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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】接合構造および建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/96 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
E06B3/96 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020087961
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181723
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱口 公希
(72)【発明者】
【氏名】大山 雄也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-54360(JP,A)
【文献】実開昭57-174681(JP,U)
【文献】特開平8-121020(JP,A)
【文献】実開平5-83279(JP,U)
【文献】実公昭49-38348(JP,Y1)
【文献】実開昭55-116184(JP,U)
【文献】実開昭59-104954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材の長手方向の端面を、シート状のシール材を介して第2部材の壁部に接合する接合構造であって、
前記第1部材は、長手方向に沿って進入するねじが螺合されるねじ螺合部を有し、
前記第2部材の前記壁部は、前記ねじ螺合部に螺合される前記ねじが挿通される挿通穴を有し、
前記ねじは、頭部とねじ部との間に、前記頭部の外径より小さく前記ねじ部の外径より大きな外径であり前記挿通穴に挿通される段部を有し、
前記ねじの頭部と前記壁部との間にはスペーサーが挟持され、
前記段部の長さをL、前記壁部の厚みをW1、前記スペーサーの厚みをH、前記シール材がシール性能を発揮する最小厚さ寸法をt1、最大厚さ寸法をt2としたときに、
t1≦L-(W1+H)≦t2の関係を満たすことを特徴とする接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接合構造において、
前記スペーサーは、厚さ寸法が異なる複数種類のスペーサーから選択された1つまたは複数のスペーサーで構成されている
ことを特徴とする接合構造。
【請求項3】
請求項2に記載の接合構造において、
前記スペーサーは、厚さ寸法ごとに平面形状または色の少なくとも一方が異なる
ことを特徴とする接合構造。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の接合構造により接合された枠体を有する建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合構造および建具に関し、詳しくは、第1部材の端面と、第2部材の接合面とを接合する接合構造、この接合構造によって部材同士が接合された建具に関する。
【背景技術】
【0002】
上枠、下枠および左右の縦枠を四周枠組みして構成された窓枠において、下枠の長手方向の端面を、シート状のシール材を介して縦枠の接合面に接合する接合構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この接合構造では、下枠の端面と縦枠の接合面との間にシート状のシール材を介在させ、縦枠の接合面に形成されたねじ穴にねじを挿通して、下枠のビスホール部にねじ込むことにより、下枠の端面に形成された止水ライン形成部と縦枠の接合面とでシール材を圧縮しつつ挟持して止水ラインを形成して下枠と縦枠とを接合している。このとき、縦枠の接合面には、止水ラインと重ならない位置で下枠に当接し、シール材が介在される縦枠と下枠との間の隙間寸法を所定寸法に設定する突起部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-117143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記接合構造では、縦枠の接合面には、縦枠と下枠との間の隙間寸法を所定寸法に設定する突起部が設けられているが、下枠のビスホール部にねじ込むねじの締め付け力は、作業者に委ねられるため、ばらつきが生じる虞がある。このため、締め付け力が弱い場合には、シール材の圧縮量が小さくなって止水性能が低くなり、締め付け力が強い場合には、突起部を押し潰すとともに、介在されているシール材が損傷されてしまうことにより止水性能が低くなる虞がある。
【0005】
