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特許7431854無線ネットワークデプロイシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】無線ネットワークデプロイシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/08 20090101AFI20240207BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20240207BHJP
   H04W 92/24 20090101ALI20240207BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240207BHJP
   H04B 1/401 20150101ALI20240207BHJP
【FI】
H04W88/08
H04W92/20
H04W92/24
H04W84/12
H04B1/401
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021555064
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020022174
(87)【国際公開番号】W WO2020185953
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】62/817,461
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521412397
【氏名又は名称】オムニフィ インク.
【氏名又は名称原語表記】OMNIFI INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】エプステイン,ジョセフ,アラン
【審査官】久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0028605(US,A1)
【文献】特開2015-050517(JP,A)
【文献】米国特許第07231224(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第106559099(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04B 1/401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークシステムであって、
電力線とネットワーク線に接続された出力を有するヘッドエンドと、
同一の前記電力線および同一の前記ネットワーク線に直列に接続された3つ以上のWi-Fiシステムであって、前記3つ以上のWi-Fiシステムのうちの各特定のWi-Fiシステムは、当該特定のWi-Fiシステムのための2つ以上のアンテナのセットに接続されており、前記3つ以上のWi-Fiシステムは、1つ以上の場所及び1つ以上のアンテナパターンに基づいて無線送信及び受信のためのWi-Fiシステムのサブセットを形成するために、前記無線ネットワークシステムによって選択可能である、前記3つ以上のWi-Fiシステムと、を備え、
前記電力線、前記ネットワーク線、及び前記3つ以上のWi-Fiシステムは、前記ヘッドエンドに取り付けられた細長いトランシーバストリップまたはケーブルに取り付けられており、
前記セットにおける前記2つ以上のアンテナ各々は、前記細長いトランシーバストリップまたはケーブルの長さ方向に沿った異なる位置、異なる方位、又は異なる形状及びパターンで設けられている、
無線ネットワークシステム。
【請求項2】
前記Wi-Fiシステムの各々は、デジタルツーアナログトランシーバまたはシステムオンチップのいずれかを備える、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】
前記ネットワーク線は、高速バス、タップ可能なネットワーク、ハブ可能なイーサネットネットワーク、または修正されたポイントツーポイントイーサネットネットワークのいずれかを備える、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項4】
前記ネットワーク線は、アドレス指定可能なバックプレーン、またはブロードキャスト媒体のいずれである、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項5】
前記電力線、前記ネットワーク線、および前記3つ以上のWi-Fiシステムは、前記ヘッドエンドに取り付けられた細長いトランシーバストリップに取り付けられている、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項6】
前記トランシーバストリップは、スプール上の細長いフレキシブル材料または回路基板を備える、請求項5に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項7】
各特定のWi-Fiシステムは、アクティブRFスイッチに接続され、前記スイッチは、当該特定のWi-Fiシステムのための2つ以上のアンテナに接続され、当該特定のWi-Fiシステムの出力を、当該特定のWi-Fiシステムのための前記2つ以上のアンテナのうちの1つの特定のアンテナに選択的に接続するように構成されている、請求項5に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項8】
前記トランシーバストリップは、複数の繰り返しメタリージョンを含み、各メタリージョンは、コントローラとして構成された前記Wi-Fiシステムの1つと、2つ以上のサブリージョンの第2ヘッドエンドとを含み、前記サブリージョンの各々は、前記特定のWi-Fiシステムの2つ以上のアンテナのセットを備え、アンテナの各セットは2つ以上のアンテナを備える、請求項5に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項9】
前記Wi-Fiシステムの各々の前記2つ以上のアンテナは、前記細長いトランシーバストリップに取り付けられたドータストリップ上にマウントされている、請求項5に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項10】
前記細長いトランシーバストリップは、間隔を置いて圧着、折り曲げ、又は曲げがなされている、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項11】
前記細長いトランシーバストリップは、前記ストリップの向きを変更するための機械式コネクタまたはフレキシブルなブリッジのいずれかを、繰り返しの間隔で複数備えている、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項12】
前記電力線、前記ネットワーク線、前記3つ以上のWi-Fiシステムは、細長いケーブル上にマウントされている、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項13】
複数の回路基板を備え、前記2つ以上のアンテナの各セットは、当該セットのための特定の回路基板に取り付けられ、前記回路基板の各々は、前記電力線および前記ネットワーク線に接続されている、請求項11に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項14】
複数の回路基板を備え、前記2つ以上のアンテナの各セットは、当該セットのための特定の回路基板に取り付けられ、前記回路基板の各々は、前記電力線および前記ネットワーク線を伝送する別々のケーブルに接続されている、請求項11に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項15】
前記Wi-Fiシステムの各々は、電源、ネットワークトランシーバ、中央処理装置、およびWi-Fiトランシーバを備え、
各特定のWi-Fiシステムの前記2つ以上のアンテナのセットは、選択可能または移動可能なアンテナセットである、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項16】
無線ネットワークシステムであって、
1つまたは複数のPoE(Power-over-Ethernet)入力、リソースバジェッタ、ストリップコントローラー、イーサネット/バックプレーン変換器、および各々が電力線とネットワーク線を備える2つ以上の出力、を備えたヘッドエンドと、
前記ヘッドエンドに取り付けられ、各々が前記2つ以上の出力の対応する1つの前記電力線および前記ネットワーク線をこれらの長さ方向に沿って伝送する、2本以上の細長いトランシーバストリップまたはケーブルと、
2本以上の細長い前記トランシーバストリップまたは前記ケーブルの各々に設けられた3つ以上のWi-Fiシステムであって、前記3つ以上のWi-Fiシステムの各々は、同一の前記電力線および同一の前記ネットワーク線に直列に接続され、前記3つ以上のWi-Fiシステムのうちの各特定のWi-Fiシステムは、当該特定のWi-Fiシステムのための2つ以上のアンテナのセットに接続されており、2本以上の細長い前記トランシーバストリップまたは前記ケーブルの各々に設けられた前記3つ以上のWi-Fiシステムは、1つ以上の場所及び1つ以上のアンテナパターンに基づいて無線送信及び受信のためのWi-Fiシステムのサブセットを形成するために、前記無線ネットワークシステムによって選択可能である、前記3つ以上のWi-Fiシステムと、
