(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ブラインド用巻取装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2020091688
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 陽一
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-45195(JP,U)
【文献】特開2019-210744(JP,A)
【文献】特開2005-30144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0029051(US,A1)
【文献】特開平6-101387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を開閉可能に支持した支持部材に配置したブラインド用巻取装置であって、
前記遮蔽材を開閉するためのコードの一端を連結した巻取ドラムと、
前記支持部材に固定し、前記巻取ドラムを回転自在に、かつ、前記巻取ドラムの軸方向に摺動自在に支持したドラム受けと、
前記ドラム受けに対して、前記巻取ドラムと共に摺動できるドラムカバーと、を備えている、ブラインド用巻取装置。
【請求項2】
前記ドラム受けは、その長手方向に沿って形成したガイド部を有し、
前記ドラムカバーは、前記ガイド部に沿って摺動できる摺動片を有している、請求項1記載のブラインド用巻取装置。
【請求項3】
前記巻取ドラムは、前記巻取ドラムに回転を伝動するためのシャフトを挿入できるドラム軸部を有し、
前記ドラムカバーは、前記ドラム軸部を係止できる係止片を有している、請求項1又は2記載のブラインド用巻取装置。
【請求項4】
前記摺動片は、前記ガイド部に係止できると共に、前記ガイド部から離脱することが防止できる爪部を有している、請求項2記載のブラインド用巻取装置。
【請求項5】
前記摺動片は、前記ドラムカバーの端部に形成し、
前記爪部は、前記摺動片の端部近傍に形成している、請求項4記載のブラインド用巻取装置。
【請求項6】
前記ドラムカバーは、前記ドラム受けに対して上下方向から着脱でき、
前記摺動片は、前記爪部が前記ガイド部に係止するときに前記ガイド部に当接できる当接部を形成している、請求項4又は5記載のブラインド用巻取装置。
【請求項7】
前記ドラムカバーは、前記巻取ドラムを外周方向から少なくとも一部を覆うと共に、前記巻取ドラムをその全長に亘り覆う、半円筒形状に形成している、請求項1から6のいずれかに記載のブラインド用巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインド用巻取装置に関する。特に、水平方向に配置された複数のスラットを吊り下げたブラインドにおいて、遮蔽材を開閉するためのコードを巻き取り可能なブラインド用巻取装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
水平方向に配置された複数のスラットを吊り下げたブラインドが知られている。このようなブラインドは、巻取ドラムに既に巻かれている昇降コードが巻取溝から外れ、昇降コード同士が重なることを防止したブラインド用巻取装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によるブラインド用巻取装置は、回転自在な円筒状の巻取ドラムと押さえ板を備えている。巻取ドラムは、外周面に形成した螺旋溝に昇降コードを巻き取り及び巻解きできる。又、巻取ドラムは、その回転量に対応して軸方向に移動するように構成されている。押さえ板は、巻取ドラムに巻き取られた昇降コードに、巻取ドラムの外周方向から接触して、昇降コードを巻取ドラムに押圧できる。押さえ板は、昇降コードの外径よりも幅広に形成されていると共に、弾力性をもって、昇降コードを押圧している。
【0005】
特許文献1によるブラインド用巻取装置は、巻取ドラムの巻取位置付近に巻き取られた昇降コードが、押さえ板で押圧されているので、昇降コードの張力が低減して弛んでも、昇降コードが巻取溝から外れ、昇降コード同士が重なることを防止できる、という効果がある。
【0006】
