(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】温度調節エレメントとセンサ配列
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20240207BHJP
H05B 3/26 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H05B3/20 346
H05B3/26
(21)【出願番号】P 2020568555
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2019070374
(87)【国際公開番号】W WO2020038687
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102018214108.8
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】グリュンヴァルト・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー・フランツ
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0084161(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015218876(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0017785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0210161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0176431(US,A1)
【文献】国際公開第2017/030351(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/047421(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0091714(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0314540(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0086710(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0252990(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0263082(US,A1)
【文献】上舘寛之,“ウェアラブルに使用されるMID技術について”,成形加工,日本,プラスチック成形加工学会,2016年,第28巻第1号,pp.12~17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
H05B 3/26
H05B 3/00
G03B 17/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺を把握するためのセンサ(10)を加熱するための、又は周辺を把握するためのセンサ(10)の少なくとも一つの部品を加熱するための、温度調節エレメント(1)であって、
前記温度調節エレメント(1)が三次元の合成樹脂部品(2)を
備え、
少なくとも一つの
蛇行状のメタライズされた構造(4)が合成樹脂部品(2)
に一体化されていて、かつ
メタライズされた構造(4)が、
レーザ直接構造化によって製造され、かつ加熱機能を担うように形成されている
ことを特徴とする、温度調節エレメント(1)。
【請求項2】
温度調節エレメント(1)が、中空体として形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の温度調節エレメント(1)。
【請求項3】
メタライズされた構造(4)を外部エレメントに接続して通電するための連結部位(6)を特徴とする
請求項1又は2に記載の温度調節エレメント(1)。
【請求項4】
温度調節エレメント(1)が、散乱光シェード(14)又はラドーム(16)として形成されていることを特徴とす
る請求項
1~3のうち何れか一項に記載の温度調節エレメント(1)。
【請求項5】
周辺を把握するためのセンサ(10)と
、請求項
1~4のうち何れか一項に記載の温度調節エレメント(1)とを有する周辺を把握するためのセンサ配列(8)。
【請求項6】
センサ(10)が、光学的装置、特に、カメラ又はレーダセンサ(18)であることを特徴とする請求項
5に記載のセンサ配列(8)。
【請求項7】
温度調節エレメント(1)が、センサ(10)を少なくとも部分的に囲む、好ましくは、取り囲むことを特徴とする請求項
5又は
6のうち何れか一項に記載のセンサ配列(8)。
【請求項8】
温度調節エレメント(1)とセンサ(10)が、直接隣接していることを特徴とする請求項
5~7のうち何れか一項に記載のセンサ配列(8)。
【請求項9】
温度調節エレメント(1)が、センサ(10)と形状が係合して接続されていることを特徴とする請求項
5~8のうち何れか一項に記載のセンサ配列(8)。
【請求項10】
