(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】園芸用トリマ
(51)【国際特許分類】
A01G 3/04 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
A01G3/04 501F
A01G3/04 501B
(21)【出願番号】P 2020088209
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 幹大
(72)【発明者】
【氏名】沓名 知之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 望
(72)【発明者】
【氏名】太田 智之
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-243778(JP,A)
【文献】特開2008-136370(JP,A)
【文献】特開2020-025505(JP,A)
【文献】特開2019-193598(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103125278(CN,A)
【文献】特開2019-134693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
園芸用トリマであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置されている原動機と、
前記ハウジングから延びているガイドバーと、
前記原動機の回転運動を第1方向に関する直線運動に変換する変換機構と、
前記変換機構の前記直線運動を受けて前記ガイドバーに対して前記第1方向に相対的に往復運動し、前記第1方向に沿って延びる複数の長孔を有するブレードと、
前記ブレードの前記複数の長孔のそれぞれに配置されており、前記ブレードの前記相対的な往復運動をガイドする複数のガイド部材と、を備えており、
前記複数の長孔は、
前記複数のガイド部材のうち、前記ハウジングに連結されるものに対応する少なくとも1つの第1長孔と、
前記複数のガイド部材のうち、前記ガイドバーに連結されるものに対応する
複数の第2長孔と、を備えており、
前記複数のガイド部材は、
少なくとも1つの一次ガイド部材であって、前記一次ガイド部材が前記第1長孔に配置される、前記少なくとも1つの一次ガイド部材と、
複数の二次ガイド部材であって、前記二次ガイド部材が前記第2長孔に配置される、前記複数の二次ガイド部材と、を備えており、
前記第1長孔は、
前記第1方向に延びる第1内側面と、
前記第1方向に延びており、前記第1内側面に対向する第2内側面と、を有しており、
前記第2長孔は、
前記第1方向に延びる第3内側面と、
前記第1方向に延びており、前記第3内側面に対向する第4内側面と、を有しており、
前記少なくとも1つの第1長孔のうちの1つの前記第1長孔に配置される前記一次ガイド部材に関して、前記一次ガイド部材と前記第1内側面との間隔、および前記一次ガイド部材と前記第2内側面との間隔の合計値は、第1の間隔であり、
前記複数の第2長孔のうちの1つの第2長孔に配置される前記二次ガイド部材に関して、前記二次ガイド部材と前記第3内側面との間隔、および前記二次ガイド部材と前記第4内側面との間隔の合計値は、第2の間隔であり、
前記第1の間隔は、前記第2の間隔よりも小さい、園芸用トリマ。
【請求項2】
前記
1つの第1長孔は、前記複数の長孔のうち、前記ブレードの前記ハウジング側の端部の最も近くに配置されている前記長孔に対応する、請求項1に記載の園芸用トリマ。
【請求項3】
前記
複数の第2長孔のうちの他の第2長孔に配置される前記二次ガイド部材に関して、前記二次ガイド部材と前記第3内側面との間隔、および前記二次ガイド部材と前記第4内側面との間隔の合計値は、前記第1の間隔である、請求項1または2に記載の園芸用トリマ。
【請求項4】
前記
1つの第2長孔に配置される前記二次ガイド部材は、円形断面形状を有しており、
前記
1つの第1長孔に配置される前記一次ガイド部材は、多角形断面形状を有している、請求項
1から3のいずれか一項に記載の園芸用トリマ。
【請求項5】
前記原動機は、電動モータである、請求項1から
4のいずれか一項に記載の園芸用トリマ。
【請求項6】
前記ハウジングに着脱可能であって、前記電動モータに電力を供給する充電可能なバッテリパックをさらに備えている、請求項
5に記載の園芸用トリマ。
【請求項7】
前記ハウジングに設けられており、作業者により把持されるグリップをさらに備えている、請求項1から
