(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ライブラリー富化を改善するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6832 20180101AFI20240207BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20240207BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240207BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20240207BHJP
【FI】
C12Q1/6832 Z ZNA
C40B40/06
C12N15/11 Z
C12Q1/6869 Z
(21)【出願番号】P 2021507464
(86)(22)【出願日】2019-08-13
(86)【国際出願番号】 US2019046396
(87)【国際公開番号】W WO2020036991
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-07-21
(32)【優先日】2018-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スラッター, アンドリュー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ジュンファ
(72)【発明者】
【氏名】デサンティス, グレース
(72)【発明者】
【氏名】グロス, スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホーガン, ヘイリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジアン-セン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, オリバー ジェイ.
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0159040(US,A1)
【文献】特表2005-503762(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119930(WO,A1)
【文献】特表2017-537609(JP,A)
【文献】特表2017-514487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/6832
C40B 40/06
C12N 15/11
C12Q 1/6869
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウディング
剤、ヒトCot-1DNA、不安定化剤、塩およびブロッカ
ーを含むハイブリダイゼーションバッファー
であって、前記ブロッカーは、アダプターに結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;前記アダプターの前記インデックス領域および/またはUMIに結合することができる前記ブロッカーの領域は、少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基を含む、ハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項2】
前記クラウディング剤が、デキストラン、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、グリセロールおよびベタインのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項3】
クラウディング剤、ヒトCot-1DNA、ブロッカー、不安定化剤、バッファー、塩および界面活性剤を含む、請求項1または請求項2に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項4】
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、バッファーを含み、前記バッファーは、リン酸バッファーである、請求項1~
3のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項5】
前記塩は、NaClまたはクエン酸ナトリウムである、請求項1~
4のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項6】
前記不安定化剤は、ホルムアミドもしくは尿素またはそれらの混合物である、請求項1~
5のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項7】
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、界面活性剤を含み、前記界面活性剤は、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、請求項1~
6のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項8】
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、
0.5%~10%デキストラン硫酸、
0.05mg/mL~0.5mg/mLヒトCot-1DNA、
1%~15%(v/v)ホルムアミド、
40mM~80mM KH
2PO
4-K
2HPO
4、
0.1M~4M NaCl、および
0.001%~10%(v/v)TWEEN(登録商標)20
を含む、請求項1に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項9】
前記ブロッカーは、
(a)T
mを高める複数の修飾;
または
(b)架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む前記ブロッカーのT
mを上昇させる複数の修
飾
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【請求項10】
富化ライブラリーを調製する方法であって、前記方法は、ハイブリダイゼーション混合物を形成するために、ライブラリーメンバー、請求項1~
9のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファーおよびプローブを含むハイブリダイゼーション混合物を、前記プローブがライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズするのに十分な条件下で形成する工程を含み、ここで、前記プローブは、リガンドを含む、方法。
【請求項11】
ハイブリダイズした後の前記プローブを、捕捉手段を用いて捕捉する工程、および
捕捉されたライブラリーメンバーを前記捕捉手段から富化ライブラリーメンバーを含む溶離液に溶離する工程であって、ここで、前記溶離液のDNA濃度は、1.3pM~250pMの範囲内である、工程
を含む、請求項1
0に記載の方法。
【請求項12】
前記ハイブリダイゼーション混合物が、少なくとも2つのライブラリー調製物由来のサンプルを含み、ここで、各ライブラリー調製物の少なくとも10ng、少なくとも25ng、少なくとも50ng、少なくとも100ng、少なくとも200ngまたは少なくとも500ngのDNAが合わせられている、請求項1
0または請求項1
1に記載の方法。
【請求項13】
前記ハイブリダイゼーション混合物のDNA濃度が、0.1ng/μL~120ng/μLの範囲内である、請求項1
0~1
2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記富化ライブラリーメンバーを配列決定する工程を含み、前記方法は、前記ライブラリーメンバーを捕捉する工程の前に前記ライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない、請求項1
0~1
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記配列決定する工程が、フローセル上で行われ、前記方法が、前記富化ライブラリーメンバーを少なくとも1.1pM、少なくとも1.2pM、少なくとも1.3pM、少なくとも10pMまたは少なくとも100pMの濃度かつ最大100pM、最大200pM、最大250pMまたは最大300pMの濃度で前記フローセルにロードする工程を含む、請求項1
4に記載の方法。
【請求項16】
ダイレクトフローセルローディングジグを用いて、前記富化ライブラリーメンバーをフローセル上にロードする工程を含む、請求項1
5に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~
9のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファーおよび使用説明書を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2018年8月15日出願の米国特許仮出願第62/764,753号の利益を主張する。この仮出願の内容は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【発明の概要】
【0002】
発明の要旨
次世代シーケンシング(NGS)の処理量が急速に進歩しているにもかかわらず、古典的なライブラリー調製法および富化法は、多くの時間を必要とし、処理量を制限する障害となることがある。本開示は、ブロッカーおよび/またはハイブリダイゼーションバッファーを含む組成物、それらの組成物を使用するための方法、ならびに配列決定前に核酸選択の効率を改善するための方法を記載する。
【0003】
1つの態様において、本開示は、クラウディング剤と、ヒトCot-1DNA、不安定化剤、塩およびブロッカーのうちの少なくとも1つとを含むハイブリダイゼーションバッファーを記載する。
【0004】
別の態様において、本開示は、ハイブリダイゼーションバッファーを使用する工程を含む方法を記載する。本開示は、ハイブリダイゼーションバッファーを含むキットも記載する。
【0005】
さらなる態様において、本開示は、オリゴヌクレオチドを含むブロッカーを記載し、そのブロッカーは、アダプターに結合することができる。そのアダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含む。アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合することができるブロッカーの領域は、少なくとも3つのチミン塩基またはユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含む。
【0006】
なおも別の態様において、本開示は、接続されていない2つのオリゴヌクレオチドを含むブロッカーを記載する。そのブロッカーは、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、そのアダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含む。接続されていないオリゴヌクレオチドは、アダプターのインデックス領域および/またはUMIに対応しない塩基を含む。
【0007】
本開示は、本明細書中に記載されるブロッカーを使用する工程を含む方法および本明細書中に記載されるブロッカーを含むキットも記載する。
【0008】
さらなる態様において、本開示は、ハイブリダイゼーションバッファーの存在下においてライブラリーをブロッカーと接触させる工程;およびライブラリーをプローブと接触させる工程を含む方法を記載し、ここで、そのプローブは、ライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズする。その方法は、ライブラリーメンバーを配列決定する前にPCRを用いてライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない。
【0009】
本明細書中で使用されるとき、用語「核酸」は、当該分野における使用法と一致するように意図されており、天然に存在する核酸またはその機能的アナログを含む。特に有用な機能的アナログは、配列特異的形式で核酸にハイブリダイズすることができるか、または特定のヌクレオチド配列の複製用の鋳型として使用されることができる。天然に存在する核酸は、通常、ホスホジエステル結合を含む骨格を有する。アナログの構造は、当該分野で公知の種々のもののいずれかを含むほかの骨格結合を有し得る。天然に存在する核酸は、通常、デオキシリボース糖(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)に見られるもの)またはリボース糖(例えば、リボ核酸(RNA)に見られるもの)を有する。核酸は、当該分野で公知であるこれらの糖部分の種々のアナログのいずれかを含み得る。核酸は、天然または非天然の塩基を含み得る。この点において、天然のデオキシリボ核酸は、アデニン、チミン、シトシンまたはグアニンからなる群より選択される1種またはそれを超える塩基を有し得、リボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシンまたはグアニンからなる群より選択される1種またはそれを超える塩基を有し得る。核酸に含められ得る有用な非天然塩基は、当該分野で公知である。用語「標的」は、核酸に関して使用されるとき、本明細書中に示される方法または組成物の文脈ではその核酸に対する意味識別子として意図されており、別途明示的に示されているものを超えてその核酸の構造または機能を必ずしも限定しない。
【0010】
本明細書中で使用されるとき、用語「Tm」とは、サンプルのDNA鎖の半分が二重らせん状態にあり、サンプルのDNA鎖の半分がランダムコイル状態にある温度のことを指す。
【0011】
本明細書中で使用されるとき、用語「アダプター」およびその派生語(例えば、ユニバーサルアダプター、非標的アダプターなど)は、一般に、本開示の核酸分子にライゲートできる任意の直鎖状の一本鎖オリゴヌクレオチドのことを指す。いくつかの実施形態において、アダプターは、サンプル中に存在する任意の標的配列の3’末端または5’末端に対して実質的に相補的でない。いくつかの実施形態において、好適なアダプターの長さは、10~100ヌクレオチド、12~60ヌクレオチドおよび15~50ヌクレオチド長の範囲内である。通常、アダプターは、任意の組み合わせのヌクレオチドおよび/または核酸を含み得る。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたはそれを超える位置に1つまたはそれを超える切断可能な基を含み得る。別の態様では、アダプターは、プライマー、例えば、ユニバーサルプライマーの少なくとも一部と実質的に同一または実質的に相補的な配列を含み得る。いくつかの実施形態において、アダプターは、下流でのエラー訂正、識別または配列決定を支援するためにインデックスまたはタグを含み得る。
【0012】
本明細書中で使用されるとき、用語「ユニバーサル配列」とは、2つまたはそれを超える核酸分子、例えば、アダプター-標的アダプター分子に共通の配列領域のことを指し、ここで、それらの分子は、互いと異なる配列領域も有する。分子集団の中の異なるメンバーにユニバーサル配列が存在することにより、ユニバーサル配列の一部、例えば、ユニバーサル伸長プライマー結合部位に相補的なユニバーサル捕捉核酸の集団を用いて、複数の異なる核酸を捕捉することが可能になり得る。ユニバーサル伸長プライマー結合部位の非限定的な例としては、P5およびP7プライマーと同一または相補的な配列が挙げられる。同様に、分子集団の中の異なるメンバーにユニバーサル配列が存在することにより、ユニバーサル配列の一部、例えば、ユニバーサルプライマー結合部位に相補的なユニバーサルプライマーの集団を用いて、複数の異なる核酸を複製または増幅することが可能になり得る。したがって、ユニバーサル捕捉核酸またはユニバーサルプライマーは、ユニバーサル配列に特異的にハイブリダイズできる配列を含む。標的核酸分子は、本明細書中に記載されるようなユニバーサルアダプター、例えば、種々の標的配列の片方または両方の末端に付着するように修飾され得る。
【0013】
用語「P5」および「P7」は、増幅プライマー、例えば、ユニバーサルプライマー伸長プライマーのことを指すときに使用され得る。用語「P5’」(P5プライム)および「P7’」(P7プライム)とは、それぞれP5およびP7の相補鎖のことを指す。任意の好適な増幅プライマーを本明細書中に提示される方法において使用できること、およびP5およびP7の使用は、単に例示的な実施形態であることが理解される。フローセル上でのP5およびP7などの増幅プライマーの使用は、WO2007/010251、WO2006/064199、WO2005/065814、WO2015/106941、WO1998/044151およびWO2000/018957の開示によって例証されているように、当該分野で公知である。例えば、任意の好適なフォワード増幅プライマーは、固定化されているか溶液中に存在するかを問わず、相補的な配列へのハイブリダイゼーションおよび配列の増幅のための本明細書中に提示される方法において有用であり得る。同様に、任意の好適なリバース増幅プライマーも、固定化されているか溶液中に存在するかを問わず、相補的な配列へのハイブリダイゼーションおよび配列の増幅のための本明細書中に提示される方法において有用であり得る。当業者は、捕捉に適したプライマー配列および本明細書中に提示されるような核酸の増幅に適したプライマー配列をどのようにデザインするのかおよび使用するのかを理解しているだろう。
【0014】
本明細書中で使用されるとき、「増幅する(amplify)」、「増幅する(amplifying)」または「増幅反応」およびそれらの派生語は、一般に、核酸分子の少なくとも一部が少なくとも1つのさらなる核酸分子に複製またはコピーされる任意の行為またはプロセスのことを指す。そのさらなる核酸分子は、必要に応じて、鋳型核酸分子の少なくとも一部と実質的に同一または実質的に相補的な配列を含む。鋳型核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得、さらなる核酸分子は、独立して、一本鎖または二本鎖であり得る。増幅は、必要に応じて、核酸分子の直線的または指数関数的複製を含む。いくつかの実施形態において、そのような増幅は、等温条件を用いて行われ得、他の実施形態では、そのような増幅は、サーモサイクリングを含み得る。いくつかの実施形態において、増幅は、1つの増幅反応において複数の標的配列を同時に増幅することを含むマルチプレックス増幅である。いくつかの実施形態において、「増幅」には、DNAベースおよびRNAベースの核酸の少なくとも一部を単独または組み合わせで増幅することが含まれる。増幅反応は、当業者に公知の任意の増幅プロセスを含み得る。いくつかの実施形態において、増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む。
【0015】
本明細書中で使用されるとき、「増幅条件」およびその派生語は、一般に、1つまたはそれを超える核酸配列の増幅に適した条件のことを指す。そのような増幅は、直線的または指数関数的であり得る。いくつかの実施形態において、増幅条件には、等温条件が含まれ得るか、あるいはサーモサイクリング条件または等温条件とサーモサイクリング条件との組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態において、1つまたはそれを超える核酸配列の増幅に適した条件には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)条件が含まれる。代表的には、増幅条件とは、1つもしくはそれを超える標的配列などの核酸を増幅するのに十分な、または1つもしくはそれを超えるアダプターにライゲートした増幅済みの標的配列、例えば、アダプターにライゲートした増幅済み標的配列を増幅するのに十分な、反応混合物のことを指す。通常、増幅条件には、増幅または核酸合成のための触媒、例えば、ポリメラーゼ;増幅される核酸に対してある程度の相補性を有するプライマー;およびヌクレオチド、例えば、核酸にハイブリダイズしたプライマーの伸長を促進するデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)が含まれる。増幅条件には、核酸へのプライマーのハイブリダイゼーションまたはアニーリング、プライマーの伸長、および伸長したプライマーを増幅中の核酸配列から分離する変性工程が必要であり得る。代表的には、増幅条件にはサーモサイクリングが含まれ得るが、必ずしもそうではなく、いくつかの実施形態では、増幅条件には、複数のサイクルが含まれ、そのサイクルでは、アニーリング、伸長および分離の工程が繰り返される。代表的には、増幅条件には、Mg2+またはMn2+などの陽イオンが含まれ、イオン強度の様々な調節因子も含まれ得る。
【0016】
本明細書中で使用されるとき、用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)とは、クローニングまたは精製なしでゲノムDNAの混合物中の目的のポリヌクレオチドのセグメントの濃度を上昇させるための方法を説明している米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号に記載されているような方法のことを指す。目的のポリヌクレオチドを増幅するためのこのプロセスは、大過剰な2つのオリゴヌクレオチドプライマーを、所望の目的のポリヌクレオチドを含むDNA混合物に導入した後、DNAポリメラーゼの存在下において一連の熱サイクルを行うことからなる。その2つのプライマーは、目的の二本鎖ポリヌクレオチドのそれぞれの鎖に相補的である。まず、混合物を高温で変性させ、次いで、プライマーを目的分子のポリヌクレオチド内の相補的な配列にアニールさせる。アニーリングの後、ポリメラーゼによってプライマーを伸長させて、新しい相補鎖対を形成する。変性、プライマーアニーリングおよびポリメラーゼ伸長の工程を何度も繰り返すことにより(サーモサイクリングと称される)、所望の目的のポリヌクレオチドの高濃度の増幅セグメントが得られる。所望の目的のポリヌクレオチドの増幅セグメント(アンプリコン)の長さは、プライマーの互いに対する相対的な位置によって決まるので、この長さは、制御可能なパラメータである。このプロセスを繰り返すため、この方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(本明細書中以後、「PCR」)と称される。目的のポリヌクレオチドの所望の増幅セグメントは、混合物中で(濃度に関して)優勢な核酸配列になるので、「PCR増幅された」と言われる。上で論じられた方法の変法では、標的核酸分子を、目的の標的核酸分子1つにつき複数の異なるプライマー対、いくつかの場合では1つまたはそれを超えるプライマー対を用いてPCR増幅し、それにより、マルチプレックスPCR反応物を形成することができる。
【0017】
本明細書中で定義されるとき、「マルチプレックス増幅」とは、サンプル中の2つまたはそれを超える標的配列を同時に増幅することを指す。いくつかの実施形態において、マルチプレックス増幅は、標的配列の一部または全部が1つの反応容器内で増幅されるように行われる。所与のマルチプレックス増幅の「プレキシ(plexy)」または「プレックス(plex)」とは、一般に、1回のマルチプレックス増幅中に増幅される異なる標的特異的配列の数のことを指す。増幅された標的配列をいくつかの異なる方法(例えば、ゲル電気泳動の後のデンシトメトリー、バイオアナライザーまたは定量的PCRによる定量、標識プローブによるハイブリダイゼーション;ビオチン化プライマーの組み込みの後、アビジン-酵素結合体の検出;増幅された標的配列への32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の組み込み)によって検出することもできる。
【0018】
本明細書中で使用されるとき、用語「プライマー」およびその派生語は、一般に、目的の標的配列にハイブリダイズできる任意のポリヌクレオチドのことを指す。代表的には、プライマーは、ヌクレオチドがポリメラーゼによって重合できる基質として機能するが、しかしながら、いくつかの実施形態では、プライマーは、合成された核酸鎖に組み込まれるようになり得、合成された核酸分子に相補的な新しい鎖の合成を刺激するための別のプライマーがハイブリダイズし得る部位を提供し得る。プライマーは、ヌクレオチドまたはそのアナログの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、プライマーは、一本鎖のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、任意の長さの多量体型のヌクレオチドのことを指すために本明細書中で交換可能に使用され、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらのアナログまたはそれらの混合物を含み得る。これらの用語は、ヌクレオチドアナログでできたDNAまたはRNAのアナログを等価物として含み、一本鎖(例えば、センスまたはアンチセンス)ポリヌクレオチドおよび二本鎖ポリヌクレオチドに適用できると解釈されるべきである。この用語は、本明細書中で使用されるとき、例えば逆転写酵素の作用によってRNA鋳型から生成された相補的なDNAまたはコピーDNAであるcDNAも包含する。この用語は、その分子の1次構造のみについて言及する。したがって、この用語には、三本鎖、二本鎖および一本鎖のデオキシリボ核酸(「DNA」)、ならびに三本鎖、二本鎖および一本鎖のリボ核酸(「RNA」)が含まれる。
【0019】
本明細書中で使用されるとき、用語「ライゲートする」、「ライゲーション」およびそれらの派生語は、一般に、2つまたはそれを超える分子を共有結合的に繋ぐためのプロセス、例えば、2つまたはそれを超える核酸分子を互いと共有結合的に繋ぐためのプロセスのことを指す。いくつかの実施形態において、ライゲーションには、核酸の隣接ヌクレオチド間のニックの連結が含まれる。いくつかの実施形態において、ライゲーションには、第1の核酸分子の末端と第2の核酸分子の末端との間の共有結合の形成が含まれる。いくつかの実施形態において、ライゲーションには、1つの核酸の5’リン酸基と第2の核酸の3’ヒドロキシル基との間の共有結合の形成によって、ライゲートされた核酸分子を形成することが含まれ得る。いくつかの実施形態において、標的配列は、アダプターにライゲートされて、アダプター-標的配列が生成され得る。当業者は、ライゲーション反応が反応物中に存在するすべての分子をつながないことがあることを認識するだろう。
【0020】
本明細書中で使用されるとき、「リガーゼ」およびその派生語は、一般に、2つの基質分子のライゲーションを触媒できる任意の作用物質のことを指す。いくつかの実施形態において、リガーゼには、核酸の隣接ヌクレオチド間のニックの連結を触媒できる酵素が含まれる。いくつかの実施形態において、リガーゼには、1つの核酸分子の5’リン酸ともう1つの核酸分子の3’ヒドロキシルとの間の共有結合の形成を触媒することができ、それにより、ライゲートされた核酸分子を形成することができる酵素が含まれる。好適なリガーゼとしては、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、耐熱性T4 DNAリガーゼおよび大腸菌DNAリガーゼが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0021】
