(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】半導体素子を基板にボンディングする方法、および関連ボンディングシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/60 311Q
(21)【出願番号】P 2021539572
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 US2020012690
(87)【国際公開番号】W WO2020146466
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506395943
【氏名又は名称】クリック アンド ソッファ インダストリーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バジュワ、アディール、アフマド
(72)【発明者】
【氏名】コロシモ、トーマス、ジェイ.
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0142903(US,A1)
【文献】特開2003-318229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0078145(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0198388(US,A1)
【文献】特開2017-069459(JP,A)
【文献】特開2011-067864(JP,A)
【文献】特開2013-143542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0050423(US,A1)
【文献】特開2001-244283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0252349(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を基板にボンディングするためのボンディングシステムであって、
複数の第1の導電性構造を含む基板を受け取るように構成された基板酸化物還元チャンバーであって、前記複数の第1の導電性構造の各々に接触する還元ガスを受け取るように構成されているものである、前記基板酸化物還元チャンバーと、
前記複数の第1の導電性構造に前記還元ガスが接触した後前記基板を受け取るように構成された基板酸化物防止チャンバーであって、前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有するものである、前記基板酸化物防止チャンバーと、
複数の第2の導電性構造を含む半導体素子を前記基板にボンディングする間に還元ガス雰囲気を供給する還元ガス送達システムであって、前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されているものである、前記還元ガス送達システムと
、
前記半導体素子を前記基板にボンディングするボンディングツールを含むボンドヘッドであって、前記還元ガス送達システムは当該ボンドヘッドに一体化されているものである、前記ボンドヘッドと
を有する
、ボンディングシステム。
【請求項2】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記基板を前記基板酸化物還元チャンバーから前記基板酸化物防止チャンバーに移送する基板移送システムを有するものである、ボンディングシステム。
【請求項3】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物防止チャンバーは、不活性雰囲気を生成するために窒素が供給されているものである、ボンディングシステム。
【請求項4】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記基板を前記基板酸化物防止チャンバー内に移動させるマテリアルハンドリングシステムを有するものである、ボンディングシステム。
【請求項5】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物防止チャンバーは、前記半導体素子を前記基板にボンディングする際に前記基板を受け取るためのボンディング位置を含むものである、ボンディングシステム。
【請求項6】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、前記半導体素子は半導体ダイである、ボンディングシステム。
【請求項7】
請求項
6記載のボンディングシステムにおいて、前記基板は半導体ウェハである、ボンディングシステム。
【請求項8】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、前記基板は、前記基板酸化物防止チャンバーにより受け取られた後、前記基板酸化物還元チャンバーに返送されるものである、ボンディングシステム。
【請求項9】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物還元チャンバーの少なくとも一部分は前記基板酸化物防止チャンバーと共通の境界を有するものである、ボンディングシステム。
【請求項10】
請求項1記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物還元チャンバーは、前記基板が前記基板酸化物防止チャンバーに移動された後、別の基板を受け取るように構成されているものである、ボンディングシステム。
【請求項11】
半導体素子を基板にボンディングする方法であって、
複数の第1の導電性構造を含む基板を基板酸化物還元チャンバー内に移動する工程であって、前記基板酸化物還元チャンバーは前記複数の第1の導電性構造の各々に接触する還元ガスを受け取るように構成されているものである、前記基板酸化物還元チャンバー内に移動する工程と、
前記複数の第1の導電性構造に前記還元ガスが接触した後前記基板を基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程であって、前記基板酸化物防止チャンバーは前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有するものである、前記基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程と、
複数の第2の導電性構造を含む半導体素子を前記基板にボンディングする工程中に
ボンドヘッドに一体化された還元ガス送達システムによって還元ガス雰囲気を供給する工程であって、
前記ボンドヘッドは、前記半導体素子を前記基板にボンディングするボンディングツールを含むものであり、
前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されているものである、
前記還元ガス雰囲気を供給する工程と
を有する、方法。
【請求項12】
半導体素子を基板にボンディングする方法であって、
(a)複数の第1の導電性構造を含む半導体素子をボンディング装置のボンディングツールによって保持する工程と、
(b)複数の第2の導電性構造を含む基板を
前記ボンディング装置の支持構造によって支持する工程と、
(c)前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造の各々と接触する還元ガスを供給する工程と、
(d)前記工程(c)の後、前記複数の第1の導電性構造の各々を対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングする工程と
を有し、
前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造のうちの少なくとも1つは、はんだ材料を含むものであ
り、
前記ボンディングツールは前記ボンディング装置のボンドヘッドによって保持されるものであり、
前記工程(c)は、前記ボンドヘッドに一体化された多岐管により、前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造の各々と接触する還元ガスを供給する工程を含むものである、
方法。
【請求項13】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造の各々は、はんだ材料を含むものである、方法。
