(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】フタロシアニン系化合物、及びその用途
(51)【国際特許分類】
C09B 47/12 20060101AFI20240207BHJP
C09B 47/18 20060101ALI20240207BHJP
C09B 47/20 20060101ALI20240207BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20240207BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C09B47/12 CSP
C09B47/18
C09B47/20
C09K3/00 105
C03C27/12 L
(21)【出願番号】P 2020550531
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2019039063
(87)【国際公開番号】W WO2020071470
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2018190515
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000179904
【氏名又は名称】山本化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】高坂 明宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 洋二郎
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-296885(JP,A)
【文献】特開平02-138382(JP,A)
【文献】特開2018-180167(JP,A)
【文献】特許第7128803(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 47/00-32
C03C 27/00-12
C09K 3/00-32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるフタロシアニン系化合物。
【化1】
〔式(1)中、A1~A8は、それぞれ独立して、
水素原子、
フェニル基、ナフチル基、1~5個のアルコキシ基を有するフェニル基、1~5個のアルコキシ基を有するナフチル基、
1~5個のアルキルチオ基を有するフェニルオキシ基、1~5個のアルキルチオ基を有するナフチルオキシ基、
1~5個のアルコキシ基を有するフェニルチオ基、1~5個のアルコキシ基を有するナフチルチオ基、
を表し、
X1~X8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基を表し、互いに結合して芳香環もしくは複素環を形成しても良い。
Mは2個の水素原子、2価の金属または3価もしくは4価の金属の誘導体を表し、
n1~n8はそれぞれ独立して、0~
8の整数を表す。ただし、n1~n8がすべて0であることは
無い。〕
【請求項2】
A1~A8は、それぞれ独立して、
水素原子、
フェニル基、
1~5個のアルキルチオ基を有するフェニルオキシ基、
1~5個のアルコキシ基を有するフェニルチオ基、
を表し、
n1~n8はそれぞれ独立して、0~6の整数を表し、n1~n8がすべて0であることは無い、請求項1に記載のフタロシアニン系化合物。
【請求項3】
X1~X8は、水素原子を表し、X1とX5、X2とX6、X3とX7、またはX4とX8とが結合してベンゼン環を形成しても良い、請求項2に記載のフタロシアニン系化合物。
【請求項4】
Mが2個の水素原子、Pd、Cu、Zn、Pt、Ni、TiO、Co、Fe、Mn、Sn、SnCl
2、AlCl、AlOH、Si(OH)
2、VO又はInClである、請求項
3に記載のフタロシアニン系化合物。
【請求項5】
MはCu又はVOを表す、請求項3に記載のフタロシアニン系化合物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載のフタロシアニン系化合物の少なくとも1種を含有する近赤外線吸収材料。ただし、光学センサー用光学フィルター用途を除く。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれかに記載のフタロシアニン系化合物の少なくとも1種を含有する熱線遮蔽材。
【請求項8】
熱線遮蔽フィルムである、請求項
7の熱線遮蔽材。
【請求項9】
合わせガラス用中間膜である、請求項
8の熱線遮蔽材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶剤溶解性、樹脂相溶性が良好で可視光透明性に優れ、耐久性が高い新規なフタロシアニン系化合物、及びその用途に関する。
詳しくは、近赤外領域に強い吸収を有し、可視光領域の吸収が非常に小さいため着色が少なく、光や熱に対する耐久性が高く、有機溶剤や樹脂に対する溶解性が良好で、近赤外線吸収フィルター、セキュリティインク、熱線遮蔽フィルム、合わせガラス用中間膜、赤外線感熱記録材料等の近赤外線吸収材料に広く利用可能な新規なフタロシアニン系化合物、及びその用途に関する。
【技術背景】
【0002】
近年、近赤外線吸収材料は光記録媒体、近赤外線光増感剤、光熱変換剤、近赤外線吸収フィルター、イメージセンサーや顔認証および指紋認証などの光学センサー用光学フィルター、近赤外線吸収インク、熱線遮蔽材など、広い分野において使用されるようになってきている。
特に、プラズマディスプレイなどに用いられる近赤外線カットフィルター、セキュリティ用に用いられる透明インク、あるいは自動車や建物の窓などに用いられる熱線遮蔽材、プラスチックのレーザー溶着などの用途に、近赤外線を吸収する能力が高くかつ可視光線の透過率の高い、すなわち着色が少なく透明度が高い、加えて光や熱に対する耐久性が高く、また有機溶剤や樹脂に溶解する近赤外線吸収材料の開発要求が高まっている。
【0003】
このような近赤外線吸収材料として種々の有機色素が検討され、アミニウム化合物、インモニウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物などは一部実用化にも至っている。
近赤外線吸収材料には可視光領域の吸収が小さいということから、シアニン系色素(文献1)、ジインモニウム塩系色素(文献2)、ジチオールニッケル錯体(文献3)が用いられている。
【0004】
しかし、シアニン系色素は近赤外線吸収能力が高いものの、耐久性が低く、溶解する有機溶剤も極性溶媒に限定されるという問題がある。ジインモニウム塩系色素は、近赤外線吸収能力、耐久性共に低く、溶解する有機溶剤も極性溶媒に限定されるという問題がある。ジチオールニッケル錯体も同様な問題が指摘されており、またその安全性についても問題がある。
高耐久性ということからフタロシアニン化合物も検討されており、樹脂中の会合性を抑制したフタロシアニン化合物(文献4)が提案されているが、樹脂相溶性という点で改善が望まれている。
本発明に類似したフタロシアニン系化合物(文献5及び6)も提案されているが、可視透過率或いは有機溶剤溶解性、樹脂相溶性に未だ不十分であり、改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-34260号公報
【文献】特開2002-226827号公報
【文献】特開2009-144053号公報
【文献】特開2013-218312号公報
【文献】特開1990-138382号公報
【文献】特表2003-516421号公報
【文献】特開1999-152413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、近赤外線領域に強い吸収を有し、可視光領域の吸収が非常に小さく、耐久性が高く、有機溶剤溶解性や樹脂に対する溶解性が良好な新規なフタロシアニン系化合物及びそれを含有する赤外線吸収材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題について鋭意検討した結果、特定のフタロシアニン系化合物が上記した特性を満足することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 一般式(1)で表されるフタロシアニン系化合物。
【化1】
〔式(1)中、A1~A8は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有するもしくは非置換のアリール基、酸素原子を含有する置換基、硫黄原子を含有する置換基、窒素原子を含有する置換基を表し、X1~X8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基を表し、互いに結合して芳香環もしくは複素環を形成しても良い。Mは2個の水素原子、2価の金属または3価もしくは4価の金属の誘導体を表し、n1~n8はそれぞれ独立して、0~12の整数を表す。ただし、n1~n8がすべて0であることは無く、さらに全てのA1~A8がアルコキシ基である場合、n1~n8は、すべてが同時に1であることは無く、すべてが同時に8であることも無い。〕
[2]
A1~A8において置換基を有するもしくは非置換のアリール基が、フェニル基またはナフチル基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[3]
A1~A8において置換基を有するアリール基が、1~5個のアルコキシ基を有するフェニル基または1~5個のアルコキシ基を有するナフチル基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[4]
A1~A8において置換基を有するアリール基が、1~5個のアルコキシ基を有するフェニル基または1~5個のアルコキシ基を有するナフチル基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[5]
A1~A8が水素原子、酸素原子を含有する置換基または置換基を有するもしくは非置換のフェニル基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基で、かつn1~n8の4個が0である[1]のフタロシアニン系化合物。
[6]
A1~A8が水素原子、酸素原子を含有する置換基または置換基を有するもしくは非置換のフェニル基で、かつX1とX5、X2とX6、X3とX7、X4とX8が互いに結合してベンゼン環を形成し、かつn1~n8の4個が0である[1]のフタロシアニン系化合物。
[7]
A1~A8において酸素原子を含有する置換基が、置換基を有するもしくは非置換アルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[8]
A1~A8において酸素原子を含有する置換基が、1~5個のアルコキシ基を有するフェニルオキシ基または1~5個のアルコキシ基を有するナフチルオキシ基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[9]
A1~A8において酸素原子を含有する置換基が、1~5個のアルコキシ基を有するフェニルオキシ基または1~5個のアルコキシ基を有するナフチルオキシ基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基で、かつn1~n8が3~6である[1]のフタロシアニン系化合物。
[10]
A1~A8において酸素原子を含有する置換基が、総炭素数3~8個のアルコキシアルコキシ基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[11]
A1~A8において酸素原子を含有する置換基が、総炭素数3~6個のアルコキシアルコキシ基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基で、かつn1~n8が3~6である[1]のフタロシアニン系化合物。
[12]
A1~A8において酸素原子を含有する置換基が、1~5個のアルキルチオ基を有するフェニルオキシ基または1~5個のアルキルチオ基を有するナフチルオキシ基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[13]
A1~A8において酸素原子を含有する置換基が、1~5個のアルキルチオ基を有するフェニルオキシ基または1~5個のアルキルチオ基を有するナフチルオキシ基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基で、かつn1~n8が2~6である[1]のフタロシアニン系化合物。
[14]
A1~A8において硫黄原子を含有する置換基が、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基または、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[15]
A1~A8において硫黄原子を含有する置換基が、1~5個のアルコキシ基を有するフェニルチオ基または1~5個のアルコキシ基を有するナフチルチオ基で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基もしく置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[16]
A1~A8において窒素原子を含有する置換基が、置換基を有するもしくは非置換のモノアルキルアミノ基、置換基を有するもしくは非置換のジアルキルアミノ基、置換基を有するもしくは非置換のモノアリールアミノ基、置換基を有するもしくは非置換のジアリールアミノ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアルキルアリールアミノ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[17]
A1~A8が酸素原子を含む複素環、硫黄原子を含む複素環または窒素原子を含む複素環で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[18]
A1~A8が置換基を有するもしくは非置換のフラン環、置換基を有するもしくは非置換のテトラヒドロフラン環、置換基を有するもしくは非置換の1,3-ジオキソラン環、置換基を有するもしくは非置換の1,3-ジオキサン環、置換基を有するもしくは非置換の1,4-ジオキサン環、置換基を有するもしくは非置換のチオフェン環、置換基を有するもしくは非置換のテトラヒドロチオフェン環、置換基を有するもしくは非置換のチアン環、置換基を有するもしくは非置換のピロール環、置換基を有するもしくは非置換のピロリジン環、置換基を有するもしくは非置換のピリジン環、置換基を有するもしくは非置換のピぺリジン環、置換基を有するもしくは非置換のイミダゾール環、置換基を有するもしくは非置換のオキサゾール環、置換基を有するもしくは非置換のピラジン環もしくは置換基を有するもしくは非置換のチアゾール環で、かつX1~X8が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基もしくは置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基である[1]のフタロシアニン系化合物。
[19]
A1~A8が(a1)水素原子、(a2)置換基を有するもしくは非置換のアリール基、(a3)酸素原子を含有する置換基、(a4)硫黄原子を含有する置換基、(a5)窒素原子を含有する置換基から選択される2種の組み合わせであり、
A1~A8が前記(a2)~(a5)のいずれか1つに含まれる2種の置換基の組み合わせである場合、2種の前記置換基は同一でも異なっていてもよい、[1]~[18]のフタロシアニン系化合物。
[20]
X1~X8がフッ素原子、塩素原子または臭素原子である[1のフタロシアニン系化合物。
[21]
X1とX5、X2とX6、X3とX7、X4とX8が互いに結合して複素環を形成した[1]、[2]、[3]、[7]、[14]、[16]および[19]のいずれかに記載のフタロシアニン系化合物。
[22]
Mが2個の水素原子、Pd、Cu、Zn、Pt、Ni、TiO、Co、Fe、Mn、Sn、SnCl
2、AlCl、AlOH、Si(OH)
2、VOまたはInClである、[1]~[21]のいずれかに記載のフタロシアニン系化合物。
[23]
[1]~[22]のいずれかに記載のフタロシアニン系化合物の少なくとも1種を含有する近赤外線吸収材料。ただし、光学センサー用光学フィルター用途を除く。
[24]
[1]~[22]のいずれかに記載のフタロシアニン系化合物の少なくとも1種を含有する熱線遮蔽材。
[25]
熱線遮蔽フィルムである、[24]の熱線遮蔽材。
[26]
合わせガラス用中間膜である、[25]の熱線遮蔽材。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、近赤外領域に強い吸収を有し、可視光領域の吸収が非常に小さく耐久性が高く、有機溶剤や樹脂に対する溶解性が良好なフタロシアニン系化合物、及びこのような特性を有する近赤外線吸収材料などのその用途を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
【
図1】実施例1で製造した具体例(1-167)の吸収スペクトル図である。
【
図2】実施例2で製造した具体例(1-178)の吸収スペクトル図である。
【
図3】実施例3で製造した具体例(1-165)の吸収スペクトル図である。
【
図4】実施例4で製造した具体例(2-37)~具体例(2-40)異性体混合物の吸収スペクトル図である。
【
図5】実施例5で製造した具体例(1-170)の吸収スペクトル図である。
【
図6】実施例6で製造した具体例(1-171)の吸収スペクトル図である。
【
図7】実施例7で製造した具体例(1-174)の吸収スペクトル図である。
【
図8】実施例8で製造した具体例(1-175)の吸収スペクトル図である。
【
図9】実施例9で製造した具体例(2-1)~具体例(2-4)を含む混合物の吸収スペクトル図である。
【
図10】実施例10で製造した具体例(2-5)~具体例(2-8)を含む混合物の吸収スペクトル図である。
【
図11】実施例11で製造した具体例(2-9)~具体例(2-12)を含む混合物の吸収スペクトル図である。
【
図12】実施例12で製造した具体例(2-13)~具体例(2-16)を含む混合物の吸収スペクトル図である。
【
図13】実施例13で製造した具体例(1-156)の吸収スペクトル図である。
【
図14】実施例14で製造した具体例(1-310)の吸収スペクトル図である。
【
図15】実施例15で製造した具体例(1-311)の吸収スペクトル図である。
【
図16】実施例16で製造した具体例(1-179)の吸収スペクトル図である。
【
図17】実施例17で製造した具体例(1-182)の吸収スペクトル図である。
【
図18】実施例18で製造した具体例(1-158)の吸収スペクトル図である。
【
図19】実施例19で製造した具体例(1-183)の吸収スペクトル図である。
【
図20】実施例20で製造した具体例(2-17)の吸収スペクトル図である。
【
図21】実施例21で製造した具体例(2-21)の吸収スペクトル図である。
【
図22】実施例22で製造した具体例(2-25)の吸収スペクトル図である。
【
図23】実施例23で製造した具体例(2-29)~具体例(2-32)混合物の吸収スペクトル図である。
【
図24】実施例24で製造した具体例(2-33)~具体例(2-36)混合物の吸収スペクトル図である。
【
図25】比較例1で製造した比較例化合物(a)の吸収スペクトル図である。
【
図26】比較例2で製造した比較例化合物(b)の吸収スペクトル図である。
【
図27】比較例3で製造した比較例化合物(d)の吸収スペクトル図である。
【
図28】実施例6、実施例12、実施例15、実施例16および比較例1の透過スペクトルの比較図である。
【
図29】実施例20、実施例22および比較例3の透過スペクトルの比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
[フタロシアニン系化合物]
本発明の第1の発明は、一般式(1)で表されるフタロシアニン系化合物である。
【化2】
【0012】
式(1)中、A1~A8は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有するもしくは非置換のアリール基、酸素原子を含有する置換基、硫黄原子を含有する置換基、窒素原子を含有する置換基を表し、X1~X8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基を表し、互いに結合して芳香環もしくは複素環を形成しても良い。Mは2個の水素原子、2価の金属または3価もしくは4価の金属の誘導体を表し、n1~n8はそれぞれ独立して、0~12の整数を表す。ただし、n1~n8がすべて0であることは無く、さらに全てのA1~A8がアルコキシ基である場合、n1~n8は、すべてが同時に1であることは無く、すべてが同時に8であることも無い。
【0013】
一般式(1)においてMは好ましくは、Mが2個の水素原子、Pd、Cu、Zn、Pt、Ni、TiO、Co、Fe、Mn、Sn、SnCl2、AlCl、AlOH、Si(OH)2、VO又はInClである。より好ましくは、Mは、2個の水素原子、Pd、Cu、Zn、TiO、AlCl、AlOH、VOである。
【0014】
A1~A8について、水素原子が良く、置換基を有するもしくは非置換のアリール基としてはフェニル基またはナフチル基が良い。特に1~5個のアルコキシ基を有するフェニル基または1~5個のアルコキシ基を有するナフチル基が良い。
