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特許7431771領域管理方法、領域管理装置、及び領域管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】領域管理方法、領域管理装置、及び領域管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20240207BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240207BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A01D41/127 140
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021051657
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149476
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】三谷 英樹
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008612(JP,A)
【文献】特開2019-207284(JP,A)
【文献】特開2019-008613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/127
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場で移動して作業を行う作業装置の各時刻における複数の位置情報のうち、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の隣接距離に基づき、圃場を分割する矩形状に形成された複数の区画の第1辺の長さを決定することと、
前記複数の区画の前記第1辺の長さに基づき、前記複数の区画の位置を決定することと、
前記複数の位置情報に関連付けられた前記作業を表す評価情報に基づき、前記複数の区画における評価情報を算出することと、
算出された前記複数の区画における評価情報を出力することと、
を含み、
前記複数の区画のそれぞれにおける前記第1辺の長さは、互いに同じ長さを表す
領域管理方法。
【請求項2】
前記第1辺の長さを決定することは、
前記複数の区画の前記第1辺の延びる第1方向における前記隣接距離の長さに基づき、前記第1辺の長さを決定すること
を含む請求項1に記載の領域管理方法。
【請求項3】
圃場で移動して作業を行う作業装置の各時刻における複数の位置情報のうち、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の隣接距離に基づき、圃場を分割する矩形状に形成された複数の区画の第1辺の長さを決定することと、
前記複数の区画の前記第1辺の長さに基づき、前記複数の区画の位置を決定することと、
前記複数の位置情報に関連付けられた前記作業を表す評価情報に基づき、前記複数の区画における評価情報を算出することと、
算出された前記複数の区画における評価情報を出力することと、
を含み、
前記第1辺の長さを決定することは、
前記複数の区画の前記第1辺の延びる第1方向における前記隣接距離の長さに基づき、前記第1辺の長さを決定することと、
前記第1方向に直交する第2方向における前記隣接距離の長さに基づき、前記複数の区画における前記第1辺に直交する第2辺の長さを決定することと、
を含む領域管理方法。
【請求項4】
前記第1辺の長さを決定することは、
前記隣接距離に基づき、前記複数の区画の前記第1辺の長さの最小値を決定することと、
決定された前記最小値を表す最小値情報を出力することと、
前記最小値情報の出力への応答に表される長さを前記第1辺の長さとして決定することと、
を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の領域管理方法。
【請求項5】
前記第1辺の長さの前記最小値を決定することは、
前記隣接距離の表す長さの最大値を前記第1辺の長さの前記最小値として決定すること
を含む請求項4に記載の領域管理方法。
【請求項6】
前記第1辺の長さの前記最小値を決定することは、
前記隣接距離の表す長さの平均値を前記第1辺の長さの前記最小値として決定すること
を含む請求項4に記載の領域管理方法。
【請求項7】
前記隣接距離に基づき、前記複数の区画の第2辺の長さを決定すること
を含み、
前記第2辺は、前記第1辺に直交し、
前記複数の区画の位置を決定することは、
前記複数の区画の前記第1辺の長さと、前記第2辺の長さとに基づき、前記複数の区画の位置を決定すること
を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の領域管理方法。
【請求項8】
前記複数の位置情報に基づき、前記作業装置が直線状に移動する平行な2つの直線軌道を算出することを含み、
前記第1辺の長さを決定することは、