しかし、外周面に螺旋溝を形成していない巻取ドラムの場合は、昇降コード又は開閉コード等のコードを押さえ板で押圧しても、コードの張力が低減した状態が継続すると、巻取ドラムの外周面に巻き取りしたコードに徐々に弛みが生じてくる。
【0007】
特に、巻取ドラムに連結されているコードの部分が弛むと、巻取ドラムからコードの一部が脱落することで、円滑なコードの巻取動作を実現できない心配がある。
【0008】
巻取ドラムの外周面にコードを巻き取るブラインド用巻取装置であって、円滑なコードの巻取動作を実現できるブラインド用巻取装置が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、円滑なコードの巻取動作を実現できるブラインド用巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、ドラムカバーを巻取ドラムと共に摺動できるように巻取装置を構成することで、円滑なコードの巻取動作を実現できると考え、これに基づいて、以下のような新たなブラインド用巻取装置を発明するに至った。
【0011】
(1)本発明によるブラインド用巻取装置は、遮蔽材を開閉可能に支持した支持部材に配置したブラインド用巻取装置であって、前記遮蔽材を開閉するためのコードの一端を連結した巻取ドラムと、前記支持部材に固定し、前記巻取ドラムを回転自在に、かつ、前記巻取ドラムの軸方向に摺動自在に支持したドラム受けと、前記ドラム受けに対して、前記巻取ドラムと共に摺動できるドラムカバーと、を備えている。
【0012】
(2)前記ドラム受けは、その長手方向に沿って形成したガイド部を有し、前記ドラムカバーは、前記ガイド部に沿って摺動できる摺動片を有していることが好ましい。
【0013】
(3)前記巻取ドラムは、前記巻取ドラムに回転を伝動するためのシャフトを挿入できるドラム軸部を有し、前記ドラムカバーは、前記ドラム軸部を係止できる係止片を有している前記ヘッドボックスは、前記ワイヤ連結部が前記ヘッドボックスの挿通孔から脱落することを防止できる脱落防止部材を更に備えていることが好ましい。
【0014】
(4)前記摺動片は、前記ガイド部に係止できると共に、前記ガイド部から離脱することが防止できる爪部を有していることが好ましい。
【0015】
(5)前記摺動片は、前記ドラムカバーの端部に形成し、前記爪部は、前記摺動片の端部近傍に形成していることが好ましい。
【0016】
(6)前記ドラムカバーは、前記ドラム受けに対して上下方向から着脱でき、前記摺動片は、前記爪部が前記ガイド部に係止するときに前記ガイド部に当接できる当接部を形成していることが好ましい。
【0017】
(7)前記ドラムカバーは、前記巻取ドラムを外周方向から少なくとも一部を覆うと共に、前記巻取ドラムをその全長に亘り覆う、半円筒形状に形成していることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるブラインド用巻取装置は、ドラムカバーを巻取ドラムと共に摺動できるように構成することで、巻取ドラムの外周に既に巻かれているコードもドラムカバーによって弛みを防止でき、コードの円滑な巻取動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態によるブラインドの全体構成を示す正面図である。
【
図2】前記実施形態によるブラインドの要部を拡大した正面図である。
【
図3】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の構成を示す正面図であり、
図3(A)は、巻取ドラムに巻き取った昇降コードの巻取量が少ない状態図、
図3(B)は、昇降コードを巻取ドラムに巻き取って、巻取ドラムが軸方向に移動した状態図である。
【
図4】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の構成を示す縦断面図であり、
図4(A)は、巻取ドラムに巻き取った昇降コードの巻取量が少ない状態図、
図4(B)は、昇降コードを巻取ドラムに巻き取って、巻取ドラムが軸方向に移動した状態図である。
【
図5】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の構成を示す横断面図であり、
図5(A)は、
図4(A)のA-A矢視断面図、
