(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】駐車場システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/042 20060101AFI20240207BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G08G1/042 B
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2020042682
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】市川 光
(72)【発明者】
【氏名】相澤 祐司
(72)【発明者】
【氏名】小西 涼太
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086693(JP,A)
【文献】特開2002-331892(JP,A)
【文献】特開平08-136383(JP,A)
【文献】特開2010-130035(JP,A)
【文献】特開2002-109669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が所定以上近づくことを検出するセンサ部と
、前記センサ部の制御回路と
、前記センサ部及び前記制御回路を動作させる電源と
、外部から非接触で電力を受けて前記電源に電力を供給する端末側充電部と
を備える
複数の車両検知端末
と、
前記複数の車両検知端末のうち充電の必要性が高い車両検知端末を検知する駐車場管理装置とを含む、駐車場システム。
【請求項2】
前記端末側充電部は、電磁波受信部で受けた電磁波を電力に変換する、請求項1に記載の
駐車場システム。
【請求項3】
前記端末側充電部は、受光部で受けた光を電力に変換する、請求項1に記載の
駐車場システム。
【請求項4】
前記電源の充電量が所定以下になったと判断した場合に外部に通知する充電管理部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の
駐車場システム。
【請求項5】
前記充電管理部は、通信装置を有し、前記通信装置を介して外部管理装置に前記電源の充電状態を通知する、請求項4に記載の
駐車場システム。
【請求項6】
前記電源の充電量が所定以下になったと判断した場合に周囲に充電低下を知覚させるような表示の切り替えを行う表示器を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の
駐車場システム。
【請求項7】
前記車両検知端末に充電する充電装置をさらに備える、請求項
1に記載の駐車場システム。
【請求項8】
前記駐車場管理装置は、前記充電の必要性が高い車両検知端末に対して移動型の前記充電装置を派遣する、請求項
7に記載の駐車場システム。
【請求項9】
前記駐車場管理装置は、駐車個所の満空状態を管理し、
駐車場の満空状態を通知する満空表示器をさらに備える、請求項
1~8のいずれか一項記載の駐車場システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車箇所に設置される車両検知端末を用いた駐車場システムに関し、特に長期間の継続使用を可能にするユニット型の車両検知端末を用いた駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両検知端末として、車室に配置される一体型ループ式の車両検知装置であって、閉曲線形状のループコイルと、ループコイルから車両によって引き起こされる電気的変化を受信するインダクタンス評価部と、インダクタンス評価部から車両検知結果を受信して無線で伝送する通信部とを含むものが開示されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の車両検知装置は、内蔵バッテリや有線での電力供給を前提としているが、有線での電力供給ではユニット型の車両検知装置の簡便さが失われる。一方、内蔵バッテリを用いる場合、充電について配慮されておらず、内蔵バッテリの消耗前に車両検知装置の交換を行うことが前提となっている。このため、内蔵バッテリを除いて正常な車両検知装置全体を廃棄するという資材の無駄の問題がある。