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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】センサ及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20240207BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20240207BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20240207BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20240207BHJP
   A61B 5/245 20210101ALN20240207BHJP
   A61B 5/243 20210101ALN20240207BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 R
H10N50/10 Z
H01L29/82 Z
A61B5/245
A61B5/243
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021129777
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023023866
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-03-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤/サブテーマII:超低消費電力IoTデバイス・革新的センサ技術/超高感度センサシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】喜々津 哲
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 聡志
(72)【発明者】
【氏名】東 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 義成
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207167(JP,A)
【文献】特開2018-155719(JP,A)
【文献】特開2021-25820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/09
G01R 33/02
H10N 50/10
A61B 5/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素子及び第2素子を含む素子部であって、前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれは、第1磁気素子及び第1導電部材を含む、前記素子部と、
制御回路部であって、前記制御回路部は、
前記第1導電部材に交流成分を含む第1電流を供給可能な第1電流回路と、
前記第1素子の前記第1磁気素子の第1電気抵抗の変化に対応する第1信号と、前記第2素子の前記第1磁気素子の第2電気抵抗の変化に対応する第2信号と、の差に対応する差信号を出力可能な差動回路と、
前記交流成分を参照して前記差信号を位相検波することで検出対象から生じる検出磁界を検出可能な検波回路と、
を備え、
前記第1電気抵抗は、前記第1電流に対して偶関数状で変化し、前記第2電気抵抗は前記第1電流に対して偶関数状で変化する、センサ。
【請求項2】
前記制御回路部は、前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれの前記第1磁気素子に素子電流を供給可能な素子電流回路をさらに含み、
前記第1磁気素子は、一端部及び他端部を含み、前記素子電流は、前記一端部から前記他端部へ流れ、
前記第1導電部材は、前記一端部に対応する第1導電部材一部と、前記他端部に対応する第1導電部材他部と、を含み、
前記第1電流は、前記第1導電部材一部から前記第1導電部材他部への向き、または、第1導電部材他部から前記第1導電部材一部への向きを有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第1磁気素子は、
第1磁性層と
第1対向磁性層と、
前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
を含み、
前記第1対向磁性層から前記第1磁性層への第2方向は、前記第1磁気素子の一端部から前記第1磁気素子の他端部への第1方向と交差した、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれは、
第2磁気素子及び第2導電部材と、
第1抵抗素子と、
第2抵抗素子と、
をさらに含み、
前記第1磁気素子の一端部は、前記第1抵抗素子の一端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の一端部は、前記第1磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第2抵抗素子の一端部は、前記第1抵抗素子の他端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の他端部は、前記第2抵抗素子の他端部と電気的に接続され、
前記第1電流回路は、前記第2導電部材に前記第1電流を供給可能であり、
前記制御回路部は、検出回路をさらに含み、
前記検出回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第1素子の前記第1抵抗素子の前記他端部と、の間の第1電位の変化を前記第1信号として検出可能であり、
前記検出回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第2素子の前記第1抵抗素子の前記他端部と、の間の第2電位の変化を前記第2信号として検出可能である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記制御回路部は、素子電流回路をさらに含み、
前記素子電流回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第1素子の前記第1抵抗素子の前記一端部との間の接続点と、前記第1素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第1素子の前記第2抵抗素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能であり、
前記素子電流回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第2素子の前記第1抵抗素子の前記一端部との間の接続点と、前記第2素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第2素子の前記第2抵抗素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能である、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれは、
第2磁気素子及び第2導電部材と、
第3磁気素子及び第3導電部材と、
第4磁気素子及び第4導電部材と、
をさらに含み、
前記第1磁気素子の一端部は、前記第3磁気素子の一端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の一端部は、前記第1磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第4磁気素子の一端部は、前記第3磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の他端部は、前記第4磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第1電流回路は、前記第2導電部材、前記第3導電部材及び前記第4導電部材に前記第1電流を供給可能であり、
前記制御回路部は、検出回路をさらに含み、
前記検出回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第1素子の前記第3磁気素子の前記他端部と、の間の第1電位の変化を前記第1信号として検出可能であり、
前記検出回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第2素子の前記第3磁気素子の前記他端部と、の間の第2電位の変化を前記第2信号として検出可能である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記制御回路部は、素子電流回路をさらに含み、
前記素子電流回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第1素子の前記第3磁気素子の前記一端部との間の接続点と、前記第1素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第1素子の前記第4磁気素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能であり、
