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特許7431879細長い発光デバイスを備えた工具ハウジングを有する手持ち式の電動工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】細長い発光デバイスを備えた工具ハウジングを有する手持ち式の電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240207BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240207BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240207BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240207BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20240207BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
F21V33/00 300
F21V8/00 330
B25F5/00 C
F21Y115:10
F21Y115:20
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022044052
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2022146928
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】21164052
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519099036
【氏名又は名称】グイド ヴァレンティーニ
【氏名又は名称原語表記】Guido Valentini
【住所又は居所原語表記】4, Via Corridoni,20122 Milano, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グイド ヴァレンティ-ニ
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-202536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0122302(US,A1)
【文献】特表2017-535922(JP,A)
【文献】特開2015-195204(JP,A)
【文献】特開2005-116423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
F21V 33/00
F21V 8/00
F21Y 115/10
F21Y 115/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式の電動工具(10)であって、
工具ハウジング(12)と、
前記工具ハウジング(12)から突出し、前記電動工具(10)の意図された使用に際して加工運動(34)を実施するように設計された加工要素(30)と、
前記工具ハウジング(12)の内側に配置され、前記電動工具(10)の前記意図された使用に際して前記加工運動(34)を実施するために前記加工要素(30)を駆動するように設計されたモータ(28)と、
を備える、手持ち式の電動工具(10)において、
前記電動工具(10)は、
長手方向延在部(58)を有するとともに、前記工具ハウジング(12)の外面に少なくとも部分的に配置された棒状の少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)をさらに備え、
前記少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)は、前記長手方向延在部(58)の少なくとも一部に沿って、前記細長い発光デバイス(56)の前記長手方向延在部(58)に対して本質的に垂直な方向(86;96)に光を放射するように設計されており、
前記工具ハウジング(12)は、該工具ハウジング(12)を形成するために工具ハウジングの組立てに際して突合せ接合部(64)に沿って互いに取り付けられた少なくとも2つのハウジングシェル(60,62)を備え、
前記電動工具(10)は、透明材料からなる、少なくとも1つの細長い保持装置(200)をさらに備え、前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)は、前記細長い発光デバイス(56)の少なくとも一部を収容するとともに取り囲む内部空間(202)を有しており、かつ前記工具ハウジング(12)に取り付けられるように適合させられており、
前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)は、前記工具ハウジング(12)への前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)の取り付けのために、工具ハウジングの組立てに際して前記工具ハウジング(12)の前記2つのハウジングシェル(60,62)の間にクランプされるように適合させられた少なくとも2つの取付け要素(204)を有する
ことを特徴とする、手持ち式の電動工具(10)。
【請求項2】
記少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)は、前記突合せ接合部(64)の少なくとも一部に沿って延びている、請求項1載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)は、エレクトロルミネセントワイヤ(72)を備え、前記エレクトロルミネセントワイヤ(72)は、長手方向延在部(58)を有し、該長手方向延在部(58)の少なくとも一部に沿って、該長手方向延在部(58)に対して本質的に垂直な方向(86)に光を放射するように設計されている、請求項1または2記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項4】
前記エレクトロルミネセントワイヤ(72)は、連続的にまたは特定の周波数で断続的に光を放射するように設計されている、請求項3記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項5】
前記エレクトロルミネセントワイヤ(72)が光を連続的に放射するかもしくは断続的に放射するかは、かつ/または断続的に放射される前記光の前記周波数は、限定するものではないが、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、使用者が前記加工要素(30)を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 前記手持ち式の電動工具(10)のバッテリの現在の充電状態、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、前記加工要素(30)が現在実施している加工運動(34)のタイプ、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、前記加工要素(30)または前記モータ(28)が現在実施している単位時間当たりの回転の回数、および
- 前記工具ハウジング(12)の内側の動作温度、
のうちの1つ以上を含む、前記手持ち式の電動工具(10)の現在の動作状態に依存している、
請求項4記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)は、長手方向延在部(58)を有する光学式のライトガイド(88)と、
光を放射し、該放射された光(92)の少なくとも一部を前記光学式のライトガイド(88)に入射させるように設計された光源(90)と
を備え、
前記光学式のライトガイド(88)は、入射させられた前記光(94)の少なくとも一部を、前記長手方向延在部(58)の少なくとも一部に沿って、該長手方向延在部(58)に対して本質的に垂直な方向(96)に出射させるように設計されている、
請求項1記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項7】
前記入射させられた光(92)は、前記光学式のライトガイド(88)の外部境界面における内部全反射によって、前記長手方向延在部(58)に沿って前記光学式のライトガイド(88)内で透過させられる、かつ/または
前記光学式のライトガイド(88)は固体である、かつ/または
前記光学式のライトガイド(88)は、ガラス材料、透明なプラスチック材料またはゴムからなる、
請求項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項8】
前記光学式のライトガイド(88)は、ポリメチルメタクリレートもしくはポリカーボネートからなる、請求項7記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項9】
前記光学式のライトガイド(88)は、該光学式のライトガイド(88)の前記長手方向延在部(58)の少なくとも一部に沿って配置されたデカップリング要素(100)を備え、該デカップリング要素(100)は、前記入射させられた光(94)の少なくとも一部を、前記光学式のライトガイド(88)の前記長手方向延在部(58)に対して本質的に垂直な方向(96)に出射させるように設計されている、請求項6から8までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項10】
前記デカップリング要素(100)は、前記入射させられた光(94)の少なくとも一部を、前記光学式のライトガイド(88)の一方の側へと180°の空間に射させるように、前記光学式のライトガイド(88)にまたは前記光学式のライトガイド(88)内に設計および配置されている、請求項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項11】
前記デカップリング要素(100)は、前記入射させられた光(94)の少なくとも一部を、前記工具ハウジング(12)の周囲の環境に向けて出射させるように、前記光学式のライトガイド(88)にまたは前記光学式のライトガイド(88)内に設計および配置されている、請求項10記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項12】
前記光源(90)と、該光源(90)が放射した光の少なくとも一部が入射する前記光学式のライトガイド(88)と、の間に、集束光学系(104)が配置されており、該集束光学系(104)は、前記光源(90)によって放射された前記光の少なくとも一部を集束させ、当該集束光学系(104)が存在しない場合よりも多くの割合の前記放射された光(92)を前記光学式のライトガイド(88)に入射させるように設計されている、請求項から11までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)は、長手方向延在部(58)を有する拡散レンズ(112)と、