を備える無線ネットワークシステム。
【請求項17】
前記リソースバジェッタは、前記Wi-Fiシステムの1つ以上に、電源節約状態へのパワーダウンまたは個々のトランシーバの低下もしくはオフを要求するように構成されている、請求項16に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項18】
前記Wi-Fiシステムの各々は、電源、ネットワークトランシーバ、中央処理装置、およびWi-Fiトランシーバを備え、
各特定のWi-Fiシステムの前記2つ以上のアンテナのセットは、選択可能または移動可能なアンテナセットである、請求項16に記載の無線ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークの製造、分配、設置、及び運用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現行のWi-Fiネットワークを作成及びデプロイする既存の手法は、複数の個別の無線アクセスポイントを設置することを含み、これらのアクセスポイントは個別の有線ネットワーク接続及び電源接続(通常はイーサネットであり、PoE(Power over Ethernet)によりアクセスポイントに電源を供給する)によってスイッチに接続される。これらのアクセスポイントは、少数の無線機を収容し、カバーするエリア(通常はオフィスビル等)の全体にわたって間隔を空けて分散配置され、これは、理想的には、通常は人がいるデプロイメントエリアの全てに対して十分な無線カバレッジを確保しながらアクセスポイントの数を最小限に抑えるように行われる。この2つの目標、即ち、十分なカバレッジとアクセスポイント数の最小化は、本質的に対立するものである為、設置担当者は設置の適切な妥協点を見出すべく、穴埋めや密度の確保の為にアクセスポイントの位置や数をしばしば復旧したり更新したりしなければならない。
【0003】
そのプロセスのあらゆるステップが高価である。エンタプライズグレードのアクセスポイントは高価であり、それらがしばしば1000ドル以上である定価から値引きされたとしても(例えば、それらが1個100ドル引きで販売されたとしても)、設置担当者が、カバレッジの穴が絶対発生しないようにと、デプロイ数を例えば2倍又は3倍にできるようなコストでないのは確かである。ケーブルをワイヤリングクローゼットから各アクセスポイントの設置場所まで直接引き回すのに必要な労力は高価である。はしごを登ってアクセスポイントを(通常は専用のマウントブラケットに載せて)壁や天井にマウントすることは高価である。アクセスポイントから伸びるワイヤが接続される、ワイヤリングクローゼットのPoE(Power over Ethernet)スイッチポートは高価である。ワイヤリングクローゼットの配線は高価である。アクセスポイントの運用に必要なライセンスは高価である。アクセスポイントを管理するコントローラ機器はどれも高価である。
【0004】
つまり、1つのアクセスポイントの設置に必要な労力及び資材のコストは、カスタマが各アクセスポイントを常時監視及び把握しなければならないことを確実にするものである為、カスタマは、デプロイされるアクセスポイントの数を合理化する、即ち、少なく保つことを強いられる。更に、カスタマがエリアを過剰な数のアクセスポイントであふれさせることを特に望んだとしても、それは製造元の(明示または暗示された)推奨事項に反することになる。これは、無線機同士の競合及び干渉が、ネットワークの効率的な運用、又はネットワークを調整する為に現在組み込まれているアルゴリズムの動作を阻害する為である。
【0005】
問題は、各アクセスポイントが離散的であって監視対象であって名前を付けられている高価なアセットであることである。こうした苦労を多少なりとも軽減する試みが幾つか行われてきた。例えば、幾つかのアクセスポイントはポートが複数あり、ある程度の電力を1つのポートから別のポートにパススルーすることさえ可能である。この為、設置担当者は、アクセスポイント同士をデイジーチェーン接続することができれば、各アクセスポイントからの配線が個々にワイヤリングクローゼットまで伸びることを回避できるであろう。しかしながら、アクセスポイントは、2つ以上又は3つ以上がデイジーチェーン接続されることに対応するようには設計されない。これは、有線ネットワーク上でのアクセスポイント自体の帯域幅及び供給される電力が低下する為である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態によれば、無線ネットワーキングを構築して提供する方法及びシステムが提供される。幾つかの実施形態では、電球等の一般的なデバイス(しばしば日用品デバイス)に無線トランシーバを埋め込むか、その中で既存の埋め込み無線トランシーバを使用することによって、現在コスト効率よく利用可能な密度を優に超えるように密度を増やす。幾つかの実施形態では、無線トランシーバ、電源、及びネットワーキングが埋め込まれた材料の、潜在的に長いストリップ又は平面を使用する。幾つかの実施形態では、(たいていは切り換え可能な)アンテナが埋め込まれた材料の、潜在的に長いストリップ又は平面を使用することによって、トランシーバが送信及び受信の物理ポイントを選択する機会を格段に増やす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電球内の無線トランシーバ及び埋め込みアンテナを示す、本発明の一実施形態の図である。
図2】照明に埋め込まれた無線アクセスポイントのブロック図を示す、本発明の一実施形態の図である。
図3】方位を電子的に変更できるアンテナを示す、本発明の一実施形態の図である。
図4】アンテナオプションの電子的に選択可能なセットを示す、本発明の一実施形態の図である。
図5】無線トランシーバに取り付けられたアンテナストリップシートを示す、本発明の一実施形態の図である。
図6】ストリップ上のエンドスパン位置及びミッドスパン位置の両方における、放射アンテナまで延びた複数の複数の伝送線路を示す、本発明の一実施形態の図である。
図7】アンテナストリップ上のアンテナの繰り返しパターンを複数の伝送線路とともに示す、本発明の一実施形態の図である。
図8】共通アンテナ伝送レーンと、それらのアンテナの中から選択する選択可能アンテナスイッチの為のデータ線路とを示す、本発明の一実施形態の図である。
図9】アンテナストリップ上の選択可能アンテナスイッチを駆動する無線トランシーバ及びスイッチコントローラを示す、本発明の一実施形態の図である。
図10】(例えば、ストリップ上の)複数のアンテナを有する複数の選択可能ベースバンドツーブロードキャスト変調器を駆動する無線ベースバンドトランシーバ及びスイッチコントローラを示す、本発明の一実施形態の図である。
図11】ストリップ上の複数のアンテナセットの複数のリージョンを制御するヘッドエンドを示す、本発明の一実施形態の図である。
図12】繰り返し無線システムを有するストリップに電源及びネットワーキングを提供するヘッドエンドを示す、本発明の一実施形態の図である。
図13】それぞれが繰り返し選択可能アンテナを駆動する繰り返し無線システムを有するストリップに電源及びネットワーキングを提供するヘッドエンドを示す、本発明の一実施形態の図である。
図14】アンテナストリップ上に繰り返し無線システムが埋め込まれ、ヘッドエンドによって駆動される、アンテナストリップの複数の選択可能アンテナセットの構成を示す、本発明の一実施形態の図である。
図15】ヘッドエンドによって駆動されて、1つ以上のストリップ上のユニット全体からアクティブユニットを選択するリソース割り当てを示す、本発明の一実施形態の図である。
図16】ストリップではなくケーブルを介して複数の無線システムを駆動するヘッドエンドを示す、本発明の一実施形態の図である。
図17】ストリング内でAC電源で駆動される繰り返し無線システムを示す、本発明の一実施形態の図である。
図18】本発明の一実施形態の可能な利点を示す図であり、アクセスポイント伝送場所がより高い密度の選択可能場所の中の点に電子的に設定されて、アクセスポイントがそれぞれの現在の場所からそれぞれの最適な場所に物理的に再配置されうるかどうかの状況をおそらくはより厳密にエミュレートしていることを示す図である。
図19】複数のヘッドエンド又は離散的なアクセスポイントにわたるリソース管理及びトポロジ発見を示す、本発明の一実施形態の図である。
図20】本発明の複数の実施形態を設置する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の多くに関連する1つのテーマは、無線伝送が利用可能な場所の密度を増やす方法を活用して、人間の介入又は実際の離散的なアセットの物理的再配置を必要とせずに無線ネットワークの物理レイアウトの電子的再構成を潜在的に可能にすることである。フォームファクタを開示することの可能な利点は、アーキテクチャプラン又はワイヤリングプランへの容易な組み込みが可能なこと、並びに熟練のネットワーク接続労働者ではなく電気技術者による設置が可能なことである。
【0010】