また、大型駐車場で多数の車室を管理する場合、車両検知装置の部分的交換は現実的でなく、一定の保証期間が過ぎた場合にすべての車両検知装置の交換を行うとなると、駐車場管理装置の一時的運用停止が必要になり、交換時間の確保等の観点で、このタイプの車両検知装置の導入の妨げとなっているといという事情がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、簡易に設置可能であり長期間の継続使用を可能にする車両検知端末を用いた駐車場システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための駐車場システムは、車両が所定以上近づくことを検出するセンサ部と、センサ部の制御回路と、センサ部及び制御回路を動作させる電源と、外部から非接触で電力を受けて電源に電力を供給する端末側充電部とを備える複数の車両検知端末と、前記複数の車両検知端末のうち充電の必要性が高い車両検知端末を検知する駐車場管理装置とを含む。
【0007】
上記駐車場システムによれば、車両検知端末において、端末側充電部が外部から非接触で電力を受けて電源に電力を供給するので、外部から非接触で内蔵された電源を充電して動作期間を延長することができる。これにより、外部から給電を受ける配線が不要となる独立性を生かししつつ、車両検知端末を継続的に使用でき車両検知端末の廃棄処分といった無駄を低減でき、小型又は大型駐車場でのメンテナンスが簡便になり作業性が高まる。また、上記駐車場システムによれば、駐車場管理装置が複数の車両検知端末のうち充電の必要性が高い車両検知端末を検知するので、多数の車室を含む駐車場では、駐車場管理装置によって効率的な集中管理を行うことができる。
【0008】
本発明の具体的な側面によれば、上記車両検知端末において、端末側充電部は、電磁波受信部で受けた電磁波を電力に変換する。この場合、充電の効率や簡便性を高めることができる。電磁波受信部としては、例えば磁気共鳴、電磁誘導等の手法を利用したものが考えられる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、端末側充電部は、受光部で受けた光を電力に変換する。この場合、充電の簡便性を高めることができる。受光部としては、LED、レーザ等の光源からの光を光電効果等によって電力に変換する手法を利用したものが考えられる。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、電源の充電量が所定以下になったと判断した場合に外部に通知する充電管理部を有する。この場合、充電の必要性がある車両検知端末を早期に特定して充電を行うことができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、充電管理部は、通信装置を有し、通信装置を介して外部管理装置に電源の充電状態を通知する。この場合、外部管理装置において、各車両検知端末の充電状態を全体的に管理することができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、電源の充電量が所定以下になったと判断した場合に周囲に充電低下を知覚させるような表示の切り替えを行う表示器を有する。この場合、車両検知端末が要充電状態となった場合にその車両検知端末の周囲に充電の必要性を知らせて、個々の車両検知端末を視覚的に管理することが可能になり、例えばメンテナンス担当者の巡回等によって車両検知端末の充電管理が可能になる。
【0015】
本発明の具体的な側面によれば、上記記駐車場システムにおいて、車両検知端末に充電する充電装置をさらに備える。この場合、駐車場システムに付帯する充電装置によって車両検知端末の動作維持が確保される。充電装置は、例えば充電器を備える移動体であり、車室に設けた間接充電装置である。
【0016】
本発明の別の側面によれば、駐車場管理装置は、充電の必要性が高い車両検知端末に対して移動型の充電装置を派遣する。充電装置の派遣には、メンテナンス担当者用の端末装置に充電個所の指令を出すこと、充電器を備える移動体に充電個所まで移動して充電動作を行わせることを含んでいる。
【0017】
本発明のさらに別の側面によれば、駐車場管理装置は、駐車個所の満空状態を管理し、駐車場の満空状態を通知する満空表示器をさらに備える。この場合、車両検知端末からの情報を利用して、利用者に対して利用の便宜を図った駐車場表示が可能なる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る駐車場システムについて説明する概念図である。
【
