(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】光ビームを使用して材料を処理するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20240207BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20240207BHJP
G02B 27/09 20060101ALI20240207BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20240207BHJP
G02F 1/11 20060101ALI20240207BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20240207BHJP
H01S 3/00 20060101ALN20240207BHJP
【FI】
G02F1/01 C
H01S3/10
G02B27/09
B23K26/073
G02F1/11 502
G02B6/02 411
H01S3/00 B
(21)【出願番号】P 2019565416
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 US2018024889
(87)【国際公開番号】W WO2018217296
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】PCT/US2017/034848
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518172129
【氏名又は名称】エヌライト, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NLIGHT, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ビクター
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エイ リベラ
(72)【発明者】
【氏名】ダーブ エイ ブイ クリナー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー ファロー
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-221191(JP,A)
【文献】特表2006-510490(JP,A)
【文献】特表2004-515366(JP,A)
【文献】特開2011-134736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293306(US,A1)
【文献】特表2015-500571(JP,A)
【文献】国際公開第2008/123609(WO,A1)
【文献】特表2015-505068(JP,A)
【文献】特表2010-517112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0202264(US,A1)
【文献】特表2014-511125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0343703(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0208464(US,A1)
【文献】米国特許第5864430(US,A)
【文献】特開2008-20919(JP,A)
【文献】特表2004-532520(JP,A)
【文献】特表2003-500220(JP,A)
【文献】特表2005-510092(JP,A)
【文献】特開2002-350666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0086245(US,A1)
【文献】米国特許第5986807(US,A)
【文献】米国特許第7924500(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
H01S 3/00-3/30
B23K 26/00-26/70
G02B 6/00-6/02
G02B 6/245-6/25
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
G02B 6/46-6/54
G02B 27/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビーム、並びに第1屈折率分布(RIP)を有する第1長のファイバおよび前記第1RIPとは異なる第2RIPを有する第2長のファイバを使用して材料を処理する方法であって、
前記第1RIPを有する前記第1長のファイバ内に前記光ビームを発射するステップと、
前記第1長のファイバと前記第2長のファイバとを機能的かつ直接結合するファイバ-結合界面を介して、前記第1長のファイバから、前記第2RIPであって、複数の閉じ込め領域を規定する前記第2RIPを有する第2長のファイバ内に前記光ビームを結合するステップと、
摂動に基づいて第1状態から前記第1状態とは異なる第2状態に変化可能である1つ以上のビーム特性を
、1つ以上の材料を蝋付けする、被覆する、焼き付ける、加熱処理する、または溶接する、あるいはこれらの任意の組み合わせの内1つ以上である材料処理構成に基づいて、前記第1状態から
前記第2状態に変化させるために、
前記第1長のファイバを摂動することによって、前記第1長のファイバ内において
、前記光ビームの前記1つ以上のビーム特性を修正するステップと、
前記第2長のファイバの出力にて、前記1つ以上のビーム特性が修正された出力ビームを生成するステップ
であって、該1つ以上のビーム特性が修正された前記出力ビームを生成するステップは、前記第2長のファイバの前記複数の閉じ込め領域の少なくとも1つ内に、前記光ビームの前記修正された1つ以上のビーム特性を閉じ込めるステップを有する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、更に、
前記材料処理構成のために、前記出力ビームを使用するステップを含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のセンサからのプロセス内フィードバックに基づいて、1つ以上の材料の処理中に、前記1つ以上のビーム特性を調節するステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のセンサからのフィードバックに基づいて、1つ以上の材料を処理する工程間において、前記1つ以上のビーム特性を調節するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、前記1つ以上のビーム特性を前記第1状態から前記第2状態に変化させるために、摂動デバイスを1つ以上の離散刻みずつ調節するステップを含む、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、前記1つ以上のビーム特性を前記第1状態から前記第2状態に変化させるために、摂動デバイスを連続的に調節するステップを含む、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記出力ビームのビーム形状が非対称である、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、更に、
前記材料処理中に、1つ以上の材料に沿った前記出力ビームの進行方向を第1方向から第2方向に変更するステップを含み、
前記第1方向が前記第2方向と異なる、方法。
【請求項9】
請求項
8記載の方法において、前記第2方向が前記第1方向に対して逆である、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記修正するステップは、前記光ビームに対して横方向の変位を与えるステップを含む、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記第1長のファイバは、入力ファイバから前記光ビームを受け取る入力を含む、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記ファイバ-結合界面は屈折率整合材を含む、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記ファイバ-結合界面はスプライスを含む、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記第1長のファイバからの前記光ビームのビーム特性を前記第2長のファイバにおいて実質的に維持する、方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記第1状態は第1ビーム・パラメータ積(BPP)に対応し、前記第2状態は前記第1BPPとは異なる第2BPPに対応する、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記第1状態は第1スポット形状に対応し、前記第2状態は前記第1スポット形状とは異なる第2スポット形状に対応する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本願は、2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,650の優先権を主張して2017年5月26日に出願された国際出願PCT/US2017/034848号の一部継続出願である。本願は、2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,650号の優先権を主張して2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,411号の一部継続出願である。本願は、2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,650号の優先権を主張して2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,410号の一部継続出願である。本願は、2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,650号の優先権を主張して2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,399号の一部継続出願である。以上の出願をここで引用したことにより、これら全ての開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
技術分野
[0002] 本明細書において開示する主題は、一般的には、光ビームを使用して材料を処理する方法およびシステムに関する。また、本明細書において開示する主題は、光ビームを使用して、ファイバ結合レーザ(例えば、ダイオード・レーザ、ファイバ・レーザ、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(「YAG」)レーザ)またはダイオード・レーザ(例えば、ファイバ結合ダイオード・レーザ、自由空間ダイオード・レーザ)のようなレーザ・ビームを使用して、材料を処理する方法およびシステムに関する。
【従来技術】
【0003】
[0003] 高パワー・ファイバ結合レーザの使用は、材料処理、切断、溶接、および/または付加製造のような種々の用途において好評を博し続けている。これらのレーザには、例えば、ファイバ・レーザ、ディスク・レーザ、ダイオード・レーザ、ダイオード励起固体レーザ、およびランプ励起固体レーザが含まれる。これらのシステムでは、光パワーがレーザから作業片に光ファイバを通じて伝送される。
【0004】
[0004] 種々のファイバ結合レーザ材料処理作業では、異なるビーム特性(例えば、空間プロファイルおよび/または発散プロファイル)が要求される。例えば、厚い金属を切断し溶接するには、通常、薄い金属を切断するよりも大きなスポット・サイズが必要となる。理想的なのは、これらの異なる作業に対して最適化された処理を可能にするように、レーザ・ビーム・プロパティが調節可能であることであろう。従来では、ユーザは次の2つの選択肢を有する。(1)異なる作業に使用することができるがこれらの殆どに対して最適でない固定ビーム特性を有するレーザ・システムを採用する(即ち、性能と柔軟性との間の妥協)、または、(2)可変ビーム特性を提供するが、著しいコスト、サイズ、重量、複雑さ、およびおそらくは性能低下(例えば、光損失)または信頼性低下(例えば、ロバスト性低下または稼働時間の短縮)が加わるレーザ・システムあるいは付属品を購入する。 現在入手可能で、ビーム特性を変化させることができるレーザ・システムは、ビーム特性を変化させるためには、自由空間光学素子(free-space optics)または他の複雑で高価な後付けメカニズム(例えば、ズーム・レンズ、ミラー、並進可能なレンズまたはモータ駆動レンズ、コンバイナ等)の使用を必要とする。コスト、複雑さ、性能、および/または信頼性に関して著しい不利が加わる自由空間光学素子あるいはその他の余分な部品の使用に対する依存を最小限に抑えるまたは解消し、ビーム特性において所望の調節可能性を提供する解決策は存在しない。必要とされているのは、可変ビーム特性に対応し、自由空間光学素子の使用を必要としないまたは最小限に抑え、著しいコスト、複雑さ、性能の妥協、および/または信頼性低下を回避することができる、ファイバ内機器(in-fiber apparatus)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] 加えて、目の前の作業に合わせて個々に調整された(tailored)ビーム特性を操作する能力を設けることによって、例えば、ろう付け、被覆、焼き付け、熱処理、および溶接を伴う材料処理というような用途の有効性ならびに効率を高めることができる。このため、本業界は、可変ビーム特性を一貫して、予測可能に、そして素早く付与するためのファイバ内機器を求めている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本明細書では、少なくとも、光ビームを使用して材料を処理するための方法およびシステムを開示する。
【0007】
[0007] ある例では、光ビームを使用して材料を処理する方法は、第1屈折率分布(RIP)を有する第1長のファイバ内に光ビームを発射するステップと、第1長のファイバからの光ビームを、第2RIPと1つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバ内に結合するステップと、第1長のファイバにおいて、第2長のファイバにおいて、または第1および第2長のファイバにおいて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正するステップと、および/または第2長のファイバから、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正した、出力ビームを生成するステップとを含む。第1RIPは第2RIPと異なってもよい。1つ以上のビーム特性を修正するステップは、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変更するステップを含むことができる。第1状態は第2状態と異なってもよい。
【0008】
[0008] 段落[0007]の方法のある例では、この方法が、更に、第2長のファイバの1つ以上の閉じ込め領域内において、光ビームの修正された1つ以上のビーム特性を閉じ込めるステップを含むことができる。
【0009】
[0009] 段落[0007]または[0008]の方法のある例では、この方法が、更に、1つ以上の材料をろう付けする、被覆する、焼き付ける、加熱する、または溶接する、あるいはこれらの任意の組み合わせの内1つ以上にのために、出力ビームを使用するステップを含むことができる。
【0010】
[0010] 段落[0007]、[0008]、または[0009]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のセンサからのプロセス内フィードバックに基づいて、1つ以上の材料の処理中に、1つ以上のビーム特性を調節するステップを含むことができる。
【0011】
[0011] 段落[0007]、[0008]、[0009]、または[0010]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のセンサからのフィードバックに基づいて、1つ以上の材料を処理する工程間において、1つ以上のビーム特性を調節するステップを含むことができる。
【0012】
[0012] 段落[0007]、[0008]、[0009]、[0010]、または[0011]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるために、摂動デバイスを1つ以上の離散刻みずつ調節するステップを含むことができる。
【0013】
[0013] 段落[0007]、[0008]、[0009]、[0010]、[0011]、または[0012]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるために、摂動デバイスを連続的に調節するステップを含むことができる。
【0014】
[0014] 段落[0007]、[0008]、[0009]、[0010]、[0011]、[0012]、または[0013]の方法のある例では、出力ビームのビーム形状は非対称にすることができる。
【0015】
[0015] 段落[0007]、[0008]、[0009]、[0010]、[0011]、[0012]、[0013]、または[0014]の方法のある例では、この方法が、更に、材料処理中に、1つ以上の材料に沿った出力ビームの進行方向(travel direction)を第1方向から第2方向に変化させるステップを含むことができる。第1方向は第2方向と異なってもよい。
【0016】
[0016] 段落[0007]、[0008]、[0009]、[0010]、[0011]、[0012]、[0013]、[0014]、または[0015]の方法のある例では、第2方向を第1方向に対して逆方向にすることができる。
【0017】
[0017] ある例では、光ビームを使用して材料を処理する方法は、第1屈折率分布(RIP)を有する第1長のファイバ内に光ビームを発射するステップと、光ビームを、第1長のファイバから、第2RIPと2つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバ内に結合するステップと、第1長のファイバにおいて、第2長のファイバにおいて、または第1および第2長のファイバにおいて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正するステップと、および/または第2長のファイバから、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正した、出力ビームを生成するステップとを含んでもよい。第1RIPは第2RIPと同じでもよい。1つ以上のビーム特性を修正するステップは、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるステップを含むことができる。第1状態は第2状態と異なってもよい。
【0018】
[0018] 段落[0017]の方法のある例では、この方法が、更に、光ビームの修正された1つ以上のビーム特性を、第2長のファイバの1つ以上の閉じ込め領域内に閉じ込めるステップを含むことができる。
【0019】
[0019] 段落[0017]または[0018]の方法のある例では、この方法が、更に、1つ以上の材料をろう付けする、被覆する、焼き付ける、熱処理する、または溶接する、あるいはこれらの任意の組み合わせの内1つ以上にのために、出力ビームを使用するステップを含むことができる。
【0020】
[0020] 段落[0017]、[0018]、または[0019]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のセンサからのプロセス内フィードバックに基づいて、1つ以上の材料の処理中に、1つ以上のビーム特性を調節するステップを含むことができる。
【0021】
[0021] 段落[0017]、[0018]、[0019]、または[0020]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のセンサからのフィードバックに基づいて、1つ以上の材料を処理する工程間において、1つ以上のビーム特性を調節するステップを含むことができる。
【0022】
