(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】噴射アセンブリで使用する封止マイクロバルブのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/14 607
B41J2/14 613
B41J2/14 501
B41J2/14 301
(21)【出願番号】P 2020563595
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 IB2019053844
(87)【国際公開番号】W WO2019215674
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-03
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008317
【氏名又は名称】マシューズ インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バスカーク、ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】フレゴ、スティーブン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハルザック、チャールズ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ホイットロック、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、エリック アール.
(72)【発明者】
【氏名】レイトン、グレン ジェイ.ティー.
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525658(JP,A)
【文献】特開2016-132189(JP,A)
【文献】特表2012-507417(JP,A)
【文献】特開2016-132188(JP,A)
【文献】特開2012-241824(JP,A)
【文献】特開昭57-197176(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030566(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0073788(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0222236(US,A1)
【文献】特開2009-172099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバルブであって、
第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートであって、前記第一の表面から前記第二の表面へ延在するオリフィスを備えるものである、前記オリフィスプレートと、
前記オリフィスプレートに対して離間して配置された作動ビームであって、前記作動ビームはベース部と片持ち梁部とを備え、前記ベース部は前記オリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、前記片持ち梁部は、前記ベース部から前記オリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分が前記オリフィスと重なり合うようになっており、前記作動ビームは閉位置と開位置との間で移動可能である、前記作動ビームと、
封止構造であって、
前記片持ち梁部の前記重なり合う部分に配置された封止部材と、
前記封止部材の表面上に配置されたストッパーであって、前記ストッパーは、前記封止部材の表面に取り付けられた第一の部分と、前記第一の部分上に前記オリフィスプレートに近接して配置された第二の部分とを備え、前記第二の部分は前記第一の部分よりも大きな断面積を有するものである、前記ストッパーと
を備える、前記封止構造と
を備え、
前記作動ビームが閉位置にある場合、前記片持ち梁部は、前記封止構造が前記オリフィスを封止して前記マイクロバルブを閉じるように配置される、
マイクロバルブ。
【請求項2】
前記作動ビームは圧電材料の層を備え、前記作動ビームは、前記圧電材料の層に印加される電気信号に応答して、前記閉位置と前記開位置との間で移動可能である、請求項1に記載のマイクロバルブ。
【請求項3】
前記ストッパーは、ビスフェノールAノボラックグリシジルエーテル系フォトレジストで構成されている、請求項1に記載のマイクロバルブ。
【請求項4】
前記封止部材、前記第一の部分、および前記第二の部分のそれぞれは実質的に円筒形である、請求項1に記載のマイクロバルブ。
【請求項5】
前記封止構造は、前記オリフィスを取り囲むバルブシートをさらに備え、前記バルブシートは、前記オリフィスと重なり合って流体出口を画成する開口部を画成する、請求項1に記載のマイクロバルブ。
【請求項6】
前記封止部材は、
前記オリフィスに面する封止部材表面であって、前記封止部材表面は前記オリフィスプレートの上面に実質的に平行であり、前記封止部材表面は、前記作動ビームが前記閉位置にある場合に前記バルブシートから或る距離だけ離間している、前記封止部材表面と、
前記封止部材表面から前記オリフィスプレートに向かって前記距離を延びる第一の封止ブレードであって、前記第一の封止ブレードは前記オリフィスの周囲全体を取り囲む、前記第一の封止ブレードと、を備える、請求項5に記載のマイクロバルブ。
【請求項7】
前記封止部材および前記オリフィスは実質的に円筒形であり、前記オリフィスは第一の直径の円筒形であり、前記封止部材は前記第一の直径よりも大きい第二の直径の円筒形である、請求項6に記載のマイクロバルブ。
【請求項8】
前記第一の封止ブレードは環状であり、前記第一の直径より大きく前記第二の直径より小さい第一の外径を備える、請求項7に記載のマイクロバルブ。
【請求項9】
前記バルブシートの内面と前記オリフィスの内面は、互いに実質的に位置合わせされて流体出口を形成し、前記マイクロバルブは前記流体出口の内面上に配置されるコーティングをさらに備える、請求項5に記載のマイクロバルブ。
【請求項10】
前記封止部材に面する前記バルブシートの上面、または前記バルブシートに面する前記封止部材の封止部材表面のうちの少なくとも一つを覆う適合層をさらに備える、請求項7に記載のマイクロバルブ。
【請求項11】
前記適合層は金を含む、請求項10に記載のマイクロバルブ。
【請求項12】
噴射アセンブリであって、
オリフィスプレートを備えるバルブ本体であって、前記オリフィスプレートは貫通して延在する複数のオリフィスを備えるものである、前記バルブ本体と、
複数のマイクロバルブであって、前記複数のマイクロバルブのそれぞれは、
前記オリフィスプレート上に配置され且つ対応するオリフィスから離間しているスペーサー部材と、
作動ビームであって、
前記スペーサー部材上に配置されたベース部と、
片持ち梁部であって、前記ベース部から前記対応するオリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分が前記対応するオリフィスと重なり合うようになっている、前記片持ち梁部と
を備え、
前記作動ビームは、前記片持ち梁部が前記オリフィスに向かって曲がる閉位置と、前記片持ち梁部が前記オリフィスから離れるように曲がる開位置との間で移動するように構成されている、前記作動ビームと、
封止構造であって、
前記重なり合う部分に取り付けられ、前記対応するオリフィスに向かって延在する封止部材と、
前記封止部材の表面上に配置されたストッパーであって、前記ストッパーは、前記封止部材の表面に取り付けられた第一の部分と、前記第一の部分上に前記オリフィスプレートに近接して配置された第二の部分とを備え、前記第二の部分は前記第一の部分よりも大きな断面積を有するものである、前記ストッパーと
を備える前記封止構造と
を備える、前記複数のマイクロバルブと、
前記複数のマイクロバルブの各々に連結され、各マイクロバルブのための流体貯留部を画成する流体マニホールドと、
を備える、噴射アセンブリ。
【請求項13】
前記作動ビームは圧電材料の層を備え、前記作動ビームは、前記圧電材料の層に印加される電気信号に応答して、前記閉位置と前記開位置との間で移動可能であり、前記圧電材料の層に電気信号が印加されていない場合、前記マイクロバルブは前記閉位置にある、請求項12に記載の噴射アセンブリ。
【請求項14】
前記封止構造は、前記オリフィスプレート上に、そのオリフィスに近接して配置されたバルブシートをさらに備え、前記バルブシートは、前記オリフィスと重なり合って流体出口を画成する開口部を画成する、請求項12に記載の噴射アセンブリ。
【請求項15】
前記封止部材は、
前記オリフィスに面する封止部材表面であって、前記封止部材表面は前記オリフィスプレートの上面に実質的に平行であり、前記封止部材表面は、前記バルブシートから或る距離だけ離間している、前記封止部材表面と、
前記封止部材表面から前記オリフィスプレートに向かって前記距離を延びる第一の封止ブレードであって、前記第一の封止ブレードは、当該第一の封止ブレードの一部が前記オリフィスの周囲に或る距離だけ離間して配置されるように、前記オリフィスの少なくとも一部を囲む、前記第一の封止ブレードと、を備える、請求項14に記載の噴射アセンブリ。
【請求項16】
前記封止部材は、前記第一の封止ブレードを取り囲む第二の封止ブレードをさらに備える、請求項15に記載の噴射アセンブリ。
【請求項17】
マイクロバルブであって、
第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートであって、前記第一の表面から前記第二の表面へ延在するオリフィスを備えるものである、前記オリフィスプレートと、
前記オリフィスプレートに対して離間して配置された作動ビームであって、前記作動ビームはベース部と片持ち梁部とを備え、前記ベース部は前記オリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、前記片持ち梁部は、前記ベース部から前記オリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分が前記オリフィスと重なり合うようになっており、前記作動ビームは閉位置と開位置との間で移動可能である、前記作動ビームと、
前記作動ビーム上に配置された封止構造であって、
前記オリフィスを取り囲むバルブシートであって、前記オリフィスを取り囲んで流体出口を画成する開口部を画成するものである、前記バルブシートと、
前記片持ち梁部の前記重なり合う部分に配置された封止部材と、
前記封止部材の表面上に配置されたストッパーであって、前記ストッパーは、前記封止部材の表面に取り付けられた第一の部分と、前記第一の部分上に前記オリフィスプレートに近接して配置された第二の部分とを備え、前記第二の部分は前記第一の部分よりも大きな断面積を有するものである、前記ストッパーと、
前記封止部材の封止部材表面から前記オリフィスプレートに向かって或る距離を延びる第一の封止ブレードであって、前記第一の封止ブレードは前記オリフィスの周囲全体を取り囲み、前記封止ブレードは、前記オリフィスを封止して前記マイクロバルブを閉じるよう、前記閉位置で前記バルブシートに接触するように構成されている、前記第一の封止ブレードと
を備える、前記封止構造と
を備える、マイクロバルブ。
【請求項18】
前記封止部材は、前記第一の封止ブレードを取り囲む第二の封止ブレードをさらに備え、前記第二の封止ブレードは前記
第一の封止ブレードが有する第一の外径よりも大きいが前記
封止部材の直径よりも小さい第二の外径を有し、前記第一の封止ブレードと前記第二の封止ブレードとの間に環状間隙が形成される、請求項17に記載のマイクロバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月11日に出願された米国仮出願第62/670,280号の優先権および利益を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概ね、微小電気機械システム(MEMS)技術を使用して製造されるマイクロバルブの分野に関する。さらに詳細には、本開示は、工業用マーキングおよびコーディングに使用されるマイクロバルブを備える噴射アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の印刷技術にはいくつかの欠点がある。例えば、連続インクジェットプリンタには、排除するのが難しい特定の欠陥がある。インク供給部から液滴を生成するプロセスは、例えば、望ましくない方向に(例えば、対象物から離れて)インクが滴下する原因となり、保守要件になる可能性がある。さらに、補給液は蒸発の結果として経時的に失われ、継続的な補充を必要とする。その他の保守費用、例えば劣化によるオリフィスプレートの修理も必要となる。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2014/333703号明細書
(特許文献2) 特開昭57-197176号公報
(特許文献3) 欧州特許出願公開第3187337号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2011/073788号明細書
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、マイクロバルブは、第一の表面および第二の表面を有するオリフィスプレートを備える。オリフィスプレートは、第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える。マイクロバルブはまた、オリフィスプレートに対して離間して配置される作動ビームを備える。作動ビームは、ベース部および片持ち梁部を備える。ベース部は、オリフィスプレートから所定の距離だけ離れる。片持ち梁部は、その重なり合う部分がオリフィスと重なり合うように、ベース部から延在する。作動ビームは、閉位置と開位置との間で移動可能である。マイクロバルブはまた、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される封止部材を備える封止構造を備える。作動ビームが閉位置にある場合、片持ち梁部は、封止構造がオリフィスを封止してマイクロバルブを閉じるように配置される。
【0005】
別の実施形態は、マイクロ電気機械システム(MEMS)マイクロバルブを構成する方法に関する。方法は、オリフィスを備えるオリフィスプレートを設けることを含む。方法はまた、作動ビームを設けることを含み、作動ビームはスペーサー部材およびそれに取り付けられた封止部材を有する。方法はまた、オリフィスプレートまたは封止部材のいずれかの上に封止構造の一部を形成することを含む。方法はまた、封止構造の部分を形成した後、作動ビームをオリフィスプレートに取り付け、封止部材がオリフィスプレートと位置合わせされて、封止構造は、オリフィスと作動ビームに近接する体積との間の封止を、作動ビームの閉位置で形成することを含む。
【0006】
別の実施形態は、噴射アセンブリに関する。噴射アセンブリは、貫通して延在する複数のオリフィスを有するオリフィスプレートを備えるバルブ本体を備える。噴射アセンブリはまた、複数のマイクロバルブを備える。複数のマイクロバルブのそれぞれは、オリフィスプレート上に配置され、対応するオリフィスを変位させるスペーサー部材を備える。また、複数のマイクロバルブのそれぞれは、スペーサー部材上に配置されたベース部と、ベース部から対応するオリフィスに向かって延在する片持ち梁部とを備える作動ビームを備え、その重なり合う部分が対応するオリフィスと重なり合う。作動ビームは、片持ち梁部がオリフィスに向かって曲がる閉位置と、片持ち梁部がオリフィスから離れるように曲がる開位置との間で移動するように構成される。複数のマイクロバルブのそれぞれはまた、重なり合う部分に取り付けられ、対応するオリフィスに向かって延在する封止部材を備える封止構造を備える。噴射アセンブリはまた、複数のマイクロバルブのそれぞれに連結する流体マニホールドを備え、それぞれのマイクロバルブのための流体貯留部を画成する。
【0007】
いくつかの実施形態は、第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートを備えるマイクロバルブに関する。オリフィスプレートは、第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える。作動ビームは、オリフィスプレートに対して離間して配置される。作動ビームはベース部および片持ち梁部を備え、ベース部はオリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、片持ち梁部はベース部からオリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分はオリフィスと重なり合う。作動ビームは、閉位置と開位置との間で移動可能である。封止構造は、作動ビーム上に配置される。封止構造は、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される封止部材を備える。ストッパーは封止部材の表面上に配置される。ストッパーは、封止部材の表面に取り付けられた第一の部分と、オリフィスプレートに近接して第一の部分上に配置される第二の部分とを備える。第二の部分は、第一の部分よりも大きな断面積を有する。作動ビームが閉位置にある場合、片持ち梁部は、ストッパーがオリフィスを封止してマイクロバルブを閉じるように配置される。
【0008】
別の実施形態は、第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートを備えるマイクロバルブに関する。オリフィスプレートは、第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える。作動ビームは、オリフィスプレートに対して離間して配置される。作動ビームは、ベース部および片持ち梁部を備える。ベース部は、オリフィスプレートから所定の距離だけ離れる。片持ち梁部は、その重なり合う部分がオリフィスと重なり合うように、ベース部からオリフィスに向かって延在する。作動ビームは、閉位置と開位置との間で移動可能である。封止構造は、作動ビーム上に配置される。封止構造は、オリフィスを取り囲むバルブシートを備える。バルブシートは、オリフィスを取り囲んで流体出口を画成する開口部を画成する。封止構造は、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される。第一の封止ブレードは、封止部材の封止部材表面からオリフィスプレートへの向かう距離を伸ばす。第一の封止ブレードは、オリフィスの周囲全体を取り囲む。封止ブレードは、流体出口を封止してマイクロバルブを閉じるために、閉位置でバルブシートに接触するように構成される。
【0009】
さらに別の実施形態は、第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートを備えるマイクロバルブに関する。オリフィスプレートは、第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える。作動ビームは、オリフィスプレートに対して離間して配置される。作動ビームはベース部および片持ち梁部を備え、ベース部はオリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、片持ち梁部はベース部からオリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分はオリフィスと重なり合う。作動ビームは、閉位置と開位置との間で移動可能である。封止構造は、作動ビーム上に配置される。封止構造は、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される封止部材を備える。狭窄部は、封止部材の端部に配置される。狭窄部は、オリフィスに面する封止部材表面を画成する。封止フラップは、狭窄部から外側方向に延在し、作動ビームが閉位置にある場合、オリフィスを封止してマイクロバルブを閉じるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、添付の図と併せて以下の詳細な説明からより詳細に理解されるであろう。
【0011】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による、ホルダー内に配置される噴射アセンブリの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す噴射アセンブリの分解立体図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す噴射アセンブリの概略断面図である。
【
図4A】
図4Aは、
図1に示す噴射アセンブリの平面図である。
図4Bは、例示的な実施形態による、
図1の噴射アセンブリで使用されることができる接着構造の概略図である。
【
図4B】
図4Aは、
図1に示す噴射アセンブリの平面図である。
図4Bは、例示的な実施形態による、
図1の噴射アセンブリで使用されることができる接着構造の概略図である。
【
図5A】
図5Aは、例示的な実施形態による、マイクロバルブを備える噴射アセンブリの断面図である。
【
図5B】
図5Bは、別の例示的な実施形態による、マイクロバルブを備える噴射アセンブリの断面図である。
【
図6】
図6は、
図5Aに示す噴射アセンブリのより詳細な図を提供する断面図である。
【
図7A】
図7Aは、例示的な実施形態による、マイクロバルブの作動ビームの断面図である。
図7Bは、別の例示的な実施形態による、
図7Aの作動ビームの正面断面図である。
【
図7B】
図7Aは、例示的な実施形態による、マイクロバルブの作動ビームの断面図である。
図7Bは、別の例示的な実施形態による、
図7Aの作動ビームの正面断面図である。
【
図8】
図8、9、10、11、12、および13は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図9】
図8、9、10、11、12、および13は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図10】
図8、9、10、11、12、および13は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図11】
図8、9、10、11、12、および13は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図12】
