(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】配管システム内に挿入するためのシーリングスリーブ
(51)【国際特許分類】
F16L 55/163 20060101AFI20240207BHJP
F16L 55/162 20060101ALI20240207BHJP
F16L 55/165 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F16L55/163
F16L55/162
F16L55/165
(21)【出願番号】P 2020566871
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(86)【国際出願番号】 DE2019100141
(87)【国際公開番号】W WO2019158160
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】202018100823.4
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520308307
【氏名又は名称】ハンス ボーネト
【氏名又は名称原語表記】Hans Bohnet
【住所又は居所原語表記】Skiliftweg 18, 75328 Schoemberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス アイテル
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0281899(US,A1)
【文献】独国実用新案第202016104723(DE,U1)
【文献】特表平10-513539(JP,A)
【文献】米国特許第05465758(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/163
F16L 55/162
F16L 55/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏れを封止するために配管システムに挿入するためのシーリングスリーブ(1)であって、
環状に曲げられ、かつ拡大させる
ことができる鋼板(3)であって、内側のストリップ端部(4)および外側のストリップ端部(5)が、周方向(20)で重なり合っている、鋼板(3)と、
前記鋼板(3)に前記周方向(20)に沿って配置され、かつ少なくとも1つの歯列(8)を有する、スロット(7)の形態の少なくとも1つのロック装置であって、少なくとも1つの歯列(8)に係合するために形成された少なくとも1つの戻り止め部材(9)をさらに有する、少なくとも1つのロック装置と、を備え、
少なくとも1つの戻り止め部材(9)が、複数部材から成るものであり、少なくとも1つのガイド要素と、少なくとも1つの戻り止め要素と、1つのガイド要素(10)と1つの戻り止め要素(11)との間に配置された少なくとも1つの付勢要素(13)と、を有し、前記ガイド要素(10)と前記戻り止め要素(11)との間の付勢力を変化させることができ、これにより前記戻り止め部材(9)の戻り止め作用を制御することができるように構成されて
おり、
前記ガイド要素(10)は戻り止め表面を有さず、前記戻り止め要素(11)は前記歯列(8)に面した側に複数の戻り止め歯を有し、前記戻り止め要素(11)の戻り止め歯は、間隔および深さに関して、該戻り止め要素(11)が係合する前記歯列(8)の凹部に一致している
ことを特徴とする、シーリングスリーブ(1)。
【請求項2】
前記内側のストリップ端部(4)に前記周方向(20)に沿って配置され、かつ少なくとも1つの歯列(8)を有する、スロット(7)の形態の少なくとも1つのロック装置であって、前記外側のストリップ端部(5)に結合され、少なくとも1つの歯列(8)に係合するように形成された、少なくとも1つの戻り止め部材(9)を有する、少なくとも1つのロック装置を有することを特徴とする、請求項1に記載の配管システムに挿入するためのシーリングスリーブ(1)。
【請求項3】
前記外側のストリップ端部(5)に前記周方向(20)に沿って配置され、かつ少なくとも1つの歯列(8)を有する、スロット(7)の形態の少なくとも1つのロック装置であって、前記内側のストリップ端部(4)に結合され、少なくとも1つの歯列(8)に係合するように形成された、少なくとも1つの戻り止め部材(9)を有する、少なくとも1つのロック装置を有することを特徴とする、請求項1に記載の配管システムに挿入するためのシーリングスリーブ(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの付勢要素(13)が、くさびおよび/またはばね要素(13)として形成されていることを特徴とする、請求項1から
3までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項5】
複数の付勢要素(13)が、1つのガイド要素(10)と1つの戻り止め要素(11)との間の唯一の隙間内に配置されていることを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項6】
戻り止め部材(9)の少なくとも1つのガイド要素(10)が、少なくとも1つの戻り止め要素(11)をU字型に囲んで該戻り止め要素(11)の移動を案内するように形成されているか、または戻り止め部材(9)の少なくとも1つの戻り止め要素(11)が、少なくとも1つのガイド要素(10)をU字型に囲んで該ガイド要素(10)の移動を案内するように形成されていることを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項7】
少なくとも1つの突出部が、戻り止め要素(11)またはガイド要素(10)に設けられており、前記突出部が戻り止め要素(11)またはガイド要素(10)の対応する凹部に係合して、当該ガイド要素(10)または戻り止め要素(11)の移動を案内することを特徴とする、請求項1から
6までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項8】
戻り止め表面が、前記戻り止め部材(9)の一方の側に前記周方向(20)に沿って配置されており、前記戻り止め表面は、スロット(7)内の1つの歯列(8)に係合するように形成されていることを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項9】
戻り止め表面が、前記戻り止め部材(9)の長手方向軸線(21)に対して対称的に、または
前記戻り止め部材(9)の
平面に対して対称的に配置されていて、スロット(7)内の種々の歯列(8)に係合するように形成されていることを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項10】
1つまたは複数の戻り止め表面が、1つまたは複数の
戻り止め歯
によって形成されていることを特徴とする、請求項
8または
9に記載のシーリングスリーブ。
【請求項11】
少なくとも1つの戻り止め部材(9)が、少なくとも1つのガイド部分を有しており、前記ガイド部分は、周方向(20)において、前記戻り止め部材の残りの部分の前方または後方に配置され、かつ前記戻り止め部材の残りの部分に固定的に結合されていて、前記スロット(7)内でスライドできるように形成されていることを特徴とする、請求項1から
10までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項12】
ガイド部分の幅が、
前記スロット(7)の
自由幅と等しいか、またはそれよりも少し小さくなるように選択されることを特徴とする、請求項
11に記載のシーリングスリーブ。
【請求項13】
少なくとも1つの戻り止め部材(9)が、ストリップの厚さより大きい
高さを有することを特徴とする、請求項1から
12までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項14】
