(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】潰瘍及び不規則な皮膚欠損のための閉鎖装置および閉鎖方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/03 20060101AFI20240207BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20240207BHJP
【FI】
A61B17/03
A61F13/02 340
A61F13/02 Z
A61F13/02 310T
A61F13/02 380
(21)【出願番号】P 2021510848
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 US2019048413
(87)【国際公開番号】W WO2020046996
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512067078
【氏名又は名称】ジップライン メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ベルソン,アミール
(72)【発明者】
【氏名】イチリュウ,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,エリック
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114382(JP,A)
【文献】国際公開第2017/200058(WO,A1)
【文献】特表2015-516820(JP,A)
【文献】特表2006-528513(JP,A)
【文献】特表2013-501591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03
A61B 17/08
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潰瘍又は皮膚欠損の治療のための閉鎖装置であって、
潰瘍又は皮膚欠損の第1側の皮膚に貼付するための第1粘着底面を有する第1パネルと、
前記潰瘍又は前記皮膚欠損の第2側の皮膚に貼付するための第2粘着底面を有する第2パネルと、
前記第1パネル及び前記第2パネルを互いに連結する複数の横方向連結具であって、前記第1パネル及び前記第2パネルの内側横方向縁部の間の離隔距離を少なくとも10mmに維持し、前記第1パネル及び前記第2パネルがそれぞれ縦方向軸を有する、複数の横方向連結具と、
前記第1粘着底面及び前記第2粘着底面に取り付けられた複数のライナーと、
を含み、
前記複数のライナーは、前記第1パネル及び前記第2パネルのそれぞれの縦方向軸を横切るように配列され、
前記複数のライナーは、第1隣接ライナーと第2隣接ライナーとの間に配置された中間ライナーを含み、
前記中間ライナーは、前記第1隣接ライナー及び前記第2隣接ライナーよりも前に前記第1パネル及び前記第2パネルから取り外されるように構成されている、
閉鎖装置。
【請求項2】
前記第1パネル及び前記第2パネルのそれぞれは、ベース層に結合された1つ以上の力分配構造を含み、前記力分配構造は、前記ベース層より高い剛性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1つ以上の横方向連結具が少なくとも部分的に弾性である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の横方向連結具は、弾性構成要素又はばね構成要素を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記弾性構成要素又は前記ばね構成要素は、前記第1パネルと前記第2パネルの間の位置で前記複数の横方向連結具を連結する蛇行状構造を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の横方向連結具は、ケア用に前記潰瘍又は前記皮膚欠損へのアクセスを提供するために少なくとも部分的に連結解除され及び再連結されることが可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
1つ以上の横方向連結具は、前記装置が皮膚に貼付されているとき、前記第1パネル及び前記第2パネルの内側横方向縁部の間の離隔距離を減少させてそれらの間にある組織に圧縮力を付与するために少なくとも部分的に調整可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1パネル及び前記第2パネルの少なくとも一方は、内側縁部から外側縁部に向かって弾性
係数が減少する横方向の弾性勾配を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1パネル及び前記第2パネルの少なくとも一方は、上面から底面に向かって弾性
係数が減少する垂直方向の弾性勾配を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1パネル及び前記第2パネルの少なくとも一方の内側縁部及び外側縁部の少なくとも一方は、剪断力を最小化し若しくは分散し又は皮膚に水ぶくれが形成されることを最小化するために正弦波状又はスカラップ状に形成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、米国仮特許出願シリアル番号62/725,705の優先権を主張するものであり、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。本出願の主題は、米国特許出願第13/286,757号(現米国特許第8,323,313号)、第13/665,160号、第14/180,524号(米国特許第9,050,086号)、第14/180,564号、第14/625,366号(米国特許第9,642,621号)、第15/081,526号(米国特許第9,474,529号)、第15/081,550号(米国特許第9,554,799号)、第15/081,595号(米国特許第9,642,622号)、第15/096,083号(米国特許第9,554,800号)、第15/130,149号(米国特許第9,561,034号)及び第15/369,293号と、米国仮特許出願シリアル番号62/725,705と、PCT出願PCT/US2015/028066号、PCT/US2016/028297号及びPCT/US2017/028537号との主題に関連しており、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、医療装置(医療デバイス)、医療方法及び医療システムに関し、特に創傷や切開部の閉鎖及び治癒、具体的には潰瘍や不規則な皮膚欠損の閉鎖及び治癒を補助するための医療装置、医療方法及び医療システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ステープルや縫合糸は、長年にわたって、創傷や切開部を閉鎖するために使用されてきた。しかし、ステープルや縫合糸は、特定の創傷や切開部への使用については理想的とはいえないことがある。例えば、創傷や切開部の不規則な形状やステープル又は縫合糸から組織の特定領域への閉鎖力の集中のため、ステープルや縫合糸が追加の傷跡をもたらすか又は最適な治癒とはならないことがある。また、ステープルや縫合糸は、一旦設置されると、創傷や切開部の縁部の再接近(すなわち、良好な配置にまとめること)に調整が必要とされる場合などにおいて、調整したり、元に戻したりすることが困難なことがある。そのようなケースの多くでは、液体接着剤、通常はシアノアクリレートが、単独で、又は、ステープル、縫合糸、シンプルなテープストリップ若しくは創傷や切開部を覆うメッシュと組み合わせて使用される。液体接着剤は、創傷や切開部の上で硬化又は固化し、創傷や切開部を所定の位置に保持する共に、外部環境から創傷や切開部を少なくとも部分的に保護することができる。しかし、液体接着剤は、いったん硬化すると、非常に堅くなる。横方向の力に晒されると、硬化した接着剤と被覆されていない皮膚との境界で、ブリスター(水ぶくれ)ができたり、付着力(接着力)が低下したりすることがある。また、硬化した接着剤が割れて、その下の創傷や切開部が露出してしまうこともある。したがって、創傷や切開部の閉鎖及び治癒を補助するための改良された装置、方法及びシステムが要望されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、創傷や切開部、特に潰瘍や不規則な皮膚欠損の閉鎖及び治癒を補助するための改良された医療装置(デバイス)、方法、およびシステムを提供する。
【0005】
潰瘍又は皮膚欠損を治療するための方法が本明細書に開示される。例示的な方法は、閉鎖装置の第1パネルを潰瘍又は皮膚欠損の第1側の皮膚に貼付するステップと、前記閉鎖装置の第2パネルを前記潰瘍又は前記皮膚欠損の第2側の皮膚に貼付するステップであって、前記第1パネル及び前記第2パネルがそれらの内側横方向縁部の間に離隔距離を有し、前記離隔距離が少なくとも10mmである、前記第2パネルを前記第2側の皮膚に貼付するステップと、前記第1パネルと前記第2パネルの間で前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮し、それによって前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向端部の間の前記離隔距離を減少させるステップと、を含む。
【0006】
