(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】光検出器、光検出システム、ライダー装置、及び車
(51)【国際特許分類】
H01L 31/107 20060101AFI20240207BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240207BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20240207BHJP
G01S 17/894 20200101ALI20240207BHJP
【FI】
H01L31/10 B
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H01L31/02 D
G01S17/894
(21)【出願番号】P 2020139457
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】権 鎬楠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和拓
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】清水 真理子
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189700(WO,A1)
【文献】特開2018-156984(JP,A)
【文献】特開2014-116429(JP,A)
【文献】特開2003-229553(JP,A)
【文献】特開2015-061041(JP,A)
【文献】特開2017-033962(JP,A)
【文献】特開2019-054246(JP,A)
【文献】特開2020-107980(JP,A)
【文献】特開2002-246583(JP,A)
【文献】特開平05-211321(JP,A)
【文献】特開平09-232621(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154444(WO,A1)
【文献】特開2020-080363(JP,A)
【文献】特開2020-009790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0033895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
H10K 30/00-30/57
H10K 30/80-39/18
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の一部の上に設けられた第1領域であって、
前記第1半導体層よりも高い第1導電形の不純物濃度を有する第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
を含む、前記第1領域と、
前記第2半導体領域と電気的に接続されたクエンチ部と、
前記第1半導体層の別の一部の上に設けられた第2領域であって、
第2導電形の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第4半導体領域と、
を含む、前記第2領域と、
前記第2領域の上に設けられ、光を吸収又は反射する樹脂を含む第1層と、
前記第1層の上に設けられた光透過性の第1部材と、
前記第1部材の上又は前記第1層と前記第1部材との間に設けられ、光を吸収又は反射するフィルタ層と、
を備え、
前記第1層において、第1範囲の波長の光に対する透過率は、第2範囲の波長の光に対する透過率よりも低く、
前記フィルタ層において、前記第1範囲の波長の光に対する透過率は、前記第2範囲の波長の光に対する透過率よりも高い、光検出器。
【請求項2】
第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の一部の上に設けられた第1領域であって、
前記第1半導体層よりも高い第1導電形の不純物濃度を有する第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
を含む、前記第1領域と、
前記第2半導体領域と電気的に接続されたクエンチ部と、
前記第1半導体層の別の一部の上に設けられた第2領域であって、
第2導電形の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第4半導体領域と、
を含む、前記第2領域と、
前記第2領域の上に設けられ、光を吸収又は反射する樹脂を含む第1層と、
前記第1層の上に設けられた光透過性の第1部材と、
前記第1部材の上又は前記第1層と前記第1部材との間に設けられ、光を吸収又は反射するフィルタ層と、
を備え、
複数の前記第1領域が、前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に交差する第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に沿う面と交差する第3方向と、に沿って設けられ、
別の複数の前記第1領域が、前記第2方向と前記第3方向とに沿って設けられ、
前記複数の第1領域と、前記別の複数の第1領域と、は前記第3方向において互いに離れ、
前記第2領域は、前記第3方向において、前記複数の第1領域と、前記別の複数の第1領域と、の間に設けられ、
前記第1層において、第1範囲の波長の光に対する透過率は、第2範囲の波長の光に対する透過率よりも低く、
前記フィルタ層において、前記第1範囲の波長の光に対する透過率は、前記第2範囲の波長の光に対する透過率よりも高い、光検出器。
【請求項3】