図5(B)は、
図4(A)のB-B矢視断面図、
図5(C)は、
図4(A)のC-C矢視断面図である。
【
図6】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の構成を示す斜視図であり、
図6(A)は、ドラムカバーをドラム受けに組み立てる前の状態図、
図6(B)は、ドラムカバーをドラム受けに組み立てた状態図である。
【
図7】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の動作を示す斜視図であり、
図7(A)は、ドラム受けに対して巻取ドラム及びドラムカバーが一方の方向に移動する前の状態図、
図7(B)は、ドラム受けに対して巻取ドラム及びドラムカバーが一方の方向に移動した状態図である。
【
図8】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の組立手順を示す縦断面図であり、
図8(A)は、ドラム受けに形成したガイド部に向かって、ドラムカバーに形成した摺動片を近づけている状態図、
図8(B)は、摺動片に形成した傾斜面をガイド部の上面に当接した状態図、
図8(C)は、
図8(B)に示した状態から、摺動片に形成した当接部を支点にドラムカバーを時計方向に回動した後に、摺動片に形成した水平面をガイド部の上面に当接した状態図である。
【
図9】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の組立手順を示す図であり、
図9(A)は、
図8(A)の右側面部分断面図、
図9(B)は、
図8(B)の右側面部分断面図、
図9(C)は、
図8(C)の右側面部分断面図である。
【
図10】前記実施形態によるブラインドに備わるブラインド用巻取装置の構成を示す図であり、
図10(A)は、ブラインド用巻取装置を構成するドラムカバーの正面部分断面図、
図10(B)は、ブラインド用巻取装置を構成するドラムカバーの右側面部分断面図であり、いずれも巻取ドラムを想像線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0021】
(ブラインドの構成)
最初に、本発明の一実施形態によるブラインドの全体構成を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1又は
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるブラインドBdは、水平方向に延在した支持部材となるヘッドボックスBhを上部に取り付けている。ヘッドボックスBhは、コードとなる一対の昇降コードCr・Crを介して、昇降ボックスBgを吊り下げ支持している。昇降ボックスBgは、複数のラダーコードCeを介して、遮蔽材となる複数のスラットStを吊り下げ支持している。
【0023】
図1又は
図2を参照して、図示しないブラケットを用いて、ヘッドボックスBhを二点以上支持すると共に、これらのブラケットを窓枠の上面、天井、カーテンボックス又は外壁等の固定面に固定することで、ブラインドBdを窓等の室内側又は室外側に配置できる。
【0024】
図1を参照すると、ブラインドBdは、複数のスラットStの下方にボトムレールRbを配置している。昇降ボックスBgは、複数のラダーコードCeを介して、ボトムレールRbを吊り下げ支持している。
【0025】
又、
図1又は
図2を参照すると、ブラインドBdは、ラダーコードCeを昇降ボックスBgから垂下している。実施形態では、ラダーコードCeは、複数のスラットStの前後に配置される縦コードと、前後の縦コード同士を連結するように上下方向に所定間隔で設けられる複数の中段コードと、から構成され、各中段コードがスラットStを支持している。前後の縦コードの下端部はボトムレールRbに係留している。
【0026】
図1を参照すると、ヘッドボックスBhは、両軸式のモータMtを内部に配置している。モータMtの両端部に設けた出力軸は、シャフトである駆動軸Saに連結している。一組の駆動軸Sa・Saは、ヘッドボックスBhの長手方向に相反する向きに延在している。モータMtは、その出力軸が駆動軸Saに連結している。モータMtを駆動することで、駆動軸Saをその軸回りに回転できる。
【0027】
又、