前記拡散レンズ(112)の前記長手方向延在部(58)に沿って互いに間隔を置いて配置され、前記拡散レンズ(112)を通して、該拡散レンズ(112)の前記長手方向延在部(58)に対して本質的に垂直な方向(122)に光(118)を放射するように設計された複数の個別の光源(116)と、を備え、
前記拡散レンズ(112)は、前記個別の光源(116)からの前記光(118)を散乱させ、前記光源(116)とは反対側に位置し、前記拡散レンズ(112)の前記長手方向延在部(58)の少なくとも一部に沿って延びる、前記拡散レンズ(112)の発光面(120)が、散乱させられた光(114)によって一様に照明されるように設計されている、
請求項1記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記光源(90;116)は、半導体光源して形成されている、請求項13記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記光源(90;116)は、発光ダイオードとして形成されている、請求項14記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項16】
前記光源または各光源(90;116)は、少なくとも2つの異なる色の光(94;114)を放射するように設計されている、請求項から15までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項17】
前記光源(90;116)によって放射される前記光(94;114)の前記色は、限定するものではないが、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、使用者が前記加工要素(30)を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 前記手持ち式の電動工具(10)のバッテリの現在の充電状態、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、前記加工要素(30)が現在実施している加工運動(34)のタイプ、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、前記加工要素(30)または前記モータ(28)が現在実施している単位時間当たりの回転数、および
- 前記工具ハウジング(12)の内側の動作温度、
のうちの1つ以上を含む、前記手持ち式の電動工具(10)の現在の動作状態に依存している、
請求項16記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項18】
記光源もしくは各光源(90;116)は、連続的にまたは特定の周波数で断続的に光(94;114)を放射するように設計されている、請求項から17までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項19】
記光源(90;116)が光(94;114)を連続的に放射するかもしくは断続的に放射するかは、かつ/または断続的に放射される前記光(94;114)の前記周波数は、限定するものではないが、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、使用者が前記加工要素(30)を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 前記手持ち式の電動工具(10)のバッテリの現在の充電状態、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、前記加工要素(30)が現在実施している加工運動(34)のタイプ、
- 前記手持ち式の電動工具(10)の意図された使用に際して、前記加工要素(30)または前記モータ(28)が現在実施している単位時間当たりの回転の回数、および
- 前記工具ハウジング(12)の内側の動作温度、
のうちの1つ以上を含む、前記手持ち式の電動工具(10)の現在の動作状態に依存している、
請求項18記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)が、O字形の断面を有し、前記少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)が、前記O字形の前記内部空間(202)の内側に収容される、請求項1から19までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項21】
前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)が、U字形の断面を有し、前記少なくとも1つの細長い発光デバイス(56)が、前記U字形の前記内部空間(202)の内側に収容され、前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)は、前記U字形の2つのほぼ平行な脚部の間の開口が前記工具ハウジング(12)の方を向くように前記工具ハウジング(12)に取り付けられるように適合させられており、これにより、前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)の前記内部空間(202)が、前記工具ハウジング(12)の外面と協働してU字形の前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)によって閉鎖される、請求項1から19までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)はポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートからなる、請求項1から21までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)が、前記工具ハウジング(12)への取付け前に、前記少なくとも1つの細長い保持装置(200)が取り付けられるべき前記工具ハウジング(12)の部分の三次元の形態に対応する剛性的な三次元の形態を有する剛性材料からなる、請求項1から22までのいずれか1項記載の手持ち式の電動工具(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式の電動工具であって、
工具ハウジングと、
ハウジングから突出し、電動工具の意図された使用に際して加工運動を実施するように設計された加工要素と、
ハウジングの内側に配置され、電動工具の意図された使用に際して加工運動を実施するために加工要素を駆動するように設計されたモータと、
を備える、手持ち式の電動工具に関する。
【0002】
電動工具は、電気的または空気圧的に動作させることができる。このために、モータは電気モータまたは空気圧モータである。電動工具には、工具ハウジングの内側に少なくとも部分的に配置されるか、もしくは別の方法で工具ハウジングに取り付けられる、着脱自在なバッテリにより、または主電源へのケーブル接続により、電気エネルギーを供給することができる。機能的にモータと加工要素との間には、1つ以上の歯車部材を配置することができる。1つ以上の歯車部材は、工具ハウジングの内側に配置される。1つ以上の歯車部材は、限定するものではないが、傘歯車装置、同軸減速歯車装置およびエピサイクリック歯車装置または遊星歯車装置のうちの少なくとも1つで構成することができる。手持ち式の電動工具は、限定するものではないが、回転ドリル、ハンマドリル、コードレスドライバ、研磨マシン、サンディングマシンおよび研削マシンのうちの少なくとも1つとすることができる。
【0003】
ドリルまたはコードレスドライバの加工要素は、好ましくは、例えば、クランプ機構または連結機構によって、ドリルビット、ドライバビットなどを取外し可能に取り付けることができるドリルチャックである。ドリルチャックは、純粋な回転加工運動を実施する。付加的に、ドリルハンマの場合には、ドリルチャックに取り付けられたドリルビットの長手方向延長線の方向における線形往復運動を回転運動に重畳させることができる。
【0004】
研磨またはサンディングマシンの加工要素は、好ましくは支持パッドとして形成されている。支持パッドの下面には、研磨部材(例えば、発泡体パッド、ウールパッド、ミクロ繊維パッドなど)またはサンディング部材(例えば、サンドペーパ、サンド布、研磨パッドなど)を、例えば面ファスナ部材によって取外し可能に取り付けることができる。研磨マシンの支持パッドは、純粋な回転加工運動、ランダムオービタル加工運動または歯車駆動加工運動を実施することができる。サンディングマシンの支持パッドは、ランダムオービタル加工運動または偏心的な加工運動を実施することができる。
【0005】
研削マシンの加工要素は、好ましくは、例えば、連結機構またはねじ-ナット接続により、研削ディスクを取外し可能に取り付けることができる連結部材として形成されている。連結部材は、純粋な回転加工運動を実施する。
【0006】
電動工具の意図された使用に際して加工領域に集光された白色光を放射する1つ以上のLEDを手持ち式の電動工具の工具ハウジングの前面に設けることが、先行技術において周知である。この思想は、室内光または太陽光によって十分に照明されない空間および被加工物の加工面上でも使用者が電動工具を使用できるように、加工領域を照明するためのものである(例えば、米国特許出願公開第2006/262519号明細書および米国特許出願公開第2013/003359号明細書)。
【0007】
さらに、制御ライトとして機能し、電動工具の現在の動作状態(例えば、バッテリの現在の充電状態)に応じて、場合によっては異なる色で光を放射する1つ以上のLEDを手持ち式の電動工具の工具ハウジングに設けることが、先行技術において周知である(例えば、特開2008-264962号公報)。例えば、電動工具のバッテリの充電状態が25%を下回ると赤色光を放射するLEDを工具ハウジングに設けることができる。既知の電動工具の工具ハウジングに制御ライトとして設けられたLEDは、非常に制限された寸法の小さな光スポットを提供するにすぎない。その小さな寸法のため、制御ライトは、電動工具の使用者によって明確かつ即座に見ることができないことが多い。複数のLEDを工具ハウジングに設け、それらが異なる色の光を放射するように設計されていても、そのような制御ライトの全体的な外観は、電動工具の使用者にとってあまり魅力的ではない。既知の電動工具におけるLED制御ライトでは、デザイン的な側面が完全に無視されている。機能的かつ技術的な側面および制御ライトの可能な限り廉価な実現に主眼が置かれている。
【0008】
特開2018-202536号公報は、ファスナ(U字形のステープル針)を射出するための駆動工具の形態の手持ち式の電動工具を開示している。細長いライトガイドが、工具ハウジングの外側に取り付けられ、その長手方向延長線に沿って、長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に光を放射する。ライトガイドは、ライトガイドと一体的に形成された係合部分を有する断面を有する。係合部分は、ライトガイドを直接取り付けるために、特に、係合部分を工具ハウジングの2つのハウジングシェルの間にクランプするために、工具ハウジングのそれぞれの保持部分と相互作用する。しかし、ライトガイドの一体部分をなす係合部分は、ライトガイド内の光の伝搬およびライトガイドからの光のデカップリング(decoupling)に悪影響を及ぼす可能性がある。よって、ライトガイドの効率はあまり良くない。さらに、既知の電動工具のライトガイドは、ライトガイドを損傷させる可能性がある機械的、化学的および/または気象的な影響に曝される。