前記素子電流回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第2素子の前記第3磁気素子の前記一端部との間の接続点と、前記第2素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第2素子の前記第4磁気素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能である、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1導電部材は、前記第1磁気素子の前記一端部に対応する第1導電部材一部と、前記第1磁気素子の前記他端部に対応する第1導電部材他部と、を含み、
前記第2導電部材は、前記第2磁気素子の前記一端部に対応する第2導電部材一部と、前記第2磁気素子の前記他端部に対応する第2導電部材他部と、を含み
前記第3導電部材は、前記第3磁気素子の前記一端部に対応する第3導電部材一部と、前記第3磁気素子の前記他端部に対応する第3導電部材他部と、を含み、
前記第4導電部材は、前記第4磁気素子の前記一端部に対応する第4導電部材一部と、前記第4磁気素子の前記他端部に対応する第4導電部材他部と、を含み
前記第1電流が前記第1導電部材他部から前記第1導電部材一部への向きに流れているときに、前記第1電流は前記第2導電部材一部から前記第2導電部材他部への向きに流れ、前記第1電流は前記第3導電部材一部から前記第3導電部材他部への向きに流れ、前記第1電流は前記第4導電部材他部から前記第4導電部材一部への向きに流れる、請求項6または7に記載のセンサ
【請求項9】
前記差動回路の少なくとも一部は、アナログ回路に含まれ、
前記検波回路の少なくとも一部は、FPGAに含まれる、請求項1~8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから出力される信号を処理可能な処理部と、
を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサ及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性層を用いたセンサがある。センサを用いた検査装置がある。センサにおいて、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-155719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、センサは、素子部及び制御回路部を含む。前記素子部は、第1素子及び第2素子を含む。前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれは、第1磁気素子及び第1導電部材を含む。前記制御回路部は、第1電流回路、差動回路及び検波回路を含む。前記第1電流回路は、前記第1導電部材に交流成分を含む第1電流を供給可能である。前記差動回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の第1電気抵抗の変化に対応する第1信号と、前記第2素子の前記第1磁気素子の第2電気抵抗の変化に対応する第2信号と、の差に対応する差信号を出力可能である。前記検波回路は、前記交流成分を参照して前記差信号を位相検波可能である。前記第1電気抵抗は、前記第1電流に対して偶関数状で変化し、前記第2電気抵抗は前記第1電流に対して偶関数状で変化する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係るセンサの特性を例示する模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係るセンサの特性を例示する模式図である。
図4図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係るセンサの特性を例示するグラフ図である。
図5図5は、参考例に係るセンサを例示する模式図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、センサの特性を例示する模式図である。
図7図7(a)~図7(h)は、センサの特性を例示する模式図である。
図8図8は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的斜視図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図10図10は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図11図11(a)~図11(d)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図13図13は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図14図14は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図15図15は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図16図16は、第2実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
図17図17は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図1に示すように、実施形態に係るセンサ110は、素子部10U及び制御回路部70を含む。素子部10Uは、第1素子10A及び第2素子10Bを含む。第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれは、第1磁気素子11E及び第1導電部材21を含む。
【0009】
制御回路部70は、第1電流回路71、差動回路72及び検波回路74を含む。第1電流回路71は、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれの第1導電部材21に第1電流I1を供給可能である。第1電流I1は、交流成分を含む。第1電流I1は、例えば交流電流である。
【0010】
第1素子10Aの第1磁気素子11Eから、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの第1電気抵抗の変化に対応する第1信号S1が得られる。第2素子10Bの第1磁気素子11Eから、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの第2電気抵抗の変化に対応する第2信号S2が得られる。
【0011】
差動回路72に、第1信号S1及び第2信号S2が供給される。差動回路72は、差信号S3を出力可能である。差信号S3は、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの第1電気抵抗の変化に対応する第1信号S1と、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの第2電気抵抗の変化に対応する第2信号S2と、の差に対応する。
【0012】
検波回路74は、交流成分を参照して差信号S3を位相検波可能である。この例では、第1電流回路71から、第1電流I1の交流成分に対応する参照信号Rf1が検波回路74に供給される。検波回路74に差信号S3が供給される。検波回路74は、参照信号Rf1に基づいて差信号S3を検波して、出力信号Sg1を出力する。
【0013】
第1電気抵抗は、第1電流I1に対して偶関数状で変化する。第2電気抵抗は、第1電流I1に対して偶関数状で変化する。第1素子10Aの第1磁気素子11E及び第2素子10Bの第1磁気素子11Eは、例えば、偶関数素子である。このような第1磁気素子11Eと組み合わされる第1導電部材21に交流成分を含む第1電流I1が供給される。これにより、検出対象80の検出磁界をより高い精度で検出することができる。
【0014】
図1に示すように、例えば、制御回路部70は、素子電流回路75をさらに含んでも良い。素子電流回路75は、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれの第1磁気素子11Eに素子電流Idを供給可能である。素子電流Idを用いて、第1素子10Aから、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの第1電気抵抗の変化に対応する第1信号S1が得られる。素子電流Idを用いて、第2素子10Bから、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの第2電気抵抗の変化に対応する第2信号S2が得られる。
【0015】
例えば、素子電流回路75と、第1素子10Aの第1磁性素子11Eとの接続点に第1信号S1が生じる。例えば、素子電流回路75と、第2素子10Bの第1磁性素子11Eとの接続点に第2信号S2が生じる。第1素子10Aの第1磁性素子11Eの他部、及び、第2素子10Bの第1磁性素子11Eの他部は、例えば、グランド電位に設定される。
【0016】
図1は、素子部10Uを例示している。第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第1磁気素子11Eは、一端部11Ee及び他端部11Efを含む。素子電流Idは、一端部11Eeから他端部11Efへ流れる。第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第1導電部材21は、第1導電部材一部21e及び第1導電部材他部21fを含む。第1導電部材一部21eは、第1磁気素子11Eの一端部11Eeに対応する。第1導電部材他部21fは、第1磁気素子11Eの他端部11Efに対応する。
【0017】
例えば、一端部11Eeから他端部11Efへの第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0018】