[0022] 段落[0017]、[0018]、[0019]、[0020]、または[0021]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるために、摂動デバイスを1つ以上の離散刻みずつ調節するステップを含むことができる。
【0023】
[0023] 段落[0017]、[0018]、[0019]、[0020]、[0021]、または[0022]の方法のある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップが、更に、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるために、摂動デバイスを連続的に調節するステップを含むことができる。
【0024】
[0024] 段落[0017]、[0018]、[0019]、[0020]、[0021]、[0022]、または[0023]の方法のある例では、出力ビームのビーム形状は非対称にすることができる。
【0025】
[0025] 段落[0017]、[0018]、[0019]、[0020]、[0021]、[0022]、[0023]、または[0024]の方法のある例では、この方法が、更に、材料処理中に、1つ以上の材料に沿った出力ビームの進行方向(travel direction)を第1方向から第2方向に変化させるステップを含むことができる。第1方向は第2方向と異なってもよい。
【0026】
[0026] 段落[0017]、[0018]、[0019]、[0020]、[0021]、[0022]、[0023]、[0024]、または[0025]の方法のある例では、第2方向を第1方向に対して逆方向にすることができる。
【0027】
[0027] 尚、以上の概略的な説明および以下に続く詳細な説明は例示であり、説明のために過ぎず、特許請求される本教示を限定するのではないことは理解されて当然である。
【0028】
[0028] 添付図面では、同様の参照番号は同様のエレメントを表し、添付図面は説明と共に本明細書に組み込まれその一部を構成し、ここで開示する技術の利点および原理を説明する。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、可変ビーム特性を有するレーザ・ビームを供給するためのファイバ構造の例を示す。
【
図2】
図2は、可変ビーム特性を有するビームを伝送するためのファイバ構造の例の断面図を示す。
【
図3】
図3は、可変ビーム特性を有するビームを供給するためのファイバ構造に摂動を起こす方法の例を示す。
【
図4】
図4は、異なるファイバ曲げ半径に対する第1長のファイバについて計算された最低次モード(LP
01)の空間プロファイルを示すグラフである。
【
図5】
図5は、ビーム特性を変化させるためのファイバがほぼ直線であるときの接合部における二次元強度分布の例を示す。
【
図6】
図6は、ビーム特性を変化させるためのファイバが折り曲げられ、第2長のファイバの特定の閉じ込め領域を優先的に励起させるように半径が選択されたときの接合部における二次元強度分布の例を示す。
【
図7】
図7は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図8】
図8は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図9】
図9は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図10】
図10は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図11】
図11は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図12】
図12は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図13】
図13は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図14】
図14は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図15】
図15は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図16】
図16は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図17】
図17は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図18】
図18は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図19】
図19は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図20】
図20は、可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームの発散角を変化させ、調節されたビームを閉じ込めるための第2長のファイバの例の断面図を示す。
【
図21】
図21は、可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームの発散角を変化させ、調節されたビームを閉じ込めるための第2長のファイバの例の断面図を示す。
【
図22A】
図22Aは、供給ファイバとプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図22B】
図22Bは、供給ファイバとプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図23】
図23は、供給ファイバと複数のプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図24】
図24は、本明細書において提示する種々の例にしたがって可変ビーム特性を提供するための種々の摂動アセンブリの例を示す。
【
図25】
図25は、光ファイバの修正特性を調節および維持するためのプロセスの例を示す。
【
図26】
図26は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図27】
図27は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図28】
図28は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図29】
図29は、光ビームを使用して材料を処理する方法の第1例を示す。
【
図30】
図30は、光ビームを使用して材料を処理する方法の第2例を示す。
【
図31】
図31は、光ビームを使用して材料を処理する機器の第1例を示す。
【
図32】
図32は、光ビームを使用して材料を処理する機器の第2例を示す。
【
図33】
図33は、光ビームを使用して材料を処理する機器の第3例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[0052] これより、添付図面を参照して、態様例について更に十分に説明する。しかしながら、本開示の例は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書において明記される例に限定されるように解釈してはならない。逆に、これらの例は、本開示に見落としがなく(thorough)完全であり、その範囲を当業者に漏らさずに伝えるように、提示されるのである。図面において、一部の詳細は簡略化される場合があり、および/または厳格な構造的精度、詳細、および/または尺度(scale)を維持するよりはむしろ理解を容易にするために描画される場合もある。例えば、層および領域の厚さが、明確化のために誇張されることもある。
【0031】
[0053] 尚、エレメントが他のコンポーネント「の上にある」(on)、「に接続される」(connected to)、「に電気的に接続される」(electrically connected to)、または「に結合される」(coupled to)と表現されるとき、これは他のコンポーネントの直接上にある、他のコンポーネントに接続される、他のコンポーネントに電気的に接続される、他のコンポーネントに結合されるのでもよく、または仲介するコンポーネントが存在してもよいことは理解されよう。対照的に、あるコンポーネントが他のコンポーネント「の直接上にある」(directly on)、「に直接接続される」(directly connected to)、「に直接電気的に接続される」(directly electrically connected to)、または「直接結合される」(directly coupled to)と表現されるとき、仲介するコンポーネントは存在しない。本明細書において使用する場合、「および/または」(and/or)という用語は、関連する品目の列挙の内その1つ以上の任意のまたはあらゆる組み合わせを含むものとする。
【0032】
[0054] 尚、第1、第2、第3等の用語が、種々のエレメント、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションを記述するために本明細書において使用されることがあるが、これらのエレメント、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションがこれらの用語によって限定されないことは理解されよう。これらの用語は、1つのエレメント、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションを他のエレメント、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションと区別するために使用されるに過ぎない。例えば、例の教示から逸脱することなく、第1エレメント、コンポーネント、領域、層、またはセクションを、第2エレメント、コンポーネント、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0033】
[0055] 本明細書において、1つのコンポーネントおよび/または構造(feature)の他の1つコンポーネントおよび/または構造、あるいは複数の他のコンポーネントおよび/または構造に対する関係を、図面に示される通りに記述するための説明を容易にするために、「直下に」(beneath)、「下に」(below)、「下位の」(lower)、「上方に」(above)、「上位の」(upper)等のような空間的相対語が使用される場合がある。尚、空間的相対語は、図に描かれる向き(1つまたは複数)に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きも包含することを意図していることは理解されよう。
【0034】
[0056] 本明細書において使用される用語は、特定の例を説明することを目的とするに過ぎず、例を限定することを意図するのではない。本明細書において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに違うことを規定するのでないならば、複数形も含むものとする。更に、「備える」(comprises)、「備えている」(comprising)、「含む」(includes)、および/または「含んでいる」(including)という用語は、本明細書において使用する場合、明言される構造、整数、ステップ、動作、エレメント、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の構造、整数、ステップ、動作、エレメント、コンポーネント、および/またはその集合体の存在あるいは追加を除外するのではないことも理解されよう。
【0035】
[0057] 開示する方法のいくつかの動作は、利便性の良い表示のために特定の順序で説明されるが、下記に説明される特定の言語によって特定の順序が必要とされない限り、この説明の方法が並べ替えを包含することは理解されてしかるべきである。例えば、順番に記載される動作が、場合によっては、並べ替えられても、または同時に実行されてもよい。更に、簡略化のために、添付図面は、開示されたシステム、方法、及び機器を他のシステム、方法、および機器と併用できる様々な方法を示さない場合がある。加えて、その説明は、「生じさせる」および「提供する」等の用語を使用して、開示する方法を説明することもある。これらの用語は、実行される実際の動作の高度な抽象概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、個々の実装に応じて異なるが、当業者によって容易に認識可能である。
【0036】
[0058] 特に別段定義されないのであれば、本明細書において使用する全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、当業者によって理解されるのと同じ意味を有するものとする。更に、一般に使用される辞書において定義されるような用語は、関連技術のコンテキストにおけるそれらの意味と一致する意味を有するように解釈されて当然であり、本明細書において明示的に定義されなければ、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されるべきでないことも理解されよう。
【0037】
[0059] 本開示は、可調節ビーム特性を使用する処理方法およびシステムを対象とする。
【0038】
定義
[0060] 本明細書において使用する場合の単語および用語の定義
【0039】
1.「ビーム特性」(beam characteristics)という用語は、光ビームを記述するために使用される以下の用語の内1つ以上を指す。一般に、最も関心のあるビーム特性は、用途または光学システムの詳細次第で異なる。
【0040】
2.「ビーム径」(beam diameter)という用語は、放射照度(強度)が最大放射照度の1/e2に等しい軸に沿ったビームの中心を横切る距離として定義される。本明細書において開示する例は、一般に、方位角方向対称モードで伝搬するビームを使用するが、楕円形または他のビーム形状も使用することができ、ビーム径は異なる軸に沿って異なることもあり得る。円形ビームは1つのビーム径によって特徴付けられる。他のビーム形状は、異なる軸に沿って異なるビーム径を有する可能性がある。
【0041】
3.「スポット・サイズ」(spot size)という用語は、最大放射強度の中心点から1/e2点までの半径方向距離(半径)である。
【0042】
4.「ビーム発散分布」(beam divergence distribution)という用語は、パワー対最大円錐角である。この量は、「角度分布」(angular distribution)または「NA分布」(NA distribution)と呼ばれることもある。
【0043】
5.レーザ・ビームの「ビーム・パラメータ積」(beam parameter product)(BPP)という用語は、ビーム半径(ビームのくびれにおいて測定される)とビーム発散半角(遠場において測定される)との積として定義される。BPPの単位は通例mm-mradである。
【0044】
6.「閉じ込めファイバ」(confinement fiber)は、1つ以上の閉じ込め領域を保有するファイバであると定義される。ここで、閉じ込め領域は、屈折率が低い方の領域(クラッディング領域)によって包囲された屈折率が高い方の領域(コア領域)を含む。閉じ込めファイバのRIPは、屈折率が低い方の領域(クラッディング領域)によって包囲された1つ以上の屈折率が高い方の領域(コア領域)を含んでもよく、光は屈折率が高い方の領域内において誘導される。各閉じ込め領域および各クラッディング領域は、ステップ・インデックス型(step-index) およびグレーデッド・インデックス型(graded-index)を含むがこれらに限定されない、任意のRIPを有することができる。閉じ込め領域は、同心円状であってもなくてもよく、更に円形、環状、多角形、弓状、楕円形、または不規則形状等、あるいはこれらの組み合わせのような種々の形状であってもよい。特定の閉じ込めファイバにおける閉じ込め領域は、全て同じ形状であってもよく、または異なる形状であってもよい。更に、閉じ込め領域は同軸状であってもよく、または互いに対してずれた軸を有してもよい。閉じ込め領域は、長手方向の中心軸を中心に均一の厚さでもよく、または厚さは長手方向の中心軸を中心に変化してもよい。
【0045】
7.「強度分布」(intensity distribution)という用語は、線分(1Dプロファイル)に沿った位置または平面(2Dプロファイル)上における位置の関数としての光強度を指す。線分または平面は、光の伝搬方向に対して垂直に取られるのが普通である。これは定量的プロパティである。
【0046】
8.「輝度」(luminance)とは、所与の方向に進む光の単位面積当たりの光度の測光尺度である。
【0047】
9.「M2係数」(M2 factor)(「ビーム品質係数」または「ビーム伝搬係数」とも呼ぶ)は、レーザ・ビームのビーム品質を定量化するための、次元がないパラメータであり、M2=1の場合回折限界ビームであり、M2値が大きくなるに連れて低いビーム品質に対応する。M2はBPPをλ/πで除算した値に等しく、ここで、λはミクロン単位のビームの波長である(BPPがmm-mrad単位で表される場合)。
【0048】
10.光学系の「開口数」(numerical aperture)または「NA」という用語は、その系が光を受け入れるまたは発することができる角度の範囲を特徴付ける、次元のない数値である。
【0049】
11.「光強度」(optical intensity)という用語は、正式な(SI)単位ではなく、表面上の単位面積当たりの入射パワーまたは平面を貫通する入射パワーを示すために使用される。
【0050】
12.「パワー密度」(power density)という用語は、単位面積当たりの光パワーを指すが、これは「光強度」(optical intensity)とも呼ばれる。
【0051】
13.「半径方向ビーム位置」(radial beam position)という用語は、ファイバ軸に対して垂直な方向におけるファイバ・コアの中心に関して測定されたファイバ内におけるビームの位置を指す。
【0052】
14.「放射輝度」(radiance)とは、光源(例えば、レーザ)の単位面積によって所与の方向に単位立体角当たり放出される放射光線(radiation)である。放射輝度は、ビーム強度分布および/またはビーム発散プロファイルもしくは分布を変化させることによって変更することができる。レーザ・ビームの放射輝度プロファイルを変化させる能力は、BPPを変化させる能力を暗示する。
【0053】
15.「屈折率分布」(refractive-index profile)または「RIP」は、ファイバ軸に対して垂直な線分(1D)に沿った位置、または平面(2D)における位置の関数とした屈折率を指す。多くのファイバは方位角方向に対称であり、この場合1D RIPはあらゆる方位角に対して同一となる。
【0054】
16.「ステップ・インデックス・ファイバ」(step-index fiber)は、ファイバ・コア内では平坦なRIPを有する(位置に関係ない屈折率)。
【0055】
17.「グレーデッド・インデックス・ファイバ」(graded-index fiber)は、半径方向位置が増大するに連れて(即ち、ファイバ・コアの中心からの距離が増大するに連れて)屈折率が減少するRIPを有する。
【0056】
18.「二乗分布型ファイバ」(parabolic-index fiber)は、グレーデッド・インデックス・ファイバの特異事例であり、ファイバ・コアの中心からの距離が増大するに連れて、屈折率が二次関数的に減少する。
【0057】
19.「付加製造」(additive manufacturing)という用語は、除去製造および形成的製造方法論とは異なり、三次元(「3D」)モデル・データから、大抵の場合積層して、部品を作るために材料を接合する(join)プロセスを指す。例えば、粉末床溶融結合(powder bed fusion)は1つの一般的な付加材料プロセスである。
【0058】
20.「溶融する」(fuse)および「溶融」(fusing)という用語は、焼結、溶解(例えば、部分的にまたは完全に溶解する)、化学接合、または熱を使用して粒子を一緒に接合する任意の他の現象(例えば、加熱による2つ以上の材料の合体)を意味する。
【0059】
21.「メルト・プール」(melt pool)という用語は、光ビームもしくは他の熱源(当業界では、「溶融帯」(fusion zone)、「溶融プール」(molten pool)、または「溶接プール」(weld pool)としても知られる)からの熱の吸収によって作られる、処理対象材料、原材料、および/またはフィラーの実質的に液体状の混合物を指す。
【0060】
ビーム特性を変化させるためのファイバ