少なくとも1つの戻り止め部材(9)
のガイド要素(10)が、前記内側のストリップ端部(4)または前記外側のストリップ端部(5)に、固定的に結合されている
ことを特徴とする、請求項1から
13までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項15】
少なくとも1つの戻り止め部材(9)が、前記内側のストリップ端部(4)または前記外側のストリップ端部(5)に取り外し可能に結合されていて、少なくとも1つの突部(14)を受容するための
少なくとも1つの凹部(12)を有することを特徴とする、請求項1から
13までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項16】
前記凹部(12)および前記少なくとも1つの突部(14)
が、回転を阻止できるように形成されていることを特徴とする、請求項
15に記載のシーリングスリーブ。
【請求項17】
少なくとも1つのロック装置が、少なくとも1つの戻り止め部材(9)に
結合された少なくとも1つのカバー(15)を有することを特徴とする、請求項1から
16までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項18】
少なくとも1つの突部(14)が、
カバー(15)に取り外し可能に結合されているか、または
カバー(15)に固定的に結合されていることを特徴とする、請求項
15を引用する請求項17に記載のシーリングスリーブ。
【請求項19】
少なくとも1つの突部(14)
が、前記カバーの領域内において、ウォブルリベットおよび/または直径に関して段差を付けた突部として
形成されており、前記直径が、前記内側のストリップの、前記戻り止め部材の、前記外側のストリップのおよび/または前記カバーの種々の開口径に相当していることを特徴とする、請求項
18に記載のシーリングスリーブ。
【請求項20】
少なくとも1つのカバー(15)が、前記周方向(20)に対して横向きに配置された
縁部領域において、前記ストリップ(3)の方向に曲げられていることを特徴とする、請求項
17から
19までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項21】
重なり合っている前記ストリップ端部(4、5)の内側に配置された少なくとも1つの
変形可能なカバー(15)が、前記周方向(20)に沿って縮小するように、および/または重なり合っている前記ストリップ端部(4、5)の外側に配置された少なくとも1つの
変形可能なカバー(15)が、前記周方向(20)に沿って拡大するように形成されていることを特徴とする、請求項
17から
20までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項22】
少なくとも1つのカバー(15)が、ばね弾性的に形成されていることを特徴とする、請求項
17から
21までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項23】
少なくとも1つのカバー(15)が、前記カバー(15)に関連付けられた前記スロット(7)を完全にまたは十分に覆うように形成されていることを特徴とする、請求項
17から
22までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項24】
少なくとも1つのカバー(15)が、ストリップ端部(4、5)に固定的に
結合されていることを特徴とする、請求項
17から
23までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項25】
少なくとも1つのスロット(7)は、
縁部領域において、ガイド部分のためのまたは戻り止め部材(9)のための受容領域(7a)を有し、前記受容領域(7a)は、歯を有しないことを特徴とする、請求項1から
24までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項26】
1つまたは複数のガイド要素が、一方のストリップ端部(4、5)の
縁部領域内
に、または
一方のストリップ端部(4、5)におけるスロット(7)の
領域
内に配置されていて、重なり領域において他方のストリップ端部(5、4)を受容しかつ案内するように形成されて
いることを特徴とする、請求項1から
25までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項27】
前記鋼板(3)が、複数のストリップセグメントから形成されて
いることを特徴とする、請求項1から
26までのいずれか1項に記載のシーリングスリーブ。
【請求項28】
請求項1から
27までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのシーリングスリーブ(1)を備え、かつシーリングスリーブ(1)と封止すべき前記配管システムとの間に挿入するためのゴムバンド(30)を備える、配管システムの内部シーリングのためのシステム。
【請求項29】
前記ゴムバンド(30)が、リングを形成していて
増大した材料厚を有する少なくとも1つの隆起部(31)および/または流体で充填可能な少なくとも1つの
チャンバ(32)を有することを特徴とする、請求項
28に記載の配管システムの内部シーリングのためのシステム。
【請求項30】
前記シーリングスリーブ(1)の前記ストリップ状の鋼板(3)が、前記ゴムバンド(30)を案内するための構成部分を有する、または前記ゴムバンド(30)が、前記シーリングスリーブ(1)を案内するための構成部分(33)を有しており、前記構成部分は前記ゴムバンド(30)が横方向にずれること
を防止することを特徴とする、請求項
28または
29に記載の配管システムの内部シーリングのためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管システム内の漏れを封止するために、例えば、下水道用として知られている、配管システム内に挿入するためのシーリングスリーブに関する。
【0002】
シーリング配管システムには、様々な技術が存在する。配管システムの内部からの封止、特に歩行可能な配管システムからの封止は、外側からの配管システムの封止と比較して区別される。その違いは多岐にわたっており、基本的な性質のものであるため、例えば、内側から封止するためのシステムは、外側から封止するために使用することができず、またその逆もできない。
【0003】
外側からジョイントの領域内の第1および第2のパイプにシーリングスリーブを押し付けるためのスリーブが、国際特許出願WO2013/127498A1により知られている。シーリングスリーブは、封止される領域の上に、特に隣接パイプ間の隙間の領域の上に配置され、外側からパイプ上に複数部材の金属製スリーブで押し付けられ、これによりシーリングスリーブが封止される。パイプを外部から封止するためのこのシステムの構造は、非常に複雑で操作が困難であることが明らかである。また、特に操作ミスが発生しやすい。
【0004】
封止される配管システムの2つの配管間の隙間の領域に導入するための流体密封ホースで内部から配管システムを封止するためのシステムが、欧州特許出願EP2603728A1により知られている。ホースには、流体をホースに導入するためのバルブを含む供給要素が備えられ、システムには、供給要素に接続され得る流体を搬送するためのポンプが備えられている。特に、システムはまた、金属製保護リングを含み、これは、保護リングが2つのパイプ端部の内側のホースとの隙間を覆い、それによって、ホースがそれを通過してスライドする物体(鋭利な縁部の角部を有し得る)によって閉塞または損傷されることを防止する方法で、本発明に従ったホースと共に設けられたパイプ隙間の領域の内側に配置される。これにより、配管システムを封止するために操作が容易である非常に確実なシステムが得られる。
【0005】