第1電流I1は、第1導電部材一部21eから第1導電部材他部21fへの向き、または、第1導電部材他部21fから第1導電部材一部21eへの向きを有する。第1電流I1は、X軸方向に沿う成分を含む。このような構成の第1導電部材21と第1磁気素子11Eとが組み合わされる。第1磁気素子11Eにおいて、第1電流I1に対して偶関数状の電気抵抗の変化が得られる。
【0019】
以下、第1導電部材21に第1電流I1が流れたときの第1磁気素子11Eの電気抵抗の変化の例について説明する。以下の説明は、後述する第2~第4磁気素子に適用できる。
【0020】
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係るセンサの特性を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、第1導電部材21に流れる第1電流I1の値に対応する。縦軸は、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxである。図2(a)及び図2(b)に示すように、実施形態において、電気抵抗Rxは、第1電流I1の変化に対して偶関数の特性を示す。
【0021】
例えば、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、第1導電部材21に第1値電流Ia1が供給されたときに第1値R1である。電気抵抗Rxは、第1導電部材21に第2値電流Ia2が供給されたときに第2値R2である。電気抵抗Rxは、第1導電部材21に第3値電流Ia3が供給されたときに第3値R3である。第1値電流Ia1の絶対値は、第2値電流Ia2の絶対値よりも小さく、第3値電流Ia3の絶対値よりも小さい。第1値電流Ia1は、例えば、実質的に0で良い。第2値電流Ia2の向きは、第3値電流Ia3の向きと逆である。
【0022】
図2(a)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも低く、第3値R3よりも低い。第1値R1は、例えば、電気抵抗の最低値である。図2(b)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも高く、第3値R3よりも高い。第1値R1は、例えば、電気抵抗の最高値である。
【0023】
例えば、第1導電部材21に電流が流れないときに、電気抵抗Rxは、第4値R4である。例えば、第1値R1は、電流が流れないときの第4値R4と実質的に同じで良い。例えば、第1値R1と第4値R4との差の絶対値の第4値R4に対する比は、0.01以下である。比は、0.001以下でも良い。正負の電流に対して、実質的に偶関数の特性が得られる。
【0024】
このような第1電流I1と電気抵抗Rxとの間の関係は、第1電流I1による磁界が第1磁気素子11Eに印加され、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxが磁界の強さに応じて変化することに基づく。
【0025】
第1磁気素子11Eに外部磁界が印加されたときの電気抵抗Rxも、図2(a)または図2(b)に示した例と同様に偶関数の特性を示す。外部磁界は、例えば、Z軸方向に沿う成分を含む。
【0026】
図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係るセンサの特性を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、第1磁気素子11Eに印加される外部磁界Hexの強度である。縦軸は、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxである。これらの図は、R-H特性に対応する。図3(a)及び図3(b)に示すように、電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに印加される磁界(外部磁界Hex、例えば、Z軸方向の成分を含む磁界)に対して偶関数の特性を有する。
【0027】
図3(a)及び図3(b)に示すように、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第1磁界Hex1が印加されたときに第1値R1である。電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第2磁界Hex2が印加されたときに第2値R2である。電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第3磁界Hex3が印加されたときに第3値R3である。第1磁界Hex1の絶対値は、第2磁界Hex2の絶対値よりも小さく、第3磁界Hex3の絶対値よりも小さい。第2磁界Hex2の向きは、第3磁界Hex3の向きと逆である。
【0028】
図3(a)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも低く、第3値R3よりも低い。図3(b)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも高く、第3値R3よりも高い。例えば、第1磁気素子11Eに外部磁界Hexが印加されないときに、電気抵抗Rxは、第4値R4である。第1値R1は、外部磁界Hexが印加されないときの第4値R4と実質的に同じである。例えば、第1値R1と第4値R4との差の絶対値の第4値R4に対する比は、0.01以下である。比は、0.001以下でも良い。正負の外部磁界に対して、実質的に偶関数の特性が得られる。
【0029】
このような偶関数の特性を利用して、以下のように、高感度の検出が可能である。
以下では、第1電流I1は交流電流であり、直流成分を実質的に含まない場合の例について説明する。第1導電部材21に第1電流I1(交流電流)が供給され、交流電流による交流磁界が第1磁気素子11Eに印加される。このときの電気抵抗Rxの変化の例について説明する。
【0030】
図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係るセンサの特性を例示するグラフ図である。
図4(a)は、第1磁気素子11Eに印加される信号磁界Hsig(外部磁界)が0のときの特性を示す。図4(b)は、信号磁界Hsigが正のときの特性を示す。図4(c)は、信号磁界Hsigが負のときの特性を示す。これらの図は、磁界Hと抵抗R(電気抵抗Rxに対応)との関係を示す。
【0031】
図4(a)に示すように、信号磁界Hsigが0のときは、抵抗Rは、正負の磁界Hに対して対称な特性を示す。交流磁界Hacがゼロのときに、抵抗Rは、低い抵抗Roである。例えば、第1磁気素子11Eに含まれる磁性層の磁化が、正負の磁界Hに対して実質的に同じように回転する。このため、対称な抵抗の変化が得られる。交流磁界Hacに対する抵抗Rの変動は、正負の極性で同じ値になる。抵抗Rの変化の周期は、交流磁界Hacの周期の1/2倍となる。抵抗Rの変化の周波数は、交流磁界Hacの周波数の2倍となる。抵抗Rの変化は、交流磁界Hacの周波数成分を実質的に有しない。
【0032】
図4(b)に示すように、正の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、正の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、例えば抵抗Rが高くなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは低くなる。
【0033】
図4(c)に示すように、負の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、負の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、例えば、抵抗Rが低くなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは高くなる。
【0034】
所定の大きさの信号磁界Hsigが加わったときに、交流磁界Hacの正負に対して、互いに異なる抵抗Rの変動が生じる。交流磁界Hacの正または負に対する抵抗Rの変動の周期は、交流磁界Hacの周期と同じである。したがって、出力電圧における交流磁界Hacの周波数成分が、信号磁界Hsigに応じた出力電圧となる。
【0035】
信号磁界Hsigが時間的に変化しない場合に上記の特性が得られる。信号磁界Hsigが交流磁界Hacよりも低い周波数で時間的に変化する場合は、以下となる。信号磁界Hsigの周波数を信号周波数fsigとする。交流磁界Hacの周波数を交流周波数facとする。このとき、fac±fsigの周波数において、信号磁界Hsigに応じた出力が発生する。
【0036】
信号磁界Hsigが時間的に変化する場合において、信号周波数fsigは、例えば、1kHz以下である。一方、交流周波数facは、信号周波数fsigよりも十分に高い。例えば、交流周波数facは、信号周波数fsigの10倍以上である。
【0037】
例えば、交流磁界Hacの周波数と同じ周波数の成分(交流周波数成分)の出力電圧を抽出することで、信号磁界Hsigを高い精度で検出できる。実施形態に係るセンサ110においては、このような特性を利用して、検出対象80から生じる外部磁界Hex(信号磁界Hsig)を高い感度で検出することができる。
【0038】
このような特性は、第1素子10A及び第2素子10Bにおいて得られる。第1素子10Aの位置、第2素子10Bの位置とは異なる。検出対象80からの距離は、第1素子10Aと第2素子10Bとの間において異なる。例えば、第1素子10Aは、検出対象80から遠く、第2素子10Bは、検出対象80に近い。この場合、第1素子10Aには、検出対象から生じる検出磁界(例えば信号磁界Hsig)は低い強度で印加される。一方、第2素子10Bには、検出対象80から生じる検出磁界(例えば信号磁界Hsig)が高い強度で印加される。