[0061] 本明細書において開示するのは、先に説明した従来の方法のコスト、複雑さ、光損失、またはその他の欠点を減らすことができ、可変ビーム特性(VBC)を有するレーザ・ビームを供給するように動作可能なファイバを提供するように構成された方法、システム、および機器である。このVBCファイバは、広範囲におよぶ多様な光ビーム特性を変化させるように構成される。このようなビーム特性は、VBCファイバを使用して制御することができ、つまり、ユーザが広く多様なレーザ処理用途の個々の要件に適するように、種々のビーム特性を調整する(tune)ことを可能にする。例えば、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、M2係数、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせを調整するために、VBCファイバを使用することができる。
【0061】
[0062] 一般に、開示する技術は、レーザ・ビームをファイバ内に結合し、このファイバにおいて、種々の方法の内任意のもの(例えば、ファイバを折り曲げる、または1つ以上の他の摂動を導入する)によってレーザ・ビームに摂動を起こしおよび/または第1長のファイバに摂動を起こすことによってレーザ・ビームの特性を調節することができ、調節したビーム特性を完全にまたは部分的に第2長のファイバにおいて維持することを伴う。第2長のファイバは、調節したビーム特性を維持する、および/または更に修正するように特別に構成される。ある場合には、第2長のファイバは、レーザ・ビームのその最終的な使用(例えば、材料処理)への伝達の間中、調節したビーム特性を保存する。第1および第2長のファイバは、同じファイバまたは異なるファイバを含んでもよい。
【0062】
[0063] 開示する技術は、レーザ・ファイバおよびファイバ結合レーザと適合する。ファイバ結合レーザは、通例、ステップ・インデックス型の屈折率分布(RIP)を有する伝送ファイバ、即ち、ファイバ・コア内の屈折率が平坦または一定である伝送ファイバを通じて出力を伝送する。実際には、伝送ファイバのRIPはファイバの設計によっては、完全に平坦ではない場合もある。重要なパラメータは、ファイバ・コア径(dcore)およびNAである。コア径は、通例、10~1000ミクロンの範囲内であり(しかし、他の値も可能である)、NAは、通例、0.06~0.22の範囲内である(しかし、他の値も可能であるx)。レーザからの伝送ファイバは、直接プロセス・ヘッドまたは作業片に導かれることもあり、あるいはファイバ間カプラ(FFC:fiber-to-fiber coupler)またはファイバ間スイッチ(FFS:fiber-to-fiber switch)に導かれることもあり、このカプラまたはスイッチが光を伝送ファイバからプロセス・ファイバに結合し、プロセス・ファイバがビームをプロセス・ヘッドまたは作業片に送信する。
【0063】
[0064] 殆どの材料処理ツール、特に、高パワー(>1kW)のものは、多モード(MM:multimode)ファイバを採用するが、一部は、dcoreおよびNA範囲の下端にある単一モード(SM)ファイバを採用する。SMファイバからのビーム特性は、ファイバ・パラメータによって一意に決定される。しかしながら、MMファイバからのビーム特性は、ファイバに結合されているレーザ源(1つまたは複数)からのビーム特性、ファイバへの発射(launching)または繋ぎ(splicing)条件、ファイバのRIP、ファイバの静的および動的外形(曲げ、渦巻き、動き、マイクロベンディング等)に応じて、変動する可能性がある(単位毎、および/またはレーザ・パワーや時間の関数として)。SMおよびMM双方の伝送ファイバについては、所与の材料処理作業にとってビーム特性が最適にならない場合があり、広範囲の作業にとって最適になることはありそうにないので、特定の処理作業に合わせてこれらをカスタム化するまたは最適化するために、系統的にビーム特性を変化させることを可能にしたいという要望が高まっている。
【0064】
[0065] 一例では、VBCファイバは第1長および第2長を有することができ、ビーム特性の所望の調節可能性を提供するために、伝送ファイバとプロセス・ファイバとの間におけるファイバ内デバイスとして介在させるように構成することができる。ビームの調節を可能にするために、摂動デバイスおよび/またはアセンブリをVBCファイバに近接して配置し、および/またはVBCファイバと結合し、ビーム特性がファイバの第1長において変更されるように、第1長においてビームに摂動を起こす役割を果たし、変更された特性は、ビームが第2長のファイバ内を伝搬する間保存されるか、または更に変更される。摂動を起こされたビームは、調節されたビーム特性を保存するように構成された第2長のVBCファイバ内に発射される。第1および第2長のファイバは、同じファイバでも異なるファイバでもよく、および/または第2長のファイバは閉じ込めファイバを構成することができる。第2長のVBCファイバによって保存されたビーム特性は、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、輝度、M2係数、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせの内任意のものを含むことができる。
【0065】
[0066]
図1は、ビーム特性を変化させるために自由空間光学素子の使用を必要とせずに、可変ビーム特性を有するレーザ・ビームを提供するためのVBCファイバの例100を示す。VBCファイバ100は、第1長のファイバ104と第2長のファイバ108とを含む。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、同じファイバでも異なるファイバでもよく、同じRIPまたは異なるRIPを有してもよい。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、スプライスによって一緒に接合されてもよい。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、他の方法で結合されてもよく、離間されてもよく、あるいは他の長さのファイバ、自由空間光学素子、糊、屈折率整合材(index-matching material)等、またはこれらの組み合わせのような、介在部品を介して接続されてもよい。
【0066】
[0067] 摂動デバイス110が、摂動領域106に近接して配置される、および/または摂動領域106を包み込む。摂動デバイス110は、デバイス、アセンブリ、ファイバ内構造、および/またはその他の機構(feature)でもよい。摂動デバイス110は、少なくとも、光ビーム102の1つ以上のビーム特性を調節するために、第1長のファイバ104または第2長のファイバ108、あるいはその組み合わせにおいて、光ビーム102に摂動を起こす。摂動デバイス110による摂動に応答するビーム102の調節は、第1長のファイバ104または第2長のファイバ、あるいはその組み合わせにおいて行われてもよい。摂動領域106は、種々の幅にわたって広がってもよく、更に第2長のファイバ108の一部に及んでも及ばなくてもよい。ビーム102がVBCファイバ100内を伝搬すると、摂動デバイス110は、ファイバに摂動を起こしビーム102の特性を調節するように、VBCファイバ100に物理的に作用することができる。あるいは、摂動デバイス110は、ビーム102のビーム特性を変更するために、直接ビーム102に作用してもよい。調節された後、摂動を起こされたビーム112はビーム102とは異なるビーム特性を有し、このビーム特性は第2長のファイバ108において完全にまたは部分的に保存される。他の例では、摂動デバイス110をスプライスに近接して配置する必要はない。更に、スプライスが全く不要となる場合もある。例えば、VBCファイバ100が1本のファイバである場合、第1長のファイバおよび第2長のファイバを離間させることができる場合、または小さな間隙をもって固定される場合である(空気で離間される、あるいは光セメントまたは屈折率整合材のような光材料で満たされる)。
【0067】
[0068] 摂動を起こされたビーム112は、第2長のファイバ108内に発射され、この中で、摂動を起こされたビーム112の特性はほぼ維持されるか、または摂動を起こされたビーム112が伝搬するに連れて発達し続け、第2長のファイバ108の出力において、調節されたビーム特性が得られる。一例では、新たなビーム特性は調節された強度分布を含むのでもよい。一例では、変更されたビーム強度分布は、第2長のファイバ108の種々の構造的に制限された閉じ込め領域内に保存される。つまり、ビーム強度分布は、特定のレーザ処理作業に合わせて最適化された所望のビーム強度分布に調整することができる。一般に、摂動ビーム112の強度分布は、それが第2長のファイバ108内を伝搬するに連れて発達し、第1長のファイバ104内における条件および摂動デバイス110によって起こされた摂動に応答して、 摂動を起こされたビーム112が入射する閉じ込め領域(1つまたは複数)を満たす。加えて、ビームが第2ファイバ内を伝搬するに連れて、発射条件およびファイバ特性に応じて角度分布も発達することがある。一般に、ファイバは、入力発散分布をほぼ保存するが、入力発散分布が狭い場合、および/またはファイバが不規則性を有するもしくは発散分布に摂動を起こす意図的な構造を有する場合、この分布を広げることができる。種々の閉じ込め領域、摂動、および第2長のファイバ108のファイバ構造(fiber feature)については、以下で更に詳しく説明する。ビーム102および112は、可変ビーム特性を提供するために、ビームがどのようにVBCファイバ100を伝搬するとよいか例示することを意図した概念的な抽象化であり、特定の光ビームの挙動を詳しくモデル化することを意図するのではない。
【0068】
[0069] VBCファイバ100は、PCVD(プラズマ化学蒸着)、OVD(外部蒸着)、VAD(気相軸付け法)、MOCVD(金属有機化学蒸着)、および/またはDND(直接ナノ粒子堆積)を含む種々の方法によって製造することができる。VBCファイバ100は、種々の材料を含むことができる。例えば、VBCファイバ100は、SiO2、GeO2がドープされたSiO2、ゲルマノシリケート、五酸化りん、ホスホシリケート、Al2O3、アルミノケイ酸塩等、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。閉じ込め領域は、フッ素、硼素等またはその任意の組み合わせがドープされたクラッディングによって囲まれるとよい。アクティブ・ファイバには他のドーパントが添加されてもよく、Er3+(エルビウム)、Yb3+(イッテルビウム)、Nd3+(ネオジウム)、Tm3+(ツリウム)、Ho3+(ホルミウム)等、またはこれらの任意の組み合わせのような希土類イオンを含む。閉じ込め領域は、フッ素または硼素のドーピングによって、閉じ込め領域よりも低い屈折率を有するクラッディングによって囲まれるとよい。あるいは、VBCファイバ100はフォトニツク結晶ファイバまたは微細構造ファイバを含んでもよい。
【0069】
[0070] VBCファイバ100は、種々のファイバ、光ファイバ、またはファイバ・レーザ・デバイスの内任意のものにおける使用に適しており、連続波およびパルス状ファイバ・レーザ、ディスク・レーザ、固体レーザ、またはダイオード・レーザ(物理的制約による以外には、パルス・レートは制限を受けない)を含む。更に、単にファイバだけでなく、平面導波路または他の種類の導波路における実装も、特許請求する技術の範囲内に該当する。
【0070】
[0071]
図2は、光ビームのビーム特性を調節するためのVBCファイバの例200の断面図を示す。一例では、VBCファイバ200はプロセス・ファイバとしてもよい。何故なら、これは材料処理のためにビームをプロセス・ヘッドに伝送することができるからである。VBCファイバ200は、接合部206において第2長のファイバ208に繋がれた第1長のファイバ204を含む。摂動アセンブリ210が、接合部206に近接して配置される。摂動アセンブリ210は、VBCファイバ200内を伝搬する光ビーム202のビーム特性の調節を可能にするように構成された種々のデバイスの内任意のものでよい。一例では、摂動アセンブリ210は、スプライス付近においてVBCファイバ200の曲げ半径および/または曲げ長を変化させる手段を提供することができるマンドレル(mandrel)および/または他のデバイスでもよい。摂動デバイスの他の例について、
図24に関して以下で論ずる。
【0071】
[0072] 一例では、第1長のファイバ204は、左側のRIPグラフによって示されるように、二乗分布型屈折率RIP212を有する。ビーム202の強度分布の殆どは、ファイバ204が直線状またはほぼ直線状であるときは、ファイバ204の中央に集中する。第2長のファイバ208は、右側のRIPグラフに示すようなRIP214を有する閉じ込めファイバである。第2長のファイバ208は、閉じ込め領域216、218、および220を含む。閉じ込め領域216は、2つの環状(またはリング形状)閉じ込め領域218および220によって囲まれた中央コアである。層222および224は、閉じ込め領域(216、218、および220)間における、屈折率がもっと低い材料の構造的バリアであり、一般に「クラッディング」領域と呼ばれる。一例では、層222および224は、フルオロケイ酸塩のリングを構成してもよく、ある実施形態では、フルオロケイ酸塩のクラッディング層は比較的薄い。他の材料も同様に使用することができ、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0072】
[0073] 一例では、ビーム202がVBCファイバ200に沿って伝搬すると、摂動アセンブリ210が物理的にファイバ208および/またはビーム202に作用して、そのビーム特性を調節し、調節されたビーム226を生成することができる。この例では、ビーム202の強度分布が摂動アセンブリ210によって修正される。ビーム202の調節後では、調節されたビーム226の強度分布は、外側の閉じ込め領域218および220に集中することができ、中央の閉じ込め領域216では比較的小さい強度となる。閉じ込め領域216、218、および/または220の各々はバリア層222および224において屈折率がもっと低い材料の薄い層によって分離されるので、第2長のファイバ208は、調節されたビーム226の調節された強度分布を実質的に維持することができる。ビームは、通例、所与の閉じ込め領域内で方位角方向に分散される(distribute)が、第2長のファイバ208に沿って伝搬する際に、閉じ込め領域間で(著しく)移行することはない。つまり、調節されたビーム226の調節されたビーム特性は、分離された閉じ込め領域216、218、および/または220内においてほぼ保存される。ある場合には、ビーム226のパワーが1つの領域に集中するのではなく、閉じ込め領域216、218、および/または220間で分割されることが望ましいこともあり、この条件は、しかるべく調節されたビーム226を生成することによって達成することができる。
【0073】
[0074] 一例では、コア閉じ込め領域216ならびに環状閉じ込め領域218および220は、溶融シリカ・ガラスで構成されてもよく、閉じ込め領域を定めるクラッディング222および224は、フルオロケイ酸塩ガラスで構成されてもよい。種々の閉じ込め領域(216、218、および220)を形成するためには、他の材料を使用してもよく、ゲルマノケイ酸塩、りんケイ酸塩、アルミノケイ酸塩等、またはこれらの組み合わせを含み、特許請求する主題がそれに限定されることはない。バリア・リング(222および224)を形成するには、溶融シリカ、ホウケイ酸等、またはこれらの組み合わせを含む他の材料を使用してもよく、特許請求する主題がそれらに限定されることはない。他の実施形態では、光ファイバまたは導波路は、種々のポリマー、またはプラスチック、または結晶材料を含む、またはこれらによって構成される。一般に、コア閉じ込め領域の屈折率は、隣接するバリア/クラッディング領域の屈折率よりも大きい。
【0074】
[0075] ある例では、ビーム・プロファイルを微調整するために、第2長のファイバにおける閉じ込め領域の数を増やして、ビーム変位に対するビーム制御の粒度を高めることが望ましい場合もある。例えば、閉じ込め領域は、段階的なビーム変位が得られるように構成されてもよい。
【0075】
[0076]
図3は、光ビームの可変ビーム特性を提供するためにファイバ200に摂動を起こす方法の例を示す。ファイバの曲げ半径を変化させると、ファイバ内におけるビームの半径方向ビーム位置、発散角、および/または放射輝度プロファイルを変化させることができる。VBCファイバ200の曲げ半径は、ステップ型マンドレル(stepped mandrel)またはコアを摂動アセンブリ210として使用することによって、スプライス接合部206を中心として、第1曲げ半径R
1から第2曲げ半径R
2に減少させることができる。加えてまたは代わりに、マンドレル(1つまたは複数)またはコアの係合長も変化させることができる。VBCファイバ200を摂動アセンブリ210に係合させるために、ローラ250を採用してもよい。一例では、ローラ250のファイバ200との係合量は、固定のマンドレル半径を用いて、強度プロファイルの分布をファイバ200の外側の閉じ込め領域218および220に移すように示されている。ファイバ200の曲げ半径を変化させるには、クランプ・アセンブリ(clamping assembly)、フレキシブル・チューブ(flexible tubing)等、またはその組み合わせを使用するというように、種々の他の方法があり、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。他の例では、特定の曲げ半径に対して、VBCファイバ200が曲げられる長さも、制御され再現可能な方法で、ビーム特性を変化させることができる。例では、曲げ半径、および/または特定の曲げ半径においてファイバが曲げられる長さを変化させることによっても、1つ以上のモードをファイバ・コアの中心から半径方向に移すことができるように、ビームの強度分布を修正する。
【0076】
[0077] 接合部206を跨ぐファイバの曲げ半径を維持することによって、光ビーム202の半径方向ビーム位置および放射輝度プロファイルのような調節されたビーム特性が、第2長のファイバ208に発射される前に、ビーム202の非摂動状態に戻らないことを確保する。更に、調節されたビーム226の位置、発散角、および/または強度分布を含む、調節された半径方向ビーム特性を、VBCファイバ200曲げ半径の減少度合いおよび/または曲げ長の度合いに基づいて変化させることができる。このように、この方法を使用すると、特定のビーム特性を得ることができる。
【0077】
[0078] この例では、第1RIP212を有する第1長のファイバ204は、接合部206において、第2RIP214を有する第2長のファイバ208に繋がれる。しかしながら、ビーム202のビーム特性の摂動を可能にする(例えば、マイクロベンディングによって)、更に調節されたビームの保存を可能にするように形成された1つのRIPを有する1本のファイバを使用することは可能である。このようなRIPは、
図17、
図18、および/または
図19に例示されるファイバにRIPと同様であってもよい。
【0078】
[0079]
図7~
図10は、VBCファイバ200(
図2および
図3において示した)に対する実験結果を示し、更に、摂動アセンブリ210がVBCファイバ200に作用してファイバを曲げたときの、VBCファイバ200の摂動に対するビーム応答も示す。
図4~
図6はシミュレーションであり、
図7~
図10は、SM1050nm光源からのビームが、40ミクロンのコア径を有する入力ファイバ(図示せず)に発射されたときの実験結果である。入力ファイバは、
第1長のファイバ204に繋がれている。
【0079】
[0080]
図4は、異なるファイバ曲げ半径402に対する第1長のファイバ204について計算された最低次モード(LP
01)のプロファイルを示すグラフの例400であり、ここでは、摂動アセンブリ210はVBCファイバ200を曲げることを伴う。ファイバの曲げ半径が減少するに連れて、VBCファイバ200のコアの中心404(r=0ミクロン)からコア/クラッディング界面(この例ではr=100ミクロンに位置する)に向けて遠ざかるように、モードが半径方向に移るように、VBCファイバ200内を伝搬する光ビームが調節される。これよりも高次のモード(LP
in)も、曲げによって移る。つまり、直線状またはほぼ直線状のファイバ(曲げ半径が非常に大きい)では、LP
01の曲線406は、VBCファイバ200の中心または中心付近を中心とする。約6cmの曲げ半径では、LP
01の曲線408は、VBCファイバ200の中心406から約40μmの半径方向位置に移される。約5cmの曲げ半径では、LP
