(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】電気モーターの振動挙動を評価する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20240207BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20240207BHJP
【FI】
G01H17/00 D
G01M99/00 A
(21)【出願番号】P 2021502597
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 DE2019200051
(87)【国際公開番号】W WO2020015794
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】102018211846.9
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510334790
【氏名又は名称】ジール・アベッグ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュメツァー、 ヨアヒム
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-010415(JP,A)
【文献】特表2017-527809(JP,A)
【文献】特開平07-218333(JP,A)
【文献】特開平05-177407(JP,A)
【文献】米国特許第06262550(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
G01M 13/00-13/045
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モーター(1)の振動センサ(5)を使用して前記電気モーター(1)の振動の加速度および/または速度を測定することによって少なくとも1つの方向の振動が測定され、測定された前記少なくとも1つの方向の各方向の振動を表す前記電気モーター(1)の振動値を判断するステップと、
前記電気モーター(1)の現在の回転速度(n)を判断するステップと、
前記振動値を、前記現在の回転速度(n)の基準値と比較するステップと、
前記振動値と基準値との比較に基づいて前記電気モーター(1)の振動挙動を評価するための評価尺度を判断するステップと、を含み、
前記基準値が、前記電気モーター(1)の様々な回転速度での校正測定中および/または始動測定中に判断され、
前記電気モーター(1)の振動が、前記電気モーター(1)の振動センサ(5)と試験センサ(9)とを用いて測定され、
前記試験センサ(9)が、試験システム(2)の構成要素であり、
前記基準値の判断に加えて、前記電気モーター(1)の振動センサ(5)の測定値と前記試験センサ(9)の測定値との間の関係を示す乖離値が判断され、
前記乖離値が、最大許容振動値の調整に用いられる、電気モーター(1)の振動挙動を評価する方法。
【請求項2】
前記評価尺度が、前記振動値が最大許容振動値からどれ程離れているかを示す、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
最大許容振動値に到達するかまたは超えると、警告メッセージが生成され、かつ/または、前記電気モーター(1)の保護のための措置が導入される、請求項1または請求項2に記載された方法。
【請求項4】
前記電気モーター(1)のモーター電子機器に配置されている振動センサ(5)が、前記振動値の判断に用いられる、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された方法。
【請求項5】
前記電気モーター(1)のベアリング管内に配置されているセンサ配置の一部である振動センサ(5)が、前記振動値の判断に用いられる、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された方法。
【請求項6】
前記振動値の判断において、前記電気モーター(1)の振動が、3方向で測定され、
該3方向が、互いに垂直である、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された方法。
【請求項7】
前記振動値の判断と前記振動挙動の評価とが、定期的に繰り返し実行される、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された方法。
【請求項8】
前記振動値および/または前記評価尺度が、メモリ(8)に記憶され、かつ/または、通信インターフェース(7)を介して送信される、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載された方法。
【請求項9】
前記電気モーター(1)の様々な回転速度での基準値を有する基準値特性曲線が、データベース(15)に記憶され、
前記データベース(15)が、複数の電気モーター(1)の動作パラメータを含んでいる、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載された方法。
【請求項10】
前記評価尺度を前記電気モーター(1)の連続する2回の起動について互いに比較し、所定の閾値を超過していると、損傷の可能性があることを示している、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載された方法。