【0039】
このような第1素子10A及び第2素子10Bから得られる信号の差を検出することで、検出対象80から生じる検出信号以外の磁界(例えばノイズ)を効果的に除去できる。目的とする検出対象80から生じる検出信号がより高い精度で検出できる。
【0040】
上記のように、実施形態においては、まず、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの第1電気抵抗の変化に対応する第1信号S1と、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの第2電気抵抗の変化に対応する第2信号S2と、の差に対応する差信号S3が導出される。その後、交流成分を参照して差信号S3が位相検波される。これにより、よりノイズを抑制できる。特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0041】
一方、参考例として、まず、第1信号S1及び第2信号S2のそれぞれを位相検波して得られる2つの信号の差を導出する構成が考えられる。この場合、ノイズの低減が十分ではないことが分かった。以下、参考例について説明する。
【0042】
図5は、参考例に係るセンサを例示する模式図である。
図5に示すように、参考例に係るセンサ119においても、素子部10U及び制御回路部70が設けられる。センサ119においては、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの第1電気抵抗の変化に対応する第1信号S1が検波回路74Aにより検波されて検波信号S4aが得られる。第2素子10Bの第1磁気素子11Eの第2電気抵抗の変化に対応する第2信号S2が検波回路74Bにより検波されて検波信号S4bが得られる。差動回路72により、検波信号S4a及び検波信号S4bの差に対応する出力信号Sg2が導出される。
【0043】
以下、実施形態に係るセンサ110及び参考例に係るセンサ119における特性の例について説明する。
【0044】
図6(a)及び図6(b)は、センサの特性を例示する模式図である。
図6(a)は、センサ110に対応する。図6(b)は、センサ119に対応する。これらの図の横軸は時間tmである。
【0045】
図6(a)に示すように、センサ110において、第1信号S1及び第2信号S2のそれぞれは、例えば、大きい振幅の成分と、小さい振幅の成分と、を含む。大きい振幅の成分は、検出対象80に応じた信号が交流磁界Hacで変調された信号である。小さい振幅の成分は、例えば第1電流I1に含まれるノイズ(ACノイズ)である。第1信号S1及び第2信号S2のそれぞれに含まれるACノイズは同相である。このため、センサ110において、差信号S3では、ACノイズは減少する。差信号S3を交流磁界Hacの参照信号で位相検波して得られる出力信号Sg1において、ACノイズは小さい。復調して得られる出力信号Sg1において、ACノイズを低減できる。
【0046】
図6(b)に示すように、センサ119においても、第1信号S1及び第2信号S2のそれぞれは、例えば、大きい振幅の成分(検出対象80が交流磁界Hacで変調された信号に対応)と、小さい振幅の成分(ACノイズ)と、を含む。センサ119においては、第1信号S1及び第2信号S2がそれぞれ交流磁界Hacの参照信号で位相検波されて、検波信号S4a及び検波信号S4bが導出される。検波信号S4a及び検波信号S4bのそれぞれは、ACノイズを含んで復調される。復調課程を経ているため、ACノイズに対応する成分は、検波信号S4a及び検波信号S4bにおいて同相ではない。このため、検波信号S4a及び検波信号S4bの差に対応する出力信号Sg2において、ACノイズに対応する成分が残る。センサ119においては、出力信号Sg2において、ACノイズを低減することが困難である。
【0047】
このように、第1信号S1及び第2信号S2の差に対応する差信号S3を求めた後で差信号S3を位相検波することでノイズをより低減できる。信号処理の順番が逆の参考例では低減が困難な第1電流I1に含まれるACノイズを効果的に低減できる。実施形態において、第1電流I1が第1導電部材21に供給される構成において生じるACノイズを低減できるという、特別な効果が得られる。特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0048】
図7(a)~図7(h)は、センサの特性を例示する模式図である。
図7(a)~図7(d)は、センサ110に対応する。図7(e)~図7(h)は、センサ119に対応する。これらの図は、FFT(Fast Fourier Transform)処理信号に対応する。これらの図の横軸は周波数frである。これらの図の縦軸は、信号強度SSに対応する。
【0049】
図7(a)に示すように、センサ110において、検出対象80の信号磁界Hsigに加えて、ノイズN1が存在する。ノイズN1は、例えば環境に存在するノイズである。
【0050】
図7(b)に示すように、交流成分を含む第1電流I1により、信号磁界Hsigが変換され、第1信号S1及び第2信号S2が得られる。これらの信号は、第1電流I1に含まれるACノイズN2を含む。
【0051】
図7(c)に示すように、第1信号S1及び第2信号S2の差に対応する差信号S3において、ACノイズN2が低減する。
【0052】
図7(d)に示すように、差信号S3を位相検波して得られる出力信号Sg1において、ACノイズN2が抑制される。
【0053】
図7(e)に示すように、センサ119においても、検出対象80の信号磁界Hsigに加えて、ノイズN1が存在する。
【0054】
図7(f)に示すように、交流成分を含む第1電流I1により、信号磁界Hsigが変換され、第1信号S1及び第2信号S2が得られる。これらの信号は、第1電流I1に含まれるACノイズN2を含む。
【0055】
図7(g)に示すように、第1信号S1及び第2信号S2のそれぞれを位相検波して得られる検波信号S4a及び検波信号S4bにおいては、ノイズN2を含む。
【0056】
図7(h)に示すように、検波信号S4a及び検波信号S4bの差に対応する出力信号Sg2において、ACノイズN2が残る。センサ119においては、ACノイズN2の低減が困難である。
【0057】
このように、例えば、第1電流I1に基づく交流磁界が磁気素子に印加される。これにより、検出磁界が高周波領域へ変調される。第1電流I1にノイズ(例えばACノイズN2)が含まれる場合がある。この場合、検出磁界と共にACノイズN2も高周波領域に変調される。
【0058】
参考例においては、ACノイズN2を含む変調信号が検波(復調)される。復調信号に、ACノイズN2が残る。第1素子10Aと第2素子10Bとで、復調されたACノイズN2の位相が互いに異なる。このため、その後の差動処理において、ACノイズN2は、除去できない。このため、参考例においては、検出信号にACノイズN2が残る。ノイズが大きい。
【0059】
一方、実施形態においては、第1素子10Aと第2素子10Bとで、ACノイズN2の位相が同じである。ACノイズN2を含む変調信号が差動処理される。これにより、ACノイズN2が除去される。その後、ACノイズN2が低減された差信号S3が検波(復調)される。このため、実施形態においては、出力信号Sg1において、ACノイズN2が低減される。
【0060】
実施形態によれば、例えば、ノイズを抑制した検出が可能になる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0061】
以下、実施形態に係る素子部10Uのいくつかの例について説明する。
【0062】
図8は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的斜視図である。
図8に示すように、第1素子10Aにおいて、第1磁気素子11Eは、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nを含む。第1非磁性層11nは、第1磁性層11と第1対向磁性層11oとの間に設けられる。
【0063】
第1対向磁性層11oから第1磁性層11への第2方向は、第1磁気素子11Eの一端部11Eeから第1磁気素子11Eの他端部11Efへの第1方向と交差する。第1方向は、例えば、X軸方向である。第2方向は、例えば、Y軸方向である。
【0064】
第1磁性層11の第1方向(X軸方向)に沿う長さを長さL1とする。第1磁性層11の第3方向に沿う長さを長さw1とする。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。第3方向は、例えばZ軸方向である。
【0065】
第1磁性層11の第2方向(Y軸方向)に沿う長さを長さt1とする。長さL1は、長さt1よりも長い。長さw1は、例えば、長さt1よりも長い。実施形態において、長さL1は、例えば、0.1μm以上10mm以下である。長さw1は、例えば、0.01μm以上1mm以下である。長さt1は、例えば、1nm以上100nm以下である。良好な偶関数状の特性が得易い。
【0066】
例えば、第1磁性層11及び第1対向磁性層11oは、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1非磁性層11nは、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁気素子11Eは、例えば、GMR(Giant Magneto Resistance)素子である。第1磁気素子11Eは、例えば、TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子でも良い。
【0067】
図8に示すように、第2素子10Bにおいて、第1素子10Aと同様な構成が適用されてよい。