用語「フローセル」は、本明細書中で使用されるとき、1つまたはそれを超える流体試薬が流れ得る固体表面を備えるチャンバーのことを指す。本開示の方法において容易に使用され得るフローセルならびに関連する流体システムおよび検出プラットフォームの例は、例えば、Bentleyら、Nature 456:53-59(2008);WO04/018497;WO91/06678;WO07/123744;米国特許第7,057,026号;米国特許第7,211,414号;米国特許第7,315,019号;米国特許第7,329,492号;米国特許第7,405,281号;および米国特許出願公開第2008/0108082に記載されている。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、用語「ライブラリー」とは、メンバーの集合のことを指す。1つの実施形態において、ライブラリーは、核酸メンバーの集合、例えば、ホールゲノムフラグメント、サブゲノムフラグメント、cDNA、cDNAフラグメント、RNA、RNAフラグメントまたはそれらの組み合わせの集合を含む。いくつかの実施形態において、ライブラリーメンバーの一部または全部が、非標的アダプター配列を含む。アダプター配列は、片方または両方の末端に位置し得る。アダプター配列は、例えば、配列決定方法(例えば、NGS法)において、増幅、逆転写またはベクターへのクローニングのために、使用され得る。
【0023】
「メンバー」または「ライブラリーメンバー」または他の類似の用語は、本明細書中で使用されるとき、ライブラリーのメンバーである、核酸分子、例えば、DNA、RNAまたはそれらの組み合わせのことを指す。代表的には、メンバーは、DNA分子、例えば、ゲノムDNAまたはcDNAである。メンバーは、断片化された、例えば、剪断された、または酵素的に調製された、ゲノムDNAであり得る。メンバーは、被験体由来の配列を含み、被験体に由来しない配列、例えば、非標的配列、例えば、アダプター配列、プライマー配列、および/または識別を可能にする他の配列、例えば、インデックスも含み得る。
【0024】
本明細書中で使用されるとき、「インデックス」(「インデックス領域」または「インデックスアダプター」とも称される)とは、核酸材料のサンプルまたは起源を識別するために用いることができる核酸タグのことを指す。核酸サンプルが、複数の起源に由来するとき、そのサンプルの起源が識別できるように、各核酸サンプル中の核酸を種々の核酸タグでタグ化することができる。当該分野で公知であるような、ならびに米国特許第8,053,192号、PCT公開番号WO05/068656および米国特許出願公開第2013/0274117の開示によって例証されるような、任意の好適なインデックスまたはインデックスセットを用いることができる。いくつかの実施形態において、インデックスは、Illumina,Inc.(San Diego,CA)の6塩基Index1(i7)配列、8塩基Index1(i7)配列、8塩基Index2(i5)配列、10塩基Index1(i7)配列または10塩基Index2(i5)配列を含み得る。
【0025】
本明細書中で使用されるとき、用語「ユニーク分子識別子」または「UMI」または「バーコード」とは、核酸分子に付着され得る分子タグのことを指す。UMIは、核酸分子に組み込まれるとき、増幅後に配列決定されるユニーク分子識別子(UMI)を直接カウントすることによって、その後の増幅バイアスを補正するために用いることができる。
【0026】
本明細書中で使用されるとき、用語「タグメンテーション」とは、二本鎖の認識配列(ハイブリダイズしたトランスポゾン末端配列)を含むアダプターと複合体化したトランスポザーゼ酵素を含むトランスポソーム複合体によるDNAの修飾のことを指す。タグメンテーションによって、DNAの断片化と、二重鎖フラグメントの両鎖の5’末端へのアダプターのライゲーションとが同時に生じる。トランスポザーゼ酵素を除去するための精製、ギャップフィリングおよびライゲーションの後、完全な二本鎖産物が生じる。適合されたフラグメントの末端に、例えば、PCR、ライゲーション、または当業者に公知の他の任意の好適な方法によって、さらなる配列が付加され得る。例えば、米国特許出願公開第2017/0044525号を参照のこと。
【0027】
用語「および/または」は、1つまたはそれを超える列挙されているエレメント、または列挙されているエレメントのうちのいずれか2つまたはそれを超えるものの組み合わせを意味する。
【0028】
単語「好ましい」および「好ましくは」とは、ある特定の状況においてある特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態のことを指す。しかしながら、他の実施形態も、同じまたは他の状況において好ましい場合がある。さらに、1つまたはそれを超える好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを暗示するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0029】
用語「~を含む(comprises)」およびその変化形は、これらの用語が明細書および請求項に現れる場合、限定の意味を有しない。
【0030】
実施形態が、言語「~を含む(include)」、「~を含む(includes)」または「~を含む(including)」などを用いて本明細書中に記載される場合は必ず、「~からなる」および/または「~から本質的になる」に関して記載される他の類似の実施形態も提供されると理解される。用語「~からなる」は、句「~からなる」の前のものに限定される。つまり、「~からなる」は、列挙されるエレメントが不可欠または必須であること、および他のエレメントが存在してはならないことを示す。用語「~から本質的になる」は、この句の前に列挙される任意のエレメントが含められること、および列挙されているもの以外の他のエレメントが含められる場合があるが、但し、それらのエレメントは、列挙されるエレメントに対して本開示に明記される活性または作用を干渉しないまたは寄与しないことを示す。
【0031】
別段識別されない限り、「a」、「an」、「the」および「少なくとも1つ」は、交換可能に使用され、1つまたは1つより多いことを意味する。
【0032】
本明細書中で使用されるとき、用語「各(々)」は、項目の集合への言及において用いられるとき、その集合内の個々の用語を特定していると意図されているが、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、必ずしもその集合内のすべての用語のことを指すわけではない。
【0033】
終点による数値範囲の記載には、その範囲内に包含されるすべての数字が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などが含まれる)。
【0034】
別々の工程を含む本明細書中に開示されるいずれの方法についても、それらの工程は、任意の実行可能な順序で行うことができる。また、適宜、2つまたはそれを超える工程の任意の組み合わせを同時に行うこともできる。
【0035】
本発明の上記の要旨は、開示される各実施形態または本発明の全実施態様を記載することを目的としていない。以下の説明において、例証的な実施形態をより詳細に例証する。本願全体にわたるいくつかの箇所において、例のリストによって指針が提供され、それらの例は、様々な組み合わせで用いられ得る。各場合において、記載のリストは、単に代表的な群として働くだけであって、排他的なリストとして解釈されるべきものではない。
【0036】
本明細書全体にわたって、「1つの実施形態」、「実施形態」、「ある特定の実施形態」または「いくつかの実施形態」などに対する言及は、当該実施形態に関連して記載されている特定の特長、配置、組成または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含められることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所におけるそのような句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特長、配置、組成または特徴は、1つまたはそれを超える実施形態において任意の好適な様式で組み合わされる場合がある。
【0037】
別段示されない限り、明細書および請求項において用いられる構成要素、分子量などの量を表現するすべての数字が、すべての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、別段それとは反対のことが示されない限り、明細書および請求項において示される数値パラメータは、本発明が得ようとしている所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低でも、また、均等論を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数値に照らして、かつ通常の丸め法を適用することによって、解釈されるべきである。
【0038】
すべての見出しは、読み手の都合のためにあるのであって、その見出しに続く本文の意味を限定すると明記されていない限り、その見出しに続く本文の意味を限定するために用いられるべきではない。
【0039】
本発明の広い範囲を示す数値範囲および数値パラメータは、近似値ではあるが、具体的な例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、すべての数値が、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる範囲を本質的に含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1-1】
図1A~
図1Bは、富化中のハイブリッド捕捉および比較されるオフターゲット捕捉の例示的な実施形態を示している概略図である。
図1A.プローブは、標的ゲノム内の目的の領域にハイブリダイズするようにデザインされた領域、およびその後のプローブの捕捉を可能にするリガンド(例えば、ビオチン基)を含む。ハイブリダイゼーションが完了し、DNA鋳型-プローブハイブリッドが形成されたら、捕捉手段(すなわち、例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズなどの、プローブに対して親和性を有する構成要素)を用いることにより、DNA標的にハイブリダイズしたプローブに結合し、オリゴヌクレオチドのプールから標的を取り出す。
図1B.標的配列における末端のアダプター配列と、オフターゲットのライブラリー調製生成物における末端のアダプター配列との間の相互作用に起因して、望まれないまたはオフターゲットオリゴヌクレオチドが、ハイブリッド捕捉中に回収され得る。
【0041】
【
図2】
図2は、ブロッカーがアダプター配列間のハイブリダイゼーションを防ぎ、オフターゲット捕捉を防ぐ例示的なメカニズムを示している。
【0042】
【
図3-1】
図3A~
図3Iは、例示的なブロッカーの図を示している。
図3A.アダプターの8または10塩基インデックス領域に相補的な塩基を含むNEXTERAブロッカーの図。
図3B.アダプターのインデックス領域と対応するブロッカーの領域において8または10個のデオキシイノシン塩基で修飾されたNEXTERAブロッカーの図。
図3C.アダプターのインデックス領域と対応するブロッカーの領域において6、8または10個のデオキシイノシン塩基で修飾されたTRUSEQブロッカーの図。
図3D.アダプターのインデックス領域と対応するブロッカーの領域において6または8つのチミンを含むNEXTERAおよびTRUSEQブロッカーの図。
図3E.8または10塩基インデックス領域に対して5’の領域に対応する構成要素およびそのインデックス領域に対して3’の領域に対応する構成要素を含むスプリットNEXTERAブロッカーの図。これらの構築物は、アダプターのインデックス領域と対応するいかなる塩基も含まない(インデックス領域に対応する8または10塩基ギャップによって示されている)。
図3F.8または10塩基インデックス領域に対して5’の領域に対応する構成要素およびインデックス領域に対して3’の領域に対応する構成要素を含むスプリットTRUSEQブロッカーの図。これらの構築物は、アダプターのインデックス領域と対応するいかなる塩基も含まない(インデックス領域と対応する8または10塩基ギャップによって示されている)。
図3G.インデックス領域の3’のアダプター領域の一部にのみ対応するNEXTERAブロッカーの図。
図3H.インデックス領域の3’のアダプター領域の一部だけと対形成するTRUSEQブロッカーの図。
図3I.インデックス領域の5’のアダプター領域の一部(例えば、p5またはp7配列)にのみ対応するNEXTERAまたはTRUSEQブロッカーの図。
【0043】
【
図4】
図4は、実施例2に記載されるようなブロッカーを用いて得られたPadded Read Enrichment(捕捉されたオンターゲットDNAの量の尺度)の結果のグラフである。
【0044】
【
図5】
図5は、実施例3に記載されるように、インデックス配列に対応するブロッカー配列の一部の5番目の位置に修飾G(+G)またはランダム(A、T、GまたはC)(N)ヌクレオチドを含むブロッカーの図を示している。
【0045】
【
図6】
図6A~
図6Bは、実施例4に記載されるようなブロッカー構築物および結果を示している。
図6Aは、(1)インデックス領域の5’の25~30mer領域に相補的な第1の配列およびインデックス領域の3’の34~35mer領域に相補的な第2の配列を含むスプリットブロッカーの対、(2)アダプターの3’部分だけと対形成するブロッカー(「Inner」ブロッカー)、(3)アダプターの5’部分だけと対形成するブロッカー(「Outer」ブロッカー)、および(4)インデックス領域と対応する短い(8ヌクレオチド)ブロッカー(「Short8nt」)を含む様々なブロッカー構築物の図を示している。
図6Bは、XGEN Blocking Oligo(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)、スプリットブロッカー、またはアダプターの一部にだけ結合するブロッカーを用いて達成されたPadded Read Enrichmentの結果を示している。
【0046】
【
図7-1】
図7A~
図7Fは、実施例5に記載されるように、デキストラン硫酸を含む強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いたときの結果を示している。
図7Aは、ハイブリダイゼーションバッファーにおいて種々の濃度のデキストラン硫酸を用いて達成されたPadded Read Enrichmentの結果を示している。
図7Bは、100μLのハイブリダイゼーション体積および4つの異なるプローブパネルおよび3つの異なるバッファー条件(IDTハイブリダイゼーションバッファー、Illumina非強化ハイブリダイゼーションバッファーおよびIllumina強化ハイブリダイゼーションバッファー)を用いて達成されたPadded Read Enrichmentの結果を示している。
図7Cは、さらなる温度勾配工程ありおよびなしで、種々のハイブリダイゼーションインキュベーション時間における、4つすべてのプローブパネルに対するPadded Read Enrichmentおよびカバレッジ(coverage)均一性の結果を示している。左のパネルの黒色の点線は、デキストラン硫酸を含まないバッファーにおけるハイブリダイゼーションの結果を示している。NOVASEQ(
図7D)、NEXTSEQ(
図7E)およびISEQ(
図7F)を含む3セットの配列決定結果(NOVASEQおよびNEXTSEQの場合は識別されたリードパーセント(PF)、ならびにISEQの場合はインデックスパーセント(%))、ならびにデキストラン硫酸ハイブリダイゼーションバッファーおよび30μLのライブラリー体積を用いたランに対する関連する変動係数(CV)が示されている。
【0047】
【
図8-1】
図8A~
図8Cは、実施例6に記載されるハイブリダイゼーションアッセイの結果を示している。
図8Aは、修飾ブロッカー、洗浄温度上昇、および/またはハイブリダイゼーションバッファー中にクラウディング剤(デキストラン硫酸)を用いたときの、Padded Read Enrichmentの結果を示している。
図8Bは、IDT XGEN LOCKDOWNキットプロトコルを用いたときのIDTエクソームパネルの結果と比べて、xGENブロッカーを含む強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いて9プローブパネルにおいて実施例6に記載される方法を用いて達成されたPadded Read Enrichmentの結果を示している。
図8Cは、Horizon Discover HD701定量的マルチプレックス(QM)DNA標準物質から生成されたライブラリーを富化するために12遺伝子535プローブパネルを用いる単一ハイブリダイゼーション富化プロトコルによる体細胞バリアントの検出を示している。
【0048】
【
図9-1】
図9A~
図9Dは、例示的なワークフローの概略図を示している。eBBNは、ビーズに結合したトランスポソーム複合体を用いたビーズベースのタグメンテーションを示しており;Hは、ハイブリダイゼーションを示しており;Cは、捕捉を示しており;Wは、洗浄を示しており;Eは、溶離を示しており;PCRは、PCR増幅を示しており;Sは、配列決定を示しており;Qは、定量を示しており;SpVacは、Speed Vacuum濃縮を示している。
図9Aは、ビーズベースのタグメンテーションプロトコルを用いたライブラリー調製を示しているハイブリッド捕捉に対する例示的なワークフローの概略図を示している。富化の前に任意の好適なライブラリー調製方法を用いてよい。注目すべきことに、たった1回のハイブリダイゼーションおよび捕捉しか含まれていない。
図9Bは、ハイブリッド捕捉に対する例示的なワークフローの概略図を示している。
図9Cは、PCRなしのハイブリッド捕捉に対する例示的なワークフローの概略図を示している。
図9Dは、ハイブリダイゼーション時間を短縮した、PCRなしのハイブリッド捕捉に対する例示的なワークフローの概略図を示している。
【0049】
【
図10】
図10は、実施例8に記載されるように、BN001およびBN002(非修飾ブロッカー);BX003およびBX007(G-Clamp修飾ブロッカー);BN007およびBN008(BNAおよびデオキシイノシンで修飾されたブロッカー);BN005およびBN006(BNAおよび配列特異的修飾ブロッカー);またはBN023、BN024、BN025、およびBN026(LNAで修飾されたスプリットブロッカー)を用いて達成されたPadded Read Enrichmentの結果を示している。
【0050】
【
図11】
図11は、対応するアダプターが、実施例9に記載されるように8ヌクレオチドインデックスまたは10ヌクレオチドインデックスを含むときに、BN001およびBN002(非修飾ブロッカー)またはBN023、BN024、BN025およびBN026(LNA修飾スプリットブロッカー)を用いて達成されたPadded Read Enrichmentの結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
例示の実施形態の詳細な説明
本開示は、ブロッカーおよび/またはハイブリダイゼーションバッファーを含む組成物、ならびに配列決定前に核酸選択の効率を改善するための方法を記載し、その方法には、それらの組成物を使用する方法およびハイブリッド捕捉を含む方法が含まれる。
ハイブリッド捕捉による富化
【0052】
核酸の複合体プールから所望の配列を富化するために、種々の方法を用いることができる。これらの方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、分子反転プローブ(molecular inversion probes)(MIP)またはハイブリッド形成による配列捕捉(「ハイブリッド捕捉」)が挙げられる。例えば、Mamanovaら、Nat.Methods 7:111-118(2010));米国特許出願公開第2014/0031240;および米国特許出願公開第2017/0114404を参照のこと。
【0053】
次世代シーケンシング(NGS)での用途では、通常、ハイブリッド捕捉方法による富化を用いる。調製されたNGS鋳型プール、つまりライブラリーを熱変性し、捕捉プローブオリゴヌクレオチド(「プローブ」)のプールと混合する。それらのプローブは、標的ゲノム内の目的の領域にハイブリダイズするようにデザインされており、通常、60~200塩基長であり、結合したプローブを後で捕捉できるようにするリガンドを含むようにさらに修飾される。一般的な捕捉方法では、ビオチン基をプローブ上に組み込む。
図1Aにおける1つの実施形態に示されるように、DNA鋳型-プローブハイブリッドを形成するためのハイブリダイゼーションが完了した後、プローブだけに対して親和性を有する構成要素を用いて捕捉を行う。例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズを用いることにより、ライブラリー由来の所望のDNA標的にハイブリダイズしたビオチン化プローブのビオチン部分に結合することができる。洗浄により未結合の核酸を除去して、保持されている材料の複雑度を低下させる。次いで、保持されている材料を磁気ビーズから溶離し、自動配列決定プロセスに投入する。
【0054】
プローブとのDNAハイブリダイゼーションは、非常に特異的であり得るが、ハイブリッド捕捉方法の完了後に、望まれない配列が富化プールに残存する。これらの望まれない配列の大部分は、プローブに対して相補性を有しないライブラリーメンバーとプローブに対して相補性を有するライブラリーメンバー(すなわち、オンターゲットライブラリーメンバー)との間の望まれないハイブリダイゼーション事象に起因して存在する。2つのタイプの配列が、ハイブリッド捕捉方法の間に、望まれないハイブリダイゼーションをもたらす:(1)内在性ゲノムDNAに見られる高反復DNAエレメント;および(2)各ライブラリーメンバーに入るように操作された末端のアダプター配列。
【0055】
複合体プール中の1つのDNAフラグメントに存在する反復性の内在性DNAエレメント(例えば、Alu配列または長散在型反復配列(LINE))が、別の無関係なDNAフラグメントに存在する別の類似のエレメントにハイブリダイズし得る。これらのフラグメントは、元々ゲノム内の全く異なる位置に由来し得、ハイブリッド捕捉方法のハイブリダイゼーションプロセス中に連結されるようになる。これらのDNAフラグメントのうちの1つが、プローブに対する結合部位を含む所望のフラグメントである場合、望まれないフラグメントも、所望のフラグメントとともに捕捉されることになる。このクラスのオフターゲットライブラリーメンバーは、過剰な反復エレメントをハイブリダイゼーション反応のハイブリダイゼーションバッファーに加えることによって減少させることができる。最も一般的には、ヒトCot-1DNA(標的におけるAlu、LINEおよび他の反復部位に結合し、それに基づいて、NGS鋳型が互いと相互作用する能力を阻止する)をハイブリダイゼーションバッファーに加える。
【0056】
個々のライブラリーメンバーにおける末端のアダプター配列間の相互作用に起因して、オフターゲット(非標的とも称される)ライブラリーメンバーも捕捉され得る。代表的には、ライブラリーメンバーは、目的の遺伝子の配列セグメント、例えば、配列決定用のセグメントを含む。あるメンバーがオンターゲットである場合、目的の遺伝子の配列は、捕捉プローブと二重鎖を形成する。オンターゲット配列としては、例えば、エキソンまたはイントロン(またはそのフラグメント)、コード領域または非コード領域、エンハンサー、非翻訳領域、特定のSNPなどが挙げられ得る。代表的には、ライブラリーメンバーは、1つまたはそれを超える非標的配列も含む。これらの非標的配列は、通常、目的の標的配列を含まないが、例えば、アダプターを含む。ライブラリーメンバーのプールは、通常、少なくともいくつかの同一の末端アダプター配列を含むので、それらのアダプター配列は、ハイブリダイゼーション溶液中に非常に高い有効濃度で存在する。その結果として、
図1Bにおける1つの実施形態に示されているように、オフターゲット配列を含むライブラリーメンバーは、付加されたアダプター配列の一部を介して、捕捉された標的配列にアニールでき、それにより、オンターゲットライブラリーメンバーとともにオフターゲット配列が捕捉される(例えば、一緒に連結される配列の鎖状体形成または「デイジー鎖」によって)。アニールした標的配列は、プローブに対する結合部位を含むので、デイジー鎖全体が捕捉され得る。このように、単一の所望のフラグメントの捕捉は、多数の望まれないフラグメントを連れてくるため、所望のセグメントに対する富化の全効率を低下させ得る。
【0057】
いくつかの態様において、本開示は、ハイブリッド捕捉によってオフターゲット核酸が選択されるのを最小限に抑えるための方法および組成物を記載する。
ブロッカーオリゴヌクレオチド
【0058】
1つの態様において、本開示は、「ブロッカーオリゴヌクレオチド」(本明細書中では「ブロッカー」とも称される)、およびブロッカーを使用してアダプター配列の少なくとも一部に結合する(例えば、アダプター配列の少なくとも一部と二重鎖を形成する)ことによってハイブリッド捕捉中にオフターゲット核酸の選択を防ぐ方法を記載する。使用されるとき、
図2における1つの実施形態に示されるように、アダプター配列へのブロッカーの結合は、ハイブリッド捕捉中に回収される望まれないライブラリーメンバーをもたらし得る、オフターゲットライブラリー調製産物中のアダプター配列間の相互作用(例えば、連鎖状鎖の形成)を防ぐ。
【0059】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのブロッカーが使用され得、第1のブロッカーは、第1のアダプター配列に結合し(例えば、第1のアダプター配列と二重鎖を形成し)、第2のブロッカーは、第2のアダプター配列に結合する(例えば、第2のアダプター配列と二重鎖を形成する)。いくつかの実施形態において、第1のアダプター配列は、ライブラリーメンバーの5’末端に存在し得、第2のアダプター配列は、ライブラリーメンバーの3’末端に存在し得る。いくつかの実施形態では、複数の異なるブロッカーが使用され得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100または少なくとも200個のライブラリーメンバーのアダプター配列と二重鎖を形成し、得られる二重鎖は、バックグラウンド核酸(例えば、アダプター配列の相補鎖など)とアダプター配列とによって形成される二重鎖のTmより高いTmを有する。
【0061】
いくつかの実施形態において、ブロッカー-アダプター複合体は、アダプター-アダプター複合体より高いTmを示す。そのような高いTmは、ブロッカー-アダプター複合体がアダプター-アダプター複合体より先に形成する可能性が高く、それにより、オフターゲット捕捉が妨げられ得る(例えば、デイジー鎖の形成が妨げられることによって)ことを意味する。いくつかの実施形態において、ブロッカー-アダプターオリゴヌクレオチド二重鎖のTmは、その厳密な相補鎖とのアダプター二重鎖のTmよりも少なくとも1.5℃、少なくとも2℃、少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃または少なくとも25℃高い。いくつかの実施形態において、ブロッカー-アダプターオリゴヌクレオチド二重鎖のTmは、その厳密な相補鎖とのアダプター二重鎖のTmよりも最大2℃、最大3℃、最大4℃、最大5℃、最大10℃、最大15℃、最大20℃、最大25℃または最大30℃高い。