【請求項14】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造のうちの少なくとも1つは、接触部においてはんだ材料を含むものである、方法。
【請求項15】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第1の導電性構造は、接触部においてはんだ材料を含むものである、方法。
【請求項16】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第2の導電性構造は、接触部においてはんだ材料を含むものである、方法。
【請求項17】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造の双方は、接触部においてはんだ材料を含むものである、方法。
【請求項18】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造のうちの少なくとも1つは、はんだ材料により形成されているものである、方法。
【請求項19】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第1の導電性構造は、はんだ材料により形成されているものである、方法。
【請求項20】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第2の導電性構造は、はんだ材料により形成されているものである、方法。
【請求項21】
請求項
12記載の方法において、前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造の双方は、はんだ材料により形成されているものである、方法。
【請求項22】
請求項
12記載の方法において、前記還元ガスは、キャリアガスと、酸とを含むものである、方法。
【請求項23】
請求項
22記載の方法において、前記酸は、ギ酸および酢酸のうちの1つを含むものである、方法。
【請求項24】
請求項
12記載の方法において、前記還元ガスは、前記ボンディング装置に備えられた蒸気生成システムにより供給される飽和蒸気ガスである、方法。
【請求項25】
請求項
12記載の方法において、前記工程(d)は、前記半導体素子と前記基板との間に超音波エネルギーを適用する工程を含むものである、方法。
【請求項26】
請求項
12記載の方法において、前記工程(d)は、熱圧着式ボンディングにより前記複数の第1の導電性構造の各々を対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングする工程を含むものである、方法。
【請求項27】
半導体素子を基板にボンディングするためのボンディングシステムであって、前記基板は複数の第1の導電性構造を含むものであり、前記ボンディングシステムは、
前記基板を受け取るように構成された基板酸化物防止チャンバーであって、前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有するものである、前記基板酸化物防止チャンバーと、
複数の第2の導電性構造を含む半導体素子を前記基板にボンディングする間に還元ガス雰囲気を供給する還元ガス送達システムであって、前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されているものである、前記還元ガス送達システムと
、
前記半導体素子を前記基板にボンディングするボンディングツールを含むボンドヘッドであって、前記還元ガス送達システムは当該ボンドヘッドに一体化されているものである、前記ボンドヘッドと
を有する
、ボンディングシステム。
【請求項28】
請求項
27記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記基板を前記基板酸化物防止チャンバーに移送する基板移送システムを有するものである、ボンディングシステム。
【請求項29】
請求項
27記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物防止チャンバーは、不活性雰囲気を生成するために窒素が供給されているものである、ボンディングシステム。
【請求項30】
請求項
27記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記基板を前記基板酸化物防止チャンバー内に移動させるマテリアルハンドリングシステムを有するものである、ボンディングシステム。
【請求項31】
請求項
27記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物防止チャンバーは、前記半導体素子を前記基板にボンディングする際に前記基板を受け取るためのボンディング位置を含むものである、ボンディングシステム。
【請求項32】
請求項
27記載のボンディングシステムにおいて、前記半導体素子は半導体ダイである、ボンディングシステム。
【請求項33】
請求項
32記載のボンディングシステムにおいて、前記基板は半導体ウェハである、ボンディングシステム。
【請求項34】
半導体素子を基板にボンディングする方法であって、前記基板は複数の第1の導電性構造を含むものであり、前記方法は、
前記基板を基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程であって、前記基板酸化物防止チャンバーは前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有するものである、前記基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程と、
複数の第2の導電性構造を含む半導体素子を前記基板にボンディングする工程中に
ボンドヘッドに一体化された還元ガス送達システムによって還元ガス雰囲気を供給する工程であって、
前記ボンドヘッドは、前記半導体素子を前記基板にボンディングするボンディングツールを含むものであり、
前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されているものである、
前記還元ガス雰囲気を供給する工程と
を有する、方法。
【請求項35】
半導体素子を基板にボンディングするためのボンディングシステムであって、
複数の第1の導電性構造を含む基板を受け取るように構成された基板酸化物還元チャンバーであって、前記複数の第1の導電性構造の各々に接触する還元ガスを受け取るように構成されているものである、前記基板酸化物還元チャンバーと、
前記複数の第1の導電性構造に前記還元ガスが接触した後前記基板を受け取るように構成された基板酸化物防止チャンバーであって、前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有するものである、前記基板酸化物防止チャンバーと、
複数の第2の導電性構造を含む半導体素子を前記基板にボンディングする間に還元ガス雰囲気を供給する還元ガス送達システムであって、前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されているものである、前記還元ガス送達システムと、
を有し、
前記基板は、前記基板酸化物防止チャンバーにより受け取られた後、前記基板酸化物還元チャンバーに返送されるものである、
ボンディングシステム。
【請求項36】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記基板を前記基板酸化物還元チャンバーから前記基板酸化物防止チャンバーに移送する基板移送システムを有するものである、ボンディングシステム。
【請求項37】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物防止チャンバーは、不活性雰囲気を生成するために窒素が供給されているものである、ボンディングシステム。
【請求項38】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記基板を前記基板酸化物防止チャンバー内に移動させるマテリアルハンドリングシステムを有するものである、ボンディングシステム。
【請求項39】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物防止チャンバーは、前記半導体素子を前記基板にボンディングする際に前記基板を受け取るためのボンディング位置を含むものである、ボンディングシステム。
