(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】金属鋳造において使用するための一体型フィーダ本体
(51)【国際特許分類】
B22C 9/08 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B22C9/08 B
(21)【出願番号】P 2021543365
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2020050360
(87)【国際公開番号】W WO2020156770
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】102019102449.8
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518273699
【氏名又は名称】ヘメックス ファウンドリー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】シルマー ハイコ
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522753(JP,A)
【文献】特表2010-510071(JP,A)
【文献】特表2017-527445(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01184104(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 9/00-9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属鋳造において二部品または複数部品の嵌め込み式フィーダインサート(40、40’)の構成要素として使用するための一体型フィーダ本体(1)であって、
液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティ(42、42’)の境界を少なくとも部分的に定めるフィーダ壁(2)を備え、
前記フィーダ壁(2)は、
-前記フィーダキャビティ(42、42’)への前記液体金属のための流路開口部(12)と、
-少なくとも1つの外向きに突出する保持要素(10)と、当該フィーダ本体(1)に対応するフィーダ要素(20、20’)のための摺動セクション(14)を有する少なくとも1つのガイド部(8)と、が配置されている外面(6)と、
を有し、
前記ガイド部(8)は、支持セクション(16)を有し、
前記支持セクション(16)は、前記外面(6)上で外向きに突出し、且つ、前記フィーダ要素(20、20’)を案内するための前記ガイド部(8)の前記摺動セクション(14)に隣接して、前記流路開口部(12)の方向に延在する
ことを特徴とする一体型フィーダ本体(1)。
【請求項2】
前記摺動セクション(14)は、摺動面(34)を有し、
前記支持セクション(16)は、末端面(36)を有し、
前記摺動面(34)は、前記流路開口部(12)の中心軸(26)に対して角度(α1)で傾斜されるように延び、
前記末端面(36)は、前記中心軸(26)に対して角度(α2)で傾斜されるように延び、
前記2つの角度(α1、α2)は、反対方向に開いている
ことを特徴とする請求項1に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項3】
複数のガイド部(8)が、前記流路開口部(12)の中心軸の周りで互いに対して角度間隔において
、配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項4】
複数のガイド部(8)が、前記流路開口部(12)の中心軸の周りで互いに対して角度間隔において
、前記流路開口部(12)の前記中心軸(26)の周りで均一な角度間隔において、配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項5】
5つのガイド部(8)が、前記外面(6)において、互いに対して
約72度の角度のオフセットで配置される
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項6】
前記流路開口部(12)を画定する第1端部(22)、及び、前記流路開口部(12)に対向して位置する第2端部(24)、を更に
備える
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項7】
前記流路開口部(12)を画定する第1端部(22)、及び、前記流路開口部(12)に対向して位置する第2端部(24)、を更に備え、
前記支持セクション(16)は、前記摺動セクション(14)への無段階移行部を有し、且つ/または、当該フィーダ本体(1)の
前記第1端部(22)の方向において、前記フィーダ壁(2)の前記外面(6)で無段階方式で終端する
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項8】
前記1または複数のガイド部(8)は、取付セクション(18)を有し、
前記取付セクション(18)は、前記摺動セクション(14)から前記第2端部(24)の方向に延在し、且つ、
前記外面(6)上で突出する
ことを特徴とする請求項
6または7に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項9】
前記ガイド部(8)の前記取付セクション(18)は、前記流路開口部(12)の前記中心軸(26)に対して角度(α3)で傾斜されるように延びる取付面(38)を有し、
前記角度(α3)は、前記摺動セクション(14)の前記摺動面(34)の前記角度(α1)と異なり、
前記取付面(38)及び摺動面(34)の傾斜角度は、同じ開き方向を有する
ことを特徴とする請求項
8に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項10】
前記1または複数のガイド部(8)は、前記中心軸(26)に対してほぼ平行に延びる延在方向を有し、
前記取付セクション(18)及び/または前記摺動セクション(14)は、前記ガイド部(8)の前記延在方向に対して横方向の幅を有し、
前記幅は、前記フィーダ本体(1)の前記第1端部(22)の方向に広くなっている
ことを特徴とする請求項
8または9に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項11】