【0062】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドと、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100または少なくとも200個のライブラリーメンバーのアダプター配列との会合速度は、バックグラウンド核酸(例えば、アダプター配列の相補鎖など)とアダプター配列との会合速度より高い。いくつかの実施形態において、その会合速度は、少なくとも2倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも6倍高い、少なくとも8倍高いか、または少なくとも10倍高い。いくつかの実施形態において、その会合速度は、最大4倍高い、最大6倍高い、最大8倍高い、最大10倍高い、または最大12倍高い。
【0063】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドと、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100または少なくとも200個のライブラリーメンバーのアダプター配列との解離速度は、バックグラウンド核酸(例えば、アダプター配列の相補鎖など)とアダプター配列との解離速度より低い。いくつかの実施形態において、その解離速度は、少なくとも2倍低い、少なくとも4倍低い、少なくとも6倍低い、少なくとも8倍低いか、または少なくとも10倍低い。いくつかの実施形態において、会合速度は、最大4倍低い、最大6倍低い、最大8倍低い、最大10倍低いまたは最大12倍低い。
【0064】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドと、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100または少なくとも200個のライブラリーメンバーのアダプター配列との間で形成された二重鎖は、アダプター配列とその相補鎖との間で形成された二重鎖、例えば、二本鎖アダプターのWatson-Crick鎖の間で形成された二重鎖よりも長い。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドとアダプター配列との間の二重鎖は、アダプター配列とその相補鎖との間で形成された二重鎖よりも少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15または少なくとも20ヌクレオチド長い。
【0065】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、好ましくは、ブロッカーと同じ配列を有する修飾を含まないオリゴヌクレオチドと比べてそのブロッカーTmを上昇させる修飾を含む。例えば、いくつかの実施形態において、ブロッカーは、「Tm高温化オリゴヌクレオチド」であり得、このオリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションパートナーとして含む二重鎖核酸の熱融解温度値を、同一の核酸塩基組成および無修飾の基を有するオリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションパートナーとして含む二重鎖核酸と比べて上昇させる少なくとも1つの修飾基を含む。「Tm高温化オリゴヌクレオチド」は、米国特許出願公開第2014/0031240にさらに記載されている。
【0066】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、1つまたはそれを超える天然に存在しないヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、天然に存在しないヌクレオチドを有するブロッキングオリゴヌクレオチドと、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100または少なくとも200個のライブラリーメンバーのアダプター配列との間で形成された二重鎖は、バックグラウンド核酸(例えば、他の相補的な非標的核酸配列)と非標的核酸配列とに対する結合相互作用に関するパラメータの値(例えば、親和性、会合速度、解離速度の逆数またはTm)より高いそのパラメータの値を有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、修飾塩基を含む。任意の好適な修飾塩基をブロッカーに含めてよい。いくつかの実施形態において、その修飾には、好ましくは、Tmを高める修飾、つまり、同じ配列を有するが修飾塩基を含まないブロッカー-アダプター複合体のTmと比べて、修飾塩基を含むブロッカー-アダプター複合体のTmを上昇させる修飾が含まれる。このようなTmを高める修飾としては、例えば、低GC領域を捕捉するように修飾されたDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチド;架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(二環式核酸またはBNAとも称される);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;5’-ピレンキャップ;などが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、LNAは、2’酸素と4’炭素とを接続する追加の架橋で修飾されたヌクレオチドのリボース部分を含む。例示的なBNAは、例えば、米国特許第7,399,845号、米国特許第7,427,672号、米国特許第7,547,684号、米国特許第7,696,345号、米国特許第7,741,457号、米国特許第8,022,193号、米国特許第8,268,980号、米国特許第8,278,425号、米国特許第8,278,426号、米国特許第8,846,637号、米国特許第8,846,639号および米国特許第9,546,368号に開示されている。いくつかの実施形態において、BNAには、Ionis Pharmaceuticals(Carlsbad,CA)の拘束エチル核酸またはBiosynthesis,Inc.(Lewisville,TX)の2’-O,4’-アミノエチレン架橋型核酸が含まれ得る。いくつかの実施形態において、PNAには、ペプチド結合によって連結されたN-(2-アミノエチル)-グリシン反復単位が含まれる。いくつかの実施形態において、三環式核酸には、例えば、米国特許第9,221,864号に開示されている三環式核酸が含まれる。例示的なホスホルアミダイトとしては、1-[5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-β-D-2’-デオキシリボフラノシル]-9-(2-トリフルオロアセトアミドエトキシ)-1,3-ジアザ-2-オキソフェノキサジン,3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]ホスホルアミダイト(AP-dC-CEホスホルアミダイト)、5’-ジメトキシトリチル-ウリジン,2’-O-メチル,3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト(2’-OMe-U-CEホスホルアミダイト)、5’-ジメトキシトリチル-N-アセチル-5-メチル-シチジン,2’-O-メチル,3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト(2’-OMe-5-Me-C-CEホスホルアミダイト)、5’-ジメトキシトリチル-N-アセチル-シチジン,2’-O-メチル,3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト(2’-OMe-Ac-C-CEホスホルアミダイト)などが挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態において、修飾を含まないブロッカーと同じ配列を有するオリゴヌクレオチドと比べて上記ブロッカーのTmを上昇させる修飾には、非塩基修飾が含まれ得る。そのような修飾としては、例えば、マイナーグローブバインダー(MGB)、スペルミン、G-クランプまたはUaqアントラキノンキャップが挙げられ得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、最大45、最大50、最大55、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大150または最大200ヌクレオチド長である。
【0070】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、そのブロッカーのTmを上昇させる複数の修飾を含み得る。いくつかの実施形態において、好ましい修飾数は、1本の相補鎖として修飾を含む二重鎖DNAに対して、少なくとも約1.4℃というストリンジェントな条件下(0.1×SSC)における最適なTm値の上昇(「最適な高温化Tm値」)をもたらす数である。いくつかの実施形態において、Tm高温化ブロッキングオリゴヌクレオチドにおける好ましい修飾数は、ブロッカー-アダプターオリゴヌクレオチド二重鎖のTmが、その厳密な相補鎖とのアダプター二重鎖のTmよりも少なくとも1.5℃、少なくとも2℃、少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃または少なくとも25℃高くなるような数である。いくつかの実施形態において、Tm高温化ブロッキングオリゴヌクレオチドにおける好ましい修飾数は、ブロッカー-アダプターオリゴヌクレオチド二重鎖のTmが、その厳密な相補鎖とのアダプター二重鎖のTmよりも最大2℃、最大3℃、最大4℃、最大5℃、最大10℃、最大15℃、最大20℃、最大25℃または最大30℃高くなるような数である。
【0071】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドにおける塩基の少なくとも2パーセント(%)、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の修飾を含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドにおける塩基の最大5%、最大10%、最大20%、最大30%、最大40%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、最大90%または最大100%の修飾を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、ブロッカーに対する修飾は、特定のパターンで含められ得る。例えば、修飾塩基が、2塩基ごと(例えば、表2A、BN021およびBN022を参照のこと)、3塩基ごと(例えば、表2A、BN035およびBN036を参照のこと)、4塩基ごともしくは5塩基ごとまたはそれらのいくつかの組み合わせ(例えば、表2A、BN036を参照のこと)に含められ得る。いくつかの実施形態では、ブロッカーにおける各塩基が修飾され得る(例えば、表2A、BN027およびBN028を参照のこと)。いくつかの実施形態において、修飾される場合、他のヌクレオチドよりも親和性が高くなるグアニンが、優先的に修飾され得る。例えば、いくつかの実施形態において、LNAまたはBNA型のグアニンが、ブロッカーに含められ得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、末端修飾を含み得る。例えば、ブロッカーは、そのブロッカーがDNA合成用のプライマーとして働く利用可能性を妨げる3’末端基を含み得る。そのような3’末端基としては、例えば、3’-dC、2’,3’-ddC(本明細書中では3ddcとも称される)、反転dT、3’-スペーサーC3(本明細書中では3SpC3とも称される)などが挙げられ得る。
【0074】
ブロッカーは、任意の好適なアダプター配列(その任意の一部を含む)に結合し得る(例えば、任意の好適なアダプター配列と二重鎖を形成し得る)。本明細書中で使用されるとき、アダプター配列の一部に結合する(例えば、アダプター配列の一部と二重鎖を形成する)ブロッカー配列の一部は、アダプター配列の一部に「対応する」ブロッカー配列の一部と称される。いくつかの実施形態において、その対応する配列は、アダプター配列の厳密な相補鎖であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、その対応する配列の中の最大1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9または最大10塩基が、相補的でない可能性がある。
【0075】
いくつかの例示的な実施形態において、ブロッカーは、表1に示されているようなアダプターに結合し得る。(アダプター配列が表1Aに示されており、配列の構成要素に関するさらなる情報が表1Bに示されている。)いくつかの例示的な実施形態において、ブロッカーは、Illumina Adapter Sequences(support.illumina.com/content/dam/illumina-support/documents/documentation/chemistry_documentation/experiment-design/illumina-adapter-sequences-1000000002694-07.pdfのワールドワイドウェブにて入手可能)に開示されている配列を含むアダプターに結合し得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、アダプターに結合し、そのアダプターは、例えば、ユニバーサルアダプターおよび/またはユニバーサルプライマー配列などの、ユニバーサル配列を含む。いくつかの実施形態において、ユニバーサルプライマー配列は、P5、P7、P5’および/またはP7’を含み得る。いくつかの実施形態において、ユニバーサルプライマー配列は、V2.A14.METS配列、V2.B15.METS配列、V2.A14.METS配列の相補鎖および/またはV2.B15.METS配列の相補鎖を含み得る。例えば、表2Aに示されているようなBN001は、P5およびV2.A14.METS配列を含み;表2Aに示されているようなBN002は、P7およびV2.B15.METS配列を含み;表2Aに示されているようなBN003は、P5’およびV2.A14.METS配列の逆相補を含み;表2Aに示されているようなBN004は、P7’およびV2.B15.METS配列の逆相補を含む。
【0077】
いくつかの配列決定用途では、ライブラリーメンバーが少なくとも1つのインデックスおよび/またはUMI配列を含むことが望ましい。したがって、いくつかの実施形態において、ブロッカーは、アダプターに結合し、そのアダプターは、インデックスおよびUMIのうちの少なくとも1つを含む。米国特許出願公開第2014/0031240では、インデックス(米国特許出願公開第2014/0031240では「バーコードドメイン」と称する)を含むアダプターについて、「3つのアプローチを用いることにより、ブロッキングオリゴヌクレオチドを作製することができる」と説明している:「1)各アダプターと完全一致する一連のブロッカーの合成、2)アダプターのバーコードドメインと対形成するN-merのドメインを有する単一ブロッカーの合成、または3)アダプターのバーコードドメインと対形成するユニバーサル塩基ドメインを有する単一ブロッカーの合成」。それぞれ異なるインデックスおよび/またはUMIは、ユニーク配列を有するので、アプローチ1におけるような完全に相補的なブロッカーは、存在する各インデックスおよび/またはUMI配列に対して完全一致の相補性を含む配列であり得る(
図3Aを参照のこと)。しかしながら、多くの異なるインデックスおよび/またはUMIが用いられる場合、完全一致の相補性を有するブロッカーを含めるためには、マルチプレックス増幅用に数十または数百のユニークブロッカーが必要になり得、つまり費用効果が低いアプローチとなり得る。
【0078】
いくつかの態様において、本開示は、インデックスおよび/またはUMIを含むアダプターに対するブロッカーおよびそのようなブロッカーの使用方法、例えば、インデックスおよび/またはUMIに対応するブロッカーの領域にチミンを含むブロッカー(
図3Dおよび実施例2);ユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含むブロッカー(
図5および実施例3);またはインデックス領域を含まないブロッカー(例えば、「スプリットブロッカー」またはアダプターの一部のみと対形成するブロッカーを含む)(
図3E~
図3I、
図6Aならびに実施例4、8および9)を記載する。
【0079】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、表2A、表2B、表2Cまたは表3の配列の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、表2Aの配列は、タグメンテーション(例えば、NEXTERA)ライブラリー調製物(Illumina,Inc.,San Diego,CA)に従って使用され得る。いくつかの実施形態において、表2Bの配列は、ライゲーションベースのライブラリー調製物および/またはTRUSEQ調製物(Illumina,Inc.,San Diego,CA)に従って使用され得る。いくつかの実施形態において、表2Cの配列は、タグメンテーション(例えば、NEXTERA)ライブラリー調製物(Illumina,Inc.,San Diego,CA)に従って使用され得る。いくつかの実施形態において、表2の配列が、BNA修飾核酸を含む場合、そのBNA修飾核酸は、Biosynthesis,Inc.(Lewisville,TX)の2’-O,4’-アミノエチレン架橋型核酸を含み得る。いくつかの実施形態において、表2の配列が、LNA修飾核酸を含む場合、そのLNA修飾核酸は、Qiagen(Hilden,Germany)のLNA含有オリゴヌクレオチドを含み得る。表2A、表2Bおよび表2Cの配列の構成要素に関するさらなる情報は、表1Bおよび表2Dに見られ得る。
【0080】
別の態様では、本開示は、ブロッキングオリゴヌクレオチドを含むキットを記載する。そのブロッキングオリゴヌクレオチドは、本明細書中に記載されるようなブロッカーを含み得る。いくつかの実施形態において、そのブロッキングオリゴヌクレオチドは、複数のブロッキングオリゴヌクレオチドである。そのキットは、ハイブリダイゼーションバッファー、プローブ、プローブのパネルおよびフローセルのうちの1つまたはそれを超えるものをさらに含み得る。そのハイブリダイゼーションバッファーには、本開示の他の箇所に記載されているようなハイブリダイゼーションバッファーが含まれ得る。いくつかの実施形態において、そのプローブは、本開示の他の箇所に記載されているとおりである。いくつかの実施形態において、それらの構成要素は、別個の容器に提供され得る。例えば、ブロッキングオリゴヌクレオチドが第1の容器に提供され得、別の構成要素、例えば、ハイブリダイゼーションバッファー、またはプローブもしくはプローブのパネルが、異なる容器に提供され得る。あるいは、ブロッキングオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションバッファーとが、第1の容器に提供され得、プローブまたはプローブのパネルが、異なる容器に提供され得る。
表1A-例示的アダプター配列
【表1A】
【表1B】
表2A-例示的ブロッカー配列
【表2A-1】
【表2A-2】
【表2A-3】
表2B-例示的ブロッカー配列
【表2B-1】
【表2B-2】
表2C-例示的ブロッカー配列
【表2C】
【表2D】
チミンを含むブロッカー
【0081】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、アダプターのインデックス領域および/またはアダプターのUMIに対応するブロッカーの領域(例えば、アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合するブロッカーの領域)に、少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基または少なくとも10個のチミン塩基を含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、アダプターのインデックス領域および/またはアダプターのUMIに対応する(例えば、アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合する)ブロッカーの領域は、アダプターのインデックス領域および/またはアダプターのUMIにおける塩基の数と同数のチミン塩基を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、表2A、表2B、表2Cまたは表3の少なくとも1つの配列を含む。そのようなブロッカーのいくつかの例示的な実施形態は、実施例2に記載されている。
ユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含むブロッカー
【0084】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、インデックス領域に対応するブロッカーの領域に、ユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含み得る。本明細書中で使用されるとき、「ユニバーサル塩基」は、一般的な塩基(例えば、デオキシアデノシン(A)、デオキシチミジン(T)、デオキシシチジン(C)、デオキシグアノシン(G)およびウリジン(U))のうちの少なくとも2種にハイブリダイズする、修飾された核酸塩基である。いくつかの実施形態において、ユニバーサル塩基は、一般的な塩基のいずれかにハイブリダイズする。本明細書中で使用されるとき、「非ユニバーサル塩基」は、従来のワトソン-クリック塩基対相互作用(例えば、デオキシアデノシン(A)-デオキシチミジン(T)またはデオキシグアノシン(G)-デオキシシチジン(C))でのみハイブリダイズする核酸塩基(いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基を含む)である。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基は、インデックス領域に対応するブロッカー配列の3塩基ごとに含められ得る。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基は、インデックス領域に対応するブロッカー配列の(5’末端から)3番目および/または5番目の位置に存在し得る。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基は、インデックス領域に対応するブロッカー配列の2番目および/または4番目の位置に存在し得る。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基は、修飾グアニンを含む。いくつかの実施形態において、修飾グアニンは、LNAで修飾されていてもよいし、BNAで修飾されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基は、ランダム(A、T、GまたはC)ヌクレオチドを含む。
【0086】
理論に拘束されることを望むものではないが、インデックス領域に対応するブロッカーの領域に、ユニバーサル塩基に加えて修飾グアニンまたはランダムヌクレオチドを含むことにより(
図5における1つの実施形態に示されるように)、ライブラリーメンバーに対するブロッカーの親和性が改善されると考えられる。そのようなブロッカーのいくつかの例示的な実施形態は、実施例3に記載されている。
【0087】
ユニバーサル塩基には、任意の公知のユニバーサル塩基が含まれ得る。いくつかの実施形態において、インデックス領域において用いられるユニバーサル塩基としては、例えば、2’-デオキシイノシン、2’-デオキシネブラリン、3-ニトロピロール2’-デオキシヌクレオシドまたは5-ニトロインドール2’-デオキシヌクレオシドが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、ユニバーサル塩基の組み合わせが、インデックス領域において用いられ得る。
【0088】
修飾グアニンは、任意の好適な方法で修飾されたグアニン(例えば、LNA修飾グアニン、BNA修飾グアニンなどを含む)であり得る。いくつかの実施形態において、修飾グアニンは、好ましくは、LNA修飾グアニンである。
【0089】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、表2A、表2B、表2Cまたは表4の少なくとも1つの配列を含む。
スプリットブロッカー
【0090】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、接続されていない少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み得、その接続されていないオリゴヌクレオチドは、アダプターのインデックス領域および/またはUMIに対応しない塩基を含む(例えば、アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合しない塩基を含む)か、またはアダプターのインデックス領域および/またはUMIに部分的にしか対応しない塩基を含む(例えば、アダプターのインデックス領域および/またはUMIの一部にのみ結合する塩基を含む)。いくつかの実施形態において、ブロッカーは、接続されていない4つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、接続されていない少なくとも2つのオリゴヌクレオチドは、標的配列の同じ鎖にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ブロッカーの少なくとも一部は、アダプターの5’末端に対応し、ブロッカーの少なくとも一部は、同じアダプターの3’末端に対応し得る。例えば、ブロッカーが、接続されていない4つのオリゴヌクレオチドを含む場合などの、いくつかの実施形態では、接続されていない2つのオリゴヌクレオチドが、第1の標的配列の同じ鎖にハイブリダイズし得、接続されていない2つのオリゴヌクレオチドが、第2の標的配列の同じ鎖にハイブリダイズし得る。そのようなブロッカーの例示的な実施形態は、
図3E~
図3Iおよび
図6Aに示されており、実施例4、8および9に記載されている。
【0092】
いくつかの実施形態において、ブロッカーの少なくとも一部は、ユニバーサル伸長プライマーに対応し得る。いくつかの実施形態において、ブロッカーの少なくとも一部は、P5、P7、P5’および/またはP7’に対応し得る。いくつかの実施形態において、ブロッカーの少なくとも一部は、V2.A14.METS、V2.B15.METS、V2.A14.METSの相補鎖および/またはV2.B15.METSの相補鎖に対応し得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、アダプターのインデックス領域および/またはUMIの塩基を含むアダプターの一部を除くアダプターと同じ数の塩基を含み得る。いくつかの実施形態において、ブロッカーは、アダプターのインデックス領域および/またはUMIの塩基を除くアダプターの一部を構成している塩基の数よりも1塩基少ない、2塩基少ない、3塩基少ない、4塩基少ないか、または5塩基少ない塩基を含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、より多い塩基を含むブロッカーが好ましい場合(例えば、高い富化性能が望まれるときなど)がある。いくつかの実施形態では、より少ない塩基を含むブロッカーが好ましい場合(例えば、ブロッカーのコスト、合成純度および/または収率が要因であるときなど)がある。
【0095】