図1を参照すると、ヘッドボックスBhは、制御ユニットUcとエンコーダEdを内部に配置している。制御ユニットUcは、外部からの指令信号により、モータMtの回転を制御している。エンコーダEdは、駆動軸Saに連結している。エンコーダEdが駆動軸Saに連結していることで、制御ユニットUcは、モータMtの回転数(駆動軸Saの回転角度)を制御できる。
【0028】
図1を参照すると、ヘッドボックスBhは、電源ユニットPsと駆動ユニットUdを内部に更に配置している。電源ユニットPsは、モータMtに電力を供給できる。駆動ユニットUdは、制御ユニットUcを電気的に駆動できる。
【0029】
図1を参照すると、ヘッドボックスBhは、一組の巻取装置10・10を略線対称に配置していると共に、一組の駆動軸Sa・Saを同軸上に配置している。
図2を参照して、巻取装置10を構成する巻取ドラム3には、駆動軸Saの回転が伝動される。巻取ドラム3には、昇降コードCrの一端部が接続されると共に、昇降コードCrの一端部側が巻き回されている。モータMtを駆動することで、巻取ドラム3が回転して昇降コードCrを巻き取り又は巻き解きして、昇降ボックスBgを昇降できる。
【0030】
又、モータMtを駆動することで、巻取ドラム3が回転して複数のスラットStを一斉に傾動でき、更に巻取ドラム3が回転を継続することで昇降ボックスBgを上昇又は下降させ、巻取ドラム3が回転を停止することで昇降ボックスBgの昇降を停止させることができる。
【0031】
このように、
図1又は
図2を参照すると、実施形態によるブラインドBdは、モータで開閉自在な電動式の横型ブラインドを開示している。
【0032】
図2を参照すると、昇降ボックスBgは、その内部の端部にプーリユニットUpを配置している。プーリユニットUpには、一端部が巻取ドラム3に接続された昇降コードCrの他端部側が巻き掛けされているが、昇降コードCrの他端部は、昇降ボックスBgから上方に導出され、ヘッドボックスBhの底部に係留されている。
【0033】
又、
図2を参照すると、プーリユニットUpには、昇降ボックスBgの長手方向に延びる回転軸Scが連結されている。回転軸Scの適所には、回転軸Scと所定の角度範囲で一体回転する複数の回転ドラムDrが連結している。回転ドラムDrには、ラダーコードCeの上端部が係留されている。回転ドラムDrの回転に連動して、複数のスラットSt及びボトムレールRbを一斉に傾動できる。
【0034】
図1の状態から、昇降ボックスBgを下降することで、ボトムレールRbがフロアFLに接触するまで複数のスラットSt及びボトムレールRbを下降でき、ボトムレールRbがフロアFLに接触した後更に昇降ボックスBgを下降することで、複数のスラットSt及びボトムレールRbの間隔を狭めて、複数のスラットStを更に下降できる。又、昇降ボックスBgが下降した状態から昇降ボックスBgを上昇することで、複数のスラットSt及びボトムレールRbの間隔を拡げて、複数のスラットStを上昇できる。フロアFLには、昇降ボックスBg、複数のスラットSt、及びボトムレールRbを収容する凹部(図示せず)を設けることができる。
【0035】
又、
図1を参照すると、ブラインドBdは、一対のガイドワイヤWg・Wgを備えている。一対のガイドワイヤWg・Wgは、昇降ボックスBg、複数のスラットSt、及びボトムレールRbの両端部に張設している。
図1又は
図2を参照すると、ガイドワイヤWgは、ヘッドボックスBhから垂下している。又、ガイドワイヤWgは、昇降ボックスBg、複数のスラットSt、及びボトムレールRbを挿通し、ボトムレールRbの下方のフロアFLに固定している。
【0036】
図1又は
図2を参照して、昇降ボックスBg、複数のスラットSt、及びボトムレールRbをガイドワイヤWgが貫通することで、ブラインドBdを円滑に開閉できる。
【0037】
[ブラインド用巻取装置の構成]
次に、本発明の一実施形態によるブラインド用巻取装置(以下、巻取装置と略称する)10の構成を説明する。なお、
図1を参照すると、一組の巻取装置10・10は、左右方向に線対称に配置されているので、左側に配置した巻取装置10を代表して、巻取装置10の構成を説明する。
【0038】
図1から
図7を参照すると、巻取装置10は、ドラム受け1、ドラムカバー2、及び、巻取ドラム3を備えている。巻取ドラム3は、昇降コードCrの一端を連結している。ドラム受け1は、台座1dを介して、ヘッドボックスBhの内部に固定している(