パイプ内部からのパイプ漏れを封止することが、ドイツ特許出願DE4401318A1により知られている。この目的のため、伸縮自在に弾性の耐食性鋼板で作製された特殊なシーリングリングを有して、共にらせん状に曲げられたラバーコーティングされたスリーブを使用し、それらは封止されるパイプ内に漏洩点まで挿入される。そこでは、それらはシーリングリングを共に押しながら、パイプの内壁に非常に強く押し付けられるまで、膨張可能なエアクッションまたは機械的な取り付け装置によって拡大される。歯列と噛み合うピニオンと、その歯に係合する弾性ロックボルトとを有するロック装置は、シーリングスリーブをその拡大位置に保持する。しかしながら、ここでのデメリットは、機械的操作の多くを排除する難しい操作と、非確実なシーリングである。
【0006】
極めて小さなロックステップを可能にするロック装置を有する修理対象の漏れパイプに挿入するための拡大可能な鋼板からなるシーリング内部スリーブが、欧州特許EP0805932B1により知られている。この目的のために、内部のストリップ端部に2つ歯列が設けられたスロットが設けられ、一方で、テンションピニオン、ガイドピニオン、およびロッキングピニオンが外側のストリップ端部に回転可能に取り付けられる。テンションばねは、ロッキングピニオンの回転軸を係合させ、ロッキングピニオンをガイドピニオンと係合させて保持し、それをテンションピニオンとガイドピニオンとの間の空間に押し込む。ロッキングピニオンがテンションばねの作用下でボルトとして機能する補助を受けて、拡大が行われた後、ロッキングボルトがテンションピニオンと係合した後、内部シーリングスリーブの張力がほぼ完全に保持され、これが漏れのシーリング効果を高くするための前提条件となる。この内部シーリングスリーブの拡大は、操作が非常に複雑で面倒であり、特に機械操作には不向きであることが明らかである。
【0007】
鋼板を含む漏れを封止するために配管システム内に挿入するためのシーリングスリーブであって、鋼板が共に環状に曲げられており、拡大することができ、その内側のストリップ端部と外側のストリップ端部とが周方向に重なっている、シーリングスリーブが、ドイツの実用新案DE202016104723U1により知られている。少なくとも1つのロック装置は、周方向に鋼板に配置され、かつ少なくとも1つの歯列を有する、スロットの形態で設けられており、前記ロック装置はまた、少なくとも1つの歯列を係合するために好適である少なくとも1つの戻り止め部材を有する。さらに、少なくとも1つの戻り止め部材は、複数のばね要素を備えるキャリアを有し、複数のばね要素は、伸縮自在に弾性であり、かつキャリアに対して弾性的に枢動可能であるように設計され、少なくとも1つの歯列を係合するために好適である。このシーリングスリーブは、操作が容易であるロック装置を有し、その戻り止め効果は、選択された材料およびばね要素の寸法に非常に特異的に依存する。
【0008】
本発明の目的は、配管システムにおける漏れを封止するために配管システム内に挿入するためのさらなるシーリングスリーブを特定することであり、特に隣接パイプの領域における配管システムの内部からの確実な封止を可能にする本発明によるそのようなシーリングスリーブで漏れを封止するための配管システムは、容易に操作され、機械的操作に適する。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する配管システムにおける漏れを封止するために配管システムに挿入するためのシーリングスリーブと、請求項29に記載の特徴を有する配管システムによって達成される。
【0010】
配管システムにおけるまたは配管システム自体の漏れを封止するために配管システムに挿入するためのシーリングスリーブの有利なさらなる展開は、従属請求項の主題にある。
【0011】
内部シーリングのために配管システムに挿入するための本発明によるシーリングスリーブは、鋼板で構成され、鋼板は、環状に曲げられており、拡大させることができ、そのストリップ端部は周方向に重なっている。それは、スロットの形態の少なくとも1つのロック装置を有し、スロットは、鋼板内に配置され、周方向に整列され、少なくとも1つの歯列および少なくとも1つの戻り止め部材を有する。本発明によれば、戻り止め部材は、少なくとも1つの歯列に係合するために形成されており、本発明によれば、少なくとも1つのガイド要素と、少なくとも1つの戻り止め要素と、ガイド要素と戻り止め要素との間に配置された少なくとも1つの付勢要素と、を有する、複数部材から成るものである。これは、ガイド要素と戻り止め要素との間の付勢力が、それが係合する歯列に関連して戻り止め部材の戻り止め作用を規定することが、本発明によって行われる。付勢状態および付勢力の度合いによって、戻り止め作用は変わる。ガイド要素は、本発明によれば、戻り止め要素上、したがって、戻り止め部材または戻り止め部材の戻り止め要素が係合し得る歯列方向への付勢力の確実かつ信頼性の高い案内を確保する。本発明による戻り止め部材および対応するシーリングスリーブは、単純な構造を有する。困難な条件下であっても信頼性の高い機能が実現され、さらに、ロボットまたは他の機械的装置による操作のオプションも提供される。これは、好ましくは、電動モータ押圧装置または油圧押圧装置を使用して達成される。
【0012】
追加の別個の弾性要素なしに本発明による組み込まれた戻り止め部材の構造は、これらの利点を特定の程度に可能にする。
【0013】
その内部シーリングのための配管システムに挿入するための本発明による好ましいシーリングスリーブは、周方向に内側のストリップ端部に配置され、かつ少なくとも1つの歯列を有する、スロットの形態の少なくとも1つのロック装置を有し、前記ロック装置はまた、外側のストリップ端部に接続された少なくとも1つの戻り止め部材を有する。戻り止め部材は、少なくとも1つの歯列に係合し、それによってシーリングスリーブの円形に曲げられた鋼板を固定するために好適である。本発明によるシーリングスリーブのロック装置のこの設計により、外側のストリップ端部がロック装置の領域内で平坦かつ連続的であることが可能となり、したがって、この領域において、特に半径方向に外側に隣接するゴムバンドに関連して、特に確実なシーリング効果を達成することができる。加えて、このようなロック装置を用いたこのシーリングスリーブの操作は、リングを形成するために閉じられた鋼板の内部領域から主に行われ得るため、特に単純であることが明らかである。これは、ロック装置が取り外し可能で開放可能なロック装置として設計される場合、特に有利である。
【0014】
その内部シーリングのための配管システムに挿入するための本発明による好ましい代替的なシーリングスリーブは、周方向に外側のストリップ端部に配置され、かつ少なくとも1つの歯列を有する、スロットの形態の少なくとも1つのロック装置を有し、前記ロック装置はまた、内側のストリップ端部に接続された少なくとも1つの戻り止め部材を有する。戻り止め部材は、少なくとも1つの歯列に係合し、それによってシーリングスリーブの円形に曲げられた鋼板を固定するために好適である。本発明によるシーリングスリーブのロック装置のこの設計により、内側のストリップ端部がロック装置の領域内で平坦かつ連続的であることが可能となり、したがって、この領域における損傷または誤った操作からロック装置を保護する。
【0015】
内部シーリングのために配管システムに挿入するための本発明によるさらなる代替的なシーリングスリーブは、鋼板で構成され、鋼板は、環状に曲げられており、拡大させることができ、そのストリップ端部は周方向に重なっている。それは、スロットの形態の少なくとも1つのロック装置を有し、スロットは、ストリップ状鋼板内に配置され、周方向に整列され、少なくとも1つの歯列および少なくとも1つの戻り止め部材を有する。内側のストリップ端部は、外側のストリップ端部と外側のストリップ端部に固定して接続されたカバー表面との間の溝内で案内される。カバー表面および/または外側のストリップ端部に配置され、かつ周方向に整列された1つ以上の歯列を有する、スロットにおいて、本発明による戻り止め部材は、特に浮動的に移動可能に取り付けられる。戻り止め部材は、ストリップ状鋼板の拡大程度、したがって本発明によるシーリングスリーブの周囲を規定する。これは、特に、戻り止め部材が、内側のストリップ端部の溝への貫通の程度を低減し、それによって拡大を引き起こすことによって達成される。この場合、1つ以上の付勢要素は、ばね弾性的であるように形成されていることが好ましく、一方で、戻り止め部材の他の部分は、本質的に剛性であることが好ましい。