6のいずれか一項に記載の園芸用トリマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、園芸用トリマに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、園芸用トリマが開示されている。園芸用トリマは、ハウジングと、ガイドバーと、ハウジングの内部に配置されている原動機と、原動機の回転運動を第1方向に関する直線運動に変換する変換機構と、ブレードと、複数のガイド部材と、を備えている。ブレードは、変換機構の直線運動を受けてガイドバーに対して第1方向に相対的に往復運動し、第1方向に沿って延びる複数の長孔を有する。ガイド部材は、ブレードの複数の長孔のそれぞれに配置されており、ブレードの相対的な往復運動をガイドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の園芸用トリマでは、ガイド部材が長孔の内側面に当接している場合、ブレードが受ける摺動抵抗が高くなる一方で、ガイド部材と長孔の内側面との間隔が小さくなるためブレードの往復運動により発生する振動が抑制される。他方で、ガイド部材が長孔の内側面に当接していない場合、ブレードが受ける摺動抵抗が抑制される一方で、ガイド部材と長孔の内側面との間隔が大きくなるためブレードの往復運動による振動が発生する。本明細書では、ブレードが受ける摺動抵抗を抑制しつつ、ブレードの往復運動により発生する振動を抑制することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、園芸用トリマを開示する。園芸用トリマは、ハウジングと、ハウジングの内部に配置されている原動機と、ハウジングから延びているガイドバーと、原動機の回転運動を第1方向に関する直線運動に変換する変換機構と、変換機構の直線運動を受けてガイドバーに対して第1方向に相対的に往復運動し、第1方向に沿って延びる複数の長孔を有するブレードと、ブレードの複数の長孔のそれぞれに配置されており、ブレードの相対的な往復運動をガイドする複数のガイド部材と、を備えている。複数の長孔は、複数のガイド部材のうち、ハウジングに連結されるものに対応する少なくとも1つの第1長孔と、複数のガイド部材のうち、ガイドバーに連結されるものに対応する少なくとも1つの第2長孔と、を備えている。長孔とガイド部材との組み合わせは、ブレードの往復運動の摺動抵抗を抑制する第1の組み合わせと、ブレードの往復運動による振動を抑制する第2の組み合わせと、を備えている。第1長孔とガイド部材との組み合わせの少なくとも1つは、第2の組み合わせである。
【0006】
変換機構が原動機の回転運動を直線運動に変換すると、原動機のシャフトと第1方向に直交する方向の振動がブレードに伝わる。このため、ハウジングに連結されるものに対応する第1長孔とガイド部材との組み合わせが第1の組み合わせである場合、ブレードの振動を十分に抑制できない。上記の構成では、第1長孔とガイド部材との組み合わせの少なくとも1つが第2の組み合わせであるので、ブレードの振動を抑制することができる。さらに、長孔とガイド部材との組み合わせは、第1の組み合わせを備えているので、ブレードの往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施例の園芸用トリマ2の斜視図である。
【
図2】第1実施例の園芸用トリマ2の断面図である。
【
図3】第1実施例の一対のブレード16、18の構造を示す分解図である。
【
図4】第1実施例の長孔56と第1ガイド部材72とを示す上面図である。
【
図5】第1実施例の長孔56と第2ガイド部材74とを示す上面図である。
【
図6】各仕様における園芸用トリマ2の振動特性を示す図である。
【
図7】第2実施例の第3長孔158と第1ガイド部材72とを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された園芸用トリマを提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブレードのハウジング側の端部の最も近くに配置されている第1長孔とガイド部材との組み合わせは、第2の組み合わせであってもよい。
【0012】
変換機構からブレードに伝わる原動機のシャフトと第1方向に直交する方向の振動が変換機構から近い位置で抑制されるほど、ブレード全体としての振動が抑制される。上記の構成では、ブレードのハウジング側の端部の最も近くに配置されている第1長孔は、変換機構に最も近い位置に配置されている。また、ブレードのハウジング側の端部の最も近くに配置されている第1長孔とガイド部材との組み合わせが第2の組み合わせである。これにより、ブレードの往復運動によるブレードの振動をさらに抑制することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第2長孔とガイド部材との組み合わせは、第2の組み合わせを備えていてもよい。
【0014】
上記の構成では、第1長孔とガイド部材との組合せが第2の組み合わせを備えているとともに、第2長孔とガイド部材との組み合わせが第2の組み合わせを備えている。これにより、ブレードの往復運動によるブレードの振動を抑制することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、複数のガイド部材は、ブレードの往復運動の摺動抵抗を抑制する第1ガイド部材と、ブレードの往復運動による振動を抑制する第2ガイド部材と、を備えていてもよい。第1の組み合わせを構成するガイド部材は、第1ガイド部材であり、第2の組み合わせを構成するガイド部材は、第2ガイド部材であってもよい。
【0016】
上記の構成では、ガイド部材の構成を変更することにより、ブレードの往復運動によるブレードの振動を抑制しつつ、ブレードの往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1ガイド部材は、円形断面形状を有しており、第2ガイド部材は、多角形断面形状を有していてもよい。
【0018】
