(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】アナログスイッチ回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/00 20060101AFI20240207BHJP
H03K 17/687 20060101ALN20240207BHJP
【FI】
H03K17/00 D
H03K17/687 G
(21)【出願番号】P 2020046634
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅川 将輝
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-096375(JP,A)
【文献】特開2006-078556(JP,A)
【文献】特開昭59-049018(JP,A)
【文献】特開2015-011505(JP,A)
【文献】特開平02-050520(JP,A)
【文献】米国特許第05248956(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102577111(CN,A)
【文献】米国特許第05371419(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1CMOSスイッチと、
前記第1CMOSスイッチに並列接続された第2CMOSスイッチと、
電源電圧を監視して前記第2CMOSスイッチの駆動可否を制御する電源監視部と、
を有
し、
前記電源監視部は、前記電源電圧が閾値よりも高いときに前記第2CMOSスイッチを無効とし、前記電源電圧が前記閾値よりも低いときに前記第2CMOSスイッチを有効とし、
前記第1CMOSスイッチ及び前記第2CMOSスイッチは、それぞれ、互いに並列接続された一対のPMOSFET及びNMOSFETを含み、
前記PMOSFET及び前記NMOSFETそれぞれのゲートに印加されるゲート信号は、そのハイレベルが前記電源電圧である、アナログスイッチ回路。
【請求項2】
前記電源電圧として前記閾値よりも高い第1電圧または前記閾値よりも低い第2電圧が供給される、請求項
1に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項3】
前記第2CMOSスイッチは、前記第1電圧の供給時における前記第1CMOSスイッチ単独のオン抵抗と、前記第2電圧の供給時における前記第1CMOSスイッチ及び第2CMOSスイッチ双方の合成オン抵抗が一致するように、その素子設計がなされている、請求項
2に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項4】
前記第2CMOSスイッチは、前記第1CMOSスイッチよりも小さい、請求項1~
3のいずれか一項に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項5】
前記電源監視部は、
前記電源電圧またはその分圧電圧と所定の閾値電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと、
前記第1CMOSスイッチに入力される第1イネーブル信号と前記比較信号から前記第2CMOSスイッチに入力される第2イネーブル信号を生成する論理ゲートと、
を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項6】
前記PMOSFETのバックゲートは、前記電源電圧の印加端に接続されている、請求項
1~5のいずれか一項に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項7】
前記第2CMOSスイッチは、複数設けられている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のアナログスイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、アナログスイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アナログスイッチ回路は、様々なアプリケーションで利用されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアナログスイッチ回路では、オン抵抗の電源依存性について、更なる改善の余地があった。
【0005】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、オン抵抗の電源依存性が小さいアナログスイッチ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本明細書中に開示されているアナログスイッチ回路は、第1CMOSスイッチと、前記第1CMOSスイッチに並列接続された第2CMOSスイッチと、電源電圧を監視して前記第2CMOSスイッチの駆動可否を制御する電源監視部と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0007】
なお、上記第1の構成から成るアナログスイッチ回路において、前記電源監視部は、前記電源電圧が閾値よりも高いときに前記第2CMOSスイッチを無効とし、前記電源電圧が前記閾値よりも低いときに前記第2CMOSスイッチを有効とする構成(第2の構成)にしてもよい。
