IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー イノテック カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-熱電素子 図1
  • 特許-熱電素子 図2
  • 特許-熱電素子 図3
  • 特許-熱電素子 図4
  • 特許-熱電素子 図5
  • 特許-熱電素子 図6
  • 特許-熱電素子 図7
  • 特許-熱電素子 図8
  • 特許-熱電素子 図9
  • 特許-熱電素子 図10
  • 特許-熱電素子 図11
  • 特許-熱電素子 図12
  • 特許-熱電素子 図13
  • 特許-熱電素子 図14
  • 特許-熱電素子 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】熱電素子
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/17 20230101AFI20240207BHJP
   H10N 10/813 20230101ALI20240207BHJP
【FI】
H10N10/17 A
H10N10/813
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020570776
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 KR2019006826
(87)【国際公開番号】W WO2020004827
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0073413
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】イ,セウン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヨンサム
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンファン
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0056370(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0110411(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0110804(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0064336(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0076358(KR,A)
【文献】特開2016-225346(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081663(US,A1)
【文献】特開2010-109132(JP,A)
【文献】特開2010-199571(JP,A)
【文献】特開2007-110082(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161174(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0209139(US,A1)
【文献】特開2008-305987(JP,A)
【文献】特開2015-012236(JP,A)
【文献】特開2006-234362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0220164(US,A1)
【文献】特開2015-130456(JP,A)
【文献】特開2013-026617(JP,A)
【文献】特開2003-046147(JP,A)
【文献】特開2018-032685(JP,A)
【文献】特開2006-332398(JP,A)
【文献】特開2006-303320(JP,A)
【文献】特開2006-066431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/17
H10N 10/813
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属基板、
前記第1金属基板上に配置され、前記第1金属基板と直接接触する第1樹脂層、
前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、
前記複数の第1電極上に配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ、
前記複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極、
前記複数の第2電極上に配置される第2樹脂層、及び
前記第2樹脂層上に配置され、前記第2樹脂層と直接接触する第2金属基板を含み、
前記第1金属基板および前記第1樹脂層は低温部であり、前記第2金属基板および前記第2樹脂層は高温部であり、
前記第1樹脂層と前記複数の第1電極間の接合強度は前記第2樹脂層と前記複数の第2電極間の接合強度より高い、熱電素子
【請求項2】
前記第1樹脂層と前記複数の第1電極の間は接着された状態であり、前記第2樹脂層と前記複数の第2電極間は接触した状態である、請求項に記載の熱電素子。
【請求項3】
前記第1金属基板と前記第2金属基板は互いに固定された、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項4】
前記第1金属基板と前記第2金属基板はスクリューによって固定された、請求項に記載の熱電素子。
【請求項5】
前記第2樹脂層には複数の溝が形成され、
前記複数の第2電極の両面のうち前記第2樹脂層と接触する面および前記複数の第2電極の側面の一部は前記複数の溝内に収容された、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項6】
前記複数の溝それぞれの幅は前記複数の第2電極の両面のうち前記第2樹脂層と接触する面それぞれの幅より大きい、請求項に記載の熱電素子。
【請求項7】
前記複数の溝それぞれの幅は、前記複数の第2電極のそれぞれの両面のうち前記第2樹脂層と接触する面の幅の1.01倍~1.2倍である、請求項に記載の熱電素子。
【請求項8】
前記複数の溝それぞれの壁面は、前記複数の第2電極のそれぞれの側面から離隔している、請求項に記載の熱電素子。
【請求項9】
前記複数の第1電極の側面の一部は前記第1樹脂層内に埋め立てられ、
前記複数の第2電極の側面の一部は前記第2樹脂層内に埋め立てられ、
前記第2樹脂層内に埋め立てられた前記複数の第2電極の側面の高さは前記第1樹脂層内に埋め立てられた前記第1電極の側面の高さより小さい、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項10】
前記第2樹脂層内に埋め立てられた前記複数の第2電極の側面の高さは、前記第1樹脂層内に埋め立てられた前記第1電極の側面の高さの0.01倍~0.5倍である、請求項に記載の熱電素子。
【請求項11】
前記複数の第2電極の少なくとも1つと前記第2樹脂層の間に空気層が形成されている、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項12】
前記複数の第1電極の少なくとも1つの断面の形状は、前記複数の第2電極の少なくとも1つの断面の形状と異なる、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項13】