第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の一部の上に設けられた第1領域であって、
前記第1半導体層よりも高い第1導電形の不純物濃度を有する第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
を含む、前記第1領域と、
前記第2半導体領域と電気的に接続されたクエンチ部と、
前記第1半導体層の別の一部の上に設けられた第2領域であって、
第2導電形の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第4半導体領域と、
を含む、前記第2領域と、
前記第2領域の上に設けられ、光を吸収又は反射する樹脂を含む第1層と、
前記第1層の上に設けられた光透過性の第1部材と、
前記第1部材の上に設けられた第1フィルタ層と、
前記第1層と前記第1部材との間に設けられた第2フィルタ層と、
を備え、
複数の前記第1領域が、前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に交差する第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に沿う面と交差する第3方向と、に沿って設けられ、
別の複数の前記第1領域が、前記第2方向と前記第3方向とに沿って設けられ、
前記複数の第1領域と、前記別の複数の第1領域と、は前記第3方向において互いに離れ、
前記第2領域は、前記第3方向において、前記複数の第1領域と、前記別の複数の第1領域と、の間に設けられ、
前記第1層において、第1範囲の波長の光に対する透過率は、第2範囲の波長の光に対する透過率よりも低く、
前記第1フィルタ層及び前記第2フィルタ層のそれぞれにおいて、前記第1範囲の波長の光に対する透過率は、前記第2範囲の波長の光に対する透過率よりも高い
、光検出器。
【請求項4】
前記第1領域と前記第1部材との間に設けられ、上面が凸状に湾曲したレンズをさらに備えた請求項
1~3のいずれか1つに記載の光検出器。
【請求項5】
前記レンズは、マイクロレンズ又はレンチキュラーレンズである請求項
4記載の光検出器。
【請求項6】
前記第1半導体層の下に設けられた第1電極と、
絶縁層を介して前記第1半導体層に囲まれた導電部と、
前記導電部の下に設けられ、前記第1電極から離れた第2電極と、
をさらに備えた請求項1~
5のいずれか1つに記載の光検出器。
【請求項7】
前記導電部は、前記第2半導体領域と電気的に接続された、請求項
6記載の光検出器。
【請求項8】
前記第1領域は、前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に交差する第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に沿う面と交差する第3方向と、において複数設けられ、
前記第2領域の少なくとも一部は、隣り合う前記第1領域同士の間に設けられた請求項1に記載の光検出器。
【請求項9】
前記第2方向及び前記第3方向において、複数の前記第1領域の周りに設けられた絶縁領域をさらに備えた請求項
8記載の光検出器。
【請求項10】
複数の前記第1領域を含むセルアレイ部と、
前記第2領域を含む制御回路部と、
を備えた請求項1~
9のいずれか1つに記載の光検出器。
【請求項11】
前記第1領域は、ガイガーモードで動作するアバランシェフォトダイオードを含む請求項1~
10のいずれか1つに記載の光検出器。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1つに記載の光検出器と、
前記光検出器の出力信号から光の飛行時間を算出する距離計測回路と、
を備えた光検出システム。
【請求項13】
物体に光を照射する光源と、
前記物体に反射された光を検出する請求項
12記載の光検出システムと、
を備えたライダー装置。
【請求項14】
前記光源と前記光検出器の配置関係に基づいて、三次元画像を生成する画像認識システムをさらに備える請求項
13記載のライダー装置。
【請求項15】
請求項
13又は
14に記載のライダー装置を備えた車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光検出器、光検出システム、ライダー装置、及び車に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体領域に入射した光を検出する光検出器がある。光検出器について、信頼性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、信頼性を向上可能な、光検出器、光検出システム、ライダー装置、及び車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る光検出器は、第1導電形の第1半導体層と、第1領域と、クエンチ部と、第2領域と、第1層と、を含む。前記第1領域は、前記第1半導体層の一部の上に設けられる。前記第1領域は、前記第1半導体層よりも高い第1導電形の不純物濃度を有する第1導電形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、を含む。前記クエンチ部は、前記第2半導体領域と電気的に接続される。前記第2領域は、前記第1半導体層の別の一部の上に設けられる。前記第2領域は、第2導電形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第4半導体領域と、を含む。