前記支持セクション(16)は、前記ガイド部(8)の前記延在方向に対して横方向の幅を有し、
前記幅は、前記フィーダ本体(1)の前記第1端部(22)の方向に減少している
ことを特徴とする請求項
10に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項12】
前記保持要素(10)は、前記ガイド部(8)の前記摺動セクション(14)上でほぼ半径方向に突出するように配置され、
前記支持セクション(16)は、前記フィーダ本体(1)の前記第1端部(22)の方向に前記保持要素(10)から進んで延在する
ことを特徴とする請求項
6~
11のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項13】
前記フィーダ壁(2)は、前記第2端部(24)から前記第1端部(22)の方向に広くなる外側断面を有するスリーブセクション(28)を有し、及び、当該スリーブセクション(28)に隣接し、鋳型モデルまたは鋳型板(50)への取り付けに役立ち、前記第1端部(22)の方向に狭くなる断面を有する取付領域(30)を有する
ことを特徴とする請求項
6~12のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項14】
前記1または複数のガイド部(8)は、前記スリーブセクション(28)に沿って、前記フィーダ本体(1)の前記第2端部(24)から、前記スリーブセクション(28)と前記取付領域(30)との間の移行部(32)の方向に延在する
ことを特徴とする請求項
13に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項15】
前記保持要素(10)は、前記ガイド部(8)上で直接外向きに突出するか、または、前記ガイド部(8)に隣接して前記外面(6)上で外向きに突出するように配置される
ことを特徴とする請求項1~
14のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項16】
前記摺動セクション(14)は、前記ガイド部(8)の延在方向において、前記フィーダ壁(2)の前記外面(
6)に対してほぼ平行に延びる摺動面(34)を有する
ことを特徴とする請求項1~
15いずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項17】
当該フィーダ本体(1)は、
(i)発熱性フィーダ材料から形成されるか、または、特定のセクションに発熱性フィーダ材料を含み、及び/または
(ii)断熱性フィーダ材料から形成されるか、または、特定のセクションに断熱性フィーダ材料を含む
ことを特徴とする請求項1~
16のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)。
【請求項18】
鋳型での金属鋳造において使用するための二部品または複数部品のフィーダインサート(40、40’)であって、
-請求項1~
17のいずれか一項に記載のフィーダ本体(1)と、
-1または複数の更なるフィーダ要素(20、20’)と、
を含み、
前記フィーダ本体(1)は、前記1または複数の更なるフィーダ要素(20、20’)に接続されて、嵌め込み式フィーダインサート(40、40’)を形成し、
前記フィーダ本体(1)は、前記1または複数の更なるフィーダ要素と共にまたは更なるフィーダ要素(20、20’)の少なくとも1つと共に、前記フィーダキャビティ(42、42’)を画定する
ことを特徴とする二部品または複数部品フィーダインサート(40、40’)。
【請求項19】
フィーダインサート(40、40’)を製造するためのキットであって、
-請求項1~
17のいずれか一項に記載の1または複数のフィーダ本体(1)と、
-少なくとも2つの更なるフィーダ要素(20、20’)であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の1または複数のフィーダ本体(1)に対応して、それにより、2つ以上の異なるフィーダインサート(40、40’)であって、そのフィーダキャビティ(42、42’)は異なる体積を有する、2つ以上の異なるフィーダインサート(40、40’)が生成され得る、少なくとも2つの更なるフィーダ要素(20、20’)と、
を含むキット。
【請求項20】
請求項1~
17のいずれか一項に記載の1つのフィーダ本体(1)または少なくとも2つのフィーダ本体(1)のうちの少なくとも1つにおける前記流路開口部(12)に対応するセンタリングマンドレル(44、44’)を含む
ことを特徴とする請求項
19に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属鋳造において二部品または複数部品の嵌め込み式フィーダインサートの構成要素として使用するための一体型フィーダ本体であって、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティの境界を少なくとも部分的に定めるフィーダ壁を有し、当該フィーダ壁は、フィーダキャビティへの液体金属のための流路開口部と、少なくとも1つの外向きに突出する保持要素とフィーダ本体に対応する(と組み合わされる)フィーダ要素のための摺動セクションを有する少なくとも1つのガイド部とが配置されている外面と、を有する、一体型フィーダ本体に関する。本発明は、鋳型での金属鋳造において使用するための二部品または複数部品のフィーダインサート、及び、フィーダインサートを製造するためのキット、に更に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の様々な一体型フィーダ本体が、鋳型での金属鋳造において使用されている。そのようなフィーダ本体は、一般に、フィーダインサートの一部品であり、フィーダシステムとも呼ばれる。鋳造作業中、フィーダ要素と共に二部品または複数部品の嵌め込み式フィーダインサートを形成するような一体型フィーダ本体は、鋳型を製造するために使用される鋳型材料、例えば鋳型用砂により、外部から少なくとも局所的に取り囲まれる。製造される鋳型内では、フィーダ本体及び一部がそれから形成されるフィーダインサートは、鋳型における、鋳造プロセス中に金属が充填されるモールドキャビティに対して、定位置に保持される必要がある。公知の一体型フィーダ本体は、フィーダ壁を有し、それにより、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティが、少なくとも部分的に境界を定められている。フィーダ本体のフィーダ壁は、一般に、フィーダインサートのフィーダキャビティを少なくとも部分的に画定する内面を有する。フィーダ壁は、フィーダキャビティへの液体金属のための流路開口部を更に含む。鋳造プロセス中、鋳造において使用される液体金属量の一部は、前記流路開口部を経由して前記フィーダキャビティに流入する。フィーダインサートのフィーダキャビティ内における金属は、鋳造部分の再供給に役立ち、これは、鋳型内に存在する金属が少なくとも部分的に固まるまで、一定期間にわたって液体状態に保たれる。
