(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】超音波外科用ドリル及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
A61B17/16
(21)【出願番号】P 2020557971
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 US2019028172
(87)【国際公開番号】W WO2019204641
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-14
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502167588
【氏名又は名称】ミソニクス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Misonix,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイク, ダン
(72)【発明者】
【氏名】ミクス, ポール
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/046349(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0235305(US,A1)
【文献】特表2016-526437(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0135835(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0005774(US,A1)
【文献】特表2006-512149(JP,A)
【文献】国際公開第2009/098664(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ドリルアセンブリであって、
超音波周波数の機械的振動を発生させるための電気機械トランスデューサに、近位端で接続可能なプローブと、ここで該プローブは、中央の管腔又は流路を備えたシャフトを有し、該シャフトは遠位端に、遠位側がテーパーとされた拡大されたヘッドを備えて形成され、
前記管腔又は流路と繋がる加圧液体の供給源と、
前記プローブに遠位方向の力を与え
て前記プローブの縦軸に沿って遠位方向に前記プローブを動かすために前記プローブに作用可能に接続された並進又は直進の駆動装置と、
前記遠位方向の力の大きさを周期的に少なくとも減少させるために前記並進又は直進の駆動装置に作用可能に接続された制御部と、
前記縦軸に対して垂直な平面における前記縦軸周りの
一方の角度方向及び反対の角度方向に交互に前記プローブ
を回転させるために、前記プローブに作用可能に接続された
振動駆動装置と
を含む、医療用ドリルアセンブリ。
【請求項2】
前記ヘッドの前記遠位側は、前記管腔又は流路と繋がる少なくとも1つのポート又は開口部を備える、請求項1に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項3】
前記ヘッドの前記遠位側が、力を集中させる構造物を複数備えて形成される、請求項2に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項4】
前記力を集中させる構造物は、ギザギザ、粒、及び歯を含む群から選択される、請求項3に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項5】
前記ヘッドの前記遠位側は、前記力を集中させる構造物で全体が覆われている、請求項3に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポート又は開口部は、前記ヘッドの前記遠位側での中央に配置されている、請求項2に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのポート又は開口部は、前記ヘッドの前記遠位側にある複数のポート又は開口部のうちの1つであり、前記ポート又は開口部のすべてが前記管腔又は流路と繋がっている、請求項2に記載の医療ドリルアセンブリ。
【請求項8】
前記機械的振動が所定の時間に亘って周期的に中断されるように、前記超音波周波数を有する電気波形で前記電気機械トランスデューサに通電しかつ前記超音波周波数をパルスで送るために、前記制御部が前記電気機械トランスデューサに作用可能に接続される、請求項1に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項9】
前記遠位方向の力の大きさの減少が所定の周波数又は周期を有し、前記超音波周波数のパルスは、前記所定の周波数又は周期よりも大きいパルス周波数又はパルス繰り返し率を有する、請求項8に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項10】
前記並進又は直進の駆動装置が逆に作動可能であり、前記制御部は前記並進又は直進の駆動装置に作用可能に接続されて、前記並進又は直進の駆動装置を周期的に逆に作動させ、それにより複数の時間について前記遠位方向の力の大きさをゼロに低下させる、請求項1に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項11】