【0009】
したがって、本発明の目的は、電動工具の現在の動作状態の光学的な通知の取組みを新規で革新的なデザインの側面と組み合わせ、また、細長い発光デバイスを工具ハウジングに容易に取り付けることができる手持ち式の電動工具を提供することである。特に本発明の目的は、電動工具の現在の動作状態を使用者に明確に示し、いかなる状況でも使用者が明確かつ即座に見ることができる制御ライトを提供することである。更なる目的は、好ましくは着脱自在に細長い発光デバイスの迅速かつ容易な取付けを提供することである。さらに別の目的は、工具ハウジングに取り付けられた細長い発光デバイスの安全かつ確実な保護を提供することである。
【0010】
これらの課題および別の課題を解決するために、独立請求項の特徴を有する手持ち式の電動工具が提案される。本発明の一実施形態では、電動工具が、長手方向延長線若しくは長手方向延在部を有する、工具ハウジングの外面に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの細長い発光デバイスをさらに備え、少なくとも1つの細長い発光デバイスが、その長手方向延長線の少なくとも一部に沿って、細長い発光デバイスの長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に光を放射するように設計されていることが提案される。
【0011】
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの細長い発光デバイスが、
- エレクトロルミネセントワイヤであって、長手方向延長線を有し、その長手方向延長線の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に光を放射するように設計されたエレクトロルミネセントワイヤ、
- 長手方向延長線を有する光学式のライトガイドと、光を放射し、放射された光の少なくとも一部を光学式のライトガイドに入射させるように設計された光源とであって、光学式のライトガイドが、入射させられた光の少なくとも一部を、その長手方向延長線の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に出射させるように設計された、光学式のライトガイドおよび光源、
- 長手方向延長線を有する拡散レンズと、拡散レンズの長手方向延長線に沿って互いに間隔を置いて配置され、拡散レンズを通して、拡散レンズの長手方向延長に対して本質的に垂直な方向に光を放射するように設計された複数の個別の光源とであって、拡散レンズが、個別の光源からの光を散乱させ、光源とは反対側に位置し、拡散レンズの長手方向延長線の少なくとも一部に沿って延びる、拡散レンズの発光面が、散乱させられた光によって一様に照明されるように設計されている、拡散レンズおよび複数の個別の光源、
のうちの1つを備え、
少なくとも1つの光源が、少なくとも2つの異なる色の光を放射するように設計されており、かつ/またはエレクトロルミネセントワイヤもしくは少なくとも1つの光源が、連続的にもしくは特定の周波数で断続的に光を放射するように設計されており、
少なくとも1つの光源によって放射される光の色と、エレクトロルミネセントワイヤまたは少なくとも1つの光源が光を連続的に放射するかもしくは断続的に放射するかと、断続的に放射される光の周波数とのうちの少なくとも1つが、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、使用者が加工要素を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素が現在実施している加工運動のタイプ、および
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素またはモータが現在実施している単位時間当たりの回転の回数、
のうちの1つ以上を含む、手持ち式の電動工具の現在の動作状態に依存している
ことが提案される。
【0012】
本発明のまた別の実施形態では、電動工具が、少なくとも1つの細長い保持装置をさらに備え、少なくとも1つの細長い保持装置が、透明材料からなり、細長い発光デバイスの少なくとも一部を収容するとともに取り囲んで工具ハウジングに取り付けられるように適合させられることが提案される。
【0013】
本発明は、工具ハウジングの外面に1つ以上の細長い発光デバイスを設け、発光デバイスが、それらの長手方向延長線の少なくとも一部に沿って光を放射し、したがって、はるかに大きな被照明面を提供することを提案する。特に、被照明面は、工具ハウジングの長さの半分を上回って、かつ/または工具ハウジングの外周の半分を上回って延びることができる。少なくとも1つの発光デバイスの長手方向延長線により、電動工具の使用者が、電動工具をその意図された使用に際して保持するときに、被照明面全体を手で覆う可能性がほとんどない。使用者は、電動工具をどのように保持しているかに関係なく、細長い発光デバイスによって放射された光の少なくとも一部を常に見ることができるようになる。その上、工具ハウジングの外面に配置された少なくとも1つの細長い発光デバイスが、得られた細長い被照明面およびその長手方向延長線によって、電動工具の製造業者に、電動工具の全く新しい革新的なデザインを導入する可能性を与える。このことは、例えば、少なくとも1つの細長い発光デバイスの長手方向延長線が、工具ハウジングの主要な意匠線に沿っている場合であり得る。さらに、特定の製造業者の全ての電動工具と共に等しく提供される発光デバイスの特定のタイプ(例えば、工具ハウジング上の位置、形態、発光デバイスの延長、発光デバイスによって放射される光の色など)によって、コーポレートアイデンティティを実現することができる。
【0014】
従来の光源とは対照的に、細長い発光デバイスは、高い動作温度に達することなく光を発生させかつ放射する。このことは、電動工具に特定のヒートシンクを設ける必要がなく、また細長い発光デバイスをプラスチック材料からなる表面(例えば、工具ハウジングの外面)に近接して配置し、さらには直接取り付けることができるという利点を有する。さらに、細長い発光デバイスの動作温度が低いため、それを従来の市販の接着剤によって工具ハウジングに取り付けることができる。
【0015】
少なくとも1つの細長い発光デバイスは、工具ハウジングに直接取り付けられるのではなく、少なくとも1つの細長い保持装置によって間接的に取り付けられ、保持装置は工具ハウジングに取り付けられる。細長い保持装置によって、細長い発光デバイスは、工具ハウジングに容易かつ確実に取り付けることができる。細長い発光デバイスは、工具ハウジングから分離している場合、細長い保持装置の内部空間の内側に容易に配置することができ、その後、2つの部品(発光デバイスおよび保持装置)の組立て体を工具ハウジングに取り付けることができる。細長い保持装置の透明性により、細長い発光デバイスによって放射された光は、本質的に損失なしで細長い保持装置を単に透過する。付加的に、細長い保持装置は、収容された細長い発光デバイスの保護をもたらすことができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの細長い保持装置が、O字形またはU字形の断面を有し、少なくとも1つの細長い発光デバイスが、O字形またはU字形の内部空間の内側に収容されることが提案される。U字形の断面の細長い保持装置の場合、細長い保持装置は、U字形の2つのほぼ平行な脚部の間の開口が工具ハウジングの方を向くように工具ハウジングに取り付けることができるので、細長い保持装置の内部空間が、工具ハウジングの外面と協働してU字形の細長い保持装置によって閉鎖される。この結果、細長い発光デバイスのあらゆる側に対する全体的な保護が得られる。
【0017】
有利には、工具ハウジングは、工具ハウジングを形成するために工具ハウジングの組立て中に突合せ接合部に沿って互いに取り付けられた少なくとも2つのハウジングシェルを備え、少なくとも1つの細長い発光デバイスが、工具ハウジングの組立て中に2つのハウジングシェルの間にクランプされるように適合させられた少なくとも2つの取付け要素を有する。取付け要素は、好ましくは、細長い保持装置の長手方向延長線に沿って互いに間隔を置いて配置されている。
【0018】
細長い保持装置を2つのハウジングシェルの間にクランプすることは、工具ハウジングを分解して2つのハウジングシェルを互いに分離することにより、細長い保持装置を工具ハウジングから、例えば、細長い発光デバイスを交換するために、容易に分離することができるという利点を有する。さらに、クランプする工程は、工具ハウジングの従来の組立て工程に容易に組み込むことができる。例えば、細長い保持装置を工具ハウジングに接着するためなどの追加の取付け工程を、工具ハウジングの組立て工程に追加する必要はない。ハウジングシェルは、接着剤、ねじ、スナップ留め接続などによって互いに取り付けることができる。
【0019】
通常、2つのハウジングシェルの間の突合せ接合部は、2つのハウジングシェルの間にクランプされた細長い保持装置を内部に配置できる溝を形成する。このことは、細長い保持装置が、溝に隣接する工具ハウジングの外面を大きく越えて突出しないので、2つの部品の組立て体を損傷に対して保護するという利点を有する。さらに、突合せ接合部は、通常、工具ハウジングの主要な意匠線を表す。少なくとも1つの細長い発光デバイスを突合せ接合部に沿って配置することにより、発光デバイスが光を放射するときに、主要な意匠線がさらに強調される。
【0020】
少なくとも1つの細長い保持装置が、透明なプラスチック材料、特にPCまたはPMMAからなることが提案される。プラスチック材料は、その高い耐久性、外部影響および破損に対する良好な耐性、その軽量性、ならびにその簡単、迅速かつ廉価な製造により、細長い保持装置との使用に特に適合する。
【0021】
少なくとも1つの細長い保持装置が、工具ハウジングへの取付け前に、少なくとも1つの細長い保持装置が取り付けられるべき工具ハウジングの部分の三次元の形態に対応する剛性的な三次元の形態を有する剛性材料からなることがさらに提案される。これにより、細長い保持装置の組立てがかなり容易になる。
【0022】
細長い保持装置は、細長い発光デバイスによって放射された光に所望の色を与えるために、着色された材料からなっていてよい。好ましくは、少なくとも1つの細長い保持装置は、一材料からなり、少なくとも1つの細長い発光デバイスによって放射され、かつ少なくとも1つの細長い保持装置を通過する光に光散乱効果を与えない内側および/または外側の光透過面を有する。特に、細長い保持装置の材料は、光散乱粒子を内部に有していない。さらに、細長い保持装置の内側および/または外側の光透過面は、光散乱構造、例えばつや消しまたはすりガラス状の表面を有していない。光の散乱は、制御不能な光拡散であると考えられる。しかし、細長い保持装置の内側および/または外側の光透過面が、少なくとも1つの細長い保持装置を通過する光を所望の方向に向けて制御可能に導く導光要素(例えば、プリズムもしくは円柱レンズまたはそれらの部分)を有することが可能である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの細長い発光デバイスが、