【0003】
今日、鋳型の製造中に鋳型材料に作用する高圧に耐えることができるようにするために、仕上げ(最終の)鋳型部分を形成するための鋳型材料の押圧中、全体高さについて変動可能であるフィーダインサートまたはフィーダシステムが使用されている。
【0004】
欧州特許出願公開第1 184 104 A1号明細書は、金属鋳造において使用するためのフィーダインサートを開示しており、当該フィーダインサートは、2つの鋳型要素を含む。これらの要素は、当該フィーダインサートのフィーダ長手方向軸に沿って一方が他方の内部に移動可能であり、且つ、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティの境界を定める。例えば、圧縮固化プロセス中、一方の鋳型要素が他方の鋳型要素内に押し込まれるか、または、他方の鋳型要素が前者の鋳型要素を覆うように押し付けられる場合である。圧縮プロセス前の初期位置に2つの鋳型要素を固定するために、鋳型要素の一方に複数の保持要素が設けられ、それらの保持要素は、それぞれ他方の鋳型要素を支えるように構成される。鋳型材料の押圧中に圧力が予め決められた値を超える場合、前者の鋳型要素上の保持要素は、2つの鋳型要素間の相対運動を可能にするように、切り離されるかまたは変形される。
【0005】
以下の従来技術が更に参照される:独国特許出願公開第10 2006 055 988 A1号明細書、独国特許出願公開第10 2013 102 381 A1号明細書、独国実用新案第20 2015 104 866 U1号明細書、独国実用新案第20 2016 103 215 U1号明細書、独国実用新案第20 2018 102 896 U1号明細書及び米国特許出願公開第2009/0014482 A1号明細書。
【0006】
互いに対して可動であるフィーダインサートの個々の部分を保持要素によって初期位置に一時的に保持することに加えて、フィーダ本体とフィーダ要素との互いに対する相対運動中、従ってフィーダインサートの嵌め込み作業中、の目標に向けた案内は、鋳型の円滑な製造プロセスにとってこれまで以上に重要になる。フィーダインサートのフィーダ本体とフィーダ要素との相対運動は、フィーダ本体の外面に配置された少なくとも1つのガイド部によって制御される。ガイド部は、フィーダ本体と組み合わされるフィーダ要素のための摺動セクションを有し、その摺動セクションに沿って、特に鋳型材料が圧縮固化される時、フィーダ要素の内側面が摺動する。ガイド部は、一般に、フィーダ要素の内側面が、フィーダ壁により、具体的には1または複数のガイド部を介して、部分的にのみ支えられるように、フィーダ壁の外面上で突出する。これまで、フィーダ本体の外面に沿ったセクションにわたって延在するガイド部は、一般に、フィーダ本体の意図される使用前に既に、少なくとも部分的に破壊されていた。これは、フィーダ本体に対して可動式に受け入れられるフィーダ要素が、その後、フィーダ本体に対して不均一に案内され、フィーダ本体に対するフィーダ要素のミスアライメントまたは傾きのリスクを生じる、という結果をもたらしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記で述べた問題から、本発明の目的は、フィーダ本体とフィーダ要素との間の相対運動の改善、従ってフィーダインサートの嵌め込みの改善、特に前述の欠点の回避が可能とされる、一体型フィーダ本体及びフィーダインサートを規定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する、金属鋳造において二部品または複数部品の嵌め込み式フィーダインサートの構成要素として使用するためのフィーダ本体により、それが基にした問題を解決する。本発明によれば、ガイド部は、支持セクションを有し、当該支持セクションは、外面上で外向きに突出し、且つ、フィーダ要素を案内するためのガイド部の摺動セクションに隣接して、流路開口部の方向に延在する。
【0009】
従って、本発明は、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティの境界を少なくとも部分的に定めるフィーダ壁を備えた一体型フィーダ本体に関する。フィーダ壁は、フィーダキャビティへの液体金属のための流路開口部を含む。更に、鋳型モデル及び/または鋳型板にフィーダ本体を取り付けるための取付領域が、好ましくは、フィーダ壁の流路開口部の領域において外面に設けられる。ここで、本発明は、従来技術ではその摺動セクションの自由端部の肩部で終端するガイド部が、支持セクションによって向上した強度を与えられる、という認識を利用する。支持セクションがあると、ガイド部は、それに作用する力などの外部からの機械的影響により良好に耐えることができる。従って、その意図される使用前、具体的にはフィーダ要素の内側面がガイド部に沿って摺動する時、ガイド部の時期尚早な破壊または変形が、既に妨げられている。更に、支持セクションを提供することにより、ガイド部は、フィーダ本体とフィーダ要素とが互いに対して嵌め込まれる際に発生する力にもより良好に耐える。特にフィーダ本体のフィーダ長手方向軸が鉛直の向きである場合、支持セクションは、好ましくは、下方に向かって延在し、従ってフィーダ壁における流路開口部の方向においてガイド部の摺動セクションから進んで延在する。支持セクションは、ガイド部と同様に、ガイド部の摺動セクションの下方端部における段が少なくとも縮小され、好ましくは完全に埋め合わされるように、フィーダ壁の外面上で突出する。このようにして、フィーダ要素がガイド部に沿って摺動する間、摺動セクションに作用する摩擦力は、摺動セクションから支持セクションを経由してフィーダ壁の隣接する領域内へと散逸される。
【0010】