前記2つの直線軌道の間の距離と、前記隣接距離とに基づき、前記第1辺の長さを決定すること
を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の領域管理方法。
【請求項9】
圃場で移動して作業を行う作業装置の各時刻における複数の位置情報のうち、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の隣接距離に基づき、圃場を分割する矩形状に形成された複数の区画の第1辺の長さを決定し、決定された前記第1辺の長さに基づき、前記複数の区画の位置を決定する区画決定部と、
前記複数の位置情報に関連付けられた前記作業を表す評価情報に基づき、前記複数の区画における評価情報を算出し、算出された前記複数の区画における評価情報を出力する出力部と、
を備え
前記複数の区画のそれぞれにおける前記第1辺の長さは、互いに同じ長さを表す
領域管理装置。
【請求項10】
圃場で移動して作業を行う作業装置の各時刻における複数の位置情報のうち、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の隣接距離に基づき、圃場を分割する矩形状に形成された複数の区画の第1辺の長さを決定することと、
前記複数の区画の前記第1辺の長さに基づき、前記複数の区画の位置を決定することと、
前記複数の位置情報に関連付けられた前記作業を表す評価情報に基づき、前記複数の区画における評価情報を算出することと、
算出された前記複数の区画における評価情報を出力することと、
を演算装置に実行させ
前記複数の区画のそれぞれにおける前記第1辺の長さは、互いに同じ長さを表す
領域管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、領域管理方法、領域管理装置、及び領域管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、圃場において行われた作業に関する情報を用いて栽培管理の分析を行うことが研究されている。
【0003】
特許文献1には、圃場をメッシュ状に分割して、分割した区画ごとに収量を表示して、栽培管理の分析を行う技術が開示されている。ここで、収量は、コンバインに搭載された測位装置が所定の周期で位置を取得し、取得された位置に対応して測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-078819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収量が測定された位置の間隔に比べて、区画の大きさが小さいとき、区画ごとに収量データのムラが生じ得る。この収量データのムラにより、ユーザは、圃場を分割した領域ごとに収量を容易に把握することができない場合がある。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、評価情報を表示するために用いられる区画の大きさを決定することで、ユーザによる評価情報の容易な把握を支援することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による領域管理方法は、圃場(500)で移動して作業を行う作業装置(30)の各時刻における複数の位置情報(560)のうち、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の隣接距離に基づき、圃場(500)を分割する矩形状に形成された複数の区画(510)の第1辺の長さを決定することを含む。また、領域管理方法は、複数の区画(510)の第1辺の長さに基づき、複数の区画(510)の位置を決定することを含む。さらに、領域管理方法は、複数の区画(510)における作業を表す評価情報を出力することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による領域管理装置(100)は、区画決定部(160)と、出力部(170)とを備える。区画決定部(160)は、圃場(500)で移動して作業を行う作業装置(30)の各時刻における複数の位置情報(560)のうち、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の隣接距離に基づき、圃場(500)を分割する矩形状に形成された複数の区画(510)の第1辺の長さを決定し、決定された第1辺の長さに基づき、複数の区画(510)の位置を決定する。出力部(170)は、複数の区画(510)における作業を表す評価情報を出力する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による領域管理プログラム(310)は、圃場(500)で移動して作業を行う作業装置(30)の各時刻における複数の位置情報(560)のうち、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の隣接距離に基づき、圃場(500)を分割する矩形状に形成された複数の区画(510)の第1辺の長さを決定することを演算装置(120)に実行させる。また、領域管理プログラム(310)は、複数の区画(510)の第1辺の長さに基づき、複数の区画(510)の位置を決定することを演算装置(120)に実行させる。さらに、領域管理プログラム(310)は、複数の区画(510)における作業を表す評価情報を出力することを演算装置(120)に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、ユーザによる評価情報の把握を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施の形態における領域管理システムの構成図である。