いくつかの実施形態において、ブロッカーの最大5塩基、ブロッカーの最大4塩基、ブロッカーの最大3塩基、ブロッカーの最大2塩基またはブロッカーの1塩基だけが、アダプターのインデックス領域および/またはアダプターのUMIと対形成し得るか、またはブロッカーの塩基は、アダプターのインデックス領域および/またはアダプターのUMIと対形成しないことがある。
【0096】
いくつかの実施形態において、ブロッカーは、表2A、表2B、表2Cまたは表5の少なくとも1つの配列(または配列の一部)を含む。いくつかの実施形態において、ブロッカーは、表2AのBN023、BN024、BN025およびBN026のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、ブロッカーは、表2AのBN023およびBN025を含む。いくつかの実施形態において、ブロッカーは、表2AのBN024およびBN026を含む。
ハイブリダイゼーションバッファー
【0097】
別の態様において、本開示は、クラウディング剤を含むハイブリダイゼーションバッファーおよびそのハイブリダイゼーションバッファーを使用する方法を記載する。本明細書中で使用されるとき、「クラウディング剤」には、分子のクラウディングを可能にするか、増強するか、または促進する化合物が含まれる。いくつかの実施形態において、クラウディング剤には、DNA-タンパク質相互作用を変化させる濃度で使用される、不活性な高分子が含まれる。「ハイブリダイゼーションバッファー」は、ハイブリッド捕捉アッセイの一部としてヌクレオチド-プローブハイブリッドが形成され得る任意のバッファーと定義される。
【0098】
いくつかの実施形態において、クラウディング剤は、デキストラン、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、グリセロール、ベタインなどのうちの少なくとも1つを含み得る。デキストランおよびデキストラン硫酸には、高分子量デキストラン(例えば、少なくとも500,000Daの分子量を有するデキストラン)および/または低分子量デキストラン(例えば、最大10,000Da、最大50,000Daまたは最大100,000Daの分子量を有するデキストラン)が含まれ得る。いくつかの実施形態において、クラウディング剤は、好ましくは、デキストラン硫酸を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、クラウディング剤は、ハイブリダイゼーションバッファー中に少なくとも0.5%重量/体積(w/v)、少なくとも1%(w/v)、少なくとも1.5%(w/v)、少なくとも2%(w/v)、少なくとも3%(w/v)または少なくとも4%(w/v)の量で含められ得る。いくつかの実施形態において、クラウディング剤は、ハイブリダイゼーションバッファー中に最大1%(w/v)、最大1.5%(w/v)、最大2%(w/v)、最大3%(w/v)、最大4%(w/v)、最大5%(w/v)、最大6%(w/v)、最大8%(w/v)または最大10%(w/v)の量で含められ得る。
【0100】
実施例5におけるいくつかの実施形態に記載されるように(例えば、
図7D~7Fを参照のこと)、クラウディング剤(例えば、デキストラン硫酸)をハイブリダイゼーションバッファー中に含めることにより、いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション時間を短縮すること、および/またはクラウディング剤を含まないハイブリダイゼーションバッファーよりも大きな体積のハイブリダイゼーションバッファー中でハイブリダイゼーションを行うこと(例えば、標的オリゴヌクレオチドの希釈度を高めること)が可能になり得る。例えば、デキストラン硫酸をハイブリダイゼーションバッファー中に含めることにより、ハイブリダイゼーション時間を、単一温度では一晩からおよそ80分にまで、またはさらなる温度勾配工程を伴う場合は60分にまで、短縮することができ得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、クラウディング剤を含めることにより、富化特異性が改善し得る。例えば、1つの実施形態が実施例5に示されており(
図8Aを参照のこと)、ここで、その富化特異性は、45%から80~95%に高まった。いくつかの実施形態において、クラウディング剤を含めたことに起因する富化特異性の改善は、インキュベーション時間が短くなるほど顕著になり得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファー中にクラウディング剤を含めることにより、富化反応をより低濃度のDNAでより迅速に生じさせることができる(例えば、より大きな相対体積のハイブリダイゼーションバッファー中での反応など)。そのような増加を用いることにより、「体積に基づいたプール(pooling-by-volume)」および/またはサンプル濃縮工程の廃止が容易になり得る。一般に、迅速なハイブリダイゼーション反応を達成するためには、ライブラリー調製物に由来する高濃度のDNAおよび高濃度のプローブを使用することが必要であるので、いくつかの実施形態では、それに対応して少量のハイブリダイゼーションバッファー(例えば、20μL未満)が必要になる。この少量を達成するためには、ライブラリー調製の後にサンプル濃縮工程が必要である(その結果、アッセイ全体の時間が長くなり、コストが高くなる)。ハイブリダイゼーションバッファー中にクラウディング剤を含めることにより、富化反応が、より低いDNA濃度および/またはプローブ濃度で(かついくつかの実施形態では、より大きな体積で)より迅速に達成され得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファー中にクラウディング剤を含めることにより、ハイブリダイゼーションの前に濃縮工程を行うことなく、複数のライブラリー調製サンプルを組み合わせることが可能になる。いくつかの実施形態において、種々のライブラリー調製物に由来するサンプルは、本開示にさらに記載されるように、体積に基づいてプールされ得、マルチプレックス富化が可能になる。所与のマルチプレックス富化の「プレキシ」または「プレックス」とは、富化(例えば、ハイブリダイゼーションおよび捕捉)の前に組み合わされる異なるライブラリー調製物の数のことを指す。いくつかの実施形態において、マルチプレックス富化のプレキシは、最大2プレックス、最大4プレックス、最大6プレックス、最大12プレックス、最大24プレックス、最大48プレックス、最大96プレックスまたはそれを超えるプレックスであり得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、クラウディング剤を含むハイブリダイゼーションバッファーはさらに、ヒトCot-1DNA、不安定化剤、塩およびブロッカーのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーの構成要素、例えば、Cot-1DNAおよびブロッカーは、ハイブリダイゼーション反応を行うまで、不安定化剤およびクラウディング剤を含むハイブリダイゼーションバッファーの構成要素から分離された状態で維持される。
【0104】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、ヒトCot-1DNAを少なくとも0.05mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも0.2mg/mLまたは少なくとも0.3mg/mLの量で含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、ヒトCot-1DNAを最大0.1mg/mL、最大0.2mg/mL、最大0.3mg/mLまたは最大0.5mg/mLの量で含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、好ましくは、ヒトCot-1DNAを0.2mg/mLの量で含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、不安定化剤を含み得る。いくつかの実施形態において、その不安定化剤としては、ホルムアミドおよび/または尿素が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、少なくとも1%(v:v)、少なくとも5%(v:v)または少なくとも10%(v:v)のホルムアミドを含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、最大5%(v:v)、最大10%(v:v)または最大15%(v:v)のホルムアミドを含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、少なくとも1Mの尿素、少なくとも2Mの尿素または少なくとも4Mの尿素を含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、最大2Mの尿素、最大4Mの尿素または最大6Mの尿素を含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、好ましくは、10%のホルムアミドを含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、バッファーを含み得る。任意の好適なバッファーを使用してよい。いくつかの実施形態において、そのバッファーとしては、リン酸塩(例えば、リン酸カリウムまたはリン酸ナトリウムを含む);Tris-HCl;ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES);ピペラジン-N,N’-ビス(3-プロパンスルホン酸)(PIPPS);2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES);(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)(HEPES)などが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも55mM、少なくとも60mM、少なくとも65mMまたは少なくとも70mMのリン酸塩を含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、最大50mM、最大55mM、最大60mM、最大65mM、最大70mM、最大75mMまたは最大80mMのリン酸塩を含み得る。いくつかの実施形態において、リン酸塩を含むバッファーには、リン酸二水素塩および/またはリン酸一水素塩が含まれ得る。いくつかの実施形態において、リン酸塩を含むバッファーには、KH2PO4-K2HPOが含まれ得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、好ましくは、66.6mMのKH2PO4-K2HPO4を含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、塩を含み得る。任意の好適な塩を含めてよい。いくつかの実施形態において、その塩は、例えば、NaClまたはクエン酸ナトリウム(例えば、クエン酸三ナトリウム)などであり得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、少なくとも0.1M、少なくとも0.2M、少なくとも0.3M、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.7M、少なくとも0.8M、少なくとも0.9Mまたは少なくとも1Mの塩を含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、最大0.2M、最大0.3M、最大0.4M、最大0.5M、最大0.6M、最大0.7M、最大0.8M、最大0.9M、最大1M、最大2M、最大3Mまたは最大4Mの塩を含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、好ましくは、0.8MのNaClを含み得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、界面活性剤(例えば、陰イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、スルホン酸塩、アルコール硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リン酸エステルまたはカルボン酸塩)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンまたはグリコシド界面活性剤、例えば、Tween(登録商標)、TritonまたはBrij界面活性剤)、陽イオン性界面活性剤(例えば、第四級アンモニウム陽イオン性界面活性物質)または双性イオン性界面活性剤(例えば、CHAPS)など)を含み得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などである。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ハイブリダイゼーションバッファーの少なくとも0.001%体積/体積(v/v)、少なくとも0.01%(v/v)、少なくとも0.05%(v/v)、少なくとも0.1%(v/v)、少なくとも1%(v/v)または少なくとも5%(v/v)を構成し得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ハイブリダイゼーションバッファーの最大0.01%(v/v)、最大0.05%(v/v)、最大0.1%(v/v)、最大1%(v/v)、最大5%(v/v)または最大10%(v/v)を構成し得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、好ましくは、0.04%(v/v)のTWEEN(登録商標)20を含み得る。
【0109】
例えば、いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、0.5%~10%デキストラン硫酸、0.05mg/mL~0.5mg/mLヒトCot-1DNA、1%~15%(v/v)ホルムアミド、40mM~80mM KH2PO4-K2HPO4、0.1M~4M NaCl、および0.001%~10%(v/v)Tween(登録商標)20を含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、(例えば、最終的な反応物中に)1.5%デキストラン硫酸、0.2mg/mL Cot-1、10%(v/v)ホルムアミド、66.6mM KH2PO4-K2HPO4、0.8M NaCl、および0.04%(v/v)TWEEN(登録商標)20を含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、ブロッカーを含み得る。いくつかの実施形態において、そのブロッカーは、本開示の他の箇所に記載されているとおりのものである。いくつかの実施形態において、そのブロッカーは、少なくとも0.001mM、少なくとも0.005mM、少なくとも0.01mM、少なくとも0.05mMまたは少なくとも0.1mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、そのブロッカーは、最大0.01mM、最大0.05mM、最大0.1mM、最大0.2mMまたは最大0.5mMの濃度で存在する。
【0111】
別の態様では、本開示は、ハイブリダイゼーションバッファー、例えば、本明細書中に記載されるようなハイブリダイゼーションバッファーを含むキットを記載する。ある実施形態では、そのキットは、ブロッカーおよびプローブのうちの少なくとも1つをさらに含む。実施形態では、構成要素は、別個の容器に提供される。例えば、ハイブリダイゼーションバッファーが、第1の容器に提供され得、別の構成要素、例えば、ブロッカーまたはプローブが、異なる容器に提供され得る。いくつかの実施形態において、そのブロッカーおよび/またはプローブは、本開示の他の箇所に記載されているとおりのものである。
ハイブリッド捕捉
【0112】
さらなる態様において、本開示は、ハイブリッド捕捉の方法を記載する。いくつかの実施形態において、その方法は、プローブをライブラリーメンバーにハイブリダイズすることおよびプローブを捕捉することを含む工程を含む。いくつかの実施形態において、その方法はさらに、プローブをハイブリダイズする前にライブラリーをプールする工程を含む。いくつかの実施形態において、その方法はさらに、捕捉後に、捕捉された配列を増幅する工程を含む。いくつかの実施形態において、その方法は、本開示に記載されているようなブロッカーオリゴヌクレオチドと組み合わせて用いられ得る。いくつかの実施形態において、その方法は、本開示に記載されているようなクラウディング剤を含むハイブリダイゼーションバッファーを使用することを含み得る。
ライブラリーのプール
【0113】
いくつかの実施形態において、異なるライブラリー調製物に由来するサンプルが、ハイブリダイゼーションの前に組み合わされる。いくつかの実施形態において、組み合わされる各ライブラリーは、好ましくは、組み合わされる他の任意のライブラリー中の配列のインデックス領域と識別可能なインデックス領域を含む配列を含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、異なるライブラリー調製物に由来するサンプルが、体積に基づいてプールされることにより、マルチプレックス富化が可能になり得る。所与のマルチプレックス富化の「プレキシ」または「プレックス」とは、富化(例えば、ハイブリダイゼーションおよび捕捉)の前に組み合わされる異なるライブラリー調製物の数のことを指す。いくつかの実施形態において、マルチプレックス富化のプレキシは、最大2プレックス、最大4プレックス、最大6プレックス、最大12プレックス、最大24プレックス、最大48プレックス、最大96プレックスまたはそれを超えるプレックスであり得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、あるライブラリー調製物に由来するサンプルは、タグメンテーション反応に由来する。例えば、米国特許第9,574,226号を参照のこと。いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来するサンプルは、NEXTERAライブラリー調製物(Illumina,Inc.,San Diego,CA)に由来する。いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物は、ハイブリダイゼーション反応物に直接加えられ得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、組み合わされるライブラリー調製物に由来する各サンプルのDNA濃度は、少なくとも0.1ng/μL、少なくとも0.3ng/μL、少なくとも0.4ng/μL、少なくとも0.5ng/μL、少なくとも1ng/μL、少なくとも2ng/μL、少なくとも4ng/μL、少なくとも6ng/μL、少なくとも8ng/μL、少なくとも10ng/μL、少なくとも12ng/μL、少なくとも20ng/μL、少なくとも50ng/μL、少なくとも60ng/μL、少なくとも100ng/μLまたは少なくとも200ng/μLであり得る。いくつかの実施形態において、組み合わされるライブラリー調製物に由来する各サンプルのDNA濃度は、最大0.4ng/μL、最大0.5ng/μL、最大1ng/μL、最大2ng/μL、最大4ng/μL、最大6ng/μL、最大8ng/μL、最大10ng/μL、最大12ng/μL、最大15ng/μL、最大20ng/μL、最大50ng/μL、最大100ng/μL、最大120ng/μL、最大200ng/μL、最大300ng/μLまたは最大400ng/μLであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来する各サンプルのDNA濃度は、0.3ng/μL~400ng/μLの範囲内であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来する各サンプルのDNA濃度は、0.1ng/μL~120ng/μLの範囲内であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来するサンプルの組み合わせのDNA濃度は、0.1ng/μL~120ng/μL(例えば、100μLにおいて)の範囲内であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来する各サンプルのDNA濃度は、0.5ng/μL~12ng/μLの範囲内であり得る。いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来するサンプルの組み合わせのDNA濃度は、0.5ng/μL~12ng/μL(例えば、100μLにおいて)の範囲内であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来する各サンプルのDNA濃度は、0.5ng/μL~120ng/μLの範囲内であり得る。いくつかの実施形態において、ライブラリー調製物に由来するサンプルの組み合わせのDNA濃度は、0.5ng/μL~120ng/μL(例えば、100μLにおいて)の範囲内であり得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、少なくとも1μL、少なくとも2μL、少なくとも3μL、少なくとも5μL、少なくとも10μL、少なくとも15μL、少なくとも20μLまたは少なくとも25μLの、ライブラリー調製物に由来する各サンプルが、組み合わされ得る。いくつかの実施形態において、最大2μL、最大3μL、最大5μL、最大10μL、最大15μL、最大20μL、最大25μL、最大30μL、最大40μLまたは最大50μLの、ライブラリー調製物に由来する各サンプルが、組み合わされ得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、少なくとも10ng、少なくとも15ng、少なくとも25ng、少なくとも50ng、少なくとも100ng、少なくとも200ng、少なくとも500ng、少なくとも1,000ngまたは少なくとも5,000ngの、各ライブラリー調製物由来のDNAが、組み合わされ得る。いくつかの実施形態において、最大15ng、最大25ng、最大50ng、最大100ng、最大200ng、最大500ng、最大1,000ng、最大5,000ng、最大10,000ngまたは最大12,000ngの、各ライブラリー調製物由来のDNAが、組み合わされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、10ng~12,000ngの、各ライブラリー調製物由来のDNAが、組み合わされ得る。
プローブのハイブリダイズ
【0119】
いくつかの態様において、ハイブリッド捕捉の方法は、ライブラリーをプローブと接触させる工程を含み、ここで、そのプローブは、ライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズする。その目的の領域は、アダプター領域から離れており、目的のゲノム材料を含んでいる。そのプローブは、そのプローブを後で捕捉できるようにするリガンドを含む。いくつかの実施形態において、リガンドは、好ましくは、ビオチン基を含む。
【0120】
上記ライブラリーを、ハイブリダイゼーションバッファーの存在下においてプローブと接触させる。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、本開示に記載されているように、クラウディング剤を含み得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションバッファーは、本開示に記載されているように、ブロッカーを含み得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、ハイブリッド捕捉の方法は、熱変性工程を含む。例えば、ハイブリダイゼーションバッファー中にライブラリーメンバー、ブロッカーおよびプローブを含むハイブリダイゼーション混合物が、少なくとも90℃、少なくとも92℃または少なくとも95℃に加熱され得る。いくつかの実施形態において、そのハイブリダイゼーション混合物は、最大92℃、最大95℃、最大97℃または最大100℃に加熱され得る。いくつかの実施形態において、そのハイブリダイゼーション混合物は、好ましくは、Cot-1DNAをさらに含む。いくつかの実施形態において、そのハイブリダイゼーションバッファーは、ハイブリダイゼーション混合物に加える前に、ブロッカーを含み得る。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションバッファーとは独立に、ブロッカーがハイブリダイゼーション混合物に加えられ得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション混合物(例えば、最終的なハイブリダイゼーション反応物)中のDNA濃度は、少なくとも0.1ng/μL、少なくとも0.3ng/μL、少なくとも0.4ng/μL、少なくとも0.5ng/μL、少なくとも1ng/μL、少なくとも2ng/μL、少なくとも4ng/μL、少なくとも6ng/μL、少なくとも8ng/μL、少なくとも10ng/μL、少なくとも12ng/μL、少なくとも15ng/μL、少なくとも20ng/μL、少なくとも50ng/μL、少なくとも75ng/μL、少なくとも100ng/μL、少なくとも120ng/μL、少なくとも150ng/μL、少なくとも200ng/μLであり得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション混合物(例えば、最終的なハイブリダイゼーション反応物)中のDNA濃度は、最大0.3ng/μL、最大0.4ng/μL、最大0.5ng/μL、最大1ng/μL、最大2ng/μL、最大4ng/μL、最大6ng/μL、最大8ng/μL、最大10ng/μL、最大12ng/μL、最大15ng/μL、最大20ng/μL、最大50ng/μL、最大75ng/μL、最大100ng/μL、最大120ng/μL、最大150ng/μL、最大200ng/μLまたは最大500ng/μLであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション混合物(例えば、最終的なハイブリダイゼーション反応物)中のDNA濃度は、0.1ng/μL~120ng/μLの範囲内であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、上記方法は、最大150μL、最大140μL、最大130μL、最大120μL、最大110μL、最大100μL、最大90μL、最大80μL、最大70μL、最大60μLまたは最大50μLの体積のハイブリダイゼーション混合物の使用を含み得る。いくつかの実施形態において、上記方法は、少なくとも10μL、少なくとも20μL、少なくとも30μL、少なくとも40μL、少なくとも50μL、少なくとも60μLまたは少なくとも70μLの体積のハイブリダイゼーション混合物の使用を含み得る。
【0124】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション混合物は、少なくとも1℃/分、少なくとも1.5℃/分、少なくとも2℃/分、少なくとも2.5℃/分、少なくとも3℃/分または少なくとも5℃/分の速度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション混合物は、最大1.5℃/分、最大2℃/分、最大2.5℃/分、最大3℃/分、最大5℃/分または最大10℃/分の速度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション混合物は、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間または少なくとも20分間、熱変性のための温度で維持され得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション混合物は、最大2分間、最大5分間、最大10分間、最大20分間またはそれより長く、熱変性のための温度で維持され得る。
