知処理と視線検出処理の排他的な制御を示すフローチャート。
【
図6】実施形態2の眼球像と眼球までの距離の関係を示す図(a)、P像間隔とP像間隔の変化方向と離眼判定閾値の関係を示す図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[実施形態1]
以下に、本発明の電子機器を、静止画や動画を撮影可能な撮像装置であるデジタルカメラに適用した実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<装置構成>
図1および
図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ100の構成および機能について説明する。
【0012】
図1(a)はデジタルカメラ100の前面斜視図、
図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。
【0013】
図1において、背面表示部101は、ユーザが視認可能に、画像や各種情報を表示する、ファインダー外であるカメラ本体の背面に設けられた液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスである。また、背面表示部101は、静止画撮影後の静止画再生や記録中の動画表示、およびライブビュー表示機能を併せ持っている。背面表示部101には、タッチパネル271が設けられている。タッチパネル271は、背面表示部101の表示面(タッチパネル271の操作面)対する接触(タッチ操作)を検出可能なタッチ検出手段である。ファインダー外表示部243は、カメラ本体の上面に設けられた液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスであり、シャッター速度や絞りなどのカメラの様々な設定値を表示する。
【0014】
シャッターボタン102は撮影指示を行うための押しボタン式の操作部材である。モード切替スイッチ103は各種モードを切り替えるためのダイヤル式の操作部材である。モード切替スイッチ103は、システム制御部201の動作モードを、静止画撮影モード、動画記録モード、再生モードのいずれかに切り替える。静止画撮影モードには、例えば、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)、が含まれる。また、静止画撮影モードには、例えば、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、プログラムAEモード、カスタムモードなどが含まれる。
【0015】
モード切替スイッチ103で、静止画撮影モードに含まれる複数のモードのいずれかに直接切り替える。あるいは、モード切替スイッチ103で静止画撮影モードに一旦切り替えた後に、静止画撮影モードに含まれる複数のモードのいずれかに他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画記録モードや再生モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0016】
端子カバー104は外部機器とデジタルカメラ100をUSBなどのケーブルを介して接続するためのコネクタ(不図示)を保護するカバー部材である。メイン電子ダイヤル105は
図2で後述する操作部270に含まれる回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル105を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値が変更できる。
【0017】
電源スイッチ106はデジタルカメラ100の電源のオン/オフを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル107は、選択枠の移動や画像送りなどを行う回転操作部材である。十字キー108は、上、下、左、右からなる4方向ボタンのいずれかを押し込むことで、十字キー108の押した部分に応じた操作が可能な移動指示部材である。SETボタン109は、主に選択項目の決定などに用いられる押しボタン式の操作部材である。録画ボタン110は、静止画撮影モードではライブビュー表示のオン/オフを切り替え、動画記録モードでは動画撮影(記録)の開始や停止の指示に用いられる押しボタン式の操作部材である。拡大ボタン111は、ライブビュー中における拡大表示のオン/オフ、および拡大表示中の拡大率の変更を行うために用いられる押しボタン式の操作部材である。また、拡大ボタン111は、再生モードでは再生画像を拡大し、拡大率を増加させるために使用される。拡大表示をオンとした後にメイン電子ダイヤル105を操作することでライブビューの拡大または縮小を行うことができる。また、再生モードでは再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。AEロックボタン112は、撮影待機状態で押下することにより露出状態を固定することができる押しボタン式の操作部材である。再生ボタン113は、撮影モードと再生モードとを切り替えるために用いられる押しボタン式の操作部材である。撮影モード中に再生ボタン113を押下することで再生モードに移行し、記録媒体250に記録された画像のうち最新の画像を背面表示部101に表示させることができる。メニューボタン114は、押下されると各種の設定可能なメニュー画面が背面表示部101に表示される押しボタン式の操作部材である。ユーザは、背面表示部101に表示されたメニュー画面と、十字キー108やSETボタン109を用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0018】