前記第1層は、前記第2領域の上に設けられ、光を吸収又は反射する樹脂を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る光検出器を例示する模式的平面図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、第1実施形態に係る光検出器の製造工程を表す模式的断面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る光検出器の製造工程を表す模式的断面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、第1実施形態に係る光検出器の製造工程を表す模式的断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る光検出器の一部を表す模式的断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係るライダー(Laser Imaging Detection and Ranging:LIDAR)装置を例示する模式図である。
【
図11】
図11は、ライダー装置の検出対象の検出を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係るライダー装置を備えた車の上面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光検出器を例示する模式的平面図である。
図2は、
図1における部分IIの拡大平面図である。
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図4は、
図2のIV-IV断面図である。
図5は、
図1のV-V断面図である。
【0009】
第1実施形態に係る光検出器100は、
図1~
図5に示すように、第1半導体層1、第2半導体層2、第1領域10、第2領域20、絶縁領域30、クエンチ部35、絶縁層36、第1層51、レンズ52、第1部材60、第1フィルタ層61、第2フィルタ層62、第1電極71、第2電極72、及び導電部73を含む。
【0010】
図3に表したように、第1領域10は、第1導電形の第1半導体層1の一部の上に設けられる。第1領域10は、第1導電形の第1半導体領域11及び第2導電形の第2半導体領域12を含む。第2半導体領域12は、第1半導体領域11の上に設けられる。第1導電形は、p形及びn形の一方である。第2導電形は、p形及びn形の他方である。以下では、第1導電形がp形、第2導電形がn形の場合について説明する。
【0011】
ここでは、第1半導体領域11から第2半導体領域12に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に垂直であり、相互に直交する2方向をX方向(第2方向)及びY方向(第3方向)とする。また、説明のために、第1半導体領域11から第2半導体領域12に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、第1半導体領域11と第2半導体領域12との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0012】
第1半導体領域11におけるp形不純物濃度は、第1半導体層1におけるp形不純物濃度よりも高い。第2半導体領域12におけるn形不純物濃度は、第1半導体層1におけるp形不純物濃度よりも高い。第1半導体領域11と第2半導体領域12との間には、pn接合面が形成される。例えば、pn接合面は、X方向及びY方向に平行である。第1領域10は、例えば、アバランシェフォトダイオードとして機能する。
【0013】
第2領域20は、第1半導体層1の別の一部の上に設けられる。第2領域20は、n形の第3半導体領域23を含む。例えば、第3半導体領域23は、第2半導体領域12よりも深くまで設けられる。換言すると、第3半導体領域23の下端は、第2半導体領域12の下端よりも下方に位置する。
【0014】
第2領域20の上には、任意の回路素子が設けられる。第3半導体領域23の上には、回路素子の少なくとも一部を構成する半導体領域が設けられる。例えば
図3に示すように、第2領域20は、p形の第4半導体領域24、n形の半導体領域25、及びn形の半導体領域26を含む。第4半導体領域24、半導体領域25、及び半導体領域26は、第3半導体領域23の上に設けられる。第4半導体領域24は、Y方向において半導体領域25と26との間に設けられる。半導体領域25及び26におけるそれぞれのn形不純物濃度は、第3半導体領域23におけるn形不純物濃度よりも高い。
【0015】
第1半導体領域11と第2半導体領域12との間には、逆方向の電圧が印加される。第1半導体領域11には、第1半導体層1を介して電圧が印加される。第1半導体層1の導電形と反対のn形の第3半導体領域23を設けることで、第1半導体層1の電位が、第4半導体領域24、半導体領域25、及び半導体領域26のそれぞれの電位へ与える影響を低減できる。例えば、第3半導体領域23が第2半導体領域12よりも深く設けられることで、第4半導体領域24、半導体領域25、及び半導体領域26を、第1半導体層1とは、安定して電気的に分離できる。これにより、第3半導体領域23の上に設けられる回路素子の動作を安定化できる。
【0016】
例えば
図4に示すように、第2領域20は、n形の半導体領域24a及び24bをさらに含む。半導体領域24a及び24bは、第4半導体領域24の上に設けられる。例えば、半導体領域24a及び24bにおけるそれぞれのn形不純物濃度は、第4半導体領域24におけるp形不純物濃度よりも高い。第4半導体領域24の一部は、X方向において半導体領域24aと24bの間に設けられる。第4半導体領域24の当該一部の上には、絶縁層を介して電極24gが設けられる。半導体領域24a、半導体領域24b、及び電極24gは、電界効果トランジスタTrを構成している。