【0008】
また、上記第2の構成から成るアナログスイッチ回路は、前記電源電圧として前記閾値よりも高い第1電圧または前記閾値よりも低い第2電圧が供給される構成(第3の構成)にしてもよい。
【0009】
また、上記第3の構成から成るアナログスイッチ回路において、前記第2CMOSスイッチは、前記第1電圧の供給時における前記第1CMOSスイッチ単独のオン抵抗と、前記第2電圧の供給時における前記第1CMOSスイッチ及び第2CMOSスイッチ双方の合成オン抵抗が一致するように、その素子設計がなされている構成(第4の構成)にしてもよい。
【0010】
また、上記第1~第4いずれかの構成から成るアナログスイッチ回路において、前記第2CMOSスイッチは、前記第1CMOSスイッチよりも小さい構成(第5の構成)にしてもよい。
【0011】
また、上記第1~第5いずれかの構成から成るアナログスイッチ回路において、前記電源監視部は、前記電源電圧またはその分圧電圧と所定の閾値電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと、前記第1CMOSスイッチに入力される第1イネーブル信号と前記比較信号から前記第2CMOSスイッチに入力される第2イネーブル信号を生成する論理ゲートと、を含む構成(第6の構成)にしてもよい。
【0012】
また、上記第1~第6いずれかの構成から成るアナログスイッチ回路において、前記第1CMOSスイッチ及び前記第2CMOSスイッチは、それぞれ、互いに並列接続された一対のPMOSFET及びNMOSFETを含む構成(第7の構成)にしてもよい。
【0013】
また、上記第7の構成から成るアナログスイッチ回路において、前記PMOSFET及び前記NMOSFETそれぞれのゲートに印加されるゲート信号は、そのハイレベルが前記電源電圧である構成(第8の構成)にしてもよい。
【0014】
また、上記第7又は第8の構成から成るアナログスイッチ回路において、前記PMOSFETのバックゲートは、前記電源電圧の印加端に接続されている構成(第9の構成)にしてもよい。
【0015】
また、上記第1~第9いずれかの構成から成るアナログスイッチ回路において、前記第2CMOSスイッチは、複数設けられている構成(第10の構成)にしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本明細書中に開示されている発明によれば、オン抵抗の電源依存性が小さいアナログスイッチ回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】第1比較例におけるオン抵抗の電源依存性を示す図
【
図4】アナログスイッチ回路の第1実施形態を示す図
【
図5】第1実施形態におけるオン抵抗の電源依存性を示す図
【
図6】第1実施形態における素子レイアウト例を示す図
【
図7】アナログスイッチ回路の第2実施形態を示す図
【
図8】第2実施形態におけるオン抵抗の電源依存性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<比較例>
まず、アナログスイッチ回路の新規な実施形態を説明する前に、これと対比される比較例について簡単に説明する。
【0019】
図1は、アナログスイッチ回路の第1比較例を示す図である。本比較例のアナログスイッチ回路100は、PMOSFET[P-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]101と、NMOSFET[N-channel type MOSFET]102と、インバータ103と、を有する。
【0020】
PMOSFET101のソースとNMOSFET102のドレインは、いずれもスイッチ入力端子SWINに接続されている。PMOSFET101のドレインとNMOSFET102のソースは、いずれもスイッチ出力端子SWOUTに接続されている。PMOSFET101のゲートとインバータ103の入力端は、いずれもイネーブル信号ENBの印加端に接続されている。NMOSFET102のゲートは、インバータ103の出力端(=反転イネーブル信号XENBの印加端)に接続されている。PMOSFET101のバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。NMOSFET102のバックゲートは、接地電圧GNDの印加端に接続されている。
【0021】
反転イネーブル信号XENBは、インバータ103を用いてイネーブル信号ENBの論理レベルを反転させた2値信号である。従って、イネーブル信号ENBがハイレベル(=電源電圧VDD)であるときには、反転イネーブル信号XENBがローレベル(=接地電圧GND)となる。逆に、イネーブル信号ENBがローレベル(=接地電圧GND)であるときには、反転イネーブル信号XENBがハイレベル(=電源電圧VDD)となる。このように、イネーブル信号ENBと反転イネーブル信号XENBは、それぞれ、ハイレベル(=電源電圧VDD)とローレベル(=接地電圧GND)を取り得る2値信号である。
【0022】
なお、ENB=L(XENB=H)であるときには、PMOSFET101及びNMOSFET102がいずれもオンするので、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間が導通される。