背面表示部101および後述するファインダー内表示部229は、電子ビューファインダー(以下、EVF)として上述した各種の動作モードに応じてシステム制御部201により表示制御される。
【0019】
接眼部216は、覗き込み型の接眼ファインダーである。ユーザは、接眼部216を介してファインダー内表示部229に表示された画像を視認可能であり、レンズユニット200を通じて取り込んだ被写体像の焦点や構図の確認を行うことができる。
【0020】
接眼検知部217は、接眼部216の近傍に配置され、接眼部216への何らかの物体の接近を検知することができる。接眼検知部217は、例えば赤外線近接センサが用いられる。
【0021】
通信端子210はデジタルカメラ100がレンズユニット200(
図2)と通信を行うための電気的接点である。蓋116はデジタルカメラ100に対して記録媒体250を着脱するためにスロットを開閉する部材である。グリップ部115は、ユーザがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状を有する。グリップ部115を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン102、メイン電子ダイヤル105が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル107が配置されている。
【0022】
次に、
図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ100およびレンズユニット200の内部構成について説明する。
図2において、
図1と共通する構成には同じ符号を付して示している。
【0023】
図2において、レンズユニット200は撮影レンズ207を搭載し、デジタルカメラ100に対して着脱可能である。撮影レンズ207は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して1枚のレンズのみで示している。通信端子206はレンズユニット200がデジタルカメラ100と通信を行うための電気的接点である。通信端子210はデジタルカメラ100がレンズユニット200と通信を行うための電気的接点である。レンズユニット200は、通信端子206を介してシステム制御部201と通信し、内蔵されたレンズ制御部204が絞り駆動回路202を制御して絞り205を駆動し、AF駆動回路203を制御して撮影レンズ207の位置を変位させることで焦点を合わせる。
【0024】
フォーカルプレーンシャッター221は、システム制御部201の指示に応じて撮像部222での露光時間を自由に制御できる。撮像部222は被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOS等の撮像素子で構成されたイメージセンサである。A/D変換器223は、撮像部222から出力される1画素のアナログ信号を、例えば10ビットのデジタル信号に変換する。
【0025】
画像処理部224は、A/D変換器223からのデータ、又は、メモリ制御部215からのデータに対して所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部224では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、システム制御部201は演算結果に基づいて露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部224では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0026】
メモリ制御部215は、A/D変換器223、画像処理部224、メモリ232の間のデータの授受を制御する。A/D変換器223から出力されるデジタルデータは、画像処理部224およびメモリ制御部215を介して、あるいは、メモリ制御部215を介してメモリ232に直接書き込まれる。メモリ232は、撮像部222およびA/D変換器223から得られる画像データや、背面表示部101またはファインダー内表示部229に表示するための画像表示用のデータを格納する。メモリ232は、所定枚数の静止画や所定時間の動画および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ232は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。
【0027】
D/A変換器219は、メモリ232に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して背面表示部101またはファインダー内表示部229に供給する。メモリ232に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器219を介して背面表示部101やファインダー内表示部229により表示される。背面表示部101やファインダー内表示部229は、表示デバイスにD/A変換器219からのアナログ信号に応じた表示を行う。このように、メモリ232に格納されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、背面表示部101またはファインダー内表示部229に逐次転送して表示することで、ライブビュー(LV)表示(スルー画像表示)を行うEVFとして機能する。
