(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】吸込み通路終端部材、製造方法、およびこのような吸込み通路終端部材を含むドラフト装置
(51)【国際特許分類】
D01H 5/66 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
D01H5/66
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020077302
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】10 2019 110 731.8
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521553287
【氏名又は名称】ザウラー インテリジェント テクノロジー エイ・ジー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Intelligent Technology AG
【住所又は居所原語表記】Textilstrasse 9, 9320 Arbon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアート プレディガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ドレーセン
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-102267(JP,A)
【文献】中国実用新案第207109187(CN,U)
【文献】米国特許第02890563(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00703001(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧供給を用いてドラフト装置の領域におけるフライを排出するための吸込み通路終端部材(1)であって、流入部(21)と、該流入部(21)に連通している流出部(22)とを備えた負圧供給可能な第1の構成部材(2)を含んでいる、吸込み通路終端部材(1)において、
当該吸込み通路終端部材(1)は、カバーエレメントとして形成されていて負圧供給可能な第2の構成部材(3)を有していて、該第2の構成部材(3)は、前記第1の構成部材(2)に交換可能に結合可能であり、前記第2の構成部材(3)は開口(33)を有しており、該開口(33)は、当該吸込み通路終端部材(1)の組み立てられた状態において、前記流入部(21)に連通している吸込み開口を形成していて、該吸込み開口を介して、前記フライが負圧の供給時に当該吸込み通路終端部材(1)内に排出可能であり、
前記吸込み通路終端部材(1)は、ホッパを含んでおり、
前記ホッパは、前記開口(33)内にまたは前記開口(33)に接して交換可能に固定可能な挿入体(36)によって形成されており、
前記挿入体(36)の出口(39)は、
前記開口(33)を画定する縁部(34)に対して相補形状をもって形成されていて、かつ外側にガイドウェブ(37)を有しており、前記ガイドウェブ(37)は、
前記縁部(34)の内側のガイド溝(35)内に係合する
ことを特徴とする、吸込み通路終端部材(1)。
【請求項2】
前記第2の構成部材(3)は、1つよりも多くの開口(33)を有しており、前記開口(33)はそれぞれ、当該吸込み通路終端部材(1)の組み立てられた状態において、前記流入部(21)に連通している吸込み開口、または前記第1の構成部材(2)によって形成された複数の流入部(21)のうちの、対応配置された1つの流入部(21)に連通している吸込み開口を形成している、
請求項1記載の吸込み通路終端部材(1)。
【請求項3】
当該吸込み通路終端部材(1)は、それぞれ少なくとも1つの開口(33)を備えた、1つよりも多くの第2の構成部材(3)を有しており、それぞれの前記開口(33)は、当該吸込み通路終端部材(1)の組み立てられた状態において、前記流入部(21)に連通している1つの吸込み開口、または前記第1の構成部材(2)によって形成された複数の流入部(21)のうちの、対応配置された1つの流入部(21)に連通している1つの吸込み開口を形成している、
請求項1記載の吸込み通路終端部材(1)。
【請求項4】
当該吸込み通路終端部材(1)は、前記ドラフト装置の少なくとも2つのローラ対(6;7;8)への吸込み空気供給のために適した寸法を有しており、1つのローラ対(6;7;8)のそれぞれ少なくとも1つのローラ(61;62;71;72;81;82)に、少なくとも1つの吸込み開口が対応配置されている、
請求項2または3記載の吸込み通路終端部材(1)。
【請求項5】
当該吸込み通路終端部材(1)は、前記ドラフト装置の領域における不動の固定のための少なくとも1つの固定手段(4;5)を含んでいる、