【0016】
複数部材の戻り止め部材は、単純な構造を有する。困難な条件下であっても信頼性の高い機能が実現され、さらに、ロボットまたは他の機械構成部分による操作のオプションも提供される。これは、好ましくは、電動モータによる押圧構成部分または油圧による押圧構成部分を使用して達成される。追加の別個の弾性要素なしに本発明による組み込まれた戻り止め部材の構造は、これらの利点を特定の程度に可能にする。
【0017】
好ましくは、特に浮動的にスロット内に取り付けられる本発明によるシーリングスリーブの戻り止め部材は、特に、カバー表面上に配置されておよび/またはスロットとのストリップ端部のスロットの領域内に配置されて戻り止め部材(複数可)を空間的に画定する突出部によって、スロットからスライドするのを防止するための構成部分を備え、機械的操作をさらに改善する。
【0018】
本発明によるシーリングスリーブの好ましい展開によれば、ストリップ状鋼板は、互いに結合されて連続した鋼板全体を形成する複数のストリップセグメントから形成される。ストリップセグメントは、好ましくは、封止される配管システムにおける漏れの領域での組み立てまたはストリップ状鋼板の分解を可能とするような方法で、互いに取り外し可能に結合され、これは、封止される配管システムが大きな内径を有する場合に特に重要である。この好ましい展開は、特定の程度の操作、特に機械的操作を可能にする。取り外し可能な結合は、好ましくは、細長および溝結合として実装され、これは、ロック装置の細長および溝結合に特に均一に形成される。これにより、モジュール使用、特に個々のストリップセグメントの交換が可能になる。個々のストリップセグメントのヒンジ形式の、特に取り外し可能なヒンジ形式の結合もうまくいくことがわかる。
【0019】
本発明によるシーリングスリーブの周囲の単一の領域に単一のロック装置を提供する可能性に加えて、同じタイプのロック装置をいくつか、特に2つ提供することが特に有利であることが明らかとなっている。これらの2つのロック装置は、好ましくは、同じ戻り止め部材、同じスロット配向、同じスロット長、および好ましくは同じ歯列を有する。複数のロック装置の構成要素のこの設計は、一方で、特に本発明による非常に大きなシーリングスリーブ、すなわち、配管システムの大きな内径および/またはシーリングスリーブの大きな幅のための、数の増えた戻り止め結合の結果として非常に確実な戻り止め結合を確保し、他方では、重なったストリップ端部の不要な斜めロックがほとんど防止されるため、非常に良好なシーリング効果を確保する。この場合、特に複数のストリップセグメントを使用する場合、複数のロック装置を有する複数のそのような領域を提供することもできる。
【0020】
好ましくは、シーリングスリーブの戻り止め部材の少なくとも1つの付勢要素は、くさびおよび/またはばね要素として設計される。くさびの隙間への挿入の度合いに応じて、隙間幅およびしたがって、付勢力および結果的に、戻り止め作用を変化させることができ、その結果、所望のロック位置に達したときに有効なロックが達成される。代替的にまたは加えて、ばね要素を、隙間内に突出させて、ガイド要素に対してガイド要素を弾性的に移動させ、それによって付勢力、結果的に戻り止め作用を変化させ固定する付勢要素として提供することは有用であることが明らかとなっている。このタイプのばね要素を使用することによって、くさびを作動させるための機構を分配することができ、これは、戻り止め部材の構造を簡素化し、それによって感度を低くする。付勢要素としてのばね要素に関連して、歯列または戻り止め部材の歯は、好ましくは、歯のピッチまたは形状の選択がより困難になるか、または戻り止め部材が後ろに滑り込み、これによりスリーブを緩めるのを防止する一方で、緩みと比較してシーリングスリーブの拡大を簡単化するように設計される。
【0021】
付勢要素としてのばね要素の多くの異なる設計のうち、湾曲部の半径に応じて戻り止め要素に異なる付勢力を加える、または直線ばね要素として隙間内に斜めに配置され、横方向に偏向され、その横方向に偏向される程度に応じて戻り止め要素に異なる張力を加える、隙間内に単一の曲線ばね要素として配置されているものは、特に有用であることを明らかにしている。これらの好ましいばね要素は、特に、それらの単純な構造および所望の付勢(押圧)力範囲を規定する特定の可能性を通じてそれらに価値があることを明らかにしている。
【0022】
単一の隙間に単一の付勢要素を提供する可能性に加えて、ガイド要素と戻り止め要素との間の単一の隙間に複数の付勢要素を配置することが特に有用であることが明らかとなっている。これにより、特に高い付勢力、したがって特に有効な戻り止め作用を達成することができる。さらに、複数の付勢要素を単一の隙間に配置することによって、一方の側の付勢力によるガイド要素の案内において戻り止め要素が傾くリスクを防止し、それによって機能の信頼性を向上させることが可能である。特に、付勢要素を単一の隙間内で互いに明確に離間させ、特に隙間内で均一に分散させ、それによって付勢力の均一な作用を可能にすることが特に有用であることが明らかとなっている。好ましくは、操作、特に保守を容易にする類似の、特に等価の付勢要素が使用される。
【0023】
特に有利なシーリングスリーブは、U字型であり、少なくとも1つの戻り止め要素を取り囲む少なくとも1つのガイド要素を有する戻り止め部材を有する。この設計は、戻り止め要素がU字型ガイド要素の両脚によって横方向に案内され、したがって、付勢要素(複数可)によってそのU字部分からの方向に押し出され、それによって、そこに位置するスロットの歯列上に押し付けられ、これにより係合することを保証する。案内は、戻り止め要素の幅が2つの脚の間の距離よりもわずかに小さいように選択される場合、ならびに脚の間の距離が脚の長さにわたって一定またはほぼ一定であるように選択される場合、特に有利である。U字型ガイド要素の場合、付勢要素(複数可)は、好ましくはU字型ガイド要素の2つの脚の間のU字型ガイド要素の基部の隙間に配置され、これは、特に信頼性の高い機能を保証する。また、戻り止め部材の少なくとも1つの戻り止め要素をU字型に設計し、これにより少なくとも1つのガイド要素の移動を案内することが適切であることも明らかとなっている。
【0024】
上述のシーリングスリーブの実施形態とは代替的に、またはその実施形態に加えて、ガイド要素または戻り止め要素上に少なくとも1つの突出部を戻り止め部材に提供し、戻り止め要素またはガイド要素内の突出部に対応する凹部を係合させ、それを先導的に案内することも有用であることが明らかとなっている。本発明によれば、この案内は、ガイド要素に対して戻り止め要素が傾く、または横方向にシフトしすぎることを防止する。これにより、シーリングスリーブの動作信頼性が特に有効であることを保証する。
【0025】
特に好ましいシーリングスリーブは、スロットの1つの歯列に係合するために好適である、戻り止め部材の片側の周方向に1つ以上の戻り止め表面を有する。一方の側のみが係合し、他方の側がスロット内でスライドして案内されるため、一方の側のみに戻り止め表面を提供することは、戻り止め部材の移動を容易にする。このようにして、一方で操作を簡素化し、他方で戻り止め部材の複雑さを低減することが可能である。また、2つの歯列を有するスロット内の戻り止め部材を、一度左ロックの戻り止め部材として、および代替的に右ロックの戻り止め部材として使用することも可能であり、ユーザは、必要に応じて選択することができる。
【0026】
