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特許7431619セクションインシュレータ、及び、セクションインシュレータ用カバー
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  • 特許-セクションインシュレータ、及び、セクションインシュレータ用カバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】セクションインシュレータ、及び、セクションインシュレータ用カバー
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/18 20060101AFI20240207BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20240207BHJP
   H02G 7/12 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B60M1/18
H02G7/00
H02G7/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020039492
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021138323
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 2019年12月4日~6日 集会名 第26回鉄道技術連合シンポジウム(J-RAIL2019) 開催場所 国立オリンピック記念青少年総合センター(センター棟)東京都渋谷区代々木神園町3-1
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】宇治 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】辻 陽治
(72)【発明者】
【氏名】宮口 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】林 博之
(72)【発明者】
【氏名】莨谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】硲 昌也
(72)【発明者】
【氏名】濱口 武宣
(72)【発明者】
【氏名】岡氏 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 武
(72)【発明者】
【氏名】大塚 聡
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】実公昭39-004207(JP,Y1)
【文献】実公昭03-011482(JP,Y1)
【文献】特開2013-086628(JP,A)
【文献】特開2009-207220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 1/18
H02G 7/00
H02G 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車線路の延設方向に隣り合って架設された2本のトロリ線(T1、T2)を電気的に絶縁しつつ接続するセクションインシュレータ(10)において、
前記延設方向に沿って延びる絶縁体からなる本体部(11)と、
前記本体部(11)の上面に形成され、この上面に付着した水滴が前記延設方向に連続しないように、該延設方向の両方向に水滴を脱落させる前記延設方向に対称形状の脱落誘導部(15)と、
を有し、
前記本体部(11)の上面に、この上面に付着した水滴を前記延設方向に対する直交方向の両方向に脱落させる、前記延設方向には傾斜を有しない傾斜部(12)が形成されており、
前記本体部(11)は、側面と底面が平面状の中間部(13)を有し、前記中間部(13)には、前記傾斜部(12)を間に挟んで、前記脱落誘導部(15)が所定間隔で形成されていることを特徴とするセクションインシュレータ。
【請求項2】
前記脱落誘導部(15)が、前記延設方向に対し交差する方向に延びる突条(15a)又は溝部(15b)である請求項1に記載のセクションインシュレータ。
【請求項3】
前記脱落誘導部(15)が、前記本体部(11)の上面から側面まで延設されている請求項1又は2に記載のセクションインシュレータ。
【請求項4】
電車線路の延設方向に隣り合って架設された2本のトロリ線(T1、T2)を電気的に絶縁しつつ接続するセクションインシュレータ(10)の前記延設方向に沿って延びる絶縁体からなる本体部(11)に、その上から覆うように設けられるセクションインシュレータ用カバー(19)において、
前記延設方向に沿って延びる絶縁体からなるカバー本体部(20)と、
前記カバー本体部(20)の上面に形成され、該カバー本体部(20)の上面に付着した水滴がこの上面で前記延設方向に連続しないように、該延設方向の両方向に水滴を脱落させる前記延設方向に対称形状の脱落誘導部(15)と、
を有し、
前記カバー本体部(20)の上面に、この上面に付着した水滴を前記延設方向に対する直交方向の両方向に脱落させる、前記延設方向には傾斜を有しない傾斜部(12)が形成されており、