図8、9、10、11、12、および13は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図13】
図8、9、10、11、12、および13は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図14】
図14および15は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図15】
図14および15は、様々な例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図16】
図16は、一実施形態による、三組の同心円状封止ブレードを備えるシーリング部材の底面図である。
【
図17】
図17は、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造を構成する方法の流れ図である。
【
図18】
図18は、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図19】
図19は、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造を構成する方法の流れ図である。
【
図20】
図20は、例示的な実施形態による、マイクロバルブを構成する方法の流れ図である。
【
図21】
図21は、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止部材の断面図である。
【
図22】
図22は、例示的な実施形態による、マイクロバルブのバルブシートの断面図である。
【
図23】
図23は、別の例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造の断面図である。
【
図24】
図24は、別の例示的な実施形態による、バルブシート上に封止構造を形成するための概略的なプロセスフローである。
【
図25】
図25は、例示的な実施形態による、噴射アセンブリに備えられてもよいマイクロバルブの断面図である。
【
図29】
図29は、別の実施形態による、噴射アセンブリの側面断面図である。
【
図30】
図30は、例示的な実施形態による、噴射アセンブリの作動ビームの断面図である。
【
図31】
図31は、例示的な実施形態による、噴射アセンブリの作動ビームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施形態を詳細に例示する図を見る前に、本出願は、発明を実施するための形態に記載される、または図に例示される、詳細にも方法にも限定されないことを理解されたい。また、用語は、説明のみを目的としており、限定するものとしてはみなされないことも理解されたい。
【0013】
概ね、図を参照して、複数のマイクロバルブを備える噴射アセンブリを本明細書で説明する。本明細書に記載のマイクロバルブは、上に配置される封止部材を有する作動ビームを使用する。このような作動ビームを利用することにより、マイクロバルブを調整して、連続インクジェットアセンブリを含む従来技術に関連する様々な欠陥を排除または低減することが可能になる。例えば、様々な実施形態では、マイクロバルブは、作動ビームとオリフィスプレートとの間に配置されるスペーサー部材を備える。スペーサー部材は、作動ビームの第一の端部とオリフィスプレート内のオリフィスとの間隔を維持し、作動ビームのスクイーズフィルムダンピングを防止する。作動ビームは、スペーサー部材からオリフィスの上に延在し、封止部材はオリフィスに向かって延在し、オリフィスで封止を形成する。したがって、作動ビームに電気エネルギーを印加することなく、封止部材はオリフィスを封止する。換言すると、(例えば、中に含まれる材料を慎重に選択することによって構成される)作動ビームの初期位置は、マイクロバルブが閉じられることである。したがって、マイクロバルブ内に配置される流体(例えば、インク、溶媒等)は、噴射アセンブリの外部環境から封止される。これにより、液体の蒸発がなくなり、目詰まりが軽減される。さらに、蒸発の制限により、より速く乾燥するインクの使用が可能となり、これにより従来のシステムより高速で印刷ができる。
【0014】
噴射アセンブリの優れた性能を確実にするために、本明細書に記載のマイクロバルブは、作動ビームがその初期位置にある場合、オリフィスを作動ビームに近接する体積から分離する封止を形成するように構成される封止構造を備える。封止構造は、封止の形成を確実にするように設計された複数の構成要素の任意の組み合わせを備えてもよい。例えば、様々な実施形態では、封止構造は、オリフィスプレート上に、オリフィスに近接して配置されるバルブシートを備える。バルブシートは、オリフィスを取り囲み、オリフィスと重なり合って流体出口を画成する開口部を画成してもよい。封止部材は、作動ビームが初期位置の場合、バルブシートと接触してもよい。いくつかの実施形態では、バルブシートは、作動ビームの湾曲によって加えられる圧力から生じる強化された封止を形成し易いように、適合材料で構成される。
【0015】
別の態様では、封止構造は、封止部材に取り付けられる、または封止部材から延在する構成要素を備えることができる。例えば、一実施形態では、封止構造は、封止部材のオリフィスに面する表面から延在するストッパーを備える。ストッパーは、狭窄部、およびオリフィスの断面積よりも大きい断面積を有するより広い部分を備えてもよい。結果として、作動ビームは、ストッパーをオリフィスプレートに向けて押し付けて、封止を形成し易くする。代替的にまたは追加的に、封止構造は、バルブシートまたはオリフィスプレートに接触するようにオリフィスに面する表面から延在する封止ブレードを備えてもよい。封止ブレードはさらに、その比較的小さな断面積から生じる圧力によって封止を形成し易くし、これにより作動ビームにより印加される下向き圧力を一点に集中させて、密封を形成する。したがって、本明細書に記載の様々な構造は、作動ビームがその初期位置にある場合、形成される封止を強化する。
【0016】
本明細書に記載のように、用語「初期位置」は、マイクロバルブの作動ビームを説明する際に使用される場合、作動ビームへの制御信号(例えば、電荷も、電流も電圧も)を印加することなく、マイクロバルブの様々な他の構成要素に対する作動ビームの位置を記述する。換言すると、作動ビームが受動的な状態にある場合、初期位置は作動ビーム(およびそれに取り付けられた任意の構成要素)の位置である。当然のことながら、初期位置が作動ビームの開位置である別の実施形態が想定される。
【0017】
ここで
図1を参照すると、例示的な実施形態による、ホルダー150内に配置される噴射アセンブリ100の斜視図が示されている。噴射アセンブリ100は、キャリア108に取り付けられたバルブ本体102を備える。ホルダー150は、噴射アセンブリ100を受け入れるように構成される、その中に格納された開口部を有する実質的に円形の本体を備える。ホルダー150の本体は、マーキングデバイスへのホルダー150の取り付けを容易にするために、その周縁部から延在する切欠き118を備えてもよい。バルブ本体102は、マーキングデバイスの構成要素であってもよい。例示的な一実施形態では、バルブ本体102は、加圧インク供給部を備える工業用マーキングデバイスで用いられる。別の実施形態では、バルブ本体102または本明細書に記載のマイクロバルブのいずれかは、流体がガス(例えば、空気、窒素、酸素等)を含む空気圧用途で使用されてもよい。
【0018】
本明細書に記載のように、バルブ本体102は、複数のマイクロバルブに取り付けられた入力流体マニホールドを備える。マイクロバルブおよび入力流体マニホールドは、外部流体供給部から受け入れる流体を保持するように構成される流体プレナムまたは流体貯留部を形成する。別の実施形態では、バルブ本体102は、複数の流体プレナムを画成してもよく、各流体プレナムは、複数のマイクロバルブのうちの少なくとも一部に対応する。このような実施形態では、各流体プレナムは、多色可能な噴射アセンブリまたは多流体堆積アセンブリを提供するために、異なる色のインク(例えば、黒色、緑色、黄色、シアン等)または異なる流体で充填されてもよい。様々な実施形態では、マイクロバルブは、そこに印加される電圧に応答して移動(例えば、屈曲、湾曲、ねじれ等)し、オリフィスプレートのオリフィスにおいて流体出口を一時的に開くように構成される作動ビームを備える。結果として、液滴は、流体出口から対象物上に放出され、対象物上に所望のマーキングパターンを生成する。
【0019】
示すように、回路基板104は、キャリア108の側面に取り付けられる。回路基板104は、複数の電気経路を備えてもよく、バルブ本体102と電気コントローラとの間の接続点を(例えば、ワイヤハーネスを介して)提供してもよい。電気コントローラは、電気経路を介して制御信号を供給し、バルブ本体102に備えられる複数のマイクロバルブの作動ビームの動作を制御してもよい。このようなマイクロバルブの構造および機能を、本明細書により詳細に説明する。いくつかの実施形態では、回路基板104自体は、マイクロバルブを作動させる制御信号を生成し、提供するマイクロコントローラを備える。
【0020】
識別タグ106は、噴射アセンブリ100に取り付けられる。いくつかの実施形態では、識別タグ106は、噴射アセンブリ100に関する様々な形態の情報(例えば、製造情報、シリアル番号、バルブ較正情報、設定等)を格納するように構成される内部メモリを備える。例えば、一実施形態では、識別タグ106は、外部装置から所定の識別子を受信することに応答して、格納された情報を受信可能な方法で送信するよう構成される無線周波数識別(RFID)タグである。このように、噴射アセンブリ100に関する情報は、迅速かつ効率的に取得されてもよい。
【0021】
ここで
図2を参照すると、例示的実施形態による、噴射アセンブリ100の立体分解図が示されている。キャリア108は、前面110、背面112、および側面124を備える。様々な実施形態では、バルブ本体102は、接着剤で前面110に取り付けられる。背面112は、その上に配置されるカバー116を有する。カバー116は、バルブ本体102を介して対象物上に堆積するための流体(例えば、インク)用の供給ポートを提供する開口部120を備える。例えば、いくつかの実施形態では、流体(例えば、インク)は、開口部120の第一の開口部を介して(例えば、入力供給ラインまたはホースを介して)バルブ本体102に供給され、バルブ本体102を通って循環され、開口部120の第二の開口部を介してバルブ本体102から吐出される。換言すると、流体は、流体プレナムを通って再循環される。隔壁は、開口部120のそれぞれに配置され、そこを通る流体送達または流体戻り針の挿入を可能にするように構成されてもよく、噴射アセンブリ100の流体封止を維持しながら流体プレナム内へ流体の連通を可能にする。特定の実施形態では、隔壁は、開口部の第一の開口部および第二の開口部のそれぞれの下に延在する単一の隔壁シートを備えてもよい。図示されていないが、いくつかの実施形態では、発熱体(例えば、抵抗素子)は、バルブ本体102またはキャリア108に近接して(例えば、その側壁の周りに、またはその側壁に連結して)配置されてもよい。発熱体を用いて、流体を所望の温度に維持するために、流体プレナム内に収容される流体(例えば、インク)を選択的に加熱してもよい。さらに、例えば、温度センサー(図示せず)、例えば熱感知抵抗器は、例えば、噴射アセンブリ100を通って流れる流体の温度を測定するために、キャリア108内に設けられてもよい。
【0022】
前面110は、バルブ本体102が前面110に(例えば、接着剤により)堅固に取り付けられるように、バルブ本体102を受け入れるように構成される空洞を備える。回路基板104は、側面124を介してキャリア108に取り付けられる。示すように、側面124は取付ペグ126を備える。様々な実施形態では、回路基板104は、取付ペグ126の配置に対応するように配置される開口部を備え、回路基板104をキャリア108に位置合わせするために取付ペグ126を受け入れるように構成される。
【0023】
示すように、回路基板104は、それに取り付けられたフレックス回路114を有する。フレックス回路114は、回路基板104からある角度で延在し、前面110に近接してキャリア108に取り付けられる。バルブ本体102および回路基板104は、フレックス回路114が前面110の角境界の近傍に延在する場合、互いに垂直に配置される。回路基板104はまた、マーキングシステムコントローラから制御信号を受信するように構成される電気接続部材(例えば、ピン)を備えるコントローラインターフェース122を備える。
【0024】
本明細書に記載のように、様々な実施形態では、フレックス回路114は流体マニホールドとキャリア108との間に配置されてもよく、またはインターポーザがキャリア108とバルブ本体102との間に配置されて、フレックス回路114と、バルブ本体102に備えられる複数のマイクロバルブの電極との間の電気接続の形成を容易にしてもよい。いくつかの実施形態では、フレックス回路114は、取付部材148によって前面110に取り付けられる。フレックス回路114の開口部は、キャリア108の隔壁と位置合わせされ、バルブ本体102を介して形成される流体プレナムへの流体入口を提供する。
【0025】
ここで
図3を参照すると、例示的な実施形態による、噴射アセンブリ100の様々な構成要素の概略図が示されている。例えば、
図3は、
図1に示す噴射アセンブリ100の線I-Iにおける断面図を示すことができる。示すように、バルブ本体102は、インターポーザ170を介してキャリア108の前面110から延在する。インターポーザ170は、バルブ本体102内で様々な構成要素の最大の性能を確実にもたらす構造支持体を提供する。示していないが、いくつかの実施形態では、適合層(例えば、シリコーンまたはゴム層)はまた、応力を緩和させるために、インターポーザ170の上方もしく下方に、またはスタック内の他の任意の位置に配置されてもよい。
【0026】
バルブ本体102は、入力流体マニホールド162、および入力流体マニホールド162に取り付けられた複数のマイクロバルブ164を備える。マイクロバルブ164および入力流体マニホールド162は、加圧流体供給部から(例えば、背面112に取り付けられたカバー116内の開口部120を介して)受け入れた流体(例えば、インクとメイクアップ流体との組み合わせ)のための流体プレナムまたは流体貯留部166を形成する。様々な実施形態では、流体供給部は、流体貯留部、およびキャリア108に連結する供給ラインを介して噴射アセンブリ100に加圧流体を供給するように構成されるポンプを備える。様々な実施形態では、流体供給部は、マイクロバルブ164のうちの一つまたは複数が開いている場合、7~15PSIに加圧された流体を供給する。例えば、一実施形態では、流体は、約10PSIの圧力を有する。キャリア108は、加圧流体を受け入れ、流体を流体プレナム166に供給するように構成される内部空洞を備えてもよい。様々な実施形態では、圧力差は、流体プレナムと流体供給部との間で、流体をバルブ本体102から追い出すように維持されてもよい。
【0027】
入力流体マニホールド162は、流体プレナムを形成するチャネルを備えるガラス構造体を備えてもよい。一般的に、マイクロバルブ164は、前面110のオリフィスプレート上のオリフィスに対して離間して保持される作動ビームを備える。作動ビームは、制御信号(例えば、回路基板104上のコントローラインターフェース122を介して提供される電圧波形)の受信に応答して撓むように構成される圧電材料の少なくとも一つの層を備えてもよい。本明細書に記載のように、このような電気信号の印加は、マイクロバルブ164を開放させ、それによりオリフィスプレートで液滴が放出される。液滴は基材190上に噴出距離192噴出され、基材190上に所望のパターンを生成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のマイクロバルブ164または任意の他のマイクロバルブによって分注される単一の流体液滴の重量は、200ナノグラム~300ナノグラムの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、分注される単一の液滴の体積は、200ピコリットル~300ピコリットルの範囲であってもよい。マイクロバルブ164の様々な構成要素の構造および機能を、本明細書でより詳細に説明する。別の実施形態では、作動ビームは、(例えば約1mmの長さを有する)ステンレススチール作動ビームを備えてもよい。さらに別の実施形態では、作動ビームは、ベース層(例えば、ベースシリコンまたはステンレス鋼層)のいずれかの面上に配置される圧電材料の二つの層を有するバイモルフビームを備えてもよい。電気信号(例えば、電圧)は、作動ビームを対応する圧電層に向かって屈曲させるために、圧電層のいずれか一つに印加されてもよい。二つの圧電層は、同一の圧電材料または異なる圧電材料を備えてもよい。特定の実施形態では、オリフィスに向かってまたはオリフィスから離れる所定の距離に作動ビームを屈曲または湾曲させるように、異なる電気信号を圧電層のそれぞれに印加してもよい。
【0028】
本明細書に記載の実施形態は、圧電材料を含む作動ビームを一般的に説明するが、別の実施形態では、任意の別の作動機構が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、作動ビームは、作動ビームを移動させるための容量性カップリングを備えてもよい。別の実施形態では、作動ビームは、静電カップリングを備えてもよい。さらに別の実施形態では、作動ビームは、ビームを移動させるための磁気カップリング(例えば、電磁石によって作動させる電磁構造)を備えてもよい。さらに別の実施形態では、作動ビームは、温度変化に応答して移動するように構成される温度感受性のバイメタル板を備えてもよい。
【0029】
インターポーザ170は、一般的にバルブ本体102の様々な部分に剛性を付加する。例えば、インターポーザ170を、バルブ本体102の構成要素(例えば、オリフィスプレート、作動ビーム等)よりも剛性が高いように構成し、このような構成要素を互いに取り付けることによって、誘発される応力を相殺してもよい。例えば、インターポーザ170は、キャリア108をバルブ本体102に取り付けるために使用される接着剤によって誘発される応力を相殺するために、バルブ本体102に取り付けられてもよい。さらに、インターポーザ170は、入力流体マニホールド162とマイクロバルブ164との間の界面で応力を相殺してもよい。
【0030】
ここで
図4Aを参照すると、例示的実施形態による、噴射アセンブリ100の平面図が示されている。
図4Aは、
図2に示すバルブ本体102の線II-IIにおける平面図を示している。つまり、
図4Aは、入力流体マニホールド162とオリフィスプレートとの間の界面における断面図を示す。入力流体マニホールド162は、第一の開口部172および第二の開口部174を備える。第一の開口部172は、複数のマイクロバルブ164を露出して流体供給部から受け入れる流体を保持するように構成される流体プレナム166を形成する。
【0031】
示す実施例では、複数のマイクロバルブ164は、位置合わせされた複数の作動ビーム176を備える。複数の作動ビーム176のそれぞれは、その端に配置される封止部材178を有する。いくつかの実施形態では、封止部材178は、オリフィスプレート内のオリフィスに配置されるバルブシートと位置合わせされ、かつ接触し、いかなる電気信号も存在せずに流体プレナム166内に収容された流体が流体プレナム166から漏れ出るのを防止する。噴射アセンブリ100は、52個のマイクロバルブ164を形成する52個の作動ビーム176を備えることが示されている。
【0032】
様々な実施形態では、複数の作動ビーム176のそれぞれは、第二の開口部174を介して露出される電気接続部を備えてもよい。電気接触パッド180は、電気接続部のそれぞれに配置される。ワイヤボンドは、電気接触パッド180を介して、電気接続部のそれぞれをコントローラインターフェース122に電気的に接続する。つまり、電気信号は、電気接触パッド180を介して作動ビーム176の各々によって受信されてもよい。いくつかの実施形態では、テープ自動ボンディング(TAB)を用いて、電気接続部のそれぞれをコントローラインターフェースに電気的に接続してもよい。
【0033】
第一の開口部172と第二の開口部174との間の境界は、電気接触パッド180を、第一の開口部172によって形成される貯留部内に収容される流体から分離する。また有利なことに、電気接触パッド180は、入力流体マニホールド162の下に配置される。これは、作動ビーム176間の電気接続がキャリア108の内部に配置され、劣化および外部汚染から保護されることを意味する。
【0034】
電気接触パッド180を流体プレナム166に収容される流体から分離するために、接着構造体182は、入力流体マニホールド162上に配置される。接着構造体182は、入力流体マニホールド162をオリフィスプレートに連結する。
図4Aに示すように、接着構造体182は、第一の開口部172および第二の開口部174のそれぞれの周りに「レーストラック」を形成する。レーストラックは、入力流体マニホールド162とオリフィスプレートとの間に漏れ出る流体のためのバリアを提供し、および粒子が入力流体マニホールドに入るのを防止する。レーストラック型接着構造体182は、入力流体マニホールド162側またはオリフィスプレート側のうちの一方または両方に存在してもよい。例えば、レーストラックは、第一の開口部172および第二の開口部174のそれぞれの周りに、接着剤材料(例えば、ネガ型フォトレジスト、例えば、商品名SU-8で市販のビスフェノールAノバラクグリシジルエーテル系フォトレジスト、またはポリメチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、シリコーンゴム等)のいくつかの同心矩形ループで構成されてもよい。接着材料のセグメントは、矩形ループの複数のセグメントを横切って切断し、漏れ出る流体を受け入れる区画を形成してもよい。このような接着構造体182は、マイクロバルブ164と電気接触パッド180との間の流体分離を容易にする。別の実施形態では、接着構造体182は、シリコンから形成され、融着、レーザーボンディング、接着剤、共晶接合、ガラスフリット、はんだ、スティクション等により、入力流体マニホールド162をオリフィスプレートに接合するために使用される。接着構造体182は、入力流体マニホールド162およびそれに連結するバルブ本体102上に配置されてもよく、バルブ本体102およびそれに連結する入力流体マニホールド162上に配置されてもよく、または入力流体マニホールド162およびバルブ本体102のそれぞれの上に二つを連結する前に配置されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、接着構造体182は、通気されてもよい。例えば、