【0028】
ファインダー外表示部243には、ファインダー外表示部駆動回路244を介して、シャッター速度や絞りなどのカメラの様々な設定値が表示される。
【0029】
不揮発性メモリ256は、電気的に消去・記録可能な、例えばEEPROMなどである。不揮発性メモリ256には、システム制御部201の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、後述するフローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0030】
システム制御部201は、デジタルカメラ100全体を統括して制御するCPUやMPUを備え、不揮発性メモリ256に格納されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの各処理を実現する。システムメモリ252はRAMなどであり、システム制御部201の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ256から読み出したプログラムなどを展開するワークメモリとしても使用される。また、システム制御部201は、メモリ232、D/A変換器219、背面表示部101、ファインダー内表示部229などを制御することにより表示制御も行う。システムタイマー253は各種制御に用いる時間や、内蔵時計の時間を計測する計時部である。
【0031】
第1シャッタースイッチ211および第2シャッタースイッチ212はシステム制御部201に以下の動作指示を入力する。
【0032】
第1シャッタースイッチ211は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン102の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でオンとなり、第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。システム制御部201は、第1シャッタースイッチ信号SW1を受けて画像処理部224によって、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理などを開始する。
【0033】
第2シャッタースイッチ212は、シャッターボタン102の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でオンとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部201は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部222からの信号読み出しから記録媒体250に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理を開始する。
【0034】
操作部270は、ユーザからの各種操作を受け付けて、システム制御部201へ通知する各種スイッチ、ボタンなどの操作部材からなり、少なくとも以下の操作部材が含まれる。シャッターボタン102、モード切替スイッチ103、メイン電子ダイヤル105、電源スイッチ106、サブ電子ダイヤル107、十字キー108、SETボタン109、録画ボタン110、拡大ボタン111、AEロックボタン112、再生ボタン113、メニューボタン114。
【0035】
電源制御部280は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部280は、その検出結果およびシステム制御部201の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体250を含む各部へ供給する。
【0036】
電源部230は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる。記録媒体I/F218は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体250とのインターフェースである。記録媒体250は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0037】
通信部254は、無線アンテナや有線ケーブルによって外部機器と通信可能に接続し、映像や音声の送受信を行う。通信部254は無線LAN(Local Area Network)やインターネットにも接続可能である。通信部254は撮像部222で撮像された画像データ(ライブビュー画像を含む)や、記録媒体250に記録されている画像ファイルを外部機器に送信でき、また、外部機器から画像データやその他の各種情報を受信できる。なお、通信部254は、無線LANに限らず、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy、WirelessUSBなどの無線通信モジュール、あるいは、USBケーブルやHDMI(登録商標)、IEEE1394などの有線接続手段を用いてもよい。
【0038】
姿勢検知部255は重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部255で検知された姿勢に基づいて、撮像部222で撮影された画像が、デジタルカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像なのかを判別可能である。システム制御部201は、姿勢検知部255で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部222で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部255としては、加速度センサやジャイロセンサなどを用いることができる。姿勢検知部255は、加速度センサやジャイロセンサを用いることで、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止など)を検知することも可能である。