前記複数の第1電極の少なくとも1つにおける前記第1樹脂層と向かい合う第1面の幅は、前記第1面と反対の第2面の幅と異なる、請求項12に記載の熱電素子。
【請求項14】
前記第1面の幅は前記第2面の幅の0.8~0.95倍である、請求項13に記載の熱電素子。
【請求項15】
前記複数の第1電極の少なくとも1つにおける前記第1樹脂層と向かい合う第1面と、前記第1面と反対の第2面の間の側面は、所定の曲率を有する曲面を含む、請求項12に記載の熱電素子。
【請求項16】
前記第1金属基板の両面のうち前記第1樹脂層が配置される面の上に表面粗さが形成される、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項17】
前記第1金属基板と前記第1樹脂層の間に配置される接着層を更に含む、請求項1に記載の熱電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱電素子に関し、より詳細には熱電素子の組立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電現象は材料内部の電子(electron)と正孔(hole)の移動によって発生する現象であって、熱と電気間の直接的なエネルギーの変換を意味する。
【0003】
熱電素子は熱電現象を利用する素子を総称し、P型熱電材料とN型熱電材料を金属電極の間に接合させてPN接合対を形成する構造を有する。
【0004】
熱電素子は電気抵抗の温度変化を利用する素子、温度差によって起電力が発生する現象であるゼーベック効果を利用する素子、電流による吸熱または発熱が発生する現象であるペルティエ効果を利用する素子などに区分され得る。熱電素子は家電製品、電子部品、通信用部品などに多様に適用されている。例えば、熱電素子は冷却用装置、温熱用装置、発電用装置などに適用され得る。これに伴い、熱電素子の熱電性能に対する要求はますます高まっている。
【0005】
熱電素子は基板、電極および熱電レッグを含み、上部基板と下部基板の間に複数の熱電レッグがアレイの形態で配置され、複数の熱電レッグと上部基板の間に複数の上部電極が配置され、複数の熱電レッグと下部基板の間に複数の下部電極が配置される。この時、上部基板と下部基板のうち一つは低温部となり、残りの一つは高温部となり得る。熱電素子が発電用装置に適用される場合、低温部と高温部間の温度差が大きいほど発電性能が高くなる。これに伴い、高温部は200℃以上に温度が上昇し得る。高温部の温度が200℃以上になると、高温部側の基板と電極間の熱膨張係数の差によって電極構造が破壊され得る。これに伴い、電極上に配置されたソルダーと熱電レッグ間の接合面にクラックが発生し得、これは熱電素子の信頼性を失墜させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が達成しようとする技術的課題は熱電素子の組立構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係る熱電素子は、第1金属基板、前記第1金属基板上に配置され、前記第1金属基板と直接接触する第1樹脂層、前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、前記複数の第1電極上に配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ、前記複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極、前記複数の第2電極上に配置される第2樹脂層、そして前記第2樹脂層上に配置され、前記第2樹脂層と直接接触する第2金属基板を含み、前記第1樹脂層と前記複数の第1電極間の接合強度は前記第2樹脂層と前記複数の第2電極間の接合強度と異なる。
【0008】
前記第1金属基板および前記第1樹脂層は低温部であり、前記第2金属基板および前記第2樹脂層は高温部であり、前記第1樹脂層と前記複数の第1電極間の接合強度は前記第2樹脂層と前記複数の第2電極間の接合強度より高くてもよい。
【0009】
前記第1樹脂層と前記複数の第1電極の間の接合強度は前記第2樹脂層と前記複数の第2電極の間の接合強度の5倍以上であり得る。
【0010】
前記第2樹脂層と前記複数の第2電極の間の接合強度は3kgf/7.8625mm以下であり得る。
【0011】
前記第1樹脂層と前記複数の第1電極の間の接合強度は20kgf/7.8625mm以上であり得る。
【0012】
前記第1樹脂層と前記複数の第1電極の間は接着された状態であり、前記第2樹脂層と前記複数の第2電極間は接触した状態であり得る。
【0013】
前記第1金属基板と前記第2金属基板は互いに固定され得る。
【0014】
前記第1金属基板と前記第2金属基板はスクリューによって固定され得る。
【0015】
前記第2樹脂層には複数の溝が形成され、前記複数の第2電極の両面のうち前記第2樹脂層と接触する面および前記複数の第2電極の側面の一部は前記複数の溝内に収容され得る。
【0016】
前記複数の溝それぞれの幅は前記複数の第2電極の両面のうち前記第2樹脂層と接触する面それぞれの幅より大きくてもよい。
【0017】
前記複数の第1電極の側面の一部は前記第1樹脂層内に埋め立てられ得る。
【0018】
前記複数の第2電極の側面の一部は前記第2樹脂層内に埋め立てられ、前記第2樹脂層内に埋め立てられた前記複数の第2電極の側面の高さは前記第1樹脂層内に埋め立てられた前記第1電極の側面の高さより小さくてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施例によると、熱伝導度が優秀であり、熱損失が低く、信頼性が高い熱電素子を得ることができる。特に、本発明の実施例に係る熱電素子は高温でも安定した信頼性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例に係る熱電素子の断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る熱電素子を製作する過程を説明する図面である。
図3】本発明の一実施例に係る熱電素子を製作する過程を説明する図面である。
図4】本発明の一実施例と他の一実施例に係る熱電素子の電極断面である。
図5】本発明の一実施例と他の一実施例に係る熱電素子の電極断面である。
図6】本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の断面図である。
図7】本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の断面図である。
図8】本発明の一実施例に係る熱電素子の第1金属基板の上面図である。
図9図8の実施例に係る熱電素子の第1金属基板側の断面図である。
図10図8の実施例に係る熱電素子の第1金属基板側の拡大断面図である。
図11】本発明の他の実施例に係る熱電素子の第1金属基板の上面図である。
図12図11の実施例に係る熱電素子の第1金属基板の断面図である。
図13】比較例および実施例に係る熱電素子の抵抗変化率および発電量変化率を比較したグラフである。
図14】本発明の実施例に係る熱電素子が適用された浄水器のブロック図である。
図15】本発明の実施例に係る熱電素子が適用された冷蔵庫のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0022】