図2】一実施の形態における区画を説明するための図である。
図3】一実施の形態における領域管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図4】一実施の形態における領域管理システムによる処理を表すフローチャートである。
図5】一実施の形態における区画を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態による領域管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、領域管理システム1000は、領域管理装置100と、端末200とを備える。領域管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業装置30と通信可能に接続されている。
【0014】
作業装置30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、図2に示すように、各時刻の位置を表す位置情報560を取得する。このため、位置情報560は、作業装置30が移動した軌道550に沿った位置を表す。また、測位装置が所定の時間間隔で位置情報560を取得するため、時間的に隣接する2つの位置情報560は、距離561だけ互いに離れた位置を表す。作業装置30は、圃場内を移動して作業を行った各時刻における位置情報560を取得する。
【0015】
作業装置30は、位置情報560を含む稼働情報を、領域管理装置100に送信する。領域管理装置100は、作業装置30から圃場500での稼働情報を取得して、取得した稼働情報に基づき、作業領域、評価情報、例えば植付量、散布した農薬量、収穫量などを算出する。評価情報は、例えば作業装置30が取得した位置情報560に表される複数の位置に対して算出される。このため、評価情報は、距離561だけ離れた位置に対応して算出される。
【0016】
評価情報は、圃場500を分割した領域単位で栽培管理の分析を行うために、圃場500を分割した矩形状の区画510に対応して表示され得る。ここで、区画510の1辺の長さを表す区画長511が小さい場合、位置情報560を含まない区画510が生じる場合がある。位置情報560を含まない区画510における評価情報、例えば収量は、「0」と表示される。このため、位置情報560の距離561に対して区画長511が小さいと、評価情報を区画510に対応して表示しても、ユーザは、圃場500を分割した領域単位での評価情報を把握しにくい。
【0017】
そこで、領域管理システム1000は、隣接する2つの位置情報560の間の距離561に応じて、区画長511を設定する。これにより、領域管理システム1000は、位置情報560を含まない区画510が生じることを低減する。このため、ユーザは、圃場500を分割した領域単位における評価情報を把握しやすくなり、効率的に栽培管理の分析を行うことができる。
【0018】
なお、作業装置30が送信する稼働情報は、圃場500で作業を行っているときの作業装置30の状態を表す情報を含み、例えば作業装置30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況、作業装置30の各時刻の位置情報560、作業期間などを表す情報を含む。作業装置30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。作業装置30は、作業機械と一体に形成された車両、例えばコンバインなどでもよい。また、作業装置30は、農薬を散布するドローンでもよい。
【0019】
(領域管理システムの構成)
領域管理装置100の構成を説明する。領域管理装置100は、図1に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。領域管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0020】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業装置30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0021】
記憶装置140は、評価情報を表示するために用いられる区画510を決定するための様々なデータ、例えば圃場データ300と、領域管理プログラム310とを格納する。記憶装置140は、領域管理プログラム310を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。領域管理プログラム310は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0022】