図2】(A)は、駐車場システムに組み込まれる車両検知端末の構造を説明する側方断面図であり、(B)は、車両検知端末の概念的なブロック図である。
【
図3】駐車場システムの遠隔制御装置及び駐車場付帯設備を概念的に説明するブロック図である。
【
図4】駐車場の管理状況を一覧にした管理表の一例を示す図である。
【
図5】(A)は、充電装置の一例を説明する概念図であり、(B)は、充電装置の概念的なブロック図である。
【
図6】(A)は、充電装置の変形例であるメンテナンス車の派遣を示す図であり、(B)は、メンテナンス車の構造を示す概念図である。
【
図7】第2実施形態の駐車場システムの要部について説明する断面図である。
【
図8】第3実施形態の駐車場システムについて説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明に係る駐車場ステム及び車両検知端末の第1実施形態について説明する。
【0020】
図1に示す第1実施形態の駐車場システム100は、複数の車室PSを備える駐車場APに適用される設備であり、車室PSごとに配置される車両検知端末20と、多数の車室PSに対応して設けられた多数の車両検知端末20を一括管理する駐車場管理装置60とを備える。
【0021】
駐車場管理装置60は、駐車場APに設置された全ての車両検知端末20について、対応する車室に駐車されているか否かと充電状態が適切であるか否かとを遠隔的に監視する遠隔制御装置50を有する。駐車場管理装置60や遠隔制御装置50は、駐車場APにおける車室の占有状況を監視することができるだけでなく、多数の車両検知端末20のうち充電の必要性が高い車両検知端末20を検知する。駐車場管理装置60は、遠隔制御装置50のほかに、遠隔制御装置50と車両検知端末20との間で通信を可能にする複数の中継装置61を有し、遠隔制御装置50の制御下で駐車場APの満空状態を表示する満空表示器63を有する。駐車場管理装置60は、駐車場APの通路PW等に付随して案内装置65を有している。案内装置65も遠隔制御装置50の制御下で動作する。
【0022】
中継装置61は、車両検知端末20の無線通信距離等を考慮して、複数の車室PSをまとめた駐車領域AR1~AR3ごとに設けられているが、これに限らず、車両検知端末20ごとに設けることもできる。中継装置61を省略して遠隔制御装置50と車両検知端末20とが直接通信するシステムとすることもできる。満空表示器63は、駐車場APの出入口GTに設けられている。遠隔制御装置50は、車両検知端末20からの情報を利用して、駐車場APを構成するすべての車室PSが車両MOで占有されていると判断した場合、満空表示器63に満表示63aを行わせ、駐車場APに車両MOで占有されていない車室PSが存在すると判断した場合、満空表示器63に空表示63bを行わせる。結果的に、満空表示器63によって、車両検知端末20からの情報を利用して、利用者に対して利用の便宜を図った駐車場表示が可能なる。案内装置65は、駐車領域AR1~AR3の適所に設けられている。案内装置65は、ディスプレイ、警告灯、スピーカ等を含む。遠隔制御装置50は、案内装置65に対して有線又は無線で接続されており、例えば駐車場APの通路PWを通行する歩行者に車両通過警報を行い、或いは通路PWを走行する車両MOに対して進行方向を誘導する案内(例えば空車階の案内)等を行う。
【0023】
図2(A)及び
図2(B)を参照して、車両検知端末20の構造について説明する。車両検知端末20は、薄い板状の外観を有する装置である。車両検知端末20は、ユニット状の装置であり、周囲から独立しており、外部に延びる結線又は配線を有していない。車両検知端末20は、ケース20aを介して、不図示の固定具又は接着剤によって各車室PSの床面PSa上に固定されている。
【0024】
車両検知端末20は、センサ部21と、充電型電源23と、エネルギー取得部24と、端末側充電部25と、通信装置27と、表示器28と、制御回路29とを有する。ここで、通信装置27と制御回路29とは、充電型電池である充電型電源23の充電量が所定以下になったと判断した場合に外部に通知する充電管理部20mとして機能する。端末側充電部25については、エネルギー取得部24とあわせて端末側充電部と呼ぶこともある。
【0025】