【0125】
熱変性工程の後、ハイブリッド捕捉の方法は、ハイブリダイゼーション混合物を冷却する工程を含む。ハイブリダイゼーション混合物が、熱変性工程温度からハイブリダイゼーション温度に冷却されると、プローブ:標的ハイブリッド(すなわち、プローブ:ライブラリーメンバーハイブリッド)が形成される。
【0126】
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション温度は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、少なくとも60℃、少なくとも61℃、少なくとも62℃、少なくとも63℃、少なくとも64℃、少なくとも65℃または少なくとも70℃であり得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション温度は、最大56℃、最大58℃、最大60℃、最大61℃、最大62℃、最大63℃、最大64℃、最大65℃または最大70℃であり得る。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションは、変性温度からハイブリダイゼーション温度への温度の低下を含み得る。いくつかの実施形態において、その温度勾配は、少なくとも-5℃/分、少なくとも-2℃/分、少なくとも-1℃/分、少なくとも-0.5℃/分または少なくとも-0.2℃/分の速度を含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、上記方法は、ライブラリーをプローブと接触させたまま維持する工程、および/またはハイブリダイゼーション混合物をハイブリダイゼーション温度で最大3日間、最大2日間、最大24時間、最大20時間、最大16時間、最大12時間、最大6時間、最大3時間、最大2時間、最大90分間、最大1時間もしくは最大30分間維持する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、上記方法は、ライブラリーをプローブと接触させたまま維持する工程、および/またはハイブリダイゼーション混合物をハイブリダイゼーション温度で少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間もしくは少なくとも24時間維持する工程を含み得る。ブロッカーのTmがアダプターのTmより高い場合を含むいくつかの実施形態では、アダプター:アダプターハイブリッドが形成する前にブロッカー:アダプターハイブリッドが形成することにより、アダプター:アダプターハイブリッドの「デイジー鎖」の形成または鎖状体形成が妨げられる。
捕捉
【0128】
いくつかの態様において、ハイブリッド捕捉の方法は、ライブラリーのメンバーにハイブリダイズしたプローブを、捕捉手段を用いて捕捉する工程を含む。そのプローブは、任意の好適な手段によって捕捉され得る。例えば、プローブが、ビオチン基を含むとき、そのプローブは、例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズなどの、ストレプトアビジンビーズを用いて捕捉され得る。いくつかの実施形態において、プローブは、FITCを含み得、捕捉手段は、抗FITCを含み得る。いくつかの実施形態において、プローブは、ハプテンを含み得、捕捉手段は、そのハプテンに結合する分子(例えば、抗体)を含み得る。他の捕捉するための手段、例えば、等速電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、磁性手段などを用いることもできる。
【0129】
例えば、捕捉手段が、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズを含む場合などの、いくつかの実施形態において、上記方法は、プローブ(例えば、プローブ:標的ハイブリッドなど)および捕捉手段を含む捕捉混合物を形成する工程を含み得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、上記方法は、捕捉混合物を捕捉温度で維持する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、その捕捉温度は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、少なくとも60℃、少なくとも61℃、少なくとも62℃、少なくとも63℃、少なくとも64℃、少なくとも65℃または少なくとも70℃であり得る。いくつかの実施形態において、その捕捉温度は、最大56℃、最大58℃、最大60℃、最大61℃、最大62℃、最大63℃、最大64℃、最大65℃または最大70℃であり得る。いくつかの実施形態において、捕捉混合物は、捕捉温度で少なくとも2分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間または少なくとも15分間維持され得る。いくつかの実施形態において、捕捉混合物は、捕捉温度で最大5分間、最大10分間、最大15分間、最大20分間、最大30分間、最大45分間またはそれより長く、維持され得る。いくつかの実施形態において、および/または振盪混合が、5または10分ごとに追加され得る。
【0131】
いくつかの実施形態において、上記方法は、捕捉されたプローブを洗浄する工程をさらに含み得る(捕捉されたプローブは、例えば、プローブ:標的ハイブリッドおよび/または捕捉されたライブラリーメンバーを含み得る)。いくつかの実施形態において、捕捉されたプローブは、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回またはそれより多く、洗浄され得る。いくつかの実施形態において、捕捉されたプローブは、最大1回、最大2回、最大3回または最大5回、洗浄され得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、捕捉されたライブラリーメンバーを洗浄する工程は、捕捉されたプローブを洗浄バッファー中で洗浄温度に加熱する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、洗浄バッファーは、界面活性剤を含み得る。任意の好適なバッファーを使用してよく、それらとしては、例えば、Tris-HCl;ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES);ピペラジン-N,N’-ビス(3-プロパンスルホン酸)(PIPPS);2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES);(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)(HEPES)などが挙げられる。任意の好適な界面活性剤を使用してよく、それらとしては、例えば、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などが挙げられる。いくつかの実施形態において、洗浄バッファーは、例えばベタインなどの、GCリッチ領域において二次構造の形成を減少させることを目的とする化合物を含み得る。いくつかの実施形態において、洗浄バッファーは、例えば、デフェロキサミンメシル酸塩、EGTA、EDTAなどをはじめとした、鉄キレート剤を含み得る。
【0133】
洗浄温度は、少なくとも20℃、少なくとも23℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、少なくとも60℃、少なくとも61℃、少なくとも62℃、少なくとも63℃、少なくとも64℃、少なくとも65℃または少なくとも70℃であり得る。いくつかの実施形態において、洗浄温度は、最大30℃、最大35℃、最大40℃、最大45℃、最大50℃、最大55℃、最大56℃、最大60℃、最大61℃、最大62℃、最大63℃、最大64℃、最大65℃または最大70℃であり得る。
【0134】
いくつかの実施形態において、上記方法は、捕捉されたライブラリーメンバーを捕捉手段および/またはプローブから溶離する工程をさらに含み得る。例えば、捕捉されたライブラリーメンバーは、ストレプトアビジンビーズおよび/またはビオチン化プローブから溶離され得る。ストレプトアビジンビーズがストレプトアビジン磁気ビーズを含む実施形態では、溶離は、磁石の使用を含み得る。いくつかの実施形態において、溶離は、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)2などをはじめとした、強塩基の使用を含み得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、捕捉手段として固体支持体が使用され得、その固体支持体としては、例えば、ストレプトアビジンを含む固体支持体が挙げられる。いくつかの実施形態において、その捕捉手段は、連続的にストリンジェンシーを高めた条件下で、プローブ:標的の推定Tm値より低い温度かつ/またはアダプターのTm値より高い温度において洗浄され得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、捕捉されたライブラリーメンバーは、リガンドから溶離(例えば、ビオチン化プローブから溶離)され得るか、または捕捉手段から溶離(例えば、ストレプトアビジンビーズから溶離)され得、フローセル上に直接ロードされ得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、少なくとも60フェムトモル、少なくとも80フェムトモル、少なくとも90フェムトモル、少なくとも100フェムトモルまたは少なくとも150フェムトモルのDNAが、溶離され得る。いくつかの実施形態では、最大150フェムトモル、最大500フェムトモル、最大1ピコモル、最大2ピコモルまたは最大3ピコモルのDNAが、溶離され得る。例えば、いくつかの実施形態では、100フェムトモル~2ピコモルのDNAが、溶離され得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、溶離されたライブラリーメンバーは、100μL未満の体積、90μL未満の体積、80μL未満の体積、70μL未満の体積または60μL未満の体積でフローセル上にロードされ得る。いくつかの実施形態において、捕捉されたライブラリーメンバーは、およそ55μLの体積でフローセル上にロードされ得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、溶離後、溶離液は、少なくとも1.1ピコモル濃度(pM)、少なくとも1.2pM、少なくとも1.3pM、少なくとも10pMまたは少なくとも100pMのDNA濃度を有し得る。いくつかの実施形態において、溶離液は、最大100pM、最大200pM、最大250pMまたは最大300pMのDNA濃度を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、溶離液は、1.3pM~250pMの範囲内のDNA濃度を有し得る。いくつかの実施形態において、溶離液は、さらに希釈することなく、かつ/またはDNA濃度を変更することなく、フローセル上にロードされ得る。
増幅
【0140】
別の態様において、本開示は、ハイブリッド捕捉後ではあるが、捕捉されたライブラリーメンバーを配列決定する前に、PCRを用いてライブラリーメンバーを増幅する工程を含む方法を記載する。あるいは、本開示は、ハイブリッド捕捉後かつライブラリーメンバーを配列決定する前に、捕捉されたライブラリーメンバーを増幅条件に供する工程を含まない方法(例えば、ライブラリーメンバーを配列決定する前に、捕捉されたライブラリーメンバーをPCR工程に供して、捕捉されたライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない方法)を記載する。捕捉されたライブラリーメンバーを配列決定する方法は、通常、前記ライブラリーメンバーを配列決定する前に、ライブラリーメンバーを増幅する(例えば、PCR工程を用いて)工程を含む。
【0141】
ハイブリダイゼーションおよびハイブリッド捕捉の間に捕捉されたDNAの量は、蛍光測定法または分析法(例えば、バイオアナライザー)によって直接定量するには少なすぎることがある。ライブラリーの増幅により、プロセスの定量および品質管理が可能になる。
【0142】
さらに、ハイブリッド捕捉後かつ配列決定前に、PCRを用いて増幅されたサンプルを希釈するのが一般的である。例えば、PCR後の、Illumina,Inc.のNEXTERA Rapid Captureサンプルの代表的な定量は、中ナノモル濃度範囲において行われるのに対して、配列決定濃度は、低ピコモル濃度範囲である。したがって、捕捉されたライブラリーメンバーを増幅することによって、配列決定のために必要な量より数桁多い分子が生成される。
【0143】
いくつかの実施形態において、本開示は、ハイブリッド捕捉後に、捕捉されたライブラリーメンバーを配列決定する方法を記載する。そのような方法は、捕捉されたライブラリーメンバーおよび/または溶離されたライブラリーメンバーをフローセル上に直接ロードする工程(例えば、2017年9月28日出願の米国特許仮出願第62/564,466に記載されているような、例えばダイレクトフローセルローディングジグを用いて)を含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、方法は、ハイブリッド捕捉後に、捕捉されたライブラリーメンバーを配列決定する工程をさらに含み得る。
実施形態
例示的なブロッカー実施形態
【0145】
1.オリゴヌクレオチドを含むブロッカーであって、
そのブロッカーは、アダプターに結合することができ、そのアダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合することができるブロッカーの領域は、
少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基;または
ユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含む、ブロッカー。
【0146】
2.前記アダプターのインデックス領域またはUMIに結合することができるブロッカーの領域が、前記アダプターのインデックス領域および/またはUMIにおける塩基数と同数のチミン塩基を含む、ブロッカー実施形態1に記載のブロッカー。
【0147】
3.前記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基が、前記インデックス領域および/またはUMIに対応するブロッカー配列の領域に位置し、前記非ユニバーサル塩基が、インデックス領域の5’末端を基準としてブロッカー配列の3番目もしくは5番目の位置またはその両方に存在する、ブロッカー実施形態1に記載のブロッカー。
【0148】
4.前記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基が、修飾グアニンを含む、ブロッカー実施形態1またはブロッカー実施形態3に記載のブロッカー。
【0149】
5.前記少なくとも1つの非ユニバーサル塩基が、ランダムヌクレオチドを含む、ブロッカー実施形態1、3または4のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0150】
6.前記ユニバーサル塩基が、2’-デオキシイノシン、2’-デオキシネブラリン、3-ニトロピロール2’-デオキシヌクレオシドまたは5-ニトロインドール2’-デオキシヌクレオシドを含む、ブロッカー実施形態1、3、4または5のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0151】
7.前記ユニバーサルプライマー配列が、P5、P7、P5’、P7’、V2.A14.METS、V2.B15.METS、V2.A14.METSの相補鎖およびV2.B15.METSの相補鎖のうちの少なくとも1つを含む、前述のブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0152】
8.前記ブロッカーが、修飾を含まない同じブロッカーと比べて前記ブロッカーのTmを上昇させる修飾を含む、前述のブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0153】
9.前記ブロッカーが、低GC領域を捕捉するように修飾されたDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチド;架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む、前述のブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0154】
10.前記ブロッカーが、1塩基ごと、少なくとも2塩基ごと、少なくとも3塩基ごと、少なくとも4塩基ごとまたは少なくとも5塩基ごとに修飾塩基を含む、前述のブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0155】
11.前記ブロッカーが、そのブロッカーがDNA合成用のプライマーとして働く利用可能性を妨げる3’末端基を含む、前述のブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0156】
12.前記3’末端基が、3’-dC、2’,3’-ddC、反転dTまたは3’-スペーサーC3を含む、ブロッカー実施形態11に記載のブロッカー。
【0157】
13.前記ブロッカーが、表2A、表2B、表2Cまたは表3の配列を含む、前述のブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0158】
14.前述のブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカーを含む、キット。
例示的なスプリットブロッカー実施形態
【0159】
1.接続されていない2つのオリゴヌクレオチドを含むブロッカーであって、
前記ブロッカーは、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
前記接続されていないオリゴヌクレオチドは、アダプターのインデックス領域および/またはUMIに対応しない塩基を含む、ブロッカー。
【0160】
2.前記接続されていないオリゴヌクレオチドが、前記アダプターのインデックス領域および/またはUMIに対応する塩基を含まない、スプリットブロッカー実施形態1に記載のブロッカー。
【0161】
3.前記ユニバーサルプライマー配列が、P5、P7、P5’、P7’、V2.A14.METS、V2.B15.METS、V2.A14.METSの相補鎖およびV2.B15.METSの相補鎖のうちの少なくとも1つを含む、前述のスプリットブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0162】
4.前記ブロッカーが、修飾を含まない同じブロッカーと比べて前記ブロッカーのTmを上昇させる修飾を含む、前述のスプリットブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0163】
5.前記ブロッカーが、低GC領域を捕捉するように修飾されたDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチド;架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む、前述のスプリットブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0164】
6.前記ブロッカーが、1塩基ごと、少なくとも2塩基ごと、少なくとも3塩基ごと、少なくとも4塩基ごとまたは少なくとも5塩基ごとに修飾塩基を含む、前述のスプリットブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0165】
7.前記ブロッカーが、そのブロッカーがDNA合成用のプライマーとして働く利用可能性を妨げる3’末端基を含む、前述のスプリットブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0166】
8.前記3’末端基が、3’-dC、2’,3’-ddC、反転dTまたは3’-スペーサーC3を含む、スプリットブロッカー実施形態11に記載のブロッカー。
【0167】
9.前記ブロッカーが、表2A、表2B、表2Cまたは表3の配列を含む、前述のスプリットブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0168】
10.前記ブロッカーが、表2AのBN023、BN024、BN027およびBN028のうちの少なくとも1つを含む、前記スプリットブロッカー実施形態のいずれかに記載のブロッカー。
【0169】
11.前述のスプリットブロッカー実施形態のいずれか1つに記載のブロッカーを含む、キット。
例示的なハイブリダイゼーションバッファー実施形態
【0170】
1.クラウディング剤を含むハイブリダイゼーションバッファー。
【0171】
2.前記クラウディング剤が、デキストラン、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、グリセロールおよびベタインのうちの少なくとも1つを含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態1に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0172】
3.前記クラウディング剤が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%または少なくとも4%の量で前記ハイブリダイゼーションバッファーに含められる、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0173】
4.前記クラウディング剤が、最大1%、最大1.5%、最大2%、最大3%、最大4%、最大5%、最大6%、最大8%または最大10%の量で前記ハイブリダイゼーションバッファーに含められる、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0174】
5.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、ヒトCot-1DNA、不安定化剤、塩およびブロッカーのうちの少なくとも1つを含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0175】
6.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも0.05mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも0.2mg/mLまたは少なくとも0.3mg/mLの量でCot-1DNAを含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0176】
7.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大0.1mg/mL、最大0.2mg/mL、最大0.3mg/mLまたは最大0.5mg/mLの量でCot-1DNAを含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5または6に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0177】
8.前記不安定化剤が、前記ハイブリダイゼーションバッファーの少なくとも1%(v/v)、少なくとも5%(v/v)または少なくとも10%(v/v)を構成する、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5~7のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0178】
9.前記不安定化剤が、前記ハイブリダイゼーションバッファーの最大5%(v/v)、最大10%(v/v)または最大15%(v/v)を構成する、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5~8のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0179】
10.前記不安定化剤が、ホルムアミドを含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5~9のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0180】
11.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも0.1M、少なくとも0.2M、少なくとも0.3M、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.7M、少なくとも0.8M、少なくとも0.9Mまたは少なくとも1Mの塩を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5~10のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0181】
12.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大0.2M、最大0.3M、最大0.4M、最大0.5M、最大0.6M、最大0.7M、最大0.8M、最大0.9M、最大1M、最大2M、最大3Mまたは最大4Mの塩を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5~11のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0182】
13.前記塩が、NaClを含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態5~11のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0183】
14.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、リン酸塩を含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0184】
15.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも55mM、少なくとも60mM、少なくとも65mMまたは少なくとも70mMのリン酸塩を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態14に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0185】
16.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大50mM、最大55mM、最大60mM、最大65mM、最大70mM、最大75mMまたは最大80mMのリン酸塩を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態14または(of)15に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0186】