図2参照)。又、ドラム受け1は、巻取ドラム3を回転自在に、かつ、巻取ドラム3の軸方向に摺動自在に支持している(
図3又は
図4参照)。
【0039】
図2から
図7を参照すると、ドラムカバー2は、ドラム受け1に対して、巻取ドラム3と共に摺動できる。ドラムカバー2は、半円筒形状に形成している。ドラムカバー2は、巻取ドラム3を外周方向から少なくとも一部を覆っている(
図5参照)。又、ドラムカバー2は、巻取ドラム3をその全長に亘り覆っている(
図3又は
図4参照)。
【0040】
(巻取ドラムの構成)
次に、実施形態による巻取ドラム3の構成を説明する。
図2を参照すると、昇降ボックスBgから上方に導出した昇降コードCrは、ヘッドボックスBhに導かれ、一方のガイドローラRgに掛け渡され、水平方向に方向転換している。一方のガイドローラRgから導出した昇降コードCrは、他方のガイドローラRgに掛け渡され、鉛直方向に方向転換している。そして、昇降コードCrの一端側は、巻取ドラム3の外周に巻回されている。巻取ドラム3の外周には、螺旋溝を形成していない。
【0041】
図2を参照して、巻取ドラム3を一方の方向に回転して、昇降コードCrを巻き取ることで、昇降ボックスBgを上昇できる。巻取ドラム3を他方の方向に回転して、昇降コードCrを巻き解くことで、昇降ボックスBgを下降できる。なお、
図1を参照して、右側に配置した巻取ドラム3も左側に配置した巻取ドラム3同様に構成しており、一組の巻取ドラム3・3が連動して回転することで、昇降ボックスBgを昇降できる。
【0042】
図4を参照すると、巻取ドラム3は、円筒状のドラム本体31とドラム本体31の端部(
図4では左側の端部)に配置される円筒状のキャップ部材32aで構成している。キャップ部材32aは、ドラム本体31に嵌合している。ドラム本体31とキャップ部材32aは、一体となって回転できる。昇降コードCrは、ドラム本体31側からキャップ部材32aに向かって巻き回される。
【0043】
図4を参照すると、ドラム本体31は、一方の端部にフランジ31aと、フランジ31aの内径側に形成される空間内で延びるドラム軸部31bを形成している。ドラム軸部31bには、四角形の穴が貫通している(
図6(A)参照)。そして、四角棒からなる駆動軸Saがドラム軸部31bの穴に挿入されている。つまり、ドラム軸部31bと駆動軸Saは、相対回転不能に連結している。そして、駆動軸Saの回転を巻取ドラム3に伝動できる。
【0044】
図4を参照すると、キャップ部材32aは、ドラム本体31のドラム軸部31bと同軸の円筒状のキャップ軸部33aを有し、このキャップ軸部33aの内周に雌ねじ部Smを形成している。雌ねじ部Smは、後述する送りねじSbの外周に形成した雄ねじ部に螺合している。巻取ドラム3を回転すると、巻取ドラム3の回転運動を巻取ドラム3の軸方向の直線運動に変換できる。なお、ドラム軸部31bと駆動軸Saは、軸方向にスライド自在に連結している。
【0045】
図1又は
図2を参照して、駆動軸Saをその軸回りに一方の方向に回転すると、一組の巻取ドラム3・3がドラムカバー2と共に互いに近づく方向に移動する。一方、駆動軸Saをその軸回りに他方の方向に回転すると、一組の巻取ドラム3・3がドラムカバー2と共に互いに離反する方向に移動する。これらの動作を実現するため、一方のキャップ部材32aの雌ねじ部Smは、右ねじで形成し、他方のキャップ部材32bの雌ねじ部Smは、左ねじで形成している。つまり、一組の巻取ドラム3・3は、ドラム本体31が共通部品であるが、キャップ部材32aと他方のキャップ部材32bを異なる部品で構成している。
【0046】
(ドラム受けの構成)
次に、実施形態によるドラム受け1の構成を説明する。
図3から
図7を参照すると、ドラム受け1は、上面を開口した箱状に形成している。ドラム受け1は、その一方の側面が巻取ドラム3の外周に近接する部分円弧を形成している(
図6参照)。
【0047】
図4又は
図5及び
図7(B)を参照すると、ドラム受け1は、底部を横断する複数の補強リブを形成している。一部の補強リブは、巻取ドラム3の外周に近接する部分円弧から部分的に突出した軸受け部11bを有している(