圃場データ300は、作業装置30の稼働状態に基づき算出される各種情報を記憶する。圃場データ300は、例えば、作業圃場と、作業領域と、作業種別と、圃場内の各位置における評価情報とを関連付けて記憶する。作業圃場は、作業装置30が作業を行った圃場500を表す。作業領域は、作業装置30が実際に作業を行った圃場内の領域を表す。評価情報は、栽培管理の分析に用いられる各種情報を表す。評価情報は、作業装置30により行われた作業を表し、作業装置30により使用された資材量、例えば施肥量や農薬の散布量に関する情報などを含んでもよい。また、評価情報は、作業装置30により収穫された収量に関する情報を表す。また、評価情報は、区画510ごとに使用された資材量の大小を表してもよく、例えば資材量を正規化した値を表してもよい。評価情報は、作業装置30により取得された位置情報560に表される各位置に関連付けて表されている。
【0023】
演算装置120は、領域管理プログラム310を記憶装置140から読み出し実行して、評価情報を表示するために用いられる区画510を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0024】
演算装置120は、領域管理プログラム310を読み出し実行することで、図3に示すように、データ記憶部150と、区画決定部160と、出力部170とを実現する。データ記憶部150は、稼働情報に基づき評価情報を算出して、算出した評価情報を圃場データ300に記憶する。区画決定部160は、稼働情報に含まれる位置情報560に基づき、圃場500の区画510を決定する。出力部170は、決定された区画510に対応する評価情報を出力する。
【0025】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、図1に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0026】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、領域管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を領域管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0027】
記憶装置240は、評価情報を表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム320を格納する。記憶装置240は、表示プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0028】
演算装置220は、表示プログラム320を読み出し実行することで、図3に示すように、入出力装置210と協働して、表示部250を実現する。表示部250は、領域管理装置100から評価情報を取得して、取得した評価情報を表示する。
【0029】
(領域管理システムの動作)
図1に示す作業装置30は、圃場500での作業を行うと、稼働情報を領域管理装置100の演算装置120に送信する。例えば、作業装置30は、エンジンを停止したときに、エンジンを起動してから停止するまでの稼働情報を領域管理装置100の演算装置120に送信する。演算装置120は、作業装置30の稼働情報を受信すると、領域管理プログラム310を読み出し実行する。領域管理プログラム310が読み出し実行されると、演算装置120は、領域管理方法の一部である図4に示す処理を開始する。
【0030】
ステップS110において、演算装置120により実現されるデータ記憶部150は、作業装置30の稼働情報を取得する。また、データ記憶部150は、取得された稼働情報から位置情報560を抽出する。さらに、データ記憶部150は、取得された稼働情報に基づき、位置情報560に表される複数の位置に対する評価情報を算出する。算出された評価情報は、圃場データ300に記憶される。
【0031】
ステップS120において、区画決定部160は、区画510を並べる方向を決定する。例えば、区画510を並べる方向は、端末200から取得される。端末200の演算装置220は、圃場データ300に記憶された評価情報を表示する操作に応じて、表示プログラム320を読み出し実行する。演算装置220により実現される表示部250は、ユーザにより入出力装置210に入力される区画510を並べる方向を取得する。例えば、図5に示すように、区画510を並べる方向は、第1方向512を表す。また、区画510を並べる方向は、第1方向512に直交する第2方向513を表してもよい。端末200の表示部250は、領域管理装置100の区画決定部160に、区画510を並べる方向を表す情報を送信する。なお、区画510を並べる方向は、予め決定されていてもよく、例えば緯線または経線に平行な方向に決定されてもよい。区画510を並べる方向は、区画510の輪郭線(外形線)を形成する辺のうち、いずれか1辺の延びる方向を表す。