本発明の目的は、止水性能を向上できる接合構造および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接合構造は、第1部材の長手方向の端面を、シート状のシール材を介して第2部材の壁部に接合する接合構造であって、前記第1部材は、長手方向に沿って進入するねじが螺合されるねじ螺合部を有し、前記第2部材の前記壁部は、前記ねじ螺合部に螺合される前記ねじが挿通される挿通穴を有し、前記ねじは、頭部とねじ部との間に、前記頭部の外径より小さく前記ねじ部の外径より大きな外径であり前記挿通穴に挿通される段部を有し、前記ねじの頭部と前記壁部との間にはスペーサーが挟持され、前記段部の長さをL、前記壁部の厚みをW1、前記スペーサーの厚みをH、前記シール材がシール性能を発揮する最小厚さ寸法をt1、最大厚さ寸法をt2としたときに、t1≦L-(W1+H)≦t2の関係を満たすことを特徴とする。
【0007】
本発明の接合構造は、第1部材の長手方向の端面を、シート状のシール材を介して第2部材の壁部に接合する接合構造であって、前記第1部材は、長手方向に沿って進入するねじが螺合されるねじ螺合部を有し、前記第2部材の前記壁部は、前記ねじ螺合部に螺合される前記ねじが挿通される挿通穴を有し、前記ねじは、頭部とねじ部との間に、前記頭部の外径より小さく前記ねじ部の外径より大きな外径であり前記挿通穴に挿通される段部を有し、前記段部の長さをL、前記壁部の厚みをW2、前記シール材がシール性能を発揮する最小厚さ寸法をt1、最大厚さ寸法をt2としたときに、t1≦L-W2≦t2の関係を満たすことを特徴とする。
【0008】
本発明の建具は、前記接合構造により接合された枠体を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の接合構造および建具によれば、接合部の止水性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の接合構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の接合構造の構成を示す分解斜視図である。
図3】第1実施形態の接合構造の断面を示す模式図である。
図4】第2実施形態の接合構造の構成を示す分解斜視図である。
図5】第2実施形態の接合構造の断面を示す模式図である。
図6】第1実施形態の接合構造に用いられるスペーサーを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る接合構造、及び、この接合構造により接合された枠体を備えた建具について図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態においては、浴室の出入り口に設けられ、図示しない折戸を支持する枠体を備えた浴室用の建具を例に挙げ、アルミニウム製の押出形材でなる上枠、下枠および左右の縦枠を四周枠組みした枠体の、第1部材としての下枠と第2部材としての縦枠との接合部にて本発明の接合構造を説明する。
【0013】
以下の説明においては、枠体が浴室の出入り口に取り付けられた状態で浴室側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、浴室から脱衣室に向かう奥行き方向を見込み方向として示す。
また、縦枠については、矩形状に枠組みされた状態で左右の縦枠において互いに対向する側を内側、反対側を外側として説明する。
【0014】
図1図2に示すように、枠体10を構成する下枠1及び右の縦枠(以下、単に縦枠という)2は、下枠1の右側の端面1Aと縦枠2の見込み方向に沿った壁部2Bの内側面2Aとの間に、シート状のシール材3を介して、ねじ4により接合されている。なお、本実施形態では、図2に示すように、スペーサー5を介してねじ4を接合している。
【0015】
ねじ4は、図2図3に示すように、ねじ部41と頭部42との間に、ねじ部41の外径D1より大きく、頭部42の外径D2より小さな外径D3をなす円柱状の段部43が設けられた段付きのねじ4である。また、段部43の軸方向の長さはLとされている。
【0016】
下枠1は、折戸が案内されるレール1Bと、2つのねじ螺合部1Cとを有している。レール1Bおよびねじ螺合部1Cは、下枠1の長手方向つまり左右方向に沿って連続して形成されている。
2つのねじ螺合部1Cは、下枠1の見込み方向に離れて形成されている。2つのねじ螺合部1Cは、アルミニウム製の押出形材などで一般的なビスホールであり、見込み方向において互いに間隔を空けて下方に向かって、かつ、互いに反対側に膨らみつつ湾曲する弧状に延出された2つの延出片を有している。
【0017】