01の曲線410は、VBCファイバ200の中心406から約50μmの半径方向位置に移される。約4cmの曲げ半径では、LP
01の曲線412は、VBCファイバ200の中心406から約60μmの半径方向位置に移される。約3cmの曲げ半径では、LP
01の曲線414は、VBCファイバ200の中心406から約80μmの半径方向位置に移される。約2.5cmの曲げ半径では、LP
01の曲線416は、VBCファイバ200の中心406から約85μmの半径方向位置に移される。尚、このモードの形状は比較的一定のままであり(コアのエッジに近づくまで)、これは二乗分布型RIPの特異なプロパティであることを注記しておく。このプロパティは、ある状況では望ましい場合もあるが、VBC機能のために必須であるのではなく、他のRIPが採用されてもよい。
【0080】
[0081] 一例では、VBCファイバ200を真っ直ぐにした場合、LP
01モードは、ファイバの中心に戻るように移る。つまり、第2長のファイバ208の目的は、ビームの調節された強度分布を、VBCファイバ200の中心から変位したた閉じ込め領域に「捕獲する」または閉じ込めることである。ファイバ204および208間のスプライスは、曲げ領域に含まれ、このために、移されたモード・プロファイルは、リング形状の閉じ込め領域218および220の一方に優先的に発射され、そうでなければ閉じ込め領域間で分散されることになる。
図5および
図6はこの効果を示す。
【0081】
[0082]
図5は、VBCファイバ200がほぼ直線状であるときの、第2長のファイバ208内の接合部206における二次元強度分布の例を示す。LP
01およびLP
inの大部分が、ファイバ208の閉じ込め領域216内にある。
図6は、VBCファイバ200が、第2長のファイバ208の閉じ込め領域220(最も外側の閉じ込め領域)を優先的に励起するように選択された半径で曲げられたときの、第2長のファイバ208内の接合部206における二次元強度分布を示す。LP
01およびLP
inの大部分が、ファイバ208の閉じ込め領域220内にある。
【0082】
[0083] 一例では、第2長のファイバ208の閉じ込め領域216の直径は100ミクロンであり、閉じ込め領域218は、直径が120ミクロンと200ミクロンとの間であり、閉じ込め領域220は、直径が220ミクロンと300ミクロンの間である。閉じ込め領域216、218、および220は、厚さ10μmのフルオロケイ酸塩のリングによって分離されており、これらの閉じ込め領域に対して0.22のNAが得られる。閉じ込め領域の内径および外径、閉じ込め領域を分離するリングの厚さ、閉じ込め領域に対するNA値、ならびに閉じ込め領域の数は、他のものも採用することができる。
【0083】
[0084] 再度
図5を参照して、先に記したパラメータを用いると、VBCファイバ200が直線状であるとき、パワーの約90%が中央の閉じ込め領域216内に収容され、パワーの約100%が閉じ込め領域216および218内に収容される。ここで
図6を参照すると、第2リング閉じ込め領域220を優先的に励起するようにファイバ200を曲げると、パワーのほぼ75%が閉じ込め領域220内に収容され、パワーの95%超が閉じ込め領域218および220内に収容される。これらの計算には、LP
01および2つのこれよりも高次のモードが含まれるが、これは2~4kWファイバ・レーザにおいては典型的である。
【0084】
[0085]
図5および
図6から、摂動アセンブリ210がファイバを曲げるためにVBCファイバ200に作用する場合、曲げ半径が、第1長のファイバ204のモード強度分布の第2長のファイバ208の異なる誘導閉じ込め領域(216、218、および220)との空間的重複を決定することは明らかである。つまり、曲げ半径を変化させると、第2長のファイバ208の出力において強度分布を変化させることができ、これによってビームの直径またはスポット・サイズを変化させ、こうしてその放射輝度およびBPP値も変化させることができる。このスポット・サイズの調節は、全ファイバ構造において遂行することができ、自由空間光学素子を伴わず、結果的に、先に論じた自由空間光学素子の欠点を低減または解消することができる。また、このような調節は、曲げ半径、曲げ長、ファイバ張力、温度、または以下で論ずるその他の摂動を変更する他の摂動アセンブリによって行うこともできる。
【0085】
[0086] 典型的な材料処理システム(例えば、切断または溶接ツール)では、プロセス・ファイバの出力が、プロセス・ヘッドによって、作業片においてまたはその近くで撮像される。つまり、
図5および
図6に示したように強度分布を変化させると、プロセスを所望通りに調整および/または最適化するために、作業片におけるビーム・プロファイルの変更(variation)が可能になる。以上の計算を目的にするためにのみ、2つのファイバに対して特定的なRIPを想定したが、他のRIPも可能であり、特許請求する主題がこれに関して限定されないことはない。
【0086】
[0087]
図7~
図10は、
図2に示したVBCファイバ200の種々の曲げ半径に対する、更に他の出力ビームを例示するために、実験結果(測定された強度分布)を示す。
【0087】
[0088]
図7において、VBCファイバ200が直線状であるとき、ビームはほぼ完全に閉じ込め領域216に閉じ込められる。曲げ半径が減少するに連れて、強度分布は大きな直径の方に移っていく(
図8~
図10)。
図8は、VBCファイバ200の曲げ半径が、閉じ込め領域218に優先的に強度分布を移すように選択されたときの強度分布を示す。
図9は、曲げ半径を更に減少させ、閉じ込め領域220および閉じ込め領域218に向かって外側に強度分布を移すように選択されたときの実験結果を示す。
図10において、最も小さい曲げ半径のとき、ビームはほぼ「ドーナツ・モード」となり、強度の殆どが最も外側の閉じ込め領域220に入っている。
【0088】
[0089] スプライス接合部206の一方側からの閉じ込め領域の励起にも拘わらず、強度分布は、ビームがVBCファイバ200内を伝搬するときの閉じ込め領域内部のスクランブリング(scrambling)のために、方位角方向にほぼ対称になる。ビームは、伝搬するときに、方位角方向にスクランブルするのが通例であるが、このプロセスを促進するために、種々の構造または摂動(例えば、コイル)を含ませることができる。
【0089】
[0090]
図7~
図10に示した実験に使用されたファイバ・パラメータについて、複数の閉じ込め領域に何らかの強度が存在したので、特定の閉じ込め領域だけが排他的に励起されることはなかった。この特徴は、ビーム強度分布をより平坦化するまたは分散することによって材料処理用途に最適化し、有利に活用することができる。所与の閉じ込め領域の励起をもっと明確にしなければならない用途では、異なるファイバRIPを採用すれば、この特徴を活用することができる。
【0090】
[0091]
図7~
図10に示す結果は、この実験において使用された特定のファイバに関するのであり、詳細は実施の詳細によって様々に変化する。具体的には、出力ビームの空間プロファイルおよび発散分布、ならびにそれらの曲げ半径に対する依存度は、採用される特定のRIP、スプライス・パラメータ、および第1ファイバに発射されるレーザ源の特性に依存する。
【0091】
[0092]
図2に示したものとは異なるファイバ・パラメータも使用してもよく、特許請求する主題の範囲内に入ることに変わりはない。具体的には、異なる入力ビーム・プロファイルとの適合性を促進するため、そして異なる出力ビーム特性を可能にするために、異なるRIPならびにコア・サイズおよび形状を使用してもよい。第1長のファイバに対するRIPの例には、
図2に示した二乗分布型の屈折率分布に加えて、他のグレーデッド・インデックス型分布、ステップ・インデックス、ペデスタル設計(pedestal design)(即ち、ファイバの中心からの距離が大きくなるに連れて累進的に屈折率が低くなるネスト状コア)、および屈折率値は同じであるが、中央コアおよび周囲のリングに対して種々のNA値を用いるネスト状コアによる設計が含まれる。第2長のファイバに対するRIPの例には、
図2に示した分布に加えて、閉じ込め領域の数が異なる閉じ込めファイバ、非均一な閉じ込め領域の厚さ、閉じ込め領域を囲むリングの厚さに対する異なるおよび/または非均一な値、閉じ込め領域に対する異なるおよび/または非均一なNA値、RIPの高屈折率および低屈折率部分に対する異なる屈折率値、円形以外の閉じ込め領域(楕円形、長円形、多角形、正方形、矩形、またはこれらの組み合わせのような領域)、更に
図26~
図28に関して更に詳しく論ずるようなその他の設計が含まれる。更に、VBCファイバ200、および本明細書において説明するVBCファイバの他の例は、2本のファイバの使用に限定されるのではない。ある例では、実施態様が1本のファイバまたは2本よりも多いファイバの使用を含んでもよい。ある場合には、ファイバ(1本または複数本)は軸方向に均一でなくてもよい。例えば、これらは、ファイバ・ブラグ・グレーティングまたは長周期グレーティングを含むことができ、あるいは直径がファイバの長さに沿って変化することも可能である。加えて、ファイバは、方位角方向に対称である必要はなく、例えば、コア(1つまたは複数)が正方形または多角形の形状を有することも可能である。種々のファイバ・コーティング(バッファ)を採用してもよく、高屈折率または屈折率整合コーティング(ガラス-ポリマー界面において光を除去する(strip))、および低屈折率コーティング(ガラス-ポリマー界面において全内部反射によって光を誘導する)を含む。ある例では、VBCファイバ200上に複数のファイバ・コーティングを使用してもよい。
【0092】
[0093]
図11~
図16は、第1長のファイバ内を伝搬する光ビームの摂動に応答して、VBCファイバにおけるビーム特性の調節を可能にするための、第1長のファイバの例の断面図を示す。第1長のファイバにおいて調節することができるビーム特性のいくつかの例には、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、輝度、M
2係数、NA、光強度プロファイル、パワー密度プロファイル、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせがある。
図11~
図16に示し以下で説明する第1長のファイバは、単なる例であり、VBCファイバ・アセンブリにおけるビーム特性の調節を可能にするために利用することができる種々の第1長のファイバの網羅的な列挙(recitation)を示すのではない。
図11~
図16に示す第1長のファイバに対する材料、適切なRIP、およびその他の変数の選択は、少なくとも、所望のビーム出力に依存する。多種多様なファイバ変数が考えられ、特許請求する主題の範囲内に入る。つまり、特許請求する主題がここで示される例によって限定されることはない。
【0093】
[0094]
図11において、第1長のファイバ1100は、ステップ・インデックス型分布1102を含む。
図12は、「ペデスタルRIP」(即ち、ステップ・インデックス領域と、これを取り囲むもっと大きなステップ・インデックスの領域とを含むコア)1202を含む第1長のファイバ1200を示す。
図13は、多重ペデスタルRIP(multiple-pedestal RIP)1302を含む第1長のファイバ1300を示す。
【0094】
[0095]
図14Aは、ドープ減少領域(down-doped region)1404によって囲まれたグレーデッド・インデックス型分布1418を含む第1長のファイバ1400を示す。ファイバ1400に摂動が起こされると、ファイバ1400においてモードが半径方向の外側に移る(例えば、ファイバ1400の曲げの間)として差し支えない。グレーデッド・インデックス型分布1402は、モード形状の維持または圧縮をも促進するように設計することができる。この設計は、ファイバの外周(即ち、ファイバ軸から変位したファイバ・コアの部分)に集中するビーム強度分布を有するビームを生成するように、ファイバ1400内を伝搬するビームの調節を促進することができる。先に説明したように、調節されたビームが、閉じ込め領域を有する第2長のファイバ内に結合されると、調節されたビームの強度分布を最も外側の閉じ込め領域内に捕獲し、ドーナツ形状の強度分布を得ることができる。ビーム・スポットが狭い外側閉じ込め領域を有すると、特定の材料処理作用を可能にするのに有用となる場合もある。
【0095】
[0096]
図14Bは、ファイバ1400と同様に、 ドープ減少領域1408によって囲まれたグレーデッド・インデックス型分布1414を含む第1長のファイバ1406を示す。しかしながら、ファイバ1406は、分布1412において見ることができるように、発散構造1410(低屈折率領域)を含む。発散構造1410は、周囲のコアよりも低い屈折率を有する材料のエリアである。ビームが第1長のファイバ1406に発射されると、発散構造1410からの屈折が、第1長のファイバ1406においてビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームの発散構造1410との空間的重複量、および発散構造1410とコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。発散構造1410は、入力発散分布および所望の出力発散分布に応じて、種々の形状を有することができる。一例では、発散構造1410は、三角形またはグレーデッド・インデックス形状を有する。
【0096】
[0097]
図15は、屈折率一定領域1504によって囲まれた二乗分布型屈折率の中央領域1502を含む第1長のファイバ1500を示し、屈折率一定領域1504は、それよりも屈折率が低い環状層1506によって囲まれている。低屈折率環帯1506は、ファイバ1500内を伝搬するビームを誘導するのを補助する。伝搬するビームが摂動を受けると、モードはファイバ1500において半径方向に外側に移る(例えば、ファイバ1500の曲げの間)。1つ以上のモードが半径方向の外側に移ると、二乗分布型屈折率領域1502はモード形状の保持を促進する。モードがRIP1510の屈折率一定領域に達すると、これらは低屈折率リング1506に衝突して(against)圧縮され、これによって、第2ファイバにおける最外側の閉じ込め領域の優先的励起が生ずる(
図14に示す第1ファイバRIPと比較して)。一実施態様では、このファイバ設計は、中央のステップ・インデックス・コアおよび1つの環状コアを有する閉じ込めファイバと相性がよい。RIPの二乗分布型屈折率部分1502は、閉じ込めファイバの中央のステップ・インデックス・コアと重複する。屈折率一定部分1504は、閉じ込めファイバの環状コアと重複する。第1ファイバの屈折率一定部分1504は、曲げによって、環状コアとの重複部分にビームを移動させやすくすることを意図している。このファイバ設計は、閉じ込めファイバの他の設計とも相性がよい。
【0097】
[0098]
図16は、誘導領域1604、1606、1608、および1616と、これらを取り囲み、これらよりも屈折率が低い層1610、1612、および1614とを含む第1長のファイバ1600を示す。屈折率が低い方の層1610、1612、および1614は、ステップ型であり、更に一般的には、全てが同じ値を有していない。ステップ・インデックス層は、摂動アセンブリ210(
図2参照)がファイバ1600に作用したときに、ビーム強度を特定の誘導領域(1604、1606、1608、および1616)に拘束する役割を果たすことができる。このように、ある範囲の摂動作用にわたって(ある範囲の曲げ半径、ある範囲の曲げ長、ある範囲のマイクロベンディング圧力、および/またはある範囲の音響光学信号にわたってというように) 調節されたビーム光が誘導領域に捕獲され、ビーム強度分布がファイバ1600においてもっと離れた半径方向位置に移される前に、一定の度合いの摂動許容度を考慮に入れるようにしてもよい。つまり、ビーム特性の変化は、階段状に制御することができる。誘導領域1604、1606、1608、および1616の半径方向の幅は、用途によって要求されてもよいように、所望のリング幅を達成するために調節することができる。また、誘導領域は、所望であれば、到達するビーム・プロファイルからより多くの断片の捕獲をし易くするために、もっと厚い半径方向幅を有することができる。領域1606はこのような設計の一例である。
【0098】
[0099]
図17~
図21は、第2長のファイバ(例えば、ファイバ208)において、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするように構成されたファイバの例を示す。これらのファイバ設計を「リング形状閉じ込めファイバ」と呼ぶ。何故なら、これらは、中央コアと、これを取り囲む環状またはリンク形状コアとを含むからである。これらの設計は単なる例に過ぎず、ファイバ内における、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするために使用することができる種々のファイバRIPの網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示す例に限定されることはない。更に、
図11~
図16に関して先に説明した第1長のファイバはいずれも、
図17~
図21において説明する第2長のファイバのいずれとでも組み合わせることができる。
【0099】
[00100]
図17は、VBCファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビーム特性を維持するおよび/または閉じ込めるための第2長のファイバの一例の断面図を示す。摂動を受けたビームが第1長のファイバから第2長のファイバ1700に結合されると、第2長のファイバ1700は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性の内少なくとも一部を、閉じ込め領域1704、1706、および/または1708の内1つ以上の中に維持することができる。ファイバ1700はRIP1702を有する。閉じ込め領域1704、1706、および/または1708の各々は、それよりも屈折率が低い層1710および/または1712によって取り囲まれている。この設計によって、第2長のファイバ1700が、調節されたビーム特性を維持することが可能になる。その結果、ファイバ1700によるビーム出力は、第1長のファイバにおいて修正されたままに、調節されたビームを受けて実質的に維持し、処理作業または他の用途に合わせてカスタム化することができる調節ビーム特性(adjusted beam characteristics)を、出力ビームに与える。
【0100】
[00101] 同様に、
図18は、VBCファイバ・アセンブリにおいて、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を維持するおよび/または閉じ込めるための第2長のファイバの例1800の断面図を示す。ファイバ1800はRIP1802を有する。しかしながら、閉じ込め領域1808、1810、および/または1812は、閉じ込め領域1704、1706、および1708とは異なる厚さを有する。閉じ込め領域1808、1810、および/または1812の各々は、それよりも屈折率が低い層1804および/または1806によって取り囲まれている。閉じ込め領域(および/またはバリア領域)の厚さを変化させることにより、調節されたビームを閉じ込めるようとする特定の半径方向位置を選択することによって、閉じ込められた調節放射輝度プロファイルの個別調整(tailoring)または最適化を可能にする。
【0101】
[00102]
図19は、可変ビーム特性を提供するように構成されたVBCファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームを維持するおよび/または閉じ込めるための、RIP1902を有する第2長のファイバの例1900の断面図を示す。この例では、閉じ込め領域1904、1906、1908、および1910の数および厚さは、ファイバ1700および1800とは異なり、バリア層1912、1914、および1916も異なる厚さのものとなっている。更に、閉じ込め領域1904、1906、1908、および1910は異なる屈折率を有し、バリア層1912、1914、および1916も異なる屈折率を有する。この設計は、更に、ファイバ1900内部の特定の半径方向位置への調節されたビーム放射輝度の閉じ込めおよび/または維持の一層粒度の高いあるいは最適化された個別調整を可能にするとして差し支えない。摂動を起こされたビームが第1長のファイバから第2長のファイバ1900に発射されると、ビームの修正されたビーム特性(調節された強度分布、半径方向位置、および/または発散角等、あるいはこれらの組み合わせを有する)が第2長のファイバ1900の閉じ込め領域1904、1906、1908、および/または1910の内1つ以上によって、特定の半径に閉じ込められる。