上記の構成では、ガイド部材の形状を変更することにより、ブレードの往復運動によるブレードの振動を抑制しつつ、ブレードの往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、長孔は、第1方向に延びる第1内側面と、第1方向に延びており、第1内側面に対向する第2内側面と、を有していてもよい。第1の組み合わせに関して、ガイド部材と第1内側面との間隔、およびガイド部材と第2内側面との間隔の合計値は、第1の間隔であってもよい。第2の組み合わせに関して、ガイド部材と第1内側面との間隔、およびガイド部材と第2内側面との間隔の合計値は、第1の間隔よりも小さい第2の間隔であってもよい。
【0020】
上記の構成では、第1の組み合わせを構成する長孔とガイド部材に関する第1の間隔、および、第2の組み合わせを構成する長孔とガイド部材に関する第2の間隔を調整することにより、ブレードの往復運動によるブレードの振動を抑制しつつ、ブレードの往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、原動機は、電動モータであってもよい。
【0022】
原動機がエンジンである場合には、通常、エンジン自体の振動が他の振動の要因よりも大きい。このため、作業者が体感する振動は、エンジン自体の振動の大きさにより決まる。これにより、変換機構からブレードに伝わる振動を抑制しても、作業者が体感する振動を抑制し難い場合が多い。一方、原動機がエンジンと比較して振動が小さい電動モータである場合には、変換機構からブレードに伝わる振動が振動の主要因となる。このため、作業者が体感する振動は、変換機構からブレードに伝わる振動の大きさにより決まる。上記の構成では、変換機構からブレードに伝わる振動を抑制することにより、ブレードの振動を十分に抑制することができ、作業者が体感する振動を十分に抑制することができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、園芸用トリマは、ハウジングに着脱可能であって、電動モータに電力を供給する充電可能なバッテリパックをさらに備えていてもよい。
【0024】
上記の構成では、園芸用トリマに電源コードを設ける必要がなく、園芸用トリマの取り回しを良くすることができる。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、園芸用トリマは、ハウジングに設けられており、作業者により把持されるグリップをさらに備えていてもよい。
【0026】
上記の構成では、園芸用トリマの取り回しを良くすることができる。
【0027】
(第1実施例)
図1から
図6を参照して、実施例の園芸用トリマ2を説明する。園芸用トリマ2は、主に生垣や植木の剪定に用いられる園芸工具であり、ヘッジトリマとも称される。
図1から
図3に示すように、園芸用トリマ2は、本体10と、変換機構12と、ガイドバー14と、第1ブレード16と第2ブレード18を備えている一対のブレード16、18と、を備えている。なお、以下では、園芸用トリマ2を地面等の載置面Pに載置した状態において、載置面Pに直交する方向を上下方向と呼び、一対のブレード16、18を載置面Pに投影したときの長手方向を前後方向と呼び、上下方向および前後方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0028】
図2に示すように、本体10は、ハウジング22と、原動機24と、を備えている。ハウジング22は、バッテリパックBPが着脱可能に構成されている。即ち、園芸用トリマ2は、バッテリパックBPを電源とするコードレス型の電動工具である。なお、変形例では、園芸用トリマ2は、電源コードを介して外部電源に接続される構成であってもよい。
【0029】
図1に示すように、ハウジング22には、前側グリップ28と後側グリップ30とが設けられている。前側グリップ28は、ハウジング22の前部に位置しており、後側グリップ30は、ハウジング22の後部に位置している。前側グリップ28は、作業者の一方の手で把持され、後側グリップ30は、作業者の他方の手で把持される。これにより、作業者は、園芸用トリマ2を安定して持つことができる。
【0030】
後側グリップ30には、トリガ32とアンロックレバー34とが設けられている。作業者によりアンロックレバー34が押し込まれていない場合、トリガ32が機械的にロックされており、作業者はトリガ32を押し込むことができない。これにより、トリガ32の誤操作を抑制することができる。一方、作業者によりアンロックレバー34が押し込まれている場合、トリガ32の機械的なロックが解除され、作業者はトリガ32を押し込むことができる。
【0031】
ガイドバー14は、ハウジング22の前部に固定されている。ガイドバー14は、前後方向に沿って延びている細板形状を有する。ガイドバー14は、一対のブレード16、18を支持している。
【0032】
図2に示すように、原動機24は、ハウジング22の内部に配置されている。原動機24は、例えば、電動モータである。なお、変形例では、原動機24は、エンジンであってもよい。原動機24は、アンロックレバー34が押し込まれた状態でトリガ32が押し込まれるときに駆動する。
【0033】