A1~A8が酸素原子を含有する置換基としては、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のフェニルオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のナフチルオキシ基、酸素原子を含む複素環が良く、特に1~5個のアルコキシ基を有するフェニルオキシ基、1~5個のアルコキシ基を有するナフチルオキシ基、1~5個のアルキルチオ基を有するフェニルオキシ基、1~5個のアルキルチオ基を有するナフチルオキシ基または総炭素数3~8個のアルコキシアルコキシ基が良い。
【0015】
A1~A8が硫黄原子を含有する置換基としては、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基、硫黄原子を含む複素環が良く、特に1~5個のアルコキシ基を有するフェニルチオ基、1~5個のアルコキシ基を有するナフチルチオ基が良い。
A1~A8が窒素原子を含有する置換基としては、置換基を有するもしくは非置換のモノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基もしくはアルキルアリールアミノ基、窒素原子を含む複素環が良い。
【0016】
X1~X8については水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するもしくは非置換のアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオ基、Xが互いに結合して芳香環もしくは複素環を形成しても良い。特に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルキルチオアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアリールチオアルキル基、置換基を有するもしくは非置換のアルコキシアルコキシ基、置換基を有するもしくは非置換のアリールオキシアルコキシ基、Xが互いに結合してベンゼン環を形成したもの、Xが互いに結合してピリジン環を形成したものが良い。
n1~n8は0~12の整数で、n1~n8のすべて0であることは無い。n1~n8は0~8が良く、特に0~6が良い。
【0017】
A1~A8の置換基を有するもしくは非置換のアリール基の例としては、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-n-プロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基、4-イソブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ペンチルフェニル基、4-イソペンチルフェニル基、4-tert-ペンチルフェニル基、4-n-ヘキシルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、4-n-ヘプチルフェニル基、4-n-オクチルフェニル基、4-n-ノニルフェニル基、4-n-デシルフェニル基、4-n-ウンデシルフェニル基、4-n-ドデシルフェニル基、4-n-テトラデシルフェニル基、4-n-ヘキサデシルフェニル基、4-n-オクタデシルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、2,3,5,6-テトラメチルフェニル基、5-インダニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ナフチル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-n-プロポキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、4-n-ブトキシフェニル基、4-イソブトキシフェニル基、4-n-ペンチルオキシフェニル基、4-n-ヘキシルオキシフェニル基、4-シクロヘキシルオキシフェニル基、4-n-ヘプチルオキシフェニル基、4-n-オクチルオキシフェニル基、4-n-ノニルオキシフェニル基、4-n-デシルオキシフェニル基、4-n-ウンデシルオキシフェニル基、4-n-ドデシルオキシフェニル基、4-n-テトラデシルオキシフェニル基、4-n-ヘキサデシルオキシフェニル基、4-n-オクタデシルオキシフェニル基、2,3-ジメトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、2,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3,5-ジエトキシフェニル基、2-メトキシ-4-メチルフェニル基、2-メトキシ-5-メチルフェニル基、3-メトキシ-4-メチルフェニル基、2-メチル-4-メトキシフェニル基、3-メチル-4-メトキシフェニル基、3-メチル-5-メトキシフェニル基、2,4,6-トリメトキシフェニル基、2,3,5-トリメトキシフェニル基、2,4,5-トリメトキシフェニル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基、2,3,5-トリメトキシフェニル基、2,3,4,6-テトラメトキシフェニル基、
2,3,5,6-テトラメトキシフェニル基、2,3,5,6-テトラメトキシ-4-メチルフェニル基、2,3,4,5-テトラメトキシ-6-メチルフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタメトキシフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、2-クロロ-4-メチルフェニル基、3-クロロ-4-メチルフェニル基、2-クロロ-4-メトキシフェニル基、3-メトキシ-4-フルオロフェニル基、3-メトキシ-4-クロロフェニル基、3-フルオロ-4-メトキシフェニル基、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、4-(4’-メチルフェニル)フェニル基、4-(4’-メトキシフェニル)フェニル基、3,5-ジフェニルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基、4-エトキシ-1-ナフチル基、6-n-ブチル-2-ナフチル基、2-メトキシ-1-ナフチル基、3-メトキシ-1-ナフチル基、4-メトキシ-1-ナフチル基、5-メトキシ-1-ナフチル基、6-メトキシ-1-ナフチル基、1-メトキシ-2-ナフチル基、3-メトキシ-2-ナフチル基、4-メトキシ-2-ナフチル基、6-メトキシ-2-ナフチル基、7-メトキシ-2-ナフチル基、7-エトキシ-2-ナフチル基、7-イソプロポキシ-2-ナフチル基、7-(エトキシエトキシ)-2-ナフチル基、2,4-ジメトキシ-1-ナフチル基、2,6-ジメトキシ-1-ナフチル基、2,7-ジメトキシ-1-ナフチル基、2,8-ジメトキシ-1-ナフチル基、3,6-ジメトキシ-1-ナフチル基、1,4-ジメトキシ-2-ナフチル基、1,5-ジメトキシ-2-ナフチル基、1,6-ジメトキシ-2-ナフチル基、1,6-ジエトキシ-2-ナフチル基、2,5,6-トリメトキシ-1-ナフチル基、2,5,6-トリエトキシ-1-ナフチル基、
4,5,8-トリメトキシ-1-ナフチル基、4,6,8-トリメトキシ-2-ナフチル基、1,5,6-トリメトキシ-2-ナフチル基、3,6,7-トリメトキシ-2-ナフチル基、4,6,7-トリメトキシ-2-ナフチル基、5,6,7,8-テトラメトキシ-1-ナフチル基、2,3,6,7-テトラメトキシ-1-ナフチル基、1,4,5,8-テトラメトキシ-2-ナフチル基、1,4,5,8-テトラエトキシ-2-ナフチル基、1,3,5,7-テトラメトキシ-2-ナフチル基、2-フリル基、5-メチル-2-フリル基、5-メトキシ-2-フリル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-ピリジル基、6-メチル-2-ピリジル基、3-メトキシ-2-ピリジル基、6-フルオロ-2-ピリジル基、3-ピリジル基、6-エチル-3-ピリジル基、5-エトキシ-3-ピリジル基、4-ピリジル基、2,6-ジメチル-4-ピリジル基、2,6-ジメトキシ-4-ピリジル基、2-ピラジニル基、2-イミダゾリル基、3-ピラゾリル基、2-チアゾリル基、2-オキサゾリル基、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、2-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル基、2-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)フェニル基、4-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-1-ナフチル基、4-ピロリジノフェニル基、4-ピペリジノフェニル基、4-モルフォリノフェニル基、4-ピロリジノ-1-ナフチル基、4-(N-ベンジル-N-メチルアミノ)フェニル基、4-(N-ベンジル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N-メチル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N-エチル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N-n-ブチル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル基、2-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-エチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-tert-ブチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ブトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(1’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(2’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-オクチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フルオロフェニル)アミノ〕フェニル基、
4-〔N-フェニル-N-(1’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(2’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フェニルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)-1-ナフチル基、6-(N,N-ジフェニルアミノ)-2-ナフチル基、4-(N-カルバゾリイル)フェニル基、4-(N-フェノキサジイル)フェニル基などの置換基が挙げられる。
【0018】
A1~A8が酸素原子を含有する置換基の例としては、2-メチルフェニルオキシ基、3-メチルフェニルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、3-エチルフェニルオキシ基、4-エチルフェニルオキシ基、4-n-プロピルフェニルオキシ基、4-イソプロピルフェニルオキシ基、4-n-ブチルフェニルオキシ基、4-イソブチルフェニルオキシ基、4-tert-ブチルフェニルオキシ基、4-n-ペンチルフェニルオキシ基、4-イソペンチルフェニルオキシ基、4-tert-ペンチルフェニルオキシ基、4-n-ヘキシルフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルフェニルオキシ基、4-n-ヘプチルフェニルオキシ基、4-n-オクチルフェニルオキシ基、4-n-ノニルフェニルオキシ基、4-n-デシルフェニルオキシ基、4-n-ウンデシルフェニルオキシ基、4-n-ドデシルフェニルオキシ基、4-n-テトラデシルフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルフェニルオキシ基、4-n-オクタデシルフェニルオキシ基、2,3-ジメチルフェニルオキシ基、2,4-ジメチルフェニルオキシ基、2,5-ジメチルフェニルオキシ基、2,6-ジメチルフェニルオキシ基、3,4-ジメチルフェニルオキシ基、3,5-ジメチルフェニルオキシ基、3,4,5-トリメチルフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメチルフェニルオキシ基、5-インダニルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ナフチルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルオキシ基、2-メトキシフェニルオキシ基、3-メトキシフェニルオキシ基、4-メトキシフェニルオキシ基、3-エトキシフェニルオキシ基、4-エトキシフェニルオキシ基、4-n-プロポキシフェニルオキシ基、4-イソプロポキシフェニルオキシ基、4-n-ブトキシフェニルオキシ基、4-イソブトキシフェニルオキシ基、4-n-ペンチルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキシルオキシフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘプチルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクチルオキシフェニルオキシ基、4-n-ノニルオキシフェニルオキシ基、4-n-デシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ウンデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ドデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-テトラデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクタデシルオキシフェニルオキシ基、2,3-ジメトキシフェニルオキシ基、2,4-ジメトキシフェニルオキシ基、2,5-ジメトキシフェニルオキシ基、2,6-ジメトキシフェニルオキシ基、3,4-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジエトキシフェニルオキシ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2-メトキシ-5-メチルフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メチル-5-メトキシフェニルオキシ基、2,4,6-トリメトキシフェニルオキシ基、2,3,5-トリメトキシフェニルオキシ基、2,4,5-トリメトキシフェニルオキシ基、3,4,5-トリメトキシフェニルオキシ基、2,3,5-トリメトキシフェニルオキシ基、2,3,4,6-テトラメトキシフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメトキシフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2,3,4,5-テトラメトキシ-6-メチルフェニルオキシ基、2,3,4,5,6-ペンタメトキシフェニルオキシ基、2-フルオロフェニルオキシ基、3-フルオロフェニルオキシ基、4-フルオロフェニルオキシ基、2-クロロフェニルオキシ基、3-クロロフェニルオキシ基、4-クロロフェニルオキシ基、4-ブロモフェニルオキシ基、4-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、2,4-ジフルオロフェニルオキシ基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニルオキシ基、2,4-ジクロロフェニルオキシ基、
2,6-ジクロロフェニルオキシ基、3,4-ジクロロフェニルオキシ基、3,5-ジクロロフェニルオキシ基、2-メチル-4-クロロフェニルオキシ基、2-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基、3-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基、2-クロロ-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-フルオロフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-クロロフェニルオキシ基、3-フルオロ-4-メトキシフェニルオキシ基、4-フェニルフェニルオキシ基、3-フェニルフェニルオキシ基、2-フェニルフェニルオキシ基、4-(4’-メチルフェニル)フェニルオキシ基、4-(4’-メトキシフェニル)フェニルオキシ基、3,5-ジフェニルフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、4-エトキシ-1-ナフチルオキシ基、6-n-ブチル-2-ナフチルオキシ基、2-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、3-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、4-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、5-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、6-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、1-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、3-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、4-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、6-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、7-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、7-エトキシ-2-ナフチルオキシ基、7-イソプロポキシ-2-ナフチルオキシ基、7-(エトキシエトキシ)-2-ナフチルオキシ基、2,4-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,6-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,7-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,8-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、3,6-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、1,4-ジメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,5-ジメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,6-ジメトキシ-2-ナフチルオキシ基、
1,6-ジエトキシ-2-ナフチルオキシ基、2,5,6-トリメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,5,6-トリエトキシ-1-ナフチルオキシ基、4,5,8-トリメトキシ-1-ナフチルオキシ基、4,6,8-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,5,6-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、3,6,7-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、4,6,7-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、5,6,7,8-テトラメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,3,6,7-テトラメトキシ-1-ナフチルオキシ基、1,4,5,8-テトラメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,4,5,8-テトラエトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,3,5,7-テトラメトキシ-2-ナフチルオキシ基、2-メチルチオフェニルオキシ基、3-メチルチオフェニルオキシ基、4-メチルチオフェニルオキシ基、2,4-ジメチルチオフェニルオキシ基、2,6-ジメチルチオフェニルオキシ基、2,4,6-トリメチルチオフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメチルチオ-4-メチルフェニルオキシ基、2,3,4,5-テトラメチルチオ-6-メチルフェニルオキシ基、2,3,4,5,6-ペンタメチルチオフェニルオキシ基、2-メチルチオ-1-ナフチルオキシ基、4-メチルチオ-1-ナフチルオキシ基、5-メチルチオ-1-ナフチルオキシ基、2,4-ジメチルチオ-1-ナフチルオキシ基、1-メチルチオ-2-ナフチルオキシ基、6-メチルチオ-2-ナフチルオキシ基、1,6-ジメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、4,6,8-トリメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、3,6,7-トリメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、1,5,6-トリメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、5,6,7,8-テトラメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、2,3,6,7-テトラメチルチオ-1-ナフチルオキシ基、1,5,6,7,8-ペンタメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、2-フリル基、5-メチル-2-フリルオキシ基、5-メトキシ-2-フリルオキシ基、2-チエニルオキシ基、3-チエニルオキシ基、2-ピリジルオキシ基、6-メチル-2-ピリジルオキシ基、3-メトキシ-2-ピリジルオキシ基、6-フルオロ-2-ピリジルオキシ基、3-ピリジルオキシ基、