温度調節エレメント(1)が、センサ(10)の検出領域内に配置されていることを特徴とする請求項
5~9のうち何れか一項に記載のセンサ配列(8)。
【請求項11】
自動車の周辺を把握するためのセンサ(10)、特に、光学的装置又はレーダセンサ、を加熱するための
請求項1~4のうち何れか一項に記載の温度調節エレメント(1)の使用。
【請求項12】
散乱光シェード(14)又はレーダセンサのラドーム(16)としての
、請求項1~4のうち何れか一項に記載の温度調節エレメント(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ用の温度調節エレメントとセンサ配列に関する。
【背景技術】
【0002】
部品の複雑さは、ますます増してきている。そして、部品には、ますます高性能が求められている。一方、部品の大きさは、より小さく、又は、一つの部品に可能な限り多くの機能を一体化する努力もなされている。これは、より多くの部品又はエレメントを、非常に狭い空間に設置することになり、熱を放出するのに十分な空間もなく、頻繁に、高い熱の発生又は大きな温度変化の原因となっている。したがって、全ての部品が正しく機能することができるように、部品固有の温度範囲に維持しなければならない。これは、熱放散又は加熱を実施するためのエレメントを一体化することによって保証することができる。
【0003】
先行技術から、周辺を把握するために、発熱体を備えるセンサを設けることが知られている。例えば、レンズチューブに加熱フィルムを設けることができる。フィルムは、その目的で、好ましくは、立方体に貼り付けられる。しかしながらその欠点は、加熱フィルムは、部品の輪郭に合わせるのが難しく、その結果、エレメント間に不十分な接続又は接触しか生じない。このため、十分且つ保証されたセンサの温度調節を得ることはできない。加えて、取付け及び電気的接続も非常に難しく、且つ、時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらに基づき、本発明の課題は、部品、特に、周辺を把握するためのセンサ類の確実な温度調節を、特に、可能な限り少ない構造的コストによって実現できる解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題は、独立請求項1のプレアンブルを出発点として、その特徴によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。また、センサ配列も従属請求項の対象である。
【0006】
第一アスペクトによれば、本発明は、周辺を把握するためのセンサ又はセンサの部品を加熱するための三次元の合成樹脂部品を有する温度調節エレメントに関するものであって、その際、合成樹脂部品内には、メタライズされた構造が設けられている又は一体化されており、メタライズされた構造が、加熱機能を担うように形成されている。特に、加熱機能は、メタライズされた構造が、通電されることによって得られる。
【0007】
この利点は、任意な形状及び実施形態でも簡単な方法によって製造できる温度調節エレメントを得ることができ、このことによって、温度変化に敏感な部品又は温度を調整する部品に最適な方法で合わせることができ、理想的な加熱又は冷却パフォーマンスを実現できることにある。したがって、部品又はセンサは、その特定の温度又は作動温度に確実に調整することができるため、その機能を保証することができる。更に、本発明による温度調節エレメントは、固定された形状の結合がないので、自由に利用可能な設置スペースに合わせることができ、部品に容易に一体化できる。この様に、設置スペースを全体的に最適化できる。
【0008】
基本的に本明細書では加熱(暖房)と記載しているが、これは、センサ又は部品を加熱又は暖房できるという意味においてのみ理解されるものでは無い。基本的には、本発明による温度調節エレメントが、センサ又は部品を冷却することも考えられる。全体として、本発明による温度調節エレメントは、センサを、所定の又は有利な作動温度に維持する、又は、その温度に到達させる役割を担っている。これは、特に、メタライズされた構造によって実現される。
【0009】
理想的には、自動車の周辺を把握するためのセンサ、又は、自動車の周辺を把握するためのセンサの少なくとも一つの部品が、温度調節エレメントによって、加熱又は冷却される。センサが可能な限り最良の方法で周辺を把握できるようにするために、センサは、多くの場合、車両外部に配置され、従って、様々な環境影響に曝されている。特にカメラにとっては、良好な視界は、重要である。そのためには、レンズが曇っていたり、濡れていたりせず、凍っていないことも保証されなければならない。
【0010】
しかし、温度調節エレメントは、センサの周囲に配置されている部品を加熱するのに適するように形成されていても良い。特に、部品は、温度調節エレメントによって温度変化を受ける。部品は、ガラス、好ましくは、フロントガラスでもよい。温度調節エレメントは、特に、ガラスを曇らせない役割を担っている。有利には、ここでは、部品が、センサの検出領域内に配置されている。本発明の目的では、検出領域は、特に、センサによって周辺を把握する場合アクティブである領域を意味すると理解される。したがって、特に、センサが周辺を把握する領域でもある。特に、レーダセンサの場合は、センサが、信号を受信する又は送信する領域を意味する。カメラ又は光学的な装置の場合、領域は、露光に必要な電磁線が、通過する領域を意味する。