17.前記リン酸塩が、KH2PO4-K2HPO4を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態14~16のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0187】
18.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、界面活性剤を含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0188】
19.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも0.001%(v/v)、少なくとも0.01%(v/v)、少なくとも0.05%(v/v)、少なくとも0.1%(v/v)、少なくとも1%(v/v)または少なくとも5%(v/v)の界面活性剤を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態18に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0189】
20.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大0.01%(v/v)、最大0.05%(v/v)、最大0.1%(v/v)、最大1%(v/v)、最大5%(v/v)または最大10%(v/v)の界面活性剤を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態18または19に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0190】
21.前記界面活性剤が、TWEEN(登録商標)20を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態18~20のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0191】
22.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、
0.5%~10%デキストラン硫酸、
0.05mg/mL~0.5mg/mLヒトCot-1DNA、
1%~15%(v/v)ホルムアミド、
40mM~80mM KH2PO4-K2HPO4、
0.1M~4M NaCl、および
0.001%~10%(v/v)Tween(登録商標)20
を含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0192】
23.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、
1.5%デキストラン硫酸、
0.2mg/mLヒトCot-1DNA、
10%(v/v)ホルムアミド、
66.6mM KH2PO4-K2HPO4、
0.2mM 強化アダプターブロッカー(各アダプターに対して0.1mM)
0.8M NaCl、および
0.04%(v/v)Tween(登録商標)20
を含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0193】
24.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、ブロッカーを含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0194】
25.前記ブロッカーが、Tm高温化オリゴヌクレオチドを含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態24に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0195】
26.前記ブロッカーが、Tmを高める複数の修飾を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態24または25に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0196】
27.前記ブロッカーのTmを上昇させる複数の修飾が、架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態26に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0197】
28.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、ブロッカーを含み、
前記ブロッカーは、オリゴヌクレオチドを含み;
前記ブロッカーは、アダプターに結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
前記アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合することができるブロッカーの領域は、
少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基;または
ユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基
を含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0198】
29.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、ブロッカーを含み、
前記ブロッカーは、接続されていない2つのオリゴヌクレオチドを含み;
前記ブロッカーは、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
前記接続されていないオリゴヌクレオチドは、アダプターのインデックス領域および/またはアダプターのUMIに対応しない塩基を含む、前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0199】
30.前記ブロッカーが、Tmを高める複数の修飾を含む、ハイブリダイゼーションバッファー実施形態28または29に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0200】
31.前述のハイブリダイゼーションバッファー実施形態のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファーを含む、キット。
ハイブリダイゼーションバッファーを使用する例示的な方法(バッファー方法実施形態)
【0201】
1.ハイブリッド捕捉のためにクラウディング剤を含むハイブリダイゼーションバッファーを使用する工程を含む、方法。
【0202】
2.前記クラウディング剤が、デキストラン、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、グリセロールおよびベタインのうちの少なくとも1つを含む、バッファー方法実施形態1に記載の方法。
【0203】
3.前記クラウディング剤が、少なくとも0.5%(w/v)、少なくとも1%(w/v)、少なくとも1.5%(w/v)、少なくとも2%(w/v)、少なくとも3%(w/v)または少なくとも4%(w/v)の量で前記ハイブリダイゼーションバッファーに含められる、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
4.前記クラウディング剤が、最大1%(w/v)、最大1.5%(w/v)、最大2%(w/v)、最大3%(w/v)、最大4%(w/v)、最大5%(w/v)、最大6%(w/v)、最大8%(w/v)または最大10%(w/v)の量で前記ハイブリダイゼーションバッファーに含められる、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
5.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、ヒトCot-1DNA、不安定化剤および塩のうちの少なくとも1つを含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
6.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも0.05mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも0.2mg/mLまたは少なくとも0.3mg/mLの量でヒトCot-1DNAを含む、バッファー方法実施形態5に記載の方法。
【0207】
7.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大0.1mg/mL、最大0.2mg/mL、最大0.3mg/mLまたは最大0.5mg/mLの量でヒトCot-1DNAを含む、バッファー方法実施形態5または6に記載の方法。
【0208】
8.前記不安定化剤が、前記ハイブリダイゼーションバッファーの少なくとも1%(v/v)、少なくとも5%(v/v)または少なくとも10%(v/v)を構成する、バッファー方法実施形態5~7のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
9.前記不安定化剤が、前記ハイブリダイゼーションバッファーの最大5%(v/v)、最大10%(v/v)または最大15%(v/v)を構成する、バッファー方法実施形態5~8のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
10.前記不安定化剤が、ホルムアミドを含む、バッファー方法実施形態5~9のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
11.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも0.1M、少なくとも0.2M、少なくとも0.3M、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.7M、少なくとも0.8M、少なくとも0.9Mまたは少なくとも1Mの塩を含む、バッファー方法実施形態5~10のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
12.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大0.2M、最大0.3M、最大0.4M、最大0.5M、最大0.6M、最大0.7M、最大0.8M、最大0.9M、最大1M、最大2M、最大3Mまたは最大4Mの塩を含む、バッファー方法実施形態5~11のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
13.前記塩が、NaClを含む、バッファー方法実施形態5~12のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
14.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、リン酸塩を含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
15.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも55mM、少なくとも60mM、少なくとも65mMまたは少なくとも70mMのリン酸塩を含む、バッファー方法実施形態14に記載の方法。
【0216】
16.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大50mM、最大55mM、最大60mM、最大65mM、最大70mM、最大75mMまたは最大80mMのリン酸塩を含む、バッファー方法実施形態14または15に記載の方法。
【0217】
17.前記リン酸塩が、KH2PO4-K2HPO4を含む、バッファー方法実施形態14~16のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
18.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、界面活性剤を含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
19.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、少なくとも0.001%(v/v)、少なくとも0.01%(v/v)、少なくとも0.05%(v/v)、少なくとも0.1%(v/v)、少なくとも1%(v/v)または少なくとも5%(v/v)の界面活性剤を含む、バッファー方法実施形態17に記載の方法。
【0220】
20.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、最大0.01%(v/v)、最大0.05%(v/v)、最大0.1%(v/v)、最大1%(v/v)、最大5%(v/v)または最大10%(v/v)の界面活性剤を含む、バッファー方法実施形態18または19に記載の方法。
【0221】
21.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、TWEEN(登録商標)20を含む、バッファー方法実施形態18~20のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
22.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、
0.5%~10%デキストラン硫酸、
0.05mg/mL~0.5mg/mL Cot-1、
1%~15%(v/v)ホルムアミド、
40mM~80mM KH2PO4-K2HPO4、
0.1M~4M NaCl、および
0.001%~10%(v/v)TWEEN(登録商標)20
を含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
23.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、
1.5%デキストラン硫酸、
0.2mg/mL Cot-1、
10%(v/v)ホルムアミド、
66.6mM KH2PO4-K2HPO4、
0.8M NaCl、および
0.04%(v/v)TWEEN(登録商標)20
を含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
24.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、ブロッカーを含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
25.前記ブロッカーが、少なくとも0.001mM、少なくとも0.005mM、少なくとも0.01mM、少なくとも0.05mMまたは少なくとも0.1mMの濃度で存在する、バッファー方法実施形態24に記載の方法。
【0226】
26.前記ブロッカーが、最大0.01mM、最大0.05mM、最大0.1mM、最大0.2mMまたは最大0.5mMの濃度で存在する、バッファー方法実施形態24または25に記載の方法。
【0227】
27.前記方法が、ヒトCot-1DNAおよびブロッカーを含む第1の組成物ならびにホルムアミドおよびデキストラン硫酸を含む第2の組成物から前記ハイブリダイゼーションバッファーを形成する工程を含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
28.前記方法が、ライブラリーを前記ハイブリダイゼーションバッファーと接触させる工程を含み、前記ハイブリダイゼーションバッファーは、ブロッカーを含む、前述のバッファー方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
29.前記方法が、前記ハイブリダイゼーションバッファーの存在下において前記ライブラリーを前記ブロッカーと接触させる前に、少なくとも2つのライブラリー調製物由来のサンプルを合わせる工程を含む、バッファー方法実施形態28に記載の方法。
【0230】
30.少なくとも1μL、少なくとも2μL、少なくとも3μL、少なくとも5μL、少なくとも10μL、少なくとも15μLまたは少なくとも20μLの、各ライブラリー調製物に由来するサンプルを合わせる、バッファー方法実施形態29に記載の方法。
【0231】
31.最大2μL、最大3μL、最大5μL、最大10μL、最大15μL、最大20μL、最大25μL、最大30μL、最大40μLまたは最大50μLの、各ライブラリー調製物に由来するサンプルを合わせる、バッファー方法実施形態29または30に記載の方法。
【0232】
32.各ライブラリー調製物由来の少なくとも10ng、少なくとも15ng、少なくとも25ng、少なくとも50ng、少なくとも100ng、少なくとも200ng、少なくとも500ng、少なくとも1,000ngまたは少なくとも5,000ngのDNAを合わせる、バッファー方法実施形態29~31のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
33.各ライブラリー調製物由来の最大15ng、最大25ng、最大50ng、最大100ng、最大200ng、最大500ng、最大1,000ng、最大5,000ng、最大10,000ngまたは最大12,000ngのDNAを合わせる、バッファー方法実施形態29~32のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
34.合わせられるライブラリー調製物由来の各サンプルのDNA濃度が、少なくとも0.1ng/μL、少なくとも0.3ng/μL、少なくとも0.4ng/μL、少なくとも0.5ng/μL、少なくとも1ng/μL、少なくとも2ng/μL、少なくとも4ng/μL、少なくとも6ng/μL、少なくとも8ng/μL、少なくとも10ng/μL、少なくとも12ng/μL、少なくとも20ng/μL、少なくとも50ng/μL、少なくとも60ng/μL、少なくとも100ng/μLまたは少なくとも200ng/μLである、バッファー方法実施形態29~33のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
35.合わせられるライブラリー調製物由来の各サンプルのDNA濃度が、最大0.4ng/μL、最大0.5ng/μL、最大1ng/μL、最大2ng/μL、最大4ng/μL、最大6ng/μL、最大8ng/μL、最大10ng/μL、最大12ng/μL、最大15ng/μL、最大20ng/μL、最大50ng/μL、最大100ng/μL、最大120ng/μL、最大200ng/μL、最大300ng/μLまたは最大400ng/μLである、バッファー方法実施形態29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
36.前記ライブラリー調製物を合わせた後のDNA濃度が、0.3ng/μL~400ng/μLの範囲内である、バッファー方法実施形態29~35のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
37.前記方法が、ライブラリーメンバーをプローブと接触させる工程をさらに含み、前記プローブは、ライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズし、前記プローブは、リガンドを含む、バッファー方法実施形態29~36のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
38.前記リガンドが、ビオチン基を含む、バッファー方法実施形態37に記載の方法。
【0239】
39.前記方法が、ライブラリーメンバー、前記ハイブリダイゼーションバッファー(ここで、前記ハイブリダイゼーションバッファーはブロッカーを含む)およびプローブを含むハイブリダイゼーション混合物を形成する工程を含む、バッファー方法実施形態29~38のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
40.前記ハイブリダイゼーション混合物が、ヒトCot-1DNAをさらに含む、バッファー方法実施形態39に記載の方法。
【0241】
42.前記方法が、最大150μL、最大140μL、最大130μL、最大120μL、最大110μL、最大100μL、最大90μL、最大80μL、最大70μL、最大60μLまたは最大50μLの体積のハイブリダイゼーション混合物を使用する工程を含む、バッファー方法実施形態39または40に記載の方法。
【0242】
42.前記方法が、少なくとも10μL、少なくとも20μL、少なくとも30μL、少なくとも40μL、少なくとも50μL、少なくとも60μLまたは少なくとも70μLの体積のハイブリダイゼーション混合物を使用する工程を含む、バッファー方法実施形態39~41のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
43.前記ハイブリダイゼーション混合物中のDNA濃度が、少なくとも少なくとも0.1ng/μL、少なくとも0.3ng/μL、少なくとも0.4ng/μL、少なくとも0.5ng/μL、少なくとも1ng/μL、少なくとも2ng/μL、少なくとも4ng/μL、少なくとも6ng/μL、少なくとも8ng/μL、少なくとも10ng/μL、少なくとも12ng/μL、少なくとも15ng/μL、少なくとも20ng/μL、少なくとも50ng/μL、少なくとも75ng/μL、少なくとも100ng/μL、少なくとも120ng/μL、少なくとも150ng/μL、少なくとも200ng/μLである、バッファー方法実施形態39~42のいずれか1つに記載の方法。
【0244】
44.前記ハイブリダイゼーション混合物中のDNA濃度が、最大0.3ng/μL、最大0.4ng/μL、最大0.5ng/μL、最大1ng/μL、最大2ng/μL、最大4ng/μL、最大6ng/μL、最大8ng/μL、最大10ng/μL、最大12ng/μL、最大15ng/μL、最大20ng/μL、最大50ng/μL、最大75ng/μL、最大100ng/μL、最大120ng/μL、最大150ng/μL、最大200ng/μLまたは最大500ng/μLである、バッファー方法実施形態39~43のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
45.前記ライブラリーが、前記プローブと最大3日間、最大2日間、最大24時間、最大20時間、最大16時間、最大12時間、最大6時間、最大3時間、最大2時間、最大90分間、最大1時間または最大30分間接触する、バッファー方法実施形態37~44のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
46.前記ライブラリーが、前記プローブと少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間または少なくとも24時間接触する、バッファー方法実施形態37~45のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
47.方法が、前記ハイブリダイゼーション混合物をハイブリダイゼーション温度で維持する工程を含み、前記ハイブリダイゼーション温度は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、少なくとも60℃、少なくとも61℃、少なくとも62℃、少なくとも63℃、少なくとも64℃、少なくとも65℃または少なくとも70℃である、バッファー方法実施形態39~46のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
48.方法が、前記ハイブリダイゼーション混合物をハイブリダイゼーション温度で維持する工程を含み、前記ハイブリダイゼーション温度は、最大56℃、最大58℃、最大60℃、最大61℃、最大62℃、最大63℃、最大64℃、最大65℃または最大70℃である、バッファー方法実施形態39~47のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
49.前記方法が、前記ハイブリダイゼーション混合物をハイブリダイゼーション温度で最大3日間、最大2日間、最大24時間、最大20時間、最大16時間、最大12時間、最大6時間、最大3時間、最大2時間、最大90分間、最大1時間または最大30分間維持する工程を含む、バッファー方法実施形態39~48のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
50.前記方法が、前記ハイブリダイゼーション混合物をハイブリダイゼーション温度で少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間または少なくとも24時間維持する工程を含む、バッファー方法実施形態39~49のいずれか1つに記載の方法。
【0251】
51.前記方法が、ハイブリダイズした後の前記プローブを、捕捉手段を用いて捕捉する工程をさらに含む、バッファー方法実施形態37~50のいずれか1つに記載の方法。
【0252】
52.前記プローブを捕捉する工程が、ストレプトアビジンビーズを使用する工程を含む、バッファー方法実施形態51に記載の方法。
【0253】
53.前記方法が、前記プローブおよび捕捉手段を含む捕捉混合物を形成する工程を含む、バッファー方法実施形態37~52のいずれか1つに記載の方法。
【0254】
54.前記方法が、前記捕捉混合物を少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、少なくとも60℃、少なくとも61℃、少なくとも62℃、少なくとも63℃、少なくとも64℃、少なくとも65℃または少なくとも70℃の捕捉温度で維持する工程を含む、バッファー方法実施形態53に記載の方法。
【0255】
55.前記方法が、前記捕捉混合物を最大56℃、最大58℃、最大60℃、最大61℃、最大62℃、最大63℃、最大64℃、最大65℃または最大70℃の捕捉温度で維持する工程を含む、バッファー方法実施形態53または54に記載の方法。
【0256】
56.前記方法が、前記捕捉混合物を捕捉温度で少なくとも2分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間または少なくとも15分間維持する工程を含む、バッファー方法実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0257】
57.前記方法が、前記捕捉混合物を捕捉温度で最大5分間、最大10分間、最大15分間、最大20分間、最大30分間または最大45分間維持する工程を含む、バッファー方法実施形態53~56のいずれか1つに記載の方法。
【0258】
58.前記方法が、前記捕捉されたプローブを洗浄する工程を含む、バッファー方法実施形態53~57のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
59.前記方法が、前記捕捉されたライブラリーメンバーを前記捕捉手段から溶離液に溶離する工程をさらに含む、バッファー方法実施形態53~58のいずれか1つに記載の方法。
【0260】
60.前記方法が、前記捕捉されたライブラリーメンバーを前記プローブから溶離液に溶離する工程をさらに含む、バッファー方法実施形態53~59のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
61.少なくとも60フェムトモル、少なくとも80フェムトモル、少なくとも90フェムトモル、少なくとも100フェムトモルまたは少なくとも150フェムトモルのDNAが溶離される、バッファー方法実施形態60に記載の方法。