【0039】
なお、操作部270の1つとして、背面表示部101に対するタッチ操作を検出可能なタッチパネル271を有する。タッチパネル271と背面表示部101とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル271を光の透過率が背面表示部101の表示を妨げないように構成し、背面表示部101の表示面の上層に取り付ける。そして、タッチパネル271における入力座標と、背面表示部101上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザが背面表示部101上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUIを構成することができる。システム制御部201はタッチパネル271への以下の操作、あるいは状態を検出できる。
【0040】
・タッチパネル271にタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル271にタッチしたこと。すなわち、タッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)。
【0041】
・タッチパネル271を指やペンでタッチしている状態であること(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)。
【0042】
・タッチパネル271を指やペンでタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)。
【0043】
・タッチパネル271へタッチしていた指やペンを離したこと。すなわち、タッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)。
【0044】
・タッチパネル271に何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)。
【0045】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンであることも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出されるのもタッチオンが検出されている状態である。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0046】
これらの操作・状態や、タッチパネル271上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部201に通知され、システム制御部201は通知された情報に基づいてタッチパネル271上にどのような操作(タッチ操作)が行われたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル271上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル271上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作(ドラッグ)が行われたと判定するものとする。タッチパネル上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックと呼ぶ。フリックは、言い換えればタッチパネル271上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行われたと判定できる(ドラッグに続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)を同時にタッチして、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトと称する。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)と称する。タッチパネル271は、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。方式によって、タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0047】
接眼検知部217は接眼部216に対する目(物体)の接近(接眼)および離反(離眼)を検知する(接近検知)。システム制御部201は、接眼検知部217で検知された状態に応じて、背面表示部101とファインダー内表示部229の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。システム制御部201は、少なくとも撮影モード、かつ、表示先の切替が自動である場合において、非接眼中は表示先を背面表示部101とし、ファインダー内表示部229は非表示とする。また、接眼中は表示先をファインダー内表示部229とし、背面表示部101は非表示とする。
【0048】