縦枠2は、下枠1との接合面をなし見込み方向に沿う壁部2Bを有し、壁部2Bには、上下方向に沿って設けられ、展張した折戸と脱衣室側にて対向する対向片2Cと、下端部に下枠1を接合するための段付きのねじ4が挿通される2つの挿通穴2Dが設けられている。
挿通穴2Dの内径は、ねじ4の頭部42の外径D2よりも小さく、ねじ4の段部43の外径D3より僅かに大きく形成されている。
【0018】
シール材3は、シート状をなしブチルゴムなどの軟質な部材で形成されている。シール材3は、下枠1の端面1Aの輪郭をなす縁よりも、全周に亘って大きな形状をなしている。また、シール材3には、下枠1の端面1Aと縦枠2の壁部2Bとの間に介在されたときに、ねじ螺合部1C及び挿通穴2Dと位置が合うように、ねじ4が貫通される挿通穴3Aが設けられている。
挿通穴3Aの内径は、挿通穴2Dと同様に、ねじ4の段部43の外径D3より僅かに大きく、かつ、頭部42の外径D2より小さく形成されている。
また、シール材3は、図3(A)に示すように、下枠1および縦枠2で挟まれていない状態では厚みTAとされている。
【0019】
スペーサー5は、挿通穴5Aを有するリング状のワッシャーで構成され、厚みHの平板状とされている。挿通穴5Aの内径は、挿通穴2D、挿通穴3Aと同様に、ねじ4の段部43の外径D3より僅かに大きく、かつ、頭部42の外径D2より小さく形成されている。
スペーサー5の材質は特に限定されていないが、ねじ4がステンレス製の場合、異種接触を避けるために同じステンレス製であることが好ましい。
【0020】
本実施形態では、ねじ4の段部43の長さLと、縦枠2の壁部2Bの厚みW1と、スペーサー5の厚みHとは、シール材3がシール性能を発揮するための厚さ寸法範囲の最小厚みをt1、最大厚みをt2としたときに、以下の式(1)となるように設定されている。
t1≦L-(W1+H)≦t2…(1)
【0021】
この際、スペーサー5として、厚みHが異なる複数種類のスペーサー5を用意することで、壁部2Bの厚みW1が製品や部材によって異なる場合でも上記式(1)を満たすことができる。
シール材3の圧縮前の厚みTAは、少なくとも前記最小厚みt1よりも厚くされている。また、厚みTAは最大厚みt2よりも厚くされていることが好ましい。さらに、図3(B)に示すように、内側面2Aおよび端面1A間で挟まれている状態では、シール材3は圧縮されて厚みTBとされている。なお、厚みTB=L-(W1+H)である。
【0022】
下枠1と縦枠2とを接合する場合には、まず、縦枠2の壁部2Bの内側面2Aにシール材3を貼り付ける。このとき、壁部2Bの挿通穴2Dと、シール材3の挿通穴3Aとの位置を合わせておく。
【0023】
次に、下枠1のねじ螺合部1Cをシール材3の挿通穴3Aに合わせて下枠1の端面1Aをシール材3に当接させ、壁部2Bの外側から内側に向かってスペーサー5を取り付けたねじ4を挿通穴2D及び挿通穴3Aに進入させてねじ螺合部1Cに螺合する。
ねじ4が締め込まれた状態では、ねじ4の段部43が下枠1の端面1Aに当接する。このため、下枠1の端面1Aと壁部2Bの内側面2Aとの間でシール材3が圧縮されている。すなわち、端面1Aと内側面2Aとの間隔は、L-(W1+H)となり、複数の厚みHのスペーサー5から適切な厚みHのスペーサー5を選択することで、端面1Aと内側面2Aとの間隔つまり圧縮されたシール材3の厚みTBを、最小厚みt1以上、最大厚みt2以下に設定でき、シール性能を確保できる。
【0024】
[第1実施形態の作用効果]
本実施形態の接合構造によれば、ねじ4の段部43を下枠1の端面1Aに当接させて金属材同士のメタルタッチとしているので、ねじ4の頭部42と端面1A間の寸法を、段部43の長さLに正確に管理できる。このため、下枠1および縦枠2間に挟まれるシール材3の厚みTBは、段部43の長さLと、壁部2Bの厚みW1と、スペーサー5の厚みHとによって、L-(W1+H)に設定できる。このため、ねじ4の締め込みトルクに関係なく、シール材3の厚みTBを一定寸法に調整でき、シール材3の厚みTBを、最小厚みt1以上、最大厚みt2以下に確実に設定できてシール性能を確保でき、止水性能を向上できる。
【0025】
また、スペーサー5を設けることで、下枠1および縦枠2間に挟まれるシール材3の厚みTBを適切に管理できるので、低コストで止水性能を向上できる。例えば、薄板状のスペーサー5を複数枚用意したり、厚さ寸法が異なる複数種類のスペーサー5を用意し、壁部2Bの厚みW1に応じて、ねじ4に取り付けるスペーサー5の枚数や、適切な厚さのスペーサー5を選択するだけでよいため、最小限のコストでシール性能を確実に確保でき、止水性能を向上できる。
【0026】
ねじ4の締め込みトルクを管理する必要が無く、ねじ4の段部43が下枠1に当接するまでねじ4を締め込めばよいため、接合作業を容易に行うことができ、作業性を向上できる。さらに、作業者が強い力でねじ4を締め付けたとしてもステンレス製のねじ4の段部43がアルミ製の下枠1に当接して頭部42と端面1Aとの間隔を寸法Lに維持できるので、端面1Aと壁部2Bとの間でシール材3が裂けることはないので、高い止水性能を確保することができる。