【0023】
一方、ENB=H(XENB=L)であるときには、PMOSFET101及びNMOSFET102がいずれもオフするので、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間が遮断される。
【0024】
このように、第1比較例のアナログスイッチ回路100は、互いに並列接続された一対のPMOSFET101及びNMOSFET102を含むCMOSスイッチ(いわゆるトランスミッションゲート)であり、極めて単純な構成で、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間を導通/遮断することができる。
【0025】
また、PMOSFET101又はNMOSFET102を単独で用いた構成と異なり、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間に印加され得る全電圧範囲で両端子間の導通を良好に維持することができる。
【0026】
しかしながら、第1比較例のアナログスイッチ回路100は、そのオン抵抗Ronが電源電圧VDDに対する依存性を持つ。このような電源依存性は、イネーブル信号ENB及び反転イネーブル信号XENBそれぞれのハイレベルが電源電圧VDDであること、並びに、PMOSFET101のバックゲートが電源電圧VDDの印加端に接続されていることに起因したものである。
【0027】
図2は、第1比較例におけるオン抵抗Ronの電源依存性を示す図である。本図で示すように、電源電圧VDDとして第1電圧V1(例えばV1=5V)が供給されているときには、オン抵抗Ronが第1オン抵抗Ron1となる。一方、電源電圧VDDとして第2電圧V2(ただしV2<V1、例えばV2=3.3V)が供給されているときには、オン抵抗Ronが第2オン抵抗Ron2(ただしRon2>Ron1)となる。
【0028】
このように、第1比較例のアナログスイッチ回路100では、電源電圧VDDとして、第1電圧V1及び第2電圧V2のいずれが供給されているかに応じて、オン抵抗Ronに大きな変動ΔRon(=Ron2-Ron1、例えば数十Ω)が生じてしまう。
【0029】
図3は、アナログスイッチ回路の第2比較例を示す図である。本比較例のアナログスイッチ回路200は、NMOSFET210及び220とチャージポンプ230を有する。
【0030】
NMOSFET210のドレインは、スイッチ入力端子SWINに接続されている。NMOSFET210のソース及びバックゲートは、NMOSFET220のソース及びバックゲートに接続されている。NMOSFET220のドレインは、スイッチ入力端子SWOUTに接続されている。NMOSFET210及び220それぞれのゲートは、いずれもチャージポンプ200の出力端(=昇圧電圧VGの印加端)に接続されている。
【0031】
このように、NMOSFET210を向かい合わせ(逆向き)に接続することにより、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間に印加され得る全電圧範囲で意図しない逆流を抑制することができる。
【0032】
チャージポンプ230は、スイッチ231~234と、キャパシタ235と、オシレータ236と、コントローラ237と、を含む。
【0033】
スイッチ231の第1端は、スイッチ入力端子SWINに接続されている。スイッチ231の第2端とスイッチ232の第1端は、いずれもキャパシタ235の第1端に接続されている。スイッチ232の第2端は、チャージポンプ230の出力端として、NMOSFET210及び220それぞれのゲートに接続されている。
【0034】
スイッチ233の第1端は、基準電圧VREFの印加端に接続されている。なお、基準電圧VREFとしては、電源電圧VDDに対する依存性の小さいバンドギャップ電圧やレギュレータ出力電圧を用いればよい。スイッチ233の第2端とスイッチ234の第1端は、いずれもキャパシタ235の第2端に接続されている。スイッチ234の第2端は、接地電圧GNDの印加端に接続されている。
【0035】
スイッチ231及び234は、いずれも第1フェイズ信号φ1に応じてオン/オフされる。一方、スイッチ232及び233は、いずれも第2フェイズ信号φ2に応じてオン/オフされる。
【0036】
オシレータ236は、所定周波数のクロック信号CLKを生成する。
【0037】
コントローラ237は、イネーブル信号ENBとクロック信号CLKに基づいて、第1フェイズ信号φ1及び第2フェイズ信号φ2を生成する。具体的に述べると、コントローラ237は、例えば、イネーブル信号ENBがローレベルであるときにクロック信号CLKに同期して第1フェイズ信号φ1と第2フェイズ信号φ2を相補的にパルス駆動する。一方、イネーブル信号ENBがハイレベルであるときには、第1フェイズ信号φ1及び第2フェイズ信号φ2それぞれの生成動作を停止する。
【0038】
なお、スイッチ231及び234がオンしてスイッチ232及び233がオフした状態(=第1フェイズ)では、スイッチ入力端子SWINからキャパシタ235を介して接地電圧GNDの印加端に至る経路に電流が流れるので、キャパシタ235が充電される。
【0039】