本明細書に開示される方法は、種々の形状やサイズの潰瘍及び皮膚欠損を治療するのに適し得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は最大で50mmの長さの短軸を有し得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は最大で40mmの長さの短軸を有し得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は最大で30mmの長さの短軸を有し得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は最大で20mmの長さの短軸を有し得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は最大で10mmの長さの短軸を有し得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮する前の前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離は少なくとも20mmであり得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮する前の前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離は少なくとも30mmであり得る。
【0007】
前記方法は、前記第1パネル及び前記第2パネルを皮膚に貼付する前に1つ以上のライナーを前記閉鎖装置から除去することをさらに含むことができる。前記1つ以上のライナーは、前記第1パネル及び前記第2パネルの縦方向軸を横切る方向に配列され得る。前記方法は、前記閉鎖装置を皮膚に貼付する前に中間ライナーを除去すること及び前記中間ライナーに隣接する1つ以上のさらなるライナーを除去することをさらに含み得る。前記方法は、前記閉鎖装置を皮膚に貼付する前に中間ライナーに隣接する1つ以上のライナーを除去すること及び中間ライナーを除去することをさらに含み得る。前記方法は、前記閉鎖装置を皮膚に貼付する前に第1ベースパネルから第1ライナーを除去すること及び第2ベースパネルから第2ライナーを除去することをさらに含み得る。
【0008】
前記方法は、前記第1パネル及び前記第2パネルを皮膚に貼付することが前記第1パネル及び前記第2パネルの粘着底層を皮膚に対して押し付けることを含む、ということをさらに含むことができる。前記第1パネル及び前記第2パネルの粘着底層は、ハイドロコロイド粘着層で構成され得る。前記第1パネル及び前記第2パネルは、前記ハイドロコロイド粘着層の上に配置されて前記ハイドロコロイド粘着層よりも剛性が高いベース層を含み得る。前記第1パネル及び前記第2パネルのそれぞれは、前記ベース層に結合されて前記ベース層よりも剛性が高い1つ以上の力分配構造をさらに含み得る。
【0009】
前記方法は、第1ベースパネル及び第2ベースパネルを互いに連結する1つ以上の横方向連結具をさらに含むことができる。前記1つ以上の横方向連結具は、少なくとも部分的に弾性であり得る。前記1つ以上の横方向連結具は、弾性構成要素又はばね構成要素を含むことができる。前記方法は、ケア用に前記潰瘍又は前記皮膚欠損へのアクセスを提供するため、前記1つ以上の横方向連結具の前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方との連結を解除することをさらに含むことができる。前記方法は、前記ケアの後に前記1つ以上の横方向連結具を第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方に再連結させることを含むことができる。前記ケアは、前記潰瘍又は前記皮膚欠損に対する、洗浄、デブリードマン、薬剤の塗布、皮膚代替物の適用、陰圧の適用及び酸素導入装置の適用のうちの1つ以上を含み得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮することは、前記第1パネル又は前記第2パネルに対する1つ以上の横方向連結具の1つ以上の取り付け点を調整することを含むことができる。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は、糖尿病性足潰瘍、静脈性足潰瘍、動脈性潰瘍、裂開創傷、裂開感染症、筋膜切開、圧迫潰瘍若しくは褥瘡、又は、生検切開であり得る。
【0010】
前記方法は、前記閉鎖装置の前記第1パネル及び前記第2パネルを貼付することで前記閉鎖装置を第1の方向に前記潰瘍又は前記皮膚欠損を跨ぐように配置させる、ということさらに含むことができ、前記方法は、第2の閉鎖装置を前記第1の方向とは異なる第2の方向に前記潰瘍又は前記皮膚欠損を跨ぐように配置させること及び前記第2の閉鎖装置のベースパネルを前記潰瘍又は前記皮膚欠損の第3側及び第4側の皮膚に貼付することをさらに含む。
【0011】
前記方法は、前記潰瘍又は前記皮膚欠損が少なくとも部分的に治癒した後に前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離をさらに減少させることをさらに含むことができる。前記方法は、前記潰瘍又は前記皮膚欠損が少なくとも部分的に治癒した後に前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離をさらに減少させることが、圧縮力を回復又は増加させて前記潰瘍又は前記皮膚欠損の治癒を促進させるために前記第1ベースパネル及び第2ベースパネルを互いに連結する1つ以上の横方向連結具を所定期間にわたって徐々に締め付けることを含む、ということを含むことができる。
【0012】
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、内側縁部から外側縁部に向かって弾性が増加する横方向の弾性勾配を有し得る。前記横方向の弾性勾配は、異なる弾性を有する材料を重ね合わせ、同じ弾性を有する材料の階段状の層、エンボス加工、小孔、及び、材料のない領域を有するパターニングのうちの1つ以上によって前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方に提供され得る。前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、上面から底面に向かって弾性が増加する垂直方向の弾性勾配を有し得る。前記垂直方向の弾性勾配は、異なる弾性又は異なる厚さを有する層の垂直方向の重ね合わせによって提供され得る。前記第1ベースパネル及び第2ベースパネルの少なくとも一方の内側縁部及び外側縁部の少なくとも一方は、剪断力を最小化し若しくは分散し又は皮膚に水ぶくれが形成されること最小化するために正弦波状又はスカラップ状に形成され得る。
【0013】
潰瘍又は皮膚欠損を治療するための閉鎖装置が本明細書に開示される。例示的な閉鎖装置は、潰瘍又は皮膚欠損の第1側の皮膚に貼付するための第1粘着底面を有する第1パネルと、前記潰瘍又は前記皮膚欠損の第2側の皮膚に貼付するための第2粘着底面を有する第2パネルと、前記第1パネル及び前記第2パネルを互いに連結する複数の横方向連結具であって、前記第1パネル及び前記第2パネルの内側横方向縁部の間の離隔距離を少なくとも10mmに維持する、前記複数の横方向連結具と、前記第1粘着底面及び前記第2粘着底面に取り付けられた1つ以上のライナーとを含む。
【0014】
前記離隔距離は少なくとも20mmであり得る。前記離隔距離は少なくとも30mmであり得る。前記離隔距離は少なくとも40mmであり得る。前記離隔距離は少なくとも50mmであり得る。
【0015】
前記1つ以上のライナーは、前記第1パネル及び前記第2パネルの縦方向軸を横切る方向に配列されてもよい。前記1つ以上のライナーは、中間ライナーと、前記中間ライナーに隣接する1つ以上のさらなるライナーとを含み得る。前記1つ以上のライナーは、前記第1ベースパネルの前記第1粘着底層に除去可能に取り付けられた第1ライナーと、前記第2ベースパネルの前記第2粘着底層に除去可能に取り付けられた第2ライナーとを含み得る。
【0016】
前記第1パネルの前記第1粘着底層及び前記第2パネルの前記第2粘着底層は、ハイドロコロイド粘着層で構成され得る。前記第1パネル及び前記第2パネルは、前記ハイドロコロイド粘着層の上に配置されて前記ハイドロコロイド粘着層よりも剛性が高いベース層を含み得る。
【0017】
前記第1パネル及び前記第2パネルのそれぞれは、前記ベース層に結合されて前記ベース層よりも剛性が高い1つ以上の力分配構造をさらに含み得る。前記1つ以上の横方向連結具は、少なくとも部分的に弾性であり得る。前記1つ以上の横方向連結具は、弾性構成要素又はばね構成要素を含み得る。前記1つ以上の横方向連結具は、ケア用の前記潰瘍又は前記皮膚欠損へのアクセスを提供するために少なくとも部分的に連結解除されること及び再連結されることが可能であり得る。前記1つ以上の横方向連結具は、前記装置が皮膚に貼付されているとき、前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離を減少させてそれらの間にある組織に圧縮力を付与するために少なくとも部分的に調整可能であり得る。
【0018】
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、内側縁部から外側縁部に向かって弾性が増加する横方向の弾性勾配を有し得る。前記横方向の弾性勾配は、異なる弾性を有する材料の重ね合わせ、同じ弾性を有する材料の階段状の層、エンボス加工、小孔、及び、材料のない領域を有するパターニングのうちの1つ以上によって前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルのうちの少なくとも一方に提供され得る。前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、上面から底面に向かって弾性が増加する垂直方向の弾性勾配を有し得る。前記垂直方向の弾性勾配は、異なる弾性又は異なる厚さを有する層の垂直方向の重ね合わせによって提供され得る。前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方の内側縁部及び外側縁部の少なくとも一方は、剪断力を最小化し若しくは分散し又は皮膚に水ぶくれが形成されることを最小化するために正弦波状又はスカラップ状に形成され得る。
【0019】
潰瘍又は皮膚欠損を治療するための閉鎖装置が本明細書に開示される。例示的な閉鎖装置は、粘着底層と、ベース層と、前記ベース層に結合された複数の支持体と、前記複数の支持体に結合された複数の調整可能な連結具とを含み、前記粘着底層及び前記ベース層は、前記潰瘍又は前記皮膚欠損を包含する中央治療用開口部を画定し、前記複数の調整可能な連結具は、前記中央治療用開口部の面積を減少させ及びそれによって前記中央治療用開口部に包含された組織に圧縮力を付与するために調整可能である。