【請求項40】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記半導体素子を前記基板にボンディングするボンディングツールを含むボンドヘッドを有し、前記還元ガス送達システムは当該ボンドヘッドに一体化されているものである、ボンディングシステム。
【請求項41】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、さらに、
前記半導体素子を前記基板にボンディングする際に前記基板を支持する基板支持構造を有し、前記還元ガス送達システムは当該基板支持構造に一体化されているものである、ボンディングシステム。
【請求項42】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、前記半導体素子は半導体ダイである、ボンディングシステム。
【請求項43】
請求項42記載のボンディングシステムにおいて、前記基板は半導体ウェハである、ボンディングシステム。
【請求項44】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物還元チャンバーの少なくとも一部分は前記基板酸化物防止チャンバーと共通の境界を有するものである、ボンディングシステム。
【請求項45】
請求項35記載のボンディングシステムにおいて、前記基板酸化物還元チャンバーは、前記基板が前記基板酸化物防止チャンバーに移動された後、別の基板を受け取るように構成されているものである、ボンディングシステム。
【請求項46】
半導体素子を基板にボンディングする方法であって、
複数の第1の導電性構造を含む基板を基板酸化物還元チャンバー内に移動する工程であって、前記基板酸化物還元チャンバーは前記複数の第1の導電性構造の各々に接触する還元ガスを受け取るように構成されているものである、前記基板酸化物還元チャンバー内に移動する工程と、
前記複数の第1の導電性構造に前記還元ガスが接触した後前記基板を基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程であって、
前記基板酸化物防止チャンバーは前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有するものであり、
前記基板は、前記基板酸化物防止チャンバーにより受け取られた後、前記基板酸化物還元チャンバーに返送されるものである、
前記基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程と、
複数の第2の導電性構造を含む半導体素子を前記基板にボンディングする工程中に還元ガス雰囲気を供給する工程であって、前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されているものである、前記還元ガス雰囲気を供給する工程と
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月9日付で出願した米国特許仮出願第62/790,259号および2019年9月28日付で出願した米国特許仮出願第62/907,562号に対して利益を主張するものであり、その内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、(フリップチップボンディングシステム、熱圧着式ボンディング(thermocompression bonding)システム、およびサーモソニックボンディングシステムなどの)ボンディングシステムおよび当該システムの処理工程に関し、具体的には、半導体素子を基板にボンディング(接合)するための改良されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の半導体実装工程は通常、ダイ取り付け工程と、ワイヤーボンディング工程とを含む。半導体実装における先端技術(例えば、フリップチップボンディングシステム、熱圧着式ボンディングなど)は当該技術分野において注目を集めている。例えば、熱圧着式ボンディング(すなわち、TCB)では、(i)半導体素子上の導電性構造と(ii)基板上の導電性構造との間に複数の配線を形成するために熱および/または圧力(そして場合によっては超音波エネルギー)が使用される。
【0004】
特定のフリップチップボンディングおよび熱圧着式ボンディングの用途では、半導体素子および/または基板の導電性構造は、酸化およびその他の汚染の影響を受けやすい銅製構造体(例えば、銅柱)またはその他の材料を含む場合がある。このような用途においては、ボンディングに好適な雰囲気を提供することが望ましい。従来技術では、ボンディング領域に還元ガスを用いることでそのような雰囲気が提供されており、それにより、半導体素子の導電性構造、または半導体素子がボンディングされる基板の導電性構造の潜在的な酸化および/または汚染が低減される。
【0005】
したがって、還元ガスを利用して半導体素子を基板にボンディングするための改良方法が望まれている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2002/0130164号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2015/0048523号明細書
(特許文献3) 特開2013-251404号公報
(特許文献4) 韓国公開特許第10-2013-0083400号公報
(特許文献5) 米国特許出願公開第2011/0045653号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な1実施形態によれば、半導体素子を基板にボンディングするためのボンディングシステムが提供される。前記ボンディングシステムは基板を受け取るように構成された基板酸化物還元チャンバーを含む。前記基板は、複数の第1の導電性構造を含む。前記基板酸化物還元チャンバーは前記複数の第1の導電性構造の各々に接触する還元ガスを受け取るように構成されている。前記ボンディングシステムはまた、前記複数の第1の導電性構造に前記還元ガスが接触した後前記基板を受け取るように構成された基板酸化物防止チャンバーを含む。前記基板酸化物防止チャンバーは、前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有する。前記ボンディングシステムはまた、半導体素子を前記基板にボンディングする間に還元ガス雰囲気を供給する還元ガス送達システムを含む。前記半導体素子は複数の第2の導電性構造を含む。前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されている。
【0007】
本発明の例示的な別の実施形態によれば、半導体素子を基板にボンディングする方法が提供される。前記方法は、複数の第1の導電性構造を含む基板を基板酸化物還元チャンバー内に移動する工程であって、前記基板酸化物還元チャンバーは前記複数の第1の導電性構造の各々に接触する還元ガスを受け取るように構成されているものである、前記基板酸化物還元チャンバー内に移動する工程と、前記複数の第1の導電性構造に前記還元ガスが接触した後前記基板を基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程であって、前記基板酸化物防止チャンバーは前記基板を受け取る際に不活性雰囲気を有するものである、前記基板酸化物防止チャンバー内に移動する工程と、複数の第2の導電性構造を含む半導体素子を前記基板にボンディングする工程中に還元ガス雰囲気を供給する工程であって、前記複数の第1の導電性構造の各々は、対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングされるように構成されているものである、前記還元ガス雰囲気を供給する工程とを含む。
【0008】
本発明の例示的なさらなる実施形態によれば、半導体素子を基板にボンディングする方法が提供される。前記方法は、(a)複数の第1の導電性構造を含む半導体素子をボンディング装置のボンディングツールによって保持する工程と、(b)複数の第2の導電性構造を含む基板を支持構造によって支持する工程と、(c)前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造の各々と接触する還元ガスを供給する工程と、(d)前記工程(c)の後、前記複数の第1の導電性構造の各々を対応する前記複数の第2の導電性構造にボンディングする工程とを含む。前記複数の第1の導電性構造および前記複数の第2の導電性構造のうちの少なくとも1つは、はんだ材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに一読することにより最も良く理解される。一般的な方法に従い、図面の種々の構成要素は原寸に比例したものではない。むしろ、種々の構成要素の寸法は、明確化のため、任意に拡張または縮小されている。