【0068】
図8に示すように、第2素子10Bは、第1素子10Aと第3方向(例えばZ軸方向)において離れている。例えば、第1素子10Aの第3方向(Z軸方向)における位置は、第2素子10Bの第3方向における位置とは異なる。例えば、検出対象80と第1素子10Aとの間の第3方向に沿う距離は、検出対象80と第2素子10Bとの間の第3方向に沿う距離とは異なる。例えば、第1素子10Aと第2素子10Bとの間で、検出対象80に基づく磁界の強度が異なる。第1素子10Aと第2素子10Bとの間で、ノイズN1は実質的に同じである。
【0069】
実施形態において、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれは、ハーフブリッジまたはフルブリッジを含んでも良い。
【0070】
図9(a)及び図9(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
これらの図は、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれの構成の例を示している。第2素子10Bの構成は、第1素子10Aの構成と同様である。既に説明したように、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれは、第1磁気素子11E及び第1導電部材21を含む。
【0071】
図9(a)及び図9(b)に示すように、センサ111において、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれは、第2磁気素子12E、第2導電部材22、第1抵抗素子11R及び第2抵抗素子12Rをさらに含む。図9(a)及び図9(b)においては、図を見やすくするために、これらの要素が別の図として描かれている。
【0072】
図9(a)に示すように、第1磁気素子11Eの一端部11Eeは、第1抵抗素子11Rの一端部11Reと電気的に接続される。第2磁気素子12Eの一端部12Eeは、第1磁気素子11Eの他端部11Efと電気的に接続される。第2抵抗素子12Rの一端部12Reは、第1抵抗素子11Rの他端部11Rfと電気的に接続される。第2磁気素子12Eの他端部12Efは、第2抵抗素子12Rの他端部12Rfと電気的に接続される。
【0073】
第1磁気素子11E、第2磁気素子12E、第1抵抗素子11R及び第2抵抗素子12Rはブリッジ接続される。
【0074】
図9(a)に示すように、制御回路部70は、検出回路73をさらに含んでも良い。検出回路73は、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの他端部11Ef(例えば接続点CP3)と、第1素子10Aの第1抵抗素子11Rの他端部11Rf(例えば接続点CP4)と、の間の第1電位の変化を第1信号S1として検出可能である。検出回路73は、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの他端部11Ef(例えば接続点CP3)と、第2素子10Bの第1抵抗素子11Rの他端部11Rf(例えば接続点CP4)と、の間の第2電位の変化を第2信号S2として検出可能である。
【0075】
図9(a)に示すように、例えば、制御回路部70は、素子電流回路75をさらに含んでも良い。素子電流回路75は、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの一端部11Eeと第1素子10Aの第1抵抗素子11Rの一端部11Reとの間の接続点CP1と、第1素子10Aの第2磁気素子12Eの他端部12Efと第1素子10Aの第2抵抗素子12Rの他端部12Rfとの間の接続点CP2と、の間に素子電流Idを供給可能である。
【0076】
図9(b)に示すように、素子電流回路75は、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの一端部11Eeと第2素子10Bの第1抵抗素子11Rの一端部11Reとの間の接続点CP1と、第2素子10Bの第2磁気素子12Eの他端部12Efと第2素子10Bの第2抵抗素子12Rの他端部12Rfとの間の接続点CP2と、の間に素子電流Idを供給可能である。
【0077】
図9(b)に示すように、第1導電部材21の少なくとも一部は、第1磁気素子11Eと重なって良い。第2導電部材22の少なくとも一部は、第1磁気素子11Eと重なって良い。第2導電部材22は、第1導電部材21の一部と見なされても良い。この場合、第2導電部材22が設けられない。第2導電部材22と第1導電部材21との間の境界は明確でも不明確でも良い。第1電流回路71は、第1導電部材21及び第2導電部材22に第1電流I1を供給可能である。
【0078】
図9(b)に示すように、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第1導電部材21は、第1磁気素子11Eの一端部11Eeに対応する第1導電部材一部21eと、第1磁気素子11Eの他端部11Efに対応する第1導電部材他部21fと、を含む。
【0079】
第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第2導電部材22は、第2磁気素子12Eの一端部12Eeに対応する第2導電部材一部22eと、第2磁気素子12Eの他端部12Efに対応する第2導電部材他部22fと、を含む。
【0080】
第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第1電流I1が第1導電部材他部21fから第1導電部材一部21eへの向きに流れているときに、第1電流I1は第2導電部材一部22eから第2導電部材他部22fへの向きに流れる。第1導電部材21及び第2導電部材22において、第1電流I1の向きが逆である。第1導電部材21及び第2導電部材22において、第1電流I1の位相が逆である。
【0081】
図9(b)に示すように、例えば、第1電流回路71は、第1磁気素子11Eの他端部11Ef及び第2磁気素子12Eの一端部12Eeの接続点CP5と、第1磁気素子11Eの一端部11Ee及び第2磁気素子12Eの他端部12Efの接続点CP6と、の間に、第1電流I1を供給する。
【0082】
図10、及び、図11(a)~図11(d)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
これらの図は、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれの構成の例を示している。第2素子10Bの構成は、第1素子10Aの構成と同様である。既に説明したように、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれは、第1磁気素子11E及び第1導電部材21を含む。
【0083】
図10及び図11(a)に示すように、センサ112において、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれは、第2~第4磁気素子12E~14E、及び、第2~第4導電部材22~24をさらに含む。これらの図においては、図を見やすくするために、これらの要素が別の図として描かれている。
【0084】
図10に示すように、第1磁気素子11Eの一端部11Eeは、第3磁気素子13Eの一端部13Eeと電気的に接続される。第2磁気素子12Eの一端部12Eeは、第1磁気素子11Eの他端部11Efと電気的に接続される。第4磁気素子14Eの一端部14Eeは、第3磁気素子13Eの他端部13Efと電気的に接続される。第2磁気素子12Eの他端部12Efは、第4磁気素子14Eの他端部14Efと電気的に接続される。
【0085】
図11(a)に示すように、第1電流回路71は、第1導電部材21、第2導電部材22、第3導電部材23及び第4導電部材24に第1電流I1を供給可能である。
【0086】
図10に示すように、制御回路部70は、検出回路73をさらに含んでも良い。検出回路73は、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの他端部11Ef(例えば接続点CP3)と、第1素子10Aの第3磁気素子13Eの他端部13Ef(例えば接続点CP4)と、の間の第1電位の変化を第1信号S1として検出可能である。
【0087】
検出回路73は、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの他端部11Ef(接続点CP3)と、第2素子10Bの第3磁気素子13Eの他端部13Ef(例えば接続点CP4)と、の間の第2電位の変化を第2信号S2として検出可能である。
【0088】
図10に示すように、例えば、制御回路部70は、素子電流回路75をさらに含んでも良い。素子電流回路75は、第1素子10Aの第1磁気素子11Eの一端部11Eeと第1素子10Aの第3磁気素子13Eの一端部13Eeとの間の接続点CP1と、第1素子10Aの第2磁気素子12Eの他端部12Efと第1素子10Aの第4磁気素子14Eの他端部14Efとの間の接続点CP2と、の間に素子電流Idを供給可能である。
【0089】
素子電流回路75は、第2素子10Bの第1磁気素子11Eの一端部11Eeと第2素子10Bの第3磁気素子13Eの一端部13Eeとの間の接続点CP1と、第2素子10Bの第2磁気素子12Eの他端部12Efと第2素子10Bの第4磁気素子14Eの他端部14Efとの間の接続点CP2と、の間に素子電流Idを供給可能である。
【0090】