【0017】
第2領域20の上に設けられる回路素子の種類、回路素子の数、配線の数などは、任意である。半導体領域25及び26の上にも、それぞれトランジスタが設けられても良い。トランジスタ以外に、コンデンサ、ダイオードなどの回路素子が、第4半導体領域24、半導体領域25、及び半導体領域26の上に設けられても良い。
【0018】
第1領域10は、X方向及びY方向において複数設けられる。
図1及び
図2に示す例では、第2領域20は、Y方向において隣り合う第1領域10同士の間をX方向に延びている。第2領域20のトランジスタは、フォトダイオードを選択するための制御素子として用いられる。すなわち、光検出器100は、セル(第1領域10又はフォトダイオード)がX方向及びY方向に複数配列されたセルアレイ部と、制御素子を含む制御回路部(第2領域20)と、が混載された回路混載型の構造を有する。
【0019】
絶縁領域30は、X方向及びY方向において、第1領域10の周り及び第2領域20の周りに設けられる。絶縁領域30は、例えば、第1絶縁領域31及び第2絶縁領域32を含む。第1絶縁領域31は、X方向及びY方向において、第1領域10の周りに設けられる。第2絶縁領域32は、第1絶縁領域31の少なくとも一部の上に位置し、第1半導体層1の上面に沿って設けられる。
【0020】
複数の第1絶縁領域31が、それぞれ複数の第1領域10の周りに設けられる。1つの第2絶縁領域32が、複数の第1絶縁領域31の上に位置し、それぞれの第1領域10の周りに設けられる。
【0021】
複数の第1絶縁領域31は、互いに離れている。隣り合う第1絶縁領域31同士の間には、第1半導体層1の一部が設けられる。第1半導体層1の当該一部におけるp形不純物濃度は、第1半導体層1の他部におけるp形不純物濃度と同じでも良いし、異なっていても良い。
【0022】
絶縁領域30は、第1絶縁領域31及び第2絶縁領域32の一方のみを含んでも良い。絶縁領域30が第1絶縁領域31及び第2絶縁領域32の両方を含む場合、第1領域10同士の間の絶縁性、及び第1領域10と第2領域20との間の絶縁性を向上できる。
【0023】
クエンチ部35は、第2半導体領域12よりも上方に位置し、第2半導体領域12と電気的に接続される。クエンチ部35は、絶縁領域30の上に設けられる。例えば
図2に示すように、クエンチ部35は、Z方向に延びるコンタクトプラグ及び配線35aを介して第2半導体領域12と電気的に接続される。クエンチ部35の電気抵抗は、コンタクトプラグ及び配線35aのそれぞれの電気抵抗よりも大きい。クエンチ部35の電気抵抗は、50kΩ以上2MΩ以下であることが好ましい。
【0024】
クエンチ部35は、第1領域10に光が入射し、アバランシェ降伏が発生した際に、アバランシェ降伏の継続を抑制するために設けられる。アバランシェ降伏が発生し、クエンチ部35に電流が流れると、クエンチ部35の電気抵抗に応じて電圧降下が生じる。電圧降下により、第1半導体領域11と第2半導体領域12との間の電位差が小さくなり、アバランシェ降伏が停止する。これにより、次に第1領域10へ入射した光を検出できるようになる。
【0025】
上述したように、大きな電圧降下を生じさせる抵抗体がクエンチ部35として設けられても良いし、抵抗体に代えて電流を遮断する制御回路がクエンチ部35として設けられても良い。例えば、制御回路は、コンパレータ、制御ロジック部、及び2つのスイッチング素子を含む。制御回路には、アクティブクエンチ回路と呼ばれる公知の構成を適用可能である。例えば、アクティブクエンチ回路は、第2領域20に設けられる。アクティブクエンチ回路は、光検出器100の外部に設けられても良い。
【0026】
例えば、第1半導体領域11と第2半導体領域12との間には、降伏電圧を超える逆電圧が印加され、第1領域10は、ガイガーモードで動作する。ガイガーモードで動作することにより、高いゲインと短い時定数を持ったパルス状の信号が出力される。
【0027】
図2及び
図4に示す例では、半導体領域24aは、コンタクトプラグ及び配線24w1を介して、配線42aと電気的に接続される。配線42aは、コンタクトプラグを介して配線41aと電気的に接続される。すなわち、半導体領域24aは、1つ以上の第2半導体領域12と電気的に接続される。半導体領域24bは、コンタクトプラグ及び配線24w2を介して、配線42bと電気的に接続される。電極24gは、コンタクトプラグ、配線24w3、及び配線24w4を介して、配線41bと電気的に接続される。
【0028】
例えば、第2領域20の上には、複数のトランジスタが設けられる。複数の配線41bの1つに電圧を印加することで、第2領域20に設けられる複数のトランジスタの1つが選択される。1つのトランジスタの選択により、複数の第1領域10の少なくとも一部が、配線42bと導通する。複数の第1領域10の当該少なくとも一部において、第1半導体領域11と第2半導体領域12との間に電圧が印加される。光の入射により発生した電荷は、選択されたトランジスタを通して配線42bへ流れる。
【0029】
絶縁層36は、光透過性であり、第1領域10、第2領域20、及び絶縁領域30の上に設けられる。上述した配線、プラグ等は、絶縁層36中に設けられる。絶縁層36は、複数の絶縁膜を含んでも良い。
【0030】
図3に示すように、第1層51は、第2領域20の上に設けられる。第1層51は、光を吸収又は反射する樹脂を含む。例えば、Z方向から見たとき、第3半導体領域23は、第1層51と重なる。
【0031】