- 長手方向延長線を有し、その長手方向延長線の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に光を放射するように設計されたエレクトロルミネセントワイヤ、
- 長手方向延長線を有する光学式のライトガイドと、光を放射し、放射された光の少なくとも一部を光学式のライトガイドに入射させるように設計された光源とであって、光学式のライトガイドが、入射させられた光の少なくとも一部を、その長手方向延長線の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に出射させるように設計されている、光学式のライトガイドおよび光源、ならびに
- 長手方向延長線を有する拡散レンズと、拡散レンズの長手方向延長線に沿って互いに間隔を置いて配置され、拡散レンズを通して、拡散レンズの長手方向延長に対して本質的に垂直な方向に光を放射するように設計された複数の個別の光源とであって、拡散レンズが、個別の光源からの光を散乱させ、光源とは反対側に位置し、拡散レンズの長手方向延長線の少なくとも一部に沿って延びる、拡散レンズの発光面が、散乱させられた光によって一様に照明されるように設計されている、拡散レンズおよび複数の個別の光源、
のうちの1つを備えることが提案される。
【0024】
エレクトロルミネセント(EL)ワイヤは、比較的高い周波数の交流電流が流れたときに、エレクトロルミネセンスにより光を発生させるエレクトロルミネセント材料(例えば蛍光体など)によって被覆された細い銅線を備える。ELワイヤは、特定の色の360°均質な切れ目のない可視光線を発生させる。好ましくはプラスチックまたはゴム材料からなる、エレクトロルミネセント材料の周囲の保護シースが、ELワイヤによって放射される光の波長に影響を及ぼすことができる。よって、特定のプラスチック材料からなるか、または特定の粒子を含むシースを使用することにより、ELワイヤによって放射される光の色を設定することができる。ELワイヤは、それぞれ細径であるため、非常に柔軟である。
【0025】
ELワイヤを工具ハウジングに取り付けるために、ELワイヤを工具ハウジングの外面に接着してもよく、または例えば、工具ハウジングの外面に形成された溝にELワイヤをクランプすることによるなど、他の方法で固定してもよい。代替的に、別個の透明な保持装置を使用してもよい。このために、本発明の実施形態によれば、電動工具が、少なくとも1つの細長い保持装置をさらに備え、少なくとも1つの細長い保持装置が、透明材料からなり、細長い発光デバイスの少なくとも一部を収容するとともに取り囲んで工具ハウジングに取り付けられるように適合させられることが提案される。
【0026】
取付け後、ELワイヤは、工具ハウジング内に配置された電動工具の制御ユニットのそれぞれのドライバ段に電気的に接続されさえすればよい。このために、ELワイヤがハウジング内に導入される(かつハウジングの内側で電気的に接続される)かまたは1つ以上の電気ケーブルがハウジングからELワイヤに導出される(かつハウジングの外側で電気的に接続される)1つ以上の穴を工具ハウジングに設けることができる。
【0027】
好ましくは、工具ハウジングに面するELワイヤの一方の側の少なくとも一部に、反射面が設けられている。反射面は、反射性材料、例えば金属からなるコーティングまたは箔の形態であってよい。反射面は、ELワイヤの外側境界面、および/またはELワイヤに隣接する工具ハウジングの外面の一部、および/または細長い保持装置の一部に適用することができる。反射面は、工具ハウジングの方に放射される光を、工具ハウジングから離れる反対の方向に導く。これにより、ELワイヤの効率が著しく高まる。
【0028】
光学式のライトガイドの使用は、工具ハウジングの外側に位置する被照明面から離して光源を配置することができるという利点を有する。特に、光源は、埃や湿気などに対して保護される工具ハウジングの内側に配置することができる。さらに、バッテリまたは電源ユニットの近くで工具ハウジングの内側に光源を配置する場合、バッテリまたは電源ユニットへの電気的接続をより容易に達成することができる。
【0029】
光源は、好ましくは、工具ハウジングの内側に配置されている。工具ハウジングおよび/または細長い保持装置に1つ以上の穴を設けることができ、穴を通して、光源は、工具ハウジングの外側に配置された光学式のライトガイドに向けて光を放射することができる。代替的に、光学式のライトガイドの互いに反対側にある端部の一方または両方を、光源の近くで穴に通して工具ハウジングの内側に導いてもよい。好ましくは、光源は、ライトガイドの互いに反対側にある端面の一方または両方でライトガイドに光を入射させる。1つ以上の光源が、光学式のライトガイドの一方の端面に光を入射させてもよい。
【0030】
好ましくは、光学式のライトガイドに入射させられた光は、光学式のライトガイドの外部境界面における内部全反射(TIR)によって、ライトガイドの長手方向延長線に沿ってライトガイド内で透過させられる。一般にTIRは、2つの透明な媒体の境界で、屈折率が高い方の媒体(すなわち、光学式のライトガイド)内の光線が、臨界角よりも大きな入射角で別の媒体(すなわち、周囲の空気)に接近するときに起こる。臨界角は、光学式のライトガイドの材料および光の波長(すなわち色)に依存する。
【0031】
代替的または付加的に、光学式のライトガイドが、ガラス材料、透明なプラスチック材料、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル材料もしくはポリカーボネート(PC)、または透明なゴム材料からなることが提案される。これらの材料は、良好な光学的透明性と、良好な機械特性と、電離放射線に対する極めて少ない固有シンチレーション反応とを有している。TIRによってライトガイドを透過する光を、細長い発光デバイスの長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に意図的に出射させるために、ゴム材料中の不純物を使用することができる。
【0032】
光学式のライトガイドは、光学式のライトガイドの長手方向延長線の少なくとも一部に沿って配置されたデカップリング要素を備え、デカップリング要素は、入射させられた光の少なくとも一部を、光学式のライトガイドの長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に出射させるように設計されていてよい。デカップリング要素は、光学式のライトガイドからライトガイドの長手方向延長線に対して本質的に垂直な方向に光を出射させる仮想光源として機能する。
【0033】
デカップリング要素は、光学式のライトガイドの内側にまたはライトガイドの外側境界面上にプリズムを備えることができる。ライトガイドから光を出射させる、デカップリング要素の光反射面および/またはライトガイドの外側境界面の粗面化(つや消しまたはすりガラス化)により、出射させられた光の更なる散乱および均質化をもたらすことができる。
【0034】
有利には、デカップリング要素は、入射させられた光の少なくとも一部を光学式のライトガイドの一方の側へと180°の空間に、好ましくは、具ハウジングの周囲の環境に向けて、出射させるように、光学式のライトガイドにまたは光学式のライトガイド内に設計および配置されている。この実施形態は、細長い発光デバイスの効率を著しく高めることができる。光学式のライトガイドに入射させられた光はほぼ全て、観察者によって見ることができる方向で光学式のライトガイドから出射させられる。観察者によって見えない、ライトガイドから工具ハウジングの方に出射させられる光はほとんどない。
【0035】
細長い発光デバイスの効率をさらに高めるために、光源と、光源が放射した光の少なくとも一部が入射する、光学式のライトガイドの光入射端面との間に、集束光学系が配置されており、集束光学系が、光源によって放射された光の少なくとも一部を集束させ、集束光学系が存在しない場合よりも多くの割合の放射された光を光学式のライトガイドに入射させるように設計されていることが提案される。従来の光源は、かなり広い三次元空間に光を放射する。例えば、白熱電球は、電球の周囲の360°の空間のほぼ全体に光を放射し、LEDは、LEDの発光面に隣接する180°の空間に光を放射する。集束光学系は、光源によって放射された光をできるだけ多く光学式のライトガイドの入射面に集光させる。集束光学系は、光源および/または光学式のライトガイドの一体部分をなすことができる。
【0036】
好ましくは、少なくとも1つの光源は、半導体光源、特に発光ダイオード(LED)として形成されている。そのような光源は、小型であり、消費電力が非常に少ない。それらは、異なる出力範囲(明るさ)および色の放射される光を含む様々な種類で利用可能である。そのような光源は、工具ハウジングの内側の既存の電子部品に容易に組み込むことができる。
【0037】
細長い発光デバイスは、限定するものではないが、正方形、長方形および多角形を含むほぼ全ての断面形状を有することができる。しかし、本発明の好ましい実施形態によれば、エレクトロルミネセントワイヤまたは光学式のライトガイドは、円形または楕円形の断面を有する。そのようなエレクトロルミネセントワイヤは、特に均質に光を放射する。そのような光学式のライトガイドは、入射させられた光をTIRによって特に効率的に伝搬させる。そのようなエレクトロルミネセントワイヤまたは光学式のライトガイドには、いわゆるホットスポット(光線が集まって特に高い輝度をもたらす領域)が形成されない。
【0038】
本発明のまた別の好ましい実施形態によれば、細長い発光デバイスが、長手方向延長線を有する細長い拡散レンズを備えることが提案される。拡散レンズは、円形、楕円形、正方形、長方形または多角形の断面を有することができる。好ましくは、拡散レンズは、そのような断面の一部の断面形状、特に半円の断面形状を有する。拡散レンズは、ガラス、透明なプラスチック材料またはゴム材料からなることができる。拡散レンズは、放射される光に所望の色を与えるために、任意の色を有することができる。拡散レンズは、好ましくは、固体材料からなる。拡散レンズは、その外面の1つ以上に、光を透過させる拡散構造、例えば微細構造を有することができる。複数の個別の光源が、好ましくはLEDの形態であり、拡散レンズの長手方向延長線に沿って互いに間隔を置いて配置され、拡散レンズを通して、拡散レンズの長手方向延長線に対して実質的に横方向に光を放射するようになっている。LEDによって放射された光は、拡散レンズを通過するときに、好ましくは、拡散レンズの長手方向延長線の少なくとも一部にわたって光源とは反対側に延びる、拡散レンズの発光面が一様に照明されるように散乱する。発光面では、拡散レンズを通して光を放射する個別の光源は、それ自体として認識できなくなる。代わりに、拡散レンズの発光面は、均質な光分布を放射する。