【0262】
62.最大150フェムトモル、最大500フェムトモル、最大1ピコモル、最大2ピコモルまたは最大3ピコモルのDNAが溶離される、バッファー方法実施形態60または61に記載の方法。
【0263】
63.前記溶離液のDNA濃度が、少なくとも1.1pM、少なくとも1.2pM、少なくとも1.3pM、少なくとも10pMまたは少なくとも100pMである、バッファー方法実施形態60~62のいずれか1つに記載の方法。
【0264】
64.前記溶離液のDNA濃度が、最大100pM、最大200pM、最大250pMまたは最大300pMである、バッファー方法実施形態60~63のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
65.前記溶離液のDNA濃度が、1.3pM~250pMの範囲内である、バッファー方法実施形態60~64のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
66.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを配列決定する工程をさらに含む、バッファー方法実施形態37~65のいずれか1つに記載の方法。
【0267】
67.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを配列決定する前に前記ライブラリーメンバーを増幅する工程を含む、バッファー方法実施形態66に記載の方法。
【0268】
68.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを配列決定する前に前記ライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない、バッファー方法実施形態66に記載の方法。
【0269】
69.前記ブロッカーが、Tm高温化オリゴヌクレオチドを含む、バッファー方法実施形態24~68のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
70.前記ブロッカーが、Tmを高める複数の修飾を含む、バッファー方法実施形態24~69のいずれかに記載の方法。
【0271】
71.前記ブロッカーのTmを上昇させる前記複数の修飾が、架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む、バッファー方法実施形態70に記載の方法。
【0272】
72.前記ブロッカーが、オリゴヌクレオチドを含み;
前記ブロッカーが、アダプターに結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
前記アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合することができるブロッカーの領域は、
少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基;または
ユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基
を含む、バッファー方法実施形態24~71のいずれかに記載の方法。
【0273】
73.前記ブロッカーが、接続されていない2つのオリゴヌクレオチドを含み;
前記ブロッカーが、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
前記接続されていないオリゴヌクレオチドは、前記アダプターのインデックス領域および/または前記アダプターのUMIに対応しない塩基を含む、バッファー方法実施形態24~72のいずれかに記載の方法。
PCRなしのハイブリッド捕捉の例示的な方法(捕捉方法実施形態)
【0274】
1.ハイブリダイゼーションバッファーの存在下においてライブラリーをブロッカーと接触させる工程;
および前記ライブラリーをプローブと接触させる工程
を含む、方法であって、前記プローブは、ライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズし;
前記方法は、前記ライブラリーメンバーを配列決定する前にPCRを用いて前記ライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない、方法。
【0275】
2.前記プローブが、リガンドをさらに含み、前記ライブラリーメンバーが、前記ライブラリーメンバーを配列決定する前に前記リガンドから溶離される、捕捉方法実施形態1に記載の方法。
【0276】
3.前記リガンドが、ビオチンを含む、捕捉方法実施形態2に記載の方法。
【0277】
4.前記方法が、前記リガンドからの溶離後に前記ライブラリーメンバーをフローセル上にロードする工程を含む、捕捉方法実施形態2または3のいずれかに記載の方法。
【0278】
5.前記方法が、ハイブリダイズした後の前記プローブを、捕捉手段を用いて捕捉する工程をさらに含む、捕捉方法実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
6.前記捕捉手段が、ストレプトアビジンを含む、捕捉方法実施形態5に記載の方法。
【0280】
7.前記方法が、前記捕捉手段からの溶離後に前記ライブラリーメンバーをフローセル上にロードする工程を含む、捕捉方法実施形態5または6のいずれかに記載の方法。
【0281】
8.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを100μL未満の体積、90μL未満の体積、80μL未満の体積、70μL未満の体積または60μL未満の体積でフローセル上にロードする工程を含む、捕捉方法実施形態4または7に記載の方法。
【0282】
9.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを少なくとも1.1pM、少なくとも1.2pM、少なくとも1.3pM、少なくとも10pMまたは少なくとも100pMの濃度でフローセル上にロードする工程を含む、捕捉方法実施形態4または7に記載の方法。
【0283】
10.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを最大100pM、最大200pM、最大250pMまたは最大300pMの濃度でフローセル上にロードする工程を含む、捕捉方法実施形態4、7または9に記載の方法。
【0284】
11.前記方法が、ダイレクトフローセルローディングジグを用いて前記ライブラリーメンバーをフローセル上にロードする工程を含む、捕捉方法実施形態4または7~10のいずれか1つに記載の方法。
【0285】
12.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、クラウディング剤を含む、前述の捕捉方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
13.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、
0.5%~10%デキストラン硫酸、
0.05mg/mL~0.5mg/mLヒトCot-1DNA、
1%~15%(v/v)ホルムアミド、
40mM~80mM KH2PO4-K2HPO4、
0.1M~4M NaCl、および
0.001%~10%(v/v)Tween(登録商標)20
を含む、捕捉方法実施形態12に記載の方法。
【0287】
14.前記ブロッカーが、Tm高温化オリゴヌクレオチドを含む、前述の捕捉方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
15.前記ブロッカーが、Tmを高める複数の修飾を含む、前述の捕捉方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
16.前記ブロッカーのTmを上昇させる前記複数の修飾が、架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む、捕捉方法実施形態15に記載の方法。
【0290】
17.前記ブロッカーが、オリゴヌクレオチドを含み;
前記ブロッカーが、アダプターに結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
前記アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合することができるブロッカーの領域が、
少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基;または
ユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基
を含む、前述の捕捉方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
18.前記ブロッカーが、接続されていない2つのオリゴヌクレオチドを含み;
前記ブロッカーが、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;
前記接続されていないオリゴヌクレオチドは、前記アダプターのインデックス領域および/または前記アダプターのUMIに対応しない塩基を含む、前述の捕捉方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0292】
本発明は、以下の例によって例証される。特定の例、材料、量および手順は、本明細書中に示される本発明の範囲および趣旨に従って広く解釈されるべきであると理解される。
実施形態
【0293】
以下の番号付けされた項目は、本明細書中に記載されるような実施形態を提供するが、ここに記載される実施形態は、限定するものではない。
【0294】
項目1.クラウディング剤と、ヒトCot-1DNA、不安定化剤、塩およびブロッカーのうちの少なくとも1つとを含むハイブリダイゼーションバッファー。
【0295】
項目2.前記クラウディング剤が、デキストラン、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、グリセロールおよびベタインのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0296】
項目3.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、0.5%~10%デキストラン硫酸、0.05mg/mL~0.5mg/mL Cot-1、1%~15%(v/v)ホルムアミド、40mM~80mM KH2PO4-K2HPO4、0.1M~4M NaCl、および0.001%~10%(v/v)TWEEN(登録商標)20を含む、前述の項目のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0297】
項目4.前記ブロッカーが、Tmを高める複数の修飾を含む、前述の項目のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファー。
【0298】
項目5.前述の項目のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファーを使用する工程を含む、方法。
【0299】
項目6.前記方法が、ライブラリーメンバー、前記ハイブリダイゼーションバッファー、ヒトCot-1DNA、ブロッカーおよびプローブを含むハイブリダイゼーション混合物を形成する工程を含む、項目5に記載の方法。
【0300】
項目7.前記ハイブリダイゼーション混合物が、少なくとも2つのライブラリー調製物由来のサンプルを含み、各ライブラリー調製物由来の少なくとも10ng、少なくとも25ng、少なくとも50ng、少なくとも100ng、少なくとも200ngまたは少なくとも500ngのDNAを合わせる、項目6に記載の方法。
【0301】
項目8.前記ハイブリダイゼーション混合物のDNA濃度が、0.1ng/μL~120ng/μLの範囲内である、項目6または項目7に記載の方法。
【0302】
項目9.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを前記プローブと接触させる工程であって、前記プローブは、ライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズし、前記プローブは、リガンドを含む、工程、ハイブリダイズした後の前記プローブを、捕捉手段を用いて捕捉する工程、および前記捕捉されたライブラリーメンバーを前記捕捉手段から溶離液に溶離する工程であって、前記溶離液のDNA濃度は、1.3pM~250pMの範囲内である、工程を含む、項目6~8のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
項目10.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを配列決定する工程をさらに含み、前記方法が、前記ライブラリーメンバーを配列決定する前に前記ライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない、項目6~9のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
項目11.前記方法が、ダイレクトフローセルローディングジグを用いて前記ライブラリーメンバーをフローセル上にロードする工程を含む、項目10に記載の方法。
【0305】
項目12.オリゴヌクレオチドを含むブロッカーであって、前記ブロッカーは、アダプターに結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み、前記アダプターのインデックス領域および/またはUMIに結合することができるブロッカーの領域は、少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基;またはユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含む、ブロッカー。
【0306】
項目13.接続されていない2つのオリゴヌクレオチドを含むブロッカーであって、前記ブロッカーは、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み、前記接続されていないオリゴヌクレオチドは、前記アダプターのインデックス領域および/またはUMIに対応しない塩基を含む、ブロッカー。
【0307】
項目14.前記ユニバーサルプライマー配列が、P5、P7、P5’、P7’、V2.A14.METS、V2.B15.METS、V2.A14.METSの相補鎖およびV2.B15.METSの相補鎖のうちの少なくとも1つを含む、項目12または13に記載のブロッカー。
【0308】
項目15.前記ブロッカーが、修飾を含まない同じブロッカーと比べて前記ブロッカーのTmを上昇させる修飾を含む、項目12~14のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0309】
項目16.前記ブロッカーが、低GC領域を捕捉するように修飾されたDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチド;架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む、項目12~15のいずれか1つに記載のブロッカー。
【0310】
項目17.ハイブリダイゼーションバッファーの存在下においてライブラリーをブロッカーと接触させる工程;および前記ライブラリーをプローブと接触させる工程を含む方法であって、前記プローブは、ライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズし、前記方法は、前記ライブラリーメンバーを配列決定する前にPCRを用いて前記ライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない、方法。
【0311】
項目18.前記方法が、前記ライブラリーメンバーを少なくとも1.1pM、少なくとも1.2pM、少なくとも1.3pM、少なくとも10pMまたは少なくとも100pMの濃度かつ最大100pM、最大200pM、最大250pMまたは最大300pMの濃度でフローセル上にロードする工程を含む、項目17に記載の方法。
【0312】
項目19.前記ブロッカーが、Tmを高める複数の修飾を含む、項目17または18に記載の方法。
【0313】
項目20.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、クラウディング剤を含む、項目17~19のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
項目21.前記ハイブリダイゼーションバッファーが、0.5%~10%デキストラン硫酸、0.05mg/mL~0.5mg/mLヒトCot-1DNA、1%~15%(v/v)ホルムアミド、40mM~80mM KH2PO4-K2HPO4、0.1M~4M NaCl、および0.001%~10%(v/v)Tween(登録商標)20を含む、項目17~20のいずれか1つに記載の方法。
【0315】
項目22.前記方法が、ダイレクトフローセルローディングジグを用いて前記ライブラリーメンバーをフローセル上にロードする工程を含む、項目17~21のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
項目23.項目1~4のいずれか1つに記載のハイブリダイゼーションバッファーを含む、キット。
【0317】
項目24.項目12~16のいずれか1つに記載のブロッカーを含む、キット。
【実施例】
【0318】
実施例1-ハイブリダイゼーションおよび捕捉
ハイブリダイゼーション
非強化ハイブリダイゼーションバッファーは、100μLのハイブリダイゼーション反応物中に以下の構成要素/最終濃度を含む:ヒトCot-1 0.2mg/ml、ホルムアミド 10%(v/v)、KH2PO4-K2HPO4 66.6mM、NaCl 0.8M、TWEEN(登録商標)20 0.04%(v/v)。
【0319】
強化ハイブリダイゼーションバッファーは、100μLのハイブリダイゼーション反応物中に以下の構成要素/最終濃度を含む:デキストラン硫酸 1.5%(w/v)、ヒトCot-1 0.2mg/ml、ホルムアミド 10%(v/v)、KH2PO4-K2HPO4 66.6mM、NaCl 0.8M、TWEEN(登録商標)20 0.04%(v/v)。
【0320】
各場合において、その100μLの最終反応物は、1プローブあたり125pMの濃度(少なくとも30nMの総プローブ濃度)のプローブ(少なくとも500種のプローブかつ最大500,000種のプローブ)、および最大30μL(50ng~6μg)のDNAサンプルも含む。ブロッカーは、含められる場合、0.2mMで存在する。
【0321】
ハイブリダイゼーション反応は、サーモサイクラーまたはHYBEXシステムにおいて正確な温度制御を用いて行う。95℃で5分間変性した後、ハイブリダイゼーション反応物を58℃または62℃で90分間(ハイブリダイゼーション時間の合計はおよそ100分間)または最大24時間インキュベートする。プローブのデザインに応じて、95℃から開始して58℃または62℃まで1分あたり2℃の勾配(さらに20分間)の後、58℃または62℃でインキュベーションを行うことができる(本明細書中に記載される実験の場合、62℃でサンプルをインキュベートする)。
捕捉
【0322】
各100μLのハイブリダイゼーション反応物に対して250μLのストレプトアビジンビーズSMB(Streptavidin Magnetic Beads,Illumina,Inc.,San Diego,CA)を用いて、ハイブリダイゼーションインキュベーション温度(例えば、ハイブリダイゼーション反応物を62℃で90分間インキュベートする場合、62℃)において15分間、標的化DNAを捕捉する。次いで、標的化DNAを、洗浄バッファーEEW(Enhanced Enrichment Washバッファー,Illumina,Inc.,San Diego,CA(Tris-HCL、デフェロキサミンメシル酸塩(DFO)、ベタインおよびTWEEN(登録商標)20))を用いて同じ温度(例えば、62℃)で5分間、合計4回洗浄する。標的化DNAを、新鮮な変性溶液(0.1%(v/v)TWEEN(登録商標)20(EE1)および2N NaOH(HP3))を用いて溶離し、ET2(Elution Target Buffer 2,Illumina,Inc.,San Diego,CA(Tris塩基、Tris酢酸塩))で中和し、プライマーカクテル(PPC;5μMのP5およびP7プライマーを含む配列決定アダプタープライマーセット,Illumina,Inc.)およびEnhanced PCR Mix(EPM)(Illumina,Inc.,San Diego,CA)を用いてさらに増幅し、0.9×Solid Phase Reversible Immobilization(SPRI)ビーズを用いてクリーンアップする。
実施例2-チミンを含むブロッカー
【0323】
この実施例では、インデックスおよび/またはUMIに対応するブロッカーの領域にチミンを含むブロッカーを説明する(
図3Dを参照のこと)。
【0324】
表3のブロッカーを使用し、強化ハイブリダイゼーションバッファーおよび0.2mMブロッカーを用いて、ハイブリダイゼーションおよび捕捉を、実施例1に記載されたように行う。得られた捕捉DNAを配列決定し、Enrichment v3.0 BASESPACE App(Illumina,Inc.,San Diego,CA)を用いて、Padded Read Enrichmentを計算する。
【0325】
インデックス配列の位置に一続きのTを含むブロッカーは、オンターゲットDNAの捕捉(Padded Read Enrichmentによって測定される)を増加させるために、インデックスに対応しないブロッカーの領域に少なくとも8または10個の修飾ヌクレオチドを必要とする。
【0326】
インデックス領域に相補的な配列を含むオリゴは、必要な修飾ヌクレオチドがより少なく(8個のヌクレオチドおよび10個のヌクレオチドを試験した)、より高いPadded Read Enrichmentを示した。結果を
図4に示す。ブロッカーに同じ数の修飾を含む場合(8または10個のヌクレオチド)、インデックス領域に相補的な配列を含むブロッカー(最後のバー)が、インデックス領域に一続きのTを含むブロッカー(
図4において「10個の修飾および(T)8」とラベルされている)よりも高いPadded Read Enrichmentを示した。
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
実施例3-ユニバーサル塩基および修飾塩基を含むブロッカー
【0327】
強化ハイブリダイゼーションバッファー中に0.2mMの表4のブロッカーを使用して、ハイブリダイゼーションおよび捕捉を、実施例1に記載されたように行う。表4に示されているように、インデックス領域に対応するブロッカーの領域は、ユニバーサル塩基(デオキシイノシン)およびLNA修飾グアニンまたはランダムヌクレオチドを含む。
【0328】
理論に拘束されることを望むものではないが、修飾Gまたはランダムヌクレオチドを、インデックス領域に対応するブロッカー配列の2塩基おき(例えば、
図5における1つの実施形態に示されているようにインデックス領域に対応するブロッカー配列の(5’末端から)3番目および/もしくは5番目の位置、またはインデックス領域に対応するブロッカー配列の2番目および/もしくは4番目の位置)に含めることにより、ライブラリーメンバーに対するブロッカーの親和性が改善すると考えられている。
実施例4-スプリットブロッカー
【0329】
この実施例では、スプリットLNAブロッカーが、8ヌクレオチドインデックスを含んだライブラリーを用いたときうまく機能することを示す。
【0330】
表5のブロッカーを使用し、強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いて、ハイブリダイゼーションおよび捕捉を、実施例1に記載されたように行う。表5に示されているように、ブロッカーTiLNAS1(BN025)、TiLNAS2(BN026)、P5LNA(BN023)およびP7LNA(BN024)は、インデックス領域に対応する領域を含まない。P5LNA(BN023)およびP7LNA(BN024)はそれぞれ、8つのLNA修飾塩基を含む。TiLNAS1(BN025)およびTiLNAS2(BN026)はそれぞれ、10個のLNA修飾塩基を含む。TiLNA17(BN027)およびTiLNA18(BN028)は、インデックス領域に対応するブロッカーの領域にユニバーサル塩基(デオキシイノシン)を含むが、アダプターの他の領域に対応するブロッカーの領域が短縮されている。
【0331】
得られた捕捉DNAを配列決定し、Enrichment v3.0 BASESPACE App(Illumina,Inc.,San Diego,CA)を用いて、Padded Read Enrichmentを計算する。ブロッカーの図を
図6Aおよび
図3E~
図3Iに示し、結果を
図6Bに示す。サンプル「スプリット4pc」は、表5のTiLNAS1(BN025)、TiLNAS2(BN026)、P5LNA(BN023)およびP7LNA(BN024)を含み;サンプル「Inner」は、表5中のTiLNAS1(BN025)およびTiLNAS2(BN026)を含み;サンプル「Outer」は、表5中のP5LNA(BN023)およびP7LNA(BN024)を含み;サンプルShort8ntは、表5中のTiLNA17(BN027)およびTiLNA18(BN028)を含む。BN023、BN024、BN025およびBN026を含む2つの2ピースブロッカー(「スプリットブロッカー」)は、Padded Read Enrichmentによって測定したとき、XGEN Blocking Oligos(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)と同様に機能し、アダプターの一部のみを阻止したブロッカーを用いる実験は、同様にうまく機能することはない。
実施例5-ハイブリダイゼーションバッファー
【0332】
この実施例では、非強化ハイブリダイゼーションバッファーおよび強化ハイブリダイゼーションバッファーを使用したオンターゲット捕捉の比較を示す。
【0333】
XGEN Blocking Oligos(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)、および
図7Aに示されているデキストラン硫酸濃度を有する強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いて、ハイブリダイゼーションおよび捕捉を、実施例1に記載されたように行う。得られた捕捉DNAを配列決定し、Enrichment v3.0 BASESPACE App(Illumina,Inc.,San Diego,CA)を用いて、Padded Read Enrichmentを計算する。結果を
図7Aに示す。デキストラン硫酸を含めることにより、高体積(100μL)のハイブリダイゼーションバッファーにおいて迅速なハイブリダイゼーション(60分間~90分間)が可能になる。
【0334】
100μLのハイブリダイゼーションバッファー体積を用いた富化を、4つの異なるプローブパネル:Coding Exome Oligos(CEX)(Illumina,Inc.,San Diego,CA)、IDT Exome Research Panel(IDT Exome)(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)、TRUSIGHT Cancer Panel(Cancer)(Illumina,Inc.,San Diego,CA)およびTRUSIGHT One Sequencing Panel(TSO)(Illumina,Inc.,San Diego,CA)を用いて評価する。3つのハイブリダイゼーションバッファー:XGEN LOCKDOWNキット(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)のIDTバッファー、ならびに実施例1に記載されたようなデキストラン硫酸を含むおよび含まないハイブリダイゼーションバッファーにおいてハイブリダイゼーションを試験する。結果を