物体が接近した場合は、接眼検知部217の投光部(図示せず)から照射された赤外光が反射して赤外線近接センサの受光部(図示せず)に入射される。赤外線近接センサで受光される赤外光の入射光量によって、接眼部216への何らかの物体の接近の検出と、物体が接眼部216からどの程度の距離まで近づいているか(接眼距離)を判別することができる。接眼部216への物体の接近を検知するとシステム制御部201がファインダー内表示部229の表示を開始させることが可能となる。これにより、ユーザが接眼部216を覗いたときにファインダー内表示部229を極力遅延なく表示可能となる。
【0049】
また、接眼検知部217は、非接眼状態(非接近状態)から、接眼部216に対して所定距離以内に近づく物体を検出した場合に接眼を検出したと判定し、システム制御部201に接眼検知通知を送信する。また、接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に離眼が検出したと判定し、システム制御部201に離眼検知通知を送信する。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は例えばヒステリシスを設けるなどして異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。これにより、システム制御部201は、接眼検知部217が検出した接眼状態もしくは離眼状態に応じて背面表示部101とファインダー内表示部229の表示制御を行う。
【0050】
なお、接眼検知部217は赤外線近接センサに限らず、接眼とみなせる目や物体の接近を検知できるものであれば他のセンサを用いてもよい。
【0051】
視線検出部260は、次のダイクロイックミラー262、結像レンズ263、視線検出センサ264、視線検出回路265、赤外発光素子266を含み、ユーザの視線の有無だけでなく視線の位置や動きを検出する。
【0052】
赤外発光素子266は、ファインダー画面内におけるユーザの視線位置を検出するための赤外光を発光するダイオードであり、ユーザの眼球(目)261に赤外光を接眼部216の中央付近に向けて照射する。赤外発光素子266から照射された赤外光は眼球(目)261で反射し、反射した赤外光はダイクロイックミラー262に到達する。ダイクロイックミラー262は赤外光だけを反射して可視光を透過させる機能を有し、光路を変更された反射赤外光は、結像レンズ263を介して視線検出センサ264の撮像面に結像する。
【0053】
結像レンズ263は視線検出光学系を構成する光学部材である。視線検出センサ264は、CCDやCMOSなどからなるイメージセンサを含む。視線検出センサ264は、入射された反射赤外光を電気信号に光電変換して視線検出回路265へ出力する。視線検出回路265は、視線検出センサ264の出力信号に基づき、ユーザの眼球(目)261の動きや瞳孔の位置からユーザの視線位置を検出し、検出した情報をシステム制御部201に出力する。視線検出センサ264は、人の目の瞳孔の検知が可能であるため、他の物体が接眼部216に接近または接触していても、人の視線が入力されていることを検知しない。これにより接眼部216は視線操作部としての機能を有するが、視線検出部は別の構成であってもよい。
【0054】
視線検出部260は接眼部216に接眼された状態で以下の情報を検出できる。
・接眼部216へ入力された瞳孔のエッジ161aと角膜反射像(プルキニエ像=P像)161bの少なくともいずれかの検出状態
・接眼部216へ入力されたP像161b間の距離、変化量および変化方向
これらの情報は内部バスを通じてシステム制御部201に通知され、システム制御部201は視線検出部260から通知された情報に基づいて接眼部216に対する接眼状態または離眼状態を判定する。
【0055】
なお、視線検出部260による視線入力機能の有効/無効は、例えば、メニュー画面を介してユーザが設定可能である。
【0056】
<制御処理>次に、
図3および
図4を参照して、実施形態1における、接眼検知処理と視線検出処理の排他的な制御について説明する。
【0057】
以下では、P像および瞳孔エッジの消失に基づく離眼判定に応じた接眼検知処理と視線検出処理の排他的な制御について説明する。
【0058】
図3(a)、(b)は、実施形態1の接眼検知処理と視線検出処理の排他的な制御を示すフローチャートである。
図3(a)、(b)の処理は、デジタルカメラ100の電源がオンされ、システム制御部201が、不揮発性メモリ256に格納されたプログラムをシステムメモリ252に展開して実行し、各部機能ブロックを制御することにより実現される。また、
図3(a)、(b)の処理は、デジタルカメラ100の電源がオンされると開始される。
【0059】
図3(a)において、S302では、システム制御部201は、接眼検知部217を検知可能な状態に切り替える。システム制御部201は、接眼検知部217の赤外投光部が外部に向けて赤外光を投光し、対物反射した赤外光を赤外受光センサにて受光可能な状態とする。
【0060】
S303では、システム制御部201は、接眼検知部217の検知結果に基づき、接眼部216に対してユーザが接眼状態か否かを判定する。システム制御部201は、接眼状態ではないと判定した場合はS310に進み、接眼状態であると判定した場合はS304に進む。
【0061】
S304では、システム制御部201は、背面表示部101の表示を停止(非表示)し、ファインダー内表示部229の表示を開始し、S305に進む。
【0062】
S305では、システム制御部201は、視線入力機能が有効であるか否かを判定し、視線入力機能が有効な場合はS306に進み、有効でない場合はS303に戻る。視線入力の有効/無効はメニューボタン114により(メニュー画面において)ユーザが設定可能である。