前記遠位側が軸対称の幾何学的形状を有する、請求項1に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【請求項12】
前記遠位側が、円錐形、円錐台形、凸形、及び凹形からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の医療用ドリルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波骨ドリルに関する。本発明はまた、超音波外科用穿孔アセンブリに関する。この方法は、関連する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科の分野では、生きた骨の切断は、多くの処置に必須である。そのような処置は、事故により損傷した組織構造の復元、疾患により損傷した部分への健康な骨の移植、又は顎のラインの後退のような先天的な顔面の異常の修正を含む。何世紀にも亘って、これらの作業は骨のこぎりと呼ばれる装置の利用により行われた。
【0003】
従来の骨のこぎりは、いくつかの基本的な部類に分類される。手動のこぎり又はドリルは、まさにそれそのものであり、大工道具と似た方法で操作者が装置を動かすことを必要とする手持ち式の装置である。動力式の装置は、電動又は空気圧式にかかわらず、往復運動若しくは回転タイプのいずれかである。往復装置は、平らな、剣のようなブレードを使用し、手の代わりにモーターによって前後の動きが提供される。回転装置は、ドリルビット、又はテーブルソーの刃に似た外周に配置された歯を有した刃を回転させるために回転モーターを使用する。これらの従来の骨のこぎりはすべて、今日でも世界中で医療処置に使用されている。
【0004】
硬骨に切り込みを入れる又は穴を開ける必要がある多くの脊椎手術がある。脊髄除圧術は、骨又は椎間板の除去を必要とする。脊柱を安定させるために、隣接するレベルが結合される。これは、ねじやロッドなどの器具を必要とする。ねじを取り付ける前に、外科医はねじの直径よりも小さい直径の穴をドリルで開ける必要がある。骨は非常に硬いので、ドリルで穴を開けるために相当な圧力を与えることが必要である。
【0005】
これまで、外科医は医療用でない、例えば木工用のものに非常に似た設計の手動の回転柄及びビットを使用してきた。そのような道具は、骨を通り抜けて脊髄の神経を損傷することが分かっているので、完全には満足できるものではない。
【0006】
超音波ブレードは、適切に設計及び適切に使用されるならば、骨に隣接する軟組織を損傷することなく骨を切断できることが分かっている。特許文献1は、外科用ブレード及び骨を切断するための超音波で支援された処置でその外科用ブレードを使用する関連する方法を開示し、そこでは隣接する軟組織は損傷されない。ブレードが鋭いほど、すなわち厚さNのブレードの傾斜した角度によって形成される垂直方向の台形の短辺寸法が小さいほど、硬組織の切断が、周囲の軟組織において巻き添えの損傷、特に切開をもたらす可能性が高いことが観察された。おおよそ0.001"~おおよそ0.010"インチの刃の厚さを備えたブレードが、骨などの硬組織の効率的かつ安全な切断と、その一方で周囲の軟組織を回避することの間での最良の妥協を提供することが発見された。
【0007】
特許文献1の教示は、往復ののこぎりタイプの動きで動かされることによる直線状の切断ブレードに関係し、回転式の道具には関係しない。骨にドリルで孔を開けることは、脳組織への損傷を最小限にする又は避けるために、明らかにそれ自体の保護技術及び関連する道具を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2005/0273127号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特に改良された超音波ドリルビット又はヘッドを備え、特に頭蓋骨などの骨にドリルで孔を開けるために構成された、改良された超音波ドリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の医療用ドリルアセンブリは、超音波周波数の機械的振動を発生させるための電気機械トランスデューサに、近位端で接続可能なプローブを含む。プローブは、中央の管腔又は流路を備えたシャフトを有し、そのシャフトは遠位端に、遠位側がテーパーとされたヘッドを備えて形成される。そのアセンブリは更に、管腔又は流路と繋がる加圧液体の供給源と、プローブに遠位方向の力を与えるためにプローブに作用可能に接続された並進又は直進の駆動装置と、遠位方向の力の大きさを周期的に少なくとも減少させるために並進又は直進の駆動装置に作用可能に接続された制御部とを含む。
【0011】
本発明の別の特徴によれば、ヘッドの遠位側は、管腔又は流路と繋がる少なくとも1つのポート又は開口部を備える。
【0012】
好ましくは、ヘッドの遠位側は、力を集中させる複数の構造物を備えて形成される。力を集中させる構造物は、例えばギザギザ、粒、及び歯を含む群から選択される。ヘッドの遠位側は、その力を集中させる構造物で全体が覆われることが想定される。
【0013】
少なくとも1つのポート又は開口部は、ヘッドの遠位側の中央に配置されてもよい。ポート又は開口部が、ヘッドの遠位側にある複数のポート又は開口部のうちの1つである場合、すべてのポート又は開口部が管腔又は流路と繋がる。
【0014】