【請求項11】
前記電気モーター(1)が停止しているとき、すなわち、回転速度が0に等しいときに、前記振動挙動の評価が行われ、
該評価により判断される前記評価尺度が、前記電気モーター(1)の設置環境の振動に関するものである、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載された方法。
【請求項12】
ステータと該ステータに対して回転可能に取り付けられているローターとを有し、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載された方法を実行する電気モーターであって、
前記電気モーター(1)の少なくとも1方向の振動を測定する振動センサ(5)と、
前記電気モーター(1)の前記現在の回転速度(n)を判断する回転速度判断ユニットと、
前記振動センサ(5)によって判断された振動値を前記現在の回転速度(n)の基準値と比較する比較器と、
前記比較器の比較結果に基づいて前記振動挙動を評価する評価尺度を判断する評価ユニットと、
を更に備えている、電気モーター(1)。
【請求項13】
振動値および/または校正振動値を試験システム(2)と取り交わすインターフェース(7)を特徴とする、請求項12に記載の電気モーター(1)。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の電気モーター(1)と羽根車とを有するファンであって、
前記羽根車が、前記電気モーター(1)のローターに接続されている、ファン。
【請求項15】
請求項12または請求項13に記載された電気モーター(1)と、該電気モーター(1)の振動を測定する試験センサ(9)を含んで前記電気モーター(1)の回転速度を可変に制御する試験システム(2)とを備え、電気モーター(1)の振動挙動を評価するシステムであって、
前記電気モーター(1)が、前記電気モーター(1)の振動が前記試験センサ(9)によって測定可能なように前記試験システム(2)に接続され、
前記試験センサ(9)と前記電気モーター(1)の振動センサ(5)とを用いて前記電気モーター(1)の様々な回転速度について振動を測定する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モーターの振動挙動を評価するための方法およびシステムに関する。
さらに、本発明は、特にその方法を実行するための電気モーター、および、そのような電気モーターを備えているファンに関する。
【背景技術】
【0002】
電気モーターは、動作中に、さまざまな種類の振動にさらされる。
これらの振動は、電気モーター自体によって引き起こされたり、駆動負荷によって引き起こされたり、電気モーターが設置されている環境によって引き起こされたりする場合がある。
たとえば、電気モーターがファンの構成要素である場合、羽根車が安定性を欠いていることによって、振動が発生する場合がある。
さらに、例えば、脈動しているDCリンク電圧から生じる可能性がある、不均一な駆動トルクによって、振動がさらに強められる可能性がある。
ファンが振動にさらされている環境に設置されている場合、さらに振動が発生する。
【0003】
顧客に納品する前またはハウジングに設置する前に、モーターまたはファンは、通常、非対称な重量配分やその他の振動発生環境を減らすことにより、動的なバランスを確保する。
ただし、ハウジングへの設置、顧客への輸送、客先への設置、または、客先で、損傷がすでに発生している場合があり、そういった損傷は、バランス性能に影響を与える場合がある。
農業や腐食の激しい環境などの、汚れが付着する環境でファンを動作させる場合、バランス性能も、ファンの耐用年数に影響を与える。
【0004】
バランスの不均衡は、振動の増加につながり、電気モーターの部品に大きな負荷がかかる。
たとえば、ベアリングは、振動によって、振動の少ないシステムで用いられる場合よりも、非常に大きな応力にさらされる。
一方、振動によって、電気モーターに組み込まれている電子機器に負荷がかかる。
これによって、はんだ付けの緩み、部品の破壊、さらには、回路基板の破損につながる場合がある。
全体として、高レベルの振動が、電気モーターおよび/またはその部品の耐用年数を大幅に短縮させる可能性がある。
【0005】
特許文献1には、モーターベアリングの機能を監視する電気モーターが示されている。
上記の目的のために、ローターとは反対側のステーターフランジに振動センサを取り付け、電気モーターの振動を測定している。
このようにすると、電気モーターのベアリングに問題が発生したかどうかを、認識可能である。
しかし、電気モーターの振動挙動については、限られた記述しかなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第2972431(B1)号明細書
【文献】独国特許出願公開第102018211838(A1)号明細書
【文献】独国特許出願公開第102018211833号明細書
【文献】独国特許出願公開第102018201707(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、電気モーターの振動挙動に関して、信頼できる記述を行って、上述の方法およびシステムを提供し、電気モーターおよびファンを構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、前述の目的は、請求項1に記載された特徴によって達成される。