6-エチル-3-ピリジルオキシ基、5-エトキシ-3-ピリジルオキシ基、4-ピリジルオキシ基、2,6-ジメチル-4-ピリジルオキシ基、2,6-ジメトキシ-4-ピリジルオキシ基、2-ピラジニルオキシ基、2-イミダゾリルオキシ基、3-ピラゾリルオキシ基、2-チアゾリルオキシ基、2-オキサゾリルオキシ基、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルオキシ基、3-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルオキシ基、2-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニルオキシ基、2-(N,N-ジエチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-1-ナフチルオキシ基、4-ピロリジノフェニルオキシ基、4-ピペリジノフェニルオキシ基、4-モルフォリノフェニルオキシ基、4-ピロリジノ-1-ナフチルオキシ基、4-(N-ベンジル-N-メチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-ベンジル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-メチル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-エチル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-n-ブチル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニルオキシ基、2-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-エチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-tert-ブチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ブトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(1’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(2’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-オクチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フルオロフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(1’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(2’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フェニルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)-1-ナフチルオキシ基、6-(N,N-ジフェニルアミノ)-2-ナフチルオキシ基、4-(N-カルバゾリイル)フェニルオキシ基、4-(N-フェノキサジイル)フェニルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルオキシ基、1-メチルブチルオキシ基、
2-メチルブチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチルペンチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、4-メチルペンチルオキシ基、4-メチル-2-ペンチルオキシ基、1,2-ジメチルブチルオキシ基、2,3-ジメチルブチルオキシ基、3,3-ジメチルブチルオキシ基、1-エチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、1-メチルヘキシルオキシ基、3-メチルヘキシルオキシ基、5-メチルヘキシルオキシ基、2,4-ジメチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、1-メチルヘプチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、2-プロピルペンチルオキシ基、2,5-ジメチルヘキシルオキシ基、2,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、2,2-ジメチルヘプチルオキシ基、2,6-ジメチル-4-ヘプチルオキシ基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、n-デシルオキシ基、4-エチルオクチルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、1-メチルデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、1,3,5,7-テトラメチルオクチルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、1-ヘキシルヘプチルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-エイコシルオキシ基、n-トリコシルオキシ基、n-テトラコシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4-メチルシクロヘキシルオキシ基、4-tert-ブチルシクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、イソプロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシヘキシルオキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシエトキシ基、2-テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフリルオキシ基、テトラヒドロフルフリルオキシ基、2-メチル-5-テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、1,3-ジオキソラン-2-イル基、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル基、1,4-ジオキサン-2-イル基、1,3-ジオキサン-2-イル基などの置換基が挙げられる。
【0019】
A1~A8が硫黄原子を含有する置換基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、メトキシエチルチオ基、フェノキシエチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルエチルチオ基、フェニルチオ基、2-メトキシ-フェニルチオ基、3-メトキシ-フェニルチオ基、4-メトキシ-フェニルチオ基、2,4-ジメトキシ-フェニルチオ基、3,5-ジメトキシ-フェニルチオ基、2,4,6-トリメトキシ-フェニルチオ基、3-メチルチオ-フェニルチオ基、2,4-ジメチルチオ-フェニルチオ基、2,4,6-トリメチルチオ-フェニルチオ基、2-メトキシ-1-ナフチルチオ基、2-メチルチオ-1-ナフチルチオ基、4-メチルチオ-1-ナフチルチオ基、5-メトキシ-1-ナフチルチオ基、2,4-ジメトキシ-1-ナフチルチオ基、2,4-ジメチルチオ-1-ナフチルチオ基、1-メチルチオ-2-ナフチルチオ基、1-メトキシ-2-ナフチルチオ基、6-メチルチオ-2-ナフチルチオ基、6-メトキシ-2-ナフチルチオ基、1,6-ジメチルチオ-2-ナフチルチオ基、1,6-ジメトキシ-2-ナフチルチオ基、4,6,8-トリメチルチオ-2-ナフチルチオ基、4,6,8-トリメトキシ-2-ナフチルチオ基、3,6,7-トリメチルチオ-2-ナフチルチオ基、3,6,7-トリメトキシ-2-ナフチルチオ基、1,5,6-トリメチルチオ-2-ナフチルチオ基、1,5,6-トリメトキシ-2-ナフチルチオ基、5,6,7,8-テトラメチルチオ-2-ナフチルチオ基、5,6,7,8-テトラメトキシ-2-ナフチルチオ基、2,3,6,7-テトラメチルチオ-1-ナフチルチオ基、2,3,6,7-テトラメトキシ-1-ナフチルチオ基、1,5,6,7,8-ペンタメチルチオ-2-ナフチルチオ基、テトラヒドロチオフェン-2-イル基、テトラヒドロチオフェン-3-イル基、テトラヒドロチオピラン-2-イル基などの置換基が挙げられる。
【0020】
A1~A8が窒素原子を含有する置換基の例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ基、N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ基、N-メチル-N-n-オクチルアミノ基、N-エチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-(4’-tert-ブチルフェニル)アミノ基、N-n-ブチル-N-(4’-メトキシフェニル)アミノ基、ビス(2-メトキシエチル)アミノ基、ビス(2-イソプロポキシエチル)アミノ基、2-ピロリジニル基、1-ピロリジニル基、N-メチル-2-ピロリジニル基、1-ピペリジニル基、2-ピペリジニル基、N-メチル-2-ピペリジニル基、N-メチル-4-ピペリジニル基などの置換基が挙げられる。
【0021】
X1~X8がハロゲン原子である例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0022】
X1~X8がアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルヘキシル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、4-エチルオクチル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、1,3,5,7-テトラメチルオクチル基、n-トリデシル基、1-ヘキシルヘプチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、2-フェニルエチル基、2-(4’-メトキシフェニル)エチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、イソプロポキシエチル基、メトキシブチル基、エトキシヘキシル基、エトキシエトキシエチル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、2-フェノキシエチル基、2-(4’-メトキシフェノキシ)エチル基、4-(3’-メトキシフェノキシ)ブチル基、4-(2’, 6’-ジメトキシフェノキシ)ブチル基、4-(2’, 4’,6’-トリメトキシフェノキシ)ブチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基、4-(ジエチルアミノ)ブチル基、4-(フェニルアミノ)ブチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,2-ヘキサフルオロ-2-プロピル基、ペンタフルオロプロピル基、2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エチル基、4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)ブチル基、6-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ヘキシル基などの置換基が挙げられる。
【0023】
X1~X8がアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、1-メチルブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチルペンチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、4-メチルペンチルオキシ基、4-メチル-2-ペンチルオキシ基、1,2-ジメチルブチルオキシ基、2,3-ジメチルブチルオキシ基、3,3-ジメチルブチルオキシ基、1-エチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、1-メチルヘキシルオキシ基、3-メチルヘキシルオキシ基、5-メチルヘキシルオキシ基、2,4-ジメチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、1-メチルヘプチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、2-プロピルペンチルオキシ基、2,5-ジメチルヘキシルオキシ基、2,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシキシエトキシ基、3-メトキシプロポキシ基、2-イソプロポキシエトキシ基、4-メトキシブトキシ基、4-エトキシブトキシ基、4-ブトキシキシブトキシ基、6-エトキシヘキシルオキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、2-フェニルエトキシ基、2-(4’-メトキシフェノキシ)エトキシ基、4-(3’-メトキシフェノキシ)ブトキシ基、4-(2’, 6’-ジメトキシフェノキシ)ブトキシ基、4-(2’, 4’,6’-トリメトキシフェノキシ)ブトキシ基、2-(ジメチルアミノ)エトキシ基、4-(ジエチルアミノ)ブトキシ基、4-(フェニルアミノ)ブトキシ基などの置換基が挙げられる。
【0024】
X1~X8がアリールオキシ基の例としては、2-メチルフェニルオキシ基、3-メチルフェニルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、3-エチルフェニルオキシ基、4-エチルフェニルオキシ基、4-n-プロピルフェニルオキシ基、4-イソプロピルフェニルオキシ基、4-n-ブチルフェニルオキシ基、4-イソブチルフェニルオキシ基、4-tert-ブチルフェニルオキシ基、4-n-ペンチルフェニルオキシ基、4-イソペンチルフェニルオキシ基、4-tert-ペンチルフェニルオキシ基、4-n-ヘキシルフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルフェニルオキシ基、4-n-ヘプチルフェニルオキシ基、4-n-オクチルフェニルオキシ基、4-n-ノニルフェニルオキシ基、4-n-デシルフェニルオキシ基、4-n-ウンデシルフェニルオキシ基、4-n-ドデシルフェニルオキシ基、4-n-テトラデシルフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルフェニルオキシ基、4-n-オクタデシルフェニルオキシ基、2,3-ジメチルフェニルオキシ基、2,4-ジメチルフェニルオキシ基、2,5-ジメチルフェニルオキシ基、2,6-ジメチルフェニルオキシ基、3,4-ジメチルフェニルオキシ基、3,5-ジメチルフェニルオキシ基、3,4,5-トリメチルフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメチルフェニルオキシ基、5-インダニルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ナフチルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルオキシ基、2-メトキシフェニルオキシ基、3-メトキシフェニルオキシ基、4-メトキシフェニルオキシ基、3-エトキシフェニルオキシ基、4-エトキシフェニルオキシ基、4-n-プロポキシフェニルオキシ基、4-イソプロポキシフェニルオキシ基、4-n-ブトキシフェニルオキシ基、4-イソブトキシフェニルオキシ基、4-n-ペンチルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキシルオキシフェニルオキシ基、
4-シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘプチルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクチルオキシフェニルオキシ基、4-n-ノニルオキシフェニルオキシ基、4-n-デシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ウンデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ドデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-テトラデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクタデシルオキシフェニルオキシ基、2,3-ジメトキシフェニルオキシ基、2,4-ジメトキシフェニルオキシ基、2,5-ジメトキシフェニルオキシ基、2,6-ジメトキシフェニルオキシ基、3,4-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジエトキシフェニルオキシ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2-メトキシ-5-メチルフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メチル-5-メトキシフェニルオキシ基、2,4,6-トリメトキシフェニルオキシ基、2,3,5-トリメトキシフェニルオキシ基、2,4,5-トリメトキシフェニルオキシ基、3,4,5-トリメトキシフェニルオキシ基、2,3,5-トリメトキシフェニルオキシ基、2,3,4,6-テトラメトキシフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメトキシフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2,3,4,5-テトラメトキシ-6-メチルフェニルオキシ基、2,3,4,5,6-ペンタメトキシフェニルオキシ基、2-フルオロフェニルオキシ基、3-フルオロフェニルオキシ基、4-フルオロフェニルオキシ基、2-クロロフェニルオキシ基、3-クロロフェニルオキシ基、4-クロロフェニルオキシ基、4-ブロモフェニルオキシ基、4-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、2,4-ジフルオロフェニルオキシ基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニルオキシ基、2,4-ジクロロフェニルオキシ基、2,6-ジクロロフェニルオキシ基、3,4-ジクロロフェニルオキシ基、3,5-ジクロロフェニルオキシ基、2-メチル-4-クロロフェニルオキシ基、2-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基、3-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基、2-クロロ-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-フルオロフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-クロロフェニルオキシ基、3-フルオロ-4-メトキシフェニルオキシ基、4-フェニルフェニルオキシ基、