図4Bは、接着構造体182bの概略図を示す。接着構造体182bは、SU-8、シリコン、または任意の他の好適な材料から形成されてもよく、接着構造体がレーストラック形状を有するように、複数のループ189bを備える。入力流体マニホールド162を取り囲む接着構造体182bの複数のループ189bのうちの最も内側のループは、閉ループを形成する。これに対して、最も内側のループの半径方向外側に配置される複数のループ189bの残りの部分は、通気孔183b、例えばその中に画成される溝または開口部を備える。通気孔183bは、接着構造体182bの複数のループ189bの間に閉じ込められる場合がある空気が通気孔183bを通って漏れ出ることを可能にすることによって、入力流体マニホールド162のオリフィスプレートへ接合し易くしてもよい。
図4Bは、通気孔183bが互いに半径方向に位置合わせされ、各ループの角に位置することを示す。別の実施形態では、一つのループの一つまたは複数の通気孔183bは、隣接するループに画成される通気孔から放射状にオフセットされてもよい。
【0036】
図4Bに示すように、接着構造体182bの各ループの角は、丸みを帯びてもよい。さらに、噴射アセンブリ100に備えられる入力流体マニホールド162の角部、インターポーザ170、フレックス回路114、または任意の別の層もしくは構成要素は、例えば、鋭利な角部で生じる可能性がある応力集中を低減するために、丸みを帯びてもよい。
【0037】
ここで
図5Aを参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブ230を備える噴射アセンブリ200の断面図が示されている。いくつかの実施形態では、噴射アセンブリ200は、
図1、2、3、および4A~4Bに関して説明した噴射アセンブリ100の例示的実施形態である。示すように、噴射アセンブリ200は、構造層222を介してバルブ本体298に取り付けられるキャリア202を備える。いくつかの実施形態では、キャリア202は、構造層222を備えてもよい。
【0038】
キャリア202は、上部204、および上部204の縁から延在するハウジング部206を備える。上部204は、加圧インクが供給される隔壁208を備える。ハウジング部206は、バルブ本体298が中に配置される空洞を画成する。バルブ本体298は、入力流体マニホールド210およびマイクロバルブ230を備える。示すように、入力流体マニホールド210およびマイクロバルブ230は、隔壁208を介して外部流体供給部から受け入れる加圧流体の体積を保持するように構成される貯留部300を画成する。様々な実施形態では、貯留部300内に保持される加圧流体は、液体状態にあるインクおよび別の流体の組み合わせである。
【0039】
キャリア202は、プラスチック、セラミック、または任意の他の好適な材料で形成されてもよい。キャリア202は、バルブ本体298に構造支持体を設けることによって、噴射アセンブリ200を動作し易くする。例えば、いくつかの実施形態では、バルブ本体298の周縁部は、ハウジング部206の内面に配置される接着剤の層302によりハウジング部206に取り付けられる。このような接着剤は、マイクロバルブ230と入力流体マニホールド210との間の所望の相対的位置決めを維持し易くする。
【0040】
様々な実施形態では、入力流体マニホールド210は、噴射アセンブリ200の別の構成要素への取り付け前に予め形成される。入力流体マニホールド210は、(例えば、ガラス、シリコン、シリカ等から形成される)任意の好適な厚さ(例えば、500ミクロン)を有する本体310によって形成される。示すように、入力流体マニホールド210は、第一のアーム330、第二のアーム332、および第三のアーム334を備えるように予め形成されている。本明細書で使用する用語「アーム」は、入力流体マニホールド210を記載するために使用される場合、入力流体マニホールド210に含まれる開口部を分離する構造を説明するために使用される。したがって、アーム330、332、および334は、任意の好適な形状を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アーム330、332、および334は、実質的に平面の側面を有する実質的に矩形形状である。別の実施形態では、側面は、アーム330、332、および334は、実質的に台形形状であるように角度付けられてもよい。アーム330、332、および334は、任意の好適な方法(例えば、ウェットエッチングまたはドライエッチング、例えばディープ反応性イオンエッチング)を用いて、構造体(例えば、シリコンまたはガラス構造体)内に開口部を作製することによって形成されてもよい。
【0041】
示すように、第一のチャネル212はアーム330と332とを互いに分離し、第二のチャネル214はアーム332と334とを互いに分離する。示す実施形態では、第一のチャネルと第二のチャネル214は、実質的に直線状で互いに平行であるが、入力流体マニホールド210は、その上に配置されるマイクロバルブの配置のために必要に応じて配置されてもよい。第一のチャネル212は、マイクロバルブ230の作動ビーム240の片持ち梁部308の長さ312と所定の関係を有する幅304、例えば約500~1,000ミクロンの範囲、を有するように形成される。例えば、第一のチャネル212は、片持ち梁部308の所望の長さ312よりも閾値量だけ大きい幅304を有するように形成されてもよい。第二のチャネル214は、作動ビーム240とフレックス回路216との間に、その間に延在するワイヤボンド220を介して形成される電気接続のための手段を提供する。有利なことに、このような配置を用いて、作動ビーム240とフレックス回路216との間の電気接続を内部に取り込む。換言すると、このような構成要素間の電気接続は、キャリア202の外部ではなく、したがって劣化に対して脆弱性が低い。様々な実施形態では、第一のチャネル212および/または第二のチャネル214は、傾斜した側壁を有してもよい。
【0042】
示すように、第二のチャネル214は、封入剤218で実質的に充填される。封入剤218は、エポキシタイプまたは任意の他の好適な材料を含んでもよい。封入剤218は、ワイヤボンド220とフレックス回路216と作動ビーム240との間に形成される電気接続を覆い、ワイヤボンド220を物理的損傷、湿気、および腐食から保護するように構成される。したがって、封入剤218は、フレックス回路216と作動ビーム240との間の適切な電気接続の維持を確実にして、作動ビーム240にそれを動かすために電気制御信号を提供し易くし、マイクロバルブ230を開閉させる。
【0043】
第二のアーム332は、貯留部300に収容される流体が電気接続部に到達するのを防止するバリアとして機能する。第一のチャネル212と第二のチャネル214を分離する入力流体マニホールド210の部分314は、貯留部300に収容される流体が電気接続部に到達するのを防止するバリアとして機能する。つまり、入力流体マニホールド210は、外部流体供給部から受け入れる加圧流体用の貯留部300と、加圧流体と噴射アセンブリ200内に収容される任意の電気接続部との間の絶縁バリアとの両方の機能をする。第一チャネル212および第二のチャネル214は、(例えば、サンドブラスト、物理的または化学的エッチング、ドリル加工による)任意の好適なプロセスを用いて形成されてもよい。いくつかの実施形態では、入力流体マニホールド210は、ガラスで構成されるよりもむしろ、シリコン、シリカ、セラミック、または任意の他の好適な材料で構成される。いくつかの実施形態では、入力流体マニホールド210は、ガラスフリット、はんだ、または任意の他の好適な接着剤によりマイクロバルブ230に接合してもよい。
【0044】
図5Aを引き続き参照すると、マイクロバルブ230は、作動ビーム240に取り付けられたオリフィスプレート250を備える。オリフィスプレート250は、任意の好適な材料、例えば、ガラス、ステンレス鋼、ニッケル、電気めっきされた金属(例えば、ステンレス鋼)の別の層を有するニッケル、ポリイミド(例えば、カプトン)、またはネガ型フォトレジスト(例えば、SU-8、ポリメチルメタクリレート等)から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、オリフィスプレート250は実質的に平坦であってもよく、例えば、オリフィスプレート250が実質的に反りも曲げも無いように、少なくとも15mmのオリフィスプレート250の長さおよび幅にわたって3ミクロン未満の変動係数の平坦性を有してもよい。さらに、オリフィスプレート250は、任意の好適な厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、オリフィスプレート250は、30ミクロン~60ミクロンの範囲(30、40、50、または60ミクロン)の厚さを有してもよい。別の実施形態では、オリフィスプレート250は、100ミクロン~400ミクロンの範囲(例えば、100、150、200、250、300、350、または400ミクロン)の厚さを有してもよい。より厚いオリフィスプレート250は、より平坦なオリフィスプレートを実現し易くしてもよい。
【0045】
オリフィスプレート250は、実質的に平面状であり、その表面の間に延在するオリフィス260を備える。様々な実施形態では、オリフィス260は、実質的に円筒形であり、オリフィスプレート250の表面に垂直または実質的に垂直である中心軸を有する。バルブシート270は、オリフィスプレート250の内面316上にオリフィス260に近接して配置される。様々な実施形態では、バルブシート270は、オリフィス260を囲むまたは実質的に囲む適合材料からなる。いくつかの実施形態では、バルブシート270は、エポキシ系接着剤、例えばSU-8フォトレジストで構成される。別の実施形態では、バルブシート270は、成形可能なポリマー、例えばポリジメチルシロキサンまたはシリコーンゴムから形成されてもよい。さらに別の実施形態では、バルブシート270は、非適合材料、例えばシリコンから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、適合層、例えば金層は、作動ビーム240が接触するバルブシート270の表面上に配置されてもよい。バルブシート270は、オリフィス260と実質的に位置合わせされた内部開口部318を画成し、貯留部300内に収容される加圧流体のための出口を形成する。特定の実施形態では、バルブシート270は除外される場合がある。
【0046】
示すように、作動ビーム240は、ベース部306および片持ち梁部308を備える。ベース部306は、第一のチャネル212と第二のチャネル214を分離する入力流体マニホールド210の部分314の下に延在する。示すように、ベース部306は、第二のチャネル214と重なり合う領域に電気接続部294を備える。電気接続部294は、電極を備え、その電極を通って、ワイヤボンド220を介してフレックス回路216と電気的接続が形成される。片持ち梁部308は、入力流体マニホールド210の部分314から貯留部300内に延在する。示すように、片持ち梁部308は、スペーサー部材280上に配置され、結果として、オリフィスプレート250から空間的に分離される。したがって、電気接続部294を介して電気信号が作動ビーム240に印加された結果として、作動ビーム240はオリフィスプレート250に向かって曲がって、および/またはオリフィスプレート250から離れことができるように、片持ち梁部308の両側に空間がある。スペーサー部材280は、作動ビームのスクイーズフィルムダンピングを防止するように構成される。
【0047】
片持ち梁部308は、片持ち梁部が貯留部300の境界から所定の距離だけ延在するように、長さ312を有する。様々な実施形態では、所定の距離は、特に片持ち梁部308の一部292がバルブシート270およびオリフィス260と重なり合うように選択される。封止部材290は、オリフィス260と重なり合う作動ビーム240の一部292から延在する。いくつかの実施形態では、封止部材290は、オリフィス260の形状に実質的に対応する形状を有するように構成される。例えば、一実施形態では、オリフィス260および封止部材290の両方が実質的に円筒形であり、封止部材290がより大きい外径を有する。このような構成は、封止部材290とバルブシート270との間に封止を形成することを可能にするために、封止部材290が、オリフィス260の全体を覆い易くする。別の実施形態では、オリフィス260は、任意の他の形状、例えば、星形、正方形、矩形、多角形、楕円形、または非対称形状を有してもよい。特定の実施形態では、バルブシート270は、封止部材290を受けるように凹部のサイズおよび形状を画成してもよい。様々な実施形態では、オリフィスプレート250およびしたがってオリフィス260は、非湿潤(例えば、疎水性)材料、例えば、シリコンまたはテフロン(登録商標)から形成されてもよい。別の実施形態では、非湿潤(例えば、疎水性)コーティングは、オリフィス260の内壁もしくは表面上、またはバルブシート270およびオリフィス260によって形成される流体出口に配置されてもよい。このようなコーティングとしては、例えば、テフロン(登録商標)、ナノ粒子、親油性コーティング、または任意の他の好適なコーティングを挙げることができる。
【0048】
様々な実施形態では、スペーサー部材280および封止部材290は、同一の材料から構成され、同等または実質的に同等の厚さ320および322(例えば、シリコン、SU-8、シリコンゴム、ポリメチルメタクリレート等)を有する。このような実施形態では、作動ビーム240がオリフィスプレート250に平行に延在する場合、スペーサー部材280の下面と封止部材290の下面は互いに位置合わせされている。作動ビーム240が(本明細書に記載のように)閉位置に配置される場合、封止部材290の表面はバルブシート270に接触して、オリフィス260に形成される流体出口を閉じる(例えば、封止部材290の封止部材面は、バルブシート270が存在しない場合、スペーサー部材280の下面の下に約2ミクロン延在するように構成されてもよい)。バルブシート270および封止部材290は、作動ビーム240が閉位置に配置される場合(例えば、ワイヤボンド220を介して電気信号が作動ビーム240から除去されるか、または作動ビーム240に印加される場合)、封止部材290の十分な表面積がバルブシート270に接触し、流体が貯留部300からオリフィス260に移動するのを防止するように寸法設定される。例えば、封止部材290は、バルブシート270よりも大きい直径あるいは断面を有してもよい。別の実施形態では、封止部材290は、バルブシート270よりも小さい直径あるいは断面を有してもよい。いくつかの実施形態では、適合材料(例えば、金層)は、バルブシート270に接触するように構成される封止部材290の表面上に配置されてもよい。
【0049】
噴射アセンブリ200の様々な態様は、バルブシート270と封止部材290との間の適切な封止を確実に形成するように設計される。例えば、入力流体マニホールド210上に配置される構造層222は、マイクロバルブ230の構成要素を互いに連結し、およびマイクロバルブ230をハウジング部206に連結する接着剤によりその上に誘起される応力から生じるオリフィスプレート250の反りを防止する。様々な実施形態では、構造層222は、この機能を実行するためにオリフィスプレート250よりも高い剛性を有するように構成される。構造層222は、シリコンまたは任意の他の好適な材料で構成されてもよい。示すように、構造層222は、その主要部分から延在する突起部224を備える。突起部224は、入力流体マニホールド210の上面に(例えば、第一のチャネル212と第二のチャネル214の境界に)取り付けられる。特定の実施形態では、突起部224は省略される。封止は、例えば、構造層222とフレックス回路216との間に配置される接着剤によって突起部224で形成される。突起部224は、入力流体マニホールド210の上方にクリアランスを提供する。このようなクリアランスは、ワイヤボンド220とフレックス回路216との間の全ての接触点を完全に覆う封入剤218を配置し易くする。いくつかの実施形態では、剛性がキャリア202によってもたらされるように、キャリア202は構造層222を備えてもよい。
【0050】
別の態様では、作動ビーム240は、閉位置にある場合、バルブシート270と封止部材290との間の界面に密封が形成されるように構成される。作動ビーム240は、圧電材料の少なくとも一つの層を備えてもよい。圧電材料の層は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)または任意の好適な材料を含んでもよい。圧電材料の層は、それに電気的に接続する電極を有する。様々な実施形態では、ワイヤボンド220は、フレックス回路216からの電気信号が電極を介して圧電材料の層に提供されるように、前述の電極に取り付けられる。電気信号は、作動ビーム240をその初期位置に対して移動(例えば、屈曲、回転等)させる。他の実施形態では、作動ビーム240は、(例えば、約1mmの長さを有する)ステンレス鋼作動ビームを備えてもよい。さらに別の実施形態では、作動ビーム240は、ベース層(例えば、ベースシリコン層)のいずれかの面上に配置される圧電材料の二つの層を有するバイモルフビームを備えてもよい。電気信号(例えば、電圧)は、作動ビームを対応する圧電層に向かって屈曲させるために、圧電層のいずれか一つに印加されてもよい。二つの圧電層は、同一の圧電材料または異なる圧電材料を備えてもよい。特定の実施形態では、所定の距離に作動ビームを屈曲または湾曲させるように、異なる電気信号を圧電層のそれぞれに印加してもよい。
【0051】
示すように、ワイヤボンド220は、その電気接続部294において作動ビーム240に取り付けられる。電気接続部294は、作動ビーム240内の少なくとも一つの電極に導電的に接続するワイヤボンディングパッド(例えば、金、白金、ルビジウム等から構成される)を備える。有利には、電気接続部294は、作動ビーム240の片持ち梁部から離される。換言すると、電気接続部294は、入力流体マニホールド210と作動ビーム240との間の接続点に形成される封止により、噴射アセンブリ200に収容される流体から分離される。いくつかの実施形態では、ワイヤボンド220および/または封入剤218は、オリフィスプレート250内に設けられる開口部を通って経路から出されてもよい。
【0052】
様々な実施形態では、作動ビーム240は、閉位置がその初期位置であるように構成される。換言すると、作動ビーム240内の様々な層は、貯留部内に収容される加圧流体により印加される力の結果として、オリフィス260に向かって作動ビームが曲がるように構成される。作動ビーム240内のチューニング層は、オリフィスに向かって作動ビームに湾曲を生じさせるために圧縮応力状態になるように構成されてもよい。このような湾曲の結果として、封止部材290は、例えば、流体出口を閉じるために作動ビーム240に印加される電気信号が全く存在しないで、バルブシート270に接触する。湾曲度は、作動ビーム240が初期位置にある状態で、封止部材290とバルブシート270との間の界面において密封を形成するように、特に選択されてもよい。有利なことに、このような初期封止は、噴射アセンブリ200に収容される流体の蒸発を防止し、それは詰まりおよび他の欠陥を防止する。
【0053】
図5Aに示すように、作動ビーム240は、オリフィスプレート250から離れる方向に屈曲される。このような屈曲の達成は、フレックス回路216を介して電気信号を作動ビーム240へ印加することに起因する。例えば、フレックス回路216は、作動ビーム240に伝えられる電気信号を供給する外部コントローラに電気的に接続していてもよい。
【0054】
図5Aに例示のように、電気信号の印加は、作動ビーム240をその初期位置から一時的に離す。例えば、様々な実施形態では、作動ビーム240は、封止部材290の封止部材表面の一部がバルブシート270の上面から少なくとも10ミクロンであるように、オリフィス260から離れる方向に上方に移動する。一実施形態では、封止部材表面の中心部は、その振動パターンのピークでバルブシート270から約15ミクロンである。結果として、バルブシート270と封止部材290との間に開口部が一時的に形成される。開口部は、流体体積がオリフィス260に入り、オリフィスプレート250の外表面において液滴を形成する経路を提供する。液滴は基材上に堆積され、噴射アセンブリ200のマイクロバルブ230のそれぞれの作動ビーム240のそれぞれに送られる制御信号によって決定されるパターンを形成する。理解されるように、周波数であって、周波数により作動ビーム240がその初期位置からある位置、例えば
図5に示す位置へ移動する、周波数は、実装に応じて変化してもよい。例えば、一実施形態では、作動ビーム240は、約12kHzの周波数で振動する。しかし別の実装では、作動ビーム240は、より低い周波数(例えば、10kHz)またはより高い周波数(例えば、20kHz)で発振してもよい。
【0055】
ここで
図5Bを参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブ230bを備える噴射アセンブリ200bの断面図が示されている。いくつかの実施形態では、噴射アセンブリ200bは、
図1、2、3、および4A~4Bに関して説明した噴射アセンブリ100の例示的実施形態である。示すように、噴射アセンブリ200bは、インターポーザ222bを介してバルブ本体298bに取り付けられるキャリア202bを備える。
【0056】
