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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】界壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20240207BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240207BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20240207BHJP
   E04B 1/86 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
E04B1/348 N
E04B2/74 551Z
E04B1/94 L
E04B1/86 A
E04B1/348 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020032531
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134593
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 将之
【審査官】廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-156144(JP,A)
【文献】特開2001-214522(JP,A)
【文献】特開平06-322881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 2/74
E04B 1/94
E04B 1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う建物ユニット間の界壁構造であって、
前記建物ユニットの天井大梁の下方に配置される梁下防火被覆材と、
前記天井大梁内に配置される梁内防火被覆材と、
前記天井大梁の上方に配置される梁上防火被覆材と、
前記天井大梁上に配置される、屋根面材を支持する垂木と、を備え、
前記垂木は、鋼製の鋼製垂木であり、前記梁上防火被覆材及び前記梁下防火被覆材より室内側に配置され、
前記梁下防火被覆材と、前記梁内防火被覆材と、前記梁上防火被覆材とは、略直線状に配置され、
隣り合う前記建物ユニットに、それぞれ配置される前記梁上防火被覆材は、枠材によって一体化されている
ことを特徴とする、界壁構造。
【請求項2】
前記梁上防火被覆材に沿って、吸音材が取り付けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の界壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合う建物ユニット間の界壁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内空間に設ける界壁の上方には、屋根との間の小屋裏空間を遮るように、小屋裏界壁を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-079726公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋根に木製の垂木を使用する場合、垂木の配置ピッチを狭く(例えば、225mm)する必要がある。一方で、隣り合う建物ユニット間の、小屋裏に配置される、界壁を構成する防火被覆材の配置ピッチも、これと略同じ配置ピッチとなることがある。このような場合、垂木との干渉を回避するために、防火被覆材を折り曲げて(クランクさせて)配置させる必要があり、施工性が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、防火被覆材を折り曲げて配置することなく、施工性を向上させることができる界壁構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の界壁構造は、隣り合う建物ユニット間の界壁構造であって、前記建物ユニットの天井大梁の下方に配置される梁下防火被覆材と、前記天井大梁内に配置される梁内防火被覆材と、前記天井大梁の上方に配置される梁上防火被覆材と、前記天井大梁上に配置される、屋根面材を支持する垂木と、を備え、前記垂木は、鋼製の鋼製垂木であり、前記梁上防火被覆材より室内側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明の界壁構造では、前記梁下防火被覆材と、前記梁内防火被覆材と、前記梁上防火被覆材とは、略直線状に配置されていてもよい。