レンズ52は、第1領域10の上に設けられる。レンズ52は、光透過性である。上方からレンズ52に入射した光が、第1領域10に向けて収束するように、レンズ52の上面は、凸状に湾曲している。例えば、レンズ52は、マイクロレンズである。複数のレンズ52が、複数の第1領域10の上にそれぞれ設けられる。それぞれのレンズ52の底面は、Z方向から見たときに概ね四角形状又は円形状である。又は、レンズ52は、レンチキュラーレンズであっても良い。一方向に延びる1つのレンズ52が、一方向に並ぶ複数の第1領域10の上に設けられても良い。上面に複数の凸状の湾曲面を有する1つのレンズ52が、複数の第1領域10の上に設けられても良い。
【0032】
又は、第1層51が、第2領域20の一部の上に設けられ、レンズ52が、第2領域20の別の一部の上にさらに設けられても良い。
【0033】
第1部材60は、第1層51及びレンズ52の上に設けられる。第1部材60は、光透過性である。第1フィルタ層61は、第1部材60の上に設けられる。第1フィルタ層61は、第1層51及びレンズ52の上に位置する。第2フィルタ層62は、第1層51と第1部材60との間、及びレンズ52と第1部材60との間に設けられる。第1部材60のZ方向における厚さは、第1層51、第1フィルタ層61、及び第2フィルタ層62のそれぞれのZ方向における厚さよりも大きい。
【0034】
例えば
図3に示すように、第1半導体層1は、第2半導体層2の上に設けられる。第2半導体層2におけるp形不純物濃度は、第1半導体層1におけるp形不純物濃度よりも高い。第2半導体層2は、第1電極71の上に設けられる。第1半導体領域11は、第1半導体層1及び第2半導体層2を介して第1電極71と電気的に接続される。
【0035】
導電部73は、X方向及びY方向において、絶縁層73aを介して第1半導体層1及び第2半導体層2に囲まれる。導電部73は、第1領域10及び第2領域20から離れている。導電部73は、Z方向に第1半導体層1及び第2半導体層2を貫通している。導電部73は、光検出器100の任意の位置に設けられる。
図1及び
図5に示す例では、導電部73は、光検出器100の外周の一部に設けられる。複数の導電部73が、光検出器100の外周に沿って設けられても良い。
【0036】
導電部73の一端は、第2領域20の上方に設けられるいずれかの配線と電気的に接続される。例えば、導電部73は、トランジスタを介して第1領域10と電気的に接続される。第2電極72は、導電部73の下に設けられる。導電部73の他端は、第2電極72と電気的に接続される。第2電極72は、第1電極71から離れている。また、第2電極72と第2半導体層2との間には、絶縁層75が設けられる。第2電極72は、絶縁層73a及び75により、第2半導体層2及び第1電極71とは電気的に分離されている。
【0037】
トランジスタの選択により第2電極72と第2半導体領域12が導通した状態で、第1電極71及び第2電極72の電位を制御することで、第1半導体領域11と第2半導体領域12との間に電圧が印加される。これにより、例えば、第1領域10をガイガーモードで動作させることができる。
【0038】
各要素の材料の一例を説明する。
第1半導体層1、第2半導体層2、及び各半導体領域は、シリコン、炭化シリコン、ガリウムヒ素、及び窒化ガリウムからなる群より選択される少なくとも1つの半導体材料を含む。第1半導体層1及び各半導体領域がシリコンを含むとき、リン、ヒ素、又はアンチモンがn形不純物として用いられる。ボロンがp形不純物として用いられる。
【0039】
例えば、第2半導体層2は、半導体基板の少なくとも一部である。第1半導体層1は、第2半導体層2の上にエピタキシャル成長された層である。各半導体領域は、第2半導体層2へのイオン注入により形成される。
【0040】
絶縁領域30、絶縁層36、及び絶縁層73aは、シリコンと、酸素及び窒素からなる群より選択される1つと、を含む。例えば、第1絶縁領域31、第2絶縁領域32、絶縁層36、及び絶縁層73aは、酸化シリコンを含む。抵抗体としてのクエンチ部35は、半導体材料としてポリシリコンを含む。クエンチ部35には、n形不純物又はp形不純物が添加されていても良い。コンタクトプラグ及び各配線は、金属を含む。例えば、コンタクトプラグ及び各配線は、チタン、タングステン、銅、及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つを含む。
【0041】
第1層51は、光を吸収又は反射する樹脂を含む。例えば、第1層51は、赤外光カット剤(IR吸収剤)を含み、赤外光を吸収する。第1層51は、光吸収層として設けられる。レンズ52は、光透過性の無機材料又は有機材料を含む。第1部材60は、ガラス基板又はサファイア基板である。第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62は、所定の範囲の波長の光を吸収する。第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62の材料は、吸収される波長に応じて適宜選択できる。例えば、第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62は、アルミニウム、銀、金、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ランタン(LaF3)、テトラヒドロフラン(ThF3又はThF4)、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(SiO2)、ゲルマニウム、及びセレン化亜鉛(ZnSe)からなる群より選択された少なくとも1つを含む。