図11(a)に示すように、第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第1導電部材21は、第1磁気素子11Eの一端部11Eeに対応する第1導電部材一部21eと、第1磁気素子11Eの他端部11Efに対応する第1導電部材他部21fと、を含む。第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第2導電部材22は、第2磁気素子12Eの一端部12Eeに対応する第2導電部材一部22eと、第2磁気素子12Eの他端部12Efに対応する第2導電部材他部22fと、を含む。第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第3導電部材23は、第3磁気素子13Eの一端部13Eeに対応する第3導電部材一部23eと、第3磁気素子13Eの他端部13Efに対応する第3導電部材他部23fと、を含む。第1素子10A及び第2素子10Bのそれぞれにおいて、第4導電部材24は、第4磁気素子14Eの一端部14Eeに対応する第4導電部材一部24eと、第4磁気素子14Eの他端部14Efに対応する第4導電部材他部24fと、を含む。
【0091】
第1電流I1が第1導電部材他部21fから第1導電部材一部21eへの向きに流れているときに、第1電流I1は第2導電部材一部22eから第2導電部材他部22fへの向きに流れ、第1電流I1は第3導電部材一部23eから第3導電部材他部23fへの向きに流れ、第1電流I1は第4導電部材他部24fから第4導電部材一部24eへの向きに流れる。
【0092】
図11(a)に示すように、センサ112においては、第1電流回路71は、第1導電部材他部21f及び第2導電部材一部22eの接続点CP5と、第3導電部材他部23f及び第4導電部材一部24eの接続点CP6と、の間に第1電流I1を供給する。
【0093】
図11(b)~11(d)に示すように、センサ112a~112cにおいて、第1~第4磁気素子11E~14Eの構成は、センサ112における構成と同様である。
【0094】
図11(b)に示すように、センサ112aにおいて、第1電流回路71は、第1導電部材一部21e及び第2導電部材他部22fの接続点CP7と、第3導電部材一部23e及び第4導電部材他部24fの接続点CP8と、の間に第1電流I1を供給する。センサ112aにおいて、第1導電部材他部21fは、第4導電部材一部24eと電気的に接続される。第2導電部材一部22eは、第3導電部材他部23fと電気的に接続される。
【0095】
図11(c)に示すように、センサ112bにおいて、第1電流回路71は、第1導電部材一部21eと第3導電部材一部23eとの間に第1電流I1を供給する。センサ112bにおいて、第1導電部材他部21fは、第4導電部材一部24eと電気的に接続される。第2導電部材一部22eは、第3導電部材他部23fと電気的に接続される。第2導電部材他部22fは、第4導電部材他部24fと電気的に接続される。
【0096】
図11(d)に示すように、センサ112cにおいて、第1電流回路71は、第1導電部材一部21e、第2導電部材他部22f、第3導電部材他部23f及び第4導電部材一部24eの接続点CP9と、第1導電部材他部21f、第2導電部材他部22f、第3導電部材一部23e及び第4導電部材他部24fの接続点CP10と、の間に第1電流I1を供給する。
【0097】
図12(a)及び図12(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図12(a)に示すように、実施形態に係るセンサ120において、差動回路72の少なくとも一部は、アナログ回路AC1に含まれる。検波回路74の少なくとも一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)に含まれる。図12(a)に示すように、この例では、第1電流回路71は、アナログ回路AC1に含まれる。センサ120に示すように、FPGAは、処理回路74aを含んでも良い。処理回路74aは、検波回路74の出力信号を処理する。FPGAは、検波回路74の出力信号を処理可能で良い。
【0098】
図12(b)に示すように、センサ121において、差動回路72の少なくとも一部は、アナログ回路AC1に含まれる。検波回路74の少なくとも一部及び第1電流回路71の少なくとも一部(例えば発振回路部)は、FPGAに含まれる。
【0099】
図13は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図13に示すように、実施形態に係るセンサ122は、複数の素子部10Uを含む。制御回路部70は、複数の素子部10Uに対応する複数の差動回路72を含む。複数の差動回路72のそれぞれの少なくとも一部はアナログ回路AC1に含まれる。
【0100】
この例では、制御回路部70は、複数の差動回路72のそれぞれに対応する複数の検波回路74を含む。複数の検波回路74は、FPGAに含まれる。
【0101】
さらに、この例では、複数の検波回路74に対応して複数の処理回路74aが設けられる。複数の処理回路74aは、例えばFPGAに含まれる。複数の処理回路74aは、複数の検波回路74の出力をそれぞれ処理可能である。このように、例えば、FPGAは、複数の検波回路74のそれぞれの出力信号を処理可能でも良い。
【0102】
この例では、FPGAは、制御信号部74bを含む。制御信号部74bは、複数の検波回路74を制御可能である。制御信号部74bは、複数の処理回路74aを制御可能でも良い。このように、FPGAは、複数の検波回路74を制御可能でも良い。
【0103】
FPGAは、例えば、信号処理部74cをさらに含んでも良い。信号処理部74cは、例えば、複数の処理回路74aのそれぞれから得られる信号(データ)について、統合信号処理を行うことが可能である。信号処理部74cは、統合信号処理が行われた信号(データ)をアレイ処理することをさらに行ってもよい。信号処理部74cは、アレイ処理された信号(データ)を画像化処理しても良い。信号処理部74cは、画像化処理された信号(データ)を解析しても良い。信号処理部74cは、これらの処理が行われた結果を出力信号Sg3として出力可能である。
【0104】
実施形態に係る検査装置710aは、制御回路部70の少なくとも一部を含んで良い。検査装置710aは、複数の素子部10Uと、上記の制御回路部70の一部と、信号処理部74cと、を含んでも良い。
【0105】
(第2実施形態)
第2実施形態は、検査装置に係る。後述するように、検査装置は、診断装置を含んでも良い。
【0106】
図14は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図14に示すように、実施形態に係る検査装置710は、センサ150aと、処理部770と、を含む。センサ150aは、第1実施形態のいずれかに係るセンサ及びその変形で良い。処理部770は、センサ150aから得られる出力信号を処理する。処理部770において、センサ150aから得られた信号と、基準値と、の比較などが行われても良い。処理部770は、処理結果に基づいて、検査結果を出力可能である。
【0107】
例えば、検査装置710により、検査対象680が検査される。検査対象680は、例えば、電子装置(半導体回路などを含む)である。検査対象680は、例えば、電池610などでも良い。
【0108】
例えば、実施形態に係るセンサ150aは、電池610とともに用いられても良い。例えば、電池システム600は、電池610及びセンサ150aを含む。センサ150aは、電池610に流れる電流により生じる磁界を検出できる。
【0109】
図15は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図15に示すように、センサ150aは、例えば、実施形態に係る複数のセンサを含む。この例では、センサ150aは、複数のセンサ(例えば、センサ110など)を含む。複数のセンサは、例えば、2つの方向(例えば、X軸方向及びZ軸方向)に沿って並ぶ。複数のセンサ110は、例えば、基体の上に設けられる。
【0110】
センサ150aは、検査対象680(例えば電池610でも良い)に流れる電流により生じる磁界を検出できる。例えば、電池610が異常な状態に近づくと、電池610に異常な電流が流れる場合がある。センサ150aにより異常な電流を検出することで、電池610の状態の変化を知ることができる。例えば、電池610に近づけてセンサ150aが置かれた状態で、2つの方向のセンサ群駆動手段を用いて、電池610の全体を短時間で検査できる。センサ150aは、電池610の製造における、電池610の検査に用いられても良い。
【0111】
実施形態に係るセンサは、例えば、診断装置などの検査装置710に応用できる。
図16は、第2実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
図16に示すように、検査装置710の例である診断装置500は、センサ150を含む。センサ150は、第1実施形態に関して説明したセンサ、及び、それらの変形を含む。
【0112】
診断装置500において、センサ150は、例えば、脳磁計である。脳磁計は、脳神経が発する磁界を検出する。センサ150が脳磁計に用いられる場合、センサ150に含まれる磁気素子のサイズは、例えば、1mm以上10mm未満である。
【0113】
図16に示すように、センサ150(脳磁計)は、例えば、人体の頭部に装着される。センサ150(脳磁計)は、センサ部301を含む。センサ150(脳磁計)は、複数のセンサ部301を含んでも良い。複数のセンサ部301の数は、例えば、約100個(例えば50個以上150個以下)である。複数のセンサ部301は、柔軟性を有する基体302に設けられる。
【0114】
センサ150は、例えば、差動検出などの回路を含んでも良い。センサ150は、センサとは別のセンサ(例えば、電位端子または加速度センサなど)を含んでも良い。
【0115】