【0102】
[00103] 先に注記したように、ビームの発散角が保存されてもよく、または調節され次いで第2長のファイバにおいて保存されてもよい。ビームの発散角を変化させるには種々の方法がある。以下にあげるのは、ビーム特性を変化させるためのファイバ・アセンブリにおいて、第1長のファイバから第2長のファイバに伝搬するビームの発散角の調節を可能にするように構成されたファイバの例である。しかしながら、これらは単なる例に過ぎず、ビーム発散の調節を可能にするために使用することができる種々の方法の網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示される例に限定されることはない。
【0103】
[00104]
図20は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるための、RIP2002を有する第2長のファイバの例の断面図を示す。この例では、第2長のファイバ2000は、以前に説明した第2長のファイバと同様であり、先に論じたように可変ビーム特性を伝えるためのVBCファイバ・アセンブリの一部を形成する。3つの閉じ込め領域2004、2006、および2008、ならびに3つのバリア層2010、2012、および2016がある。また、第2長のファイバ2000は、閉じ込め領域2006内に位置する発散構造2014も有する。発散構造2014は、周りの閉じ込め領域よりも低い屈折率を有する材料のエリアである。ビームが第2長のファイバ2000に発射されると、発散構造2014からの屈折が、第2長のファイバ2000においてビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームと発散構造2014との空間的重複量、および発散構造2014とコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。第2長のファイバ2000への発射点付近においてビームの半径方向位置を調節することによって、発散分布を変化させることができる。ビームの調節された発散は、ファイバ2000内に保存される。ファイバ2000は、調節されたビームをプロセス・ヘッド、他の光学系(例えば、ファイバ間カプラまたはファイバ間スイッチ)、作業片等、またはこれらの組み合わせに伝送するように構成される。一例では、発散構造2014は、周りの材料に関して約10
-5~3×10
-2の屈折率の低下(dip)を有するとよい。屈折率低下の他の値も、本開示の範囲内で採用することもでき、特許請求する主題がそのように限定されることはない。
【0104】
[00105]
図21は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるための、RIP2102を有する第2長のファイバの例2100の断面図を示す。第2長のファイバ2100は、可変特性を有するビームを伝送するためのVBCファイバ・アセンブリの一部を形成する。この例では、3つの閉じ込め領域2104,2106、および2018、ならびに3つのバリア層2110、2112、および2116がある。また、第2長のファイバ2100は、複数の発散構造2114および2118も有する。発散構造2114および2118は、傾斜状に屈折率が低くなる材料のエリアである。ビームが第1長のファイバから第2長のファイバ2100に発射されると、発散構造2114および2118からの屈折が、ビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームと発散構造との空間的重複の量、ならびに、発散構造2114および/または2118とそれぞれの閉じ込め領域2106および2104の周りのコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。第2長のファイバ2100への発射点付近においてビームの半径方向位置を調節することによって、発散分布を変化させることができる。
図21に示す設計は、特定の閉じ込め領域と、この閉じ込め領域内における発散分布との双方を選択することによって、強度分布および発散分布をいくらか独立して変化させることを可能にする(各閉じ込め領域が発散構造を含んでもよいためである)。ビームの調節された発散は、ファイバ2100内に保存される。ファイバ2100は、調節されたビームをプロセス・ヘッド、他の光学系、または作業片に伝送するように構成される。発散構造2114および2118をグレーデッド・インデックス、即ち、一定でない屈折率によって形成することにより、ファイバ2100内を伝搬するビームの発散プロファイルの調整が可能になる。放射輝度プロファイルおよび/または発散プロファイルのような、調節されたビーム特性は、これが第2ファイバによってプロセス・ヘッドに伝送されるときに、保存することができる。あるいは、放射輝度プロファイルおよび/または発散プロファイルのような調節されたビーム特性は、これが第2ファイバによってファイバ間カプラ(FFC)および/またはファイバ間スイッチ(FFC)を介して、ビームをプロセス・ヘッドまたは作業片に伝送するプロセス・ファイバに導かれるときに、保存する、または更に調節することもできる。
【0105】
[00106]
図26~
図28は、方位角方向に非対称的な第2長のファイバ内を伝搬するビームの調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするように構成されたファイバおよびファイバRIPの例を示す断面図であり、ビーム特性は、第2長のファイバに結合された第1長のファイバの摂動、および/または摂動デバイス110によるビームの摂動に応答して調節される。これらの方位角方向に非対称的な設計は、単なる例に過ぎず、方位角方向に非対称的なファイバ内における、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするために使用することができる種々のRIPの網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示す例に限定されることはない。更に、種々の第1長のファイバ(例えば、先に説明したもののようなファイバ)の内任意のものが、任意の方位角方向に非対称的な第2長のファイバ(例えば、
図26~
図28において説明するもののようなファイバ)と組み合わされてもよい。
【0106】
[00107]
図26は、楕円状ファイバ2600を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。第1方位角2602において、ファイバ2600は第1RIP2604を有する。第1方位角2602から45°回転した第2方位角2606において、ファイバ2600は第2RIP2608を有する。第2方位角2606から更に45°回転した第3方位角2610において、ファイバ2600は第3RIP2612を有する。第1、第2、および第3RIP2604、2608、および2612は全て異なる。
【0107】
[00108]
図27は、多重コア・ファイバ2700を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。第1方位角2702において、ファイバ2700は第1RIP2704を有する。第2方位角2706において、ファイバ2700は第2RIP2708を有する。第1および第2RIP2704および2708は異なる。一例では、摂動デバイス110は、調節されたビームを、方位角方向に非対称的な第2ファイバの異なる領域に発射するために複数の平面において作用することができる。
【0108】
[00109]
図28は、少なくとも1つの三日月形状のコアを有するファイバ2800を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。ある場合には、三日月の角部を丸めても、平坦にしても、またはそれ以外の形状にしてもよく、こうすることによって光損失を最小限に抑えることができる。第1方位角2802において、ファイバ2800は第1RIP2804を有する。第2方位角2806において、ファイバ2800は第2RIP2808を有する。第1および第2RIP2804および2808は異なる。
【0109】
[00110]
図22Aは、可変ビーム特性を提供するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含むレーザ・システムの例2200を示す。VBCファイバ・アセンブリ2202は、第1長のファイバ104、第2長のファイバ108、および摂動デバイス110を含む。VBCファイバ・アセンブリ2202は、供給ファイバ2212(即ち、レーザ源からの出力ファイバ)とVBC伝送ファイバ2240との間に配置される。VBC伝送ファイバ2240は、調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込める、第2長のファイバ108または第2長のファイバ108の延長部を含んでもよい。ビーム2210は、供給ファイバ2212を通じて、VBCファイバ・アセンブリ2202に結合される。ファイバ・アセンブリ2202は、以上で説明した種々の例にしたがって、ビーム2210の特性を変化させるように構成される。ファイバ・アセンブリ2202の出力は、調節されたビーム2214であり、VBC伝送ファイバ2240に結合される。VBC伝送ファイバ2240は、調節されたビーム2214を自由空間光学素子アセンブリ2208に伝送し、次いで、自由空間光学素子アセンブリ2208はビーム2214をプロセス・ファイバ2204に結合する。次いで、調節されたビーム2214は、プロセス・ファイバ2204によって、プロセス・ヘッド2206に伝送される。プロセス・ヘッドは、導波路光学素子(ファイバおよびファイバ・カプラのような素子)、レンズ、ミラー、光学フィルタ、回折格子のような自由空間光学素子、検流計スキャナ、ポリゴン・ミラー・スキャナ、またはビーム2214を整形し整形したビームを作業片に伝送するために使用される他のスキャン・システムのようなビーム・スキャン・アセンブリを含むことができる。
【0110】
[00111] レーザ・システム2200では、調節されたビーム2214の種々の光学的操作(
図22Aにおいてビーム2210とは異なる点線(dashing)で表される)を実行するために、アセンブリ2208の自由空間光学素子の内1つ以上がFFCまたは他のビーム・カプラ2216内に配置されてもよい。例えば、自由空間光学素子アセンブリ2208は、ビーム2214の調節されたビーム特性を保存することもできる。プロセス・ファイバ2204は、VBC伝送ファイバ2240と同じRIPを有してもよい。つまり、調節されたビーム2214の調節されたビーム特性は、プロセス・ヘッド2206に至る経路の全てで保存することができる。プロセス・ファイバ2204は、閉じ込め領域を含む前述の第2長のファイバの内任意のものと同様のRIPを含んでもよい。
【0111】
[00112] あるいは、
図22Bに示すように、自由空間光学素子アセンブリ2208は、例えば、ビーム2214の発散および/またはスポット・サイズを増大あるいは減少させることによって(例えば、ビーム2214を拡大または縮小することによって)、および/またはそれ以外で更に調節されたビーム2214を修正することによって、ビーム2214の調節されたビーム特性を変化させることもできる。更に、プロセス・ファイバ2204は、VBC伝送ファイバ2240とは異なるRIPを有してもよい。したがって、プロセス・ファイバ2204のRIPは、2回調節されたビーム2224(
図22Bにおいてビーム2214とは異なる点線で表される)を生成するために、アセンブリ2208の自由空間光学素子によって行われる、調節されたビーム2214の追加の調節を保存するように選択されてもよい。
【0112】
[00113]
図23は、供給ファイバ2312とVBC伝送ファイバ2340との間に配置されたVBCファイバ・アセンブリ2302を含むレーザ・システムの例2300を示す。動作中、ビーム2310は、供給ファイバ2312を通じて、VBCファイバ・アセンブリ2302に結合される。ファイバ・アセンブリ2302は、第1長のファイバ104、第2長のファイバ108、および摂動デバイス110を含み、以上で説明した種々の例にしたがってビーム2310の特性を変化させるように構成される。ファイバ・アセンブリ2302は、調節されたビーム2314を生成し、VBC伝送ファイバ2340によって出力する。VBC伝送ファイバ2340は、以上で説明した種々の例にしたがって(例えば、
図17~
図21参照)ファイバ・アセンブリ2302において、調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるために第2長のファイバ108を含む。VBC伝送ファイバ2340は、調節されたビーム2314をビーム・スイッチ(FFS)2332に結合し、次いで、ビーム・スイッチ2332はその種々の出力ビームを、複数のプロセス・ファイバ2304、2320、および2322の内1つ以上に結合する。プロセス・ファイバ2304、2320、および2322は、調節されたビーム2314、2328、および2330を、それぞれのプロセス・ヘッド2306、2324、および2326に伝送する。
【0113】
[00114] 一例では、ビーム・スイッチ2332は、調節されたビーム2314の種々の光学的操作を実行するように構成された1組以上の自由空間光学素子2308、2316、および2318を含む。自由空間光学素子2308、2316、および2318は、ビーム2314の調節されたビーム特性を保存するまたは変化させることができる。つまり、調節されたビーム2314は、自由空間光学素子によって維持される、または更に調節されることが可能である。プロセス・ファイバ2304、2320、および2322は、自由空間光学素子アセンブリ2308、2316、および2318からそれぞれのプロセス・ファイバ2304、2320、および2322に進むビームを保存することまたは更に修正することが望ましいか否かに応じて、VBC伝送ファイバ2340と同じRIPまたは異なるRIPを有することができる。他の例では、ビーム2310の1つ以上のビーム部分が、調節されずに、作業片に結合されるか、または複数のビーム特性に関連付けられたビーム部分が同時作業片処理のために供給できるように、異なるビーム部分がそれぞれのVBCファイバ・アセンブリに結合される。あるいは、ビーム2310を1組のVBCファイバ・アセンブリの内1つ以上に切り替えることができる。
【0114】
[00115] 自由空間光学素子アセンブリ2208、2316、および2318の内任意のものを介して、調節されたビーム2314を導くことによって、種々の追加的に調節されたビームのプロセス・ヘッド2206、2324、および2326への伝送が可能になる。したがって、レーザ・システム2300は、ビームの特性を変化させる自由度を高め、更にプロセス・ヘッド間でビームを切り替える(「時分割」)、および/または複数のプロセス・ヘッドに同時にビームを伝送する(「パワー分割」)自由度も高める。
【0115】
[00116] 例えば、ビーム・スイッチ2332における自由空間光学素子は、ビーム2314の調節された特性を保存するように構成された自由空間光学素子アセンブリ2316に、調節されたビーム2314を方向付ける(direct)ことができる。プロセス・ファイバ2304は、VBC伝送ファイバ2340と同じRIPを有してもよい。つまり、プロセス・ヘッド2306に伝送されるビームは、調節され保存されたビーム2314となる。
【0116】
[00117] 他の例では、ビーム・スイッチ2332が、調節されたビーム2314の調節された特性を保存するように構成された自由空間光学素子アセンブリ2318に、調節されたビーム2314を方向付けることもできる。プロセス・ファイバ2320は、VBC伝送ファイバ2340とは異なるRIPを有してもよく、ビーム2314の発散分布に対して追加の調節を行うために、
図20および
図21に関して説明したような、発散変更構造が装備されても(configured with)よい。つまり、プロセス・ヘッド2324に伝送されるビームは、調節されたビーム2314とは異なるビーム発散プロファイルを有する、2回調節されたビーム2328となる。
【0117】
[00118] プロセス・ファイバ2304、2320、および/または2322は、以上で説明した第2長のファイバの内任意のものと同様のRIPを含んでも良く、閉じ込め領域または多種多様な他のRIPを含み、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0118】
[00119] 更に他の例では、自由空間光学素子アセンブリ2332が、調節されたビーム2314のビーム特性を変化させるように構成された自由空間光学素子アセンブリ2308に、調節されたビーム2314を方向付けるのでもよい。プロセス・ファイバ2322は、VBC伝送ファイバ2340とは異なるRIPを有してもよく、ビーム2314の新たに更に調節された特性を保存する(または、代わりに、更に修正する)ように構成されてもよい。つまり、プロセス・ヘッド2326に伝送されるビームは、調節されたビーム2314とは異なるビーム特性を有する(調節された発散プロファイルおよび/または強度プロファイルのために)2回調節されたビーム2330となる。
【0119】
[00120]
図22A、
図22B、および
図23では、FFCまたはFFSにおける光学素子は、ビーム2214がプロセス・ファイバ内に発射する前にビーム2214を拡大または縮小することによって、空間プロファイルおよび/または発散プロファイルを調節することができる。また、これらは、他の光学的変換(transformation)によって、空間プロファイルおよび/または発散プロファイルを調整することもできる。また、これらは、プロセス・ファイバへの発射位置を調節することもできる。これらの方法は、単独でも組み合わせても使用することができる。
【0120】
[00121]
図22A、
図22B、および
図23は、調節されたビーム2214および2314を保存または修正するために、自由空間光学素子およびファイバRIPの種々の組み合わせを使用する、ビーム特性に対する調節の組み合わせの例を示すに過ぎない。以上であげた例は、網羅的ではなく、例示を目的にするに過ぎないことを意味する。つまり、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0121】
[00122]
図24は、本明細書においてあげた種々の例にしたがって、VBCファイバ200、および/またはVBCファイバ200内を伝搬する光ビームに摂動を起こすための摂動デバイス、アセンブリ、または方法(簡単にするために、ここでは纏めて「摂動デバイス110」と呼ぶ)の種々の例を示す。摂動デバイス110は、VBCファイバ200内を伝搬するビームのビーム特性の調節を可能にするように構成された種々のデバイス、方法、および/またはアセンブリの内任意のものでよい。一例では、摂動デバイス110は、マンドレル2402、VBCファイバにおけるマイクロベンディング2404、フレキシブル・チュービング2406、音響光学変換器2408、熱デバイス(thermal device)2410、圧電デバイス2412、グレーティング2414、クランプ2416(または他の締結具)等、またはこれらの組み合わせでもよい。これらは、摂動デバイス100の例に過ぎず、摂動デバイス100の網羅的な列挙(listing)ではなく、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0122】
[00123] マンドレル2402は、VBCファイバ200を曲げることができる形状を与えることによって、VBCファイバ200に摂動を起こすために使用することができる。先に論じたように、VBCファイバ200の曲げ半径を小さくすると、ビームの強度分布が半径方向の外側に動く。ある例では、マンドレル2402は、離散曲げ半径レベルを得るために、ステップ型にしてもまたは円錐形状にしてもよい。あるいは、マンドレル2402は、曲げ半径を更に粒度高く制御するための連続曲げ半径が得られるように、段のない円錐形状を含んでもよい。マンドレル2402の曲率半径は、一定(例えば、円筒形状)であっても、一定でなくても(例えば、長円形状)よい。同様に、フレキシブル・チュービング2406、クランプ2416(または他の様々な締結具)、またはローラ250も、マンドレル2402の周りでVBCファイバ200の曲げを誘導および制御するために使用することができる。更に、特定の曲げ半径においてファイバを曲げる長さを変更することによって、ビームの強度分布を修正することができる。VBCファイバ200およびマンドレル2402は、第1ファイバ内における強度分布を予測可能に変化させるように構成することができる(例えば、ファイバを曲げる長さおよび/または曲げ半径に比例する)。ローラ250は、VBCファイバ200の曲げ半径を変化させるために、プラットフォーム2434上のトラック2442に沿って往復運動する(move up and down)ことができる。