前記カバー本体部(20)には、前記傾斜部(12)を間に挟んで、前記脱落誘導部(15)が所定間隔で形成されていることを特徴とするセクションインシュレータ用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電車線路の延設方向に隣り合って架設された2本のトロリ線を電気的に絶縁しつつ接続するセクションインシュレータ、及び、セクションインシュレータ用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に示すように、電車線路の延設方向に隣り合って架設された2本のトロリ線を電気的に絶縁しつつ接続するセクションインシュレータに、繊維強化プラスチック(以下、FRPと略称する。)からなる棒状体(特許文献1の図1中の絶縁部材2)が用いられることがある。このFRP自体は高い絶縁性を有する反面、降雨等によってその上面の前記延設方向に水滴が連続的に形成されると、このセクションインシュレータによる前記延設方向の絶縁性が低下する問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1に係るセクションインシュレータ1においては、絶縁部材2の中間部7に、その幅方向中央の頂部から両側面7b、7bに向かって下方に傾斜する一対の脱落誘導斜面7c、7cを形成している。このようにすると、絶縁部材2の脱落誘導斜面7c上に落ちた雨滴が、この脱落誘導斜面7cに沿って下方に伝わり落ち、絶縁部材2上に留まりにくい。このため、水滴が絶縁部材2の上面に連続的に形成されにくく、延設方向への絶縁性を確保することができる(特許文献1の段落0009、図6等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-86628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るセクションインシュレータ1においては、脱落誘導斜面7cによって、水滴を絶縁部材2の中間部7の幅方向中央の頂部から両側面7b、7bに落とす作用を有するものの、セクションインシュレータ1の長さ方向に水滴が連続的に形成されるのを防ぐ形状にはなっていない。このため、例えば、降水量が多いときに頂部から流れ落ちる水滴が、その側面7bにおいてセクションインシュレータ1の長さ方向に連続することが起こり得る。ただ、このような大雨は稀であって、通常の絶縁性は十分に確保できているため安全性には特に問題はないといえるが、この安全性を一層高めるべく、絶縁性のさらなる向上が期待されている。
【0006】
そこで、この発明は、降水時におけるセクションインシュレータの絶縁性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明は、電車線路の延設方向に隣り合って架設された2本のトロリ線を電気的に絶縁しつつ接続するセクションインシュレータにおいて、前記延設方向に沿って延びる絶縁体からなる本体部と、前記本体部の上面に形成され、この上面に付着した水滴が前記延設方向に連続しないように、該延設方向の両方向に水滴を脱落させる脱落誘導部と、を有することを特徴とするセクションインシュレータを構成した。
【0008】
このようにすると、セクションインシュレータの本体部の上面に付着した水滴が、その延設方向の両方向にスムーズに脱落するため、連続する水滴がその延設方向に形成されるのを確実に防止して、高い絶縁性を確保することができる。
【0009】
前記セクションインシュレータにおいては、前記脱落誘導部が、前記延設方向に対し交差する方向に延びる突条又は溝部である構成とすることができる。
【0010】
このようにすると、簡便な加工によってセクションインシュレータの本体部に脱落誘導部を形成することができ、突条又は溝部による水滴の脱落効果を期待することができる。
【0011】
前記セクションインシュレータにおいては、前記本体部の上面に、この上面に付着した水滴を前記延設方向に対する直交方向の両方向に脱落させる傾斜部が形成されている構成とすることができる。
【0012】
このようにすると、本体部の上面に付着した水滴を、脱落誘導部によって延設方向の両方向に落とすとともに、傾斜部によって延設方向の直交方向の両方向に落とすことができ、この上面への水滴の付着を確実に防止して、より高い絶縁性を確保することができる。
【0013】
前記セクションインシュレータにおいては、前記脱落誘導部が、前記本体部の上面から側面まで延設されている構成とすることができる。
【0014】
このようにすると、本体部の上面から流れ落ちた水滴が、その側面で滞留することによって絶縁性が損なわれるのを確実に防止することができる。
【0015】
上記のようにセクションインシュレータを構成する代わりに、電車線路の延設方向に隣り合って架設された2本のトロリ線を電気的に絶縁しつつ接続するセクションインシュレータの前記延設方向に沿って延びる絶縁体からなる本体部に、その上から覆うように設けられるセクションインシュレータ用カバーにおいて、前記延設方向に沿って延びる絶縁体からなるカバー本体部と、前記カバー本体部の上面に形成され、該カバー本体部の上面に付着した水滴がこの上面で前記延設方向に連続しないように、該延設方向の両方向に水滴を脱落させる脱落誘導部と、を有することを特徴とするセクションインシュレータ用カバーを構成することもできる。
【0016】
このようにすると、既存のセクションインシュレータの本体部にセクションインシュレータ用カバーを覆うように設けることによって、この本体部に脱落誘導部を直接形成したときと同様に、高い絶縁性を確保することができる。