第2、第1等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはしない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名され得、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名され得る。および/またはという用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0023】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり又は接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0024】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0025】
異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使われるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0026】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。
【0027】
図1は本発明の一実施例に係る熱電素子の断面図であり、図2および図3は本発明の一実施例に係る熱電素子を製作する過程を説明する図面である。
【0028】
図1を参照すると、熱電素子100は第1樹脂層110、複数の第1電極120、複数のP型熱電レッグ130、複数のN型熱電レッグ140、複数の第2電極150および第2樹脂層160を含む。
【0029】
複数の第1電極120は第1樹脂層110と複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140の下面の間に配置され、複数の第2電極150は第2樹脂層160と複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140の上面の間に配置される。これに伴い、複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140は複数の第1電極120および複数の第2電極150によって電気的に連結される。第1電極120と第2電極150の間に配置され、電気的に連結される一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は単位セルを形成することができる。リード線を通じて第1電極120および第2電極150に電圧が印加されると、ペルティエ効果によってP型熱電レッグ130からN型熱電レッグ140に電流が流れる基板は熱を吸収して冷却部として作用し、N型熱電レッグ140からP型熱電レッグ130に電流が流れる基板は加熱されて発熱部として作用することができる。または第1電極120および第2電極150間に温度差を加えると、ゼーベック効果によってP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140内の電荷が移動し、電気が発生することもある。
【0030】
各第1電極120上には一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140が配置され得、各第2電極150上には各第1電極120上に配置された一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140のうち一つが重なるように一対のN型熱電レッグ140およびP型熱電レッグ130が配置され得る。
【0031】
ここで、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140はビズマス(Bi)およびテルル(Te)を主原料として含むビズマステルライド(Bi-Te)系熱電レッグであり得る。P型熱電レッグ130は全体重量100wt%に対してアンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビズマステルライド(Bi-Te)系主原料物質99~99.999wt%とBiまたはTeを含む混合物0.001~1wt%を含む熱電レッグであり得る。例えば、主原料物質がBi-Se-Teであり、BiまたはTeを全体重量の0.001~1wt%でさらに含むことができる。N型熱電レッグ140は全体重量100wt%に対してセレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビズマステルライド(Bi-Te)系主原料物質99~99.999wt%とBiまたはTeを含む混合物0.001~1wt%を含む熱電レッグであり得る。例えば、主原料物質がBi-Sb-Teであり、BiまたはTeを全体重量の0.001~1wt%でさらに含むことができる。
【0032】
P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140はバルク型または積層型で形成され得る。一般的にバルク型P型熱電レッグ130またはバルク型N型熱電レッグ140は、熱電素材を熱処理してインゴット(ingot)を製造し、インゴットを粉砕して篩分けして熱電レッグ用粉末を獲得した後、これを焼結し、焼結体をカッティングする過程を通じて得られ得る。積層型P型熱電レッグ130または積層型N型熱電レッグ140はシート状の基材上に熱電素材を含むペーストを塗布して単位部材を形成した後、単位部材を積層しカッティングする過程を通じて得られ得る。
【0033】
この時、一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は同一形状および体積を有するか、互いに異なる形状および体積を有し得る。例えば、P型熱電レッグ130とN型熱電レッグ140の電気伝導特性が異なるため、N型熱電レッグ140の高さまたは断面積をP型熱電レッグ130の高さまたは断面積と異なるように形成してもよい。
【0034】
本発明の一実施例に係る熱電素子の性能は熱電性能指数で示すことができる。熱電性能指数(ZT)は数学式1のように示すことができる。
【0035】
【数1】
【0036】
ここで、αはゼーベック係数[V/K]であり、σは電気伝導度[S/m]であり、ασはパワー因子(Power Factor、[W/mK2])である。そして、Tは温度であり、kは熱伝導度[W/mK]である。kはa・cp・ρで示すことができ、aは熱拡散度[cm/S]であり、cpは比熱[J/gK]、ρは密度[g/cm]である。
【0037】
熱電素子の熱電性能指数を得るために、Zメーターを利用してZ値(V/K)を測定し、測定したZ値を利用して熱電性能指数(ZT)を計算することができる。
【0038】
ここで、第1樹脂層110とP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の間に配置される複数の第1電極120、そして第2樹脂層160とP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の間に配置される複数の第2電極150は、銅(Cu)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0039】
そして、第1樹脂層110と第2樹脂層160の大きさは異なるように形成されてもよい。例えば、第1樹脂層110と第2樹脂層160のうち一つの体積、厚さまたは面積は他の一つの体積、厚さまたは面積より大きく形成され得る。これに伴い、熱電素子の吸熱性能または放熱性能を高めることができる。
【0040】
この時、P型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140は円筒状、多角柱状、楕円形柱状などを有し得る。
【0041】