【0032】
図4に示すステップS130において、区画決定部160は、作業装置30の位置情報560に基づき、区画510の大きさを決定する。例えば、区画決定部160は、図5に示すように、時間的に隣接する2つの位置情報560、例えば第1位置情報560-1と第2位置情報560-2とが表す2つの位置の間の距離561に基づき、区画510の大きさを決定する。ここで、時間的に隣接する2つの位置情報560を隣接位置情報と呼び、隣接位置情報が表す2つの位置を隣接位置と呼び、2つの隣接位置の間の距離561を隣接距離と呼ぶ。
【0033】
最初に、区画決定部160は、作業装置30が直線状に移動した直線軌道551に対応する位置情報560を抽出する。作業装置30が圃場500で作業を行うときの軌道550は、直線状に移動して作業を行う直線軌道551と、進行方向を反転する旋回軌道552とを含む。区画決定部160は、例えば、隣接する3つの位置情報560、例えば第1位置情報560-1と、第2位置情報560-2と、第3位置情報560-3とが表す位置が直線状に並んでいるかを判定する。区画決定部160は、第1位置情報560-1が表す位置と第2位置情報560-2が表す位置とを結ぶ第1直線と、第2位置情報560-2が表す位置と第3位置情報560-3が表す位置とを結ぶ第2直線とを算出する。第1直線と第2直線との成す角度と180度との差が閾値より小さいとき、区画決定部160は、第1位置情報560-1と、第2位置情報560-2と、第3位置情報560-3とが直線軌道551に対応すると判定する。区画決定部160は、各位置情報560が直線軌道551に対応するかを判定することで、取得された位置情報560のうち、直線軌道551に対応する位置情報560を抽出する。
【0034】
次に、区画決定部160は、直線軌道551に対応する位置情報560において、2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の間の距離561を算出する。例えば、区画決定部160は、時間的に隣接する2つの隣接位置情報として、第1位置情報560-1と、第2位置情報560-2とを抽出する。抽出された第1位置情報560-1が表す位置から第2位置情報560-2が表す位置までの距離561を、区画決定部160は算出する。この距離561は、直線軌道551に対応する時間的に隣接する2つの位置情報560の各組み合わせについて、算出される。
【0035】
次に、区画決定部160は、距離561を算出した隣接位置情報の組み合わせのうち、最も長い距離561を有する隣接位置情報の組み合わせを決定し、決定された組み合わせの距離561に基づき、区画長511の最小値を算出する。例えば、区画決定部160は、区画510が並べられる方向、例えば第1方向512における距離561の長さ、例えば第1距離562を区画長511の最小値として算出する。この場合、隣接位置情報の組み合わせから、距離561が最も長い2つの隣接位置情報の組み合わせが決定される。区画決定部160は、決定された2つの隣接位置情報について、第1方向512における距離561の長さを表す第1距離562を算出する。算出された第1距離562が区画長511の最小値として算出される。
【0036】
次に、区画決定部160は、算出された区画長511の最小値を表す最小値情報を、端末200の表示部250に送信し、端末200からの応答に表される区画長511に基づき、区画510の大きさを決定する。例えば、区画決定部160は、算出された区画長511の最小値を表す最小値情報を、区画長要求信号として、端末200の表示部250に送信する。表示部250は、区画長要求信号に基づき、区画長511の最小値より大きな複数の値を入出力装置210に表示する。例えば、表示部250は、区画510の1辺の長さとして設定される複数の値、例えば10mと、5mと、3mと、1mとを表示する。表示部250は、表示された複数の値のうち、区画長511の最小値以上の値を選択可能に表示し、区画長511の最小値より小さな値を選択不可能に表示する。例えば、表示部250は、区画長511の最小値が2mであるとき、10mと、5mと、3mとを選択可能に表示し、1mを選択不可能に表示する。ユーザは、入出力装置210に選択可能に表示された複数の値から、区画510の1辺の長さを選択する操作を入出力装置210に入力する。表示部250は、選択された1辺の長さを表す情報を領域管理装置100の区画決定部160に送信する。区画決定部160は、取得された1辺の長さを、区画510の1辺の長さとして決定する。
【0037】
図4に示すステップS140において、区画決定部160は、区画510の1辺の長さに基づき、複数の区画510の位置を決定する。例えば、最初に、区画決定部160は、第1方向512に延びる2つの直線と、第2方向513に延びる2つの直線とに囲まれ、圃場500の外接矩形515を算出する。外接矩形515は、輪郭に第1方向512に延びる線分と、第2方向513に延びる線分とを含み、圃場500を囲む最も小さい矩形を表す。
【0038】
次に、区画決定部160は、外接矩形515の1つの頂点を基準点516として決定する。基準点516は、例えば、外接矩形515の南西の頂点である。