【0017】
前記セクションインシュレータ用カバーにおいては、前記脱落誘導部が、前記延設方向に対し交差する方向に延びる突条又は溝部である構成とすることができる。
【0018】
前記セクションインシュレータ用カバーにおいては、前記カバー本体部の上面に、この上面に付着した水滴を前記延設方向に対する直交方向の両方向に脱落させる傾斜部が形成されている構成とすることができる。
【0019】
前記セクションインシュレータ用カバーにおいては、前記脱落誘導部が、前記カバー本体部の上面から側面まで延設されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明では、セクションインシュレータの本体部の上面に脱落誘導部を形成したので、この上面に付着した水滴を、電車線路の延設方向の両方向にスムーズに脱落させることができる。このため、その延設方向に水滴が連続して形成されるのを確実に防止することができ、降水時における高い絶縁性を確保することができる。また、既存のセクションインシュレータの本体部を上記のセクションインシュレータ用カバーで覆うことによって、この本体部に脱落誘導部を直接形成したときと同様の水滴脱落効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明に係るセクションインシュレータの第一実施形態を示す平面図
図2図1に示すセクションインシュレータの本体部を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)中のc-c線に沿う断面図、(d)は(a)中のd-d線に沿う断面図、(e)は(a)中のe-e線に沿う断面図、(f)は(e)中のf-f線に沿う断面図
図3】漏れ電流の測定結果を示す図
図4】第二実施形態に係るセクションインシュレータの本体部を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)中のc-c線に沿う断面図、(d)は(a)中のd-d線に沿う断面図、(e)は(a)中のe-e線に沿う断面図、(f)は(e)中のf-f線に沿う断面図
図5】この発明に係るセクションインシュレータ用カバーを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)中のc-c線に沿う断面図、(d)は(a)中のd-d線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明に係るセクションインシュレータ10(以下、インシュレータ10と称する。)の第一実施形態を図1に示す。このインシュレータ10は、電車線路の延設方向(以下、延設方向と称する。)に隣り合って架設された2本のトロリ線T1、T2の端部間を絶縁体からなる本体部11によって、電気的に絶縁しつつ接続する機能を有している。
【0023】
本体部11は、図2に示すように、上面に断面円弧状の傾斜部12が形成され、側面と底面が平面状の中間部13(図2(d)参照)と、この中間部13の両端に形成された断面矩形の固定部14(図2(c)参照)と、から構成される前記延設方向に延びる棒状部材である。この本体部11は、繊維強化プラスチック(以下、FRPと略称する)からなる。中間部13には、脱落誘導部15が所定間隔で形成されている。この上面に付着した水滴を、傾斜部12によって前記延設方向に対する直交方向の両方向に脱落させるとともに、脱落誘導部15によって前記延設方向の両方向に脱落させるようになっている。
【0024】
この実施形態では、脱落誘導部15として、前記延設方向に直交し、中間部13の上面から両側面の下端に至る突条15aを採用している。このように、突条15aを形成することにより、本体部11の上面から側面までの全体に亘って、水滴が本体部11の延設方向に連続するのを防止して、本体部11における高い絶縁性を確保している。
【0025】
突条15aの中間部13表面からの高さは、約5mmである。この高さはこれに限定されず、例えば、1mm以上20mmの範囲内、好ましくは2mm以上15mm以下の範囲内、さらに好ましくは4mm以上10mm以下の範囲内とすることができる。このようにすると、中間部13の上面に付着した水滴が水の表面張力によって一体化するのを阻止し、この水滴を延設方向に確実に分断することができる。
【0026】
この第一実施形態においては、中間部13に形成される突条15aの個数を5個又は9個としたが、適宜増減することもできる。また、この実施形態においては、水滴の脱落を促進するために中間部13及び突条15aの表面に、撥水性を有するシリコーンワニス塗料を塗布したが、この撥水剤の種類を適宜変更することができる。また、撥水剤を塗布しない構成とすることもできる。
【0027】
固定部14には、ボルト穴16が形成されており、トロリ線T1、T2の端部を引き留める引き留め部17が固定される。トロリ線T1、T2の端部は、引き留め部17に挿入された上でボルト18によって固定される。
【0028】
図2に示す脱落誘導部15(突条15a)を形成した本体部11(本願の実施例)と、脱落誘導部15(突条15a)を形成していない本体部(本願の比較例)を供試体として、降雨状態を模擬した電圧試験を実施した。この電圧試験は、棒状の供試体の両端に、アルミニウム箔を巻いた上にさらに銅線を巻くことによって電極を形成し(両電極の間隔は1270mm)、両電極間に交流商用周波による電圧を加えることにより実施した。電圧範囲は、10kVから100kVまでとし、10kVごとに漏れ電流を測定した。100kVでは、その電圧で5分間保持した。