図1は、無線電球110の一般的なアーキテクチャを示す。Wi-Fiトランシーバ120が示されている。電球110は、通常、チップ状の完結したシステムとして利用可能である。即ち、電球110は、CPU、メモリ。及びオペレーティングシステムを、その無線層及び媒体アクセス制御(MAC)層とともに含む。電球110は又、電球であるべく、LEDと、システムオンチップ(SoC)に取り付けられた十分なLEDコントローラとを有しており、それによって、SoCはネットワーク要求に基づいてLEDを(通常はパルス幅変調によって)薄暗くすることが可能である。この実施形態は、単に電球に関するものではない為、照明構成要素は図に示していない。Wi-Fiトランシーバ120は、ネットワーク110からの情報を中継するアクセスポイントとして動作する。
【0011】
図2は、図1の実施形態の詳細を示す。ネットワーク200は、主電源210上をルーティングされている(必須ではないが通常は大容量の)電力線ネットワーキング技術を使用して導入されている。電球は電源220を有し、電源220は、電球の照明及び無線のニーズを駆動するのに十分な容量を有する。電力線ネットワークトランシーバ230は、CPU/コントローラ250を有線ネットワーク200に接続する。Wi-Fiトランシーバ290は、一般的なWi-Fi機能を提供する。そのようなトランシーバは、典型的には、CPU250がより上位層のネットワーキング構成をハンドリングし、トランシーバ自体はCPUによってプログラムされて正しい無線モード(例えば、提供するBSSIDの個数、それらのアドレス(多くの場合、ベースアドレス及びマスクによる)、必要な無線設定等)を採用するように構造化されている。典型的には、CPU上のソフトウェアの形でアクセスポイントマネージャ260があり、これは、各クライアントに関する関連付け及び状態機械、並びにクライアントのリスト280、及び提供されるBSSID及びSSIDサービスのリスト270をハンドリングする。1つ以上のアンテナ295が提供される。
【0012】
図1では電球をねじ込み式として示したが、これは一実施形態に過ぎず、電球は様々なフォームファクタで提供されており、例えば、差し込み式、スナップ式、及び蛍光灯式の電球が提供されている(代替の照明技術がLEDであるとしても)。電源及び電力線ネットワーキング技術は、幾つかの実施形態では、蛍光灯安定器を通して動作する。別の実施形態は標準的な2ピン又は3ピンのコンセントプラグが付いており、これによって電源コンセントに差し込まれる。更に別の実施形態は常夜灯の構成をとる。別の実施形態は、ワイヤで電源に(例えば、接続箱内の蝶ナットで)直結される。
【0013】
別の実施形態では、電力線ネットワーキング素子は使用されず(或いは存在すらせず)、メッシュネットワーキング用Wi-Fiトランシーバが使用される。
【0014】
文字通りのフォームファクタとしての電球は、唯一の可能なフォームファクタではない。アクセスポイントを導入できる場所は他にもある。電球の実施形態から照明構成要素を除去するだけで、照明がない「常夜灯」、即ち、単なる無線機が得られる。別の実施形態は、標準的なコンセントの代わりにワイヤ接続されたコンセントに直接組み込まれるか、制御可能なスマートコンセントに組み込まれるか、GFCIコンセントに組み込まれ、それぞれは別々の実施形態であって、単純なプラグ、制御可能なプラグ、又はGFCI保護を有するプラグの必要な特徴を備える。
【0015】
上述の実施形態の場合のような組み込み無線の設置では、設置担当者がアンテナを構成しなくてよい。多くの場合、アンテナパターンは重要であり、特にデバイスが天井又は壁又は造作にくっつけられて設置される場合には重要である。そして、固定アンテナセットを1つしか持たないことは、環境に対して結果として得られたアンテナパターンによって非常にいびつな形状のセルが形成されて十分なカバレッジが得られない場合に問題となるであろう。
【0016】
ある一連の実施形態がこの問題を、自動的に可動なアンテナを使用することによって解決する。図3に2つの実施形態を示す。図3aは、1軸自由度で電気的に可動な装置310(例えば、サーボ、モータ、又は電気的に変形可能な物質)にマウントされたアンテナ300を示す。図3bは、1つの可動な装置330を、異なる方向(例えば、直交方向)にある別の可動な装置340の上にマウントすることによる2軸自由度を示す。Wi-Fi用全方向性アンテナは長さが1~2センチメートルあればよく、必要な機械式サーボ又はモータは、現在では極めて低コスト且つ極小サイズで製造が可能である。従って、複数の可動アンテナパッケージを、(電球内のような)小さなフォームファクタの中に容易に設置することが可能である。別の実施形態では、サーボ又はモータの代わりにばね及び可変長stmtを使用してアンテナを位置決めする。可変長stmtは、メモリワイヤ、ラックアンドピニオンシステム、ソレノイド、電圧感受性材料、又は他の同様の機構であってよい。材料の選択は製造上の決断であり、動作に必要な電力とコストと複雑さとの間にトレードオフが存在するが、そのような選択は明白であり、実験も更なる発明も不要である。幾つかの実施形態では、複数のアンテナが一緒に1つの可動機構に取り付けられている。
【0017】
機械的な動きが不要であれば、複数のアンテナパターンを切り換えることが可能である。図4は、アンテナ切り換えの一実施形態を示す。複数のアンテナが、様々な方位、位置で、又は様々な形状及びパターンで設けられる。この図では、各アンテナ400にそれぞれの専用の一方向スイッチ410が設けられているが、その代わりに、より少ない数の多方向スイッチが設けられてよい。これらのアンテナは、2次元又は3次元の空間において様々な方向に配列されてよい。これらのアンテナは、独立したワイヤであってよく、又は、マイクロストリップアンテナのように、プラスチック回路基板又は立体回路基板に印刷されてよい。これを行うことはしばしば非常に安価である。幾つかの実施形態では、それらの選択を使用して、システムが様々なアンテナパターンを検索し、最適なアンテナパターンを見つけて使用することが可能である、十分なアンテナ可能性をアンテナごとに実現する。遠い昔のWi-Fiの黎明期にはパケットごとのアンテナ切り換えが行われており、そこでは、トランシーバは、使い捨てのトレーニングプリアンブルの間に複数のアンテナに対する信号強度を比較する時間が十分あって(通常、回路は他に多くの測定を行うほどには洗練されていなかった)、システムは、どのアンテナから主信号を受信する必要があるかを選択することができた。これは、OFDMによって速度が速くなったときに全て廃止された。それは、単純に十分な検出時間がとれなくなった為である。そして、それは、MIMOと、複数のアンテナが別々の信号を走らせることとで、意味すらなさなくなったであろう。しかしながら、それは、アンテナの位置はどうでもよいという意味ではなかった。むしろ現在では、アクセスポイントは、そのケースの、妥当な直交性が得られる場所にアンテナを目立つように貼り付けている(外部アンテナはそれよりも多少まれであり、それは、外部アンテナが時間とともに倒れてきてアクセスポイントのパターンが変化しがちな為である)。しかしながら、アプリオリな配置ができない物理的に制約のある場所(例えば、電球ソケット内や接続箱内)にアクセスポイントが配置される場合には、パケットごとではなく配置ごとに、そして動いているトラフィックパターン等に基づいて時間とともに、アンテナをリモートで自動的に調節できることがやはり必要になる。
【0018】
アクセスポイントは元来、計画担当者及び設置担当者の両者によって、高度の慎重さと精密さで配置される。理想的にはむしろ、アクセスポイントを任意の都合のよい場所に置いてから、リモートでアンテナを最適な位置まで伸ばすことになるであろう。しかしながら、MIMOでは、これをケーブル配線で行うのは困難である。それは、同じ周波数の複数の別々の空間チャネルをキャプチャできるように、各チャネルを、アンテナ間で一定の距離を取って十分な独立性を持たせて配置しなければならない為である。同軸ケーブルの端に外部アンテナをぶら下げる為だけに2~4本の同軸ケーブルを伸ばすことに十分なコストをかけたいとはほとんど誰も思わないであろう。同軸圧着工具が設置担当者のツールベルトに入っていることは一般的ではなく、通常は、同軸ケーブルを伸ばしてアンテナを配置することが可能なら、その代わりにその同じ場所にアクセスポイントを置いてコスト及び労力を節約することが可能である。実際、この理由で、現在売られているほとんどのアクセスポイントは内部アンテナだけを収容している。
【0019】
しかしながら、この設置の問題は、アンテナが表面に埋め込まれた、安価で、場合によってはフレキシブルで、設置が容易な材料のシートを使用することで軽減が可能である。図5はアンテナストリップシートを概念的に示す。Wi-Fiトランシーバ500は、1つ以上のアンテナの為の1つ以上の電線510を介してストリップ520とつながっている。そしてストリップシートは、それによって複数のアンテナの配置が可能になるように空間いっぱいに配置されている。
【0020】
幾つかの実施形態では、ストリップシートは、安価なLED照明ストリップ(通常はプラスチック製のフレキシブル回路基板)に非常によく似た形で印刷されている。幾つかの実施形態では、ストリップは、アドレス指定可能なアンテナセットの複数の繰り返しユニットと支持基礎構造とで構成されている。アンテナシートは、幾つかの実施形態では、ヘッドエンドユニットにマウントされ、ヘッドエンドユニットは、実施形態に応じて、パッシブなアンテナからアクティブなトランシーバまで様々な構成要素をアドレス指定可能な様式で駆動する。目標は、これらのシートが長いスプールの形で販売されて、安価に心置きなく使えて、経済的痛みをほとんど感じずに必要に応じてカットできることで、熟練していなくても設置が可能であり、廃棄コストが最小限ですむようにすることである。
【0021】