したがって、前述の目的を達成する方法は、
電気モーターの振動センサを使用して前記電気モーターの振動の加速度および/または速度を測定することによって少なくとも1つの方向の振動が測定され、前記電気モーターの振動値が、測定された前記少なくとも1つの方向の各方向の振動を表す、振動値を判断するステップと、
前記電気モーターの現在の回転速度を判断するステップと、
前記振動値を前記現在の回転速度の基準値と比較するステップと、
前記振動値と前記基準値との比較に基づいて、前記電気モーターの振動挙動を評価するための評価尺度を判断するステップと、を含む方法である。
【0009】
また、前述の目的は、請求項14に記載された電気モーターによって達成される。
したがって、ステータと、前記ステータに対して回転可能に取り付けられているローターと、に加えて、電気モーターは、
前記電気モーターの少なくとも1方向の振動を測定する振動センサと、
前記電気モーターの前記現在の回転速度を判断するする回転速度判断ユニットと、
前記振動センサによって判断された振動値を前記現在の回転速度の基準値と比較する比較器と、
前記比較器の比較結果に基づいて前記振動挙動を評価するための評価尺度を判断する評価ユニットと、
を備えている。
【0010】
そして、前述の目的は、請求項16に記載されたファンによって達成される。
したがって、本発明による電気モーターと羽根車とを有して、羽根車が電気モーターのローターに接続されている、ファンである。
【0011】
さらに、前述の目的は、請求項17に記載されたシステムによって達成される。
したがって、システムは、
本発明による電気モーターと、前記電気モーターの振動を測定する試験センサを含んで前記電気モーターの回転速度を可変に制御する試験システムと、を備えるシステムであって、
前記電気モーターが、前記電気モーターの振動が試験センサによって測定可能なように前記試験システムに接続され、
前記試験センサと前記電気モーターの振動センサとを用いて、前記システムが、前記電気モーターの様々な回転速度について振動を測定するように構成されている。
【0012】
本発明によれば、電気モーターの現在の回転速度の関数として振動挙動を評価すると、電気モーターの振動挙動を特に確実に評価できることが、まず、認識される。
このようにすると、電気モーターの共振周波数を特定できるだけでなく、例えば、過度のバランスの不均衡が原因の、電気モーターの限界負荷も認識可能である。
本発明によれば、電気モーターの振動値は、電気モーターの振動の加速度および/または速度を測定することによって、測定される。
このために、電気モーターに統合されているか、または、電気モーターに振動測定可能なように連結されている振動センサが、使用される。
振動センサは、少なくとも1方向の振動を測定する。
1方向のみの振動を測定する場合は、単純な1軸センサで充分である。
複数の方向で測定する場合は、多軸センサの振動センサを用いると、測定可能である。
他方、振動センサを、複数の個別のセンサによって形成してもよく、これらの複数のセンサで、異なる方向の振動を測定してもよい。
これらの測定値は、電気モーターの振動値を生成するために使用される。
振動値は、測定された少なくとも1つの方向における、各方向の振動を表している。
通常、これは、(たとえば、ベクトルで一般的なように、)振動値が、値の組によって形成されていることを意味している。
ただし、各方向の絶対値が、重要でない用途もある。
このような場合、振動値は、例えば、ベクトルの足し算のように、それぞれの方向の個々の振動値が足し合わされた量によって、形成されてもよい。
【0013】
次のステップでは、電気モーターの現在の回転速度が、判断される。
この場合、速度の判断と振動値の判断とを、互いに近い時間に実行する必要がある。
判断された回転速度が、振動を測定するときの実際のものである必要がある。
回転速度の変動が小さい電気モーターの場合、回転速度を比較的長い時間間隔で判断し、振動を測定してもよい。
回転速度の判断と振動の測定との間に、数分または数時間の時間が存在する場合がある。
しかし、ほとんどの場合、回転速度の判断と振動の測定とは、短い間隔で、好ましくは、10秒以内に、特に好ましくは、1秒以内に、そして、最も好ましくは、0.1秒以内に行われる。
現在の回転速度を判断するために、専用の回転速度センサを使用してもよい。
一方、回転速度を、電気モーターの他の量から導出してもよい。
回転速度の値を、モーター電子機器から取得してもよいし、供給電圧の周波数から導出してもよい。
電気モーターの回転速度を判断するための適切な方法は、実用上よく知られている。
【0014】
現在の回転速度を判断すると、基準値が判断またはロードされ、特定の振動値と比較される。
この場合、基準値と関連する回転速度とからなるリストが、メモリに記憶されていてもよく、さらに、現在の回転速度に基づいて、基準値をこのリストからロードしてもよい。
基準値は、回転速度の関数としてメモリに記憶されていることも考えられ、ここで、関数とは、実際の挙動の近似であってもよいし、かつ/または、分割定義が、なされていてもよい。
基準値の判断には、現在の回転速度を変数として関数を計算することが、含まれる。
しかし、基準値を、試験システムの1つ以上の試験センサから取得してもよく、この試験センサは、電気モーターの振動を電気モーターの振動センサと同時に測定してもよく、または振動センサと時間的に近い時間で測定してもよい。