【0042】
例えば、第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62において、第1範囲の波長の光に対する透過率は、第2範囲の波長の光に対する透過率よりも高い。第1層51において、第1範囲の波長の光に対する透過率は、第2範囲の波長の光に対する透過率よりも低い。第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62を透過した光は、第1層51によって吸収又は反射される。これにより、第2領域20に入射する光の量を効果的に低減できる。
【0043】
例えば、第1範囲は、850nmよりも長く1100nmよりも短い。第2範囲は、400nmよりも長く650nmよりも短い。第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62において、第1範囲の波長の光に対する透過率は、第2範囲の波長の光に対する透過率の10倍よりも大きい。第1層51において、第2範囲の波長の光に対する透過率は、第1範囲の波長の光に対する透過率の10倍よりも大きい。第1波長の光に対して、第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62の透過率は、第1層51の透過率の10倍以上である。
【0044】
又は、第1層51は、金属を含んでも良い。これにより、第1層51の反射率を高め、第2領域20に入射する光の量を効果的に低減できる。例えば、第1層51は、銅及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つを含む。第1層51は、金属を含む層と、樹脂を含む層と、が積層されても良い。樹脂を含む層は、金属を含む層の上に設けられる。
【0045】
第1電極71、第2電極72、及び導電部73は、金属を含む。第1電極71、第2電極72、及び導電部73は、例えば、アルミニウム、銅、チタン、金、及びニッケルからなる群より選択された少なくとも1つを含む。
【0046】
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)、
図8(a)、及び
図8(b)は、第1実施形態に係る光検出器の製造工程を表す模式的断面図である。
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)、
図8(a)、及び
図8(b)のそれぞれの左側の図は、
図2に示すIII-III断面における製造工程を表す。それぞれの右側の図は、
図1に示すV-V断面における製造工程を表す。
【0047】
図6(a)に示すように、第1半導体層1、第2半導体層2、第1領域10、第2領域20、絶縁領域30、クエンチ部35、絶縁層36、各コンタクトプラグ、及び各配線が形成された構造体STを用意する。構造体STは、公知の製造方法により製造される。
【0048】
図6(b)に示すように、絶縁層36の一部の上に、レンズ52を形成する。レンズ52は、第1領域10の上に位置する。
図7(a)に示すように、絶縁層36の別の一部の上に、接着剤として第1層51を形成する。第1層51は、第2領域20の上に位置する。第1層51は、レンズ52が設けられた位置以外に形成される。
【0049】
第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62が設けられた第1部材60を用意する。第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62は、第1部材60の上面及び下面にそれぞれ設けられる。
図7(b)に示すように、第1層51を介して、構造体STに第1部材60を貼り合わせる。第1部材60を貼り合わせることで、構造体STの強度が向上する。また、構造体STのハンドリングが容易となる。
【0050】
第2半導体層2の下に部分的に絶縁層75を形成する。第1半導体層1の一部、第2半導体層2の一部、第2絶縁領域32の一部、絶縁層36の一部、及び絶縁層75の一部を除去し、構造体STの裏面に開口を形成する。絶縁層75及び開口の形成前に、第2半導体層2の厚さを小さくしても良い。これにより、開口の形成が容易となる。構造体STに設けられた配線が、開口を通して露出する。開口の数及び形状は、任意である。開口の側壁に沿って絶縁層73aを形成する。
図8(a)に示すように、絶縁層73aの上に、開口を埋め込む導電部73を形成する。
【0051】
図8(b)に示すように、第1電極71及び第2電極72を、第2半導体層2の下および導電部73の下にそれぞれ形成する。以上の工程により、第1実施形態に係る光検出器100が製造される。
【0052】
第1実施形態の効果を説明する。
第1実施形態に係る光検出器100は、第1領域10及び第2領域20を含む。第1領域10は、フォトダイオードを構成する第1半導体領域11及び第2半導体領域12を含む。第2領域20は、第3半導体領域23及び第4半導体領域24を含む。第2領域20には、第1領域10と電気的に接続される回路素子が設けられる。第1領域10及び第2領域20は、第1半導体層1の上に設けられる。第1領域10及び第2領域20を、同じ第1半導体層1の上に設けることで、光検出器100の性能を向上できる。例えば、第1領域10と第2領域20とを接続する配線の長さを短くでき、SN比を向上できる。
【0053】
光検出器100は、第1層51をさらに含む。第1層51は、光を吸収又は反射する樹脂を含む。又は、第1層51は、金属を含む。第1層51は、第2領域20の上に設けられる。第2領域20の上に第1層51が設けられることで、第2領域20に入射する光量を低減できる。これにより、第2領域20に設けられる回路素子の誤動作を抑制できる。光検出器100の信頼性を向上できる。
