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特許7431725フローシステムのための改善された混合器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】フローシステムのための改善された混合器
(51)【国際特許分類】
   B01F 29/64 20220101AFI20240207BHJP
【FI】
B01F29/64
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020518074
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018076428
(87)【国際公開番号】W WO2019063774
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】1715735.5
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509160498
【氏名又は名称】アッシュ モリス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アッシュ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エクルソン ゲアリー
(72)【発明者】
【氏名】ガウント クリストファー
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01812823(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00882275(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0273474(US,A1)
【文献】特表2016-502453(JP,A)
【文献】特開平10-213379(JP,A)
【文献】特開2000-301111(JP,A)
【文献】実開昭57-21023(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 29/00 - 33/87
B09B 1/00 - 5/00
F27B 5/00 - 7/42
C02F 11/00 - 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体のための入口(1)及び出口(7)を有する密封管を備えた混合器システムであって、前記管は、該管の長手方向軸の周囲で往復円弧状に回転可能であるとともに、ブレードキャリア(10)の両端に取り付けられた1又は2以上のブレード(11)を含む混合要素を含み、前記ブレードキャリアは、前記管が円弧状に回転するのと同じ方向に同じ角速度(度/秒)で前記1又は2以上のブレードを回転させることができるように前記管内に支持され、
前記ブレードキャリアは、前記管の両端に位置して前記管又は管端部フランジによって支持され、前記ブレードが、前記管の中心と管壁との間の位置において前記ブレードキャリア(10)に取り付けられて前記管壁に全周にわたって接触しないように取り付けられる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記管内の前記混合要素を動かすために、前記ブレードキャリア(10)を前記管と同じ角速度で同じ方向に回転させる管駆動ストロークと、前記ブレードキャリアを前記管と異なる角速度及び/又は方向に回転させる流体駆動ストロークとの組み合わせが使用される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記管又は前記ブレードキャリア(10)に設けられた突出部の形態の1又は2以上の移動停止部を含み、前記移動停止部は、前記ブレードキャリア(10)又は前記管にそれぞれ当接することで、前記混合要素の前記管に対するそれ以上の回転を阻止するように構成され、
前記混合要素は自由に回転するが、1又は2以上の移動停止部によって自由回転度が制限されるように構成される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ブレードを支持する中心シャフトが前記ブレードキャリア間に存在しない、
請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記1又は複数の前記ブレードは、前記管の半径のうち外側の70%の範囲に配置され、外側の50%の範囲に配置され、または外側の30%の範囲に配置される、
請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記1又は複数のブレード(11)は、軸方向面に真っ直ぐであり、半径方向面に屈曲又は湾曲している、
請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記管の外面に、前記管の過回転を阻止する移動停止部が取り付けられ、