キャリア202bは、上部204b、および上部204bの縁から延在するハウジング部206bを備える。流体チャネル211bは、上部204bに設けられる。隔壁208b(例えば、ゴムまたは発泡体隔壁)は流体チャネル211bの入口に配置され、フィルター213bは流体チャネル211bの出口に配置される。カバー203b(例えば、プラスチックまたはガラスカバー)は、隔壁208bがキャリア202bとカバー203bとの間に配置され、その間に固定されるように、キャリア202b上に配置される。開口部209bは、カバー203b内に画成されてもよく、流体チャネル211bの入口に対応する。流体コネクター10bは、カバー203bまたは流体チャネル211bの入口に連結する。流体コネクター10bは、挿入針12bを備え、挿入針12bは、隔壁208bを貫通し、それを通って流体チャネル211b内に配置されるように構成される。流体コネクター10bは、加圧流体(例えば、インク)を、挿入針12bを通して噴射アセンブリ200bの入力流体マニホールド210bに注入するように構成される。さらに、フィルター213bは、流体が貯留部300b内に連通する前に、流体から粒子を濾過するように構成される。いくつかの実施形態では、挿入針12bは、非湿潤(例えば、疎水性材料、例えばテフロン(登録商標))から形成されてもよく、または非湿潤でコーティングされてもよい。別の実施形態では、挿入針12bは発熱体を備えてもよく、または挿入針12bを加熱するように電流が挿入針12bに提供されてもよく、それによってそれを通って流体が貯留部300b内に流れる。さらに別の実施形態では、金属針または任意の他の発熱体は、中に収容する流体を加熱するために、入力流体マニホールド210b内に設けられてもよい。流体チャネル211bのみを備えると示されているが、いくつかの実施形態では、キャリア202bはまた、流体がキャリア202bから引き出されるように、すなわち、流体がキャリア202bを通って循環されるように第二の流体チャネルを画成してもよい。
【0057】
ハウジング部206bは、バルブ本体298bが中に配置される空洞または境界を画成する。バルブ本体298は、入力流体マニホールド210bおよびマイクロバルブ230bを備える。示すように、入力流体マニホールド210bおよびマイクロバルブ230bは、隔壁208bを介して外部流体供給部から受け入れる加圧流体の体積を保持するように構成される貯留部300bを画成する。様々な実施形態では、貯留部300b内に保持される加圧流体は、液体状態にあるインクおよび別の流体の組み合わせである。
【0058】
様々な実施形態では、入力流体マニホールド210bは、噴射アセンブリ200bの別の構成要素への取り付け前に予め形成される。流体マニホールド210bは、任意の好適な厚さ(例えば、500ミクロン)を有するガラス本体310bによって形成されてもよい。示すように、入力流体マニホールド210bは、第一のチャネル212bおよび第二のチャネル214bを備えるように予め形成されている。第一のチャネル212bは、マイクロバルブ230bの作動ビーム240bの片持ち梁部308bの長さ312bと所定の関係を有する幅304bを有するように形成される。第二のチャネル214bは、作動ビーム240bとフレックス回路216bとの間に、間に延在するワイヤボンド220bを介して形成される電気接続のための経路を提供する。
【0059】
示すように、第二のチャネル214bは、封入剤218bで実質的に充填される。封入剤218bは、フレックス回路216bと作動ビーム240bとの間の適切な電気接続の維持を確実にして、作動ビーム240bにそれを動かすために電気制御信号を送り易くし、マイクロバルブ230bを開閉させ、本明細書に前述したように、ワイヤボンド220bを物理的損傷または湿気から保護する。
【0060】
第一のチャネル212bと第二のチャネル214bを分離する入力流体マニホールド210bの部分314bは、貯留部300bに収容される流体が電気接続部に到達するのを防止するバリアとして機能する。つまり、入力流体マニホールド210bは、外部流体供給部から受け入れる加圧流体用の貯留部300bと、加圧流体と噴射アセンブリ200b内に収容される任意の電気接続部との間の絶縁バリアとの両方の機能をする。
【0061】
マイクロバルブ230bは、作動ビーム240bに取り付けられたオリフィスプレート250bを備える。オリフィスプレート250bは、実質的に平面状であり、その表面の間に延在するオリフィス260bを備える。バルブシート270bは、オリフィスプレート250bの内面316b上にオリフィス260bに近接して配置される。バルブシート270bは、オリフィス260bと実質的に位置合わせされた内部開口部318bを画成し、貯留部300b内に収容される加圧流体のための出口を形成する。特定の実施形態では、バルブシート270bは除外される場合がある。いくつかの実施形態では、オリフィスプレート250bまたは本明細書に記載の任意の他のオリフィスプレートも接地されてもよい。例えば、電気接地コネクター295b(例えば、ボンディングパッド、例えば金ボンドパッド)は、オリフィスプレート250b上に設けられ、オリフィスプレート250bが(例えば、システム接地への電気結合を介して)電気的に接地されることができるように構成されてもよい。
【0062】
作動ビーム240bは、ベース部306bおよび片持ち梁部308bを備える。ベース部306bは、第一のチャネル212bと第二のチャネル214bを分離する入力流体マニホールド210bの部分314bの下に延在する。示すように、ベース部306bは、第二のチャネル214bと重なり合う領域に電気接続部294bを備える。電気接続部294bは、電極を備え、その電極を通って、ワイヤボンド220bを介してフレックス回路216bと電気的接続が形成される。片持ち梁部308bは、入力流体マニホールド210bの部分314bから貯留部300b内に延在する。示すように、片持ち梁部308bは、スペーサー部材280b上に配置され、結果として、オリフィスプレート250bから空間的に分離される。
【0063】
片持ち梁部308bは、片持ち梁部が貯留部300bの境界から所定の距離だけ延在するように、長さ312bを有する。様々な実施形態では、所定の距離は、特に片持ち梁部308bの一部292bがバルブシート270bおよびオリフィス260bと重なり合うように選択される。封止部材290bは、オリフィス260bと重なり合う作動ビーム240bの一部292bから延在する。いくつかの実施形態では、封止部材290bは、オリフィス260bの形状に実質的に対応する形状を有するように構成される。
【0064】
フレックス回路216bは、ガラス本体310bおよび入力流体マニホールド210bの部分314b上に配置され、第一の接着層221b(例えば、SU-8、シリコーンゴム、接着剤、エポキシ等)を介してそれに連結する。インターポーザ222bは、第一の接着層221bを介して上部204bと入力流体マニホールド210bとの間に間隙を形成するように、キャリア202bの上部204bと入力流体マニホールド210bとの間に配置される。これにより、封入剤218を配置するための空間が十分となり、入力流体マニホールド210bの体積が増加する。
図5Bに示すように、インターポーザ222bは、第二接着層223b(例えば、SU-8、シリコーン、または任意の他の接着剤)を介して、フレックス回路216bの一部上に配置され、それに連結する。さらに、インターポーザ222bは、キャリア202bの上部204bの側壁にマイクロバルブ230bに近接して、第三の接着層225b(例えば、SU-8、シリコーン、または任意の他の接着剤)を介して連結する。
【0065】
インターポーザ222bは、強力で剛性のある材料(例えば、プラスチック、シリコン、ガラス、セラミック等)から形成され、入力流体マニホールド210b上に配置されてもよく、マイクロバルブ230bの構成要素を互いに連結し、マイクロバルブ230bをハウジング部206bに連結する接着剤を介してその上に誘起される応力から生じるオリフィスプレート250bの反りを防止する。様々な実施形態では、インターポーザ222bは、この機能を実施するためにオリフィスプレート250bよりも高い剛性を有するように構成される。
【0066】
別の態様では、作動ビーム240bは、閉位置にある場合、バルブシート270bと封止部材290bとの間の界面に密封が形成されるように構成される。作動ビーム240bは、圧電材料(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)または任意の好適な材料)のうちの少なくとも一つの層を備えてもよい。圧電材料の層は、それに電気的に接続する電極を有し、ワイヤボンド220bは、フレックス回路216bからの電気信号が電極を介して圧電材料の層に提供されるように、前述の電極に取り付けられる。電気信号は、作動ビーム240bをその初期位置に対して移動(例えば、屈曲、回転等)させる。
【0067】
示すように、ワイヤボンド220bは、その電気接続部294bにおいて作動ビーム240bに取り付けられ、
図5Aの噴射アセンブリ200に関して説明したワイヤボンド220と実質的に同様である。様々な実施形態では、作動ビーム240bは、
図5Aの作動ビーム240に関して詳細に記載のように、閉位置がその初期位置であるように構成される。
【0068】
図5Bに示すように、作動ビーム240bは、オリフィスプレート250bから離れる方向に屈曲される。このような屈曲の達成は、フレックス回路216bを介して電気信号を作動ビーム240bへ印加することに起因する。例えば、フレックス回路216bは、キャリア202bの側壁に沿って作動ビーム240bの長手方向軸に垂直に延在する回路基板215b(例えば、プリント回路基板)に電気的に接続してもよい。識別タグ217b(例えば、識別タグ106)は、回路基板215bとキャリア202bの側壁との間に配置されてもよい。電気コネクター219bは、回路基板215bに電気的に結合し、回路基板215bを介して作動ビーム240bに伝えられる電気信号を供給する外部コントローラに、フレックス回路216bを電気的に接続するように構成される。
【0069】
図5Bに例示のように、電気信号の印加は、作動ビーム240bをその初期位置から一時的に離す。
図5Aの作動ビーム240に関して詳細に記載のように、例えば、様々な実施形態では、作動ビーム240bは、封止部材290bの封止部材面の一部がバルブシート270bの上面から少なくとも10ミクロンであるように、オリフィス260bから離れる方向に上方に移動する。
【0070】
ここで
図6を参照すると、例示的な実施形態による、
図5Aに関して説明した噴射アセンブリ200の様々な構成要素を示すより詳細な図が示されている。示すように、作動ビーム240は、作動部242、チューニング層244、および不活性層246を備える。不活性層246は、チューニング層244および作動部242のベースとして機能する。作動部242およびチューニング層244の構造は、
図7に関してより詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、不活性層246は、シリコンまたは他の好適な材料で構成される。いくつかの実施形態では、不活性層246、スペーサー部材280、および封止部材290は全て同一の材料(例えば、シリコンウェーハからモノリシックに形成される)で構成される。例示的実施形態では、不活性層246、スペーサー部材280、および封止部材290は、二重シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェーハから形成される。
【0071】
スペーサー部材280は、二つの周辺層の間に挿入される中間層を備えることが示されている。例示的な実施形態では、中間層および不活性層246は、二重SOIウェーハの二つのシリコン層を備え、周辺層はシリコン酸化物層を含む中間層の両側に配置される。この実施例では、封止部材290およびスペーサー部材280は、作動部242の反対側の二重SOIウェーハの表面をエッチングすることによって形成される。酸化物層は、エッチングプロセスを一度制御または停止する役割をし、例えば、スペーサー部材280を形成する中間層の全体が、スペーサー部材280と封止部材290を分離する領域内で除去される。このようなプロセスは、スペーサー部材280および封止部材290の幅および厚さの両方に対する正確な制御を提供する。
【0072】
理解されるように、封止部材290のサイズは、作動ビーム240の共振周波数に寄与してもよい。作動ビーム240の端部に、またはその近くに配置される材料の量が多いと、一般的に作動ビームの共振周波数が低くなる。さらに、このようなより大きな量の材料は、作動ビーム240に接触する加圧流体から誘導される作動ビーム240の初期湾曲に影響を与えるであろう。したがって、封止部材290の所望のサイズは、作動ビーム240の様々な他の設計の選択に影響を与える。このような設計の選択は、
図7Aに関してより詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、封止部材290は、オリフィス260の寸法に基づいてサイズ決めされる。いくつかの実施形態では、封止部材290は、実質的に円筒形であり、オリフィス260の直径の約1.5倍の直径を有する。例えば、一実施形態では、封止部材290は、オリフィス260が約60ミクロンの直径を有する場合、約90ミクロンの直径を有する。このような構成は、封止部材290がバルブシート270に接触するとオリフィス260を完全に覆うように、封止部材290とオリフィス260との間の位置合わせを容易にする。別の実施形態では、封止部材290は、オリフィス260の表面積の約二倍の表面積を有するようにサイズ決めされる(例えば、スペーサー部材280は約150ミクロンの直径を有してもよく、オリフィス260は直径約75ミクロンである)。このような実施形態は、封止部材290とオリフィス260との位置合わせに、より大きな許容差を提供し、バルブシート270と封止部材290との間の封止を生成し易くする。別の実施形態では、封止部材290の直径は、オリフィス260の直径の2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍であってもよい。様々な実施形態では、オリフィス260の長さの直径に対する比は、1:1~15:1の範囲内であってもよい。比率は、オリフィスを通して吐出される流体液滴の形状、サイズ、および/または体積に影響を与えている可能性があり、特定の用途に基づいて変化してもよい。
【0073】
有利なことに、スペーサー部材280と封止部材290との間の間隙324は、作動ビーム240とオリフィスプレート250との間の分離体積326を生成する。分離体積326は、作動ビーム240の振動のスクイーズフィルムダンピングを防止する。換言すると、オリフィスプレート250と作動ビーム240との間の不十分な分離は、作動ビーム240がオリフィス260を開閉するにつれて、分離体積326に出入りしなければならない流体から生じる抗力につながる。スペーサー部材280を介して生成されるより大きな分離体積を有することにより、このような抗力は低減され、したがって作動ビーム240はより速い周波数で振動し易い。
【0074】
引き続き
図6を参照すると、オリフィスプレート250は、ベース層252および中間層254を備える。例えば、一実施形態では、ベース層252はシリコン層を備え、中間層254はシリコン酸化物層を備える。示す実施形態では、オリフィス260に近接する中間層254の一部が取り除かれ、バルブシート270の第一の部分がベース層252上に直接配置され、バルブシート270の第二の部分が中間層254上に配置される。別の実施形態では、中間層254はオリフィス260の境界までずっと延在し、バルブシート270は中間層254上に配置されることを理解されたい。さらに別の実施形態では、中間層254の除去される部分は、バルブシート270がベース層252上に完全に配置されるように、バルブシート270の断面と等しいか、またはそれよりも大きい断面を有してもよい。
【0075】
スペーサー部材280とバルブシート270との間の空間的関係の重要度により、スペーサー部材280のオリフィスプレート250への取り付けは、作動ビーム240とオリフィスプレート250との間の結果として生じる距離を正確に制御できる方法で実施されてもよい。示すように、接着層256を使用して、スペーサー部材280をオリフィスプレート250に取り付ける。様々な実施形態では、エポキシ系接着剤(例えば、SU-8、ポリメチルメタクリレート、シリコーン等)の正確な量が中間層254に塗布され、その後、その上にスペーサー部材280と作動ビーム240との組み合わせが配置される。次に接着剤を硬化させて、正確に制御された厚さを有する接着層256を形成する。例えば、いくつかの実施形態では、スペーサー部材280の最下層表面は、バルブシート270の上面と実質的に位置合わせされる。作動ビーム240が初期位置にある場合、このような表面間の任意の所望の関係を取得して、封止部材290とバルブシート270との間の適切な封止を生成することができる。様々な実施形態では、接着層256およびバルブシート270は、単一のフォトリソグラフィープロセスにおいて同一の材料(例えば、SU-8)から形成されてもよい。
【0076】
様々な実施形態では、作動ビーム240とオリフィスプレート250が接着剤層256を介して(例えば、マイクロバルブ230を形成するために)互いに取り付けられると、別の接着剤層248が作動ビーム240の周辺部に適用される。別の接着層248を使用して、入力流体マニホールド210を作動ビーム240に取り付ける。構造層222(またはインターポーザ222b)は、入力流体マニホールド210上に配置され、第二の接着層225を介してそれに連結してもよい。いくつかの実施形態では、別の接着層248および第二の接着層225は、接着層256と同じ材料を含んでもよい。
【0077】
図6に関して示す実施例では、マイクロバルブ230は、様々な構成要素を備える封止構造500を備え、それにより封止が形成されてオリフィス260を作動ビーム240に近接する体積502から分離する。示す実施例では、封止構造500は、封止部材290およびバルブシート270を備える。本明細書に記載のように、作動ビーム240は、封止部材290のオリフィスに面する表面504が、バルブシート270の上面と接触して、バルブシート270と封止部材290との間のインターフェースで封止を形成するように構成される。封止は、オリフィス260を体積502から分離し、作動ビーム240に電気信号が印加されない場合、最小限の流体が噴射アセンブリ200から漏れ出るようにする。封止構造500のいくつかの代替物を、本明細書に詳細に説明する。別の実施形態では、オリフィス260を流体的に封止するために、封止構造500のオリフィスに面する表面がオリフィスプレート250に接触するように、バルブシート270は除外されてもよい。
【0078】
ここで
図7Aを参照すると、例示的な実施形態による作動ビーム240のより詳細な図が示され、図は縮尺通りではない。示すように、作動ビーム240は、不活性層246、チューニング層244、バリア層400、第一の電極部402、作動部242、第二の電極部404、およびパッシベーション構造体406を備える。理解されるように、様々な別の実施形態では、作動ビーム240は、より多くの層またはより少ない層を備えてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、チューニング層244は、不活性層246上に直接配置される。チューニング層244は、一般的に本明細書に記載の別の層を堆積し易くするために接着層として機能する。さらに、本明細書に記載のように、チューニング層244の厚さは、作動ビーム240が初期位置にある場合に作動ビーム240の全体の湾曲を決定する上で重要な役割を果たす場合がある。一般的に言えば、チューニング層244は、閉位置において、オリフィス260を流体的に封止するために、作動ビーム240の封止部材290がバルブシート270に接触し、力を加えるように、所定の調整応力を有するように構成される。いくつかの実施形態では、バルブシート270がない場合、封止部材290の封止部材表面が、スペーサー部材280の下面の下に所定の距離(例えば、2ミクロン)に配置されるように、電気信号がない場合には、所定の調整応力は、作動ビーム240をオリフィス260に向かって湾曲させるように構成される。例えば、チューニング層244は、本明細書に記載の別の層の堆積の結果として圧縮応力の状態に置かれてもよい。したがって、より厚いチューニング層244は、その初期位置にある場合、オリフィス260に向かって作動ビーム240をより大きく湾曲させる。例示的な一実施形態では、チューニング層244は二酸化ケイ素で構成される。
【0080】
バリア層400は、圧電層414に含まれる材料のチューニング層244への拡散に対するバリアとして機能する。チェックをしないままにしておくと、このようなマイグレーションは、層内の構成材料間の有害な混合効果をもたらし、性能に悪影響を与える。様々な実施形態では、バリア層400は、例えば、二酸化ジルコニウムから構成される。示すように、第一の電極部402は、接着層408および第一の電極410を備える。接着層408は、バリア層400上に第一の電極410を堆積し易くし、第一の電極410内の物質の他の層への拡散を防止する。様々な実施形態では、接着層408は、二酸化チタンから構成される。第一の電極410は、作動部242に送られる電気信号のための導電性経路を提供するために、白金、金、ルビジウム、または任意の他の好適な材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の電極部402は、作動ビーム240の選択部分にのみ備えられる。例えば、第一の電極部402は、電気接続部294に近接して、および/または電気接続部294内にのみ備えられてもよい。
【0081】
作動部242は、任意の好適な圧電材料の単一または複数の層から形成されてもよい。示す実施例では、活性部分は、成長テンプレート層412および圧電層414を備える。成長テンプレート層412は、最大限の圧電応答を確実にするために、所望のテクスチャー(例えば、{001}結晶構造および対応するテクスチャー)を有する圧電層414の成長を促進するシード層として機能する。いくつかの実施形態では、成長テンプレート層412は、チタン酸鉛で構成される。圧電層414は、任意の好適な材料、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で構成されてもよい。
【0082】
圧電層414を、任意の方法を使用して、例えば、真空堆積またはゾル-ゲル堆積技術を利用して堆積してもよい。いくつかの実施形態では、圧電層414は、約1以上6ミクロン以下(例えば、1、2、3、4、5、または6ミクロン)の範囲の厚さを有してもよく、電気信号がそれに印加される場合、作動ビーム240の端部で約10ミクロンの撓みを生成するように構成される。10ミクロンの撓みは(例えば、封止部材290の表面がバルブシート270からその量よりもわずかに少ない量だけ離れるように)、所望のサイズを有するオリフィス260に液滴を生成するのに十分であってもよい。いくつかの実施形態では、圧電層414は、約140~160pm/Vの圧電定数(d31値)の大きさを有する。この値は、作動ビーム240の適切な撓みが、第一の電極部402および第二の電極部404に送られる電気信号により生成されることを可能にしてもよい。
【0083】