【0123】
[00124] クランプ2416(または他の締結具)も、マンドレル2402を用いてまたは用いずに、VBCファイバ200の曲げを誘導および制御するために使用することができる。クランプ2416は、トラック2442またはプラットフォーム2446に沿って往復運動することができる。また、クランプ2416は、VBCファイバ200の曲げ半径、張力、または方向を変化させるために、旋回することもできる。コントローラ2448はクランプ2416の移動を制御することができる。
【0124】
[00125] 他の例では、摂動デバイス110は、フレキシブル・チュービング2406であってもよく、マンドレル2402を用いてまたは用いずに、VBCファイバ200の曲げを誘導することができる。フレキシブル・チュービング2406は、VBCファイバ200を包み込む(encase)ことができる。チュービング2406は、種々の材料で作ることができ、コントローラ2444によって制御される圧電変換器を使用して操作することができる。他の例では、クランプまたは他の締結具を使用して、フレキシブル・チュービング2406を移動させてもよい。
【0125】
[00126] VBCファイバのマイクロベンディング2404は、ファイバに対する横方向の機械的応力によって生ずる局所的な摂動である。マイクロベンディングは、ファイバ内において1つの閉じ込め領域から他の閉じ込め領域へのモード結合および/または移行の原因となる可能性があり、VBCファイバ200内を伝搬するビームのビーム特性を変化させる結果となる。機械的応力は、コントローラ2440によって制御されるアクチュエータ2436によって加えられてもよい。しかしながら、これは、ファイバ200において機械的応力を誘発する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0126】
[00127] 音波を使用してVBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、音響光学変換器(AOT:acousto-optic transducer)2408を使用することもできる。音波の発振する機械的圧力によるファイバの屈折率修正によって、摂動を生じさせる。音波の周期および強度は、音波の周波数および振幅に関係があり、音響摂動の動的な制御を可能にする。つまり、AOT2408を含む摂動アセンブリ110は、ファイバ内を伝搬するビームのビーム特性を変化させるように構成することができる。一例では、圧電変換器2418が音波を発生してもよく、コントローラまたはドライバ2420によって制御されてもよい。リアル・タイムでVBC200内において光ビームのビーム特性を変化させるおよび/または制御するために、AOT2408において誘発された音波を変調することができる。しかしながら、これはAOT2408を発生し制御する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0127】
[00128] 熱を使用してVBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、熱デバイス2410も使用することができる。熱によって誘発されるファイバのRIPの修正によって、摂動を生じさせる。ファイバに移転する熱の量、および熱が加えられる長さを制御することによって、摂動を動的に制御することができる。つまり、熱デバイス2410を含む摂動アセンブリ110は、ビーム特性の範囲を変化させるように構成することができる。熱デバイス2410は、コントローラ2450によって制御することができる。
【0128】
[00129] 圧電作用を使用して、VBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、圧電変換器2412を使用することができる。ファイバに取り付けられた圧電材料によって誘発されるファイバのRIPの修正によって、摂動を生じさせる。裸のファイバを囲むジャケットの形態とした圧電材料が、ファイバに張力または圧縮力を加えて、結果的に生ずる密度変化によって、その屈折率を修正することができる。摂動は、圧電デバイス2412への電圧を制御することによって動的に制御することができる。このように、圧電変換器2412を含む摂動アセンブリ110は、特定の範囲にわたってビーム特性を変化させるように構成することができる。
【0129】
[00130] 一例では、圧電変換器2412は、どのように圧電変換器2412がVBCファイバ200に取り付けられるか、圧電材料の分極方向、印加電圧等を含む種々の要素に応じて、種々の方向(例えば、軸方向、半径方向、および/または横方向)にVBCファイバ200を変位させるように構成することができる。加えて、圧電変換器2412を使用して、VBCファイバ200の曲げ加工も可能である。例えば、対向電極を含む複数のセグメントを有するある長さの圧電材料を駆動することによって、圧電変換器2412を横方向に曲げさせることができる。VBCファイバ200の変位を制御するために、電極2424によって圧電変換器2412に印加される電圧を、コントローラ2422によって制御することができる。リアル・タイムでVBCファイバ200における光ビームのビーム特性を変化させるおよび/または制御するために、変位を変調することができる。しかしながら、これは、圧電変換器2412を使用してVBCファイバ200の変位を制御する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0130】
[00131] グレーティング2414は、VBCファイバ200内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、使用することができる。グレーティング2414は、屈折率の周期的変動をコア内に刻み込むことによって、ファイバ内に書き込むことができる。ファイバ・ブラグ・グレーティングのようなグレーティング2414は、光ファイバとしてまたは反射器として動作することができる。長周期グレーティングは、共伝搬ファイバ・モード間で遷移を誘発することができる。したがって、元のモードの1つ以上を、異なる放射輝度および/または発散プロファイルを有する1つ以上の異なるモードに結合するために、長周期グレーティングを使用して、1つ以上のモードで構成されるビームの放射輝度、強度プロファイル、および/または発散プロファイルを調節することができる。調節は、屈折率グレーティングの周期または振幅(amplitude)を変化させることによって行われる。このような調節のためには、ファイバ・ブラグ・グレーティングの温度、曲げ半径、および/または長さ(例えば、引き伸ばし)を変化させるというような方法を使用することができる。グレーティング2414を有するVBCファイバ200をステージ2426に結合することができる。ステージ2426は、種々の機能の内任意のものを実行するように構成することができ、コントローラ2428によって制御することができる。例えば、ステージ2426は、締結具2430によってVBCファイバ200に結合されてもよく、締結具2430を使用して、てこの作用でVBCファイバ200を引き延ばすおよび/または曲げるように構成することもできる。ステージ2426は、埋め込み熱デバイスを有してもよく、VBCファイバ200の温度を変化させることができる。
【0131】
[00132]
図25は、ビーム特性を調節するために自由空間光学素子を使用せずに、ファイバ内においてビーム特性を調節および/または維持するためのプロセス例2500を示す。ブロック2502において、第1長のファイバおよび/または光ビームに摂動を起こし、1つ以上の光ビーム特性を調節する。プロセス2500はブロック2504に進み、ここで光ビームを第2長のファイバに発射する。プロセス2500はブロック2506に進み、ここで、調節されたビーム特性を有する光ビームを、第2長のファイバ内を伝搬させる。プロセス2500はブロック2508に進み、ここで、光ビームの1つ以上のビーム特性の内少なくとも一部を、第2長のファイバの1つ以上の閉じ込め領域内で維持する。第1および第2長のファイバは、同じファイバで構成されてもよく、またはこれらは異なるファイバであってもよい。
【0132】
光ビームを使用して材料を処理する機器
[00133] 光ビームを使用して材料を処理する機器は、例えば、
図1にしたがって光ビーム102の1つ以上のビーム特性を制御するために、第1長のファイバ104および第2長のファイバ108、ならびに摂動デバイス110とを含む、VBCファイバ100を備えることができる。光ビームを使用して材料を処理するためのこのような機器は、例えば、
図2にしたがって光ビーム202の1つ以上のビーム特性を制御するために、第1長のファイバ204および第2長のファイバ208と、摂動デバイス210とを含む、VBCファイバ200を備えることができる。
【0133】
[00134] 光ビームを使用して材料を処理するためのこのような機器は、例えば、
図11による第1長のファイバ1100、
図12による第1長のファイバ2100、
図13による第1長のファイバ1300、
図14Aによる第1長のファイバ1400、
図14Bによる第1長のファイバ1406、
図15による第1長のファイバ1500、または
図16による第1長のファイバ1600を備えることができる。
【0134】
[00135] 光ビームを使用して材料を処理するためのこのような機器は、例えば、
図17による第2長のファイバ1700、
図18による第2長のファイバ1800、
図19による第2長のファイバ1900、
図20による第2長のファイバ2000、または
図21による第2長のファイバ2100を備えることができる。
【0135】
[00136] ある例では、第1長のファイバ、第2長のファイバ、および摂動デバイスを、
図22Aまたは
図22BによるVBCファイバ・アセンブリ2202、あるいは
図23によるVBCファイバ・アセンブリ2302のような、ファイバ・アセンブリにおいて組み合わせることができる。
【0136】
[00137] 摂動デバイス(例えば、摂動デバイス110)は、処理中に、第1長のファイバ(例えば、第1長のファイバ104)において、第2長のファイバ(例えば、第2長のファイバ108)において、または第1および第2長のファイバにおいて、光ビーム(例えば、光ビーム102)の1つ以上のビーム特性を修正するように構成することができる。
【0137】
[00138] ある例では、摂動デバイス(例えば、摂動デバイス110)は、光ビーム(例えば、光ビーム102)の1つ以上のビーム特性を修正することができる。修正される1つ以上のビーム特性は、例えば、角度分布、方位強度分布、ビーム径、ビーム・プロファイル(例えば、ガウス状、フラットトップ(flat-top))、ビーム形状、発散、発散プロファイル、発散分布、BPP、強度分布、輝度、M2係数、NA、光強度、光学モード(例えば、フィルタリング)、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度(radiance)、空間断面分布、スポット形状、またはスポット・サイズ、あるいはこれらの任意の組み合わせの内1つ以上を含むことができる。
【0138】
[00139] ある例では、摂動デバイス(例えば、摂動デバイス110)によって実施される摂動は、曲げ、特定の長さへの曲げ、マイクロベンディング(micro-bending)、音響光学励起の適用、熱摂動、伸長、圧電摂動の適用、締め具(または他の締結具)の適用、格子の使用、またはこれらの任意の組み合わせの内1つ以上を含むことができる。
図24は、このような摂動デバイスの種々の例を示す。
【0139】
[00140] 光ビームを使用して材料を処理するためのこのような機器は、更に、例えば、
図22A、
図22B、および/または
図23によるファイバ結合レーザ(例えば、ダイオード・レーザ、ファイバ・レーザ)に関連付けられたレーザ・ビームのような、光ビームを生成するように構成された1つ以上の光ビーム源を備えることができる。
【0140】
[00141] 光ビームを使用して材料を処理するためのこのような機器は、更に、例えば、1つ以上のビーム・カプラ、ビーム・スイッチ、自由空間光学素子アセンブリ、プロセス・ヘッド、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。ある例では、VBCファイバ・アセンブリ(例えば、VBCファイバ・アセンブリ2202)からの調節されたビーム(例えば、調節されたビーム2214)の特性は、
図22Aによれば、伝送ファイバ(例えば、VBC伝送ファイバ2240)、自由空間光学素子アセンブリ(例えば、自由空間光学素子アセンブリ2208)、プロセス・ファイバ(例えば、プロセス・ファイバ2204)、および/またはプロセス・ヘッド(プロセス・ヘッド2206)において保存することができる。ある例では、VBCファイバ・アセンブリ(例えば、VBCファイバ・アセンブリ2202)からの調節されたビーム(例えば、調節されたビーム2214)の特性は、
図22Bによれば、伝送ファイバ(例えば、VBC伝送ファイバ2240)において保存することができるが、次いで、自由空間光学素子アセンブリ(例えば、自由空間光学素子アセンブリ2208)において更に修正され、次いで、二度調節されたビームをプロセス・ファイバ(例えば、プロセス・ファイバ2204)および/またはプロセス・ヘッド(プロセス・ヘッド2206)において保存することができる。ある例では、
図23によれば、VBCファイバ・アセンブリ(例えば、VBCファイバ2302)からの調節されたビーム(例えば、調節されたビーム2314)の特性は、伝送ファイバ(例えば、VBC伝送ファイバ2340)において保存することができるが、次いで、ビーム・スイッチ(例えば、ビーム・スイッチ2332)を使用して切り替えて保存すること、または1つ以上の自由空間光学素子アセンブリ(例えば、自由空間光学素子アセンブリ2308、2316、2318)において更に修正することができ、次いで、1回または2回調節されたビームを1つ以上のプロセス・ファイバ(例えば、プロセス・ファイバ2304、2320、2322)および/または1つ以上のプロセス・ヘッド(例えば、プロセス・ヘッド2306、2324、2326)において保存することができる。このような機器は、例えば、段落[00114]において論じたような、パワー分担および時分割のような選択肢に対応する。
【0141】
光ビームを使用して材料を処理する方法
[00142]
図29は、光ビームを使用して材料を処理する方法の第1例を示す。光ビームを使用して材料を処理する方法は、第1RIPを有する第1長のファイバ内に光ビームを発射するステップと、光ビームを第1長のファイバから、第2RIPと1つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバ内に結合するステップと、第1長のファイバにおいて、第2長のファイバにおいて、または第1および第2長のファイバにおいて光ビームの1つ以上のビーム特性を修正するステップと、および/または第2長のファイバから、光ビームの1つ以上のビーム特性が修正された出力ビームを生成するステップとを含む。第1RIPは第2RIPと異なってもよい。1つ以上のビーム特性を修正するステップは、1つ以上のビーム特性を第1状態(例えば、BPP=0.637mm-mrad)から第2状態(例えば、BPP=1.27mm-mrad)に変化させるステップを含むことができる。第1状態は第2状態と異なってもよい。
【0142】
[00143]
図29のブロック2902において、第1RIPを有する第1長のファイバ内に光ビームを発射する。光ビームを使用する材料処理において、例えば、ろう付け、被覆、焼き付け、熱処理、または溶接、あるいはこれらの任意の組み合わせのために、1つ以上の材料内に蓄熱するために、光ビームを使用することができる。
【0143】
[00144] 例えば、ファイバ・レーザによって光ビームを生成することができる。先に論じたように、このようなファイバ・レーザは、例えば、第1RIPを有する第1長のファイバと、第2RIPと1つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバと、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正するように構成された摂動デバイスとを備えることができる。
【0144】
[00145]
図29のブロック2904において、第1RIPを有する第1長のファイバから、第2RIPと1つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバに、光ビームを結合する。ある例では、第2長のファイバが1つの閉じ込め領域を有するとき、第1RIPは第2RIPとは異なってもよいが、第2長のファイバが2つ以上の閉じ込め領域を有するとき、第1RIPは第2RIPと同じでもまたは異なってもよい。
【0145】
[00146]
図29のブロック2906において、第1長のファイバにおいて、第2長のファイバにおいて、または第1および第2長のファイバにおいて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正する。
図29のブロック2904および2906に関して、この修正を結合の前に実行することができ(例えば、第1長のファイバにおいて修正する)、修正の前に結合を実行することができ(例えば、第2長のファイバにおいて修正する)、または結合および修正を同時に実行することができる(例えば、第1および第2長のファイバにおいて修正する)。
【0146】
[00147] 1つ以上のビーム特性を修正することは、更に、1つ以上のセンサからのプロセス内フィードバックに基づいて、1つ以上の材料の処理中に、および/または1つ以上のセンサからのフィードバックに基づいて、1つ以上の材料を処理する工程間において、1つ以上のビーム特性を調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正することは、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるステップを含むことができ、第1状態は第2状態とは異なる。更に、1つ以上のビーム特性を修正することは、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるために、1つ以上の離散刻みずつおよび/または連続的に摂動デバイスを調節するステップを含むこともできる。
【0147】
[00148] 修正される1つ以上のビーム特性は、例えば、角度分布、方位強度分布、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、ビーム・プロファイル(例えば、ガウス状、フラットトップ(flat-top))、ビーム形状、発散、発散プロファイル、強度分布、輝度、M2係数、NA、光強度プロファイル、光学モード(例えば、フィルタリング)、パワー密度プロファイル、半径方向ビーム位置、放射輝度(radiance)、空間断面分布、スポット形状、スポット・サイズ等、あるいはこれらの任意の組み合わせの内1つ以上を含むことができる。
【0148】
[00149]
図29のブロック2908において、光ビームの1つ以上のビーム特性が修正された出力ビームを、第2長のファイバから生成する。ある例では、出力ビームのビーム形状を非対称にすることができる。ある例では、出力ビームのビーム形状を対称にすることができる。ある例では、出力ビームのビーム形状は2つ以上の個別スポット形状を含む。
【0149】
[00150] ビーム形状の対称性は、例えば、対称的であるスポット形状において現れることができる。スポット形状は、例えば、円形、方形、矩形、六角形、楕円形であり、鏡像対称を有すること、および/または回転対称(例えば、45°、60°、90°、120°、または180°の回転対称)を有することができる。
【0150】
[00151] ある例では、材料処理中における、1つ以上の材料に沿った出力ビームの進行方向を、第1方向から第2方向に変更することができる。第1方向は第2方向と異なってもよい(例えば、材料処理の方向の変更)。第2方向は、第1方向とは逆にすることができる(例えば、材料処理の方向の逆転)。
【0151】
[00152]