並進又は直進の駆動装置は逆に作動可能とすることができ、その場合には並進又は直進の駆動装置を周期的に逆に作動させ、それにより複数の時間について遠位方向の力の大きさをゼロに低下させるために、制御部が並進又は直進の駆動装置に作用可能に接続される。
【0015】
本発明の別の特徴によれば、機械的振動が所定の時間に亘って周期的に中断されるように、超音波周波数を有する電気波形で電気機械トランスデューサに通電しかつその周波数をパルスで送るために、制御部が電気機械トランスデューサに作用可能に接続される。遠位方向の力の中断又は減少が所定の周波数又は周期を有する場合、超音波振動のパルスは、好ましくは、プローブへ力を与えることの中断又は減少の周波数よりも大きい周波数を有する。(その場合、作動中のプローブの制御には、超音波振動の周波数、超音波振動エネルギのパルスの周波数、及び与える力の中断の周波数の少なくとも3つの周波数が関係していると考えられるかもしれない。)
【0016】
本発明の特徴によれば、プローブヘッドの遠位側は、軸対称である幾何学的形状を有する。好ましくは、その遠位側は、円錐形、円錐台形、凸形、又は凹形の形状を有する。凸形の場合、プローブヘッド又はその覆いの遠位側の傾斜は、プローブヘッドの近位端で最大であり、遠位方向において減少してプローブの遠位端で最小になる。凹形の場合、反対のことが生じ、つまりプローブヘッドの遠位側又はその覆いの傾斜は、プローブヘッドの近位端で最小であり、遠位方向において増加して遠位端で最大値を有する。その傾斜は、プローブを垂直方向にして、垂直方向のy軸と水平方向のx軸で測られることができる。
【0017】
更に、プローブヘッドの遠位側は、形状に何かしらの変更があってもよいことに注意されたい。例えば、遠位側は、凸形、凹形、及び円錐形の集まりなどの、異なるテーパー形状の組み合わせ又は混合であってもよい。より具体的には、ヘッドの遠位側の最も遠位の端部は円錐形にすることができ、それより近位の部分は凸形又は凹形にすることができる。
【0018】
本発明の外科的方法は、中央の管腔又は流路を備えたシャフトを有する超音波プローブを用い、シャフトは遠位側で先細になる拡大したヘッドを遠位端に備えて形成され、管腔又は流路はヘッドの外面のポート又は開口部で終わる。この方法は、プローブの近位端を超音波振動エネルギ源に接続し、管腔又は流路を加圧液体の供給源に接続し、プローブを機械的な駆動装置に結合し、プローブヘッドの遠位側を骨の表面に対して配置し、その遠位側が骨表面と接触した状態でトランスデューサを作動させて、超音波周波数でヘッド及びその遠位側を振動させる。ヘッドの遠位側が骨の表面と接触してトランスデューサを作動させている状態で、駆動装置を作動させてプローブを骨に押し付ける力をプローブに与え、管腔又は流路を通してポート又は開口部へ液体を導通させる。遠位側が骨の表面と接触しかつ液体が管腔又は流路を通ってポート又は開口部に導通されている状態で、遠位方向の力を除去しないとしても減少させるようにして、駆動装置の作動は周期的に中断される。力の除去は、駆動装置を逆に作動させてプローブを近位方向に引き、骨組織から遠ざける時に起こる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による外科用治療アセンブリのプローブの部分的なブロック図及び部分的な概略の部分縦断面図である。
【
図2A】
図1のプローブの変更例の概略的な部分縦断面図である。
【
図2B】
図1のプローブの別の変更例の概略的な部分縦断面図である。
【
図3A】
図1のプローブの異なる変更例の概略的な部分縦断面図である。
【
図3B】
図1のプローブの更に別の変更例の概略的な部分縦断面図である。
【
図5A】
図4のプローブの遠位端の拡大側面図である。
【
図5C】
図5BのE-E線に沿った、
図4のプローブの遠位端の拡大縦断面図である。
【
図5D】
図4のプローブの遠位端の拡大された等角図である。
【
図6A】
図4のプローブの遠位端の第1の変更例の拡大側面図である。
【
図6B】
図6Aの変更されたプローブ端部の遠位端の拡大正面図である。
【
図6C】
図6BのF-F線に沿った、
図6A及び6Bの変更されたプローブ端部の拡大縦断面図である。
【
図7A】
図4のプローブの遠位端の第2の変更例の拡大側面図である。
【
図7B】
図7Aの変更されたプローブ端部の遠位端の拡大正面図である。
【
図7C】
図7BのG-G線に沿った、
図7A及び7Bの変更されたプローブ端部の拡大縦断面図である。
【
図8A】
図4のプローブの遠位端の第3の変更例の拡大側面図である。
【
図8B】
図8Aの変更されたプローブ端部の遠位端の拡大正面図である。
【
図8C】
図9BのH-H線に沿った、
図8A及び8Bの変更されたプローブ端部の拡大縦断面図である。
【
図9A】
図4のプローブの遠位端の第2の変更例の拡大側面図である。
【
図9B】
図9Aの変更されたプローブ端部の遠位端の拡大正面図である。
【
図9C】
図9BのK-K線に沿った、
図9A及び9Bの変更されたプローブ端部の拡大縦断面図である。
【
図10】本発明の