請求項1から4までのいずれか1項記載の吸込み通路終端部材(1)。
【請求項6】
当該吸込み通路終端部材(1)は、前記開口(33)の方向に収束するように形成されたホッパを含んでいる、
請求項1から5までのいずれか1項記載の吸込み通路終端部材(1)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の吸込み通路終端部材(1)を製造するための方法であって、前記吸込み通路終端部材(1)のコンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントを製造するために3Dプリント法、レーザ焼結法、またはプラスチック射出成形法を使用する
ことを特徴とする、方法。
【請求項8】
供給されたスライバの確定されたドラフトを行うための、複数のローラ対(6,7,8)を含むドラフト装置であって、
当該ドラフト装置の領域に、請求項1から6までのいずれか1項記載の吸込み通路終端部材(1)が配置されている
ことを特徴とする、ドラフト装置。
【請求項9】
前記吸込み通路終端部材(1)の少なくとも1つの開口(33)が、当該ドラフト装置の側面図において、対応配置されたローラ対(6;7;8)の1つのローラ(61;62;71;72;81;82)に対してセンタリングされて配置されている、
請求項8記載のドラフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧供給を用いてドラフト装置の領域におけるフライを排出するための吸込み通路終端部材に関する。
【0002】
このような吸込み通路終端部材は、例えば印刷物である欧州特許出願公開第1601825号明細書および欧州特許出願公開第3026152号明細書に基づいて公知である。印刷物である欧州特許出願公開第1601825号明細書に基づいて公知の吸込み通路終端部材は、それぞれ1つのローラ対と1つの紡績ノズルとに対応配置された吸込み開口を有しており、これによって単に1つの負圧源にだけ連結することができる吸込み通路終端部材が提供可能であり、この吸込み通路終端部材を用いて同時に、ローラもしくはドラフト装置全体のクリーニング、および紡績ノズルからの紡績空気の排出を達成することができる。
【0003】
印刷物である欧州特許出願公開第3026152号明細書によって提案される吸込み通路終端部材を用いて、ドラフト装置の領域における繊維残留物を、ドラフト装置によってドラフトすべきスライバの繊維形式とは無関係に効果的に排出可能である。吸込み通路終端部材は、比較的大きく構成されたただ1つの吸込み開口を有しており、この吸込み開口は、ローラ対の配置方向において、かつ互いに隣接した2つのローラ対の、繊維形式に基づいて変化させるべき間隔に関連して、確定されて調節可能であり、これによって互いに隣接したローラ対の間隔、ひいては繊維形式を適宜に顧慮することができる。
【0004】
本発明によって、ドラフト装置の領域におけるフライを、負圧供給を用いて安価に、かつ種々様々な繊維形式に適合させて排出できるようにすることが望まれている。
【0005】
そのために第1の態様による本発明によって、負圧供給を用いてドラフト装置の領域におけるフライを排出するための吸込み通路終端部材が提案され、このとき吸込み通路終端部材は、流入部と流入部に連通している流出部とを備えた負圧供給可能な第1の構成部材を含んでいる。流入部は、ドラフト装置の領域において作動中に発生しているフライを、負圧供給によって生ぜしめられた吸込み流を用いて吸込み通路終端部材内に導入もしくは流入させるように設けられている。流出部を介してフライは、負圧の印加時に排出もしくは流出させられる。
【0006】
本発明に係る吸込み通路終端部材は、公知の吸込み通路終端部材とは異なり、確定されて複数の部材から構成されている。吸込み通路終端部材は、詳しく言えば、第1の構成部材の他にさらに第2の構成部材を有しており、この第2の構成部材は、カバーエレメントとして形成されていて、かつ同様に負圧供給可能に形成されている。第2の構成部材は、第1の構成部材に交換可能に結合可能である。交換可能というのは、本発明では、第1の構成部材と第2の構成部材とを破壊なしにもしくは損傷なしに分離・組立てできるということを意味している。このとき第1の構成部材と第2の構成部材とは、種々様々な固定構造を用いて互いに繰り返し分離可能でかつ組立て可能であることができる。例えば形状結合式、摩擦結合式、または力結合式の結合手段を選択することができる。係止結合手段のような形状結合式の結合手段が、特に好ましい。それというのは、このような係止結合手段は、予め設定可能な大きさ力の作用によって、簡単に解除すること、および閉鎖することができるからである。さらにこのような係止結合手段は、特に、第1の構成部材および/または第2の構成部材を製造することができるプラスチック含有材料のために適していることが判明している。
