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  • 特許-回転電機の回転子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】回転電機の回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20240207BHJP
   H02K 15/16 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K15/16 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020085912
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021180591
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高橋 瞬
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-297882(JP,A)
【文献】実開平5-61718(JP,U)
【文献】特開2017-201857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/276
H02K 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の永久磁石が配置される鉄心と、
この鉄心の軸方向前端面及び後端面にそれぞれ取り付けられる負荷側及び反負荷側端板とを備え、
前記負荷側及び反負荷側端板の少なくとも一方には、バランス調整用の重りを取付ける位置を、回転中心側と外周側との間において複数段階で変更可能にする重り取付け部が形成されており、
前記重り取付け部は、径方向に並ぶ複数の取付け穴の列が、周方向に複数形成された構成であり、
同じ周上に並んでいる複数の取付け穴の列を周方向列とすると、
前記重り取付け部は、同じ周方向列に形成されている複数の取付け穴に、径が異なる穴を含んでおり、
径が大である第1取付け穴と、径が小である第2取付け穴とが交互に配置されている回転電機の回転子。
【請求項2】
ある周方向列の第1取付け穴の位置と、その外周又は内周側となる周方向列の第2取付け穴の位置とが、同じ径上に並ぶように配置されている請求項記載の回転電機の回転子。
【請求項3】
前記端板は、径方向に並ぶ複数の取付け穴の列の少なくとも一部が、前記鉄心に隣り合って配置されている永久磁石の端部の間に係るように、前記鉄心に取り付けられている請求項1又は2記載の回転電機の回転子。
【請求項4】
前記重り取付け部は、前記負荷側及び反負荷側端板の双方に形成されており、
前記負荷側端板と、前記反負荷側端板とは、それぞれに形成されている重り取付け部の周方向位置にずれが生じるように、前記鉄心の各端面にそれぞれ取り付けられている請求項1からの何れか一項に記載の回転電機の回転子。
【請求項5】
前記重り取付け部は、前記負荷側及び反負荷側端板の双方に形成されており、
前記負荷側端板と、前記反負荷側端板とは、それぞれに形成されている取付け穴の径が異なっている請求項1からの何れか一項に記載の回転電機の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機の回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石型回転電機の回転子には複数の永久磁石が配置されるため、径方向に重量のアンバランスが発生していることが多く、製品として出荷する前にアンバランスを解消するための調整作業を行っている。その調整は、一般には工作機械等を用いて回転子の一部を削って行うことが多いが、例えば特許文献1に開示されているように、より簡易にバランス調整を行うことができる回転子の構造も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-218293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている回転子の構造では、バランス調整を行う際の自由度が高いとは言えず、必ずしも調整作業を短時間内に完了できる保証はない。
そこで、バランス調整の自由度をより向上させることができる構造を有した回転電機の回転子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の回転電機の回転子は、複数の永久磁石が配置される鉄心と、この鉄心の軸方向前端面及び後端面にそれぞれ取り付けられる負荷側及び反負荷側端板とを備え、前記負荷側及び反負荷側端板の少なくとも一方には、バランス調整用の重りを取付ける位置を、回転中心側と外周側との間において複数段階で変更可能にする重り取付け部が形成されている。前記重り取付け部は、径方向に並ぶ複数の取付け穴の列が、周方向に複数形成された構成である。加えて、同じ周上に並んでいる複数の取付け穴の列を周方向列とすると、前記重り取付け部は、同じ周方向列に形成されている複数の取付け穴に、径が異なる穴を含んでおり、径が大である第1取付け穴と、径が小である第2取付け穴とが交互に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態であり、回転子鉄心に取り付けられた端板を負荷側から見た図
図2】端板が取り付けられた回転子鉄心の軸方向断面図
図3】バランサの正面図及び側面図
図4】バランサを挿入穴に圧入した状態を示す正面図
図5】第2実施形態であり、回転子鉄心に取り付けられた端板を負荷側から見た図