3-フェニルフェニルオキシ基、2-フェニルフェニルオキシ基、4-(4’-メチルフェニル)フェニルオキシ基、4-(4’-メトキシフェニル)フェニルオキシ基、3,5-ジフェニルフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、4-エトキシ-1-ナフチルオキシ基、6-n-ブチル-2-ナフチルオキシ基、2-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、3-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、4-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、5-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、6-メトキシ-1-ナフチルオキシ基、1-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、3-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、4-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、6-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、7-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、7-エトキシ-2-ナフチルオキシ基、7-イソプロポキシ-2-ナフチルオキシ基、7-(エトキシエトキシ)-2-ナフチルオキシ基、2,4-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,6-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,7-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,8-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、3,6-ジメトキシ-1-ナフチルオキシ基、1,4-ジメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,5-ジメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,6-ジメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,6-ジエトキシ-2-ナフチルオキシ基、2,5,6-トリメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,5,6-トリエトキシ-1-ナフチルオキシ基、4,5,8-トリメトキシ-1-ナフチルオキシ基、4,6,8-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,5,6-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、3,6,7-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、4,6,7-トリメトキシ-2-ナフチルオキシ基、5,6,7,8-テトラメトキシ-1-ナフチルオキシ基、2,3,6,7-テトラメトキシ-1-ナフチルオキシ基、1,4,5,8-テトラメトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,4,5,8-テトラエトキシ-2-ナフチルオキシ基、1,3,5,7-テトラメトキシ-2-ナフチルオキシ基、2-メチルチオフェニルオキシ基、3-メチルチオフェニルオキシ基、4-メチルチオフェニルオキシ基、2,4-ジメチルチオフェニルオキシ基、2,6-ジメチルチオフェニルオキシ基、2,4,6-トリメチルチオフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメチルチオ-4-メチルフェニルオキシ基、2,3,4,5-テトラメチルチオ-6-メチルフェニルオキシ基、
2,3,4,5,6-ペンタメチルチオフェニルオキシ基、2-メチルチオ-1-ナフチルオキシ基、4-メチルチオ-1-ナフチルオキシ基、5-メチルチオ-1-ナフチルオキシ基、2,4-ジメチルチオ-1-ナフチルオキシ基、1-メチルチオ-2-ナフチルオキシ基、6-メチルチオ-2-ナフチルオキシ基、1,6-ジメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、4,6,8-トリメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、3,6,7-トリメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、1,5,6-トリメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、5,6,7,8-テトラメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、2,3,6,7-テトラメチルチオ-1-ナフチルオキシ基、1,5,6,7,8-ペンタメチルチオ-2-ナフチルオキシ基、2-フリル基、5-メチル-2-フリルオキシ基、5-メトキシ-2-フリルオキシ基、2-チエニルオキシ基、3-チエニルオキシ基、2-ピリジルオキシ基、6-メチル-2-ピリジルオキシ基、3-メトキシ-2-ピリジルオキシ基、6-フルオロ-2-ピリジルオキシ基、3-ピリジルオキシ基、6-エチル-3-ピリジルオキシ基、5-エトキシ-3-ピリジルオキシ基、4-ピリジルオキシ基、2,6-ジメチル-4-ピリジルオキシ基、2,6-ジメトキシ-4-ピリジルオキシ基、2-ピラジニルオキシ基、2-イミダゾリルオキシ基、3-ピラゾリルオキシ基、2-チアゾリルオキシ基、2-オキサゾリルオキシ基、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルオキシ基、3-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルオキシ基、2-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニルオキシ基、2-(N,N-ジエチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-1-ナフチルオキシ基、4-ピロリジノフェニルオキシ基、4-ピペリジノフェニルオキシ基、
4-モルフォリノフェニルオキシ基、4-ピロリジノ-1-ナフチルオキシ基、4-(N-ベンジル-N-メチルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-ベンジル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-メチル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-エチル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N-n-ブチル-N-フェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニルオキシ基、2-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-エチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-tert-ブチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ブトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(1’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N,N-ジ(2’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-オクチルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フルオロフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(1’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(2’-ナフチル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フェニルフェニル)アミノ〕フェニルオキシ基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)-1-ナフチルオキシ基、6-(N,N-ジフェニルアミノ)-2-ナフチルオキシ基、4-(N-カルバゾリイル)フェニルオキシ基、4-(N-フェノキサジイル)フェニルオキシ基などの置換基が挙げられる。
【0025】
X1~X8がアルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、メトキシエチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ベンジルチオ基、4-メトキシベンジルチオ基、フェニルエチルチオ基、フェノキシエチルチオ基などの置換基が挙げられる。
【0026】
X1~X8がアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、2-メトキシ-フェニルチオ基、3-メトキシ-フェニルチオ基、4-メトキシ-フェニルチオ基、2,4-ジメトキシ-フェニルチオ基、3,5-ジメトキシ-フェニルチオ基、2,4,6-トリメトキシ-フェニルチオ基、3-メチルチオ-フェニルチオ基、2,4-ジメチルチオ-フェニルチオ基、2,4,6-トリメチルチオ-フェニルチオ基、2-メトキシ-1-ナフチルチオ基、2-メチルチオ-1-ナフチルチオ基、4-メチルチオ-1-ナフチルチオ基、5-メトキシ-1-ナフチルチオ基、2,4-ジメトキシ-1-ナフチルチオ基、2,4-ジメチルチオ-1-ナフチルチオ基、1-メチルチオ-2-ナフチルチオ基、1-メトキシ-2-ナフチルチオ基、6-メチルチオ-2-ナフチルチオ基、6-メトキシ-2-ナフチルチオ基、1,6-ジメチルチオ-2-ナフチルチオ基、1,6-ジメトキシ-2-ナフチルチオ基、4,6,8-トリメチルチオ-2-ナフチルチオ基、4,6,8-トリメトキシ-2-ナフチルチオ基、3,6,7-トリメチルチオ-2-ナフチルチオ基、3,6,7-トリメトキシ-2-ナフチルチオ基、1,5,6-トリメチルチオ-2-ナフチルチオ基、1,5,6-トリメトキシ-2-ナフチルチオ基、5,6,7,8-テトラメチルチオ-2-ナフチルチオ基、5,6,7,8-テトラメトキシ-2-ナフチルチオ基、2,3,6,7-テトラメチルチオ-1-ナフチルチオ基、2,3,6,7-テトラメトキシ-1-ナフチルチオ基、1,5,6,7,8-ペンタメチルチオ-2-ナフチルチオ基などの置換基が挙げられる。
【0027】
X1~X8が互いに結合して芳香環もしくは複素環を形成している例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、キノキサリン環、フェナジン環、アントラキノン環などが挙げられ、ベンゼン環、ピリジン環、フェノチアジン環が良く、特にベンゼン環が良い。さらに芳香環もしくは複素環に置換基を有していても良い。
【0028】
n1~n8はそれぞれ独立して、0~12の整数で、n1~n8がすべて0であることは無い。好ましくは0~8で、特に0~6が好ましい。
一般式(1)で表されるフタロシアニン系化合物の具体例を表1の(1-1)~(1-462)と図の(2-1)~(2-71)に示すが、これらに限定されるものではない。表1は、すべてのA1~A8が同一、すべてのX1~X8が同一、すべてのn1~n8が同一の場合の具体例を示す。図(2-1)~(2-71)は、A1~A8が同一でない場合、あるいはX1~X8が同一でない場合、あるいはn1~n8が同一でない場合のいずれかの場合の具体例を示す。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
一般式(1)で表されるフタロシアニン系化合物は公知の方法を参考にして製造することができる。
すなわち、一般式(1)で表される化合物は、例えば一般式(2)で表されるフタロニトリル系化合物或いは一般式(3)で表される1,3-ジイミノイソインドリン系化合物の少なくとも1種と、金属または金属誘導体を反応させることにより製造することができる。
【0078】
【0079】
式中、AaはA1~A4、AbはA5~A8、XaはX1~X4、XbはX5~X8、naはn1~n4およびnbはn5~n8を示し、一般式(1)におけるものと同義である。
【0080】
金属又は金属誘導体としてはAl、Si、Ti,V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb及びこれらのハロゲン化物、カルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。
特に金属のハロゲン化物又はカルボン酸塩が好ましく用いられ、これらの例としては塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
【0081】
金属又は金属誘導体の使用量は、一般式(2)のフタロニトリル系化合物1モル或いは一般式(3)の1,3-ジイミノイソインドリン系化合物1モルに対し、0.1倍モル~0.6倍モル、好ましくは0.2倍モル~0.5倍モルである。
反応温度は60~300℃、好ましくは100~220℃である。
反応時間は30分~72時間、好ましくは1時間~48時間である。
【0082】
反応においては、溶媒を使用することが好ましい。反応に使用される溶媒としては沸点60℃以上、好ましくは80℃以上の有機溶媒が好ましい。
例としてメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-アミルアルコール、n-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ドデカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ジメチルエタノール、ジエチルエタノール等のアルコール溶媒、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スルフォラン、ニトロベンゼン、キノリン、DMI(1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン)、尿素等の高沸点溶媒が挙げられる。
溶媒の使用量は一般式(2)のフタロニトリル系化合物或いは一般式(3)の1,3-ジイミノイソインドリン系化合物の0.5~50倍容量、好ましくは1~15倍容量である。
【0083】
反応は触媒の存在下或いは非存在下に行われるが、触媒存在下の方が好ましい。
触媒としてはモリブデン酸アンモニウム等の無機触媒、或いはDBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)等の塩基性有機触媒が使用できる。使用量はフタロニトリル系化合物1モル或いは1,3-ジイミノイソンドリン系化合物1モルに対して0.01~10倍モル、好ましくは1~2倍モルである。
【0084】
なお、Mが2個の水素原子であるフタロシアニン化合物の場合は、一般式(2)で表されるフタロニトリル系化合物或いは一般式(3)の1,3-ジイミノイソインドリン系化合物から選ばれる少なくとも 1 種と金属ナトリウム或いは金属カリウムと上記反応条件にて反応させた後、中心金属であるナトリウム或いはカリウムを塩酸、硫酸等で脱離処理することにより製造できる。
【0085】
反応終了後、溶媒を留去するか、又は反応液をフタロシアニン系化合物に対する貧溶媒に排出して目的物を析出させ、析出物をろ過することにより一般式(1)のフタロシアニン系化合物を得ることが出来る。
通常、フタロシアニン化系合物は異性体の混合物として得られる。
目的に応じて、更に再結晶或いはカラムクロマトグラフィー等公知の精製方法で精製することにより、より高純度の目的物を得ることができる。
【0086】
なお、一般式(2)で表されるフタロニトリル系化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。
例えば、特表2003-516421号公報を参考にして下記のルートで製造することができる。
【0087】
【0088】
一般式(4)および一般式(6)においてXaおよびXbは一般式(2)および一般式(3)におけるものと同義であり、一般式(5)および一般式(6)においてRはアルキル基またはアリール基を表す。一般式(7a)におけるAaおよびna、一般式(7b)におけるAbおよびnbは一般式(2)および一般式(3)におけるものと同義であり、一般式(7a)および一般式(7b)におけるYはハロゲン原子である。
【0089】
具体的には、有機溶媒中、一般式(4)のフタロニトリル系化合物に塩基の存在下、一般式(5)のアルキルスルホン酸クロライド或いはアリールスルホン酸クロライドを反応して一般式(6)のフタロニトリル系化合物を製造することができる。
アルキルスルホン酸クロライドとしてメタンスルホン酸クロライド、エタンスルホン酸クロライド、プロパンスルホン酸クロライド、トリフルオロメタンスルホン酸クロライドなどが使用できる。
【0090】
アリールスルホン酸クロライドとしてベンゼンスルホン酸クロライド、トルエンスルホン酸クロライド、クロロベンゼンスルホン酸クロライド、ナフタレンスルホン酸クロライドなどが使用できる。
アルキルスルホン酸クロライド或いはアリールスルホン酸クロライドの使用量としては一般式(4)のフタロニトリル系化合物1モルに対し、2倍モル~4倍モル、好ましくは2倍モル~3倍モル、より好ましくは2倍モル~2.2倍モルである。
【0091】
塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジンなどが使用できる。
塩基の使用量としては一般式(4)のフタロニトリル系化合物1モルに対し、2倍モル~4倍モル、好ましくは2倍モル~3倍モルである。
【0092】
溶媒としては反応に悪影響を及ぼすものでなければ特に制限はなく、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、ベンゾトリフルオライド、アセトニトリル、トルエンなどが使用できる。
溶媒の使用量として特に限定するものではないが、フタロニトリル系化合物1モルに対して、500mL~3.0L、好ましくは、1.0~2.0Lである。
【0093】
反応温度は室温~200℃であり、好ましくは50~150℃、より好ましくは50~100℃である。
反応時間は10分~48時間、好ましくは20分~24時間、より好ましくは30分~12時間である。
【0094】
反応終了後、溶媒を留去するか、又は反応液をフタロニトリル系化合物に対する貧溶媒に排出して目的物を析出させ、析出物をろ過することにより一般式(6)のフタロニトリル系化合物を得ることができる。
必要に応じて、この生成物にさらに再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの公知の精製操作を加えることにより、より高純度品を得ることが出来る。
【0095】
ついで一般式(6)のフタロニトリル系化合物に有機溶媒中、パラジウム触媒の存在下、一般式(7a)および一般式(7b)の有機亜鉛試薬とクロスカップリング(根岸反応)して一般式(2)のフタロニトリル系化合物を製造することができる。
【0096】
Yは塩素、臭素、ヨウ素、フッ素であり、好ましくは塩素、臭素、より好ましくは臭素である。
有機亜鉛試薬の使用量としては一般式(6)のフタロニトリル系化合物1モルに対し、2倍モル~5倍モル、好ましくは2倍モル~3倍モルである。
パラジウム触媒としてビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリ-o-トリルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリ-o-トリルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)ジクロリドなどが使用できる。
パラジウム触媒の使用量としては一般式(6)のフタロニトリル系化合物1モルに対し、0.01~0.3当量、好ましくは、0.05~0.2当量である。
反応溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサンなどが使用できる。
【0097】
反応溶媒の使用量としては特に限定するものではないが、一般式(6)のフタロニトリル系化合物1モルに対して、500mL~3.0L、好ましくは、1.0~2.0Lである。
反応温度は室温~200℃であり、好ましくは50~150℃、より好ましくは50~100℃である。
反応時間は10分~48時間、好ましくは20分~24時間、より好ましくは30分~12時間である。
【0098】
反応終了後、溶媒を留去し、トルエン等の芳香族系溶媒や塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒にて抽出し、抽出液を水洗、濃縮し、濃縮物に貧溶媒を加えて目的物を析出させ、析出物をろ過することにより一般式(2)のフタロニトリル系化合物を得ることができる。
必要に応じて、この生成物にさらに再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの公知の精製操作を加えることにより、より高純度品を得ることが出来る。
【0099】
一般式(3)で表される1,3-ジイミノイソインドリン系化合物は、公知の化合物に関する公知の方法を参考にして製造することができる。
例えば、前記一般式(2)で表されるフタロニトリル系化合物とアンモニアとを、金属アルコキサイドの存在下に反応させることにより製造される。
【0100】
アンモニアの使用量は一般式(2)のフタロニトリル系化合物1モルに対し、1倍モル~20倍モルであり、好ましくは3倍モル~10倍モルである。
金属アルコキサイドとしては、ナトリウム或いはカリウムのメトキサイド、エトキサイド、n-プロポキサイド、n-ブトキサイド、n-ペントキサイド、n-ヘキシルオキシサイド、n-オクチルオキシサイド、2-メトキシエトキサイド、2-エトキシエトキサイド、2-ブトキシエトキサイド等が用いられる。
金属アルコキサイドの使用量は、一般式(2)のフタロニトリル系化合物に対し、0.01倍モル~5倍モル、好ましくは0.1倍モル~2.0倍モルである。