【0027】
シール材3の挿通穴3A、壁部2Bの挿通穴2D、スペーサー5の挿通穴5Aの内径は、段部43の外径D3より大きいので、段部43を挿通穴2D、3A、5Aに挿通させることが可能であり、段部43を下枠1の端面1Aに当接させることができる。
また、シール材3を圧縮した際に、挿通穴3Aの内周面も潰れて段部43の周面に当接して密着するため、止水性能を向上できる。
【0028】
下枠1が熱により伸長したとしても、下枠1の端面1Aと縦枠2の壁部2Bとの間の隙間は確保されるので、高い止水性能を維持することが可能である。このため、止水性能に優れた接合構造を提供することが可能である。
【0029】
[第2実施形態]
第2実施形態の接合構造について、図4、5を参照して説明する。
第2実施形態の接合構造では、壁部2Bの厚みW2が第1実施形態の厚みW1に比べて厚い場合であり、スペーサー5を設けずにねじ4をねじ螺合部1Cにねじ込んだものである。
このため、第2実施形態では、ねじ4の段部43の長さLと、縦枠2において下枠1との接合面である内側面2Aをなす部位である壁部2Bの厚みW2とは、シール材3がシール性能を発揮するための厚さ寸法範囲の最小厚みをt1、最大厚みをt2としたときに、以下の式(2)となるように設定されている。
t1≦L-W2≦t2…(2)
【0030】
第2実施形態における下枠1と縦枠2との接合手順は、スペーサー5を用いない点を除き前記第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0031】
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態の接合構造においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。例えば、ねじ4の段部43を下枠1の端面1Aに当接させて金属材同士のメタルタッチとしているので、ねじ4の頭部42と端面1A間の寸法を、段部43の長さLに正確に管理できる。このため、下枠1および縦枠2間に挟まれるシール材3の厚みTBは、段部43の長さLと、壁部2Bの厚みW2とによって、L-W2に設定できる。このため、ねじ4の締め込みトルクに関係なく、シール材3の厚みTBを一定寸法に調整でき、シール材3の厚みTBを、最小厚みt1以上、最大厚みt2以下に確実に設定できてシール性能を確保でき、止水性能を向上できる。
すなわち、第2実施形態は、スペーサー5を用いない点を除き、第1実施形態と同様の接合構造であるため、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0032】
[変形例]
本発明は、以上の各実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
上記第1実施形態においては、スペーサー5として、図6(A)に示すような、平面リング状のワッシャーを用いていたが、図6(B)に示すような平面U字状に形成されて段部43が挿通可能な挿通溝6Aを有するスペーサー6や、図6(C)に示すような平面矩形状に形成されて段部43が挿通可能な挿通穴7Aを有するスペーサー7を用いてもよい。すなわち、スペーサーとしては、平板状であり、ねじ4の段部43を挿通可能な挿通穴や挿通溝を備えればよい。
【0033】
図6に示すように、平面形状が異なる各スペーサー5、6、7を、厚さ寸法もそれぞれ異なるように構成してもよい。これにより、作業者は、壁部2Bの厚みW1に応じて厚さが異なるスペーサー5、6、7を正確にかつ容易に選択でき、シール材3を適切に圧縮してシール性能を確保できる。
【0034】
スペーサー5は、色や模様を厚さ寸法に応じて変更してもよい。例えば、スペーサー5をワッシャーで構成した場合に、厚さ寸法に応じて異なる色や模様に着色してもよい。これにより、作業者は、壁部2Bの厚みW1に応じて選択すべきスペーサー5を色で判別できるので、適切なスペーサー5を容易に選択できる。
【0035】
スペーサー5、6、7は、壁部2Bの厚みW1に応じて使用する枚数を変更してもよい。この際、同じ厚さのスペーサー5、6、7を複数枚用いてもよいし、異なる厚さのスペーサー5、6、7を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
段付きのねじ4は、段部43の寸法Lが異なるねじ4を複数種類用意してもよい。この場合、ねじ4とスペーサー5とを適宜組み合わせることで、壁部2Bの厚みW1が異なる様々な部材の接合に利用できる。
【0037】