本発明によるフィーダ本体の好ましい改良形態によれば、摺動セクションは、摺動面を有し、支持セクションは、末端面を有し、摺動面は、流路開口部の中心軸に対して角度α1で傾斜されるように延び、末端面は、前記中心軸に対して角度α2で傾斜されるように延び、これらの角度は、反対方向に開いている。本発明による支持セクションの形状により、フィーダ本体とフィーダ要素とが互いに対して相対運動する間、フィーダ要素の内側面による摩擦作用が支持セクション自体に及ばないようにすることが達成される。好ましくは、本発明によるフィーダ本体の摺動セクション上の摺動面及び支持セクション上の末端面は、流路開口部の中心軸に対して反対方向に傾斜される。従って、好ましくは、摺動面は、フィーダ本体に対して動かされるフィーダ要素の動きの方向に広くなる。従って、ガイド部の広くなる摺動面は、フィーダ本体に対するフィーダ要素の摺動運動を少なくとも部分的に妨げる。逆に、支持セクションの末端面がフィーダ要素の内側面と接触しないことを確実にするために、前記末端面は、反対方向に傾斜される。
【0011】
本発明によるフィーダ本体上において、複数のガイド部が、流路開口部の中心軸の周りで互いに対して角度間隔において、好ましくは流路開口部の中心軸の周りで均一な角度間隔において、配置される場合が好ましい。フィーダ壁上に複数のガイド部を設けることにより、フィーダ本体に対して可動であるフィーダ要素の案内を改善する。更に、フィーダ壁の外面上に好ましくは均一に分配されるように配置される複数のガイド部により、周に沿ってより均一に分配される摩擦作用が、フィーダ本体及びフィーダ要素の一方が他方内に相対的に移動する間に生じる。好ましくは、フィーダ本体は、その外面において、本発明によるそのようなガイド部を、少なくとも3、4、5、または、それ以上、有する。
【0012】
本発明による一体型フィーダ本体の好ましい形状は、5つのガイド部が、好ましくは、外面上において、互いに対して約72度の角度の角度オフセットで配置されることを提供する。フィーダ壁の外面上に5つのガイド部を設けることにより、フィーダ本体の長手方向軸に対するフィーダ要素の長手方向軸の好ましくは正確な半径方向の向きが達成される。更に、好ましくは5つのガイド部があれば、フィーダ壁の外側におけるガイド部の1つが破壊される場合、残りのガイド部は、フィーダ本体に対するフィーダ要素の案内だけでなく、好ましくは半径方向の向き、従ってフィーダ要素とフィーダ本体との間の所望の同心性、も保証し得る、ということが達成される。
【0013】
好ましくは、本発明によるフィーダ本体は、流路開口部を画定する第1端部及び流路開口部に対向して位置する第2端部を備え、好ましくは、支持セクションは、摺動セクションへの無段階移行部を有し、且つ/または、フィーダ本体の第2端部の方向において、フィーダ壁の外面で無段階方式で終端する。フィーダ本体は、好ましくは、液体金属のための流路開口部が形成されるその第1端部が鋳型板上にある状態で、位置決めされる。従って、本発明によるフィーダ本体は、鋳型の製造中、鋳型の外形輪郭の少なくとも一部を画定する鋳型板に対して固定される。フィーダ本体は、第2、好ましくは開放している端部を更に有し、これは、フィーダインサートの、フィーダ本体に対して可動であるフィーダ要素に割り当てられ得る。好ましくは、フィーダ要素への接続は、前記開放端部によって実現され、この時、フィーダ本体とフィーダ要素とは、共にフィーダキャビティを画定する。
【0014】
特に、フィーダ壁の外側で突出する支持セクションと、ガイド部の摺動セクションと、の間に無段階移行部が形成される。ガイド部の摺動セクションの摺動面と支持セクションの末端面との間の無段階移行部が、摺動セクション及び支持セクションの好ましくは平面的な両面が前記移行部において互いに同じ高さで終端する場合、縁の提供を意味することが理解される。その第2端部の方向においても、支持セクションは、その末端面から、当該端部側に隣接するフィーダ壁の外面まで、無段階移行部を有する。従って、支持セクションから、当該支持セクションを支えるフィーダ壁の構造内への力の流れの改善も実現される。従って、意図される使用前または使用中のフィーダ壁上のガイド部の材料の不具合及び関連する破壊が、更に減少される。
【0015】
本発明によるフィーダ本体の好ましい改良形態は、1または複数のガイド部が、摺動セクションから第2端部の方向に延在し、且つ、好ましくは外面上で突出する、取付セクションを有することを提供する。支持セクションに対して摺動セクションの対向端部に配置される取付セクションを提供することにより、フィーダインサートを形成するために使用されるフィーダ要素が本発明によるフィーダ本体により簡単に取り付けられるかまたは接触されるようになる。取付領域は、好ましくは、フィーダ本体の第2開放端部の近くに形成される。好ましくは、フィーダ壁の外面に沿って分配されるように配置された複数のガイド部の取付領域は、外径を形成し、これは、その寸法の点でフィーダ要素の内側の内径よりも小さい。好ましくは、フィーダ要素の内径は、本発明によるフィーダ本体上のガイド部の取付領域の外径に対して十分な遊びを有する。
【0016】
好ましくは、ガイド部の取付セクションは、流路開口部の中心軸に対して角度α3で傾斜されるように延びる取付面を有し、その角度は、摺動セクションの摺動面の角度α1と異なり、取付面及び摺動面の傾斜角度は、同じ開き方向を有する。様々なガイド部上の取付領域の、流路開口部の中心軸に対して傾斜されるように延びる取付面では、フィーダ本体に取り付けられるフィーダ要素の取付及び半径方向の向きが、更に単純にされる。従って、フィーダ本体と当該フィーダ本体に接合されるフィーダ要素とで構成されるフィーダインサートの組み立てが容易にされる。好ましくは、取付領域のそれぞれの取付面の傾斜角度α3は、ガイド部の取付セクションに直接隣接する摺動セクションの摺動面の傾斜角度α1を上回る。好ましくは、ガイド部の取付面と摺動面との間の移行領域も、フィーダ要素がより簡単に通過できるようにするために、無段階の形態である。
【0017】
好ましくは、保持要素は、ガイド部上で直接外向きに突出するか、または、ガイド部に隣接して外面上で外向きに突出するように配置される。好ましい実施形態では、フィーダ本体に対してフィーダ要素を初期位置に保持する保持要素は、好ましくは、本発明によるフィーダ本体の外面上で突出するガイド部上に形成される。このようにして、ガイド部の複数の領域が、フィーダ壁の外面に保持要素を取り付けるための基礎構造として使用される。一般に、フィーダ本体の外面上で最も遠くまで突出する保持要素のフィーダ壁への構造的に単純な取り付けが、このようにして達成される。本発明によるフィーダ本体の別の形状では、保持要素はまた、フィーダ壁の外面上のガイド部とは別に配置され得る。
【0018】