センサ部21は、制御回路29によって動作している。車両検知端末20に車両の存在を検出させるためには、センサ部21や制御回路29を動作させる充電型電源23が必要になっている。センサ部21は、第1コイルCL1と、第2コイルCL2と、コイル駆動評価部21aとを有する。第1コイルCL1及び第2コイルCL2は、閉曲線形状に形成されており、床面PSaに垂直な上下方向に関して異なる高さ位置に配置されている。この結果、車両が所定以上近づいた場合、具体的には車両検知端末20の上方に車両が配置された場合、第1コイルCL1から車両までの距離と、第2コイルCL2から車両までの距離とが異なるようになっている。コイル駆動評価部21aは、車両によって引き起こされる電気的変化をコイルCL1,CL2から受信する。第1コイルCL1及び第2コイルCL2が上下方向に関して異なる高さ位置に配置されているため、コイル駆動評価部21aが第1コイルCL1から受信する電気信号と、第2コイルCL2から受信する電気信号との間に差が生じる。具体的には、車両検知端末20の上方近傍に存在する車両の有無によって第1コイルCL1と第2コイルCL2と間にインダンクタンス変化の差が生じ、コイル駆動評価部21aは、このようなインダンクタンス変化の差を判定信号として用い、車両検知端末20の上方近傍に車両が存在するか否かを判定する。コイル駆動評価部21aは、地磁気検知回路を含むようなものであってもよい。この場合、地磁気検知回路による検出信号を参照してコイルCL1,CL2からの判定信号に修正又は校正を加えることができる。以上では、センサ部21が第1コイルCL1と第2コイルCL2とを含むとしたが、センサ部21は、単一のコイルのみで動作するようなものであってもよい。さらに、センサ部21は、コイルのインダクタンス変化を検出するタイプの車両近接センサに限らず、光学的手法、音響的手法等の各種手法を用いたセンサに置き換えることができる。
【0026】
充電型電源23は、充電が可能な二次電池であり、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の各種電池を用いることができる。充電型電源23は、センサ部21を動作させる電力を供給するだけでなく、制御回路29、通信装置27、表示器28等を動作させる電力を供給する。充電型電源23は、制御回路29又はエネルギー取得部24からの指令で動作する端末側充電部25から電力の供給を受けることが可能になっており、充電量が規定値以下になった適当なタイミングで充電される。
【0027】
エネルギー取得部24は、外部から非接触でエネルギーの供給を受ける部分であり、例えば電磁波として電力の供給を受ける。このように電磁波を介して電力の供給を受ける場合、エネルギー取得部24は、電磁波受信部124であり、電磁波受信部124で受けた電磁波を電力に変換する。エネルギー取得部24は、外部から非接触でエネルギー又は電力の供給を受けている状況になると、制御回路29の管理下で動作し、端末側充電部25に対して充電型電源23を充電するための電力供給を行う。エネルギー取得部24は、例えば磁気共鳴方式を利用した電力取得装置とすることができる。エネルギー取得部24は、磁気共鳴方式を利用したものに限らず、電磁誘導方式を利用したものであってもよく、電界結合方式利用したものであってもよい。なお、エネルギー取得部24は、例えば共振用のコイルのような電磁界に反応する部材のみで構成することができ、この場合、端末側充電部25によってエネルギー取得部24の応答から電力を取り出すこともできる。
【0028】
端末側充電部25は、エネルギー取得部24が外部から非接触で受けた電力を充電型電源23に供給する充電処理回路である。端末側充電部25は、エネルギー取得部24から電力を充電型電源23に適する電圧及び電流値として充電型電源23に供給する。端末側充電部25は、エネルギー取得部24から電力を受けている限り、原則として充電型電源23にこれを充電する電力を供給する。端末側充電部25は、充電型電源23の充電レベルを監視する機能も有する。よって、端末側充電部25は、充電型電源23が完全に充電されたと判断した場合、充電型電源23に対する充電を停止する。端末側充電部25は、充電型電源23に電力を供給しているか否かの情報、充電型電源23の充電レベルの情報等を制御回路29に出力する。なお、充電型電源23に関する充電レベルの情報は、例えば「〇〇%」のような詳細なものに限らず、略充電状態、放電進行状態、充電必要状態、緊急要充電状態、使用不能状態といった段階的なものであってもよい。
【0029】
通信装置27は、無線通信を可能にする回路を有し、