図1の外科用治療アセンブリと組み合わせて利用可能な外科用システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に記載されるように、特に事前に穿孔されていない骨にドリルで穴を開けるための医療用ドリルアセンブリは、超音波周波数の機械的振動、典型的には22KHzから1MHzの間である、機械的振動を発生させるための電気機械トランスデューサ14に、近位端で接続可能なプローブ12を備える。そのトランスデューサは、通常は圧電素子又はそのような素子のスタックであるが、代わりに磁歪タイプのものであってもよい。プローブ12は、中央の管腔又は流路18を備えたシャフト16を有し、拡大した円錐形又は円錐台形のヘッド20を遠位端に備えて形成される。生理食塩水などの加圧液体の供給源22は、流路18の管腔と繋がる。供給源22は、蠕動ポンプ又は他のポンプ機構で実施されることができる。
【0021】
並進又は直進の駆動装置24は、遠位方向の力Fをプローブに与えるために、プローブ12に作用可能に接続されている。プローブ12が手で保持される場合、駆動装置24は、骨表面BSを通して硬骨組織HBTにプローブヘッド20を押し付けるのを助ける。ロボットに取り付けられたプローブ12の場合、駆動装置24は、プローブを支持し、プローブを動かして標的の骨組織HBTと接触させる役割を果たしてもよい。
【0022】
制御部26は、外科的な骨の穿孔処置中に並進又は直進の駆動装置24を作動させ、かつ遠位方向の力Fの大きさを周期的に少なくとも低減するために、並進又は直進の駆動装置24に作用可能に接続される。その低減は、駆動装置24を逆に作動させることによってもたらされることができ、それによりプローブ12は、手術部位での骨内側の最も遠位の位置から一時的に引き出されるか又は引っ込められる。
【0023】
力Fの減少又は反転は、通常は10分の1秒~1又は2秒の範囲の
周期で生じる。その中断は、通常はほんの一瞬(例えば、0.1秒から1秒)の持続時間を有する。力Fを与えることの中断は、圧力の低下又はプローブの運動方向の反転のいずれであれ、供給源22からの加圧液体が中央の管腔又は流路18から骨の破片を取り除くことを可能にし、それによって手術部位への冷却液の継続的な送達及び破片の除去を確実にする。
【0024】
制御部26は、典型的にはコンピュータ又はプロセッサ(例えば、
図10の712)と波形発生器(
図10の710)とを含み、波形発生器は米国特許第8659208号及び第9070856号に記載されているように好ましくはデジタル式である。これらの開示は、参照により本明細書に援用される。制御部26は、好ましくは、力Fが中断されるか又はプローブ12が引っ込められる時間の全部又は一部の間にトランスデューサ14にエネルギを与え続け、これは管腔又は流路18からの破片の除去及び排出を促進にするのに役立つ。プローブ12は、好ましくは、過剰な液体圧を解放するために管腔又は流路18と繋がる、シャフト16での又はヘッド20の近位部分での補助的なポートを備える。
【0025】
回転又は振動の駆動装置40は、扇状の回転をプローブに与えるために、プローブ12に作用可能に接続されることができる。駆動装置40は、プローブ12の縦軸39周りに、静止位置から時計回り及び反時計回りの各角度方向に、45°までの角度でプローブ12を振動させる。この振動する扇状の回転は、駆動装置24によって縦方向の力Fが加えられている間に加えられることができ、力Fの中断、低減又は反転中に継続、低減又は停止されることができる。
【0026】
プローブヘッド20は、管腔又は流路18と繋がる少なくとも1つのポート又は開口部30を備えた、円錐形の遠位側28を有する。プローブヘッド20の遠位側28は、ピラミッド形のギザギザ、粒、又は歯である力を集中させる複数の構造物32を備えて形成される。好ましくは、ヘッドの遠位側28の円錐部分34は、力を集中させる構造物32で全体が覆われている。
【0027】
プローブヘッド20の遠位側28は、円錐台の構造物を取り、円錐の頂部平面領域での中央にポート又は開口部30を備える。プローブヘッド20は、シャフト14の外面38に向けて傾斜が変化する曲線でテーパー形状となった、近位の軸対称面36を有する。
【0028】
図2Aは、
図1のシステム又はアセンブリにおいてプローブ12の一部として利用可能な、変更されたプローブヘッド42を示し、それは
図1の管腔又は流路18と同じ灌注機能を果たす、中央の管腔又は流路50からプローブヘッドの円錐形の遠位側48まで延びる複数のダクト又は分岐流路44、46を備える。灌注液は、プローブヘッドを冷却するために使用され、特に組織とプローブの境界に沿って使用される。矢印52、54、56は、外科手術中の灌注液の流れを示す。
【0029】
図2Bは、
図1のシステム又はアセンブリにおいてプローブ12の一部として利用可能な別の変更されたプローブヘッド62を示し、中央流路は64で閉鎖又は遮断されている。歯66が切頂端に拡張されることができる。この実施構造物の利点は、ポート又は開口部30が普通の大きさである場合のように前方に放出した灌注液の噴流が意図しない組織に到達するのを、防ぐのに役立つことである。
【0030】
図3Aに示されるように、
図1のシステム又はアセンブリにおいてプローブ12の一部として利用可能なプローブヘッド70は、円錐形又は円錐台形でなく凸形の形状を備えた遠位側72を有する。ヘッド70を組み込んだプローブは、シャフト74と、灌注液導通のための管腔又は流路76と、ピラミッド形の粒又は歯などの力を集中させる構造物78の層とを有する。管腔又は流路76は、器具の遠位先端(個別に符号を付されない)のポート又は開口部79で終わる。遠位側70又はその覆いは、プローブヘッド70の近位端71で最大であり、遠位方向において減少してプローブの遠位端で最小になる傾斜を有する。傾斜線73は、近位端71から遠位方向に進むにつれて、次第に水平になる。