【0007】
第2の構成部材は開口を含んでおり、この開口は、吸込み通路終端部材の組み立てられた状態において、流入部に連通している吸込み開口を形成していて、この吸込み開口を介して、フライは負圧の供給時に吸込み通路終端部材内に排出可能である。
【0008】
互いに異なった部材を設けることによって流入部から吸込み開口を分離することは、種々様々な繊維形式を単に、カバーエレメントとして形成された第2の構成部材の交換によって顧慮することができるということに基づいて、好適であることが判明している。したがって吸込み通路終端部材全体の高価な交換、または相応に構造に手間のかかる調節機構を設けることによる吸込み通路終端部材の調節を回避することができる。
【0009】
さらに本発明に係る構成は、吸込み開口数および/または吸込み開口寸法の変化による、ドラフト装置の種々様々な位置への吸込み部の適合を可能にする。例えば第2の構成部材は、好適な形式で1つよりも多くの開口を有することができ、このときこれらの開口はそれぞれ、吸込み通路終端部材の組み立てられた状態において、流入部に、または第1の構成部材によって形成された複数の流入部のうちの、対応配置された1つの流入部に連通している、吸込み開口を形成している。したがって開口は、吸込み部のそれぞれの位置に適合させられた寸法で形成することができ、かつこれによって互いにまったく異なっていてよい。または第1の構成部材は、1つよりも多くの流入部を、または十分に大きく寸法設定された流入部を、それぞれの開口との連通のために有していてもよい。
【0010】
吸込み通路終端部材の構成における変化形態は、本発明に係る解決策において多数存在する。例えば択一的な形式において、吸込み通路終端部材は、好ましくは、それぞれ少なくとも1つの開口を備えた、1つよりも多くの第2の構成部材を有していてよく、このときそれぞれの開口は、吸込み通路終端部材の組み立てられた状態において、流入部に、または第1の構成部材によって形成された複数の流入部のうちの、対応配置された1つの流入部に連通している、1つの吸込み開口を形成している。このように構成されていると、処理すべき繊維形式の変化時にフライの適宜な排出のために他の開口横断面が必要である位置に配置された開口を有する第2の構成部材だけを必要に応じて交換することができる。
【0011】
この結果、吸込み通路終端部材は、必要に応じてかつ位置正確に、ドラフト装置の領域における要求に合わせて構成すること、および配置することができる。例えば吸込み通路終端部材は、ドラフト装置の少なくとも2つのローラ対への吸込み空気供給のために適した寸法を有していてよく、このとき1つのローラ対のそれぞれ少なくとも1つのローラに、少なくとも1つの吸込み開口が対応配置されている。好ましくは、吸込み開口は、ローラ対のボトムローラに対応配置されている。択一的にまたはそれに加えて、吸込み開口は、ドラフト装置の領域における吸込み通路終端部材の適宜な位置決めによって、ローラ対のトップローラに対応配置されていてもよい。
【0012】
別の好適な実施形態によれば、吸込み通路終端部材は、ドラフト装置の領域において不動に交換可能に固定可能である。そのために吸込み通路終端部材は、固定手段を有することができる。本発明において固定手段というのは、ドラフト装置の領域において吸込み通路終端部材を固定するのに役立つ手段を意味している。例えば吸込み通路終端部材は、好ましくは係止フックまたは係止フック収容部のような係止結合手段を含むことができ、この係止結合手段は、吸込み通路終端部材を固定するために、ドラフト装置の領域に設けられている対応配置された別の係止結合手段と共働する。択一的にまたはそれに加えて、吸込み通路終端部材は、好ましくは固定手段として、フレキシブルなクリップによって少なくとも部分的に吸込み通路終端部材をクランプするためおよび不動に保持するために把持可能である、外側形状を有することができる。
【0013】
別の好適な実施形態によれば、吸込み通路終端部材は、開口の方向に収束するように形成されたホッパを含んでいる。このようなホッパは、フライを排出するために、規定のドラフト装置領域への吸込み空気の改善された供給を有利に可能にする。ホッパは、さらに好ましくは、開口内にまたは開口に接して交換可能に固定可能な挿入体として形成されていてよい。
【0014】
このように構成されていると、さらに改善された形式で、ドラフト装置の領域内の確定された位置における、種々様々な繊維形式のフライの排出を保証することができる。ホッパが例えば故障しているような場合には、単に相応のホッパを交換することだけが必要である。
【0015】
対応配置された開口に接したまたは対応配置された開口内におけるホッパの固定は、同様に種々様々な形式で行うことができる。例えば同様に係止結合部が設けられていてよい。それとは択一的に、ホッパを特にプレス嵌めを用いて開口内に位置決めすることが可能である。
【0016】