センサ150のサイズは、従来のSQUID(Superconducting Quantum Interference Device)センサのサイズに比べて小さい。このため、複数のセンサ部301の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他の回路と、の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他のセンサと、の共存が容易である。
【0116】
基体302は、例えばシリコーン樹脂などの弾性体を含んでも良い。基体302に、例えば、複数のセンサ部301が繋がって設けられる。基体302は、例えば、頭部に密着できる。
【0117】
センサ部301の入出力コード303は、診断装置500のセンサ駆動部506及び信号入出力部504と接続される。センサ駆動部506からの電力と、信号入出力部504からの制御信号と、に基づいて、センサ部301において、磁界測定が行われる。その結果は、信号入出力部504に入力される。信号入出力部504で得た信号は、信号処理部508に供給される。信号処理部508において、例えば、ノイズの除去、フィルタリング、増幅、及び、信号演算などの処理が行われる。信号処理部508で処理された信号が、信号解析部510に供給される。信号解析部510は、例えば、脳磁計測のための特定の信号を抽出する。信号解析部510において、例えば、信号位相を整合させる信号解析が行われる。
【0118】
信号解析部510の出力(信号解析が終了したデータ)が、データ処理部512に供給される。データ処理部512では、データ解析が行われる。このデータ解析において、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像データが取り入られることが可能である。このデータ解析においては、例えば、EEG(Electroencephalogram)などの頭皮電位情報などが取り入れられることが可能である。例えば、MRIまたはEEGなどのデータ部514がデータ処理部512と接続される。データ解析により、例えば、神経発火点解析、または、逆問題解析などが行われる。
【0119】
データ解析の結果は、例えば、画像化診断部516に供給される。画像化診断部516において、画像化が行われる。画像化により、診断が支援される。
【0120】
上記の一連の動作は、例えば、制御機構502によって制御される。例えば、一次信号データ、または、データ処理途中のメタデータなどの必要なデータは、データサーバに保存される。データサーバと制御機構とは、一体化されても良い。
【0121】
実施形態に係る診断装置500は、センサ150と、センサ150から得られる出力信号を処理する処理部と、を含む。この処理部は、例えば、信号処理部508及びデータ処理部512の少なくともいずれかを含む。処理部は、例えば、コンピュータなどを含む。
【0122】
図16に示すセンサ150では、センサ部301は、人体の頭部に設置されている。センサ部301は、人体の胸部に設置されても良い。これにより、心磁測定が可能となる。例えば、センサ部301を妊婦の腹部に設置しても良い。これにより、胎児の心拍検査を行うことができる。
【0123】
被験者を含めたセンサ装置は、シールドルーム内に設置されるのが好ましい。これにより、例えば、地磁気または磁気ノイズの影響が抑制できる。
【0124】
例えば、人体の測定部位、または、センサ部301を局所的にシールドする機構を設けても良い。例えば、センサ部301にシールド機構を設けても良い。例えば、信号解析またはデータ処理において、実効的なシールドを行っても良い。
【0125】
実施形態において、基体302は、柔軟性を有しても良く、柔軟性を実質的に有しなくても良い。図16に示す例では、基体302は、連続した膜を帽子状に加工したものである。基体302は、ネット状でも良い。これにより、例えば、良好な装着性が得られる。例えば、基体302の人体への密着性が向上する。基体302は、ヘルメット状で、硬質でも良い。
【0126】
図17は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
図17は、心磁計の一例である。図17に示す例では、平板状の硬質の基体305上にセンサ部301が設けられる。
【0127】
図17に示した例において、センサ部301から得られる信号の入出力は、図16に関して説明した入出力と同様である。図17に示した例において、センサ部301から得られる信号の処理は、図16に関して説明した処理と同様である。
【0128】
生体から発生する磁界などの微弱な磁界を計測する装置として、SQUID (Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)センサを用いる参考例がある。この参考例においては、超伝導を用いるため、装置が大きく、消費電力も大きい。測定対象(患者)の負担が大きい。
【0129】
実施形態によれば、装置が小型にできる。消費電力を抑制できる。測定対象(患者)の負担が軽減できる。実施形態によれば、磁界検出のSN比を向上できる。感度を向上できる。
【0130】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
【0131】
(構成1)
第1素子及び第2素子を含む素子部であって、前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれは、第1磁気素子及び第1導電部材を含む、前記素子部と、
制御回路部であって、前記制御回路部は、
前記第1導電部材に交流成分を含む第1電流を供給可能な第1電流回路と、
前記第1素子の前記第1磁気素子の第1電気抵抗の変化に対応する第1信号と、前記第2素子の前記第1磁気素子の第2電気抵抗の変化に対応する第2信号と、の差に対応する差信号を出力可能な差動回路と、
前記交流成分を参照して前記差信号を位相検波可能な検波回路と、
を備え、
前記第1電気抵抗は、前記第1電流に対して偶関数状で変化し、前記第2電気抵抗は前記第1電流に対して偶関数状で変化する、センサ。
【0132】
(構成2)
前記第1電気抵抗は、第1導電部材に第1値電流が供給されたときに第1値であり、第1導電部材に第2値電流が供給されたときに第2値であり、第1導電部材に第3値電流が供給されたときに第3値であり、
前記第2値電流の向きは、前記第3値電流の向きと逆であり、
前記第1値電流の絶対値は、前記第2値電流の絶対値よりも小さく、前記第3値電流の絶対値よりも小さく、
前記第1値は、前記第2値及び前記第3値よりもい、または、前記第2値及び前記第3値よりも高い、構成1に記載のセンサ。
【0133】
(構成3)
前記制御回路部は、前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれの前記第1磁気素子に素子電流を供給可能な素子電流回路をさらに含み、
前記第1磁気素子は、一端部及び他端部を含み、前記素子電流は、前記一端部から前記他端部へ流れ、
前記第1導電部材は、前記一端部に対応する第1導電部材一部と、前記他端部に対応する第1導電部材他部と、を含み、
前記第1電流は、前記第1導電部材一部から前記第1導電部材他部への向き、または、第1導電部材他部から前記第1導電部材一部への向きを有する、構成1または2に記載のセンサ。
【0134】
(構成4)
前記第1磁気素子は、
第1磁性層と
第1対向磁性層と、
前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
を含み、
前記第1対向磁性層から前記第1磁性層への第2方向は、前記第1磁気素子の一端部から前記第1磁気素子の他端部への第1方向と交差した、構成3に記載のセンサ。
【0135】
(構成5)
前記第1磁性層の前記第1方向に沿う長さは、前記第1磁性層の第3方向に沿う長さよりも長く、前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する、構成4に記載のセンサ。
【0136】
(構成6)
前記第1磁性層の前記第3方向に沿う前記長さは、前記第1磁性層の前記第2方向に沿う長さよりも長い、構成5に記載のセンサ。
【0137】
(構成7)
前記第2素子は、前記第1素子と前記第3方向において離れている、構成5または6に記載のセンサ。
【0138】
(構成8)
前記第1非磁性層は、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成4~7のいずれか1つに記載のセンサ。
【0139】
(構成9)
前記第1導電部材の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第1磁気素子と重なる、構成4~8のいずれか1つに記載のセンサ。
【0140】
(構成10)
前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれは、
第2磁気素子及び第2導電部材と、
第1抵抗素子と、
第2抵抗素子と、
をさらに含み、
前記第1磁気素子の一端部は、前記第1抵抗素子の一端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の一端部は、前記第1磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第2抵抗素子の一端部は、前記第1抵抗素子の他端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の他端部は、前記第2抵抗素子の他端部と電気的に接続され、
前記第1電流回路は、前記第2導電部材に前記第1電流を供給可能であり、
前記制御回路部は、検出回路をさらに含み、
前記検出回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第1素子の前記第1抵抗素子の前記他端部と、の間の第1電位の変化を前記第1信号として検出可能であり、