前記移動停止部は、前記管の駆動システムに前記管の所与の方向の回転を停止するように信号で伝えるセンサを有する構成、及び前記管の一部ではない静止面に固定された固体突出部に前記管上の固体突出部が接触する機械的停止部の構成のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである、
請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記ブレードキャリアの自由回転運動を制限するために、前記管に設けられた突出部の形態であるとともに前記ブレードキャリアに当接可能な混合要素移動停止部が使用される、請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記管の内部の長さ方向に対して直交する方向に広がる1又は2以上のバッフル(14)を備える、
請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
入口及び出口を有する密封管にプロセス流体を供給するステップと、該管の長手方向軸の周囲で往復円弧状に前記管を回転させるステップとを含む混合方法であって、前記管は、前記管の両端に位置するブレードキャリアの両端に取り付けられた1又は2以上のブレードを含む混合要素を含み、前記ブレードキャリアは、前記管が円弧状に回転するのと同じ方向に同じ角速度(度/秒)で前記1又は2以上のブレードが回転し、これによりプロセス流体を混合し且つ前記ブレードが前記管の中心と管壁との間の位置において前記ブレードキャリア(10)に取り付けられて前記管壁に全周にわたって接触しないように前記管内に支持される、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記混合要素の前記回転中心は、前記管の中心である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1又は複数のブレードは、軸方向面に真っ直ぐであり、半径方向面に屈曲又は湾曲している、
請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動物質(flowing materials)のための改善された混合器に関し、具体的には、連続して流れる流体の混合に関し、さらに具体的には、流動物質の連続処理を伴う改善された混合器システムに関する。このようなシステムでは、プロセス物質が管の一端に一定速度で連続供給され、他端から連続的に流出する。中間追加点及び出発点(Intermediate addition and take off points)を使用することもできる。システムは、管内にプロセス物質を収容して、好ましくは管を満たすように入口点と流出点との間を密封される。
【背景技術】
【0002】
2つの異なる密度の不混和流体(immiscible fluids)を伴う対向流(counter current flow)の場合、一方のプロセス物質が管の一端に一定速度で連続供給され、他端から連続して流出する。第2の流体は別個に供給され、第1の流体とは反対側の端部から流出する。
【0003】
システムを通過している最中には、プロセス操作と呼ばれる化学的又は物理的変化が起きることがあり、流動流体はプロセス物質である。このようなプロセス操作は、以下に限定するわけではないが、混合、化学反応、酵素反応、細胞成長、結晶化及び重合を含む。プロセス操作は、抽出とすることもできる。プロセス物質は自由に流動し、均質液、又は非混和性液などの相混合物、気液混合物、スラリー及び懸濁液などの粒子状固体を含む液体、超臨界流体、或いはこれらの組み合わせとすることができる。
【0004】
混合器及び混合という用語の使用は、物質の単純な混合、及び化学反応、酵素反応、細胞成長、重合、又は結晶化などの物理的変化などの化学的又は物理的変化を伴う流体の混合を含む。流体という用語は、液体、気体、スラリー、懸濁液、及びこれらの混合物を含む。流体は流動物質である。
【0005】
従来、これらの及びその他のプロセス操作は、主にバッチ反応器内で行われてきた。これらのバッチ反応器は、加熱/冷却面を有する大型の撹拌式バッチタンクであり、一度に1タンク容量を処理する。本発明の連続システムは、管に沿って連続的に流れる物質を伴い、複数の管容量を途切れなく処理することができ、従って単位体積当たりの出力がバッチ装置よりも大きい。これにより、バッチ装置よりもエネルギー効率が高く本質的に安全な、物理的に小型の装置を使用することができる。小型のサイズは、混合距離が短くなるため良好な性能に寄与するとともに、体積に対する伝熱面積の比率が増加するため良好な熱伝達にも寄与する。この改善された性能は、製品収量の改善、及び化学的性質の影響を受ける製品純度の改善に寄与する。
【0006】