【0063】
S306では、システム制御部201は、接眼検知部217を非検知状態とし、接眼検知部217の赤外投光部および赤外受光センサの駆動を停止する。
【0064】
これにより、次のステップ以降で視線検出を行う際に接眼検知部217の赤外投光部から照射される赤外光の影響を視線検出部260が受けることなく動作可能となり視線検出時の誤検出を防止できる。また、接眼検知部217の赤外投光部の駆動を停止することで省電力化が可能になる。
【0065】
S307では、システム制御部201は、視線検出処理を行う。
図3(b)は、S307の視線検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【0066】
S3002では、システム制御部201は、視線検出部260を検出可能な状態とする。システム制御部201は、視線検出部260の赤外発光素子266を接眼部216に向けて照射し、視線検出センサ264を駆動し赤外光を検出可能な状態とする。これにより、接眼部216を介して赤外発光素子266がユーザの眼球に届き、さらに接眼部216を介して赤外光が視線検出センサ264へ届く。
【0067】
ここで、
図4を参照して、P像と瞳孔エッジについて説明する。
【0068】
図4は、赤外光を投光した人の眼球像を示している。赤外光を投光された眼球には、P像161bと呼ばれる1つまたは複数(
図4では2つ)の輝点が反射像として現れる。また、瞳孔は虹彩の中心部の穴であり、輝度差またはデフォーカス量から瞳孔のエッジ161aを検出することができる。
【0069】
S3003では、システム制御部201は、視線検出センサ264によりユーザの瞳孔画像を取得し、取得した画像を視線検出回路265に出力する。
【0070】
S3004では、システム制御部201は、視線検出回路265によりユーザの瞳孔のエッジ161aを取得する。
【0071】
S3005では、システム制御部201は、視線検出回路265によりユーザのP像161bを取得する。
【0072】
S3006では、システム制御部201は、瞳孔のエッジ161aから瞳孔の中心位置を計算し、P像161bとの関係から視線注視位置を算出する。
【0073】
S3007では、システム制御部201は、視線位置での各種設定変更を行い、視線検出処理を終了し、S308に進む。S3007においては、例えば注視点に対してカメラの焦点を合わせるように焦点調整位置を変更するなど、撮影条件における種々の設定変更を行う。
【0074】
S308では、システム制御部201は、接眼検知部217が瞳孔のエッジ161aおよびP像161bの少なくともいずれかを検出されたか否かを判定する。瞳孔のエッジ161aおよびP像161bのいずれか一方が少なくとも検出できた場合は接眼状態と判定し、S307に戻り視線検出を続け、いずれも検出できなかった場合は離眼状態と判定し、S309に進む。
【0075】
S309では、システム制御部201は、視線検出部260を非検出状態とする。システム制御部201は、赤外発光素子266および視線検出センサ264の駆動を停止する。
【0076】
S310では、システム制御部201は、背面表示部101を駆動し、ファインダー内表示部229の表示を停止する。
【0077】
S311では、システム制御部201は、ユーザにより電源スイッチ106がオフされたか否かを判定し、電源スイッチ106のオン状態が継続している場合はS302に戻り、接眼検知部217の検知状態を継続し、電源スイッチ106がオフ状態の場合はS312に進み、処理を終了する。
【0078】
以上のように、実施形態1によれば、接眼/非接眼状態を検知するための光と、視線位置の検出をするための光とが干渉することを防ぐことができる。実施形態1では、接眼状態または離眼状態の判定を視線検出部260の出力結果(ここでは、瞳孔のエッジ161a、P像161bの有無)に基づいて行う。これにより、接眼検知部217を非検知状態にしても接眼/離眼の判定が行えるため、接眼検知処理と視線検出処理を排他的に制御することが可能になる。そして、接眼検知部217の赤外投光部から照射される赤外光の影響を視線検出部260の視線検出センサ264が受けることなく動作可能となり視線検出時の誤検出を防止できる。また、視線検出部260の赤外発光素子266から照射される赤外光の影響を接眼検知部217の赤外受光センサが受けることなく動作可能となり接眼検知時の誤検知を防止できる。さらに、接眼検知処理と視線検出処理を排他的に制御することで省電効果も得ることが可能となる。
【0079】
[実施形態2]次に、
図5および
図6を参照して、実施形態2について説明する。
【0080】
実施形態2は、接眼検知処理と視線検出処理の排他的な制御において、P像の間隔およびP像間隔の変化方向を判定した結果に基づいて制御を行う方法である。
【0081】
図5は、実施形態2の接眼検知処理と視線検出処理の排他的な制御を示すフローチャートである。
【0082】
図5のS502からS507の処理とS513からS516の処理は、
図3(a)のS302からS307の処理とS309からS312の処理、
図3(b)と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
S508では、システム制御部201は、視線検出センサ264により取得したP像161b2点の間隔について、単位時間当たりの変化量を視線検出回路265が算出する。P像161b2点の間隔が縮小方向以外の場合(=拡大もしくは、距離の変化がない場合)は、S509に進み、縮小方向の場合はS511に進む。すなわち、ユーザの目が接眼部216から遠ざかっていると判定された場合には、S511に進み、そうでない場合は、S509へ進む。