【0020】
各横方向連結具は、固定端部及び調整可能な端部を含むことができる。前記横方向連結具は、閉鎖装置の周縁に沿ってエンドツーエンドで配置され得る。前記横方向連結具の固定端部は、前記横方向連結具の調整可能な端部に隣接し得る。前記装置は、中央ハブ構造をさらに含むことができる。前記横方向連結具の固定端部は、中央ハブ構造に連結され、前記横方向連結具の調整可能な端部は、ベース層に結合された支持体に連結され得る。
【0021】
前記底層は、ハイドロコロイド粘着層で構成され得る。本体層は、ハイドロコロイド粘着層の上に配置され得ると共にハイドロコロイド粘着層よりも高い剛性を有する。複数の支持体は、前記ベース層よりも高い剛性を有し得る。1つ以上の横方向連結具は、少なくとも部分的に連結解除されること及び再連結されることが可能である。
【0022】
前記装置は、内側縁部から外側縁部に向かって弾性が増加する横方向の弾性勾配を有することができる。前記横方向の弾性勾配は、異なる弾性を有する材料の重ね合わせ、同じ弾性を有する材料の階段状の層、エンボス加工、小孔、及び、材料のない領域を有するパターニングのうちの1つ以上によって提供され得る。前記装置は、上面から底面に向かって弾性が増加する垂直方向の弾性勾配を有することができる。前記垂直方向の弾性勾配は、異なる弾性又は異なる厚さを有する層の垂直方向の重ね合わせによって提供され得る。前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方の内側縁部及び外側縁部の少なくとも一方は、剪断力を最小化し若しくは分散し又は皮膚に水ぶくれが形成されることを最小化するために正弦波状又はスカラップ状に形成され得る。前記装置は、三角形、矩形、正方形、五角形、六角形又は他の多角形の外形形状を有することができる。
【0023】
潰瘍又は皮膚欠損を治療するための方法が本明細書に開示される。例示的な方法は、前記潰瘍又は前記皮膚欠損が閉鎖装置の中央治療用開口部に包含されるように前記閉鎖装置を前記潰瘍又は前記皮膚欠損を覆うように配置するステップと、前記閉鎖装置を前記潰瘍又は前記皮膚欠損の周囲の皮膚に貼付するステップと、前記閉鎖装置の1つ以上の調整可能な連結具を締め付けて前記中央治療用開口に包含された前記潰瘍又は前記皮膚欠損の周囲の組織に圧縮力を付与するステップとを含むことができる。
【0024】
各横方向連結具は、固定端部及び調整可能な端部を含むことができる。前記横方向連結具は、前記閉鎖装置の周縁に沿ってエンドツーエンドで配置され得る。前記横方向連結具の固定端部は、前記横方向連結具の調整可能な端部に隣接し得る。前記装置は、中央ハブ構造をさらに含むことができる。前記横方向連結具の固定端部は、前記中央ハブ構造に連結され、前記横方向連結具の調整可能な端部は、前記ベース層に結合された前記支持体に連結され得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は、糖尿病性足潰瘍、静脈性足潰瘍、動脈性潰瘍、裂開創傷、裂開感染症、筋膜切開、圧迫潰瘍若しくは褥瘡、又は、生検切開であり得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は最大で30mmの長さの短軸を有し得る。前記潰瘍又は前記皮膚欠損は最大で20mmの長さの短軸を有し得る。前記潰瘍又は皮膚欠損は最大で10mmの長さの短軸を有し得る。
【0025】
本明細書で説明される創傷閉鎖装置は、創傷又は切開部の相対する側に配置される一対の柔軟な粘着パネルを含み得る。横方向連結具は、前記パネルを連結すると共に、前記潰瘍又は前記不規則な皮膚欠損を包含するのに十分なスペースを提供するために前記パネルを離隔させる。前記閉鎖装置が前記潰瘍又は前記不規則な皮膚欠陥に隣接する皮膚に貼付された後、前記横方向連結具は、パネル間の離隔距離を縮めるように締め付けられ、内側に向かう圧縮力を付与して治癒を促進することができる。
【0026】
本明細書に記述された全ての刊行物、特許及び特許出願は、個別の刊行物、特許又は特許出願の個々が参照によって組み込まれることを具体的に且つ個別に示されている場合と同じ程度に参照によって本明細書に組み込まれる。
【0027】
本開示の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。本開示の特徴及び利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明と、添付の図面とを参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】本開示の実施形態に係る閉鎖装置の上面図である。
【
図1E】創傷又は切開部の被覆領域を含む
図1Aの閉鎖装置の別の上面図である。
【
図2A】本開示の実施形態に係る幅広の閉鎖装置の上面図である。
【
図2B】ライナーが除去された状態の
図2Aの幅広の閉鎖装置の上面図である。
【
図3A】本開示の実施形態に係る閉鎖装置を創傷又は皮膚欠損に適用する方法を示す図であり、創傷又は皮膚欠損の上面図である。
【
図3B】本開示の実施形態に係る閉鎖装置を創傷又は皮膚欠損に適用する方法を示す図であり、ライナーが除去された状態の閉鎖装置を示す図である。
【
図3C】本開示の実施形態に係る閉鎖装置を創傷又は皮膚欠損に適用する方法を示す図であり、創傷又は皮膚欠損の上に位置する、ライナーが除去された状態の閉鎖装置を示す図である。
【
図3D】本開示の実施形態に係る閉鎖装置を創傷又は皮膚欠損に適用する方法を示す図であり、残りのライナーが除去され、創傷又は皮膚欠損の周囲の皮膚に押し付けられて貼付された閉鎖装置を示す図である。
【
図3E】本開示の実施形態に係る閉鎖装置を創傷又は皮膚欠損に適用する方法を示す図であり、皮膚に貼付され且つ横方向連結具が締め付けられて潰瘍又は皮膚欠損に横方向の圧縮力を付与する閉鎖装置を示す図である。
【
図3F】本開示の実施形態に係る閉鎖装置を創傷又は皮膚欠損に適用する方法を示す図であり、創傷又は皮膚欠損の周囲の皮膚に貼り付けられ且つ第1の閉鎖装置に対して横切る方向に配置されたさらなる閉鎖装置を示す図である。
【
図4A】本開示の実施形態に係る、平坦な横方向縁部を備えた閉鎖装置の上面図である。
【
図4B】本開示の実施形態に係る、平坦な横方向縁部を備えた閉鎖装置の斜視図である。
【
図5A】本開示の実施形態に係る、平坦な横方向縁部及び複層構造の主要パネルを備えた閉鎖装置の上面図である。
【
図5B】本開示の実施形態に係る、平坦な横方向縁部及び複層構造の主要パネルを備えた閉鎖装置の斜視図である。
【
図6A】本開示の実施形態に係る、丸みを帯びた横方向縁部を備えた閉鎖装置の上面図ある。
【
図6B】本開示の実施形態に係る、丸みを帯びた横方向縁部を備えた閉鎖装置の斜視図ある。
【
図7A】本開示の実施形態に係る、丸みを帯びた横方向縁部及び複層構造の主要パネルを備えた閉鎖装置の上面図である。
【
図7B】本開示の実施形態に係る、丸みを帯びた横方向縁部及び複層構造の主要パネルを備えた閉鎖装置の斜視図である。
【
図8A】本開示の実施形態に係る、弾性構成要素又はばね構成要素を有する横方向連結具を有する閉鎖装置の上面図である。
【
図8B】本開示の実施形態に係る、弾性構成要素又はばね構成要素を有する横方向連結具を有する閉鎖装置の斜視図である。
【
図9A】本開示の実施形態に係る、中央の開放された創傷領域又は切開部領域と、前記開放された創傷領域又は切開部領域を囲むエンドツーエンドのループで円周方向に配置された連結具要素とを有する閉鎖装置の斜視図である。
【
図9B】本開示の実施形態に係る、中央の開放された創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域を囲むエンドツーエンドのループで円周方向に配置された連結具要素とを有する閉鎖装置の上面図である。
【
図9C】本開示の実施形態に係る、中央の開放された創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域を囲むエンドツーエンドのループで円周方向に配置された連結具要素とを有する閉鎖装置の概略図である。
【
図10A】本開示の実施形態に係る、中央の開放された創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域の周囲に径方向に配置された連結具要素とを有する閉鎖装置の斜視図である。
【
図10B】本開示の実施形態に係る、中央の開放された創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域の周囲に径方向に配置された連結具要素とを有する閉鎖装置の上面図である。
【
図11A】本開示の実施形態に係る、中央の開放された5センチメートル以下の創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域を挟むように配置された連結具要素とを有するキャスティングシート付きの閉鎖装置の上面図である。
【
図11B】本開示の実施形態に係る、中央の開放された5センチメートル以下の創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域を挟むように配置された連結具要素とを有するキャスティングシート無しの閉鎖装置の上面図である。
【
図12A】本開示の実施形態に係る、中央の開放された2センチメートル以下の創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域を挟むように配置された連結具要素とを有するキャスティングシート付きの閉鎖装置の上面図である。
【
図12B】本開示の実施形態に係る、中央の開放された2センチメートル以下の創傷領域又は切開部領域と前記開放された創傷領域又は切開部領域を挟むように配置された連結具要素とを有するキャスティングシート無しの閉鎖装置の上面図である。
【