【0039】
最後に、区画決定部160は、基準点516に基づき、複数の区画510の位置を決定する。基準点516が複数の区画510のうちの1つの区画510の1つの頂点を表すように、区画決定部160は、基準となる1つの区画510の位置を決定する。決定された区画510の位置から第1方向512と、第2方向513とに区画510が並ぶように、区画決定部160は複数の区画510の位置を決定する。
【0040】
例えば、区画決定部160は、基準点516に基づき、複数の区画510の輪郭線を決定する。具体的には、区画決定部160は、基準点516を通り、第1方向512に延びる第1平行直線を決定する。区画決定部160は、決定された第1平行直線に平行し、かつ、隣接する平行直線の距離が算出された区画長511となるような複数の平行直線を決定する。さらに、区画決定部160は、基準点516を通り、第2方向513に延びる第1直交直線を決定する。区画決定部160は、第1直交直線に平行し、かつ、隣接する直交直線の距離が算出された区画長511となるような複数の直交直線を決定する。区画決定部160は、決定された複数の平行直線と複数の直交直線とで囲まれた複数の領域を、複数の区画510として決定する。
【0041】
図4に示すステップS150において、出力部170は、決定された区画510における評価情報を算出し、算出された評価情報を端末200の表示部250に出力する。例えば、出力部170は、圃場データ300に基づき、決定された区画510の各々に含まれる評価情報を取得する。具体的には、出力部170は、決定された区画510に含まれる位置情報560を圃場データ300から抽出し、抽出された位置情報560に関連付けられた評価情報を取得する。出力部170は、取得された評価情報を用いて、区画510における評価情報を算出する。例えば、評価情報が区画510ごとの総収量を比較するための値であるとき、出力部170は、区画510に含まれる位置情報560に関連付けられた収量の合計を区画510に含まれる位置情報560の数で除算して、評価情報を算出する。また、評価情報が単位面積当たりの収量であるとき、出力部170は、算出された総収量を、区画510に含まれる圃場500の面積で除算して、評価情報を算出する。出力部170は、算出された評価情報を、区画510と関連付けられて表す出力信号を生成する。生成された出力信号は、領域管理装置100の通信装置130から端末200の表示部250に出力される。
【0042】
ステップS160において、端末200の表示部250は、出力信号に基づき、評価情報を表示する。表示部250は、図5に示すように、区画決定部160により決定された区画510に対して評価情報を表示する。評価情報は、評価情報が表す値、例えば収量、農薬の散布量などに応じて、区別可能に表示される。例えば、評価情報は、評価情報が表す値に応じて、色分けされて表示される。また、評価情報は、ハッチングの種類により、区別されてもよい。
【0043】
このように、領域管理システム1000は、作業装置30の位置情報560に基づき、区画510の大きさを決定することで、ユーザによる栽培管理の分析を支援する。
【0044】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、区画決定部160は、位置情報560が含まれない区画510の形成を低減できれば、任意の方法で、区画510の1辺の長さを決定してもよい。例えば、区画決定部160は、距離561に関する第1方向512における第1距離562と、第2方向513における第2距離563とに基づき、区画510の1辺の長さを決定してもよい。具体的には、区画決定部160は、距離561に基づき、第1距離562と、第2距離563とを算出する。区画決定部160は、第1距離562と第2距離563とのうち、長い方を区画長511の最小値として決定する。
【0045】
また、位置情報560の組み合わせを決定する前に、区画決定部160は、区画長511の最小値として、第1方向512と、第2方向513とのいずれを用いるかを決定してもよい。例えば、区画決定部160は、第1方向512と第2方向513とから、第1位置情報560-1が表す位置と第2位置情報560-2が表す位置とを結ぶ直線となす角度が小さい方向を決定する。決定された方向、例えば第1方向512における距離561の長さを表す距離、例えば第1距離562を、区画決定部160は、時間的に隣接する2つの位置情報560の各組合せについて算出する。算出された第1距離562のうち、最も長い第1距離562が、区画長511の最小値として決定される。
【0046】
また、区画決定部160は、距離561の長さを区画長511の最小値として算出してもよい。この場合、時間的に隣接する2つの位置情報560の組み合わせに対して算出された距離561のうち、最も長い距離561が区画長511の最小値として算出される。
【0047】
このように、区画決定部160は、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の距離を表す長さ、例えば距離561、第1距離562、第2距離563などの最大値を区画長511の最小値として決定してもよい。