【0008】
また、本発明の界壁構造では、隣り合う前記建物ユニットに、それぞれ配置される前記梁上防火被覆材は、枠材によって一体化されていてもよい。
【0009】
さらに、本発明の界壁構造では、前記梁上防火被覆材に沿って、吸音材が取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
このように構成された本発明の界壁構造では、建物ユニットの天井大梁の下方に配置される梁下防火被覆材と、天井大梁内に配置される梁内防火被覆材と、天井大梁の上方に配置される梁上防火被覆材と、天井大梁上に配置される、屋根面材を支持する垂木と、を備え、垂木は、鋼製の鋼製垂木であり、梁上防火被覆材より室内側に配置されている。そのため、鋼製垂木の配置ピッチを、木製の垂木の配置ピッチより広げることができる。その結果、鋼製垂木との干渉を回避する必要がなく、梁上防火被覆材を折り曲げることなく配置することができる。そのため、施工性を向上させるとともに、コストを削減することができる。
【0011】
また、梁下防火被覆材と、梁内防火被覆材と、梁上防火被覆材とは、略直線状に配置されていることで、界壁の防火被覆材を折り曲げることなく配置することができる。そのため、施工性を向上させ、コストを削減することができる。
【0012】
また、隣り合う建物ユニットに、それぞれ配置される梁上防火被覆材は、枠材によって一体化されていることで、枠材によって一体化された梁上防火被覆材を、隣り合う建物ユニット間に、一度に配置することができる。
【0013】
また、梁上防火被覆材に沿って、吸音材が取り付けられていることで、枠材によって一体化された梁上防火被覆材に吸音材を取り付けた小屋裏界壁を、隣り合う建物ユニット間に、一度に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1のユニット建物の構成を示す斜視図である。
図2】実施例1の建物ユニットの構成を示す斜視図である。
図3】実施例1の界壁構造を示す断面図である。
図4】実施例1の梁上界壁を示す平面図である。
図5】実施例1の梁上界壁を示す側面図である。
図6】実施例1の梁上界壁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による界壁構造を実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1における界壁構造は、工場で予め製造された建物ユニットを建築現場へ搬送して、建築現場で複数の建物ユニットを並べて組み立てることによって構築するユニット建物に適用される。
【0017】
[ユニット建物の構成]
図1は、実施例1のユニット建物の構成を示す斜視図である。以下、実施例1のユニット建物の構成を説明する。
【0018】
図1に示すように、ユニット建物1は、基礎2の上に、1階の建物ユニット3と、2階の建物ユニット10と、屋根ユニット30とを組み付けて構築されている。
[建物ユニットの構成]
【0019】
図2は、実施例1の建物ユニット10の構成を示す斜視図である。以下、実施例1の建物ユニット10の構成を説明する。
【0020】
図2に示すように、建物ユニット10は、隅角部に配置される柱11と、柱11の下端間に、ジョイントピース13を介して架け渡される床大梁12と、柱11の上端間に、ジョイントピース23を介して架け渡される天井大梁22と、によって箱状の骨組体を形成する。
【0021】
対向する床大梁12間には、複数本の床小梁14が架け渡される。床小梁14の上部には、床小梁14に対して直交方向に、複数本の床根太15が取り付けられる。床根太15の上部には、床面材16が取り付けられる。床面材16は、例えばパーチクルボードとすることができる。
【0022】
対向する天井大梁22間には、複数本の天井根太24が架け渡される。対向する天井根太24と天井大梁22との間には、複数本の補強根太25が架け渡される。天井根太24の下面には、天井面材26が取り付けられる。天井面材26は、例えば石膏ボードとすることができる。天井根太24の上面には、補強板27が取り付けられる。補強板27の上面には、天井根太24に対して直交方向に、2本の遮音木桟29が取り付けられる。補強板27の上面には、遮音シート28が取り付けられる。遮音シート28は、例えばロックウールとすることができる。
【0023】
[屋根ユニットの構成]
図3は、実施例1の界壁構造を示す断面図である。以下、実施例1の屋根ユニット30を説明する。
【0024】