その後、スイッチ231及び234がオフしてスイッチ232及び233がオフした状態(=第2フェイズ)に切り替わると、NMOSFET210及び220それぞれのゲートと基準電圧VREFの印加端との間にキャパシタ235が接続された状態となる。このとき、キャパシタ235の電荷保存則から、昇圧電圧VGは、基準電圧VREFよりもキャパシタ235の両端間電圧だけ高い電圧(=SWIN+VREF)に持ち上がる。
【0040】
イネーブル信号ENBがローレベルとされている間、上記の第1フェイズと第2フェイズを繰り返すことにより、NMOSFET210及び220それぞれのゲートに対して、スイッチ入力端子SWINよりも高い昇圧電圧VG(=SWIN+VREF)が印加される。その結果、NMOSFET210及び220がいずれもオンするので、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間が導通される。
【0041】
このように、第2比較例のアナログスイッチ回路200であれば、NMOSFET210及び220それぞれのゲートに電源電圧VDDが印加されないので、オン抵抗Ronが電源電圧VDDに依らず一定値となる。
【0042】
しかしながら、第2比較例のアナログスイッチ回路200は、チャージポンプ230を必要とするので、回路面積のインパクトが大きい上、回路構成も複雑になってしまう。
【0043】
以下では、第1比較例(
図1)及び第2比較例(
図3)それぞれの問題点を解消することのできる新規な実施形態を提案する。
【0044】
<第1実施形態>
図4は、アナログスイッチ回路の第1実施形態を示す図である。本実施形態のアナログスイッチ回路1は、第1CMOSスイッチ10と、第2CMOSスイッチ20と、電源監視部30と、を有する。
【0045】
第1CMOSスイッチ10は、メインCMOSスイッチに相当する回路要素であり、PMOSFET11と、NMOSFET12と、インバータ13とを含む。
【0046】
PMOSFET11のソースとNMOSFET12のドレインは、いずれもスイッチ入力端子SWINに接続されている。PMOSFET11のドレインとNMOSFET12のソースは、いずれもスイッチ出力端子SWOUTに接続されている。PMOSFET11のゲートとインバータ13の入力端は、いずれも第1イネーブル信号ENB1の印加端に接続されている。NMOSFET12のゲートは、インバータ13の出力端(=反転第1イネーブル信号XENB1の印加端)に接続されている。PMOSFET11のバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。NMOSFET12のバックゲートは、接地電圧GNDの印加端に接続されている。
【0047】
反転第1イネーブル信号XENB1は、インバータ13を用いて第1イネーブル信号ENB1の論理レベルを反転させた2値信号である。従って、第1イネーブル信号ENB1がハイレベル(=電源電圧VDD)であるときには、反転第1イネーブル信号XENB1がローレベル(=接地電圧GND)となる。逆に、第1イネーブル信号ENB1がローレベル(=接地電圧GND)であるときには、反転第1イネーブル信号XENB1がハイレベル(=電源電圧VDD)となる。このように、第1イネーブル信号ENB1と反転第1イネーブル信号XENB1は、それぞれ、ハイレベル(=電源電圧VDD)とローレベル(=接地電圧GND)を取り得る2値信号である。
【0048】
なお、ENB1=L(XENB1=H)であるときには、PMOSFET11及びNMOSFET12がいずれもオンするので、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間が導通される。
【0049】
一方、ENB1=H(XENB1=L)であるときには、PMOSFET11及びNMOSFET12がいずれもオフするので、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間が遮断される。
【0050】
このように、第1CMOSスイッチ10は、互いに並列接続された一対のPMOSFET11及びNMOSFET12を含み、第1イネーブル信号ENB1に応じて、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間を導通/遮断する。
【0051】
第2CMOSスイッチ20は、第1CMOSスイッチ10に並列接続されたサブCMOSスイッチに相当する回路要素であり、PMOSFET21と、NMOSFET22と、インバータ23と、を含む。
【0052】
PMOSFET21のソースとNMOSFET22のドレインは、いずれもスイッチ入力端子SWINに接続されている。PMOSFET21のドレインとNMOSFET22のソースは、いずれもスイッチ出力端子SWOUTに接続されている。PMOSFET21のゲートとインバータ23の入力端は、いずれも第2イネーブル信号ENB2の印加端に接続されている。NMOSFET22のゲートは、インバータ23の出力端(=反転第2イネーブル信号XENB2の印加端)に接続されている。PMOSFET21のバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。NMOSFET22のバックゲートは、接地電圧GNDの印加端に接続されている。
【0053】