【
図1A】
図1Aは、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするボンディングシステムのブロック図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするボンディングシステムのブロック図である。
【
図2A】
図2A~2Gは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図2B】
図2A~2Gは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図2C】
図2A~2Gは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図2D】
図2A~2Gは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図2E】
図2A~2Gは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図2F】
図2A~2Gは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図2G】
図2A~2Gは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図3A】
図3A~3Bは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、別の基板の前処理が行われている間に半導体素子を基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態による方法を示す。
【
図3B】
図3A~3Bは、
図1Aのボンディングシステムについての一連のブロック図であり、別の基板の前処理が行われている間に半導体素子を基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態による方法を示す。
【
図4】
図4は、はんだ材料を含む導電性構造を有する半導体素子を基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態によるボンディングシステムのブロック図である。
【
図5】
図5は、はんだ材料を含む導電性構造を有する半導体素子を基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態によるボンディングシステムのブロック図である。
【
図6】
図6は、はんだ材料を含む導電性構造を有する半導体素子を、はんだ材料を含む導電性構造を有する基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態によるボンディングシステムのブロック図である。
【
図7】
図7は、はんだ材料により形成された導電性構造を有する半導体素子を基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態によるボンディングシステムのブロック図である。
【
図8】
図8は、はんだ材料により形成された導電性構造を有する半導体素子を基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態によるボンディングシステムのブロック図である。
【
図9】
図8は、はんだ材料により形成された導電性構造を有する半導体素子を、はんだ材料により形成された導電性構造を有する基板にボンディングするための、本発明の例示的な1実施形態によるボンディングシステムのブロック図である。
【
図10A】
図10A~10Dは、
図4のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図10B】
図10A~10Dは、
図4のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図10C】
図10A~10Dは、
図4のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図10D】
図10A~10Dは、
図4のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図11A】
図11A~11Dは、別のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図11B】
図11A~11Dは、別のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図11C】
図11A~11Dは、別のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【
図11D】
図11A~11Dは、別のボンディングシステムについての一連のブロック図であり、本発明の例示的な1実施形態による、半導体素子を基板にボンディングするための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用する「半導体素子」という用語は、半導体チップまたはダイを含む(または後続工程で含むように構成された)任意の構造体を指すことを意図している。例示的な半導体素子は特に、ベア半導体ダイ(bare semiconductor die)、基板上の半導体ダイ(例えば、リードフレーム、PCB、キャリア、半導体チップ、半導体ウェハ、BGA基板、半導体素子など)、実装済半導体装置、フリップチップ半導体装置、基板に埋め込まれたダイ、およびスタック型半導体ダイを含む。さらに、半導体素子は、半導体パッケージにボンディングされる、または含まれるように構成された素子(例えば、スタック型ダイ構造、基板などにボンディングされるスペーサーなど)を含んでもよい。
【0011】
本明細書で使用する「基板」という用語は、半導体素子がボンディングされる任意の構造体を指すことを意図している。例示的な基板は、例えば、リードフレーム、PCB、キャリア、モジュール、半導体チップ、半導体ウェハ、BGA基板、および別の半導体素子などを含む。
【0012】
本発明の例示的な特定の実施形態によれば、還元ガスを使用することでフラックスを必要としないボンディングシステムが提供される。当該ボンディングシステムは、例えば、フリップチップボンディングシステム、熱圧着式ボンディングシステム、およびサーモソニックボンディングシステムなどであってもよい。
【0013】
本発明の態様は、フラックスを使用せずにチップを基板またはウェハにボンディングする新規のシステムに関し、当該システムでは、ボンディング中(例えば、熱圧着式ボンディング中)に金属およびはんだパッドの酸化が防止される。
【0014】
例示的なシステムは、フラックスの使用を除外するために、「基板酸化物還元チャンバー(基板洗浄区画とも呼ばれる)」と、「基板酸化物防止チャンバー(基板保護区画とも呼ばれる)」と、「還元ガス送達システム(例えば、チップおよび基板の酸化物を還元するための局部的なボンドヘッドのシュラウド、またはその他の還元ガス送達システム)」とを含む。
【0015】
図1Aは、例示的なボンディングシステム300を示す。ボンディングシステム300は、基板104(例えば、ウェハ、プリント回路基板など)を支持構造300a1上に供給する基板供給源300a(例えば、ウェハハンドリング装置またはその他の供給源)と、処理システム300bとを含む。基板104は、(例えば、トンネル302、若しくは異なるタイプの構造を含む)処理システム300bに移送されるように構成されている。トンネル302(若しくは適宜その他の構造)は、基板酸化物還元チャンバー302aと、基板酸化物防止チャンバー302bと、(基板酸化物防止チャンバー302bの一部である)ボンディング位置302cとを含む。また、処理システム300bは還元ガス送達システムも含む。
【0016】