【0101】
反応においては有機溶媒を併用することが好ましく、通常、有機溶媒としてアルコール系溶媒が用いられる。アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール等が用いられる。
アルコール系溶媒の使用量は、一般式(2)のフタロニトリル系化合物1モルに対し200mL~15Lであり、好ましくは500mL~5Lである。
【0102】
反応操作においては、反応溶媒であるアルコール系溶媒に金属ナトリウム又は金属カリウムを添加して金属アルコキサイドのアルコール溶液を調整した後、アンモニア及び一般式(2)のフタロニトリル系化合物を装入して反応しても良く、又他の方法として、アンモニア、一般式(2)のフタロニトリル系化合物及び別途調整した金属アルコキサイドを反応溶媒に装入して反応しても良い。金属アルコキシサイドを調整するために使用する金属の量は、一般式(2)のフタロニトリル系化合物に対し0.01倍モル~5.0倍モル、好ましくは0.1~2.0倍モルである。
【0103】
反応温度は0℃~溶媒の還流温度であり、好ましくは20℃~溶媒の還流温度である。反応時間は30分~72時間が好ましい。
反応後、溶媒を留去し、トルエン等の芳香族系溶媒や塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒にて抽出し、抽出液を水洗、濃縮して析出物をろ過することにより、一般式(3)の1,3-ジイミノイソインドリン系合物を得ることができる。
【0104】
[近赤外線吸収材料]
以下に、本発明の近赤外線吸収材料について説明する。
本発明のフタロシアニン系化合物は、熱線を遮蔽する目的の熱線遮蔽材、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ用の光学フィルター、フラッシュ定着トナー、感熱転写・感熱孔版等用の光熱交換剤、レーザー溶着用の光熱変換剤、PETボトルの成形加工時のプレヒーティング助剤、半導体レーザーを使う光記録媒体、光学文字読取機等に用いられる近赤外線吸収色素、腫瘍治療用感光性色素、近赤外線吸収フィルターなど、広範囲の用途に用いられる近赤外線吸収材料として非常に有用である。
【0105】
本発明の近赤外線吸収材料は、前記一般式(1)で表される本発明のフタロシアニン系化合物自体であっても良いし、バインダー樹脂や添加剤など他の成分とともに一般式(1)のフタロシアニン系化合物を含有するものであっても良い。
近赤外線吸収材料の態様や成分は、その用途に応じ異なり、多様である。
【0106】
[熱線遮蔽材]
以下に、本発明の熱線遮蔽材について説明する。
本発明のフタロシアニン系化合物は、建物や自動車の窓等に使用するフィルムや中間膜、ビニールハウス、サンバイザー、溶接用ゴーグルなどに使用される熱線遮蔽材に好適に用いられる。
本発明の熱線遮蔽材は、前記一般式(1)で表される本発明のフタロシアニン系化合物を含有する。
【0107】
本発明の熱線遮蔽材に含有される一般式(1)のフタロシアニン系化合物は、単独の化合物で使用されても良いし、2種以上の混合物の形態であってもよい。
本発明の熱線遮蔽材の使用形態は、特に限定されず、公知のいずれの形態であっても良い。具体的には、例えば以下のような例が挙げられる。
【0108】
1.一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有する成形体自体を使用する形態
2.基材上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有する塗膜やフィルム等を適用する形態
3.2枚以上の基材の間に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有するフィルム等を中間層として設けた積層体の形態
4.基材中に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物を含ませた形態
【0109】
基材としては、特に制限されないが、ガラス板;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン、不飽和ポリエステル等の板材等のプラスチック板などが挙げられる。
上記の各形態のうち、特に、2.基材上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有する塗膜やフィルム等を適用する形態、および3.2枚以上の基材の間に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有するフィルム等を中間層として設けた積層体の形態、が好ましい。
このように、本発明の熱線遮蔽材は、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有する態様が好ましい。
【0110】
樹脂としては、熱線遮蔽材の使用用途によって適宜選択することができるが、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない樹脂が好ましい。
具体的には、ポリカーボネート樹脂;メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリブチラール樹脂;ポリ酢酸ビニル等の酢酸ビニル系樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂;エチレン-アクリル共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。また、実質的に透明であれば、上記1種類の樹脂に限らず、2種以上の樹脂をブレンドしたものも用いることができ、透明性のガラスに上記の樹脂をはさみこんで用いることもできる。
【0111】
これらの樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂が好ましく、特にポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。
【0112】
ポリカーボネート樹脂は、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反応させて製造されるものである。2価フェノールの代表的な例として以下のものが挙げられる。2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。好ましい2価のフェノールは、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、特にビスフェノールを主成分とするものである。
【0113】
(メタ)アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを50%以上含む重合性不飽和単量体混合物またはその共重合物が挙げられる。
メタクリル酸メチルと共重合可能な重合性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロキシフルフリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0114】
ポリエステル樹脂としては、代表的にはポリC2-4アルキレンテレフタレートやポリC2-4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、C2-4アルキレンアリレート単位(C2-4アルキレンテレフタレート及び/又はC2-4アルキレンナフタレート単位)を主成分として含むコポリエステルなどが挙げられるが、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε-カプロラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれる。ポリエステル樹脂の例としては、透明性が高い等の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が好ましい。また、C2-4アルキレンアリレート系コポリエステルなどのような非結晶性コポリエステルも加工性に優れ好ましい。特にPETが、大量に生産され、耐熱性、強度等に優れているので好ましい。
【0115】
ポリアミド樹脂は、芳香族又は脂肪族基を含むジアミン化合物類と、芳香族又は脂肪族基を含むジカルボン酸化合物類との脱水重縮合物の構造を有する樹脂である。ここで脂肪族基は脂環式脂肪族基も含まれる。ジアミン化合物類としては、ヘキサメチレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(アミノメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエンなどが挙げられる。ジカルボン酸化合物類としては、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビス(ヒドロキシカルボニルメチル)ノルボルナン、ビス(ヒドロキシカルボニルメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエンなどが挙げられる。ポリアミド樹脂としては、特に透明性の観点から非結晶性のポリアミド樹脂が好ましく、一般的には透明ナイロンと称される樹脂類が好ましい。
ポリ塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単量体のみの重合体ばかりでなく、塩化ビニルを主成分とする共重合体も使用できる。塩化ビニルと共重合させることのできる単量体としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0116】
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn-ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(PVB)等が挙げられ、なかでもPVBが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の合成に用いられるPVAは、平均重合度が200~5000のものが好ましく、より好ましくは500~3000のものである。また、アセタール化度が40~85モル%であるものが好ましく、より好ましくは50~75モル%のものである。
【0117】
ポリビニルアルコール樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。ポリビニルアルコール樹脂のけん化度は、一般に70~99.9モル%の範囲内であり、75~99.8モル%の範囲内であることが好ましく、80~99.8モル%の範囲内であることがより好ましい。ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度は、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上5000以下である。
【0118】
本発明の熱線遮蔽材中の、前記一般式(1)で表される本発明のフタロシアニン系化合物の含有量は、熱線遮蔽材の厚さにより異なる。
例えば、厚さ3mmの熱線遮蔽板を作製する場合には、熱線遮蔽材に配合される樹脂100重量部に対して、0.002~0.06重量部が好ましく、より好ましくは0.003~0.02重量部である。また、例えば、厚さ10mmの熱線遮蔽板を作製する場合には、樹脂100重量部に対して、0.0005~0.02重量部が好ましく、より好ましくは0.001~0.005重量部である。厚さ10μmの熱線遮蔽フィルムを作製する場合には、樹脂100重量部に対して、0.1~20重量部が好ましく、より好ましくは0.5~10重量部である。
熱線遮蔽材の厚さに関係なく一般式(1)のフタロシアニン系化合物の含有量を表示するとすれば、上方からの投影面積中の重量と考えて、0.01~5.0g/m2の配合量が好ましく、より好ましくは0.05~1.0g/m2である。一般式(1)のフタロシアニン系化合物の配合量が、0.01g/m2未満の場合には、熱線遮蔽効果が少なくなり、5.0g/m2を超える場合は、可視光線の透過が少なくなる場合がある。
【0119】
本発明の熱線遮蔽材には、一般式(1)のフタロシアニン系化合物以外に、通常の透明性樹脂材料を製造する際に用いられる各種の添加剤を含有していても良い。該添加剤としては、例えば、着色剤、重合調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱線遮蔽剤、難燃剤、可塑剤、耐衝撃性向上のためのゴム、あるいは剥離剤等を挙げることができる。熱線遮蔽剤とは、波長780nm以上の赤外線を吸収することができる粒子を意味し、アルミニウムドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などの金属酸化物の他、タングステン酸化物、及び複合タングステン酸化物等を挙げることができる。特に、錫ドープ酸化インジウム(ITO)が好ましい。
【0120】
添加剤の熱線遮蔽剤中の添加量は特に制限されるものではないが、通常熱線遮蔽材中10質量%以下である。
特に、本発明の熱線遮蔽材が太陽光に対して用いられるものである場合などには、紫外線吸収剤を含有することは好ましい態様である。紫外線吸収剤としては、特に制限されず、公知の紫外線吸収剤が使用できる。具体的には、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の化合物が好適に使用される。
また、本発明の熱線遮蔽材には、一般式(1)のフタロシアニン系化合物以外に、他の近赤外線吸収材料を含有してもよい。他の近赤外線吸収材料としては特に制限されず、用途によって所望される最大吸収波長によって公知の近赤外線吸収材料が適宜選択されうる。
【0121】
なお、本発明において、熱線遮蔽材の形状に格別の制約はなく、最も一般的な平板状やフィルム状のほか波板状、球面状、ドーム状など、様々な形状のものが含まれる。
本発明の熱線遮蔽材が平板状やフィルム状の場合、一般式(1)のフタロシアニン系化合物を、樹脂および必要に応じて前記添加剤や他の近赤外線吸収材料と混合後、成形することによって、熱線遮蔽材が得られる。成形方法としては、特に制限されず、公知の成形方法が適用できる。具体的には、押出成形、射出成形、注型重合、プレス成形、カレンダー成形あるいは注型製膜法などが挙げられる。
【0122】
本発明の熱線遮蔽材の使用形態が、基材上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有するフィルム等を適用する形態である場合、基材に、接着剤、粘着剤、接着フィルム等を使用して、フィルムやシート状の熱線遮蔽材を貼付することで適用することができる。あるいは、フィルムやシート状の熱線遮蔽材を基材に熱プレスあるいは熱ラミネート成形することにより適用することもできる。
【0123】
本発明の熱線遮蔽材の使用形態が、基材上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有する塗膜を適用する形態である場合、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂と、必要に応じこれらを溶解する溶剤や、その他の成分を含有する塗料(液状ないしペースト状物)を作製し、この塗料を基材に上にコーティングすることにより適用することができる。
【0124】
本発明の熱線遮蔽材の使用形態が、2枚以上の基材の間に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有するフィルム等を中間層として設けた積層体の形態である場合、例えば、基材の間に一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有するフィルムを挟み、ゴムパックに入れ減圧吸引しながら、加熱して真空接着することにより適用することができる。
または、基材の間に一般式(1)のフタロシアニン化系合物および樹脂を必須成分として含有するフィルムを挟んで、あるいは一方の基材の上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂と、必要に応じこれらを溶解する溶剤や、その他の成分を含有する塗料を塗布した後、他方の基材を載せて、これらの積層体を熱などによって接着することによって適用することもできる。さらに、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有する接着剤、あるいは一般式(1)のフタロシアニン系化合物および粘着剤としての樹脂を含有する組成物を使用し、基剤を貼り合わせることによって適用することもできる。
【0125】
本発明の熱線遮蔽材の用途としては、特に制限はないが、太陽エネルギーの熱線遮蔽用として建物や自動車の窓等に使用するフィルムや中間膜、サンバイザー、溶接用ゴーグルなどが挙げられる。特に、本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、溶媒溶解性や樹脂との相溶性に優れ、また耐熱性、耐光性、耐候性等の諸特性に優れるため、建物や自動車の窓等に使用するフィルムや中間膜として好適である。
【0126】
[熱線遮蔽フィルム]
本発明の熱線遮蔽材が、建物の窓ガラス等に貼り付けて使用する熱線遮蔽フィルムである場合について以下に説明する。
熱線遮蔽フィルムの構成としては、特に制限はないが、例えば以下のような例が挙げられる。
【0127】
1.一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有するフィルムである態様
2.一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有するフィルム、粘着剤層、及び必要に応じて粘着剤層の表面に設けられた剥離シートを有する態様である態様
3.基材上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有する層を設けてなる態様
4.基材上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および粘着剤である樹脂を含有する層、及び必要に応じて粘着剤層の表面に設けられた剥離シートを有する態様
5.基材、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有する層、粘着剤層、及び必要に応じて粘着剤層の表面に設けられた剥離シートを有する態様
上記各態様のうち、窓ガラスへの貼り付け易さ等の点から、粘着剤層を有する態様が好ましく、特に4.または5.の態様が好ましい。
また、これらの態様に加えて、目的に応じて、ハードコート層、防汚層、紫外線吸収層、反射防止層等、更なる層を設けても良い。
【0128】
一般式(1)のフタロシアニン系化合物とともに含有される樹脂としては、前記熱線遮蔽材が含有する樹脂の例と同様のものが挙げられる。特に、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
基材としては、前記熱線遮蔽材の使用形態において説明した基材の例と同様のものが挙げられるが、樹脂製のシートや板が好ましい。例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂、エチレン、ビニルアルコール樹脂等のフィルムが挙げられる。中でも、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがより好ましい。
【0129】
粘着剤としては、基材に接着することができ、透明性を有するものであれば特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル系;(メタ)アクリルウレタン系;(メタ)アクリルシリコーン系;シロキサン結合を主鎖にもつシリコーン系;ポリ塩化ビニル系;メラミン系;ウレタン系;スチレン系;アルキド系;フェノール系;、エポキシ系;ポリエステル系;ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂などの熱可塑性または熱硬化性、活性エネルギー線硬化性の硬化性樹脂粘着剤、天然ゴム、ブチルゴム、イソプロピレンゴム、エチレンプロピレンゴム、メチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン共重合ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴムなどのゴム系粘着剤等が挙げられる。
【0130】
粘着剤である樹脂としては、上記の熱可塑性または熱硬化性、活性エネルギー線硬化性の硬化性樹脂粘着剤が挙げられるが、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、ガラス転移温度が0℃未満のポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が特に好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂としては、単量体として炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上使用してなるものが好ましい。
【0131】
共重合可能な単量体の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;α-メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレンなどに代表されるスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどに代表されるビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル;マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