示すように、第二の電極部404は、作動部242上に配置される。様々な実施形態では、第二の電極部404は、本明細書に記載の第一の電極部402と同様に構成される。したがって第一の電極部402および/または第二の電極部404への電圧の印加は、圧電層414内の歪みを誘導し、作動ビーム240の全体をオリフィスプレート250から離れる方向に屈曲させる。第一および第二の電極部に周期制御信号を印加することにより、作動ビーム240の周期サイクルは、所望の周波数でオリフィス260から吐出される液滴を生成する。
図7Aは、第一の電極部402と第二の電極部404とが互いに重なり合うことを示すが、他の場所では、第一の電極部402と第二の電極部404とが重なり合っていなくてもよい。これは、圧電層414を損傷する、または電気短絡を引き起こす可能性がある、第一の電極部402と第二の電極部404との間の電子漏れを制限または防止することができる。
【0084】
様々な実施形態では、第一の電極部402および第二の電極部404に含まれる電極は、非アニーリング状態で堆積される。結果として、電極は実質的に圧縮状態で堆積され、これは初期位置にある場合、作動ビーム240の全体的な湾曲に影響を与える。圧電層414の堆積モードは、電極の圧縮状態に影響を与える可能性がある。例えば、圧電層414が(例えば、気相堆積技術により)堆積され、その後、所定の温度(例えば、約700℃)で硬化されるいくつかの状況では、硬化により電極410をアニールし、圧縮状態が除去されてもよい。このような除去は、作動ビーム240における応力の全体的バランスに影響を与え、これがその初期湾曲を変える。したがって、圧電層414のための低温堆積プロセス(例えば、低温ゾルゲル堆積プロセスまたはプラズマ増強化学気相堆積プロセス)を使用して、電極内の応力の反転を防止することが有益であってもよい。様々な実施形態では、第二の電極部404を、例えば、チューニング層244に所定の調整応力を生成するために、第一の電極部402よりも高い温度でアニールしてもよい。
【0085】
図7Aに示す材料は、作動ビーム240の長さに実質的に全体にわたって延在してもよい。したがって、電極部402および404と、マイクロバルブ230により形成される貯留部との間に重なり合いがある。様々な実施形態では、貯留部内に収容される流体は、第一の電極部402および第二の電極部404を形成する材料に対して導電性および/または腐食性である。したがって、電極部402および404を貯留部から分離して、貯留部内に収容される流体が電極部402および404と接触するのを防止することが好ましい。
【0086】
これに関して、パッシベーション構造体406は、このような分離を行うように構成される。示す実施例では、パッシベーション構造体406は、誘電体層416、絶縁体層418、およびバリア層420を備える。バリア層420は窒化ケイ素で構成されてもよく、電極部402および404の腐食を防止するために、流体中に含まれる水分子およびイオンに対する拡散バリアとして機能する。いくつかの実施形態では、絶縁体層418は、バリア層420内の引張応力とほぼ釣り合う、圧縮応力を有する二酸化ケイ素層を備える。誘電体層416は、作動ビーム240内に含まれる別の層の酸化を防止するために酸化アルミニウムで構成されてもよい。いくつかの実施形態では、別の金属層はバリア層420上に配置される。例えば、金属層は、パッシベーション構造体406の保護特性をさらに強化するために、酸化タリナム(Talinum oxide)または任意の他の好適な耐薬品性金属で構成されてもよい。特定の実施形態では、バリア層420は、テフロン(登録商標)またはパリレンで形成されてもよい。別の実施形態では、作動ビーム240の少なくとも一部、すなわち、
図7Aに示す層により形成される構造体は、テフロン(登録商標)層またはパリレン層によって覆われるか、またはオーバーコートされてもよい。このようなオーバーコートは、マイクロクラックが作動ビーム240の層内に形成されるのを防止することができる。さらに別の実施形態では、オーバーコートは、金属層、例えば、タンタル層またはパラジウム層を備えてもよい。
【0087】
パッシベーション構造体406の追加は、作動ビーム240の初期位置決めに著しく影響する場合がある。これは、パッシベーション構造体406が作動ビーム240の圧縮の中立軸422からずれるためである。示すように、中立軸422は、不活性層246内であり、これは、電極部404およびパッシベーション構造体406が、作動ビーム240内でそこから最も遠くにあることを意味する。こうであるとすれば、このような層で誘発される引張応力または圧縮応力は、作動ビーム240の初期湾曲に大きく影響するであろう。したがって、チューニング層244の厚さは、パッシベーション構造体406の様々な構成層の構造体に基づいて選択される。
【0088】
図7Bは、例示的な実施形態による、および縮尺通りではない、作動ビーム240に備わる層のそれぞれの配置を示す、作動ビーム240の正面断面図である。示すように、作動ビーム240は、
図7Aに関して説明したように、不活性層246、チューニング層244、およびバリア層400を備える。第一の電極部402は、バリア層400上に配置される接着層408(例えば、二酸化チタン)、およびその上に配置される導電層または電極410(例えば、白金、金、ルビジウム等)を備える。第一の電極部402は、作動ビーム240の長手方向軸に垂直方向の電極部402の端部が、同じ方向にバリア層400の端部の内側に位置するように、バリア層400の幅よりも小さい幅を有するように構成される。
【0089】
シード層412および圧電層414を備える作動部242は、第一の電極部402の横方向の端部を越えて延在してバリア層400に接触するように、第一の電極部402上に共形に配置される。このようにして、圧電層は、第二の電極部404と重なり合う、または近接する第一の電極部402の少なくとも部分を完全に取り囲む、または囲む。第二の電極部404は、接着層403(例えば、チタン)および導電層405(例えば、白金、金、ルビジウム等)を備える。いくつかの実施形態では、第二電極部404は、圧電層414上に直接配置される導電層405のみを備えてもよい(すなわち、接着層403は省略される)。作動部242は、第一の電極部402の端部と重なり合い、またその端部を越えて延在するので、作動ビーム240の性能に有害な可能性のある電子漏れおよび電流マイグレーションを防止するように、作動部は、第一の電極部402を第二の電極部404から効果的に電気的に絶縁する。
【0090】
パッシベーション構造体406は、他の層246、244、400、402、242、および404のそれぞれの露出部分を共形にコーティングする。しかし、不活性層246の底面は、パッシベーション構造体406でコーティングされなくてもよい。パッシベーション構造体406は、誘電体層416、絶縁体層418、バリア層420、およびトップパッシベーション層424を備えてもよい。バリア層420は窒化ケイ素で構成されてもよく、電極部402および404の腐食を防止するために、流体中に含まれる水分子およびイオンに対する拡散バリアとして機能する。しかし、窒化ケイ素は、一般的に、残りの層上に一旦堆積されると、引張応力状態にある。絶縁体層418は、このような引張応力に釣り合うように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、絶縁体層418は、バリア層420内の引張応力とほぼ釣り合う圧縮応力を有する二酸化ケイ素層を備える。様々な実施形態では、バリア層420は、絶縁体層418の下に配置される。誘電体層416は、作動ビーム240内に含まれる別の層の酸化を防止するために、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化亜鉛で構成されてもよい。したがって、パッシベーション構造体406は、作動ビーム240において、腐食および酸化-流体の存在によって引き起こされる二つの主要な欠陥源-の両方を防止する働きをし、したがって、マイクロバルブ230の長期性能を確保する。さらに、トップパッシベーション層424は、バリア層420上に配置され、テフロン(登録商標)層またはパリレン層を備えてもよい。このようなオーバーコートは、マイクロクラックが作動ビーム240の層内に形成されるのを防止することができ、また下にある層がプラズマ放電するのを防止することができる(例えば、埋込層は、その後の製造作業において露出されてもよい)。特定の実施形態では、トップパッシベーション層424は、金属層、例えば、タンタル層またはパラジウム層を備えてもよい。いくつかの実施形態では、別の金属層はバリア層420上に配置される。例えば、金属層は、パッシベーション構造体406の保護特性をさらに強化するために、酸化タリナム(Talinum oxide)または任意の他の好適な耐薬品性金属で構成されてもよい。
【0091】
図8~12に関して説明する噴射アセンブリ、マイクロバルブ、および関連する構成要素は、前述の実施形態のいずれかに従って実装されてもよい。ここで
図8を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造800の断面図が示されている。例えば、封止構造800は、
図6に関して説明した封止構造500の一例であってもよい。示すように、作動ビーム802は、片持ち梁部804を備える。片持ち梁部804は、スペーサー部材上に配置されるベース部から延在してもよい。スペーサー部材は、オリフィス814を備えるオリフィスプレート812上に配置されてもよい。片持ち梁部804は、その重なり合う部分806がオリフィス814と重なり合うように、ベース部からオリフィス814に向かって延在する。
【0092】
封止構造800は、重なり合う部分806に配置される封止部材808と、オリフィスプレート812に配置されるバルブシート810とを備える。封止部材808は、オリフィスに面する表面816がバルブシート810の上面822に接触するように、オリフィス814に向かって延在する。バルブシート810は、オリフィス814を取り囲み、開口部818を画成する。示す実施例では、開口部818は、オリフィス814と位置合わせされている。換言すると、開口部818およびオリフィス814は、実質的に滑らかで範囲を定める表面を有する流体出口を画成する。様々な実施形態では、バルブシート810は、適合材料、例えばSU-8で形成される。別の実施形態では、バルブシート810は、シリコンから形成されてもよい。本明細書に記載のように、作動ビーム802は、初期位置でオリフィス814に向かってわずかな曲率またはバイアスを有するように構成されてもよく、オリフィスに面する表面816がバルブシート810内に押し込まれて、オリフィス814を作動ビーム802の近傍に配置される体積820から分離する封止を形成する。
【0093】
示す実施例では、オリフィス814は円筒形である。別の実施形態では、オリフィス814は、任意の他の好適な形状(例えば、星形、正方形、矩形、多角形、楕円形等)を有してもよい。バルブシート810は、実質的に環状であり、オリフィス814の直径と同等または実質的に同等の内径を有する。バルブシート810は、内径よりも大きい外径を有する。封止部材808は、バルブシート810の内径と外径との間の直径を有する実質的に円筒形の柱または支柱として形成される。示す実施例では、封止部材808の直径は、バルブシート810の外径よりも内径に近い。封止部材808のサイズは、作動ビーム802の共振周波数に寄与する(例えば、その全体の重量、したがって、作動ビーム802の全体の圧電応答に影響を与えることによって)。したがって、いくつかの実施形態では、封止部材808の直径は、バルブシート810のサイズを固定した場合、所望の共振周波数を生成するために、内径に近い。しかし、当然のことながらバルブシート810に対する封止部材808の外縁の全体的な位置決めが変化してもよいように、バルブシート810の厚さ(すなわち、バルブシート810の内径と外径との間の差)は、様々な別の実施形態において半径方向に変化してもよい。
【0094】
ここで
図9を参照すると、例示的な実施形態による、封止構造900の断面図が示されている。封止構造900は、
図8に関して説明した封止構造800と特徴を共有する。つまり、
図9は、このような同様の構成要素が含まれていることを示す共通の参照番号を組み入れている。
【0095】
示すように、封止構造900では、コーティング902は、バルブシート810の上面822上に配置される。様々な実施形態では、コーティング902は、疎水性弾性材料、例えばCYTOP(登録商標)、テフロン(登録商標)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、または任意の他の好適な疎水性もしくは親油性材料である。コーティング902の疎水性は、バルブシート810上の水滴の分散を促進し、上面822上の微小粒子状物質の融合を防止する。つまり、コーティング902は、封止構造900の長期耐久性を上げる。さらに、コーティング902は、バルブシート810の弾性または適合性を増して、オリフィスに面する表面816と上面822との間の界面における封止の形成を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、コーティング902は、適合材料、例えば金から形成されてもよい。
【0096】
ここで
図10を参照すると、例示的な実施形態による、封止構造1000の断面図が示されている。封止構造1000は、
図8に関して説明した封止構造800と特徴を共有する。つまり、
図10は、このような同様の構成要素が含まれていることを示す共通の参照番号を組み入れている。
図10に示すように、封止構造1000では、コーティング1002は、オリフィス814および開口部818によって画成される流体出口の内面周囲に配置される。いくつかの実施形態では、コーティング1002は、疎水性材料、例えば、CYTOP(登録商標)、テフロン(登録商標)、PDMS、または任意の他の好適な疎水性もしくは親油性材料から構成されてもよい。コーティング1002の疎水性は、作動ビーム802の作動(例えば、それに電気信号が印加された結果として)時に、オリフィス814内の液滴の形成および移動を促進する。
【0097】
いくつかの実施形態では、封止構造は、
図9および10に関して説明したコーティング902および1002の組み合わせを備えてもよい。換言すると、封止構造は、流体出口の内面を覆っているコーティングと、上面822上のコーティングとの両方を備えてもよい。有利なことに、このような実装により、流体出口および上面822内に疎水性が提供される。
【0098】
ここで
図11および12を参照すると、例示的な実施形態による、封止構造1100および1200の断面図が示されている。封止構造1100および1200は、構成要素を
図8に関して説明した封止構造800と共有し、このような同様の構成要素の組み込みを示すために同様の参照番号を含む。
【0099】
図11に示すように、封止構造1100は、
図8に関して説明した封止部材808よりも大きな直径を有する封止部材1102を備えるという点で、封止構造800とは異なる。したがって、封止部材1102の側面1104は、バルブシート810の内径よりも外径のより近くにある。こうした配置は、バルブシート810の上面822に接触するより大きな表面積を提供して、本明細書に記載の分離する封止を形成する。しかし、理解されるように、より大きなサイズの封止部材1102は、作動ビーム802の共振周波数、および任意の組み込む噴射アセンブリの他の動作状況(例えば、液滴サイズ、動作周波数等)に寄与する場合がある。
【0100】
図12に示すように、封止構造1200は、封止部材1102よりもさらに大きな直径を有する封止部材1202を備えるという点で、封止構造1100とは異なる。封止構造1200の外面1204は、バルブシート810の外径と実質的に位置合わせされている。換言すると、封止部材1202の直径は、バルブシート810の外径と(例えば、外径の
+10%以内で)実質的に等しい。このような配置は、このような修正が他の方法(例えば、動作周波数)では任意の組み込んだ噴射アセンブリの性能面に影響を及ぼす場合があることを理解の下、分離する封止を形成するためのより大きな表面積を提供する。また別の実施形態では、封止部材1202の直径は、バルブシート810の外径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、シリコンブラックは、封止部材1102または1202のオリフィスに面する表面上に形成されてもよく、それによって、バルブシート810に対する封止部材の流体封止を強化することができる。
【0101】
ここで
図13を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造1300の断面図が示されている。示すように、作動ビーム1302の片持ち梁部1304は、オリフィスプレート1316内のオリフィス1318に向かって延在する。片持ち梁部1304の重なり合う部分1306は、オリフィス1318と重なり合う。封止構造1300は、重なり合う部分1306に配置され、オリフィス1318に向かって延在する封止部材1308を備える。様々な実施形態では、封止部材1308は、オリフィス1318に対応するように成形される。例えば、様々な実施形態では、封止部材1308およびオリフィス1318の両方が実質的に円筒形であり、オリフィス1318は封止部材1308の直径よりも小さい直径を有する。
【0102】
封止構造1300は、封止部材1308のオリフィスに面する表面1322上に配置されるストッパー1310をさらに備える。ストッパー1310は、適合材料、例えば、SU-8、PDMS、または任意の他の好適な材料から構成されることができる。示すように、ストッパー1310は、オリフィスに面する表面1322に取り付けられた狭い部分1312と、狭い部分1312から延在する広い部分1314とを備える。狭い部分1312および広い部分1314は、ストッパー1310が実質的にシルクハット形状構造を形成するように、実質的に円筒形であってもよい。様々な実施形態では、広い部分1314は、狭い部分1312の断面積よりも大きい断面積を有する。
【0103】
ストッパー1310のオリフィスに面する表面1324は、オリフィス1318に対応するように成形された突出部1326を備える。突出部1326は、オリフィス1318に嵌合し、オリフィスに面する表面1324がオリフィスプレート1316と接触する場合、封止が確実に形成されるように、突出部はオリフィス1318と位置合わせされる。
図13では、ストッパー1310は、オリフィスに面する表面1322上に配置される部分1320と、オリフィスプレート1316上に配置される残りの部分1328とを備えるように示されている。ストッパー1310は、その構成の中間段階において部分1320および残りの部分1328を備える。様々な実施形態では、ストッパー1310の構成が完成した後、ストッパー1310は、オリフィスに面する表面1322と1324との間に連続的に延在する単一構造体である。
【0104】
図5A~Bに関して説明した作動ビーム240と同様に、作動ビーム1302は初期湾曲またはバイアスを有するように構成されてもよく、オリフィスに面する表面1324はオリフィスプレート1316と接触し、突出部1326はオリフィス1318に嵌合してストッパー1310とオリフィスプレート1316との間の界面に封止を形成する。換言すると、作動ビーム1302は下向きの力を印加し、ストッパー1310とオリフィスプレート1316との間の直接接触の結果として、密封を形成してもよい。突出部1326は、界面において最小の間隙を確保し、密封を形成する。
【0105】
ここで
図14を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造1500の断面図が示されている。示すように、作動ビーム1502の片持ち梁部1504は、オリフィスプレート1514のオリフィス1516に向かって延在する。片持ち梁部1504の重なり合う部分1506は、オリフィス1516と重なり合う。封止構造1500は、重なり合う部分1506に配置され、オリフィス1516に向かって延在する封止部材1508を備える。様々な実施形態では、封止部材1508は、オリフィス1516に対応するように成形される。例えば、様々な実施形態では、封止部材1508およびオリフィス1516の両方が実質的に円筒形であり、オリフィス1516は封止部材1508の直径よりも小さい直径を有する。
【0106】
封止構造1500はまた、バルブシート1512を備える。バルブシート1512は、オリフィス1516を取り囲み、オリフィス1516と位置合わせされて流体出口を画成する開口部を画成する。様々な実施形態では、バルブシート810は、適合材料、例えばSU-8で形成される。別の実施形態では、バルブシート810は、非適合材料、例えば、ガラスまたはシリコンから形成されてもよい。示すように、封止ブレードまたは突出部1510は、封止部材1508のオリフィスに面する表面1518から延在する。封止ブレード1510は、封止部材1508の外周に対応するように成形されてもよい。いくつかの実施形態では、封止ブレード1510は、実質的に環状であり、バルブシート1512の内径と外径との間に収まる内径および外径を有する。封止ブレード1510は、バルブシート1512の上面1520に向かって延在し、作動ビーム1502が初期位置に配置される場合、バルブシート1512に接触する。封止ブレード1510は、封止ブレード1510の先端とバルブシート1512との間の界面に密封が形成されるように、作動ビーム1502によって供給される下向きの力の中心点を提供する。
図14に示すように、封止ブレード1510は、(例えば、0.1~1.0ミクロンの範囲の)好適な先端半径を有するナイフエッジの先端を有してもよい。別の実施形態では、封止ブレード1510または本明細書に定義される任意の他の封止ブレードは、平らまたは丸みを帯びた先端を有してもよい。
【0107】
ここで
図15を参照すると、例示的な実施形態による、封止構造1600の断面図が示されている。封止構造1600は、
図14に関して説明した封止構造1500と類似の構成要素を備え、このような同様の構成要素の組み込みを示すために同様の参照番号を含む。封止構造1600は、封止構造1600が別の封止ブレード1602を備えるという点で、
図14に関して説明した封止構造1500とは異なる。別の封止ブレード1602は、封止ブレード1510と1602が上面1520に接触する同心円を形成するように、封止ブレード1510と同心であり、封止ブレード1510を取り囲んでもよい。別の実施形態では、封止ブレード1510および1602は、オリフィスと非同心円状であってもよく、または非円形断面(例えば、卵形、楕円形、多角形、非対称等)を有してもよい。