【0054】
また、光検出器100は、第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62を含む。これらのフィルタ層は、光を吸収又は反射し、第2領域20の上に設けられる。第2領域20の上に第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62が設けられることで、第2領域20に入射する光量を低減できる。
【0055】
光検出器100は、第1層51、第1フィルタ層61、及び第2フィルタ層62の1つのみを含んでも良い。第1層51、第1フィルタ層61、及び第2フィルタ層62のいずれかが第2領域20の上に設けられることで、第2領域20に入射する光量を低減できる。
【0056】
好ましくは、光検出器100は、第1層51と、第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62の少なくとも一方と、を含む。これにより、第2領域20に入射する光量をより大きく低減できる。
【0057】
第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62の一方のみが設けられても良い。好ましくは、光検出器100は、第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62の両方を含む。第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62の両方を設けることで、第1部材60の上方及び下方で生じる応力の差を小さくできる。これにより、第1部材60の反りを小さくできる。例えば、光検出器100の反りを小さくできる。光検出器100において、クラック等が発生することを抑制し、光検出器100の信頼性を向上できる。
【0058】
第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62は、第1領域10の上にも設けられることが好ましい。第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62を設けることで、主に第1範囲の波長の光を第1領域10に入射させることができる。これにより、第1範囲の波長の光に対する光検出器100の感度を向上できる。
【0059】
例えば
図2に示すように、第2領域20の一部は、Y方向において第1領域10同士の間に設けられる。Z方向から見たとき、第1層51の一部は、第2領域20の当該一部と重なる。第1層51の当該一部のY方向における長さは、第2領域20の当該一部のY方向における長さよりも長いことが好ましい。これにより、第2領域20へ入射する光量を効果的に低減できる。
【0060】
好ましくは、Z方向から見たとき、第2領域20の全体が、第1層51と重なる。これにより、第2領域20へ入射する光量をさらに低減できる。
【0061】
光検出器100は、レンズ52を含む。レンズ52により、光検出器100に入射した光を、第1領域10に向けて収束できる。これにより、光検出器100の感度を向上できる。
【0062】
光検出器100は、導電部73を含む。導電部73を設けることで、第1領域10及び第2領域20の上方に、電極やボンディングワイヤなどを設ける必要が無い。これにより、電極やボンディングワイヤなどによって、第1領域10に入射する光が遮られることを抑制できる。光検出器100の感度を向上できる。
【0063】
また、第1部材60を設けることで、導電部73を形成する際に、第1半導体層1、第1領域10、及び第2領域20等を含む構造体の強度を向上できる。これにより、導電部73を形成する際に、構造体の破損を抑制でき、光検出器100の歩留まりを向上できる。
【0064】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る光検出器の一部を表す模式的断面図である。
図9に示す第2実施形態に係る光検出器200は、光検出器100と比較して、第1層51及び第1部材60を含まない。光検出器200は、第1フィルタ層61及び第2フィルタ層62に代えて、フィルタ層65を含む。
【0065】
フィルタ層65は、絶縁層36の上に設けられる。フィルタ層65は、第1領域10及び第2領域20の上に設けられ、光を吸収又は反射する。レンズ52は、フィルタ層65の上に設けられる。例えば、フィルタ層65において、第1範囲の波長の光に対する透過率は、第2範囲の波長の光に対する透過率よりも高い。
【0066】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第2領域20の上に、光を吸収又は反射するフィルタ層65が設けられる。フィルタ層65が設けられることで、第2領域20に入射する光量を低減できる。これにより、第2領域20に設けられる回路素子の誤動作を抑制でき、光検出器100の信頼性を向上できる。
【0067】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係るライダー(Laser Imaging Detection and Ranging:LIDAR)装置を例示する模式図である。
この実施形態は、ライン光源、レンズと構成され長距離被写体検知システム(LIDAR)などに応用できる。ライダー装置5001は、対象物411に対してレーザ光を投光する投光ユニットTと、対象物411からのレーザ光を受光しレーザ光が対象物411までを往復してくる時間を計測し距離に換算する受光ユニットR(光検出システムともいう)と、を備えている。