図13A】本開示の実施形態に係る、中央の開放された2センチメートル以下の創傷領域又は切開部領域と弾性要素と前記開放された創傷領域又は切開部領域を挟むように配置された連結具要素とを有するキャスティングシート付きの閉鎖装置の上面図である。
【
図13B】本開示の実施形態に係る、中央の開放された2センチメートル以下の創傷領域又は切開部領域と弾性要素と前記開放された創傷又は切開部領域を挟むように配置された連結具要素とを有するキャスティングシート無しの閉鎖装置の上面図である。
【
図14A】本開示の実施形態に係る、中央の開放された創傷領域又は切開部領域と単一閉鎖要素と前記解放された創傷領域又は切開部領域を挟むように配置された対向する湾曲したベースとを有する閉鎖装置の上面図である。
【
図14B】本開示の実施形態に係る、中央の開放された創傷領域又は切開部領域と単一閉鎖要素と前記解放された創傷領域又は切開部領域を挟むように配置された対向する湾曲したベースとを有する閉鎖装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明では、以下のようにさらに説明される以下の用語を参照することがある。
【0030】
動脈性皮膚潰瘍
動脈性皮膚潰瘍は、全ての下肢潰瘍の20%を占めており、動脈疾患が存在するときに発症する(時には静脈疾患との組み合わせで)。これらの潰瘍は、痛みがひどい傾向があり、通常、機能低下した動脈が血液を最も循環させにくい足指(つま先)や足にできる。これらのタイプの潰瘍は、典型的には皮膚及び下層組織の酸素不足を招く動脈硬化によって引き起こされる。これは、患部組織を死滅させたり、創傷を引き起こしたりする可能性がある。
【0031】
清潔創(クラスI)
クラスIの清潔創は、選択的な手術室(OR)内でのケースなどのように外科的に作られた創傷である。清潔創であることの別の条件は、それが呼吸器、消化器(GI)管又はGU(泌尿生殖器)管に関与しないということである。腹腔鏡下手術、皮膚生検及び血管手術は幾つかの例である。
【0032】
準清潔創(クラスII)
クラスIIの準清潔創は、細菌によってコロニー化された正常組織を含む。呼吸器、GI/GU管に関与する創傷はこのカテゴリーに入り、ピンやワイヤを取り外すために開かれる創傷も同様である。
【0033】
一次的意図による閉鎖
一次的意図による閉鎖とは、縫合糸、ステープル、外科用テープ又は組織接着性接着剤を用いて創傷を直ちに閉鎖することである。通常、このような閉鎖は、十分な洗浄及びデブリードマン(創面切除)後の清潔創又は汚染創のために使用される。
【0034】
二次的意図による閉鎖
二次的意図による閉鎖とは、上記のような閉鎖方法をとらずに、創傷を自然に治癒させることである。これは、ひどい汚染創(例えば、動物咬傷)や感染した創傷に対する通常の戦略である。
【0035】
三次的意図による閉鎖
遅延一次閉鎖を参照。
【0036】
汚染創(クラスIII)
クラスIIIの汚染創は、救急部門で見られる最も典型的な状況である異物又は感染物質を包含する。この分類に適合するために総体的な汚染は必要とされず、銃弾、ナイフの刃又は他の鋭利な物などの異物との接触があれば十分である。
【0037】
デブリードマン(創面切除)
デブリードマンとは、角質増殖性の組織(肥厚した皮膚)と、感染した組織と、壊死組織、かさぶた、異物及びドレッシングの残留物を含む生存できない組織との全てを組織から除去することである。
【0038】
遅延一次閉鎖
遅延一次閉鎖は、創傷に感染の兆候がないことが証明された後、創傷を閉鎖するのを約48時間待機する戦略である。遅延一次閉鎖は、三次的意図による閉鎖とも呼ばれることもある。遅延一次閉鎖は、通常、6時間以上経過した準清潔創や清潔創のために採用される戦略である。
【0039】
糖尿病性足潰瘍
糖尿病性足潰瘍は、神経障害性皮膚潰瘍としても知られており、糖尿病性神経損傷によって足の感覚がほとんどない人か又は全くない人に発症する。これらの皮膚潰瘍は、かかとなどの足の圧力点、足の親指又は履物と擦れる他のスポットにできる。潰瘍1発症あたりの治療コストは、潰瘍の深さに応じて大きく変動するが、推定される平均コストは、13,179ドルである(Stockl K,Vanderplas A, Tafesse E, Chang E. Costs of lower-extremity ulcers among patients with diabetes.Diabetes Care 2004年 27号 2129~2134頁)。
【0040】
筋膜切開術は、急性コンパートメント症候群(ACS)のための標準的な治療である。歴史的にみると、筋膜切開術の切開部は、開放されたままか又はすぐに閉鎖されるかのいずれかであった。しかし、感染症やコンパートメント症候群が再発する割合は、受け入れ難いほど高かった。治療結果を向上させる試みとして、様々な創傷閉鎖技術が発表されており、そこには、即時閉鎖、遅延一次閉鎖及び最終的にボイドを埋めるために皮膚移植を利用することなどが含まれる。即時又は遅延した一次創傷閉鎖は、二次的な閉鎖や皮膚移植と比較して、感染率の減少や見た目の改善に役立つことがある。しかし、一次閉鎖は、組織浮腫のため、常に可能とは限らない(Jauregui J, et. al. Fasciotomy closure techniques: A meta-analysis.2017年 Journal of Orthopedic Surgery, 25(1) 1-8.)。
【0041】
感染創(クラスIV)
感染創(クラスIV)は、膿性排液を伴う創傷である。金属片や他の破片のような異物が内部に留まっている創傷も含まれる。また、このクラスには、治療が遅れた不潔源からの外傷性創傷、感染した手術創又は膿や糞便に晒された任意の創傷が含まれ得る。
【0042】
陰圧創傷治療(NPWT)
NPWTは、通常、治療用ドレッシングの利用を伴い、前記治療用ドレッシングは、典型的には、創傷パッドやスポンジ、真空ポートを備えた接着剤裏打ち閉塞シート、及び、真空(すなわち、陰圧)発生装置を含む。
【0043】
オフローディング
オフローディングとは、患者に特別なフットギア、ブレース(brace)、専用のギブスを装着させることによって、又は、車椅子や松葉杖を使用することによって、潰瘍領域の圧力を緩和することである。
【0044】
圧迫潰瘍又は褥瘡
圧迫潰瘍又は褥瘡とは、骨の隆起部とベッドや車椅子などの外部の物体との間で長期間にわたって圧力が作用した結果、細胞が壊死した局所的な領域のことである。組織は、血液が供給されなくなると最終的には壊死する。高齢者に多く発症するエリアは、かかと(8%)、大転子(15%)、仙骨(23%)、及び、イスキアム(坐骨)(24%)を含む。これらは、寝たきりの人、特に高齢者によく見られます。痴呆症の高齢者に特に傾向がある。
【0045】
静脈性皮膚潰瘍
静脈性潰瘍は、通常、歩行時の静脈血圧の上昇(静脈性高血圧)に起因する。静脈性潰瘍は、しばしば手足の浮腫を引き起こす。外部からの圧迫は、これらの問題に対処するための主流になっている。最も一般的な潰瘍であり、下肢潰瘍の最大80%を占めている。慢性的な静脈不全は、以前の深部静脈血栓症の結果として起こることのある静脈鬱血性潰瘍を引き起こす可能性がある。基本的な機能障害は、深部静脈弁の機能不全である。潰瘍は、通常、足首のまわり、特に、内側くるぶしの領域にできる。表皮の損失が起こり、静脈鬱血の程度によっては真皮層の一部も影響を受けることがある。メラニンとヘモジデリンの沈着により、皮膚に特徴的な茶色がかった色が現れる。毛細血管が破裂すると、赤血球が放出されて崩壊し、それに続いてヘモシデリンが放出される
【0046】
創傷閉鎖装置及びそれらの使用方法が潰瘍や不規則な形状の創傷に適することがあり、それらの例が以下のように表1に示される。
【0047】
【0048】
創傷閉鎖時の張力低減の必要性については、現在、張力縫合糸や皮膚の粘弾性特性を利用して設計された伸縮装置によって対処されており、制御された均一な張力を、段階的(漸増的)な牽引を用いて、創傷の周辺に沿って加えている。張力縫合糸や市販の装置を用いて創傷の縁部を引き伸ばすやり方(原理)は、問題があることがあり、それは、過度な張力が加えられると、対向する創傷の縁部同士を近づける際に皮膚の損傷や壊死を引き起こしたり、皮膚の縁部を引き裂いたりする可能性があるからである。加えて、市販の装置は、侵襲的であり、かさばり、そして、創傷の縁部を損傷させることがある。
【0049】
外科的創傷又は損傷の遅延一次閉鎖は、創傷の裂開、汚染創(例えば、弾丸創やナイフ創)の治療後の遅延閉鎖、及び、筋膜切開の段階的な閉鎖に対処するために使用されることがある。現在、本発明者らは、そのための専用の製品を知らず、治療を段階的(漸増的)に調整された張力縫合糸や二次的意図による治癒のままとしている。
【0050】
糖尿病性足潰瘍(DFU)は、真性糖尿病患者全体の少なくとも15%に発症し、糖尿病患者の全入院の約20%の理由になっている。DFUの最も一般的な原因は、シャルコー神経病性関節症や足の部分的な切断、生体力学的異常、及び/又は、末梢血管疾患(PVD)などの足の不具合が残る糖尿病性末梢神経障害である。治療は、二次意図による治癒に焦点を当てており、一般的には、デブリードマン、全身性抗生物質の使用、潰瘍領域からの圧力のオフローディング、専用ドレッシングによる清潔で湿潤な創傷環境の生成と維持、及び、局所適用薬の投与を含む。新しいアプローチは、陰圧創傷治療(NPWT)を含み、これは、専用ドレッシングの頻繁な交換と、専用ドレッシングに接続された真空発生装置とを伴う。
【0051】
裂開のリスクが特に高い外科的創傷閉鎖には、力の軽減を補助し及び切開部への潜在的な延展力を緩和するために、即時切開部位の外側に健康な組織を補充する補助的な手段が有効であり得る。胸骨切開(Sternotomy)は、その一例であり、創傷裂開の結果は、しばしば致命的である。
【0052】
本開示は、改良された創傷閉鎖装置、改良された創傷閉鎖システム及びそれらの使用の方法を含む。
【0053】
図1A~
図1Eは、本開示の実施形態に係る閉鎖装置1を示している。閉鎖装置1は、複数の可逆的に調整可能な横方向連結具4によって互いに連結された2つのベースパネル2a、2bを含み得る。各ベースパネルは、粘着底層13と、中間層又は本体11と、中間層11の上部に結合された複数の力分配構造10とを含み得る。各層は、底部から上部に向かって連続的に剛性が高くなり又は弾性が低くなることで、垂直方向における弾性勾配を提供し、閉鎖装置が貼付された皮膚が動かされたときに貼付力(付着力)が低下したり、皮膚に水ぶくれができたりすることを低減する。