【0084】
S509では、システム制御部201は、視線検出回路265でP像間隔の判定に用いるP像間隔判定閾値をαに設定する。
【0085】
S510では、システム制御部201は、視線検出回路265によりP像間隔が閾値α以下であるか否かを判定し、閾値α以下である場合は離眼状態であると判定してS513に進み、閾値αを超える場合はS507に進み、視線検出を続ける。
【0086】
S511では、システム制御部201は、視線検出回路265でP像間隔の判定に用いるP像間隔判定閾値をβに設定する。
【0087】
S512では、システム制御部201は、視線検出回路265によりP像間隔が閾値β以下か否かを判定し、閾値β以下である場合は離眼状態であると判定してS513に進み、閾値βを超える場合はS507に進み、視線検出を続ける。
【0088】
上記S508からS512の処理について、
図6を参照してP像間隔とP像間隔の変化方向に基づく離眼状態の判定方法を説明する。
【0089】
図6(a)は、実施形態2の眼球像と、デジタルカメラ100に対する眼球の近接距離の関係を概念的に示している。
図6(b)は、実施形態2のP像間隔の変化方向に対するP像間隔による離眼判定の閾値の関係を示している。
【0090】
図6(a)は、図中右端に接眼部216がある状態において、ユーザの顔の位置に対して視線検出センサ264により取得したP像161b間隔の変化を示している。接眼位置(i)の位置は接眼部216から65mm離れた位置であり、接眼検知部217で接眼状態と判定される位置境界条件である。この位置でのP像の距離間隔は狭く、仮に値Aとする。接眼位置(iii)の位置は接眼部216から23mm離れた位置であり、ユーザが顔の一部を接眼部216に接触させて把持した状態の位置である。この位置でのP像の距離間隔は広く、仮に値Cとする。接眼位置(i)と接眼位置(iii)の中間位置を(ii)とし、P像の距離間隔の値をBとすると、値の大きさは、下記の関係となる。
A<B<C
次に、
図6(b)を用いてP像間隔の変化方向に対するP像間隔による離眼判定閾値について説明する。前提として閾値以下のP像距離となった場合に離眼状態にあると判定する。縦軸はP像間隔の値を示し、横軸はP像間隔の変化方向(縮小方向とそれ以外(=拡大もしくは、変化しない)の二値)を示す。接眼位置(ii)と接眼位置(iii)間のある位置Xにユーザの顔がある場合、P像間隔の値はC以下、B以上の値となる。離眼判定の閾値をP像間隔が縮小方向以外においては閾値αとし、縮小する方向を閾値βとする。また各閾値の値は下記の関係とする。
α<A、β>C すなわち、α<βとなる。
【0091】
例えば、ユーザの顔が位置Xにある場合、P像間隔が縮小方向以外の場合(=拡大もしくは、変化しない場合)は、閾値はαとなり、P像間隔はαを超えるため、視線検出部260の検出結果に基づき接眼状態と判定する。P像間隔が縮小方向の場合は、閾値はβとなり、P像間隔はβ以下となるため、視線検出部260の検出結果に基づき離眼状態と判定する。
【0092】
閾値αを値A以下に設定することで、P像間隔が縮小方向以外の拡大方向である場合に確実に接眼状態であることを判定することができる。
【0093】
閾値βを値C以上に設定することで、P像間隔が縮小である際に確実に離眼状態であることを判定することができる。
【0094】
以上のように、実施形態2によれば、接眼/非接眼状態を検知するための光と、視線位置の検出をするための光とが干渉することを防ぐことができる。実施形態2では、赤外光の影響を低減すると共に、P像間隔とP像間隔の変化方向に基づき接眼状態または離眼状態を判定できる。これにより、ユーザの顔が接眼部216から近い位置でもなく、離れた位置でもないようなP像からだけでは判断ができない状態において、ユーザの意図を反映できるようになる。つまり、離眼して背面表示部101を見たいのか、接眼状態を維持したいのかがP像の距離の変化方向と閾値により判定できるようになり、よりユーザの望む機能を実行させることが可能になる。
【0095】
なお、システム制御部201が行うものとして説明した上述の各種制御は、1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0096】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0097】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これに限定されず、接眼検知機能および視線入力機能を有する装置であれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤ、ゲーム機、電子ブックリーダ、タブレット端末、スマートフォン、投影装置、ディスプレイを備える家電装置や車載装置などに適用可能である。
【0098】
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0099】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神および範囲から離脱することなく、様々な変更および変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0100】
100…デジタルカメラ、101…背面表示部(EVF)、201…システム制御部、216…接眼部、217…接眼検知部、229…ファインダー内表示部(EVF)、260…視線検出部