図1に示す中継装置61に届く電波を発生する。通信装置27は、制御回路29の制御下で動作し、車両検知端末20の状態に関する情報を外部に無線で送信する。車両検知端末20の状態に関する情報は、車両検知端末20のID情報と、車両の存否に関する情報と、充電型電源23の充電レベルに関する情報とを含むが、それら以外の情報(例えば車両検知端末20が正常に動作しているか否か)を含ませたものとすることもできる。車両検知端末20の状態に関する情報は、常時出力する必要はなく、間欠的なもので足り、ID情報と車両の存否情報とを送信するタイミングと、ID情報と充電レベルに関する情報とを送信するタイミングとは、通常異なるものとなる。
【0030】
表示器28は、人が視覚的に認識できる各種表示を行う。表示器28は、充電型電源23の充電量が所定以下になったと判断した場合に周囲に充電低下を知覚させるような表示の切り替えを行う。表示器28は、例えばLED表示器のようなものであるが、液晶ティスプレイのようなものであってもよい。表示器28は、制御回路29の制御下で動作し、充電型電源23の充電レベルが既定の閾値以下になった場合に発光する動作を行う。表示器28は、車室PSの外側からでもメンテナンス担当者等が認識できるような表示を行う。表示は、充電型電源23の充電レベルが閾値以下になった場合に点灯又は点滅するようなものであってもよいが、充電レベルが閾値以下になった場合に消灯するようなものであってもよい。
【0031】
制御回路29は、センサ部21、エネルギー取得部24、端末側充電部25、通信装置27、及び表示器28の動作を統括的に管理している。制御回路29は、センサ部21、端末側充電部25、通信装置27等を動作させるタイミング又は間隔を管理しており、車両の存否や充電レベルを定期的に判断し、通信装置27を介して外部に無線信号として報告させている。制御回路29は、端末側充電部25、表示器28等を動作させるタイミングを管理しており、エネルギー取得部24が外部から非接触で電力を受けていることを検出した場合、端末側充電部25に充電型電源23を充電する動作を行わせ、充電型電源23の充電レベルが既定の閾値以下の状態である場合に、表示器28に発光、点滅、消灯その他の警報動作を行わせる。
【0032】
図3を参照して、遠隔制御装置50について説明する。遠隔制御装置50は、
図1に示す中継装置61を介して複数の車両検知端末20との間で通信を行う車室情報受信部51と、駐車場APの車室PSの占有状態等を含む駐車管理に関する各種情報を格納する記憶部52と、駐車場から離れた外部管理会社の中央制御装置等との間で交信を可能にする通信部54と、遠隔制御装置50のオペレータに必要な情報を提示しオペレータからの指示を受け付ける入出力部56と、駐車場全体の統括制御を行うための主要部である主制御部58とを備える。遠隔制御装置50は、駐車場付帯設備68に含まれる満空表示器63及び案内装置65等の動作を制御する役割を有し、その他の監視カメラ68a、インターフォン68bのほか、後述する充電装置70等に対しても動作の管理を行っている。
【0033】
車室情報受信部51は、
図1に示す中継装置61を介して車両検知端末20と通信し、通信した車両検知端末20について、ID情報と、車両の存否に関する情報と、充電型電源23の充電レベルに関する情報とを受け取って、これらの情報を主制御部58に転送する。
【0034】
記憶部52は、駐車場APの管理状況に関連する各種データや、主制御部58等における各種処理において必要な各種プログラムを格納する。駐車場APの管理状況に関するデータには、車両検知端末20のID情報に関連付けて、車両の存否に関する情報、充電レベルに関する情報等が含まれる。
【0035】
図4は、
図3の遠隔制御装置50に設けられている記憶部52に保管されるデータを視覚的に例示したものであり、駐車場APの管理状況を一覧にした管理表を示している。一連の車庫番号に対して、「車両の有無」、「センサ端末バッテリ」、「センサ端末反応」等の情報が関連付けて保管されている。「車両の有無」は、車両検知端末20が上方近傍に車両を検出して車室PSが占有されているか否かを示す。「センサ端末バッテリ」は、車両検知端末20の充電型電源23の充電レベルが既定の閾値を超えているか否かを示す。「要充電」であれば、充電レベルが閾値以下で充電が必要な状態を示し、「満」であれば、充電レベルが閾値を超えて充電が不要な状態を示す。「センサ端末反応」は、車両検知端末20に対して問い合わせを行っても応答がない場合といった、車両検知端末20が故障その他の異常状態にある可能性を示している。「センサ端末バッテリ」については、図示の2段階に限らず、前述したように3段階以上に細分化した表記が可能である。以上のような管理表は、駐車場から離れた外部管理会社の中央制御装置又は上位制御装置との間で共有されてもよい。