図2に示すように、屋根ユニット30は、各建物ユニット10に対応して設けられる。屋根ユニット30は、建物ユニット10の上面に取り付けられる。
【0025】
図3に示すように、屋根ユニット30は、鋼製垂木31と、野地板33と鋼板34とで構成された屋根面材32と、を備える。
【0026】
鋼製垂木31は、例えば、四角筒状の角形鋼管によって形成される。鋼製垂木31は、妻方向(桁方向)に延材して形成される。鋼製垂木31は、屋根面材32を支持する。隣り合う屋根ユニット30の鋼製垂木31は、間隔W(例えば、450mm)を有して配置することができる。鋼製垂木31は、後述する梁上防火被覆材131より室内側に配置される。すなわち、隣り合う屋根ユニット30の鋼製垂木31は、後述する梁上界壁130の外側に配置される。
【0027】
鋼製垂木31の上面には、野地板33が取り付けられる。野地板33の上面には、鋼板34が取り付けられる。
【0028】
このように鋼製された屋根ユニット30は、鋼製垂木31がジョイントピース23の上面に設置されて固定されることで、屋根ユニット30が、建物ユニット10に取り付けられる。
【0029】
[界壁構造]
以下、実施例1の界壁構造を説明する。
【0030】
実施例1では、妻側において隣り合う建物ユニット10間に界壁を備える。図3に示すように、界壁は、天井大梁22の下方に配置される梁下界壁110と、天井大梁22内に配置される梁内界壁120と、天井大梁22の上方に配置される梁上界壁130と、で構成される。
【0031】
(梁下界壁)
図3に示すように、梁下界壁110は、隣り合う建物ユニット10に、それぞれ、梁下防火被覆材111と、吸音材112と、を備える。
【0032】
梁下防火被覆材111は、例えば厚さ12.5mmの強化石膏ボードを2枚貼り合わせて形成される。梁下防火被覆材111は、天井大梁22の下方の梁下空間S1に配置される。梁下防火被覆材111は、居室Rに面して配置される。
【0033】
吸音材112は、例えばグラスウールとすることができる。吸音材112は、梁下空間S1で、梁下防火被覆材111より室外側に配置される。
【0034】
(梁内界壁)
図3に示すように、梁内界壁120は、隣り合う建物ユニット10に、それぞれ、梁内防火被覆材121と、吸音材122と、を備える。
【0035】
梁内防火被覆材121は、例えば厚さ12.5mmの強化石膏ボードを2枚貼り合わせて形成される。2枚の梁内防火被覆材121は、ボルト51とナット52によって固定・補強されてもよい。梁内防火被覆材121は、天井大梁22内の梁内空間S2に配置される。梁内防火被覆材121は、梁下防火被覆材111の上端から、上方に延材するように設置される。すなわち、梁内防火被覆材121と、梁下防火被覆材111とは、略直線状に配置される。
【0036】
吸音材112は、例えばグラスウールとすることができる。吸音材112は、梁内空間S2で、梁内防火被覆材121より室外側に配置される。
【0037】
(梁上界壁)
図4は、実施例1の梁上界壁130を示す平面図である。図5は、実施例1の梁上界壁130を示す側面図である。図6は、実施例1の梁上界壁130を示す断面図である。以下、実施例1の梁上界壁130の構成を説明する。
【0038】
図3に示すように、梁上界壁130は、梁上防火被覆材131と、吸音材132と、枠材133と、を備え、隣り合う建物ユニット30の上方に配置される。
【0039】
梁上防火被覆材131は、隣り合う建物ユニット10の天井大梁22の上方の梁上空間S3に、それぞれ配置される。梁上防火被覆材131は、例えば厚さ12.5mmの強化石膏ボードを2枚貼り合わせて形成される。梁上防火被覆材131は、梁内防火被覆材121の上端から、上方に延材するように設置される。すなわち、梁下防火被覆材111と、梁内防火被覆材121と、梁上防火被覆材131は、略直線状に配置される。
【0040】
図5に示すように、梁上防火被覆材131は、側面視で略台形状に形成され、屋根面材32の勾配に沿うようになっている。梁上防火被覆材131の上端と下端とには、耐火目地材141が配置される。
【0041】
図3に示すように、吸音材132は、隣り合う屋根ユニット30に、それぞれ配置される。吸音材132は、例えばグラスウールとすることができる。吸音材132は、梁上空間S3で、梁上防火被覆材131より室外側に配置される。
【0042】
図4図6に示すように、吸音材132の長さは、梁上防火被覆材131の上下方向の高さより長く形成される。吸音材132は、梁上防火被覆材131に沿って配置される。吸音材132は、梁上防火被覆材131より上方に突出した状態で配置され、取付テープ140によって、その上端部が梁上防火被覆材131に取り付けられる。取付テープ140は、アルミテープとすることができる。