【0031】
図3Bは、
図1のシステム又はアセンブリにおいてプローブ12の一部として利用可能なプローブヘッド80を示し、それは円錐形又は円錐台形でなく凹形の形状を備えた遠位側82を有する。ヘッド80を組み込んだプローブは、シャフト84と、灌注液導通のための管腔又は流路86と、ピラミッド形の粒又は歯などの力を集中させる構造物88の層とを有する。管腔又は流路86は、器具の遠位先端(個別に符号を付されない)のポート又は開口部89で終わる。遠位側80又はその覆いは、プローブヘッド80の近位端81で最小であり、遠位方向において増加してプローブの遠位端で最大になる傾斜を有する。傾斜線83は、近位端81から遠位方向に進むにつれて、次第に垂直になる。
【0032】
図4及び5A~5Dは、中央軸の管腔又は流路118を有するシャフト116と、ヘッド120とを備えたプローブ112を示す。ヘッド120は、テーパーの遠位側部分122と、中央の円筒形部分124と、近位のテーパー部分126とを含む。遠位及び近位のテーパー部分122及び126は、力を集中させるピラミッド形状の歯128及び130を備えて形成され、一方で中央の円筒部分124は滑らかである。ヘッド120は、僅かなテーパー領域134を介してシャフト116の円筒部分132に接続される。外科手術中に骨組織に形成されると予想されるドリル穴の深さに応じて、ヘッド112からの所定の距離に、シャフト116は、縦方向の振動の振幅を増加するのに役立つ、穏やかな又は段階的な形状部分又はホーン部分136を有してもよい。
【0033】
プローブ112は、近位端に、プローブを電気機械トランスデューサ14(
図1)に接続するためのねじ山の付いたコネクタ150と、プローブ112のトランスデューサ14への結合をレンチで締め付けるための平面154を備えた近位部分152とを備える。
【0034】
図6A~6Dは、中央軸の管腔又は流路218を有するシャフト216と、ヘッド220とを備えたプローブ212を示す。ヘッド220は、円錐形テーパーの遠位側部分222と、中央の円筒形部分224と、近位のテーパー部分226とを含む。遠位及び近位のテーパー部分222及び226は、力を集中させるピラミッド形状の歯228及び230を備えて形成され、一方で中央の円筒部分224は滑らかである。ヘッド220は、短いテーパー領域234を介してシャフト216の円筒部分232に接続される。外科手術中に骨組織に形成されると予想されるドリル穴の深さに応じて、ヘッド212からの所定の距離に、シャフト216は、縦方向の振動の振幅を増加するのに役立つ、穏やかな又は段階的な形状部分又はホーン部分を有してもよい。ヘッド220は、中央の管腔又は流路218から分岐し、遠位のテーパー部分222まで延びる補助ダクト236を備える。
【0035】
図7A~7Dは、中央軸の管腔又は流路318を有するシャフト316と、ヘッド320とを備えたプローブ312を示す。ヘッド320は、円錐形テーパーの遠位側部分322と、中央の円筒形部分324と、近位のテーパー部分326とを含む。遠位及び近位のテーパー部分322及び326は、力を集中させるピラミッド形状の歯328及び330を備えて形成され、一方で中央の円筒部分324は滑らかである。ヘッド320は、短いテーパー領域334を介してシャフト216の円筒形部分332に接続される。外科手術中に骨組織に形成されると予想されるドリル穴の深さに応じて、ヘッド312からの所定の距離に、シャフト316は、縦方向の振動の振幅を増加するのに役立つ、穏やかな又は段階的な形状部分又はホーン部分を有してもよい。ヘッド320は、ダクト236よりも大きな補助ダクト336を備えており、これは中央の管腔又は流路318から分岐し、遠位のテーパー部分322まで延びる。
【0036】
図8A~8Dは、中心軸の管腔又は流路418を有するシャフト416と、ヘッド420とを備えたプローブ412を示す。ヘッド420は、円錐形テーパーの遠位側部分422と、主部分424を含む。遠位のテーパー部分422は、力を集中させるピラミッド形状の歯428を備えて形成され、一方で主部分424は滑らかである。この主部分424は、近位方向において直径が減少しており、すなわち細くなるテーパーが付いている。ヘッド420は、短いテーパー領域434を介してシャフト416の円筒部分432に接続される。外科手術中に骨組織に形成されると予想されるドリル穴の深さに応じて、ヘッド412からの所定の距離に、シャフト416は、縦方向の振動の振幅を増加するのに役立つ、穏やかな又は段階的な形状部分又はホーン部分を有してもよい。ヘッド420は、ダクト336と同様に、中央の管腔又は流路418から分岐し、遠位のテーパー部分422まで延びる補助ダクト436を備える。
【0037】
図9A~9Dは、中心軸の管腔又は流路518を有するシャフト516と、ヘッド520とを備えたプローブ512を示す。ヘッド520は、力を集中させるピラミッド形状の歯528を備えて形成された円錐形テーパーの遠位側部分522を含む。円錐形テーパー部分528の反対である近位側において、ヘッド520は、短いテーパー領域534を介してシャフト516の円筒部分532に接続される。外科手術中に骨組織に形成されると予想されるドリル穴の深さに応じて、ヘッド512から所定の距離に、シャフト516は、長手方向の振動の振幅を増加するのに役立つ、穏やかに又は徐々に成形された部分又はホーン部分を有してもよい。ヘッド520は、任意で、ダクト236又は336と同様に、中央の管腔又は流路518から分岐し、遠位のテーパー部分522まで延びる補助ダクトを備えてもよい。