好ましくは、保持要素は、ガイド部の摺動セクション上でほぼ半径方向に突出するように配置され、支持セクションは、フィーダ本体の第1端部の方向に保持要素から進んで延在する。ガイド部の特に摺動セクションの構造補強とは別に、支持セクションは、ガイド部上に保持要素を流路開口部の方向に支持する機能を更に有する。このようにして、ガイド部上の保持要素の時期尚早な破壊のリスクが、更に低下される。更に、保持要素の目標とする分離中、本発明によるフィーダ本体上に保持要素を流路開口部の方向に支持しておくことにより、ガイド部の摺動面上の表面領域の破壊が回避される。保持要素は、好ましくは、支持セクションの方に面している摺動セクションの端部領域に配置される。本発明によるフィーダ本体が鉛直の向きになっている場合、保持要素は、ガイド部の摺動セクションの下方端部に配置または形成される。
【0019】
本発明によるフィーダ本体の好ましい改良形態は、摺動セクションが、ガイド部の延在方向において、フィーダ壁の外面に対してほぼ平行に延びる摺動面を有することを提供する。フィーダ本体を形成するフィーダ壁の少なくとも1つのセクションが、フィーダ本体の長手方向軸に沿って流路開口部の方向に広くなる外側断面を有する場合も好ましい。フィーダ本体の長手方向軸は、特に、流路開口部の中心軸と同軸に延びる。好ましくは、本発明によるフィーダ本体のフィーダ壁の外面とフィーダ本体に対応する(と組み合わされる)フィーダ要素の内側面との間に、均一な間隙が形成される。
【0020】
好ましくは、1または複数のガイド部は、前記中心軸に対してほぼ平行に延びる延在方向を有し、好ましくは、取付セクション及び/または摺動セクションは、ガイド部の延在方向に対して横方向の幅を有し、前記幅は、フィーダ本体の第1端部の方向に広くなる。摺動運動の方向に増大する取付面及び/または摺動面の幅により、鋳型の製造中、鋳型材料の圧縮固化中のフィーダ本体とフィーダ要素との相対運動中に生じる信頼性の高い摺動が更に改善される。本発明によるフィーダ本体上でのまたはそれに対するフィーダ要素のミスアライメントまたは傾きは、好ましくは動きの方向に広くなる表面によって、回避される。
【0021】
保持要素は、好ましくは、ガイド部上の摺動面の側縁から均一に離間されるように配置される。好ましくは摺動セクション上の中心に配置される保持要素の幅は、摺動セクションの幅の約1/3~約1/2の範囲である。好ましくは、摺動面の表面領域は、いずれの場合にも、保持要素の両側に形成される。
【0022】
本発明によるフィーダ本体の一改良形態では、支持セクションは、ガイド部の延在方向に対して横方向の幅を有し、前記幅は、フィーダ本体の第1端部の方向に減少する。このようにして、支持セクションが受けた力の、当該支持セクションを支えるフィーダ壁の複数の領域への、最適化された力導入または伝達が達成される。好ましくは、支持セクションの幅は、当該支持セクションの最大の全幅に対して、約0.15~約0.3の範囲内で延在方向に減少する。
【0023】
本発明によるフィーダ本体の好ましい改良形態では、フィーダ壁は、第2端部から第1端部の方向に広くなる外側断面を有するスリーブセクションを有し、及び、スリーブセクションに隣接し、鋳型モデルまたは鋳型板への取り付けに役立ち、第1端部の方向に狭くなる断面を有する取付領域を有する。この場合、フィーダ本体は、2つの機能的領域に分割される。フィーダ本体の第2端部に割り当てられる上方の機能的領域は、そのスリーブセクションにより、フィーダ本体とフィーダ要素との間の相対運動を可能にして、本発明による嵌め込み式フィーダインサートを形成する。スリーブセクションは、好ましくは、フィーダ本体の長手方向軸の方向に高さを有し、その高さは、本発明によるフィーダ本体の全高のおよそ半分、好ましくは半分超、に対応する。取付領域は、スリーブセクションに直接隣接するように、本発明によるフィーダ本体に設けられ、当該取付領域は、鋳型モデルまたは鋳型板に取り付けられるように構成される。本発明によるフィーダ本体の取付領域は、スリーブセクションからフィーダ本体の第1端部の方向に狭くなる外側断面を更に有する。
【0024】
本発明によるガイド部は、その取付領域、その摺動セクション、その支持セクション、及び、前記摺動セクション上に配置された保持要素、を有し、スリーブセクションに沿って、本発明によるフィーダ本体の第2端部から、フィーダ本体のスリーブセクションと取付領域との間の移行部の方向に延在する。1または複数のガイド部は、好ましくは、スリーブセクションの高さ全体にわたって延在する。案内セクションの上方及び下方端部は、好ましくはスリーブセクションの外面の外周で、それぞれ終端する。従って、上方端部において取付領域からスリーブセクションへの、且つ、下方端部において支持セクションからスリーブセクションへの、無段階移行部が形成される。スリーブセクションのドーム状の外形輪郭に反して、取付セクション上の取付面、摺動セクション上の摺動面、及び、支持セクション上の末端面は、ガイド部の延在方向の且つ当該延在方向に対して横方向の平面形態を有する。一体型フィーダ本体の好ましい実施形態では、摺動セクションの摺動面は、スリーブセクションを形成するフィーダ壁の外面上で約1.5mm突出する。取付面及び末端面は、好ましくは、それぞれ摺動面に対して傾斜され、且つ、フィーダ壁の外面の端側で終端する。保持要素は、摺動面上において、ガイド部の全高が約35mmでその最も広い点でのガイド部の最大幅が約10mmである場合、約2mmの半径及び約5mmの高さを有する半円筒形構造部を形成する。延在方向におけるガイド部の全高に対するガイド部及び保持要素の寸法は、使用のために計画される本発明によるフィーダ本体のサイズに依存して、適合され得る。
【0025】
改良形態では、本発明によるフィーダ本体は、好ましくは、フィーダインサートの下方部分として使用するために回転対称形態である。そのような回転対称形態のフィーダ本体は、鋳型を形成する型キャビティ内において、任意の優先方向がない状態で配置され得る。代替的な実施形態では、本発明によるフィーダ本体は、非対称的な形態である。特に、鉛直方向に分離可能な鋳型で使用するためのサイドフィーダ型のフィーダ本体は、非対称的な形態であり、本発明によるそのようなフィーダ本体は、好ましくは、流路開口部の中心軸に対してオフセットされるフィーダキャビティの容積重心を有する。そのような非対称的な形態のフィーダ本体も、好ましくは、その外面において、その支持セクションを有する、前記に説明したような本発明による1または複数のガイド部を有する。
【0026】