前記検出回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第2素子の前記第1抵抗素子の前記他端部と、の間の第2電位の変化を前記第2信号として検出可能である、構成1または2に記載のセンサ。
【0141】
(構成11)
前記制御回路部は、素子電流回路をさらに含み、
前記素子電流回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第1素子の前記第1抵抗素子の前記一端部との間の接続点と、前記第1素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第1素子の前記第2抵抗素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能であり、
前記素子電流回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第2素子の前記第1抵抗素子の前記一端部との間の接続点と、前記第2素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第2素子の前記第2抵抗素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能である、構成10に記載のセンサ。
【0142】
(構成12)
前記第1導電部材は、前記第1磁気素子の前記一端部に対応する第1導電部材一部と、前記第1磁気素子の前記他端部に対応する第1導電部材他部と、を含み、
前記第2導電部材は、前記第2磁気素子の前記一端部に対応する第2導電部材一部と、前記第2磁気素子の前記他端部に対応する第2導電部材他部と、を含み、
前記第1電流が前記第1導電部材他部から前記第1導電部材一部への向きに流れているときに、前記第1電流は前記第2導電部材一部から前記第2導電部材他部への向きに流れる、構成10または11に記載のセンサ。
【0143】
(構成13)
前記第1素子及び前記第2素子のそれぞれは、
第2磁気素子及び第2導電部材と、
第3磁気素子及び第3導電部材と、
第4磁気素子及び第4導電部材と、
をさらに含み、
前記第1磁気素子の一端部は、前記第3磁気素子の一端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の一端部は、前記第1磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第4磁気素子の一端部は、前記第3磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第2磁気素子の他端部は、前記第4磁気素子の他端部と電気的に接続され、
前記第1電流回路は、前記第2導電部材、前記第3導電部材及び前記第4導電部材に前記第1電流を供給可能であり、
前記制御回路部は、検出回路をさらに含み、
前記検出回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第1素子の前記第3磁気素子の前記他端部と、の間の第1電位の変化を前記第1信号として検出可能であり、
前記検出回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記他端部と、前記第2素子の前記第3磁気素子の前記他端部と、の間の第2電位の変化を前記第2信号として検出可能である、構成1または2に記載のセンサ。
【0144】
(構成14)
前記制御回路部は、素子電流回路をさらに含み、
前記素子電流回路は、前記第1素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第1素子の前記第3磁気素子の前記一端部との間の接続点と、前記第1素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第1素子の前記第4磁気素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能であり、
前記素子電流回路は、前記第2素子の前記第1磁気素子の前記一端部と前記第2素子の前記第3磁気素子の前記一端部との間の接続点と、前記第2素子の前記第2磁気素子の前記他端部と前記第2素子の前記第4磁気素子の前記他端部との間の接続点と、の間に素子電流を供給可能である、構成13に記載のセンサ。
【0145】
(構成15)
前記第1導電部材は、前記第1磁気素子の前記一端部に対応する第1導電部材一部と、前記第1磁気素子の前記他端部に対応する第1導電部材他部と、を含み、
前記第2導電部材は、前記第2磁気素子の前記一端部に対応する第2導電部材一部と、前記第2磁気素子の前記他端部に対応する第2導電部材他部と、を含み
前記第3導電部材は、前記第3磁気素子の前記一端部に対応する第3導電部材一部と、前記第3磁気素子の前記他端部に対応する第3導電部材他部と、を含み、
前記第4導電部材は、前記第4磁気素子の前記一端部に対応する第4導電部材一部と、前記第4磁気素子の前記他端部に対応する第4導電部材他部と、を含み
前記第1電流が前記第1導電部材他部から前記第1導電部材一部への向きに流れているときに、前記第1電流は前記第2導電部材一部から前記第2導電部材他部への向きに流れ、前記第1電流は前記第3導電部材一部から前記第3導電部材他部への向きに流れ、前記第1電流は前記第4導電部材他部から前記第4導電部材一部への向きに流れる、構成13または14に記載のセンサ。
【0146】
(構成16)
前記差動回路の少なくとも一部は、アナログ回路に含まれ、
前記検波回路の少なくとも一部は、FPGAに含まれる、構成1~15のいずれか1つに記載のセンサ。
【0147】
(構成17)
前記第1電流回路の少なくとも一部は、前記FPGAに含まれる、構成16に記載のセンサ。
【0148】
(構成18)
前記FPGAは、前記検波回路の出力信号を処理可能である、構成16または17に記載のセンサ。
【0149】
(構成19)
複数の前記素子部を備え、
前記制御回路部は、前記複数の素子部に対応する複数の前記差動回路と、前記複数の差動回路に対応する複数の検波回路と、を含み、
前記複数の差動回路のそれぞれの少なくとも一部はアナログ回路に含まれ、
前記複数の検波回路は、FPGAに含まれ、
前記FPGAは、前記複数の検波回路のそれぞれの出力信号を処理可能であり、
前記FPGAは、前記複数の検波回路を制御可能である、構成1~15のいずれか1つに記載のセンサ。
【0150】
(構成20)
構成1~19のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから出力される信号を処理可能な処理部と、
を備えた検査装置。
【0151】
実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置が提供できる。
【0152】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、センサに含まれる素子部、導電部材及び制御回路部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0153】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0154】
その他、本発明の実施の形態として上述したセンサ及び検査装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサ及び検査装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0155】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
10A、10B…第1、第2素子、 10U…素子部、 11…第1磁性層、 11E~14E…第1~第4磁気素子、 11Ee~14Ee…一端部、 11Ef~14Ef…他端部、 11R、12R…第1、第2抵抗素子、 11Re、12Re…一端部、 11Rf、12Rf…他端部、 11n…第1非磁性層、 11o…第1対向磁性層、 21~24…第1~第4導電部材、 21e~24e…第1~第4導電部材一部、 21f~24f…第1~第4導電部材他部、 70…制御回路部、 71…第1電流回路、 72…差動回路、 73…検出回路、 74、74A、74B…検波回路、 74a…処理回路、 74b…制御信号部、 74c…信号処理部、 75…素子電流回路、 80…検出対象、 110、111、112、112a~112c、119、120~122、150、150a…センサ、 301…センサ部、 302…基体、 303…入出力コード、 305…基体、 500…診断装置、 502…制御機構、 504…信号入出力部、 506…センサ駆動部、 508…信号処理部、 510…信号解析部、 512…データ処理部、 514…データ部、 516…画像化診断部、 600…電池システム、 610…電池、 680…検査対象、 710、710a…検査装置、 770…処理部、 AC1…アナログ回路、 CP1~CP10…接続点、 H…磁界、 Hac…交流磁界、 Hex…外部磁界、 Hex1~Hex3…第1~第3磁界、 Hsig…信号磁界、 I1…第1電流、 Ia1~Ia3…第1~第3値電流、 Id…素子電流、 L1…長さ、 N1、N2…ノイズ、 R、Ro…抵抗、 R1~R4…第1~第4値、 Rf1…参照信号、 Rx…電気抵抗、 S1、S2…第1、第2信号、 S3…差信号、 S4a、S4b…検波信号、 SS…信号強度、 Sg1~Sg3…出力信号、 fr…周波数、 t1…長さ、 tm…時間、 w1…長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17