【0038】
すべての上記のプローブは、
図1の医療用又は外科用アセンブリにおいて、プローブ12に代えて用いられることができる。
【0039】
少なくとも1つのポート又は開口部は、ヘッドの遠位側にある複数のポート又は開口部のうちの1つであり、すべてのポート又は開口部は、管腔又は流路と繋がっている。
【0040】
駆動装置24は逆に作動可能にすることができ、力Fの大きさを周期的にゼロに低下させ、更には遠位方向の力Fを再び与える少し前にプローブ12、112、212、312、412、512を引き抜くために、制御部26が駆動装置24に作用可能に接続されることができることに注意されたい。
【0041】
好ましくは、制御部26が、プローブ12、112、212、312、412、512に与える遠位方向の力Fを、完全に停止しないとしても、駆動装置24に減少させる間に、電気機械トランスデューサ14はプローブでの超音波周波数の振動を生成し続ける。これは、例えば歯又はギザギザ32、128、228、328、428、528の間に詰まってプローブ12、112、212、312、412、512の遠位側28に付着している可能性のある組織の振動による外れ及び崩壊をもたらす。制御部26は、超音波周波数を有する電気波形でトランスデューサ14にエネルギを与えるために、トランスデューサ14に作用可能に接続され、更にプローブ12、112、212、312、412、512及びそのヘッド20、120、220、320、420、520の超音波振動が、所定の時間に亘って周期的に中断されるように、その電気波形又は周波数をパルスで送るように構成されてもよい。遠位方向の力Fの大きさの周期的な減少が所定の周波数又は周期を有する場合、超音波励起波形又は周波数のパルスは、駆動装置24による力Fの減少の所定の周波数又は周期よりも大きなパルス周波数又はパルス繰り返し率を有する。
【0042】
超音波波形又は周波数のパルスは、例えばデューティサイクルの80%~90%で生じる。したがって、250ミリ秒の周期では、超音波振動エネルギの休止部分は、25~50ミリ秒の時間となる。
【0043】
図1の外科用治療アセンブリの別の動作モードでは、処置全体の間に亘って制御部26は駆動装置24を作動させて、プローブ12、112、212、312、412、512を骨組織HBTに継続して押し付けてもよい。超音波トランスデューサ14は、連続して又はパルスモードで通電されることができる。
【0044】
図1のアセンブリは、遠位端のポート又は開口部30を通じた(並びに/又は分岐流路若しくはダクト44及び46を介した)液体の流れにより、器具を効果的に冷却すると共に、骨組織の過度の加熱を防ぐことができる。プローブ12、112、212、312、412、512が駆動装置24によって組織HBTに対して駆動されると、プローブと組織の接触によって生じる流れの制限から生じる後退圧力は、組織の加熱を防ぐのに十分な流れを維持するのに役立つ。駆動力が短時間停止及び/又は反転すると、組織加熱のおそれが更に低下する。この時間でのプローブの遠位側28、122、222、322、422、522の湿潤はより効率的であり、熱の除去を改善する。器具と組織の境界に液体が常に存在することで、キャビテーション効果と組織穿孔効率が向上する。力Fが中断された時、駆動が単に弱められるか又は反転されるかにかかわらず、超音波振動は好ましくは維持される。これにより、プローブの形状によって一時的に留まっていた組織が確実に取り除かれる。
【0045】
プローブ12、112、212、312、412、512の超音波振動運動は、縦方向、ねじれ方向、又はこれらの2つの振動モードの組み合わせとし得ることに注意されたい。
【0046】
プローブ12、112、212、312、412、512のいずれか、特に最後の2つを用いた
図1のアセンブリを利用する外科的方法において、プローブヘッドは、先端又は頂部に向かって遠位方向において先細になっている拡大したヘッドであり、それは灌注液流出ポート又は開口部30、79、89の存在によって尖っていないことがあることが認められる。この方法は、プローブ12、112、212、312、412、512を近位端で超音波振動エネルギ源に接続し、管腔又は流路18、118、218、318、418、518を加圧液体の供給源22に接続し、プローブ12、112、212、312、412、512を機械的な駆動装置に結合することを想定する。この方法は、プローブヘッド20、70、80、120、220、320、420、520の先端又は遠位側28、72、82、122、122、322、442、522を骨の表面BSに対して配置し、先端又は遠位側28、72、82、122、2222、322、422、522を骨の表面BSと接触させた状態でトランスデューサ14を作動させて、ヘッド及び遠位面又は遠位側を超音波周波数で振動させることを更に含む。遠位側28、72、82、122、222、322、422、522が骨の表面と接触し、かつトランスデューサ14を作動させている状態で、駆動装置24を作動させて、プローブ12、112、212、312、412、512を骨に押し付けるようにする力をプローブに与える。ヘッド20、70、80、120、220、320、420、520の遠位側が骨の表面と接触し、かつトランスデューサ14を作動させてプローブに超音波振動(特に定在波)を発生させた状態で、液体が管腔又は流路18、76、86、118、218、318、418、518を通って(又は流路44、46を介して)ポート又は開口部30、79、89に導通される。また、プローブの遠位側28、72、82、122、122、322、422、522が骨の表面BSと接触し、かつ液体が管腔又は流路18、76、86、118、218、318、418、518を通じてポート又は開口部30、79、89(44、46)へ導通されている状態で、加えられる力を低減するように駆動装置24の作動を周期的に中断する。