図7Bに示す。強化ハイブリダイゼーションバッファーは、4つすべてのプローブパネル(4,000~450,000種に及ぶプローブ)に対して、IDTバッファーと比べて、類似またはより高いオンターゲット結果をもたらす。
【0335】
4つのパネル(CEX、IDT Exome、CancerおよびTSO)に対して2つの重要な富化測定基準(Padded Read Enrichmentおよびカバレッジ均一性)を、種々のハイブリダイゼーションインキュベーション時間において、さらなる温度勾配工程ありおよびなしで、IDT XGENブロッカーを含むIllumina強化ハイブリダイゼーションバッファーを使用して、得る。結果を
図7Cに示す。左のパネルの黒色の点線は、デキストラン硫酸を含まないバッファーにおけるハイブリダイゼーションの結果を示している。
【0336】
12プレックスのライブラリーインプットの3つのランを体積が合計30μLになるようにプールし、IDT XGENブロッカーを含むIllumina強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いて富化する。サンプルをIllumina,Inc.の様々な配列決定装置(NOVASEQ、NEXTSEQおよびISEQ)にかける。サンプル濃縮工程は必要ない。結果を
図7D~7Fに示す。結果は、デキストラン硫酸を含む強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いたとき、1つのハイブリダイゼーション反応において最大30μLのサンプルが収容され得ることを示している(例えば、単一の15μLのサンプルまたは各2.5μLでの12プレックスのラン)。強化ハイブリダイゼーションバッファーを使用すれば、プールの体積をさらに小さくするためにスピードバキューム(speed vacuum)、遠心分離カラムまたはSPRIビーズを使用することなく、1つの反応において最大12個のサンプルを富化することができる。
実施例6-改良型アダプター+強化ハイブリダイゼーションバッファー
【0337】
IDTエクソームパネル(Cat#1056114、Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)の富化性能を、(1)XGEN LOCKDOWNキット(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)のIDTバッファー(17μL);(2)小(11μL)反応体積中に非強化アダプターブロッカー(表2におけるNEXTERA Blocker1 i5(BN001)およびNEXTERA Blocker2 i7(BN002))を含む非強化ハイブリダイゼーションバッファー(TiE0);(3)小(11μL)反応体積中に強化アダプターブロッカー(XGENブロッカー)を含む非強化ハイブリダイゼーションバッファー(TiE3);(4)大(100μL)反応体積中に強化アダプターブロッカー(XGENブロッカー)を含む非強化ハイブリダイゼーションバッファー(TiE4);および(5)大(100μL)反応体積中に強化アダプターブロッカー(XGENブロッカー)を含む強化ハイブリダイゼーションバッファー(TiE9)を用いて試験する。結果を
図8Aに示し、その結果は、修飾ブロッカー、洗浄温度上昇、および/またはハイブリダイゼーションバッファー中にクラウディング剤(デキストラン硫酸)を用いると、富化性能が改善されることを実証している。
【0338】
富化性能(Padded Read Enrichmentを用いて測定される)を、9つのプローブパネルにおいて、IDT富化アッセイ(Catalog No.1080584,Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)を使用して、および強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いるIllumina富化アッセイにおいて、評価する。様々なプローブパネル(500~450,000種のプローブ)を含む100μLの反応体積において、高Padded Read Enrichmentが達成される。プローブパネルとしては、(1)XGEN Exome Research Panel(IDT Exome)(Catalog No.1056114,Integrated DNA Technologies,Coralville,IA);(2)Twist Human Core Exome(Twist Bioscience,Inc.,Catalog No.100254);(3)Coding Exome Oligos(CEX)(Catalog No.15034575,Illumina,Inc.,San Diego,CA);(4)TruSight One(Illumina Inc,San Diego,CA,Catalog No.FC-141-1007;Probe Catalog No.15046658);(5)TruSight One Expanded(Illumina,Inc San Diego,Catalog No.FC-141-2007;Probe Catalog No.20015656);(6)TruSight Cancer(Illumina,Inc.,San Diego,CA,Catalog No.FC-121-0202;Probe Catalog No.15035642);(7)TruSight Cardio(Illumina,Inc.,San Diego,CA,Catalog No.FC-141-1010;Probe Catalog No.15069654);(8)TruSight RNA Fusion Panel(Illumina Inc,San Diego,CA,Catalog No.20000906);(9)Oncology DNA Probes Master Pool(OPD1)(Illumina,Inc.,Catalog No.OP-101-1004;Probe Catalog No.20001565)が挙げられる。結果を
図8Bに示す。白色のバー(カラム1)は、Nextera Rapid Captureライブラリー調製物(Illumina,Inc.,San Diego,CA)を用いたIDTロックダウン富化ワークフローにおけるIDTエクソームパネルの性能を示している。灰色のバーは、強化ハイブリダイゼーションバッファーおよびIDT xGENアダプターブロッカーとともにIllumina Enrichment Assayを用いたときのパネルの性能を示している。黒色の横線は、Twist富化アッセイ(Twist Bioscience,Inc.)(カラム3)、Nextera Rapid Captureライブラリー調製物(カラム4~8)、またはOPD1パネルとともにTruSight Tumor 170ワークフロー(カラム10)を用いて、対応するパネルで得られた比較結果を示している。強化ハイブリダイゼーションバッファーを用いたIllumina Enrichment Assayにおける各パネルの性能を少なくとも3回の独立した実験において評価する;エラーバーは、標準偏差を示す。
【0339】
Horizon Discover HD701定量的マルチプレックス(QM)DNA標準物質から生成されたライブラリーを富化するために12遺伝子535プローブのパネルに対して強化ハイブリダイゼーションバッファーおよびXGENブロッカーを用いる単一ハイブリダイゼーション富化プロトコルによって、体細胞バリアントを検出する。
図8Cに示されているデータは、コールされたバリアント頻度(y軸)に対するバリアント頻度の期待値(x軸)を示している。
図8Cにおける各パネルは、種々の濃度の高親和性アダプターブロッカー(IDT XGENアダプターブロッカー、0.1×(0.02mM)および0.5×(0.1mM)およびネガティブコントロール(高親和性アダプターブロッカーなし)を表している。各点は、リードデプスによって色付けされた体細胞バリアントのコールを表している。赤色の破線は、既知のバリアント頻度とコールされたバリアント頻度との間の完璧な相関関係の予測値を表している。青色および灰色の陰影は、既知のバリアント頻度と比較したときのコールされたバリアント頻度に対する、それぞれ最適直線および95%信頼区間を表している。バリアント頻度の期待値(x軸)は、IDT XGENアダプターブロッカー(0.1×(0.02mM)、0.5×(0.1mM))に対する既知の(コールされた)バリアント頻度(y軸)と相関するが、ネガティブコントロール(高親和性アダプターブロッカーなし))とは相関しない。
実施例7A-TRUSEQアダプターライゲート済みライブラリーを用いたPCRなしのハイブリッド捕捉
【0340】
この実施例では、PCRなしのハイブリッド捕捉を示す。
【0341】
以下の改変を行いつつパッケージの指示書に従って、XGEN LOCKDOWN試薬(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)を用いてハイブリダイゼーションを行う。標的化DNAを、TRUSEQアダプターライゲーションアプローチを用いて作製し、100μLのDYNABEADS M-270 Streptavidin(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)を用いて捕捉する。このハイブリダイゼーションは、推奨されている4時間の代わりに30分間だけインキュベートする。次いで、以下のプロトコルに従う:
1.ビーズを10μLの0.1N NaOHとインキュベートし、捕捉されたライブラリーをプローブから変性させ、溶液中に放出する。
2.捕捉されたライブラリー溶液をビーズから取り出し(磁石を用いて)、10μLの200mM Tris.HCl pH7.0で中和する。
3.(必要に応じて)変性させたPhiX Control v3(Illumina,Inc.,San Diego,CA)をサンプルに、最大7.5μLの再懸濁バッファー(RSB)(Illumina,Inc.,San Diego,CA)を加える。
4.27.5uLの2×HT1(ハイブリダイゼーションバッファー、Illumina,Inc.,San Diego,CA)を加える。
【0342】
得られたサンプル(55μLの1×HT1バッファー中)を、例えば、2017年9月28日出願の米国特許仮出願第62/564,466に記載されているように、ピペットまたはフローセルローディングジグを用いてフローセル上に直接ロードする。結果を表6Aに示す。コントロール(カラム1)は、捕捉の後にPCRを行うことを除いてはPCRなしの方法と同じ条件を用いて行う。PCRなしの富化を行う最初の試みが、カラム2に示されており、これは、リードが少なすぎて、エクソームに対して許容され得るカバレッジレベルに到達できなかったことを示している。目標は、約50×を超えることであったのに対して、約18×という平均標的カバレッジしか達成されなかった。第2の試み(カラム3)の場合は、ダイレクトフローセルローディングジグを使用し、ハイブリダイゼーションへのDNA投入量を増加させたことにより、PCRなしの富化方法の配列決定率が、約40×の目標より遙かに高い約140×に改善されたことを示している。PCRなしのデータを7000万リードにダウンサンプリングすることにより(カラム4)、コントロールに類似(またはコントロールよりも優れた)測定基準がもたらされる。
実施例7B-ビーズベースのNEXTERAライブラリーを用いたPCRなしのハイブリッド捕捉により、短いハイブリダイゼーション時間でエクソーム品質が改善される
【0343】
実施例7Aと類似の条件を用いるが、ビーズベースのタグメンテーションライブラリー調製法および対応するブロッキングオリゴヌクレオチドを用いて生成されたライブラリーを用いて、コントロール実験を行う。この実験では、ハイブリダイゼーションの持続時間とPCR増幅の両方が変数となる。フローセルへの直接のロードを行わず、NEXTSEQ装置を使用した配列決定を行い、捕捉後にPCRを行う推奨の4時間のハイブリダイゼーション反応プロトコル(合計7.5時間、IDT XGENプロトコルを参照のこと)を、コントロール(このワークフローの概略図を
図9Bに示す)として用い、たった30分間のハイブリダイゼーション(捕捉後のPCRありおよびなし)およびフローセルへの直接のロードを用いる2つの条件と比較する(
図9C)。ハイブリダイゼーションの持続時間を短縮し、PCRを無くすことにより、富化プロトコルがたった約2時間で行うことができる。ハイブリダイゼーション時間を短縮し、PCRを行わないこのワークフローの概略図を
図9Dに示す。
【0344】
結果を表6Bに示す。すべてのデータを約2300万クラスターまでダウンサンプリングする。第1のカラム(コントロール)において、データは、良好な品質のエクソームを示しているが、これは約7.5時間という長いワークフローを用いている。ハイブリダイゼーションを30分にまで短縮すると、プロトコルの持続時間は、合計約4時間にまで短くなる(カラム2)。しかしながら、コントロールと比較して、PCR複製物の数が増える。PCR複製物が増えると、ライブラリーの多様性も低下し、約20×における対応するカバレッジも下がる。30分間のワークフローからPCRを無くすと(カラム3)、PCR複製物がかなり減少し、コントロールを超えるレベルにまで多様性が増し、ワークフローが大幅に短くなる(7.5時間に対して2時間)。この実施例は、PCRを無くすことにより、PCR中に鋳型が複製されるのを最小限に抑えることによってハイブリダイゼーション捕捉反応物の品質を改善できることを強調している。
【表6A】
【表6B】
実施例8-ブロッカーの比較
【0345】
強化ハイブリダイゼーションバッファー中に、0.2mMのブロッカーBN001およびBN002;BX003およびBX007;BN007およびBN008;BN005およびBN006;またはBN023、BN024、BN025およびBN026(表2Aに記載されているように)を用いて、ハイブリダイゼーションおよび捕捉を、実施例1に記載されたように行う。「非修飾」ブロッカーBN001およびBN002は、アダプターのインデックス領域と対応するブロッカーの領域にチミンを、およびアダプターの非インデックス領域と対応するブロッカーの領域に、アダプターに相補的な塩基を含む。ブロッカーBN001およびBN002は、修飾塩基を含まず、3’-ddC末端基を含む。ブロッカーBX003およびBX007は、各々が、アダプターの非インデックス領域と対応するブロッカーの領域に2つのAP-dC-CEホスホルアミダイト(G-Clamp)置換を有する、BN001およびBN002の修飾バージョンである。ブロッカーBN007およびBN008は、アダプターのインデックス領域と対応するブロッカーの領域にユニバーサル塩基(デオキシイノシン)を有し、アダプターの非インデックス領域と対応するブロッカーの領域にBNA修飾塩基を有する、BN001およびBN002の修飾バージョンである。ブロッカーBN023およびBN025は、アダプターの非インデックス領域と対応するBN001の領域の修飾バージョンであり、LNA修飾塩基を含み、これらのブロッカーは、3’-ddCの代わりに3’-スペーサーC3も含む。ブロッカーBN024およびBN026は、アダプターの非インデックス領域と対応するBN002の領域の修飾バージョンであり、LNA修飾塩基を含み、これらのブロッカーは、3’-ddCの代わりに3’-スペーサーC3も含む。
【0346】
得られた捕捉DNAを配列決定し、捕捉されたオンターゲットDNAの量の尺度であるPadded Read Enrichmentを計算する。結果を
図10に示し、その結果は、「非修飾」ブロッカーの様々な修飾により、ハイブリダイゼーションアッセイにおけるPadded Read Enrichmentが改善されることを示している。
実施例9-スプリットブロッカーの比較
【0347】
強化ハイブリダイゼーションバッファー中に0.2mM BN001およびBN002;またはBN023、BN024、BN025およびBN026(表2Aに記載されているような)を用いて、ハイブリダイゼーションおよび捕捉を、実施例1に記載されたように行う。対応するアダプターは、8ヌクレオチドインデックスまたは10ヌクレオチドインデックスを含む。得られた捕捉DNAを配列決定し、Padded Read Enrichmentを計算する。結果を
図11に示し、その結果は、「スプリットブロッカー」(すなわち、アダプターのインデックス領域と対応する塩基を含まないブロッカー)を使用することにより、それらのブロッカーを、様々なインデックス配列およびインデックス長を有するアダプターとともに使用できることを示している。これらの結果は、インデックスのデザインの変更に適応することが不利になり得る状況ではスプリットブロッカーが使用され得ることを示している。
【0348】
本明細書に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物ならびに電子的に入手可能な資料(例えば、GenBankおよびRefSeqにおけるヌクレオチド配列登録、ならびに例えば、SwissProt、PIR、PRF、PDBにおけるアミノ酸配列登録、ならびにGenBankおよびRefSeqにおける注釈つきコード領域からの翻訳物など)の全開示が、参照により援用される。本願の開示と、参照により本明細書中に援用される任意の書類の開示との間に不一致が存在する場合、本願の開示が規定するものとする。前述の詳細な説明および実施例は、単に理解を明確にするために提供された。それらから不必要な限定が理解されてはならない。本発明は、請求項によって定義される本発明の範囲内に含められる当業者に明白なバリエーションについて、示されるおよび記載される厳密な詳細に限定されない。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
クラウディング剤と、ヒトCot-1DNA、不安定化剤、塩およびブロッカーのうちの少なくとも1つとを含むハイブリダイゼーションバッファー。
(項目2)
前記クラウディング剤が、デキストラン、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、グリセロールおよびベタインのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目3)
クラウディング剤およびブロッカーを含む、項目1または項目2に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目4)
クラウディング剤、ヒトCot-1DNA、ブロッカー、不安定化剤、バッファー、塩および界面活性剤を含む、項目1または項目2に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目5)
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、バッファーを含み、前記バッファーは、リン酸バッファーである、項目1~4のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目6)
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、塩を含み、前記塩は、NaClまたはクエン酸ナトリウムである、項目1~5のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目7)
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、不安定化剤を含み、前記不安定化剤は、ホルムアミドもしくは尿素またはそれらの混合物である、項目1~6のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目8)
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、界面活性剤を含み、前記界面活性剤は、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、項目1~7のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目9)
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、
0.5%~10%デキストラン硫酸、
0.05mg/mL~0.5mg/mLヒトCot-1DNA、
1%~15%(v/v)ホルムアミド、
40mM~80mM KH
2
PO
4
-K
2
HPO
4
、
0.1M~4M NaCl、および
0.001%~10%(v/v)TWEEN(登録商標)20
を含む、項目1に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目10)
前記ハイブリダイゼーションバッファーが、ブロッカーを含み、前記ブロッカーは、
(a)T
m
を高める複数の修飾;
(b)架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む前記ブロッカーのT
m
を上昇させる複数の修飾;
(c)オリゴヌクレオチドであって、ここで、前記ブロッカーは、アダプターに結合する
ことができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;前記アダプターの前記インデックス領域および/またはUMIに結合することができる前記ブロッカーの前記領域は、少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基;またはユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含む、オリゴヌクレオチド;または
(d)接続されていない2つのオリゴヌクレオチドであって、ここで、前記ブロッカーは、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列とインデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み;前記接続されていないオリゴヌクレオチドは、前記アダプターの前記インデックス領域および/または前記UMIに対応しない塩基を含む、接続されていない2つのオリゴヌクレオチド
のうちの少なくとも1つを含む、項目1~9のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファー。
(項目11)
富化ライブラリーを調製する方法であって、前記方法は、ハイブリダイゼーション混合物を形成するために、ライブラリーメンバー、項目1~10のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファーおよびプローブを含むハイブリダイゼーション混合物を、前記プローブがライブラリーメンバー内の目的の領域にハイブリダイズするのに十分な条件下で形成する工程を含み、ここで、前記プローブは、リガンドを含む、方法。
(項目12)
ハイブリダイズした後の前記プローブを、捕捉手段を用いて捕捉する工程、および
捕捉されたライブラリーメンバーを前記捕捉手段から富化ライブラリーメンバーを含む溶離液に溶離する工程であって、ここで、前記溶離液のDNA濃度は、1.3pM~250pMの範囲内である、工程
を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記ハイブリダイゼーション混合物が、少なくとも2つのライブラリー調製物由来のサンプルを含み、ここで、各ライブラリー調製物の少なくとも10ng、少なくとも25ng、少なくとも50ng、少なくとも100ng、少なくとも200ngまたは少なくとも500ngのDNAが合わせられている、項目11または項目12に記載の方法。
(項目14)
前記ハイブリダイゼーション混合物のDNA濃度が、0.1ng/μL~120ng/μLの範囲内である、項目11~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記富化ライブラリーメンバーを配列決定する工程を含み、前記方法は、前記ライブラリーメンバーを捕捉する工程の前に前記ライブラリーメンバーを増幅する工程を含まない、項目11~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記配列決定する工程が、フローセル上で行われ、前記方法が、前記富化ライブラリーメンバーを少なくとも1.1pM、少なくとも1.2pM、少なくとも1.3pM、少なくとも10pMまたは少なくとも100pMの濃度かつ最大100pM、最大200pM、最大250pMまたは最大300pMの濃度で前記フローセルにロードする工程を含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
ダイレクトフローセルローディングジグを用いて、前記富化ライブラリーメンバーをフローセル上にロードする工程を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
項目1~10のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションバッファーおよび使用説明書を含む、キット。
(項目19)
オリゴヌクレオチドを含むブロッカーであって、前記ブロッカーは、アダプターに結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み、前記アダプターの前記インデックス領域および/またはUMIに結合することができる前記ブロッカーの前記領域は、少なくとも3つのチミン塩基、少なくとも4つのチミン塩基、少なくとも5つのチミン塩基、少なくとも6つのチミン塩基、少なくとも7つのチミン塩基、少なくとも8つのチミン塩基、少なくとも9つのチミン塩基もしくは少なくとも10個のチミン塩基;またはユニバーサル塩基および少なくとも1つの非ユニバーサル塩基を含む、ブロッカー。
(項目20)
接続されていない2つのオリゴヌクレオチドを含むブロッカーであって、前記ブロッカーは、アダプターの少なくとも一部に結合することができ、前記アダプターは、ユニバーサルプライマー配列と、インデックス領域またはユニーク分子識別子(UMI)のうちの少なくとも1つとを含み、前記接続されていないオリゴヌクレオチドは、前記アダプターの前記インデックス領域および/または前記UMIに対応しない塩基を含む、ブロッカー。
(項目21)
前記ユニバーサルプライマー配列が、P5、P7、P5’、P7’、V2.A14.METS、V2.B15.METS、V2.A14.METSの相補鎖およびV2.B15.METSの相補鎖のうちの少なくとも1つを含む、項目19または項目20に記載のブロッカー。
(項目22)
前記ブロッカーが、修飾を含まない同じブロッカーと比べて前記ブロッカーのT
m
を上昇させる修飾を含む、項目19~21のいずれか1項に記載のブロッカー。
(項目23)
前記ブロッカーが、低GC領域を捕捉するように修飾されたDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチド;架橋オリゴヌクレオチド;修飾5-メチルデオキシシチジン(5-メチル-dc);2,6-ジアミノプリン;ロック核酸(LNA);架橋型核酸(BNA);三環式核酸;ペプチド核酸(PNA);C5修飾ピリミジン塩基;プロピニルピリミジン;モルホリノ;ホスホルアミダイト;および5’-ピレンキャップのうちの少なくとも1つを含む、項目19~22のいずれか1項に記載のブロッカー。
【配列表】