【0043】
図4図6に示すように、枠材133は、例えば木製で形成され、2つのレール部134と、レール部134間に架け渡された桟部135とで梯子状に形成される。
【0044】
レール部134は、断面矩形の角材で形成される。桟部135は、断面矩形の角材で形成される。桟部135は、等間隔L(例えば、450mm間隔)で、複数設けられる。桟部135は、一方のレール部134の側面と、他方のレールの側面とを接続するように設けられる。
【0045】
レール部134の桟部135が設けられていない側の側面に、梁上防火被覆材131が、例えば釘等によって取り付けられる。すなわち、隣り合う建物ユニット10の天井大梁22の上方に、それぞれ配置される梁上防火被覆材131は、枠材133によって一体化される。梁上防火被覆材131の下端と、レール部134の下面は、略同一の面とすることができる。
【0046】
このように構成された梁上界壁130は、隣り合う建物ユニット10のジョイントピース23の上面に設置されて固定されることで、建物ユニット10に取り付けられる。
【0047】
[界壁構造の作用]
以下、実施例1の界壁構造の作用を説明する。実施例1の界壁構造は、隣り合う建物ユニット10間の界壁構造である。この界壁構造は、建物ユニット10の天井大梁22の下方に配置される梁下防火被覆材111と、天井大梁22内に配置される梁内防火被覆材121と、天井大梁22の上方に配置される梁上防火被覆材131と、天井大梁22上に配置される、屋根面材32を支持する垂木と、を備え、垂木は、鋼製の鋼製垂木31であり、梁上防火被覆材131より室内側に配置されている(図3)。
【0048】
ところで、木製の垂木を使用する場合、垂木の配置ピッチを、例えば、225mmとする必要がある。一方で、隣り合う建物ユニット間の梁上防火被覆材の配置ピッチも、これと略同じ配置ピッチとなることがある。このような場合、垂木との干渉を回避するために、梁上防火被覆材を折り曲げて(クランクさせて)配置させる必要があり、施工性が悪いという問題がある。
【0049】
実施例1では、鋼製垂木31を使用することで、剛性を上げることができる。そのため、鋼製垂木31の配置ピッチを、木製の垂木の配置ピッチより広げる(例えば、450mm)ことができる。その結果、鋼製垂木31との干渉を回避する必要がなく、梁上防火被覆材131を折り曲げることなく配置することができる。そのため、施工性を向上させ、コストを削減することができる。
【0050】
実施例1の界壁構造において、梁下防火被覆材111と、梁内防火被覆材121と、梁上防火被覆材131とは、略直線状に配置されている(図3)。
【0051】
これにより、界壁の防火被覆材を折り曲げることなく配置することができる。そのため、施工性を向上させ、コストを削減することができる。
【0052】
実施例1の界壁構造において、隣り合う建物ユニット10に、それぞれ配置される梁上防火被覆材131は、枠材133によって一体化されている(図6)。
【0053】
これにより、枠材133によって一体化された梁上防火被覆材131を、隣り合う建物ユニット10間に、一度に配置することができる。そのため、施工性を向上させることができる。
【0054】
実施例1の界壁構造において、梁上防火被覆材131に沿って、吸音材132が取り付けられている(図6)。
【0055】
これにより、枠材133によって一体化された梁上防火被覆材131に吸音材132を取り付けた梁上界壁130を、隣り合う建物ユニット10間に、一度に配置することができる。そのため、施工性を向上させることができる。
【0056】
以上、本発明の界壁構造を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0057】
実施例1では、本発明を、妻側において隣り合うユニット建物間の界壁構造に適用する例を示した。しかし、本発明は、桁側において隣り合うユニット建物間の界壁構造に適用することもできる。
【0058】
実施例1では、本発明を、2階建てのユニット建物に適用する例を示した。しかし、本発明は、1階建のユニット建物にも、3階建以上のユニット建物にも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 ユニット建物
10 建物ユニット
22 天井大梁
32 屋根面材
111 梁下防火被覆材
121 梁内防火被覆材
131 梁上防火被覆材
133 枠材
132 吸音材
図1
図2
図3
図4
図5
図6