【0039】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、工具ハウジングが、工具ハウジングを形成するために突合せ接合部に沿って互いに取り付けられた少なくとも2つのハウジングシェルを備え、少なくとも1つの細長い発光デバイスが、突合せ接合部の少なくとも一部に沿って延びていることが提案される。ハウジングシェルは、接着剤、ねじ、スナップ留め接続などによって互いに取り付けることができる。通常、突合せ接合部は、細長い発光デバイスを(例えば、接着剤またはクランプによって)直接固定することができるかまたは(例えば、保持装置によって)間接的に取り付けることができる溝を形成する。溝があり、その内部に細長い発光デバイスを配置することは、発光デバイスが工具ハウジングの外面を越えて突出せず、それによって、発光デバイスが損傷に対して保護されるという利点を有する。さらに、突合せ接合部は、通常、電動工具ハウジングの主要な意匠線を表す。少なくとも1つの細長い発光デバイスを突合せ接合部に沿ってまたはその内部に配置することにより、発光デバイスが光を放射するときに、工具の主要な意匠線がさらに強調される。
【0040】
本発明のまた別の好ましい実施形態によれば、工具ハウジングが、少なくとも1つのエンボス文字および/または少なくとも1つのエンボス記号を備え、少なくとも1つの細長い発光デバイスが、エンボス文字および/またはエンボス記号の少なくとも一部に配置されていることが提案される。エンボス文字は、1つ以上の文字または数字を含むことができる。エンボス文字は、電動工具の製造業者の名称および/または電動工具の名称を表すことができる。さらに、エンボス文字は、電動工具を使用するための手がかり、例えば、オン/オフスイッチの位置を示すための「I/O」、または異なるモータ速度を示すための「1」~「9」の数字を表してもよい。エンボス記号は、工具の製造業者や工具自体に関する図形記号などを含んでもよい。細長い発光デバイスをエンボス文字および/またはエンボス記号の少なくとも一部に配置することにより、これらを、観察者による良好な認識のために強調することができる。付加的に、細長い発光デバイスによって放射される光の情報提供の側面(すなわち、電動工具の現在の動作状態に関する情報)を、工具ハウジングにエンボス加工された文字および/または記号を強調するデザインの側面と組み合わせることができる。
【0041】
好ましい実施形態によれば、ライトガイドまたは拡散レンズに関連する光源は、少なくとも2つの異なる色の光を放射するように設計されている。光源は、例えば、RGB-LEDとして形成することができる。同様に、電動工具は、異なる色の光を放射する少なくとも2つのエレクトロルミネセントワイヤまたは光源を含んでもよい。好ましくは、エレクトロルミネセントワイヤまたは光源によって放射される光の色は、限定するものではないが、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、使用者が加工要素を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 手持ち式の電動工具のバッテリの現在の充電状態、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素が現在実施している加工運動のタイプ、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素が現在実施している単位時間当たりの回転の回数、
- 工具ハウジングの内側の動作温度、
- モータが回転しているか否か、
- 手持ち式の電動工具のバッテリが、電動工具の電気部品と適切に電気的に接触しているか否か、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、モータが過負荷状態であるか、および
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素またはモータが現在実施している回転の回数の増加または減少、
のうちの1つ以上を含む、手持ち式の電動工具の現在の動作状態に依存している。
【0042】
手持ち式の電動工具が、細長い発光デバイスによって放射される光の色を電動工具の使用者によって手動で設定するための手段を備えることが提案される。放射される光の色を手動で設定するための手段は、電動工具の使用者もしくは他の者がアクセス可能なスイッチ、または設定色に関する情報を含むそれぞれの制御信号を携帯デバイス、例えば、放射される光の色を使用者もしくは他の者が所望の値に設定することを許可する専用のアプリケーションもしくはコンピュータプログラムが実行される携帯電話もしくはタブレットPCから受信するための無線受信機を備えることができる。このために、使用者、すなわち、電動工具の製造業者の顧客は、工具ハウジングの外面に配置された細長い発光デバイスによって放射される光の色を好ましい個々の値に設定することができる。
【0043】
別の好ましい実施形態によれば、エレクトロルミネセントワイヤまたは光源は、連続的にまたは特定の周波数で断続的に光を放射するように設計されている。好ましくは、エレクトロルミネセントワイヤまたは少なくとも1つの光源が光を連続的に放射するかもしくは一定の周波数で断続的に放射するかは、かつ/または断続的に放射される光の周波数は、限定するものではないが、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、使用者が加工要素を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 手持ち式の電動工具のバッテリの現在の充電状態、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素が現在実施している加工運動のタイプ、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素が現在実施している単位時間当たりの回転の回数、
- 工具ハウジングの内側の動作温度、
- モータが回転しているか否か、
- 手持ち式の電動工具のバッテリが、電動工具の電気部品と適切に電気的に接触しているか否か、
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、モータが過負荷状態であるか、および
- 手持ち式の電動工具の意図された使用に際して、加工要素またはモータが現在実施している回転の回数の増加または減少、
のうちの1つ以上を含む、手持ち式の電動工具の現在の動作状態に依存している。
【0044】
本発明者は、電動工具の動作状態を使用者に示す方法として、
- 電動工具のバッテリが工具ハウジングに挿入され、電動工具の電子部品に適切に電気的に接続されている:細長い発光デバイスによって放射される光がオフからオンになった後、おそらく一定の時間後にオンからオフに再び戻ること、
- 電動工具のモータが動作している:細長い発光デバイスによって放射される光がオンであること、
- 電動工具のバッテリの充電状態が低い:細長い発光デバイスによって放射される光が、1Hzの周波数で点滅すること、
- 電動工具のモータが過負荷である:細長い発光デバイスによって放射される光が、3Hzの周波数で点滅すること、
- 電動工具のモータの速度が上昇している:細長い発光デバイスによって放射される光が、所与の時間にわたって明るくなること、および
- 電動工具のモータの速度が低下している:細長い発光デバイスによって放射される光が、所与の時間にわたって暗くなること、
を特に考えている。
【0045】
電動工具の現在の動作状態を電動工具の使用者に明確に示し、いかなる状況でも即座に使用者が明確に見ることができる、手持ち式の電動工具の制御ライトをもたらすという所望の目的は、上述した種類の手持ち式の電動工具であって、工具ハウジングの内側に配置されたモータおよび他の部品からの熱を環境に逃がすことを可能にする通気開口が、工具ハウジングに設けられており、少なくとも1つの光源が、工具ハウジングの内側に配置されており、少なくとも1つの光源が、通気開口を通して工具ハウジングの外側に光を放射するように適合させられる、手持ち式の電動工具によっても解決することができる。このことは、工具ハウジングの通気開口に対するバックライト効果をもたらす。上述したように、放射された光は、電動工具の現在の動作状態を使用者に示すために役立ち得る。放射された光は、好ましくは、電動工具の現在の動作状態に応じて異なる色を有することができる。光はまた、好ましくは、電動工具の現在の動作状態に応じて連続的または断続的に放射することができる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態を示す図を参照した以下の説明から、本発明の更なる特徴および利点がより明らかになる。図示の特徴はそれぞれ、単独で本発明にとって本質的なものとなり得ることが強調される。同様に、図示の特徴はそれぞれ、任意の可能な組み合わせで、その組み合わせが、説明に明示的に述べられていないかまたは図面に示されていない場合でも、図示の他の任意の特徴と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明による手持ち式の電動工具の好ましい第1の実施形態を示す図である。
図2図1の電動工具の概略的な縦断面図である。
図3図1の電動工具の工具ハウジングを示す図である。
図4】本発明による手持ち式の電動工具の別の実施形態の工具ハウジングを示す図である。
図5】本発明による手持ち式の電動工具のまた別の実施形態の工具ハウジングを示す図である。
図6】本発明による手持ち式の電動工具の工具ハウジングの好ましい実施形態の細長い発光デバイスを示す図である。
図7】本発明による手持ち式の電動工具の工具ハウジングの好ましい実施形態の別の細長い発光デバイスを示す図である。
図8】本発明による手持ち式の電動工具の工具ハウジングの好ましい実施形態のまた別の細長い発光デバイスを示す図である。
図9図8の細長い発光デバイスの断面図である。
図10】工具ハウジングに取り付けられた細長い保持装置に収容された細長い発光デバイスの断面図である。
図11図10の工具ハウジングに取り付けられた細長い保持装置に収容された細長い発光デバイスの斜視的な断面図である。
図12】細長い保持装置の部分斜視図である。
【0048】
図1は、本発明による手持ち式の電動工具10の例を斜視図で示す。図2は、図1の電動工具10の概略的な縦断面を示す。電動工具10は、ランダムオービタル研磨マシン(またはポリッシャ)として形成されている。ポリッシャ10は、本質的にプラスチック材料からなる工具ハウジング12を有する。工具ハウジング12は、その後端部にハンドル14を有し、その前端部にグリップ要素16を有する。電動工具10の使用者は、電動工具10の意図された使用に際して、ハンドル14に置いた一方の手で電動工具10を持ち、他方の手でグリップ要素16に一定の大きさの圧力を加えることができる。
【0049】
電気プラグを末端部に有する電力供給ライン18が、ハンドル14の後端部において工具ハウジング12から出る。ハンドル14の下側には、電動工具10を作動および停止させる、すなわち、選択的にオンおよびオフにするためのスイッチ20が設けられる。スイッチ20は、押しボタン22によって、その作動位置に保持し続けることができる。電動工具10は、工具の電気モータ28(図2参照)の回転速度を所望の値に設定するための、例えば、ローレットホイールの形態の調整手段24を備えることができる。工具ハウジング12は、工具ハウジング12の内側に両方とも配置された電子部品および/または電気モータ28からの熱を環境に放散させるための、かつ/または環境からの冷却空気を工具ハウジング12に入れるための、冷却または通気開口26を備えることができる。