本発明の別の態様によれば、このような吸込み通路終端部材は、特に第1の構成部材、第2の構成部材、またはホッパのような、吸込み通路終端部材のコンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントを製造するために、3Dプリント法、レーザ焼結法、またはプラスチック射出成形法が用いられている方法によって、製造することができる。これによって吸込み通路終端部材を、安価にかつ僅かな誤差で製造することができる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、供給されたスライバの規定のドラフトを行うための、少なくとも2つのローラ対を含むドラフト装置が提案され、このときドラフト装置の領域に、上に記載された吸込み通路終端部材が配置されている。このように構成されていると、ドラフト装置の領域において作動中に発生しているフライを、繊維形式に適合させて効果的に排出させることができ、これによってローラ対におけるフライの付着による故障を減じることができる。
【0018】
好ましくは、吸込み通路終端部材は、ドラフト装置の側面図において、対応配置されたローラ対の1つのローラに対してセンタリングされた、少なくとも1つの開口を備えて配置されている。このようなセンタリングされた配置形態というのは、側面図において、ローラの回転中心が、開口の互いに向かい合って位置している2つの縁部点と共に、二等辺三角形を形成するような位置決めであると理解すべきであり、このとき三角形の対称軸線は、開口の中心を貫いて延びている。吸込み開口のセンタリングされた配置形態は、対応配置されたローラの領域におけるフライの効果的な排出を可能にする。好ましくは、吸込み通路終端部材は複数の開口を有しており、これらの開口は、ローラ対のそれぞれ1つのローラに対応配置されており、このときそれぞれの開口は、それぞれのローラにセンタリングされて配置されている。このことは、ドラフト装置のすべてのローラ対にわたって、フライの効果的な排出を可能にする。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、本発明の好適な実施例の以下の説明に、本発明にとって重要な詳細を示す図および図面に、かつ請求項に記載されている。個々の特徴は、それぞれそれ自体単独で実現されても、または本発明の好適な実施形態において複数が任意に組み合わせられて実現されてもよい。
【0020】
次に本発明の好適な実施例を、添付の図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】1実施例による吸込み通路終端部材を概略的に示す斜視側面図である。
【
図2】
図1に示された吸込み通路終端部材の第1の構成部材を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図1に示された吸込み通路終端部材のカバーエレメントを概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図1に示された吸込み通路終端部材の挿入体を概略的に示す斜視図である。
【
図5】1実施例によるドラフト装置の領域における、
図1に示された吸込み通路終端部材の配置形態を概略的に示す側面図である。
【0022】
図1には、1実施例による、複数のコンポーネントから成る吸込み通路終端部材1が、斜視図で概略的に示されている。吸込み通路終端部材1は、ベース部材として形成された第1の構成部材2と、第1の構成部材2に交換可能に結合された、カバーエレメントとして形成された第2の構成部材3とを含んでいる。
【0023】
図2には、第1の構成部材2が斜視図で概略的に示されている。第1の構成部材2は、管状であって、その半径方向長さよりも長い軸方向の管軸線に沿った長さを備えている。第1の構成部材2は、本実施例によれば、スライバをドラフトするために設けられているドラフト装置のすべてのローラ対の対応配置されたローラ、つまりボトムローラまたはトップローラに、吸込み空気を供給することができるような長手方向長さを有している。
【0024】
第1の構成部材2は、流入部21と、この流入部21に連通する流出部22とを含んでいる。流入部21は、軸方向の管軸線に平行に延びる長孔として形成されている。流入部21は、その長辺側においてキー状のガイドエレメント23によって取り囲まれており、これらのガイドエレメント23は、第1の構成部材2と第2の構成部材3とを互いに組み立てるために、第2の構成部材3の、相補形状に形成された溝ガイドエレメントに係合結合可能である。キー状のガイドエレメント23は、流出部22の近傍に中断部24を有しており、この中断部24の下には、吸込み通路終端部材1をドラフト装置の領域において保持する第1の固定手段4との係止のために、第1の係止爪25が配置されている。これによって半径方向における固定を確実に達成することができる。ドラフト装置の領域における吸込み通路終端部材1の軸方向における固定のために、さらに係止突起27が、吸込み通路終端部材1の、流出部22とは反対側に位置する端部に設けられており、この係止突起27は、吸込み通路終端部材1の長手延在方向において、相補形状に形成された第2の固定手段5との係止のために延長されている(