英国特許第2507487号には、流体を保持して逆円弧状に(in reversing arcs)回転する管体を含む混合器が記載されている。管が回転すると、内部の静的及び動的混合要素が協働して流体の混合を促す。混合器は、中心シャフトによって支持される。しかしながら、中心シャフトの使用は好ましくない。さらに、中心シャフトは低速であり、従ってそれほど混合に寄与しない。また、中心シャフトは、混合ブレードからこぼれた流体の混合パターンを妨げる。中心シャフトは、管と同じ速度で同じ方向に回転する混合ブレードを取り付けるための組み立ても困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】英国特許第2507487号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、プロセス流体のための入口及び出口を有する密封管を備えた混合器であって、管が、管の長手方向軸の周囲で円弧状に回転可能であるとともに、ブレードキャリアの両端に取り付けられた1又は2以上のブレードを含む混合要素を含み、ブレードキャリアが、管が円弧状に回転するのと同じ方向に同じ角速度(度/秒)で1又は2以上のブレードを回転させることができるように管内に支持された、混合器を提供する。
【0009】
本発明は、混合要素が、管が円弧状に回転するのと同じ方向に同じ角速度(度/秒)で回転するが、管の1つの回転弧と次の回転弧との間の遷移段階中には管に対して異なる角速度で自由に回転する、上述したようなシステムも提供する。
【0010】
管は、水平又は実質的に水平であることが好ましい。
【0011】
ブレードは、ブレードキャリアに対して固定される。ブレードキャリアは、管の両端に位置して管又は端部フランジによって支持され、好ましくはブレードが管壁に接触しないように取り付けられる。混合要素の回転中心は、管直径の内側3分の1以内に、さらに好ましくは管の中心に存在する。ブレードキャリアの支持体は、管と同じ角速度で同じ方向に回転するように固定することができる。本明細書では、この回転を管駆動ストロークと呼ぶ。ブレードキャリアの支持体は、管に対して異なる角速度で及び/又は異なる方向にブレードキャリアを回転させることもでき、この相違は、プロセス物質の抗力効果によって生じることができる。本明細書では、この回転を流体駆動ストロークと呼ぶ。各回転弧のサイクル全体は、管駆動ストロークとすることができる。管駆動ストロークと流体駆動ストロークとの組み合わせを使用することが好ましい。これらの組み合わせを達成するには、混合要素が自由に回転する必要があるが、自由回転度は、1つの、好ましくは2つの移動停止部(travel stops)によって制限される。これらの停止部は、管又は端部フランジに固定されて、混合要素の自由回転度を制限する。移動停止部は、管駆動ストローク中に混合要素を押す。
【0012】
管の形状は、円形であることが好ましいが、他の形状を使用することもできる。管は、好ましくは水平であり、好ましくは管の直径の少なくとも2倍の、より好ましくは直径の3倍を上回る、さらに好ましくは直径の5倍を上回る長さを有する。管の長さは、管内で実行すべき動作に従って選択することができるが、好ましい長さは500mm~2メートルである。必要に応じて他の長さを使用することもできる。好ましい管直径は、50mm~1メートルである。必要に応じて他の管直径を使用することもできる。
【0013】
管の長軸は軸方向面であり、軸方向混合は、管内の流体要素が他の流体要素に対して軸方向面内で位置を変化させることを意味する。半径方向面は軸方向面と直角であり、半径方向混合は、流体要素が他の流体要素に対して半径方向面内で位置を変化させることを意味する。望ましい混合形態では、半径方向混合対軸方向混合の比率が高くなる。これにより、反応器内におけるプロセス物質の滞留時間分布が狭くなることが保証され、このため滞留時間制御がさらに改善されて、製品収量及び品質が改善されるようになる。異なるプロセス流体相は、システム内を異なる速度で、場合によっては異なる方向に進むことができる。
【0014】
本発明の混合器は、あらゆる相にわたって規則的な流れ(orderly flow)をもたらすように設計される。規則的な流れとは、時点ゼロにおいてシステムに入り込んだ所与の相のいずれか2つの流体粒子が実質的に同じ時点で管から流出することを意味する。規則的な流れは、滞留時間の制御における大きな要因である。この混合器は、高粘度流体と共に、ただし好ましくは100センチポアズ未満の粘度の流体と共に使用することができる。
【0015】
本発明は、混合器ブレードを支持する中心シャフトがブレードキャリア間に存在せず、円弧状に回転する管状システムを採用する新規の管状混合器設計を提供する。
【0016】
管は円弧状に回転し、この回転は、圧縮空気、駆動ギア付きモータ又はその他の手段を含む様々な手段によって駆動することができる。好ましい方法は、ベルト又はチェーンを駆動して管を回転させるモータである。管が回転弧の終端に到達した時点を検出し、この時点で回転方向を反転させる信号を駆動システムに送信するセンサを含む駆動制御システムを使用することが好ましい。管の最大回転弧(Θ1)は360°であるが、180°以下の角度が好ましく、150°以下の角度がさらに好ましい。
【0017】
システム内の流体流は、ポンプ、圧力転写、又は重力補助流などによる外部的流体供給によって駆動される。システムは、プロセス物質と共にフル稼働(run full)することが好ましい。
【0018】