【0050】
図2から分かるように、電動工具10は電気モータ28を有する。電気モータ28は、好ましくはブラシレスタイプである。電動工具10を電気ケーブル18によって主電源に接続する代わりに、電動工具10は、付加的または代替的に、工具ハウジング12の内側に少なくとも部分的に配置された充電可能または交換可能なバッテリ(図示せず)を備えることができる。その場合、電気モータ28を駆動し、また電動工具10の他の電子部品を動作させるための電気エネルギーがバッテリによって提供されることになる。バッテリがあるにもかかわらず、電気ケーブル18もある場合、バッテリは、電動工具10の動作前、動作中または動作後に、主電源からの電流で充電することができる。バッテリがあることにより、主電源電圧(欧州では230Vまたは米国および他国では110V)で動作するのではなく、バッテリによって供給される電圧に応じて、例えば、12V、24V、36Vまたは42Vなどの低減した電圧で動作する電気モータ28を使用できるようになる。
【0051】
電動工具10は、第1の回転軸線32を中心として回転可能な板状の支持パッド30の形態の加工要素を有する。特に、図1に示す工具10の支持パッド30は、ランダムオービタル運動34を実施する。ランダムオービタル運動34により、支持パッド30は、第1の回転軸線32を中心とした第1の回転運動を実施する。第1の回転軸線32から間隔を置いて、第2の回転軸線36(図2参照)が規定され、支持パッド30は、第1の回転軸線32を中心とした支持パッド30の回転から独立して、第2の回転軸線36を中心として自由に回転可能である。第2の軸線36は、支持パッド30の平衡点を通り、第1の回転軸線32に対して平行である。ランダムオービタル運動34は、モータ28によって直接または間接的に駆動され、第1の回転軸線32を中心とした回転を実施する偏心要素38によって実現される。支点ピン40が、偏心要素38内に保持され、第2の回転軸線36を中心として偏心要素38に対して自由に回転可能に案内される。支点ピン40の取付け部材42(例えば、拡大されたヘッド部分)が、支持パッド30の上面に設けられた凹部44に挿入され、例えば、ねじ(図示せず)や磁力により取外し可能に取り付けられる。偏心要素38は、電動工具10の駆動軸46に、トルクに耐えられるように直接取り付けることができる。
【0052】
機能的に電動工具10のモータ28と駆動軸46との間には、1つ以上の歯車部材を配置することができる。図2に示す実施形態では、モータ28と駆動軸46との間に、傘歯車装置48の形態の歯車部材が設けられている。傘歯車装置48は、噛み合う2つの傘歯車からなり、一方がモータ28のモータ軸50に固定して取り付けられ、他方が駆動軸46に固定して取り付けられる。傘歯車装置48は、第1の回転軸線52を中心として回転可能なモータ軸50から、第1の回転軸線32を中心として回転可能な駆動軸46に回転運動およびトルクを伝達する。2つの軸線52および32は、好ましくは80°~100°、より好ましくは90°~100°、最も好ましくは90°~97°の角度αで互いに交差することができる。傘歯車装置48は、1または≠1、特に>1の伝達比を有することができる。機械的な傘歯車装置48の代わりに、磁力によって回転運動およびトルクを伝達する噛み合わない磁気的な歯車ホイール(gear wheel)を有する磁気的な傘歯車装置を実装することも可能である。付加的または代替的に、モータ軸50と駆動軸46との間には、更なる歯車部材、例えば、同軸歯車装置またはエピサイクリック歯車装置もしくは遊星歯車装置を配置してもよい。代替的または付加的な歯車部材は、噛み合う歯車ホイールによって機械的にまたは磁力によって磁気的に機能してもよい。最後に、機能的にモータ28と駆動軸46との間に歯車部材を配置せずに、モータ28が駆動軸46を直接駆動することも可能であり、その場合には、駆動軸46がモータ軸50自体によって形成される。
【0053】
支持パッド30は、剛性材料、好ましくはプラスチック材料からなり、剛性材料は、一方では、電動工具10の意図された使用に際して、被加工物の加工面上で所望の加工を実施する(例えば、車両ボディ、ボートまたは航空機の外殻の表面を研磨する)ための研磨部材54を担持かつ支持していて、支持パッド30および研磨部材54に下向きで第1の回転軸線32に対して本質的に平行な方向の力を加えるのに十分に剛性であり、他方では、支持パッド30または研磨部材54によってそれぞれ加工される表面の損傷または引掻きを避けるのに十分に柔軟である。研磨部材54は、発泡体またはスポンジパッド、ミクロ繊維パッド、および天然または人工ウールのパッドで構成することができる。図1では、研磨部材54は、発泡体またはスポンジパッドとして形成されている。研磨部材54は、支持パッド30の下面に、例えば面ファスナによって取外し可能に取り付けられる。電動工具10がサンダである場合、支持パッド30の下面には、サンディングパッドまたはシート状のサンドペーパもしくは布で構成されたサンディング部材が取り付けられる。支持パッド30および研磨部材54またはサンディング部材はそれぞれ、好ましくは円形の形状を有する。
【0054】
当然ながら、本発明による電動工具10は、別のタイプの電動工具、例えば、少し例示すると、回転ドリル、ハンマドリル、コードレスドライバ、サンディングマシンまたは研削マシンとして形成することもできる。他のタイプの電動工具10では、加工要素は、例えば、ドリルチャックなどとして、異なる形態で形成されてもよい。さらに、電動工具10は、電気エネルギーによって電気的に動作する代わりに、圧縮空気によって空気圧で動作することができる。その場合には、モータ28が空気圧モータとして形成されている。空気圧式の電動工具の電子部品(例えば、コントローラユニット、ソレノイド駆動式の空気圧弁、後述する細長い発光デバイスなど)を動作させるための電気エネルギーは、空気圧モータもしくは圧縮空気によって他の方法で駆動されるダイナモによって提供することができ、かつ/またはモータ駆動式のダイナモ、外部充電デバイスなどによって充電される充電式バッテリによって提供することができる。
【0055】
図3に見られるように、長手方向延長線58若しくは長手方向延在部58を有し、工具ハウジング12の外面に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの細長い発光デバイス56を、電動工具10に備えることが提案される。少なくとも1つの細長い発光デバイス56は、その長手方向延長線58の少なくとも一部に沿って、細長い発光デバイス56の長手方向延長線58に対して本質的に垂直な方向に光を放射するように設計されている。好ましくは、細長い発光デバイス56は、その長手方向延長線58の全体に沿って光を放射する。図3は、工具ハウジング12の片側に配置された単一の細長い発光デバイス56のみを示している。工具ハウジング12の反対側には、別の細長い発光デバイス56を備えることができる。当然ながら、工具ハウジング12の片側または両側にそれぞれ2つ以上の細長い発光デバイス56が設けられてもよい。
【0056】
図3の実施形態によれば、工具ハウジング12は、工具ハウジング12を形成するために、工具ハウジングの組立て中に突合せ接合部64に沿って互いに取り付けられる2つのハウジングシェル60,62を備える。少なくとも1つの細長い発光デバイス56は、突合せ接合部64の少なくとも一部に沿って延びている。図3では、細長い発光デバイス56は、2つのハウジングシェル60,62の間で突合せ接合部64全体に沿って延びている。ハウジングシェル60,62は、工具ハウジング12を形成するために、接着剤、ねじ、スナップ留め接続などによって互いに取り付けることができる。
【0057】
本発明によれば、細長い発光デバイス56の少なくとも一部が、透明材料からなる少なくとも1つの細長い保持装置200に収容されていて、それによって、少なくとも部分的に取り囲まれている(図8図10参照)。細長い保持装置200は、工具ハウジング12に取り付けられるように適合させられる。図10に見られるように、細長い保持装置200はU字形の断面を有する。少なくとも1つの細長い発光デバイス56は、U字形の内部空間202の内側に収容されている。U字形の細長い保持装置200の開口が、工具ハウジング12の方に向けられ、それによって、内部空間202を外側から閉鎖している。よって、細長い保持装置200は、細長い発光デバイス56の良好な保護をもたらす。
【0058】
代替的に、少なくとも1つの細長い保持装置200は、O字形の断面を有し、少なくとも1つの細長い発光デバイス56は、O字形の内部空間202の内側に収容される。
【0059】
図12から分かるように、少なくとも1つの細長い保持装置200は、工具ハウジングの組立て中に工具ハウジング12の2つのハウジングシェル60,62の間にクランプされるように適合させられた少なくとも2つの取付け要素204を有する。当然ながら、細長い保持装置200を工具ハウジング12に取り付ける複数の他の方法、例えば、スナップ留め接続、圧入接続または接着剤も考えられる。
【0060】
少なくとも1つの細長い保持装置200は、好ましくは、透明なプラスチック材料、特にPCまたはPMMAからなる。当然ながら、細長い保持装置200は、他の適切な材料、特にプラスチック材料からなることもできる。
【0061】
好ましくは、少なくとも1つの細長い保持装置200は、工具ハウジング12に取り付ける前(図12を参照)に、少なくとも1つの細長い保持装置200を取り付けるべき工具ハウジング12の部分(図11を参照)の三次元の形態に対応する三次元の形態を有する剛性材料からなる。
【0062】
少なくとも1つの細長い保持装置200が、一材料からなり、少なくとも1つの細長い発光デバイス56によって放射され、かつ少なくとも1つの細長い保持装置200を通過する光に光散乱効果を与えない内側および/または外側の光透過面206,208を有することがさらに提案される。細長い発光デバイス56によって放射された光は、細長い保持装置200を通過するときに内側および/または外側の光透過面206,208でせいぜい屈折を受けるにすぎない。しかし、細長い保持装置200のU字形またはO字形の周方向に延びる形態、および細長い発光デバイス56を取り囲む細長い保持装置200の少なくとも部分的な円弧状の湾曲により、細長い発光デバイス56によって半径方向外側に放射された光は、屈折なしでも細長い保持装置200を通過する。
【0063】
通常、2つのハウジングシェル60,62の間の突合せ接合部64は、細長い発光デバイス56を収容した細長い保持装置200を内部に配置することができる溝を形成する。このことは、発光デバイス56および/または細長い保持装置200が、工具ハウジング12の外面を越えて突出しないかまたは僅かしか突出せず、これにより、機械的応力、特に外側からの衝撃に対して保護されるという利点を有する。さらに、突合せ接合部64は、通常、工具ハウジング12の主要な意匠線を表す。(好ましくは細長い保持装置200によって)少なくとも1つの細長い発光デバイス56を突合せ接合部64に沿ってまたはその内部に配置することにより、発光デバイス56が光を放射するときに、主要な意匠線がさらに強調される。