本発明による一体型フィーダ本体は、好ましくは、当該フィーダ本体が、(i)発熱性フィーダ材料から形成されるか、または、少なくとも特定のセクションに発熱性フィーダ材料を含み、及び/または、(ii)断熱性フィーダ材料から形成されるか、または、特定のセクションに断熱性フィーダ材料を含む。発熱性フィーダ材料を使用すれば、フィーダキャビティ内に置かれた材料は、好ましくは、比較的長期間にわたって液体状態に保たれる。好ましくは、一実施形態では、一体型フィーダ本体の全体が発熱性フィーダ材料から形成される。代わりにまたは任意選択的に、本発明によるフィーダ本体は、全体的にまたは部分的にのみ、断熱性フィーダ材料、特にケイ砂、でも構成され得る。これは、結合剤によって結合されて、それによってフィーダ本体の内部からの熱の放出が単純な態様で減少される。
【0027】
本発明の更なる特徴は、鋳型での金属鋳造において使用するための二部品または複数部品のフィーダインサートに関する。本発明によれば、フィーダインサートは、好ましくは前述の好ましい実施形態のいずれかに従って設計される、本発明による少なくとも1つのフィーダ本体及び1または複数の更なるフィーダ要素を含み、当該フィーダ本体は、当該1または複数の更なるフィーダ要素に接続されて、嵌め込み式フィーダインサートを形成し、当該フィーダ本体は、当該1または複数の更なるフィーダ要素と共にまたは更なるフィーダ要素の少なくとも1つと共に、フィーダキャビティを画定する。従って、本発明は、複数部品のフィーダインサートに関し、その場合、本発明によるフィーダ本体は、少なくとも1つの更なるフィーダ要素と相互作用してフィーダキャビティを形成し、当該フィーダ本体及び当該少なくとも1つのフィーダ要素は、互いに嵌め込み式となるように設計される。本発明による使用例では、複数部品のフィーダインサートは、一体型フィーダ本体及び少なくとも1つのフィーダ要素から組み立てられる。この場合、二部品または複数部品のフィーダインサートは、特に、本発明による一体型フィーダ本体及び少なくとも1つの個々の更なるフィーダ要素から組み立てられるフィーダインサートを意味すると理解される。好ましい形態によれば、本発明によるフィーダ本体及び少なくとも1つの更なるフィーダ要素は、それらを実際に鋳型で使用する前に、所望される頻度で、互いに可逆的に分離され且つ再度接合され得る。
【0028】
フィーダ本体とフィーダ要素とを互いに対して嵌め込む作業を行っている間、フィーダ本体及びフィーダ要素の長手方向軸の方向における互いに対する相対運動が、好ましくは発生する。「嵌め込み式フィーダ」とも呼ばれるそのような複数部品フィーダインサートの場合、鋳型の製造中の鋳型材料の圧縮固化中に、フィーダインサートの一方の部分(例えば、フィーダ本体)が他方の部分に押し込まれるか、または、フィーダインサートの一方の部分(例えば、フィーダ本体)が他方の部分を覆うように押し付けられる。好ましくは、鋳型を形成するために使用される鋳型材料の圧縮固化中、フィーダ要素は、少なくとも特定のセクションにおいてフィーダ本体の上側で押圧され、それにより好ましくは鋳型板または鋳型モデルに固定されて動かない。フィーダ本体及びフィーダ要素は、好ましくは、一般的に、本質的に非変形可能な形態である。
【0029】
本発明の更なる態様は、フィーダインサートを製造するためのキットであって、前述した好ましい実施形態のいずれかによる1または複数のフィーダ本体、及び、少なくとも2つの更なるフィーダ要素であって、前述した好ましい実施形態のいずれかによる本発明による1または複数のフィーダ本体と組み合わされ、それにより、2つ以上の異なるフィーダインサートであってそのフィーダキャビティは異なる体積を有する2つ以上の異なるフィーダインサートが生成され得る、少なくとも2つの更なるフィーダ要素、を含むキットに関する。
【0030】
この点に関して、本発明は、本発明による単一のフィーダ本体を異なる形態の異なるフィーダ要素と組み立ててフィーダインサートを形成できるという追加的な概念に基づく。好ましくは、1または複数のフィーダ本体は、いずれの場合も、それに接合されるフィーダ要素のそれぞれの結合領域と相補的であるかまたはそれと組み合わされるように設計される、1つの結合セクションを有する。本発明による異なるフィーダ本体を異なるフィーダ要素に組み合わせることができるようにするために、異なるフィーダ本体の結合領域及び異なるフィーダ要素の結合領域は、好ましくは、いずれの場合も同一の形態である。フィーダ本体上の結合領域は、少なくとも1つのガイド部を有し、当該ガイド部は、外面上で外向きに突出する支持セクションを有し、且つ、好ましくはフィーダ要素を案内するためのガイド部の摺動セクションに隣接して流路開口部の方向に延在する。
【0031】
更に、本発明によるキットは、好ましくは、前述した好ましい実施形態のいずれかによる1つのフィーダ本体または少なくとも2つのフィーダ本体のうちの少なくとも1つにおける流路開口部と組み合わされるセンタリングマンドレルを含む。鋳型板または鋳型モデルに対する、本発明によるフィーダ本体及びフィーダ要素を備えるフィーダインサートの垂直の向きは、好ましくは、センタリングマンドレルによって実現される。センタリングマンドレルは、好ましくは、流路開口部の形状に適合された形状を有するセンタリングマンドレルベースを有する。流路開口部が円筒状断面を含まないが、好ましくは楕円形、非円形、扁平な円及び多角形からなる群から好ましくは選択される断面を有し、及び、センタリングマンドレルベースの断面が流路開口部の断面に対して相補的な形態である好ましい実施形態では、少なくとも前記1または複数のフィーダ本体は、センタリングマンドレルに形態が密に合うように受け入れられる。好ましくは、センタリングマンドレルと前記1または複数のフィーダ本体との間に回転防止固定作用が生成され、それにより、フィーダ本体は1または複数の優先的な相対位置でセンタリングマンドレルと接触され得る。
【0032】
本発明によるフィーダ本体に関して説明される好ましい実施形態及び改良形態は、同時にまたは類似的に、本発明によるフィーダインサート、及び、フィーダ要素を製造するためのキット、の好ましい実施形態でもある。フィーダインサートまたはフィーダインサートを製造するためのキットに関して本明細書で説明され、且つ、フィーダ本体に言及する好ましい実施形態または改良形態は、同時に、フィーダ本体の好ましい実施形態などでもある。
【0033】