幾つかのシンプルな実施形態では、図6に示すように、ストリップシートは1つのアンテナセットを有する。幾つかの実施形態では、レーン640は、各アンテナ630への信号を搬送し、同じ平面上の十分な印刷シールドレーン620と、上部610及び/又は下部650に印刷された平面上のスタックシールドとに囲まれて、レーン自体による放射又は吸収を防いでおり、幾つかの実施形態では、これらのシールドは接地されており、同じ平面にある絶縁空間又は別の平面にある絶縁層によってレーンから離されている。別の実施形態では、別のシールド機構が使用される。図に示したようなシールドにより、ストリップの非放射部の大部分が、安価に作られた同軸ケーブルのように動作するが、同軸要素(即ち、ケーブル)がない為、LEDストリップと同じ方法で製造可能である。1つの可能な利点は、同軸ケーブルのように、信号の減衰が、アンテナストリップの長さ方向にほぼ直線的に保たれることである。シールドストリップの幅の選択は、マイクロストリップ伝送線路の当業者であれば過度の実験を行うことなく容易に行うものであり、希望価格での希望品質に基づいて行われてよい。放射場所では、シールドが省略され、適切な放射及びインピーダンス整合構造が使用される。図6aでは、ストリップの非シールド端部に4つのアンテナが平行に示されており、これは例示であるが、そのように隣接して位置合わせされたアンテナオプションが実施可能であり、それによって、例えば、図面の方向に主放射構造を有する並列PIFAアンテナが得られる。しかしながら、幾つかの実施形態では、各アンテナの配置は、それぞれ異なる方位、パターンで、それぞれ異なるシールド面及び接地面構成で行われる。例えば、図6bは、直交する2つの放射アンテナのセットを2つ示しており、これらはレーン平面上のシールド材料で囲まれている(この場合も、詳細には示していないが、そのような主方位を有するPIFAアンテナが印刷されてよい)。別の実施形態では、異なるレーン平面シールドを使用するか、図面のパートaにあるように、放射要素においてレーン平面シールドを省略する。別の実施形態では、放射面の上の1つのシールド層(例えば、最上層)を除去し、下のシールドをそのままにすることによって、アンテナが、ストリップの平面に垂直な好ましい方向に放射するようにする。これは、パッチアンテナにおいて典型的に行われる。対応可能な放射要素の長さは、潜在的にはその最長寸法に余裕があるストリップと同等であるが、妥当なビームパターンを作成する要求を含めた実際的な検討によれば、長さ、アレイパターンが制約され、潜在利得がわずか数dBiに制限される可能性がある。アンテナの形状は、ニーズに基づく選択でもある。幾つかの実施形態では、2つ以上の放射要素がレーンに取り付けられるが、幾つかの実施形態は、様々なパターン表現を可能にする為にこれを行い、別の幾つかの実施形態は、様々な周波数応答を可能にする為にこれを行う(例えば、使用される周波数帯に基づく複数の最適な応答の為の複数の長さを有する)。
【0022】
別の実施形態では、複数のアンテナセットが同じストリップ上の異なる場所に配置される。シンプルな一実施形態を図7に示す。この実施形態では、ストリップに沿って放射パターンが少なくとも1回繰り返される。各アンテナ720は、シールドストリップ700が取り巻く中をストリップのヘッドに戻るそれぞれのレーン710を保持している。この図及びこの後の図では他のシールド層にある複数の穴を示していないが、ここまでの説明から明らかなように、多くの実施形態では、アンテナの少なくとも放射部にわたって複数の穴があるものであり、これは、平面に垂直な一方又は両方の方向に信号が逃げられるようにする為であり、又、前述同様に、同じ層にある放射アンテナを取り巻くシールドが様々であってよいようにする為である。この図では、第2のアンテナセットの為のレーンが第1のそれと同じ層に示されている。別の実施形態では、各アンテナレーンは異なる複数の層にまたがって分散しており、その全てがそれらの間にある適切なシールドを有している(具体的な一実施形態では、レーンが各層間で垂直方向にジグザグに伸びることで、1つの層にあるレーンがその上及び下の層にあるレーンの間のシールドに囲まれるようになっている)。そして、各層は、外界に露出しているアンテナを有する上部放射層とバイアでつながることが可能である。
【0023】
図8は、切り換えアンテナを使用する別の実施形態を示す。これらの実施形態では、アンテナ840は、ストリップに沿って必要なだけ繰り返されるセットを形成し、1つのレーン810は各アンテナ専用である。ストリップにはアクティブスイッチ820がマウントされている。この図ではアクティブスイッチ用の電源レーン及び接地リターンを示していないが、これは、それらが引き回し可能であることが当業者であれば明らかな為である。但し、スイッチ用のデータ線路830は示している。幾つかの実施形態では、これは、アンテナスイッチ/コントローラ820と連通しているシリアル線路であり、そのスイッチを活性化する為の線路である。一実施形態では、各スイッチに専用スイッチ制御線路がつながっている。別の実施形態では、シンプルなパルスコードを使用して複数のスイッチ/コントローラをチェーン接続しており、Wi-Fiトランシーバの近くにデータ線路用のマスタコントローラがあり、これは、特定のアドレス長の方形パルスの系列を放出し、その後に異なる長さのトレーラパルスを放出する。各スイッチ/コントローラは、その実施形態では線路を電気的に終端し、到来するパルスをカウントし、第1のパルスは放出せずに、第2のパルス及びその後のパルス(トレーラパルスを含む)を次のスイッチに向けて下流に放出する。トレーラの前にパルスが1つだけが到来した場合には、スイッチは閉じて、そのアンテナをアンテナレーンにつなぎ、それ以外の場合には、スイッチは開いて、アンテナは切り離される。このように、マスタコントローラは、活性化しようとするスイッチのカウントに等しい、1から始まる数のパルスを放出し、その後にトレーラを放出する。例えば、6カウント分のパルスと1つのトレーラが送出されると、ヘッドエンドから数えて6個目のスイッチ以外の、ストリップ上の全てのスイッチが開く。明らかなことに、他のコードも使用されてよく、例えば、多様なコーティングを使用するアドレス指定可能なバイナリコードが使用されてよく、そのようなものとして、可変パルス幅、マンチェスター、及び他の、当該技術分野において知られているものがある。今ここで述べた特定の実施形態は、最小限の回路で実施可能なシンプルなコードに過ぎない。なお、図を明確にするために図にはシールドを示していないが、シールドの配置方法については既に説明したとおりである。面間シールドについては、今はマウントされた構成要素があるので、幾つかの実施形態では、シールド層の穴を、下の層にあるアクティブな構成要素のはんだパッド用として放置している。別の実施形態では、アンテナレーンを最上部マウント層の下の別の層に移し、それらのレーンをバイア経由で表面層に上げる。一特定実施形態では、スイッチのはんだパッドにバイアを配置することにより、スイッチが自身のボディで放射を直接ブロックすることを可能にして偶発的な漏れを防ぐ。別の実施形態では、最上部マウント及び放射層のすぐ下の最上部シールド層をアクティブな構成要素の為の接地層として使用し、接地を、場合に応じて、最上部層に印刷された自身の接地線路にバイア経由でつなぐか、接地を常に第2の層にバイア経由でつなぐ。
【0024】
図9は、ストリップ又は同様の構造940に接続されたマスタコントローラ910及びWi-Fiトランシーバ900を詳細に示しており、マスタコントローラ910は、例えばS0~4と命名された(又は幾つであれ必要なだけの)スイッチ線路930を有し、Wi-Fiトランシーバ900は、例えばA0~4と命名された(又は同様に必要なだけの)アンテナ線路920を有する。別の実施形態では、もちろん様々なアンテナカウントを使用し、アンテナの繰り返しのパターン及び距離は製造オプションである。接地/シールド及び電源の接続は明らかなので図示していない。なお、やはり、別の実施形態では、同じ制御線路から複数のアンテナレーンを切り換えるマルチアンテナスイッチを使用する。幾つかの実施形態では、アンテナセット当たり1つのスイッチコントローラを使用するが、コントローラから出ている1つのスイッチ線路から複数の単一アンテナスイッチを駆動する。
【0025】
アンテナストリップは、もちろん先頭から末尾までの間に電力が低下し、又、アナログプロセスである為に、何らかの働きをする為にはトランシーバが必要である。幾つかの実施形態では、トランシーバとストリップとの間に取り付けられた、又はストリップに沿って1つ以上の箇所に配置された双方向増幅器がそれに対処する。一実施形態では、増幅器はストリップのヘッドエンドにある。別の実施形態では、増幅器は、レーンに沿って1つ以上の場所にあり、それによって、増幅器の挿入位置でレーンを分割している。別の実施形態では、増幅器は、レーンとスイッチとの間に、スイッチごとに1つずつマウントされており、それによってレーンを分割していない。他の場所も同様に可能である。
【0026】