図5参照)。
【0025】
キー状のガイドエレメント23の、流出部22の近傍の端部は、係止収容部26を、第2の構成部材3に形成された第2の係止爪32との係止のために有しており、この第2の係止爪32を介して第1の構成部材2と第2の構成部材3とは、組み立てられた状態において互いに不動に保持されている。
【0026】
第1の構成部材2の、
図2に示された構成は、好適な変化形態であり、この変化形態から当業者は、本発明の根底を成す思想を逸脱することなしに、必要に応じて、当業者の専門知識の範囲内において十分に改良することができる。中断部24、第1の係止爪25、係止収容部26、および/または係止突起27の図示された構成/配置形態は、必要に応じて、第1の構成部材2における他の箇所および/または他の構成において位置決めされていてよい。例えば中断部24を完全に省くこと、または中断部24をキー状のガイドエレメント23に沿った別の位置に設けることも勿論可能である。第1の固定手段4に関連して中断部は、第1の固定手段4における吸込み通路終端部材1の簡単な取付け、もしくは第1の固定手段4からの吸込み通路終端部材1の簡単な取外しのために、好都合であることが示されている。また第2の構成部材3が相応に構成されている場合には、第1の係止爪25および係止収容部26は、第1の構成部材2の他の箇所に配置されていてもよい。さらに第1の係止爪25は、固定手段4において相補形状に形成された係止手段に作用結合するように形成された、係止収容部または係止突起を有していてもよく、このように構成されていると、吸込み通路終端部材1の半径方向および軸方向における固定を、組み合わせられた形式で、ただ1つの固定装置によって達成することができる。同じことは、長辺側の端部に形成された係止突起27に対しても言える。
【0027】
図3には、第2の構成部材3が斜視図で概略的に示されている。第2の構成部材3は、長辺側に配置された溝状のガイドエレメント31を備えたプレート形状の構成を、キー状のガイドエレメント23の収容および案内のために有している。溝状のガイドエレメント31の一端に第2の係止爪32が、対応配置された係止収容部26における係止のために配置されている。上側に沿って第2の構成部材3は、その長手延在方向に沿って全部で3つの開口33を有しており、これらの開口33はそれぞれ、上側に向かって突出する縁部34によって画定されている。縁部34は、内側に開口33の貫流方向にガイド溝35を有しており、このガイド溝35を介して、開口33内に挿入可能な挿入体36を収容することができ、この挿入体36は、
図4に斜視図で概略的に示されている。挿入体36は、入口38と出口39とを備えてホッパ形状に形成されている。入口38の開口幅は、出口39の開口幅よりも大きく成形されている。出口39は、縁部34に対して相補形状をもって形成されていて、かつ外側にガイドウェブ37を有しており、このガイドウェブ37は、内側のガイド溝35内に係合するように設けられている。択一的に図示されていない形式で、ガイドウェブは縁部34の内側に、かつガイド溝は挿入体36の外側に設けられていてもよい。図示されていない可能な択一的な構成では、縁部34および出口39は、縁部34が出口39内に挿入可能であるように構成されている。出口39および縁部34は、本実施例によれば、挿入体36をクランプ力もしくはプレス嵌めを介して交換可能に保持するように設計されている。これとは択一的に、クランプねじ、バヨネットジョイントまたはこれに類したものを介したクランプのような他の固定構造を設けることも可能である。
【0028】
本実施例による吸込み通路終端部材1は、溝状のガイドエレメント31とキー状のガイドエレメント23との係合結合と、係止収容部26内への第2の係止爪32の係止に至るまでの、吸込み通路終端部材1の長手延在方向に沿ったその後の相対運動とによって組み立てられる。分解は相応に逆の順序で行われる。したがって第1の構成部材2には、それぞれ異なった第2の構成部材3を組み合わせることができ、これによって吸込み通路終端部材1をドラフト装置の種々様々な構成に適合させること、または同じドラフト装置を用いて、処理された種々様々な繊維形式に適切に簡単な形式で適合させることができる。第2の構成部材3にも同様に、それぞれ異なった構成を有する第1の構成部材2を組み合わせることが可能である。吸込み通路終端部材1は、高い可変性およびフレキシビリティを提供する。さらに故障時には、個々のコンポーネントを難なく交換することができる。
【0029】