またはP型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140は積層型構造を有してもよい。例えば、P型熱電レッグまたはN型熱電レッグはシート状の基材に半導体物質が塗布された複数の構造物を積層した後、これを切断する方法で形成され得る。これに伴い、材料の損失を防止し、電気伝導特性を向上させることができる。
【0042】
またはP型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140はゾーンメルティング(zone melting)方式または粉末焼結方式により製作され得る。ゾーンメルティング方式によると、熱電素材を利用してインゴット(ingot)を製造した後、インゴットに徐々に熱を加えて単一方向に粒子が再配列されるようにリファイニングし、徐々に冷却させる方法で熱電レッグを得る。粉末焼結方式によると、熱電素材を利用してインゴットを製造した後、インゴットを粉砕して篩分けして熱電レッグ用粉末を獲得し、これを焼結する過程を通じて熱電レッグを得る。
【0043】
本発明の実施例によると、第1金属基板170上に第1樹脂層110が配置され、第2樹脂層160上に第2金属基板180が配置され得る。
【0044】
第1金属基板170および第2金属基板180はアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで形成され得る。第1金属基板170および第2金属基板180は第1樹脂層110、複数の第1電極120、複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140、複数の第2電極150、第2樹脂層160等を支持することができ、本発明の実施例に係る熱電素子100が適用されるアプリケーションに直接付着される領域であり得る。これに伴い、第1金属基板170および第2金属基板180はそれぞれ第1金属支持体および第2金属支持体と混用され得る。
【0045】
第1金属基板170の面積は第1樹脂層110の面積より大きくてもよく、第2金属基板180の面積は第2樹脂層160の面積より大きくてもよい。すなわち、第1樹脂層110は第1金属基板170の縁から所定距離だけ離隔した領域内に配置され得、第2樹脂層160は第2金属基板180の縁から所定距離だけ離隔した領域内に配置され得る。
【0046】
第1樹脂層110および第2樹脂層160はエポキシ樹脂および無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物で形成され得る。ここで、無機充填材はエポキシ樹脂組成物の68~88vol%で含まれ得る。無機充填材が68vol%未満で含まれると、熱伝導効果が低くなり得、無機充填材が88vol%を超過して含まれると樹脂層と金属基板間の接着力が低くなり得、樹脂層が容易に壊れる可能性がある。
【0047】
第1樹脂層110および第2樹脂層160の厚さは0.02~0.6mm、好ましくは0.1~0.6mm、さらに好ましくは0.2~0.6mmであり得、熱伝導度は1W/mK以上、好ましくは10W/mK以上、さらに好ましくは20W/mK以上であり得る。
【0048】
エポキシ樹脂はエポキシ化合物および硬化剤を含むことができる。この時、エポキシ化合物10体積比に対して硬化剤1~10体積比で含まれ得る。ここで、エポキシ化合物は結晶性エポキシ化合物、非結晶性エポキシ化合物およびシリコンエポキシ化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。結晶性エポキシ化合物はメソゲン(mesogen)構造を含むことができる。メソゲン(mesogen)は液晶(liquid crystal)の基本単位であり、剛性(rigid)構造を含む。そして、非結晶性エポキシ化合物は分子のうちエポキシ基を2個以上有する通常の非結晶性エポキシ化合物であり得、例えばビスフェノールAまたはビスフェノールFから誘導されるグリシジルエーテル化物であり得る。ここで、硬化剤はアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤およびブロックイソシアネート系硬化剤のうち少なくとも一つを含むことができ、2種以上の硬化剤を混合して使用してもよい。
【0049】
無機充填材は酸化アルミニウムおよび窒化物を含むことができ、窒化物は無機充填材の55~95wt%で含まれ得、より好ましくは60~80wt%であり得る。窒化物がこのような数値範囲で含まれる場合、熱伝導度および接合強度を高めることができる。ここで、窒化物は、窒化ホウ素および窒化アルミニウムのうち少なくとも一つを含むことができる。ここで、窒化ホウ素は板状の窒化ホウ素が固まった窒化ホウ素凝集体であり得、窒化ホウ素凝集体の表面は下記の単位体1を有する高分子でコーティングされるか、窒化ホウ凝集体内の空隙の少なくとも一部は下記の単位体1を有する高分子によって充填され得る。
【0050】
単位体1は次の通りである。
【0051】
[単位体1]
【0052】
【0053】
ここで、R、R、RおよびRのうち一つはHであり、残りはC~Cアルキル、C~CアルケンおよびC~Cアルキンで構成されたグループから選択され、Rは線形、分岐状または環状の炭素数1~12である2価の有機リンカーであり得る。
【0054】
一実施例として、R、R、RおよびRのうち、Hを除いた残りのうち一つはC~Cアルケンから選択され、残りのうち他の一つおよびさらに他の一つはC~Cアルキルから選択され得る。例えば、本発明の実施例に係る高分子は下記の単位体2を含むことができる。
【0055】
[単位体2]
【0056】
【0057】
または前記R、R、RおよびRのうちHを除いた残りはC~Cアルキル、C~CアルケンおよびC~Cアルキンで構成されたグループから互いに異なるように選択されてもよい。
【0058】
このように、単位体1または単位体2による高分子が板状の窒化ホウ素がかたまった窒化ホウ素凝集体上にコーティングされ、窒化ホウ凝集体内の空隙の少なくとも一部を充填すると、窒化ホウ素凝集体内の空気層が最小化されて窒化ホウ素凝集体の熱伝導性能を高めることができ、板状の窒化ホウ素間の結合力を高めて窒化ホウ素凝集体が壊れることを防止することができる。そして、板状の窒化ホウ素がかたまった窒化ホウ素凝集体上にコーディング層を形成すると作用基の形成が容易となり、窒化ホウ素凝集体のコーディング層上に作用基が形成されると、樹脂との親和度が高くなり得る。
【0059】
この時、窒化ホウ素凝集体の粒子の大きさD50は250~350μmであり、酸化アルミニウムの粒子の大きさD50は10~30μmであり得る。窒化ホウ素凝集体の粒子の大きさD50と酸化アルミニウムの粒子の大きさD50がこのような数値範囲を満足する場合、窒化ホウ素凝集体と酸化アルミニウムがエポキシ樹脂組成物内に均一に分散され得、これに伴い樹脂層が全体的に均一な熱伝導効果および接着性能を有することができる。
【0060】
一方、本発明の実施例によると、第1樹脂層110と複数の第1電極120間の接合強度は第2樹脂層160と複数の第2電極150間の接合強度と異なり得る。例えば、第1金属基板170および第1樹脂層110が低温部であり、第2金属基板180および第2樹脂層160が高温部である場合、第1樹脂層110と複数の第1電極120の間は互いに接着された状態であり、第2樹脂層160と複数の第2電極150の間は互いに接触した状態であり得、第2樹脂層160と複数の第2電極150の間には空気層が形成され得る。
【0061】