【0036】
図3に戻って、通信部54は、公衆又は独自のコンピュータ通信ネットワークと接続する機能を有し、駐車場から離れた外部管理会社の中央制御装置との間で情報を共有することができ、中央制御装置からの指令を受け付けることができるようになっている。通信部54は、主制御部58の制御下で動作し、
図4に示すような管理状況を中央制御装置に報告することができる。
【0037】
主制御部58は、遠隔制御装置50として、管理対象である多数の車両検知端末20について車両の検出を監視し、車室PSにおける車両の存否を監視している。結果的に、主制御部58は、遠隔制御装置50として、駐車場APの満空状態を監視している。また、主制御部58は、管理対象である多数の車両検知端末20のうち充電の必要性が高い車両検知端末20を検知する。主制御部58は、車両検知端末20に関する車両の存否、充電の必要性その他の情報を、記憶部52に履歴を残しつつ更新させ保管させる。
【0038】
図5(A)は、充電装置70の一例を示す図である。充電装置70は、満空表示器63のように駐車場APに固定的に設置されるものではないが、充電装置70も、駐車場システム100を構成する要素である。駐車場システム100のメンテナンス担当者MPは、充電装置70を持って要充電に対応する車両検知端末20まで移動し、充電装置70の下端に設けた環状の充電部70aを車両検知端末20に近づけることで、車両検知端末20を充電することができる。
【0039】
図5(B)に示すように、充電装置70は、ポータブル電池73と、エネルギー供給装置75と、通信装置77と、入出力部78と、制御回路79とを有する。なお、ポータブル電池73、通信装置77、入出力部78、制御回路79等は、充電装置70の制御ボックス70b内に収納されている。制御ボックス70bは、メンテナンス担当者MP用の端末装置として機能し、充電個所に関する指令を出すことができる。
【0040】
ポータブル電池73は、
図2(A)に示す車両検知端末20の充電型電源23を充電できる十分な蓄電量を有する。ポータブル電池73自体が充電可能な二次電池であってよい。図示のエネルギー供給装置75は、磁気共鳴方式を利用した電力供給装置であり、高周波回路、コイル、コンデンサ等を備える。
図5(A)に示す充電装置70の下端に設けた充電部70aには、エネルギー供給装置75のコイル75dが内蔵されている。なお、車両検知端末20においても、エネルギー供給装置75のコイル75dに対応する共振用のコイル24dが埋め込まれている。このコイル24dは、
図2(A)に示すエネルギー取得部24の一部に対応する。通信装置77は、遠隔制御装置50のオペレータが充電装置70を操作するメンテナンス担当者MPとの間で情報連絡を行うことを可能にし、充電すべき車両検知端末20を指示する情報や、充電すべき車両検知端末20に対して充電が完了したことを示す情報が交換される。通信装置77は、車両検知端末20と直接通信して車両検知端末20から充電型電源23の充電レベルに関する情報を直接受け取ることもできる。入出力部78は、メンテナンス担当者MPが今回の作業で充電すべき車両検知端末20のリストや次に移動して充電すべき車両検知端末20の車室番号等を示す。制御回路79は、充電装置70の充電動作を支援する。制御回路79は、エネルギー供給装置75や別途設けたセンサ(不図示)によって、エネルギー供給装置75から車両検知端末20のエネルギー取得部24への給電状態や充電完了をチェックする。また、制御回路79は、充電装置70によって充電を完了した車両検知端末20を遠隔制御装置50に逐次報告する。
【0041】
以上では、エネルギー供給装置75が磁気共鳴方式を利用した電力供給装置であるとしがたが、エネルギー供給装置75は、
図2(A)に示すエネルギー取得部24の電力取得方式に適合したものである必要があり、状況に応じて例えば電磁誘導方式や電界結合方式利用したものに置き換えることがきる
【0042】
図6(A)は、
図5(A)に示す充電装置70の変形例を示す図である。駐車場システム100を構成する移動体であるメンテナンス車MVは、移動型の充電装置70を組み込んだ装置であり、駐車場管理装置60の管理下で動作し、要充電に対応する特定の車両検知端末20のある充電個所まで移動し、この車両検知端末20を充電することができる。つまり、駐車場管理装置60は、充電の必要性が高い車両検知端末20に対して移動型の充電装置70を備えるメンテナンス車MVを派遣する。メンテナンス車MVは、有人で動作するものに限らず、無人で動作するものであってもよい。