このようにすると、本発明による方法は、電気モーターの公称動作と試験システムにおける校正動作との両方で、使用可能である。
【0015】
判断された振動値と(判断された)基準値との比較から、電気モーターの振動挙動を表す評価尺度が、判断される。
この評価尺度に基づいて、電気モーターに重大な振動挙動があるかどうか、または電気モーターが許容可能な振動限界内で動作しているかどうかを判断できる。
このようにすると、ベアリングによって引き起こされる振動挙動を評価できるだけでなく、負荷(たとえば、ファンの羽根車でのバランスの不均衡)や設置環境によって生成される振動も、評価可能である。
電気モーターの公称動作中、電気モーターの振動負荷が許容できない程高いと、その結果、振動が引き起こされるため、電気モーターの振動負荷の評価は最終的に重要であり、本発明による方法によって、電気モーターの振動挙動を完全に評価することができる。
【0016】
試験システムにおける校正動作中に本発明による方法を用いる場合、評価尺度を用いることで、電気モーターの振動が、電気モーターの振動センサおよび試験センサのセンサ信号にどのように影響するかを、示すことができる。
評価尺度は、例えば、電気モーターの振動センサが正しく動作しているかどうか、および/または個々の振動が電気モーターの振動センサのセンサ信号にどのように影響するか、および/または振動値がどの振動レベルや振動ゾーンにあるか、を示してもよい。
上述の列挙は、評価尺度をいかに柔軟に使用できるかを示している。
振動挙動に関する情報を、評価尺度によって提供可能であることが、重要である。
【0017】
本発明による方法にとって、どのような電気モーターが使用されるかは重要ではない。
現在の回転速度を判断可能であることが重要であり、多くの電気モーターに適用可能である。
振動センサが電気モーターに統合できることか、少なくとも直接取り付けることができることも、重要である。
しかし、本発明による方法が、ECモーター(電子整流モーター)に関して用いられることが好ましい。
【0018】
評価尺度は、原則として、非常に多様に形成可能である。
評価尺度には、電気モーターの振動挙動に関する情報が含まれていることが、重要である。
多くの場合、電気モーターの公称動作における振動挙動は、最大許容振動値と関連付けられるため、評価尺度は、振動値が最大許容振動値からどの程度逸脱しているかを示す。
評価尺度が実際にどのようなものであるかは、用途によって様々であってもよい。
最大許容振動値に達しているかどうかについての点があれば、充分である可能性もある。
この場合、評価尺度を単純な2進数表記としてもよい。
ただし、ほとんどの場合、測定された振動値と最大許容振動値との間の「距離」がどれだけ大きいかが、重要になる。
これらの場合、評価尺度は、たとえば、1から10までの自然数、0から1までの10進数、または、0から100%までのパーセンテージの評価尺度であってもよい。
この場合、境界値の一方は、バランス調整直後の振動に関連していてもよく、境界値のもう一方は、例えば、最大許容振動値に達したことを示していてもよい。
【0019】
評価尺度が判断された後、様々な方法で、振動挙動の評価に対応可能である。
原則として、評価された振動挙動に対処する、全ての対応が、考えられる。
ただし、発展的な態様では、最大許容振動値に到達しているか、又は超えていることを示す警告メッセージが、生成される。
警告メッセージの出力方法は、それぞれの用途環境によって異なる。
特に、インダストリー4.0環境では、対応する警告メッセージは、ネットワークを介して送信される。
この警告メッセージは、保守要員や運用要員などが受信し、適切な対策を講じることができる。
警告メッセージは、単純な発光ダイオードによって出力されてもよい。
たとえば、通常の動作では、緑色で、最大許容振動値に到達するか超えると、赤色になる。
ここでは、例えば、第1の振動限界値を超えると、発光ダイオードがオレンジ色に点灯することも考えられる。
特に、汚れが付着する環境の場合、警告メッセージを使用して、清掃やメンテナンス作業を開始してもよい。
【0020】
さらに、電気モーターを保護するための対策が、最大許容振動値に到達または超過すると、開始されてもよい。
これらの措置には、例えば、電気モーターの回転速度の変更が、含まれていてもよい。
ほとんどの場合、回転速度を下げると、振動を減らすことに役立つ。
このようにすると、電気モーターをより振動の少ない動作状態にすることができる。
別の手段として、例えば、駆動トルクの変動幅を大幅に低減する、静かな動作モードに切り替える制御が、含まれてもよい。
この目的のために、振動値と基準値との比較に基づいて評価尺度を判断する評価ユニットが、モーター電子機器に通信可能に接続されていてもよい。
【0021】
さらに、評価尺度を用いて、電気モーターへの損傷および/または動作負荷を特定してもよい。
たとえば、評価尺度を、電気モーターの連続する2回の起動について、互いに比較してもよい。
2つの評価尺度間の乖離が所定の閾値を超えている場合、損傷が生じている可能性がある。
このようにすると、たとえば、輸送による損傷も検出可能である。
その場合、連続する2回の起動は、電気モーターの最後の試験中の動作および最初の起動になる。
警告メッセージを出力したり、電気モーターの動作を止めたりすることで、乖離が大きすぎることを通知してもよい。
【0022】
さらに、評価尺度を用いて、設置環境の振動を評価してもよい。
電気モーターの回転速度が0の場合、電気モーター自体は、振動を発生していない。