しかしながら、非常に長く伸ばす場合、又は放射線の懸念が最も重要になる場合、又はコストや設置しやすさの理由から、他のオプションがある。図10は、ベースバンドアンテナストリップ1030を使用する実施形態を示す。ストリップの構築方法については既に開示したので、この図では明確にするために概略形態で示した。Wi-Fiトランシーバは、ここでは前段のRFからベースバンドトランシーバ1020までダウンしている。RFアンテナ線路の代わりに、最終ブロードバンド信号の実部及び複素部に対応するベースバンドアナログ線路(I及びQ)の少なくとも1つのペア1025がある。少なくとも1つの双方向ベースバンド/ブロードバンドコンバータ1050(図には2つの繰り返しユニットを示している)が送信時にベースバンドをブロードバンドに変調及びアップコンバートし、受信時にブロードバンドをベースバンドにダウンコンバートする。1つ以上のCh線路がチャネル及び伝送特性を指定する。幾つかの実施形態では、Ch線路は、チャネルキャリア信号を搬送する1つの線路だけであり、コンバータは、IQ線路の状態に応じて送信及び受信を検出する。別の実施形態では、使用するチャネルを示す信号をCh線路が搬送し、コンバータが共振器を内蔵して必要な周波数を発生させる。チャネルを示す信号は、一特定実施形態では、クリスタルで駆動されるような低周波信号と、クリスタル線路から生成する相対周波数を指定する乗数信号と、からなる。別の実施形態では、Ch線路はTx/Rx線路にもなり、コンバータは、送信するか受信するかを決定する為に、IQ線路の感知を行わずに、(通常はトランシーバを通してMACによって駆動される)Tx/Rx線路を使用する。図に示すように、幾つかの実施形態では、どのアンテナセットを使用するかを、どのコンバータを駆動するかを選択することによって選択する。幾つかの実施形態では、コンバータはスイッチオンされて初めて電源が入り、これには、既述の、シリアル線路を使用するアンテナスイッチのような被制御スイッチが使用されるが、それよりはむしろ、電源線路上の電源スイッチが使用される。別の実施形態では、コンバータはイネーブル線路を有し、これは、既にスイッチに使用されているように、シリアルコントローラ等のコントローラで駆動される。これらの実施形態の1つの可能な利点は、ベースバンド信号がより少ないエラーでより遠くまで届き、コンバータが、十分に小型且つ安価であって、ほとんど使い捨ての形でアンテナストリップ上にマウント可能なことである。
【0027】
別の実施形態は、フルベースバンドコントローラを使用する代わりに、チャネル上を搬送される低周波実信号と、追加の変換段とを使用するように記述されうる。この二段コンバータは、IQ線路が低通過帯域線路に置き換えられることを必要とし、この低通過帯域線路は、通常、アンテナあたり2本よりは1本であるが、信号が実電圧として完全に表現されることを可能にするのに十分な程度の高さの、低い非放射周波数で設定される。このセットアップは、前の図と非常によく似て見える。中間的な通過帯域を使用することの1つの可能な利点は、線路の数とコンバータの複雑さとを低減できることである。
【0028】
あらゆる場合において、(既に開示のアンテナストリップであっても後述のトランシーバストリップであっても)ストリップ内に複数の制御線路及びアンテナレーンをマウントすることが可能であり、従って、2つ以上のアンテナセットにおいて同時に送信又は受信を行うことが可能なストリップを有する実施形態を形成することが可能である。図11は、マルチリージョンストリップ1120を示す。幾つかの実施形態では、それらのリージョンは互いに隣接しており、ストリップは間隔を置いて新たなリージョンを繰り返す。幾つかの実施形態では、リージョン当たり1つのアンテナセット130がカウントによって使用されるように利用可能であり、それによって、リージョンが5つあってコマンド線路が5つあれば、第1のリージョンにあるどの1つのアンテナセットが使用されるかを第1のコマンド線路が選択して制御すること等が行われる。別の実施形態では、各リージョンはn分の1(one-of-n)である。即ち、一定の繰り返しリージョン間隔以内で、第1のアンテナセットが第1の選択セットに属し、第2のアンテナセットが第2の選択セットに属し、以降も同様であり、それによって、第1の制御線路が、どのリージョンの第1のアンテナセットが使用されるかを選択すること等が行われる(これらの実施形態の幾つかはこれまでの実施形態が連続するインタリーブ形態であることに注目されたい)。
【0029】
多くの場合、アンテナストリップは十分であるはずである。しかしながら、場合によっては、アナログ損失が容認できない状態で残る為、長さを更に伸ばすには純粋にデジタルな伝送機構が必要である。幸いなことにフルWi-Fi SoCはそれ自体が十分安価なので、それらを複数個、ストリップ上にマウントすることが可能である。
【0030】
図12は、トランシーバストリップ1230を示す。Wi-Fiシステム1240は、最低でもデジタルツーアナログトランシーバを含む。しかしながら、幾つかの実施形態では、Wi-Fiシステムはシステムオンチップ全体を含む。これらの実施形態では、ネットワーク線路はそれらのシステム同士をつなぐ。幾つかの実施形態では、ネットワーク線路は高速バスである。幾つかの実施形態では、ネットワーク線路はタップ可能ネットワークであり、例えば、ハブ可能な又は修正されたポイントツーポイントイーサネットである。幾つかの実施形態では、ネットワーク線路は、アドレス指定可能なバックプレーンとして機能する。別の実施形態では、ネットワーク線路はブロードキャスト媒体である。幾つかの実施形態では、ヘッドエンド1200は、このストリップにネットワーキング1220及び電源1210を提供する。これらのトランシーバ実施形態の1つの可能な利点は、電源及び帯域幅による制限がありながら、複数のシステムが同じチャネルでも異なるチャネルでも同時に通信できることである。このように、これらのストリップは、設置担当者からすると安価なLEDストリップと同じように働くことが可能であってよく、必要なだけ量り分けること、必要な場所へ引き回すこと、及び必要に応じてカットすることが可能であってよい。そしてこのシステムは、そのストリップのうちのどれだけを使用するか、並びにそれをいつどこで使用するかを決定することが可能であり、これについては後で開示する。
【0031】
これらのストリップは複数の可能性を提供する為、電球フォームファクタごとに複数のアンテナパターンを有するこれまでの実施形態は、例えば図13に示すように、ストリップ上で直接使用可能である。明確にするために、アンテナレーンとその切り換え可能な選択を1つだけ図示したが、組み合わせが一般的であり、組み合わせを複数のレーン及び選択に拡張することが可能である。スイッチ1340及びアンテナ1350は、図4のスイッチ及びアンテナと同様に動作可能である。図14は、一般的な組み合わせを有する一実施形態を示しており、ここでは、ストリップ1430が繰り返しメタリージョンに分割されており、各メタリージョンは、Wi-Fiシステム1440とサブリージョン1450(2つを図示しているが任意の数が可能)とを含み、Wi-Fiシステム1440は自身のコントローラ及びサブリージョン1450のヘッドエンドとして動作し、各サブリージョン1450はアンテナセット1460(4つを図示しているが任意の数が可能)を含み、アンテナセットは、パッシブな複数のアンテナレーン、アクティブに切り換えられるレーン、変換されるレーン等を含む開示済み実施形態のうちの任意の実施形態を含んでよい。
【0032】
ここまではストリップを平らな2次元物体として説明してきた。しかしながら、アンテナは3次元でなければならない場合がある為、幾つかの実施形態も3次元である。幾つかの実施形態では、アンテナセットはドータストリップ上にマウントされている。幾つかの実施形態では、アンテナは、正確な場所にはんだ付け又は接続された堅いワイヤである。幾つかの実施形態では、ストリップ自体は間隔を置いて圧着、折り曲げ、又は曲げがなされており、これは、ストリップが様々な方向をカバーできるようにしてから元の方向に戻す為である。幾つかの実施形態では、ストリップは、設置時に方向を変えられるように、繰り返しの間隔で機械式コネクタ、例えば、回転可能コネクタ(ブラシリングで自由に回転可能、又はケーブルで拘束されて回転可能なコネクタを含む)或いは折り曲げ可能又はフレキシブルなブリッジを有する。幾つかの実施形態では、アンテナは、既に開示したようにモータ駆動である。幾つかの実施形態はうまく組み合わされて、製造仕様に従って幾つかの部分を平らにして他の部分にこれらのオプションを持たせている。
【0033】
ストリップは効率的なフォームファクタを有しうる。但し、ストリップに関して開示されてきた相互接続手法はストリップの外側でなされうるものである。従って、別の実施形態では、既に開示の構造を使用するものの、ワイヤ又はケーブルを使用して回路を分けている。例えば、幾つかのそのような実施形態では、各アンテナセットがそれぞれの回路基板(フレキシブル又は非フレキシブル)にマウントされ、それらが同じ構造を含むケーブルで接続されることになる。別の実施形態では、繰り返しユニットを、ケーブルでつながった別々のストリップ又は回路に分けるだけである。これは現場で作成されてよく、LCDストリップが(無はんだ接触閉鎖ケーブルの使用を含めて)現場でカット及びケーブル接続可能であるのと同様に行われてよく、或いはLCDストリップが製造時にこのように製造可能であるのと同様に行われてよい。ケーブルは、現場でストリングを必要な長さに組み立て直すことを可能にする為にプラグを内蔵してよく、しなくてもよい。
【0034】
ケーブル接続されるストリングは有用なフォームファクタを有する為、実施形態の更なるセットが、限られた電源バジェットから(例えば、1つ以上のPower-over-Ethernet(PoE)引き込み線から)ストリングを駆動することに向けられる。
【0035】
電球及びストリップの実施形態は、実施形態の特定のセットに収斂される。ロングチューブ電球は2つ以上のアンテナセットが必要な場合がある為、幾つかの実施形態では、チューブは2つ以上のアンテナセットを含み、それらはストリップとして、又はワイヤで設置される。別の実施形態は、驚くことではないが、ストリップに照明も組み込んで、LEDストリップとしても動作させることを可能にする。