本発明は、本発明によるフィーダ本体及び本発明によるフィーダインサートの好ましい例示的な実施形態に基づいて、添付図面を参照して、以下でより詳細に説明され、それにより、本発明にとって好ましい更なる特徴が明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】金属鋳造において使用するための本発明によるフィーダ本体の斜視図を示す。
【
図2】
図1に示すような本発明によるフィーダ本体の下からの図を示す。
【
図3】
図1に示すような本発明によるフィーダ本体の断面図及び拡大断面図を示す。
【
図3a】
図1に示すような本発明によるフィーダ本体の断面図及び拡大断面図を示す。
【
図4】本発明によるフィーダ本体を付けられたフィーダインサートの第1実施形態の図を示す。
【
図5】
図1に示すような本発明によるフィーダ本体を付けられたフィーダインサートの更なる実施形態の図を示す。
【
図6】本発明によるフィーダインサートの載置から、鋳型を形成するために使用される鋳型材料の押圧までの鋳型の製造を概略的に示す図を示す。
【
図7】本発明によるフィーダインサートの載置から、鋳型を形成するために使用される鋳型材料の押圧までの鋳型の製造を概略的に示す図を示す。
【
図8】本発明によるフィーダインサートの載置から、鋳型を形成するために使用される鋳型材料の押圧までの鋳型の製造を概略的に示す図を示す。
【
図9】本発明によるフィーダインサートの載置から、鋳型を形成するために使用される鋳型材料の押圧までの鋳型の製造を概略的に示す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、鋳型(これ以上詳細には図示せず)での金属鋳造において使用される、本発明による一体型フィーダ本体1を示す。フィーダ本体1は、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティ42、42’(
図4及び
図5)の境界を少なくとも部分的に定めるように構成される内面4を備えるフィーダ壁2を有する。フィーダ本体のフィーダ壁2は、フィーダ本体と対応する(組み合わされる)フィーダ要素20、20’(
図4及び
図5)のための少なくとも1つのガイド部8が配置されている外面6を更に含む。更に、外面6には、フィーダ要素20、20’をフィーダ本体1に対して初期位置に保持するように構成された、少なくとも1つの外向きに突出する保持要素10が設けられている。更に、フィーダ壁2には、液体金属がフィーダキャビティ42、42’(
図4及び
図5)に入ることができるように構成された流路開口部12(
図2及び
図3)がある。
【0036】
本発明によれば、フィーダ本体1は、ガイド部8において、フィーダ本体に対応する(と組み合わされる)フィーダ要素20のための摺動セクション14を有し、ガイド部8は、外面6上で外向きに突出する支持セクション16を更に有する。ガイド部8の摺動セクション14に隣接する支持セクション16は、流路開口部12の方向に延在する。支持セクション16により、フィーダ要素20を案内するように構成された摺動セクション14に作用する力は、フィーダ壁2の隣接する領域内に確実に調整及び散逸される。更に、ガイド部8は、同様にフィーダ壁2の外面6上で外向きに突出する取付領域18を有する。フィーダ本体1は、流路開口部12を画定する第1端部22と、流路開口部に対向して位置する第2端部24と、を更に有する。取付領域18は、ガイド部8の摺動セクション14からフィーダ本体1の第2端部24の方向に延在する。支持セクション16及び取付セクション18は、摺動セクション14の対向する両端部に配置されている。
【0037】
図2から分かるように、複数のガイド部8は、流路開口部12の中心軸26(
図3)の周りで互いに対して角度間隔において配置されている。図示の実施形態では、5つのガイド部8が、外面6上において、互いに対して好ましくは約72度の角度のオフセットで配置されている。保持要素10は、ガイド部8上で直接外向きに突出する。全ての保持要素10が、フィーダ本体に対して初期位置に保持されるフィーダ要素20のための受け部を共に形成する。
【0038】
図3は、本発明によるフィーダ本体1の断面図を示し、第2端部24から第1端部22の方向に広くなる外側断面を備えるスリーブセクション28を有する。更に、フィーダ本体1は、スリーブセクション28に直接隣接し、且つ鋳型モデルまたは鋳型板50(
図4及び
図5)に取り付けるのに役立つ取付領域30を含む。取付領域30は、スリーブセクション28から第1端部22の方向に狭くなる外側断面を有する。このようにして、フィーダ本体は、当該フィーダ本体と当接または接触される鋳型板50に対して、縮小された当接面を形成する。
図3にも示されるように、ガイド部8は、スリーブセクション28に沿って延在する。図示の実施形態では、ガイド部8は、スリーブセクション28の高さ全体に沿って、フィーダ本体1の第2端部24から、スリーブセクション28と取付領域30との間の移行部32まで延在する。
【0039】
摺動セクション14は、摺動面34を有し、支持セクション16は、末端面36を有する。取付領域18は、フィーダ要素20をフィーダ本体1の第2端部24に取り付けるための取付面38を有する。保持要素10は、ガイド部8の摺動セクション14上でほぼ半径方向に突出するように配置され、本発明によるフィーダ本体を鉛直方向に配置する場合、保持要素10は、ガイド部8の摺動セクション14の下方端部に配置される。保持要素10の直下に配置される末端面36を備える支持セクション16は、フィーダ本体1の第1端部22の方向に延在する。ガイド部8は、流路開口部の中心軸26に対してほぼ平行に延びる延在方向を有し、取付セクション18及び摺動セクション14は、ガイド部8の延在方向に対して横方向の幅を有し、その幅は、フィーダ本体1上で第2端部24から第1端部22の方向に広くなる。対照的に、支持セクション16は、ガイド部の延在方向に対して横方向の幅を有し、その幅は、フィーダ本体1の第1端部22の方向に減少する。
【0040】
図3から分かるように、フィーダ壁2の内面4は、フィーダ本体1によって少なくとも部分的に形成されるフィーダキャビティ(
図4及び
図5)がフィーダ本体1の第2端部24からフィーダ本体の第1端部22の流路開口部12の方向に狭くなるように、形成されている。特に、当該内面4の断面は、流路開口部12の方向に狭くなる。図示の実施形態では、当該内面4は、いくつかの部分において円錐形を有する。
【0041】
図3aは、外面6上のスリーブ部28の領域に配置されたガイド部8を拡大像で示す。ガイド部8は、フィーダ壁の残りの部分とは異なる網掛けで示されて、その詳細設計を示す。ガイド部8及びフィーダ壁2は、好ましくは、一体型形態であり、異なる網掛けから推測され得るような構造的分離は、フィーダ本体1の個々の部分間にない。