したがって、振動センサによって測定されるすべての振動は、設置環境(たとえば、熱交換器、換気ダクト、ヒートポンプ、エアボックスハウジングなど)から発生していることになる。
したがって、本発明による方法を用いて、設置環境の振動を検出および評価してもよい。
この評価をメモリに保存し、電気モーターの動作中に考慮に入れてもよい。
このような設置環境の評価を、例えば、電気モーターに供給電圧が印加されたときに行ってもよい。
電気モーターを回転させる際、モーター電子機器を始動することにより、通常、電気モーターの回転の開始は遅れるので、設置環境の振動を評価するための短時間の遅れが追加されても、許容可能である。
さらに、(事前に電源電圧をシャットダウンしなくても)電気モーターの停止中の評価を実施することができる。
ここで、一定時間経過後に評価を実施することが考えられる。
新しい評価が開始された場合、電気モーターがまだ動作していると、その評価を延期し、電気モーターが停止したときに実行してもよい。
設置環境の振動を評価した結果、振動値が非常に高い、または、高すぎる場合は、警告メッセージが出力されたり、電気モーターの動作を停止したりしてもよい。
【0023】
振動センサの構成では、振動値は、電気モーターのモーター電子機器に配置されている振動センサを用いて判断される。
多くの電気モーター、特に、ECモーターは、電気モーターを制御および/または調整するために必要なモーター電子機器を有している。
このようなモーター電子機器は、例えば、ステータおよび/またはローターの巻線のための供給電圧を生成している。
振動センサのそのような配置は、例えば、特許文献2に記載されており、その内容を、本明細書で明確に引用する。
この場合、モーター電子機器は、電気モーター内に、(例えば、ステータブッシング内に形成されている電子機器ハウジング内に、)配置されていてもよい。
モーター電子機器が、別個の電子機器ハウジングに配置され、この電子機器ハウジングが、電気モーターに取り付けまたはねじ締結されていることも考えられる。
この場合も、モーター電子機器に配置されている振動センサを、電気モーターの振動センサとみなす。
【0024】
振動センサの別の構成では、振動値は、電気モーターのベアリング管に配置されているセンサ配置の構成要素である振動センサを用いて、判断される。
多くの電気モーター、特に、中性能または高性能(すなわち、約100Wから15kW)の電気モーターには、電気モーターのシャフトが回転可能に取り付けられているベアリング管がある。
シャフトとベアリング管の壁の間には、4mmから8mmの幅の隙間があることが多い。
この隙間をセンサ配置に使用し、電気モーターの動作パラメータを測定可能にしてもよい。
そのようなセンサ構成は、例えば、特許文献3に記載され、その内容を、本明細書で明確に引用する。
【0025】
振動センサ自体は、非常に多様な方法で形成可能である。
振動センサが、測定された振動の加速度値および/または速度値を提供可能であることが、重要である。
振動センサは、MEMS(Micro Electro-Mechanical System)加速度センサ、圧電加速度センサ、マイクロフォン(MEMSマイクロフォンなど)、または、ひずみゲージで構成されていてもよい。
対応する適切なセンサが、実用上よく知られている。
【0026】
電気モーターの振動挙動の評価の種類によっては、1つ以上の方向で振動を測定することが、適切な場合がある。
しかしながら、振動を3方向で測定し、それぞれの方向で振動値の考慮をすることが好ましい。
3方向は、それぞれが互いに垂直であると好ましい。
たとえば、これらの3方向は、古典的なデカルト座標系を形成していてもよい。
この場合、例えば、第1の方向が、電気モーターの軸に平行であってもよく、他の方向のうちの1つの方向が、電気モーターの基準面に平行に配置されていてもよい。
【0027】
(特に、電気モーターの公称動作での、)電気モーターの振動挙動について可能な限り包括的に情報を取得するために、振動値の判断と振動挙動の評価とが、繰り返し実行される。
振動値の判断と振動挙動の評価とは、特別なイベントをトリガーとして開始してもよい。
このようなイベントとは、たとえば、電気モーターのオンと起動、または回転速度の変化であってもよい。
特に、振動値の判断と振動挙動の評価とが、定期的に実行されることが好ましい。
これは、本発明による方法のステップが、事前に定義された時間間隔で開始されることを意味している。
周期の長さ、つまり、時間間隔は、それぞれの用途環境に依存していてもよい。
たとえば、ファンの羽根車の汚れへの対応としては、日毎、週毎、または月毎に振動挙動を評価すれば、充分である。
定期的に振動が変化し、定期的に回転速度が変化することが一般的な動作環境では、周期をより短くすることが適切である。
ここでは、例えば、1時間毎の評価や数分毎の評価が考えられる。
【0028】
判断された振動値および/または判断された評価尺度が、メモリに記憶される。
このようにすると、動作中に振動値および/または評価尺度を記録することができる。
メモリは、(バッテリなどの)エネルギー供給部を介してバッファリングされていてもよい。
しかし、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(電子的に消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリ)、NVRAM(不揮発性ランダムアクセスメモリ)、または、他のいくつかの半導体メモリなどの不揮発性メモリを使用することが好ましい。