変換機構12は、コンロッド方式の変換機構である。変換機構12は、クランクカム38と、第1コネクティングロッド40と、第2コネクティングロッド42と、を備えている。クランクカム38は、上下方向に延びる原動機24のシャフトが回転運動することにより回転する。第1コネクティングロッド40と第2コネクティングロッド42は、クランクカム38に連結している。また、第1コネクティングロッド40は、第1ブレード16に連結されており、第2コネクティングロッド42は、第2ブレード18に連結されている。第1コネクティングロッド40は、クランクカム38の回転運動を第1ブレード16の前後方向の往復運動に変換する。また、第2コネクティングロッド42は、クランクカム38の回転運動を第2ブレード18の前後方向の往復運動に変換する。
【0034】
第1ブレード16と第2ブレード18は、ガイドバー14と上下方向に重なっている。また、第1ブレード16と第2ブレード18は、上下方向に重なっている。第1ブレード16と第2ブレード18は、前後方向に延びている。
【0035】
図3に示すように、第1ブレード16は、第1部分46と、第2部分48と、を備えている。第1部分46は、第1コネクティングロッド40に連結されている。上下方向に関して、第1部分46は、ハウジング22と部分的に重なっている。第2部分48は、第1部分46の前側に配置されている。第2部分48には、前後方向に沿って並んでいる複数の刃先16aが設けられている。
【0036】
第2ブレード18は、第1部分50と、第2部分52と、を備えている。第1部分50は、第2コネクティングロッド42に連結されている。上下方向に関して、第2ブレード18の第1部分50は、第1ブレード16の第1部分46と重なり合う。第2部分52には、前後方向に沿って並んでいる複数の刃先18aが設けられている。上下方向に関して、第2ブレード18の第2部分52は、第1ブレード16の第2部分48と重なり合う。園芸用トリマ2では、作業者がトリガ32を押し込むと、原動機24が駆動して、第2ブレード18が第1ブレード16と逆位相で往復運動する。これにより、第1ブレード16の刃先16aと第2ブレード18の刃先18aが繰り返し交差して、例えば、生垣の枝葉が切断される。
【0037】
第1ブレード16と第2ブレード18のそれぞれは、複数(本実施例では8つ)の長孔56を有する。第1ブレード16の複数の長孔56は、第2ブレード18の複数の長孔56と同様の構成を有するため、以下では第1ブレード16の複数の長孔56を説明する。
【0038】
複数の長孔56は、前後方向に並んで配置されている。複数の長孔56のそれぞれは、前後方向に延びている。複数の長孔56のそれぞれは、第1ブレード16を厚み方向(本実施例では上下方向)に貫通している。以下では、複数の長孔56は、第1ブレード16のハウジング22側に位置する後端部側から順番に、長孔56a、56b、56c、56d、56e、56f、56g、56hと呼ばれることがある。長孔56aは、原動機24に最も近い位置に配置されており、長孔56hは、原動機24から最も離れた位置に配置されている。
【0039】
複数の長孔56は、少なくとも1つ(本実施例では2つ)の第1長孔58と、少なくとも1つ(本実施例では6つ)の第2長孔60と、を備えている。第1長孔58は、第1部分46に配置されており、第2長孔60は、第2部分48に配置されている。
図4および
図5に示すように、第1長孔58は、第1内側面58aと、第2内側面58bと、を有する。第1内側面58aと第2内側面58bとは、互いに対向している。第1内側面58aと第2内側面58bとは、前後方向に延びている。
【0040】
第2長孔60は、第1長孔58と同様の構成を有する。即ち、第2長孔60は、第1内側面60aと、第2内側面60bと、を有する。第1内側面60aと第2内側面60bとは、互いに対向している。第1内側面60aと第2内側面60bとは、前後方向に延びている。
【0041】
図3に示すように、園芸用トリマ2は、複数(本実施例では8つ)のガイド部材70を備えている。ガイド部材70は、第1ブレード16と第2ブレード18の前後方向の往復運動をガイドする。一部(本実施例では2つ)のガイド部材70は、上下方向に重なり合う第1ブレード16の第1長孔58と第2ブレード18の第1長孔58に配置されている。
図2に示すように、一部のガイド部材70は、第1ボルト80により、ガイドバー14とハウジング22の前部に連結されている。第1ブレード16の第1長孔58と第2ブレード18の第1長孔58は、ハウジング22に連結されるガイド部材70に対応している。また、
図3に示すように、残り(本実施例では6つ)のガイド部材70は、上下方向に重なり合う第1ブレード16の第2長孔60と第2ブレード18の第2長孔60に配置されている。残りのガイド部材70は、第2ボルト82とナット86により、ガイドバー14にのみ連結されている。第1ブレード16の第2長孔60と第2ブレード18の第2長孔60は、ガイドバー14に連結されるガイド部材70に対応している。
【0042】
図4および
図5に示すように、ガイド部材70は、第1ガイド部材72と、第2ガイド部材74と、を備えている。
図4に示すように、第1ガイド部材72は、丸形断面形状を有する。第1ガイド部材72の外周面の直径は、第1長孔58の第1内側面58aと第2内側面58bとの距離L1、および第2長孔60の第1内側面60aと第2内側面60bとの距離L1よりも小さい。即ち、第1内側面58a、60aと第1ガイド部材72の間隔W1と第2内側面58b、60bと第1ガイド部材72の間隔W2の合計値は、ゼロよりも大きい。間隔W1と間隔W2の合計値は、例えば、0.3mm以下である。