【0054】
粘着底層13は、1つ以上の除去可能なライナーによって覆われてもよい。例えば、
図1A~
図1E、
図3B及び
図3Cに示されるように、閉鎖装置1の一方側のタブから除去可能な中央ライナーと、閉鎖装置の反対側のタブから除去可能な一対のサイドライナ12とがあってもよい。代替的なライナー構成も構想されており、それは、例えば、
図2A~
図2B、
図4A~
図4B、
図5A~
図5B、
図6A~
図6B及び
図7A~
図7Bに示されるように、ベースパネルのそれぞれの底部全体をカバーするライナーや、
図11A~
図11B、
図12A~
図12B及び
図13A~
図13Bに示されるように、ベースパネルの各上部の全体をカバーするキャスティングシート及びベースパネルのそれぞれの底部全体をカバーするライナーである。これらのライナー12は、それらの縦方向端部及び/又は横方向端部においてタブから剥離され得る。
図11A、
図12A、
図13A及び
図14Aから理解され得るように、ベースパネルのそれぞれは、粘着層を覆うライナーと、ベースパネルの上部のそれぞれから除去可能なキャスティングシート16とを含むことができる。キャスティングシートは、ベースパネルの配置において役立つことができる。例えば、キャスティングシートは、ベースパネルのそれぞれに貼付されていることでベースパネルに剛性及び安定性を提供することができ、ベースパネルの取り扱い及び配置を容易にする。配置後にキャスティングシートは除去され得る。粘着底層13は、ハイドロコロイド粘着層で構成されてもよい。ライナー及び/又はライナタブの横方向縁部は、
図4A~4
図B及び
図5A~
図5Bのように平坦であってもよいし、あるいは、
図6A~
図6B、
図7A~
図7B、
図11A、
図12A及び
図13Aのように丸みを帯びていてもよい。
【0055】
ベースパネルの中間層又は本体11は、粘着底層13の上に位置し得る。ベースパネルの中間層又は本体11は、ポリウレタンなどのポリマ材料などの材料で構成され得る。いくつかの実施形態において、ベースパネルの本体は、
図5A~5B、
図7A~7B及び
図11A~11Bに示されるように、複数の段差のある層を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ベースパネル2a、2bの本体は、
図11A~11B、
図12A~12B、
図13A~13B及び
図14Aに示されるように、複数のミシン目状の小孔7を含んでもよい。いくつかの実施形態において、複数の小孔7は、粘着層の小孔によって反映される。小孔7は、装置が急激に引っ張られたときの横方向の応力緩和を提供することができる。小孔7は、粘着層が貼付された皮膚を急激な横方向の引っ張りから保護するのを助けることができる。例えば、小孔7は、皮膚と一緒のベースパネルの伸縮を容易にすることで、その下にある様々な方向に伸縮する皮膚に対応することができ、それによって、貼付力(付着力)の低下を低減し、及び/又は、そうでなければ強すぎる皮膚と貼付(付着)による水ぶくれのリスクを低減させる。
【0056】
力分配構造は、ベースパネルの上面に結合されてもよく、横方向連結具4の端部は、力分配構造に連結されて、横方向連結具の取り付け点に集中するような、創傷閉鎖装置の取付部からの力を皮膚に分配することができる。例えば、横方向連結具は、
図1A~
図1Eから理解され得るように、一方のベースパネル2aに固定された固定端部5aと、ロック6を用いて他方のベースパネル2bに調整可能に連結された端部5bとを有することができる。横方向連結具は、
図1A~
図1Bから理解され得るように、所定の横方向隙間8をベースパネルの内側の横方向縁部間に提供するために、所定の調整可能距離でベースパネル2a、2bに連結されてもよい。ベースパネル間の離隔距離は、最も一般的な潰瘍を包含するのに十分な大きさであり得る。それぞれが異なるサイズの横方向隙間8及び離隔距離を有する一組の閉鎖装置が提供されてもよい。
図2A、
図11A、
図12A及び
図13Aは、幅広の閉鎖装置の上面図を示し、
図2B、
図11B、
図12B及び
図13Bは、剥離ライナー(release liner)が除去された状態の幅広の閉鎖装置を示している。
【0057】
代わりに又は組み合わせて、異なる長さのベースパネルを有する一組の閉鎖装置1が提供されてもよい。前記離隔距離は、横方向連結具の調整可能な端部5bを調整することによって拡大され又は縮小されてもよく、前記離隔距離は、異なる横方向連結具でより大きく又はより小さくなるように調整されてもよい。前記離隔距離は、例えば10mm以上、20mm以上、30mm以上、40mm以上又は50mm以上で開始され得る。前記閉鎖装置は、例えば、最大50mm、40mm、30mm、最大20mm又は最大10mmの短軸を有する潰瘍又は皮膚欠損を包含して治療するように構成され得る。横方向連結具4は、典型的には、ベースパネルの中間層又は本体よりも剛性が高く、ナイロンのような材料で構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態、特に、
図8A、
図8B、
図13A及び
図13Bに示されるような大きめの離隔距離を有する実施形態において、横方向連結具は、1つ以上のばね構成要素又は弾性構成要素をそれらの長さに沿って備えてもよいし、及び/又は、いずれのベースからでも調整可能であり得る。ばね構成要素又は弾性構成要素14は、過度の動きを制限しつつ、長さに沿った方向だけではなく、長さ方向に直交する方向にも、横方向連結具4の互いに相対的なある程度の移動を可能にする。
図8A~
図8B及び
図13A~
図13Bに示されるように、連結具要素は、その固定端部が開放創又は切開部15の上に位置する弾性構成要素14に連結される一方、その調整可能な端部5bが、その側方のベース構造2a、2bの中間層(本体)11の上面に結合された力分配構造3に連結されてもよい。
図8A及び
図8Bに示されるように、ばね構成要素又は弾性構成要素14は、所定長さの剛性材料が蛇行形状を有する形態をとり得る。
図13A及び
図13Bに示されるように、ばね構成要素又は弾性構成要素14は、横方向連結具の2つのグループの間の分離された剛性材料のユニットの形態をとり得る。材料は、力分配構造要素3及び/又は横方向の連結具4と類似する材料又は同じ材料、例えば、ナイロンであり得る。
【0059】
閉鎖装置は、米国特許出願第13/286,757号(現米国特許第8,323,313号)、第13/665,160号、第14/180,524号(米国特許第9,050,086号)、第14/180,564号、第14/625,366号(米国特許第9,642,621号)、第15/081,526号(米国特許第9,474,529号)、第15/081,550号(米国特許第9,554,799号)、第15/081,595号(米国特許第9,642,622号)、第15/096,083号(米国特許第9,554,800号)、第15/130,149号(米国特許第9,561,034号)及び第15/369,293号と、PCT出願PCT/US2015/028066号、PCT/US2016/028297号及びPCT/US2017/028537号とで説明された閉鎖装置と多くの特徴で共通しており、これらの出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0060】
図3A~
図3Fは、閉鎖装置を創傷15又は皮膚欠損部SDに適用する方法を示している。潰瘍又は皮膚欠損は、糖尿病性足潰瘍、静脈性足潰瘍、動脈性潰瘍、裂開創傷、裂開感染症、筋膜切開、圧迫潰瘍若しくは褥瘡、又は、生検切開であり得る。
図3Bに示されるように、中央ライナー12は、中央ライナーのタブ19と共に閉鎖装置の残りの部分から中央ライナーを剥がすことによって除去され得る。閉鎖装置は、粘着層を露出させた状態でベースパネル2a、2bの内側の横方向縁部の間に創傷15又は皮膚欠損を包含するように創傷又は皮膚欠損SDを跨ぐように配置され、及び、
図3Cに示されるように、創傷15又は皮膚欠損SDに隣接する皮膚に押し付けられてそこに貼付され得る。続いて、中央ライナーの横方向に隣接する2つのライナーが剥がされて粘着層13の残の部分を露出させ、
図3Dに示されるように、閉鎖装置1が皮膚に押し付けられて閉鎖装置がそこに完全に貼付される。一旦貼付されると、
図3Eに示されるように、創傷又は皮膚欠損に横方向の圧縮力を付与するために、横方向連結具4が調整され及び締め付けられる。いくつかのケースにおいては、
図3Fに示されるように、追加の創傷閉鎖装置が創傷又は皮膚閉鎖SDに対して同様に適用され得る。追加の創傷閉鎖装置は、
図3Fに示されるように、第1の創傷閉鎖装置を横切る方向に配置され得る。また、いくつかのケースでは、1つ以上の閉鎖装置の適用前、適用後又は適用中に、液体接着剤、抗微生物剤、抗細菌剤及び/又は他の治療剤が創傷又は皮膚欠損SDに適用(塗布)され得る。
【0061】
2つの平行なベースパネル以外の閉鎖装置のための形態(ファームファクター)も開示される。本開示の実施形態に係る閉鎖装置は、例えば、
図9A~
図9C、
図10A~
図10B及び
図14Aに示されるように、中央に創傷又は切開部を治療するための開口部20を有するパッチの形態を有することができる。
図9A~
図9C、
図10A~
図10C及び
図14Aに示されるように、閉じられた形状の閉鎖装置は、通常、円形、卵形、楕円形又は六角形に作成され得るが、三角形、矩形、正方形、五角形又は他の多角形の形状など、他の幾何形状でも提供され得る。閉じられた形状の閉鎖装置の外周縁部は、貼付された場合に、閉鎖装置に隣接する横方向の力に応答して閉鎖装置に柔軟性を提供するため、スカラップ状又は正弦波状に作成されており、それによって、皮膚に水ぶくれができたり、接着(付着)力が低下したりすることを低減する。
【0062】
図9A~