【0036】
なお、アンテナの数、ストリップの長さ、並びにストリップ上のアンテナセット及び繰り返しユニット(又はリージョン)のレイアウト及び間隔は、製造上のオプションであって、図面又は説明に限定されない。
【0037】
既存の建物、及びデフォルトの新しい建物は、各部屋用にPoEケーブルが実装されていることが多い。これらのPoEケーブルは、現時点では、従来型のWi-Fiデプロイメント向けに引き回されており、そこでは、1つのアクセスポイントがPoEポートに接続されて、そのネットワーク接続及び電源を受けることになる。PoEは、従来のAC電源と異なり、ワット数がシビアに制限されている為、フルパワー状態のアクティブなWi-Fi送信器を(例えば)20台含むストリップが1つのPoEポートから給電されうることは全くありそうにない。電源だけでなく、他のリソース、例えば、空気干渉、ネットワーク帯域幅、更には放射電力のヒト暴露の懸念に対するリソースも動的バジェット編成の必要性につながりうる。
【0038】
幾つかの実施形態では、活性化する回路構成要素の数を制限することによって、電源バジェット内に収める必要性に対処する(以下では、他のリソース制約に関して一般性を失わない限り、汎用リソースの代わりに「電源」を用いることとする)。図15は、リソースバジェット編成を実施する幾つかの実施形態を示す。完結したシステムをチップ上に含むWi-Fiシステムを複数有する1つ以上のストリップ1530(又はケーブル接続されている場合はストリング)に関して、リソースバジェッタ1520がSoCに対し、電力を電源節約状態まで下げるように要求してよい。幾つかの実施形態では、SoCがその有線ネットワーク上でWake-On-LANを使用してウェイクバックアップを行うことを可能にしている。幾つかの実施形態では、個別のアドレス指定可能電源コントローラスイッチを使用してSoCの電源を直接制御する。リソースバジェッタは、複数のトランシーバセットに対して、個々のトランシーバの能力を低下させるかオフにすることを要求してもよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、リソースバジェッタは、利用可能な電源を動的に測定することが可能である。別の実施形態では手動で測定する。幾つかの実施形態では、リソースバジェッタは、ストリング又はストリップの長さ及び内容を測定することが可能であり、これには、例えば、発見プロトコルを使用して(デジタルで、ブロードキャストで、又はキード(keyed)パッシブ構成要素(例えば、抵抗又はコンデンサ)を、ストリングの長さ上の様々なカット点に対応する様々な値で使用して)行われる(ストリップの2つのレーンにまたがる各カット可能リージョンに100kΩの抵抗がブリッジしているとすると、5つのリージョンを含むようにストリップをカットすれば、5つの100kΩ抵抗が並列になり、全部で20kΩになる)。リソースバジェッタは、幾つかの実施形態では、ヘッドエンド1510に配置される。別の実施形態では、リソースバジェッタは、ストリップ又はストリングの繰り返しユニットにある
【0040】
なお、利用可能な電源を増やす為に1つ以上のPoEポートが結合されてよい。以下に示すのは、リソース管理されるPoEストリップセットの幾つかの実施形態である。
【0041】
図16は、前の図とよく似た実施形態を示しており、ここでは、ストリングとしてワイヤ又はケーブル1650が個々のユニット1660をつないでまとめてヘッドエンド1610に接続しており、ヘッドエンド1610は1つ以上のPoE線路1600で駆動される。この実施形態では、ユニット全体が安価なクリスマス用照明ストリングに似ていて、異なるのは提供されるサービスが無線であることだと思い当たるであろう。そして、前と同様に、別の実施形態では、PoEは他のネットワーク接続及び電源のオプションに置き換えられる。幾つかの実施形態では、一オプションとして又は唯一のオプションとしてAC電源を使用してヘッドエンドに給電し、他の手段(イーサネットポート等)を介してネットワークに接続する。これは、ローカル電源を可能にすることによる、PoEを使用して給電することの小修正である。ストリングは長くなる場合がある為、ローカルに給電することは、無線の場合には従来のPoE適用より便利な場合がある。前と同様に、ケーブルは恒久的な有線接続でも差し込み式でもよい。幾つかの実施形態では、電力線のみを使用し、PoEを電力線及びヘッドエンド用電力線トランシーバに置き換える。そして別の幾つかの実施形態では、ストリング上の各ユニットに低電力及び個別ネットワーク線路を提供する。更に別の実施形態では、線路に沿ってAC電源を保持するが、個別の有線ネットワークをケーブル内に有する。更に別のユニットは、ストリング全体を通して電力線ネットワーキング及び電源技術を使用する。
【0042】
図17に示す実施形態では、ヘッドエンドを完全に無くし、電力線を使用して、ストリング又はストリップ上の個別ユニットを駆動する。これは、ローカル電源1720を個別ユニット1710に導入することによって行われる。幾つかの実施形態では更に、電力線トランシーバ1730を使用して、同じ電源を使用するワイヤ線路ネットワーキングにアクセスする。幾つかの実施形態では、リソースバジェッティングをストリングの1つ以上の個別ユニット(例えば、第1のユニット)に再配置し、別の実施形態では、リソースバジェッティングをストリング外に(例えば、別のユニット又は別のヘッドエンドに、或いはサーバ、アプライアンス、又はクラウドに)再配置し、別の実施形態ではそれを完全に無くす。これらの実施形態では、各ユニットは、AC電源上で通信する電力線トランシーバを有する。幾つかの実施形態では、プラグの代わりに接続箱配線を使用する。
【0043】
おそらくは密にオーバプロビジョニングされたWi-Fi(又は他のプロトコル、例えば、Bluetooth又は4G/5G)の電球又はストリップで建物が一杯になると、制御の問題が発生する。各無線機の電源をオンにして完全に送信状態にすることは無意味である。それを行うと干渉の問題がいよいよ悪化することになるからである。しかしながら、セット全体の中から無線機を柔軟に選択できれば、実施形態は、場所についての豊富なデプロイオプションを用いて、常に動いている最適場所を近似することが可能になる。この近似によって、何らかのモバイルプラットフォーム(例えば、ロボット)上の正確な場所まで無線機が駆動されうるという総合的な最適性に任意に近づくことが可能になる。
【0044】
図18は、パートaとパートbとで、ネットワーク需要の変化に反応して、基地局1800及び1830が最適場所1810及び1840まで物理的に動く理想的な状況を比較したものであり、パートbは、密にデプロイされたリソースによって得られるそれへの近似であり、それらのリソースのほとんどが無効化されているが(小さな中空円1820)、それらの幾つかは必要に応じて電源オンされて動作している。これを制御して、最適又は合理的にデプロイされたリソースへの妥当な近似を作成することができないと、密なデプロイメントはいかなる形態であっても障害につながる。このことが、既存のWi-Fi電球メーカーが彼らの電球をアクセスポイントに転用してWi-Fiインフラストラクチャ事業に参入することに気が向かなかった理由の1つである(別の理由は、前述のように、本発明までは、そうすることに法外なコストがかかり、設置できるものではなかった為である)。
【0045】
図19は、密な又はオーバデプロイされたリソースの管理の基本的なレイアウトを示す。現行の無線リソース管理は、ほとんど標準的なデプロイメントに限定されている。オーバデプロイメントが軽微なケースでは、幾つかのAPの電力を下げることが可能であり、幾つかのケースでは、少数の悪い状態のAPをオフにすることが提案されるか自動的に行われる。但し、これらは、オフにしなければならない過剰なリソースがアクティブなリソースよりずっと少ないデプロイメントに対して設計されていることであり、これに対して、本明細書で開示しているのは、図18bのように過剰なリソースがアクティブなリソースよりずっと多いケースに対するものである。その規模が重要である。典型的な企業構内に密にデプロイされるネットワークは、適切にデプロイされれば、10000を超える数の無線リソースを有することになり、場合によっては、物理的デプロイメントのエリアにおいて1平方ヤード当たり1つのアンテナセット又はそれ以上の密度に近づくことになる。既存の無線リソース管理手法は、いかなる点においても、それほどの密度又は規模に対しては構築されておらず、その為、高価な、丹念に設置されたアクセスポイントに対して運用されることに限定されている。
【0046】
オーバデプロイメントリソースマネージャの場所はフレキシブルである。幾つかの実施形態では、リソースマネージャは、コントローラアプライアンス内にソフトウェア配置される。別の実施形態では、リソースマネージャは、ソフトウェアとして1つ以上の場所、例えば、本発明の範囲内の他の場所にあるサーバ、デスクトップ、或いはヘッドエンド又はCPUに存在する。幾つかの実施形態では、リソースマネージャはクラウド内で動作する。リソースマネージャは、幾つかの実施形態では1つだけのエンティティとして存在し、別の実施形態では連係して働く。
【0047】