振動値や評価値を記憶する場合は、現在の回転速度を記録した振動値と共に記憶することをお勧めする。
さらに、振動値を記録した日付を示すタイムスタンプを保存することをお勧めする。
対応するタイムスタンプにデータを供給可能なリアルタイムクロックが、この目的のために利用できることが好ましい。
【0029】
さらに、判断された振動値および/または判断された評価尺度が、通信インターフェースを介して送信されてもよい。
通信インターフェースは、さまざまな方法で実装されていてもよい。
無線送信方式(例えばラジオベース方式または光学方式)を、有線方式と同様に使用可能である。
送信は、アナログまたはデジタル、並列または直列、パケット化またはデータストリーム方式で、バスまたは直接接続を介して、実行されてもよい。
それぞれの場合に使用される送信技術は、用途環境によって様々である。
例として、ただし、これらに限定されないが、ブルートゥース、ブルートゥースLE(低エネルギー)、NFC(近距離通信)、イーサネット、RS485、モッドバス、プロフィバス、CANバス、または、USB(ユニバーサルシリアルバス)が、参照される。
通信インターフェースは、(直接的または間接的に)広域ネットワークへのアクセスを提供していることが好ましい。
【0030】
通信インターフェースが、モーター電子機器に通信可能に接続されていてもよい。
この場合、モーター電子機器は、通信インターフェースを介して受信された振動値および/または評価尺度に基づいて、ステータおよび/またはローターの巻線の制御を調整するように構成されていてもよい。
例えば、評価尺度が、電気モーターに高い振動負荷が存在することを示してもよい。
この場合、モーター電子機器は、振動負荷が低減されるように、電気モーターを制御してもよい。
これは、たとえば、電気モーターの回転速度をわずかに変更し、電気モーターを共振周波数から外すことで、実行可能である。
【0031】
電気モーターの公称動作で使用可能な基準値を判断するために、校正測定および/または始動測定が実行される。
この場合、電気モーターは、様々な回転速度で動作し、電気モーターの振動が、測定される。
始動測定の場合、回転速度を連続的または準連続的に増加させることで、(たとえば)共振周波数を特に容易に発見可能である。
校正測定および/または始動測定では、振動は、一方では、電気モーターの振動センサで測定され、他方では、試験センサで測定される。
この場合、試験センサは、試験システムの一部であることが好ましい。
この場合、電気モーターの振動が可能な限り最適に試験センサに到達可能なように、試験センサは、電気モーターのハウジングに連結されている。
電気モーターの振動センサと同時に記録することにより、振動センサと試験センサとの間に直接的な関係を確立してもよく、本発明による方法で評価してもよい。
具体的には、振動センサが鋳造物体に埋め込まれている場合、電気モーターの振動は、減衰して電気モーターの振動センサに到達する。
試験センサと同時に測定することで、振動センサの測定値と試験センサの測定値との間に関係を確立することができる。
そして、この関係を、関連する基準値に反映させてもよい。
こうして得られる基準値は、振動センサと電気モーターの「それ以外の部分」との間の減衰挙動の影響を受けることになるので、この基準値は、様々な値を取る。
【0032】
基準値の判断に加えて、電気モーターの振動センサの測定値と少なくとも1つの試験センサの測定値との間の関係を示す乖離値が、様々な回転速度で判断される。
さらに、乖離値が、最大許容閾値の調整に用いられてもよい。
このようにすると、電気モーターの振動センサへの振動の伝達特性に対処可能である。
【0033】
さらに、電気モーターの様々な回転速度での複数の基準値を有する基準特性曲線が、モーターデータベースに記憶されてもよい。
モーターデータベースが、複数の電気モーターの動作パラメータを含んでいてもよい。
データベース内の各データセットは、関連する専用電気モーター(「デジタルツイン」)の挙動を模倣している。
このようなデータベースシステムは、例えば、特許文献4に記載されている。
【0034】
本発明による電気モーターは、ステータおよびローターに加えて、振動センサと、回転速度検出ユニットと、比較器と、評価ユニットと、を含み、本発明による方法を実行するように構成されている。
振動センサが、電気モーターの少なくとも1方向の振動を測定するように構成されている。
回転速度判断ユニットが、電気モーターの現在の回転速度を判断するように構成される。
比較器が、振動センサを用いて判断された振動値を基準値と比較し、その比較結果に基づいて、振動挙動を評価するための評価尺度を判断するように構成されている評価ユニットに、比較結果を出力する。
これらの構成要素は、必ずしも振動挙動の評価にのみ利用可能である必要はないことに、注意する必要がある。
むしろ、他の目的で利用可能である構成要素を使用することもできる。
例えば、ローターおよび/またはステータの巻線を適切に制御可能なように、モーター制御のための回転速度判断ユニットが、提供されていてもよい。
さらに、例えば、評価ユニットまたは比較器が、モーター制御のマイクロコントローラに実装されてもよい。
【0035】
電気モーターは、振動値および/または校正振動値を試験システムと取り交わすように構成されているインターフェースを備えている。
このようにすると、校正測定および/または始動測定において、電気モーターの測定を有利に実行可能である。