アクリル系粘着剤の硬化剤としては、イソシアネ-ト系硬化剤、エポキシ系硬化剤、金属キレ-ト硬化剤などが用いられる。
【0132】
熱線遮蔽フィルムの各層には、前記熱線遮蔽材を製造する際に用いられる各種の添加剤と同様のものを含有しても良い。例えば、着色剤、重合調節剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤等が挙げられる。酸化防止剤、難燃剤、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等特に、紫外線吸収剤を含有する態様は好ましい。
また、可視光透過率を大きく低下させない範囲で、カーボンブラック等の熱線を吸収できる材料を併用しても良い。
【0133】
熱線遮蔽フィルムの厚さは、その構成、基材や熱線遮蔽層の樹脂の種類、その用途などに応じて異なるが、通常、10μm~500μm程度のものが好ましく用いられる。
例えば、熱線遮蔽フィルムが、基材上に、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有する層を設けてなる態様である場合、基材の厚さは20μm~300μm程度が好ましい。また、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有する層の厚さは、0.3~100μm程度が好ましい。
【0134】
樹脂に対する一般式(1)のフタロシアニン系化合物の含有量は、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を含有する層の厚さ次第であるが、通常、樹脂100重量部に対し一般式(1)のフタロシアニン系化合物を0.001~30重量部の範囲内であることが好ましく、0.01~10重量部の範囲内であることがより好ましい。
【0135】
本発明の熱線遮蔽フィルムを製造する方法としては、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂と、必要に応じ上記添加剤、他の近赤外線吸収剤や紫外線吸収剤等と混合後、成形する。成形方法としては、特に制限されず、公知の成形方法がそのままあるいは適宜修飾されて適用できる。具体的には、押出成形、射出成形、注型重合、プレス成形、カレンダー成形あるいは注型製膜法などが好適に使用できる。
さらに、一般式(1)のフタロシアニン系化合物を含有する樹脂フィルムを作製し、そのフィルムを樹脂材に熱プレスあるいは熱ラミネート成形することにより製造することもできる。また、一般式(1)のフタロシアニン系化合物を含有するアクリル樹脂インクまたは塗料等を樹脂材に印刷またはコーティングすることにより製造することもできる。
【0136】
[合わせガラス用中間膜]
本発明の熱線遮蔽材が、自動車の窓ガラス等に使用される合わせガラス用中間膜である場合について以下に説明する。
合わせガラス用中間膜は、2枚のガラスの間に挟んだ形態で用いられる樹脂膜で、本発明の熱線遮蔽材が合わせガラス用中間膜である場合には、一般式(1)のフタロシアニン系化合物および樹脂を必須成分として含有する。
【0137】
樹脂としては、合わせガラスに用いた際に視認性が十分に確保されるもの、好ましくは合わせガラスとした際の可視光透過率が70%以上のものであれば特に限定されない。
例えば、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合体系樹脂等の従来から中間膜用として用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。特に、可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂が好ましい。
【0138】
ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn-ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(PVB)等が挙げられ、特に、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)が好ましい。
【0139】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の合成に用いられるPVAは、平均重合度が200~5000のものが好ましく、より好ましくは500~3000のものである。上記ポリビニルアセタール系樹脂は、アセタール化度が40~85モル%であるものが好ましく、より好ましくは50~75モル%のものである。また、残存アセチル基量が30モル% 以下であるものが好ましく、より好ましくは0.5~24モル%のものである。
熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂を可塑化するために用いられる可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系などの有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系などのリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0140】
合わせガラス用中間膜の厚さは、樹脂の種類、その用途などに応じて異なるが、通常、0.1~3mmの範囲内であることが好ましく、0.3mm~1.5mmの範囲内であることがより好ましい。
樹脂に対する一般式(1)のフタロシアニン系化合物の含有量は特に限定されないが、樹脂100重量部に対し一般式(1)のフタロシアニン系化合物を0.001~2重量部の範囲内であることが好ましく、0.005~0.5重量部の範囲内であることがより好ましい。
【0141】
本発明の合わせガラス用中間膜には、前記熱線遮蔽材を製造する際に用いられる各種の添加剤と同様のものを含有しても良い。例えば、熱線遮蔽剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤、着色剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。特に、紫外線吸収剤を含有する態様は好ましい。
【0142】
本発明の合わせガラス用中間膜を製造する方法としては、上記熱線遮蔽材、熱線遮蔽フィルムを製造する際と同様の方法が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、必要に応じて、プライマー機能、紫外線カット機能、難燃機能、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、帯電防止機能のいずれか一つ以上の機能を有する機能性透明層とあわせた複層構造としても良い。
本発明の合わせガラス用中間膜を使用した合わせガラスは、少なくとも二枚の透明ガラス基材の間に本発明の中間膜が挟持され接着一体化された構成となる。
【0143】
透明ガラス基材としては、特に限定されないが、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、熱線吸収板ガラス、クリアガラス、着色されたガラス板などの各種無機ガラス板や、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板などの有機ガラス板等が挙げられる。これら透明ガラス基材は、単独の種類で用いられても良いし、2種類以上の種類で併用されてもよい。
【0144】
合わせガラスの作製方法としては、例えば、二枚の透明ガラス基材の間に本発明の中間膜を挟んで真空バッグの中に入れ、この真空バッグ内の圧力が約-65~-100kPaの減圧度となるように減圧吸引しながら温度約70~110℃で予備接着を行った後、さらに、オートクレーブ中で、オートクレーブ内の圧力が約0.98~1.47MPaの減圧度となるように減圧吸引しながら温度約120~150℃で本接着を行うことにより、得ることができる。
【実施例】
【0145】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0146】
[実施例1] フタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の製造
4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30g、三塩化バナジウム0.39g、DBU0.38gを1-ペンタノール50mL中、内温125℃にて24時間撹拌した。メタノール300mLを添加、析出物をろ取、乾燥した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン)で精製して緑色粉末4.24gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2117M+)
・元素分析値:実測値(C:72.62%、H:6.88%、N:5.32%);
理論値(C:72.60%、H:6.85%、N:5.29%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は735.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は7.10×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図1に示す。
【0147】
[実施例2] フタロシアニン系化合物、具体例(1-178)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-(2-メトキシ-4-ビニルフェノキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.81gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色粉末4.65gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2325M+)
・元素分析値:実測値(C:74.32%、H:6.95%、N:4.85%);
理論値(C:74.36%、H:6.93%、N:4.82%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は735.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は5.96×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図2に示す。
【0148】
[実施例3] フタロシアニン系化合物、具体例(1-165)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-(ベンジルオキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン4.69gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色粉末3.90gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1876M+)
・元素分析値:実測値(C:76.70%、H:6.90%、N:6.03%);
理論値(C:76.77%、H:6.87%、N:5.97%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は735.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は8.02×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図3に示す。
【0149】
[実施例4] フタロシアニン系化合物、具体例(2-37)~具体例(2-40)異性体混合物の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,5,7-トリス(4-メトキシブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン4.44g、三塩化バナジウム0.39gの代わりに塩化第一銅0.25gを使用した以外は実施例1と同様にして具体例(2-37)~具体例(2-40)で示される構造の異性体混合物として緑色粉末3.50gを得た。
得られた化合物は、LC-MSにて各成分の m/zの一致より目的の化合物であることを確認した。
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は714.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は9.40×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図4に示す。
【0150】
[実施例5] フタロシアニン系化合物、具体例(1-170)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-((7-メトキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン6.02gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色粉末5.11gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2405M+)
・元素分析値:実測値(C:75.94%、H:6.07%、N:4.70%);
理論値(C:75.89%、H:6.03%、N:4.66%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は739.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は6.43×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図5に示す。
【0151】
[実施例6] フタロシアニン系化合物、具体例(1-171)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-((1,6-ジメトキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン6.62gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色粉末5.62gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2645M+)
・元素分析値:実測値(C:72.55%、H:6.17%、N:4.27%);
理論値(C:72.63%、H:6.10%、N:4.23%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は735.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は5.85×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図6に示す。
【0152】
[実施例7] フタロシアニン系化合物、具体例(1-174)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-((1,6-ジイソプロポキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン7.74gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色粉末6.58gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 3094M+)
・元素分析値:実測値(C:74.44%、H:7.33%、N:3.65%);
理論値(C:74.51%、H:7.30%、N:3.62%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は737.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は7.14×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図7に示す。
【0153】
[実施例8] フタロシアニン系化合物、具体例(1-175)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-((6-(2-エトキシエトキシ)ナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン7.74gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色粉末6.58gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2869M+)
・元素分析値:実測値(C:73.61%、H:6.68%、N:3.927%);
理論値(C:73.64%、H:6.74%、N:3.90%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は738.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は5.37×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図8に示す。
【0154】
[実施例9] フタロシアニン系化合物、具体例(2-1)~具体例(2-4)を含む混合物の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに実施例5における4,7-ビス(4-((7-メトキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン3.01gおよび実施例6における4,7-ビス(4-((1,6-ジメトキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン3.31gを使用した以外は実施例1と同様にして具体例(1-170)、具体例(1-171)および具体例(2-1)~具体例(2-4)で示される構造の混合物として緑色物質5.37gを得た。
得られた化合物は、LC-MSにて各成分の m/zの一致より目的の化合物であることを確認した。
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は737.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は5.94×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図9に示す。
【0155】
[実施例10] フタロシアニン系化合物、具体例(2-5)~具体例(2-8)を含む混合物の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに実施例5における4,7-ビス(4-((7-メトキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン3.01gおよび4,7-ビス(4-メトキシブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン1.59gを使用した以外は実施例1と同様にして具体例(2-5)~具体例(2-8)で示される構造の化合物を含む混合物として緑色物質1.96gを得た。
得られた化合物は、LC-MSにて各成分の m/zの一致より目的の化合物であることを確認した。
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は737.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は8.08×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図10に示す。
【0156】
[実施例11] フタロシアニン系化合物、具体例(2-9)~具体例(2-12)を含む混合物の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに実施例6における4,7-ビス(4-((1,6-ジメトキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン3.31gおよび4,7-ビス(4-(2,6-ジメトキシフェノキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン2.81gを使用した以外は実施例1と同様にして具体例(2-9)~具体例(2-12)示される構造の化合物を含む混合物として緑色物質2.60gを得た。
得られた化合物は、LC-MSにて各成分の m/zの一致より目的の化合物であることを確認した。
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は735.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は6.30×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図11に示す。
【0157】