1又は複数の混合ブレードは、管の中心と管壁との間の位置においてブレードキャリアに取り付けられる。1又は複数のブレードは、管の半径の外側70%を占めることが好ましく、外側50%を占めることがより好ましく、外側30%を占めることがさらに好ましい。ブレードは、管壁と接触しないことが好ましい。ブレードは、管の壁部の内面から25mm以内の距離に取り付けられることが好ましく、壁部から15mm以内の距離に取り付けられることがさらに好ましい。2つのブレードキャリア間には、混合器ブレードを支持するための中心シャフトが存在しない。
【0019】
ブレードは、軸方向面が真っ直ぐであることが好ましい。ブレードは、半径方向面が真っ直ぐでなく、屈曲又は湾曲していることが好ましい。これによって剛性が高まるとともに、管内における流体の低速回転を促す流体圧送の偏りも生み出される。
【0020】
管は、円弧を通じて回転する。低剪断及び長混合時間が適用可能な場合、単一の円弧を完成するための回転速度は、最大10分又はそれ以上とすることができる。高剪断又は高速混合時間が必要な場合、円弧を完成するための時間は1秒未満とすることができる。管の回転のための駆動機構は、歯車、駆動ベルト、駆動チェーン、又はピストンとすることができる。
【0021】
このシステムは、3個又は4個以上の、好ましくは5個又は6個以上の直列の連続撹拌タンク反応器と同等のプロセス物質の滞留時間分布を管内に供給する。
【0022】
管が過回転するのを防ぐために、管の外面には管移動停止部が取り付けられることが好ましい。過回転は望ましくなく、プロセスと管への伝熱接続との分断を招く恐れがある。これらの停止部は、駆動システムに所与の方向の回転を停止するように信号で伝えるセンサに基づくことができる。これらの停止部は、管の一部ではない静止面に固定された固体突出部に管上の固体突出部が接触する機械的停止部とすることもできる。センサと機械的停止部との組み合わせが好ましい。
【0023】
ブレードキャリアの自由回転運動を制限するために、混合要素移動停止部も使用される。移動停止部の分離角(Θ2)は、混合器ブレードの必要な流体駆動移動(fluid drive travel)の量に従って変化する。度数単位での流体駆動移動の値は、回転弧当たりΘ2×Nであり、Nは使用するブレードの数である。Θ2の最小値は、混合器ブレード(11)が管(3)に対して常に静止しているようなブレード幅である。10°又はそれ以上の値が好ましい。
【0024】
管は、管内のプロセス物質の温度を制御するための外部加熱又は冷却ジャケットを有することができる。外部加熱/冷却ジャケットを使用する場合、これらは管の外面に螺旋状に巻き回されたチャネルであることが好ましい。このようなチャネルは伝熱流体を運び、好ましくは2000mm2以下の、さらに好ましくは200mm2以下の断面積を有する。チャネルは、管に巻き回された溶接ハーフパイプ(welded half pipe)又はパイプの形態とすることができる。このパイプは、良好な熱伝導率を有する材料のものであることが好ましい。伝熱流体パイプにとって好ましい材料は銅である。また、伝熱チャネルは、それぞれが独自の供給及び流出パイプを有する、管体に巻き回された2又は3以上の螺旋部分を含むことも好ましい。或いは、電気的加熱を使用することもできる。
【0025】
本発明の混合器システムは、ブレードキャリアとブレードとを別個に製造することによって組み立てられることが好ましい。各ブレードは、単一の材料片から形成されることが好ましい。あらゆる数のブレードを使用することができるが、好ましい数は6又は5以下であり、さらに好ましくは2~4である。ブレードは、混合を改善するために穴又はスロットを有することができる。ブレードは、縁部に切り欠きを有することもできる。ブレードは、回転方向に従って形状を変化させる柔軟な又はヒンジ式の表面を使用することもできる。
【0026】
1又は2以上のブレードは、不平衡なシステムを形成するように異なる重さのものとすることもできるが、これらのブレードは、混合器システムが平衡を保ってブレードが移動停止部の作用及び流体の動きのみによって駆動されるように同様の重さのものであることが好ましい。
【0027】
システムは、管の内部長さに沿って、軸方向混合を制限する1又は2以上の半径方向バッフルを有することができる。3又は4以上のバッフルを有するシステムが好ましく、4又は5以上のバッフルを有するシステムがさらに好ましい。バッフルの直径は様々とすることができるが、バッフルと管壁との間には20mm以下の間隙が存在することが好ましく、10mm以下の間隙が存在することがさらに好ましい。バッフルは、異なる方法で組み込むことができるが、好ましい方法は、混合器ブレードを通すスロットをバッフルに使用することである。バッフルは、締まり嵌めを使用して軸方向面内の適所に固定することができ、或いはスペーサバーを使用することもできる。これらのスペーサバーも、適所に溶接又はねじ留めすることができる。
【0028】
本発明のシステムのコンポーネントは、特定のプロセス操作に必要な機械的強度と耐化学性との正しい組み合わせを達成するように異なる材料で形成することができる。使用できる材料としては、鋼、ステンレス鋼、合金、特殊金属(exotic metals)、プラスチック、セラミック材料及びガラスが挙げられる。これらの材料の組み合わせを使用して、1つの材料が機械的強度を提供し、異なる材料が耐化学性を提供するようにすることもできる。一例として、タンタル、ガラス、セラミック又はプラスチックで被膜された鋼が挙げられる。