インターフェースはまた、様々な方法で形成されていてもよい。
有線のものだけでなく、無線インターフェースも使用可能である。
電気モーターは、試験システム内で有線で動作することが多いため、有線インターフェースはこの目的に適している。
【0036】
本発明は様々な可能性がある。
このために、請求項と図面を参照して本発明の実施形態の説明を参照されたい。
図面を参照して本発明の実施形態も説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明による電気モーターおよび試験システムを、それらの相互作用と共に示すブロック図である。
【
図2】校正動作中の電気モーターの振動挙動を評価するための、本発明による方法のフローチャートである。
【
図3】公称動作中の電気モーターの振動挙動を評価するための、本発明による方法のフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0038】
図1は、本発明による電気モーター1と試験システム2とからなるシステムのブロック図を示し、本発明による方法に最も関連する構成要素が、
図1に示されている。
電気モーター1は、ファンの一部であり、動作時に振動を発生させる。
振動は、矢印3で示され、回転速度は、矢印4で示されている。
振動3は、電気モーター1の(内部)振動センサ5によって少なくとも1方向で測定される。
振動センサ5によって判断された測定値は、例えば、マイクロコントローラで形成されているプロセッサ6に送信される。
このプロセッサ6は、例えば、アナログ-デジタル変換を実行可能であり、測定値の収集を制御可能である。
したがって、プロセッサ6は、測定値から振動値を判断可能である。
さらに、評価ユニットとして機能するプログラムが、プロセッサ6によって実行され、評価尺度を計算する。
さらに、プロセッサ6は、現在の回転速度を判断するように構成されている。
【0039】
プロセッサ6は、インターフェース7および(内部)メモリ8に接続されている。
インターフェース7は、試験システム2への通信接続を表している。
情報を、インターフェース7の出力OUTを介して試験システム2に送信可能であり、インターフェース7の入力INを介して試験システム2から受信可能である。
入力チャネルと出力チャネルとは、別個に実装される必要はなく、例えば、バスを使用する共通の通信回線を使用してもよい。
内部メモリ8は、基準値および/または判断された振動値および/または判断された評価尺度を記憶するために使用される。
【0040】
試験システム2は、少なくとも1つの試験センサ9、回転速度センサ10、データ収集ユニット11、プロセッサ12、および、インターフェース13を備えている。
少なくとも1つの試験センサ9は、電気モーター1の振動3を測定するように構成されている。
このために、少なくとも1つの試験センサ9が、電気モーター1に振動測定可能なように連結されている。
回転速度センサ10は、電気モーター1の現在の回転速度4を測定する。
試験センサ9および回転速度センサ10の両方が、測定値をデータ収集ユニット11に送信し、その後、データ収集ユニット11は、情報をプロセッサ12に受け渡し可能である。
プロセッサ12は、データ出力ユニット14に接続され、例えば、バランスを示したり、最後の試験の結果を出力したりすることができる。
また、プロセッサは、インターフェース7と同様に、入力INおよび出力OUTを備えているインターフェース13に接続されている。
インターフェース13の入力INは、インターフェース7の出力OUTに通信可能に接続され、インターフェース13の出力OUTは、インターフェース7の入力INに通信可能に接続されている。
さらに、インターフェース13の入力INは、データ収集ユニット11に接続され、インターフェース13の出力OUTは、電気モーター1の動作パラメータを記憶するモーターデータベースを表すデータベース15に接続されている。
【0041】
図1に示されているシステムの挙動が、フロー図で
図2に示されている。
最初のステップ20において、電気モーター1は、回転速度nで動作している。
ここで、電気モーター1は、振動値S(好ましくは多次元量)で表される振動を生成している。
ステップ20の後、フロー図は、試験システム2で実行されるパートと、電気モーター1またはそのモーター電子機器で実行されるパートとに分岐する。
【0042】
ステップ21で、電気モーター1の振動値が、振動センサ5を用いて収集される。
振動センサ5は、電気モーター1/ファンの統合されたモーター電子機器内の電気モーター1の振動センサである。
同時に、電気モーター1の現在の回転速度が、判断される。
これは、対応するメモリ値を読み取ることによって実行可能である。
ステップ22で、振動値Sとそれに関連する回転速度とを有する、値対のWモーターが生成され、この値対は、次にステップ23で、インターフェース7を介して試験システム2に送信される。
同時に、ステップ24で、電気モーター1の振動3が、少なくとも1つの試験センサ9によって測定される。
このようにして得られた振動値は、次に、ステップ25で、値対W試験システムで現在の回転速度と組み合わされる。
この値対W試験システムは、実質的に同時に収集された値対Wモーターと共に、ステップ26でプロセッサ12に送信される。
値対Wモーターは、ステップ27で、インターフェース7とインターフェース13との間の接続を介して、ステップ23から試験システム2に送信されたものである。