【0108】
別の封止ブレード1602は、封止部材1508とバルブシート1512との間の接触面積を増加させる。増加した接触面積は、バルブシート1512とシールブレード1510および1602との間の界面に形成される封止の品質を改善するだけでなく、封止部材1508とバルブシート1512との間に入る可能性のある微小粒子状物質を処理する際に、封止構造1600をより効果的にする。さらに、別の封止ブレード1602は、別の封止ブレード1602がバルブシート1512との接触のバックアップポイントとして機能するので、封止構造1600の耐久性を改善する。換言すると、封止ブレード1510が特定の円周の点で破壊される場合、それにもかかわらず別の封止ブレード1602は、その点において封止を形成して、封止構造1600を機能させる。
【0109】
図16は、例示的な実施形態による、封止構造1650を備える作動ビーム(例えば、本明細書で定義される作動ビームのいずれか)の封止部材1614の底面図である。封止部材1614は、
図16に示すように、実質的に円筒形の断面を有する。別の実施形態では、封止部材1614は、任意の他の好適な断面、例えば、正方形、矩形、星形楕円形等を有してもよい。封止構造1650は、封止部材1614のオリフィスに面する表面1618から軸方向に延在し、オリフィスに面する表面に同心円状に配置される、封止ブレードの第一のセット1610aを備える。第一の間隙1612aは、封止ブレードの第一のセット1610aのそれぞれが、第一の円のセグメント(例えば、円弧セグメント)に類似するように、封止ブレードの第一のセット1610aの各隣接する第一の封止ブレード1611aの間に設けられてもよい。封止ブレードの第一のセット1610aに関して説明したように、封止ブレードの第二のセット1610bは、封止ブレードの第一のセット1610aの内側に同心円状に配置されてもよく、封止ブレードの第二のセット1610bの各隣接する第二の封止ブレード1611bの間に第二の間隙1612bが設けられる。同様に、封止ブレードの第一および第二のセット1610a/bに関して説明したように、封止ブレードの第三のセット1610cは、封止ブレードの第二のセット1610bの内側に同心円状に配置されてもよく、封止ブレードの第三のセット1610bの各隣接する第三の封止ブレード1611cの間に第三の間隙1612cが設けられる。別の実施形態では、さらに多くの封止ブレードのセットが、オリフィス封止部材表面1618上に同心円状に配置されてもよい。封止ブレードのセット1610a/b/cの間隙1612a/b/cは、互いに対して互い違いに配置されてもよく、すなわち、同心円状に重なり合わない。このような配置は、より良い封止を提供するだけでなく、封止ブレードのセット1610a/b/cの間に任意の粒子(例えば、汚染物質、フォトレジスト粒子)等を捕捉することができる。
【0110】
ここで
図17を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブのための封止構造を構成する方法1700の流れ図が示されている。方法1700を実行して、
図14、15、および16に関して説明した封止構造1500および1600を構成することができる。方法1700は、実装に応じて、より少ないまたは別の工程を含んでもよい。
【0111】
工程1702において、オリフィスを備えるオリフィスプレートが提供される。例えば、いくつかの実施形態では、オリフィスプレートは、SOIウェーハから形成される(例えば、ウェーハの一部を除去してオリフィスを形成してもよい)。いくつかの実施形態では、オリフィスの形成後、バルブシートはオリフィスに配置される。バルブシートは、オリフィスを取り囲み、オリフィスと位置合わせされて流体出口を形成する開口部を画成してもよい。工程1704では、オリフィスに面する表面を有する封止部材を備える作動ビームが提供される。例えば、本明細書に記載のように、作動ビームは、スペーサー部材および封止部材が単一の製造工程で形成されるように、二重SOIウェーハの一部をエッチングすることによって形成されてもよい。封止部材の表面は、オリフィスに面する表面を形成してもよい。
【0112】
工程1706では、耐エッチング材料がオリフィスに面する表面上に堆積される。耐エッチング材料(例えば、二酸化ケイ素または窒化ケイ素)は、耐エッチング材料が封止部材の部分を除去する化学プロセス(例えば、エッチング)を遅くするように、化学組成において作動ビームの封止部材とは異なる。工程1708では、オリフィスに面する表面上の耐エッチング材料の残留部分が、封止ブレード(例えば、一つまたは複数の封止ブレード)の位置および形状に対応するように、耐エッチング材料の一部はエッチングされる。例えば、耐エッチング材料の残留部分は、封止部材表面の一部のみを覆う。いくつかの実施形態では、耐エッチング材料は、環状封止ブレードを生成するために実質的にリング形状であってもよい。様々な実施形態では、耐エッチング材料は二酸化ケイ素からなる。つまり、耐エッチング材料の層を、化学蒸着または他の任意の好適な方法により堆積させることができる。そして、耐エッチング材料の層は、任意の好適な方法(例えば、エッチングマスク、フォトリソグラフィ法等を用いて)を使用してパターン形成されてもよい。いくつかの実施形態では、耐エッチング材料の複数の部分が、複数の封止ブレードを形成し易くするために形成される。別の実施形態では、剥離層(例えば、フォトレジスト)は、オリフィスに面する表面上に堆積され、その中に封止ブレードのサイズおよび位置に対応する形状または複数の形状を生成するようにフォトリソグラフィによりパターン形成されてもよい。耐エッチング材料は、耐エッチング材料がオリフィス封止部材表面にパターン形成された部分において接触するが、全ての他の場所で剥離層上に配置されるように、剥離層上に配置されてもよい。次に、剥離層は、剥離層上に配置される耐エッチング材料の任意の部分がそれと共に除去されるように除去されてもよく、オリフィスに面する表面上に配置される封止ブレードの位置および形状に対応するパターン形成された耐エッチング材料を残してもよい。
【0113】
工程1710では、封止部材は、第一の所定の時間、等方的にエッチングされる。等方性エッチング(例えば、ウェットエッチング)は、例えば、封止ブレードの先端を形成するために、耐エッチング材料の下の封止部材の一部をエッチングするように構成されてもよい。工程1712では、作動ビームをオリフィスプレートに取り付ける前に、残ったエッチングされていない部分が封止ブレードを形成するように、封止部材は、封止部材の一部を除去するために、第二の所定の時間、異方性エッチング(例えば、深掘り反応性イオンエッチングプロセス、例えば、ボッシュプロセス)される。第二の所定の時間は、封止ブレードの高さを決めるように変更されてもよい。例えば、耐エッチング材料は、耐エッチング材料の部分によって覆われる封止部材の部分のエッチングを遅らせるか、または完全に防ぐことができる。したがって、封止部材の露出した部分は、耐エッチング材料の部分によって覆われる部分よりも速い速度で除去される。したがって、突出部は、耐エッチング材料の下に形成され、封止ブレードを構成する。エッチングは、封止ブレードの所望の長さに基づいて選択される時間の間行われてもよい。例えば、所望の長さは、結果として得られる封止ブレードの推定される耐久性に基づいて選択されてもよい。推定される耐久性は、封止ブレードの他の寸法(例えば、半径方向の厚さ)に少なくとも部分的に依存してもよい。別の実施形態では、耐エッチング材料を提供し、エッチング液を封止部材表面に適用するのではなく、封止ブレードは別の手段を使用して形成されてもよい。例えば、封止ブレードは、任意の好適な成形方法を用いて形成されてもよい。
【0114】
工程1714では、いくつかの実施形態では、耐エッチング材料は除去されてもよい。例えば、耐エッチング材料(例えば、二酸化ケイ素)は、ウェットエッチング(例えば、緩衝フッ化水素酸エッチング)またはドライエッチングプロセスにより除去されてもよい。いくつかの実施形態では、方法1700はまた、作動ビームの一部を異方性エッチングして封止部材を形成し、作動ビームの片持ち梁部を形成するように、基材から作動ビームを解放することを含んでもよい。工程1716では、封止ブレードが封止部材表面に形成された後、作動ビームは、封止部材表面がオリフィスプレート上に配置されたバルブシートと位置合わせされるように、オリフィスプレートに取り付けられる。例えば、作動ビームに取り付けられるスペーサー部材は、封止部材の表面がオリフィスと位置合わせするように、オリフィスプレートに配置され、取り付けられてもよい。作動ビームが初期位置に配置される場合に、封止部材表面は、封止ブレードがバルブシートの上面に接触するように配置されるように、オリフィスと位置合わせされる。
【0115】
ここで
図18を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造1800の断面図が示されている。示すように、作動ビーム1802の片持ち梁部1804は、オリフィスプレート1814のオリフィス1816に向かって延在する。片持ち梁部1804の重なり合う部分1806は、オリフィス1816と重なり合う。封止構造1800は、重なり合う部分1806に配置され、オリフィス1816に向かって延在する封止部材1808を備える。様々な実施形態では、封止部材1808は、オリフィス1816に対応するように成形される。例えば、様々な実施形態では、封止部材1808およびオリフィス1816の両方が実質的に円筒形であり、オリフィス1816は封止部材1808の直径よりも小さい直径を有する。
【0116】
示すように、封止部材1808は、オリフィスに面する表面1818および側面1822を備える。封止部材1808の一部は、オリフィスに面する表面1818と側面1822との間の角部で取り除かれる。様々な実施形態では、封止部材1808の取り除かれる部分は、封止部材1808の全体の周りを円周方向に延在する。したがって、封止部材は、その端部に狭い部分1824を備える。狭い部分は、オリフィス1816の直径とほぼ等しい直径を有してよい。封止フラップ1810は、オリフィスに面する表面1818で狭い部分1824から半径方向外側に延びる。示すように、封止フラップ1810は、作動ビーム1802がデフォルト位置にある場合にバルブシート1812の上面1820に接触して、封止部材1808とバルブシート1812との間の界面に封止を形成する。封止フラップ1810は、それを通して密封を形成することができる圧縮可能な媒体を提供する。別の実施形態では、封止フラップは、バルブシート1812の内側リム上に提供されてもよい。このような実施形態では、封止部材1808の狭い部分1824は、バルブシート1812で画成される開口部に少なくとも部分的に入るように構成されてもよく、流体密封を形成するように、バルブシート1812の内側リム上に配置される封止フラップと係合してもよい。
【0117】
ここで
図19を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブのための封止構造を構成する方法1900の流れ図が示されている。方法1900を実行して、
図18に関して説明した封止構造1800を構成することができる。方法1900は、実装に応じて、より少ないまたは別の工程を含んでもよい。
【0118】
工程1902において、オリフィスを備えるオリフィスプレートが提供される。例えば、いくつかの実施形態では、オリフィスプレートは、SOIウェーハから形成される(例えば、ウェーハの一部を除去してオリフィスを形成してもよい)。いくつかの実施形態では、オリフィスの形成後、バルブシートはオリフィスに配置される。バルブシートは、オリフィスを取り囲み、オリフィスと位置合わせされて流体出口を形成する開口部を画成してもよい。工程1904では、オリフィスに面する表面および側面を有する封止部材を備える作動ビームが提供される。例えば、本明細書に記載のように、作動ビームは、スペーサー部材および封止部材が単一の製造工程で形成されるように、二重SOIウェーハの一部をエッチングすることによって形成されてもよい。封止部材は、実質的に円筒形であってもよい。オリフィスに面する表面は、封止部材の端部表面を備えてもよく、側面は、封止部材の曲面を備えてもよい。
【0119】
工程1906では、耐エッチング材料がオリフィスに面する表面全体に堆積される。耐エッチング材料(例えば、二酸化ケイ素または窒化ケイ素)は、耐エッチング材料が封止部材を除去する化学プロセス(例えば、エッチング)を遅くするように、化学組成において作動ビームの封止部材とは異なる。様々な実施形態では、耐エッチング材料は二酸化ケイ素からなる。つまり、耐エッチング材料の層を、化学蒸着または他の任意の好適な方法により堆積させることができる。
【0120】
工程1908では、封止部材は、耐エッチング材料の下の封止部材の側面における封止部材の一部を除去して、耐エッチング材料が封止部材の除去された部分の上に延在して封止フラップを形成するように、選択的にエッチングされる(例えば、エッチング液、例えばTMAHまたはKOH)。例えば、(例えば、封止部材表面を側面から分離する角部において)耐エッチング材料によって覆われていない封止部材の一部が選択的にエッチングされ、除去されるように、封止部材表面近傍の封止部材の端部にエッチング液を適用してもよい。そして、耐エッチング材料の残留部分は、封止フラップを形成してもよい。したがって、封止フラップは、その両側上に材料をほとんどまたは全く配置させない可能性があり、様々な表面に対して封止を形成させることができる適合層を形成してもよい。別の実施形態では、耐エッチング材料は、工程1908の後に除去されてもよく、適合材料(例えば、PDMS)から形成される別々に製造される封止フラップは、オリフィスに面する表面上に配置されてもよい。
【0121】
工程1910では、作動ビームは、封止フラップの一部がオリフィスの上に延在するようにオリフィスプレートに取り付けられる。例えば、作動ビームに取り付けられるスペーサー部材は、封止部材の表面がオリフィスと位置合わせするように、オリフィスプレートに配置され、取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、封止部材は、オリフィスに対して実質的に中心に位置する。結果として、封止フラップは、作動ビームが初期位置に配置される場合、バルブシートと封止フラップとの間に封止が形成されることができるように、バルブシートの内径を超えて半径方向に延在してもよい。
【0122】
ここで
図20を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブを構成する方法2000の流れ図が示されている。方法2000を実行して、本明細書に記載のマイクロバルブのいずれかを構成することができる。方法2000は、実装に応じて、より少ないまたは別の工程を含んでもよい。
【0123】
工程2002において、オリフィスを備えるオリフィスプレートが提供される。例えば、いくつかの実施形態では、オリフィスプレートは、SOIウェーハから形成される(例えば、ウェーハの一部を除去してオリフィスを形成してもよい)。いくつかの実施形態では、オリフィスの形成後、バルブシートはオリフィスに配置される。バルブシートは、オリフィスを取り囲み、オリフィスと位置合わせされて流体出口を形成する開口部を画成してもよい。工程2004では、オリフィスに面する表面および側面を有する封止部材を備える作動ビームが提供される。例えば、本明細書に記載のように、作動ビームは、スペーサー部材および封止部材が単一の製造工程で形成されるように、二重SOIウェーハの一部をエッチングすることによって形成されてもよい。封止部材は、実質的に円筒形であってもよい。オリフィスに面する表面は、封止部材の端部表面を備えてもよい。
【0124】
工程2006において、封止構造の一部が、封止部材およびオリフィスプレートのうちの少なくとも一つの上に形成される。例えば、いくつかの実施形態では、封止構造部材の一部は、オリフィスプレートの表面上にバルブシートの構成体を備える。バルブシートは、オリフィスプレートを取り囲み、オリフィスと位置合わせされて流体出口を形成する開口部を画成してもよい。バルブシートは、適合材料、例えばSU-8で構成されてもよく、任意の好適な方法(例えば、スピンコーティングまたはスプレーコーティング)を用いて堆積されてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、封止構造の一部は、封止部材のオリフィスに面する表面に形成される。これは、
図14、17、および18に関して説明した工程を必要とする場合があり、ストッパー、少なくとも一つの封止ブレード、または封止フラップを構成する。理解されるように、これらの構造の任意の組み合わせは、封止部材の一部の構成に使用されてもよい。特定の実施形態では、封止構造の複数の部分が形成されてもよい。例えば、封止部材またはバルブシートの封止部材表面における構成要素(例えば、適合構造、封止ブレード、および/または封止フラップ)の構成体に加えて、バルブシートは、オリフィスプレート上に形成されてもよい。特定の実施形態では、封止構造の一部は、封止構造の側面(例えば、
図18に関して説明した例えば側面1822)上に形成されてもよい。例えば、一実施形態では、封止部材は、バルブシートおよびオリフィスプレートから構成される流体出口内に嵌合するように構成され、封止構造の構成要素は、側面から半径方向外側に延在する。構成要素は、バルブシートの上面と接触して、オリフィスを作動ビームに近接する体積から分離する封止を形成してもよい。
【0126】
工程2008では、作動ビームは、オリフィスプレートに取り付けられ、封止部材がオリフィスと重なり合い、封止構造はオリフィスを作動ビームに近接する体積から分離する封止を形成する。例えば、作動ビームに取り付けられるスペーサー部材は、オリフィスに面する表面がオリフィスと位置合わせするように、オリフィスプレートに位置決めされて取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、封止部材は、オリフィスに対して実質的に中心に位置する。結果として、工程2006で形成される封止部材の一部は、作動ビームが初期位置に配置された場合、オリフィスプレートまたはその上のバルブシートのいずれかに接触してもよい。
【0127】
ここで
図21を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止部材2100の断面図が示されている。封止部材2100は、
図8に関して説明した封止構造800に備えられる封止部材808、または本明細書に記載の封止構造のいずれかの例示的実施形態であってもよい。示すように、封止部材2100は実質的に円筒形であり、直径2102を有する。直径2102は、オリフィスプレート内のオリフィスのサイズに基づいて選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、直径2102は、オリフィスの直径の約150%である(例えば、オリフィスは60ミクロンの直径を有してもよく、直径2102は90ミクロンであってもよい)。
【0128】
ここで
図22を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブのバルブシート2200の断面図が示されている。バルブシート2200は、
図8に関して説明した封止構造800に備えられるバルブシート810、または本明細書に記載の封止構造のいずれかの例示的実施形態であってもよい。示すように、バルブシート2200は環状であり、内径2202および外径2204を備える。内径2202と外径2204は、封止部材の直径が含まれる範囲を規定してもよい。例えば、
図21に関して説明した封止部材2100がバルブシート2200と併せて使用される実施形態では、直径2102は、内径2202よりも大きいように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、直径2102は、内径2202と外径2204との間である。いくつかの実施形態では、直径2102は、外径2204と等しく、マイクロバルブは、封止部材の外面がバルブシート2200と実質的に同一平面になるように、封止部材2100がバルブシート2200と実質的に位置合わせされるように、構成される。いくつかの実施形態では、直径2102は、封止部材2100の外縁が、組み立てられたマイクロバルブ内のバルブシートから張り出すように、外径2204よりも大きい。
【0129】
ここで
図23を参照すると、例示的な実施形態による、マイクロバルブの封止構造2300の断面図が示されている。示すように、作動ビーム2302の片持ち梁部2304は、オリフィスプレート2314のオリフィス2316に向かって延在する。片持ち梁部2304の重なり合う部分2306は、オリフィス2316と重なり合う。封止構造2300は、重なり合う部分2306に配置され、オリフィス2316に向かって延在する封止部材2308を備える。様々な実施形態では、封止部材2308は、オリフィス2316に対応するように成形される。例えば、様々な実施形態では、封止部材2308およびオリフィス2316の両方が実質的に円筒形であり、オリフィス2316は封止部材2308の直径よりも小さい直径を有する。
【0130】
封止構造2300はまた、バルブシート2312を備える。バルブシート2312は、オリフィス2316を取り囲み、オリフィス2316と位置合わせされて流体出口を画成する開口部を画成する。様々な実施形態では、バルブシート2312は、適合材料、例えばフォトレジスト(例えば、SU-8)で形成される。示すように、複数の封止ブレードまたは突出部2310は、封止部材2308のオリフィスに面する表面2318から延在する。封止ブレード2310は、封止部材2308の外周に対応するように成形されてもよい(例えば、オリフィスに面する表面2318上に同心円状に配置される)。いくつかの実施形態では、封止ブレード2310は、実質的に環状であり、バルブシート2312の内径と外径との間に収まる内径および外径を有する。
【0131】