[実施例12] フタロシアニン系化合物、具体例(2-13)~具体例(2-16)を含む混合物の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに実施例6における4,7-ビス(4-((1,6-ジメトキシナフタレン-2-イル)オキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン3.31gおよび4,7-ビス(4-メトキシブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン1.59gを使用した以外は実施例1と同様にして具体例(2-13)~具体例(2-16)で示される構造の混合物として緑色物質2.09gを得た。
得られた化合物は、LC-MSにて各成分の m/zの一致より目的の化合物であることを確認した。
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は739.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は7.34×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図12に示す。
【0158】
[実施例13] フタロシアニン系化合物、具体例(1-156)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-(2-エトキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン4.34g、三塩化バナジウム0.39gの代わりに塩化第一銅0.25gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色物質3.67gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1729M+)
・元素分析値:実測値(C:66.70%、H:6.52%、N:6.50%);
理論値(C:66.66%、H:6.48%、N:6.48%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は706.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.16×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図13に示す。
【0159】
[実施例14] フタロシアニン系化合物、具体例(1-310)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(6-エトキシヘキシル)-1,3-ジイミノイソインドリン4.02g、三塩化バナジウム0.39gの代わりに塩化第一銅0.25gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色物質3.20gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1729M+)
・元素分析値:実測値(C:72.01%、H:9.07%、N:7.04%);
理論値(C:71.98%、H:9.06%、N:7.00%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は707.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.27×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図14に示す。
【0160】
[実施例15] フタロシアニン系化合物、具体例(1-311)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(6-(2-エトキシエトキシ)ヘキシル)-1,3-ジイミノイソインドリン4.90g、三塩化バナジウム0.39gの代わりに塩化第一銅0.25gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色物質3.90gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1953M+)
・元素分析値:実測値(C:68.80%、H:9.11%、N:5.75%);
理論値(C:68.84%、H:9.08%、N:5.73%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は707.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.00×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図15に示す。
【0161】
[実施例16] フタロシアニン系化合物、具体例(1-179)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-(2,4,6-トリメトキシフェノキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン6.22gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色物質4.97gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2485M+)
・元素分析値:実測値(C:65.71%、H:6.53%、N:4.53%);
理論値(C:65.71%、H:6.49%、N:4.51%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は735.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は6.26×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図16に示す。
【0162】
[実施例17] フタロシアニン系化合物、具体例(1-182)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-(4-(メチルチオ)フェノキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.34gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色物質4.27gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2133M+)
・元素分析値:実測値(C:67.60%、H:6.04%、N:5.27%);
理論値(C:67.55%、H:6.05%、N:5.25%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は736.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は6.97×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図17に示す。
【0163】
[実施例18] フタロシアニン系化合物、具体例(1-158)の製造
実施例16における三塩化バナジウム0.39gの代わりに塩化第一銅0.25gを使用した以外は実施例16と同様にして緑色物質4.96gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2481M+)
・元素分析値:実測値(C:65.66%、H:6.55%、N:4.54%);
理論値(C:65.80%、H:6.50%、N:4.51%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は706.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は8.07×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図18に示す。
【0164】
[実施例19] フタロシアニン系化合物、具体例(1-183)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-((4-メトキシフェニル)チオ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.34gを使用した以外は実施例1と同様にして緑色物質4.26gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 2134M+)
・元素分析値:実測値(C:67.56%、H:6.02%、N:5.22%);
理論値(C:67.55%、H:6.05%、N:5.25%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は737.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は7.17×10
4mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図19に示す。
【0165】
[実施例20] フタロシアニン系化合物、具体例(2-17)の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4-ヘキシル-9-フェニル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン3.55gを使用した以外は実施例1と同様にして具体例(2-17)~具体例(2-20)で示される構造の異性体混合物より具体例(2-17)のみをさらにカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、緑色物質1.78gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1421M+)
・元素分析値:実測値(C:81.20%、H:6.27%、N:7.93%);
理論値(C:81.16%、H:6.24%、N:7.89%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は890.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.30×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図20に示す。
【0166】
[実施例21] フタロシアニン系化合物、具体例(2-21)の製造
実施例20における三塩化バナジウムの代わりに塩化第一銅0.25gを使用した以外は実施例20と同様にして具体例(2-21)~具体例(2-24)で示される構造の異性体混合物より具体例(2-21)のみをさらにカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、緑色物質1.80gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1417M+)
・元素分析値:実測値(C:81.30%、H:6.28%、N:7.95%);
理論値(C:81.35%、H:6.26%、N:7.91%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は824.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.58×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図21に示す。
【0167】
[実施例22] フタロシアニン系化合物、具体例(2-25)の製造
実施例20における4-ヘキシル-9-フェニル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン3.55gの代わりに4-(6-エトキシヘキシル)-9-フェニル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3-(2H)-ジイミン4.00gおよび三塩化バナジウム0.39gの代わりに塩化第一銅使用0.25gを使用した以外は実施例20と同様にして具体例(2-25)~具体例(2-28)で示される構造の異性体混合物より具体例(2-25)のみをさらにカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、緑色物質2.79gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1593M+)
・元素分析値:実測値(C:78.50%、H:6.63%、N:7.08%);
理論値(C:78.39%、H:6.58%、N:7.03%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は824.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.37×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図22に示す。
【0168】
[実施例23] フタロシアニン系化合物、具体例(2-29)~具体例(2-32)異性体混合物の製造
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4-エトキシ-7-ヘキシル-1,3-ジイミノイソインドリン2.73gを使用した以外は実施例1と同様にして具体例(2-29)~具体例(2-32)で示される構造の異性体混合物として深緑色物質2.15gを得た。
得られた化合物は、LC-MSにて各成分の m/zの一致より目的の化合物であることを確認した。
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は751.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.48×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図23に示す。
【0169】
[実施例24] フタロシアニン系化合物、具体例(2-33)~具体例(2-36)異性体混合物の製造
実施例23における三塩化バナジウム0.39gの代わりに塩化第一銅0.25gを使用した以外は実施例23と同様にして具体例(2-33)~具体例(2-36)で示される構造の異性体混合物として緑色物質2.12gを得た。
得られた化合物は、LC-MSにて各成分の m/zの一致より目的の化合物であることを確認した。
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は720.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は2.00×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図24に示す。
【0170】
[比較例1] 比較例化合物(a)の合成
【化17】
【0171】
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-メトキシメチル)-1,3-ジイミノイソインドリン2.33gを使用した以外は実施例1と同様にして深緑色物質1.63gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 931M+)
・元素分析値:実測値(C:61.85%、H:5.16%、N:11.99%);
理論値(C:61.87%、H:5.19%、N:12.02%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は733.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.30×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図25に示す。
【0172】
[比較例2] 比較例化合物(b)の合成
【化18】
【0173】
実施例1における4,7-ビス(4-(2-フェノキシエトキシ)ブチル)-1,3-ジイミノイソインドリン5.30gの代わりに4,7-ビス(4-メトキシオクチル)-1,3-ジイミノイソインドリン4.30を使用した以外は実施例1と同様にして緑色物質15.8gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1716M+)
・元素分析値:実測値(C:72.70%、H:9.35%、N:6.55%);
理論値(C:72.73%、H:9.39%、N:6.52%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は737.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.05×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図26に示す。
【0174】
[比較例3] 比較例化合物(d)の合成
【化19】
【0175】
特開1999-152413号の比較例1に記載の化合物(d)を得た。具体的には上記化合物(c)を10.0g、塩化銅(I)0.921g、DBU 4.63mL、アミルアルコール100mLを混合した後、150℃で10時間撹拌し、メタノール300mLを添加、析出物をろ取、乾燥して茶色粉末0.32gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 1352M+)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は847.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.57×10
5mL/g・cmであった。この吸収スペクトルチャートを
図27に示す
【0176】
[溶解度]
上記実施例で製造した本発明のフタロシアニン化合物は芳香族有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等)に対する溶解度が高い。また極性有機溶媒(アセトン、酢酸エチル、炭酸プロピレン、シクロペンタノン等)に対する溶解度も高い。
シクロペンタノンに対する溶解度を下記方法で測定した。結果を表2に示す。
【0177】
(溶解度測定法)
フタロシアニン化合物約1gに、総重量が約5gになるようにシクロペンタノンを加え、超音波を約30分照射し、その後室温で二時間撹拌して、約20wt%の分散液を調製した。この分散液をメンブランフィルタ(0.2μm)で濾過し、得られた濾物を60℃の乾燥器で1時間乾燥後、濾物の重量を測定した。
フタロシアニン化合物の溶剤に対する溶解度を、以下の式で表した。
溶解度(wt%)=(W0-W1)/W0
なお、W0:処理前のフタロシアニン化合物の正確な重量、W1:乾燥後の濾物(フタロシアニン系化合物の溶解残分)の重量である。フィルタに濾物が残余しなかった場合は、溶解度は 20wt%以上とした。
実施例の化合物はいずれも比較例の化合物と比較してシクロペンタノンに対する溶解性が高かった。
【0178】
【0179】
[可視光透過率]
本発明のフタロシアニン系化合物及び比較例化合物の可視光透過率を、下記測定法により測定した。結果を表3に示す。
また、実施例6、実施例12、実施例15、実施例16で製造した本発明のフタロシアニン系化合物および比較例1の化合物の透過スペクトルの比較を
図28、実施例20、実施例22で製造した本発明のナフタロシアニン系化合物および比較例3の化合物の透過スペクトルの比較を
図29に示す。
【0180】
(可視光透過率測定法)
100mLメスフラスコに、各フタロシアニン系化合物1.000mgと約90mLのクロロホルムを入れ、超音波を30分間照射した後、室温で2時間静置した。その後、溶液のメニスカスがメスフラスコの標線と一致するようにクロロホルムを添加して10mg/Lのフタロシアニン溶液を調製した。このように調製した溶液を 1cm角の石英製セルに入れ、分光光度計( 日立製作所社製:Spectrophotometer U-3500)を用いて吸収スペクトルを測定した。
このようにして測定した吸収スペクトルより、近赤外領域の吸収極大波長における吸光度が1.0、すなわち透過率が10%となるように換算をおこない透過スペクトルを得た。この透過スペクトルの460nmおよび610nmにおける透過率を表3に示す。比較例 1・2と本発明のフタロシアニン系化合物(実施例1~19、実施例23および実施例24)を比較して、460nmにおける透過率はほぼ同等であるが、610nmにおける透過率は向上した。
また、比較例3と本発明のナフタロシアニン系化合物(実施例21および実施例22)を比較していずれの波長における透過率についても改善した。
【0181】
【0182】
[実施例25] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)5g、アクリル樹脂LP-45M(製品名、綜研化学株式会社製)50g、メチルエチルケトン20g、トルエン20gを混合撹拌して、樹脂組成物を製造した。
透明基材としての厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に、上記樹脂組成物を厚さ2.5μmとなるようにバー塗布し、その後100℃で3分間乾燥した。
さらに、PETフィルムの他方の面(樹脂組成物を塗布していない面)に、透明なアクリル共重合系の粘着剤を厚さが20μmとなるようバー塗布し、100℃で3分間乾燥硬化させた後、粘着剤面に剥離フィルムを貼着し、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0183】