反転第2イネーブル信号XENB2は、インバータ23を用いて第2イネーブル信号ENB2の論理レベルを反転させた2値信号である。従って、第2イネーブル信号ENB2がハイレベル(=電源電圧VDD)であるときには、反転第2イネーブル信号XENB2がローレベル(=接地電圧GND)となる。逆に、第2イネーブル信号ENB2がローレベル(=接地電圧GND)であるときには、反転第2イネーブル信号XENB2がハイレベル(=電源電圧VDD)となる。このように、第2イネーブル信号ENB2と反転第2イネーブル信号XENB2は、それぞれ、ハイレベル(=電源電圧VDD)とローレベル(=接地電圧GND)を取り得る2値信号である。
【0054】
なお、ENB2=L(XENB2=H)であるときには、PMOSFET21及びNMOSFET22がいずれもオンする。
【0055】
一方、ENB2=H(XENB2=L)であるときには、PMOSFET21及びNMOSFET22がいずれもオフする。
【0056】
このように、第2CMOSスイッチ20は、先の第1CMOSスイッチ10と同じく、互いに並列接続された一対のPMOSFET21及びNMOSFET22を含み、第2イネーブル信号ENB2に応じてオン/オフされる。
【0057】
電源監視部30は、電源電圧VDDを監視して第2イネーブル信号ENB2を生成することにより、第2CMOSスイッチ20の駆動可否を制御する回路要素であり、抵抗31H及び31Lと、コンパレータ32と、ORゲート33と、を含む。
【0058】
抵抗31H及び31L(抵抗値:RH及びRL)は、電源電圧VDDの印加端と接地電圧GNDの印加端との間に直列接続されており、相互間の接続ノードから電源電圧VDDの分圧電圧DIV(=VDD×{RL/(RL+RH)})を出力する。なお、電源電圧VDDがコンパレータ32の入力ダイナミックレンジに収まっているのであれば、抵抗31H及び31Lを省略し、電源電圧VDDをコンパレータ32に直接入力してもよい。
【0059】
コンパレータ32は、非反転入力端(+)に入力される分圧電圧DIVと、反転入力端(-)に入力される閾値電圧VTHとを比較して比較信号COを生成する。比較信号COは、DIV>VTHであるときにハイレベルとなり、DIV<VTHであるときにローレベルとなる。なお、分圧電圧DIVと閾値電圧VTHを比較する信号処理は、電源電圧VDDと所定の閾値Vth(=VTH×{(RL+RH)/RL}、例えばVth=4V)を比較する信号処理と等価である。また、コンパレータ32としては、ヒステリシス特性を持つヒステリシスコンパレータが好適である。
【0060】
ORゲート33は、第1イネーブル信号ENB1と比較信号COとの論理和演算により第2イネーブル信号ENB2を生成して、これを第2CMOSスイッチ20に出力する。なお、第2イネーブル信号ENB2は、第1イネーブル信号ENB1と比較信号COの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、第1イネーブル信号ENB1と比較信号COの双方がローレベルであるときにローレベルとなる。
【0061】
図5は、第1実施形態におけるオン抵抗Ronの電源依存性を示す図である。なお、本図の横軸には電源電圧VDDが示されており、縦軸にはオン抵抗Ronが示されている。また、オン抵抗Ronの挙動について、実線は本実施形態の挙動(=第1CMOSスイッチ10及び第2CMOSスイッチ20双方の合成オン抵抗)を示しており、破線は第1比較例の挙動(=第1CMOSスイッチ10単独のオン抵抗)を示している。また、本図の下段には、第2イネーブル信号ENB2の挙動が示されている。
【0062】
なお、以下の説明では、第1イネーブル信号ENB1が常にローレベル(すなわち第1CMOSスイッチ10が常にオン)であるものとする。
【0063】
電源電圧VDDが閾値Vthよりも高いときには、比較信号COがハイレベルとなるので、第1イネーブル信号ENB1がローレベルであっても、第2イネーブル信号ENB2がハイレベルに固定される。従って、第1CMOSスイッチ10がオンしていても、第2CMOSスイッチ20がオフしたままとなる。すなわち、電源監視部30は、電源電圧VDDが閾値Vthよりも高いときに第2CMOSスイッチ20を無効とする。このとき、オン抵抗Ronは、第1CMOSスイッチ10単独のオン抵抗となる。そのため、オン抵抗Ronの挙動については、実線と破線が一致する。
【0064】
一方、電源電圧VDDが閾値Vthよりも低いときには、比較信号COがローレベルとなるので、第2イネーブル信号ENB2もローレベルとなる。従って、第1CMOSスイッチ10及び第2CMOSスイッチ20双方がオンする。すなわち、電源監視部30は、電源電圧VDDが閾値Vthよりも低いときに第2CMOSスイッチ20を有効とする。このとき、オン抵抗Ronは、第1CMOSスイッチ10及び第2CMOSスイッチ20双方の合成オン抵抗となる。そのため、オン抵抗Ronの挙動については、実線が破線を下回るようになる。
【0065】
このように、本実施形態のアナログスイッチ回路1であれば、上記したオン抵抗Ronの調整動作により、オン抵抗Ronの電源依存性を抑制することが可能となる。また、先出の第2比較例(
図3)と異なり、チャージポンプを必要としないので、回路面積の増大や回路構成の複雑化を招くこともない。
【0066】
ただし、本実施形態のアナログスイッチ回路1では、オン抵抗Ronの電源依存性が完全にフラットになるわけではない。そのため、電源電圧VDDが広範囲に掃引される場合には、オン抵抗Ronの変動幅が許容範囲に収まっているか否かを検討する必要がある。