図23に示すように、封止層2320は、バルブシート2312上に配置されてもよい。封止層2320は、例えば、金属(例えば、金もしくは白金)層または任意の他の好適な層を備えてもよい。様々な実施形態では、複数の窪み2322は、封止層2320上に形成されてもよい。複数の窪み2322は、例えば、エッチングプロセスによって形成されてもよく、複数の封止ブレード2310の位置に対応する位置に配置されてもよい。特定の実施形態では、複数の窪み2322は、封止層2320上で複数の封止ブレード2310を繰り返し打ち付けること(例えば、作動ビーム2302への電気信号の周期的な印加)による冷間鍛造によって形成される。封止ブレード2310は、封止層2320に向かって延在し、作動ビーム2302が初期位置に配置される場合、対応する窪み2322の基部に接触する。隣接する封止ブレード2310間の間隔、およびオリフィスに面する表面2318とオリフィスプレート2314との間の距離は、小さな粒子P(例えば、粉塵、フォトレジストの破片等)を、封止ブレード2310とバルブシート2312との間に形成される封止から、例えば、オリフィス2316に向かって、およびオリフィス2316の外に向かって押し出すように構成されてもよい。さらに、複数の封止ブレード2310を対応する窪み2322と嵌合させることにより、封止部材2308とバルブシート2312との間のより良好な流体密封が形成し易くなる場合がある。特定の実施形態では、フィルター(例えば、5、10、15または20ミクロン)フィルターは、流体から粉塵または他の微小粒子状物質を濾過するように、封止構造2300を備えるマイクロバルブを備える噴射アセンブリ内に設けられる隔壁の流体マニホールド上流内に配置されてもよい。
【0132】
特定の実施形態では、オリフィスプレート上に配置されるバルブシートは、シリコンから形成されてもよく、封止層は、酸化ケイ素または窒化ケイ素から形成されてもよい。例えば、
図24は、バルブシート2412上に封止層2420を設けるために用いられるプロセス2400を例示する。工程1では、シリコンバルブシート2412が、オリフィスプレート2414上に設けられ、オリフィス2416はそこに画成される。オリフィスプレート2414は、本明細書で定義されるオリフィスプレートのいずれかを備えてもよい。バルブシート2412は、シリコンから形成され、例えば、シリコンエピタキシャル成長プロセス、それに続くフォトリソグラフィーパターンおよびエッチングによりそこに堆積されてもよく、またはオリフィス2416の周りに配置されるシリコンの一部(例えば、シリコンリング)を備えてもよい。封止層2420(例えば、酸化ケイ素または窒化ケイ素封止層)は、バルブシート2412上に配置される。封止層2420は、物理蒸着プロセス(例えば、化学気相堆積プロセスまたはプラズマ増強気相堆積プロセス)を用いて堆積されてもよい。
【0133】
工程2では、複数の開口部2422は、封止層2420が複数の酸化ケイ素リングまたは窒化ケイ素リング2421を形成するように、酸化ケイ素封止層2420内の所定の位置に画成される。複数の開口部2422は、シリコンバルブシート2412の表面を所定の位置において曝露するように、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、緩衝フッ化水素酸、またはドライプラズマエッチングプロセスを用いる)プロセスにより形成されてもよい。工程3で、シリコンバルブシート2412は、シリコンを選択的にエッチングするエッチング液を用いて(例えば、水酸化カリウムまたはテトラメチルアンモニウムオキシドエッチング液、ドライプラズマエッチングプロセスを用いて)、複数の開口部2422において選択的にエッチングされ、シリコンバルブシート2412内に複数の窪み2424を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の窪み2424は、作動ビーム(例えば、作動ビーム2302)のオリフィスに面する表面上に配置される複数の封止ブレード(例えば、封止ブレード2310)に対応してもよい。別の実施形態では、複数のリング2421は、複数の封止ブレードが作動ビームから除外されてもよいように、封止ブレードとして機能してもよい。プロセス2400は、上に配置される酸化ケイ素または窒化ケイ素封止層2420を有するシリコンバルブシート2412を説明するが、別の実施形態では、バルブシート2412および/または封止層2420は、任意の他の好適な材料、例えば、ネガフォトレジスト(例えば、SU-8、ポリメチルメタクリレート、等)、PDMS、シリコーンゴム等から形成されてもよく、ならびに、フォトリソグラフィおよびエッチングプロセス(例えば、本明細書に記載のプロセスのいずれかの組み合わせ)用いて形成される、またはその上に機械的に配置されてもよいことは、言うまでもない。さらに、別の実施形態では、プロセス2400の工程を用いて、作動ビームの先端上に複数のリングを有する封止部材を形成してもよい。
【0134】
ここで
図25を参照すると、例示的な実施形態による、噴射アセンブリ(例えば、噴射アセンブリ100、200、200b)に備えられるマイクロバルブ2530の断面図が示されている。入力流体マニホールド2510は、マイクロバルブ2530に連結する。示すように、入力流体マニホールド2510およびマイクロバルブ2530は、(例えば、キャリア202.202bを介して)外部流体供給部から受け入れる加圧流体の体積を保持するように構成される貯留部3000を画成する。様々な実施形態では、貯留部3000内に保持される加圧流体は、液体状態にあるインクおよび別の流体の組み合わせである。
【0135】
様々な実施形態では、入力流体マニホールド2510は、マイクロバルブへの取り付け前に予め形成されてもよい。いくつかの実施形態では、入力流体マニホールド2510は、任意の好適な厚さ(例えば、約500ミクロン)を有するガラス本体によって形成されてもよい。別の実施形態では、入力流体マニホールド2510は、シリコンから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、入力流体マニホールド2510は、第一の接着構造2548を介して、スペーサー部材2580上に配置され固定された作動ビーム2540のベース部2542において、作動ビーム2540(例えば、本明細書に記載の作動ビーム240、240bのいずれか)のトップ面に連結してもよい。第一の接着構造2548は、
図4Aまたは4Bに関して説明したものと同様の複数の接着リングを備えてもよい。接着剤は、SU-8または任意の他の好適な接着剤を含んでもよく、入力流体マニホールド2510の底面および/または作動ビーム2540のトップ面に適用されてもよい。別の実施形態では、第一の接着構造2548は、シリコンまたはガラスから形成され、ガラスフリット、はんだ、接着剤、融合結合、共晶結合、またはスティクションにより作動ビーム2540に連結してもよい。電極2504は、作動ビーム2540のベース部に画成されるビア内に配置され、作動ビーム2540内に画成される圧電層に電気的に結合する。本明細書に記載のように、ビアは、入力流体マニホールド2510内に画成されるチャネルまたは開口部2512に対応してもよく、封入剤で充填されてもよい。
【0136】
マイクロバルブ2530はまた、スペーサー部材2580を介して作動ビーム2540に取り付けられたオリフィスプレート2550を備える。
図25に示すように、第二の接着構造2556は、第一の接着構造2548に類似していてもよく、接着材料(例えば、SU-8)の複数のリングまたはループを備えてもよい。いくつかの実施形態では、複数の溝または歯形2582は、オリフィスプレート2550に面するスペーサー部材2580の底面に画成されてもよい。接着構造2556に含まれる接着剤は、溝2582が画成されない実施形態と比べて、スペーサー部材2580と実質的により高い接合強度を提供するために、溝2582に侵入してもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、支持ビーム2558は、オリフィスプレート2550からスペーサー部材2580に向かって延在してもよく、またオリフィスプレート2550とスペーサー部材2580との間の分離距離を画成するように構成され、それによって作動ビーム2540は、マイクロバルブ2530の使用中に、(例えば、マイクロバルブ2530内で用いられる流体に含まれる)溶媒溶液がスペーサー部材2580の下方に浸透するのを防止するガードリングとしても機能してもよい。特定の実施形態では、支持ビーム適合層2559は、支持ビーム2558の先端部にスペーサー部材2580に近接して配置されてもよい。支持ビーム適合層2559は、金層または任意の他の好適な適合層を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第二の接着構造2556はまた、シリコンまたはガラスから形成され、ガラスフリット、はんだ、接着剤、融合結合、共晶結合、またはスティクションにより作動ビームスペーサー部材に連結してもよい。
【0138】
オリフィスプレート2550は、実質的に平面状であり、その表面の間に延在するオリフィス2560を備える。バルブシート2570は、オリフィス2560のリムの周りで作動ビーム2540に面するオリフィスプレート2550の表面上に配置されてもよい。バルブシート2570は、オリフィス2560と実質的に位置合わせされた内部開口部2571を画成し、マイクロバルブ2530に供給される加圧流体のための出口を形成する。いくつかの実施形態では、バルブシート適合層2572(例えば金層)は、作動ビーム2540が面するバルブシート2570の表面上に配置されてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、オリフィスプレート2550は実質的に平坦であってもよく、例えば、オリフィスプレート2550が実質的に反りも曲げも無いように、少なくとも15mmのオリフィスプレート2550の長さおよび幅にわたって3ミクロン未満の変動係数の平坦性を有してもよい。さらに、オリフィスプレート2550は、任意の好適な厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、オリフィスプレート2550は、30ミクロン~90ミクロンの範囲(30、40、50、60、70、80、90、または100ミクロン)の厚さを有してもよい。別の実施形態では、オリフィスプレート2550は、100ミクロン~900ミクロンの範囲(例えば、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、または900ミクロン)の厚さを有してもよい。より厚いオリフィスプレート2550は、より平坦なオリフィスプレートを実現し易くしてもよい。
【0140】
作動ビーム2540は、スペーサー部材2580上に配置されるベース部2542と、ベース部からオリフィス2560に向かって延在する片持ち梁部2544とを備える。作動ビーム2540は、本明細書で以下に説明する差異を除いて、作動ビーム240、240bと実質的に類似している。封止部材2590は、オリフィス2560と重なり合う作動ビーム2540の一部から延在する。いくつかの実施形態では、封止部材2590は、オリフィス2560の形状(例えば、円筒形形状)に実質的に対応する形状を有するように構成される。
【0141】
封止ブレード2592は、封止部材2590のオリフィスに面する表面からバルブシート2570に向かって延在する。封止ブレード2592は、封止部材2590の外周に対応するように成形されてもよい。いくつかの実施形態では、封止ブレード2592は、実質的に環状であり、バルブシート2570の内径と外径との間に収まる内径および外径を有する。封止ブレード2592は、バルブシート2570の上面に向かって延在し、作動ビーム2540が閉位置に配置される場合、バルブシート2570に接触する。封止ブレード2592は、封止ブレード2592の先端とバルブシート2570との間の界面に密封が形成されるように、作動ビーム2540によって供給される下向きの力の中心点を提供する。
【0142】
さらに拡大すると、
図26は、
図25の矢印Aのマイクロバルブ2530の一部の拡大図である。
図25に示すように、封止ブレード2592の先端部は実質的に平坦であり、いくつかの実施形態では、封止ブレード適合層(例えば、金層)でコーティングされてもよい。
図26は、レジスト2591でコーティングされた封止ブレードの先端部を示し、これはエッチングマスクとして機能して、封止部材2590の選択的エッチングを可能にし、封止ブレード2592を形成し、後に除去される。いくつかの実施形態では、レジスト2591のレジスト幅X2は、1以上15ミクロン以下の範囲(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ミクロン)であり、その結果、封止ブレード2592の封止ブレード幅X1は、8以上12ミクロン以下の範囲(例えば、8、9、10、11、または12ミクロン)である。レジスト内側断面寸法Y1(例えば、内径)は、20以上100ミクロン以下の範囲(例えば、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、または100ミクロン)であってもよく、レジスト外側断面寸法Y2(例えば、外径)は、30以上120ミクロン以下の範囲(例えば、30、40、50、60、70、80、90、100、105、110、115、または120ミクロン)であってもよい。封止部材2590の封止部材外断面寸法Y3(例えば、外径)は、80以上140ミクロン以下の範囲(例えば、80、90、100、110、120、125、130、135、または140ミクロン)であってもよい。
【0143】
バルブシート2570の内側断面寸法Z1(例えば、バルブシート2570に画成される開口部2571の直径)は、20以上80ミクロン以下の範囲(例えば、20、30、40、50、55、60、65、70、75、または80ミクロン)であってもよく、およびバルブシート2570の外側断面寸法Z4(例えば、外径)は、100以上160ミクロン以下の範囲(例えば、100、110、120、130、140、145、150、155、または160ミクロン)であってもよい。バルブシート2570内に画成される開口部2571のリムからバルブシート適合層2572の縁までの第一の半径方向距離Z2は、1以上4ミクロン以下の範囲(例えば、1、2、3、または4ミクロン)であってもよく、封止ブレード2592の内径縁からバルブシート2570に画成される開口部2571のリムまでの第二の半径方向距離Z3は、7以上15ミクロン以下の範囲(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ミクロン)であってもよい。
【0144】
封止ブレード2592の断面が内側断面寸法Z1よりも大きいことにより、開口部2571と封止ブレード2592の内径縁との間の軸方向のずれが可能になり、さらにバルブシート2570内に画成される開口部2571の封止を可能にする。例えば、
図27は、
図26の線B-Bに沿って切り取られた封止ブレード2592の断面図を示す。
図27に示すように、封止ブレード2592は、開口部2571と軸方向にずれているが、依然として、開口部2571を取り囲むバルブシート2570上の領域を取り囲んで流体封止することができ、それにより、作動ビーム2540がその閉位置(例えば、初期位置)にある場合、開口部2571を通る流体の漏れを防止することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、作動ビームのスペーサー部材をオリフィスプレートに接合するために使用される接着構造の一部は、スペーサー部材の半径方向内側縁を越えて延在してもよい。例えば、
図28Aは、一実施形態による、マイクロバルブ2630の一部の側面断面図である。マイクロバルブ2630は、オリフィスプレート2650を備える。作動ビーム2640は、オリフィスプレート2650上に配置される。作動ビーム2640のベース部2642は、支持ビーム2658(例えば、支持ビーム2558)および第二の接着構造2656(例えば、SU-8構造)を介してオリフィスプレート2650に連結するスペーサー部材2680上に配置される。第二の接着構造2656は、2以上20ミクロン以下の範囲の厚さ(例えば、2、3、4、5、10、12、14、16、18、または20ミクロン)を有してもよい。複数の溝または歯形2682は、オリフィスプレート2650に面するスペーサー部材2680の面に画成されてもよい。第二の接着構造2656は、本明細書で前述のように、複数の溝2682に侵入して、スペーサー部材2680との強い接合を形成する。様々な実施形態では、複数の溝2682は、約5以上10ミクロン以下の断面寸法(例えば、幅)を有してもよく、5以上10ミクロン以下の間隔で離間してもよい。別の実施形態では、複数の溝2682を除外してもよい。
【0146】
本明細書前述のように、入力流体マニホールド2610は、第一の接着構造2661を介して、作動ビーム2640のベース部2642上で作動ビーム2640と接合する。第一の接着構造2661は、接着剤(例えば、SU-8)または構造材料、例えばガラスもしくはシリコンの複数のリングを備えてもよい。第一の接着構造2661のうちの少なくとも一つのリングは、例えば、オリフィスプレート2650から離れる作動ビーム2640の片持ち梁部2644の動きによって加えられるねじり応力と釣り合わせるために、第二の接着構造2656の反対側に配置される。いくつかの実施形態では、第一の接着構造2661と第二の接着構造2656は、同じ材料(例えば、SU-8、シリコン、ガラス等)から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の溝はまた、第一の接着構造2661が接着し易いようにスペーサー部材2680の表面上に画成されてもよく、または接着剤が配置される任意の他の表面上に画成されてもよい。
【0147】
第二の接着構造2656はまた、第二の接着構造2656の一部が、作動ビーム2640の片持ち梁部2644の下に位置する(例えば、5以上10ミクロン以下の範囲の)所定の長さXを有するように、スペーサー部材2680の半径方向内側縁を越えて半径方向に延在してもよい。第二の接着構造2656の延長部は、オリフィスプレート2650に面する片持ち梁部2644の底面から軸方向距離Yだけ軸方向に離間されてもよく、これはスペーサー部材2680の厚さと等しくてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のマイクロバルブ2630または任意の他のマイクロバルブと共に使用される流体は、第一の接着構造2661および第二の接着構造2656を形成するために使用される接着剤を溶解または膨張させることができる溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、第一の接着構造2661および/または第二の接着構造2656は、無機材料、例えば、溶媒と反応しないシリコンまたはガラスを使用して形成されてもよい。別の実施形態では、耐溶媒性の有機、無機またはハイブリッド/無機材料の薄いコーティングを、マイクロバルブ2630の露出した表面上に配置して、第一の接着構造2661および第二の接着構造2656を保護することができる。
【0149】
例えば、
図28Bは、
図28Aの矢印Bによって示されるマイクロバルブ2630の一部の拡大図を示す。例えば、5以上100nm以下(5、10、20、30、40、50、または100nm)の範囲の厚さを有するコーティング2686は、マイクロバルブ2630上にコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは、原子層堆積(ALD)プロセスを使用して堆積されてよい。コーティング2686は、任意の好適な材料、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、もしくは任意の他の好適な材料、またはそれらの組み合わせから形成されてもよい。
【0150】
一部の実施形態では、本明細書に記載のマイクロバルブのいずれかはまた、マイクロバルブに備えられる作動ビームのオーバーシュートを防止するバンパーを備えてもよい。例えば、
図29は、別の実施形態による、マイクロバルブ2730の側面断面図である。マイクロバルブ2730は、マイクロバルブ2530に関して説明したものと類似の構成要素を備える。マイクロバルブ2730は、作動ビーム2540と実質的に類似の作動ビーム2740を備えるが、オリフィスプレート2550に向かって作動ビーム2740の片持ち梁部2744から延在するバンパー2791も備える。別の実施形態では、バンパー2791は、オリフィスプレート2550上に配置され、そこから作動ビーム2740の片持ち梁部2744に向かって延在してもよい。バンパー2791は、任意の好適な位置に、例えばスペーサー部材2580と封止部材2590の間の中間に、配置されてもよい。バンパー2791は、オリフィスプレート2550または作動ビーム2740と同じ材料(例えば、シリコン)から形成されてもよい。バンパー2791は、作動ビーム2740の動きを制限することによって、作動ビーム2740の片持ち梁部のオーバーシュートを防止するように構成されてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、マイクロバルブは、作動ビームを初期位置に戻すように誘導することによって作動ビームの動きを制限する機構を備えてもよい。例えば、
図30は、別の実施形態による、マイクロバルブ3520の側面断面図である。マイクロバルブ3520は、オリフィスプレート3510を備え、その中にオリフィス3560を画成する。作動ビーム3540は、オリフィスプレート3510上に配置され、スペーサー3580を介してそこから離間される。封止部材3524は、作動ビーム3540の重なり合う部分3549に配置され、オリフィス3560の周りまたはオリフィスに重なり合うオリフィスプレート3510上に配置されるバルブシート3522に接触するように構成され、作動ビーム3540の初期位置においてオリフィス3560を封止するように構成される。重なり合う部分3549は、作動ビーム3540の先端部に位置し、オリフィス3560と重なり合う。フィンガー3517は、オリフィスプレート3510上に配置される支柱3515上に配置され、作動ビーム3540の少なくとも重なり合う部分3549と重なり合うように、作動ビーム3540に向かって延在する。フィンガー3517は、作動ビーム3540の初期位置において、封止部材3524とバルブシート3522との間に流体密封が確実に形成されるように、作動ビーム3540の重なり合う部分3549をバルブシート3522に向かって押すように構成されてもよい。
【0152】