好ましくは、1つ以上の戻り止め表面は、例えば、摩擦面の様式における荒い表面によって、または、例えば、付勢力の作用下で戻り止め作用を有し、戻り止め部材、すなわちロック装置の周方向への移動の自由を制限する、戻り止め歯または戻り止めウェブの表面として周方向への角度にある表面によって形成することができる。戻り止め表面のサイズ、数および/または配向は、好ましくは、シーリングスリーブの拡大よりもシーリングスリーブの収縮を制限するような方法で選択される。これは、シーリングスリーブを、封止するパイプに固く締めて封止することは、収縮する(緩む)ことよりも制限が少ないことを意味する。その結果、シーリングスリーブを収縮させることよりも、シーリングスリーブを拡大させて固く締め付ける方が容易であり、これにより、望ましくない収縮(緩み)を防止し、それによって操作を簡素化することができる。
【0027】
係合するスロットの歯列の歯の間の距離と等しくまたはほぼ等しくなるように、戻り止め部材の片側の戻り止め歯または戻り止めウェブの自由端の間の距離を選択することが特に有用であることが明らかとなっている。これにより、戻り止め歯または戻り止めウェブの多くが、1つの歯列の歯の間の関連する空間(これらは歯列の歯と同じ距離を有する)の片側で係合することを保証し、これにより、特に確実な戻り止め結合を保証する。
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、戻り止め部材の長手方向軸に対して、または戻り止め部材の長手方向に延在する平面、特に中心平面に対して対称的に配置された戻り止め表面を有する。これらは、例えば、スロット内の種々の歯列と係合するために好適である。対称性は、数学的に対称的な意味で戻り止め表面の正確な位置決めを必要としない。この数学的に正確な位置決めからの偏差、例えば横方向オフセットによる偏差は、本発明の著しく劣った展開につながらない。戻り止め部材の2つの反対側の戻り止め表面の対称配置(対称性)は、例えば、スロットの2つの側の2つの歯列との戻り止め結合の様式で均一な固定を可能にし、これは、所望の確実な結合および容易な操作につながる。これは、戻り止め部材の両側の戻り止め結合の力補償につながり、これにより、特に戻り止め結合の確実性を促進し、特に、機械的操作の可能性を特定の程度で促進する。
【0029】
少なくとも1つの戻り止め部材は、好ましくは少なくとも1つのガイド部分を備え、これは、周方向に沿って戻り止め部材の残りの部分の前方または後方に配置される。ガイド部分は、戻り止め部材の残りの部分に固定して結合され、スロットの長手方向の、戻り止め部材の残りの部分の前方または後方で周方向にスロット内でスライドする。ガイド部分または好ましくは2つのガイド部分は、ガイド部材の所望のスライド方向を表す周方向からの横方向の傾きが制限されるように、スロット内の戻り止め部材を案内する。これは、ガイド部分の案内機能、特に戻り止め部材をスロット内に延長することによって可能となる。
【0030】
これは、1つ以上のガイド部分の幅が、自由幅、特にスロットの最小自由幅と等しいか、または好ましくはわずかに小さいように選択されることによって特に有利である。これにより、望ましくない傾きを特に小さく保つことができる。その結果、確実な封止と信頼性の高い操作が実現している。この操作は特に機械的な使用に適する。
【0031】
少なくとも1つの戻り止め部材が、ストリップの厚さより大きい、好ましくはストリップの厚さの数倍、特にストリップの厚さの3倍より大きい、特にストリップの厚さの5倍の範囲内の高さを有する場合、それにより、特に有利な方法で、異なる内径を有する異なる配管システムのための確実な封止を可能にするロック装置を提供することが可能である。本発明による戻り止め部材の高さの選択を通じて、所望の戻り止め効果が失われる、または実質的に弱まることなく、信頼の高い方法で、戻り止め部材の領域内の重なったストリップ端部間の取り得る異なった間隔を補うことが可能である。特に内側のパイプ径が小さい、またはストリップ端部の重なり領域が大きい場合、間隔が大きくなるリスク、特に、戻り止め部材の領域内のストリップ端部間の特に顕著に間隔が大きくなるリスクがある。これは、戻り止め部材からのストリップの歯の滑り落ちを引き起こし、これは、戻り止め効果の著しい劣化、またはその損失を引き起こし得る。このような間隔の悪影響は、戻り止め部材のこの好ましい設計によって制限されるか、または取り消される。
【0032】
これは、ロック装置が少なくとも1つのカバーを有する場合、特に、少なくとも1つの戻り止め部材に取り外し可能に結合されている場合に特に保証される。カバーは、戻り止め部材を超えて突出し、本発明によると、ロック装置と共に内側または外側のストリップ端部を押さえる。したがって、この内側または外側のストリップ端部は、外側または内側のストリップ端部とカバーとの間に固定され、それによって、戻り止め部材と少なくとも1つの歯列との間の戻り止め結合を確実かつ永続的に保証する。一方で、カバーは、ロック装置の構成要素、特に戻り止め部材および戻り止め部材が係合するスロットの望ましくない分離を阻止し、他方では、外側または内側のストリップ端部とカバーとの間の範囲を制限することは、信頼性の高い、特に歯列内の係合を保証する。この場合、カバーは、好ましくは、戻り止め部材(複数可)から横方向に突出するように隣接し、それによって、スロットの歯が戻り止め部材の戻り止め歯または戻り止めウェブの自由端からスライドすることを防止する。
【0033】
本発明による感度の低いシーリングスリーブにつながる、カバーを戻り止め部材に固定的に結合する可能性に加えて、カバーを戻り止め部材に取り外し可能に結合することも有用であることが明らかとなっている。これは、好ましくは、ねじ込みによって達成される。取り外し可能な結合は、カバーと戻り止め部材とを分離することを可能にし、その結果、内側または外側のストリップ端部がカバーと外側または内側のストリップ端部との間に固定されなくなり、したがって戻り止め部材と分離することができる。歯列の歯は、戻り止め部材の戻り止め歯または戻り止めウェブの自由端の間の空間からスライドすることができ、シーリングスリーブのストリップ状鋼板を再び収縮させることができ、これは、直径または円周の縮小につながる。この状態では、本発明によるシーリングスリーブを配管システムから取り外し、別のものに交換することができる。
【0034】
加えて、好ましいシーリングスリーブは、内側または外側のストリップ端部に固定的に結合された少なくとも1つの戻り止め部材を有する。特に、好ましくは固定的に結合されたカバーに関連して、堅牢で耐久性があり、低保守性のシーリングスリーブが作製され、これは、次いでストリップ端の重なりを減少させることによってそれを広げるために、収縮させた状態で漏れ時に封止すべき配管システムに導入され得る。
【0035】
これの代替として、戻り止め部材に少なくとも1つの突部、特にスロットなしの外側または内側のストリップ端部の少なくとも1つのピンを受容するための少なくとも1つの凹部を提供することも有用であることが明らかとなっている。これは、スロット内の少なくとも1つの戻り止め部材を、外側または側のストリップ端部に取り外し可能に結合する可能性を生じさせる。突部またはピンを戻り止め部材の凹部に挿入することによって、戻り止め部材は、必要に応じて、特により大きな戻り止め歯または戻り止めウェブについて異なる特性を有する別の戻り止め部材によって置き換えることができる。また、戻り止め部材がスロットなしの外側または内側のストリップ端部に対して、または突部またはピンに対して横方向に移動する可能性も生じる。これは、例えば製造における許容差を補償することができることを意味し、両方の戻り止め結合のためのバランスのとれた付勢力または戻り止め力を有する平衡位置の結果としての、対称に分布する戻り止め表面を有する戻り止め部材と、スロット内に対称的に配置された2つの歯列との場合に特に可能である。これは、特に確実な戻り止め結合につながり、したがって、本発明によるシーリングスリーブによって非常に信頼性の高い封止につながる。
【0036】