このように、第2樹脂層160と複数の第2電極150の間が互いに接着された状態ではない場合、高温部側の温度が上昇して第2金属基板170が膨張することになっても、複数の第2電極150と複数のP型熱電レッグ130の間および複数の第2電極150と複数のN型熱電レッグ140の間には熱応力が伝達されないことができる。これに伴い、複数の第2電極150と複数のP型熱電レッグ130の間の接合面および複数の第2電極150と複数のN型熱電レッグ140の間の接合面にクラックが発生する問題を防止することができ、高温で熱電素子の信頼性を維持することができる。
【0062】
より具体的には、第1樹脂層110と複数の第1電極120間の接合強度は第2樹脂層160と複数の第2電極150間の接合強度より高くてもよい。例えば、第1樹脂層110と複数の第1電極120間の接合強度は第2樹脂層160と複数の第2電極150間の接合強度の5倍以上、好ましくは10倍以上、さらに好ましくは20倍以上、さらに好ましくは40倍以上であり得る。すなわち、第1樹脂層110と複数の第1電極120間の接合強度が20kgf/7.8625mm以上である場合、第2樹脂層160と複数の第2電極150間の接合強度が3kgf/7.8625mm以下、好ましくは2kgf/7.8625mm以下、さらに好ましくは1kgf/7.8625mm以下、さらに好ましくは0.5kgf/7.8625mm以下であり得る。第1樹脂層110と複数の第1電極120間の接合強度と第2樹脂層160と複数の第2電極150間の接合強度がこのような数値を満足する場合、高温部側の温度が上昇して第2金属基板170が膨張することになっても、複数の第2電極150と複数のP型熱電レッグ130の間の接合面および複数の第2電極150と複数のN型熱電レッグ140の間の接合面が影響を受けないことができる。
【0063】
このために、図2を参照すると、第1金属基板170、第1樹脂層110、複数の第1電極120、複数のP型熱電レッグ130、複数のN型熱電レッグ140および複数の第2電極150を含む第1部分モジュールと第2樹脂層160および第2金属基板180を含む第2部分モジュールは別途に製作され得、図3に図示された通り、第1部分モジュール上に第2部分モジュールを配置した後、第2部分モジュール上に所定の圧力、例えば70~90kgf/160cmの圧力が加えられ得る。これに伴い、第1部分モジュールの複数の第2電極150と第2部分モジュールの第2樹脂層160は接着されてはいないが、物理的に接触している状態となり、電源が印加される場合、熱電素子として動作することができる。
【0064】
この時、図示されてはいないが、第1金属基板170と第2金属基板180は互いに固定され得る。例えば、第1金属基板170と第2金属基板180はスクリューによって固定され得る。これに伴い、第1部分モジュールの複数の第2電極150と第2部分モジュールの第2樹脂層160が互いに接着されてはいなくても、揺れ発生時に第1部分モジュールと第2部分モジュールが離脱しないことができる。図示されてはいないが、第1金属基板170と第2金属基板180を固定するスクリューは第1金属基板170と第2金属基板180の角または縁に配置され得る。
【0065】
本発明の実施例によると、低温部側は第1金属基板170上に未硬化または半硬化状態で塗布された第1樹脂層110上に金属層を接合した後、金属層を食刻する方法で複数の第1電極120を形成することができる。これに伴い、第1樹脂層110と複数の第1電極120の間は接着され得る。これに反し、高温部側は第2金属基板180上に塗布された未硬化または半硬化状態の第2樹脂層160をあらかじめ硬化させた後、複数の第2電極150上に物理的に接触させることができる。このために、あらかじめ整列した複数の第2電極150はジグを利用して複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140上に配置され得、複数の第2電極150と複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140がソルダリングされ得る。
【0066】
すなわち、複数の第1電極120は第1樹脂層110上に接合された金属層を食刻する方法で形成されるが、複数の第2電極150はあらかじめ切断された後、ジグを利用して整列され得る。これに伴い、複数の第1電極120と複数の第2電極150の形状は異なり得る。
【0067】
図4は本発明の一実施例に係る熱電素子の電極断面であり、図5は本発明の他の実施例に係る熱電素子の電極断面である。
【0068】
図4(a)~図5(a)を参照すると、複数の第1電極120のうち少なくとも一つは、第1樹脂層110に向かって配置された第1面121、すなわち第1樹脂層110と向かい合う第1面121および第1面121の反対面、すなわち一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140に向かって配置された第2面122、すなわち一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140と向かい合う第2面122を含み、第1面121の幅長W1と第2面122の幅長W2は異なり得る。例えば、第2面122の幅長W2は第1面121の幅長W1の0.8~0.95倍であり得る。このように、第1面121の幅長W1が第2面122の幅長W2より大きいと第1樹脂層110との接触面積が広くなるため、第1樹脂層110と第1電極120間の接合強度が高まり得る。
【0069】
特に、図5(a)を参照すると、第1面121と第2面122の間の側面123は所定の曲率を有する曲面を含むことができる。例えば、第2面122と側面123の間は所定の曲率を有する丸みを有した形状でもよい。これによると、複数の第1電極120の間を絶縁性の樹脂で充填しやすく、これに伴い、複数の第1電極120は第1樹脂層110上で安定的に支持され得、複数の第1電極120が近い距離で配置されても隣り合う電極に電気的な影響を及ぼさないことができる。
【0070】
この時、第1電極120はCu層からなるか、Cu、NiおよびAuが順次積層された構造を有するか、Cu、NiおよびSnが順次積層された構造を有することができる。
【0071】
これに反し、図4(b)、図5(b)を参照すると、複数の第2電極150は樹脂層上で食刻されるのではなく、あらかじめ切断された後に整列されるため、第2樹脂層160に向かって配置された第1面151、すなわち第2樹脂層160と向かい合う第1面151の幅長は第1面151の反対面、すなわち一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140に向かって配置された第2面152、すなわち一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140と向かい合う第2面152の幅長と同一であってもよい。ここで、前述した通り、複数の第2電極150の第1面151と第2樹脂層160は互いに接触しているだけであって、接着されてはいないものであり得る。すなわち、複数の第2電極150の第1面151と第2樹脂層160の間には微細な空気層が形成され得る。
【0072】
一方、本発明のさらに他の実施例によると、低温部側は第1金属基板170上に未硬化または半硬化状態で塗布された第1樹脂層110上に、ジグにあらかじめ整列された複数の第1電極120を配置した後で加圧する方法で形成されてもよい。これに伴い、複数の第1電極120の側面の一部が第1樹脂層110に埋め立てられた状態で第1樹脂層110と複数の第1電極120の間が接着され得る。これに反し、高温部側は第2金属基板180上に塗布された第2樹脂層160をあらかじめ硬化させた後、複数の第2電極150上に物理的に接触させることができる。このために、複数の第2電極150はジグを利用して複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140上にあらかじめ整列され得る。