図1Aに示す例においてトンネル302は、基板酸化物還元チャンバー302a、および基板酸化物防止チャンバー302bの双方を含むものであり、したがって基板酸化物還元チャンバー302aの少なくとも一部分は基板酸化物防止チャンバー302bと共通の境界を有する。基板酸化物還元チャンバー302aは、(開口部302a1aを閉鎖する)入口扉部302a1および(開口部302a2aを閉鎖する)出口扉部302a2をによって閉鎖される。(共通の還元ガス供給源を利用するために還元ガス送達システム308と相互接続可能である)別の還元ガス送達システム302dが提供され、これにより基板酸化物還元チャンバー302aに還元ガス(例えば、ギ酸蒸気)が供給される。基板酸化物還元チャンバー302aにおける処理(例えば、基板104の導電性構造における酸化物の除去)の後、(支持構造102を含むマテリアルハンドリングシステムの一部であってもよい)基板移送システムによって基板104が出口扉部302a2を介して基板酸化物防止チャンバー302bに移送される。基板酸化物防止チャンバー302bは、(明確化のため図示しないが、例えば、窒素供給装置により提供される)不活性雰囲気306を含む。(例えば、支持構造102を含む)マテリアルハンドリングシステムによって基板酸化物防止チャンバー302b内の基板104がボンディング位置302cに移動され、ボンディング位置302cにおいて還元ガス送達システム308により還元ガス130が供給される。
【0017】
図1Aはまた、加熱器108と、ボンディングツール110とを含むボンドヘッドアセンブリ106を示す。
図1Aはさらに、配管304および114b1を通して排ガス(例えば、還元ガスの蒸気などのガス)を吸引する主排気部304を示す(本図では、以下に説明するように、配管114b1は直接または間接的に中央導管114bに連結されている)。ボンドヘッドアセンブリ106は、所定の用途において適宜、(例えば、ガス、蒸気などの)流体を受け取って分給するボンドヘッド用多岐管114を備える。例示的なボンドヘッド用多岐管114を含む、例示的なボンドヘッドアセンブリ106の詳細については、
図4~9および
図10A~10Dに関連して説明する。
【0018】
ボンディング作業に関連して、半導体素子112はボンディングツール110によって基板104にボンディングされる。ボンディング作業中、半導体素子112の各導電性構造は、(例えば、熱、力、超音波エネルギーを利用して)基板104の対応する各導電性構造にボンディングされる。ボンドヘッド用多岐管114は、ボンディング作業中に半導体素子112および基板104が配置されている領域に(飽和蒸気ガスである)還元ガス130を供給する。半導体素子112および基板104が配置されている領域に還元ガス130が分給された後、還元ガス130は、半導体素子112および基板104の各導電性構造の表面に接触する。
【0019】
図1Bは、多くの点で
図1Aのボンディングシステム300に類似するボンディングシステム400を示す(本図では、同様の要素は同一の参照番号を有するか、若しくは「3」の代わりに「4」で始まる参照番号を有する)。ボンディングシステム400は、基板104(例えば、ウェハ、プリント回路基板など)を支持構造400a1上に供給する基板供給源400a(例えば、ウェハハンドリング装置またはその他の供給源)を含む。基板104は、(例えば、トンネル402、若しくは異なるタイプの構造を含む)処理システム400bに移送されるように構成されている。トンネル402(若しくは適宜その他の構造)は、基板酸化物還元チャンバー402aと、基板酸化物防止チャンバー402bと、(基板酸化物防止チャンバー402bの一部である)ボンディング位置402cとを含む。
【0020】
図1Bに示す例においてトンネル402は、基板酸化物還元チャンバー402a、および基板酸化物防止チャンバー402bの双方を含むものであり、したがって基板酸化物還元チャンバー402aの少なくとも一部分は基板酸化物防止チャンバー402bと共通の境界を有する。また、処理システム400bは還元ガス送達システム408を含む。基板酸化物還元チャンバー402aは、(開口部402a1aを閉鎖する)入口扉部402a1および(開口部402a2aを閉鎖する)出口扉部402a2によって閉鎖される。(共通の還元ガス供給源を利用するために還元ガス送達システム408と相互接続可能である)別の還元ガス送達システム402dが提供され、これにより基板酸化物還元チャンバー402aに還元ガス(例えば、ギ酸蒸気)が供給される。基板酸化物還元チャンバー402aにおける処理(例えば、基板104の導電性構造における酸化物の除去)の後、(支持構造102を含むマテリアルハンドリングシステムの一部であってもよい)基板移送システムによって基板104が出口扉部402a2を介して基板酸化物防止チャンバー402bに移送される。基板酸化物防止チャンバー402bは、(明確化のため図示しないが、例えば、窒素供給装置により提供される)不活性雰囲気406を含む。(例えば、支持構造102を含む)マテリアルハンドリングシステムによって基板酸化物防止チャンバー402b内の基板104がボンディング位置302cに移動され、ボンディング位置402cにおいて還元ガス送達システム408により還元ガス130が供給される。
【0021】
図1Bはまた、加熱器108と、ボンディングツール110とを含むボンドヘッドアセンブリ106を示す。
図1Bはさらに、配管404aおよび404bを通して排ガス(例えば、還元ガスの蒸気などのガス)を吸引する主排気部404を示す。所定の用途において適宜、(例えば、ガス、蒸気などの)流体を受け取って分給するボンドヘッド用多岐管214が提供される。例示的なボンドヘッドアセンブリ106およびボンドヘッド用多岐管214の詳細については、
図11A~11Dに関連して説明する。
【0022】
ボンディング作業に関連して、半導体素子112はボンディングツール110によって基板104にボンディングされる。ボンディング作業中、半導体素子112の各導電性構造は、(例えば、熱、力、超音波エネルギーを利用して)基板104の対応する各導電性構造にボンディングされる。ボンドヘッド用多岐管214は、ボンディング作業に関連して、半導体素子112および基板104が配置されている領域に(例えば、飽和蒸気ガスである)還元ガス130を供給する。半導体素子112および基板104が配置されている領域に還元ガス130が分給された後、還元ガス130は、半導体素子112および基板104の各導電性構造の表面に接触する。
【0023】
図2A~2Gは、
図1Aに示すボンディングシステム300を利用した本発明の例示的な1実施形態に関連する、半導体素子112を基板104にボンディングする方法を示す。
図2Aは、基板供給源300a内の基板104を示し、入口扉部302a1が開位置にある。基板酸化物還元チャンバー302a、および基板酸化物防止チャンバー302bは、不活性雰囲気306(例えば、窒素雰囲気)を有する。
図2Bにおいて、基板104は基板ハンドリングシステム、(例えば、支持構造102を含むマテリアルハンドリングシステムなど)により、開口部302a1aを介して基板酸化物還元チャンバー302aに移動される。
図2Cにおいて、入口扉部302a1は閉鎖され、還元ガス送達システム302dにより基板酸化物還元チャンバー302aに還元ガス130(例えば、ギ酸蒸気)が供給される。還元ガス130により、基板104上の金属およびはんだパッド(すなわち、導電性構造)から残留酸化物が除去される。
図2Dにおいて、出口扉部302a2が開放され、
図2Eに示すように、基板104は基板酸化物還元チャンバー302aから基板酸化物防止チャンバー302bに移動される。基板酸化物防止チャンバー302bは、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)を含む。
図2Fにおいて、基板104は、(例えば、支持構造102を含むマテリアルハンドリングシステムにより)ボンディング位置302cに移動される。ボンディング位置302cにおいて、還元ガス130がボンドヘッド用多岐管114から半導体素子112および基板104に向かって供給される。半導体素子112の基板104へのボンディング工程中に還元ガス130が供給されることにより、半導体素子112上の酸化物および基板104上の残留酸化物が減少若しくは除去される。
図2Gにおいて、ボンドヘッドアセンブリ106により半導体素子112は基板104にボンディングされる。
【0024】
図2A~2Gではボンディングシステム300を示しているが、
図1Bで示すボンディングシステム400、または本発明の範囲内のその他のボンディングシステムに対して実質的に類似した工程を適用することができることを理解されたい。