少なくとも1つの凹部および少なくとも1つの突部を、戻り止め部材がスロットなしで外側または内側のストリップ端部に回転不能に配置され得るように設計することが特に有利であることが明らかとなっている。回転に対する固定は、好ましくは、対応する凹部または突部が、突部が単一の配向でのみ対応する凹部に導入されることを可能にする形状を有することで達成される。代替的に、複数の凹部および突部を1つの配向でのみ接合することができるような方法で設計および/または配置することも有用であることが明らかとなっている。このように、特に機械的組み立ての場合、戻り止め部材の配向が誤っていることによる故障を回避し、それによって組み立て中の困難な条件下であってもシーリングスリーブの機能を保証することが可能である。
【0037】
シーリングスリーブの特に好ましい実施形態として、カバーを、戻り止め部材内の対応する凹部を通って突出する1つ以上の突部に結合することが有用であることが明らかとなっている。その結合は、特にねじ込みによって、または差し込みジョイント(バヨネット結合)もしくは戻り止め結合によって取り外し可能であり、または、特に溶接もしくははんだ付け、または接着もしくはリベットによって、固定され得る。この好ましいシーリングスリーブは、一方では、特にピン形状である少なくとも1つの突部の周囲の戻り止め部材の位置の柔軟な調整を可能にし、他方では、内側もしくは外側のストリップ端部またはカバーと外側もしくは内側のストリップ端部との間のスロットの移動の自由度が制限された結果として、確実な戻り止め結合を可能にする。カバーと突部との間の取り外し可能な結合は、単純な方法で配管システムからのシーリングスリーブの後続の取り外しを可能にする場合に好ましく選択される。これは特に、差し込みジョイントまたは戻り止め結合によって取り外し可能な結合の設計によって達成される。
【0038】
カバーの領域内の少なくとも1つの突部、特に少なくとも1つのピンを、ウォブルリベットとして設計することが特に有用であることが明らかとなっており、これは、カバーをウォブルリベットからもはや取り外すことができず、かつウォブルリベット工具によって広がったリベットヘッドがカバーの上にわずかにのみ突出するか、またはまったく突出しないように、ウォブルリベット工具によってカバーの側面で変形される。これは、ウォブルリベットを受容するためのカバーの凹部が、ウォブルリベット工具によって広がったヘッドが完全にまたはほぼ受容される外側縁部に面取り部を有する場合によりうまくいく。これにより、カバーの外側における損傷、特に製造されたリベットヘッドの外側の引き裂きをほぼ排除することができ、それによってこのシーリングスリーブの機能を保証することができる。
【0039】
代替的にまたは加えて、少なくとも1つの突部、特に少なくとも1つのピンを、直径に関して段差を付けた突部、特に直径に関して段差を付けたピンとして設計することが有用であることが明らかとなっている。内側のストリップの異なる開口径、外側のストリップの戻り止め部材、および/またはカバーの開口径が、それに応じて選択される。その結果、突部またはピンの横方向の案内に加えて、ストリップのまたはカバーのまたは戻り止め部材の軸方向案内を達成することが可能である。これにより故障のリスクが減少する。
【0040】
カバーは、好ましくは、周方向に対して横向きに配置された少なくとも1つの縁部領域に曲げられるような方法で設計される。曲がりは、カバーの縁部が外側または内側のストリップ端部の方向に向かうような方法で生じる。これにより台形断面が形成される。1つ以上の曲がり線は、好ましくは、それらが戻り止め部材の領域に配置されず、これにより、戻り止め部材の拡大の外側の周方向に平行に走るような方法で選択される。カバーの曲げ傾斜の結果として縮小される外側または内側のストリップ端部からの距離は、戻り止め部材の高さよりも小さく選択される。戻り止め部材の約半分の高さであるように選択されることが好ましい。このように、ロック装置の領域における内側または外側のストリップ端部を、ロック装置の機能が特定の程度に保証されるような方法で、その移動の自由度に関して制限し、および固定することが可能である。
【0041】
重なったストリップ端部の内側に配置された少なくとも1つのカバーが周方向に沿って縮小するように設計され、および/または重なったストリップ端部の外側に配置された少なくとも1つのカバーが周方向に沿って拡大するように設計されている場合、径方向に固定された内側または外側のストリップ端部の屈曲を小さくさせることが可能であり、本発明によるシーリングスリーブの構造にプラスの影響を及ぼし、信頼性の高いロックを可能にする。カバーの縁部は、好ましくは、特に封止される配管システムの内径に対応する半径を有する円のセグメントの輪郭を有する。その結果、封止状態であっても、カバーに対する内側のストリップ端部の均一かつ平坦な接触が容易になり、ストリップ状鋼板の望ましくない曲がりを低減する。
【0042】
カバーを変形可能、特に可塑的に変形可能に設計する可能性に加えて、少なくとも1つ、特に複数のカバーを弾性的にすることが特に有用であることが明らかとなっており、その結果、カバーは、鋼板と共に、封止すべき配管システムに弾性的に適応することができる。これにより、非常に丈夫なシーリングスリーブが得られる。スロットの領域内のカバーは、スロットを有するストリップ端部からスロットの上に持ち上がるように設計されていることが好ましく、その結果、スロット内の戻り止め部材と、カバーとスロットを有するストリップ端部との間に生じる空間とがスロットに沿ってスムーズにスライドすることを可能にする。これにより、カバーと戻り止め部材との摩擦を低減することができる。
【0043】
本発明によるシーリングスリーブの好ましい実施形態では、カバーのうちの少なくとも1つ、特に全ては、カバーと関連付けられるスロットを完全にまたはほぼ覆うように提供され、設計される。この重なりは、特にカバーが鋼板の外側に配置されている場合、有利には、配管システムを封止するための戻り止め部材またはスロットまたはシステムの他の構成要素、特に、任意選択で流体で充填され得るそのチャンバと共に鋼板の外側に配置されたゴムバンドを備えたロック装置への損傷を防止する。スロットが完全に覆われていれば、特に保護力は高い。この保護により、シーリングスリーブの操作も簡素化される。
【0044】
さらに、少なくとも1つのカバー、特に全てのカバーを、ストリップの一方の端部、特にカバーと関連付けられるスロットの領域内の外側のストリップ端部に固定的に結合し、特にスロットを囲むように結合することが特に有用であることが明らかとなっている。この結合は、好ましくは、接着、溶接、はんだ付け、リベットもしくはねじ込みによって、または差し込みジョイントもしくは戻り止め結合によって行われる。これらの結合は、カバーのストリップ端部への確実で部分的に取り外し可能な結合を確保し、その結果、スロットを囲む結合の場合、保護が特に顕著になる。
【0045】
特に好ましいシーリングスリーブは、少なくとも1つのスロットを有し、このスロットは、その端部領域内のガイド部分または戻り止め部材の一部の受容領域を有する。受容領域は、歯がないように設計される。これにより、特にスロット内の戻り止め部材の開始位置を提供することが可能となる。この開始位置において、本発明によるシーリングスリーブを移送し、配管システムに導入し、漏れ箇所へと持ち込むことができる。この開始位置では、戻り止め結合はまだ係合しておらず、これにより一定の柔軟な適応性が生じており、これは、係合することなく、必要に応じて幅を広げる、または狭くすることを可能にする。これは、本発明によるシーリングスリーブの準備操作、特に本発明によるシーリングスリーブの漏れ箇所への移送をかなり改善し、具体的には機械的操作を可能にする。漏れ箇所では、本発明によるシーリングスリーブが拡大され、その結果、戻り止め部材は受容領域を離れ、所望の封止効果が達成されるまで、少なくとも1つの歯列内の戻り止め表面と係合する。
【0046】