【0047】
駆動装置14の作動の周期的な中断は、駆動装置を一時的に逆に作動させることを含んでもよい。本明細書で使用されるその用語「中断」は、プローブ12、112、212、312、412、512及びそのヘッド20、70、80、120、220、320、420、520を骨HBTに押し付けるように作用する圧力又は力Fが、駆動装置14の作動が逆に作動される場合のような、少なくとも減少され、場合によっては完全に除去されることを意味する。駆動装置24が中断されている間、トランスデューサ14を作動させて、ヘッド20、70、80、120、220、320、420、520及びヘッドの遠位側28、72、82、122、222、322、422、522を振動させ続けることができる。
【0048】
本明細書に開示されるプローブ12、112、212、312、412、512の拡大したヘッド20、70、80、120、220、320、420、520は、ドリルによる穴がプローブシャフト12、74、84、116、216、316、416、516よりも広く、それは深い穴の穿孔中に組織からプローブシャフトを離し、それによりプローブシャフト12、74、84、116、216、316、416、516がドリルによる穴の壁に触れることから生じる組織への不注意による損傷を低減することに注意されたい。深い穴は、例えば、椎間板癒合におけるような、脊椎の再建又は補強で必要とされることがある。
【0049】
シース(図示せず)が、プローブのシャフト12、74、84、116、216、316、416、516の周りに与えられてもよい。シースは、受動的に引っ込められるか又はばね仕掛けにされることができる。
【0050】
図面に示されているような、異なる実施構造物で本明細書に開示されている様々な特徴を組み合わせて、他の実施構造物を構成することができる。例えば、
図3A及び3Bの実施構造物は、
図2A又は
図2Bのダクト構造を組み込むように変更されることができる。
【0051】
本明細書に開示されるプローブヘッド構成の遠位側は、通常は軸対称である。しかしながら、非対称なものが含まれ得てもよく、それも本発明の範囲内である。
【0052】
更に、プローブヘッドの遠位側は、形状に何かしらの変更があってもよいことに注意されたい。例えば、遠位側は、凸形、凹形、及び円錐形の集まりなどの、異なるテーパー形状の組み合わせ又は混合であってもよい。より具体的には、ヘッドの遠位側の最も遠位の端部は円錐形にすることができ、それより近位の部分は凸形又は凹形にすることができる。
【0053】
本発明は、外科用ドリル以外の骨切断プローブ、例えば、米国特許第6379371号、第6443969号及び第9387005号に開示されたブレードと共に使用されてもよい。
【0054】
図10は、前方に力Fを加えながらプローブ12の遠位方向の運動で手術を行い、穿孔又は切断される骨から離れた又は遠位の軟組織の損傷を未然に防ぐための、
図1のシステムと一緒にかつ統合して利用可能である外科用システムを示す。したがって、
図1のシステムは、脊椎などの非常に重要な構造物に近接した骨組織の切断又は穿孔に使用される。
図10のシステムの主要構成要素又はサブシステムは、超音波波形発生器710(
図1の制御部26の一部として形成される)と、デジタルプロセッサ712(やはり制御部26の一部)と、電気機械トランスデューサ716(通常はトランスデューサ14と同じ)を含む超音波機器アセンブリ714と、超音波ブレード718(例えば、プローブ12のヘッド20)と、ロボットシステム720とを含む。超音波機器アセンブリ714は、そのシステム720のロボットアーム722に取り付けられている(駆動装置24及び40は、システム720の構成部品であり得る)。ブレード718は、プローブ又はツール724の一体的又は単一部分であり、プローブ又はツール724は、電気機械トランスデューサ716(又は14)に結合するシャンク及びねじ山の付いたコネクタ(いずれも個別に符号を付されない)を含む。
【0055】
外科用システムの安全な作動を確保するために、貫通地点、すなわち切断される骨の遠位側をブレード718(又はヘッド20を含むプローブ12)がちょうど貫通する時点で、ブレード718(20)の貫通速度が急上昇してはならない。
図10の外科用システムは、
図1のシステムに組み込まれた時に、切断動作中、すなわち力F(
図1)を前方又は遠位方向に与える段階中に、ロボットアーム722が骨を通る一定の前送り速度で超音波ブレード718(又はヘッド20を備えたプローブ12)を動かすように構成される。デジタルプロセッサ712は、器具の制御に必要な自由度を実装する複数の並進サーボ機構726a、726b、726c(
図1の駆動装置24に相当)及び複数の回転サーボ機構728a、728b、728c(
図1の駆動装置40に相当)に接続される。デジタルプロセッサ712は、ピックアップ又は負荷センサ730によって監視される単位時間当たりの負荷又は与えられる電力が減少すると、自動的に、予め選択された手術部位の骨組織を進むブレード718(12、20)の前進の動きを減少させ、好ましくは前進の動きを停止させる。あるいは又は加えて、波形発生器710によってトランスデューサ716(