【0043】
図5に示すように、第2ガイド部材74は、多角形断面形状を有し、本実施例では、四角形状を有する。第2ガイド部材74は、第1外側面74aと、第2外側面74bと、を有する。第1外側面74aは、第1長孔58の第1内側面58aまたは第2長孔60の第1内側面60aに対向している。第2外側面74bは、第1長孔58の第2内側面58bまたは第2長孔60の第2内側面60bに対向している。第2ガイド部材74がボルト80、82により固定されると、第2ガイド部材74は、前後方向に対して傾いた姿勢で固定されることがある。これにより、第1外側面74aは、第1長孔58の第1内側面58aまたは第2長孔60の第1内側面60aに当接し、第2外側面74bは、第1長孔58の第2内側面58bまたは第2長孔60の第2内側面60bに当接する。
【0044】
図4および
図5に示すように、長孔56とガイド部材70との組み合わせは、第1の組み合わせ90と、第2の組み合わせ92と、を備えている。
図4に示すように、第1の組み合わせ90は、長孔56(第1長孔58または第2長孔60)と第1ガイド部材72から構成される。上述したように、第1ガイド部材72が長孔56に配置される場合、間隔W1と間隔W2との合計値がゼロよりも大きい。これにより、一対のブレード16、18が前後方向に相対的に往復運動しても、第1ガイド部材72が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接し難く、一対のブレード16、18の摺動抵抗は抑制される。一方で、一対のブレード16、18が前後方向に相対的に往復運動すると、一対のブレード16、18が左右方向に移動し易く、一対のブレード16、18の左右方向の振動が抑制され難い。
【0045】
また、
図5に示すように、第2の組み合わせ92は、長孔56(第1長孔58または第2長孔60)と第2ガイド部材74から構成される。上述したように、第2ガイド部材74が長孔56に配置される場合、第2ガイド部材74が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接する。これにより、一対のブレード16、18が前後方向に相対的に往復運動しても、一対のブレード16、18が左右方向に移動し難く、一対のブレード16、18の左右方向の振動が抑制される。一方で、第2ガイド部材74が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接した状態で一対のブレード16、18が前後方向に相対運動するため、一対のブレード16、18の摺動抵抗が抑制され難い。
【0046】
図3に示されるように、本実施例では、一対のブレード16、18の後端部に最も近い位置にある長孔56aと、一対のブレード16、18の後端部から最も離れた位置にある長孔56hには、第2ガイド部材74が配置されている。また、長孔56a、56hの間の位置にある長孔56b、56c、56d、56e、56f、56gには、第1ガイド部材72が配置されている。即ち、第2の組み合わせ92は、長孔56a、56hに対応して配置されており、第1の組み合わせ90は、長孔56b、56c、56d、56e、56f、56gに対応して配置されている。以下では、本実施例の第1の組み合わせ90と第2の組み合わせ92の配置を仕様1と呼ぶ。
【0047】
一対のブレード16、18の振動特性と摺動抵抗について、本実施例の仕様1の園芸用トリマ2と比較例の仕様5、6、7の園芸用トリマとを比較した結果が、
図6に示されている。比較例の仕様5の園芸用トリマでは、一対のブレード16、18のすべての長孔56a、56b、56c、56d、56e、56f、56g、56hに第2ガイド部材74が配置されている。これにより、仕様5の園芸用トリマでは、8つの第2ガイド部材74が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接することから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動が抑制されている。しかしながら、仕様5の園芸用トリマでは、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗が高くなる。また、比較例の仕様6の園芸用トリマでは、一対のブレード16、18のすべての長孔56a、56b、56c、56d、56e、56f、56g、56hに第1ガイド部材72が配置されている。これにより、仕様6の園芸用トリマでは、8つの第1ガイド部材72が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接し難いことから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗が低い。しかしながら、仕様6の園芸用トリマでは、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動が大きい。さらに、比較例の仕様7の園芸用トリマでは、一対のブレード16、18の第1長孔58に第1ガイド部材72が配置されており、第2長孔60に第2ガイド部材74が配置されている。