【0043】
図6(B)は、メンテナンス車MVの構造を示す概念図である。メンテナンス車MVに組み込まれた充電装置70の構造は、
図5(B)に示すものと略同様である。ただし、メンテナンス車MVの走行駆動装置91との間にインターフェース71が設けられており、充電装置70は、メンテナンス車MVと連携して動作する。また、
図5(B)に示すポータブル電池73は、メンテナンス車MVのバッテリ173に置き換えられている。メンテナンス車MVの動作の一例について説明する。メンテナンス車MVは、遠隔制御装置50から指令を受けて充電が必要な車両検知端末20まで移動し、エネルギー供給装置75が車両検知端末20の上方に配置されるようにする。この状態で、エネルギー供給装置75から車両検知端末20のエネルギー取得部24に対して給電が行われ、車両検知端末20は、充電完了状態となる。メンテナンス車MVは、遠隔制御装置50から逐次指令を受けて個々の車両検知端末20に対して充電を行ってもよいが、予め決められたスケジュールに従って複数の車両検知端末20に対して一連の充電を行ってもよい。さらに、充電が必要な車両検知端末20に対応する車室PSが車両MOで占有されている場合、メンテナンス車MVは、車室PSの開放を待ってこの車両検知端末20に対して充電を行うことができる。
【0044】
以上では、充電装置70を備えるメンテナンス車MVによって車両検知端末20に対する充電を行ったが、メンテナンス車MVと同様の充電機能を有するロボットを用いることもできる。
【0045】
上記実施形態の車両検知端末20によれば、端末側充電部25が外部から非接触で電力を受けて充電型電源23に電力を供給するので、外部から非接触で内蔵された充電型電源23を充電して動作期間を延長することができる。これにより、外部から給電を受ける配線が不要となる独立性を生かししつつ、車両検知端末20を継続的に使用でき車両検知端末20の廃棄処分といった無駄を低減でき、小型又は大型駐車場でのメンテナンスが簡便になり作業性が高まる。
【0046】
上記駐車場システム100によれば、駐車場管理装置60が複数の車両検知端末20のうち充電の必要性が高い車両検知端末20を検知するので、多数の車室PSを含む駐車場APでは、駐車場管理装置60によって効率的な集中管理を行うことができる。
【0047】
〔第2実施形態〕
以下、
図7を参照して、第2実施形態の駐車場システム等について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、エネルギーの供給及び取得方式に関する違いを除いて、第1実施形態の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明については省略する。
【0048】
図7に示すように、車両検知端末20において、エネルギー取得部224は、光発電モジュールであり、太陽光パネルと同様の構造を有する。充電装置270は、シェード部270aの内側にエネルギー供給装置としてランプ270bを組付けたものであり、例えばLED光源、レーザ光源等を有してエネルギー光ELをエネルギー取得部224に対して照射する。このように光を介して電力の供給を受ける場合、エネルギー取得部224は、受光部324であり、受光部324で受けた光を電力に変換し、或いは端末側充電部25が受光部324で受けた光を電力に変換する。ランプ270bは、LED等に限らず、様々な発光源を用いることができる。この際、充電装置270から発生させるエネルギー光ELの波長や強度は、車両検知端末20のエネルギー取得部224によってエネルギー光ELを受け取りやすいエネルギー効率の良いものとする。
【0049】
図7の例では、充電装置270を特別に設けているが、車室PSに設けた室内灯が車両検知端末20のエネルギー取得部224にスポット状のエネルギー光を与える機能を有するものであってもよい。この場合、室内灯は、遠隔制御装置50の制御下でオン・オフ動作し、車室に設けた間接充電装置として機能する。
【0050】
〔第3実施形態〕
以下、
図8を参照して、第3実施形態の駐車場システム等について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、駐車料金の精算機能を追加した点を除いて、第1実施形態の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明については省略する。