【0067】
一方、アナログスイッチ回路1に供給され得る電源電圧VDDが2種類に決まっている場合には、第2CMOSスイッチ20の適切な素子設計(サイズの最適化など)により、オン抵抗Ronの電源依存性を実質的にフラット化することができる。以下、本図に即して具体的に説明する。
【0068】
今、アナログスイッチ回路1には、その電源電圧VDDとして、閾値Vth(例えばVth=4V)よりも高い第1電圧V1(例えばV1=5V)、若しくは、閾値Vthよりも低い第2電圧V2(例えばV2=3.3V)が供給され得るものとする。
【0069】
この場合、第2CMOSスイッチ20は、第1電圧V1の供給時における第1オン抵抗Ron1(=第1CMOSスイッチ10単独のオン抵抗)と、第2電圧V2の供給時における第2オン抵抗Ron2(=第1CMOSスイッチ10及び第2CMOSスイッチ20双方の合成オン抵抗)が一致するように、その素子設計を行うことが望ましい。
【0070】
このような素子設計を行うことにより、電源電圧VDDとして第1電圧V1及び第2電圧V2のいずれが供給される場合であっても、オン抵抗Ronの変動ΔRonをほぼゼロ(例えばΔRon=数Ω)に抑えることができるので、オン抵抗Ronの電源依存性を実質的にフラット化することが可能となる。
【0071】
図6は、第1実施形態における素子レイアウト例を示す図である。本図で示すように、第1CMOSスイッチ10と第2CMOSスイッチ20は、それぞれのペア性を高めるために、できるだけ近接した領域(例えば、スイッチ入力端子SWINとスイッチ出力端子SWOUTとの間)に並べて形成することが望ましい。
【0072】
なお、第2CMOSスイッチ20は、先述の第1オン抵抗Ron1と第2オン抵抗Ron2が一致するように、そのサイズを決定すればよい。すなわち、第2CMOSスイッチ20は、必ずしも第1CMOSスイッチ10と同サイズである必要はなく、一般的には、本図で示したように、第1CMOSスイッチ10よりも小さいサイズで足りる。
【0073】
<第2実施形態>
図7は、アナログスイッチ回路の第2実施形態を示す図である。本実施形態のアナログスイッチ回路1は、第1実施形態(
図4)を基本としつつ、先出の第2CMOSスイッチ20に相当する回路要素として、第2CMOSスイッチ20a及び20bを有する。
【0074】
第2CMOSスイッチ20aは、第1CMOSスイッチ10に並列接続されたサブCMOSスイッチの一つに相当する回路要素であり、PMOSFET21aと、NMOSFET22aと、インバータ23aと、を含む。
【0075】
PMOSFET21aのソースとNMOSFET22aのドレインは、いずれもスイッチ入力端子SWINに接続されている。PMOSFET21aのドレインとNMOSFET22aのソースは、いずれもスイッチ出力端子SWOUTに接続されている。PMOSFET21aのゲートとインバータ23aの入力端は、いずれも第2イネーブル信号ENB2aの印加端に接続されている。NMOSFET22aのゲートは、インバータ23aの出力端(=反転第2イネーブル信号XENB2aの印加端)に接続されている。PMOSFET21aのバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。NMOSFET22aのバックゲートは、接地電圧GNDの印加端に接続されている。
【0076】
反転第2イネーブル信号XENB2aは、インバータ23aを用いて第2イネーブル信号ENB2aの論理レベルを反転させた2値信号である。従って、第2イネーブル信号ENB2aがハイレベル(=電源電圧VDD)であるときには、反転第2イネーブル信号XENB2aがローレベル(=接地電圧GND)となる。逆に、第2イネーブル信号ENB2aがローレベル(=接地電圧GND)であるときには、反転第2イネーブル信号XENB2aがハイレベル(=電源電圧VDD)となる。このように、第2イネーブル信号ENB2aと反転第2イネーブル信号XENB2aは、それぞれ、ハイレベル(=電源電圧VDD)とローレベル(=接地電圧GND)を取り得る2値信号である。
【0077】
なお、ENB2a=L(XENB2a=H)であるときには、PMOSFET21a及びNMOSFET22aがいずれもオンする。
【0078】
一方、ENB2a=H(XENB2a=L)であるときには、PMOSFET21a及びNMOSFET22aがいずれもオフする。
【0079】
このように、第2CMOSスイッチ20aは、先の第1CMOSスイッチ10と同様、互いに並列接続された一対のPMOSFET21a及びNMOSFET22aを含み、第2イネーブル信号ENB2aに応じてオン/オフされる。
【0080】
第2CMOSスイッチ20bは、第1CMOSスイッチ10に並列接続されたサブCMOSスイッチの別の一つに相当する回路要素であり、PMOSFET21bと、NMOSFET22bと、インバータ23bと、を含む。
【0081】