仕様7の園芸用トリマでは、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗は、仕様5の園芸用トリマよりも低く、仕様6の園芸用トリマよりも高い。また、仕様7の園芸用トリマでは、原動機24に近い位置に配置されている第1長孔58において、第1ガイド部材72が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接し難いことから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動は、仕様6の園芸用トリマと同程度に大きい。これらに対して、本実施例の仕様1の園芸用トリマ2では、原動機24に最も近い位置に配置されている長孔56aと原動機24から最も離れた位置に配置されている長孔56hの2箇所において、第2ガイド部材74が長孔56a、56hの第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接する。これにより、第1ガイド部材72が長孔56b、56c、56d、56e、56f、56gに配置されている場合であっても、仕様1の園芸用トリマ2では、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動が、仕様5の園芸用トリマと同程度に抑制されている。さらに、仕様1の園芸用トリマ2では、6つの第1ガイド部材72が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接し難いことから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗は、仕様6の園芸用トリマよりも高いものの、仕様5と仕様7の園芸用トリマよりも低くなる。
【0048】
本実施例では、園芸用トリマ2は、ハウジング22と、ハウジング22の内部に配置されている原動機24と、ハウジング22から延びているガイドバー14と、原動機24の回転運動を第1方向(即ち前後方向)に関する直線運動に変換する変換機構12と、変換機構12の直線運動を受けてガイドバー14に対して前後方向に相対的に往復運動し、前後方向に沿って延びる複数の長孔56を有するブレード16、18と、ブレード16、18の複数の長孔56のそれぞれに配置されており、ブレード16、18の相対的な往復運動をガイドする複数のガイド部材70と、を備えている。複数の長孔56は、複数のガイド部材70のうち、ハウジング22に連結されるものに対応する少なくとも1つの第1長孔58と、複数のガイド部材70のうち、ガイドバー14に連結されるものに対応する少なくとも1つの第2長孔60と、を備えている。長孔56とガイド部材70との組み合わせは、ブレード16、18の往復運動の摺動抵抗を抑制する第1の組み合わせ90と、ブレード16、18の往復運動による振動を抑制する第2の組み合わせ92と、を備えている。第1長孔58とガイド部材70との組み合わせの少なくとも1つは、第2の組み合わせ92である。この構成では、変換機構12が原動機24のシャフトと前後方向に直交する左右方向の振動がブレード16、18に伝わる。このため、ハウジング22に連結されるものに対応する第1長孔58とガイド部材70との組合せが第1の組み合わせ90である場合、ブレード16、18の左右方向の振動を十分に抑制することができない。上記の構成では、第1長孔58とガイド部材70との組合せの少なくとも1つが第2の組み合わせ92であるので、ブレード16、18の左右方向の振動を抑制することができる。さらに、長孔56とガイド部材70との組合せは、第1の組み合わせ90を備えているので、ブレード16、18の往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【0049】
また、ブレード16、18のハウジング22側の端部の最も近くに配置されている第1長孔58とガイド部材70との組み合わせは、第2の組み合わせ92である。変換機構12からブレード16、18に伝わる左右方向の振動が変換機構12に近い位置で抑制されるほど、ブレード16、18の全体としての左右方向の振動が抑制される。上記の構成では、ブレード16、18のハウジング22側の端部の最も近くに配置されている第1長孔58(即ち長孔56a)は、変換機構12に最も近い位置に配置されている。また、長孔56aとガイド部材70との組合せが第2の組み合わせ92である。これにより、ブレード16、18の往復運動によるブレード16、18の振動をさらに抑制することができる。
【0050】
また、第2長孔60とガイド部材70との組み合わせは、第2の組み合わせ92を備えている。上記の構成では、第1長孔58とガイド部材70との組み合わせが第2の組み合わせ92を備えているとともに、第2長孔60とガイド部材70との組み合わせが第2の組み合わせ92を備えている。これにより、ブレード16、18の往復運動によるブレード16、18の振動を抑制することができる。
【0051】
また、複数のガイド部材70は、ブレード16、18の往復運動の摺動抵抗を抑制する第1ガイド部材72と、ブレード16、18の往復運動による振動を抑制する第2ガイド部材74と、を備えている。第1の組み合わせ90を構成するガイド部材70は、第1ガイド部材72であり、第2の組み合わせ92を構成するガイド部材70は、第2ガイド部材74である。上記の構成では、ガイド部材70の構成を変更することにより、ブレード16、18の左右方向の振動を抑制しつつ、ブレード16、18の往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【0052】