下枠1と縦枠2とを複数のねじ4で接合する場合に、ねじ4の接合位置に応じてスペーサー5の厚さを異ならせて、シール材3の圧縮量をねじ4ごとに変更してもよい。すなわち、各ねじ4の接合位置によって止水性能を確保するためのシール材3の圧縮量が変わる場合、各接合位置に応じた厚みHのスペーサー5を選択すれば、シール材3の圧縮量を適正に調整できる。
【0038】
上記各実施形態では、本発明に係る接合構造を、浴室用の建具が備える枠体10の下枠1と縦枠2との接合部に適用した例について説明したが、これに限るものではない。例えば、建具は、浴室用でなくとも構わない。また、例えば、上枠と縦枠との接合部や、縦框と横框との接合部など、第1部材と、第1部材の端面に当接させた第2部材とを、第1部材の長手方向に進入するねじにより接合する接合部であれば構わない。
【0039】
[発明のまとめ]
本発明の接合構造は、第1部材の長手方向の端面を、シート状のシール材を介して第2部材の壁部に接合する接合構造であって、前記第1部材は、長手方向に沿って進入するねじが螺合されるねじ螺合部を有し、前記第2部材の前記壁部は、前記ねじ螺合部に螺合される前記ねじが挿通される挿通穴を有し、前記ねじは、頭部とねじ部との間に、前記頭部の外径より小さく前記ねじ部の外径より大きな外径であり前記挿通穴に挿通される段部を有し、前記ねじの頭部と前記壁部との間にはスペーサーが挟持され、前記段部の長さをL、前記壁部の厚みをW1、前記スペーサーの厚みをH、前記シール材がシール性能を発揮する最小厚さ寸法をt1、最大厚さ寸法をt2としたときに、t1≦L-(W1+H)≦t2の関係を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、ねじの段部を下枠の端面に当接させているので、ねじの頭部と端面間の寸法を、段部の長さLに正確に管理できる。このため、下枠および縦枠間に挟まれるシール材の厚みは、段部の長さLと、壁部の厚みW1と、スペーサーの厚みHとによって、L-(W1+H)に設定できる。このため、ねじの締め込みトルクに関係なく、シール材の厚みを一定寸法に調整でき、シール材の厚みを、最小厚みt1以上、最大厚みt2以下に確実に設定できてシール性能を確保でき、止水性能を向上できる。
【0040】
本発明の接合構造において、前記スペーサーは、厚さ寸法が異なる複数種類のスペーサーから選択された1つまたは複数のスペーサーで構成されていてもよい。
スペーサーを厚さ寸法が異なる複数種類のスペーサーから選択された1つまたは複数のスペーサーで構成すれば、壁部の厚みW1に応じて、ねじに取り付けるスペーサーの枚数や、適切な厚さのスペーサーを選択するだけでよいため、最小限のコストでシール性能を確実に確保でき、止水性能を向上できる。
【0041】
本発明の接合構造において、前記スペーサーは、厚さ寸法ごとに平面形状または色の少なくとも一方が異なることが好ましい。
作業者は、壁部の厚みW1に応じて選択すべきスペーサーを平面形状や色で判別できるので、適切なスペーサーを容易に選択できる。
【0042】
本発明の接合構造は、第1部材の長手方向の端面を、シート状のシール材を介して第2部材の壁部に接合する接合構造であって、前記第1部材は、長手方向に沿って進入するねじが螺合されるねじ螺合部を有し、前記第2部材の前記壁部は、前記ねじ螺合部に螺合される前記ねじが挿通される挿通穴を有し、前記ねじは、頭部とねじ部との間に、前記頭部の外径より小さく前記ねじ部の外径より大きな外径であり前記挿通穴に挿通される段部を有し、前記段部の長さをL、前記壁部の厚みをW2、前記シール材がシール性能を発揮する最小厚さ寸法をt1、最大厚さ寸法をt2としたときに、t1≦L-W2≦t2の関係を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、ねじの段部を下枠の端面に当接させているので、ねじの頭部と端面間の寸法を、段部の長さLに正確に管理できる。このため、下枠および縦枠間に挟まれるシール材の厚みは、段部の長さLと、壁部の厚みW2とによって、L-W2に設定できる。このため、ねじの締め込みトルクに関係なく、シール材の厚みを一定寸法に調整でき、シール材の厚みを、最小厚みt1以上、最大厚みt2以下に確実に設定できてシール性能を確保でき、止水性能を向上できる。
【0043】
本発明の建具は、前記接合構造により接合された枠体を有することを特徴とする。
本発明によれば、建具は、前記接合構造を用いた枠体を有するため、止水性能を向上できる。
【符号の説明】
【0044】
1…下枠、1A…端面、1C…ねじ螺合部、2…縦枠、2A…内側面、2B…壁部、2D…挿通穴、3…シール材、3A…挿通穴、4…ねじ、5、6、7…スペーサー、5A、7A…挿通穴、6A…挿通溝、10…枠体、41…ねじ部、42…頭部、43…段部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6