【0011】
合成樹脂部品は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は、エラストマのいずれであってもよい。合成樹脂部品は、好ましくは、射出成形された部品であってもよい。射出成形によれば、非常に高い品質又は表面特性を備えた、様々な形状及び形態の三次元部品を容易且つ安価に、実現することが可能である。
【0012】
メタライズされた構造は、基本的に、定まった形態に限定されない。前記メタライズされた構造が、加熱機能を得る様に形成されていることが重要である。特に、それぞれの用途、すなわち、基本的に、必要とされる加熱機能に合わせられる。これは、特に、その幅、断面及び/又は長さ、並びに、金属皮膜の組成を合わせることによって行われる。基本的に、加熱能力は、メタライズされた構造を大きくする、又は、合成樹脂部品のメタライズされた構造の面積を最大化することによって高めることができる。
【0013】
好ましくは、メタライズされた構造は、基本的に、ライン状に形成されている。好ましくは、メタライズされた構造のライン幅は、約100から200μm、特に約150μmである。
【0014】
好適には、メタライズされた構造は、蛇行状に形成されている、又は、少なくとも部分的に合成樹脂部品にわたって蛇行して延在している。蛇行状の形態とすることにより、特に長い回路を作製でき、従って、良好な加熱性能を達成することができる。
【0015】
メタライズされた構造が、基本的に、合成樹脂部品全体にわたって延在することが有利である。メタライズされた構造は、好ましくは、合成樹脂部品にわたって均一に延在している。これは、均一な加熱性能を達成するために有利である。しかし、メタライズされた構造を、合成樹脂部品に部分的にのみ、即ち、特に特別な温度調節を必要とするセンサ又はセンサの一部に隣接する領域に一体化されることも考え得る。更に、合成樹脂部品に一体化されたメタライズされた構造は、合成樹脂部品の異なる領域で、異なる方法で、形成又は成形することができる。これにより、部分的にさまざまな加熱機能を作製できる。例えば、メタライズされた構造は、基本的には、蛇行状の形態を有するが、一部の領域において、メタライズされた構造の幅が少なくとも部分的に互いに異なる、又は、隣接する構造の間の幅が異なることも考え得る。例えば、幾つかの領域において、隣接するメタライズされた構造が違いに非常に近くなるが、他の領域では、互いに離れている。
【0016】
特に、ライン幅及び隣接するメタライズされた領域の間隔は、基本的に互いに対応することができる。
【0017】
メタライズされた構造は、例えば、少なくとも部分的に、銅、ニッケル、又は、金から形成することができる。メタライズされた構造は、様々な材料の混合物から形成することもでき、それにより、必要な加熱能力又は加熱機能に適応できる比抵抗を設定することができる。したがって、幾何学的なデザインに応じて、材料を選択することによって、加熱機能又は加熱能力を調整できる。
【0018】
合成樹脂部品は、加熱機能又は加熱出力にも寄与できる様に形成されていることが、有利である。これは、特に、適切な合成樹脂を選択することによって、又は、特に高い熱伝導率を有する適切なフィラー又は添加剤を選択することによって達成できる。
【0019】
好ましくは、メタライズされた構造は、レーザ構造化、特に、レーザ直接構造化によって製造されている。好ましくは添加剤を含む合成樹脂部品が製造された後、メタライズされた構造が設けられる領域に、レーザ光線が、照射される。照射により、添加されている添加剤が、活性化される。続いて、金属浴、例えば、銅浴に浸漬され、これにより、メタライズされた構造が、シャープな輪郭で形成される。そして順々に、様々な層を形成でき、各々の用途に合った構造を形成することができる。
【0020】
好ましくは、温度調節エレメントは、中空体として形成されている。特に、好ましくは、温度調節エレメントは、基本的にリング状、及び/又は、スリーブ状に形成されている。ここでの利点は、この様な実施形態により、温度調節エレメントが、温度が制御されるべきセンサを少なくとも部分的に囲み、従って、非常に良好な温度制御が可能になることである。
【0021】
好ましい一実施形態では、温度調節エレメントは、通電するために、メタライズされた構造を外部のエレメントに接続するための少なくとも一つの連結部位又は少なくとも一つの連結エレメントを有している。特に好ましくは、温度調節エレメントは、メタライズされた接続面を備え、特に、バネ接点によって、この接触面に通電することができる。
【0022】
一実施形態では、温度調節エレメントは、レーダセンサのラドームとして形成することができる。これにより、複数の機能が一つの部品に一体化され、これは、必要な設置スペースに対してプラスの効果をもたらす。
【0023】
更に、温度調節エレメントは、散乱光シェードとして形成することもできる。
【0024】
第二のアスペクトによれば、本発明は、周辺を把握するためのセンサと本発明による温度調節エレメントを有する周辺を把握するためのセンサ配列に関する。
【0025】
ここにおける利点は、センサ又はセンサの部品にとって最適な温度を得ることができ、それによって、センサの信頼できる作動を全体として保証できることである。
【0026】