【0029】
供試体への注水は、JISC3801-1(がいし試験方法第1部)の7.3項(商用周波注水フラッシオーバ電圧試験)に基づいて行った。注水に先立って、供試体の乾燥状態において上記の電圧範囲で漏れ電流を測定したところ、本願の実施例及び比較例のいずれも20μA以下であり、供試体自体の絶縁性に問題はないことを確認できた。
【0030】
電圧試験の結果を図3に示す。突条15aを形成していない比較例に対し、本体部11に5個の突条15aを形成した実施例1において、90kV以上の電圧範囲で、突条15aを形成したことによる漏れ電流の低減効果を確認できた。さらに、実施例2のように本体部11に形成された突条15aの個数を9個に増やすことにより、60kV以上の電圧範囲で、漏れ電流のさらなる低減効果を確認できた。このように、突条15aの個数を増やすほど、インシュレータ10の絶縁性が高まり、漏れ電流の低減効果を向上できることが実験的に明らかとなった。
【0031】
この発明の第二実施形態に係るインシュレータ10の本体部11を図4に示す。この本体部11は、その中間部13に延設方向の両方向に水滴を脱落させる脱落誘導部15が所定間隔で形成されている点において第一実施形態に係る本体部11と共通するが、その脱落誘導部15が、前記延設方向に直交し、中間部13の上面から両側面の下端に至る溝部15bである点で相違する。
【0032】
このように、溝部15bを形成することにより、突条15aを形成したときと同様に、本体部11の上面から側面までの全体に亘って、水滴が本体部11の延設方向に連続するのを防止する効果を期待できる。また、溝部15bの個数を増やすことにより、突条15aを形成したときと同様に、その効果の向上を期待できる。この実施形態においても、水滴の脱落を促進するために、中間部13及び溝部15bの表面に、撥水性を有するシリコーンワニス塗料が塗布されている。
【0033】
この発明に係るセクションインシュレータ用カバー19(以下、カバー19と称する。)の一実施形態を図5に示す。このカバー19は、カバー本体部20と脱落誘導部15とを有する。
【0034】
カバー本体部20は、前記延設方向に隣り合って架設された2本のトロリ線T1、T2の端部間を電気的に絶縁しつつ接続する絶縁体からなる本体部11の上を覆うように、この本体部11にボルト21で固定される、上面に断面円弧状の傾斜部12が形成された絶縁体からなる部材である。
【0035】
このカバー本体部20には、前記延設方向の両方向に水滴を脱落させる脱落誘導部15が所定間隔で形成されている。この脱落誘導部15は、前記延設方向に直交し、カバー本体部20の上面から両側面の下端に至る突条15aである。このように、突条15aを形成することにより、カバー本体部20の上面から側面までの全体に亘って、水滴がカバー本体部20の延設方向に連続するのを防止して、カバー本体部20による高い絶縁性を確保している。突条15aの個数は、要求される絶縁特性を考慮した上で、適宜決定することができる。
【0036】
この実施形態においては、水滴の脱落を促進するためにカバー本体部20及び突条15aの表面に、撥水性を有するフッ素系塗料を塗布しているが、上記のインシュレータ10に係る第一実施形態及び第二実施形態と同様に、シリコーンワニス塗料を塗布することもできる。
【0037】
このカバー19は、既設のインシュレータ10の本体部11の断面形状に関係なく、この本体部11を上から覆うように設けるだけでその本体部11の絶縁性を確保することができ、汎用性が非常に高い。なお、上記においては、カバー本体部20に突条15aを形成した態様について説明したが、上記の第二実施形態に示す溝部15bを形成した態様とすることもできる。
【0038】
上記において説明したインシュレータ10及びカバー19は、全ての点で例示であって、降水時におけるインシュレータ10の絶縁性を高める、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、上記の実施形態に適宜変更を加えることができる。
【0039】
例えば、上記のインシュレータ10及びカバー19は、その上面に断面円弧状の傾斜部12を形成したが、断面三角形状の傾斜部12としたり、脱落誘導部15によって水滴を十分に脱落させることができる場合には、傾斜部12を形成せずに平坦面としたりすることもできる。また、上記の各実施形態においては、延設方向に対して脱落誘導部15(突条15a、溝部15b)を直交させた構成としたが、脱落誘導部15が、前記延設方向に対して所定角度だけ傾斜して交差する構成とすることもできる。また、上記の各実施形態においては、脱落誘導部15として、突条15a又は溝部15bのいずれか一方を採用した構成を示したが、突条15aと溝部15bの両方を組み合わせて採用した構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0040】
10 セクションインシュレータ(インシュレータ)
11 本体部
12 傾斜部
13 中間部
14 固定部
15 脱落誘導部
15a 突条
15b 溝部
16 ボルト穴
17 引き留め部
18 ボルト
19 セクションインシュレータ用カバー(カバー)
20 カバー本体部
21 ボルト
T1、T2 トロリ線
図1
図2
図3
図4
図5