[実施例26] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例2で製造した化合物、具体例(1-178)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例27] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例3で製造した化合物、具体例(1-165)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0184】
[実施例28] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例4で製造した化合物、具体例(2-37)~具体例(2-40)混合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例29] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例5で製造した化合物、具体例(1-170)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0185】
[実施例30] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例6で製造した化合物、具体例(1-171)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例31] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例7で製造した化合物、具体例(1-174)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0186】
[実施例32] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例8で製造した化合物、具体例(1-175)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例33] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例9で製造した化合物、具体例(2-1)~具体例(2-4)を含む混合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0187】
[実施例34] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例10で製造した化合物、具体例(2-5)~具体例(2-8)を含む混合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例35] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例11で製造した化合物、具体例(2-9)~具体例(2-12)を含む混合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0188】
[実施例36] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例12で製造した化合物、具体例(2-13)~具体例(2-16)を含む混合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例37] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例13で製造した化合物、具体例(1-156)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0189】
[実施例38] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例14で製造した化合物、具体例(1-310)の化合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0190】
[実施例39] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例15で製造した化合物、具体例(1-311)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0191】
[実施例40] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例16で製造した化合物、具体例(1-179)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例41] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例17で製造した化合物、具体例(1-182)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0192】
[実施例42] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例18で製造した化合物、具体例(1-158)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例43] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例19で製造した化合物、具体例(1-183)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0193】
[実施例44] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例20で製造した化合物、具体例(2-17)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例45] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例21で製造した化合物、具体例(2-21)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0194】
[実施例46] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例22で製造した化合物、具体例(2-25)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[実施例47] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例23で製造した化合物、具体例(2-29)~具体例(2-32)混合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0195】
[実施例48] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに実施例24で製造した化合物、具体例(2-33)~具体例(2-36)混合物を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
[比較例4] 熱線遮蔽フィルムの製造
実施例25において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)の代わりに比較例1の化合物(a)を使用した以外は実施例25と同様に操作を行って、熱線遮蔽フィルムを製造した。
【0196】
上記実施例25~48及び比較例4で製造した熱線遮蔽フィルムについて、以下の項目を評価した。結果を下記の表4に示す。
なお、評価試験においては、製造した熱線遮蔽フィルムの剥離フィルムを剥がし、5cm×5cm×3mm厚のガラス板に圧着させて試験片を作成し、これを用いた。
【0197】
[Tts]
測定機器として(株)日立製作所製、U-3500型自記分光光度計を使用し、JIS R3106「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」に準じ、合わせガラスサンプルのTtsを測定した。
なお、Tts(Total solar energy transmitted through a glazing)は、全日射透過率を表し、値が小さいほど熱遮蔽能力が高いことを示す。
【0198】
[耐光・耐熱性]
耐光性試験は、試験片の吸収スペクトルを分光光度計(日立製作所(株)社製:Spectrophotometer U-3500で測定し、これを耐光性試験前スペクトルとした。次に、試験前スペクトルを測定した試験片を、キセノン耐光性試験機(東洋精機社製:サンテストXLS+)を用い550W/hの光を200時間照射した。光照射した試験片の吸収スペクトルを分光光度計にて測定し、耐光性試験後スペクトルとした。
耐熱性試験は、上記と同様にして試験前スペクトルを測定した試験片を、恒温器(ヤマト科学社製:IG400)で温度100℃にて200時間加熱処理した。この加熱処理した試験片の吸収スペクトルを分光光度計にて測定し、耐熱性試験後のスペクトルとした。
このようにして測定した耐光・耐熱性試験前後の各スペクトルにおいて、400~900nmの範囲の吸光度値を積分し、耐光・耐熱試験前後でその値の差を算出した。
耐光・耐熱試験前後での吸光度の差ΔEを、下記の式で表した。
ΔΕ(%)={Σ(E1の400~900nm)-Σ(E2の400~900nm)}/Σ(E1の400~900nm)×100
なお、E1:試験前スペクトル、E2:試験後スペクトル、Σ:吸光度値の積分である。
ΔΕの値が大きいほど、耐光・耐熱試験前後でのスペクトル変化が大きい。
表4示されるように、比較例4に比べて実施例の熱線遮蔽フィルムはいずれも熱遮蔽能力、耐光性ならびに耐熱性において優れた特性を示した。特に、耐光性、耐熱性において非常に優れていた。
【0199】
【0200】
[実施例49]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
<合わせガラス用中間膜の作製>
有機エステル可塑剤として、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート40gに、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)0.013gを溶解させ、この溶液を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BH-3、積水化学工業社製)100gに添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、押出機を用いて押出して、厚み0.76mmの中間膜を得た。
<合わせガラスの作製>
上記中間膜を、100mm×100mmのサイズに切断し、JIS R3208 に準拠した熱線吸収板ガラス(縦100mm×横100mm×厚さ2.0mm)で挟み込み、ゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスした。その後、オートクレーブにて温度130℃、圧力1.3MPaの条件で20分間圧着し、合わせガラスのサンプルを得た。
【0201】
[実施例50]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例2で製造した化合物、具体例(1-178)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0202】
[実施例51]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例3で製造した化合物、具体例(1-165)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例52]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例4で製造した化合物、具体例(2-37)~具体例(2-40)混合物に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0203】
[実施例53]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例5で製造した化合物、具体例(1-170)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例54]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例6で製造した化合物、具体例(1-171)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0204】
[実施例55]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例7で製造した化合物、具体例(1-174)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例56]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例8で製造した化合物、具体例(1-175)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0205】
[実施例57]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例9製造した化合物、具体例(2-1)~具体例(2-4)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例58]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例10で製造した化合物、具体例(2-5)~具体例(2-8)を含む混合物に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0206】
[実施例59]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例11で製造した化合物、具体例(2-9)~具体例(2-12)を含む混合物に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例60]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例12で製造した化合物、具体例(2-13)~具体例(2-16)を含む混合物に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0207】
[実施例61]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例13で製造した化合物、具体例(1-156)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例62]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例14で製造した化合物、具体例(1-310)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0208】
[実施例63]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例15で製造した化合物、具体例(1-311)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例64]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例16で製造した化合物、具体例(1-179)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0209】
[実施例65]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例17で製造した化合物、具体例(1-182)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例66]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例18で製造した化合物、具体例(1-158)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0210】
[実施例67]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例19で製造した化合物、具体例(1-183)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例68]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例20で製造した化合物、具体例(2-17)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0211】
[実施例69]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例21で製造した化合物、具体例(2-21)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例70]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例22で製造した化合物、具体例(2-25)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0212】
[実施例71]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例23で製造した化合物、具体例(2-29)~具体例(2-32)混合物に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
[実施例72]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を実施例24で製造した化合物、具体例(2-33)~具体例(2-36)混合物に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0213】
[比較例5]合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
実施例49において、実施例1で製造したフタロシアニン系化合物、具体例(1-167)を比較例1の化合物(a)に変更した以外は実施例49と同様に操作を行って、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0214】
上記実施例49~72及び比較例5で作製した合わせガラスのサンプルについて、以下の項目を評価した。結果を下記の表5に示す。
[Tts]
測定機器として(株)日立製作所製、U-3500型自記分光光度計を使用し、JIS R3106「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」に準じ、合わせガラスサンプルのTtsを測定した。
【0215】
[可視光線透過率]
測定機器として(株)日立製作所製、U-3500型自記分光光度計を使用し、JIS R 3212「自動車用安全ガラス試験方法」に準じ、合わせガラスサンプルの波長380~780nmにおける可視光線透過率を測定した。
【0216】
[耐光・耐熱性]
耐光性試験は、合わせガラスの吸収スペクトルを分光光度計(日立製作所(株)社製:Spectrophotometer U-3500で測定し、これを耐光性試験前スペクトルとした。次に、試験前スペクトルを測定した合わせガラスをキセノン耐光性試験機(東洋精機社製:サンテストXLS+)を用い550W/hの光を200時間照射した。この光照射した後の合わせガラスの吸収スペクトルを分光光度計にて測定し、耐光性試験後スペクトルとした。
耐熱性試験は、上記と同様にして試験前スペクトルを測定した合わせガラスを、恒温器(ヤマト科学社製:IG400)で温度100℃にて200時間加熱処理した。この加熱処理した合わせガラスの吸収スペクトルを分光光度計にて測定し、耐熱性試験後のスペクトルとした。
このようにして測定した耐光・耐熱性試験前後の各スペクトルにおいて、400~900nmの範囲の吸光度値を積分し、耐光・耐熱性試験前後でその値の差を算出した。
耐光・耐熱性試験前後での吸光度の差ΔEを、下記の式で表した。
ΔΕ(%)={Σ(E1の400~900nm)-Σ(E2の400~900nm)}/Σ(E1の400~900nm)×100
なお、E1:試験前スペクトル、E2:試験後スペクトル、Σ:吸光度値の積分である。
ΔΕの値が大きいほど、耐光・耐熱試験前後でのスペクトル変化が大きい。
表5に示されるように、比較例5に比べて本願発明のフタロシアニン化合物を用いた実施例49~72の合わせガラスは、いずれも熱遮蔽能力、可視光線透過率、耐光性ならびに耐熱性において優れた特性を示した。特に、耐光性、耐熱性において優れていた。
【0217】
【産業上の利用可能性】
【0218】
本発明のフタロシアニン系化合物は、近赤外領域に強い吸収を有し、可視光領域の吸収が非常に小さく、有機溶剤や樹脂に対する溶解性が良好であり、また耐光性、耐熱性などにおいて非常に高い耐久性を有する。
そのため、近赤外線カットフィルター、セキュリティ用に用いられる透明インク、自動車や建物の窓などに用いられる熱線遮蔽フィルム、合わせガラス用中間膜、赤外線感熱記録材料、プラスチックのレーザー溶着などの用途に用いられる近赤外線吸収色素として非常に有用である。
【0219】
この出願は、2018年10月5日に出願された日本出願特願2018-190515号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。