センサは、特に、車両周辺部を把握するために使用され、かつ、特に、ドライバーアシストシステム及び自律的に作動するシステム用にデータや情報を供給する。特にこの様なケースでは、センサが、確実に機能し、その周辺部を正しく把握することが非常に重要である。センサは、複数の部品から構成してもよい。
【0027】
好ましくは、センサは、光学的装置、特に、レンズモジュール、又は、カメラである。カメラは、例えば、モノカメラであっても、ステレオカメラであっても良い。カメラは、フロント、サイド、と同じく、リア又はバック走行用カメラとして形成されていても良い。
【0028】
特に、好ましくは、カメラは、サラウンドビューシステムのカメラである。サラウンドビューシステムのカメラは、通常、自動車の外部に配置されており、従って、様々な環境条件に曝されている。しかし、カメラは、ミラー交換システムのカメラであってもよい。
【0029】
センサは、レーダセンサであっても良い。レーダセンサは、例えば、シグナルを送信及び/又は受信するためのレーダセンサエレメント及びラドームを備えてもよい。
【0030】
好ましい一実施形態では、温度調節エレメントは、センサ又はセンサの部品を少なくとも部分的に囲む、又はセンサ若しくはセンサの部品を少なくとも部分的に取り囲む。
【0031】
好ましくは、温度調節エレメント、及びセンサ又はセンサの少なくとも一つの部品は、互いに直接配置されている又は互いに直接隣接している。これは、温度調節エレメント、及びセンサ又はセンサの部品が、接触する又は接続すると解釈できる。接触又は接続は、特に、少なくとも温度調節エレメントのメタライズされた構造の領域にある。これにより、最適な加熱機能が達成される。
【0032】
有利な一実施形態では、温度調節エレメントは、センサ又はセンサの少なくとも一つの部品を囲んでいる。温度調節エレメントは、ここでは、例えば、中空体、特に、中空シリンダ又はリング状のエレメントとして形成することができる。温度調節エレメントは、ここでは、基本的には、スリーブの一種とみなすことができる。
【0033】
好ましい一実施形態では、温度調節エレメントは、センサ又はセンサの少なくとも一つの部品と形状が係合して接続されている。
【0034】
温度調節エレメントは、センサの部品として、特に、ラドームとして形成されていることも可能である。
【0035】
センサ配列の好ましい一実施形態では、温度調節エレメントを、センサの検出領域内に配置することできる。
【0036】
基本的に、温度調節エレメントは、自動車の周辺を把握するためのセンサを加熱するため、若しくは、センサの少なくとも一つの部品を加熱するために使用することができ、又はセンサの直接的な検出領域内にある別の部品を加熱するために使用することができる。
【0037】
温度調節エレメントが散乱光シェードとして使用されることも考えられる。更に、温度調節エレメントをラドームとして使用することも考えられる。
【0038】
本発明の更なる好ましい実施形態は、図面によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
一実施形態における一つの温度調節エレメントの
複数視点
での
概略図を示す。
【
図2】
一実施形態における金属化されたストラクチャの
概略図を示す。
【
図3】
一実施形態におけるセンサ配列の
概略図を示す。
【
図4】更なる
一実施形態における一つの温度調節エレメントの
概略図を示す。
【
図5】更に他の
一実施形態における一つの温度調節エレメントの
概略図を示す。
【
図6】更なる
一実施形態におけるセンサ配列の
概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、
一実施形態における一つの温度調節エレメント1の
複数視点
での
概略図を示してい
て、
その際、具体的には、左上は、一つの温度調節エレメント1の側面図、左下は、一つの温度調節エレメント1の上
面図、中央は、一つの温度調節エレメントの樹脂製部品2の一部を除く側面(断面)図であり、右は、一つの温度調節エレメント1の三次元描写である。
【0041】
本発明による温度調節エレメント1は、三次元の合成樹脂部品2を備え、その際、合成樹脂部品2内には、少なくとも一つのメタライズされた構造4が一体化されている。メタライズされた構造4は、通電できる様に形成され、これにより、加熱機能を担う。
【0042】
合成樹脂部品2は、好ましくは、射出成形部品であり、その際、合成樹脂は、熱可塑性であっても、熱硬化性樹脂であっても、エラストマのいずれであってもよい。
【0043】
メタライズされた構造4は、蛇行状に形成され、実質的に合成樹脂部品2の全体、又は、合成樹脂部品2の側面全体にわたって延びている。合成樹脂部品2の側面の小さな領域のみが、メタライズされた構造4を、有していない。これにより、特に優れた加熱性能を達成できる。
【0044】
メタライズされた構造4のライン幅は、好ましくは、約150μmである。メタライズされた構造4は、少なくとも部分的に、銅、ニッケル、又は、金より形成することができる。
【0045】
好ましくは、温度調節エレメント1は、中空体として形成されている。これには、温度制御されるべきセンサを囲むことで、非常に良好な熱伝導ができるという利点がある。
【0046】
さらに、図1に示されている温度調節エレメント1は、更に、
メタライズされた
構造4
を外部エレメント
に接続
して通電するための
連結部位6
を備える。
【0047】
好ましくは、温度調節エレメント1は、自動車の周辺を把握するためのセンサ10、又は、周辺を把握するためのセンサ10の一つの部品を加熱するために使用される。