【0025】
図2A~2Gにおける例示的な工程では単一の基板104を示しているが、システム300(または
図1Bのボンディングシステム400)(または本発明の範囲内のその他のボンディングシステム)内で複数の基板104を処理することともできる。
図3Aおよび3Bは、そのような複数の基板104を示す。
図3Aにおいて、(基板酸化物還元チャンバー302aにより既に処理された)第1の基板104は、基板酸化物防止チャンバー302bのボンディング位置302cに移動中である。
図3Bにおいて、第1の基板104はボンディング位置302cに配置されているが、その一方、別の基板104は、(例えば、当該基板上の導電性構造の洗浄などのために)基板酸化物還元チャンバー302a内に配置されている。
【0026】
本発明の例示的な態様では、(例えば、基板酸化物還元チャンバー302aに再移送するなど)基板104を再加工する機会が設けられている。このようなアプローチは、例えば、小型のダイ(例えば、0.1mm~1mm)を大面積(例えば、直径200mm~300mmの基板)にボンディングする場合など、基板の長時間にわたる熱への暴露が避けられない状況において有利である。
【0027】
本発明は特に、フラックスを使用しないボンディング(例えば、ボンディング工程前またはボンディング工程中に半導体素子または基板にフラックスを添加する必要がない)、半導体素子および基板上の酸化物(例えば、パッド/バンプ(bumps)上に形成された銅酸化物およびスズ酸化物などの金属酸化物)の還元とともに長時間にわたる熱への暴露による酸化物形成の防止、窒素ガス(または、基板酸化物防止チャンバー内に不活性雰囲気を提供するその他のガス)の低消費、および予備洗浄チャンバーと、不活性ガスチャンバーと、その場で酸化物を洗浄するボンドヘッドが同一のボンディングシステム内に提供されていること、など数多くの利点を提供する。
【0028】
図1、
図2A~2G、および
図3A~3Bでは明示されていないが、ボンディング作業は、半導体素子112(または複数の素子)をトンネル(例えば、トンネル302
/402)内の基板104の接合場所の一部分(ボンディング領域)にボンディングする工程を含むことを理解されたい。例えば、基板104の接合場所の一部分はトンネル302
/402の開口部によって露出されており、この開口部
302e/402eを通じてボンディングツールが下降されボンディング作業が完了する。基板104の一部分を一回のみ露出することでトンネル302
/402内の雰囲気はより良好に維持される。
【0029】
(導電性構造を含む)半導体素子112の(導電性構造を含む)基板104へのボンディング(例えば、熱圧着式ボンディング)に関連して、ボンディングツール110を介して(例えば、ボンドヘッドアセンブリ106の加熱器からの)熱を提供することができる。また、(半導体素子112および/または基板104の)導電性構造表面上の酸化物および/またはその他の汚染物質を洗浄するために還元ガスを供給することができる。
【0030】
このような方法の特定の例では、半導体素子112(例えば、半導体チップ)は、供給源(例えば、半導体ウェハ)から熱圧着式ボンディング装置またはフリップチップボンディング装置のボンディングツール110に移送される。半導体素子112が(例えば、真空を利用して)ボンディングツール110により保持された状態で、(ボンディングツール110を保持する)ボンドヘッドアセンブリ106は望ましいボンディング位置に移動される。半導体素子112は、(当該半導体素子および/または基板104の加熱中に)基板104のボンディング位置にボンディングされる(この場合、ボンディングは還元ガスの存在下で行われる)。半導体素子112および/または基板104の各導電性構造は、はんだ材料を含むか(例えば、導電性構造は接触面にはんだ材料を含み、またははんだ材料から形成されてもよい)、若しくは別の導電性材料(例えば、銅)から形成されてもよい。
【0031】
(
図4~9、
図10A~10D、および
図11A~11Dを含む)様々な図全体において、同様の参照番号は、本明細書で説明する場合を除いて、同様の要素を指す。
【0032】
ここで
図4では、ボンディング装置100(例えば、フリップチップボンディング装置、熱圧着式ボンディング装置など)が提供されている。ボンディング装置100は、ボンディング作業中に基板104を支持する支持構造102を含む(ここで、基板104は複数の導電性構造104aを含む)。支持構造102は、特定の用途に好適な任意の構造を含むことができる。
図4~9、
図10A~10Dにおいては、支持構造102は、(基板104を直接支持するように構成された)上部プレート102aと、チャック102cと、当該上部プレートとチャックとの間に配置された加熱器102bとを含む。ボンディング作業に関連して基板104の加熱が望ましい用途では、加熱器102bなどの加熱器が利用される。
【0033】
図4はまたボンドヘッドアセンブリ106を示し、このボンドヘッドアセンブリ106は、例えば、x軸、y軸、z軸、シータ(回転)軸などの、ボンディング装置100における複数の軸に沿って(および軸の周りを)移動するように構成されている。ボンドヘッドアセンブリ106は、加熱器108と、ボンディングツール110とを含む。すなわち、特定のボンディング装置(例えば、熱圧着式ボンディング装置)においては、ボンディングツールを加熱するのが望ましい。
図4は(複数の導電性構造112aを含む半導体素子112を加熱するために)ボンディングツール110を加熱する独立した加熱器108を示すが、加熱器108およびボンディングツール110を一体化した単一の要素(例えば、加熱されたボンディングツール)とすることもできる。
【0034】
ボンディング作業に関連して、半導体素子112はボンディングツール110によって基板104にボンディングされる。ボンディング作業中、各導電性構造112aは、(例えば、熱、力、超音波エネルギーを利用して)対応する各導電性構造104aにボンディングされる。
図4において、導電性構造112aは、各導電性構造112aの接触部(例えば、基板104の導電性構造104aに接触するように構成された部分)において、はんだ材料112a1を含む。
【0035】
特定のボンディング用途(例えば、銅製導電性構造を有するフリップチップボンディングおよび/または熱圧着式ボンディング)では、ボンディングに好適な雰囲気を提供することが望ましい。従来技術では、ボンディング領域に還元ガスを用いることでそのような雰囲気が提供されており、それにより、半導体素子の導電性構造、または半導体素子がボンディングされる基板の導電性構造の潜在的な汚染が低減される。
【0036】
図4では、ボンドヘッドアセンブリ106は、所定の用途において適宜、(例えば、ガス、蒸気などの)流体を受け取って分給するボンドヘッド用多岐管114を備える。
図4ではボンドヘッド用多岐管114は断面図として示されているが、実際のボンドヘッド用多岐管114はボンディングツール110を取り囲んでいる(例えば、ボンドヘッド用多岐管114が同軸配置されてボンディングツール110を取り囲んでいる)。当然ながら、ボンドヘッド用多岐管114は
図4で示す構成とは異なる構成を有することが可能である。さらに、ボンドヘッド用多岐管114の特定の細部(例えば、配管120との相互接続部、ボンドヘッド用多岐管114内に還元ガスを分給する構造の細部、ボンドヘッド用多岐管114内にシールドガスを分給する構造の細部、ボンドヘッド用多岐管114の中央導管から真空を引く構造の細部)については、明確化のため省略されていることを理解されたい。
【0037】
ボンドヘッド用多岐管114は、異なる機能を有する3つの導管(channels)114a、114b、114cを有する。外側導管114aは、シールドガス供給装置118からシールドガス(例えば、窒素ガス)を受け取る。すなわち、シールドガスは、シールドガス供給装置118(例えば、窒素供給装置)から配管120(この場合配管120は、硬質配管、可撓性導管、その組み合わせ、または本明細書に記載する流体を移送するように構成された任意の他の構造を含む)を通じてボンドヘッド用多岐管114の外側導管114aに供給される。ボンドヘッド用多岐管114の外側導管114aからシールドガス128が外部環境に対するシールドとして供給される(例えば、
図10B~10Cを参照)。
【0038】
内側導管114cは、配管120を通じて還元ガス130(例えば、