ステップ28で、値対WモーターとW試験システムとを相互に比較する。
試験センサ9の測定値は、本発明による方法における基準値を表している。
ステップ29で、同じ回転速度での振動値の校正が、実施される。
これには、乖離値および/または評価尺度を判断することが、含まれてもよい。
次に、この同じ回転速度でのWモーターおよびW試験システムの振動値を、基準値としてデータベース15に保存してもよく、ステップ30でインターフェース13を介して電気モーター1に送信してもよい。
電気モーター1では、基準値および/または乖離値は、ステップ31でインターフェース7から送信され、ステップ32で内部メモリ8に記憶される。
【0043】
これらのプロセスを、様々な回転速度で繰り返し実行することにより、電気モーター1と試験システム2との基準特性曲線を記録し、基準値とそれに関連する回転速度とからなるグループを、電気モーター1の内部メモリ8とデータベース15とに記憶できる。
このようにすると、本発明による方法を後に電気モーター1の「通常の」動作で使用する際に使用可能な、ルックアップテーブルを作成することができる。
【0044】
試験センサ9によって収集された電気モーター1またはファンの振動値は、振動レベルまたは振動ゾーンの評価および分類に使用可能である。
内部の振動センサ5の測定値と試験センサ9の測定値とを一致させることにより、電気モーター1をさらに使用する際に、試験システム2と連結することなく現在の実際の振動に関する情報を導出することができ、現在の振動レベルの評価を、客先で行うことができる。
【0045】
さらに、試験スタンドで校正測定をすることにより、電気モーター1の振動センサ5が機能するかどうかと、測定値を収集可能かどうかと、測定値を処理する構成要素が使用可能かどうかと、がわかり、さらに、試験システム2の振動値と比較することで、生成された測定値が妥当なものかどうかがわかる。
【0046】
さらに、バランスシステムの試験センサを用いて、(ステータと関連していない)ローターを「ダミー」ステータ内でバランシングすることで、そのローターの振動測定値を収集可能であり、さらに、データベース15に、またはモーター電子機器の内部メモリ8に、追加の値対として、または、特性曲線として、試験システム2での校正中に受け渡し可能である。
この情報を用いて、客先での取付による振動影響を、除外および評価できる。
【0047】
図3では、電気モーター1またはそのモーター電子機器が、試験システム2から切り離されている。
これは、これらのステップが、たとえば、顧客システムでの電気モーター1の「通常の」動作で実行可能であることを意味する。
これらのステップは、定期的に始動可能である。
ここでも、最初のステップ20で、電気モーター1は、回転速度nで動作している。
電気モーター1は、振動値S(好ましくは多次元量)によって表される振動を発生させている。
次のステップ21で、電気モーター1の振動値が、電気モーター1の振動センサ5を用いて収集される。
ステップ22で、値対Wモーターが、振動値Sおよび関連する回転速度を用いて生成され、ステップ33へ渡され、そこで、値対Wモーターが、比較器で利用可能になる。
ステップ34で、この値対Wモーターは、ステップ35で内部メモリ8からロードされる基準値と比較される。
比較器は、プロセッサ6に実装されている。
【0048】
値対Wモーターを基準値と比較した結果は、ステップ36で、評価ユニットを用いて分析され、評価尺度が生成される。
ここでは、評価尺度は、最大許容振動値を超えたかどうかを示す、2進数として構成されている。
最大許容振動値の制限値を超えた場合、ステップ37で、電気モーター1および/または環境を保護するための措置が、講じられる。
この措置には、例えば、警告メッセージの出力や、回転速度の低下が、含まれてもよい(ステップ38)。
同時に、ステップ39で、このイベントが、関連する測定値と共にメモリ8に記憶されてもよい。
最大許容振動値に達していない場合、値対Wモーター、比較結果および/または他の量が、ステップ39でメモリ8に記憶される。
【0049】
通常のモーター動作(公称動作とも呼ばれる)では、比較器での結果は、振動が、最後の校正測定以降にどれだけ増加したかを示している。
したがって、校正測定に比べて振動が増加していると、ステップ34での比較で、より大きな値が得られる。
この点に関して、この比較結果を、最大許容振動の限界値と比較可能であり、そこから、電気モーター1の振動挙動が、大きすぎないかを導出可能である。
振動が、電気モーター1自体から生じているのか、電気モーター1によって駆動される羽根車から生じているのか、電気モーター1を理想的に制御できていないことから生じているのか、電気モーター1の設置環境から生じているのか、は重要ではない。
【0050】
本発明は、説明の一般的な部分および特許請求の範囲を参照されたい。
【0051】
最後に、上述の実施形態は、特許請求された発明を説明するが、この実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1 ・・・電気モーター
2 ・・・試験システム
3 ・・・振動
4 ・・・回転速度
5 ・・・振動センサ
6 ・・・プロセッサ
7 ・・・インターフェース
8 ・・・メモリ
9 ・・・試験センサ
10 ・・・回転速度センサ
11 ・・・データ収集ユニット
12 ・・・プロセッサ
13 ・・・インターフェース
14 ・・・データ出力ユニット
15 ・・・データベース