図6】端板が取り付けられた回転子鉄心の軸方向断面図
図7】第3実施形態であり、回転子鉄心に取り付けられた端板を反負荷側から見た図
図8】端板が取り付けられた回転子鉄心の軸方向断面図
図9】第4実施形態であり、回転子鉄心に取り付けられた端板を反負荷側から見た図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1から図4を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の回転子1は、図示しない回転軸に取り付けられる回転子鉄心2と、端板3L及び3Oとを備えている。回転子1は、図示しない固定子と共にインナーロータ形の永久磁石モータを構成するもので、固定子の内周部に収納される。回転子鉄心2は、複数枚の打抜鋼板を軸方向に積層して構成されており、外周部には、永久磁石4を収納するためのスロット5が複数形成されている。
【0008】
端板3L及び3Oは、回転子鉄心2に収容された、図1に破線で示す永久磁石4の脱落を防止するため、回転子鉄心2の図中左側である負荷側端面と、同右側である反負荷側端面とにそれぞれ取り付けられる。図1に示すように、本実施形態の端板3は、回転軸の挿入穴6と外周側との間に、径方向に沿って並ぶ3つの挿入穴7の列が、周方向に16列並ぶように形成されている。取付け穴に相当する挿入穴7の形状は、例えば六角形である。これら複数の挿入穴7が重り取付け部8である。
【0009】
挿入穴7には、図3に示すように、概ね円筒状のバランサ9が図4に示すように圧入される。バランサ9は、例えば軟鋼のような金属製や樹脂製等であり、挿入穴7に圧入される側の端部には、面取り加工が施されている。バランサ9はバランス調整用重りの一例である。
【0010】
以上のように構成される本実施形態によれば、回転子鉄心2の軸方向負荷側及び反負荷側にそれぞれ取り付けられる端板3L,3Oを備え、端板3に、バランサ9を取付ける位置を、回転中心側と外周側との間において複数段階で変更可能にする重り取付け部8を形成した。重り取付け部8は、バランサ9が挿入される挿入穴7を径方向に複数並べた列を、周方向に複数形成した構成である。これにより、バランサ9を取り付ける径方向位置が従来よりも多様になり、作業者は、バランス調整作業をより簡単に効率良く行うことができる。
【0011】
また、端板3を、径方向に並ぶ挿入穴7の列の少なくともの一部が、回転子鉄心2に隣り合って配置されている永久磁石4の端部の間に係るように鉄心3に取り付ける。すなわち、回転子1の径方向にアンバランスが生じる主な要因の1つは、個別の永久磁石4の重量がばらつくことである。したがって、2つの永久磁石4の端部の間に位置するバランサ9を取り付けてバランス調整を行うことで、調整を効率的に行うことができる。
【0012】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図5及び図6に示すように、第2実施形態の回転子11は端板12の構成が相違しており、挿入穴7と共に、より小さい六角形の挿入穴13が併せて形成されている。挿入穴7が第1取付け穴に相当し、挿入穴13が第2取付け穴に相当する。
【0013】
端板12では、径方向に並ぶ3つの穴のうち、2つの挿入穴7の間に挿入穴13が形成されている列と、2つの挿入穴13の間に挿入穴7が形成されている列とが、周方向に交互に並んでいる。そして、挿入穴13には、具体的には示さないが、その形状に対応してバランサ9よりも径小となるバランサが挿入される。このように構成すれば、作業者は回転子11のバランス調整を、重さが異なるバランサを用いてより精密に行うことができる。
【0014】
(第3実施形態)
図7及び図8に示すように、第3実施形態の回転子21は、第1実施形態における反負荷側の端板3Oを端板22Oに置換えたものであり、端板22は、端板3における挿入穴7を全て挿入穴13に置換えた構成である。このように構成した場合も、回転子21の負荷側と反負荷側とでそれぞれ重さが異なるバランサを取り付けることができ、作業者はバランス調整を精密に行うことができる。
【0015】
(第4実施形態)
第1実施形態では、端板3L,3Oにおける挿入穴7が径方向に並ぶ配列は同一であったが、第4実施形態の回転子31では、反負荷側の端板3Oを、図9に示すように、時計回り方向に11.25度回転させた状態で回転子鉄心2に取り付けている。このように構成した場合も、回転子31の負荷側と反負荷側とでそれぞれ径方向に異なる位置でバランサ9を取り付けることができ、作業者はバランス調整を精密に行うことができる。
【0016】
(その他の実施形態)
端板は、負荷側,反負荷側の何れか一方のみに配置しても良い。
第4実施形態において反負荷側をずらす回転角は、11.25度に限らない。
第4実施形態を第2,第3実施形態の構成に適用して、端板12O,22Oを、端板12Lに対して回転させた状態で取り付けても良い。
端板のバーと永久磁石との配置関係は、例示したものに限らず、必ずしも径方向に並ぶ複数の挿入穴の列の少なくとも一部が、2つの永久磁石の間に係るようにする必要はない。
挿入穴7の数や永久磁石の極数は、個別の設計に応じて適宜変更すれば良い。
取付け穴の形状は六角形に限らず、その他の多角形や円形でも良い。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0018】
図面中、1は回転子、2は回転子鉄心、3は端板、4は永久磁石、7は挿入穴、8は重り取付け部、9はバランサ、11は回転子、12は端板、21は回転子、22は端板、31は回転子、32は端板を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9