【0073】
図6図7は本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の断面図である。
【0074】
図6図7を参照すると、複数の第1電極120の側面123の一部は第1樹脂層110内に埋め立てられる。この時、第1樹脂層110内に埋め立てられた複数の第1電極120の側面123の高さH1は、複数の第1電極120の厚さHの0.1~0.8倍、好ましくは0.2~0.6倍であり得る。このように、複数の第1電極120の側面123の一部が第1樹脂層110内に埋め立てられると、複数の第1電極120と第1樹脂層110間の接触面積が広くなり、これに伴い、複数の第1電極120と第1樹脂層110間の熱伝達性能および接合強度がさらに高くなり得る。第1樹脂層110内に埋め立てられた複数の第1電極120の側面123の高さH1が複数の第1電極120の厚さHの0.1倍未満の場合、複数の第1電極120と第1樹脂層110間の熱伝達性能および接合強度を十分に得ることが困難であり得、第1樹脂層110内に埋め立てられた複数の第1電極120の側面123の高さH1が複数の第1電極120の厚さHの0.8倍を超過する場合、第1樹脂層110が複数の第1電極120上に上る可能性があり、これに伴い、電気的に短絡される可能性がある。
【0075】
この時、複数の第1電極120の下の第1樹脂層110の厚さT1は20~80μmであり、複数の第1電極120の間の第1樹脂層110の厚さT2は80~200μmであり得る。このように、複数の第1電極120の下の第1樹脂層110の厚さT1と複数の第1電極120の間の第1樹脂層110の厚さT2が異なる場合、複数の第1電極120の下の第1樹脂層110内の無機充填材の分布は複数の第1電極120の間の第1樹脂層110内の無機充填材の分布と異なり得る。例えば、第1樹脂層110が、D50が40~200μmである窒化ホウ素およびD50が10~30μmである酸化アルミニウムを含む場合、窒化ホウ素および酸化アルミニウムが第1樹脂層110内に全体的に均一に分散されても、部分的にはその分布が異なり得る。例えば、D50が40~200μmである窒化ホウ素の密度は約2.1g/cmであり、D50が10~30μmである酸化アルミニウムの密度は約3.95~4.1g/cmである。これに伴い、密度が高く大きさが小さい酸化アルミニウムは、相対的に密度が低く大きさが大きい窒化ホウ素に比べて下に沈む傾向がある。特に、第1樹脂層110内の複数の第1電極120の下に配置される領域、すなわち厚さがT1である領域では、T1に比べて粒子の大きさが大きい無機充填材は複数の第1電極120の間の領域、すなわち厚さがT2である領域に押し出され得る。これに伴い、複数の第1電極120の下の第1樹脂層110内の無機充填材の分布は複数の第1電極120の間の第1樹脂層110内の無機充填材の分布と異なり得る。例えば、複数の第1電極120の下の第1樹脂層110内の全体の無機充填材に対する窒化ホウ素の含量比(例、重量比)は、複数の第1電極120の間の第1樹脂層110内の全体の無機充填材に対する窒化ホウ素の含量比(例、重量比)より小さくてもよい。これに伴い、複数の第1電極120の下の第1樹脂層110内の無機充填材の粒子の大きさD50は複数の第1電極120の間の第1樹脂層110内の無機充填材の粒子の大きさD50より小さくてもよい。酸化アルミニウムは第1樹脂層110と複数の第1電極120間の接着性能に影響を及ぼさないが、窒化ホウ素は表面がなめらかであるため、第1樹脂層110と複数の第1電極120間の接着性能に悪い影響を及ぼしかねない。本発明の実施例の
通り、複数の第1電極120が第1樹脂層110内に埋め立てられると、複数の第1電極120の下に配置される第1樹脂層110内の窒化ホウ素の含量が減ることになり、これに伴い、複数の第1電極120が第1樹脂層110内に埋め立てられない場合に比べて複数の第1電極120と第1樹脂層110間の接合強度を高めることができる。
【0076】
ここで、複数の第1電極120のみが第1樹脂層110内に埋め立てられ、複数の第2電極150は第2樹脂層160内に埋め立てられないものとして図示されているが、これに制限されるものではない。本発明の実施例によると、前述した通り、第1金属基板170、第1樹脂層110、複数の第1電極120、複数のP型熱電レッグ130、複数のN型熱電レッグ140および複数の第2電極150を含む第1部分モジュールと第2樹脂層160および第2金属基板180を含む第2部分モジュールは別途に製作され得、第1部分モジュール上に第2部分モジュールを配置した後、第2部分モジュール上に所定の圧力、例えば70~90kgf/160cmの圧力が加えられ得る。すなわち、本発明の実施例に係る熱電素子を製作する過程で、複数の第2電極150上に第2樹脂層160が配置された後、所定の圧力、例えば70~90kgf/160cmの圧力が加えられるため、複数の第2電極150の側面の一部も第2樹脂層160内に埋め立てられ得る。ただし、第2樹脂層160内に埋め立てられた複数の第2電極150の側面の高さは第1樹脂層110内に埋め立てられた複数の第1電極120の側面124の高さH1より小さくてもよい。例えば、第2樹脂層160内に埋め立てられた複数の第2電極150の側面の高さは、第1樹脂層110内に埋め立てられた複数の第1電極120の側面124の高さH1の0.01~0.5倍、好ましくは0.05~0.3倍、さらに好ましくは0.1~0.2倍であり得る。これに伴い、高温部側は熱伝達性能が高いだけでなく、高温でも安定した信頼性を維持することができる。
【0077】
一方、図7を参照すると、第2樹脂層160には複数の第2電極150の底面および側面の一部を収容するための複数の溝があらかじめ形成されてもよい。ここで、複数の第2電極150の底面は複数の第2電極150の両面のうち第2樹脂層160に向かうように配置された面、すなわち第2樹脂層160と接触する面を意味し得る。この時、複数の溝それぞれの幅W3は複数の第2電極150それぞれの底面の幅W1より大きくてもよい。例えば、複数の溝それぞれの幅W3は複数の第2電極150それぞれの底面の幅W1の1.01倍~1.2倍、好ましくは1.01倍~1.1倍であり得る。このように、複数の第2電極150が第2樹脂層160に形成された複数の溝内に収容される場合、複数の第2電極150と第2樹脂層160が接着されていなくても第2樹脂層160が複数の第2電極150の側面まで支持することができるため、揺れ時に複数の第2電極150が第2樹脂層160から滑る問題を防止することができ、第1部分モジュールと第2部分モジュールが互いに離脱する可能性が低くなり得る。また、複数の溝それぞれの幅W3は複数の第2電極150それぞれの底面の幅W1より大きく形成される場合、第2金属基板180が高温によって熱膨張されても複数の第2電極150に加えられる熱応力を最小化することができる。
【0078】
再び図1を参照すると、第1金属基板170と複数の第1電極120の間に第1樹脂層110が配置されると、別途のセラミック基板がなくても第1金属基板170と複数の第1電極120の間の熱伝達が可能であり、第1樹脂層110自らの接着性能によって別途の接着剤または物理的な締結手段が不要である。これに伴い、熱電素子100の全体的なサイズを減らすことができる。
【0079】
ここで、第1金属基板170は第1樹脂層110と直接接触することができる。このために、第1金属基板170の両面のうち第1樹脂層110が配置される面、すなわち第1金属基板170の第1樹脂層110と向かい合う面には表面粗さが形成され得る。これによると、第1金属基板170と第1樹脂層110間の熱圧搾時に第1樹脂層110が浮く問題を防止することができる。本明細書で、表面粗さは凹凸を意味し、表面粗度と混用されることもある。