トポロジ発見器1930が、全てのリソースが最後に落ち着いた場所を正確に認識することを統括する。これは、(2つの測定可能オブジェクトの間での信号減衰によって測定される)無線空間、(GPSやBLEのように位置によって測定される)物理空間、又はこれら2つの組み合わせにおいて測定されることが可能である。従来のWi-Fiネットワークの場合と異なり、リソースが非常に大きくオーバデプロイされる可能性がある為、トポロジ発見はきわめてシンプルになる。これは、多くの場合に多数の他のリソースが任意の所望の1つのリソースのレンジにある為である。しかしながら、トポロジを測定する際には多少の注意が必要である。電源又はリソースに制約があるシステムでは、各アンテナセットの電源を一度にオンにすることは不可能な場合がある。但し、ブートストラップ機構が利用可能である。1つのそのような機構では、リソースのサブセット(例えば、リソース制約に基づいて利用可能な最大サブセット)をオンにしてトポロジを記録し、次にリソースの幾らかより小さいサブセットをオフにし、まだオンになっていなかった別のサブセットをオンにし、これら2つのサブセットを統合する。トポロジがグラフ形式で保持されていれば、これは非常に簡単に行われる。トポロジが何らかの距離空間にもレイアウトされている場合には、最良の適合がなされることが通常は必要とされることになり、これは、通常、測定値には統計ノイズが含まれて、通常、何らかのコンフォメーションを見つけなければならないことになる為である。トポロジ測定の性質により、多くの場合には、トポロジ測定を運用環境で行うことが可能であり、通常、有効化されたリソースは、バジェット化された最大リソースより少ないものであるが、そうでない場合でも、既存のリソースは(例えば、802.11kの場合と同様に「オフチャネル」になるサイレント期間が必要な)プロトコル方法を使用して、電力を下げて別のリソースをオンにできるようにすることが可能である。なお、リソースはアンテナと同等に粒状的である為、システムは、アンテナパターン、並びに送信機、無線機全体、及びアクセスポイント全体にわたって循環又は探索することが可能である。トポロジの一部は、ユーザ及びユーザの無線クライアントの分布を含まなければならない。
【0048】
トポロジが知られたら、リソースマネージャ1940が動的ネットワークの利用率及び需要を評価して、リソースのあるべき新たな最良の分布を決定してよい。幾つかの実施形態では、TCP負荷を考慮に入れる。別の実施形態では、アプリケーションごとの情報(例えば、追跡されるアプリケーション状態)を考慮に入れる。これはストリーミングアプリケーションの場合に非常に有用である可能性があり、ビデオストリームをその交換機から予期することが可能である。別の実施形態では、過去の統計的履歴を使用する。別の実施形態では、特定のリソース要求を使用する。幾つかの実施形態では、サービス中断を最小限に抑えることを考慮するか、少なくとも既存のクライアントに対するサービス中断のコストに重みを付ける。これは、既存の構成では十分なサービスを提供できない新しい負荷に対するサービス中断を評価することでもある。リソースマネージャ1940は、実施しようとする変更の内容を決定したら、それをアクティブリソース割り当てストレージ1950まで伝達する。アクティブリソース割り当てストレージ1950は要求された内容を記憶する。リソース変更が、ローカルのアンテナパターンの変更のような無停止の変更であれば、それらの要求は、ストリップのヘッドエンド及び他のAPに直接伝達されて実行される。しかしながら、変更がある程度の距離にわたる場合には、より多くの働きがなされることになる。アンテナセット間ハンドオーバマネージャ1920が、その距離にわたる再構成の実行方法を決定する役割を担う。
【0049】
距離の問題は重要である。行いたいのは、クライアントの視野内でAPを動かすことである。それによって、それらの幾つかが範囲外に置かれる可能性がある。場合によっては、これは許容できるリスクであり、ハンドオーバマネージャ1920は、それに関しては何もせずに動きを実行することを決定することになる。場合によっては、複数のクライアントが結束されることになり、その後、ブロックはクライアントに再配置を要求することになる。幾つかの実施形態では、これは、クライアントを切り離すことによって行われる。幾つかの実施形態では、クライアントのアクセスポイントは、負荷バランシング又はハンドオフプロトコル交換(例えば、802.11k/802.11rのそれ) を要求して、クライアントがそれらの現在のアクセスポイント(及び有望なチャネル)を放置することを必要とするように仕向ける。これらのプロトコル要求は、トポロジが行き先に関する良い提案を示す程度まで、プロトコルに基づくそれらの提案又は要求を含んでよい。
【0050】
それらの手法の1つでは、アンテナセットが変更されたときにクライアントのBSSIDを保存することになっている。古いアンテナセットと新しいアンテナセットが同じ媒体アクセスコントローラに属する場合、これは取るに足らない。これに対し、古いアンテナセットと新しいアンテナセットが異なるMACに属する場合には、ハンドオーバは、古いMAC(及びおそらくは、それによって古いAP)の電源をオフにすること、並びに新しいMACの電源をオンにすることを要求しなければならない。幾つかの実施形態では、電源等のリソースバジェットの支配下で、新しいMACの電源を最初にオンにする。新しいMACの電源がオンになったら、ハンドオーバブロックが、シームレスな運用を可能にする為にアクセスポイント状態を十分にハンドオーバする。これは、セキュリティトークン及びカウンタ、クライアント状態機械、アプリケーション追跡状態、その他を含んでよい。幾つかの実施形態では、この状態は、古いアクセスポイントから新しいアクセスポイントにストリームされ、これは、アクセスポイントの状態が確定し、アクセスポイントがその無線をリスンして送信を開始する準備が完了したことをアクセスポイントが確認するまで行われる。幾つかの実施形態では、古い無線機と新しい無線機の両方の電源がオンにされ、新しい無線機は新しいMACがケアを開始するのを待つだけである。これは、MACレベルで、又は(例えば、無効又は無用な値にBSSIDマスクを設定して、そのセットが応答しないようにする)トリックを用いて行われてよい。ハンドオーバの準備が完了したら、古いAPと新しいAPとがハンドオーバに同意し、妥当な限り微細な方法でハンドオーバを実行する。幾つかの実施形態では、それらは特定の移行期間に同意する。別の実施形態では、それらの一方が他方からの(無線経由又はバックネットワーク経由の)メッセージを待つ。幾つかの実施形態では、ハンドオーバは、ヘッドユニット内でのみ適正に行われることが可能である。別の実施形態では、ハンドオーバは任意の2つのMAC及びそれらのAPの間で行われることが可能である。なお、クライアントからはハンドオーバは見えず、実際には2つのAPの間でトランジションが発生したのだとしても、クライアントからは、APが1つの場所から別の場所に魔法のようにジャンプしたように見えることになる。これは、本発明において、BSSIDのより小さなセットをAPの格段に大きなセットに割り当てることによって、BSSID当たり1つのAPをマッピングする従来のやり方と異なるものになっている為である。これは完全に規格の範囲内であり、従って、トランジションは、単なる物理的再配置又はフェールオーバイベントのように見える。ちゃんと警告することなくクライアントの予想に違反することのないように注意を払わなければならず、例えば、クライアントの関連付け中の変更が適正にアドバタイズ及び許可されていない無線機能のトランジションが行われないように注意を払わなければならない。ハンドオーバブロックは、その注意を払う役割を担い、そのルールに違反する必要があると決定した場合には、可能な新しいBSSIDを割り当てることによってクライアントの混乱を防ぐ役割を担う。チャネル変更はBSSIDの変更を必要としない。これは、従来のシステムにおいてアクセスポイントが日常的にチャネルを変更する為である。
【0051】
これらの実施形態の多くは、よりシンプルな設置が可能である。多くの場合、設置担当者は、シンプルに、例えば、長い廊下のはじまりまで歩いて行き、巻いてあるストリップを広げて伸ばし、それらのストリップを、おそらくは天井タイルの上に載せるだけであってよい。ストリップは、見える空間に設置されてもよく、その場合は周囲と合うように塗装されてよい。一時的な設置の場合には終了時にストリップを丸めて片付けるだけでよい。差し込み式又は電球の実施形態の場合には、その部屋の密度が十分になるほど、これらをねじこむだけである。この密度が得られれば、「現場調査」を実施することや、干渉又は密度の派生問題に関して考えすぎるほど考えることが不要になりうる。十分なアイテムが設置されている限り、システムは、良好なリソース活性化の解決策を与えることが可能になりうる。トランシーバを含まないストリップの場合には、ストリップを定位置に残したままヘッドエンドを交換するだけで、無線機を標準的なものからハードウェアが異なる別のものにアップグレードすることさえも可能でありうる。
【0052】
図20は、ストリップ及び電球の両方によるデプロイメントの一例をフロアプラン上に示しており、それによって本開示の潜在的利点を示している。長いストリング2000は、マウントされたストリップ又はストリングである。長方形2010は電球実施形態(この場合は大型照明管)である。ストリップは、都合の良い引き込み場所に基づいて、(図示されていない)PoEから給電されるヘッドエンドとともにマウントされている。電球は、主電源を通って電力線ネットワークコンバータに戻り、電力線ネットワークコンバータは電球をイーサネットバックボーン(これも図示せず)にブリッジする。クローゼット(図示せず)内にリソースマネージャがあり、これがシステム全体を統括する。