【0064】
図4の実施形態によれば、工具ハウジング12は、少なくとも1つのエンボス文字66および/または少なくとも1つのエンボス記号(図示せず)を備えることができる。少なくとも1つの細長い発光デバイス56は、エンボス文字66および/またはエンボス記号の少なくとも一部に配置され、それによって、光を放射するときに文字66または記号を強調することができる。エンボス文字66は、1つ以上の文字または数字を含むことができる。本実施形態では、エンボス文字66は、電動工具10の製造業者の名称(例えば、「RUPES」)を含む。付加的または代替的に、エンボス文字66は、電動工具10の名称(例えば、「BigFoot」)を含んでもよい。さらに、エンボス文字66は、電動工具10を使用するための手がかりまたは指示、例えば、オン/オフスイッチ20の位置を示すための「I/O」、または異なるモータ速度を示すための「1」~「9」もしくは「0・・・最大(max)」の数字を表してもよい。エンボス記号は、工具10の製造業者または工具10のモデルに関する図形記号(例えば、BigFootロゴの肉球)を含んでもよい。細長い発光デバイス56を(好ましくは細長い保持装置によって)エンボス文字66および/またはエンボス記号の少なくとも一部に配置することにより、これらを、観察者による良好な認識のために強調することができる。付加的に、細長い発光デバイス56によって放射される光の情報提供の側面(すなわち、電動工具10の現在の動作状態に関する情報)を、工具ハウジング12にエンボス加工された文字66および/または記号を強調するデザインの側面と組み合わせることができる。
【0065】
図5の実施形態によれば、工具ハウジング12は、作動または操作要素(例えば、スイッチ、ボタンまたはダイヤル)が工具ハウジング12に対して移動可能に内部に配置される1つ以上の凹部68をさらに有することができる。作動または操作要素は、例えば、I/Oスイッチ20、押しボタン22または速度ダイヤル24であってよい。工具ハウジング12の凹部68と、凹部68内に配置された作動または操作要素20,22,24とは、作動または操作要素20,22,24の側面と、凹部68を規定する工具ハウジング12の縁部との間に隙間70を残す。少なくとも1つの細長い発光デバイス56は、作動または操作要素20,22,24の側面と、凹部68を規定する工具ハウジング12の縁部との間のこれらの隙間70の少なくとも一部に(好ましくは細長い保持装置によって)配置することができる。これにより、薄暗い環境において、電動工具10の操作、および照明された作動または操作要素20,22,24の作動が容易になる。図5では、細長い発光デバイス56が、押しボタン22の周りの隙間70にのみ配置されている。
【0066】
細長い発光デバイス56は、多くの異なる方法で設計することができる。少なくとも1つの細長い発光デバイス56が、
- 長手方向延長線58を有し、その長手方向延長線58の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線58に対して本質的に垂直な方向86に光を放射するように設計されたエレクトロルミネセントワイヤ72(図6参照)、
- 長手方向延長線58を有する光学式のライトガイド88と、光を放射し、放射された光92の少なくとも一部を光学式のライトガイド88に入射させるように設計された光源90とであって、光学式のライトガイド88が、入射させられた光94の少なくとも一部を、その長手方向延長線58の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線58に対して本質的に垂直な方向96に出射させるように設計された、光学式のライトガイド88および光源90(図7参照)、
- 長手方向延長線58を有する拡散レンズ112と、拡散レンズ112の長手方向延長線58に沿って互いに間隔を置いて配置され、拡散レンズ112を通して、拡散レンズ112の長手方向延長線58に対して本質的に垂直な方向122に光118を放射するように設計された複数の個別の光源116とであって、拡散レンズ112が、個別の光源116からの光118を散乱させるように設計されていて、光源116とは反対側に位置し、拡散レンズ112の長手方向延長線58の少なくとも一部に沿って延びる、拡散レンズ112の発光面120が、散乱させられた光118によって一様に照明される、拡散レンズ112および複数の個別の光源116(図8および図9参照)、
のうちの1つを備えることが提案される。
【0067】
エレクトロルミネセント(またはEL)ワイヤ72は、ELワイヤ72の作動時に、長手方向延長線58を有し、その長手方向延長線の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線58に対して本質的に垂直に延びる方向86に光を放射するように設計されている。そのようなELワイヤ72の例が、図6に概略的に示されている。ELワイヤ72は、極めて細い銅線78によって取り囲まれたエレクトロルミネセント材料76(例えば蛍光体)によって被覆された細い銅線74を備える。銅線78の周囲には、透明な保護シースまたはスリーブ80と、それを取り囲む(例えば、プラスチック、例えばPVC、または任意の他の種類の軟質ゴムからなる)着色スリーブ82とを設けることができる。別個の着色スリーブ82の代わりに、ELワイヤ72によって放射された光の色を所望の値に設定するために、特定の色の保護シース80を設けたり、放射された光の波長を変化させる粒子を保護シース80に含めたりすることができる。その場合、更なる着色スリーブ82は必要とされない。
【0068】
エレクトロルミネセント材料76に交流電流84を加えると、エレクトロルミネセンスによって光が発生する。交流電位および周波数は比較的高い。交流電位は最大150Vとすることができ、周波数は最大7kHzとすることができる。交流電位は、好ましくは90~120Vの範囲であり、周波数は約1kHzである。当然ながら、電位および/または周波数は、任意の他の所望の値を有してもよい。ELワイヤ72は、所与の色で360°均質な切れ目のない可視光線を発生させる。ELワイヤ72は、比較的細い(1ミリメートル以上の範囲またはさらに細い)直径を有するので、非常に柔軟である。
【0069】
ELワイヤ72の設置のために、ELワイヤ72を工具ハウジング12に取り付けなければならない。このことは、ELワイヤ72を工具ハウジング12の外面に接着することによるか、または例えば、工具ハウジング12の外面もしくは2つのハウジングシェル60,62の間に形成された溝68もしくは隙間70にELワイヤ72をクランプすることによるなど、任意の他の方法で固定することにより、実現することができる。
【0070】
好ましくは少なくとも1つの細長い保持装置200によって、ELワイヤ72を工具ハウジング12に取り付けた後、ELワイヤ72は、工具ハウジング12内に配置された電動工具10の制御ユニットのそれぞれのドライバ段に電気的に接続するだけでよい。このために、ELワイヤ72がハウジング12に導入され、ハウジング12の内側で電気的に接続されるか、または1つ以上の電気ケーブル(図示せず)がハウジング12からELワイヤ72に導出され、ハウジング12の外側で電気的に接続される1つ以上の穴(図示せず)を工具ハウジング12に設けることができる。
【0071】
ELワイヤ72の効率を高めるために、ELワイヤ72の工具ハウジング12に面する一方の側の少なくとも一部を反射面(図示せず)に割り当てると有利となる場合がある。反射面は、反射性材料、例えば金属からなるコーティングまたは箔の形態であってよい。反射面は、ELワイヤ72の外側境界面、および/またはELワイヤ72に隣接する工具ハウジング12の外面の一部、および/または細長い保持装置200の内面206の一部に適用することができる。反射面は、工具ハウジング12の方に放射された光を、工具ハウジング12から遠ざけて観察者の方へと反対の方向に導く。
【0072】
図7に示す代替的な実施形態によれば、少なくとも1つの細長い発光デバイス56は光学式のライトガイド88を備え、光学式のライトガイド88は、長手方向延長線58を有し、起動時に光を放射し、放射された光92の少なくとも一部を光学式のライトガイド88に入射させるように設計された少なくとも1つの光源90に割り当てられている。光源90は、好ましくは、1つ以上の発光デバイス(LED)を備える。光学式のライトガイド88は、入射させられた光94の少なくとも一部を、その長手方向延長線58の少なくとも一部に沿って、その長手方向延長線58に対して本質的に垂直な方向96に出射させるように設計されている。
【0073】
光学式のライトガイド88の使用は、工具ハウジング12の外側に位置する、ライトガイド88の被照明面から離して光源90を配置することができるという利点を有する。特に、光源90は、埃や湿気などに対して保護される工具ハウジング12の内側に配置することができる。さらに、光源90を工具ハウジング12の内側、好ましくは、バッテリまたは電源ユニットの近くに配置する場合、バッテリまたは電源ユニットへの光源90の電気的接続をより容易に達成することができる。
【0074】
図7の実施形態では、光源90は、工具ハウジング12の内側に配置されている。工具ハウジング12には、工具ハウジング12の外側に配置された光学式のライトガイド88に向けて光源90が光を放射することができる1つ以上の穴98を設けることができる。代替的に、光学式のライトガイド88の互いに反対側にある端部の一方または両方を、光源90の近くで穴98を通して工具ハウジング12の内側に導入してもよい。好ましくは、1つ以上の光源90が、ライトガイド88の互いに反対側にある端面の一方または両方でライトガイド88に光を入射させる。1つ以上の光源90が、光学式のライトガイド88の一方の端面に光を入射させてもよい。
【0075】
ライトガイド88に入射させられた光は、光学式のライトガイド88の外部境界面での内部全反射(TIR)によって、ライトガイド88の長手方向延長線58に沿って透過される。光学式のライトガイド88は、好ましくは固体であり、ガラス材料または透明なプラスチック材料、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル材料もしくはポリカーボネート(PC)からなることができる。これらの材料は、良好な光学的透明性と、良好な機械特性と、電離放射線に対する極めて少ない固有シンチレーション反応とを有する。光学式のライトガイド88の直径が制限されているため、前述した材料からなるライトガイド88は柔軟であり、したがって、電動工具10および工具ハウジング12の輪郭または意匠線にそれぞれ沿うことができる。
【0076】
光学式のライトガイド88は、ライトガイド88の長手方向延長線58の少なくとも一部に沿って配置されたデカップリング要素100を備えることができる。デカップリング要素100は、入射させられた光94の少なくとも一部を、ライトガイド88の長手方向延長線58に対して本質的に垂直な方向96に出射させるように設計されている。デカップリング要素100は、光学式のライトガイド88から方向96に光94を出射させる仮想光源として機能する。
