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  • 特許-地上設置型変圧器の運搬架台 図1
  • 特許-地上設置型変圧器の運搬架台 図2
  • 特許-地上設置型変圧器の運搬架台 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】地上設置型変圧器の運搬架台
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20240207BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240207BHJP
   H02B 1/52 20060101ALI20240207BHJP
   B65D 19/26 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H02B3/00 B
H01F27/00 120
H02B1/52 A
B65D19/26
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020045887
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021150999
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横地 智宏
(72)【発明者】
【氏名】小松 恭輔
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-262306(JP,A)
【文献】特開平06-151197(JP,A)
【文献】特開2017-210272(JP,A)
【文献】実開平03-083403(JP,U)
【文献】実公昭54-042430(JP,Y2)
【文献】実開昭53-106960(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00 - 19/44
H01F 27/00 - 27/06
H01H 33/28 - 33/59
H02B 1/00 - 1/38
1/46 - 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上設置型変圧器の基礎ベースとネジ、ボルトなどで締結でき、前記基礎ベースの下方から露出した変圧器と干渉しないように前記基礎ベースと接するように複数の長尺状部材を長方形に組み合わせた上部フレーム、前記上部フレームに取り付けられて上部フレームの補強および基礎ベースの締結部として取付けた複数の板状部材から成る補強フレーム、前記上部フレームの短辺梁部を支える門型の支柱フレーム、上記支柱フレームの下端間を連結するように複数の長尺状部材を長方形に組み合わせた下部フレーム、露出した変圧器を囲む上部フレーム、支柱フレーム、下部フレームの側面部と下面部に板状部材又は格子状部材を取り付けた保護部により構成されることを特徴とする地上設置型変圧器の運搬架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上設置型変圧器の組立工程から輸送工程において、移動、保管する際の作業を容易にできる運搬架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部での景観の向上、防災の強化などの観点から、配電線の地中化が推進されつつある。地中化用の配電用変圧器として、道路沿いの歩道上に設置する関係で歩行者が充電部に接触しないように安全面を考慮し、配電用変圧器全体を金属製の立方体の収納箱で覆う構造となっている。また、運搬時に吊り上げるための吊り金具を取り付けるボルト孔を外箱の天井壁に備えた構造となっている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5729596号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記地上設置型変圧器は、外箱の天板壁に4つの吊り金具取付けのボルト孔が形成され、これらのボルト孔に、地上設置型変圧器を運搬する際に用いる吊り金具を取付けることができるようになっており、設置した後は、各ボルト孔にボルトをねじ込んでボルト孔を閉じる。
【0005】
最近では、交差点等での視認性を確保する観点から地上高さを低くするために、図1に示すように地上設置型変圧器Aの金属製外箱Bと変圧器、高圧機器、低圧分岐装置などの内部機器を支持する基礎ベース1より下面方向に変圧器2を露出させ、露出した変圧器2を地下の電線共同溝内C(斜線部)に収める構造となっている地上設置型変圧器の需要が高まっている。
【0006】
このような地上設置型変圧器Aは、基礎ベース1の下面方向に変圧器2が露出するため、工場内などで保管したり、運搬のためにトラックの荷台に載せたりするときには、露出した変圧器2の底面で地上設置型変圧器A全体を支えるため、重心が高くなりバランスが悪い。このため、特に保管、運搬時には転倒しないようにロープなどで固定したり、基礎ベース1をジャッキ、木材などで支えたりする必要があり、保管および積み込み作業に手間取るという問題があった。また、移動、運搬時などに露出した変圧器2に物が当たったりすると油漏れを発生させるという問題もある。
【0007】