図5(C)を参照)。軸受け部11bは、巻取ドラム3の外周に当接している。つまり、ドラム受け1は、軸受け部11bを介して、巻取ドラム3を回転自在に支持している。
【0048】
図3から
図5を参照すると、ドラム受け1は、その他方の側面に送りねじSbを固定している。送りねじSbの基端部は、他方の側面に開口した圧入穴11hに圧入されている(
図8参照)。送りねじSbは、ドラム受け1の内部に向かって延出している。送りねじSbは、ドラム受け1の底面と略平行に配置されている。又、送りねじSbは、駆動軸Saと同軸上に配置されている。
【0049】
図4を参照すると、送りねじSbは、キャップ部材32aのキャップ軸部33aの内周に形成した雌ねじ部Smに螺合している。送りねじSbは、巻取ドラム3を螺合自在に支持している。このように、巻取ドラム3は、送りねじSbと軸受け部11bで両端支持されている。又、送りねじSbは、巻取ドラム3への昇降コードCrの巻き取りピッチに対応して、雄ねじのピッチを形成している。これにより、昇降コードCrを巻取ドラム3の外周に確実に巻き取り及び巻き解きできる。
【0050】
図5から
図7を参照すると、ドラム受け1は、一対のガイド部11g・11gを上縁に形成している。一対のガイド部11g・11gは、ドラム受け1の長手方向に沿って形成している。一対のガイド部11g・11gは、鍔部を相反する向きに突出している(
図5参照)。ガイド部11gは、後述する摺動片21を案内する、いわゆる、ガイドレールである。
【0051】
図5から
図7を参照すると、ガイド部11gは、後述するドラムカバー2に形成した摺動片21を摺動自在に係止している。そして、ドラムカバー2は、ガイド部11gに沿って摺動できる。
【0052】
(ドラムカバーの構成)
次に、実施形態によるドラムカバー2の構成を説明する。
図6又は
図7を参照すると、ドラムカバー2は、Ω状に開口した係止片22を一方の端部に形成している。又、ドラムカバー2は、半円筒形状の内壁から突出する一対の爪部23を形成している。係止片22は、ドラム軸部31bを外周方向から導入できる。係止片22をドラム軸部31bに係止し、更に爪部23をフランジ31aに係止することで、巻取ドラム3の軸方向の移動に伴って、ドラムカバー2を移動できる。
【0053】
図5から
図7を参照すると、ドラムカバー2は、一対の摺動片21・21を他方の端部に形成している。一対の摺動片21・21は、相反する向きに形成している。一対の摺動片21がガイド部11gに係止することで、ドラム受け1に対してドラムカバー2を摺動自在に案内できる(
図6(B)参照)。一対の摺動片21・21は、ガイド部11gの上面に対向する面(下面)に、傾斜面212及び水平面211を形成している。傾斜面212は、ドラムカバー2の端部側に形成され、水平面211は傾斜面212に連続して形成される。
【0054】
又、
図5又は
図8及び
図9を参照すると、摺動片21は、爪部21nを摺動片21の端部近傍に形成している。一対の爪部21n・21nは、対向配置されている。一対の爪部21n・21nを離反する方向に拡げた後に、ドラムカバー2を弾性復帰することで、爪部21nをガイド部11gの底面側に導入できる。これにより、ドラムカバー2がガイド部11gから離脱することを防止できる。
【0055】
次に、ドラムカバー2の組立手順を説明しながら、ドラムカバー2の構成を補足する。最初に、
図8(A)又は
図9(A)を参照して、ドラム受け1に形成したガイド部11gに向かって、ドラムカバー2に形成した摺動片21を近づける。この場合、一対の爪部21n・21nを離反する方向に拡げておくことが好ましい。
【0056】
次に、
図8(B)又は
図9(B)を参照して、ドラムカバー2を弾性復帰して、爪部21nをガイド部11gの底面側に導入した状態では、摺動片21に形成した傾斜面212がガイド部11gの上面に当接している。
【0057】
次に、
図8(B)又は
図9(B)に示した状態から、摺動片21に形成した当接部(傾斜面212及び傾斜面212に連続した水平面211)を支点に、ドラムカバー2を時計方向に傾動することで、傾斜面212に連続した水平面211をガイド部11gの上面に当接できる(
図8(C)又は
図9(C)参照)。
【0058】
図8(C)又は
図9(C)に示した状態では、ドラム受け1に対して、ドラムカバー2を水平方向に移動できる。