図9Cに示されるように、閉じられた形状の閉鎖装置は、上述の粘着底層13及びベースパネル本体層11と同様の粘着底層13及び中間本体層11を有する単一のベース9で構成され得る。上述の横方向連結具要素4と同様の複数の連結具要素が中間本体層11の上面に固定的に結合された力分配要素10に取り付けられてもよい。複数の連結具要素は、中央に開口する創傷領域又は切開部領域22を囲むエンドツーエンドのループ状に周方向に配置され得る。各連結具要素は、そのそれぞれの力分配要素に固定的に取り付けられた固定端部5aと、そのそれぞれの力分配要素に調整可能に取り付けられた調整可能な端部5bとを含むことができる。各連結具要素の固定端部は、次の連結具要素の調整可能な端部のすぐ隣に隣接していてもよい。
図9B及び
図9Cに示されるように、連結具要素は、中央に開口する創傷領域又は切開部領域を縮小してその領域に圧縮力を提供するために、可逆的に締め付けられ得る。
【0063】
図10A~
図10B及び
図14Aに示されるように、閉じられた形状の閉鎖装置のための連結具要素の他の配置も提供される。
図10A~
図10Bに示されるように、連結具要素は、中央に開口する創傷領域又は切開部領域の内側に位置する中央ハブ構造21に連結される固定端部を有する一方、調整可能な端部5bが閉鎖装置の表面に近接する中間本体層11の上面に結合された力分配構造3に連結され得る。この構造は、ハブ構造21の中央を開放状態のままにし、連結具要素の自由端部などの干渉する構造がない状態にすることができる。他の実施形態において、調整可能な端部5bは、中央ハブ構造21に連結され、所望に調整された後に余分な材料を簡単にカットし又は切り取ることができる。中央ハブ構造21は、ナイロンなどの連結具要素4及び力分配構造10と同一の材料で作製され得る。
図14Aに示されるように、連結具要素は、単一の閉鎖要素17であってもよく、単一の閉鎖要素17は、閉鎖要素の調整可能な端部18bが連結された第2のベース構造2bに対向する第1のベース構造2aの上面に結合された力分配構造10に連結された固定端部18aを有する。ベース構造は、楕円形、円形、六角形、正方形などを形成するように湾曲され得る。
【0064】
種々のベース組立体、ベースパネル、力分配構造、軸方向支持体、横方向支持体、閉鎖構成要素、連結具組立体、連結具要素、ストラップ、ロック、粘着層などのうちの1つ以上を含む、本明細書で開示される切開部閉鎖器具又は切開部閉鎖器具組立体の構成要素のうちの1つ以上は、抗真菌性材料、抗細菌性材料、抗微生物性材料、防腐性材料及び薬用材料のうちの1つ以上で構成されるか、コーティングされるか、そうでなければ、組み込むことができる。例えば、そのような材料は、皮膚と粘着層との間の別の(粘着層の少なくとも一部を覆う)層又はコーティングとしてハイドロコロイド粘着層に組み込むことができ、ベース組立体カバー又は少なくともその粘着層などに組み込むことができる。そのような組み込みを容易にするため、1つ以上のウェル、溝、開口、ポア又は同様の構造が装置の構成要素に設けられてもよい。多くの実施形態において、そのような材料は、活性材として、銀、ヨウ化物、亜鉛、塩素、銅及びティーツリーオイルなどの天然材料のうちの1つ以上を含むことがある。そのような抗真菌性材料、抗細菌性材料、抗微生物性材料、防腐性材料又は薬用材料の例としては、これらに限定されるものではないが、英国のSmith & Nephew plcから入手可能な材料のActicoat(商標)ファミリ、英国のSmith & Nephew plcから入手可能な材料のActicoat(商標)Moisture Controlファミリ、デンマークのColoplast A/Sから入手可能な材料のContreet(商標)Foamファミリ、英国のUrgo Limited(仏国のLaboratoires URGOの子会社)から入手可能な材料のUrgoCell(商標)Silverファミリ、英国のSmith & Nephew plcから入手可能な材料のContreet(商標)Hydrocolloidファミリ、Skillman,N.J.のConvaTec Inc.から入手可能な材料のAquacel(商標)Agファミリ、San Antonio,Tex.のKinetic Concepts,Inc.から入手可能な材料のSilvercel(商標)ファミリ、San Antonio,Tex.のKinetic Concepts,Inc.から入手可能なActisorb(商標)Silver 220、英国のUrgo Limited(仏国のLaboratoires URGOの子会社)から入手可能な材料のUrgotul(商標)SSDファミリ、San Antonio,Tex.のKinetic Concepts,Inc.から入手可能な材料のInadine(商標)ファミリ、英国のSmith & Nephew plcから入手可能な材料のIodoflex(商標)ファミリ、英国のAspen Medical Europe Ltd.から入手可能な材料のSorbsan Silver(商標)ファミリ、Burr Ridge,ILLのFerris Mfg.Corp.から入手可能な材料のPolymem Silver(商標)ファミリ、San Antonio,Tex.のKinetic Concepts,Inc.から入手可能な材料のPromogram(商標)ファミリ、San Antonio,Tex.のKinetic Concepts,Inc.から入手可能な材料のPromogram Prisma(商標)ファミリ、及び、Mundelein,ILLのMedline Industries,Inc.から入手可能な材料のArglaes(商標)ファミリなどがある。本明細書で説明される閉鎖装置の構成要素は、特に限定されないが、上で列挙された材料のうちの1つ以上を含む抗真菌性材料、抗細菌性材料、抗微生物性材料、防腐性材料及び薬用材料のうちの1つ以上で構成されるか、コーティングされるか、そうでなければ、組み込むことができる。
【0065】
多くの実施形態においては、局所的な薬剤が本明細書で説明される創傷閉鎖器具に直接的に組み込まれる。創傷閉鎖装置は、多くの場合、薬剤による保護を必要とする創傷や切開部の非常に近くで適用されるため、そのような薬剤を閉鎖装置に直接的に組み込むことは有益であり得る。感染症のリスクのある創傷では、例えば、抗菌剤を組み込みことが有益であり得る。抗菌剤には、抗生物質の他にも、銀、ヨウ素、銅及び塩素を含む防腐金属イオン及び関連化合物、又は、ティーツリーオイルなどの天然材料を含まれ得る。真菌(カビ)が発生しやすい創傷では、例えば、亜鉛などの薬剤が必要とされることがある。また、これらの薬剤を組み合せることも有効であり、そのため、これらの薬剤の組み合わせが創傷閉鎖器具に組み込まれることがある。
【0066】
局所的な薬剤は、治癒改善のために創傷を十分に水和された状態に保ちながら、(例えば、望ましくない有機体を創傷から遠ざけるため、及び/又は、皮膚の浸軟を防ぐため)創傷から滲出液を吸い上げる能力を閉鎖装置に与える方法で、閉鎖装置に組み込むことができる。
【0067】
本開示のさらなる態様によれば、(閉鎖装置1などの)閉鎖デバイスの組立後に、創傷ドレッシングへの付着(接着)を防止するため、外面にコーティング(剤)を施す(塗布)することができる。例示的なコーティングは、典型的には5分間で60℃を超える温度を必要としないプロセス、より好ましくは任意の期間で45℃未満のプロセスで、デバイス1に塗布され及び硬化される非粘着性フルオロポリマコーティングを利用することができる。コーティングと創傷閉鎖デバイスのポリウレタンフィルムとの密着性が最も望まれるが、外面全体の保護も望まれることがある。フルオロポリマフィルム厚さは、0.25~5.0ミクロン、好ましくは、約1~3ミクロンの範囲である。コーティングは、皮膚粘着層がコーティングで汚染されることを防止するため、典型的には、皮膚粘着層の表面に剥離ライナー又は他の適切な材料を接触させた状態で行われる。そのようなコーティングは、通常、製造プロセスの一部として塗布されるので、ユーザーによって塗布される追加のコーティングは必要とされない。しかし、他の実施形態においては、ドレッシング(被覆材)を塗布する直前に、付着(接着)防止のため、ユーザーが代わりに、好ましくは無菌の油性液体やゲルを閉鎖装置1の外側に塗布してもよい。例えばペトロラタムやシリコーンオイルである。
【0068】
装置の粘着層にダメージを与える可能性のある硬化温度(典型的には60℃を超える温度)を必要としない他のコーティングが施されてもよい。これらは、シリコーン化合物又はシリコーンオイル(材料へと硬化されたもの又は未硬化のもの)、パリレン及び当技術分野で公知の他のコーティングを含み得る。コーティングは、好ましくはドレッシングの除去時に閉鎖装置に固着したままであり得るが、塗布された粘着層を弱めることによって作用し、及び/又は、下にあるデバイスの代わりにドレッシングと共に引き上げられる犠牲層として作用することも可能である。犠牲的なコーティングは、より厚くてもよく、0.0005~0.010インチの範囲より大きいことがある。
【0069】
コーティングは、完成したデバイス全体に塗布することが好ましいが、コーティングされるべきでない領域をマスキングすることにより、デバイスの選択された領域に塗布することも可能である。このことは、コーティングが中間工程に組み込まれ、その後にデバイスのコーティングされていない部分に部品を結合しなければならない場合や、他の部品(例えば、ロックやストラップ)にコーティングが望ましくない低摩擦をもたらす場合(例えば、ストラップがロックと係合しなかったり、ストラップがユーザーの手から滑り落ちたりする場合)に有用である。他のケースにおいて、コーティングは、デバイスに別個に適用される材料上にあってもよい(例えば、ポリウレタンフィルムのストリップ)。このことは、コーティング処理が高温を必要とする場合やデバイスの他の部分に適合しない溶剤の使用を必要とする場合に有用である。
【0070】
他の実施形態において、コーティング材料は、コーティングに組み込まれる抗微生物性化合物を有してもよい。上述のコーティングは、好ましくは、デバイス表面にコンフォーマルであり(一体化され)、少なくとも創傷ドレッシングが塗布されるまで閉鎖デバイスに付着したままである。また、上述のコーティングは、閉鎖デバイスの伸展(最大50%)に対する最小限の抵抗も提供し、ドレッシングが閉鎖デバイスに接触して着用されている間、それ自体が保護効果を失うことはない。