好ましいシーリングスリーブは、重なった領域内の1つ以上のストリップ端部の縁部領域内に1つ以上のガイド要素を有し、これは、それぞれの他のストリップ端部を受容および案内することができる。代替的にまたは加えて、ガイド要素はまた、スロットの領域内に配置され、スロットを通して突出し、スロット有をする他方のストリップ端部を収容し、案内することもできる。ガイド要素は、特に、他のストリップ端部の縁部を囲むような方法でクリップ形状に形成され、それによって、それを導き、案内することができる。その結果、案内された内側または外側のストリップ端部は、両方が好ましくは本質的に同じかつ一定の半径を有するような方法で、外側または内側のストリップ端部に沿って均等にスライドする。これは、特に、ガイド要素が、ガイドストリップ端部の詰まりの存在なしで、すなわち、ガイドストリップ端部の抵抗スライドの可能性なしで、ガイドストリップ端部の縁部を縁部領域またはスロットの領域内に密接して囲む場合である。ストリップ端部の重なりの領域内、すなわち戻り止め部材(複数可)の領域内の案内は、ロック装置の特に有効かつ規定された戻り止め結合、およびロック装置とのシーリングスリーブの操作を容易にすることを保証し、これは均一な調整力によって特徴付けられ、特に機械的操作の可能性を向上させる。
【0047】
配管システムを封止するための本発明によるシステムは、本発明による少なくとも1つのシーリングスリーブと、漏れの領域内において、シーリングスリーブと封止される配管システムとの間に挿入するための少なくとも1つのゴムバンドとを備える。ゴムバンドは、シーリングスリーブの環状鋼板の外側にあり、シーリングスリーブが拡大するにつれて拡大され、漏れの領域内において、封止すべき配管システムの内側に押し付けられる。この位置において、戻り止め結合は、戻り止め部材と歯列(複数可)との間で係合し、それによって永続的な封止を保証する。
【0048】
好ましくは、シーリングスリーブは、スロットおよび戻り止め要素を有するロック装置が内側のストリップ端部に配置されるように選択され、および/または外側のストリップ端部に配置される場合には、これは、スロットをほぼまたは完全に覆うカバーを備え、それによって、本発明によるロック装置によるゴムバンドへの損傷が回避されるか、またはこれに対するリスクが著しく低減される。
【0049】
ゴムバンド(複数可)は、ゴム弾性材料、好ましくはエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、天然ゴム(NR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、またはスチレンブタジエンゴム(SBR)で製作される。これにより、ゴムバンドの材料の特殊なゴム弾性特性が得られ、永続的な封止と容易な操作が保証される。
【0050】
配管システムの内部シーリングのための特に好ましいシステムでは、ゴムバンドは、特に縁部領域において、材料厚が増加した少なくとも1つの特に環状の隆起部および/または流体で充填され得る少なくとも1つの特に管状のチャンバを有するリングを形成する。隆起部(複数可)または管状のチャンバ(複数可)は、配管システムの内壁へのゴムバンドの縁部領域内の信頼性の高い、好ましくは環状の封止を保証することを可能にし、環状の封止は、本発明によるスリーブの補助を受けた封止の方法で内壁に押し付けられる。この圧力は、戻り止め結合の補助で永続的に保証される。
【0051】
ゴムバンドの両縁部領域における隆起部またはチャンバの好ましい提供の結果、ゴムバンドの中間領域は気密封止され、その結果、中間領域における漏れは、特に確実かつ信頼性の高い方法で封止される。管状のチャンバの提供の場合、チャンバを流体、特に液体で充填することができるような方法で、封止効果を支持的な方法で達成し、その充填は、チェックバルブの補助によって、望ましくない空の状態とならないよう確保される。充填は、好ましくは液体のみで行われるため、特に押すことによって特に高い信頼性で封止効果を達成する。
【0052】
加えて、シーリングスリーブのストリップ状鋼板に、ゴムバンドを案内するための構成部分を提供することが有用であることが明らかとなっており、これは、横方向の変位、特に、シーリングスリーブからのゴムバンドからのスライドを防止する。代替的にまたは追加的に、ゴムバンド上にシーリングスリーブを案内するための構成部分を提供することもまた有用であることが明らかとなっている。その結果、本発明によるシーリングスリーブとのゴムバンド(複数可)の空間的な位置関係が予め決定され、それにより、圧縮ゴムバンドの補助によって信頼性の高い封止が保証される。
【0053】
案内するための構成部分は、好ましくは、シーリングスリーブ上またはゴムバンドの縁部領域内の1つ以上の隆起部によって形成され、1つ以上の隆起部は、ゴムバンド上またはシーリングスリーブ上の対応する凹部に係合するか、または望ましくない量の横方向の変位またはスライドが防止されるような方法でそれらを横方向で囲む。
【0054】
様々な実施形態における本発明によるシステムおよび本発明によるシーリングスリーブは、特に使用が単純であり、改良された機械補助操作を可能にすることが明らかとなっている。加えて、本発明はまた、非常に信頼性の高い永続的な封止を保証する。
【0055】
本発明によるシステムおよび配管システムの内部シーリングのためのシーリングスリーブは、図面で選択され示される実施例を参照して以下でより詳細に説明される。
【0056】
本発明は、以下の図面に示される実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】側面からの例示的なシーリングスリーブの概略図である。
【
図2】カバーなしの例示的なシーリングスリーブの重なり領域の平面図である。
【
図3】例示的なシーリングスリーブの重なり領域の斜視図である。
【
図4】シーリングスリーブおよびゴムバンドを有する配管システムの内部シーリングのための例示的なシステムの断面である。
【0058】
本発明による、内部シーリングのために配管システムに挿入するためのシーリングスリーブ1は、環状に曲げられた鋼板3から構成されており、拡大可能であり、厚さは1~3ミリメートルであり、ストリップ端部4、5は、周方向20に沿って重なり合っている。シーリングスリーブ1は、外側のストリップ端部5に配置され、かつ周方向20に配向された、2つの歯列8を有するスロット7と、内側のストリップ端部4に結合された戻り止め部材9とから成る少なくとも1つのロック装置を有する。戻り止め部材9は、
図1には示されておらず、スロット7は、シースルー表示で示されている。
図2および
図3において、戻り止め部材9は、より詳細に示される。
【0059】
本発明によるシーリングスリーブ1は、環状のゴムバンド30によって囲まれ、収縮した状態、すなわち拡大されていない状態で、配管システムに導入され、漏れ箇所で位置決めされる。その後、ゴムバンド30およびシーリングスリーブ1からなるシステムは、シーリングスリーブ1が配管システムの内部に対してゴムバンド30でもって面接触して、この領域に位置する漏れ箇所を封止できるまで拡大される。ロック装置の作用により、シーリングスリーブ1のゴムバンド30による封止押さえをもたらす拡大状態の維持が保証される。
【0060】
図2は、シーリングスリーブ1の一部であり、ストリップ状鋼板3のストリップ端部4、5の重なり領域を示している。外側のストリップ端部5は、環状のストリップ状鋼板3の周方向20に延在するスロット7を有する。スロット7の2つの長手方向側縁に沿って2つの歯列8が配置されている。スロット7の両端部には、歯なしで形成された受容領域7aがあり、これは、戻り止め部材9を相応に受容することができる。
【0061】
図2は、戻り止め部材9が受容領域7aから離れて係合した状態を示し、戻り止め要素11の戻り止め歯がスロット7の歯列8に係合した状態を示す。
【0062】
戻り止め部材9は、U字型ガイド要素10からなるマルチパーツ構造(複数部材から成る構造)を有し、このガイド要素10の脚の間に戻り止め要素11が配置されている。戻り止め要素11は、U字型ガイド要素10の脚の間の距離よりもわずかに小さい幅を有する。ばね要素13として形成された付勢要素13は、U字型ガイド要素10の基部と戻り止め要素11との間の隙間に位置する。そのばね力の結果、このばね要素13は、U字型ガイド要素10の脚の間の領域から歯列8の方向に戻り止め要素11を押し出すように、戻り止め要素11に予め力を与えている。この力によって、シーリングスリーブ1のロック装置における戻り止め部材9の戻り止め作用が決定される。