図10B~10Cを参照)(この場合還元ガスは飽和蒸気ガス)を受け取り、ボンディング作業に関連して、還元ガス130を半導体素子112および基板104の領域に供給する。還元ガス130は蒸気生成システム122によって供給されるが、還元ガス126として開始される。
図4に示す例では、蒸気生成システム122は気泡生成型システムであり、当該気泡生成型システムの容器122a内には(例えば、ギ酸、酢酸などの)酸性液124が含まれる。キャリアガス(例えば、窒素)が(配管120を通じて)容器122a内の酸性液124に供給され、この酸性液内でキャリアガスは酸性液124のキャリアとして作用する。このキャリアガス(例えば、窒素)と酸性液124はともに還元ガス126として移送される。配管120内の配管部120aにおいて、(例えば、適宜還元ガスの濃度を変化させるために)追加のキャリアガス(例えば、窒素)を還元ガス126に添加することができ、それによりボンディング作業に関連して、半導体素子112および基板104の領域に還元ガス130が供給される。還元ガス130は、半導体素子112および基板104の領域に分給された後、各導電性構造104aおよび各導電性構造112aの表面に接触する(例えば、
図10Bを参照)。これに続き、導電性構造104a/112aの表面は反応生成物を含む可能性がある(例えば、この反応生成物は、(i)導電性構造104a/112a上の表面酸化物、および(ii)還元ガス130からの還元ガス(さらに、可能性として加熱器108により適宜供給され、導電性構造112aに接触することで導電性構造104aに伝導される熱)によって生成される)。当該反応生成物は、ボンドヘッド用多岐管114の中央導管114bに供給される真空を利用してボンディング領域(半導体素子112の導電性構造112aが基板104の対応する導電性構造104aにボンディングされる領域)から配管116を通じて除去されることが望ましい。
【0039】
以上のように
図4は、(i)ボンディング装置100の様々な要素、(ii)キャリアガス供給部118からボンドヘッド用多岐管114の外側導管114aまでのキャリアガスの流路、(iii)蒸気生成システム122からボンドヘッド用多岐管114の内側導管114cまでの(配管120から追加のキャリアガスを受け取ることが可能な)還元ガス126の流路(内側導管114cにおいて、還元ガスは還元ガス130として放出される)および(iv)ボンドヘッド用多岐管114の中央導管114bからの真空によって吸引されるガス(導電性構造104a/112aの表面から反応生成物を除去するガス)の流路を示す。
図4ではガスは流動していないが、上記流路を様々な矢印によって示している(例示的な作業については、
図10A~10Dを参照)。
【0040】
図5では、
図4で示したボンディング装置100を再び示しているが、導電性構造112aは、
図4に示すはんだ材料112a1を含まない。その代わりに
図5においては、導電性構造104aが、当該導電性構造の各々の接触部(例えば、半導体素子112の導電性構造112aに接触するように構成された部分)においてはんだ材料104a1を含む。
【0041】
図6では、
図4~5で示したボンディング装置100を再び示しているが、導電性構造112aは、
図4に示すはんだ材料112a1を含み、導電性構造104aは
図5に示すはんだ材料104a1を含む。
【0042】
図7では、
図4で示したボンディング装置100を再び示しているが、(
図4に示す)導電性構造112aは、はんだ材料で形成された導電性構造112a2に交換されている。すなわち、導電性構造112aが接触部にはんだ材料112a1を含む
図4とは異なり、
図7においては、導電性構造112a2は全体的にはんだ材料で形成されている。
【0043】
図8では、
図5で示したボンディング装置100を再び示しているが、(
図5に示す)導電性構造104aは、はんだ材料で形成された導電性構造104a2に交換されている。すなわち、導電性構造104aが接触部にはんだ材料104a1を含む
図5とは異なり、
図8においては、導電性構造104a2は全体的にはんだ材料で形成されている。
【0044】
図9では、
図4~8で示したボンディング装置100を再び示しているが、(
図4および6に示す、はんだ材料112a1を含む)導電性構造112aは、
図7に示す(全体的にはんだ材料で形成された)導電性構造112a2に交換されている。さらに、
図9では、(
図5に示す、はんだ材料104a1を含む)導電性構造104aは、
図8に示す(全体的にはんだ材料で形成された)導電性構造104a2に交換されている。
【0045】
すなわち、本発明の特定の態様によれば、ボンディング工程中の半導体素子の導電性構造、またはボンディング工程中の半導体素子を受け入れるように構成された基板にはんだ材料を含むことができ、このはんだ材料は多くの異なる形態で含むことができる。例えば、導電性構造の接触部においてはんだ材料を含むことができる(例えば、
図4~6を参照)。別の非限定的な例においては、導電性構造ははんだ材料から形成することができる(例えば、
図7~9を参照)。
【0046】
図10A~10D、および
図11A~11Dは、半導体素子を基板にボンディングする方法を示す。
図10A~10D、および
図11A~11Dの各図においては、(i)
図4に示すように、(接触部にはんだ材料112a1を含む導電性構造112aを有する)半導体素子112が示されており、(ii)
図4に示すように、(はんだ材料を含まない導電性構造104aを有する)基板104が示されている。しかしながら、
図10A~10D、および
図11A~11Dに関連して示しかつ説明する方法は、
図4~9の各図における半導体素子および基板に同様に適用可能であり、また、本発明の範囲内の任意の別の実施形態における半導体素子および基板にも同様に適用可能であることを理解されたい。
【0047】
図10A~10D、および
図11A~11Dに関連して示しかつ説明する方法の工程の前に半導体素子112および/または基板104は「洗浄」される。例えば、半導体素子112および基板104のうちの1つまたは双方の導電性構造112a、104aを塩酸または酢酸などの溶剤によって洗浄することができる。このような洗浄工程は、半導体素子112および/または基板104の少なくとも一部分を前記溶剤に浸すことにより行なわれる。
【0048】
図10Aを参照すると、(ボンドヘッド106に保持された)半導体素子112は、基板104の上方に配置されている。
図10Bに示すように、蒸気生成システム122が作動されてボンディング領域に還元ガス130が生成される。具体的には、
図10Bは、還元ガス130がボンディング領域に供給され、シールドガス128が供給されるとともに、出口配管116を通じてボンドヘッド用多岐管114の中央導管114bから真空が引かれる図を示す。すなわち、還元ガス130が流動して半導体素子112および基板104の望ましい部分(例えば、導電性構造104aおよび導電性構造112a)に到達することで導電性構造104aおよび導電性構造112aから汚染物質が除去され、および/または導電性構造104aおよび導電性構造112aをさらなる潜在的な汚染からシールドする。
【0049】
図10Bに示すように、(半導体素子112の)各導電性構造112aは、(基板104の)各導電性構造104aと整合している。
図10Cにおいて、例えば、ボンドヘッド106を下降させることにより、処理工程はボンディング工程(例えば、熱圧着式ボンディング工程)に進む。すなわち、導電性構造112aが対応する導電性構造104aにボンディングされる。この工程は、(例えば、熱および/または50~300Nのより大きい接合力を含む)熱圧着式ボンディング工程であってもよく、さらに、(例えば、ボンドヘッドアセンブリ106に備えられた超音波トランスデューサからの)超音波エネルギーの伝達を含んでもよい。
図10Dにおいてボンディング工程は完了する。すなわち、対応する導電性構造112a、104aがこの時点で互いにボンディングされ、はんだ材料112a1が当該導電性構造の間で変形することで半導体素子112は基板104にボンディングされる。
【0050】
図10A~10D(および
図4~9)では、還元ガスおよびシールドガスを送達し、真空を提供するための、ボンドヘッドと一体化した多岐管が示されているが、本発明はそのような多岐管に限定されるものではない。例えば、多岐管をボンドヘッドと一体化させることでこのような機能を提供する代わりに、基板を支持する支持構造と一体化させることでこのような機能を提供することができる。さらに、このような機能をボンドヘッドアセンブリと支持構造(およびボンディング装置のその他の構造)との間で分担させることも可能である。