【0071】
他の実施形態において、デバイスの皮膚への貼付前、貼付中又は貼付後に、抗菌剤及び又は局所的薬剤が創傷や欠損に塗布されてもよい。抗菌剤及び/又は局所な薬剤は、本明細書に記載されたもののいずれであってもよい。
【0072】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され及び説明されたが、そのような実施形態が単に例として提供されていることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本開示から逸脱することなく、多くの変形、変更及び置換を思い付くであろう。本明細書で説明された本開示の実施形態に対する種々の代替が本開示の発明を実施する際に採用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を画定し、特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの等価物が特許請求の範囲によってカバーされることが意図されている。
なお、出願当初の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。
請求項1:
潰瘍又は皮膚欠損を治療する方法であって、
閉鎖装置の第1パネルを潰瘍又は皮膚欠損の第1側の皮膚に貼付すること、
前記閉鎖装置の第2パネルを前記潰瘍又は前記皮膚欠損の第2側の皮膚に貼付することであって、前記第1パネル及び前記第2パネルがそれらの内側横方向縁部の間に離隔距離を有し、前記離隔距離が少なくとも10mmである、前記第2パネルを前記第2側の皮膚に貼付すること、及び、
前記第1パネルと前記第2パネルの間で前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮し、それによって前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離を減少させること、
を含む、方法。
請求項2:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損が最大で50mmの長さの短軸を有する、請求項1に記載の方法。
請求項3:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損が最大で40mmの長さの短軸を有する、請求項2に記載の方法。
請求項4:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損が最大で30mmの長さの短軸を有する、請求項5に記載の方法。
請求項5:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損が最大で20mmの長さの短軸を有する、請求項4に記載の方法。
請求項6:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損が最大で10mmの長さの短軸を有する、請求項5に記載の方法。
請求項7:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮する前の前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離が少なくとも20mmである、請求項1に記載の方法。
請求項8:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮する前の前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離が少なくとも30mmである、請求項7に記載の方法。
請求項9:
前記第1パネル及び前記第2パネルを前記皮膚に貼付する前に1つ以上のライナーを前記閉鎖装置から除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項10:
前記1つ以上のライナーは、前記第1パネル及び前記第2パネルの縦方向軸を横切る方向に配列されている、請求項9に記載の方法。
請求項11:
前記1つ以上のライナーを除去することは、前記閉鎖装置を前記皮膚に貼付する前に中間ライナーを除去すること及び前記中間ライナーに隣接する1つ以上のさらなるライナーを除去することを含む、請求項9に記載の方法。
請求項12:
前記1つ以上のライナーを除去することは、前記閉鎖装置を前記皮膚に貼付する前に中間ライナーに隣接する1つ以上のライナーを除去すること及び前記中間ライナーを除去することを含む、請求項9に記載の方法。
請求項13:
前記1つ以上のライナーを除去することは、前記閉鎖装置を前記皮膚に貼付する前に前記第1ベースパネルから第1ライナーを除去すること及び前記第2ベースパネルから第2ライナーを除去することを含む、請求項9に記載の方法。
請求項14:
前記第1パネル及び前記第2パネルを前記皮膚に貼付することは、前記第1パネル及び前記第2パネルの粘着底層を前記皮膚に対して押し付けることを含む、請求項1に記載の方法。
請求項15:
前記第1パネル及び前記第2パネルの前記粘着底層は、ハイドロコロイド粘着層で構成されている、請求項14に記載の方法。
請求項16:
前記第1パネル及び前記第2パネルは、前記ハイドロコロイド粘着層の上に配置されたベース層を含み、前記ベース層は、前記ハイドロコロイド粘着層より高い剛性を有する、請求項15に記載の方法。
請求項17:
前記第1パネル及び前記第2パネルのそれぞれは、前記ベース層に結合された1つ以上の力分配構造をさらに含み、前記力分配構造は、前記ベース層より高い剛性を有する、請求項16に記載の方法。
請求項18:
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルを互いに連結する1つ以上の横方向連結具をさらに含む、請求項16に記載の方法。
請求項19:
前記1つ以上の横方向連結具は、少なくとも部分的に弾性である、請求項18に記載の方法。
請求項20:
前記1以上の横方向連結具は、弾性構成要素又はばね構成要素を含む、請求項19に記載の方法。
請求項21:
ケア用に前記潰瘍又は前記皮膚欠損へのアクセスを提供するため、前記1つ以上の横方向連結具の前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方との連結を解除することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
請求項22:
前記ケアの後に前記1つ以上横方向連結具を前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方に再連結させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
請求項23:
前記ケアは、前記潰瘍又は前記皮膚欠損に対する、洗浄、デブリードマン、薬剤の塗布、皮膚代替物の適用、陰圧の適用及び酸素導入装置の適用のうちの1つ以上を含む、請求項21に記載の方法。
請求項24:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損を横方向に圧縮することは、前記第1パネル又は前記第2パネルに対する1つ以上の横方向連結具の1つ以上の取り付け点を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
請求項25:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損は、糖尿病性足潰瘍、静脈性足潰瘍、動脈性潰瘍、裂開創傷、裂開感染症、筋膜切開、圧迫潰瘍若しくは褥瘡、又は、生検切開である、請求項1に記載の方法。
請求項26:
前記閉鎖装置の前記第1パネル及び前記第2パネルを貼付することで前記閉鎖装置を第1の方向に前記潰瘍又は前記皮膚欠損を跨ぐように配置させ、
前記方法は、
第2の閉鎖装置を前記第1の方向とは異なる第2の方向に前記潰瘍又は前記皮膚欠損を跨ぐように配置させること、及び、
前記第2の閉鎖デバイスのベースパネルを前記潰瘍又は前記皮膚欠損の第3側及び第4側の前記皮膚に貼付すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項27:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損が少なくとも部分的に治癒した後に前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離をさらに減少させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項28:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損が少なくとも部分的に治癒した後に前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離をさらに減少させることは、圧縮力を回復又は増加させて前記潰瘍又は前記皮膚欠損の治癒を促進させるために前記第1ベースパネル及び第2ベースパネルを互いに連結する1つ以上の横方向連結具を所定期間にわたって徐々に締め付けることを含む、請求項27に記載の方法。
請求項29:
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、内側縁部から外側縁部に向かって弾性が増加する横方向の弾性勾配を有する、請求項1に記載の方法。
請求項30:
前記横方向の弾性勾配は、異なる弾性を有する材料を重ね合わせ、同じ弾性を有する材料の階段状の層、エンボス加工、小孔、及び、材料のない領域を有するパターニングのうちの1つ以上によって前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方に提供される、請求項29に記載の方法。
請求項31:
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、上面から底面に向かって弾性が増加する垂直方向の弾性勾配を有する、請求項1に記載の方法。