【0048】
図2は、
一実施形態における
メタライズされた
構造4の
概略図を示
す。ここでは、
特に、メタライズされた
構造4の蛇行している形態
又はその一様な推移を見て取ることができる。更に、
連結部位6も示されている。これは、好ましくは、フックエレメント
又はクリップエレメントとして実施されている。これにより、外部エレメントととの接続を
特に良好且つ確実なものにすることができる。
【0049】
図3は、
一実施形態におけるセンサ配列8の
概略図を示
す。センサ配列8は、本発明に
よる温度調節エレメント1とセンサ10
とから構成さ
れる。
図3に示されているセンサ10は、レンズチューブ12を
備えるレンズモジュールである。
【0050】
温度調節エレメント1は、中空体として形成されており、センサ10の少なくとも一部、特に、一つの部品、即ち、レンズチューブ12を囲む。温度調節エレメント1は、センサ又はレンズチューブ12にとっては、スリーブの様なものである。温度調節エレメント1及びセンサ10は、互いに直接隣接している。これらは、形状的に接続されている。これにより、特に良好な熱伝導を保障することができる。
【0051】
図4は
、更なる
一実施形態における温度調節エレメント1の
概略図を示してい
て、
その際、温度調節エレメント1は、散乱光シェード14として形成されている。
【0052】
図5は
、更に他の
一実施形態における温度調節エレメント1の
概略図を示している
。図5に示されている温度調節エレメント1は、レーダセンサのラドーム16として形成されている。
【0053】
図6は
、更なる
一実施形態におけるセンサ配列8の
概略図を示している
。センサ配列8は、温度調節エレメント1、並びに、少なくともレーダセン
サユニット20とラドーム16
とを有するレーダセンサ18を
備える
。温度調節エレメント1は、レーダセンサ18の部品、即ち、ラドーム16として形成されている。ラドーム16内には、
メタライズされた
構造4が形成されている。
【0054】
更に、
図6には、検出領域が、
概略的に示されている(破線の間の領域を参照)。本質的には、この領域を貫通して、レーダセンサエレメント20により、
信号が送信
又は受信される。
【0055】
本発明は、上記実施例によって説明した。しかしながら、特許請求項に定義されている請求範囲を逸脱することなく、数多くの変更やヴァリエーションが可能であることを理解されたい。様々な実施例の組み合わせも可能である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
周辺を把握するためのセンサ(10)を加熱するための、又は周辺を把握するためのセンサ(10)の少なくとも一つの部品を加熱するための、温度調節エレメント(1)であって、
三次元の合成樹脂部品(2)を特徴とし、
少なくとも一つのメタライズされた構造(4)が合成樹脂部品(2)に、設けられている又は一体化されていて、かつ
メタライズされた構造(4)が、加熱機能を担うように形成されている
ことを特徴とする、温度調節エレメント(1)。
2.
メタライズされた構造(4)が、レーザ構造化、特に、レーザ直接構造化によって製造されることを特徴とする上記1に記載の温度調節エレメント(1)。
3.
温度調節エレメント(1)が、中空体として形成されていることを特徴とする上記1又は2のうち何れか一つに記載の温度調節エレメント(1)。
4.
メタライズされた構造(4)を外部エレメントに接続して通電するための連結部位(6)を特徴とする上記のうち何れか一つに記載の温度調節エレメント(1)。
5.
温度調節エレメント(1)が、散乱光シェード(14)又はラドーム(16)として形成されていることを特徴とする上記のうち何れか一つに記載の温度調節エレメント(1)。
6.
周辺を把握するためのセンサ(10)と、上記のうち何れか一つに記載の温度調節エレメント(1)とを有する周辺を把握するためのセンサ配列(8)。
7.
センサ(10)が、光学的装置、特に、カメラ又はレーダセンサ(18)であることを特徴とする上記6に記載のセンサ配列(8)。
8.
温度調節エレメント(1)が、センサ(10)を少なくとも部分的に囲む、好ましくは、取り囲むことを特徴とする上記6又は7のうち何れか一つに記載のセンサ配列(8)。
9.
温度調節エレメント(1)とセンサ(10)が、直接隣接していることを特徴とする上記6から8のうち何れか一つに記載のセンサ配列(8)。
10.
温度調節エレメント(1)が、センサ(10)と形状が係合して接続されていることを特徴とする上記6から9のうち何れか一つに記載のセンサ配列(8)。
11.
温度調節エレメント(1)が、センサ(10)の検出領域内に配置されていることを特徴とする上記6から10のうち何れか一つに記載のセンサ配列(8)。
12.
自動車の周辺を把握するためのセンサ(10)、特に、光学的装置又はレーダセンサを加熱するための温度調節エレメント(1)の使用。
13.
散乱光シェード(14)又はレーダセンサのラドーム(16)としての温度調節エレメント(1)の使用。
【符号の説明】
【0056】
1 温度調節エレメント
2 合成樹脂部品
4 メタライズされた構造
6 連結部位
8 センサ配列
10 光学的手段
12 レンズチューブ
14 散乱光シェード
16 ラドーム
18 レーダセンサ
20 レーダセンサエレメント