フィンガー3517は、作動ビーム3540に印加される電荷に応答して、作動ビーム3540の片持ち梁部がオリフィス3560から離れる方向に曲がるまたは湾曲することにより打ち勝つ剛性を有するように構成されることができる。電荷が除去されると、フィンガー3517は、片持ち梁部をオリフィス3560に向かって押し戻してもよい。別の実施形態では、付勢部材3519(例えば、つる巻きばね、皿ばね、ベリリウム-銅ばね、適合部材など)は、フィンガー3517に動作可能に連結され、電荷が作動ビーム3540に印加される場合、付勢されるように構成される。電荷が除去されると、付勢部材3519は、重なり合う部分3549をオリフィス3560に向かって押し戻すことができる。特定の実施形態では、付勢部材3519は、フィンガー3517が排除されるように、重なり合う部分3549に動作可能に連結されてもよい。
【0153】
前述の実施形態は片持ち作動ビームを指すが、別の実施形態では、マイクロバルブは単に支持された作動ビームを備えてもよい。例えば、
図31は、別の実施形態による、マイクロバルブ3620の側面断面図である。マイクロバルブ3620は、オリフィスプレート3610を備え、その中にオリフィス3660を画成する。作動ビーム3640は、オリフィスプレート3610上に配置され、作動ビーム3640の第一の軸端部3646aは、第一のスペーサー部材3680aを介してオリフィスプレート3610上に配置され、オリフィスプレート3610から離間されている。作動ビーム3640の第二の軸端部3646bは、第二のスペーサー部材3680を介してオリフィスプレート3610上に配置され、オリフィスプレート3610から離間されている。スペーサー部材3680a/bは、対応する接着層3656a/bを介してオリフィスプレート3610に連結される。作動ビーム3640は、オリフィスプレート3610に向かって、またはオリフィスプレート3610から離れるように曲がるように構成される曲げ部3648を備える。曲げ部3648は、(例えば、軸端部3646a/bの中間に位置する)オリフィス3660と重なり合う重なり合う部分3649を備える。封止部材3624は、作動ビーム3640の重なり合う部分3649に配置され、オリフィス3660の周りまたはオリフィスに重なり合うオリフィスプレート上に配置されるバルブシート3672に接触するように構成され、作動ビーム3640の初期位置においてオリフィス3660を封止する。様々な実施形態では、バルブシート3672は、接着層3656a/bと同じ材料から形成されてもよい(例えば、同じ製造工程で形成される)。重なり合う部分3649は作動ビーム3640の中心に配置されてもよいので、軸端部3646a/bの周りの曲げ部3648の曲げは、封止部材3624を、それに与えられる角度なしに、バルブシート3672に向かって、およびバルブシート3672から離れるように移動させることができる(すなわち、封止部材3624の封止面は、バルブシート3672に対して実質的に平行のままであってもよい)。さらに、オリフィスプレート3610が反ると、それに応じて作動ビーム3640も反り、その結果、封止部材3624はバルブシート3672に対して同じ位置および配向のままであることができる。これにより、オリフィスプレート3610の任意の反りまたは湾曲にかかわらず、封止部材3624の封止面とバルブシート3672との間により良い封止を形成することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、マイクロバルブは、第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートであって、オリフィスプレートは第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える、オリフィスプレートと、オリフィスプレートに対して離間して配置される作動ビームであって、作動ビームはベース部および片持ち梁部を備え、ベース部はオリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、片持ち梁部はベース部からオリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分がオリフィスと重なり合い、作動ビームが閉位置と開位置との間で移動可能である、作動ビームと、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される封止部材を備える封止構造と、を備え、作動ビームが閉位置にある場合、片持ち梁部は、封止構造がオリフィスを封止してマイクロバルブを閉じるように配置される。
【0155】
いくつかの実施形態では、作動ビームは圧電材料の層を備え、作動ビームは、圧電材料に印加される電気信号に応答して、閉位置と開位置との間で移動可能である。いくつかの実施形態では、圧電材料に電気信号が印加されない場合、マイクロバルブは閉位置にある。いくつかの実施形態では、逆極性電気信号が圧電材料に印加される場合、マイクロバルブが閉位置に近付くか、または閉位置でマイクロバルブを保持する力が増加する。
【0156】
いくつかの実施形態では、封止構造は、封止部材の表面上に配置されるストッパーを備え、ストッパーは、封止部材の表面に取り付けられる第一の部分と、第一の部分上にオリフィスプレートに近接して配置される第二の部分とを備え、第二の部分は第一の部分よりも大きな断面積を有する。いくつかの実施形態では、ストッパーは、電気信号がない場合、オリフィスプレートに直接接触する。いくつかの実施形態では、ストッパーは、ビスフェノールAノボラックグリシジルエーテル系フォトレジストで構成される。[いくつかの実施形態では、封止部材、第一の部分、および第二の部分のそれぞれは実質的に円筒形である。
【0157】
いくつかの実施形態では、封止構造は、オリフィスを取り囲むバルブシートをさらに備え、バルブシートは、オリフィスと重なり合って流体出口を画成する開口部を画成する。いくつかの実施形態では、封止部材は、オリフィスに面する封止部材表面であって、封止部材表面はオリフィスプレートの上面に実質的に平行であり、封止部材表面は、作動ビームが閉位置にある場合にバルブシートからある距離だけ変位される、封止部材表面と、封止部材表面からオリフィスプレートに向かう距離を伸ばす第一の封止ブレードであって、第一の封止ブレードは、オリフィスの周囲全体を取り囲む、第一の封止ブレードと、を備える。
【0158】
いくつかの実施形態では、封止部材およびオリフィスプレートは実質的に円筒形であり、オリフィスは第一の直径の円筒形であり、封止部材は第一の直径よりも大きい第二の直径の円筒形である。いくつかの実施形態では、第一の封止ブレードは環状であり、第一の直径より大きく第二の直径より小さい第一の外径を備える。いくつかの実施形態では、第一の外径は、第二の直径よりも第一の直径に近い。
【0159】
いくつかの実施形態では、封止部材は、第一の封止ブレードを取り囲む第二の封止ブレードをさらに備え、第一の封止ブレードと第二の封止ブレードとの間に環状間隙が形成されるように、第二の封止ブレードは第一の外径よりも大きいが第二の直径よりも小さい第二の外径を有する。いくつかの実施形態では、第一の封止ブレードおよび第二の封止ブレードは、封止部材の残部と同じ材料で形成される。
【0160】
いくつかの実施形態では、オリフィスおよび封止部材は実質的に円筒形であり、バルブシートは環状でオリフィスを取り囲む。いくつかの実施形態では、オリフィスは第一の直径を有し、封止部材は第一の直径よりも大きい第二の直径を有する。いくつかの実施形態では、バルブシートは、第一の直径と第二の直径との間の外径を有する。いくつかの実施形態では、バルブシートは、第二の直径とほぼ等しい、またはそれより大きい外径を有する。
【0161】
いくつかの実施形態では、封止部材は、その端部に配置される狭窄部であって、狭窄部はオリフィスに面する封止部材表面を画成する、狭窄部と、作動ビームが閉位置にある場合、バルブシートの上面と重なり合うように狭窄部から外側方向に延在する封止フラップと、をさらに備える。
【0162】
いくつかの実施形態では、バルブシートの内面とオリフィスの内面は、互いに実質的に位置合わせされて流体出口を形成し、マイクロバルブは流体出口の内面上に配置されるコーティングをさらに備える。いくつかの実施形態では、コーティングは、封止部材に面するバルブシートの上面、またはバルブシートに面する封止部材の封止部材表面のうちの少なくとも一つを覆う。いくつかの実施形態では、コーティングはポリジメチルシロキサンを含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、マイクロ電気機械システム(MEMS)マイクロバルブを構成する方法は、オリフィスを備えるオリフィスプレートを設けることと、スペーサー部材および取り付けられた封止部材を有する作動ビームを設けることと、オリフィスプレートまたは封止部材のいずれか上に封止構造の一部を形成することと、封止構造の部分を形成した後、作動ビームをオリフィスプレートに取り付けることと、を含み、封止部材はオリフィスと位置合わせされ、封止構造は、オリフィスを作動ビームに近接する体積から離す封止を、作動ビームの閉位置で形成する。
【0164】
いくつかの実施形態では、封止構造の部分を形成することは、オリフィスを取り囲むオリフィスプレート上にバルブシートを配置することを含み、方法は、封止部材のオリフィスに面する表面において封止構造の追加部分を形成することをさらに含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、封止構造の追加部分は、一つまたは複数の封止ブレードを備え、封止構造の追加部分を形成することは、耐エッチング材料をオリフィスに面する表面に堆積させることと、耐エッチング材料の一部をエッチングすることであって、オリフィスに面する表面上の耐エッチング材料の残留部分が一つまたは複数の封止ブレードの位置および形状に対応する、エッチングすることと、封止部材を第一の所定の時間だけ等方性エッチングすることであって、等方性エッチングすることは、耐エッチング材料の下の封止部材の一部をエッチングするように構成され、一つまたは複数の封止ブレードを形成する、等方性エッチングすることと、耐エッチング材料の残留部分をオリフィスに面する表面から取り除くことと、を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、方法はまた、耐エッチング材料を除去する前に、封止部材の一部を除去するために、第二の所定の時間、封止部材を異方性エッチングすることであって、残留部分がより高い封止ブレードを形成する、異方性エッチングすることと、次に耐エッチング材料を除去することと、を含む。いくつかの実施形態では、耐エッチング材料は二酸化ケイ素からなる。
【0167】
いくつかの実施形態では、封止構造の追加部分は、オリフィスに面する表面から外側方向に延在するオリフィスプレートに実質的に平行な封止フラップを備え、封止構造の追加部分を形成することは、耐エッチング材料をオリフィスに面する表面上に堆積させることと、封止部材を選択的にエッチングすることであって、耐エッチング材料の下の封止部材の周面において封止部材の一部を除去し、耐エッチング材料が封止部材の除去された部分の上に延在して封止フラップを形成する、選択的にエッチングすることと、を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、請求項27の方法は、封止部材を形成するために作動ビームの一部を異方性エッチングすることと、作動ビームの片持ち梁部を形成するように、基材から作動ビームを解放することと、をさらに含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、噴射アセンブリは、貫通して延在する複数のオリフィスを備えるオリフィスプレートを備えるバルブ本体と、複数のマイクロバルブであって、複数のマイクロバルブのそれぞれは、オリフィスプレート上に配置され、対応するオリフィスから変位されたスペーサー部材と、作動ビームであって、作動ビームは、スペーサー部材上に配置されるベース部、およびベース部から対応するオリフィスに向かって延在する片持ち梁部を備え、その重なり合う部分は対応するオリフィスと重なり合い、作動ビームは、片持ち梁部がオリフィスに向かって曲がる閉位置と、片持ち梁部がオリフィスから離れるように曲がる開位置との間で移動するように構成される、作動ビームと、重なり合う部分に取り付けられ、対応するオリフィスに向かって延在する封止部材を備える封止構造と、を備える、複数のマイクロバルブと、複数のマイクロバルブのそれぞれに連結し、それぞれのマイクロバルブの流体貯留部を画成する流体マニホールドと、を備える。
【0170】
いくつかの実施形態では、作動ビームは圧電材料の層を備え、作動ビームは、圧電材料に印加される電気信号に応答して、閉位置と開位置との間で移動可能であり、圧電材料の層に電気信号が印加されない場合、マイクロバルブは閉位置にある。
【0171】
いくつかの実施形態では、封止構造は、封止部材表面上に配置されるストッパーを備え、ストッパーは、封止部材表面に取り付けられる第一の部分と、第一の部分上にオリフィスプレートにより近接して配置される第二の部分とを備え、第二の部分は第一の部分よりも大きな断面積を有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、封止構造は、オリフィスプレート上に、そのオリフィスに近接して配置されるバルブシートをさらに備え、バルブシートは、オリフィスと重なり合って流体出口を画成する開口部を画成する。
【0173】
いくつかの実施形態では、封止部材は、オリフィスに面する封止部材表面であって、封止部材表面はオリフィスプレートの上面に実質的に平行であり、封止部材表面は、バルブシートからある距離だけ変位される、封止部材表面と、封止部材表面からオリフィスプレートに向かう距離を伸ばす第一の封止ブレードであって、第一の封止ブレードはオリフィスの少なくとも一部を取り囲み、第一の封止ブレードの一部は、オリフィスの外周の周りにそこから少し離れて配置される、第一の封止ブレードと、を備える。いくつかの実施形態では、封止部材は、第一の封止ブレードを取り囲む第二の封止ブレードをさらに備える。
【0174】
いくつかの実施形態では、第一の封止ブレード、第二の封止ブレード、およびバルブシートは、実質的に環状の形状であり、バルブシートは内径および外径を備え、片持ち梁部が閉位置にある場合、第一および第二の封止ブレードの全体は、バルブシートの上面上に内径と外径との間に配置される。
【0175】
いくつかの実施形態では、封止部材は、その端部に配置される狭窄部であって、狭窄部はオリフィスに面する封止部材表面を画成する、狭窄部と、封止部材表面において狭窄部の縁から外側に向かってに延在する封止フラップであって、封止フラップは、オリフィスプレートに実質的に平行に延在し、バルブシートの上面と重なり合う、封止フラップと、をさらに備える。
【0176】
いくつかの実施形態では、マイクロバルブは、第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートであって、オリフィスプレートは第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える、オリフィスプレートと、オリフィスプレートに対して離間して配置される作動ビームであって、作動ビームはベース部および片持ち梁部を備え、ベース部はオリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、片持ち梁部はベース部からオリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分がオリフィスと重なり合い、作動ビームが閉位置と開位置との間で移動可能である、作動ビームと、作動ビーム上に配置される封止構造であって、封止構造は、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される封止部材と、封止部材の表面上に配置されるストッパーであって、ストッパーは封止部材の表面に取り付けられる第一の部分と、オリフィスプレートに近接して第一の部分上に配置される第二の部分とを備え、第二の部分は第一の部分よりも大きな断面積を有する、ストッパーと、を備え、作動ビームが閉位置にある場合、ストッパーがオリフィスを封止してマイクロバルブを閉じるように、片持ち梁部は配置される、封止構造と、を備える。
【0177】
いくつかの実施形態では、マイクロバルブは、第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートであって、オリフィスプレートは第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える、オリフィスプレートと、オリフィスプレートに対して離間して配置される作動ビームであって、作動ビームはベース部および片持ち梁部を備え、ベース部はオリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、片持ち梁部はベース部からオリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分がオリフィスと重なり合い、作動ビームが閉位置と開位置との間で移動可能である、作動ビームと、作動ビーム上に配置される封止構造であって、封止構造は、オリフィスを取り囲むバルブシートであって、バルブシートはオリフィスを取り囲んで流体出口を画成する開口部を画成する、バルブシートと、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される封止構造と、封止部材の封止部材表面からオリフィスプレートに向かう距離を伸ばす第一の封止ブレードであって、第一の封止ブレードはオリフィスの周囲全体を取り囲み、オリフィスを封止してマイクロバルブを閉じるために、封止ブレードは、閉位置でバルブシートに接触するように構成される、第一の封止ブレードと、を備える、封止構造と、を備える。いくつかの実施形態では、封止部材は、第一の封止ブレードを取り囲む第二の封止ブレードをさらに備え、第二の封止ブレードは第一の外径よりも大きいが第二の直径よりも小さい第二の外径を有し、第一の封止ブレードと第二の封止ブレードとの間に環状間隙が形成される。
【0178】
いくつかの実施形態では、マイクロバルブは、第一の表面および第二の表面を備えるオリフィスプレートであって、オリフィスプレートは第一の表面から第二の表面へ延在するオリフィスを備える、オリフィスプレートと、オリフィスプレートに対して離間して配置される作動ビームであって、作動ビームはベース部および片持ち梁部を備え、ベース部はオリフィスプレートから所定の距離だけ離れ、片持ち梁部はベース部からオリフィスに向かって延在し、その重なり合う部分はオリフィスと重なり合い、作動ビームは閉位置と開位置との間で移動可能である、作動ビームと、作動ビーム上に配置される封止構造であって、封止構造は、片持ち梁部の重なり合う部分に配置される封止部材と、封止部材のMerge端部に配置される狭窄部であって、オリフィスに面する封止部材表面を画成する、狭窄部と、狭窄部から外側方向に延在し、作動ビームが閉位置にある場合、オリフィスを封止してマイクロバルブを閉じるように構成される封止フラップと、を備える。
【0179】
本明細書で使用する用語「約」および「およそ」は、概ね所定値の±10%を意味する。例えば、約0.5は0.45および0.55を含み、約10は9~11を含み、約1000は900~1100を含む。
【0180】
本明細書で使用する用語「連結する」、「接続する」等は、二つの部材が直接的または間接的に互いに結合することを意味する。こうした結合は、固定(例えば、永久的)または可動(例えば、取り外し可能または開放可能)としてもよい。このような結合は、二つの部材、または二つの部材と任意の別の介在部材が互いに単一の単一体として一体的に形成されるか、または二つの部材、もしくは二つの部材と任意の別の介在部材が互いに取り付けられることで達成されてもよい。
【0181】
本明細書の要素の位置(例えば、「上」、「下」、「上に」、「下に」など)への言及は、単に、図中の様々な要素の方向を説明するために使用される。様々な要素の方向は、別の例示的な実施形態に従って異なってもよく、このような変形は本開示によって包含されることが意図されていることに留意されたい。
【0182】
例示的な実施形態に示す要素の構成および配置は、例示にすぎない。本開示のいくつかの実施形態のみが詳細に説明されているが、本開示のレビューを行う当業者であれば、列挙された主題の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状および比率の変形、パラメータの値、取付け配置、材料の用途、色、向き等)が可能であることを容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されたものとして示される要素は、複数の部品または要素から構成されてもよく、要素の位置は逆転されても、または別の方法で変化されてもよく、個別の要素の性質もしくは数または位置は、変更されても、または変化されてもよい。
【0183】
さらに、「例示的」という語は、実施例、例、または図として機能することを意味するために使用される。「例示的」または「実施例」として本明細書に記載の任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない(および、このような用語は、このような実施形態が必然的に並外れたまたは最上の例であると暗示することを意図するものではない)。むしろ、「例示的」という語の使用は、概念を具体的に示すことを目的としている。したがって、このような全ての修正は、本開示の範囲内に包含されることが意図される。添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更、および省略は、好ましい実施形態および他の例示的な実施形態の設計、動作条件、および配置においてなされてもよい。
【0184】
本発明の範囲から逸脱することなく、様々な例示的な実施形態の設計、動作条件、および配置において、他の置換、修正、変更、および省略を行うこともできる。例えば、一実施形態で開示される任意の要素は、本明細書で開示される任意の他の実施形態に組み込まれてもよく、または利用されてもよい。また、例えば、任意のプロセスまたは方法の工程の順序またはシークエンスは、別の実施形態に従って変更または再度順序付けされてもよい。任意の手段と機能の条項は、記載された機能を実行するものとして本明細書に記載された構造、ならびに構造的同等物だけでなく同等の構造も包含することを意図している。添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更、および省略は、好ましい実施形態および他の例示的な実施形態の設計、動作構成、および配置において行ってもよい。