【0077】
図7の実施形態では、光学式のライトガイド88は、互いに比較的大きな距離を置いて配置された(数ミリメートルの範囲のサイズを有する)少数の個々のデカップリング要素100を備える。デカップリング要素100のそのような配置は、観察者にとって多数の個別の仮想光源を伴う外観をもたらす。代替的に、光学式のライトガイド88は、互いに非常に接近して配置された複数の(数マイクロメートルの範囲のサイズを有する)より小さなデカップリング要素を備えることもできる。より小さなデカップリング要素のそのような配置は、観察者にとって放射される光のほぼ均質な外観を作り出すことで、ライトガイド88の外側境界面102の全体が均質に照明されたかのように見えることになる。
【0078】
デカップリング要素100は、光学式のライトガイド88の内側にまたはライトガイド88の外側境界面102上にプリズムを備えることができる。ライトガイド88から光94を出射させる、デカップリング要素100の光反射面および/またはライトガイド88の外側境界面102の粗面化により、出射させられた光94の更なる散乱および均質化をもたらすことができる。
【0079】
細長い発光デバイス56の効率を高めるために、デカップリング要素100は、入射させられた光94の少なくとも一部を光学式のライトガイド88の一方の側へと、好ましくは工具ハウジング10の周囲の環境に向けて、180°の空間に出射させるように、光学式のライトガイド88にまたは光学式のライトガイド88内に設計および配置することができる。図7では、光94が放射される180°の空間は、光学式のライトガイド88の下方に位置している。光学式のライトガイド88に入射させられた光はほぼ全て、観察者によって見ることができる方向96でライトガイド88から出射させられる。観察者によって見えない、ライトガイド88から工具ハウジング12の方に出射させられる光はほとんどない。
【0080】
細長い発光デバイス56の効率をさらに高めるために、光源90と、光源90が放射した光92の少なくとも一部が入射する光学式のライトガイド88との間に、集束光学系104を配置することが提案される。集束光学系104は、光源90によって放射された光92の少なくとも一部を集束させ、集束光学系104が存在しない場合よりも大きな割合の放射された光92を光学式のライトガイド88に入射させるように設計されている。集束光学系104が、光源90を三方で取り囲み、それにより、光源(LED)90によって放射された光92の非常に多くを、LED90の発光面に隣接する180°の空間に集めることが分かる。集束光学系104は、LED90によって放射された光を点または平面に集光させる。点または平面は、好ましくは、光学式のライトガイド88の端面にある。
【0081】
図7の実施形態では、集光された光92を集束光学系104から光学式のライトガイド88の端面に向けて偏向させる更なる偏向要素106が設けられている。偏向要素106は、鏡面を有するか、または透明な固体材料からなり、かつ内部全反射(TIR)面108を有するプリズムとして構成することができる。本実施形態では、集束光学系104が光を集光させる点または平面は、好ましくは、鏡面またはTIR面108にある。当然ながら、偏向要素106は、集束光学系104または光学式のライトガイド88と共に一体部分を形成することができる。
【0082】
細長い発光デバイス56は、限定するものではないが、正方形、長方形および多角形を含む、ほぼ全ての断面形状を有することができる。しかし、好ましい実施形態によれば、ELワイヤ72または光学式のライトガイド88は、円形または楕円形の断面を有する。そのようなELワイヤ72は、特に均質に光を放射する。そのような光学式のライトガイド88は、入射させられた光92をTIRによって特に効率的に伝搬させる。そのようなELワイヤ72または光学式のライトガイド88には、いわゆるホットスポット(光線が集まって特に高い輝度をもたらす領域)が形成されない。
【0083】
図8および図9に示す細長い拡散レンズ112は、長手方向延長線58を有する。拡散レンズ112は、円形、楕円形、正方形、長方形または多角形の断面を有することができる。好ましくは、拡散レンズ112は、そのような断面の一部の断面形状、特に半円の断面形状を有する(図9を参照)。拡散レンズ112は、ガラス、透明なプラスチック材料またはゴム材料からなることができる。拡散レンズ112は、放射される光114に所望の色を与えるために、任意の色を有することができる。拡散レンズ112は、好ましくは固体材料からなる。拡散レンズ112は、その外面の1つ以上に、光114を透過させる拡散構造、例えば微細構造を有することができる。複数の個別の光源116が、好ましくはLEDの形態であり、拡散レンズ112の長手方向延長線58に沿って互いに間隔を置いて配置され、拡散レンズを通して、拡散レンズ112の長手方向延長線58に対して実質的に横方向に光118を放射する。拡散レンズ112を通過するときに、LED116によって放射された光118は、好ましくは、拡散レンズ112の長手方向延長線58の少なくとも一部にわたって光源116とは反対側に延びる、拡散レンズ112の発光面120が、一様に照明されるように散乱する。発光面120では、拡散レンズ112を通して光118を放射する個別の光源116は、もはや認識できなくなる。代わりに、拡散レンズ112の発光面120は、均質な光分布を放射する。発光面120は、細長い拡散レンズ112の長手方向延長線58に対して本質的に垂直な方向122に光114を放射する。LED116の1つ以上と拡散レンズ112の光入射面124との間に、図7の集束光学系104と同様の光学素子を配置することができる。光学素子は、好ましくは、LED116によって放射された光束を広げる。
【0084】
少なくとも1つの光源90,116を、少なくとも2つの異なる色の光94,118を放射するように設計することが提案される。同様に、電動工具10は、異なる色の光94,114を放射する、少なくとも2つのELワイヤ72または光源90,118を備えることができる。好ましくは、少なくとも1つの細長い発光デバイス56によって放射される光94,114,118の色は、限定するものではないが、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、使用者が加工要素30を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 手持ち式の電動工具10のバッテリの現在の充電状態、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、加工要素30が現在実施している加工運動34のタイプ、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、加工要素30またはモータ28が現在実施している単位時間当たりの回転の回数、
- 工具ハウジング12の内側の動作温度、
- モータ28が回転しているか否か、
- 手持ち式の電動工具10のバッテリが、電動工具10の電気部品と適切に電気的に接触しているか否か、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、モータ28が過負荷状態であるか、および
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、加工要素30またはモータ28が現在実施している回転の回数の増加または減少、
のうちの1つ以上を含む、手持ち式の電動工具10の現在の動作状態に依存している。
【0085】
手持ち式の電動工具10は、ELワイヤ72または光源90によって放射される光94の色を電動工具10の使用者が手動で設定するために、電動工具10の使用者または他の者がアクセス可能な制御手段(例えば、スイッチ、ボタン、ダイヤルなど)を備えることができる。代替的に、制御手段は、設定色に関する情報を含むそれぞれの制御信号を携帯デバイス、例えば、放射される光94の色を使用者または他の者が所望の値に設定することを許可する専用のアプリケーションまたはコンピュータプログラムが実行される携帯電話またはタブレットPCから受信するための無線受信機を備えてもよい。
【0086】
付加的または代替的に、エレクトロルミネセントワイヤ72または少なくとも1つの光源90,116は、連続的にまたは特定の周波数で断続的に光94,118を放射するように設計される。好ましくは、エレクトロルミネセントワイヤ72または少なくとも1つの光源90,116が光94,118を連続的に放射するかもしくは断続的に放射するかは、かつ/または断続的に放射される光94,118の周波数は、限定するものではないが、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、使用者が加工要素30を被加工物の加工面に押し付ける圧力、
- 手持ち式の電動工具10のバッテリの現在の充電状態、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、加工要素30が現在実施している加工運動34のタイプ、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、加工要素30またはモータ28が現在実施している単位時間当たりの回転の回数、
- 工具ハウジング12の内側の動作温度、
- モータ28が回転しているか否か、
- 手持ち式の電動工具10のバッテリが、電動工具10の電気部品と適切に電気的に接触しているか否か、
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、モータ28が過負荷状態であるか否か、および
- 手持ち式の電動工具10の意図された使用に際して、加工要素30またはモータ28が現在実施している回転の回数の増加または減少、
のうちの1つ以上を含む、手持ち式の電動工具10の現在の動作状態に依存している。
【0087】
特に、電動工具10の動作状態を使用者に示す方法としては、
- 電動工具10のバッテリが工具ハウジング12に挿入され、電動工具10の電子部品に適切に電気的に接続されている:細長い発光デバイス56によって放射される光94,114がOFFからONになった後、おそらく一定の時間後に、ONからOFFに再び戻ること、
- 電動工具10のモータ28が動作している:細長い発光デバイス56によって放射される光94,114がONであること、
- 電動工具10のバッテリの充電状態が低い:細長い発光デバイス56によって放射される光94,114が、1Hzの周波数で点滅すること、
- 電動工具10のモータ28が過負荷である:細長い発光デバイス56によって放射される光94,114が、3Hzの周波数で点滅すること、
- 電動工具10のモータ28の速度が上昇している:細長い発光デバイス56によって放射される光94,114が、所与の時間にわたって明るくなること、および
- 電動工具10のモータ28の速度が低下している:細長い発光デバイス56によって放射される光94,114が、所与の時間にわたって暗くなること、
が提案される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12