【0029】
緊急救済システムを使用することもでき、好ましいシステムは、端部フランジの中心に取り付けられた破裂ディスク(bursting disc)である。
【0030】
本発明のシステムは、連続化学反応器として特に有用である。また、抽出器としても有用である。
【0031】
添付図を参照しながら本発明を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に、本発明の完全なシステムを示す。供給パイプ(1)は、システム内にプロセス物質を供給する。供給パイプは、管の回転を可能にする柔軟要素を有する。端部フランジ(2)は、管を密封して、クリーニング及びメンテナンスのためのアクセスを可能にする。ボルト(図示せず)及びその他のタイプの締め付け構成を使用することができる。管の他端には、第2の端部フランジ(2)が位置する。管(3)は、プロセス物質の閉じ込めを行う。伝熱ジャケット(4)は、システムに対する熱の追加及び除去を行う。伝熱流体接続部(5)は、伝熱ジャケットに伝熱流体を供給し、この流体は、伝熱流体流出パイプ(6)を通じて流出する。管の他端には、生成物流出パイプ(7)が取り付けられる。伝熱パイプ及びプロセス物質供給/流出パイプの柔軟性は、管の回転に対応する。この対応は、柔軟なホース、又は動きを可能にするように好適に屈曲する硬いパイプを用いて行うことができる。管は、管の回転を可能にするローラ又は軸受(8)に取り付けられる。管を回転させる駆動機構が設けられる(図示せず)。この回転機構は、反動装置(recoil devices)を使用することもできる。本発明の混合器ブレード及びブレードキャリアは、管の内部に存在するため示していない。
【0033】
図2に、図1の管(3)内で使用できる混合器アセンブリを示す。アセンブリの両端には、混合器アセンブリ支持ピン(9)が位置する(一端にしか見えない)。これらのピンは、管内でブレードアセンブリを支持する。このピンは、自由回転を可能にするように円筒状の滑らかなものであることが好ましい。このピンは、制限された自由回転度を可能にする形状とすることもできる。混合器アセンブリ支持ピン(9)は、管内で管(3)の両端に位置する2つのブレードキャリア(10)の各々に固定される。管の両端では、2つのブレードキャリア(10)によって3つの混合器ブレード(11)が支持される。
【0034】
図3は、図1に示すアセンブリの一端の分解図である。管の内部端には、ブレードアセンブリ支持ボス(12)が直接的又は間接的に固定される。支持ボス(12)は、端部フランジに取り付けることができるが、管と端部フランジとの間の第2のフランジによって支持することも、或いは管によって内部的に支持することもできる。支持ボス(12)は、混合器アセンブリ支持ピン(9)を保持する円形面を有する。支持ボス(12)は、混合器アセンブリ支持ピン(9)の制限された自由回転度を可能にする形状とすることもできる。この構成では、混合器ボスを雌型として示し、混合器アセンブリ支持ピンを雄型として示しているが、逆にすることもできる。端部フランジには、混合器アセンブリ移動停止部(13)が取り付けられる。これらの移動停止部(13)は、管内における混合器アセンブリの自由回転度を制限する。これらの移動停止部(13)は、ブレードアセンブリ支持ボス(12)と同様にキャリアプレート上に固定することも、或いは管によって内部的に固定することもできる。ブレードアセンブリは図2に示す通りであり、管に対して適所にロックすることができるが、後述するような自由回転度が好ましい。
【0035】
図4に、管が回転した時の移動停止部(13)の動作を示す。単一の移動停止部を使用することもできるが、2つの移動停止部が好ましい。移動停止部(13)は、管に対して静止している。これらの停止部を離間させることにより、混合器ブレードアセンブリは、管の回転方向が変化した時に管に対して所望の角度だけ自由回転する。管(3)は、図3(a)では時計回りに回転しており、図3(c)では反時計回りに回転している。これらの段階では、図2に示すような混合器ブレードアセンブリの回転が移動停止部によって駆動される。図3(b)及び図3(d)には、回転の方向が変化する期間を示す。これらの段階では、管(3)に対する混合器アセンブリの回転が流体によって駆動される。管の駆動ストロークは、流体の回転運動を引き起こし、バルク流体に混合エネルギーを与える。この混合エネルギーは、混合器ブレードアセンブリが方向を変化させた時に最も高くなる。流体の駆動ストロークは、混合器ブレード(11)と管(3)の内壁との間に剪断力をもたらす。これによって伝熱性能が高められる。
【0036】
図5には、バッフル(14)を有する図2の混合器ブレードアセンブリを示す。これらのバッフルは、軸方向混合を制限することによって、改善された規則的な流れをもたらす役割を果たす。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b】
図4(c)】
図4(d】
図5