【0080】
図8は本発明の一実施例に係る熱電素子の第1金属基板の上面図であり、図9図8の実施例に係る熱電素子の第1金属基板側の断面図であり、図10図9図8の実施例に係る熱電素子の第1金属基板側の拡大断面図である。図11は本発明の他の実施例に係る熱電素子の第1金属基板の上面図であり、図12図11の実施例に係る熱電素子の第1金属基板の断面図である。説明の便宜のために第1金属基板170と第1樹脂層110のみを例にして説明しているが、これで制限されるものではなく、第2金属基板180と第2樹脂層160の間にもこのような構造が同一に適用され得る。
【0081】
図8図10を参照すると、第1金属基板170の両面のうち第1樹脂層110が配置される面、すなわち第1金属基板170の第1樹脂層110と向かい合う面は第1領域172および第2領域174を含み、第2領域174は第1領域172の内部に配置され得る。すなわち、第1領域172は第1金属基板170の縁から中間領域に向かって所定距離内に配置され得、第1領域172は第2領域174を囲むことができる。
【0082】
この時、第2領域174の表面粗さは第1領域172の表面粗さより大きく、第1樹脂層110は第2領域174上に配置され得る。ここで、第1樹脂層110は第1領域172と第2領域174間の境界から所定距離だけ離隔するように配置され得る。すなわち、第1樹脂層110は第2領域174上に配置されるものの、第1樹脂層110の縁は第2領域174の内部に位置することができる。これに伴い、第2領域174の表面粗さによって形成された溝400の少なくとも一部には第1樹脂層110の一部、すなわち第1樹脂層110に含まれるエポキシ樹脂600および無機充填材の一部604が浸み込まれ得、第1樹脂層110と第1金属基板170間の接着力が高くなり得る。
【0083】
ただし、第2領域174の表面粗さは第1樹脂層110に含まれる無機充填材の一部の粒子の大きさD50よりは大きく、他の一部の粒子の大きさD50よりは小さく形成され得る。ここで、粒子の大きさD50は粒度分布曲線で重量百分率の50%に該当する粒径、すなわち通過質量百分率が50%になる粒径を意味し、平均粒径と混用され得る。第1樹脂層110が無機充填材として酸化アルミニウムと窒化ホウ素を含む場合を例にすると、酸化アルミニウムは第1樹脂層110と第1金属基板170間の接着性能に影響を及ぼさないが、窒化ホウ素は表面がなめらかであるため第1樹脂層110と第1金属基板170間の接着性能に悪影響を及ぼしかねない。これに伴い、第2領域174の表面粗さを第1樹脂層110に含まれる酸化アルミニウムの粒子の大きさD50よりは大きいが、窒化ホウ素の粒子の大きさD50よりは小さく形成すると、第2領域174の表面粗さによって形成された溝内には酸化アルミニウムのみが配置され、窒化ホウ素は配置されることができないため、第1樹脂層110と第1金属基板170は高い接合強度を維持することができる。
【0084】
これに伴い、第2領域174の表面粗さは第1樹脂層110内に含まれた無機充填材のうち大きさが相対的に小さい無機充填材604、例えば酸化アルミニウムの粒子の大きさD50の1.05~1.5倍であり、第1樹脂層110内に含まれた無機充填材のうち大きさが相対的に大きい無機充填材602、例えば窒化ホウ素の粒子の大きさD50の0.04~0.15倍であり得る。
【0085】
前述した通り、窒化ホウ素凝集体の粒子の大きさD50が250~350μmであり、酸化アルミニウムの粒子の大きさD50が10~30μmである場合、第2領域174の表面粗さは1~50μmであり得る。これに伴い、第2領域174の表面粗さによって形成された溝内には酸化アルミニウムのみが配置され、窒化ホウ素凝集体は配置されないことができる。
【0086】
これによると、第2領域174の表面粗さによって形成された溝内のエポキシ樹脂および無機充填材の含量は、第1金属基板170と複数の第1電極120の間の中間領域でエポキシ樹脂および無機充填材の含量と異なり得る。
【0087】
このような表面粗さは表面粗さ測定機を利用して測定され得る。表面粗さ測定機は探針を利用して断面曲線を測定し、断面曲線の山頂線、谷底線、平均線および基準長さを利用して表面粗さを算出することができる。本明細書で、表面粗さは中心線平均算出法による算術平均粗さ(Ra)を意味し得る。算術平均粗さ(Ra)は下記の数学式2を通じて得ることができる。
【0088】
【数2】
【0089】
すなわち、表面粗さ測定機の探針を得た断面曲線を基準長さLだけ引き出して平均線方向をx軸とし、高さ方向をy軸として関数(f(x))で表現した時、数学式2によって求められる値をμmメートルで表すことができる。
【0090】
図11図12を参照すると、第1金属基板170の両面のうち第1樹脂層110が配置される面、すなわち第1金属基板170の第1樹脂層110と向かい合う面は第1領域172および第1領域172によって囲まれ、第1領域172より表面粗さが大きく形成された第2領域174を含むものの、第3領域176をさらに含むことができる。
【0091】
ここで、第3領域176は第2領域174の内部に配置され得る。すなわち、第3領域176は第2領域174によって囲まれるように配置され得る。そして、第2領域174の表面粗さは第3領域176の表面粗さより大きく形成され得る。
【0092】
この時、第1樹脂層110は第1領域172と第2領域174間の境界から所定距離離隔するように配置されるものの、第1樹脂層110は第2領域174の一部および第3領域176をカバーするように配置され得る。
【0093】
第1金属基板170と第1樹脂層110間の接合強度を高めるために、第1金属基板170と第1樹脂層110の間には接着層800がさらに配置され得る。
【0094】
接着層800は第1樹脂層110をなすエポキシ樹脂組成物と同一のエポキシ樹脂組成物であり得る。例えば、第1樹脂層110をなすエポキシ樹脂組成物と同一のエポキシ樹脂組成物を未硬化状態で第1金属基板170と第1樹脂層110の間に塗布した後、硬化した状態の第1樹脂層110を積層し、高温で加圧する方式で第1金属基板170と第1樹脂層110を接合することができる。
【0095】
この時、接着層800の一部、例えば接着層800をなすエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂の一部および無機充填材の一部は第2領域174の表面粗さによる溝の少なくとも一部に配置され得る。
【0096】
図13は、比較例および実施例に係る熱電素子の抵抗変化率および発電量変化率を比較したグラフである。
【0097】
比較例に係る熱電素子および実施例に係る熱電素子はいずれも、図1の構造のような第1金属基板、第1樹脂層、複数の第1電極、複数のP型熱電レッグ、複数のN型熱電レッグ、複数の第2電極、第2樹脂層および第2金属基板を含むものの、比較例に係る熱電素子は第1樹脂層と複数の第1電極の間および第2樹脂層と複数の第2電極間がすべて接着されるように製作され、実施例に係る熱電素子は第1樹脂層と複数の第1電極の間は接着されるか、第2樹脂層と複数の第2電極間は接着されず接触されるものに製作された。この時、(株)saltのST-1000を利用して第1樹脂層と複数の第1電極の間の接合強度および第2樹脂層と複数の第2電極の間の接合強度を測定し、このために7.8625mm(=4.25mm*1.85mm)の面積で電極を製作した。その結果、比較例に係る熱電素子の場合、第1樹脂層と複数の第1電極の間の接合強度および第2樹脂層と複数の第2電極の間の接合強度はいずれも20kgf/7.8625mmに測定され、実施例に係る熱電素子の場合、第1樹脂層と複数の第1電極の間の接合強度は20kgf/7.8625mmに測定され、第2樹脂層と複数の第2電極の間の接合強度は3kgf/7.8625mmに測定された。