PMOSFET21bのソースとNMOSFET22bのドレインは、いずれもスイッチ入力端子SWINに接続されている。PMOSFET21bのドレインとNMOSFET22bのソースは、いずれもスイッチ出力端子SWOUTに接続されている。PMOSFET21bのゲートとインバータ23bの入力端は、いずれも第2イネーブル信号ENB2bの印加端に接続されている。NMOSFET22bのゲートは、インバータ23bの出力端(=反転第2イネーブル信号XENB2bの印加端)に接続されている。PMOSFET21bのバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。NMOSFET22bのバックゲートは、接地電圧GNDの印加端に接続されている。
【0082】
反転第2イネーブル信号XENB2bは、インバータ23bを用いて第2イネーブル信号ENB2bの論理レベルを反転させた2値信号である。従って、第2イネーブル信号ENB2bがハイレベル(=電源電圧VDD)であるときには、反転第2イネーブル信号XENB2bがローレベル(=接地電圧GND)となる。逆に、第2イネーブル信号ENB2bがローレベル(=接地電圧GND)であるときには、反転第2イネーブル信号XENB2bがハイレベル(=電源電圧VDD)となる。このように、第2イネーブル信号ENB2bと反転第2イネーブル信号XENB2bは、それぞれ、ハイレベル(=電源電圧VDD)とローレベル(=接地電圧GND)を取り得る2値信号である。
【0083】
なお、ENB2b=L(XENB2b=H)であるときには、PMOSFET21b及びNMOSFET22bがいずれもオンする。
【0084】
一方、ENB2b=H(XENB2b=L)であるときには、PMOSFET21b及びNMOSFET22bがいずれもオフする。
【0085】
このように、第2CMOSスイッチ20bは、第1CMOSスイッチ10及び第2CMOSスイッチ20aと同じく、互いに並列接続された一対のPMOSFET21b及びNMOSFET22bを含み、第2イネーブル信号ENB2bに応じてオン/オフされる。
【0086】
また、上記の変更に伴い、電源監視部30についても変更が加えられている。より具体的に述べると、電源監視部30は、先出の抵抗31H及び31Lに加えて抵抗31Mを含むとともに、先出のコンパレータ32及びORゲート33に相当する回路要素として、コンパレータ32a及び32bとORゲート33a及び33bを含む。
【0087】
抵抗31H、31M及び31L(抵抗値:RH、RM及びRL)は、電源電圧VDDの印加端と接地電圧GNDの印加端との間に直列接続されており、相互間の接続ノードから電源電圧VDDの分圧電圧DIVa(=VDD×{RL/(RL+RM+RH)})及びDIVb(=VDD×{(RL+RM)/(RL+RM+RH)}、ただし、DIVb>DIVa)を出力する。
【0088】
コンパレータ32aは、非反転入力端(+)に入力される分圧電圧DIVaと、反転入力端(-)に入力される閾値電圧VTHとを比較して比較信号COaを生成する。比較信号COaは、DIVa>VTHであるときにハイレベルとなり、DIVa<VTHであるときにローレベルとなる。なお、分圧電圧DIVaと閾値電圧VTHを比較する信号処理は、電源電圧VDDと閾値Vtha(=VTH×{(RL+RM+RH)/RL})を比較する信号処理と等価である。
【0089】
コンパレータ32bは、非反転入力端(+)に入力される分圧電圧DIVbと、反転入力端(-)に入力される閾値電圧VTHとを比較して比較信号CObを生成する。比較信号CObは、DIVb>VTHであるときにハイレベルとなり、DIVb<VTHであるときにローレベルとなる。なお、分圧電圧DIVbと閾値電圧VTHを比較する信号処理は、電源電圧VDDと所定の閾値Vthb(=VTH×{(RL+RM+RH)/(RL+RM)}、ただし、Vthb<Vtha)を比較する信号処理と等価である。
【0090】
また、コンパレータ32a及び32bとしては、それぞれ、ヒステリシス特性を持つヒステリシスコンパレータが好適である。
【0091】
ORゲート33aは、第1イネーブル信号ENB1と比較信号COaとの論理和演算により第2イネーブル信号ENB2aを生成して、これを第2CMOSスイッチ20aに出力する。なお、第2イネーブル信号ENB2aは、第1イネーブル信号ENB1と比較信号COaの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、第1イネーブル信号ENB1と比較信号COaの双方がローレベルであるときにローレベルとなる。
【0092】
ORゲート33bは、第1イネーブル信号ENB1と比較信号CObとの論理和演算により第2イネーブル信号ENB2bを生成して、これを第2CMOSスイッチ20bに出力する。なお、第2イネーブル信号ENB2bは、第1イネーブル信号ENB1と比較信号CObの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、第1イネーブル信号ENB1と比較信号CObの双方がローレベルであるときにローレベルとなる。
【0093】
図8は、第2実施形態におけるオン抵抗Ronの電源依存性を示す図である。なお、本図の横軸には電源電圧VDDが示されており、縦軸にはオン抵抗Ronが示されている。また、オン抵抗Ronの挙動について、実線は第2実施形態の挙動を示しており、小破線は第1比較例の挙動を示しており、大破線は第1実施形態の挙動を示している。また、本図の下段には、第2イネーブル信号ENB2a及びENB2bの挙動が示されている。
【0094】
なお、以下の説明では、第1イネーブル信号ENB1が常にローレベル(すなわち第1CMOSスイッチ10が常にオン)であるものとする。