図11A~11Dは、ボンディング装置100"の一連のブロック図であり、多岐管の(還元ガスおよびシールドガスを送達し、真空を提供する)機能が支持構造202と一体化されていることを除いて、
図4および
図10A~10Dに関連して示しかつ説明した要素および機能と類似する特定の要素および機能を有する。
【0051】
図11Aはボンディング装置100"(例えば、フリップチップボンディング装置、熱圧着式ボンディング装置など)を示す。ボンディング装置100"は、ボンディング作業中に基板104を支持する支持構造202を含む(ここで、基板104は複数の導電性構造104aを含む)。支持構造202は、特定の用途に好適な任意の構造を含むことができる。
図11A~11Dにおいては、支持構造202は、(基板104を直接支持するように構成された)上部プレート202aと、チャック202cと、当該上部プレートとチャックとの間に配置された加熱器202bとを含む。ボンディング作業に関連して基板104の加熱が望ましい用途では、加熱器202bなどの加熱器を利用することができる。
【0052】
図11Aはまた(加熱器108と、ボンディングツール110とを含む)ボンドヘッドアセンブリ106を示し、このボンドヘッドアセンブリ106は、例えば、x軸、y軸、z軸、シータ(回転)軸などの、ボンディング装置100"における複数の軸に沿って(および軸の周りを)移動するように構成されている。
図11Aでは、ボンドヘッドアセンブリ106は、部分的にシールドガス128および還元ガス130のうちの少なくとも1つを含むプレート107を保持する(以下の説明を参照)。
【0053】
(
図10A~10Dに示す)ボンドヘッドアセンブリ106により保持されたボンドヘッド用多岐管114とは異なり、
図11A~11
Dは支持構造202によって保持および/または支持構造202に一体化された多岐管214を示す。多岐管214は、所定の用途において適宜、(例えば、ガス、蒸気などの)流体を受け取って分給するように構成されている。
図11Aでは多岐管214は断面図として示されているが、実際の多岐管214は少なくとも部分的にボンディングツール110を取り囲んでいる。当然ながら、多岐管214は
図11Aで示す構成とは異なる構成を有することが可能である。さらに、多岐管214の特定の細部(例えば、配管120との相互接続部、多岐管214内に還元ガス130を分給する構造の細部、多岐管214内にシールドガス128を分給する構造の細部、多岐管214の中央導管から真空を引く構造の細部)については、明確化のため省略されていることを理解されたい。
【0054】
多岐管214は、異なる機能を有する3つの導管214a、214b、214cを有する。外側導管214aは、配管120を通じてシールドガス供給装置118からシールドガス128(例えば、窒素ガス)を受け取る。多岐管214の外側導管214aからシールドガス128が外部環境に対するシールドとして供給される(例えば、
図11B~11Cを参照)。内側導管214cは、配管120を通じて還元ガス130(例えば、
図11B~11Cを参照)(この場合還元ガスは飽和蒸気ガス)を受け取り、ボンディング作業に関連して、還元ガス130を半導体素子112および基板104の領域に供給する。還元ガス130は蒸気生成システム122によって供給されるが、還元ガス126として開始される(
図4に関連する上記記載を参照)。還元ガス130は、半導体素子112および基板104の領域に分給された後、各導電性構造104aおよび各導電性構造112aの表面に接触する。これに続き、導電性構造104a/112aの表面は反応生成物を含む可能性がある(例えば、この反応生成物は、(i)導電性構造104a/112a上の表面酸化物、および(ii)還元ガス130からの還元ガス(さらに、可能性として加熱器108により適宜供給される熱)によって生成される)。当該反応生成物は、多岐管214の中央導管214bに供給される真空を利用してボンディング領域(半導体素子112の導電性構造112aが基板104の対応する導電性構造104aにボンディングされる領域)から出口配管216を通じて除去されることが望ましい。
【0055】
以上のように
図11Aは、(i)ボンディング装置100"の様々な要素、(ii)キャリアガス供給部118から多岐管214の外側導管214aまでのキャリアガスの流路、(iii)蒸気生成システム122から多岐管214の内側導管214cまでの(配管120aから追加のキャリアガスを受け取ることが可能な)還元ガス126の流路、および(iv)多岐管214の中央導管214bからの真空によって吸引されるガス(導電性構造104a/112aの表面から反応生成物を除去するガス)の流路を示す。
図11Aではガスは流動していないが、上記流路を様々な矢印によって示している。
【0056】
図11Aを参照すると、(ボンドヘッド106に保持された)半導体素子112は、基板104の上方に配置される。
図11Bに示すように、蒸気生成システム122が作動されてボンディング領域に還元ガス130が生成される。具体的には、
図11Bは、還元ガス130がボンディング領域に供給され、シールドガス128が供給されるとともに、出口配管116を通じて多岐管214の中央導管214bから真空が引かれる図を示す。すなわち、還元ガス130が流動して半導体素子112および基板104の望ましい部分(例えば、導電性構造104aおよび導電性構造112a)に到達することで導電性構造104aおよび導電性構造112aから汚染物質が除去され、および/または導電性構造104aおよび導電性構造112aをさらなる潜在的な汚染からシールドする。
【0057】
図11Bに示すように、(半導体素子112の)各導電性構造112aは、(基板104の)各導電性構造104aと整合している。
図11Cにおいて、例えば、ボンドヘッド106を下降させることにより、処理工程はボンディング工程(例えば、熱圧着式ボンディング工程)に進む。すなわち、導電性構造112aが対応する導電性構造104aにボンディングされる。この工程は、(例えば、熱および/または50~300Nのより大きい接合力を含む)熱圧着式ボンディング工程であってもよく、さらに、(例えば、ボンドヘッドアセンブリ106に備えられた超音波トランスデューサからの)超音波エネルギーの伝達を含んでもよい。
図11Dにおいてボンディング工程は完了する。すなわち、対応する導電性構造112a、104aがこの時点で互いにボンディングされ、はんだ材料112a2が当該導電性構造の間で変形することで半導体素子112は基板104にボンディングされる。
【0058】
(i)還元ガス130の流動および(ii)シールドガス128の流動の方向を制御し、かつ(iii)真空を引くための多岐管114、214のうちの1つに関連して主に本発明を説明してきたが、当該ガスの流動パターンを制御するために使用される構造は図示したものと異なる構造でもよいことを理解されたい。すなわち、流体130、128を供給および方向の制御(とともに真空を引く)ために使用される構造の構成は図示したものと大幅に異なっていてもよい。
【0059】
本明細書において、
図4~9、
図10A~10D、および
図11A~11Dに関連して記載された本発明は特に、フラックスを使用しないボンディング(例えば、ボンディング工程前またはボンディング工程中に半導体素子または基板にフラックスを添加する必要がない)、半導体素子および基板上の酸化物の還元など数多くの利点を提供する。
【0060】
ボンディング装置100(
図4~9、および
図10A~10Dを参照)、および/またはボンディング装置100"(
図11A~11Dを参照)の特定の要素を
図1、
図2A~2G、および
図3A~3Bのシステムに一体化させて、ボンドヘッド区画部の要素(例えば、ボンドヘッド、シュラウド、特定の配管など)の少なくとも一部を代替することができることを、当業者であれば理解すると考えられる。
【0061】
本発明を例示的な実施形態と関連して記載および図示したが、当業者であれば、本発明の要旨および範囲から逸脱することなく、当該実施形態に対して上述した、およびその他の様々な変更、省略、追加を行うことができることを理解すると考えられる。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲内で、本発明から逸脱することなく、詳細に亘って種々の変更が可能である。