図30は、光ビームを使用して材料を処理する方法の第2例を示す。光ビームを使用して材料を処理する方法は、第1RIPを有する第1長のファイバ内に光ビームを発射するステップと、第1長のファイバから、第2RIPと2つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバ内に光ビームを結合するステップと、第1長のファイバにおいて、第2長のファイバにおいて、または第1および第2長のファイバにおいて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正するステップと、および/または第2長のファイバから、光ビームの1つ以上のビーム特性が修正された出力ビームを生成するステップとを含む。第1RIPは第2RIPと同じであってもよい。1つ以上のビーム特性を修正するステップは、1つ以上のビーム特性を第1状態(例えば、丸いスポット形状、直径=5ミリメートル(「mm」)から第2状態(例えば、矩形のスポット形状、長さ×幅=3mm×6mm)に変化させるステップを含むことができる。第1状態は第2状態と異なってもよい。
【0152】
[00153]
図30のブロック3002において、第1RIPを有する第1長のファイバ内に光ビームを発射する。光ビームを使用する材料処理において、 例えば、ろう付け、被覆、焼き付け、熱処理、または溶接、あるいはこれらの任意の組み合わせのために、1つ以上の材料内に蓄熱するために、光ビームを使用することができる。
【0153】
[00154] 例えば、ファイバ・レーザによって光ビームを生成することができる。先に論じたように、このようなファイバ・レーザは、例えば、第1RIPを有する第1長のファイバと、第2RIPと2つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバと、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正するように構成された摂動デバイスとを備えることができる。
【0154】
[00155]
図30のブロック3004において、第1RIPを有する第1長のファイバから、第2RIPと2つ以上の閉じ込め領域とを有する第2長のファイバ内に、光ビームを結合する。ある例では、第2長のファイバが2つ以上の閉じ込め領域を有するとき、第1RIPは第2RIPと同じでもまたは異なってもよい。
【0155】
[00156]
図30のブロック3006において、 第1長のファイバにおいて、第2長のファイバにおいて、または第1および第2長のファイバにおいて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正する。
図30のブロック3004および3006に関して、この修正を結合の前に実行することができ(例えば、第1長のファイバにおいて修正する)、修正の前に結合を実行することができ(例えば、第2長のファイバにおいて修正する)、または結合および修正を同時に実行することができる(例えば、第1および第2長のファイバにおいて修正する)。
【0156】
[00157] 1つ以上のビーム特性を修正することは、更に、1つ以上のセンサからのプロセス内フィードバックに基づいて、1つ以上の材料の処理中に、および/または1つ以上のセンサからのフィードバックに基づいて、1つ以上の材料を処理する工程間において、1つ以上のビーム特性を調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正することは、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるステップを含むことができ、第1状態は第2状態とは異なる。更に、1つ以上のビーム特性を修正することは、1つ以上のビーム特性を第1状態から第2状態に変化させるために、1つ以上の離散刻みずつおよび/または連続的に摂動デバイスを調節するステップを含むこともできる。
【0157】
[00158] 修正される1つ以上のビーム特性は、例えば、角度分布、方位強度分布、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、ビーム・プロファイル(例えば、ガウス状、フラットトップ(flat-top))、ビーム形状、発散、発散プロファイル、強度分布、輝度、M2係数、NA、光強度プロファイル、光学モード(例えば、フィルタリング)、パワー密度プロファイル、半径方向ビーム位置、放射輝度(radiance)、空間断面分布、スポット形状、スポット・サイズ等、あるいはこれらの任意の組み合わせの内1つ以上を含むことができる。
【0158】
[00159]
図30のブロック3008において、光ビームの1つ以上のビーム特性が修正された出力ビームを、第2長のファイバから生成する。ある例では、出力ビームのビーム形状を非対称にすることができる。ある例では、出力ビームのビーム形状を対称にすることができる。ある例では、出力ビームのビーム形状は2つ以上の個別スポット形状を含む。
【0159】
[00160] ビーム形状の対称性は、例えば、対称的であるスポット形状において現れることができる。スポット形状は、例えば、円形、方形、矩形、六角形、楕円形であり、鏡像対称を有すること、および/または回転対称(例えば、45°、60°、90°、120°、または180°の回転対称)を有することができる。
【0160】
[00161] ある例では、材料処理中における、1つ以上の材料に沿った出力ビームの進行方向を、第1方向から第2方向に変更することができる。第1方向は第2方向と異なってもよい(例えば、材料処理の方向の変更)。第2方向は、第1方向とは逆にすることができる(例えば、材料処理の方向の逆転)。
【0161】
光ビームを使用して材料を処理する機器
[00162]
図31は、光ビームを使用して材料を処理する機器の第1例を示す。
図31に示す材料処理は、例えば、ろう付けまたは溶接とすることができる。ある例では、蝋付けまたは溶接プロセスに関与する材料は、同様のまたは異なる金属合金、ポリマー(例えば、熱可塑性樹脂)、あるいは複合材料を含むことができる。
【0162】
[00163] 機器の第1例は、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正し、1つ以上のプロセス・ヘッドを通じて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正した出力ビームを生成するように構成されたレーザ・システムと、粉体、細片、線材等の形態の原材料、フィラー等を供給するように構成されたガイドと、および/または1つ以上の材料の処理中、および/または1つ以上の材料を処理する工程間においてフィードバックを供給するように構成された1つ以上のセンサとを備えることができる。
【0163】
[00164] レーザ・システムは、例えば、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性を修正し、プロセス・ヘッド2206を通じて、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2214を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含む、
図22Aのレーザ・システム2200、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性を修正し、プロセス・ヘッド2206を通じて、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2224を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含む、
図22Bのレーザ・システム2200、あるいは光ビーム2310の1つ以上のビーム特性を修正し、1つ以上のプロセス・ヘッド2306、2324、および/または2326を通じて、光ビーム2310の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2314、2328、および/または2330を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2302を含む、
図23のレーザ・システム2300を含むことができる。
【0164】
[00165] ある例では、蝋付け用材料処理は、円形、方形、または複合スポット形状を有し、直径が約1mmから3mmまでの出力ビームを使用することができ、溶接よりも高い発散を必要とする可能性がある。
【0165】
[00166] 原材料、フィラー等を供給するように構成されたガイドは、例えば、粉体、細片、線材等を、処理される1つ以上の材料の近傍に、および/またはメルト・プールの意図する位置に誘導するように構成されたノズルまたはチューブを備えることができる。ガイドを、付随するプロセス・ヘッドと組み合わせることもできる。
【0166】
[00167] ガイドは、処理される1つ以上の材料に関して、出力ビームの進行方向に対して軸上(on-axis)または軸外(off-axis)にすることができる。ガイドは、複数のノズルまたはチューブを有することができる。複数のノズルまたはチューブを対称的に配置することができる(例えば、メルト・プールの意図する位置に対して相対する両側に、2つのノズルまたはチューブを配置する)。このような複数のノズルまたはチューブは、機器の第1例の動作モードに応じて、交互におよび/または同時に動作することができる。
【0167】
[00168] 1つ以上の材料の処理中、および/または1つ以上の材料を処理する工程間においてフィードバックを供給するように構成された1つ以上のセンサは、例えば、外形(例えば、高さ、幅)、冶金特性(例えば、凝固速度)、圧力(1つまたは複数)、温度(1つまたは複数)等を監視する1つ以上のセンサを含むことができる。
【0168】
[00169]
図31において、第1機器3100は、プロセス・ヘッド3102、ガイド3104、および/またはセンサ3106を備える。第1機器3100は、プロセス・ヘッド3102を通じて出力ビーム3108を生成することができる。ある例では、出力ビーム3108のビーム形状は非対称にすることができる。ある例では、出力ビーム3108のビーム形状は対称にすることができる。ある例では、出力ビーム3108のビーム形状は2つ以上の別個のスポット形状を含むことができる。
【0169】
[00170] ガイド3103は、細片または線材3110を、処理される第1材料3112および第2材料3114の近傍に、および/またはメルト・プール3116の意図する位置に供給するように構成されている。第1材料3112および第2材料3114が処理されるに連れて、プロセス・ヘッド3102、ガイド3104、出力ビーム3108、細片または線材3110、およびメルト・プール3116は全体的に、矢印3118によって示される方向に移動する。
【0170】
[00171] ガイド3104および細片または線材3110は、矢印3118によって示される方向に対して軸上または軸外にすることができる。ある例では、軸上ガイド3104および細片または線材3110は、これら双方が全体的に矢印3118によって示される方向に移動するので、出力ビーム3108に先行することができる。ある例では、軸外ガイド3104および細片または線材3110は全体的に矢印3118によって示される方向に移動することができるが、細片または線材3110は次いでメルト・プール3116に、矢印3118の位置からメルト・プール3116に向かう以外の方向から供給される。ある例では、出力ビーム3108および/またはメルト・プール3116の先端縁において細片または線材3110を供給することが、ガイド3104にとって有利になることができる。何故なら、これらは矢印3118によって示される方向に移動するからである。
【0171】
[00172] センサ3106は、第1材料3112および第2材料3114の処理を監視し、第1材料3112および/または第2材料3114の処理中にフィードバックを供給し、および/または第1材料3112および第2材料3114を処理するステップ間においてフィードバックを供給することができる。ある例では、センサ3106は、サイン(signature)3120によって示されるように、第1材料3112、第2材料3114、および/またはメルト・プール3116の1つ以上の指標(indicator)を監視することができる。
【0172】
[00173] ある例では、センサ3106は1つ以上のローカル・センサまたはグローバル・センサを含むことができる。ある例では、センサ3106は1つ以上の固定センサ(即ち、オイラー基準フレーム)および/または出力ビーム3108と共に移動する1つ以上のセンサ(即ち、ラグランジアン基準フレーム)を含むことができる。センサ3106は、例えば、1つ以上のフォトダイオード、光電子倍増管、高温計(1-または2-波長を使用する)、高分解能熱撮像カメラ(CCDまたはCMOS検出器)、または分光計(可視光、UV光)を含むことができる。センサ3106は、例えば、メルト・プール3116のピークおよび/または平均温度、メルト・プール31106の凝固輪郭および/または寸法(面積、長さ、および/または幅)、および/または第1材料3112、第2材料3114、および/またはメルト・プール3116の加熱/冷却速度を監視することができる。センサ3106は、例えば、材料処理中に第1材料3112および/または第2材料3114からそれらの長さ(1つまたは複数)に沿ってサイン3120(例えば、放射放出の形態)を検知することによって、第1材料3112および/または第2材料3114の熱履歴を監視するように構成された複数の固定CCDまたはCMOS検出器を構成するグローバル・センサを含むことができる。
【0173】
[00174]
図32は、光ビームを使用して材料を処理する機器の第2例を示す。
図32において示す材料処理は、例えば、被覆にすることができる。被覆プロセスは、例えば、全方向性被覆または広域被覆にすることができる。ある例では、被覆プロセスに関与する材料は、セラミクス、同様のまたは異なる金属合金、ポリマー、あるいは複合材を含むことができる。
【0174】
[00175] 機器の第2例は、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正し、1つ以上のプロセス・ヘッドを通じて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正した出力ビームを生成するように構成されたレーザ・システムと、粉体、細片、線材等の形態の原材料、フィラー等を供給するように構成されたガイドと、および/または1つ以上の材料の処理中、および/または1つ以上の材料を処理する工程間においてフィードバックを供給するように構成された1つ以上のセンサとを備えることができる。
【0175】
[00176] レーザ・システムは、例えば、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性を修正し、プロセス・ヘッド2206を通じて、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2214を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含む、
図22Aのレーザ・システム2200、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性を修正し、プロセス・ヘッド2206を通じて、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2224を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含む、
図22Bのレーザ・システム2200、あるいは光ビーム2310の1つ以上のビーム特性を修正し、1つ以上のプロセス・ヘッド2306、2324、および/または2326を通じて、光ビーム2310の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2314、2328、および/または2330を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2302を含む、
図23のレーザ・システム2300を含むことができる。
【0176】
[00177] ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、1つ以上のセンサからのプロセス内フィードバックに基づいて、1つ以上の材料の処理中に、1つ以上のビーム特性(例えば、強度分布、空間プロファイル)を調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、1つ以上のセンサからのフィードバックに基づいて、1つ以上の材料を処理する工程間において1つ以上のビーム特性(例えば、ビーム径および/またはスポット・サイズ)を調節するステップを含むことができる。ある例では、 1つ以上のビーム特性を修正するステップは、1つ以上のセンサからのフィードバックに基づいて、1つ以上の材料の処理中および1つ以上の材料を処理する工程間において、1つ以上のビーム特性(例えば、ビーム発散)を調節するステップを含むことができる。
【0177】
[00178] ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、全方向性被覆と広域被覆との間の切り替えを考慮するために、ビーム径、スポット・サイズ、および/またはビーム発散分布を変化させるステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、被覆の隣接する痕跡(track)の滑らかな重複を促進するために、空間プロファイルを調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、被覆合金(clad alloy)の溶融速度を最大化しつつ、被覆合金の母材(base metal)(例えば、基板合金)への希釈(dilution)を最小に抑えることを促進し、被覆合金から母材への鋭い遷移が得られるようにするために、ビーム径、スポット・サイズ、および/または強度分布を調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、堆積される被覆の冷却速度を最適化することを促進し、亀裂または剥離(例えば、被覆合金と基板合金との間における熱膨張率の不一致による可能性がある)に対する性向を最小に抑えるために、ビーム径、スポット・サイズ、および/または強度分布を調節するステップを含むことができる。
【0178】
[00179] ある例では、全方向性被覆の材料処理では、円形のスポット形状を有し、スポット形状の直径が約3mm以上で約10mm以下であり、パワーが約4kW以上で約12kW以下である出力ビームを使用することができる。ある例では、広域被覆の材料処理は、矩形のスポット形状を有し、幅および長さが約100mm以上×約20mmであり、パワーが約5kW以上で約20kW以下である出力ビームを使用することができる。
【0179】
[00180] 原材料、フィラー等を供給するように構成されたガイドは、例えば、粉体、細片、線材等を、処理される1つ以上の材料の近傍に、および/またはメルト・プールの意図する位置に誘導するように構成されたノズルあるいはチューブを含むことができる。ガイドを、付随する得プロウズス・ヘッドと組み合わせることもできる。
【0180】
[00181] ガイドは、処理される1つ以上の材料に関して、出力ビームの進行方向に対して軸上(on-axis)または軸外(off-axis)にすることができる。ガイドは、複数のノズルまたはチューブを有することができる。複数のノズルまたはチューブを対称的に配置することができる(例えば、メルト・プールの意図する位置に対して相対する両側に、2つのノズルまたはチューブを配置する)。このような複数のノズルまたはチューブは、機器の第2例の動作モードに応じて、交互におよび/または同時に動作することができる。
【0181】
[00182] ある例では、単一方向および全方向性被覆のための材料処理は、軸上で誘導される粉体(例えば、褐色粉末)の原材料を使用することができる。ある例では、単一方向性被覆のための材料処理は、軸外で誘導される線材の原材料を使用することができる。ある例では、広域被覆のための材料処理は、軸外で誘導される粉体(例えば、褐色粉末)、細片、または線材の原材料を使用することができる。
【0182】
[00183] ある例では、線形被覆プロセスの方向性(directionality)を素早く変化させることができる。1つのノズルまたはチューブを有するガイドを使用する線形被覆プロセスでは、例えば、第1進行方向に対してビーム形状を最適化することができる。次いで、第2進行方向に対してビーム形状を素早く反転させる(invert)ことができる。1つのノズルまたはチューブが両方の進行方向で動作することができる。2つ以上のノズルまたはチューブを有するガイドを使用する線形被覆プロセスでは、例えば、第1進行方向に対してビーム形状を最適化し、これらのノズルまたはチューブの内関連する1つを第1進行方向で動作させることができる。次いで、第2進行方向に対してビーム形状を素早く反転させ、ノズルまたはチューブの他の1つを第2進行方向で動作させることができる(即ち、ノズルまたはチューブは交互に動作する)。
【0183】