【0068】
投光ユニットTにおいて、レーザ光発振器(光源ともいう)404はレーザ光を発振する。駆動回路403は、レーザ光発振器404を駆動する。光学系405は、レーザ光の一部を参照光として取り出し、そのほかのレーザ光をミラー406を介して対象物411に照射する。ミラーコントローラ402は、ミラー406を制御して対象物411にレーザ光を投光する。ここで、投光とは、光を当てることを意味する。
【0069】
受光ユニットRにおいて、参照光用光検出器409は、光学系405によって取り出された参照光を検出する。光検出器410は、対象物411からの反射光を受光する。距離計測回路408は、参照光用光検出器409で検出された参照光と光検出器410で検出された反射光に基づいて、対象物411までの距離を計測する。画像認識システム407は、距離計測回路408で計測された結果に基づいて、対象物411を認識する。
【0070】
ライダー装置5001は、レーザ光が対象物411までを往復してくる時間を計測し距離に換算する光飛行時間測距法(Time of Flight)を採用している。ライダー装置5001は、車載ドライブ-アシストシステム、リモートセンシング等に応用される。光検出器410として上述した実施形態の光検出器を用いると、特に近赤外線領域で良好な感度を示す。このため、ライダー装置5001は、人が不可視の波長帯域への光源に適用することが可能となる。ライダー装置5001は、例えば、車向け障害物検知に用いることができる。
【0071】
図11は、ライダー装置の検出対象の検出を説明するための図である。
光源3000は、検出対象となる物体600に光412を発する。光検出器3001は、物体600を透過あるいは反射、拡散した光413を検出する。
【0072】
光検出器3001は、例えば、上述した本実施形態に係る光検出器を用いると、高感度な検出を実現できる。なお、光検出器410および光源404のセットを複数設け、その配置関係を前もってソフトウェア(回路でも代替可)に設定しておくことが好ましい。光検出器410および光源404のセットの配置関係は、例えば、等間隔で設けられることが好ましい。それにより、各々の光検出器410の出力信号を補完しあうことにより、正確な三次元画像を生成することができる。
【0073】
図12は、第3実施形態に係るライダー装置を備えた車の上面略図である。
本実施形態に係る車両700は、車体710の4つの隅にライダー装置5001を備えている。本実施形態に係る車両は、車体の4つの隅にライダー装置を備えることで、車両の全方向の環境をライダー装置によって検出することができる。
【0074】
以上で説明した各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、SCM(走査型静電容量顕微鏡)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいとみなせる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)により測定することが可能である。
【0075】
以上で説明した各実施形態によれば、光検出器の信頼性を向上できる。
【0076】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0077】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、光検出器に含まれる第1半導体層、第2半導体層、第1領域、第2領域、絶縁領域、クエンチ部、絶縁層、第1層、レンズ、第1部材、フィルタ層、電極、導電部、コンタクトプラグ、配線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0078】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0079】
その他、本発明の実施の形態として上述した光検出器、光検出システム、ライダー装置、及び車を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての光検出器、光検出システム、ライダー装置、及び車も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0080】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1:第1半導体層、 2:第2半導体層、 10:第1領域、 11:第1半導体領域、 12:第2半導体領域、 20:第2領域、 23:第3半導体領域、 24:第4半導体領域、 24a:半導体領域、 24b:半導体領域、 24g:電極、 24w1~24w4:配線、 25,26:半導体領域、 30:絶縁領域、 31:第1絶縁領域、 32:第2絶縁領域、 35:クエンチ部、 35a:配線、 36:絶縁層、 41a,41b,42a,42b:配線、 51:第1層、 52:レンズ、 60:第1部材、 61:第1フィルタ層、 62:第2フィルタ層、 71:第1電極、 72:第2電極、 73:導電部、 73a:絶縁層、 100:光検出器、 402:ミラーコントローラ、 403:駆動回路、 404:レーザ光発振器、 405:光学系、 406:ミラー、 407:画像認識システム、 408:距離計測回路、 409:参照光用光検出器、 410:光検出器、 411:対象物、 412,413:光、 600:物体、 700:車両、 710:車体、 3000:光源、 3001:光検出器、 5001:ライダー装置、 R:受光ユニット、 ST:構造体、 T:投光ユニット、 Tr:トランジスタ