【0053】
本開示全体を通して、「Wi-Fi」という用語は、IEEE 802.11規格に基づく特定タイプの無線ネットワーキングを意味する。しかしながら、本開示において教示される手法は無線ネットワーキングに広く当てはまるものであり、「Wi-Fi」の使用は、文脈によって特に明示又は暗示されない限り、特にIEEE 802.11に限定されるものとして解釈されるべきではない。更に、アンテナ形状は、接続性及び区別を主眼として示されている(例えば、様々なアンテナパターンを表す為にアンテナを様々な方位で描いている)。これらの図解は、接地面を含むアンテナ素子の形状に関しては本質的に概念的である。特定のアンテナ形状を識別すること、インピーダンスマッチング技術を適用すること、接地面を構築すること等は、それによって実際の製造で製造上の選択肢(例えば、材料、厚さ、導体重量等の選択肢)に基づいて様々な形状が製造されるものであり、これらは全て、当業者であれば推測や実験を全く必要とせずに十分に理解されよう。
【0054】
更に、本開示全体を通して、複数の具体的な実施形態が列挙されており、これらはより一般的な実施形態の拡張でありうる。当然のことながら、これらの実施形態の組み合わせ及びサブプロセスも本開示によって教示されており、それは、当業者であれば、本開示を読むことで、読むことのみで、それらの組み合わせ及びサブプロセスを予期することが可能な為である。更に、単数形を使用するか複数形を使用するかは言及されるアイテムの数に制限を加えるものではなく、そうではないと明言されない限り、又は論理的に矛盾しない限り、単数形のアイテムの言及は複数でもあると解釈されるべきであり、複数形のアイテムの言及は単数でもあると解釈されるべきである。
【0055】
更に、本開示全体を通して、複数の代替実施形態が列挙されている。各実施形態は、トレードオフ又は効果の点で異なっており、従って、それぞれのトレードオフ及び効果のセットに関しては最良の実施形態である。使用すべき選択肢の選択は当業者である実装担当者が望むトレードオフ又は効果に依存し、そのような選択は、当該技術分野においては明白且つ単純明快であり、更なる発明又は発見を必要としない。「could」、「can」、「may」等の条件付き言い回しは、本発明の実施形態の範囲内での(製造の、構成の、又は可用性に基づく)オプションを意味するものであり、且つ、意味するように解釈されるべきものであり、更なる発明が必要であると述べるものではない。例えば、「本発明は所与の入力に対して反応しうる」と述べることは、本発明の一実施形態の一アセンブリの一構成がその入力に対して確かに実際に反応することを意味する。これは、言語の節約の為にのみ行われるものであり、本発明の教示その他に関連する不確実性又は不完全性を示唆するものではない。本開示は、当該技術分野の未来の状態に関して推測するものではなく、現在の発明について述べるものである。本発明の明示的な実施形態として実施例が提示されており、これは教示を説明する為でもある。
【0056】
本開示は、当業者が、更なる発見も発明もなくても、本開示に含まれる発明の新規な方法を取り巻くシステム、又はその新規な方法を用いる技術を構築することを可能にするのに十分な詳細を列挙している。
【0057】
〔付記1〕
材料の広がりに沿って様々な場所に複数の無線リソース構成要素が配置された前記広がりを含む無線ネットワークリソースをデプロイするシステムであって、
前記広がりは、前記複数の無線リソース構成要素を接続して、機能する無線ネットワークにそれらが参加することを可能にする電源及びシグナリングインタフェースを保持する、
システム。
〔付記2〕
前記システムは、前記利用可能な複数の無線リソース構成要素の中から前記無線リソースのサブセットを運用の為に選択することが可能であり、
それによって、そのような選択は、前記システムが無線送信及び受信の為に様々な場所及びアンテナパターンを、最適性、ネットワーク需要、操作担当者の要求、無線状態、及びクライアント要求のうちの少なくとも1つに基づいて選択することを可能にしうる、
付記1に記載のシステム。
〔付記3〕
前記選択が、前記広がりに沿って提供されることが可能な前記利用可能リソースを超えないようにするリソースマネージャを更に含む、付記3に記載のシステム。
〔付記4〕
前記広がりは、フレキシブル、折り曲げ可能、剛体、設置時に動作可能な長さにカット可能、巻くことが可能、及びストリップのうちの少なくとも1つである、付記1に記載のシステム。
〔付記5〕
前記広がりはフレキシブルプリント回路基板を含む、付記4に記載のシステム。
〔付記6〕
無線リソース構成要素は、アンテナ、アンテナスイッチ、無線トランシーバ、無線ベースバンドコンバータ、マイクロコントローラ、CPU、及びメモリのうちの少なくとも1つを含む、付記1に記載のシステム。
〔付記7〕
前記広がりは、少なくとも1つのCPU、前記CPUに接続された少なくとも1つの無線トランシーバ、及び前記トランシーバに電気的に接続された少なくとも1つのアンテナを含む、少なくとも1つのユニット自体を含む、付記6に記載のシステム。
〔付記8〕
前記アンテナはアンテナスイッチにより選択可能である、付記7に記載のシステム。
〔付記9〕
幾つかのアンテナは、方向性、分極、及びパターンのうちの少なくとも1つに応じて変化する、付記7に記載のシステム。
〔付記10〕
少なくとも1つの無線リソース構成要素が、前記広がりにマウントされた表面実装可能なパッケージはんだ、電気的接続により前記広がりの必要な場所に物理的に取り付けられた別個の装置、前記広がりに接着されたフォイル、及び前記広がりに印刷されたもののうちの少なくとも1つである、付記1に記載のシステム。
〔付記11〕
前記無線ネットワークは、IEEE 802.11、Bluetooth、及びCBRSのうちの少なくとも1つである、付記1に記載のシステム。
〔付記12〕
前記シグナリングインタフェースは、高速バス、アドレス指定可能バックプレーン、ブロードキャストネットワーク、及びイーサネットプロトコルのうちの少なくとも1つを含む、付記1に記載のシステム。
〔付記13〕
前記広がりにつながる少なくとも1つのヘッドエンドを更に含み、電源及びシグナリングの少なくとも一方は、供給されるか接続されるかの少なくとも一方である付記1に記載のシステム。
〔付記14〕
無線ネットワークリソースをデプロイする方法であって、
a.材料の広がりを用意するステップと、
b.複数の無線リソース構成要素を前記広がり上の様々な場所に接続するステップと、
c.前記広がりに電源及びシグナリングインタフェースを提供するステップと、
d.前記電力及びシグナリングインタフェースを前記複数の無線リソース構成要素に接続するステップと、
e.機能する無線ネットワークに前記無線リソースを参加させるステップと、
を含む方法。
〔付記15〕
前記利用可能な複数の無線リソース構成要素の中から前記無線リソースのサブセットを運用の為に選択するステップを更に含み、
それによって、そのような選択は、無線送信及び受信の為に様々な場所及びアンテナパターンを、最適性、ネットワーク需要、操作担当者の要求、無線状態、及びクライアント要求のうちの少なくとも1つに基づいて選択することを可能にしうる、
付記14に記載の方法。
〔付記16〕
前記広がりに沿って提供されることが可能な前記利用可能リソースを超えないようにリソースを管理するステップを更に含む、付記14に記載の方法。
〔付記17〕
前記広がりは、フレキシブル、折り曲げ可能、剛体、設置時に動作可能な長さにカット可能、巻くことが可能、及びストリップのうちの少なくとも1つである、付記14に記載の方法。
〔付記18〕
前記広がりはフレキシブルプリント回路基板を含む、付記14に記載の方法。
〔付記19〕
無線リソース構成要素は、アンテナ、アンテナスイッチ、無線トランシーバ、無線ベースバンドコンバータ、マイクロコントローラ、CPU、及びメモリのうちの少なくとも1つを含む、付記14に記載の方法。
〔付記20〕
前記広がりは、少なくとも1つのCPU、前記CPUに接続された少なくとも1つの無線トランシーバ、及び前記トランシーバに電気的に接続された少なくとも1つのアンテナを含む、少なくとも1つのユニット自体を含む、付記19に記載の方法。
〔付記21〕
前記アンテナはアンテナスイッチにより選択可能である、付記20に記載の方法。
〔付記22〕
幾つかのアンテナは、方向性、分極、及びパターンのうちの少なくとも1つに応じて変化する、付記20に記載の方法。
〔付記23〕
少なくとも1つの無線リソース構成要素が、前記広がりにマウントされた表面実装可能なパッケージはんだ、電気的接続により前記広がりの必要な場所に物理的に取り付けられた別個の装置、前記広がりに接着されたフォイル、及び前記広がりに印刷されたもののうちの少なくとも1つである、付記14に記載の方法。
〔付記24〕
前記無線ネットワークは、IEEE 802.11、Bluetooth、及びCBRSのうちの少なくとも1つである、付記14に記載の方法。
〔付記25〕
前記シグナリングインタフェースは、高速バス、アドレス指定可能バックプレーン、ブロードキャストネットワーク、及びイーサネットプロトコルのうちの少なくとも1つを含む、付記14に記載の方法。
〔付記26〕
電源及びシグナリングの少なくとも一方を供給するか接続するかの少なくとも一方を行うヘッドエンドを前記広がりの少なくとも1つの場所に対して利用可能にするステップを更に含む、付記14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20