【0048】
また、区画決定部160は、時間的に隣接する2つの隣接位置情報が表す2つの隣接位置の距離を表す長さ、例えば距離561、第1距離562、第2距離563などの平均値を区画長511の最小値として決定してもよい。
【0049】
区画510の第1方向512の長さは、第2方向513の長さと異なってもよい。例えば、図4に示すステップS130において、ユーザは、区画510の第1方向512の長さと、第2方向513の長さとをそれぞれ選択する。区画決定部160は、選択された長さを端末200の表示部250から取得して、区画510の大きさを決定する。
【0050】
また、区画510における第1方向512の長さの最小値は、第2方向513の長さの最小値と異なってもよい。例えば、図4に示すステップS130において、区画決定部160は、位置情報560から、第1方向512における第1距離562と、第2方向513における第2距離563とをそれぞれ算出する。区画決定部160は、算出された第1距離562の最大値を、区画510における第1方向512の長さの最小値として決定する。また、区画決定部160は、算出された第2距離563の最大値を、区画510における第2方向513の長さの最小値として決定する。
【0051】
さらに、区画決定部160は、図5に示す直線軌道551の位置に基づき、区画510の1辺の長さの最小値を決定してもよい。区画決定部160は、互いに隣接する2つの直線軌道551の間の距離を表す直線軌道距離を算出する。また、区画決定部160は、位置情報560から、第1方向512における第1距離562の最大値と、第2方向513における第2距離563の最大値とをそれぞれ算出する。第1距離562の最大値が直線軌道距離より小さいとき、区画決定部160は、区画510の第1方向512における長さの最小値として、直線軌道距離を決定してもよい。また、第2距離563の最大値が直線軌道距離より小さいとき、区画決定部160は、区画510の第2方向513における長さの最小値として、直線軌道距離を決定してもよい。
【0052】
区画決定部160は、基準点516を任意の方法で決定してもよい。例えば、区画決定部160は、外接矩形515の幾何中心を基準点516と決定してもよい。
【0053】
圃場データ300に含まれる評価情報は、区画510に応じた値を算出できれば、任意の形式で記憶されてもよい。
【0054】
図5に示す時間的に隣接する2つの位置情報560の間の距離561は、直線軌道551に含まれない位置情報560を用いて算出されてもよい。例えば、作業装置30が旋回しながら作業を行うとき、区画決定部160は、直線軌道551に含まれない位置情報560を用いて、距離561を算出してもよい。この場合、区画決定部160は、直線軌道551と、旋回軌道552とを区別することなく、距離561を算出して、区画長511を決定する。
【0055】
区画決定部160は、ユーザが端末200の入出力装置210に入力した値に基づき、区画長511を決定してもよい。例えば、例えば、区画決定部160は、算出された区画長511の最小値を表す最小値情報を、区画長要求信号として、端末200の表示部250に送信する。表示部250は、区画長要求信号に基づき、区画長511の最小値を入出力装置210に表示する。ユーザは、入出力装置210に表示された区画長511の最小値に基づき、区画510の1辺の長さを入出力装置210に入力する。表示部250は、入力された1辺の長さを表す情報を領域管理装置100の区画決定部160に送信する。区画決定部160は、取得された1辺の長さを、区画510の1辺の長さとして決定する。
【0056】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、図1に示す領域管理システム1000に端末200は含まれなくてもよい。また、領域管理装置100の処理は、すべてまたは一部が端末200で実行されてもよい。また、端末200の処理は、すべてまたは一部が領域管理装置100で実行されてもよい。また、端末200は、作業装置30に組み込まれてもよい。また、領域管理プログラム310は、表示プログラム320を含んでもよい。
【符号の説明】
【0057】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業装置
100 :領域管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :データ記憶部
160 :区画決定部
170 :出力部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :表示部
300 :圃場データ
310 :領域管理プログラム
320 :表示プログラム
500 :圃場
510 :区画
511 :区画長(第1辺の長さ)
512 :第1方向
513 :第2方向
515 :外接矩形
516 :基準点
550 :軌道
551 :直線軌道
552 :旋回軌道
560 :位置情報
561 :距離(隣接距離)
562 :第1距離
563 :第2距離
1000 :領域管理システム
図1
図2
図3
図4
図5