図8(A)から
図8(C)に示した逆の手順で、ドラムカバー2を動作させることで、ドラム受け1からドラムカバー2を取り外すことができる。
【0059】
図8(C)又は
図9(C)に示した状態から、ドラム受け1に対して、ドラムカバー2を巻取ドラム3に近づける方向に移動し、係止片22をドラム軸部31bに係止させると共に、巻取ドラム3の一方の端部に形成されるフランジ31aにドラムカバー2の爪部23が係止する。これにより、ドラムカバー2と巻取ドラム3とを一体化すると共に、係止片22がドラム軸部31bを相対回転可能に支持できる(
図10(A)又は
図10(B)参照)。
【0060】
このように、実施形態によるドラムカバー2は、傾斜面212及び傾斜面212に連続した水平面211で構成した当接部を「テコ」として、ドラムカバー2を傾動することで、ドラム受け1への係止作業を容易に実施できる。又、巻取装置10の保守作業を用意に実施できる。
【0061】
[ブラインド用巻取装置の作用]
次に、実施形態による巻取装置10の作用及び効果を説明する。
【0062】
図1から
図7を参照すると、実施形態による巻取装置10は、ドラムカバー2を巻取ドラム3と共に摺動できるように構成しているので、巻取ドラム3の外周に既に巻かれている昇降コードCrもドラムカバー2によって弛みを防止すると共に、弛みによって生じる巻取ドラム3からの脱落を防止でき、昇降コードCrの円滑な巻取動作を実現できる。
【0063】
図3から
図7を参照すると、ドラム受け1は、その長手方向に沿って形成した一対のガイド部11g・11gを有し、ドラムカバー2は、一対のガイド部11g・11gに沿って摺動できる一対の摺動片21・21を有しているので、ドラムカバー2は、ドラム受け1に形成した一対のガイド部11g・11gに安定した状態で摺動可能に支持される。
【0064】
図4又は
図6、
図7及び
図10を参照すると、巻取ドラム3は、巻取ドラム3に回転を伝動するための駆動軸Saを挿入できるドラム軸部31bを有し、ドラムカバー2は、ドラム軸部31bを係止できる係止片22を有しているので、ドラムカバー2と巻取ドラム3とを一体化させながら、係止片22がドラム軸部31bを相対回転可能に支持することで、駆動軸Saから巻取ドラム3に回転運動を確実に伝動できる。
【0065】
図5又は
図8及び
図9を参照すると、摺動片21は、ガイド部11gに係止できると共に、ガイド部11gから離脱することが防止できる爪部21nを有しているので、ドラムカバー2がガイド部11gから離脱することを防止できる。
【0066】
図5又は
図8及び
図9を参照すると、摺動片21は、ドラムカバー2の端部に形成し、爪部21nは、摺動片21の端部近傍に形成しているので、爪部21nを大きくする必要がなく、爪部21nによる係止及び係止解除の切り替えが容易に実施できる。
【0067】
図5又は
図8及び
図9を参照すると、ドラムカバー2は、ドラム受け1に対して上下方向から着脱でき、摺動片21は、爪部21nがガイド部11gに係止するときにガイド部11gに当接できる当接部を形成しているので、当接部を「テコ」として、ドラムカバー2を傾動することで、ドラム受け1への係止作業を容易に実施できる。
【0068】
図2から
図7を参照して、ドラムカバー2を半円筒形状に形成することで、巻取ドラム3に巻かれた昇降コードCrに沿った形状で、巻取ドラム3を覆うことができ、昇降コードCrの弛みを防止すると共に、弛みによって生じる巻取ドラム3からの脱落をより確実に防止できる。
【0069】
本発明によるブラインド用巻取装置は、昇降ボックスBgを昇降させると共に複数のスラットStを開閉自在な横型ブラインドに好適な実施例を開示したが、本発明によるブラインド用巻取装置は、昇降ボックスではなくボトムレールを昇降させる横型ブラインド、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーン、又はローマンシェード等、遮蔽体を開閉するためのコードを備えたブラインドにも適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 ドラム受け
2 ドラムカバー2
3 巻取ドラム3
10 巻取装置(ブラインド用巻取装置)
Bh ヘッドボックス(支持部材)
St スラット(遮蔽材)