【0063】
戻り止め要素11とU字型ガイド要素10とばね要素13とを有するガイド部材9は、本質的に均一な高さを有するプレート状構造を成している。これにより、戻り止め部材9の各構成要素とシーリングスリーブ1のロック装置との相互作用が向上する。
【0064】
U字型ガイド要素10は、いかなる戻り止め表面も有さず、一方で、戻り止め要素11は、歯列8に面した側に複数の戻り止め歯を有し、これらの戻り止め歯は戻り止め要素11の唯一の戻り止め表面を形成している。戻り止め要素11の戻り止め歯は、間隔および深さに関して、戻り止め部材9の戻り止め要素11が係合するスロット7の歯列8の凹部に一致している。
【0065】
これは、歯列8の各歯の間の空間内に、戻り止め要素11の全ての歯または複数の歯が同時に係合することを可能にする。これにより、特に確実な戻り止め結合が可能になる。
【0066】
一つの歯列8の歯の間の空間の2つの表面は、周方向20に対してそれぞれ異なる角度で傾斜している。周方向20に沿って前方に配置された表面は、周方向20に対して小さく斜めに配向(小角度)されており、他方の表面は、周方向20に対してより大きな角度を成し、すなわち、より大きく斜めに配向されている。その結果、シーリングスリーブ1を拡大する場合は、対応する戻り止め表面の傾斜が、シーリングスリーブ1を縮小させる場合の他方の戻り止め表面の傾斜よりも、小さくなっているために、シーリングスリーブ1は戻り止め部材9による抵抗が小さい状態で拡大されることになる。戻り止め表面の異なる傾斜によって、シーリングスリーブ1の拡大、つまりは封止を容易かつ確実に行うことができ、スロット7内の戻り止め部材9の関連するスライドバックを伴うシーリングスリーブ1の縮小は、より困難であるか、または全く阻止される。
【0067】
これらの異なる角度に傾斜された戻り止め歯および歯列8の異なる傾斜接触面は、周方向20での歯列8に沿った戻り止め部材9の戻り止めスライド(シーリングスリーブ1の拡大)を簡単にし、反対方向(シーリングスリーブ1の縮小)でのそれを困難にする。
【0068】
ガイド要素10と、戻り止め要素11と、ばね要素13として形成された付勢要素13とを有する戻り止め部材9は、鋼またはばね鋼で製作され、その結果、戻り止め部材9の機能が特に永続的に保証される。
【0069】
戻り止め部材9は、間隔を開けた2つの円筒状の凹部12を有する。凹部12は、内側のストリップ端部4に溶接されかつ内側のストリップ端部4の鋼板3から垂直に突出するピン14を受容する。ピン14の直径は、戻り止め部材9内の円筒状の凹部12の直径よりも小さくなるように選択される。その結果、戻り止め部材9は、ピン14の長手方向延在部に対して横方向に両方のピン14上で若干移動することができ、ひいては、スロット7内で、特にスロット7の長手方向に対して横方向に若干移動することができる。これにより、戻り止め結合部における誤差補償と応力補償が可能になる。
【0070】
図3からわかるように、ピン14は、内側のストリップ端部4から始まって、戻り止め部材9を越え、戻り止め部材9の上に配置されたカバー15に達するまで突出している。ガイド要素10と、戻り止め要素11と、付勢要素13とを有する戻り止め部材9の高さは、ストリップ状鋼板3の厚さの約3倍に相当している。これにより、
図1および
図3に示すように、外側のストリップ端部5が内側のストリップ端部4上に当接することなく、ストリップ端部4から離間していても、その離間距離が戻り止め部材9の高さよりも大きくない限りは、歯列8と戻り止め部材9の確実な戻り止め結合が保証される。
【0071】
図3に示すように、カバー15の提供により、外側のストリップ端部5が戻り止め部材9を備える内側のストリップ端部4から離れすぎないことが保証される。カバー15は、垂直方向/半径方向への内側のストリップ端部4の移動の自由度を制限し、それによって、戻り止め部材9とスロット7の歯列8との間の有利な戻り止め結合を保証する。
【0072】
図3に示すカバー15は2つのピン14に溶接されており、これにより、カバー15はピン14を介して外側のストリップ端部5に永続的に結合されている。カバー15の平坦な上面は、戻り止め部材9を横方向で越えている。カバー15は、2つの縁部領域16を有し、これらは周方向20に対して横向きに配置され、ストリップ端部4、5の方向に曲げられている。その曲がった部分は、内側のストリップ端部4が外側のストリップ端部5から離間することができる領域をさらに制限し、それによって、戻り止め結合の確実性をさらに増加させる。
【0073】
カバー15の縁部領域16の縁部ライン17は、円セグメントの輪郭を有し、その円の半径は、封止される配管システムの内径にほぼ相当する。これにより、カバー15を備えた戻り止め部材9の領域におけるストリップ状鋼板3の屈曲のリスクを大幅に低減することが可能となり、一方では、作用させるべき力がより均一かつ小さくなるため、ストリップ状鋼板3の損傷のリスクを防止し、他方では取り扱いを容易にすることができる。
【0074】
図4は、シーリングスリーブ1とゴムバンド30とを有する配管システムの内部シーリングのための、本発明による例示的なシステム2の断面である。シーリングスリーブ1の鋼板3には、半径方向でゴムバンド30が隣接しており、ゴムバンド30は、封止状態において、シーリングスリーブ1とは反対側の側面を、封止するべき配管システムの内面に密に押し付ける。
【0075】
ゴムバンド30は、シーリングスリーブ1の右側と左側に、環状の隆起部33を有しており、この環状の隆起部33は、シーリングスリーブ1を取り囲んでいて、ゴムバンド30がシーリングスリーブ1に対して横方向に滑り出ることを防止する。環状の隆起部33は、ゴムバンド30を案内するための構成部分33を形成する。これは、特にロボットを使用して、機械的に行うことができる困難な条件下での組み付けにとって非常に重要である。
【0076】
シーリングスリーブ1とは反対側のゴムバンド30の側面の左右の縁部領域に、それぞれ、シーリングスリーブ1を取り囲む、くさび状の断面を有する2つの環状の隆起部31が配置されている。これらの隆起部31は、配管システムにおける漏れ箇所の内壁に当接して、閉じたシーリングライン(シール線)を形成しており、このシーリングラインはまた、内壁の凹凸構造をも克服して封止(シーリング)を行う。さらに、隆起部31間のゴムバンド30の領域内に、それぞれ1つの環状のチャンバ32が設けられており、この環状のチャンバ32を、流体、特に水で充填することができる。充填されて膨張した状態では、ゴムバンド30のチャンバ32の付近の部分による環状の押圧が可能となり、したがって、特に確実な封止が可能となる。
【0077】
チャンバ32は、好ましくは、シーリングスリーブ1が拡大し、それに伴ってゴムバンド30が、封止すべき配管システムの内壁に押し付けられた後でのみ、流体、特に水で充填される。これにより、チャンバ32の充填に基づいて、押圧による追加の封止作用が生じる。チャンバ32を流体で充填することを可能にするために、ゴムバンド30内にチェックバルブを有する流体のための供給ラインが設けられる。供給ラインは、シーリングスリーブ1内の開口部を通って延在しており、これによって、本発明のシーリングスリーブ1によって封止するべき配管システムの内部からチャンバ32を充填することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 シーリングスリーブ
2 配管システムの内部シーリングのためのシステム
3 ストリップ、鋼板、鋼ストリップ
4 内側のストリップ端部
5 外側のストリップ端部
7 スロット
7a スロット受容領域
8 歯列
9 戻り止め部材
10 U字型ガイド要素
11 戻り止め要素
12 凹部
13 付勢要素、ばね要素
14 突部、ピン
15 カバー
16 カバーの傾斜縁部
17 カバーの縁部ライン
20 周方向
30 ゴムバンド
31 隆起部
32 環状のチャンバ
33 ゴムバンドを案内するための構成部分