本発明は、前述の問題点を解決できるものであり、工場での組立工程から据え付け場所までの運搬工程において、露出した変圧器2を保護し、移動、運搬する際の作業を容易にする運搬架台を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は地上設置型変圧器の基礎ベースとネジ、ボルトなどで締結でき、前記基礎ベースの下方から露出した変圧器と干渉しないように前記基礎ベースと接するように複数の長尺状部材を長方形に組み合わせた上部フレーム、前記上部フレームに上部フレームの補強および基礎ベースの締結部として取付けた複数の板状部材から成る補強フレーム、前記上部フレームの短辺梁部を支える門型の支柱フレーム、上記支柱フレーム下端間を連結するように複数の長尺状部材を長方形に組み合わせた下部フレーム、露出した変圧器を囲む上部フレームと支柱フレームの側面部および下部フレームの上面部に板状部材又は格子状部材を取り付けた保護部により構成されることを特徴とする地上設置型変圧器の運搬架台。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、運搬架台の上部フレームに地上設置型変圧器Aの基礎ベースをネジ、ボルトなどで固定することで、露出した変圧器を浮かせた状態で安定して保持できるので、フォークリフト、クレーンなど運搬手段により、運搬架台と締結した地上設置型変圧器を移動させる際に、重心が偏ることがない。また、運搬架台を前記地上設置型変圧器の基礎ベースの下方から露出した変圧器と干渉せず、各工程でのフォークリフト、クレーンなど運搬手段による移動が可能な形状とすることで、地上設置型変圧器を組立工程で前記運搬架台に一度固定すれば据え付け場所まで同じ架台で移動でき輸送作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】地上高さを低くした地上設置型変圧器の外形および設置状態を示す外形図である。
図2】(a)本発明の運搬架台の平面図、(b)はa-a’面での断面図、(c)は側面図である。
図3】(d)本発明の運搬架台の運用形態を示す正面図、(e)は側面図である。
【0011】
本発明の実施例1について図2および図3を用いて説明する。図2(a)は本発明の運搬架台の平面図、図2(b)はa-a’面での断面図、図2(c)は側面図である。Dは運搬架台である。3は複数の長尺状部材を長方形に組み合わせた上部フレーム、4は上部フレームを補強する板状部材から成る補強フレーム、5は上部フレーム3の短辺梁部3aを支える門型の支柱フレーム、6は支柱フレーム5下端間を連結するように複数の長尺状部材を長方形に組み合わせた下部フレーム、上部フレーム3、支柱フレーム5、下部フレーム6の露出した変圧器2を囲む部分の側面部と下面部に取り付ける板状部材又はエキスパンドメタルなどの格子状部材から成る保護部7(網掛け部)である。
【0012】
図2(a)に示すように、上部フレーム3の長辺梁部3bに補強する板状の補強フレーム4を取り付け、この補強フレーム4に基礎ベース1に設けられたアンカーボルト取付け孔と対する箇所に固定孔8を配置する。また、上部フレーム3の長辺梁部3b両端部と長辺梁部3b両端間に複数の短辺梁部3aを配置する。
【0013】
図2(b)及び図2(c)に示すように、短辺梁部3aを取り付けた上部フレーム3の長辺梁部3bにおいて、基礎ベース1の接地面と反対面にて垂直に支柱フレーム5を取り付ける。前記支持フレーム5の下端には、上部フレーム3と同形状の長方形に組み合わせた長尺部材からなる下部フレーム6を取り付ける。
【0014】
図3(d)は本発明の運搬架台の運用形態を示す正面図、図3(e)は側面図である。図3(d)に示すように、運搬架台Dは、運搬架台Dの上部フレーム3に地上設置型変圧器Aの基礎ベース1をネジ、ボルトなどで固定することで、露出した変圧器2を浮かせた状態で安定して保持できる。
【0015】
図3(d)および図3(e)に示すように、露出した変圧器2を囲む上部フレーム3の長辺梁部3b、支柱フレーム5、下部フレーム6の側面部および下部フレーム6の上面部に板状部材又はエキスパンドメタルなどの格子状部材から成る保護部7を取り付けたことで、移動、輸送時に物に当てるなどして変圧器2の外装を変形、破損させることが防ぐことができる。
【0016】
さらに、組立工程で運搬架台Dに基礎ベース1をネジ、ボルトなどで固定した後、変圧器2、変圧器2の高圧側に接続させる高圧機器(一般的に開閉器と高圧カットアウトから構成される)、変圧器2の低圧側に接続される低圧分岐装置、金属製外箱Bを基礎ベース1に取り付けていくことで、地上設置型変圧器Aの組立が容易となるとともに、運搬架台Dが地上設置型変圧器Aを安定して支えるので、地上設置型変圧器Aを転倒しないように固定したり、支えたりする作業が不要となる。
【0017】
保護部7が取り付けられていない長辺梁部3bの下側にフォークリフトの爪(フォーク)を差し込むことができるので、簡単に工場内などをフォークリフトによって移動させることができる。
【0018】
なお、前記運搬架台Dは、山形鋼、溝型鋼、角形鋼、鋼板などから成る上部フレーム3、支柱フレーム5、下部フレーム6の各部品をボルト等で締結して、組立できるようにすることで、輸送先から工場への返却時に分解できるため、人力で積み込んだり、トラックなどの荷台の空きスペースを利用したりできる。また、合板、集成材、間伐材等の木材で架台を製作すると、現地において容易に分解、処分することができるので、島などの遠隔地に輸送した際には返却の手間を減らすことができる。
【0019】
以上説明したように、組立時から運搬架台Dに地上設置型変圧器Aを取り付けることによって、組立時以外の工程でも簡単に移動、保管ができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
地上設置型変圧器などの電気機器の保管、運搬に適用可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 基礎ベース
2 変圧器
3 上部フレーム
3a 上部フレームの短辺梁部
3b 上部フレームの長辺梁部
4 補強フレーム
5 支柱フレーム
6 下部フレーム
7 保護部
8 固定孔
A 地上設置型変圧器
B 金属製外箱
C 電線共同溝
D 運搬架台
図1
図2
図3