図1の14)に与えられる電力が減らされてもよく、又は遮断されてもよい。
【0056】
負荷センサ730は、波形生成サブシステム732の一部であってもよく、実際には波形発生器710にその一部として含まれてもよい。デジタルプロセッサ712の波形生成制御部分、及び波形生成サブシステム732は、米国特許第8659208号及び第9070856号に記載されるような構造物を取ることができ、それらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0057】
ブレード718(ヘッド20を備えたプローブ12、
図1での力Fを前向き又は遠位方向に与える間)の一定の送り速度は、デジタルプロセッサ又は制御ユニット712によるサーボ機構726a、726b、726c及び728a、728b、728cの選択的作動によりロボットアーム722によって維持される。負荷センサ730によって検出される負荷変化ピックアップは、超音波電力供給構成要素(デジタルプロセッサ712、波形発生器710、トランスデューサ716)のフィードバックループ、より正確に言えば、負荷に応じた駆動電圧の変動で実装される。米国特許第8659208号及び第9070856号を参照。一定の運動振幅を維持するために、超音波制御は、増加及び減少する負荷に応じて超音波の電圧を選択的に増減して、一定の作動電流と位相角を維持する。貫通地点では、負荷の減少に関連する電圧降下が、サーボ機構726a、726b、726c及び728a、728b、728cの作動を停止又は中断するためのサーボ制御(デジタルプロセッサ712)への入力として使用される。更に、超音波波形発生器710の電力出力は、少なくとも大幅に減少されてもよく、又は中断されてもよい。
【0058】
骨切断ブレード718は、遠位端に刃先734を備えて形成され、米国特許第6379371号及び第6443969号に示される構造物を取ることができる。ブレード718は、超音波振動エネルギを伝達するように構成され、より具体的には、プローブ724及びトランスデューサ716は、所望の周波数、例えば22.5KHzの超音波定在波を伝える寸法にされる。上述のように、制御ユニット又はプロセッサ712は、ロボットアーム722に作用可能に接続され、ロボットアーム722が切断作業中に骨組織を進む一定の又は均一な速度(速さ)で骨切断ブレード718を移動させるよう、ロボットアームの動きを制御するように部分的に構成される。電気又は超音波波形発生器710は、エネルギを与えるために超音波電気機械トランスデューサ716に作用可能に接続され、予め選択された(設計された)超音波周波数で骨切断ブレード718を振動させる。プロセッサ712は、電気波形発生器に作用可能に接続され、電気波形発生器と共に超音波電気機械トランスデューサ16での負荷を監視するように構成されている。プロセッサ712は、負荷又は与えられる電力の減少を感知すると(負荷センサ730からの入力により)、ロボットアーム22に骨切断ブレード718の動きを停止させる及び/又は少なくとも超音波電気機械トランスデューサ716の波形エネルギ出力を大幅に減少させる制御動作を実行するように更に構成されている。
【0059】
図示の外科用システムを用いた関連する外科的方法は、典型的には、超音波骨切断ブレード718及び超音波電気機械トランスデューサ716をロボットアーム722に取り付けることと、サーボ機構726a、726b、726c及び728a、728b、728cによってロボットアームを作動させて、外科的な切断動作中に骨組織を進む一定の又は均一な速度で切断ブレードを動かすこととを含む。電気波形発生器710は、電気機械トランスデューサ716にエネルギを与えて、外科的な切断動作中に超音波周波数(例えば、22.5kHz)でブレード718を振動させるように作動される。波形発生器710の作動は、米国特許第8659208号及び第9070856号に開示されているように、超音波骨切断ブレードの一定の振動振幅を維持するために波形発生器710の電力出力を調整することを含む。この方法は、自動的に、波形発生器710の負荷又は電力出力を監視し、負荷又は与えられる電力の減少を感知すると、サーボ機構726a、726b、726c及び28a、28bを作動させて、ブレード718の動きを停止させるようにロボットアーム722を動作させ、任意で少なくとも波形発生器710の波形エネルギ出力を大幅に減少させることを含む。
【0060】
電気又は超音波波形発生器710の作動は、超音波ブレード718の一定の振動振幅を維持するためにその電力出力を調整することを含む。好ましくは、これは超音波波形発生器710の電力出力の電圧を調整して、作動電流及び位相角を一定に維持することによって達成される。米国特許第8659208号及び第9070856号を参照。
【符号の説明】
【0061】
12 プローブ
14 電気機械トランスデューサ
16 シャフト
18 管腔又は流路
20 ヘッド
22 加圧液体の供給源
24 駆動装置
26 制御部
28 プローブヘッドの遠位側
30 ポート又は開口部
32 力を集中させる構造物
34 円錐部分
36 軸対称面
38 シャフトの外面
39 プローブの縦軸
40 駆動装置
42 プローブヘッド
44、46 ダクト又は分岐流路
52、54、56 灌注液の流れ
BS 骨表面
F 力
HBT 硬骨組織