【0098】
比較例に係る熱電素子および実施例に係る熱電素子はいずれも低温部側の温度は30℃に維持し、高温部側の温度は200℃から50℃に変化させる周期を1cycleにしてcycleを繰り返しながら抵抗変化率および発電量変化率を測定した。
【0099】
図13を参照すると、比較例に係る熱電素子の場合、100cycle付近で抵抗変化率が8%を越えたが、実施例に係る熱電素子の場合、1000cycleでも抵抗変化率が大きく変化しないことが分かる。また、比較例に係る熱電素子の場合、100cycle付近で発電量が23%であったが、実施例に係る熱電素子の場合cycleが増加しても発電量が増加することが分かる。
【0100】
以下では、図14を参照して本発明の実施例に係る熱電素子が浄水器に適用された例を説明する。
【0101】
図14は、本発明の実施例に係る熱電素子が適用された浄水器のブロック図である。
【0102】
本発明の実施例に係る熱電素子が適用された浄水器1は原水供給管12a、浄水タンク流入管12b、浄水タンク12、フィルタアセンブリ13、冷却ファン14、蓄熱槽15、冷水供給管15a、および熱電装置1000を含む。
【0103】
原水供給管12aは水原から浄水対象の水をフィルタアセンブリ13に流入させる供給管であり、浄水タンク流入管12bはフィルタアセンブリ13で浄水された水を浄水タンク12に流入させる流入管であり、冷水供給管15aは浄水タンク12で熱電装置1000により所定温度に冷却された冷水が最終的に使用者に供給される供給管である。
【0104】
浄水タンク12はフィルタアセンブリ13を経由しながら浄水され、浄水タンク流入管12bを通じて流入した水を貯蔵および外部に供給するように浄水された水をしばらく収容する。
【0105】
フィルタアセンブリ13は沈殿フィルタ13aと、プレカーボンフィルタ13bと、メンブレンフィルタ13cと、ポストカーボンフィルタ13dで構成される。
【0106】
すなわち、原水供給管12aに流入する水はフィルタアセンブリ13を経由しながら浄水され得る。
【0107】
蓄熱槽15が浄水タンク12と熱電装置1000の間に配置されて、熱電装置1000で形成された冷気が貯蔵される。蓄熱槽15に貯蔵された冷気は浄水タンク12に印加されて浄水タンク120に収容された水を冷却させる。
【0108】
冷気の伝達が円滑になされるように、蓄熱槽15は浄水タンク12と面接触され得る。
【0109】
熱電装置1000は前述した通り、吸熱面と発熱面を具備し、P型半導体およびN型半導体上の電子移動によって、一側は冷却され、他側は加熱される。
【0110】
ここで、一側は浄水タンク12側であり、他側は浄水タンク12の反対側であり得る。
【0111】
また、前述した通り、熱電装置1000は防水および防塵性能が優秀であり、熱流動性能が改善されて浄水器内で浄水タンク12を効率的に冷却することができる。
【0112】
以下では、図15を参照して本発明の実施例に係る熱電素子が冷蔵庫に適用された例を説明する。
【0113】
図15は、本発明の実施例に係る熱電素子が適用された冷蔵庫のブロック図である。
【0114】
冷蔵庫は深温蒸発室内に深温蒸発室カバー23、蒸発室区画壁24、メイン蒸発器25、冷却ファン26および熱電装置1000を含む。
【0115】
冷蔵庫内は深温蒸発室カバー23によって深温貯蔵室と深温蒸発室に区画される。
【0116】
詳細には、前記深温蒸発室カバー23の前方に該当する内部空間が深温貯蔵室と定義され、深温蒸発室カバー23の後方に該当する内部空間が深温蒸発室と定義され得る。
【0117】
深温蒸発室カバー23の前面には吐出グリル23aと吸込グリル23bがそれぞれ形成され得る。
【0118】
蒸発室区画壁24はインナーキャビネットの後壁から前方に離隔する地点に設置されて、深温室貯蔵システムが置かれる空間とメイン蒸発器25が置かれる空間を区画する。
【0119】
メイン蒸発器25によって冷却される冷気は冷凍室に供給された後、再びメイン蒸発器側に戻る。
【0120】
熱電装置1000は深温蒸発室に収容され、吸熱面が深温貯蔵室の引き出しアセンブリ側に向かい、発熱面が蒸発器側に向かう構造をなす。したがって、熱電装置1000で発生する吸熱現象を利用して、引き出しアセンブリに貯蔵された飲食物を摂氏零下50度以下の超低温状態に迅速に冷却させるのに使われ得る。
【0121】
また、前述した通り熱電装置1000は防水および防塵性能が優秀であり、熱流動性能が改善されて冷蔵庫内で引き出しアセンブリを効率的に冷却させることができる。
【0122】
本発明の実施例に係る熱電素子は発電用装置、冷却用装置、温熱用装置などに作用され得る。具体的には、本発明の実施例に係る熱電素子は主に光通信モジュール、センサ、医療機器、測定機器、航空宇宙産業、冷蔵庫、チラー(chiller)、自動車通風シート、カップホルダー、洗濯機、乾燥機、ワインセラー、浄水器、センサ用電源供給装置、サーモパイル(thermopile)等に適用され得る。
【0123】
ここで、本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される例として、PCR(Polymerase Chain Reaction)機器がある。PCR機器はDNAを増幅してDNAの塩基序列を決定するための装備であり、精密な温度制御が要求され、熱循環(thermal cycle)が必要な機器である。このために、ペルティエ基盤の熱電素子が適用され得る。
【0124】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される他の例として、光検出器がある。ここで、光検出器は赤外線/紫外線検出器、CCD(Charge Coupled Device)センサ、X-ray検出器、TTRS(Thermoelectric Thermal Reference Source)等がある。光検出器の冷却(cooling)のためにペルティエ基盤の熱電素子が適用され得る。これに伴い、光検出器の内部の温度上昇による波長の変化、出力の低下および解像力の低下などを防止することができる。
【0125】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、免疫分析(immunoassay)分野、インビトロ診断(In vitro Diagnostics)分野、温度制御および冷却システム(general temperature control and cooling systems)、物理治療分野、液状チラーシステム、血液/プラズマ温度制御分野などがある。これに伴い、精密な温度制御が可能である。
【0126】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、人工心臓がある。これに伴い、人工心臓に電源を供給することができる。
【0127】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される例として、星追跡システム、熱イメージングカメラ、赤外線/紫外線検出器、CCDセンサ、ハッブル宇宙望遠鏡、TTRSなどがある。これに伴い、イメージセンサの温度を維持することができる。
【0128】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される他の例として、冷却装置、ヒーター、発電装置などがある。
【0129】
この他にも本発明の実施例に係る熱電素子はその他の産業分野に発電、冷却および温熱のために適用され得る。
【0130】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15