【0051】
図8に示すように、駐車場APの出入口GTに精算機67aとゲート67bとを設けている。車両検知端末20により、車室PSごとの駐車状況を把握できるので、このような駐車状況に応じて駐車料金を徴収するシステムとすることもできる。車室PSの数が少ない場合、車室管理が容易で利用車間の混乱も生じにくい。車室PSの数が多い場合、自己申告の車室番号で管理を行うシステムとすることもできるが、監視カメラからの情報を併用して特定の車室番号の車室に駐車した車両を特定するようなシステムとすることもできる。
【0052】
駐車場APの利用者がスマートフォンのような携帯端末を持っている場合、公衆ネットワークを利用した通信により、駐車場APの車室PSやこれに対応する車両検知端末20を特定した課金用アプリケーションソフトを利用して料金精算を行うこともできる。
【0053】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0054】
以上では、車両検知端末20に対して充電又は給電を行う手法として、電磁波や光を用いるものについて説明したが、エネルギー取得部24及びエネルギー供給装置75における給電の手法については、上記に限らず、マイクロ波を利用するもの、音波を利用するもの、振動を利用するもの、熱を利用するもの、風力又は流体を利用するものが考えられる。マイクロ波を利用する場合、エネルギー取得部24とエネルギー供給装置75とにマイクロ波の送受信機が組み込まれる。音波を利用する場合、エネルギー取得部24とエネルギー供給装置75とにマイク及びスピーカといった音波の送受信機が組み込まれる。振動を利用する場合、エネルギー取得部24とエネルギー供給装置75とに圧電素子その他を含む振動の発生・検出装置が組み込まれる。熱を利用する場合、例えばエネルギー供給装置75からエネルギー取得部24の適所にドライアイスその他の冷却材を投入して、エネルギー取得部24内に温度差を生じさせ起電力を生じさせることもできる。風力を利用する場合、例えばエネルギー供給装置75に扇風機のような送風機を設け、エネルギー取得部24に風車のようなファンやモータを含む風力発電装置を設ける。
【0055】
以上では、車両検知端末20の表示器28として、LED表示器のようなものを基本として説明したが、表示器28は、機械的な動作によって表示状態を変更するものであってもよい。例えば、メカニカルリレーのようにソレノイド(又はソレノイド及び磁石)への給電切り替えによって、電池残量の表示状態を示す1つ以上の指標部材の配置や見え方を切り替えることができる。また、表示器28として、風船のような浮上物体を電池残量が減って充電が必要になるまではモータ等で機械的に下方に引き込み、充電が必要になった段階で引き込み機構をリリースして浮上物体を上昇させることで充電の必要性を周囲に明示するものを用いることもできる。
【0056】
充電装置70については、電源を備えた装置に限らず、周囲の光、音源、振動等からエネルギーを収集し、このエネルギーを電源として利用するようなものであってもよい。
【0057】
車両検知端末20は、集合的な駐車場に限らず、例えば路上に沿って単独の駐車領域がある場合にも適用可能である。
【0058】
車両検知端末20は、外部から接触方式で電力の供給を受けて電源に電力を供給する端末側充電部を備えるようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
20…車両検知端末、20m…充電管理部、21…センサ部、23…充電型電源、24,224…エネルギー取得部、25…端末側充電部、27…通信装置、28…表示器、29…制御回路、50…遠隔制御装置、51…車室情報受信部、52…記憶部、54…通信部、58…主制御部、60…駐車場管理装置、61…中継装置、63…満空表示器、67a…精算機、67b…ゲート、68…駐車場付帯設備、70,270…充電装置、70a…充電部、70b…制御ボックス、71…インターフェース、73…ポータブル電池、75…エネルギー供給装置、77…通信装置、78…入出力部、79…制御回路、91…走行駆動装置、100…駐車場システム、124…電磁波受信部、324…受光部、AP…駐車場、、EL…エネルギー光、GT…出入口、MO…車両、MP…メンテナンス担当者、MV…メンテナンス車、PS…車室