請求項32:
前記垂直方向の弾性勾配は、異なる弾性又は異なる厚さを有する層の垂直方向の重ね合わせによって提供される、請求項31に記載の方法。
請求項33:
前記第1ベースパネル及び第2ベースパネルの少なくとも一方の内側縁部及び外側縁部の少なくとも一方は、剪断力を最小化し若しくは分散し又は皮膚に水ぶくれが形成されることを最小化するために正弦波状又はスカラップ状に形成されている、請求項1に記載の方法。
請求項34:
潰瘍又は皮膚欠損の治療のための閉鎖装置であって、
潰瘍又は皮膚欠損の第1側の皮膚に貼付するための第1粘着底面を有する第1パネルと、
前記潰瘍又は前記皮膚欠損の第2側の皮膚に貼付するための第2粘着底面を有する第2パネルと、
前記第1パネル及び前記第2パネルを互いに連結する複数の横方向連結具であって、前記第1パネル及び前記第2パネルの内側横方向縁部の間の離隔距離を少なくとも10mmに維持する、前記複数の横方向連結具と、
前記第1粘着底面及び前記第2粘着底面に取り付けられた1つ以上のライナーと、
を含む、閉鎖装置。
請求項35:
前記離隔距離が少なくとも20mmである、請求項34に記載の装置。
請求項36:
前記離隔距離が少なくとも30mmである、請求項35に記載の装置。
請求項37:
前記離隔距離が少なくとも40mmである、請求項36に記載の装置。
請求項38:
前記離隔距離が少なくとも50mmである、請求項37に記載の装置。
請求項39:
前記1つ以上のライナーは、前記第1パネル及び前記第2パネルの縦方向軸を横切る方向に配列されている、請求項34に記載の装置。
請求項40:
前記1つ以上のライナーは、中間ライナーと、前記中間ライナーに隣接する1つ以上のさらなるライナーとを含む、請求項39に記載の装置。
請求項41:
前記1つ以上のライナーは、前記第1ベースパネルの前記第1粘着底層に除去可能に取り付けられた第1ライナーと、前記第2ベースパネルの前記第2接着底層に除去可能に取り付けられた第2ライナーとを含む、請求項34に記載の装置。
請求項42:
前記第1パネルの前記第1粘着底層及び前記第2パネルの前記第2粘着底層は、ハイドロコロイド粘着層で構成されている、請求項34に記載の装置。
請求項43:
前記第1パネル及び前記第2パネルは、前記ハイドロコロイド粘着層の上に配置されたベース層を含み、前記ベース層は、前記ハイドロコロイド粘着層より高い剛性を有する、請求項42に記載の装置。
請求項44:
前記第1パネル及び前記第2パネルのそれぞれは、前記ベース層に結合された1つ以上の力分配構造をさらに含み、前記力分配構造は、前記ベース層より高い剛性を有する、請求項43に記載の装置。
請求項45:
前記1つ以上の横方向連結具は、少なくとも部分的に弾性である、請求項34に記載の装置。
請求項46:
前記1つ以上の横方向連結具は、弾性構成要素又はばね構成要素を含む、請求項45に記載の装置。
請求項47:
前記1つ以上の横方向連結具は、ケア用に前記潰瘍又は前記皮膚欠損へのアクセスを提供するために少なくとも部分的に連結解除され及び再連結されることが可能である、請求項45に記載の装置。
請求項48:
1つ以上の横方向連結具は、前記装置が皮膚に貼付されているとき、前記第1パネル及び前記第2パネルの前記内側横方向縁部の間の前記離隔距離を減少させてそれらの間にある組織に圧縮力を付与するために少なくとも部分的に調整可能である、請求項34に記載の装置。
請求項49:
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、内側縁部から外側縁部に向かって弾性が増加する横方向の弾性勾配を有する、請求項34に記載の装置。
請求項50:
前記横方向の弾性勾配は、異なる弾性を有する材料の重ね合わせ、同じ弾性を有する材料の階段状の層、エンボス加工、小孔、及び、材料のない領域を有するパターニングのうちの1つ以上によって前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方に提供される、請求項49に記載の装置。
請求項51:
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方は、上面から底面に向かって弾性が増加する垂直方向の弾性勾配を有する、請求項34に記載の装置。
請求項52:
前記垂直方向の弾性勾配は、異なる弾性又は異なる厚さを有する層の垂直方向の重ね合わせによって提供される、請求項51に記載の装置。
請求項53:
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方の内側縁部及び外側縁部の少なくとも一方は、剪断力を最小化し若しくは分散し又は皮膚に水ぶくれが形成されることを最小化するために正弦波状又はスカラップ状に形成されている、請求項34に記載の装置。
請求項54:
潰瘍又は皮膚欠損の治療のための閉鎖装置であって、
粘着底層と、
ベース層と、
前記ベース層に結合された複数の支持体と、
前記複数の支持体に連結された複数の調整可能な連結具と、
を含み、
前記接着底層及び前記ベース層は、前記潰瘍又は前記皮膚欠損を包含する中央治療用開口部を画定し、
前記複数の調整可能な連結具は、前記中央治療用開口部の面積を減少させ及びそれによって前記中央治療用開口部に包含された組織に圧縮力を付与するために調整可能である、
閉鎖装置。
請求項55:
各横方向連結具は、固定端部及び調整可能な端部を含む、請求項54に記載の装置。
請求項56:
前記複数の横方向連結具は、前記閉鎖装置の周縁に沿ってエンドツーエンドで配置される、請求項55に記載の装置。
請求項57:
前記横方向連結具の固定端部は、前記横方向連結具の前記調整可能な端部に隣接している、請求項56に記載の装置。
請求項58:
中央ハブ構造をさらに含む、請求項55に記載の装置。
請求項59:
前記横方向連結具の前記固定端部は、前記中央ハブ構造に連結され、前記横方向連結具の前記調整可能端部は、前記ベース層に結合された前記支持体に連結される、請求項58に記載の装置。
請求項60:
前記底層は、ハイドロコロイド粘着層で構成されている、請求項54に記載の装置。
請求項61:
前記主要層は、前記ハイドロコロイド粘着層の上に配置され、前記ハイドロコロイド粘着層より高い剛性を有する、請求項60に記載の装置。
請求項62:
前記複数の支持体は、前記ベース層より高い剛性を有する、請求項61に記載の装置。
請求項63:
前記1つ以上の横方向連結具は、少なくとも部分的に連結解除されること及び再連結されることが可能である、請求項54に記載の装置。
請求項64:
前記装置は、内側縁部から外側縁部に向かって弾性が増加する横方向の弾性勾配を有する、請求項54に記載の装置。
請求項65:
前記横方向の弾性勾配は、異なる弾性を有する材料の重ね合わせ、同じ弾性を有する材料の階段状の層、エンボス加工、小孔、及び、材料のない領域を有するパターニングのうちの1つ以上によって提供される、請求項64に記載の装置。
請求項66:
前記装置は、上面から底面に向かって弾性が増加する垂直方向の弾性勾配を有する、請求項54に記載の装置。
請求項67:
前記垂直方向の弾性勾配は、異なる弾性又は異なる厚さを有する層の垂直方向の重ね合わせによって提供される、請求項66に記載の装置。
請求項68:
前記第1ベースパネル及び前記第2ベースパネルの少なくとも一方の内側縁部及び外側縁部の少なくとも一方は、剪断力を最小化し若しくは分散し又は皮膚に水ぶくれが形成されることを最小化するために正弦波状又はスカラップ状に形成されている、請求項54に記載の装置。
請求項69:
前記装置は、三角形、矩形、正方形、五角形、六角形又は他の多角形の外側形状を有する、請求項54に記載の装置。
請求項70:
潰瘍又は皮膚欠損を治療するための方法であって、
潰瘍又は皮膚欠損が閉鎖装置の中央治療用開口部に包含されるように前記閉鎖装置を前記潰瘍又は前記皮膚欠損を覆うように配置すること、
前記閉鎖装置を前記潰瘍又は前記皮膚欠損の周囲の皮膚に貼付すること、及び、
前記閉鎖装置の1つ以上の調整可能な連結具を締め付けて前記中央治療用開口部に包含された前記潰瘍又は前記皮膚欠損の周囲の組織に圧縮力を付与すること、
を含む方法。
請求項71:
各横方向連結具は、固定端部および調整可能端部を含む、請求項70に記載の方法。
請求項72:
前記横方向連結具は、前記閉鎖装置の周縁に沿ってエンドツーエンドで配置される、請求項71に記載の方法。
請求項73:
前記横方向連結具の固定端部は、前記横方向連結具の前記調整可能な端部に隣接する、請求項72に記載の方法。
請求項74:
前記閉鎖装置は、中央ハブ構造をさらに含む、請求項71に記載の方法。
請求項75:
前記横方向連結具の前記固定端部は、前記中央ハブ構造に連結され、前記横方向連結具の前記調整可能な端部は、前記ベース層に結合された前記支持体に連結される、請求項74に記載の方法。
請求項76:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損は、糖尿病性足潰瘍、静脈性足潰瘍、動脈性潰瘍、裂創、創傷感染症、筋膜切開、褥瘡又は生検切開である、請求項70に記載の方法。
請求項77:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損は、最大で30mmの長さの短軸を有する、請求項70に記載の方法。
請求項78:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損は、最大で20mmの長さの短軸を有する、請求項77に記載の方法。
請求項79:
前記潰瘍又は前記皮膚欠損は、最大で10mmの長さの短軸を有する、請求項78に記載の方法。
【符号の説明】
【0073】
1 閉鎖装置
2a ベースパネル
2b ベースパネル
3 力分配構造要素
4 横方向連結具
5a 横方向連結具の固定端部
5b 横方向連結具の調整可能な端部
6 ロック
7 小孔
8 横方向隙間
9 単一のベース
10 力分配構造
11 中間層/本体部
12 剥離ライナー
13 粘着層
14 弾性構成要素
15 開放創
16 キャスティングシート
17 閉鎖要素
18a 閉鎖要素の固定端部
18b 閉鎖要素の調整可能な端部
19 剥離ライナーのタブ
20 創傷開口部
21 中央ハブ構造