[00184] 1つ以上の材料の処理中、および/または1つ以上の材料を処理する工程間においてフィードバックを供給するように構成された1つ以上のセンサは、例えば、外形(例えば、高さ、幅)、冶金特性(例えば、凝固速度)、圧力(1つまたは複数)、温度(1つまたは複数)等を監視する1つ以上のセンサを含むことができる。ある例では、熱撮像ツールまたは高温計が加熱および/または冷却速度を測定することができる。ある例では、外形モニタが、高さ、幅、および/または被覆の隣接する痕跡との重複、あるいは粗さまたは全体的な形状というような、被覆の堆積に関する他の物理的測定値測定することができる。
【0184】
[00185]
図32において、第2機器3200は、プロセス・ヘッド3202、ガイド3204、および/またはセンサ3206を備える。第2機器3200は、プロセス・ヘッド3202を通じて、出力ビーム3208を生成することができる。ある例では、出力ビーム3208のビーム形状は非対称にすることができる。ある例では、出力ビーム3208のビーム形状は対称にすることができる。ある例では、出力ビーム3208のビーム形状は2つ以上の別個のスポット形状を含むことができる。
【0185】
[00186] ガイド3204は、処理される材料3212の近傍に、および/またはメルト・プール3216の意図する位置に粉体3222(例えば、金属粉体)を供給するように構成されている。ガイド3204は、例えば、水冷粉体ノズルを備えることができる。材料3212が処理されるに連れて、プロセス・ヘッド3202、ガイド3204、出力ビーム3208、メルト・プール3216、および粉体3222が全体的に、矢印3218によって示される方向に移動する。粉体3222がガイド3204間で上に向かって逃げるのを防止するために、遮蔽ガス3224(例えば、不活性ガス)をガイド3204間に注入することができる。粉体3222が一旦3204から出てから横方向に逃げるのを防止するため、そして加熱された材料3212の酸化を防止するために、シュラウド・ガス(例えば、不活性ガス)(図示せず)を使用することができる。
【0186】
[00187] ガイド3204および粉体3222は、矢印3218によって示される方向に対して、軸上または軸外にすることができる。ある例では、軸上ガイド3204および粉体3222は、これら全てが矢印3218によって示される方向に全体的に移動するので、出力ビーム3208に先行および追従することができる。ある例では、軸外ガイド3204および粉体3222は、矢印3218によって示される方向に全体的に移動することができるが、次いで、矢印3218の位置からメルト・プール3216に向かう以外の方向から、または矢印3218の方向に、粉体3222がメルト・プール3216に供給される。ある例では、粉体3222を出力ビーム3208および/またはメルト・プール3216の先端および後端縁において供給することが、ガイド3204にとって有利になることができる。何故なら、これらは矢印3218によって示される方向に移動するからである。
【0187】
[00188] ある例では、材料3212の処理の結果、被覆層3226、接合帯3228、および/または熱作用帯3230を形成することができる。
【0188】
[00189] センサ3206は、材料3212の処理を監視し、材料3212の処理中にフィードバックを供給し、および/または材料3212を処理する工程間においてフィードバックを供給することができる。ある例では、センサ3206は、サイン3220によって示されるように、材料3212および/またはメルト・プール3216の1つ以上の指標を監視することができる。
【0189】
[00190] ある例では、センサ3206は1つ以上のローカル・センサまたはグローバル・センサを含むことができる。ある例では、センサ3206は1つ以上の固定センサ(即ち、オイラー基準フレーム)および/または出力ビーム3208と共に移動する1つ以上のセンサ(即ち、ラグランジアン基準フレーム)を含むことができる。センサ3206は、例えば、1つ以上のフォトダイオード、光電子倍増管、高温計(1-または2-波長を使用する)、高分解能熱撮像カメラ(CCDまたはCMOS検出器)、または分光計(可視光、UV光)を含むことができる。センサ3206は、例えば、メルト・プール3216のピークおよび/または平均温度、メルト・プール3216の凝固輪郭および/または寸法(面積、長さ、および/または幅)、および/または第1材料3212および/またはメルト・プール3216の加熱/冷却速度を監視することができる。センサ3206は、例えば、材料処理中に第1材料3212からそれらの長さ(1つまたは複数)に沿ってサイン3220(例えば、放射放出の形態)を検知することによって、第1材料3212の熱履歴を監視するように構成された複数の固定CCDまたはCMOS検出器を構成するグローバル・センサを含むことができる。
【0190】
[00191]
図33は、光ビームを使用して材料を処理する機器の第3例を示す。
図33において示す材料処理は、例えば、焼き付けまたは熱処理とすることができる。焼き付けは、表面溶融、および後続の薄い材料層(例えば、100μm)の急速凝固を含むことができる。ある例では、焼き付けプロセスに関与する材料は、セラミクスおよび金属(例えば、フェライト球状黒鉛鋳鉄、FeNiCrAl、NiCr、および/またはNiCrAl合金、304ステンレス鋼、614Al青銅(Al=アルミニウム、Cr=クローム、Fe=鉄、およびNi=ニッケル)を含むことができる。熱処理は、例えば、アニーリング、表面硬化、焼ならし、析出強化、焼き入れ(自己焼き入れを含む)、軟化、応力緩和、および/または焼き戻しを含むことができる。ある例では、熱処理プロセスに関与する材料は、ガラス、金属、またはポリマーを含むことができる。他の熱処理の応用(application)には、材料を接合するために使用する直前における、接着材、ポリマー、またはレジンの直接加熱、更には接合部の硬化(curing or hardening)のために、材料を接合した後における、 接着材、ポリマー、またはレジンの直接加熱を含むことができる。
【0191】
[00192] 機器の第3例は、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正し、1つ以上のプロセス・ヘッドを通じて、光ビームの1つ以上のビーム特性を修正した出力ビームを生成するように構成されたレーザ・システム、および/または1つ以上の材料の処理中、および/または1つ以上の材料を処理する工程間においてフィードバックを供給するように構成された1つ以上のセンサを備えることができる。
【0192】
[00193] レーザ・システムは、例えば、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性を修正し、プロセス・ヘッド2206を通じて、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2214を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含む、
図22Aのレーザ・システム2200、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性を修正し、プロセス・ヘッド2206を通じて、光ビーム2210の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2224を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含む、
図22Bのレーザ・システム2200、あるいは光ビーム2310の1つ以上のビーム特性を修正し、1つ以上のプロセス・ヘッド2306、2324、および/または2326を通じて、光ビーム2310の1つ以上のビーム特性が修正された出力ビーム2314、2328、および/または2330を生成するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2302を含む、
図23のレーザ・システム2300を含むことができる。
【0193】
[00194] ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、処理される材料に対して要求される熱処理痕跡外形(heat treat track geometry)と一致させるために、ビーム径、スポット・サイズ、および/またはビーム発散分布をリアル・タイムで調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、生産性を最大限高めつつ、処理される材料の溶融を抑えるために、強度分布および/または空間プロファイルを調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、合金、微小構造、厚さ、および/または処理される材料の好ましい硬化深度(hardness depth)を最適化するために、1つ以上のビーム特性を調節するステップを含むことができる。ある例では、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、材料処理の2D/3D方向性と一致させるために、ビーム・プロファイルを軸方向に回転させるステップを含むことができる。
【0194】
[00195] ある例では、焼き付けおよび/または熱処理のための材料処理は、矩形のスポット形状を有し、パワーが約4kW以上および約50kW以下である出力ビームを使用することができる。ある例では、同質(例えば、フラット・トップ)強度分布によって、焼き付けのための溶融の均一深度、硬化のための均一硬化深度、または軟化のための均一焼き戻し帯を得ることができる。あるいは、異なる強度分布を、例えば、矩形スポット内に発生するためにビーム特性の1つ以上を変化させることによって、矩形のスポット形状全域にわたって処理深度を調整する(tailor)ことができる。
【0195】
[00196] 1つ以上の材料の処理中、および/または1つ以上の材料を処理する工程間においてフィードバックを供給するように構成された1つ以上のセンサは、例えば、外形(例えば、高さ、幅)、冶金特性(例えば、硬度)、温度(1つまたは複数)等を監視する1つ以上のセンサを含むことができる。
【0196】
[00197]
図33において、第3機器3300はプロセス・ヘッド3302および/またはセンサ3306を備える。第3機器3300は、プロセス・ヘッド3302を通じて、出力ビーム3308を生成することができる。ある例では、出力ビーム3308のビーム形状は非対称にすることができる。ある例では、出力ビーム3308のビーム形状は対称にすることができる。ある例では、出力ビーム3308のビーム形状は、2つ以上の別個のスポット形状を含むことができる。
図33において、出力ビーム3308のビーム形状は、幅が「x」、長さが「y」の矩形として示されている。
【0197】
[00198] ある例では、材料3312の処理の結果、硬化帯または軟化帯3332を形成することができる。
図33に示すように、帯3332は最大深度「d」を有することができる。
【0198】
[00199] センサ3306は、材料3312の処理を監視し、材料3312の処理中にフィードバックを供給し、および/または材料3312を処理する工程間においてフィードバックを供給することができる。ある例では、センサ3306は、サイン3320によって示されるように、材料3312の1つ以上の指標を監視することができる。
【0199】
[00200] ある例では、センサ3306は1つ以上のローカル・センサまたはグローバル・センサを含むことができる。ある例では、センサ3306は1つ以上の固定センサ(即ち、オイラー基準フレーム)および/または出力ビーム3308と共に移動する1つ以上のセンサ(即ち、ラグランジアン基準フレーム)を含むことができる。センサ3306は、例えば、1つ以上のフォトダイオード、光電子倍増管、高温計(1-または2-波長を使用する)、高分解能熱撮像カメラ(CCDまたはCMOS検出器)、または分光計(可視光、UV光)を含むことができる。センサ3306は、例えば、処理材料3312のピークおよび/または平均温度、処理材料3312の凝固輪郭および/または寸法(面積、長さ、および/または幅)、および/または処理材料3312の加熱/冷却速度を監視することができる。センサ3306は、例えば、材料処理中に第1材料3312からそれらの長さ(1つまたは複数)に沿ってサイン3320(例えば、放射放出の形態)を検知することによって、処理材料3312の熱履歴を監視するように構成された複数の固定CCDまたはCMOS検出器を構成するグローバル・センサを含むことができる。
【0200】
[00201]
図34Aおよび
図34Bは、2つの別個のスポット形状を有する出力ビームの例を示す。
【0201】
[00202]
図34Aにおいて、出力ビーム3400は、第1スポット形状3402と第2スポット形状3404とを有する。第1スポット形状3402は円形であるので、これはミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。第2スポット形状3404は、図示のように、水平方向の向きにおいて、その中心を通る鏡像対称のみを呈する。第2スポット形状3404の対称性が限られるために、出力ビーム3400の全体的な対称性も限られる。
【0202】
[00203] ある例では、矢印3406によって示される進行方向における材料処理に合わせて、出力ビーム3400を最適化することができる。
【0203】
[00204]
図34Bにおいて、出力ビーム3410は第1スポット形状3412と第2スポット形状3414とを有する。第1スポット形状3412は円形であるので、これは、ミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。第2スポット形状3414は、図示のように、水平方向の向きにおいて、その中心を通る鏡像対称のみを呈する。第2スポット形状3414の対称性が限られるために、出力ビーム3410の全体的な対称性も限られる。
【0204】
[00205] ある例では、出力ビーム3410は、矢印3416によって示される進行方向における材料処理に合わせて、出力ビーム3400を最適化することができる。
【0205】
[00206] 段落[00182]において論じたように、線形被覆プロセスの方向性を素早く変化させることができる。2つのノズルまたはチューブを有するガイドを使用する線形被覆プロセスでは、例えば、第1スポット形状3402と第2スポット形状3404とを有する
図34Aの出力ビーム3400、およびノズルまたはチューブの内関連するものを、矢印3406によって示される進行方向(例えば、「右」に進む)に対して最適化することができる。第1スポット形状3402は被覆プロセスの前における材料の予備加熱を行うことができ、第2スポット形状3404は被覆プロセス中における材料の主加熱を行うことができる。次いで、ビーム形状を素早く反転させることができる。第1スポット形状3412と第2スポット形状3414とを有する
図34Bの出力ビーム3410、およびノズルまたはチューブの内他の1つを、矢印3414によって示される進行方向(例えば、「左」に進む)に対して最適化することができる。第1スポット形状3412は、被覆プロセスの前における材料の予備加熱を行うことができ、第2スポット形状3414は被覆プロセス中における材料の主加熱を行うことができる。
【0206】
[00207] あるいは、段落[00203]において説明した指向性線形被覆プロセスは、
図34Aにおける矢印3406および
図34Bにおける矢印3416によって示される方向とは逆の方向に動作することもできる。この逆方向(図示せず)では、第2スポット形状3404および第2スポット形状3414は、被覆プロセスのために後加熱を行うことができる(例えば、焼き戻し、応力緩和、または冷却速度を低下させ亀裂性向を減ずる)。
【0207】
[00208]
図35A~
図35Dは、2つの別個のスポット形状を有する出力ビームの例を示す。
【0208】
[00209]
図35Aにおいて、出力ビーム3500は第1スポット形状3502と第2スポット形状3504とを有する。第1スポット形状3502は円形であるので、これは、ミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。第2スポット形状3504は円形であるので、これもミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。出力ビーム3500は、第1スポット形状3502および第2スポット形状3504の組み合わせであり、図示のように、水平方向の向きにおいて、第1スポット形状3502および第2スポット形状3504のそれぞれの中心を通る鏡像対称のみを呈する。
【0209】
[00210] ある例では、矢印3506によって示される進行方向における材料処理に対して、出力ビーム3500を最適化することができる。
【0210】
[00211]
図35Bにおいて、出力ビーム3510は第1スポット形状3512と第2スポット形状3514とを有する。第1スポット形状3512は円形であるので、これは、ミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。第2スポット形状3514は円形であるので、これもミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。出力ビーム3510は、第1スポット形状3512および第2スポット形状3514の組み合わせであり、図示のように、垂直方向の向きにおいて、第1スポット形状3512および第2スポット形状3514のそれぞれの中心を通る鏡像対称のみを呈する。
【0211】
[00212] ある例では、矢印3516によって示される進行方向における材料処理に対して、出力ビーム3510を最適化することができる。
【0212】
[00213]
図35Cにおいて、出力ビーム3520は第1スポット形状3522と第2スポット形状3524とを有する。第1スポット形状3522は円形であるので、これは、ミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。第2スポット形状3524は円形であるので、これもミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。出力ビーム3520は、第1スポット形状3522および第2スポット形状3524の組み合わせであり、図示のように、水平方向の向きにおいて、第1スポット形状3522および第2スポット形状3524のそれぞれの中心を通る鏡像対称のみを呈する。
【0213】
[00214] ある例では、矢印3526によって示される進行方向における材料処理に対して、出力ビーム3520を最適化することができる。
【0214】
[00215]
図35Dにおいて、出力ビーム3530は第1スポット形状3532と第2スポット形状3534とを有する。第1スポット形状3532は円形であるので、これは、ミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。第2スポット形状3534は円形であるので、これもミラーのいずれの向きにおいてもその中心を通る鏡像対称を呈し、更にいずれの回転角においても回転対称を呈する。出力ビーム3530は、第1スポット形状3532および第2スポット形状3534の組み合わせであり、図示のように、垂直方向の向きにおいて、第1スポット形状3532および第2スポット形状3534のそれぞれの中心を通る鏡像対称のみを呈する。
【0215】
[00216] ある例では、矢印3536によって示される進行方向における材料処理に対して、出力ビーム3530を最適化することができる。
【0216】
[00217] 段落[00192]において論じたように、1つ以上のビーム特性を修正するステップは、材料プロセスの2D/3D方向性と一致させるために、ビーム・プロファイルを軸方向に回転させるステップを含むことができる。
図35A~
図35Dは、
図35Aから開始する、このような軸回転の例を示し、
図35Bは、時計回り方向に90°度の回転を示し、
図35Cは時計回りまたは反時計回り方向に180°の回転を示し、
図35Dは時計回り方向に90°度の回転を示す。
【0217】
[00218]
図35A~
図35Dは、n×90°度の回転(n=0,±1,±2,...)を示すが、回転は、所望の任意の角度増分(例えば、ビームの共通中央線に対して、72°、60°、45°、36°、30°、22.5°、20°、15°、10°)でも可能である。
【0218】
[00219] 以上、本明細書において開示した技術の実施例の概略的なおよび具体的な原理について説明および図示したが、このような原理から逸脱することなく、実施例の構成および詳細を修正できることは明白ななずである。以下の請求項の主旨および範囲に該当する全ての変更および変形を特許請求する。