【0042】
図3aに示されるように、摺動セクション14の摺動面34は、流路開口部12の中心軸26に対して角度α1で傾斜されるように延び、支持セクション16の末端面36は、流路開口部12の中心軸26に対して角度α2で傾斜されるように延び、角度α1及びα1は、反対方向に開いている。簡潔に図示するために、中心軸26は、フィーダ壁2内に移動されている。従って、ガイド部8の摺動面34及び末端面36は、流路開口部12の中心軸26に対して反対方向に傾斜している。取付面38は、流路開口部の中心軸26に対して角度α3で傾斜されるように延び、摺動面34の傾斜角度α1及び取付面38の傾斜角度α3は、同じ開き方向を有するが、流路開口部12の中心軸26に対する大きさが異なる。摺動セクション14の摺動面34は、スリーブ部28の領域においてガイド部8の延在方向に、フィーダ壁2の外面6に対してほぼ平行に延びている。フィーダ壁2の外面6の外径及びガイド部8の摺動面34によって画定される周囲も、スリーブ部28の領域において、第2端部24からフィーダ本体1の第1端部22の方向に広くなる。
【0043】
図3aから分かるように、ガイド部8の支持セクション16及び取付セクション18の両方は、摺動セクション14への無段階移行部を有する。支持セクション14は、フィーダ本体1の第1端部22の方向において、フィーダ壁2の外面6で無段階方式で終端する。取付セクション18も、フィーダ本体1の第2端部24の方向において、フィーダ壁2の外面6で無段階方式で終端する。
【0044】
図4は、フィーダ本体1及び第1フィーダ要素20から形成される、本発明による第1フィーダインサート40の第1実施形態を示す。フィーダ本体1及びフィーダ要素20は、流路開口部12を経由して当該フィーダキャビティに流入する液体金属用のフィーダキャビティ42を共に形成する。フィーダ本体1及びフィーダ要素20は、フィーダ要素20が少なくとも特定のセクションにおいて、フィーダ本体1の外側にわたって移動し得るように設計される。フィーダ本体1は、特に、フィーダ要素20内に嵌め込み式に移動可能である。フィーダ本体1及びフィーダ要素20は、センタリングマンドレル44によって互いに対して適所に保持される。更に、フィーダ本体1のフィーダ壁2の外面6上にガイド部8が配置され、それにより、フィーダ本体1とフィーダ要素20との互いに対する移動の動きの間、フィーダ本体1に対するフィーダ要素20の傾きまたはミスアライメントが防止される。ガイド部8上に保持要素10が配置され、それにより、フィーダ本体1に対するフィーダ要素の移動前にフィーダ要素20が初期位置に保持される。フィーダ要素20は、その上方端部46において、センタリングマンドレル44の先端部のための受口48を有する。
【0045】
図5は、本発明によるフィーダ本体1及び当該フィーダ本体1に対応する更なるフィーダ要素20’から組み立てられるフィーダインサート40’の第2実施形態を示す。
図5によって示されるように、本発明によるフィーダ本体1は、異なるフィーダ要素20、20’と組み合わされ得る。
【0046】
フィーダ本体1及びフィーダ要素20’は、
図4に関して説明されたものと仮想敵に同一であるように互いに相互作用する。
図4からのフィーダインサート40に反して、フィーダインサート40’は、液体金属を受け入れるための拡大フィーダキャビティ42’を有する。フィーダ要素20’の閉鎖された上方端部46には、センタリングマンドレル44’のための受口48’が設けられる。
【0047】
図6乃至
図9は、鋳型の少なくとも1つの鋳型部分(これ以上詳細には図示せず)を製造するための方法の例示的な実施形態を示し、本発明に従って設計されたフィーダ本体1が、その流路開口部12でセンタリングマンドレル44に押し付けられるかまたは取り付けられる。センタリングマンドレル44は、製造される鋳型部分の少なくとも表面領域を画定する鋳型板50に締結される(これ以上詳細には図示せず)。フィーダ本体1は、その取付領域30によって鋳型板50に直接当接する。
【0048】
図7に示す次のステップでは、フィーダ要素20は、その下方端部でガイド部8の取付セクション18に取り付けられ、フィーダ要素20の上方端部46における受口48は、センタリングマンドレル44の先端を覆うように押し付けられ、フィーダ要素20は、フィーダ本体1と組み立てられて、本発明によるフィーダインサート42を形成する。フィーダ要素20は、ガイド部8上で半径方向外向きに突出する保持要素10とフィーダ要素20が当接するように配置されるまで、フィーダ本体1上のその初期位置まで移動される。
【0049】
図8に示す方法ステップでは、鋳型材料52が鋳型に導入される(これ以上詳細には図示せず)。鋳型材料52が導入されると、フィーダ本体1及びフィーダ要素20から形成されるフィーダインサート40は、外側が当該鋳型材料52によって完全に囲まれる。
【0050】
それに続いて、
図9に示すように、鋳型内の鋳型材料52が圧縮され、それにより、鋳型材料52は、図示の通り、圧縮固化されて、固化した鋳型部分を形成する。当該圧縮固化では、フィーダ要素20は、流路開口部12の中心軸26に対して平行に鋳型板50の方向に移動される。フィーダ本体1の上側にわたってフィーダ要素20が移動されると、ガイド部8に配置された保持要素10は、ガイド部8から切り離される。更に、フィーダインサート40のフィーダキャビティ42のサイズが減少される。フィーダ要素20は、ガイド部8の摺動セクション14の摺動面34(
図3a)によって形成されフィーダ本体1の第1端部22の方向に広くなる周囲に更に延びる。フィーダ壁2の外面6上で突出する1または複数の摺動セクション14は、ガイド部8のそれらの摺動面34と共に、フィーダ本体1の上側にわたって移動され得るフィーダ要素20のための一種の乗り上げ斜面をそれぞれ形成する。
【符号の説明】
【0051】
1 フィーダ本体
2 フィーダ壁
4 内面
6 外面
8 ガイド部
10 保持要素
12 流路開口部
14 摺動セクション
16 支持セクション
18 取付セクション
20、20’ フィーダ要素
22 第1端部
24 第2端部
26 中心軸
28 スリーブセクション
30 取付領域
32 移行部
34 摺動面
36 末端面
38 取付面
α1、α2、α3 傾斜角度
40、40’ フィーダインサート
42、42’ フィーダキャビティ
44、44’ センタリングマンドレル
46 端部
48、48’ 受口
50 鋳型板
52 鋳型材料