吸込み通路終端部材1、または第1の構成部材2、第2の構成部材3および/または挿入体36のような、吸込み通路終端部材1のコンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントは、3Dプリント法、レーザ焼結法、またはプラスチック射出成形法を用いて、必要に応じて、これらの方法に固有の利点をそれぞれ考慮して製造することができる。これによって吸込み通路終端部材1の構成におけるさらなる自由度を提供することができる。
【0030】
図5には、ドラフト装置の領域における吸込み通路終端部材1の可能な配置形態が、側面図で概略的に示されている。
図5においてローラ対6,7,8によって単に概略的に示されたドラフト装置は、スライバをドラフト領域内に導入する入口ローラ対6を含んでいる。入口ローラ対6は、入口ボトムローラ61と入口トップローラ62とを有している。入口ローラ対6にはスライバ搬送方向Rにおいて、中間ボトムローラ71と中間トップローラ72とを含む中間ローラ対7が続いており、このとき中間ローラ対7にはスライバ搬送方向Rにおいて、出口ボトムローラ81と出口トップローラ82とを備えた出口ローラ対8が後置されている。個々のローラ対6,7,8の間には、貫通走行するスライバを種々様々にドラフトするためのドラフト領域が公知の形式で配置されており、このとき互いに相前後して配置されたローラ対は、ドラフト装置作動時に互いに異なった回転速度で回転する。
【0031】
ローラ対6,7,8の下には、ローラ対6,7,8の数に相当する数の開口を備えた吸込み通路終端部材1が配置されている。それぞれの開口33は、スライバ搬送方向Rに沿って、対応配置されたボトムローラ61,71,81のそれぞれの回転中心と同じ間隔を有している。配置形態は、本実施例によればセンタリングされて示されている。センタリングされた配置形態では、図示された側面図において特にボトムローラ81の回転中心が、挿入体36または開口33の、互いに向かい合って位置している縁部点と共に、二等辺三角形Dを形成しており、この二等辺三角形Dの対称軸線Sは、挿入体36もしくは開口33の中心を貫いて延びている。このセンタリングされた配置形態は、本実施例によれば、中間ボトムローラ71および入口ボトムローラ61に向かい合って位置している開口33の配置形態に関しても同じ形式である。
【0032】
吸込み通路終端部材1は、本実施例によれば、ドラフト装置の領域において2つの固定手段4,5を介して不動に保持されている。第1の固定手段4は、クリップとして形成されており、このクリップは、吸込み通路終端部材1の外周部を取り囲んでいて、かつクリップ内には、吸込み通路終端部材1に設けられた第1の係止爪25が係合している。第1の固定手段4は、係止爪として形成された固定エレメント41を有しており、この固定エレメント41は、ドラフト装置の領域において、ドラフト装置のローラ対の保持体に、または繊維機械の作業ユニットのフレーム部分に、相補形状を有するエレメントを介して固定可能である。第2の固定手段5は、ドラフト装置の領域において、スライバ搬送方向において出口ローラ対8に後置されて配置されていて、かつ図示されていない係止収容部を有しており、この係止収容部内には、組み立てられた状態において係止突起27が係合している。
【0033】
吸込み通路終端部材1の配置形態は、ドラフト装置作動時において、ローラ対6,7,8の領域において発生するフライ(風綿)の確実かつ効果的な排出を可能にする。フライは、吸込み流を用いて、吸込み通路終端部材1内において発生している負圧によって、挿入体36のホッパ形状の開口を介して第2の構成部材3の開口33内に吸い込まれ、かつ第1の構成部材2の流入部21を介して流出部22を通して排出される。第1の構成部材2の流出部22は、本実施例によれば、負圧ホースを接続するためのホース接続エレメントとして形成されており、負圧ホースを介して、負圧の供給によって負圧流を、または必要な場合には正圧の供給によって正圧流を、吸込み通路終端部材1内にもたらすことができる。もたらすことができる正圧流は、吸込み通路終端部材1および/または対応配置されたローラから必要な場合に異物を吹き飛ばす、もしくはフライを除去することができる点において好適である。
【符号の説明】
【0034】
1 吸込み通路終端部材
2 第1の構成部材
3 第2の構成部材
4 第1の固定手段
5 第2の固定手段
6 入口ローラ対
7 中間ローラ対
8 出口ローラ対
21 流入部
22 流出部
23 キー状のガイドエレメント
24 中断部
25 第1の係止爪
26 係止収容部
27 係止突起
31 溝状のガイドエレメント
32 第2の係止爪
33 開口
34 縁部
35 ガイド溝
36 挿入体
37 ガイドウェブ
38 入口
39 出口
41 固定エレメント
61 入口ボトムローラ
62 入口トップローラ
71 中間ボトムローラ
72 中間トップローラ
81 出口ボトムローラ
82 出口トップローラ
D 二等辺三角形
R スライバ搬送方向
S 対称軸線