【0095】
電源電圧VDDが閾値Vthaよりも高いときには、比較信号COa及びCObがいずれもハイレベルとなるので、第1イネーブル信号ENB1がローレベルであっても、第2イネーブル信号ENB2a及びENB2bがいずれもハイレベルに固定される。従って、第1CMOSスイッチ10がオンしていても、第2CMOSスイッチ20a及び20bがいずれもオフしたままとなる。すなわち、電源監視部30は、電源電圧VDDが閾値Vthaよりも高いときに、第2CMOSスイッチ20a及び20bをいずれも無効とする。このとき、オン抵抗Ronは、第1CMOSスイッチ10単独のオン抵抗となる。そのため、オン抵抗Ronの挙動については、実線と小破線が一致する。
【0096】
一方、電源電圧VDDが閾値Vthbよりも高く閾値Vthaよりも低いときには、比較信号COaがローレベルとなるので、第2イネーブル信号ENB2aもローレベルとなる。ただし、比較信号CObはハイレベルに維持されるので、第2イネーブル信号ENB2bはハイレベルに固定されたままとなる。従って、第1CMOSスイッチ10と第2CMOSスイッチ20aがオンして、第2CMOSスイッチ20bがオフしたままとなる。すなわち、電源監視部30は、電源電圧VDDが閾値Vthbよりも高く閾値Vthaよりも低いときに、第2CMOSスイッチ20aを有効とする一方、第2CMOSスイッチ20bを無効のままとする。このとき、オン抵抗Ronは、第1CMOSスイッチ10及び第2CMOSスイッチ20a双方の合成オン抵抗となる。そのため、オン抵抗Ronの挙動については、実線が小破線を下回るようになる。
【0097】
また、電源電圧VDDが閾値Vthbよりも低いときには、比較信号COa及びCObがいずれもローレベルとなるので、第2イネーブル信号ENB2a及びENB2bがいずれもローレベルとなる。従って、第1CMOSスイッチ10と第2CMOSスイッチ20a及び20bが全てオンする。すなわち、電源監視部30は、電源電圧VDDが閾値Vthbよりも低いときに、第2CMOSスイッチ20a及び20bをいずれも有効とする。このとき、オン抵抗Ronは、第1CMOSスイッチ10と第2CMOSスイッチ20a及び20b全ての合成オン抵抗となる。そのため、オン抵抗Ronの挙動については、実線が大破線を下回るようになる。
【0098】
このように、本実施形態のアナログスイッチ回路1であれば、先出の第1実施形態(
図4)よりも、オン抵抗Ronの電源依存性をさらに抑制することができる。従って、電源電圧VDDの掃引可能範囲(=オン抵抗Ronの変動幅が許容範囲に収まる電源範囲)を拡げることが可能となる。
【0099】
特に、アナログスイッチ回路1に供給され得る電源電圧VDDが3種類に決まっている場合には、第2CMOSスイッチ20a及び20bそれぞれの適切な素子設計(サイズの最適化など)により、オン抵抗Ronの電源依存性を実質的にフラット化することができる。以下、本図に即して具体的に説明する。
【0100】
今、アナログスイッチ回路1には、その電源電圧VDDとして、閾値Vtha(例えばVtha=4V)よりも高い第1電圧V1(例えばV1=5V)、または、閾値Vthb(例えばVthb=2V)よりも高く、閾値Vthaよりも低い第2電圧V2(例えばV2=3.3V)、若しくは、閾値Vthbよりも低い第3電圧V3(例えばV3=1.5V)が供給され得るものとする。
【0101】
この場合、第2CMOSスイッチ20a及び20bは、第1電圧V1の供給時における第1オン抵抗Ron1(=第1CMOSスイッチ10単独のオン抵抗)、第2電圧V2の供給時における第2オン抵抗Ron2(=第1CMOSスイッチ10及び第2CMOSスイッチ20a双方の合成オン抵抗)、並びに、第3電圧V3の供給時における第3オン抵抗Ron3(=第1CMOSスイッチ10と第2CMOSスイッチ20a及び20b全ての合成オン抵抗)が一致するように、その素子設計を行うことが望ましい。
【0102】
このような素子設計を行うことにより、電源電圧VDDとして第1電圧V1、第2電圧V2及び第3電圧V3のいずれが供給される場合であっても、オン抵抗Ronの変動ΔRonをほぼゼロ(例えばΔRon=数Ω)に抑えることができるので、オン抵抗Ronの電源依存性を実質的にフラット化することが可能となる。
【0103】
なお、本実施形態では、第2CMOSスイッチ20を2つ設けた例を挙げたが、第2CMOSスイッチ20を3つ以上設けてよいことは言うまでもない。
【0104】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本明細書中に開示されているアナログスイッチ回路は、例えば、リレースイッチとして利用することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 アナログスイッチ回路
10 第1CMOSスイッチ(メインCMOSスイッチ)
11 PMOSFET
12 NMOSFET
13 インバータ
20、20a、20b 第2CMOSスイッチ(サブCMOSスイッチ)
21、21a、21b PMOSFET
22、22a、22b NMOSFET
23、23a、23b インバータ
30 電源監視部
31H、31M、31L 抵抗
32、32a、32b コンパレータ
33、33a、33b ORゲート
SWIN スイッチ入力端子
SWOUT スイッチ出力端子