また、第1ガイド部材72は、円形断面形状を有しており、第2ガイド部材74は、多角形断面形状を有している。上記の構成では、ガイド部材70の形状を変更することにより、ブレード16、18の左右方向の振動を抑制しつつ、ブレード16、18の往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【0053】
また、原動機24は、電動モータである。ここで、原動機24がエンジンである場合には、通常、エンジン自体の振動が他の振動の要因よりも大きい。このため、作業者が体感する振動は、エンジン自体の振動の大きさにより決まる。これにより、変換機構12からブレード16、18に伝わる振動を抑制しても、作業者が体感する振動を抑制し難い場合が多い。一方、原動機24がエンジンと比較して振動が小さい電動モータである場合には、変換機構12からブレード16、18に伝わる振動が振動の主要因となる。このため、作業者が体感する振動は、変換機構12からブレード16、18に伝わる振動の大きさにより決まる。上記の構成では、変換機構12からブレード16、18に伝わる振動を抑制することにより、ブレード16、18の振動を十分に抑制することができ、作業者が体感する振動を十分に抑制することができる。
【0054】
また、園芸用トリマ2は、ハウジング22に着脱可能であって、電動モータに電力を供給する充電可能なバッテリパックBPをさらに備えている。この構成では、園芸用トリマ2に電源コードを設ける必要がなく、園芸用トリマ2の取り回しを良くすることができる。
【0055】
また、園芸用トリマ2は、ハウジング22に設けられており、作業者により把持されるグリップ28、30をさらに備えている。この構成では、園芸用トリマ2の取り回しを良くすることができる。
【0056】
(第1実施例の第1変形例)
第1実施例の第1変形例では、第1の組み合わせ90と第2の組み合わせ92の配置が、第1実施例と異なる。第1実施例の第1変形例では、一対のブレード16、18の先端部に最も近い位置にある長孔56hに、第2ガイド部材74でなく第1ガイド部材72が配置されている。以下では、第1実施例の第1変形例の園芸用トリマ2を仕様2と呼ぶ。
【0057】
仕様2の園芸用トリマ2では、原動機24に最も近い位置に配置されている長孔56aにおいて、第2ガイド部材74が長孔56aの第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接する。これにより、
図6に示すように、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動は、第1実施例の仕様1の園芸用トリマ2と同程度に抑制されている。また、7つの第1ガイド部材72が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接し難いことから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗は、比較例の仕様6の園芸用トリマよりも高いものの、仕様1の園芸用トリマ2と同程度となる。
【0058】
(第1実施例の第2変形例)
第1実施例の第2変形例では、第1の組み合わせ90と第2の組み合わせ92の配置が、第1実施例と異なる。第1実施例の第2変形例では、すべての第1長孔58に、第2ガイド部材74が配置されており、すべての第2長孔60に、第1ガイド部材72が配置されている。以下では、第1実施例の第2変形例の園芸用トリマ2を仕様3と呼ぶ。
【0059】
図6に示すように、仕様3の園芸用トリマ2では、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動は、第1実施例の仕様1の園芸用トリマ2と同程度に抑制されている。また、7つの第1ガイド部材72が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接し難いことから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗は、比較例の仕様6の園芸用トリマよりも高いものの、仕様1の園芸用トリマ2と同程度となる。
【0060】
(第1実施例の第3変形例)
第1実施例の第3変形例では、第1の組み合わせ90と第2の組み合わせ92の配置が、第1実施例と異なる。第1実施例の第3変形例では、長孔56b(第1長孔58)に、第2ガイド部材74が配置されており、長孔56a(第1長孔58)と、長孔56c、56d、56e、56f、56g、56h(第2長孔60)に、第1ガイド部材72が配置されている。以下では、第1実施例の第3変形例の園芸用トリマ2を仕様4と呼ぶ。
【0061】
仕様4の園芸用トリマ2では、原動機24に最も近い位置に配置されている長孔56aに、第1ガイド部材72が配置されているものの、長孔56aに隣接して配置されている長孔56bに、第2ガイド部材74が配置されている。これにより、
図6に示すように、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動は、第1実施例の仕様1の園芸用トリマ2よりも高いものの、比較例の仕様6と仕様7の園芸用トリマよりも低くなる。また、7つの第1ガイド部材72が長孔56の第1内側面58a、60aと第2内側面58b、60bに当接し難いことから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗は、比較例の仕様6の園芸用トリマよりも高いものの、仕様1の園芸用トリマ2と同程度となる。
【0062】
(第2実施例)
図7を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、ガイド部材70は、第1ガイド部材72のみ備えており、第2ガイド部材74を備えていない。また、第1ブレード16と第2ブレード18のそれぞれは、第1実施例と同様の構成である長孔56に加えて、
図7に示す第3長孔158を備えている。第3長孔158の第1内側面158aと第2内側面158bとの距離L2は、長孔56の第1内側面58aと第2内側面58bとの距離L1よりも小さい。これにより、第3長孔158の第1内側面158aと第1ガイド部材72との間隔W3と第3長孔158の第2内側面158bと第1ガイド部材72との間隔W4との合計値は、長孔56の第1内側面58a、60aと第1ガイド部材72の間隔W1と長孔56の第2内側面58b、60bと第1ガイド部材72の間隔W2との合計値よりも小さい。本実施例では、間隔W3と間隔W4の合計値は、0.2mm以下である。
【0063】
第2実施例では、長孔56、158とガイド部材70との組み合わせは、長孔56と第1ガイド部材72から成る第1の組み合わせ90と、第3長孔158と第1ガイド部材72から成る第2の組み合わせ192と、を備えている。第2実施例の第1の組み合わせ90の配置は、第1実施例の第1の組み合わせ90の配置と同様であり、第2実施例の第2の組み合わせ192の配置は、第1実施例の第2の組み合わせ92の配置と同様である。第2の組み合わせ192における間隔W3と間隔W4との合計値が、第1の組み合わせ90における間隔W1と間隔W2との合計値よりも小さいことから、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の左右方向の振動は、第1の組み合わせ90よりも抑制される。一方、一対のブレード16、18の相対的な往復運動による一対のブレード16、18の摺動抵抗は、第1の組み合わせ90よりも高くなる。
【0064】
本実施例では、長孔56、158は、前後方向に延びる第1内側面58a、60a、158aと、前後方向に延びており、第1内側面58a、60a、158aに対向する第2内側面58b、60b、158bと、を有している。第1の組み合わせ90に関して、第1ガイド部材72と第1内側面58a、60aとの間隔W1、および第1ガイド部材72と第2内側面58b、60bとの間隔W2の合計値は、第1の間隔である。第2の組み合わせ192に関して、第1ガイド部材72と第1内側面158aとの間隔W3、および第1ガイド部材72と第2内側面158bとの間隔W4の合計値は、第1の間隔よりも小さい第2の間隔である。この構成では、第1の組み合わせ90を構成する長孔56と第1ガイド部材72に関する第1の間隔(即ち間隔W1と間隔W2の合計値)、および第2の組み合わせ192を構成する第3長孔158と第1ガイド部材72に関する第2の間隔(即ち間隔W3と間隔W4の合計値)を調整することにより、ブレード16、18の往復運動によるブレード16、18の振動を抑制しつつ、ブレード16、18の往復運動の摺動抵抗を抑制することができる。
【0065】
一実施形態において、第1ブレード16と第2ブレード18の一方のみが、往復運動してもよい。この場合、第1ブレード16と第2ブレード18の他方は、ガイドバー14に不動に取り付けられていてもよい。また、ガイドバー14自体が第1ブレード16と第2ブレード18の他方を構成していてもよい。
【0066】
一実施形態において、第2ガイド部材74が長孔56hに配置されているか否かによらず、他の第2ガイド部材74は、他の第2長孔60(長孔56c、56d、56e、56f、56g)に配置されていてもよい。また、第2の組み合わせ192が長孔56hに対応して配置されているか否かによらず、他の第2の組み合わせ192は、他の第2長孔60(長孔56c、56d、56e、56f、56g)に対応して配置されていてもよい。
【0067】
一実施形態において、変換機構12は、カムクランク方式の変換機構であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
2 :園芸用トリマ
10 :本体
12 :変換機構
14 :ガイドバー
16 :第1ブレード
16a、18a:刃先
18 :第2ブレード
22 :ハウジング
24 :原動機
38 :クランクカム
40 :第1コネクティングロッド
42 :第2コネクティングロッド
46、50:第1部分
48、52:第2部分
56、56a、56b、56c、56d、56e、56f、56g、56h:長孔
58 :第1長孔
58a、60a、158a:第1内側面
58b、60b、160b:第2内側面
60 :第2長孔
70 :ガイド部材
72 :第1ガイド部材
74 :第2ガイド部材
74a :第1外側面
74b :第2外側面
80 :第1ボルト
82 :第2ボルト
86 :ナット
90 :第1の組み合わせ
92、192:第2の組み合わせ
158 :第3長孔
BP :バッテリパック